(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】ヘアスタイリング用デバイス
(51)【国際特許分類】
A45D 1/28 20060101AFI20240726BHJP
A45D 1/00 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
A45D1/28 C
A45D1/00 503A
A45D1/00 505E
(21)【出願番号】P 2023505916
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 GB2021051884
(87)【国際公開番号】W WO2022023719
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-03-02
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100224694
【氏名又は名称】伊藤 孝志
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス チェイニア ヒッキー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー コリングウッド ワトソン
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-005642(JP,A)
【文献】特表2014-516742(JP,A)
【文献】特表2013-536699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 1/28
A45D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、
毛髪接触可能面を有する加熱可能な毛髪接触部材であって、前記毛髪接触可能面を介してユーザーの毛束に熱を加えるように動作可能な毛髪接触部材と、
静止した第1の状態から移動している第2の状態への当該コードレス型ヘアスタイリング用デバイスの状態変化を感知するように構成された少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサが前記第1の状態から前記第2の状態への状態変化を感知したことに応答して、検出された前記状態変化の後、所定長さの時間だけ、前記毛髪接触部材を所定動作温度に加熱するように構成された制御部と
を備え
、
前記少なくとも1つのセンサが、前記静止した第1の状態から前記移動している第2の状態への前記コードレス型ヘアスタイリング用デバイスの前記状態変化を感知してから前記毛束のスタイリングを開始したことを感知するまでの時間又は平均時間を示す第1の信号を出力するように構成され、前記制御部が、
出力された前記第1の信号を前記少なくとも1つのセンサから受信し、
前記第1の信号に基づいて前記所定長さの時間を適合させるように構成される、コードレス型ヘアスタイリング用デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のコードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、
前記制御部が、前記少なくとも1つのセンサが前記状態変化を感知したときに前記毛髪接触部材の加熱を開始するように構成される、
コードレス型ヘアスタイリング用デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のコードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、
前記制御部が、所定の時間遅延の後に前記毛髪接触部材の加熱を開始するように構成される、
コードレス型ヘアスタイリング用デバイス。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のコードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、
前記制御部が、所定の率で前記毛髪接触部材を加熱するように構成される、
コードレス型ヘアスタイリング用デバイス。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のコードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、
前記所定長さの時間
、
所定の
率
所定の時間遅延及び
前記所定動作温度
のうちの少なくとも1つが最初に、デフォルト値に設定される、
コードレス型ヘアスタイリング用デバイス。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のコードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、
前記少なくとも1つのセンサが、当該コードレス型ヘアスタイリング用デバイスの移動に応じて信号を出力するように構成され、前記制御部が、
出力された前記信号を前記少なくとも1つのセンサから受信し、
どのようにユーザーが当該コードレス型ヘアスタイリング用デバイスを動作させるのかに関連付けられた1つ又は複数のユーザー操作パラメータを特定し、
特定された前記1つ又は複数のユーザー操作パラメータに基づいて、
前記所定長さの時間
、
所定の率
、
所定の時間遅延及び
前記所定動作温度
のうちの少なくとも1つの適合を行うように構成される、
コードレス型ヘアスタイリング用デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載のコードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、
前記制御部が、複数の各ユーザーに固有の、1つ又は複数のユーザー操作パラメータを特定するように構成され、前記適合が、各ユーザー固有のユーザ操作パラメータに基づいて実行される、
コードレス型ヘアスタイリング用デバイス。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のコードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、
特定された前記1つ又は複数のユーザー操作パラメータが
、
時間的パラメータ
、
空間的パラメータ及
び
熱的パラメータ
のうちの1つ又は複数を含む、
コードレス型ヘアスタイリング用デバイス。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のコードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、
前記少なくとも1つのセンサが、移動している前記第2の状態から静止した前記第1の状態への前記コードレス型ヘアスタイリング用デバイスの状態変化を感知するように構成され、
前記制御部が、前記少なくとも1つのセンサが前記第2の状態から前記第1の状態への状態変化を感知したことに応答して、前記毛髪接触部材の加熱を禁止し、これにより、前記発熱体を前記所定動作温度未満に冷却させるように構成される、
コードレス型ヘアスタイリング用デバイス。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のコードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、
前記少なくとも1つのセンサが、ユーザーが当該コードレス型ヘアスタイリング用デバイスを手に取ったときを感知するように構成されたタッチセンサを備え、前記制御部が、前記タッチセンサが当該コードレス型ヘアスタイリング用デバイスが前記ユーザーによって保持されていないことを感知したことに応答して、前記所定動作温度への前記毛髪接触部材の加熱を防止するように構成される、
コードレス型ヘアスタイリング用デバイス。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のコードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、
前記少なくとも1つのセンサが、当該コードレス型ヘアスタイリング用デバイスが移動している前記第2の状態であるときを感知するように構成された慣性計測装置IMUセンサを含む、
コードレス型ヘアスタイリング用デバイス。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のコードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、
当該コードレス型ヘアスタイリング用デバイスが、1つ又は複数の環境条件を感知するように構成された少なくとも1つの他のセンサを備え、前記制御部が、感知された前記環境条件に更に基づいて前記毛髪接触部材を前記所定動作温度に加熱するように構成される、
コードレス型ヘアスタイリング用デバイス。
【請求項13】
請求項12に記載のコードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、
前記環境条件が、当該コードレス型ヘアスタイリング用デバイスを動作させている部屋の温度及び/又は湿度を含む、
コードレス型ヘアスタイリング用デバイス。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のコードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、
前記所定動作温度が、ユーザー設定可能である、
コードレス型ヘアスタイリング用デバイス。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のコードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、
