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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】電動式建設機械の駆動システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20240726BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
E02F9/20 C
E02F9/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024511221
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 JP2022045901
(87)【国際公開番号】W WO2023188579
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2024-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2022052448
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】森 和繁
(72)【発明者】
【氏名】高橋 究
(72)【発明者】
【氏名】井上 亮弥
(72)【発明者】
【氏名】古東 宥輝
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-129976(JP,A)
【文献】特開2009-256988(JP,A)
【文献】特開2000-319932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
E02F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータと,
前記電動モータにより駆動される油圧ポンプと,
前記油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータと,
前記複数のアクチュエータを操作するための複数の操作装置と,
前記電動モータに電力を与える蓄電装置と,
前記電動モータの回転数を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記複数の操作装置のいずれかが操作されているときは,前記電動モータを所定の回転数で駆動し,前記複数の操作装置のいずれも操作されておらず,所定時間を経過したときは,前記電動モータの回転数を前記所定の回転数から低速のアイドル回転数に低下させるオートアイドル制御を実行する電動式建設機械の駆動システムにおいて,
前記コントローラは,前記蓄電装置の蓄電残量が第1閾値以下であるときには,前記蓄電残量が前記第1閾値よりも多いときよりも前記所定時間を短く設定することを特徴とする電動式建設機械の駆動システム。
【請求項2】
請求項1記載の電動式建設機械の駆動システムにおいて,
前記コントローラは,前記蓄電残量が前記第1閾値よりも多い第2閾値から前記第1閾値まで減少する間は,連続的に減少する前記所定時間を演算することを特徴とする電動式建設機械の駆動システム。
【請求項3】
請求項1記載の電動式建設機械の駆動システムにおいて,
前記コントローラは,前記蓄電残量が前記第1閾値以下に減少するとき,ステップ的に減少する前記所定時間を演算することを特徴とする電動式建設機械の駆動システム。
【請求項4】
請求項1記載の電動式建設機械の駆動システムにおいて,
前記蓄電装置に電力供給線を介して接続され,前記電動モータを駆動するインバータと,
前記電力供給線に外部電源を接続するための給電コネクタとを備えることを特徴とする電動式建設機械の駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,所定時間の間,操作が無かった場合に,電動モータの回転数を低速のアイドル回転数まで低下させる電動式建設機械の駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の建設機械の多くは,ディーゼルエンジンを動力源とし,ディーゼルエンジンに連結された油圧ポンプから供給される圧油により油圧アクチュエータを作動させることで作業を行う。油圧アクチュエータの動作の指示は操作レバー装置のレバー操作によって行われる。このような建設機械の駆動システムにおいては,例えば特許文献1に記載のように,所定時間の間,操作レバー装置のレバー操作が無かった場合に,エンジンの回転数を低速のアイドル回転数まで低下させるオートアイドル制御が採用されている。
