(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】電池セル及びそれを含む電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/342 20210101AFI20240726BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20240726BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20240726BHJP
H01M 50/553 20210101ALI20240726BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20240726BHJP
H01M 50/186 20210101ALI20240726BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20240726BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20240726BHJP
H01M 50/131 20210101ALI20240726BHJP
H01M 50/117 20210101ALI20240726BHJP
H01M 50/14 20210101ALI20240726BHJP
【FI】
H01M50/342 101
H01M50/105
H01M50/178
H01M50/553
H01M50/531
H01M50/186
H01M50/184 C
H01M50/121
H01M50/131
H01M50/117
H01M50/14
(21)【出願番号】P 2023504613
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 KR2022005959
(87)【国際公開番号】W WO2022231277
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0053775
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】フン-ヒ・リム
(72)【発明者】
【氏名】サン-フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミン-ヒョン・カン
(72)【発明者】
【氏名】デ-ウォン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン-キュン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ス-ジ・ファン
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-530135(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0103236(KR,A)
【文献】国際公開第2009/113634(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/10-50/198
H01M50/30-50/392
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体が取り付けられる収納部、及び該収納部の外周辺が密封されて形成されるシーリング部を含む電池ケースと、
前記シーリング部に挿入され、前記シーリング部とともに融着されるガス排出部と、を含み、
前記ガス排出部は、第1層及び第2層
が積層されたフィルム状であり、
前記ガス排出部は、前記電池ケースの内側に向かって開放されており、
且つ前記電池ケースの外側に向かって開放されていない構造を有するように折り畳まれており、
前記第1層は前記ガス排出部の外面をなし、前記第1層と前記シーリング部とが互いに接している、電池セル。
【請求項2】
前記ガス排出部は、第1境界線を基準にして折り畳まれた構造を有しており、
前記第1境界線は、前記ガス排出部の幅方向に沿って延長されている、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記ガス排出部において、前記第1境界線を基準にして両端に位置した第1端部及び第2端部がそれぞれ、第2境界線を基準にして前記ガス排出部の内側に向かって折り畳まれている、請求項2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記第2境界線は、前記第1境界線と交差する対角方向である、請求項3に記載の電池セル。
【請求項5】
前記第1端部と前記第2端部とは、前記シーリング部の内側端部に隣接して位置している、請求項3に記載の電池セル。
【請求項6】
前記ガス排出部の中心部に形成された第3端部は、前記シーリング部の外側に突出している、請求項1から5のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項7】
前記第2境界線によって折り畳まれた前記ガス排出部の外側端部である第4端部は、前記シーリング部上に位置している、請求項4に記載の電池セル。
【請求項8】
前記電極組立体に含まれた電極タブと電気的に接続され、前記シーリング部を通って前記電池ケースの外側に突出している電極リードと、
前記電極リードの上部及び下部の少なくとも一方において、前記シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルムと、を含み、
