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特許7527433バンドルおよび熱交換器並びに排煙処理装置、バンドルの改修方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】バンドルおよび熱交換器並びに排煙処理装置、バンドルの改修方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20240726BHJP
   F01N 3/02 20060101ALI20240726BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20240726BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20240726BHJP
   F28D 7/16 20060101ALI20240726BHJP
   F28F 9/04 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
F28F9/02 301Z
F01N3/02 101G
F01N3/02 201
F01N3/08 Z
F01N3/24 L
F28D7/16 D
F28F9/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023062936
(22)【出願日】2023-04-07
【審査請求日】2023-08-21
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】315016723
【氏名又は名称】三菱重工パワー環境ソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 輝
(72)【発明者】
【氏名】橋本 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 隆行
(72)【発明者】
【氏名】西山 安彦
(72)【発明者】
【氏名】荒若 宏人
(72)【発明者】
【氏名】徳重 信
(72)【発明者】
【氏名】田中 崇雄
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-011959(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0173072(US,A1)
【文献】特開2022-044949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/22
F28D 7/10
F01N 3/02
F01N 3/08
F01N 3/24
F28F 9/02
F28F 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガス通路に設けられて複数の第1伝熱管を有する第1バンドルと、
前記排ガス通路における前記第1バンドルより排ガスの流れ方向の上流側または下流側に設けられて複数の第2伝熱管を有する第2バンドルと、
前記第1伝熱管の一端部が連結され第1ヘッダと、
前記第2伝熱管の一端部が連結され第2ヘッダと、
前記第1伝熱管の他端部と前記第2伝熱管の他端部が連結された円筒形状の第3ヘッダと、
を備え、
前記第3ヘッダは、水平方向に対して前記第1伝熱管が連結する端部の第1角度と、水平方向に対して前記第2伝熱管が連結する端部の第2角度が相違し、
前記第1伝熱管の他端部に対向する第1位置に第1作業孔が設けられると共に、前記第1作業孔を開閉する第1プラグが設けられ、前記第2伝熱管の他端部に対向する第2位置に第2作業孔が設けられると共に、前記第2作業孔を開閉する第2プラグが設けられる、
バンドル。
【請求項2】
前記第1伝熱管と前記第2伝熱管のうち、前記第3ヘッダが設けられるバンドル側の伝熱管は、直線部に対して前記第3ヘッダに連結される端部が平行をなし、前記第3ヘッダが設けられないバンドル側の伝熱管は、直線部に対して前記第3ヘッダに連結される端部が傾斜する、
請求項1に記載のバンドル。
【請求項3】
前記第1バンドルおよび前記第2バンドルは、前記排ガス通路を構成するダクトケーシングの内部に配置され、前記第3ヘッダは、前記ダクトケーシングに固定され、前記第3ヘッダが設けられるバンドル側の伝熱管は、前記ダクトケーシングに対して前記第3ヘッダに連結される端部が直交をなし、前記第3ヘッダが設けられないバンドル側の伝熱管は、前記ダクトケーシングに対して前記第3ヘッダに連結される端部が鋭角または鈍角をなす、
請求項1または請求項2に記載のバンドル。
【請求項4】
前記第3ヘッダは、前記第1バンドルと前記第2バンドルのいずれか一方に設けられる、
請求項1に記載のバンドル。
【請求項5】
前記第3ヘッダは、前記第1伝熱管の端部が第1接続管を介して連結され、前記第2伝熱管の端部が第2接続管を介して連結され、前記第1バンドルと前記第2バンドルのいずれか一方の接続管の長さより、前記第1バンドルと前記第2バンドルのいずれか他方の接続管の長さが長い、
請求項1に記載のバンドル。
【請求項6】
前記第2伝熱管は、前記第1伝熱管より耐食性の高い材料により形成される、
請求項1に記載のバンドル。
【請求項7】
排ガス通路を構成するダクトケーシングと、
前記ダクトケーシングの内部に配置される請求項1に記載のバンドルと、
を備える熱交換器。
【請求項8】
排ガスの熱の一部を回収する熱回収装置と、
熱回収後の前記排ガスに含まれるばいじんを除去する集塵装置と、
集塵後の前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する脱硫装置と、
脱硫後の前記排ガスを再加熱する請求項7に記載の熱交換器が適用される再加熱装置と、
を備える排煙処理装置。
【請求項9】
請求項7に記載の熱交換器において、
前記第1伝熱管または前記第2伝熱管の損傷を検出するステップと、
前記第1作業孔または前記第2作業孔から損傷が検出された前記第1伝熱管の端部または前記第2伝熱管の端部を止栓するステップと、