【0003】
一方,近年は燃費の向上,排ガス特性の改善,騒音の低減等の観点から,駆動源として蓄電装置(バッテリ)を搭載し,蓄電装置の電力で電動モータを駆動し,油圧ポンプを駆動する電動式油圧ショベル等の作業機械が開発され,実用化されてきている。
【0004】
このような電動式建設機械において,特許文献2は,エンジンで油圧ポンプを駆動する建設機械と同様に,所定時間の間,操作レバー装置のレバー操作が無かった場合に,電動モータの回転数を下げ,オートアイドル制御を行うようにしたものを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特公昭60-038561号公報
【文献】特開2010-121328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載された電動式建設機械においては,所定時間の間,レバー操作が無かった場合に,電動モータの回転数を下げ,オートアイドル制御を行うことにより,電力消費を抑えている。駆動源が蓄電装置である電動式建設機械においては,蓄電装置の充電時間が一般の建設機械の燃料の給油時間よりも長くかかってしまう。そのため,蓄電装置の蓄電残量を長持ちさせることが重要となってくる。しかし,特許文献2においては,オートアイドル制御に移行する際の所定時間は一定であり,オートアイドル制御に移行するまでのレバー操作がされていない状況下での電力消費を抑えることはできず,蓄電装置の蓄電残量を長持ちさせることができなかった。
【0007】
本発明の目的は,蓄電装置の蓄電残量が少ないとき,オートアイドル制御に移行する際の蓄電残量の減少を抑え,蓄電装置の蓄電残量を長持ちさせることができる電動式建設機械の駆動システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために,本発明は,電動モータと,前記電動モータにより駆動される油圧ポンプと,前記油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータと,前記複数のアクチュエータを操作するための複数の操作装置と,前記電動モータに電力を与える蓄電装置と,前記電動モータの回転数を制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記複数の操作装置のいずれかが操作されているときは,前記電動モータを所定の回転数で駆動し,前記複数の操作装置のいずれも操作されておらず,所定時間を経過したときは,前記電動モータの回転数を前記所定の回転数から低速のアイドル回転数に低下させるオートアイドル制御を実行する電動式建設機械の駆動システムにおいて,前記コントローラは,前記蓄電装置の蓄電残量が第1閾値以下であるときには,前記蓄電残量が前記第1閾値よりも多いときよりも前記所定時間を短く設定するものとする。
【0009】
このように本発明は,蓄電装置の蓄電残量が第1閾値以下であるときには,蓄電残量が第1閾値よりも多いときよりも所定時間を短く設定するため,所定時間が短くなった分,所定時間の間の蓄電装置の電力消費量が抑えられ,蓄電装置の蓄電残量が少ないとき,オートアイドル制御に移行する際の蓄電残量の減少が抑えられ,蓄電装置の蓄電残量を長持ちさせることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば,蓄電装置の蓄電残量が少ないとき,オートアイドル制御に移行する際の蓄電残量の減少を抑え,蓄電装置の蓄電残量を長持ちさせ,一度の充電で長時間,建設機械を運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態における駆動システムを備えた電動式建設機械の側面図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係わる電動式油圧ショベルの駆動システムを示す図である。
図3】コントローラの処理内容の詳細を示す機能ブロック図である。
