(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0236 20060101AFI20240726BHJP
H01L 31/068 20120101ALI20240726BHJP
H01L 31/0747 20120101ALI20240726BHJP
【FI】
H01L31/04 280
H01L31/06 300
H01L31/06 455
(21)【出願番号】P 2024011874
(22)【出願日】2024-01-30
【審査請求日】2024-03-13
(31)【優先権主張番号】202311736451.7
(32)【優先日】2023-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】512083920
【氏名又は名称】晶科能源股分有限公司
【氏名又は名称原語表記】JINKO SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1,Jinko Road, Shangrao Economic Development Zone Jiangxi 334100 CN
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】ショウ
(72)【発明者】
【氏名】楊潔
(72)【発明者】
【氏名】鄭霈霆
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン シン ウ
(72)【発明者】
【氏名】沈夢超
(72)【発明者】
【氏名】毛傑
(72)【発明者】
【氏名】朱佳佳
(72)【発明者】
【氏名】鄭晶茗
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-185587(JP,A)
【文献】特開2020-129666(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111755552(CN,A)
【文献】特開2018-107480(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111739984(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110676160(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108336154(CN,A)
【文献】中国実用新案第206595264(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板であって、前記基板が対向設置された前面及び裏面を備え、前記裏面が間隔をあけて交互に設置されたP領域及びN領域を含む基板と、
前記裏面のN領域に位置する第1誘電体層と、
前記第1誘電体層に位置する第1ポリシリコンドープ層であって、前記第1ポリシリコンドープ層には、N型ドーピング元素がドープされている第1ポリシリコンドープ層と、
前記裏面のP領域に位置する第2誘電体層と、
前記第2誘電体層に位置する第2ポリシリコンドープ層であって、前記第2ポリシリコンドープ層にはP型ドーピング元素がドープされており、ここで、前記第1ポリシリコンドープ層の前記基板から離れた表面は、第1粗さを備え、前記第2ポリシリコンドープ層の前記基板から離れた表面は、第2粗さを備え、前記第2粗さが前記第1粗さよりも小さい第2ポリシリコンドープ層と、
前記第1ポリシリコンドープ層の前記基板から離れる表面を覆い、かつ前記第2ポリシリコンドープ層の前記基板から離れる表面を覆うパッシベーション層と、
第1電極及び第2電極であって、前記第1電極が前記パッシベーション層を貫通して前記第1ポリシリコンドープ層と電気的に接続され、前記第2電極が前記パッシベーション層を貫通して前記第2ポリシリコンドープ層と電気的に接続される第1電極及び第2電極と、を含
み、
前記裏面は、非電極領域をさらに含み、各前記非電極領域が隣接するP領域とN領域との間に位置し、前記パッシベーション層が前記非電極領域に位置し、前記裏面は前記N領域に第1表面構造を備え、前記第1誘電体層が前記第1表面構造を覆い、前記裏面は前記非電極領域に第2表面構造を備え、前記パッシベーション層が前記第2表面構造を覆い、または、
前記裏面は、非電極領域をさらに含み、各前記非電極領域が隣接するP領域とN領域との間に位置し、前記パッシベーション層が前記非電極領域に位置し、前記裏面は前記P領域に第1表面構造を備え、前記第2誘電体層が前記第1表面構造を覆い、前記裏面は前記非電極領域に第2表面構造を備え、前記パッシベーション層が前記第2表面構造を覆い、
前記第1表面構造と前記前面との最小距離は、第1距離であり、前記第2表面構造と前記前面との最小距離は、第2距離であり、前記第1距離が前記第2距離よりも大きい、
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記第1距離と前記第2距離との差の範囲は0.5~10μmを含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記基板の裏面は、第3表面構造をさらに備え、前記第3表面構造が前記P領域と前記非電極領域との境界または前記N領域と前記非電極領域との境界に位置し、一部の前記第3表面構造が、第1側面と、第2側面とを含み、前記第1側面が前記非電極領域から離れた側に向かっており、前記第2側面は前記非電極領域に向かっており、前記第1側面の径方向長さが前記第2側面の径方向長さよりも小さい、
ことを特徴とする請求項
1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第3表面構造は、角柱構造、ピラミッド構造又は四面体構造を含む、
ことを特徴とする請求項
3に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第1表面構造は、プラットフォーム突起構造、ピラミッドテクスチャ構造または平坦面を含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第1ポリシリコンドープ層の平均厚さは、前記第2ポリシリコンドープ層の平均厚さ以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第1誘電体層又は前記第2誘電体層のうちの少なくとも一方の材料は、酸化シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、又は炭化ケイ素を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項8】
基板を提供することであって、前記基板が対向設置された前面及び裏面を備え、前記裏面が間隔をあけて交互に設置されたP領域及びN領域を含むことと、
前記裏面のN領域に第1誘電体層を形成することと、
前記第1誘電体層に第1ポリシリコンドープ層を形成することであって、前記第1ポリシリコンドープ層には、N型ドーピング元素がドープされていることと、
前記裏面のP領域に第2誘電体層を形成することと、
前記第2誘電体層に第2ポリシリコンドープ層を形成することであって、前記第2ポリシリコンドープ層にはP型ドーピング元素がドープされており、ここで、前記第1ポリシリコンドープ層の前記基板から離れた表面は、第1粗さを備え、前記第2ポリシリコンドープ層の前記基板から離れた表面は、第2粗さを備え、前記第2粗さが前記第1粗さよりも小さいことと、
前記第1ポリシリコンドープ層の前記基板から離れる表面を覆い、かつ前記第2ポリシリコンドープ層の前記基板から離れる表面を覆うパッシベーション層を形成することと、
第1電極及び第2電極を形成するであって、前記第1電極が前記パッシベーション層を貫通して前記第1ポリシリコンドープ層と電気的に 接続され、前記第2電極が前記パッシベーション層を貫通して前記第2ポリシリコンドープ層と電気的に接続されることと、を含
み、
前記裏面は、非電極領域をさらに含み、各前記非電極領域が隣接するP領域とN領域との間に位置し、前記パッシベーション層が前記非電極領域に位置し、前記裏面は前記N領域に第1表面構造を備え、前記第1誘電体層が前記第1表面構造を覆い、前記裏面は前記非電極領域に第2表面構造を備え、前記パッシベーション層が前記第2表面構造を覆い、または、
前記裏面は、非電極領域をさらに含み、各前記非電極領域が隣接するP領域とN領域との間に位置し、前記パッシベーション層が前記非電極領域に位置し、前記裏面は前記P領域に第1表面構造を備え、前記第2誘電体層が前記第1表面構造を覆い、前記裏面は前記非電極領域に第2表面構造を備え、前記パッシベーション層が前記第2表面構造を覆い、
前記第1表面構造と前記前面との最小距離は、第1距離であり、前記第2表面構造と前記前面との最小距離は、第2距離であり、前記第1距離が前記第2距離よりも大きい、
ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項9】
複数の請求項1~
7のいずれか1項に記載の太陽電池または請求項
8に記載の太陽電池の製造方法によって製造された複数の太陽電池が接続部材によって接続されてなるセルストリングと、
前記セルストリングの表面を覆うための封止層と、
前記封止層の前記セルストリングから離れた表面を覆うためのカバープレートと、を含む、
ことを特徴とする光起電力モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は、太陽電池の分野に関し、特に、太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、化石エネルギーの枯渇に伴い、太陽電池は、新しいエネルギーの代替案として、ますます広く使用されている。太陽電池は、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する装置である。太陽電池は、光起電力の原理を利用してキャリアを生じさせ、電極でキャリアを引き出すことで、電気エネルギーを有効に利用するのに寄与する。
【0003】
現在、太陽電池は、主にIBC(インターディジテッドバックコンタクト、Interdigitated Back Contact)セル、TOPCON(Tunnel Oxide Passivated Contact、トンネル酸化膜パッシベーションコンタクト)セル、PERCセル(不動態化エミッタ及びリアセル、Passivated Emitter and Real Cell)及びヘテロ接合セルなどを含んでいる。異なる膜層の設置と機能性限定によって、光学損失を低下させ、シリコン基板の表面と内部の光生成キャリア再結合を低減し、太陽電池の光電変換効率を高めている。
【0004】