ストレートヘアアイロンを含むコードレス型ヘアスタイリング用デバイス。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載のコードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、
ヘアカーラーを含むコードレス型ヘアスタイリング用デバイス。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載のコードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、
当該コードレス型ヘアスタイリング用デバイスが、前記毛髪接触部材を加熱するように動作可能な発熱体を備え、
前記制御部が、検出された前記状態変化の後、所定長さの時間だけ、前記発熱体を所定動作温度に加熱するように構成される、
コードレス型ヘアスタイリング用デバイス。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載のコードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、
前記毛髪接触部材が、前記毛束の毛根側端部と前記毛束の毛先側端部との間での前記毛束に沿った前記毛髪接触部材の移動によって、前記毛髪接触可能面を介して毛束に熱を加えるように動作可能である、
コードレス型ヘアスタイリング用デバイス。
【請求項19】
コードレス型ヘアスタイリング用デバイスを動作させる方法であって、
ユーザーが前記コードレス型ヘアスタイリング用デバイスを移動させて静止した第1の状態から移動している第2の状態にしたことに応答してセンサ信号
と、前記静止した第1の状態から前記移動している第2の状態への前記コードレス型ヘアスタイリング用デバイスの状態変化を感知してから毛束のスタイリングを開始したことを感知するまでの時間又は平均時間を示す第1の信号と、を生成することと、
制御部において、前記センサ信号を処理して前記コードレス型ヘアスタイリング用デバイスが使用中であるかを判定することと、
前記コードレス型ヘアスタイリング用デバイスが使用中であると判定したことに応答して、検出された前記状態変化の後、所定長さの時間だけ、加熱可能な毛髪接触部材を所定動作温度に加熱すること
であって、前記所定長さの時間は、前記第1の信号に基づいて適合される、ことと、
を含む方法。
【請求項20】
コンピュータデバイスによって実行されたときに、コードレス型ヘアスタイリング用デバイスの使用を容易化する方法を当該コンピュータデバイスに実行させる1組の命令を含むコンピュータプログラムであって、
前記方法が、
ユーザーが前記コードレス型ヘアスタイリング用デバイスを移動させて静止した第1の状態から移動している第2の状態にしたことに応答し
てセンサ信号
と、前記静止した第1の状態から前記移動している第2の状態への前記コードレス型ヘアスタイリング用デバイスの状態変化を感知してから毛束のスタイリングを開始したことを感知するまでの時間又は平均時間を示す第1の信号と、を生成することと、
制御部において、前記センサ信号を処理して前記コードレス型ヘアスタイリング用デバイスが使用中であるかを判定することと、
前記コードレス型ヘアスタイリング用デバイスが使用中であると判定したことに応答して、検出された前記状態変化の後、所定長さの時間だけ、加熱可能な毛髪接触部材を所定動作温度に加熱すること
であって、前記所定長さの時間は、前記第1の信号に基づいて適合される、ことと、
を含む、
コンピュータプログラム。
【請求項21】
請求項1に記載のコードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、
前記少なくとも1つのセンサが、どのように前記ユーザーが前記コードレス型ヘアスタイリング用デバイスを動作させるのかを示す第2の信号をさらに出力するように構成され、前記制御部が、
出力された前記第2の信号を前記少なくとも1つのセンサからさらに受信し、
前記第1の信号を前記第2の信号に対応付けて、前記所定長さの時間を適合させるように構成される、コードレス型ヘアスタイリング用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘアスタイリング用デバイスに関する。限定されるわけではないが、特に、本開示は、ヘアスタイリング用デバイスを動作させるための手段に関し、これらの手段には、方法、装置及びコンピュータプログラムも含める。
【背景技術】
【0002】
ヘアスタイリング器具とも呼ばれるヘアスタイリング用デバイスは、毛髪を希望通りの形状又はスタイルに整えるために使用される。特に、加熱式ヘアスタイリング用デバイスは、熱の作用と、任意選択により機械的手段も使用して、毛髪を希望通りにスタイリングする。
【0003】
このようなヘアスタイリング用デバイスの一例は、縮毛矯正用デバイス(ストレートヘアアイロン又はヘアアイロンとも呼ばれる)である。このようなヘアスタイリング用デバイスは一般的に、一方の端部のところで互いに旋回可能に取り付けられた2つの多関節アームを備え、これらの2つの多関節アームには、1つ又は複数の加熱可能なプレートが取り付けられる。両方のアームが加熱可能なプレートを有する場合、加熱可能なプレートは一般に、対向するこれらのアームの内面に配置される。加熱可能なプレートは、ヘアスタイリング用デバイスの使用中に毛髪と接触して熱を加えるように動作可能な毛髪接触可能面を有する。加熱可能なプレート(したがって、毛髪接触可能面)は、1つ又は複数の発熱体によって加熱することができる。ヘアカーラー又はヘアアイロンは、ヘアスタイリング用デバイスの他の例である。カーラーは、加熱可能な曲がったプレート又はバレルを含み得る。加熱可能なプレート又はバレルの外面は、毛髪接触可能面であり得る。ヘアカーラーは、毛髪を毛髪接触可能面に留めるための多関節アームを備えることができる。
【0004】
ヘアスタイリング用デバイスは、商用電源式(mains powered)のものであってもよいし、又はコードレス型のものであってもよい。コードレス型デバイスは、デバイスの使用の自由度及び汎用性の向上を可能にするので、ユーザーに人気がある。コードレス型ヘアスタイリング用デバイスは一般に、内蔵型の充電式バッテリーを備える。充電式バッテリーは、本明細書においてはランタイムと呼ばれるある期間にわたってデバイスに電力を供給するが、デバイス又はバッテリーを商用電源に接続することによって使用の合間に再充電される必要がある。これは、例えばユーザーが充電ポイントを利用することなく長期間にわたってデバイスを使用しようとした場合、ユーザーにとっては問題となり得る。デバイスのランタイムは、どのようにユーザーがデバイスを使用するのかに応じて変化し得る。これは、いつデバイスを再充電する必要があるのかをユーザーが予測することができない場合もあるので、ユーザーとっても問題となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、改良型のヘアスタイリング用デバイス、ヘアスタイリング用デバイスを動作させる改良型の方法、及び/又は、充電間のヘアスタイリング用デバイスのランタイムの改善を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、コードレス型ヘアスタイリング用デバイスであって、毛髪接触可能面を有する加熱可能な毛髪接触部材であって、毛髪接触可能面を介してユーザーの毛束に熱を加えるように動作可能な毛髪接触部材と、静止した第1の状態から移動している第2の状態へのコードレス型ヘアスタイリング用デバイスの状態変化を感知するように構成された少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つのセンサが第1の状態から第2の状態への状態変化を感知したことに応答して、検出された状態変化の後、所定長さの時間だけ、毛髪接触部材を所定動作温度に加熱するように構成された制御部とを備えるコードレス型ヘアスタイリング用デバイスが提供される。
【0007】
複数の実施形態において、毛髪接触部材の加熱は、ユーザーがデバイスを移動させるときにのみ開始し、デバイスは、ユーザーがデバイスを使用した毛髪のスタイリングを開始するときまでに希望通りの動作温度になる。慣用的なヘアスタイリング用デバイスは、スイッチを入れられたときに加熱を開始し、毛束と接触したときに熱を放熱する。本発明において主張される制御された加熱はより効率的であり、毛髪へのダメージが少なくなる。複数の実施形態において、デバイスがスイッチを入れられたが移動していない場合、制御部は、毛髪接触部材を加熱せず、これにより、バッテリーの電力を節約してデバイスのランタイムを改善する。これは、例えばデバイスがスイッチを入れられたときに直ちに毛髪接触部材を希望通りの動作温度に加熱することより効率的である。デバイスは、ユーザーが毛髪のスタイリングを開始する直前の瞬間まで必要動作温度にないこともあり得る。デバイスが毛髪をスタイリングするために使用されていないときにより長い時間にわたって毛髪接触部材を動作温度に保持することは、デバイスの電荷をより速く消耗させるので、上記のようにユーザーが毛髪のスタイリングを開始する直前の瞬間まで必要動作温度にないことにより、デバイスのランタイムを改善することができる。
【0008】
複数の実施形態において、制御部は、少なくとも1つのセンサが状態変化を感知したときに毛髪接触部材に加熱を開始させるように構成される。
【0009】
複数の実施形態において、制御部は、センサがユーザーがデバイスを移動させたことを感知したときに直ちに毛髪接触部材の加熱を開始し、これにより、スタイリングを開始するためにユーザーが毛髪の根本に向かってデバイスを移動させたときに毛髪接触部材を徐々に加熱することができる。
【0010】
複数の実施形態において、制御部は、所定の時間遅延の後に毛髪接触部材の加熱を開始するように構成される。
【0011】