前記シーリング部のうちの前記電極リードが位置していない辺に前記ガス排出部が位置している、請求項1に記載の電池セル。
【請求項9】
前記第1層は、ポリオレフィン系の材料、エポキシ、及びポリ塩化ビニルのうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の電池セル。
【請求項10】
前記第2層は、フッ素系の材料を含む、請求項1に記載の電池セル。
【請求項11】
前記ガス排出部は、前記第1層と前記第2層との間に位置する水分吸収層をさらに含む、請求項1に記載の電池セル。
【請求項12】
前記水分吸収層は、ゲッター材料を含む、請求項11に記載の電池セル。
【請求項13】
前記ゲッター材料は、酸化カルシウム、塩化リチウム、シリカ、酸化バリウム、バリウム、及びカルシウムのうちの少なくとも一つを含む、請求項12に記載の電池セル。
【請求項14】
前記ゲッター材料は、金属有機構造体の構造を有する、請求項12に記載の電池セル。
【請求項15】
請求項1に記載の電池セルを含む、電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年4月26日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0053775号に基礎した優先権を主張する。
【0002】
本発明は、電池セル及びそれを含む電池モジュールに関し、より具体的には、電池セルの内部で発生したガスの外部排出能を向上させながらも、電池セルの内部に流れ込む水分の浸透を抑制する電池セル、及びそれを含む電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発及び需要が増加するにつれ、エネルギー源としての二次電池の需要が急増している。特に、二次電池は、携帯電話、デジタルカメラ、ノートパソコン、ウェアラブルデバイスなどのモバイル機器だけでなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置のエネルギー源としても多くの関心を集めている。
【0004】
このような二次電池は、電池ケースの形状によって、電極組立体が円筒形または角形の金属缶に収納されている円筒形電池及び角形電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートからなるパウチ型ケースに収納されているパウチ型電池とに分けられる。ここで、電池ケースに収納される電極組立体は、正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に介在された分離膜を備え、充放電が可能な発電素子であって、活物質が塗布された長尺シート型の正極と負極との間に分離膜を介在して巻き取ったゼリーロール型と、複数の正極と負極とを、分離膜を介在した状態で順次に積層した積層型とに分けられる。
【0005】
中でも、特に積層型または積層/折畳み型電極組立体をアルミニウムラミネートシートからなるパウチ型電池ケースに収納した構造のパウチ型電池は、製造コストが低くて軽量であり、変形が容易であるなどの理由から使用量が次第に増加している。
【0006】
しかし、近年、電池セルのエネルギー密度の増加とともに、電池セルの内部で発生するガスの量も増加するという問題がある。特に、電池セルの内部で発生したガスが円滑に排出されない場合、電池セルにはガス発生によるベンティング現象が生じ得る。また、電池セルがガスを排出するための別途のベンティング部を含んでいる場合にも、該ベンティング部から水分が電池セルの内部へと浸透することがあり、それによる副反応によって電池セルの性能が低下し、さらなるガスの発生につながるおそれがある。そこで、電池セルの内部で発生したガスの外部排出能を向上させながらも、電池セル外部の水分が内部に浸透することを防止する電池セルに対する開発要求が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、電池セルの内部で発生したガスの外部排出能を向上させながらも、電池セルの内部に流れ込む水分の浸透を抑制する電池セル、及びそれを含む電池モジュールを提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上述した課題に制限されず、言及されていない課題は、本明細書及び添付される図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様による電池セルは、電極組立体が取り付けられる収納部、及び該収納部の外周辺が密封されて形成されるシーリング部を含む電池ケースと、前記シーリング部に挿入され、前記シーリング部とともに融着されるガス排出部と、を含み、前記ガス排出部は、第1層及び第2層を含み、第1境界線を基準にして折り畳まれた構造を有し、前記ガス排出部は、前記電池ケースの内側に向かって開放されており、前記第1層は前記ガス排出部の外面をなし、前記第1層と前記シーリング部とが互いに接する。
【0010】
前記第1境界線は、前記ガス排出部の幅方向に沿って延長され得る。
【0011】
前記ガス排出部において、前記第1境界線を基準にして両端に位置した第1端部及び第2端部がそれぞれ第2境界線を基準にして前記ガス排出部の内側に向かって折り畳まれ得る。
【0012】
前記第2境界線は、前記第1境界線と交差する対角方向であり得る。
【0013】
前記第1端部と前記第2端部とは、前記シーリング部の内側端部に隣接して位置し得る。
【0014】