しかしながら、現在、太陽電池の光電変換効率は、依然として良くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の実施例には、少なくとも太陽電池の光電変換効率の向上に有利である太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュールが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願のいくつかの実施例によれば、本願実施例の一態様では、太陽電池が提供され、この太陽電池は、基板と、積層された第1誘電体層及び第1ポリシリコンドープ層と、積層された第2誘電体層及び第2ポリシリコンドープ層と、パッシベーション層と、前記パッシベーション層に位置する第1電極及び第2電極と、を含み、前記基板が対向設置された前面及び裏面を備え、前記基板が間隔をあけて交互に設置されたP領域及びN領域を含み、前記第1誘電体層が前記裏面に位置し、前記第1ポリシリコンドープ層が前記第1誘電体層の表面に位置し、前記第1ポリシリコンドープ層にはN型ドーピング元素がドープされており、前記第1誘電体層及び前記第1ポリシリコンドープ層が前記N領域の基板の表面に位置し、前記第2誘電体層が前記裏面に位置し、前記第2ポリシリコンドープ層が前記第2誘電体層の表面に位置し、前記第2ポリシリコンドープ層にP型ドーピング元素がドープされており、前記第2誘電体層及び前記第2ポリシリコンドープ層は前記P領域の基板の表面に位置し、ここで、前記第1ポリシリコンドープ層の前記第1誘電体層から離れた表面は、第1粗さを備え、前記第2ポリシリコンドープ層の前記第2誘電体層から離れた表面は、第2粗さを備え、前記第2粗さが前記第1粗さよりも小さく、前記パッシベーション層が前記第1ポリシリコンドープ層の表面を覆い、かつ前記第2ポリシリコンドープ層の表面を覆い、前記第1電極が前記第1ポリシリコンドープ層と電気的に接続され、前記第2電極が前記第2ポリシリコンドープ層と電気的に接続される。
【0007】
いくつかの実施例では、前記第1ポリシリコンドープ層は、複数の第1シリコン結晶粒子を含み、前記複数の第1シリコン結晶粒子の表面が前記第1粗さを備えた第1ポリシリコンドープ層の表面を構成し、前記第2ポリシリコンドープ層は、複数の第2シリコン結晶粒子を含み、前記複数の第2シリコン結晶粒子の表面が前記第2粗さを備える第2ポリシリコンドープ層の表面を構成し、前記第1シリコン結晶粒子の結晶粒度が前記第2シリコン結晶粒子の結晶粒度よりも小さい。
【0008】
いくつかの実施例では、前記第1シリコン結晶粒子の結晶粒度の範囲は、10nm~300nmを含む。
【0009】
いくつかの実施例では、前記第2シリコン結晶粒子の結晶粒度の範囲は、100nm~900nmを含む。
【0010】
いくつかの実施例では、前記第1シリコン結晶粒子の形状は、球形粒子状又は準球形粒子状を含む。
【0011】
いくつかの実施例では、第2シリコン結晶粒子の形状は、シート状、板状又は粒子状を含む。
【0012】
いくつかの実施例では、前記第1シリコン結晶粒子の結晶粒度が前記第2シリコン結晶粒子の結晶粒度よりも小さいことは、前記第1シリコン結晶粒子の径方向1次元寸法が前記第2シリコン結晶粒子の径方向1次元寸法よりも小さいことと、前記第1シリコン結晶粒子の高さが前記第2シリコン結晶粒子の高さよりも大きいことと、を含む。
【0013】
いくつかの実施例では、前記P領域と前記N領域との間には非電極領域を有し、前記パッシベーション層が前記非電極領域に位置し、前記N領域の正対する前記裏面は第1表面構造を備え、前記第1誘電体層が前記第1表面構造を覆い、前記非電極領域の正対する前記裏面が第2表面構造を備え、前記パッシベーション層が前記第2表面構造を覆う。
【0014】
いくつかの実施例では、前記P領域と前記N領域との間には非電極領域を有し、前記パッシベーション層が前記非電極領域に位置し、前記P領域の正対する前記裏面は第1表面構造を備え、前記第2誘電体層が前記第1表面構造を覆い、前記非電極領域の正対する前記裏面が第2表面構造を備え、前記パッシベーション層が前記第2表面構造を覆う。
【0015】
いくつかの実施例では、前記第1表面構造と前記前面との最小距離は、第1距離であり、前記第2表面構造と前記前面との最小距離は、第2距離であり、前記第1距離が前記第2距離よりも大きい。
【0016】
いくつかの実施例では、前記第1距離と前記第2距離との差の範囲は0.5~10μmを含む。
【0017】
いくつかの実施例では、前記基板の表面は、第3表面構造をさらに備え、前記第3表面構造が前記P領域と前記非電極領域との境界または前記N領域と前記非電極領域との境界に位置し、前記第3表面構造が、第1側面と、第2側面とを含み、前記第1側面が前記非電極領域から離れた側に向かっており、前記第2側面は前記非電極領域に向かっており、前記第1側面の径方向長さが前記第2側面の径方向長さよりも小さい。
【0018】
いくつかの実施例では、前記第3表面構造は、角柱構造、ピラミッド構造又は四面体構造を含む。
【0019】
いくつかの実施例では、前記第1表面構造は、プラットフォーム突起構造、ピラミッドテクスチャ構造または平坦面を含む。
【0020】
いくつかの実施例では、前記第1ポリシリコンドープ層の平均厚さは、前記第2ポリシリコンドープ層の平均厚さ以下である。
【0021】
いくつかの実施例では、前記第1誘電体層又は前記第2誘電体層のうちの少なくとも一方の材料は、酸化シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、又は炭化ケイ素を含む。
【0022】
本願のいくつかの実施例によれば、本願実施例の別の態様では、太陽電池の製造方法がさらに提供され、この太陽電池の製造方法は、初期基板を提供することであって、前記初期基板は、対向設置された第1面及び第2面を含み、前記初期基板は、間隔をあけて交互に設置された第1領域及び第2領域を備え、前記第1領域と前記第2領域との間に初期非電極領域があることと、積層された第1初期誘電体層及び第1半導体層を前記第1面に形成することであって、前記第1初期誘電体層が前記第1領域、第2領域及び前記初期非電極領域に位置し、ここで、前記第1半導体層が前記第1初期誘電体層の表面に位置し、前記第1半導体層の前記第1初期誘電体層から離れた表面には第1初期粗さを有することと、前記第1半導体層に対してパターニング化処理を行い、前記第1領域に位置する前記第1初期誘電体層を第1誘電体層として残し、前記第1領域に位置する前記第1半導体層を第1ポリシリコンドープ層として残し、前記第1ポリシリコンドープ層の前記第1誘電体層から離れた表面は第1粗さを有し、ここで、パターニング化処理を行った後の前記第1領域、第2領域及び初期非電極領域をそれぞれN領域、P領域及び非電極領域とし、前記初期基板を基板とし、前記基板の第1面を裏面とし、前記基板の第2面を前面とすることと、前記裏面に第2誘電体層及び第2ポリシリコンドープ層を形成することであって、前記第2誘電体層が前記第2領域に位置し、ここで、前記第2ポリシリコンドープ層が前記第2誘電体層の表面に位置し、前記第2ポリシリコンドープ層の前記第2誘電体層から離れた表面は第2粗さを備え、前記第2粗さが前記第1粗さよりも小さいことと、パッシベーション層を形成することであって、前記パッシベーション層が前記第1ポリシリコンドープ層及び前記第2ポリシリコンドープ層の表面を覆い、前記パッシベーション層がさらに前記非電極領域に位置することと、前記パッシベーション層の表面に位置する第1電極及び第2電極を形成することであって、前記第1電極が前記第1ポリシリコンドープ層に電気的に接続され、前記第2電極が前記第2ポリシリコンドープ層に電気的に接続されることと、を含む。
【0023】
いくつかの実施例では、前記初期基板の表面は第1表面構造を有し、前記第1領域と前記初期非電極領域の境界または前記第2領域と前記初期非電極領域の境界の少なくとも一方には、初期遷移領域を有し、前記第1領域、前記第2領域、前記非電極領域及び前記初期遷移領域は、第1表面構造を有し、パターニング化処理のステップにおいて、前記初期非電極領域、第2領域及び初期遷移領域に位置する第1初期半導体層及び第1半導体層を除去すると同時に、一部の厚さの前記基板をエッチングすることにより、前記初期非電極領域の前記第1表面構造が第2表面構造に変換され、前記初期遷移領域の前記第1表面構造が第3表面構造に変換され、前記第3表面構造は第1側面及び第2側面を含み、前記第1側面は前記非電極領域から離れた側に向かっており、前記第2側面は前記非電極領域に向かっており、前記第1側面の径方向長さが前記第2側面の径方向長さよりも小さい。
【0024】
本願のいくつかの実施例によれば、本願実施例の別の態様では、光起電力モジュールがさらに提供され、この光起電力モジュールは、複数の上述した実施例のいずれかにおける太陽電池または上述した実施例のいずれかに記載の製造方法によって製造された複数の太陽電池が接続部材によって接続されてなるセルストリングと、前記セルストリングの表面を覆うための封止層と、前記封止層の前記セルストリングから離れた表面を覆うためのカバープレートと、を含む。
【発明の効果】
【0025】
本願実施例に提供された技術案は、少なくとも以下の利点を有する。
【0026】
本願実施例に提供された太陽電池では、太陽電池が第1ポリシリコンドープ層及び第2ポリシリコンドープ層を含み、第1ポリシリコンドープ層及び第2ポリシリコンドープ層がいずれも裏面に位置し、フルパッシベーションコンタクト電池構造の設計によって、電池の再結合電流を最大限に低減し、電池の開放電圧を高めている。また、フルパッシベーションコンタクト電池を製造する過程において、高温拡散層の設計がなく、第1ポリシリコンドープ層及び第2ポリシリコンドープ層をキャリア輸送層として使用し、拡散層の再結合電流の影響を除去し、電池の開放電圧を向上させている。第1ポリシリコンドープ層にはN型ドーピング元素がドープされており、第1ポリシリコンドープ層の表面は、第1粗さを備え、第2ポリシリコンドープ層にはP型ドーピング元素がドープされており、第2ポリシリコンドープ層の表面は、第2粗さを備え、第2粗さが第1粗さよりも小さい。これにより、第1ポリシリコンドープ層と第2ポリシリコンドープ層の形態の違いに基づいて、より高い粗さを持った第1ポリシリコンドープ層にとって、第1ポリシリコンドープ層の表面は、入射光の内部反射を高め、太陽電池の光学損失を低減することができ、第1ポリシリコンドープ層は、さらに第1電極と第1ポリシリコンドープ層との接触面積を大きくし、第1ポリシリコンドープ層の接触性能と溶接引張力を改善することができる。低い粗さを持った第2ポリシリコンドープ層にとって、第2ポリシリコンドープ層の表面が滑らかで、その上に堆積する第2パッシベーション層の均一性がよく、且つ第2パッシベーション層のパッシベーション性能がよく、太陽電池の再結合欠陥の問題を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
一つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明されるが、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、特に断りのない限り、添付の図面における図は縮尺に制限されない。本願の実施例又は従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例に使用する必要がある図面を簡単に紹介するが、明らかに、以下に記載される図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労働をしなくても、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】
図1は、本願の一実施例で提供された太陽電池の構造を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1のA1-A2断面に沿った断面構造を示す図である。
【
図3】
図3は、本願の一実施例で提供された太陽電池における第1ポリシリコンドープ層の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図4】
図4は、本願の一実施例で提供された太陽電池における第2ポリシリコンドープ層の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図5】
図5は、本願の別の実施例で提供された太陽電池の構造を示す図である。
【
図6】
図6は、
図5のA1-A2断面に沿った断面構造を示す図である。
【
図7】
図7は、本願の別の実施例で提供された太陽電池の構造を示す図である。
【
図8】
図8は、
図7のA1-A2断面に沿った断面構造を示す図である。
【
図10】
図10は、
図8における電極領域と非電極領域の境界の第1種の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図11】
図11は、
図8における電極領域と非電極領域の境界の第2種の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図12】
図12は、本願の別の実施例で提供された光起電力モジュールの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
背景技術からわかるように、現在、太陽電池の光電変換効率が良くない。
【0029】
本願の実施例は、太陽電池では、太陽電池が第1ポリシリコンドープ層及び第2ポリシリコンドープ層を含み、第1ポリシリコンドープ層及び第2ポリシリコンドープ層がいずれも裏面に位置し、フルパッシベーションコンタクト電池構造の設計によって、電池の再結合電流を最大限に低減し、電池の開放電圧を高めている。また、フルパッシベーションコンタクト電池を製造する過程において、高温拡散層の設計がなく、第1ポリシリコンドープ層及び第2ポリシリコンドープ層をキャリア輸送層として使用し、拡散層の再結合電流の影響を除去し、電池の開放電圧を向上させている。第1ポリシリコンドープ層にはN型ドーピング元素がドープされており、第1ポリシリコンドープ層の表面は、第1粗さを備え、第2ポリシリコンドープ層にはP型ドーピング元素がドープされており、第2ポリシリコンドープ層の表面は、第2粗さを備え、第2粗さが第1粗さよりも小さい。これにより、第1ポリシリコンドープ層と第2ポリシリコンドープ層の形態の違いに基づいて、より高い粗さを持った第1ポリシリコンドープ層にとって、第1ポリシリコンドープ層の表面は、入射光の内部反射を高め、太陽電池の光学損失を低減することができ、第1ポリシリコンドープ層は、さらに第1電極と第1ポリシリコンドープ層との接触面積を大きくし、第1ポリシリコンドープ層の接触性能と溶接引張力を改善することができる。低い粗さを持った第2ポリシリコンドープ層にとって、第2ポリシリコンドープ層の表面が滑らかで、その上に堆積する第2パッシベーション層の均一性がよく、且つ第2パッシベーション層のパッシベーション性能がよく、太陽電池の再結合欠陥の問題を改善することができる。
【0030】
以下、本願の各実施例について図面を組み合わせて詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をよりよく理解させるために、本願の実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部及び以下の各実施例に基づく種々の変更や修正がなくても、本願の実施例が保護を要求している技術案を実現することができる。
【0031】
図1は、本願の一実施例で提供された太陽電池の構造を示す図であり、
図2は、
図1のA1-A2断面に沿った断面構造を示す図であり、
図3は、本願の一実施例で提供された太陽電池における第1ポリシリコンドープ層の走査型電子顕微鏡写真であり、
図4は、本願の一実施例で提供された太陽電池における第2ポリシリコンドープ層の走査型電子顕微鏡写真である。
【0032】
図1及び
図2に示すように、本願のいくつかの実施例によれば、本願の実施例の一態様では、光電変換効率を改善するための太陽電池が提供される。太陽電池は、基板100を含み、基板100が対向設置された前面11及び裏面12を備えている。
【0033】
いくつかの実施例では、基板100の材料は、元素半導体材料であってもよい。具体的には、元素半導体材料は、単一の元素からなり、例えば、シリコン又はゲルマニウムであってもよい。ここで、元素半導体材料は、単結晶状態、多結晶状態、非結晶状態又は微結晶状態(単結晶状態と非晶質状態の両方を備える状態は、微結晶状態と呼ばれる)であってもよく、例えば、シリコンは、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン又は微結晶シリコンのうち少なくとも1つであってもよい。
【0034】
いくつかの実施例では、基板100の材料は、化合物半導体材料であってもよい。よく見られる化合物半導体材料は、シリコンゲルマニウム、炭化ケイ素、ガリウム砒素、ガリウム化インジウム、ペロブスカイト、テルル化カドミウム、セレン化銅インジウムなどの材料を含むが、これらに限定されない。基板100は、サファイア基板、絶縁体上のシリコン基板又は絶縁体上のゲルマニウム基板であってもよい。
【0035】
いくつかの実施例では、基板100は、N型半導体基板又はP型半導体基板であってもよい。N型半導体基板内には、N型ドーピング元素がドープされており、N型ドーピング元素は、リン(P)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)又はヒ素(As)などのV族元素のうちのいずれかであってもよい。P型半導体基板内には、P型ドーピング元素がドープされており、P型ドーピング元素は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)又はインジウム(In)などのIII族元素のうちのいずれかであってもよい。
【0036】
いくつかの実施例では、前面11が受光面として入射光を受光するために使われ、裏面12がバックライト面とされることができる。いくつかの実施例では、太陽電池は、両面電池であり、即ち基板の前面と裏面がいずれも受光面として、入射光を受光するために使用されることができる。ここで、バックライト面も入射光を受光することができるが、入射光を受光する効率は、受光面の入射光受光効率よりも弱い。
【0037】
いくつかの実施例では、基板100は、間隔をあけて交互に設置されたP領域及びN領域を含む。
【0038】
いくつかの実施例では、基板100の前面11はテキスチャ構造13を備え、テクスチャ構造13は、規則的な形状を有するピラミッドテクスチャ構造及び不規則的な形状を有するブラックシリコンを含むことができる。テキスチャ構造の傾斜面は、入射光の内部反射を増加させることができ、入射光に対する基板の吸収利用率を向上させ、太陽電池の効率を向上させることができる。
【0039】
いくつかの実施例では、テキスチャ構造13は複数の突起構造101を含み、突起構造101の形状は、ピラミッド形状、放物線形状、または楕円球形状を含んでもよい。
【0040】
いくつかの実施例では、基板の前面11には1層の表面フィールド(front surface field、FSF)があり、そのドーピングイオンの導電型は基板のドーピングイオンの導電型と同じであり、フィールドパッシベーション効果を利用して表面の少数キャリアの濃度を低下させ、表面の再結合率を低下させると同時に、直列抵抗を低減し、電子の輸送能力を向上させることができる。
【0041】
いくつかの実施例では、基板の裏面12は研磨面であり、研磨面とは、研磨液またはレーザーエッチングにより表面のテクスチャ構造を除去して形成された平坦面を指す。研磨後、裏面の平坦性が増し、長波光の反射が増加し、投射光の二次吸収が促進され、短絡電流を増加させ、同時に裏面の比表面積が小さくなることにより、裏面の再結合を低減し、裏面のパッシベーション効果を向上させることができる。
【0042】
いくつかの実施例では、P領域とN領域との間には非電極領域2を有し、パッシベーション層が非電極領域2に位置し、ここで、P領域とN領域との間にトレンチ106が形成され、これによって、異なる導電型の領域間の自動的離隔を実現し、高濃度ドープされたIBC電池の裏面のP領域とN領域にトンネル接合を形成して電気漏れが発生して電池の効率に影響することを回避することができる。
【0043】
太陽電池は、前記裏面のN領域に位置する第1誘電体層111及び前記第1誘電体層に位置する第1ポリシリコンドープ層112を含み、第1ポリシリコンドープ層112にはN型ドーピング元素がドープされている。
【0044】
いくつかの実施例では、第1誘電体層111の材料は、酸化シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、又は炭化ケイ素を含む。
【0045】
いくつかの実施例では、第1誘電体層111は、第1トンネル誘電体層を含んでもよく、第1トンネル誘電体層と第1ポリシリコンドープ層112との間がパッシベーションコンタクト構造を構成し、第1ポリシリコンドープ層112が基板100の表面にバンド曲がりを形成することができ、第1トンネル誘電体層は、基板100の表面のバンドに非対称性のオフセットを生じさせ、キャリア中の多数キャリアに対するポテンシャル障壁がキャリア中の少数キャリアに対するポテンシャル障壁よりも低くなる。これにより、多数キャリアは、第1トンネル誘電体層を通りやすくて量子トンネルを行うことができるが、少数キャリアは、第1トンネル誘電体層を通り難いため、キャリアの選択的な輸送を実現することができる。
【0046】