を有するバンドルの改修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バンドル、熱交換器、排煙処理装置、バンドルの改修方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火力発電設備などに設けられる排煙処理装置は、熱回収装置と、電気集塵装置と、脱硫装置と、再加熱装置などから構成される。ボイラから排出される排ガスは、電気集塵装置により含有するばいじんが除去され、脱硫装置により含有する亜硫酸ガスが除去される。このとき、熱回収装置は、排ガスから熱を回収する。再加熱装置は、熱回収装置が回収した熱により脱硫後の排ガスを再加熱し、白煙の排出を抑制する。
【0003】
再加熱装置は、複数のバンドルから構成される。例えば、再加熱装置は、排ガスの流れ方向の上流側から下流画に向けて低温バンドルと高温バルドルが配置される。高温バンドルは、入口ヘッダと複数の伝熱管を有し、低温バルドルは、出口ヘッダと複数の伝熱管を有し、高温バンドルの各伝熱管と低温バルドルの各伝熱管は、複数の接続管により接続される。このような再加熱装置としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-071263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再加熱装置は、長期の使用により伝熱管が損傷して熱媒体(例えば、水)の漏洩が発生することがある。伝熱管が損傷すると、損傷した伝熱管の入口部と出口部を止栓して使用不能とする。しかし、使用不能となった伝熱管が増加すると、熱交換効率が低下することから、バンドルの交換が必要となる。このとき、バンドルが複数の加熱部(例えば、高温加熱部と低温加熱部)から構成されている場合、損傷した伝熱管の本数が多い加熱部を交換することがある。そして、バンドルの交換作業では、熱交換性能の高いバンドルに交換したいという要望がある。
【0006】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、熱交換性能の低下を抑制するバンドル、熱交換器、排煙処理装置、バンドルの改修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本開示のバンドルは、排ガス通路に設けられて複数の第1伝熱管を有する第1バンドルと、前記排ガス通路における前記高温バンドルより排ガスの流れ方向の上流側または下流側に設けられて複数の第2伝熱管を有する第2バンドルと、前記第1伝熱管の端部と前記第2伝熱管の端部が連結されヘッダと、を備え、前記ヘッダは、前記第1伝熱管の端部が連結する第1角度と前記第2伝熱管の端部が連結する第2角度が相違する。
【0008】
また、本開示の熱交換器は、排ガス通路を構成するダクトケーシングと、前記ダクトケーシングの内部に配置される前記バンドルと、を備える。
【0009】
また、本開示の排煙処理装置は、排ガスの熱の一部を回収する熱回収装置と、熱回収後の前記排ガスに含まれるばいじんを除去する集塵装置と、集塵後の前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する脱硫装置と、脱硫後の前記排ガスを再加熱する前記熱交換器が適用される再加熱装置と、を備える。
【0010】
また、本開示のバンドルの改修方法は、排ガス通路を構成するダクトケーシングの内部に複数の第1伝熱管を有する第1バンドルと複数の第2伝熱管を有する第2バンドルが排ガスの流れ方向に沿って配置され、前記複数の第1伝熱管の端部と前記複数の第2伝熱管の端部がヘッダに連結され、前記ヘッダに対して前記第1伝熱管の端部が連結する第1角度と前記第2伝熱管の端部が連結する第2角度が相違し、ヘッダにおける前記第1伝熱管の端部に対向する第1位置に第1作業孔が設けられると共に、前記第2伝熱管の端部に対向する第2位置に第2作業孔が設けられる熱交換器において、前記第1伝熱管または前記第2伝熱管の損傷を検出するステップと、前記第1作業孔または第2作業孔から損傷が検出された前記第1伝熱管の端部または前記第2伝熱管の端部を止栓するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本開示のバンドルおよび熱交換器並びに排煙処理装置、バンドルの改修方法によれば、熱交換性能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態の排煙処理装置を表す概略構成図である。
図2図2は、本実施形態の再加熱装置を表す概略構成図である。
図3図3は、従来の再加熱装置を表す斜視図である。
図4図4は、本実施形態の再加熱装置を表す斜視図である。
図5図5は、本実施形態の再加熱装置を表す斜視図である。
図6図6は、本実施形態の再加熱装置における平面図である。
図7図7は、本実施形態の再加熱装置における低温バンドルと高温バンドルの連結部を表す断面図である。
図8図8は、従来の再加熱器における低温バンドルと高温バンドルの連結部を表す断面図である。
図9図9は、本実施形態のバンドルの改修方法を表す断面図である。
図10図10は、本実施形態のバンドルの止栓方法を表す断面図である。
図11図11は、本実施形態の再加熱装置における低温バンドルと高温バンドルの連結部の変形例を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0014】
[排煙処理装置]
図1は、本実施形態の排煙処理装置を表す概略構成図である。
【0015】
図1に示すように、排煙処理装置100は、各種の発電プラントや工場などにて、ボイラ111から排出される排ガス(排煙)Gが煙突112から放出される過程で、排ガスGに含まれるばいじんや硫黄酸化物(SOx)を除去するものである。
【0016】
排煙処理装置100は、熱回収装置101と、電気集塵装置102と、送風装置(誘引通風機)103と、脱硫装置104と、再加熱装置105と、送風装置(脱硫通風機)106とを備える。送風装置103,106が駆動することで、ボイラ111から排出される排ガスGは、熱回収装置101、電気集塵装置102、脱硫装置104、再加熱装置105を通って煙突112に送られる。なお、熱回収装置101の上流側に脱硝装置を設けてもよい。
【0017】
