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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】SGLT阻害剤中間体の合成方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/79 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
C07D307/79
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023515818
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 CN2020114471
(87)【国際公開番号】W WO2022051980
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】513074792
【氏名又は名称】デーウン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】黄 志▲寧▼
(72)【発明者】
【氏名】叶 ▲偉▼平
(72)【発明者】
【氏名】周 章涛
(72)【発明者】
【氏名】王 俊敬
(72)【発明者】
【氏名】尹 羲均
(72)【発明者】
【氏名】崔 智洙
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-515396(JP,A)
【文献】特表2019-521985(JP,A)
【文献】国際公開第2020/036382(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 307/79
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の段階を含む下記構造の化合物2の製造方法:
【化1】
-1)原料である2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミンを臭化試薬で選択的-ジブローム化反応させて4,6-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミンを得る段階;
1-2)前記段階1-1)で得た4,6-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミンをザンドマイヤー反応で塩素化させて4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフランを得る段階;
2-1)前記段階1-2)で得た4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフランを強塩基を利用して選択的に脱臭化した後、4-シクロプロピルベンズアルデヒドと反応させて化合物2を得る段階。
【請求項2】
前記段階1-1)で、前記臭化試薬は、臭素、N-ブロモスクシンイミド(NBS)及ジブロモヒダントインのうち少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択的-ジブローム化は、10℃~20℃範囲の反応温度で行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記段階1-2)で、ザンドマイヤー反応に用いられる試薬は、塩酸/亜硝酸ナトリウム/塩化第1銅システム、亜硝酸イソアミル/塩化第2銅システム及び亜硝酸tert-ブチル/塩化第2銅システムのうち少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記2-1)段階で、強塩基は、n-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム又はイソプロピルマグネシウムクロリドから選択される少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記段階1-1)は、ジブローム化後に濾過し、水と酢酸エチルの混合溶媒に濾過物(filter cake)を添加した後に水酸化ナトリウム溶液を滴加してpHを8~10範囲に調節し、有機層を分離して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、残渣を減圧濃縮して4,6-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミンを得る段階を含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記段階1-2)は、反応フラスコに4,6-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミンと濃い塩酸(concentrated hydrochloric acid)を入れて0℃~5℃まで冷却させ;恒温を維持しながら亜硝酸ナトリウム溶液を滴加し;滴加後、一定の温度を維持しながら20~60分間反応させ;引き続き、塩化第1銅をバッチ(batches)に添加して室温で1-3時間の間反応させ;酢酸エチルで抽出して、有機層を水酸化ナトリウム溶液で洗浄した後に濃縮して粗生成物を得て;粗生成物を分離及び精製して4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフランを得ることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記段階2-1)は、4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフランとテトラヒドロフランを反応フラスコに入れて窒素保護下で-30℃に冷却させ;テトラヒドロフランにイソプロピルマグネシウムクロリドを滴加した後、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムを滴加し;滴加後、一定の温度を維持しながら20~60分間撹拌し;その後、一定の温度を維持しながらテトラヒドロフランに4-シクロプロピルベンズアルデヒドを滴加し;滴加後、恒温を維持しながら20~60分間継続反応させ;反応液を塩酸に入れて酢酸エチルで抽出した後に有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ;及び濃縮、分離及び精製して化合物2を収得することを含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項9】
次の段階を含む下記構造の化合物1の製造方法:
【化2】
-1)原料である2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミンを臭化試薬で選択的-ジブローム化反応させて4,6-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミンを得る段階;
1-2)前記段階1-1)で得た4,6-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミンをザンドマイヤー反応で塩素化させて4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフランを得る段階;