また、第1トンネル誘電体層は、化学的パッシベーションの効果を発揮している。具体的には、基板100と第1トンネル誘電体層との界面に界面準位欠陥が存在するため、基板100の裏面の界面準位密度が大きくなり、界面準位密度の増加によって、光生成キャリアの再結合を促進し、太陽電池のバッキングファクター、短絡電流及び開放電圧を増やし、太陽電池の光電変換効率を高める。第1トンネル誘電体層が基板100の裏面12に位置するように設置することで、第1トンネル誘電体層が基板100の表面に対して化学的パッシベーションの効果を発揮するようになる。具体的には、基板100のダングリングボンドを飽和させ、基板100の欠陥準位密度を下げ、基板100の再結中心を減らすことで、キャリアの再結合速度を低減する。
【0047】
第1ポリシリコンドープ層112はフィールドパッシベーション効果を発揮している。具体的には、基板100の表面に基板100の内部に向かう静電界を形成し、少数キャリアが界面から脱出することにより、少数キャリア濃度を低下させ、基板100の界面におけるキャリア再結合速度を下げ、太陽電池の開放電圧、短絡電流及びバッキングファクターを増大させ、太陽電池の光電変換効率を高める。
【0048】
第1ポリシリコンドープ層112内には、基板100と同じタイプのドーピング元素がドープされてもよく、例えば、基板100のドーピング元素のタイプはN型である。
【0049】
第1ポリシリコンドープ層112内のドーピング元素の濃度は、基板100のドーピング元素の濃度よりも大きく、これによって、基板100の表面に十分に高いポテンシャル障壁を形成し、基板100における多数キャリアが第1トンネル誘電体層を通過して第1ポリシリコンドープ層112に届くことができるようにする。
【0050】
いくつかの実施例では、第1ポリシリコンドープ層112内には、基板100と異なるタイプのドーピング元素がドープされてもよく、例えば、基板100のドーピング元素のタイプがP型である場合、第1ポリシリコンドープ層112内のドーピング元素のタイプがN型であってもよい。これにより、第1ポリシリコンドープ層112と基板の間にPN接合が構築され、太陽光がPN接合に照射することにより新たな正孔-電子対が形成され、P-N接合の内蔵電界によって、光生成正孔がP領域へ流れ、光生成電子がN領域へ流れ、回路をオンにすると、電流が発生する。
【0051】
いくつかの実施例では、第1トンネル誘電体層の厚さは、0.5nm~5nmである。第1トンネル誘電体層の厚さ範囲は、0.5nm~1.3nm、1.3nm~2.6nm、2.6nm~4.1nm又は4.1nm~5nmである。第1トンネル誘電体層が上記のいずれかの範囲内であれば、第1トンネル誘電体層の厚さが薄くて、多数キャリアは、第1トンネル誘電体層を通過して量子トンネルを容易に行うことができるが、少数キャリアは、第1トンネル誘電体層を通過し難いため、キャリアの選択的な輸送を実現することができる。
【0052】
図3に示すように、第1ポリシリコンドープ層112は、複数の第1シリコン結晶粒子1121を含み、複数の第1シリコン結晶粒子1121の表面が第1粗さを備えた第1ポリシリコンドープ層112の表面を構成する。
【0053】
なお、第1ポリシリコンドープ層112を形成する過程において、シリコン原子は、ダイヤモンド格子の形で多数の結晶核に配列され、これらの結晶核は、結晶面方位の異なる結晶粒に成長し、且つこれらの結晶粒を結合して多結晶シリコンに結晶化する。ここで、第1シリコン結晶粒子とは、多結晶シリコンを構成する結晶面方位の異なる結晶粒子を指す。
【0054】
図3の走査型電子顕微鏡写真から、第1ポリシリコンドープ層112の表面形態を直感的に観察でき、第1ポリシリコンドープ層112が複数の第1シリコン結晶粒子1121で構成され、複数の第1シリコン結晶粒子1121の凹凸によって第1ポリシリコンドープ層112の凹凸の表面が構築され、ひいては第1ポリシリコンドープ層112の表面が第1粗さを備えるようになる。
【0055】
いくつかの実施例では、第1シリコン結晶粒子1121の結晶粒度の範囲は、10nm~300nmを含む。第1シリコン結晶粒子の結晶粒度は、10nm~53nm、53nm~95.3nm、95.3nm~138.2nm、138.2nm~200.6nm、200.6nm~248nm又は248nm~300nmであってもよい。第1シリコン結晶粒子1121の結晶粒度は、第1シリコン結晶粒子1121で構成された表面の粗さが大きくなるように、上記のいずれかの範囲内にある。第1シリコン結晶粒子1121の結晶粒度が上記のいずれかの範囲内にあると、第1シリコン結晶粒子1121同士間の安定性が良く、第1ポリシリコンドープ層112は、結晶質の変形が起こりにくくなる。また、第1シリコン結晶粒子1121の結晶粒度が上記の範囲内にあると、第1ポリシリコンドープ層112の第1誘電体層111及び第1パッシベーション層に対する応力が小さくなり、第1ポリシリコンドープ層112と第1誘電体層111及び第1ポリシリコンドープ層112と第1パッシベーション層の間の膜層性能を改善することができる。
【0056】
いくつかの実施例では、第1シリコン結晶粒子1121の形状は、粒子状を含む。塊状構造に比べて、粒子状同士間の粒界が少なく、且つ粒界間の空間が大きいため、第1ポリシリコンドープ層112内のN型ドーピング元素は、粒界間の空間を通って移動し、最終的に第1電極に収集されることができる。
【0057】
いくつかの実施例では、粒子状は、球形粒子状又は準球形粒子状を含む。
【0058】
なお、下記に述べる第2シリコン結晶粒子の形状を含んだ第1シリコン結晶粒子の形状は、電気的顕微鏡又は光学顕微鏡などの拡大倍率を備える検査手段によって観察されるものであり、電気的顕微鏡が通常の測定手段である走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)又はAFM(Atomic Force Microscope、原子間力顕微鏡)を含む。
図3は、走査型電子顕微鏡による第1シリコン結晶粒子のマイクロ形態写真であり、
図3からわかるように、第1シリコン結晶粒子が三次元方向に等長な粒子状を呈している。
図4は、走査型電子顕微鏡による第2シリコン結晶粒子のマイクロ形態写真あり、
図4からわかるように、第2シリコン結晶粒子が二次元方向に延びたシート状を呈している。
【0059】
図2に示すように、太陽電池は、前記裏面のP領域に位置する第2誘電体層121及び前記第2誘電体層に位置する第2ポリシリコンドープ層122を含み、第2ポリシリコンドープ層122にP型ドーピング元素がドープされており、ここで、第1ポリシリコンドープ層112の基板100から離れた表面は、第1粗さを備え、第2ポリシリコンドープ層122の基板100から離れた表面は、第2粗さを備え、第2粗さが第1粗さよりも小さい。
【0060】
いくつかの実施例では、第2誘電体層121の材料は、酸化シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、ナノ結晶シリコン又は炭化ケイ素を含む。
【0061】
いくつかの実施例では、第2誘電体層121は、第2トンネル誘電体層を含んでもよく、第2トンネル誘電体層と第2ポリシリコンドープ層122との間はパッシベーションコンタクト構造を構成しており、第2ポリシリコンドープ層122は、基板100の表面にバンド曲がりを形成することができ、第2トンネル誘電体層は、基板100の表面のバンドに非対称性のオフセットを生じさせ、キャリア中の多数キャリアに対するポテンシャル障壁がキャリア中の少数キャリアに対するポテンシャル障壁よりも低くなる。このため、多数キャリアは、トンネル誘電体層を通過して量子トンネルを容易に行うことができるが、少数キャリアは、第2トンネル誘電体層を通過し難いため、キャリアの選択的な輸送を実現することができる。
【0062】
また、第2トンネル誘電体層は、化学的パッシベーションの効果を発揮している。具体的には、基板100と第2トンネル誘電体層の界面に界面準位欠陥が存在するため、基板100の裏面の界面準位密度が大きくなり、界面準位密度の増加は、光生成キャリアの再結合を促進し、太陽電池のバッキングファクター、短絡電流及び開放電圧を増やし、太陽電池の光電変換効率を高める。第2トンネル誘電体層が基板100の裏面12に位置するように設置することで、第2トンネル誘電体層が基板100の表面に対して化学的パッシベーションの効果を発揮するようになる。具体的には、基板100のダングリングボンドを飽和させ、基板100の欠陥準位密度を下げ、基板100の再結合中心を減らすことで、キャリアの再結合速度を低減する。
【0063】
第2ポリシリコンドープ層122はフィールドパッシベーションの効果を発揮する。具体的には、基板100の表面に基板100の内部に向かう静電界を形成し、少数キャリアを界面から脱出させることにより、少数キャリア濃度を低下させ、基板100界面でのキャリア再結合速度を下げ、太陽電池の開放電圧、短絡電流及びバッキングファクターを増やし、太陽電池の光電変換効率を高める。
【0064】
第2ポリシリコンドープ層122内には、基板100と同じタイプのドーピング元素がドープされてもよく、例えば、基板100のドーピング元素のタイプはP型である。
【0065】
第2ポリシリコンドープ層122内のドーピング元素の濃度は、基板100のドーピング元素の濃度よりも大きく、基板100の表面に十分に高いポテンシャル障壁を形成し、基板100内の多数キャリアが第2トンネル誘電体層を通過して第2ポリシリコンドープ層122に届くことができるようになる。
【0066】
いくつかの実施例では、第2トンネル誘電体層の厚さは、0.5nm~5nmである。第2トンネル誘電体層の厚さ範囲は、0.5nm~1.3nm、1.3nm~2.6nm、2.6nm~4.1nm又は4.1nm~5nmである。第2トンネル誘電体層が上記のいずれかの範囲内にあれば、第2トンネル誘電体層の厚さが薄くて、多数キャリアが第2トンネル誘電体層を通過して量子トンネルを容易に行うことができるが、少数キャリアが第2トンネル誘電体層を通過しにくいため、キャリアの選択的な輸送を実現することができる。
【0067】
図2に示す太陽電池の場合、いくつかの実施例では、第1ポリシリコンドープ層112と基板には、異なる導電型のドーピング元素がドープされており、第1ポリシリコンドープ層112と基板との間にPN接合を構成し、第1ポリシリコンドープ層112をエミッタとする。いくつかの実施例では、第2ポリシリコンドープ層122と基板には異なる導電型のドーピング元素がドープされており、第2ポリシリコンドープ層122と基板との間にPN接合を構成し、第2ポリシリコンドープ層122をエミッタとする。
【0068】
図5は、本願の別の実施例で提供された太陽電池の構造を示す図であり、
図6は、
図5のA1-A2断面に沿った断面構造を示す図である。
【0069】
いくつかの実施例では、