ボイラ111は、2つの排ガス通路121a,121bが設けられる。排ガス通路121aは、熱回収装置101aと電気集塵装置102aと送風装置103aが設けられ、排ガス通路121bは、熱回収装置101bと電気集塵装置102bと送風装置103bが設けられる。2つの排ガス通路121a,121bは、下流側が排ガス通路121cに合流する。排ガス通路121cは、脱硫装置104と再加熱装置105が設けられる。排ガス通路121cは、下流側が2つの排ガス通路121d,121eに分岐する。排ガス通路121dは、送風装置106aが設けられ、排ガス通路121eは、送風装置106bが設けられる。2つの排ガス通路121d,121eは、下流側が排ガス通路121fに合流する。排ガス通路121fは、煙突112に連結される。また、排ガス通路121cにおける脱硫装置104の上流側と排ガス通路121fとを連結する排ガス通路121gが設けられる。排ガス通路121gは、開閉弁122が設けられる。
【0018】
熱回収装置101(101a,101b)は、ボイラ111から排出された排ガスG(約140℃)と熱媒体(水など)との間で熱交換することで、排ガスGから熱を回収する。熱回収装置101で熱回収された排ガスG(約90℃)は、電気集塵装置102(102a,102b)に導入される。電気集塵装置102は、排ガスGからばいじんを除去する。
【0019】
電気集塵装置102でばいじんが除去された排ガスGは、脱硫装置104に導入される。脱硫装置104は、石灰石(CaCO)により、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収除去し、副生成物として石膏(CaSO.2HO)を生成する。脱硫装置104は、ミストエリミネータ123を有する。ミストエリミネータ123は、脱硫後の排ガスGからミストを除去する。
【0020】
脱硫装置104により脱硫処理された排ガスG(約50℃)は、ガスガスヒータの再加熱装置105に導入される。再加熱装置105は、熱回収装置101との間で熱媒体を循環する過程で、熱回収装置101により回収された熱により排ガスGを再加熱する。熱回収装置101と再加熱装置105とは、第1熱媒体循環ラインL11および第2熱媒体循環ラインL12により連結される。第1熱媒体循環ラインL11は、循環ポンプ131が設けられる。循環ポンプ131を駆動することで、再加熱装置105の熱媒体を第1熱媒体循環ラインL11により熱回収装置101に戻す。第2熱媒体循環ラインL12は、ヒータ132が設けられる。循環ポンプ131により熱回収装置101の熱媒体を第2熱媒体循環ラインL12により再加熱装置105に供給する。この過程で、必要に応じてヒータ132を作動することで、熱媒体を加熱する。
【0021】
排ガスGは、脱硫装置104で脱硫処理されることで温度が低下し、低温のままでは拡散しにくく白煙になるおそれがある。再加熱装置105は、拡散および白煙低減を目的として排ガスGを再加熱することで昇温(約90℃)させ、煙突112から大気に放出する。
【0022】
[再加熱装置の概略]
図2は、本実施形態の再加熱装置を表す概略構成図である。本実施形態では、バンドルおよび熱交換器を、上述した排煙処理装置100における再加熱装置105に適用して説明する。
【0023】
図2に示すように、再加熱装置105は、完全向流方式の熱交換器である。但し、再加熱装置105は、高温予熱向流方式、高温予熱並流方式、中温予熱方式などの他の方式の熱交換器であってもよい。
【0024】
再加熱装置105は、高温加熱部11と、低温加熱部12とを有する。但し、再加熱装置105は、3つ以上の加熱部を有するものであってもよい。高温加熱部11と低温加熱部12は、排ガス通路(ガスパス)121cに配置される。高温加熱部11と低温加熱部12は、排ガスGの流れ方向の下流側から上流側に向けて順に配置される。すなわち、高温加熱部11は、排ガスGの流れ方向の最下流側に位置し、低温加熱部12は、排ガスGの流れ方向の最上流側に位置する。
【0025】
高温加熱部11は、複数の第1伝熱管21を有する。複数の第1伝熱管21は、排ガス通路121cに排ガスGの流れ方向に交差する方向に沿って配置される。複数の第1伝熱管21は、一端部に入口ヘッダ22が連結される。入口ヘッダ22は、排ガスGの流れ方向の最下流側で、複数の第1伝熱管21を流れる熱媒体の流れ方向の最上流側に配置される。
【0026】
低温加熱部12は、複数の第2伝熱管31を有する。複数の第2伝熱管31は、排ガス通路121cに排ガスGの流れ方向に交差する方向に沿って配置される。複数の第2伝熱管31は、一端部に出口ヘッダ32が連結される。出口ヘッダ32は、排ガスGの流れ方向の最上流側で、複数の第2伝熱管31を流れる熱媒体の流れ方向の最下流側に配置される。
【0027】
高温加熱部11は、連結ヘッダ41を有する。連結ヘッダ41は、複数の第1伝熱管21の他端部が連結される。連結ヘッダ41は、低温加熱部12における複数の第2伝熱管31の他端部が複数の接続管42により連結される。そして、第2熱媒体循環ラインL12は、流れ方向の上流側の端部が熱回収装置101(図1参照)に接続され、下流側の端部が高温加熱部11の入口ヘッダ22に接続される。第1熱媒体循環ラインL11は、下流側の端部が熱回収装置101(図1参照)に接続され、上流側の端部が低温加熱部12の出口ヘッダ32に接続される。
【0028】
第1熱媒体循環ラインL11は、循環ポンプ131とドレンタンク133が設けられ、第2熱媒体循環ラインL12は、ヒータ132が設けられる。そして、蒸気供給源(図示略)からヒータ132、ドレンタンク133に対して蒸気ラインL13が設けられ、ドレンタンク133に蒸気ドレンラインL14が設けられる。そして、蒸気ラインL13は、開閉弁134が設けられる。
【0029】
そのため、熱回収された高温の熱媒体は、第2熱媒体循環ラインL12から高温加熱部11の入口ヘッダ22に供給される。入口ヘッダ22に供給された熱媒体は、複数の第1伝熱管21を通って連結ヘッダ41に流れる。このとき、第1伝熱管21を流れる熱媒体は、排ガスGを高温加熱する。連結ヘッダ41に流れた熱媒体は、複数の接続管42と複数の第2伝熱管31を通って出口ヘッダ32に流れる。このとき、第2伝熱管31を流れる熱媒体は、排ガスGを低温加熱する。出口ヘッダ32に流れた熱媒体は、第1熱媒体循環ラインL11に排出される。