前記ガス排出部の中心部に形成された第3端部は、前記シーリング部の外側に突出し得る。
【0015】
前記第2境界線によって折り畳まれた前記ガス排出部の外側端部である第4端部は、前記シーリング部上に位置し得る。
【0016】
前記電極組立体に含まれた電極タブと電気的に接続され、前記シーリング部を通って前記電池ケースの外側に突出している電極リードと、前記電極リードの上部及び下部の少なくとも一方において、前記シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルムと、を含み、前記シーリング部のうちの前記電極リードが位置していない辺に前記ガス排出部が位置し得る。
【0017】
前記第1層は、ポリオレフィン系の材料、エポキシ、及びポリ塩化ビニル(PVC)のうちの少なくとも一つを含み得る。
【0018】
前記第2層は、フッ素系の材料を含み得る。
【0019】
前記ガス排出部は、前記第1層と前記第2層との間に位置する水分吸収層をさらに含み得る。
【0020】
前記水分吸収層は、ゲッター(getter)材料を含み得る。
【0021】
前記ゲッター材料は、酸化カルシウム(CaO)、塩化リチウム(LiCl)、シリカ(SiO2)、酸化バリウム(BaO)、バリウム(Ba)、及びカルシウム(Ca)のうちの少なくとも一つを含み得る。
【0022】
前記ゲッター材料は、金属有機構造体(MOF:Metal Organic Framework)の構造を有し得る。
【0023】
本発明の他の一態様による電池モジュールは、上述した電池セルを含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明の実施形態によれば、多層構造を有し、所定の境界線を基準にして折り畳まれた構造のガス排出部を含む電池セル、及びそれを含む電池モジュールを提供することで、電池セルの内部で発生したガスの外部排出能を向上させ、電池セルの内部に流れ込む水分の浸透を抑制することができる。
【0025】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、言及されていない効果は本明細書及び添付される図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態による電池セルを示した図である。
【
図4】
図1のガス排出部が折り畳まれる構造を示した図である。
【
図7】本発明の他の一実施形態によるガス排出部の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の多様な実施形態について当業者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は、様々な異なる形態で具現でき、後述する実施形態に限定されるものではない。
【0028】
本発明を明確に説明するため、説明と関係ない部分は省略し、明細書の全体を通して同一または類似の構成要素に対しては、同じ参照符号を付することにする。
【0029】
また、図示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜上、任意に示されているため、本発明が図示によって限定されることはない。図面においては、多様な層及び領域を明確に示すため、厚さを拡大して示している。そして、図面において、説明の便宜上、一部の層及び領域の厚さを誇張して示している。
【0030】
また、明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に言及されない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0031】
また、明細書の全体において、「平面図」とするとき、これは対象部分を上方から眺めた場合を意味し、「断面図」とするとき、これは対象部分を垂直に切った断面を側方から眺めた場合を意味する。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態による電池セルを示した図である。
【0033】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による電池セル100は、電極組立体110が取り付けられる収納部210、及び収納部210の外周辺が密封されて形成されるシーリング部250を含む電池ケース200と、シーリング部250に挿入され、シーリング部250とともに融着されるガス排出部500と、を含む。前記シーリング部250は、熱またはレーザーなどによって密封され得る。また、前記シーリング部250とガス排出部500とは、熱またはレーザーなどによって融着され得る。
【0034】
電池ケース200は、樹脂層及び金属層を含むラミネートシートからなり得る。より具体的には、電池ケース200は、ラミネートシートからなり、最外郭を成す外側樹脂層、物質の通過を防止する遮断性金属層、及び密封のための内側樹脂層で構成され得る。
【0035】
電極組立体110は、ゼリーロール型(巻取型)、積層型(スタック型)、または複合型(積層/折畳み型)の構造からなり得る。より具体的には、電極組立体110は、正極、負極、これらの間に配置される分離膜からなり得る。
【0036】
電極リード300は、電極組立体110に含まれた電極タブ(図示せず)と電気的に接続され、シーリング部250を通って電池ケース200の外側に突出している。また、リードフィルム400は、電極リード300の上部及び下部の少なくとも一方において、シーリング部250に対応する部分に位置する。これにより、リードフィルム400は、融着時に電極リード300で短絡が発生することを防止するとともに、シーリング部250と電極リード300との密封性を向上させることができる。