図6に示すように、第1誘電体層211は、第1真性誘電体層を含んでもよく、第1真性誘電体層と基板との間にヘテロ接合構造を構成し、第1真性誘電体層は、基板表面に対して良好なパッシベーション作用を有することができ、キャリアの再結合を大幅に避け、高い少数キャリア寿命と開放電圧を実現することができる。
図6に示すように、第2誘電体層221は、第2真性誘電体層を含んでもよく、第2真性誘電体層と基板との間にヘテロ接合構造を構成し、第2真性誘電体層は、基板表面に対して良好なパッシベーション作用を有することができ、キャリアの再結合を大幅に避け、高い少数キャリア寿命と開放電圧を実現することができる。
【0070】
第1真性誘電体層及び第2真性誘電体層の材料には、真性アモルファスシリコン、真性微結晶シリコン、真性酸化シリコン、真性ナノ結晶シリコン又は真性炭化ケイ素が含まれる。第1真性誘電体層及び第2真性誘電体層の厚さの選択可能な範囲は、2μm~10μmであり、好ましくは、5μmである。場合によって、後に製造する他の膜層の拡散又はドーピング工程条件の影響により、第1真性誘電体層及び第2真性誘電体層には、少量のドーピング元素が含まれてもよいが、少量のドーピング元素を有する真性誘電体層は、依然として真性型の誘電体層とみなされる。
【0071】
いくつかの実施例では、第1ポリシリコンドープ層212及び第2ポリシリコンドープ層222の厚さ範囲は4nm~500nmであり、さらに、第2ポリシリコンドープ層222の厚さ範囲は200nm~400nmである。第2ポリシリコンドープ層222の厚さ範囲は、20nm~103nm、103nm~139nm、139nm~161nm、161nm~218nm、218nm~298nm又は298nm~500nmであってもよい。
【0072】
いくつかの実施例では、
図6に示すように、太陽電池は、第1透明導電層207及び第2透明導電層202をさらに含み、第1透明導電層207が第1ポリシリコンドープ層212の前記基板から離れる表面に位置し、第1電極214が第1透明導電層207と電気的に接触し、第2透明導電層202が第2ポリシリコンドープ層222の前記基板から離れる表面に位置し、第2電極224が第2透明導電層202と電気的に接触している。
【0073】
いくつかの実施例では、第1透明導電層207及び第2透明導電層202の材料は、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、セリウムドープ酸化インジウム、タングステンドープ酸化インジウムのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0074】
図5に示す太陽電池の場合、いくつかの実施例では、第1ポリシリコンドープ層212と基板200には、異なる導電型のドーピング元素がドープされており、第1ポリシリコンドープ層212と基板200との間にPN接合を構成し、第1ポリシリコンドープ層212をエミッタとする。いくつかの実施例では、第2ポリシリコンドープ層222と基板には異なる導電型のドーピング元素がドープされており、第2ポリシリコンドープ層222と基板との間にPN接合を構成し、第2ポリシリコンドープ層222をエミッタとする。ここで、第1誘電体層211または第2誘電体層221が真性誘電体層であり、PN接合の間に真性誘電体層を緩衝層として挿入しており、真性誘電体層は基板200表面に対して良好なパッシベーション作用を有するため、キャリアの再結合を大幅に避け、高い少数キャリア寿命と開放電圧を実現することができる。
【0075】
図2及び
図4をに示すように、第2ポリシリコンドープ層122は、複数の第2シリコン結晶粒子1221を含み、複数の第2シリコン結晶粒子1221の表面が第2粗さを備える第2ポリシリコンドープ層122の表面を構成し、第1シリコン結晶粒子1121の結晶粒度が第2シリコン結晶粒子1221の結晶粒度よりも小さい。
【0076】
いくつかの実施例では、「第1粗さと第2粗さ」の中の「粗さ」とは、1つのサンプリングされた長さに平均水平線を設定し、サンプリングされた長さ内のピークとバレーの平均水平線に対する垂直方向偏差量の絶対値の算術平均値を指す。粗さは、比較法、光切断法、干渉法及びプローブスキャニング法によって測定されることができる。
【0077】
いくつかの実施例では、第2シリコン結晶粒子1221の結晶粒度の範囲は、100nm~900nmである。第2シリコン結晶粒子1221の結晶粒度は、100nm~250nm、250nm~360nm、360nm~490nm、490nm~584nm、584nm~610nm、610nm~790nm又は790nm~900nmであってもよい。第2シリコン結晶粒子1221の結晶粒度が上記のいずれかの範囲内にあると、第2シリコン結晶粒子1221同士間の粒界が小さく、キャリアが第2ポリシリコンドープ層122を通過しやすいため、キャリアの移動速度を高め、電池効率の向上に寄与する。
【0078】
いくつかの実施例では、第2シリコン結晶粒子1221の形状は、シート状、板状又は粒子状を含む。
図4に示す第2シリコン結晶粒子のマイクロ形態は、シート状である。
【0079】
図3と
図4は、同じ拡大倍率での第1ポリシリコンドープ層112の表面形態及び第2ポリシリコンドープ層122の表面形態である。
図3及び
図4からわかるように、第1ポリシリコンドープ層112の表面が第2ポリシリコンドープ層122の表面よりも粗く、即ち第1粗さが第2粗さよりも大きい。これにより、第1ポリシリコンドープ層112と第2ポリシリコンドープ層122の形態の違いに基づいて、より高い粗さを備える第1ポリシリコンドープ層112にとって、第1ポリシリコンドープ層112の表面は、入射光の内部反射を高め、太陽電池の光学損失を低減することができる。また、第1ポリシリコンドープ層112は、第1電極と第1ポリシリコンドープ層112の間の接触面積を大きくし、ひいては第1ポリシリコンドープ層112の接触性能と溶接引張力を改善することができる。低い粗さを備える第2ポリシリコンドープ層122にとって、第2ポリシリコンドープ層122の表面は、滑らかで、それに堆積する第2パッシベーション層の均一性がよく、且つ第2パッシベーション層のパッシベーション性能がよく、太陽電池の再結合欠陥の問題を改善することができる。
【0080】
いくつかの実施例では、第1シリコン結晶粒子1121の結晶粒度が第2シリコン結晶粒子1221の結晶粒度よりも小さいことは、第1シリコン結晶粒子1121の径方向1次元寸法が第2シリコン結晶粒子の径方向1次元寸法よりも小さいことと、第1シリコン結晶粒子1121の高さが第2シリコン結晶粒子1221の高さよりも大きいことと、を含む。これにより、第1シリコン結晶粒子1121で構成される第1ポリシリコンドープ層112の粗さは、第2シリコン結晶粒子1221で構成される第2ポリシリコンドープ層122の粗さよりも大きい。
【0081】
ここで、第1シリコン結晶粒子1121の径方向1次元寸法とは、第1シリコン結晶粒子1121の平均線長(又は直径)を指す。第1シリコン結晶粒子1121の高さとは、第1シリコン結晶粒子1121の第1誘電体層111に近い側と第1シリコン結晶粒子1121の第1誘電体層111から離れた側との距離を指す。
【0082】
同様に、第2シリコン結晶粒子1221の径方向1次元寸法とは、第2シリコン結晶粒子1221の平均線長(又は直径)を指す。第2シリコン結晶粒子1221の高さとは、第2シリコン結晶粒子1221の第2誘電体層121に近い側と第2シリコン結晶粒子1221の第2誘電体層121から離れた側との距離を指す。
【0083】
いくつかの実施例では、第1シリコン結晶粒子1121の形状は、3次元的な等長な粒子状であり、第1シリコン結晶粒子1121の高さは、第1シリコン結晶粒子1121の平均線長と等しく、第2シリコン結晶粒子1221の形状は、2次元的に延びたシート状で、第2シリコン結晶粒子1221の高さは、第2シリコン結晶粒子1221の平均線長よりも小さい。第2シリコン結晶粒子1221の高さは、非延在面方向の線長である。
【0084】
ここで、結晶粒の大きさを結晶粒度と呼ぶ。よく使われる表示方法には、単位体積当たりの結晶粒数(ZV)、単位面積当たりの結晶粒数(ZS)又は結晶粒の平均線長又は直径がある。結晶粒の平均線長とは、結晶粒の延在方向の延在面の線長を指す。本願の実施例における結晶粒度は、結晶粒の平均線長であってもよい。
【0085】
いくつかの実施例では、第1ポリシリコンドープ層112の平均厚さは、第2ポリシリコンドープ層122の平均厚さ以下である。これにより、第1ポリシリコンドープ層112の平均厚さが小さいため、基板内のドーピング元素が第1ポリシリコンドープ層112に拡散して第1電極に収集されやすくなり、裏面に位置する第2ポリシリコンドープ層122の平均厚さが大きいため、第2ポリシリコンドープ層122が薄すぎることに起因して第2電極が第2ポリシリコンドープ層122を溶落ちしてP型ドーピング元素を基板中に拡散させるリスクを軽減し、第2ポリシリコンドープ層122のP型ドーピング元素が基板界面に堆積して「デッドレイヤー」を形成する問題を回避し、キャリアの輸送効率を高め、キャリア再結合中心の発生を低減する。
【0086】
図2に示すように、太陽電池は、第1ポリシリコンドープ層112の基板100から離れた表面を覆い、かつ第2ポリシリコンドープ層122の基板100から離れた表面を覆うパッシベーション層123と、パッシベーション層123を貫通する第1電極114及び第2電極124であって、第1電極114がN領域に位置し、第1電極114が第1ポリシリコンドープ層112と電気的に接続され、第2電極124がP領域に位置し、第2電極124が第2ポリシリコンドープ層122と電気的に接続される第1電極114及び第2電極124と、を含む。
いくつかの実施例では、太陽電池は、第1パッシベーション層113をさらに含み、第1パッシベーション層113が基板100の前面11を覆う。
【0087】
いくつかの実施例では、第1パッシベーション層113は、単層構造又は積層構造であってもよく、第1パッシベーション層113の材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸炭窒化ケイ素、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウムなどの材料のうちの1種又は複数種であってもよい。
【0088】
いくつかの実施例では、パッシベーション層123は単層構造又は積層構造であってもよく、パッシベーション層123の材料は酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸炭窒化ケイ素、酸化チタン、酸化ハフニウム又は酸化アルミニウムなどの材料のうちの1種又は複数種であってもよい。
【0089】
いくつかの実施例では、第1電極114と隣接する第2電極124との間の第1方向Xにおけるピッチ範囲は、0.5mm~2mmである。第1電極114と第2電極124との間の第1方向Xにおけるピッチ範囲は、0.5mm~0.8mm、0.8mm~1.15mm、1.15mm~1.28mm、1.28mm~1.46mm、1.46mm~1.68mm、1.68mm~1.84mm又は1.84mm~2mmである。