【0030】
[再加熱装置の全体構成]
図3は、従来の再加熱装置を表す斜視図、図4は、本実施形態の再加熱装置を表す斜視図、図5は、本実施形態の再加熱装置を表す斜視図である。
【0031】
図3に示すように、従来の再加熱装置105Aは、高温加熱部11Aと、低温加熱部12とを有する。高温加熱部11Aは、複数の第1伝熱管21を有し、低温加熱部12は、複数の第2伝熱管31を有する。複数の第1伝熱管21は、一端部に入口ヘッダ22が連結される。複数の第2伝熱管31は、一端部に出口ヘッダ32が連結される。そして、複数の第1伝熱管21の他端部と複数の第2伝熱管31の他端部が複数の接続管42Aにより連結される。
【0032】
そのため、排ガスGは、低温加熱部12から高温加熱部11Aに流れる。熱媒体は、高温加熱部11Aの入口ヘッダ22に供給され、複数の第1伝熱管21を通って排ガスGを高温加熱する。複数の第1伝熱管21の熱媒体は、複数の接続管42Aから複数の第2伝熱管31を通って排ガスGを低温加熱し、出口ヘッダ32に流れる。
【0033】
従来の再加熱装置105Aは、長期の使用により、高温加熱部11Aの第1伝熱管21や低温加熱部12の第2伝熱管31が損傷し、熱媒体の漏洩が発生することがある。例えば、高温加熱部11Aの第1伝熱管21が損傷すると、損傷した第1伝熱管21の入口部と出口部を止栓して使用不能とする。しかし、使用不能となった第1伝熱管21の本数が増加すると熱交換効率が低下することから、高温加熱部11Aの交換が必要となる。
【0034】
図3および図4に示すように、本実施形態の再加熱装置105は、従来の再加熱装置105Aの高温加熱部11Aを新しい高温加熱部11に交換して改修されたものである。本実施形態の再加熱装置105は、前述したように、高温加熱部11と、低温加熱部12とを有する。高温加熱部11は、複数の第1伝熱管21を有し、低温加熱部12は、複数の第2伝熱管31を有する。複数の第1伝熱管21は、一端部に入口ヘッダ22が連結され、他端部に連結ヘッダ41が連結される。複数の第2伝熱管31は、一端部に出口ヘッダ32が連結される。そして、連結ヘッダ41と複数の第2伝熱管31の他端部が複数の接続管42により連結される。
【0035】
なお、再加熱装置105にて、今度は、低温加熱部12の第2伝熱管31が損傷して交換が必要になると、図4および図5に示すように、再加熱装置105の低温加熱部12を新しい低温加熱部12Bに交換して改修し、新しい再加熱装置105Bとする。再加熱装置105Bは、高温加熱部11と、低温加熱部12Bとを有する。高温加熱部11は、複数の第1伝熱管21を有し、低温加熱部12Bは、複数の第2伝熱管31を有する。複数の第1伝熱管21は、一端部に入口ヘッダ22が連結され、他端部に連結ヘッダ41が連結される。複数の第2伝熱管31は、一端部に出口ヘッダ32が連結され、他端部に連結ヘッダ43が連結される。そして、連結ヘッダ41と連結ヘッダ43が1本の接続管44により連結される。
【0036】
[再加熱装置の構成]
図6は、本実施形態の再加熱装置における平面図、図7は、本実施形態の再加熱装置における低温バンドルと高温バンドルの連結部を表す断面図である。
【0037】
図6に示すように、再加熱装置105は、高温加熱部11と、低温加熱部12とを有する。高温加熱部11は、高温バンドル(第1バンドル)51を有し、高温加熱部11は、低温バンドル(第2バンドル)52を有する。排ガス通路121cは、ダクトケーシング60により区画される。ダクトケーシング60は、水平方向に沿った矩形の筒形状をなし、内部に排ガス通路121cが区画され、排ガスGが水平方向に沿って流れる。
【0038】
高温バンドル51と低温バンドル52は、ダクトケーシング60の内部に配置され、側壁部60aに連結されて支持される。高温バンドル51と低温バンドル52は、ダクトケーシング60の内部に排ガスGの流れ方向の下流側から上流側に向けて間隔を空けて配置される。
【0039】
高温バンドル51は、入口ヘッダ22と連結ヘッダ41がダクトケーシング60の側壁部60aに固定されて支持される。複数の第1伝熱管21は、水平方向に沿って配置される。入口ヘッダ22は、複数の第1伝熱管21の一端部が連結され、連結ヘッダ41は、複数の第1伝熱管21の他端部が連結される。入口ヘッダ22および連結ヘッダ41は、径方向のおける水平方向の一方側(図6の右方側)が排ガス通路121cに位置し、径方向のおける水平方向の他方側(図6の左方側)が排ガス通路121cの外側に位置する。複数の第1伝熱管21は、排ガス通路121cに位置する。高温バンドル51は、外側に高温ケーシング53が配置される。高温ケーシング53は、複数の第1伝熱管21を取り囲むように水平方向に沿って配置され、長手方向の端部が入口ヘッダ22に連結されると共に、ダクトケーシング60の内面に支持される。高温ケーシング53は、排ガスGの流れ方向の上流側と下流側が開口する。
【0040】
低温バンドル52は、出口ヘッダ32がダクトケーシング60の側壁部60aに固定されて支持される。複数の第2伝熱管31は、水平方向に沿って配置される。出口ヘッダ32は、複数の第2伝熱管31の一端部が連結される。出口ヘッダ32は、径方向のおける水平方向の一方側(図6の右方側)が排ガス通路121cに位置し、径方向のおける水平方向の他方側(図6の左方側)が排ガス通路121cの外側に位置する。複数の第2伝熱管31は、排ガス通路121cに位置する。低温バンドル52は、外側に低温ケーシング54が配置される。低温ケーシング54は、複数の第2伝熱管31を取り囲むように水平方向に沿って配置され、長手方向の端部が出口ヘッダ32に連結されると共に、ダクトケーシング60の内面に支持される。低温ケーシング54は、排ガスGの流れ方向の上流側と下流側が開口する。
【0041】
高温バンドル51にて、入口ヘッダ22は、側部に連結フランジ24を有するフランジ接手25が固定される。フランジ接手25は、円筒形状をなし、入口ヘッダ22の内部に連通する。フランジ接手25は、入口ヘッダ22における長手方向の一端部に配置される。
【0042】
