(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】電気機械のためのステータアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/128 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
H02K5/128
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023044046
(22)【出願日】2023-03-20
【審査請求日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】10 2022 109 794.3
(32)【優先日】2022-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トビアス エンゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ラインライン
(72)【発明者】
【氏名】ダーヴィト バウアー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ヴェンデ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス フーベルト
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-213412(JP,A)
【文献】特開2009-183032(JP,A)
【文献】特開昭60-144121(JP,A)
【文献】特開2014-057506(JP,A)
【文献】特開2014-23304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/128
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械(10)のためのステータアセンブリ(20)であって、
前記ステータアセンブリ(20)が、内側ロータ(12)と協働するための外側ステータアセンブリとして構成され、積層コア(22)と、巻線アセンブリ(24)と、
キャン(50)と、を備え、
前記積層コア(22)が、金属シート(220A、220B)を備え、第1の軸方向端部(211)と第2の軸方向端部(212)との間に延在し、前記金属シート(220A、220B)が、スロット(40A、40B)を備え、前記スロット(40A、40B)が、前記積層コア(22)内にスロットポケット(30)を形成し、前記巻線アセンブリ(24)が、前記スロットポケット(30)を通って延在し、
前記スロットポケット(30)が、
前記第1の軸方向端部(211)に設けられる第1の軸方向領域(221)における第1の複数のスロット(40A)であって、
もっぱら開放スロット(40A)
を備える第1の複数のスロット(40A)を備え、
前記第2の軸方向端部(212)に設けられる第2の軸方向領域(222)における第2の複数のスロット(40A)であって、
もっぱら開放スロット(40A)
を備える第2の複数のスロット(40A)を備え、
前記第1の軸方向領域(221)と前記第2の軸方向領域(222)との間に位置する
第3の軸方向領域(223)における第3の複数のスロット(40B)であって、
もっぱら閉鎖スロット(40B)
を備える第3の複数のスロット(40B)を備
え、
前記開放スロット(40A)を有する前記金属シート(220A)が、その半径方向内側端部にステータ歯(243)を備え、前記ステータ歯(243)の間に前記開放スロット(40A)が形成され、
前記キャン(50)が前記積層コア(22)に接続され、前記積層コアの半径方向内側で前記ステータアセンブリを封止し、
前記スロットポケット(30)を通して冷却剤(90)の冷却剤流が可能にされ、
前記第1の軸方向領域(221)の第1の軸方向長さ(L1)、前記第2の軸方向領域(222)の第2の軸方向長さ(L2)、または前記第1の軸方向長さ(L1)及び前記第2の軸方向長さ(L2)は、前記第3の軸方向領域(223)の第3の軸方向長さ(L3)より短い、
ステータアセンブリ(20)。
【請求項2】
前記ステータ歯(243)は、歯ネック(224)及び歯ヘッド(225)を
備える、請求項1に記載のステータアセンブリ(20)。
【請求項3】
前記ステータ歯(243)が、前記歯ネック(224)から前記歯ヘッド(225)への移行部において、少なくとも一部分において段々広がることを特徴とする、請求項
2に記載のステータアセンブリ(20)。