【0090】
いくつかの実施例では、第1電極114の第1方向Xにおける幅の範囲または第2電極124の第1方向Xにおける幅の範囲は、5μm~50μmである。第1電極114の第1方向Xにおける幅の範囲または第2電極124の第1方向Xにおける幅の範囲は、5μm~9μm、9μm~14μm、14μm~23μm、23μm~34μm、34μm~42μm、42μm~45μm、45μm~48μm又は48μm~50μmである。
【0091】
いくつかの実施例では、第1電極114は、溶落ち型ペーストで焼結して形成されることができる。第1電極114を形成する方法は、スクリーン印刷工程を利用して一部のパッシベーション層123の表面に金属ペーストを印刷することを含む。金属ペーストは、銀、アルミニウム、銅、錫、金、鉛又はニッケルのうちの少なくとも1つを含むことができる。そして、金属ペーストに対して焼結工程を行い、金属ペーストにはガラス粉末など腐食性の高い成分が含まれている。これにより、焼結中に腐食性成分がパッシベーション層123を腐食し、金属ペーストがパッシベーション層123に浸透して第1ポリシリコンドープ層112と電気的に接触するようになる。
【0092】
いくつかの実施例では、第2電極124は、溶落ち型ペーストで焼結して形成されることができる。第2電極124を形成する方法は、スクリーン印刷工程を利用して一部のパッシベーション層123の表面に金属ペーストを印刷することを含む。金属ペーストは、銀、アルミニウム、銅、錫、金、鉛又はニッケルのうちの少なくとも1つを含むことができる。そして、金属ペーストに対して焼結工程を行い、金属ペーストにはガラス粉末など腐食性の高い成分が含まれている。これにより、焼結中に腐食性成分がパッシベーション層123を腐食し、金属ペーストがパッシベーション層123に浸透して第2ポリシリコンドープ層122と電気的に接触するようになる。
【0093】
図6に示すように、第2電極224を形成する方法は、スクリーン印刷工程を利用して一部のパッシベーション層223の表面に金属ペーストを印刷することを含む。金属ペーストは、銀、アルミニウム、銅、錫、金、鉛又はニッケルのうちの少なくとも1つを含むことができる。そして、金属ペーストに対して焼結工程を行い、金属ペーストにはガラス粉末など腐食性の高い成分が含まれている。これにより、焼結中に腐食性成分がパッシベーション層223を腐食し、金属ペーストがパッシベーション層223に浸透して第2透明導電層202と電気的に接触するようになる。
【0094】
いくつかの実施例では、
図2に示すように、基板内にN型ドーピング元素がドープされており、N型電池は、P型電池に比べて変換率が高く、温度係数が低く、両面率が高く、キャリア寿命が高いなどの利点がある。第1ポリシリコンドープ層112の第1粗さは大きいため、第1ポリシリコンドープ層112と第1電極との接触性能が良好である。第2ポリシリコンドープ層122の第2粗さが小さいため、その上に堆積する第2パッシベーション層の膜層の性能を良くし、第2パッシベーション層のパッシベーション性能を高め、電池の効率を改善することができる。
【0095】
本願の実施例で提供された太陽電池では、太陽電池は、第1ポリシリコンドープ層112と、第2ポリシリコンドープ層122とを含み、第1ポリシリコンドープ層112及び第2ポリシリコンドープ層122がいずれも裏面に位置し、フルパッシベーションコンタクト電池構造の設計によって、電池再結合電流を最大限に低減し、電池の開放電圧を高めている。また、フルパッシベーションコンタクト電池を製造する過程において、高温拡散層の設計がなく、第1ポリシリコンドープ層112及び第2ポリシリコンドープ層122をキャリア輸送層として使用し、拡散層の再結合電流の影響を除去し、電池の開放電圧を向上させている。第1ポリシリコンドープ層112には、N型ドーピング元素がドープされており、第1ポリシリコンドープ層112の表面は第1粗さを備え、第2ポリシリコンドープ層122にはP型ドーピング元素がドープされており、第2ポリシリコンドープ層122の表面は第2粗さを備え、第2粗さが第1粗さよりも小さい。これにより、第1ポリシリコンドープ層112と第2ポリシリコンドープ層122の形態の違いに基づいて、より高い粗さを持った第1ポリシリコンドープ層112にとって、第1ポリシリコンドープ層112の表面は、入射光の内部反射を高め、太陽電池の光学損失を低減することができ、第1ポリシリコンドープ層112は、さらに第1電極と第1ポリシリコンドープ層112との間の接触面積を高め、第1ポリシリコンドープ層112の接触性能と溶接引張力を改善することができる。低い粗さを持った第2ポリシリコンドープ層122にとって、第2ポリシリコンドープ層122の表面は滑らかで、その上に堆積する第2パッシベーション層の均一性がよく、且つ第2パッシベーション層のパッシベーション性能がよく、太陽電池の再結合欠陥の問題を改善することができる。
【0096】
上記の
図6における基板200、第1パッシベーション層213、第1誘電体層211、第1ポリシリコンドープ層212、オリジナルテクスチャ構造23、突起構造201、第1電極214、前面21及び裏面22について、
図2における基板100、第1パッシベーション層113、第1誘電体層111、第1ポリシリコンドープ層112、オリジナルテクスチャ構造13、突起構造101、第1電極114、前面11及び裏面12の記載を参照することができる。ここでは、説明を割愛する。
【0097】
また、本願の他のいくつかの実施例は、太陽電池をさらに提供し、上述した実施例と異なる点は、本願の他のいくつかの実施例で提供された太陽電池におけるP領域の正対する裏面が第1表面構造を備え、第2誘電体層が第1表面構造を覆い、非電極領域の正対する裏面が第2表面構造を備え、パッシベーション層が第2表面構造を覆うことことにある。上述した実施例と同じ部分について、ここでは説明を割愛する。
【0098】
図8及び
図9に示すように、N領域の正対する裏面32は第1表面構造35を備え、第1誘電体層311が第1表面構造35を覆い、非電極領域2の正対する裏面32が第2表面構造34を備え、パッシベーション層323が第2表面構造34を覆う。
いくつかの実施例では、第1表面構造35と前面31との最小距離は、第1距離であり、第2表面構造34と前面31との最小距離は、第2距離であり、第1距離が第2距離よりも大きい。
【0099】
ここで、第1表面構造35と前面31との最小距離とは、第1表面構造の前面31に最も近い部分と前面31との距離を指す。第2表面構造34と前面31の最小距離とは、第2表面構造の前面31に最も近い部分と前面31との距離を指す。
いくつかの実施例では、裏面は第1表面構造、第2表面構造及びテクスチャ構造を含む。
【0100】
いくつかの実施例では、第1距離と第2距離との差の範囲は0.5~10μmを含む。第1距離と第2距離との差は、0.5μm~2μm、2μm~3.8μm、3.8μm~6.9μm、6.9μm~7.6μm、7.6μm~8.3μm又は8.3μm~10μmであってもよい。
【0101】
第1表面構造は、プラットフォーム突起構造、ピラミッドテクスチャ構造または平坦面を含む。
【0102】
いくつかの実施例では、第1表面構造35は、間隔をあけて配列された複数の第1突起構造304を含み、実際の応用において、複数の第1突起構造304の配列方式について限定しない。第1誘電体層311及び第1ポリシリコンドープ層312の厚さが薄いため、第1誘電体層311と第1ポリシリコンドープ層312には、第1突起構造の形態を表すことができる。
【0103】
いくつかの実施例では、
図8に示すように、第2表面構造34は、複数の第2突起構造303を含む。実際の応用において、複数の第2突起構造303の配列方式について限定しない。
【0104】
いくつかの実施例では、第1表面構造35又は第2表面構造34のうちの少なくとも一方は、プラットフォーム突起構造又はピラミッドテクスチャ構造を含む。
【0105】
いくつかの実施例では、
図9と
図10に示すように、基板300の裏面は、第3表面構造36をさらに備え、第3表面構造36がP領域と非電極領域2との境界またはN領域と非電極領域2との境界に位置し、一部の第3表面構造36が、第1側面315と、第2側面325とを含み、第1側面315がN領域に向かっており、且つ第1誘電体層311が第1側面315を覆い、第2側面325が非電極領域2に向かっており、第1側面315の径方向長さが第2側面325の径方向長さよりも小さい。
【0106】
いくつかの実施例では、第3表面構造36は、角柱構造、ピラミッド構造または四面体構造を含む。
【0107】
図11に示すように、第3表面構造36は、交雑して設置された複数の第3突起構造305を備え、離散的な第3突起構造305に加えて、第3表面構造36は、微細突起構造345をさらに備え、これによって、異なる角度で電極領域と非電極領域の境界に入射した入射光は、少なくとも1回の反射によって第3突起構造305及び/又は微細突起構造345を介して基板300に吸収される確率が高くなり、かつ少なくとも1回の反射によって第3突起構造305及び/又は微細突起構造345を介して非電極領域2に反射されて非電極領域2に吸収される確率が高くなり、前面31の入射光に対する吸収率を高めるのに寄与する。P領域またはN領域の深刻なキャリア再結合問題を改善し、かつ前面31の入射光に対する吸収率を向上させることで、太陽電池の光電変換効率を高めることができる。
【0108】
いくつかの実施例では、第3表面構造36は、角柱構造、ピラミッド構造又は四面体構造を含む。
【0109】
以下、図面を参照しながら、本願の実施例についてより詳しく説明する。
【0110】
いくつかの実施例では、
図11に示すように、微細突起構造345は、N領域に向かって傾斜する角柱構造、第2ピラミッド構造又は三角形の板状構造のうちの少なくとも1つを含む。
【0111】
なお、
図11では、微細突起構造345がN領域に向かって傾斜する角柱構造、第2ピラミッド構造又は三角形の板状構造の3つを含んだ例を示したが、実際の応用において、同じ領域の第3表面構造36にとって、微細突起構造345は、N領域に向かって傾斜する第2ピラミッド構造、三角形の板状構造又は角柱構造のいずれか1つ又は2つのみを含んでもよい。また、微細突起構造345は、N領域に向かって傾斜する角柱構造、第2ピラミッド構造又は三角形の板状構造のいずれか1つであることに加えて、不規則な粒子状構造であってもよい。
【0112】
なお、
図11に示すように、微細突起構造345の底部の1次元寸法は、微細突起構造345の底部の基板300における正投影パターンの長さ、幅、対角線の長さのいずれかを含む。また、