第1伝熱管21は、複数の直線部21aと、複数の第1湾曲部21bと、複数の第2湾曲部21cとを有する。複数の直線部21aは、素管の周囲に螺旋形状をなすフィンが固定されて構成される。複数の第1湾曲部21bと複数の第2湾曲部21cは、素管だけで構成され、フィンが設けられていない。複数の直線部21aは、隣接するもの同士の一端部が第1湾曲部21bにより連結され、隣接するもの同士の他端部が第2湾曲部21cにより連結される。第1伝熱管21は、排ガスGの流れ方向の下流側の直線部21aの一端部が入口ヘッダ22に連結され、排ガスGの流れ方向の上流側の直線部21aの一端部が連結ヘッダ41に連結される。1つの第1伝熱管21は、直線部21aと第1湾曲部21bと第2湾曲部21cが排ガスGの流れ方向である水平方向に間隔を空けて配置される。複数の第1伝熱管21は、排ガスGの流れ方向に直交する鉛直方向に間隔を空けて配置されることで、第1伝熱管群を構成する。
【0043】
低温バンドル52にて、出口ヘッダ32は、側部に連結フランジ34を有するフランジ接手35が固定される。フランジ接手35は、円筒形状をなし、出口ヘッダ32の内部に連通する。フランジ接手35は、出口ヘッダ32における長手方向の一端部に配置される。
【0044】
第2伝熱管31は、複数の直線部31aと、複数の第1湾曲部31bと、複数の第2湾曲部31cとを有する。複数の直線部31aは、素管の周囲に螺旋形状をなすフィンが固定されて構成される。複数の第1湾曲部31bと複数の第2湾曲部31cは、素管だけで構成され、フィンが設けられていない。複数の直線部31aは、隣接するもの同士の一端部が第1湾曲部31bにより連結され、隣接するもの同士の他端部が第2湾曲部31cにより連結される。第2伝熱管31は、排ガスGの流れ方向の上流側の直線部31aの一端部が出口ヘッダ32に連結され、排ガスGの流れ方向の下流側の直線部31aの一端部が接続管42を介して高温バンドル51を構成する連結ヘッダ41に連結される。1つの第2伝熱管31は、直線部31aと第1湾曲部31bと第2湾曲部31cが排ガスGの流れ方向である水平方向に間隔を空けて配置される。複数の第2伝熱管31は、排ガスGの流れ方向に直交する鉛直方向に間隔を空けて配置されることで、第2伝熱管群を構成する。
【0045】
第2熱媒体循環ラインL12は、配管により構成され、端部にフランジ接手を有する。第2熱媒体循環ラインL12は、配管のフランジ接手が高温バンドル51における入口ヘッダ22のフランジ接手25に連結される。第1熱媒体循環ラインL11は、配管により構成され、端部にフランジ接手を有する。第1熱媒体循環ラインL11は、配管のフランジ接手が低温バンドル52における出口ヘッダ32のフランジ接手35に連結される。
【0046】
図7に示すように、連結ヘッダ41は、円筒形状をなし、ダクトケーシング60の側壁部60aに固定される。連結ヘッダ41は、水平方向の一方側がダクトケーシング60の内部の排ガス通路121cに位置し、水平方向の他方側がダクトケーシング60の外部に位置する。連結ヘッダ41は、高温バンドル51に配置される。そして、連結ヘッダ41は、ダクトケーシング60の内部(排ガス通路121c)で、高温バンドル51の第1伝熱管21の端部と、低温バンドル52の第2伝熱管31の端部が連結される。
【0047】
連結ヘッダ41は、高温バンドル51の第1伝熱管21における排ガスGの流れ方向の最上流側に位置する直線部21aの長手方向に一方側に配置される。第1伝熱管21における直線部21aの端部は、接続管(第1接続管)45を介して連結ヘッダ41に連結される。但し、第1伝熱管21における直線部21aの端部を接続管として用い、直接連結ヘッダ41に連結してもよい。低温バンドル52の第2伝熱管31における排ガスGの流れ方向の最下流側に位置する直線部31aは、接続管(第2接続管)42を介して連結ヘッダ41に連結される。ここで、接続管(第2接続管)42の全長は、接続管(第1接続管)45の全長より長い。この場合、接続管42の全長は、直線部31aの端部31dと連結ヘッダ41の連結部との間の管中心位置での長さであり、接続管45の全長は、直線部21aの端部21dと連結ヘッダ41の連結部との間の管中心位置での長さである。
【0048】
接続管45は、水平方向に沿って配置され、連結ヘッダ41に連結される。接続管45は、水平方向に対する連結ヘッダ41への連結角度が0度である。接続管42は、低温バンドル52から延出され、連結ヘッダ41に連結される。接続管42は、水平部42aと、第1湾曲部42bと、第1鉛直部42cと、第2鉛直部42dと、第2湾曲部42eと、傾斜部42fとを有する。ここで、水平部42aと第1湾曲部42bと第1鉛直部42cは、改修前の接続管42A(図3参照)の一部であり、第2鉛直部42dと第2湾曲部42eと傾斜部42fは、接続管42Aに追加される改修後の接続管42の一部である。接続管42は、傾斜部42fが連結ヘッダ41に連結される。接続管42の傾斜部42fは、水平方向に対する連結ヘッダ41への連結角度αが、例えば、30度~70度の範囲である。
【0049】
すなわち、連結ヘッダ41は、第1伝熱管21の端部が連結する第1角度と、第2伝熱管31の端部が連結する第2角度が相違する。第1伝熱管21は、直線部21aに対して連結ヘッダ41に連結される端部、つまり、接続管45が平行をなし、第2伝熱管31は、直線部31a(第1伝熱管21の直線部21a)に対して連結ヘッダ41に連結される端部、つまり、接続管42の傾斜部42fが傾斜する。そのため、第1伝熱管21の接続管45は、ダクトケーシング60の側壁部60aに対して直交をなし、第2伝熱管31の接続管42は、ダクトケーシング60の側壁部60aに対して傾斜部42fが鋭角(または鈍角)をなす。
【0050】
なお、水平方向に対する連結ヘッダ41への接続管45の連結角度を0度とし、水平方向に対する連結ヘッダ41への接続管42の連結角度を30度~70度の範囲としたが、この角度に限定されるものではない。水平方向に対する連結ヘッダ41への接続管45の連結角度は、0度に近いものであればよく、また、水平方向に対する連結ヘッダ41への接続管42の連結角度は、0度や90度でなければ、0度~70度の範囲を超えてもよい。
【0051】