図4】基準回転数演算テーブルに設定された回転数ダイヤルの指示信号と基準回転数との関係を示す図である。
図5】所定時間演算テーブルに設定された蓄電残量と所定時間との関係を示す図である。
図6】コントローラの処理の流れを示すフローチャートである。
図7】所定時間演算テーブルに設定された蓄電残量と所定時間との関係の他の例を示す図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係わる電動式油圧ショベルの駆動システムを示す図であって,蓄電装置の電力で電動モータを駆動している場合を示す図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係わる電動式油圧ショベルの駆動システムを示す図であって,外部電源の電力で蓄電装置を充電しながら電動モータを駆動する場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下,本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態を説明する。
【0014】
~建設機械~
図1は,本発明の第1の実施形態における駆動システムを備えた電動式建設機械の側面図である。本実施形態において,電動式建設機械は建設機械の代表例である履帯式の油圧ショベルである。
【0015】
図1において,本実施形態における電動式油圧ショベルは,上部旋回体300と,下部走行体301と,フロント作業機302とを備えている。上部旋回体300は,操作レバー装置21を操作し旋回モータ13を回転させることで,下部走行体301に対し旋回が可能である。上部旋回体300の前部にはスイングポスト303が取り付けられ,このスイングポスト303にフロント作業機302が上下動可能に取り付けられている。フロント作業機302はブーム306,アーム307,バケット308を備え,操作レバー装置20,21を操作しブームシリンダ18,アームシリンダ16,バケットシリンダ19を伸縮させることでブーム306,アーム307,バケット308が駆動され,フロント作業機302の姿勢が変化する。下部走行体301は左右のクローラ式走行装置301a,301bを備え,操作ペダル装置23a,23bを操作し左右の走行モータ17,16を回転させることで走行装置301a,301bを駆動し,走行を行う。左右のクローラ式走行装置301a,301b間の中央フレームにはブレード304が取り付けられ,ブレード304は,操作レバー装置22を操作しブレードシリンダ12を伸縮させることで上下動作を行う。更に,スイングポスト303は,操作ペダル装置24(図2参照)を操作しスイングシリンダ14(図2参照)を伸縮させることで左右に回動する。
【0016】
~駆動システム~
図2は,本実施形態に係わる電動式油圧ショベルの駆動システムを示す図である。
【0017】
図2において,本実施形態の駆動システムは,電動モータ1と,電動モータ1によって駆動されるメインポンプである第1油圧ポンプP1,第2油圧ポンプP2及び第3油圧ポンプP3と,メインポンプP1,P2,P3と連動して電動モータ1により駆動されるパイロットポンプP4と,第1,第2,第3油圧ポンプP1,P2,P3から吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータである上述した左右の走行モータ17,16,ブームシリンダ18,バケットシリンダ19,アームシリンダ15,ブレードシリンダ12,旋回モータ13及びスイングシリンダ14と,第1,第2,第3油圧ポンプP1,P2,P3から複数のアクチュエータ12~19へ供給される圧油の流れを制御する複数の方向切換弁3~5,7~11と,複数の方向切換弁3~5,7~11を切り換え,複数のアクチュエータ12~19を操作するための複数の操作装置である上述した操作レバー装置20,21,22及び操作ペダル装置23a.23b,24と,パイロットポンプP4の圧油供給路54に接続され,パイロットポンプP4の圧力を一定に保つパイロットリリーフ弁29とを備えている。
【0018】
第1油圧ポンプP1,P2は可変容量型の油圧ポンプであり,スプリットフロータイプの油圧ポンプ46によって構成されている。第3油圧ポンプP3は固定容量型の油圧ポンプである。スプリットフロータイプの油圧ポンプ46は,第1,第2,第3油圧ポンプP1,P2,P3の合計の吸収馬力が最大馬力を超えないよう馬力制限制御を行うレギュレータ45を備えている。