1-3)前記段階1-2)で得た4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフランを強塩基を利用して選択的に脱臭化した後、ホルミル化試薬を添加して化合物1を得る段階。
【請求項10】
前記段階1-1)で、前記臭化試薬は、臭素、N-ブロモスクシンイミド(NBS)及ジブロモヒダントインのうち少なくとも一つであることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記選択的-ジブローム化は、10℃~20℃範囲の反応温度で行われることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記段階1-2)で、ザンドマイヤー反応に用いられる試薬は、塩酸/亜硝酸ナトリウム/塩化第1銅システム、亜硝酸イソアミル/塩化第2銅システム及び亜硝酸tert-ブチル/塩化第2銅システムのうち少なくとも一つであることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記段階1-3)で、強塩基は、n-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム及びイソプロピルマグネシウムクロリドのうち少なくとも一つであることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記段階1-3)で、ホルミル化試薬は、N,N-ジメチルホルムアミド、N-ホルミルモルホリン及びギ酸エチル(ethyl formate)のうち一つであることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記段階1-1)は、ジブローム化後に濾過し、水と酢酸エチルの混合溶媒に濾過物(filter cake)を添加した後に水酸化ナトリウム溶液を滴加してpHを8~10範囲に調節し、有機層を分離して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、残渣を減圧濃縮して4,6-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミンを得る段階を含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項16】
前記段階1-2)は、反応フラスコに4,6-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミンと濃い塩酸(concentrated hydrochloric acid)を入れて0℃~5℃まで冷却させ;恒温を維持しながら亜硝酸ナトリウム溶液を滴加し;滴加後、一定の温度を維持しながら20~60分間反応させ;引き続き、塩化第1銅をバッチ(batches)に添加して室温で1-3時間の間反応させ;酢酸エチルで抽出して、有機層を水酸化ナトリウム溶液で洗浄した後に濃縮して粗生成物を得て;粗生成物を分離及び精製して4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフランを得ることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項17】
前記段階1-3)段階は、反応フラスコに4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン及びテトラヒドロフランを投入した後、窒素保護下でテトラヒドロフランにイソプロピルマグネシウムクロリドを滴加し;滴加後、一定の温度を維持しながら0.5~1.5時間の間撹拌し;その後、恒温を維持しながらN,N-ジメチルホルムアミドを滴加して、恒温を維持しながら20~60分間継続反応させ;反応液を塩酸に入れて酢酸エチルで抽出した後に有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ;及び濃縮及び分離して化合物1を収得することを含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤学的中間体の有機化学的合成分野に関し、特に、独自に設計した革新的な中間体を利用してSGLT阻害剤を合成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、21世紀人類の健康を脅かす主要疾病のうちの一つである。2019年には、中国の成人1億1,600万人が糖尿病を患っており、この患者らは、さらに生命を脅かす合併症が発生する危険があると推定される。推定人口1億1,600万人のうち6500万人以上が診断を受けておらず、したがって、非常に高い危険に晒されている。全世界的に4億6,300万人の成人が糖尿病を患っていると推算され、そのうち、西太平洋地域だけでも1億6,300万人の人口がいる。
【0003】
SGLT(Sodium-glucose co-transporter)阻害剤は、ブドウ糖の小便への排泄を増加させて血糖降下効果を発揮する糖尿病の治療のための新しい種類の経口用薬物である。
【0004】
アメリカ特許公開公報第2015/0152075号には、SGLTに対する阻害活性を有するジフェニルメタン誘導体化合物が開示されており、これは、糖尿病の治療に効果的であり、スター薬物であるダパグリフロジン(dapagliflozin)に比べて動物での尿糖排出を顕著に減少させる。
【0005】
【化1】
文献に公開されたジフェニルメタン誘導体の構造式
【0006】
中国特許公開公報CN109311861Aは、下記示した経路によって前記化合物及びその主要中間体を製造する方法を開示する。
【0007】
【化2】
【0008】
前記経路によると、出発物質からジフェニルメタン誘導体まで22段階の反応が必要であり、出発物質から核心中間体化合物1及び化合物2までそれぞれ14段階及び15段階が必要であるので、全体的に複雑な工程及び高い生産費用により製薬産業の要求を満たしにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のジフェニルメタン誘導体の長い合成経路、複雑な工程及び高い生産費用の特徴と関連して、本発明は、化合物1及び化合物2の改善された製造方法を提供する。
【化3】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、次の段階を含む化合物1及び化合物2の製造方法を提供する。
【0011】
化合物1:
【0012】
段階1-1. 2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン(2,3-dihydrobenzofuran-7-amine)を原料として臭化試薬を利用して選択的ジブローム化反応(selective dibromination)を行って4,6-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン(4,6-dibromo-2,3-dihydrobenzofuran-7-amine)を得る段階;
【0013】