連結ヘッダ41は、排ガス通路121c側に接続管42の連結部71と接続管45の連結部72が配置される。また、連結ヘッダ41は、排ガス通路121cの外側に連結部71に対向する第1作業孔73と連結部72に対向する第2作業孔74が設けられる。連結ヘッダ41は、長手方向に複数の接続管42と複数の接続管45が間隔を空けて連結されることから、第1作業孔73と第2作業孔74も、連結ヘッダ41の長手方向に間隔を空けて複数設けられる。そして、第1作業孔73と第2作業孔74は、それぞれ外部から複数の第1プラグ75と第2プラグ76が装着される。複数のプラグ75,76は、複数の作業孔73,74に対して、例えば、ねじにより着脱自在である。
【0052】
そのため、作業者は、連結ヘッダ41の作業孔73,74からプラグ75,76を取り外すことで、作業孔73,74を開放することができる。作業孔73,74の開放状態で、作業者は、補修治具(図示略)を用いて作業孔73,74から接続管42,45の連結部71,72にアクセスし、止栓することができる。
【0053】
なお、連結ヘッダ41は、接続管42,45(伝熱管21,31)の端部(連結部71,72)が連結され、作業孔73,74が形成され、作業孔73,74にプラグ75,76が装着される。図示しないが、高温バンドル51の入口ヘッダ22は、第1伝熱管21の端部が連結され、作業孔が形成され、作業孔にプラグが装着される。また、低温バンドル52の出口ヘッダ32は、第2伝熱管31の端部が連結され、作業孔が形成され、作業孔にプラグが装着される。
【0054】
高温加熱部11を構成する高温バンドル51の第1伝熱管21と、低温加熱部12を構成する低温バンドル52の第2伝熱管31は、フィンが設けられているフィンチューブである。高温加熱部11と低温加熱部12は、温度や腐食環境が相違することから、素管やフィンの材質を異ならせている。低温加熱部12は、最も腐食環境の悪い位置に配置されることから、第2伝熱管31は、高温加熱部11の第1伝熱管21より耐食性の高い材料により形成される。
【0055】
低温加熱部12(低温バンドル52)は、排ガスGが最初に流入することから、腐食環境が最も悪い。第2伝熱管31は、材料を上流側と下流側とで異ならせている。上流側の第2伝熱管31は、直線部31aの素管を耐硫酸鋼として、例えば、CR1-Aにより形成し、フィンを炭素鋼として、例えば、S-TENにより形成する。また、下流側の第2伝熱管31は、直線部31aの素管を炭素鋼として、例えば、STB340により形成し、フィンを冷間圧延鋼板として、例えば、SPCCにより形成する。一方、高温加熱部11(高温バンドル51)は、排ガスGが最後に流入することから、腐食環境があまり悪くない。そのため、第1伝熱管21は、直線部21aの素管を、炭素鋼として、例えば、STB340により形成し、フィンを冷間圧延鋼板として、例えば、SPCCにより形成する。
【0056】
[再加熱装置の作動]
図1および図2に示すように、熱回収装置101(101a,101b)は、排ガスGと熱媒体との間で熱交換することで、排ガスGから熱を回収する。熱が回収された排ガスGは、電気集塵装置102および脱硫装置104を通って再加熱装置105に流れる。一方、熱を回収した熱媒体は、第2熱媒体循環ラインL12により再加熱装置105に送られる。
【0057】
熱媒体は、第2熱媒体循環ラインL12から高温加熱部11に供給され、入口ヘッダ22から複数の第1伝熱管21に流れる。高温加熱部11は、熱媒体が複数の第1伝熱管21を流れるとき、熱媒体と排ガス通路121cを流れる排ガスGとの間で熱交換することで、排ガスGを加熱する。
【0058】
高温加熱部11で加熱された熱媒体は、連結ヘッダ41から接続管42を通って低温加熱部12に供給され、複数の第2伝熱管31に流れる。低温加熱部12は、熱媒体が複数の第2伝熱管31を流れるとき、熱媒体と排ガス通路121cを流れる排ガスGとの間で熱交換することで、排ガスGを加熱する。低温加熱部12で加熱した熱媒体は、出口ヘッダ32から第1熱媒体循環ラインL11に排出され、第1熱媒体循環ラインL11により熱回収装置101に送られる。
【0059】
[バンドルの改修方法]
図8は、従来の再加熱器における低温バンドルと高温バンドルの連結部を表す断面図、図9は、本実施形態のバンドルの改修方法を表す断面図である。
【0060】
本実施形態バンドルの改修方法は、従来の再加熱装置105Aの高温加熱部11A(高温バンドル51A)を新しい高温加熱部11(高温バンドル51)に交換することで改修し、新しい再加熱装置105を製造する。
【0061】
図8に示すように、まず、従来の再加熱装置105Aにて、高温加熱部11A(高温バンドル51A)の第1伝熱管21における排ガスGの流れ方向の最上流側に位置する直線部21aの一方側に対向するダクトケーシング60の側壁部60aの要部60bを切断する。すなわち、ダクトケーシング60の側壁部60aにて、直線部21aの一方側に対向する要部60bを切断線C1,C2などを用いて矩形状に切断し、作業開口部を形成する。次に、作業開口部を用いて、第1伝熱管21における排ガスGの流れ方向の最上流側に位置する直線部21aに接続される接続管42Aの要部42Aaを、切断線C3,C4を用いて切断し、高温加熱部11(高温バンドル51)と低温加熱部12(低温バンドル52)を切り離す。
【0062】
そして、ダクトケーシング60に対する高温加熱部11(高温バンドル51)の支持を解除し、交換の必要な高温加熱部11A(高温バンドル51A)を図示しないダクトケーシング60の開口部から外部に搬出する。交換の必要な高温加熱部11A(高温バンドル51A)がダクトケーシング60から搬出されると、新しい高温加熱部11(高温バンドル51)をダクトケーシング60の開口部から内部に搬入する。このとき、図9に示すように、新しい高温加熱部11(高温バンドル51)は、複数の第1伝熱管21の端部に接続管45を介して連結ヘッダ41が接続されている。すなわち、連結ヘッダ41は、複数の連結孔77,78が形成されると共に、複数の作業孔73,74が形成され、複数の第1伝熱管21は、各端部に接続管45の一端部が連結され、接続管45の他端部が連結ヘッダ41の連結孔78に連結されている。なお、ここで、作業孔73,74にプラグ75,76が装着されていてもよい。
【0063】