【0019】
方向切換弁3~5,7~11はコントロールバルブ2内に配置されたオープンセンタ型の方向切換弁であり,方向切換弁9,10,11は,第1油圧ポンプP1に圧油供給路51を介して接続され,第1油圧ポンプP1からアクチュエータ17,18,19に供給される圧油の流れをそれぞれ制御し,方向切換弁7,8は,第2油圧ポンプP2に圧油供給路52を介して接続され,第2油圧ポンプP2からアクチュエータ15,16に供給される圧油の流れをそれぞれ制御し,方向切換弁3,4,5は,第3油圧ポンプP3に圧油供給路53を介して接続され,第3油圧ポンプP3からアクチュエータ12,13,14に供給される圧油の流れをそれぞれ制御する。圧油供給路51,52,53には,第1,第2及び第3油圧ポンプP1,P2,P3のそれぞれの吐出圧を制限するメインリリーフ弁26,27,28が接続されている。
【0020】
操作レバー装置20,21,22及び操作ペダル装置23a,23b,24は,パイロットポンプP4の圧油供給路54をパイロット油圧源として方向切換弁3~5,7~11を切り換えるための操作圧a,b,c,d,e,f,g,h,i,j,k,l,m,n,o,pを生成する。
【0021】
操作レバー装置20,21の操作レバーは上下方向及び左右方向を基準として全方向に操作可能であり,操作レバー装置20は操作レバーの操作方向に応じてブーム用操作レバー装置20aとバケット用操作レバー装置20bとして機能し,操作レバー装置21は操作レバーの操作方向に応じてアーム用操作レバー装置21aと旋回用操作レバー装置21bとして機能する。操作レバー装置22はブレード用,操作ペダル装置23aは右走行用,操作ペダル装置23bは左走行用,操作ペダル装置24はスイング用である。
【0022】
また,本実施の形態の駆動システムは,電動モータ1の回転数を制御するコントローラ31と,コントローラ31から出力された回転数指令に基づいて動作するインバータ32と,インバータ32に直流の電力供給線65を介して接続され,電動モータ1に電力を供給する蓄電装置33と,電動モータ1の基準回転数Nrを指示する回転数ダイヤル34と,オートアイドル制御のON/OFFを切換えるオートアイドルスイッチ35と,操作レバー装置20aの操作圧(ブーム操作圧)a,bを検出する圧力センサ36,操作レバー装置20bの操作圧(バケット操作圧)c,dを検出する圧力センサ38,操作レバー装置21aの操作圧(アーム操作圧)e,fを検出する圧力センサ37,操作レバー装置21bの操作圧(旋回操作圧)g,hを検出する圧力センサ39,操作ペダル装置23aの操作圧(走行右操作圧)i,jを検出する圧力センサ40,操作ペダル装置23bの操作圧(走行左操作圧)k,lを検出する圧力センサ41,操作ペダル装置24の操作圧(スイング操作圧)m,nを検出する圧力センサ42,操作レバー装置22の操作圧(ブレード操作圧)o,pを検出する圧力センサ43とを備えている。
【0023】
蓄電装置33は蓄電コントローラ33aを備え,蓄電コントローラ33aは蓄電装置33の電力の入出力制御を行うとともに,蓄電残量を計算し,蓄電残量情報をコントローラ31に出力する。なお,蓄電残量は蓄電装置33の蓄電コントローラ33a以外の部分で計算し,コントローラ31に出力してもよい。また,蓄電残量は充電率(SOC)で表わしてもよいし,電圧等その他のパラメータで表わしてもよい。
【0024】
コントローラ31は,回転数ダイヤル34の指示信号,オートアイドルスイッチ35のオートアイドル制御ON信号,圧力センサ36,37,38,39,40,41,42,43の検出信号,蓄電装置33の蓄電残量情報を入力し,所定の演算処理を行い,インバータ32に回転数指令を出力することで電動モータ1の回転数を制御する。
【0025】
以下に,コントローラ31の処理内容を説明する。
【0026】
コントローラ31は,その概略的機能として,複数の操作装置20,21,22,23a,23b,24の操作情報を入力し,この操作情報に基づいて複数の操作装置20,21,22,23a,23b,24のいずれかが操作されているかどうかを判定し,複数の操作装置20,21,22,23a,23b,24のいずれかが操作されているときは,電動モータ1を所定の回転数で駆動し,複数の操作装置20,21,22,23a,23b,24のいずれも操作されておらず,所定時間(遅延時間)を経過したときは,電動モータ1の回転数を所定の回転数からアイドル回転数Niに低下させるオートアイドル制御を実行するよう,電動モータ1の回転数を制御する。