段階1-2. 4,6-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン(4,6-dibromo-2,3-dihydrobenzofuran-7-amine)を塩素化(chlorination)のためのザンドマイヤー反応(Sandmeyer reaction)に適用して4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン(4,6-dibromo-7-chloro-2,3-dihydrobenzofuran)を得る段階;
【0014】
段階1-3. 4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン(4,6-dibromo-7-chloro-2,3-dihydrobenzofuran)で選択的に強塩基を利用して臭素を選択的に除去した後、ホルミル化試薬(formylation reagent)を添加して化合物1を得る段階。
【0015】
合成経路は、次の通りである。
【0016】
【化4】
【0017】
化合物2:
【0018】
段階2-1. 4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフランで強塩基を利用して臭素を選択的に除去した後、4-シクロプロピルベンズアルデヒドと反応させて化合物2を得る段階。
【0019】
合成経路は、次の通りである。
【0020】
【化5】
【0021】
ここで、段階1-1で臭化試薬は、臭素(bromine)、N-ブロモスクシンイミド(N-bromosuccinimide、NBS)、ジブロモヒダントイン(dibromohydantoin)のうち一つ、好ましくは、N-ブロモスクシンイミドを含む。前記選択的-ジブローム化は、10℃~20℃範囲の反応温度で行われてもよい。
本発明の一つの実施態様において、前記段階1-1は、ジブローム化後に濾過し、水と酢酸エチルの混合溶媒に濾過物(filter cake)を添加した後に水酸化ナトリウム溶液を滴加してpHを8~10範囲に調節し、有機層を分離して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、残渣を減圧濃縮して4,6-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミンを得る段階を含んでも良い。
【0022】
また、段階1-2で、ザンドマイヤー反応に用いられる試薬は、塩酸、亜硝酸ナトリウム(sodium nitrite)及び塩化第1銅システム、亜硝酸イソアミル(isoamyl nitrite)及び塩化第2銅システム及び亜硝酸tert-ブチル(tert-butyl nitrite)及び塩化第2銅システムのうち一つを含む。
本発明の一つの実施態様において、前記段階1-2は、反応フラスコに4,6-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミンと濃い塩酸(concentrated hydrochloric acid)を入れて0℃~5℃まで冷却させ;恒温を維持しながら亜硝酸ナトリウム溶液を滴加し;滴加後、一定の温度を維持しながら20~60分間反応させ;引き続き、塩化第1銅をバッチ(batches)に添加して室温で1-3時間の間反応させ;酢酸エチルで抽出して、有機層を水酸化ナトリウム溶液で洗浄した後に濃縮して粗生成物を得て;粗生成物を分離及び精製して4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフランを得ることを含んでも良い。
【0023】
また、前記段階1-3で、前記強塩基は、n-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム及びイソプロピルマグネシウムクロリド(isopropyl magnesium chloride)のうち1種又は2種、好ましくは、イソプロピルマグネシウムクロリドを含む。安全性が高いのでイソプロピルマグネシウムクロリドが好ましい。
【0024】
また、前記段階1-3で、前記ホルミル化試薬は、N,N-ジメチルホルムアミド、N-ホルミルモルホリン、ギ酸エチルのうち一つ、好ましくは、N,N-ジメチルホルムアミドを含む。
本発明の一つの実施態様において、前記段階1-3は、反応フラスコに4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン及びテトラヒドロフランを投入した後、窒素保護下でテトラヒドロフランにイソプロピルマグネシウムクロリドを滴加し;滴加後、一定の温度を維持しながら0.5~1.5時間の間撹拌し;その後、恒温を維持しながらN,N-ジメチルホルムアミドを滴加して、恒温を維持しながら20~60分間継続反応させ;反応液を塩酸に入れて酢酸エチルで抽出した後に有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ;及び濃縮及び分離して化合物1を収得することを含んでも良い。
【0025】
また、前記段階2-1で、前記強塩基は、n-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、イソプロピルマグネシウムクロリドのうち1種又は2種、好ましくは、イソプロピルマグネシウムクロリドを含む。
本発明の一つの実施態様において、前記段階2-1は、4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフランとテトラヒドロフランを反応フラスコに入れて窒素保護下で-30℃に冷却させ;テトラヒドロフランにイソプロピルマグネシウムクロリドを滴加した後、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムを滴加し;滴加後、一定の温度を維持しながら20~60分間撹拌し;その後、一定の温度を維持しながらテトラヒドロフランに4-シクロプロピルベンズアルデヒドを滴加し;滴加後、恒温を維持しながら20~60分間継続反応させ;反応液を塩酸に入れて酢酸エチルで抽出した後に有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ;及び濃縮、分離及び精製して化合物2を収得することを含んでも良い。
【発明の効果】
【0026】
従来の合成経路と比較して本発明は次のような長所がある。
【0027】
1.本発明の化合物1及び化合物2の製造経路は、総収率が50%以上であり、短い経路、比較的穏やかな反応条件などの特徴を有する。
【0028】
2.本発明で提案する合成経路は、容易に求められる原料を用い、費用が安く、特別な工程作業がなく、装備要求事項が低いので、大規模の産業化生産に適合する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有した者が本発明の長所及び特徴をより容易に理解し、本発明の保護範囲をより明確に定義できるようにするために本発明の好ましい実施例を詳しく説明する。
【0030】
実施例1:4,6-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン(4,6-dibromo-2,3-dihydrobenzofuran-7-amine)の合成
【0031】
【化6】
【0032】