低温バンドル52は、複数の第2伝熱管31の端部に既設の接続管42Aを構成していた水平部42aと第1湾曲部42bと、第1鉛直部42cが残っている。そのため、接続管42を構成する残りの第2鉛直部42dと第2湾曲部42eと傾斜部42fからなる接続管を事前に製造しておく。そして、第1鉛直部42cと連結ヘッダ41との間に事前に製造した接続管(第2鉛直部42dと第2湾曲部42eと傾斜部42f)を溶接により固定することで接続管42を形成し、低温加熱部12(低温バンドル52)の第2伝熱管31の端部と連結ヘッダ41とを接続する。そして、溶接によりダクトケーシング60の作業開口部に蓋を固定して閉塞する。
【0064】
[バンドルの止栓方法]
図10は、本実施形態のバンドルの止栓方法を表す断面図である。
【0065】
図6に示すように、再加熱装置105は、高温加熱部11(高温バンドル51)と低温加熱部12(低温バンドル52)とを有し、複数の第1伝熱管21の端部と複数の第2伝熱管31の端部が連結ヘッダ41により連結される。第1伝熱管21や第2伝熱管31は、排ガスGが接触するため、長期の使用により腐食して損傷し、熱媒体の漏洩が発生することがある。そのため、例えば、再加熱装置105の運転を停止した定期検査時に、複数の伝熱管21,31のリーク検査を実施する。
【0066】
第1伝熱管21や第2伝熱管31は、リーク検査によりリークがあると判断されると、リークが発生した伝熱管に対して、所定の領域を隔離して使用不能とする。例えば、図10に示すように、第1伝熱管21の一部にリークが発生すると、リークがある第1伝熱管21に対して、作業者は、図示しない工具を用いて連結ヘッダ41の作業孔74から第1伝熱管21の一方の連結部72に止栓81を固定すると共に、入口ヘッダ22の作業孔から第1伝熱管21の他方の連結部に止栓を固定する。
【0067】
なお、第2伝熱管31の一部にリークが発生すると、リークがある第2伝熱管31に対して、作業者は、図示しない工具を用いて連結ヘッダ41の作業孔73から第2伝熱管31の一方の連結部71に止栓を固定すると共に、出口ヘッダ32の作業孔から第2伝熱管31の他方の連結部に止栓を固定する。
【0068】
[変形例]
図11は、本実施形態の再加熱装置における低温バンドルと高温バンドルの連結部の変形例を表す断面図である。
【0069】
図7に示すように、連結ヘッダ41は、接続管42により第2伝熱管31の端部に連結されると共に、接続管45により第1伝熱管21の端部に連結される。そして、接続管42は、水平部42aと、第1湾曲部42bと、第1鉛直部42cと、第2鉛直部42dと、第2湾曲部42eと、傾斜部42fとを有する。但し、接続管42は、このような構成に限定されるものではない。
【0070】
図11に示すように、接続管42Aは、水平部42aと、第1湾曲部42bと、第1鉛直部42cと、第2鉛直部42dと、第3湾曲部42gと、第4湾曲部42hと、傾斜部42fとを有する。接続管42Aは、ダクトケーシング60の側壁部60aから離間する方向に湾曲する第3湾曲部42gを設けている。この場合、第2伝熱管31の端部とダクトケーシング60の側壁部60aの距離が短い構成であるときに有用である。
【0071】
また、図7に示すように、水平方向に対する連結ヘッダ41への接続管45の連結角度を0度とし、水平方向に対する連結ヘッダ41への接続管42の連結角度を30度~70度の範囲としたが、この角度に限定されるものではない。例えば、連結ヘッダ41と第1伝熱管21の直線部21aとの鉛直方向の位置がずれていた場合、接続管45に傾斜部42fのような傾斜部を設けることで、水平方向に対する連結ヘッダ41への接続管45の連結角度を0度~70度の範囲としてもよい。
【0072】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係るバンドルは、排ガス通路121cに設けられて複数の第1伝熱管21を有する高温バンドル(第1バンドル)51と、排ガス通路121cにおける高温バンドル51より排ガスGの流れ方向の上流側(または下流側)に設けられて複数の第2伝熱管31を有する低温バンドル(第2バンドル)52と、第1伝熱管21の端部と第2伝熱管31の端部が連結され連結ヘッダ41と、を備え、連結ヘッダ41は、第1伝熱管21の端部が連結する第1角度と第2伝熱管31の端部が連結する第2角度が相違する。
【0073】
第1の態様に係るバンドルによれば、このとき、連結ヘッダ41に対して第1伝熱管21の端部と第2伝熱管31の端部を効率良く連結することができ、製造コストの増加を抑制することができる。そして、第1伝熱管21と第2伝熱管31の間に連結ヘッダ41が位置することとなり、第1伝熱管21と第2伝熱管31のいずれか一方が損傷した場合、損傷した伝熱管だけを止栓して使用不能とすることができ、熱交換性能の低下を抑制することができる。
【0074】
第2の態様に係るバンドルは、第1の態様に係るバンドルであって、さらに、第1伝熱管21と第2伝熱管31のうち、連結ヘッダ41が設けられるバンドル(高温バンドル51)側の伝熱管(第1伝熱管21)は、直線部21aに対して連結ヘッダ41に連結される端部が平行をなし、連結ヘッダ41が設けられないバンドル(低温バンドル52)側の伝熱管(第2伝熱管31)は、直線部31aに対して連結ヘッダ41に連結される端部が傾斜する。これにより、連結ヘッダ41に対して第1伝熱管21の端部と第2伝熱管31の端部を効率良く連結することができる。
【0075】
第3の態様に係るバンドルは、第1の態様または第2態様に係るバンドルであって、さらに、高温バンドル51および低温バンドル52は、排ガス通路121cを構成するダクトケーシング60の内部に配置され、連結ヘッダ41は、ダクトケーシング60に固定され、連結ヘッダ41が設けられるバンドル側の伝熱管(第1伝熱管21)は、ダクトケーシング60に対して連結ヘッダに連結される端部が直交をなし、連結ヘッダ41が設けられないバンドル側の伝熱管(第2伝熱管31)は、ダクトケーシング60に対して連結ヘッダ41に連結される端部が鋭角または鈍角をなす。これにより、連結ヘッダ41に対して第1伝熱管21の端部と第2伝熱管31の端部を効率良く連結することができる。
【0076】