【0037】
リードフィルム400は、電極リード300よりも広い幅を有し得る。リードフィルム400は、シーリング部250の長さよりも長く、電極リード300の長さよりも短い長さを有し得る。これにより、リードフィルム400は、電極リード300の電気的接続を妨害しないとともに、電極リード300の側面が外側に露出することを防止することができる。本明細書において、前記リードフィルム400の幅とは、電極リード300の突出方向の垂直方向を基準にしてリードフィルム400の一端と他端との間の距離の最大値を意味し、前記電極リード300の幅とは、電極リード300の突出方向の垂直方向を基準にして電極リード300の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。前記リードフィルム400の長さとは、電極リード300の突出方向を基準にしてリードフィルム400の一端と他端との間の距離の最大値を意味し、シーリング部250の長さとは、電極リード300の突出方向を基準にしてシーリング部250の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。電極リード300の長さとは、電極リード300の突出方向を基準にして電極リード300の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。
【0038】
ガス排出部500は、シーリング部250の少なくとも一部に挿入され得る。より具体的には、
図1のように、ガス排出部500は、シーリング部250において電極リード300が位置していない外周辺に位置し得る。換言すると、ガス排出部500は、電極組立体110の側面に隣接したシーリング部250に挿入され得る。これにより、ガス排出部500は、電極リード300の電気的接続を妨害しないとともに、ガス排出部500によるガス排出経路を十分に確保することができる。
【0039】
他の例として、具体的には図示していないが、ガス排出部500は、シーリング部250において電極リード300が位置する外周辺側に位置し得る。換言すると、ガス排出部500は、電極リード300と同じ外周辺側に位置し、電極リード300とは離隔して位置し得る。これにより、ガス排出部500が電極リード300と同じ方向に突出することで、電池セル100の空間効率をさらに高めることができる。
【0040】
以下、ガス排出部500についてより詳しく説明する。
【0041】
図2は
図1の一部を示した拡大図であり、
図3は
図1のガス排出部の構成を示した図であり、
図4は
図1のガス排出部が折り畳まれる構造を示した図である。
【0042】
図2及び
図3を参照すると、ガス排出部500は、第1層510及び第2層550を含む。より具体的には、ガス排出部500は、第1層510と第2層550とが積層されたフィルムからなり得る。
【0043】
ここで、第1層510は、融着によって接着可能な接着層であり得る。より具体的には、第1層510は、ポリオレフィン系の材料、エポキシ、及びポリ塩化ビニル(PVC)のうちの少なくとも一つを含み得る。一例として、前記ポリオレフィン系の材料はポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などであり得る。
【0044】
また、第2層550は、融着による接着が不可能な非接着層であり得る。より具体的には、第2層550は、フッ素系の材料を含み得る。一例として、前記フッ素系の材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリメチルペンテン(TPX)などであり得る。
【0045】
これにより、
図2及び
図4のように、ガス排出部500は、第1層510がガス排出部500の外面になるように折り畳まれた構造を有し、第1層510は、シーリング部250とともに融着されて互いに接着され得る。一方、第2層550は、ガス排出部500の内面になるように折り畳まれ、互いに対面する第2層550同士が互いに融着されず、ガス排出部500の内部はガス排出通路になる。
【0046】
前記第2層550は、前記第1層510と第2層550との間に接着材料を備えるか、または、第1層510と一緒に押出され得る。前記接着材料は、アクリル系を含み得る。
【0047】
電池の内部でガスが発生して電池の内圧が増加すると、互いに対面している第2層550同士の界面にガスが流れ込んで第2層550同士の間に空間が形成される。このように流れ込んだガスによってガス排出部500の内部空間と電池の外部とで圧力差が生じ、該圧力差がガスの推進力(driving force)として作用して、ガス排出部500内部のガスを外側へと排出することができる。
【0048】
本明細書において、ガス透過度はASTM F2476-20で測定し得る。
【0049】
前記第2層550のガス透過度は60℃で1.6e5~1.6e7バーラー(barrer)であり得る。例えば、二酸化炭素透過度が上述した範囲を満足し得る。また、第2層550の厚さ200μmを基準にしてガス透過度が60℃で上述した範囲を満足し得る。前記第2層550のガス透過度が上述した範囲を満足する場合、電池セルの内部で発生するガスをより効果的に排出することができる。
【0050】
図4を参照すると、
図4の(a)は、第1層510と第2層550とが積層されているフィルムの上面を基準にして、ガス排出部500が折り畳まれる境界線を示した図である。
図4の(b)は、ガス排出部500が