【請求項4】
前記
キャン(50)が、プラスチック、特に繊維強化プラスチックを含む、請求項1に記載のステータアセンブリ(20)。
【請求項5】
ハウジング(99)を備え、
前記ハウジング(99)が、
前記冷却剤(90)のための入口(91)及び出口(92)を備え、前記ハウジング(99)が、前記
キャン(50)を備え、
前記ハウジング(99)が、冷却剤(90)による前記ステータアセンブリ(20)の冷却を可能にするために、前記入口(91)と前記出口(92)との間に流体密封されるように構成される、請求項1に記載のステータアセンブリ(20)。
【請求項6】
前記スロットポケット(30)が、前記スロットポケット(30)を通して冷却剤(90)の冷却剤流を可能にするために、前記入口(91)及び前記出口(92)に流体接続される、請求項
5に記載のステータアセンブリ(20)。
【請求項7】
-前記第1の軸方向領域(221)、
-前記第2の軸方向領域(222)、又は
-前記第1の軸方向領域(221)及び前記第2の軸方向領域(222)が、
少なくとも5mm、好ましくは少なくとも10mm、更に好ましくは少なくとも15mm、及び特に少なくとも20mmである、軸方向延長部を備える、請求項1に記載のステータアセンブリ(20)。
【請求項8】
-前記第1の複数、
-前記第2の複数、又は
-前記第1の複数及び前記第2の複数が、
少なくとも2である、請求項1に記載のステータアセンブリ(20)。
【請求項9】
前記第3の複数が、少なくとも4、好ましくは少なくとも8、更に好ましくは少なくとも12、及び特に好ましくは少なくとも15である、請求項1に記載のステータアセンブリ(20)。
【請求項10】
請求項1に記載のステータアセンブリ(20)と、ロータアセンブリ(12)と、を備える、電気機械(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械のためのステータアセンブリ及びこのようなステータアセンブリを有する電気機械に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第10 2017 206 567号明細書、米国特許第10,749,386号明細書、独国特許出願公開第10 2021 104 650号明細書、及び特開2007-151232号公報は、スロットが、部分的に開放し、部分的に閉鎖している積層金属シートを有するステータコアを開示する。
【0003】
国際公開第2018/180345号は、ステータコアを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第10 2017 206 567号明細書
【文献】米国特許第10,749,386号明細書
【文献】独国特許出願公開第10 2021 104 650号明細書
【文献】特開2007-151232号公報
【文献】国際公開第2018/180345号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明によって対処される課題は、新しいステータアセンブリ及び新しい電気機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、独立請求項の主題によって解決される。
【0007】
電気機械のためのステータアセンブリであって、ステータアセンブリが、内側ロータと協働する外側ステータアセンブリとして構成され、積層コアと、巻線アセンブリと、キャンと、を備え、積層コアは、金属シートを備え、第1の軸方向端部と第2の軸方向端部との間に延在し、金属シートは、スロットを備え、スロットは、積層コア内にスロットポケットを形成し、巻線アセンブリは、スロットポケットを通って延在し、
スロットポケットは、少なくとも部分的に、
-第1の軸方向端部に設けられる第1の軸方向領域における第1の複数のスロットであって、開放スロットとして構成される第1の複数のスロットを備え、
-第2の軸方向端部に設けられる第2の軸方向領域における第2の複数のスロットであって、開放スロットとして構成される第2の複数のスロットを備え、
-第1の軸方向領域と第2の軸方向領域との間に位置する、少なくとも1つの第3の軸方向領域における第3の複数のスロットであって、閉鎖スロットとして構成されている、第3の複数のスロットを備える。
【0008】
軸方向端部を備える軸方向領域では、スロットポケットのスロットは、開放されるように構成され、それによって渦電流損失が比較的顕著に低減される。軸方向端部領域の間には、閉鎖スロットを有する少なくとも1つの第3の軸方向領域があり、これは、ステータアセンブリの安定性に、特にキャンの安定性に有利である。これは非常に有利な組み合わせを提供する。この構成は、直接冷却された巻線アセンブリを有する電気車両における高性能電気機械に特に有利である。