複数の実施形態において、センサがユーザーがデバイスを移動させたことを感知したときに、毛髪接触部材は、最初は室温に留まるが、毛髪接触部材がユーザーの毛髪の根本に接近するときに動作温度に加熱される。これにより、毛髪接触部材が加熱前により長い期間にわたって室温に留まるので、デバイスのランタイムが更に改善される。
【0012】
複数の実施形態において、制御部は、所定の率で毛髪接触部材を加熱するように構成される。
【0013】
複数の実施形態において、所定の率は製造者によって設定され、ユーザーがデバイスを毛髪の根本に移動させるために要する予測時間に基づき得る。所定の率で毛髪接触部材を加熱することによって、制御部は、ユーザーが毛髪のスタイリングを開始する直前にのみ毛髪接触部材を所定動作温度に到達させることができる。これにより、ユーザーが毛髪をスタイリングしていないときに毛髪接触部材を高温に保持する必要性がなくなる。これにより、デバイスのランタイムが更に改善される。
【0014】
複数の実施形態において、所定長さの時間、所定の率、所定の時間遅延及び所定動作温度のうちの少なくとも1つは最初に、デフォルト値に設定される。
【0015】
複数の実施形態において、所定長さの時間、所定の率、所定の時間遅延及び所定動作温度のうちの少なくとも1つは、予測される希望通りのユーザー値及び/又は既知の安全値に基づいて製造者によって設定される。例えば、所定動作温度は、毛髪をカーリング及び/又はまっすぐにするのに適した既知の温度であり得る。これは、デバイスが最初の使用から十分に機能し、又はユーザーのために最適化された態様で機能することを確実にするのに役立つ。
【0016】
複数の実施形態において、少なくとも1つのセンサは、ヘアスタイリング用デバイスの移動に応じて信号を出力するように構成され、制御部は、出力された信号を少なくとも1つのセンサから受信し、どのようにユーザーがヘアスタイリング用デバイスを動作させるのかに関連付けられた1つ又は複数のユーザー操作パラメータを特定し、特定された1つ又は複数のユーザーパラメータに基づいて、所定長さの時間、所定の率、所定の時間遅延及び所定動作温度のうちの少なくとも1つの適合を行うように構成される。
【0017】
複数の実施形態において、センサは、ユーザーが毛髪をカールさせている又はまっすぐにしていることを示す信号を出力することができ、制御部は、このアクションに適するように動作温度を適合させることができる。これは、動作温度が実行されているアクションに適することを確実にすることによって、デバイスの性能及びユーザー体験を改善する。これは、デバイスが適切な動作温度で使用されていることを確実にすることによって、ユーザーの毛髪へのダメージの回避を補助する。複数の実施形態において、センサは、ユーザーがデバイスを毛髪の根本に移動させるのに著しくより長い又はより短い長さの時間を要することを感知する。制御部は、加熱速度を適合させることができ、又は例えば、時間遅れを組み込むこと、若しくは増大若しくは排除すること、若しくは低減することができる。これは、ユーザーが毛髪のスタイリングを開始するときに毛髪接触部材が必要動作温度にあることを確実にすることによってユーザー体験を改善するとともに、毛髪接触部材が必要より長い間高温に保持されるのを回避することによってデバイスのランタイムも改善する。
【0018】
複数の実施形態において、制御部は、複数の各ユーザーに固有の、1つ又は複数のユーザー操作パラメータを特定するように構成され、適合は、各ユーザー固有のユーザ操作パラメータに基づいて実行される。
【0019】
デバイスは、複数のユーザーによって異なる時間に使用され得る。異なるユーザーが、異なるスタイリングアクションのためにデバイスを使用することができ、異なるスタイリングアクションは、異なる動作温度を必要とし得るし、デバイスを毛髪の根本に移動させるのに異なる長さの時間を要し得る。したがって、ユーザー体験及びデバイスの効率を改善するためには、制御部が、異なるユーザーのための異なる速度でデバイスを異なる温度に加熱することが適切なこともある。これを容易化するために、制御部は、異なるユーザーのための異なる動作パラメータを特定することができる。
【0020】
複数の実施形態において、特定された1つ又は複数のユーザー操作パラメータは、時間的パラメータ、空間的パラメータ及び熱的パラメータのうちの1つ又は複数を含む。
【0021】
複数の実施形態において、少なくとも1つのセンサは、移動している第2の状態から静止した第1の状態へのデバイスの状態変化を感知するように構成され、制御部は、少なくとも1つのセンサが第2の状態から第1の状態への状態変化を感知したことに応答して、毛髪接触部材の加熱を禁止し、これにより、毛髪接触部材を所定動作温度未満に冷却させるように構成される。複数の実施形態において、少なくとも1つのセンサは、毛髪接触部材が毛束と接触していないときを感知するように構成され、制御部は、少なくとも1つのセンサが毛髪接触部材が毛束と接触していないことを感知したことに応答して、毛髪接触部材の加熱を禁止し、これにより、毛髪接触部材を所定動作温度未満に冷却させるように構成される。
【0022】
複数の実施形態において、センサは、ユーザーが毛髪のスタイリングを完了させてデバイスを静止状態に戻したときを感知する。センサから信号を受信したことに応答して、制御部は、毛髪接触部材の加熱を停止することができ、又は毛髪接触部材の加熱を禁止することができる。これは、毛髪接触部材が必要より長い間動作温度に保持されないことを確実にし、これにより、デバイスのランタイムを改善する。複数の実施形態において、制御部は、デバイスがユーザーによってスイッチを切られるまで毛髪接触部材を待機温度に保持する。これは、ユーザーがデバイスを移動させて毛髪のスタイリングを継続したい場合に、毛髪接触部材を効率的に動作温度に加熱することができることを確実にする。
【0023】
複数の実施形態において、少なくとも1つのセンサは、ユーザーがデバイスを手に取ったときを感知するように構成されたタッチセンサを備え、制御部は、タッチセンサがデバイスがユーザーによって保持されていないことを感知したことに応答して、所定動作温度への毛髪接触部材の加熱を防止するように構成される。
【0024】
複数の実施形態において、デバイスが移動しているが、タッチセンサがデバイスがユーザーによって保持されていないことを感知した場合、制御部は、毛髪接触部材の加熱を防止する。これは安全確認を提供し、デバイスが意図せず移動させられた場合、例えば、ある表面からデバイスがユーザーによって払いのけられた場合に毛髪接触部材が所定動作温度に加熱されないことを確実にする。言い換えると、複数の実施形態において、ユーザーによって毛髪のスタイリングのためにデバイスが使用されているときに、毛髪接触部材は所定動作温度に加熱される。
【0025】
複数の実施形態において、少なくとも1つのセンサは、デバイスが移動している第2の状態であるときを感知するように構成された慣性計測装置IMUセンサを含む。複数の実施形態において、IMUセンサは、デバイスが静止した第1の状態に戻ったときを感知するように構成される。
【0026】
複数の実施形態において、少なくとも1つのセンサは、毛束のスタイリングが開始したとき及び/又は毛束のスタイリングが完了したときを感知するように構成された近接センサを備える。
【0027】
複数の実施形態において、デバイスは、1つ又は複数の環境条件を感知するように構成された少なくとも1つの他のセンサを備え、制御部は、感知された環境条件に更に基づいて毛髪接触部材を所定動作温度に加熱するように構成される。複数の実施形態において、環境条件は、デバイスを動作させている部屋の温度及び/又は湿度を含む。
【0028】
デバイスが使用されている部屋の湿度レベル及び/又は温度は、デバイスの適切な動作温度に影響し得る。例えば、高い湿度レベルにおいては、より高い動作温度が必要とされることもある。デバイスが複数の実施形態によって使用されている環境条件に基づいて所定動作温度を適合させることによって、ユーザー体験が改善され、毛髪接触部材が最適な動作温度にあることを確実にする。
【0029】
複数の実施形態において、所定動作温度は、ユーザー設定可能である。
【0030】
例えば異なるスタイリング挙動のためにデバイスを使用することをユーザーが意図した場合、ユーザーは、制御部によって設定された所定動作温度を上書きしたいこともある。同様に、例えば異なるスタイリング挙動のためにデバイスを使用することをユーザーが意図した場合、ユーザーは、制御部によって設定された所定加熱速度を上書きしたいこともある。デバイスの動作特性を制御するためにこのオプションを可能にすることによって、ユーザー体験を改善することができる。
【0031】
複数の実施形態において、デバイスは、ストレートヘアアイロンを含む。複数の実施形態において、デバイスは、ヘアカーラーを含む。ユーザーは、ストレートヘアアイロンを使用してカーリング又は縮毛矯正アクションを実行することができ、これらの異なるアクションのための異なる動作温度及び/又は加熱速度を必要とする異なる態様でデバイスを使用することができる。
【0032】
複数の実施形態において、デバイスは、毛髪接触部材を加熱するように動作可能な発熱体を備え、制御部は、発熱体を制御して、検出された状態変化の後、所定長さの時間だけ、発熱体を所定動作温度に加熱するように構成される。
【0033】
複数の実施形態において、毛髪接触部材は、毛束の毛根側端部と毛束の毛先側端部との間での毛束に沿った毛髪接触部材の移動によって、毛髪接触可能面を介して毛束に熱を加えるように動作可能である。
【0034】
本開示の一態様によれば、コードレス型ヘアスタイリング用デバイスを動作させる方法であって、ユーザーがコードレス型ヘアスタイリング用デバイスを移動させて静止した第1の状態から移動している第2の状態にしたことに応答して、センサ信号を生成することと、制御部において、センサ信号を処理してコードレス型ヘアスタイリング用デバイスが使用中であるかを判定することと、コードレス型ヘアスタイリング用デバイスが使用中であると判定したことに応答して、検出された状態変化の後、所定長さの時間だけ、加熱可能な毛髪接触部材を所定動作温度に加熱することとを含む方法が提供される。