図4の(a)の境界線に沿って折り畳まれた構造を示した図である。ただし、
図4には第1層510を中心に示されているが、
図4の(a)の下面に位置する第2層550が省略されており、
図4の(b)のガス排出部500の内面に位置する第2層550が省略されている。
【0051】
図2及び
図4の(a)を参照すると、ガス排出部500は、第1境界線A-A’を基準にして折り畳まれた構造を有し得る。第1境界線A-A’は、ガス排出部500の幅方向に沿って延長され得る。本明細書において、前記ガス排出部500の幅方向とは、シーリング部250の長手方向を意味する。より具体的には、
図4の(a)のように、第1境界線A-A’は水平方向を基準にして第1層510と第2層550とが積層されているフィルムの中心線であり得る。
【0052】
これにより、ガス排出部500は、第1境界線A-A’を基準にして折り畳まれ、第1層510がガス排出部500の上下面を形成し得る。すなわち、ガス排出部500の上下面に位置した第1層510によってガス排出部500とシーリング部250との間の封止性が向上することができる。
【0053】
また、
図4を参照すると、ガス排出部500は、第1境界線A-A’を基準にして両端に位置した第1端部500a及び第2端部500bがそれぞれ、第2境界線B1-B1’、B2-B2’を基準にしてガス排出部500の内側に向かって折り畳まれ得る。より具体的には、
図4の(a)のように、第2境界線B1-B1’、B2-B2’は第1境界線A-A’と交差する対角方向であり得る。
【0054】
また、ガス排出部500において、第1端部500a及び第2端部500bはシーリング部250内に位置し得る。一例として、
図2のように、ガス排出部500において、第1端部500aと第2端部500bとはシーリング部250の内側端部に隣接して位置し得る。前記シーリング部250の内側端部とは、シーリング部250の端部のうち電極組立体に近い端部を意味する。
【0055】
また、ガス排出部500は、第2境界線B1-B1’、B2-B2’の角度を調節することで、第1端部500a及び第2端部500bの位置を調節し得る。例えば、第2境界線B1-B1’、B2-B2’の角度は45゜未満であり得る。前記第2境界線B1-B1’、B2-B2’の角度が上述した範囲を満たす場合、ガス移動通路をより容易に確保することができる。
【0056】
また、ガス排出部500は、シーリング部250に挿入される位置に応じて、第1端部500a及び第2端部500bの位置を調節し得る。
図2を参照すると、前記第2境界線に沿って折り畳まれた前記ガス排出部の外側端部である第4端部500dがシーリング部250上に位置し得る。すなわち、第4端部500dがシーリング部250の外側端部と内側端部との間に位置し得る。ここで、シーリング部250の外側端部とは、シーリング部250の端部のうち電池の外側の端部を意味する。第4端部500dがシーリング部250上に位置する場合、ガス排出部500をシーリング部250上により容易に固定できる。
【0057】
これにより、ガス排出部500は第2境界線B1-B1’、B2-B2’を基準にして折り畳まれているため、第1層510がガス排出部500の側面を形成する。すなわち、ガス排出部500の両側面に位置した第1層によってガス排出部500とシーリング部250との間の封止性がより向上することができる。
【0058】
さらに、第2層550を外部に露出させないことで、電池セル100の外部の水分が内側に浸透することを防止できる。また、本発明のガス排出部500は、所定の境界線に沿って折り畳まれた構造を有することで、相対的に製造工程も容易である。
【0059】
前記第1層510の水分浸透量は、25℃、50%RHで10年の間に0.02~0.2g、または0.02~0.04g、または0.06g、または0.15gであり得る。前記第1層510の水分浸透量が上述した範囲を満たす場合、前記ガス排出部500から流入される水分の浸透をより効果的に防止することができる。
【0060】
本明細書において、水分浸透量は、ASTM F 1249方式を採択して測定し得る。このとき、MCOON社から公式認証された装置を使用して測定し得る。
【0061】
ただし、本発明のガス排出部500は、
図4のように折り畳まれる構造の他にも、第2層550が外部に露出しないように折り畳まれる構造であれば、本実施形態に含まれ得る。
【0062】
図5は
図2のa-a’に沿った部分断面図であり、
図6は
図2のb-b’に沿った部分断面図である。
【0063】
図2及び
図5を参照すると、本実施形態において、ガス排出部500は電池ケース200の内側に向かって開放されており、第1層510はガス排出部500の外面をなし、第1層510とシーリング部250とが互いに接する。また、第2層550は、ガス排出部500の内面をなし、第2層550同士の間にガス排出通路570が形成され得る。
【0064】
これにより、本実施形態のガス排出部500は、第2層550同士の間に形成されたガス排出通路570に電池セル100内部のガスが流れ込み、ガス排出通路570に流れ込んだガスは外部との圧力差によって外側に向かって排出され得る。
【0065】
ガス排出部500の中心部に形成された第3端部500cは、シーリング部250の外側に突出し得る。また、本実施形態において、第3端部500cの位置によってガス排出通路570に流れ込んだガスの排出程度を調節することができる。一例として、第3端部500cがシーリング部250の外側端部に隣接して位置する場合、ガス排出通路570に流れ込んだガスを外部に排出可能な面積が相対的に小さくなるので、ガス排出通路570に流れ込んだガスの排出程度が減少し得る。他の例として、第3端部500cがシーリング部250の外側端部から離れて位置する場合、ガス排出通路570に流れ込んだガスを外部に排出可能な面積が相対的に大きくなるので、ガス排出通路570に流れ込んだガスの排出程度が増加し得る。