1000mL反応フラスコに2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン(2,3-dihydrobenzofuran-7-amine)8.7gと酢酸エチル200mLを入れた後、10~20℃に調節された温度で臭素41.4gを滴加し、実験を通じて臭素の添加量を最適化した。臭素が過度に少ないと、反応が不完全であり、臭素が過度に添加されると、システムが複雑となり、副産物が増加する。反応温度は、主に副産物の増加を防止のために調節した。滴加終了後に反応系を濾過した。フィルターケーキを水100mLと酢酸エチル100mLの混合溶媒に入れ、10%水酸化ナトリウム溶液を滴加してpHを8~10に調節した。ここで、反応系は、反応後に酸性であり、一部産物は塩を形成する。塩を除去するためにpHを8~10の値に調整した。pHが過度に低いと、塩の除去が不完全である。pHが過度に高いと、より多くのアルカリが消耗される。その後、有機層を分離して無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧濃縮して4,6-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン(4,6-dibromo-2,3-dihydrobenzofuran-7-amine)(15.73g、収率83.4%)を白色固体で得た。
【0033】
実施例2:4,6-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン(4,6-dibromo-2,3-dihydrobenzofuran-7-amine)の合成
【0034】
100mL反応フラスコに2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン(2,3-dihydrobenzofuran-7-amine)5gとN,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)100mLを入れて-5℃~0℃に冷却した後、N-ブロモスクシンイミド13.17gをバッチ(batches)に滴加して30分間撹拌しながら反応させた。ここで、固体であるN-ブロモスクシンイミドは、計算及び制御が容易である長所がある一方、臭素は、腐食性液体であるので秤量及び使用が複雑で刺激的である。その後、反応液に水200mLを入れて酢酸エチルで2回抽出した。有機相を合わせ、10%水酸化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下で濃縮して4,6-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン(4,6-dibromo-2,3-dihydrobenzofuran-7-amine)(8.47g、78.2%収率)を得た。
【0035】
実施例3:4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン((4,6-dibromo-7-chloro-2,3-dihydrobenzofuran)の合成
【0036】
【化7】
【0037】
4,6-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン(4,6-dibromo-2,3-dihydrobenzofuran-7-amine)10gと濃い塩酸50mLを250mL反応フラスコに入れて0℃から5℃に冷却し、水8mLに溶解された亜硝酸ナトリウム2.47gを維持した温度で滴加した。滴加終了後、維持された温度で30分間反応させた後、塩化第1銅6.76gをバッチ(batche)に加え、室温に加温して2時間の間反応させた。その後、酢酸エチルを加えて抽出して有機層を5%水酸化ナトリウム溶液で洗浄した後に濃縮して粗生成物を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン(4,6-dibromo-7-chloro-2,3-dihydrobenzofuran)(9.01g、収率84.5%)を白色固体で得た。
【0038】
実施例4:4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン(4,6-dibromo-7-chloro-2,3-dihydrobenzofuran)の合成
【0039】
4,6-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン(4,6-dibromo-2,3-dihydrobenzofuran-7-amine)10g、アセトニトリル100mL及び塩化第2銅9.18gを250mL反応フラスコに添加し、50℃に加熱し、8.0gの亜硝酸イソアミルを滴加した。滴加終了後、維持された温度で反応系を30分間反応させた。その後、反応系を常温で冷やした後に濃縮して溶媒を除去し、酢酸エチルを加えて濾過した。濾液を5%水酸化ナトリウム溶液で洗浄して濃縮して粗生成物を得て、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン(4,6-dibromo-7-chloro-2,3-dihydrobenzofuran)(8.78g、82.3%収率)を白固体で得た。
【0040】
実施例5:化合物1の合成
【0041】
【化8】
【0042】
4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン(4,6-dibromo-7-chloro-2,3-dihydrobenzofuran)3.5gとテトラヒドロフラン35mLを100mL反応フラスコに入れた。テトラヒドロフランに2.5Mのイソプロピル塩化マグネシウム溶液18mLを窒素保護下で滴加した。滴加終了後、温度を維持した状態で反応系を1時間撹拌した。維持された温度でN,N-ジメチルホルムアミド5mLを滴加した後、維持された温度で30分間反応させた。その後、反応溶液に3Mの塩酸を添加して酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮した後にカラムクロマトグラフィーを行って化合物1(2.73g、収率93.2%)を白色固体形態で得た。
【0043】
実施例6:化合物2の合成
【0044】
【化9】
【0045】
4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン(4,6-dibromo-7-chloro-2,3-dihydrobenzofuran)3.5g及びテトラヒドロフラン35mLを100mL反応フラスコに加え、窒素保護下で-30℃に冷却させた。テトラヒドロフランに2.5Mのイソプロピルマグネシウムクロリド溶液2.25mLを滴加した後、n-ヘキサンに2.5Mのn-ブチルリチウム溶液4.6mLを滴加した。滴加完了後、反応系を維持された温度で30分間撹拌した後、維持された温度で4-シクロプロピルベンズアルデヒド1.96gのテトラヒドロフラン溶液10mLを滴加した。滴加終了後、維持された温度で反応系を30分間反応させた。反応溶液を3Mの塩酸に添加して酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮した後にカラムクロマトグラフィーを行って化合物2(3.70g、収率86.9%)を得た。