【0035】
本開示の一態様によれば、コンピュータデバイスによって実行されたときに、コードレス型ヘアスタイリング用デバイスの使用を容易化する方法をコンピュータデバイスに実行させる1組の命令を含むコンピュータプログラム製品であって、上記方法が、ユーザーがコードレス型ヘアスタイリング用デバイスを移動させて静止した第1の状態から移動している第2の状態にしたことに応答して、センサ信号を生成することと、制御部において、センサ信号を処理してコードレス型ヘアスタイリング用デバイスが使用中であるかを判定することと、コードレス型ヘアスタイリング用デバイスが使用中であると判定したことに応答して、検出された状態変化の後、所定長さの時間だけ、加熱可能な毛髪接触部材を所定動作温度に加熱することとを含む、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0036】
当然ながら、本発明の一態様との関連で記述された特徴を本発明の他の態様に組み込むことができることは理解されよう。例えば、本発明の方法は、本発明の装置との関連で記述された特徴のいずれかを組み込むことが可能であり、その逆もまた可能である。
【0037】
次に、添付の図面を参照しながら、例示用にすぎない本開示の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1A】アームが開位置にある状態の、複数の実施形態によるコードレス型ヘアスタイリング用デバイスの斜視図である。
【
図1B】アームが閉位置にある状態の、
図1Aの複数の実施形態によるコードレス型ヘアスタイリング用デバイスの斜視図である。
【
図2】複数の実施形態によるヘアスタイリング用デバイスの概略図である。
【
図3】複数の実施形態によるコードレス型ヘアスタイリング用デバイスを動作させる方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1A及び
図1Bは、複数の実施形態によるヘアスタイリング用デバイス100の斜視図を示す。ヘアスタイリング用デバイス100及び/又はその構成要素は、本明細書に記載された方法を実行するために使用することができる。
図1A及び
図1Bに示された実施形態において、ヘアスタイリング用デバイス100は、ストレートヘアアイロンを含む。
【0040】
ヘアスタイリング用デバイス100は、ヒンジ130によって一方の端部のところでつなぎ合わされた第1のアーム110及び第2のアーム120を備える。ヘアスタイリング用デバイス100は、加熱可能な毛髪接触部材を備える。
図1A及び
図1Bに示された実施形態において、各アーム110、120は、加熱可能なプレート115、125の形態の加熱可能な毛髪接触部材を備える。複数の実施形態において、加熱可能なプレート115、125の片方又は両方は、例えば発熱体(図示なし。)によって加熱することが可能である。一部の実施形態において、加熱可能なプレート115、125の片方又は両方が抵抗式プレートを備える。このような抵抗式プレートは、例えば別個の発熱体を必要とすることなく、直接加熱され得る。加熱可能なプレート115、125のそれぞれは、毛髪接触可能面116、126を介してユーザーの毛束に熱を加えるように動作可能である。毛髪接触可能面116、126は、互いに向かい合うように配置される。複数の実施形態において、加熱可能なプレート115、125は、セラミック又は金属プレートを含む。複数の実施形態において、加熱可能なプレート115、125は、平坦な毛髪接触可能面116、126を備える。複数の実施形態において、加熱可能なプレート115、125は、曲がった又はへこんだ毛髪接触可能面を備える。アーム110、120は、これらのアームが開位置(
図1Aに示される)と閉位置(
図1Bに示される)との間で移動することができるようにヒンジ連結される。閉位置においては、スタイリングすべき毛髪を毛髪接触可能面116と毛髪接触可能面126との間に保持することができるように、毛髪接触可能面116、126を互いに向かって寄せる。一部の実施形態において、アーム110、120が閉位置にある場合、毛髪接触可能面116、126が接触する。他の複数の実施形態において、毛髪接触可能面116、126が接触しない。
【0041】
アーム110、120は、ユーザーにより、開位置と閉位置との間で移動させることができる。例えば、ユーザーは、(毛髪接触可能面116と毛髪接触可能面126との間の毛髪をスタイリングするために)ヘアスタイリング用デバイス100を使用するときにアーム110、120を一緒に押し、スタイリングが完了したらアーム110、120を解放し、及び/又は、アーム110、120を引き離す。複数の実施形態において、ヘアスタイリング用デバイス100は、付勢手段(図示なし)、例えば、1つ又は複数のばね及び/又は磁石を備える。付勢手段は、開位置に向かうようにアーム110、120に働きかけ、結果として、ユーザーがアーム110、120を一緒に押していないときにはアーム110、120が開位置に戻る。
【0042】
代替的な複数の実施形態において、アーム110、120は、ヒンジ130を中心にして旋回することができない。例えば、アーム110、120は、互いに対して実質的に平行であり得る。どちらの場合であっても、ユーザーは、アーム110、120を一緒に押して、毛髪をスタイリングすることができる。
【0043】
複数の実施形態において、加熱可能なプレート115、125は、毛束の毛根側端部と毛束の毛先側端部との間での毛束に沿った加熱可能なプレート115、125の移動によって、毛髪接触可能面116、126を介して毛束に熱を加えるように動作可能である。複数の実施形態において、毛束は、2つの毛髪接触可能面116、126の間に把持され得、デバイスは、毛束の長さに沿って引っ張られ得る。
【0044】
ヘアスタイリング用デバイス100は、コードレス型ヘアスタイリング用デバイスを含む。例えば、複数の実施形態において、ヘアスタイリング用デバイス100は、充電式バッテリーによって電力供給され得る。
【0045】
図2は、複数の実施形態によるヘアスタイリング用デバイス100の概略的なブロック図を示す。
【0046】
ヘアスタイリング用デバイス100は、制御部210を備える。下記においてより詳細に記述するように、制御部210は、様々なデータ処理を実行し、及び/又は複数の実施形態による機能を制御するように動作可能である。制御部210は、1つ又は複数の構成要素を含むことができる。1つ又は複数の構成要素は、ハードウェア及び/又はソフトウェアに実装され得る。1つ又は複数の構成要素は、ヘアスタイリング用デバイス100内の同じ場所に配置することもできるし、又は互いから離して配置することもできる。制御部210は、1つ又は複数のソフトウェア機能及び/又はハードウェアモジュールとして具体化され得る。複数の実施形態において、制御部210は、命令及び/又はデータを処理するように構成された1つ又は複数のプロセッサを備える。1つ又は複数のプロセッサによって実行される操作は、ハードウェア及び/又はソフトウェアによって実行することができる。制御部210を使用して、本明細書に記載された方法を実行することができる。複数の実施形態において、制御部210は、ヘアスタイリング用デバイス100の1つ又は複数の構成要素を制御するための制御信号を出力するように動作可能である。
【0047】
複数の実施形態において、毛髪接触部材225を加熱することは、毛髪接触部材225に電力を供給することを含む。複数の実施形態において、電力は、充電式バッテリーによって毛髪接触部材に供給される。複数の実施形態において、毛髪接触部材225を加熱することは、毛髪接触部材225の両端間に電圧を印加することを含む。複数の実施形態において、毛髪接触部材225は、抵抗式プレートを備える。
【0048】
複数の実施形態において、ヘアスタイリング用デバイス100は、発熱体220を備える。発熱体220は例えば、電気エネルギーを熱に変換するように動作可能なものであり得る。発熱体220は、ヘアスタイリング用デバイス100によって毛髪を加熱するように構成される。制御部210は、発熱体220を制御するように動作可能である。例えば、制御部210は、例えば制御部210によって生成された1つ又は複数の制御信号を介して、発熱体220にエネルギー(例えば、電気エネルギー)を加えるように動作可能なものであり得る。
【0049】
ヘアスタイリング用デバイスは、加熱可能な毛髪接触部材225を備える。複数の実施形態において、毛髪接触部材225は、発熱体220によって加熱可能なものである。代替的な複数の実施形態において、毛髪接触部材225は、直接加熱可能であり、すなわち、別個の発熱体220を必要とすることなく加熱可能である。複数の実施形態において、毛髪接触部材225は、1つ又は複数の加熱可能なプレートを備える。例えば、毛髪接触部材225は、上記において
図1A及び
図1Bとの関連で記述された加熱可能なプレート115、125のうちの1つ又は複数を備えることができる。毛髪接触部材225は、1つ又は複数の毛髪接触可能面、例えば、上記毛髪接触可能面116、126を備えることができる。毛髪接触部材225は、1つ又は複数の毛髪接触可能面116、126を介して毛髪に熱を加えるように動作可能である。したがって、制御部210は、例えば発熱体220を制御し、これにより、毛髪接触部材225の1つ又は複数の毛髪接触可能面116、126と接触した毛髪に熱を供給することによって、毛髪接触部材225の加熱を制御する。
【0050】
複数の実施形態において、毛髪接触部材225は、対向する第1及び第2の毛髪接触可能面116、126を備える。対向する第1及び第2の毛髪接触可能面116、126は、これらの毛髪接触可能面の間に差し込まれた毛髪を加熱するように配置される。複数の実施形態において、毛髪接触部材225は、毛束に沿って、例えば毛束の第1の端部から毛束の第2の端部に向かって毛髪接触部材225を移動させることによって毛髪に熱を加えるように動作可能である。毛束に沿った毛髪接触部材225の移動は、「パス」と呼ばれることもある。毛髪接触部材225は、上記において