【0009】
好ましい実施形態によれば、第1の軸方向領域におけるスロットポケットは、もっぱら開放スロットを備える。
【0010】
好ましい実施形態によれば、第2の軸方向領域におけるスロットポケットは、もっぱら開放スロットを備える。
【0011】
好ましい実施形態によれば、第3の軸方向領域におけるスロットポケットは、もっぱら閉鎖スロットを備える。
【0012】
それによって、開放スロット及び閉鎖スロットの効果が強化される。
【0013】
好ましい実施形態によれば、開放スロットを有する金属シートは、その半径方向内側端部に歯ネック及び歯ヘッドを有するステータ歯を備え、ステータ歯の間に、開放スロットが形成される。これは、開放スロットの有利な構成である。
【0014】
好ましい実施形態によれば、ステータ歯は、歯ネックから歯ヘッドへの移行部において、少なくとも一部分において幅が広がることを特徴とする。このような幅が広がることは、磁束を改善し、半径方向内側にあるステータスロットを部分的に遮断する。
【0015】
好ましい実施形態によれば、キャンは、特に、接着剤接続によって、又は追加の接着剤によって、積層コアに接続される。この領域の安定性及び密封性は、この対策によって改善することができる。
【0016】
好ましい実施形態によれば、キャンは、プラスチック、特に繊維強化プラスチックを含む。一方で、プラスチックは、磁気非導電性又は導電性不良であり、他方で非常に安定させることができる。
【0017】
好ましい実施形態によれば、キャンは、積層コアの半径方向内側側面上のステータアセンブリを封止する。それによって、ロータに向かっての流体の漏れを防止することができる。
【0018】
好ましい実施形態によれば、ステータアセンブリは、ハウジングを備え、ハウジングは、冷却剤のための入口及び出口を備え、ハウジングは、キャンを備え、ハウジングは、冷却剤によるステータアセンブリの冷却を可能にするために、入口と出口との間に流体密封されるように構成されている。ハウジング用のキャンを利用することは、冷却剤がスロットポケットを通って流れることを有利に可能にする。
【0019】
好ましい実施形態によれば、スロットポケットは、スロットポケットを通して冷却剤が流れることを可能にするために、入口及び出口に流体接続される。このタイプの冷却は、非常に効果的である。これは、直接冷却と称される。
【0020】
好ましい実施形態によれば、
-第1の軸方向領域、
-第2の軸方向領域、又は
-第1の軸方向領域及び第2の軸方向領域は、
各々が、少なくとも5mm、好ましくは少なくとも10mm、更に好ましくは少なくとも15mm、及び特に好ましくは少なくとも20mmである軸方向延長部を備える。この軸方向延長は、渦電流の有利な低減を可能にする。
【0021】
好ましい実施形態によれば、
-第1の複数、
-第2の複数、又は
-第1の複数及び第2の複数は、
少なくとも2、好ましくは少なくとも5、更に好ましくは少なくとも7、及び特に好ましくは少なくとも9である。この数字は、より小型及び大型の積層コアに好適である。
【0022】
好ましい実施形態によれば、第3の複数体は、少なくとも4、好ましくは少なくとも8、更に好ましくは少なくとも12、及び特に好ましくは少なくとも15である。これにより、安定したステータアセンブリが可能となる。
【0023】
電気機械は、このようなステータアセンブリ及びロータアセンブリを備える。これにより、高性能のために構成され得る有利な電気機械がもたらされる。
【0024】
本発明の更なる詳細及び有利な更なる展開が、以下に説明され、図面に図示され、またいずれの様式においても本発明を限定するものとして解釈されるべきではない実施例、及び従属請求項から発生するであろう。言うまでもなく、上で言及される特徴及び以下でこれから考察される特徴は、本発明の範囲を離れることなく、それぞれ指定された組み合わせだけでなく、他の組み合わせでも、又はそれ自体でも使用することができる。ここで、
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】概略的な長手方向セクションで、積層コアを有する電気機械を示す。
【
図3】積層コアの金属シートの第1の変形を伴う、
図1の電気機械の概略上面図である。
【
図4】積層コアの金属シートの第2の変形を伴う、
図1の電気機械の概略上面図である。
【
図5】積層コアの前部領域における磁束の倍略図である。
【0026】