第4の態様に係るバンドルは、第1の態様から第3の態様のいずれか一つに係るバンドルであって、さらに、連結ヘッダ41は、高温バンドル51と低温バンドル52のいずれか一方に設けられる。これにより、第1伝熱管21と第2伝熱管31の間に連結ヘッダ41が位置することとなり、第1伝熱管21と第2伝熱管31のいずれか一方が損傷した場合、損傷した伝熱管だけを止栓して使用不能とすることができ、熱交換性能の低下を抑制することができる。
【0077】
第5の態様に係るバンドルは、第1の態様から第4の態様のいずれか一つに係るバンドルであって、さらに、連結ヘッダ41は、第1伝熱管21の端部が接続管(第1接続管)45を介して連結され、第2伝熱管31の端部が接続管(第2接続管)42を介して連結され、接続管45の長さより接続管42の長さが長い。これにより、接続管42,45の長さを異ならせることで、連結ヘッダ41を高温バンドル51と低温バンドル52の一方に設けることができ、バンドル交換作業の簡素化を図ることができる。
【0078】
第6の態様に係るバンドルは、第1の態様から第5の態様のいずれか一つに係るバンドルであって、さらに、第2伝熱管31は、第1伝熱管21より耐食性の高い材料により形成される。これにより、耐久性と製造コストの両立を図ることができる。
【0079】
第7の態様に係るバンドルは、第1の態様から第6の態様のいずれか一つに係るバンドルであって、さらに、連結ヘッダ41は、第1伝熱管21の端部に対向する第1位置に作業孔(第1作業孔)74が設けられると共に、作業孔を開閉するプラグ(第1プラグ)76が設けられ、第2伝熱管31の端部に対向する第2位置に作業孔(第2作業孔)73が設けられると共に、作業孔73を開閉するプラグ(第2プラグ)75が設けられる。これにより、1つの連結ヘッダ41を用いて第1伝熱管21の端部の止栓と第2伝熱管31の端部の止栓を行うことができる。
【0080】
第8の態様に係る熱交換器は、排ガス通路121cを構成するダクトケーシング60と、ダクトケーシングの内部に配置される高温バンドル51および低温バンドル52とを備える。これにより、連結ヘッダ41に対して第1伝熱管21の端部と第2伝熱管31の端部を効率良く連結することができ、製造コストの増加を抑制することができる。
【0081】
第9の態様に係る排煙処理装置は、排ガスGの熱の一部を回収する熱回収装置101と、熱回収後の排ガスGに含まれるばいじんを除去する電気集塵装置102と、集塵後の排ガスGに含まれる硫黄酸化物を除去する脱硫装置104と、脱硫後の排ガスGを再加熱する再加熱装置105とを備える。これにより、再加熱装置105にて、連結ヘッダ41に対して第1伝熱管21の端部と第2伝熱管31の端部を効率良く連結することができ、製造コストの増加を抑制することができる。そして、第1伝熱管21と第2伝熱管31の間に連結ヘッダ41が位置することとなり、第1伝熱管21と第2伝熱管31のいずれか一方が損傷した場合、損傷した伝熱管だけを止栓して使用不能とすることができ、熱交換性能の低下を抑制することができる。
【0082】
第10の態様に係るバンドルの改修方法は、第1伝熱管21または第2伝熱管31の損傷を検出するステップと、作業孔(第1作業孔)74または作業孔(第2作業孔)73から損傷が検出された第1伝熱管21の端部または第2伝熱管31の端部を止栓するステップと、を有する。これにより、第1伝熱管21と第2伝熱管31のいずれか一方が損傷した場合、損傷した伝熱管だけを止栓して使用不能とすることができ、熱交換性能の低下を抑制することができる。
【0083】
なお、上述した実施形態にて、再加熱装置105は、高温加熱部11と低温加熱部12を備える。但し、再加熱装置105は、高温加熱部11と低温加熱部12に加えて中温加熱部や高予熱部を備えていてもよく、この場合、中温加熱部や高予熱部に対応したバンドルが設けられる。また、第1伝熱管21と第2伝熱管31の長さや本数は、使用形態に応じて適宜設定すればよいものである。
【0084】
また、上述した実施形態では、高温バンドル51を交換する構成で、高温バンドル51に連結ヘッダ41を設けるものとしたが、低温バンドル52を交換する構成で、低温バンドル52に連結ヘッダ41を設けるものとしてもよい。
【0085】
また、上述した実施形態では、本発明の熱交換器を排煙処理装置100の再加熱装置105に適用して説明したが、別の熱交換器に適用してもよい。
【符号の説明】
【0086】
11 高温加熱部
12 低温加熱部
21 第1伝熱管
22 入口ヘッダ
31 第2伝熱管
32 出口ヘッダ
41 連結ヘッダ(ヘッダ)
42,42A 接続管(第2接続管)
43 連結ヘッダ
44 接続管
45 接続管(第1接続管)
51 高温バンドル(第1バンドル)
52 低温バンドル(第2バンドル)
53 高温ケーシング(高温バンドルケーシング)
54 低温ケーシング(低温バンドルケーシング)
60 ダクトケーシング
71,72 連結部
73,74 作業孔
75,76 プラグ
100 排煙処理装置
101,101a,101b 熱回収装置
102,102a,102b 電気集塵装置
103,103a,103b 送風装置
104 脱硫装置
105 再加熱装置
106,106a,106b 送風装置
111 ボイラ
112 煙突
121a,121b,121c,121d,121e,121f,121g 排ガス通路
122 開閉弁
123 ミストエリミネータ
131 循環ポンプ
132 ヒータ
133 ドレンタンク
134 開閉弁
L11 第1熱媒体循環ライン
L12 第2熱媒体循環ライン
L13 蒸気ライン
L14 蒸気ドレンライン
G 排ガス
【要約】
【課題】バンドルおよび熱交換器並びに排煙処理装置、バンドルの改修方法において、熱交換性能の低下を抑制する。
【解決手段】排ガス通路に設けられて複数の第1伝熱管を有する高温バンドルと、排ガス通路における高温バンドルより排ガスの流れ方向の上流側に設けられて複数の第2伝熱管を有する低温バンドルと、第1伝熱管の端部と第2伝熱管の端部が連結されヘッダと、を備え、ヘッダは、第1伝熱管の端部が連結する第1角度と第2伝熱管の端部が連結する第2角度が相違する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11