図1A及び
図1Bを参照しながら記述された第1のアーム110及び第2のアーム120等の移動可能なアームを備えることができる。
【0051】
ヘアスタイリング用デバイス100は、静止した第1の状態から移動している第2の状態へのヘアスタイリング用デバイス100の状態変化を感知するように構成された少なくとも1つのセンサ230を備える。制御部210は、少なくとも1つのセンサが第1の状態から第2の状態への状態変化を感知したことに応答して、検出された状態変化の後、所定長さの時間だけ、毛髪接触部材225を所定動作温度に加熱するように構成される。複数の実施形態において、デバイスの状態変化を感知することは、デバイスの加速度又は変位を感知することを含む。
【0052】
複数の実施形態において、ヘアスタイリング用デバイス100は、少なくとも1つのセンサ230を備える。このようなセンサの例には、限定されるわけではないが、IMU、ホール効果センサ等の近接センサ、温度センサ、湿度センサ、電力センサ、近接センサ、モーションセンサ、ジャイロスコープ、加速度計、磁力計等が挙げられる。制御部210は、少なくとも1つのセンサ230から信号(例えば、センサ出力を受信するように動作可能である)。少なくとも1つのセンサ230からのセンサ出力を使用して、ヘアスタイリング用デバイス100を制御することができる。複数の実施形態において、制御部210は、少なくとも1つのセンサ230を制御するように動作可能である。
【0053】
図2に示された実施形態において、少なくとも1つのセンサ230は、IMU235を備える。このような複数の実施形態において、制御部210は、ヘアスタイリング用デバイス100の移動を示す信号をIMU235から受信するように動作可能である。複数の実施形態において、IMU235は、加速度計、ジャイロスコープ及び磁力計を備える。加速度計、ジャイロスコープ及び磁力計のそれぞれが3つの軸又は自由度(x、y、z)を有する。したがって、IMU235は、9軸IMUを構成し得る。代替的な複数の実施形態において、IMU235は、加速度計及びジャイロスコープを備えるが、磁力計を備えない。このような複数の実施形態において、IMU235は、6軸IMUを構成する。9軸IMUは、自由度が増えるので、6軸IMUより高精度な測定値を生成することができる。しかしながら、状況によっては、9軸IMUより6軸IMUが好ましいこともある。例えば、一部のヘアスタイリング用デバイスは、使用中に磁気の乱れを発生させ、及び/又は磁気の乱れを受け得る。これは、オンボード型電源を備えるコードレス型ヘアスタイリング用デバイス並びに発熱体を備えるヘアスタイリング用デバイスに関しては、特に考慮すべき事項であり得る。加熱、デバイスの磁気及び/若しくは磁気インダクタンス、並びに/又は、他の磁気の乱れが磁力計の挙動に影響し得る。したがって、場合によっては、6軸IMUは、9軸IMUより信頼性が高く、及び/又はより高精度である。IMUは、加速度計信号及びジャイロスコープ信号(並びに一部の実施形態においては磁力計信号)を示すデータを出力するように構成される。代替的な一実施形態において、IMU235は、加速度計を含むことができるが、ジャイロスコープ又は磁力計を含まない。このような実施形態において、IMU235は、3軸IMUを構成する。
【0054】
複数の実施形態において、制御部210は、速度及び/又は位置推定アルゴリズムを使用してセンサ出力を処理するように構成される。複数の実施形態において、速度/位置推定アルゴリズムは、IMUからの加速度計/ジャイロスコープ信号をマージする。例えば、毛髪接触部材225がユーザーの毛髪の根本に到達したと判定することは、速度及び/又は位置推定アルゴリズムの使用によって実行することができる。9軸IMUが使用される実施形態において、速度及び/又は位置推定アルゴリズムは、加速度計/ジャイロスコープ信号に加えて磁力計からの信号を使用して初期状態を判定することができる。複数の実施形態において、速度及び/又は位置アルゴリズムは、Madgwickフィルタを含む。速度及び/又は位置推定アルゴリズムは、ソフトウェア若しくはハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)を使用して実装することもできるし、又は、ハードウェアとソフトウェアとの組合せを用いて実装することもできる。速度及び/又は位置推定アルゴリズムは、本明細書に記載された様々な方法において使用することができる。
【0055】
IMUは、適切に補正されない限り得られた計算結果に誤りを発生させる可能性がある、ノイズ及び/又はバイアス及び/又はドリフトを伴い得る。例えば、ジャイロスコープ信号は、時間経過に伴ってドリフトし、加速度計は、重力によってバイアスをかけられ得るし、これらは両方とも、ノイズを伴う。複数の実施形態において、フィルタリング、例えばハイ及び/若しくはローパスフィルタ並びに/又はメジアンフィルタを使用してIMU信号中のノイズの一部を除去する。複数の実施形態において、加速度計信号とジャイロスコープ信号とをマージする一方で、ジャイロスコープの測定誤差の大きさを推定誤差の方向又は最も急な方向で取り除くことにより、ジャイロスコープのドリフトを補正するためにMadgwickフィルタが使用される。Madgwickフィルタの出力は、デバイスに方位を与える世界基準の方位クォータニオン又はMadgwickクォータニオン。このクォータニオンは、加速度信号を世界基準系又は地球基準系に対して回転させるために使用される。加速度を回転させたら、各軸にかかる重力の引力の比率を計算して取り除く。これにより、線形/運動加速度が得られ、線形/運動加速度を積分して速度を得、次いで速度を積分して位置を得る。これらの信号を積分するたびに、このようなバイアス及び/又はドリフトに起因する残存の誤差が増大する。したがって、このような誤差は、速度又は位置の測定に関しては特に問題となり得る。速度のドリフトを補償した後で速度を積分して位置を得ることにより、測定値の精度を高める。速度及び位置の測定値は、3つすべての軸について個別に測定値であってもよいし、又は、速度及び位置の測定値を合成して速度の大きさ及び位置の大きさにすることもできる。
【0056】
他の複数の実施形態において、Madgwickフィルタの代わりに、又はMadgwickフィルタに加えて、代替的なフィルタを使用することができる。このようなフィルタの例には、カルマンフィルタ、拡張カルマンフィルタ、及び/又は、Mahonyフィルタ等の相補フィルタが挙げられる。しかしながら、Madgwickフィルタは、他のフィルタに比べて、同等のレベルの精度又は場合によってはより良好なレベルの精度を達成しながらも計算量がより少ない。これにより、Madgwickフィルタは、外部処理デバイスを必要とすることなく、ヘアスタイリング用デバイス100自体で実行することができる。これは、デバイス間でデータを転送する必要性がなくなるので、処理が外部処理データに実行される場合に比較してレイテンシーを低減する。
【0057】
複数の実施形態において、速度は、3軸IMUからの1つ又は複数の信号を処理することによって導出することができる。上記のように、このような複数の実施形態において、導出された速度に基づいて毛髪接触部材225の加熱を制御する。複数の実施形態において、毛髪接触部材225の加熱は、導出された速度に応じた率で毛髪接触部材225の動作温度を変化させる(例えば、上昇させる)ように制御される。言い換えると、毛髪接触部材225の温度変化の率は、毛髪接触部材225が移動している速度に依存し得る。例えば、温度上昇(又は「昇温」)の速度は、毛髪接触部材225が比較的素早く移動していると判定された場合には比較的急速であり得、毛髪接触部材225が比較的ゆっくり移動していると判定された場合には比較的緩やかであり得る。これにより、毛束に沿った熱分配のより細かい制御を可能にし、及び/又は、ヘアスタイリング用デバイス100をユーザーの挙動に適合させることができる。複数の実施形態において、毛束に沿った熱供給プロファイルは、導出された速度に依存する。
【0058】
複数の実施形態において、機械学習モデル等の速度及び/又は位置推定アルゴリズムを使用して、センサ出力を処理する。複数の実施形態において、加速度計を備える3軸IMUは、機械学習モデルと組み合わせて使用される。例えば、毛髪接触部材225が毛束に沿って移動していると判定すること、第1の端部からの毛髪接触部材225の変位を導出すること、及び/又は毛髪接触部材225の速度を導出することは、機械学習モデルの使用によって実行され得る。
【0059】
3軸IMUが使用される実施形態において、機械学習モデルは、3軸IMUからの信号を使用して初期状態を判定することができる。複数の実施形態において、機械学習モデルは、一般化非線形回帰アルゴリズム(ガウシアンカーネル回帰及びニューラルネットワーク等)を使用して訓練されてきた。機械学習モデル用の訓練データは、ヘアスタイリング用デバイス100の過去の使用からの3軸IMUデータと、グラウンドトゥルースソース、例えばViconモーションキャプチャシステムからの目標データとを一緒に使用する。グラウンドトゥルースソースからの目標データは、代替的なシステムを使用して取り込むことができることは理解されよう。機械学習モデルは、ソフトウェア若しくはハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)を使用して実装することもできるし、又はハードウェアとソフトウェアとの組合せを使用して実装することもできる。機械学習モデルは、本明細書に記載された様々な方法において使用することができる。
【0060】
上記のように、IMU(3軸IMU等)は、適切に補正されない限り得られる計算結果に誤りを発生させる可能性がある、ノイズ、バイアス及び/又はドリフトを伴い得る。例えば、加速度計は、重力によってバイアスをかけられ得るし、加速度計信号は、ノイズを伴い得る。複数の実施形態において、加速度計信号のノイズの少なくとも一部は、フィルタリング、例えばハイ及び/若しくはローパスフィルタ並びに/又はメジアンフィルタを使用して取り除かれる。