図10では、微細突起構造345の底部の基板300における正投影パターンが規則的な四角形であることを例としている。この場合、微細突起構造345の底部の1次元寸法は、規則的な四角形の長さ、幅又は対角線の長さのいずれかである。
【0113】
実際の応用において、微細突起構造345の底部の基板300における正投影パターンは、不規則な多角形であってもよい。この場合、微細突起構造345の底部の基板300における正投影パターンの長さ、幅又は対角線の長さは、絶対的なものではなく、微細突起構造345の底部を表すために人為的に定義された1次元寸法である。例えば、微細突起構造345の底部の基板300における正投影パターンは不規則な四角形である場合、微細突起構造345の底部の基板300における正投影パターンの長さは、不規則な四角形の最も長い辺の長さと定義され、微細突起構造345の底部の基板300における正投影パターンの幅は、不規則な四角形の最も短い辺の長さと定義され、微細突起構造345の底部の基板300における正投影パターンの対角線の長さは、不規則な四角形の最も長い対角線の長さと定義されることができるが、理解できるように、上記は例示的なものだけであり、実際のニーズに応じて柔軟に定義されることができる。
【0114】
また、微細突起構造345の底部の基板300における正投影パターンは、不規則な四角形のほか、他の不規則な多角形、円形又は円形に近い不規則な形状であってもよい。この場合、微細突起構造345の底部の1次元寸法は、微細突起構造345の底部における異なる複数の特定面積の領域を選択し、この特定面積の領域は、実際のニーズに応じて柔軟に定義でき、そして、異なる特定面積の領域の長さ、幅、対角線又は直径の平均値を求めることで得られることができる。
【0115】
なお、
図11に示すように、第3突起構造305の底部の基板300における正投影パターンは、一般的に規則的な四角形である。この場合、第3突起構造305の底部の1次元寸法は、規則的な四角形の長さ、幅又は対角線の長さのいずれかである。実際の応用において、第3突起構造305の底部の基板300における正投影パターンは、不規則な四角形であってもよい。この場合、微細突起構造345の底部の基板300における正投影パターンが不規則な四角形である場合の1次元寸法の定義と類似しているため、ここでは説明を割愛する。
【0116】
また、異なる第3突起構造305の底部の1次元寸法は、異なってもよいし、同じであってもよいが、第3突起構造305の底部の1次元寸法は、ある数値範囲内にある。異なる微細突起構造345の底部の1次元寸法は、異なってもよいし、同じであってもよいが、第3突起構造305の底部の1次元寸法もある数値範囲内にある。微細突起構造345の底部の1次元寸法が第3突起構造305の底部の1次元寸法よりも小さいことは、複数の微細突起構造345の底部の1次元寸法の平均値が複数の第3突起構造305の底部の1次元寸法の平均値よりも小さいことを指す。
【0117】
以下、角柱構造の具体的な特徴について詳しく説明する。
【0118】
いくつかの実施例では、
図11に示すように、角柱構造は、第3突起構造305の側面に位置している。角柱構造の第3突起構造305の側面における配列方式には、1つの角柱構造が1つの第3突起構造305の側面に位置することと、1つの第3突起構造305の同じ側面に複数の角柱構造が付着されており、且つ各角柱構造がいずれも当該側面に接触して接続されていることという2つの状況がある。
【0119】
他のいくつかの実施例では、
図11に示すように、一部の角柱構造は、境界においてN領域に近い一部の領域に位置している。例えば、角柱構造は、第3突起構造305とN領域の間に位置する。
【0120】
他のいくつかの実施例では、第3突起構造305の側面から離れる方向に沿って、複数の角柱構造が順次配列されている。例えば、複数の角柱構造のうち、第3突起構造305の側面に最も近い角柱構造のみが第3突起構造305の側面に接触して接続されている。
【0121】
なお、同じ境界に位置する複数の角柱構造は、上述した3つの実施例のうち少なくとも1つの角柱構造であり、即ち、同じ境界に位置する複数の角柱構造は、それぞれ上述した3つの実施例における角柱構造の特徴を備えてもよいし、上述したいずれか2つの実施例における角柱構造の特徴を備えてもよいし、上述したいずれか1つの実施例における角柱構造の特徴を備えてもよい。
【0122】
以下、第2ピラミッド構造の具体的な特徴について詳しく説明する。
【0123】
いくつかの実施例では、第2ピラミッド構造の底部が第3突起構造305の底部に接触して接続されている。場合によって、同じ第3突起構造305の底部の周りに複数の第2ピラミッド構造が取り囲まれることができ、各第2ピラミッド構造の底部はいずれも当該第3突起構造305の底部に接触して接続されている。
【0124】
他のいくつかの実施例では、少なくとも1つの第2ピラミッド構造は、隣接する2つの第3突起構造305の間隔に位置している。言い換えれば、第2ピラミッド構造の底部は、第3突起構造305の底部に接触して接続されていない。
【0125】
なお、同じ境界に位置する第2ピラミッド構造は、上述した2つの実施例のうちの少なくとも1つの第2ピラミッド構造であり、即ち、同じ境界に位置する複数の第2ピラミッド構造は、それぞれ上述した2つの実施例における第2ピラミッド構造の特徴を備えてもよいし、上述したいずれか1つの実施例における第2ピラミッド構造の特徴を備えてもよい。
【0126】
以下、三角形の板状構造の具体的な特徴について詳しく説明する。
【0127】
場合によって、1つの三角形の板状構造が1つの第3突起構造305の側面に位置する。場合によって、1つの第3突起構造305の同じ側面に複数の三角形の板状構造が付着されており、且つ各三角形の板状構造がいずれも当該側面に接触して接続されている。
【0128】
他のいくつかの実施例では、第3突起構造305の側面から離れた方向に沿って、複数の三角形の板状構造が順次配列されている。例えば、複数の三角形の板状構造のうち、第3突起構造305の側面に最も近い三角形の板状構造のみが第3突起構造305の側面に接触して接続されている。
【0129】
なお、同じ境界に位置する三角形の板状構造は、上述した2つの実施例のうちの少なくとも1つの三角形の板状構造であり、即ち、同じ境界に位置する複数の三角形の板状構造は、それぞれ上述した2つの実施例における三角形の板状構造の特徴を備えてもよいし、上述したいずれか1つの実施例における三角形の板状構造の特徴を備えてもよい。
【0130】
いくつかの実施例では、第3突起構造305は、境界において非電極領域2に近い一部の領域に位置している。言い換えれば、境界において非電極領域2に近い一部の領域には、より代表的な第3突起構造305がある。
【0131】
なお、上述した各実施例を通じて境界における第3表面構造36について述べたように、第3表面構造36の構造には多様性がある。場合によって、同じ境界には、第3突起構造305のほか、さらに複数の微細突起構造345があるだけでなく、例えば、隣接する2つの境界のうちの一方がN領域に向かって傾斜する角柱構造と第2ピラミッド構造とを備え、他方が第2ピラミッド構造と三角形の板状構造を備えるなど、異なる境界における複数の微細突起構造345の具体的な特徴が異なってもよい。
【0132】
図10に示すように、第3表面構造36は、第1角柱構造335をさらに含み、第1角柱構造335の傾斜方向に沿って、第3突起構造305の第1長さが第1角柱構造335の第2長さよりも長く、少なくとも一部の第1角柱構造335が第3突起構造305のN領域から離れた側面に位置している。これにより、境界に入射した入射光が境界又は非電極領域2に吸収される確率を一層高めるのに寄与する。
【0133】
なお、
図10に示す例では、第3突起構造305の第1長さは、複数の第3突起構造305のうち最も短い第3突起構造305の傾斜長さであると定義され、第1角柱構造335の第2長さは、複数の第1角柱構造335のうち最も長い第1角柱構造335の傾斜長さであると定義される。これに基づいて、第3突起構造305の第1長さが第1角柱構造335の第2長さよりも大きいというのは、複数の第3突起構造305のうちの最も短い第3突起構造305の傾斜長さが、複数の第1角柱構造335のうちの最も長い第1角柱構造335の傾斜長さよりも大きいことを指す。
【0134】
実際の応用において、第3突起構造305の第1長さは、複数の第3突起構造305の傾斜長さの平均値であると定義されてもよく、第1角柱構造335の第2長さは、複数の第1角柱構造335の傾斜長さの平均値であると定義されてもよい。これに基づいて、第3突起構造305の第1長さが第1角柱構造335の第2長さよりも大きいというのは、複数の第3突起構造305の傾斜長さの平均値が複数の第1角柱構造335の傾斜長さの平均値よりも大きいことを指す。
【0135】
いくつかの実施例では、
図10に示すように、第3突起構造305のN領域から離れる側面における第2角柱構造335の配列方式には、1つの第2角柱構造335が1つの第3突起構造305のN領域から離れた側面に位置することと、複数の第1角柱構造335が同じ第2角柱構造335のN領域から離れた側面に位置し、且つ各第1角柱構造335がいずれも当該側面に接触して接続されることという2つの状況がある。
【0136】
他のいくつかの実施例では、
図10に示すように、第3突起構造305の側面から離れた方向に沿って、複数の第1角柱構造335が順次配列されている。例えば、複数の第1角柱構造335のうち、第3突起構造305の側面に最も近い第1角柱構造335のみが第3突起構造305の側面に接触して接続されている。
【0137】
いくつかの実施例では、
図10に示すように、第3表面構造36は、第1ピラミッド構造を含さらにんでもよく、少なくとも一部の第1ピラミッド構造が境界の一部の領域に位置する。
【0138】
ここで、第3突起構造の底部の1次元寸法は、第1突起構造の底部の1次元寸法よりも大きく、第1突起構造の底部の1次元寸法は、第2突起構造の底部の1次元寸法よりも大きい。
【0139】
なお、第1突起構造の底部の1次元寸法と第2突起構造の底部の1次元寸法は、いずれも本願の一実施例における第3突起構造の底部の1次元寸法の定義と類似しているため、ここでは説明を割愛する。
【0140】
また、異なる第1突起構造の底部の1次元寸法は、異なってもよいし、同じであってもよいが、第1突起構造の底部の1次元寸法は、1つの数値範囲内にある。異なる第2突起構造の底部の1次元寸法は、異なってもよいし、同じであってもよいが、第2突起構造の底部の1次元寸法も1つの数値範囲内にある。これに基づいて、第3突起構造の底部の1次元寸法が第1突起構造の底部の1次元寸法よりも大きいというのは、複数の第3突起構造底部の1次元寸法の平均値が第1突起構造の底部の1次元寸法の平均値よりも大きいことを指す。第1突起構造の底部の1次元寸法が第2突起構造の底部の1次元寸法よりも大きいというのは、表面に第1ポリシリコンドープ層を有する複数の第1突起構造底部の1次元寸法の平均値が非電極領域2に位置する複数の第2突起構造底部の1次元寸法の平均値よりも大きいことを指す。