同じ又は同じ効果を持つ部品は、以下では同じ参照番号で提供され、通常は1回のみ説明される。全ての図の説明は、不必要な繰り返しを避けるために互いに流用される。
【0027】
図1は、ステータアセンブリ20及びロータアセンブリ12を有する電気機械10を示す。電気機械はまた、駆動機能を有する場合、電気モータと称され得る。ステータアセンブリ20は、
キャン50を含むハウジング99を有する。
【0028】
ハウジング99は、入口91及び出口92を有する。
【0029】
出口92は、導管93を介してポンプ94に接続され、ポンプ94は、導管95を介して熱交換器96に接続され、熱交換器96は、冷却剤回路98を可能にするために、導管97を介して入口91に接続される。冷却剤90は、ハウジング99内及び冷却剤回路98全体に提供され、冷却剤は、好ましくは流体、特に液体及び/又はガスである。絶縁油などの薄い液体冷却剤90は、良好に適しており、電気絶縁を更に改善し、誘電特性を有する。トランスオイルは、特に有利であり、比較的高温でも安定である。
【0030】
ステータアセンブリ20は、積層コア22及び巻線アセンブリ24を含む。巻線アセンブリ24は、積層コア22の2つの軸方向端面上に、巻線ヘッド25を含む。
【0031】
積層コア22は、第1の軸方向端部211と第2の軸方向端部212との間に延在する。例示的な実施形態では、積層コア22は、第1の軸方向領域221、第2の軸方向領域222、及び第3の軸方向領域223を備える。
【0032】
第1の軸方向領域221は、軸方向長さL1の上に延在し、第2の軸方向領域222は、軸方向長さL2の上に延在し、第3の軸方向領域223は、軸方向長さL3の上に延在する。
【0033】
例示的な実施形態では、ロータアセンブリ12は、永久磁石14を有するロータコア13を備える。
【0034】
ステータアセンブリ20は、回転軸15を画定する。ロータアセンブリ12は、回転軸15を中心に回転し、内側ロータアセンブリとして構成される。したがって、ステータアセンブリ20は、外側ステータアセンブリとして構成される。
【0035】
上面図では、
図2は、ステータアセンブリ20及びロータアセンブリ12のセクションを示す。
【0036】
積層コア22は、アンカースパイン又はヨークと呼ばれる磁気ヨーク242と、ステータ歯243とを有する。ステータ歯243は、スロットポケット30を画定する。
【0037】
巻線アセンブリ24は、スロットポケット30を通って延在し、巻線ヘッド25は、積層コア22の軸方向端部に設けられる。例示的な実施形態では、ステータアセンブリ20はまだ完全にはアセンブルされておらず、巻線アセンブリ24又は巻線アセンブリ24の巻線ワイヤ232は、スロットポケット30の一部にのみ設けられる。
【0038】
ステータ歯243はそれぞれ、内向きに延在する歯ネック224を備え、歯ヘッド225は、ステータ歯243の半径方向内側端部に設けられる。
【0039】
キャン50は、ステータ歯243に接続され、ステータ歯243の半径方向内側領域をロータアセンブリ12に向かって封止する。
【0040】
例えば、キャン50は、プラスチック成形部品として事前に作られ、次に接着剤を使用して積層コア22に接着され得るか、又はライナーとも称される積層コア22のラミネーションによって製造され得る。
【0041】
キャン50は、積層コア22とロータアセンブリ12との間のエアギャップ51内に位置し、好ましくは、磁気非導電性又は低導電性材料から形成される。エアギャップ51は、積層コア22とロータコアとの間の磁気非導電性又は低導電性領域として画定され、例えば、部分的にプラスチックで充填され得る。
【0042】
好ましくは、キャン50は、プラスチック、特に繊維強化プラスチックから形成される。しかしながら、追加の材料が存在し得る。
【0043】
図3は、積層コア22の金属シート220Aを概略的に図示する。好ましくは、このような金属シートは、例えば電気シート金属、特にモータシート金属又はトランスシート金属などの軟磁性材料から製造される。金属シート220A間の電気絶縁については、それらは、好ましくは、絶縁層、例えば、好ましくは薄いワニス層を含む。
【0044】
ステータ歯243は、歯ネック224及び歯ヘッド225を含む。例示的な実施形態では、ステータ歯243は、歯ネック224から歯ヘッド225へと移動するにつれて段々広くなる、すなわち、それらは円周方向により広くなる。代替的に、歯ヘッド225は、段々広くならないように形成されてもよい。
【0045】