【0027】
また,コントローラ31は,その特徴的機能として,蓄電装置33の蓄電残量情報を入力し,蓄電残量情報の蓄電残量に基づいて所定時間を演算し,かつ蓄電残量が第1閾値Ea(図5参照)以下であるときは蓄電残量が第1閾値Eaよりも多いときよりも短い所定時間を演算する。
【0028】
更に,本実施形態において,コントローラ31は,蓄電残量が第1閾値Eaよりも多い第2閾値Eb(図5参照)から第1閾値Eaまで減少する間は,連続的に減少する所定時間を演算する。
【0029】
以下に,コントローラ31の処理内容の詳細を説明する。
【0030】
図3は,コントローラ31の処理内容の詳細を示す機能ブロック図である。
【0031】
図3において,コントローラ31は,基準回転数演算テーブル31a,最大値選択部31b,判定部31c,所定時間演算テーブル31d,所定時間カウンタ31e,AND回路31f,スイッチ回路31g及びアイドル回転数設定部31hのそれぞれの機能を有している。
【0032】
基準回転数演算テーブル31aは,回転数ダイヤル34の指示信号を入力し,そのときの指示信号に対応する電動モータ1の基準回転数Nrを演算する。
【0033】
図4は,基準回転数演算テーブル31aに設定された回転数ダイヤル34の指示信号と基準回転数Nrとの関係を示す図である。基準回転数演算テーブル31aには,回転数ダイヤル34の指示信号が大きくなるにしたがって基準回転数Nrが増加するように回転数ダイヤル34の指示信号と基準回転数Nrとの関係が設定されている。基準回転数Nrの最小値Nrminは例えば1200rpmであり,最大値Nrmaxは例えば2000rpmである。基準回転数演算テーブル31aで演算された基準回転数Nrはスイッチ回路31gに導かれる。
【0034】
最大値選択部31bは,圧力センサ36~43の検出信号を入力し,それぞれの検出信号が示すブーム操作圧a,b,バケット操作圧c,d,アーム操作圧e,f,旋回操作圧g,h,走行右操作圧i,j,走行左操作圧k,l,スイング操作圧m,n,ブレード操作圧o,pのうちの最大値を選択する。選択した操作圧の最大値は判定部31cに導かれる。
【0035】
判定部31cは,操作圧の最大値が予め設定した判定圧力XMPa(例えば0.5MPa;方向切換弁3,4,5,7,8,9,10,11が動き出さない操作圧の最大値)以下かどうかを判定し,操作圧の最大値がXMPa以下でないときは操作装置20~24の操作レバー及び操作ペダルのいずれかが操作されていると判定し,操作圧の最大値がXMPa以下であったときは操作装置20~24の操作レバー及び操作ペダルのいずれも操作されておらず,操作レバー及び操作ペダルは全て中立であると判定する。判定部31cは,操作装置20~24の操作レバー及び操作ペダルのいずれも操作されておらず,操作レバー及び操作ペダルは全て中立であると判定した場合,非操作信号を出力する。非操作信号は所定時間カウンタ31eとAND回路31fに導かれる。
【0036】
所定時間演算テーブル31dは,蓄電装置33の蓄電残量情報を入力し,そのときの蓄電残量に対応するオートアイドル制御の所定時間TDを演算する。所定時間演算テーブル31dで演算された所定時間TDは所定時間カウンタ31eに導かれる。
【0037】
図5は,所定時間演算テーブル31dに設定された蓄電残量と所定時間TDとの関係を示す図である。所定時間演算テーブル31dには,蓄電残量が最大蓄電残量Emaxから第1閾値Eaよりも多い第2閾値Ebまで減少する間は,所定時間TDはTaで一定であり,蓄電残量が第2閾値Ebから第1閾値Eaまで減少する間は,所定時間TDはTaからTbへと例えば直線的に減少し,蓄電残量が第1閾値Eaから更に減少するときは,所定時間TDはTbで一定となるように蓄電残量と所定時間TDとの関係が設定されている。蓄電残量が第2閾値Ebから第1閾値Eaに減少する間,図5に点線で示すように,所定時間TDは曲線的に減少してもよい。
【0038】
第1閾値Eaは,オートアイドル制御の所定時間TDの短縮により電力消費を抑える効果が得られる蓄電残量であり,第2閾値Ebは,所定時間TDをTaからTbに減少させるとき,所定時間TDの変化が操作性に与える影響を最小とする蓄電残量である。