【0141】
また、本願の一実施例では、第2突起構造の底部の1次元寸法と第3突起構造の底部の1次元寸法との大小関係について限定しない。
【0142】
相応的に、本願のいくつかの実施例によれば、本願実施例の一態様では、上記の実施例に提供された太陽電池を製造するための太陽電池の製造方法を提供しており、上記の実施例と同一または対応の技術的特徴について、ここでは説明を割愛する。
【0143】
【0144】
製造方法は、初期基板を提供することを含み、初期基板は、対向設置された第1面及び第2面を含み、初期基板内には、N型ドーピング元素またはP型ドーピング元素がドープされている。
【0145】
いくつかの実施例では、対向設置された初期基板の両側に対して研磨処理を行い、研磨処理は、基板の表面欠陥を低減するためになされたものである。
【0146】
いくつかの実施例では、初期基板は、間隔をあけて交互に設置された第1領域及び第2領域を備え、隣接する第1領域と第2領域の間に初期非電極領域がある。
【0147】
製造方法は、初期基板の第2面がテクスチャ構造を形成するように、初期基板の第2面に対してテクスチャ形成処理を行うことを含む。テクスチャ形成処理は、化学エッチングを含んでもよく、例えば、水酸化カリウムと過酸化水素の混合溶液で初期基板を洗浄し、具体的には水酸化カリウムと過酸化水素の濃度比を制御することで形態が所望に適合するテクスチャ構造を形成することができる。いくつかの実施例では、レーザーエッチング、機械法、プラズマエッチングなどの方法でテクスチャ形成処理を行ってもよい。レーザーエッチングでは、レーザー工程のパラメーターを制御することで形態が所望に適合するテクスチャ構造を得る。
【0148】
製造方法は、積層された第1初期誘電体層及び第1半導体層を第1面に形成することを含み、第1初期誘電体層が第1領域、第2領域及び初期非電極領域に位置し、ここで、第1半導体層が第1初期誘電体層の初期基板から離れる表面に位置し、第1半導体層の初期基板から離れた表面には第1初期粗さを有する。
【0149】
いくつかの実施例では、第1半導体層に対してパターニング化処理を行い、第1領域に位置する第1初期誘電体層を第1誘電体層として残し、第1領域に位置する第1半導体層を第1ポリシリコンドープ層として残し、第1ポリシリコンドープ層の初期基板から離れた表面は第1粗さを有し、ここで、パターニング化処理を行った後の第1領域、第2領域及び初期非電極領域をそれぞれN領域、P領域及び非電極領域とし、初期基板を基板とし、初期基板の第1面を裏面とし、初期基板の第2面を前面とする。
【0150】
いくつかの実施例では、基板の裏面は第1表面構造を有し、第1領域と初期非電極領域の境界または第2領域と初期非電極領域の境界の少なくとも一方には、初期遷移領域を有し、第1領域、第2領域、非電極領域及び初期遷移領域は、第1表面構造を有し、パターニング化処理のステップにおいて、初期非電極領域、第2領域及び初期遷移領域に位置する第1初期半導体層及び第1半導体層を除去すると同時に、一部の厚さの初期基板をエッチングすることにより、初期非電極領域の第1表面構造が第2表面構造に変換され、初期遷移領域の第1表面構造が第3表面構造に変換され、テクスチャ構造は第1側面及び第2側面を含み、第1側面は非電極領域から離れた側に向かっており、第2側面は非電極領域に向かっており、第1側面の径方向長さが第2側面の径方向長さよりも小さい。
【0151】
いくつかの実施例では、第1表面構造は、テクスチャ構造と同じ製造工程にて製造されることができ、即ち、初期基板の第1面及び第2面はいずれもテクスチャ形成処理を行われることができる。
【0152】
製造方法は、裏面に第2誘電体層及び第2ポリシリコンドープ層を形成することを含み、第2誘電体層が第2領域に位置し、ここで、第2ポリシリコンドープ層が第2誘電体層の表面に位置し、第2ポリシリコンドープ層の第2誘電体層から離れた表面は第2粗さを備え、第2粗さが第1粗さよりも小さい。
【0153】
いくつかの実施例では、第1半導体層及び第2ポリシリコンドープ層に対して同時に結晶化処理を行うことができ、この過程において、第1半導体層の基板から離れた表面が第1粗さを備え、第2ポリシリコンドープ層の基板から離れた表面が第2粗さを備える。
【0154】
いくつかの実施例では、結晶化処理は、アニーリング処理又はレーザー活性化を含む。
【0155】
いくつかの実施例では、パターニング化処理を行う前に、パターニング化処理による第1ポリシリコンドープ層へのエッチングダメージを低減するように、第1領域の第1半導体層の表面にマスク層を形成することをさらに含む。マスク層の材料には、有機ワックス、金属又は二酸化ケイ素マスクが含まれる。印刷工程を用いてマスク層を形成する。
【0156】
いくつかの実施例では、第1ポリシリコンドープ層を形成した後、エッチング工程でマスク層を除去することができる。エッチング工程は、乾式エッチング工程、湿式エッチング工程又はレーザーエッチング工程のいずれか1つであってもよい。
【0157】
いくつかの実施例では、パターニング化処理は、湿式エッチング工程又はレーザーエッチング工程を含む。湿式エッチング工程の工程パラメーターは、反応溶液が酸溶液を含むことと、反応時間が50~550sであることとを含む。
【0158】
いくつかの実施例では、湿式エッチング工程のステップは、(1)HF、HNO3、H2SO4を含んだ混合酸溶液を使って、質量濃度がそれぞれ10~25%、5~10%、2~4%であり、スクリーン印刷の方式を利用して、非金属領域の表面にパターニング化して作用し、作用量が0.05~0.8mL/cm2であり、作用時間が50~550sであることと、(2)作用後、脱イオン水/低濃度アルカリ液(0.5~1%NaOH)/低濃度HCl(2.5~3.5%)で交替して2回洗浄することと、を含む。
【0159】
製造方法は、パッシベーション層を形成することを含み、パッシベーション層が第1ポリシリコンドープ層及び第2ポリシリコンドープ層の表面を覆い、パッシベーション層がさらに非電極領域に位置する。
【0160】
製造方法は、パッシベーション層を貫通する第1電極及び第2電極を形成することを含み、第1電極がN領域に位置し、第1電極が第1ポリシリコンドープ層に電気的に接続され、第2電極がP領域に位置し、第2電極が第2ポリシリコンドープ層に電気的に接続される。
【0161】
図12は、本願の別の実施例で提供された光起電力モジュールの構造を示す図であり、
図13は、
図12のM1-M2断面に沿った断面構造を示す図である。
【0162】
相応的に、本願のいくつかの実施例によれば、本願の他のいくつかの実施例は、上述した実施例の太陽電池を含むことができる光起電力モジュールを提供する。上述した実施例と同じ部分について、ここでは説明を割愛する。
【0163】
図12に示すように、光起電力モジュールは、複数の上述した実施例のいずれかにおける太陽電池40または上述した実施例のいずれかにおける製造方法によって製造された複数の太陽電池が接続部材409によって接続されてなるセルストリングと、セルストリングの表面を覆うための封止層47と、封止層47のセルストリングから離れた表面を覆うためのカバープレート48と、を含む。
【0164】
具体的には、いくつかの実施例では、複数の電池セル間は、接続部材409によって電気的に接続され、接続部材409と電池セルにおけるメイングリッド408との間は、溶接されることができる。
【0165】
いくつかの実施例では、電池セル間には、間隔を設けておらず、即ち電池セル間が重なり合っている。
【0166】
いくつかの実施例では、接続部材と電池セルにおけるサブグリッドとの間は、溶接されており、サブグリッドが第1電極414及び第2電極424を含む。
【0167】
いくつかの実施例では、封止層は、第1封止層と、第2封止層と、を含み、第1封止層が太陽電池の前面又は裏面の一方を覆い、第2封止層が太陽電池の前面又は裏面の他方を覆う。具体的には、第1封止層又は第2封止層の少なくとも一方は、ポリビニルブチラール(Polyvinyl Butyral、PVB)接着フィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)接着フィルム、ポリエチレン-オクテン共重合体(POE)接着フィルム又はポリエチレンテレフタレート(PET)接着フィルムなどの有機封止フィルムであってもよい。
【0168】
なお、積層加工前、第1封止層及び第2封止層には境界線があり、積層加工後、光起電力モジュールを形成すると、もはや第1封止層及び第2封止層という概念がなく、即ち第1封止層と第2封止層が一体化された封止層47を形成している。
【0169】
いくつかの実施例では、カバープレート48は、ガラスカバープレート、プラスチックカバープレートなどの光透過機能を持ったカバープレートであってもよい。具体的には、カバープレート48の封止層47側に向かう表面は、凹凸表面であってもよく、これによって、入射光の利用率を高めることができる。カバープレート48は、第1カバープレート及び第2カバープレートを含み、第1カバープレートが第1封止層に対向し、第2カバープレートが第2封止層に対向する。あるいは、第1カバープレートが太陽電池の片方側に対向し、第2カバープレートが太陽電池の他方側に対向する。
【0170】
当業者であれば、前記の各実施形態は本願を実現する具体的な実施例であるが、実用上では本願の範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者は、本願の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を行うことが可能であるため、本願の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準にすべきである。
【要約】 (修正有)
【課題】光起電力の分野に関し、太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュールを提供する。
【解決手段】太陽電池は、基板と、基板の裏面に及びN領域に位置する第1誘電体層及び第1ポリシリコンドープ層と、基板の裏面に及びP領域に位置する第2誘電体層及び第2ポリシリコンドープ層と、パッシベーション層と、を含み、基板が間隔をあけて交互に設置されたP領域及びN領域を含み、第1ポリシリコンドープ層にはN型ドーピング元素がドープされており、第2ポリシリコンドープ層にP型ドーピング元素がドープされており、第1ポリシリコンドープ層の第1誘電体層から離れた表面は、第1粗さを備え、第2ポリシリコンドープ層の第2誘電体層から離れた表面は、第2粗さを備え、第2粗さが第1粗さよりも小さく、パッシベーション層が第1ポリシリコンドープ層の表面を覆い、かつ第2ポリシリコンドープ層の表面を覆う。
【選択図】
図2