【0061】
複数の実施形態において、ローパスフィルタを3軸IMUの各信号出力に適用して、ノイズを取り除く。次いで、各信号を合成して単一の信号出力にする。次いで、重力による単一の信号出力にかかる力の比率を計算し、信号出力から差し引いて、加速度の大きさを得る。
【0062】
次いで、事前に訓練済みの機械学習モデルを加速度の大きさに適用する。
【0063】
上記機械学習モデルを使用して、先述したように訓練されてきた機械学習モデルの使用によって加速度の大きさを速度の大きさに変換するのと同時に、ノイズ、バイアス及び速度ドリフト等のドリフトを補正する。複数の実施形態において、機械学習モデルは、ヘアスタイリング用デバイスの過去の使用において提供された運動加速度の大きさの訓練データと、グラウンドトゥルースソース、例えばViconモーションキャプチャシステムからの、速度の大きさのグラウンドトゥルースデータとを用いて訓練される。
【0064】
複数の実施形態において、スライディングウィンドウアルゴリズムを使用して、好ましい複数の実施形態においては20のサンプルポイントからなる機械学習モデル用の入力データを同時に生成する。その際、計算された速度の20番目のサンプルポイントについては、この20番目のサンプルポイントと、運動加速度の大きさの入力データのうちの先行する19のサンプルポイントとを考慮した機械学習モデルによってドリフトが補償される。しかしながら、機械学習モデルへの入力データとして、異なる数のサンプルポイントを使用することができることは理解されよう。この点に関して、機械学習モデルは、3軸IMUに関連するノイズ、バイアス及び/又はドリフトを補正及び/又は補償することができる。
【0065】
代替的な一実施形態において、ローパスフィルタを3軸IMUの各信号出力に適用する。次いで、3つの信号出力はそれぞれ別々に処理される。次いで、各信号における力の比率を計算し、信号出力のそれぞれから差し引いて、3つの加速度の大きさ(1つの軸につき1つの加速度の大きさ)を得る。次いで、上記の事前に訓練済みの機械学習モデルを加速度の大きさのそれぞれに個別に適用する。同様に、スライディングウィンドウアルゴリズムを適用して、機械学習モデルのための入力を生成することができる。言い換えると、機械学習モデル及びスライディングウィンドウアルゴリズムは、各軸に個別に適用することができる。
【0066】
複数の実施形態において、速度を積分して位置及び/又は変位を得る。計算された速度においてはドリフトが補償されているので、位置及び/又は変位をより高精度に導出することができる。
【0067】
したがって、3軸IMUと組み合わせた機械学習モデルを使用して、速度ドリフトを補償し、ヘアスタイリング用デバイスの速度、位置及び/又は変位を導出することができる。
【0068】
複数の実施形態において、ヘアスタイリング用デバイス100は、ユーザーとデバイス100との効率的で容易な対話を容易化するためのユーザーインターフェース240を備える。ユーザーインターフェース240は例えば、オーディオ及び/又は視覚的インターフェースを備えることができる。複数の実施形態において、ユーザーインターフェース240は、ディスプレイ(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)を備える。複数の実施形態において、ユーザーインターフェース240は、スピーカー等のオーディオ出力デバイスを備える。制御部210は、ユーザーインターフェース240を制御するように動作可能であり、例えば、ユーザーインターフェース240により、ユーザーのための出力を提供するように動作可能である。一部の実施形態において、制御部210は、例えばユーザーインターフェース240を介したユーザーの入力に基づいてデータを受信するように動作可能である。
【0069】
複数の実施形態において、ヘアスタイリング用デバイス100は、メモリ250を更に備える。メモリ250は、複数の実施形態による様々なデータを記憶するように動作可能である。メモリは、少なくとも1つの揮発性メモリ、少なくとも1つの不揮発性メモリ及び/又は少なくとも1つのデータ記憶装置を備えることができる。揮発性メモリ、不揮発性メモリ及び/又はデータ記憶装置は、制御部210による使用又は実行のためのコンピュータ読取り可能な情報及び/又は命令を記憶するように構成され得る。メモリ250は、1人のユーザーに固有のデータ又は複数の異なるユーザーに関するデータを記憶することができ、これにより、デバイス100を使用するときにユーザーの体験を改善することができる。
【0070】
代替的な複数の実施形態において、ヘアスタイリング用デバイス100は、より多い構成要素、より少ない構成要素及び/又は異なる構成要素を備えることができる。特に、
図1A、
図1B及び/又は
図2に示されたヘアスタイリング用デバイス100の構成要素の少なくとも一部は、一部の実施形態において省略され得る(例えば、必要とされないこともある)。例えば、一部の実施形態において、発熱体220、開閉機構227、ユーザーインターフェース240及びメモリ250のうちの少なくとも1つを省略することができる。一部の実施形態において、ヘアスタイリング用デバイス100は、移動可能な(例えば、旋回可能な)アーム110、120を備えない。
【0071】
複数の実施形態において、制御部210は、少なくとも1つのセンサ225が状態変化を感知したときに毛髪接触部材225の加熱を開始するように構成される。複数の実施形態において、毛髪接触部材225は、少なくとも1つのセンサ230が状態変化を感知したときに直ちに加熱され始める。複数の実施形態において、制御部は、所定の時間遅延の後に毛髪接触部材225の加熱を開始するように構成される。複数の実施形態において、時間遅れは、最大約2秒、例えば約0.5秒である。
【0072】
複数の実施形態において、制御部210は、所定の率で毛髪接触225部材を加熱するように構成される。複数の実施形態において、所定の率は、約10℃/秒~40℃/秒、例えば約20℃/秒である。複数の実施形態において、毛髪接触部材225は、約160~210℃、例えば約185℃の所定動作温度に加熱される。
【0073】
複数の実施形態において、所定長さの時間、所定の率、所定の時間遅延及び所定動作温度のうちの少なくとも1つは最初に、デフォルト値に設定される。複数の実施形態において、所定の率、所定の時間遅延又は所定動作温度のうちの少なくとも1つは最初に、製造者によって設定される。複数の実施形態において、所定の率、所定の時間遅延又は所定動作温度のうちの少なくとも1つは、ユーザー設定可能である。複数の実施形態において、例えばユーザーが製造者によって設定されたデフォルト値を上書きしたい場合、ユーザーは、ユーザーインターフェースを使用して所定の率、所定の時間遅延又は所定動作温度を入力し、調整することができる。
【0074】
複数の実施形態において、少なくとも1つのセンサ230は、ヘアスタイリング用デバイス100の移動に応じて信号を出力するように構成され、制御部210は、出力された信号を少なくとも1つのセンサ230から受信し、どのようにユーザーがヘアスタイリング用デバイスを動作させるのかに関連付けられた1つ又は複数のユーザー操作パラメータを特定し、特定された1つ又は複数のユーザーパラメータに基づいて、所定長さの時間、所定の率、所定の時間遅延及び所定動作温度のうちの少なくとも1つの適合を行うように構成される。これは、ユーザーの体験を改善し、例えば、ユーザーが毛髪のスタイリングを開始するときまでにデバイス100が適切な動作温度に到達することを確実にし、及び、ユーザーが使用しているスタイリングアクションに動作温度が適することを確実にする。これは、デバイス100が必要より長い間動作温度に保持されるのを回避することによって、デバイス100のランタイムを改善することもできる。
【0075】
複数の実施形態において、出力された信号は、デバイス100が毛髪をカールさせる又はまっすぐにするために使用されているか否かの指標を提供する。複数の実施形態において、ユーザー操作パラメータは、実行されているスタイリングの種類の指標を提供する。複数の実施形態において、制御部210は、毛髪接触部材225を異なる温度に加熱又は冷却することによって実行されているスタイリングの種類に依存して動作温度を適合させる。これは、不適切な動作温度の使用によってユーザーが毛髪にダメージを与えることを回避することができ、デバイスの性能の改善に役立ち得る。複数の実施形態において、出力された信号は、ユーザーが毛束をスタイリングするのに要した時間の長さの指標を提供する。複数の実施形態において、出力された信号は、ユーザーがデバイス100を手に取ってから毛束のスタイリングを開始するまでの時間の指標を提供する。複数の実施形態において、制御部210は、ユーザーがデバイスを手に取ってから毛束のスタイリングを開始するまでの時間を示す時間的パラメータを特定する。複数の実施形態において、制御部210は、将来の使用のためにこの時間的パラメータを記憶する。複数の実施形態において、制御部は、ユーザーがデバイスを手に取ってから毛束のスタイリングを開始するまでの時間に応じて所定の率を適合させ、及び/又は、所定動作温度を適合させる。複数の実施形態において、出力された信号は、毛髪接触部材225が毛束と接触している時間の長さ及び/又は毛束に沿って毛髪接触部材225を移動させる速度の指標を提供する。複数の実施形態において、制御部210は、毛髪接触部材225が毛束と接触している時間の長さ及び/又は毛束に沿って毛髪接触部材225を移動させる速度に基づいて所定動作温度を適合させる。
【0076】