隣接するステータ歯243の歯ヘッド225は互いに接続されておらず、したがって、ステータ歯243の間に形成されたスロット40Aはそれぞれスロット開口部227を有する。開放スロット40Aと云われ、又は幅の広い歯ヘッド225に対しては、半閉鎖スロット又はセミ閉鎖スロット40Aと云われるが、シート220Aにおけるスロット開口部227のために、やはり開放スロット40Aである。
【0046】
例示的な実施形態では、巻線アセンブリ24のスロット絶縁部231及び銅導体232がスロット40Aに設けられる。
【0047】
スロット40Aの領域における巻線アセンブリ24の冷却は、ジュール熱及び鉄損失によって熱が生成されるため、有益である。
【0048】
スロット40Aの領域内が冷却剤90により冷却されると、冷却剤90がキャン50に到達することができる。冷却剤90が加圧されると、冷却剤90はキャン50に圧力を生じさせる。これは、キャン50に損傷をもたらし得るか、又は分離をもたらし得る。
【0049】
金属シート220Aの利点は、スロット開口部227を設けることによって、この領域における電流の流れが防止されるか、又は少なくとも弱くなることである。結果として、ステータ金属シート220Aに生じ得る渦電流251は、比較的小さい領域に、又はむしろ局所的に形成される。
【0050】
ステータ金属シート220Aは、典型的には、個々の金属シート220Aの間に絶縁を生じさせる絶縁層を有する。絶縁層は、金属シート220Aにわたる大面積の渦電流の形成を防止するか、又は少なくとも妨げる。
【0051】
図4は、基本的に、
図3の金属シート220Aと同じ様に構成される金属シート220Bを示す。したがって、同じ材料、同じシート厚、及び同じ絶縁が使用され得る。
【0052】
ここで、
図3の金属シート220Aとの差異について考察する。金属シート220Bは、閉鎖スロット40Bとして構成されたスロット40Bを含む。したがって、スロット40Bはスロット開口部を有さず、金属シート220Bはスロット40Bを全ての側面(半径方向内側、半径方向外側、及び円周方向)で封入する。
【0053】
金属シート220Bは、金属シート220Bの領域内のスロット40Bの冷却剤90が
キャン50に直接接触しないという利点を有し、金属シート220Bはスロット40Bの領域においてより安定しており、それによって変形のリスクを低減する。これにより、積層コア全体の安定性(
図1と比較して)、及びそれゆえに
キャン50の安定性も増加する。しかしながら、冷却剤90は、金属シート220Bの間の領域の
キャンに依然として影響を与え得るが、そこは有効表面であり、それゆえ
キャン50上の機械的負荷はより少ない。
【0054】
金属シート220Bの1つの欠点は、局所渦電流251に加えて、更により大きな面積の渦電流252が発生する場合があることであるが、その理由は、電気渦電流が金属シート220Bの半径方向内側領域にわたって、したがって1つ以上のスロット40Bの周りにも流れる場合があるからである。
【0055】
図5は、積層コア22及びロータコア13のロータ積層コア並びにそれらの間のエアギャップ51を概略的に示す。軸方向端部211(及び同様に212)では、磁束260は、高い磁束密度で軸方向及び弓状に出ることができる。これは、フリンジ効果又はフラックスフリンジとも称される。これはますます、金属シートの層状に閉じる渦電流につながる。この理由から、
図1の軸方向端部領域221、222において、
図3の金属シート220Aを使用することは、それらが、渦電流を最適化しており、それによって渦電流損失の比較的強い低減が可能であることから、特に有利である。
【0056】
対照的に、
図1の積層コア22の中央領域223では、
キャン50及びステータアセンブリ20全体の安定した構成を達成するために、
図4の金属シート220Bの閉鎖スロット40Bを使用することが特に有利である。
【0057】
結果として、スロットポケット30(
図2参照)が、全て又は少なくとも部分的に有利であるのは、
-第1の軸方向端部211に設けられる第1の軸方向領域221における第1の複数のスロット40Aであって、開放スロット40Aとして構成される第1の複数のスロット40Aを備え、
-第2の軸方向端部212に設けられる第2の軸方向領域222における第2の複数のスロット40Aであって、開放スロット40Aとして構成される第2の複数のスロット40Aを備え、
-第1の軸方向領域221と第2の軸方向領域222との間に位置する少なくとも1つの第3の軸方向領域223における第3の複数のスロット40Bであって、閉鎖スロット40Bとして構成される第3の複数のスロット40Bを備えることである。
【0058】
当然ながら、多様な変形及び改変が、本出願の範囲内で可能である。