【0066】
ガス排出通路570に流れ込んだガスを外部に排出可能な面積によってガス排出部500の厚さが変わり得る。ガス排出部500の厚さは、ガス透過効率とシーリング特性とを同時に考慮して決定され得る。例えば、ガス排出通路570に流れ込んだガスを外部に排出可能な面積が小さい場合、ガス排出部500は、シーリング部250と融着可能な程度の厚さを有しながらも、ガス排出部500の厚さが薄い方がガス排出の面でさらに有利である。
【0067】
本発明の一実施形態において、第1層510の厚さは10~50μmであり得る。前記第1層510の厚さが上述した範囲を満たす場合、シーリング部250との融着が容易であるとともに、電池セルの内部で発生するガスをより容易に排出することができる。
【0068】
本発明の一実施形態において、第2層550の厚さは100~300μmであり得る。前記第2層550の厚さが上述した範囲を満たす場合、電池セルの内部で発生するガスをより容易に排出することができる。
【0069】
図2及び
図6を参照すると、本実施形態のガス排出部500は、
図6のように、第1端部500a及び第2端部500bがガス排出部500の内側に向かって折り畳まれ得る。ただし、
図6にはガス排出部500の構造が誇張されて示されているが、ガス排出部500は上下部が融着されて、ガス排出部500の外面に位置した第1層510同士が接しているか、または、第1層510内にシーリング部250の一部が埋め込まれ得る。
【0070】
これにより、ガス排出部500の両側面は第1層510を外面にして、シーリング部250とガス排出部500との間の封止性を向上させることができる。また、第2層550を外部に露出させないことで、電池セル100の外部の水分が内側に浸透することを防止できる。さらに、ガス排出部500の内面に形成された第2層550の面積も相対的に大きくなるため、ガス排出通路570に流れ込んだガスの排出量も増加させることができる。
【0071】
図7は、本発明の他の一実施形態によるガス排出部の構成を示した図である。
【0072】
本発明の他の一実施形態によれば、ガス排出部600は、第1層610、第2層650、及び水分吸収層690を含み得る。ここで、水分吸収層690は、第1層610と第2層650との間に位置し得る。より具体的には、ガス排出部600は、第1層610と水分吸収層690と第2層650とが積層されたフィルムからなり得る。
【0073】
ここで、第1層610及び第2層650は、上述した
図1~
図6の説明が同様に適用され得るため、以下では水分吸収層690のみについて詳しく説明する。
【0074】
水分吸収層690は、水分吸着機能を有する層であり得る。より具体的には、水分吸収層690は、ゲッター(getter)材料を含み得る。ここで、ゲッター材料とは、化学的に活性化された金属膜によって気体が吸着される作用を用いて真空排気可能な材料を意味する。一例として、前記ゲッター材料は、酸化カルシウム(CaO)、塩化リチウム(LiCl)、シリカ(SiO2)、酸化バリウム(BaO)、バリウム(Ba)、及びカルシウム(Ca)のうちの少なくとも一つであり得る。他の例として、前記ゲッター材料は、金属有機構造体(MOF:Metal Organic Framework)の構造を有し得る。ただし、前記ゲッター材料はこれに限定されず、一般にゲッター材料として分類されるすべての種類の材料が含まれ得る。
【0075】
これにより、
図4及び
図7のように、水分吸収層690が第1層610と第2層650との間に位置することで、ガス排出部500は、電池セル100の外部から電池セル100の内側に流れ込む水分の浸透度をさらに最小化しながらも、ガス透過度が高いことから、電池セル100の内部で発生したガスを外部により容易に排出することができる。
【0076】
また、本発明の他の一態様による電池モジュールは、上述した電池セルを含む。一方、本実施形態による電池モジュールは、一つまたはそれ以上がパックケース内にパッケージングされて電池パックを形成してもよい。
【0077】
上述した電池モジュール及びそれを含む電池パックは、多様なデバイスに適用され得る。このようなデバイスは、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段であり得るが、本発明はこれに制限されず、電池モジュール及びそれを含む電池パックを使用できる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0078】
以上、本発明の望ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲で請求する本発明の基本概念を用いた当業者の多様な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属することは言うまでもない。
【符号の説明】
【0079】
100 電池セル
110 電極組立体
200 電池ケース
210 収納部
250 シーリング部
300 電極リード
400 リードフィルム
500 ガス排出部
500a 第1端部
500b 第2端部
500c 第3端部
500d 第4端部
510 第1層
550 第2層
570 ガス排出通路
600 ガス排出部
610 第1層
650 第2層
690 水分吸収層