複数の実施形態において、制御部210は、複数の各ユーザーに固有の、1つ又は複数のユーザー操作パラメータを特定するように構成され、適合は、各ユーザー固有のユーザ操作パラメータに基づいて実行される。これにより、複数の異なるユーザーがデバイス100を使用すること、及び、これらのユーザーのそれぞれのためにデバイスが効率的に動作することを確実にすることができる。複数の実施形態において、デバイス100は、ユーザーの識別情報を示す入力をユーザーから受信する。複数の実施形態において、少なくとも1つのセンサ230は、ユーザーの識別情報の指標を提供する信号を出力する。複数の実施形態において、制御部210は、ユーザーの識別情報の指標を提供する信号を少なくとも1つのセンサ230から受信し、制御部210は、前述のユーザーに関連付けられたパラメータを特定する。複数の実施形態において、制御部210は、ユーザーがデバイス100を手に取ってから毛束のスタイリングを開始するまでの時間を示すユーザー固有時間的パラメータを特定する。複数の実施形態において、制御部210は、将来の使用のためにこのユーザー固有時間的パラメータを記憶する。
【0077】
複数の実施形態において、ユーザーインターフェース240により、ユーザーは、ユーザーの識別情報を入力することができる。これに応答して、複数の実施形態において、制御部210は、前述のユーザーに関連付けられた既知のユーザー固有時間的パラメータパラメータに基づいて動作温度及び/又は加熱速度を調整する。
【0078】
複数の実施形態において、デバイス100は、ユーザーの電子デバイスに無線接続され、デバイス100は、電子デバイスを介してユーザーの識別情報を示す入力をユーザーから受信することができる。
【0079】
複数の実施形態において、特定された1つ又は複数のユーザー操作パラメータは、時間的パラメータ、空間的パラメータ及び熱的パラメータのうちの1つ又は複数を含む。
【0080】
複数の実施形態において、少なくとも1つのセンサ230は、移動している第2の状態から静止した第1の状態へのデバイス100の状態変化を感知するように構成され、制御部210は、少なくとも1つのセンサ230が第2の状態から第1の状態への状態変化を感知したことに応答して、毛髪接触部材225の加熱を禁止し、これにより、毛髪接触部材225を所定動作温度未満に冷却させるように構成される。
【0081】
複数の実施形態において、毛髪接触部材225の加熱を禁止することは、毛髪接触部材225への電力の供給を防止することを含む。複数の実施形態において、毛髪接触部材225の加熱を禁止することは、発熱体への電力の供給を防止することを含む。複数の実施形態において、毛髪接触部材225は、待機温度まで冷える。複数の実施形態において、制御部は、毛髪接触部材225を待機温度に維持する。待機温度は、約50~150℃であり得る。複数の実施形態において、毛髪接触部材225は、室温まで冷え得る。
【0082】
図2に示された実施形態において、少なくとも1つのセンサ230は、ユーザーがデバイスを手に取ったときを感知するように構成されたタッチセンサ237を備え、制御部210は、タッチセンサ237がデバイスがユーザーによって保持されていないことを感知したことに応答して、所定動作温度への毛髪接触部材の加熱を防止するように構成される。
図2に示された実施形態において、少なくとも1つのセンサは、パスが開始して完了したときを感知するように構成された近接センサ236を備える。
【0083】
複数の実施形態において、デバイス100は、1つ又は複数の環境条件を感知するように構成された少なくとも1つの他のセンサを備え、制御部210は、感知された環境条件に更に基づいて毛髪接触部材225を所定動作温度に加熱するように構成される。複数の実施形態において、制御部210は、1つ又は複数の環境条件の指標を提供する信号を少なくとも1つの他のセンサ239から受信する。複数の実施形態において、制御部210は、1つ又は複数の環境条件に基づいて所定動作温度及び/又は所定加熱速度を適合させる。
図2に示された実施形態において、デバイス100は、温度センサ239を備え、温度センサ239は、デバイス100を動作させている部屋の温度の指標を提供する信号を出力する。複数の実施形態において、制御部210は、デバイス100を動作させている部屋の温度の指標を提供する信号を受信し、室温に基づいて所定動作温度及び/又は所定の率を適合させる。
【0084】
複数の実施形態において、デバイス100は、湿度センサを備え、湿度センサは、デバイスを動作させている部屋の湿度レベルの指標を提供する信号を出力する。複数の実施形態において、制御部210は、デバイスを動作させている部屋の湿度レベルの指標を提供する信号を受信し、湿度レベルに基づいて所定動作温度及び/又は所定の率を適合させる。
【0085】
複数の実施形態において、デバイス100は、ユーザーからの入力を受信するように構成される。複数の実施形態において、ユーザーは、ユーザーインターフェース240を使用して、又はヘアスタイリング用デバイス100に無線接続された電子デバイスを使用して希望通りの動作温度を入力することができる。複数の実施形態において、ユーザーは、希望通りの加熱速度を入力することができる。複数の実施形態において、ユーザーは、所期のスタイリングアクションを入力することができ、この入力に応答して、制御部210は、動作温度及び/又は加熱速度を変更することができる。複数の実施形態において、ユーザーの入力は、所定動作温度及び/又は加熱速度を上書きすることができる。
【0086】
複数の実施形態において、ユーザーは、ユーザーインターフェース240又は無線接続された電子デバイスを使用してユーザーの識別情報の指標を入力することができ、この指標に応答して、制御部210は、前述のユーザーに関連付けられた既知のパラメータに基づいて動作温度及び/又は加熱速度を調整することができる。
【0087】
複数の実施形態において、デバイス100は、インターフェースのユーザー240又は無線接続された電子デバイスを介してユーザーの識別情報を示す入力をユーザーから受信することができる。複数の実施形態において、制御部210は、ユーザーの識別情報を、ユーザーに関連付けられた記憶されたパラメータと関連付け、制御部は、動作温度及び/又は加熱速度を変更することができる。
【0088】
複数の実施形態において、デバイス100は、ヘアカーラーを含む。他の複数の実施形態において、ヘアカーラーは、曲がったプレート又はバレルを含む。ヘアカーラーは、毛髪接触可能面を備える加熱可能なバレル又は曲がったプレートの形態の毛髪接触部材を備え得る。毛髪接触可能面は、曲がったセラミック又は金属表面であり得る。毛髪接触可能面は、加熱可能なバレル又は曲がったプレートの外面であり得る。複数の実施形態において、ヘアカーラーは、毛束を毛髪接触可能面に留めるための多関節アームを備える。複数の実施形態において、毛束は、毛髪接触可能面に巻き付けられ得る。
【0089】
図3は、複数の実施形態によるヘアスタイリング用デバイスを動作させる方法300を示す。方法300を使用して、
図1A、
図1B及び
図2を参照しながら上述したヘアスタイリング用デバイス100を動作させることができる。
図3の実施形態において、ヘアスタイリング用デバイス100は、毛髪接触可能面116、126を有する加熱可能な毛髪接触部材225を備える。毛髪接触部材225は、毛髪接触可能面116、126を介してユーザーの毛束に熱を加えるように動作可能である。複数の実施形態において、方法300は少なくとも部分的に、制御部210によって実行される。
【0090】
ステップ310において、ユーザーがデバイスを移動させて静止した第1の状態から移動している第2の状態にしたことに応答して、センサ230の信号が生成される。ステップ320において、制御部210において、センサ230の信号を処理してデバイス100が使用中であると判定する。ステップ330において、デバイスが使用中であると判定したことに応答して、検出された状態変化の後、所定長さの時間だけ、加熱可能な毛髪接触部材225を所定動作温度に加熱する。
【0091】
複数の実施形態において、デバイスを最初に使用するときに、所定動作温度及び所定長さの時間は、製造者によって設定されたデフォルト設定である。複数の実施形態において、ユーザーがデバイス100を使用して毛髪をスタイリングするときに、制御部210は、ユーザーに関連付けられた時間的パラメータを示す信号をIMUセンサ235から受信する。複数の実施形態において、時間的パラメータは、所与のユーザーについて、ユーザーがデバイス100を移動させてから毛髪のスタイリングを開始するまでの時間又は平均時間を示す。複数の実施形態において、制御部210は、このパラメータに基づいて所定長さの時間又は加熱速度を適合させる。
【0092】
複数の実施形態において、制御部210は、デバイス100が移動していることを示すセンサ信号をIMU235センサから受信する。複数の実施形態において、制御部210は更に、デバイス100がユーザーによって保持されていることを示す信号をタッチセンサ237から受信する。複数の実施形態において、制御部210が、デバイス100が移動していることを示す信号をIMUセンサ235から受信したが、タッチセンサ235が、デバイス100がユーザーによって保持されていないことを示す場合、加熱可能な毛髪接触部材225は加熱されない。
【0093】
複数の実施形態において、ユーザーがデバイス1を使用して毛髪のスタイリングを開始するとき、IMU235センサは、前述のユーザーがデバイス100を使用していることと、スタイリングアクションとを示す信号を出力する。制御部210は、IMU235センサからセンサ信号を受信し、加熱可能な毛髪接触部材225に電力を供給する。複数の実施形態において、加熱可能な毛髪接触部材は、スタイリングアクションに適した温度に加熱される。複数の実施形態において、IMUセンサ235は更に、ユーザーがデバイスを移動させてからスタイリングを開始するまでの時間を示す第2の信号を出力する。複数の実施形態において、近接センサ236は、パスが開始したことを示す第3の信号を出力する。複数の実施形態において、制御部210は、第2の信号を受信し、時間的パラメータをユーザーと対応付ける。複数の実施形態において、制御部は第3の信号を受信し、この第3の信号を使用して時間的パラメータをユーザーと対応付ける。複数の実施形態において、時間的パラメータは、将来の参照のために制御部210によって記憶される。複数の実施形態において、制御部210は、この時間的パラメータに応答して発熱体の加熱速度を適合させる。
【0094】
複数の実施形態において、パスが完了したときに、制御部210は、毛髪接触部材225が毛束と接触していないことを示す信号を近接センサ236から受信する。複数の実施形態において、ユーザーが毛髪のスタイリングを完了させてデバイスを下に置いたとき、IMUセンサ235は、ストレートヘアアイロン100が静止した第1の状態に戻ったことを感知する。制御部210は、ストレートヘアアイロン1が静止状態に戻ったことを示す信号をIMUセンサ235から受信する。複数の実施形態において、IMUセンサ235から信号を受信したことに応答して、制御部210が加熱可能な毛髪接触部材225への電力の供給を停止し、加熱可能な毛髪接触部材225が冷える。複数の実施形態において、近接センサ236から信号を受信したことに応答して、制御部210が加熱可能な毛髪接触部材225への電力の供給を停止し、加熱可能な毛髪接触部材225が冷える。複数の実施形態において、加熱可能な毛髪接触部材225は、室温まで冷える。
【0095】
複数の実施形態において、制御部210は更に、デバイス100が使用されている部屋の現在の温度を示す信号を温度センサ239から受信する。複数の実施形態において、制御部100は更に、部屋の湿度レベルを示す信号を湿度センサから受信する。複数の実施形態において、制御部210は、室温及び/又は湿度レベルに基づいて動作温度及び加熱速度を適合させる。
【0096】
複数の実施形態において、次回ユーザーがデバイス100を使用して毛髪のスタイリングを開始するときに、制御部210は、記憶された時間的パラメータを使用して、デフォルト速度ではなくユーザーに適合させた速度で加熱可能な毛髪接触部材255を加熱する。複数の実施形態において、この機会にIMUセンサ235がユーザーが異なるスタイリングアクション(例えば、加熱ではなくカーリング)を実行するためにデバイスを使用していることを感知した場合、制御部210はIMUセンサ235から信号を受信し、加熱可能な毛髪接触部材225を、スタイリングアクションに適した温度である異なる動作温度に加熱又は冷却する。複数の実施形態において、IMUセンサ235は、ユーザーがデバイス100を移動させてから、新たなスタイリングアクションを使用して毛髪のスタイリングを開始するまでの時間を鑑定する。複数の実施形態において、IMUセンサ235は、新たな信号を制御部210に出力する。複数の実施形態において、制御部210が、前述のユーザーがデバイス100を手に取ってから異なるスタイリングアクションを使用して毛髪のスタイリングを開始するまでに異なる長さの時間を要すると判定した場合、制御部210は、ユーザーがこの異なるスタイリングアクションを使用しているときに、ユーザーに関連付けられた第2のパラメータを特定する。複数の実施形態において、この第2のパラメータは、将来の使用のために制御部210によって記憶される。
【0097】
複数の実施形態において、デバイス100を使用したスタイリングを開始する前に、ユーザーは、ユーザーインターフェース240を使用してユーザーの識別情報を入力する。複数の実施形態において、ユーザーがデバイス100を使用して毛髪をスタイリングするときに、制御部210は、ユーザーがデバイス100を移動させてから毛束のスタイリングを開始するまでの時間又は平均時間を示す信号をIMUセンサ235から受信する。複数の実施形態において、制御部210は、時間的パラメータを特定されたユーザーと対応付ける。複数の実施形態において、制御部210は、将来の使用のためにこのパラメータを記憶する。
【0098】
複数の実施形態において、異なる第2のユーザーがデバイス100を使用して毛髪をスタイリングしようとする場合、ユーザーは、スタイリングを開始する前にユーザーインターフェース240を使用してユーザーの識別情報を入力する。複数の実施形態において、IMUセンサ235が第2のユーザーがデバイスを移動させてから毛髪のスタイリングを開始するまでに異なる長さの時間を要することを感知した場合、IMUセンサ235は、第2の信号を制御部に出力する。複数の実施形態において、制御部は、第2のユーザーに関連付けられた異なる第2の時間的パラメータを特定する。複数の実施形態において、この第2のパラメータは、将来の使用のために記憶される。
【0099】
複数の実施形態において、将来の機会に第1のユーザーと第2のユーザーのいずれかがデバイス100を使用して毛髪をスタイリングする場合、スタイリングを開始する前に、ユーザーは、ユーザーインターフェース240を介してユーザーの識別情報をデバイス100に入力することができる。複数の実施形態において、制御部210が、ユーザーが既知のユーザーであることを認識し、制御部210が、ユーザーに関連付けられた記憶されたパラメータを有する場合、制御部210は、前述のユーザーに関連付けられた特定された時間的パラメータを使用して、前述のユーザーに適するように加熱可能なプレートの加熱速度を調整する。
【0100】
本開示の複数の実施形態において、ヘアスタイリング用デバイス100は、制御部210を備える。制御部210は、本明細書に記載された様々な方法を実行するように構成される。複数の実施形態において、制御部は、処理システムを備える。このような処理システムは、1つ又は複数のプロセッサ及び/又はメモリを備えることができる。本明細書に記載された例のいずれかとの関連で記述された各デバイス、構成要素又は機能、例えば少なくとも1つのセンサ230、ユーザーインターフェース240も同様にプロセッサを備えることができ、又はプロセッサを備える装置に備えられ得る。本明細書に記載された実施形態の1つ又は複数の態様は、装置によって実行されるプロセスを含む。一部の例において、装置は、これらのプロセスを実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサを備える。この点に関して、複数の実施形態は少なくとも部分的に、(非一時的な)メモリに記憶されてプロセッサ、又はハードウェア、又は有形物に記憶されたソフトウェアとハードウェア(及び有形物に記憶されたファームウェア)との組合せによって実行可能なコンピュータソフトウェアによって、実装することができる。複数の実施形態は、上記実施形態を実践するために適合させたコンピュータプログラム、特に、キャリア上又はキャリア内のコンピュータプログラムにも及ぶ。プログラムは、非一時的なソースコード、オブジェクトコード、又は、複数の実施形態によるプロセスの実装における使用に適した任意の他の非一時的な形態の形態であり得る。キャリアは、RAM、ROM又は光メモリデバイス等、プログラムを運ぶことが可能な任意のエンティティ又はデバイスであり得る。
【0101】
処理システムの1つ又は複数のプロセッサは、中央処理装置(CPU)を備えることができる。1つ又は複数のプロセッサは、グラフィックスプロセシングユニット(GPU)を備えることができる。1つ又は複数のプロセッサは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)又はコンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)の1つ又は複数を備えることができる。1つ又は複数のプロセッサは、特定用途向け集積回路(ASIC)を備えることができる。当業者ならば、提供された例に加えて、数多くの他の種類のデバイスが1つ又は複数のプロセッサを用意するために使用され得ることは理解されよう。1つ又は複数のプロセッサは、同じ場所に配置された複数のプロセッサ又は異なる場所に配置された複数のプロセッサを備えることができる。1つ又は複数のプロセッサによって実行される演算は、ハードウェア、ファームウェア及びソフトウェアのうちの1つ又は複数によって実行することができる。処理システムが、記述された構成要素より多い、記述された構成要素より少ない、及び/又は記述された構成要素と異なる構成要素を備えることができることは理解されよう。
【0102】
本明細書に記載された技法は、ソフトウェア若しくはハードウェアに実装することもできるし、又は、ソフトウェアとハードウェアとの組合せを用いて実装することもできる。本明細書に記載された技法は、本明細書に記載された技法のいずれか又はすべてを実行及び又は支援するための装置を構成することを含み得る。図面を参照しながら本明細書において記述された例の少なくとも一部の態様は、処理システム又はプロセッサにおいて実行されるコンピュータプロセスを含むが、本明細書において記述された例は、これらの例を実践するために適合させたコンピュータプログラム、例えば、キャリア上又はキャリア内のコンピュータプログラムにも及ぶ。キャリアは、プログラムを実行することが可能な任意のエンティティ又はデバイスであり得る。キャリアは、コンピュータ読取り可能なストレージメディアを備えることができる。コンピュータ読取り可能な有形のストレージメディアの例には、限定されるわけではないが、光学媒体(例えば、CD-ROM、DVD-ROM又はブルーレイ)、フラッシュメモリカード、フロッピーディスク若しくはハードディスク、又は、ファームウェア又はマイクロコード等のコンピュータ読取り可能な命令を少なくとも1つのROM若しくはRAM又はプログラマブルROM(PROM)チップに記憶することが可能な任意の他の媒体が挙げられる。
【0103】
上記の記述において、公知の、明白な又は予見可能な等価物を有する整数又は要素が言及される場合、そのような等価物は、個別に記載された場合と全く同じように本明細書に組み込まれる。特許請求の範囲への言及は、前述のあらゆる等価物を包摂するように解されるべき本開示の真の範囲を決定するという目的でなされるべきである。好ましいもの、有利なもの又は好都合なもの等として記載された本開示の整数又は特徴は任意選択によるものであり、独立請求項の範囲を限定しないことも読者は理解されよう。更に、前述の任意選択による整数又は特徴は、本開示の一部の実施形態においては利益があり得るものであるが、望ましくない場合もあり、したがって、他の複数の実施形態においては存在しないこともあることを理解すべきである。