【0039】
蓄電残量を充電率(充電状態)SOCで表わした場合,最大蓄電残量Emaxは100%であり,第1閾値Eaは,例えば30%であり,第2閾値Ebは例えば50%である。また,蓄電残量を蓄電電圧で表わした場合,最大蓄電残量Emaxは例えば380Vであり,第1閾値Eaは例えば345V,第2閾値Ebは例えば355Vである。
【0040】
所定時間Taはオートアイドル制御で通常用いられる所定時間であり,例えば4~5秒である。所定時間Tbは,蓄電残量が上記第1閾値Ea以下でオートアイドル制御に移行させる間,所定時間TDの短縮により消費電力を抑える効果が得られる所定時間であり,例えば1~2秒である。
【0041】
このように所定時間演算テーブル31dに蓄電残量と所定時間TDとの関係を設定することにより,コントローラ31は,蓄電残量が第1閾値Ea以下であるときは蓄電残量が第1閾値Eaよりも多いときよりも短い所定時間Tbを演算する。また,本実施形態において,コントローラ31は,蓄電残量が第1閾値Eaよりも多い第2閾値Ebから第1閾値Eaまで減少する間は,連続的に減少する所定時間TDを演算する。
【0042】
図3に戻り,所定時間カウンタ31eはタイマーを内蔵しており,判定部31cから非操作信号を入力すると,非操作信号入力後の経過時間のタイマーカウント(以下単にカウントと言う)を開始する。また,非操作信号が出力されている間,経過時間のカウントを継続し,カウントした経過時間が所定時間演算テーブル31dにおいて蓄電残量に基づいて演算された所定時間TDに一致し,所定時間TDが経過すると,所定時間カウント完了信号を出力する。この所定時間カウント完了信号はAND回路31fに導かれる。一方,所定時間演算テーブル31dから出力される所定時間TDが経過する前に判定部31cからの非操作信号の出力が停止した場合,所定時間カウンタ31eはカウントをリセットする。
【0043】
AND回路31fには,上述したように,操作レバーと操作ペダルが全て中立であるとき,判定部31cから非操作信号が導かれ,操作レバーと操作ペダルが全て中立となった後,所定時間演算テーブル31dで演算した所定時間TDが経過したとき,所定時間カウンタ31eから所定時間カウント完了信号が導かれる。また,オートアイドルスイッチ35がONの場合,オートアイドルスイッチ35からオートアイドル制御ON信号がAND回路31fに導かれる。
【0044】
AND回路31fは,非操作信号と所定時間カウント完了信号とオートアイドル制御ON信号の全てを受け取ると,オートアイドル条件成立信号を出力する。このオートアイドル条件成立信号はスイッチ回路31gに導かれる。
【0045】
スイッチ回路31gは,AND回路31fからオートアイドル条件成立信号が出力されていないとき(操作レバーと操作ペダルのいずれかが操作されている,或いは所定時間TDの未経過,或いはオートアイドルスイッチ35がOFFの場合)は,電動モータ1の目標回転数として,基準回転数演算テーブル31aで演算された回転数ダイヤル34の指示信号に基づく基準回転数Nrを選択し,この基準回転数Nrに基づいて回転数指令を生成し,インバータ32に出力する。
【0046】
一方,スイッチ回路31gは,AND回路31fからオートアイドル条件成立信号が出力されたとき(操作レバーと操作ペダルが全て中立,かつ所定時間TDの経過,かつオートアイドルスイッチ35がONの場合)は,電動モータ1の目標回転数として,アイドル回転数設定部31hに設定されたオートアイドル制御の低速のアイドル回転数Niを選択し,このアイドル回転数Niに基づいて回転数指令を生成し,インバータ32に出力する。
【0047】
オートアイドル制御の低速のアイドル回転数Niは,例えば回転数ダイヤル34の指示信号に基づいて設定される基準回転数Nrの最小値Nrminより少し高い1300rpmである。以下において,オートアイドル制御で使用する低速のアイドル回転数Niを単に「低速回転数」と言うことがある。
【0048】
図6は,上記のように構成したコントローラ31の処理の流れを示すフローチャートである。以下において,操作レバー装置20,21,22の操作レバー及び操作ペダル装置23a,23b,24の操作ペダルを「操作レバー/ペダル20~24」と言う。
【0049】
図6において,オートアイドルスイッチ35が操作されておらず,オートアイドル制御がOFFのときは,AND回路31fはオートアイドル条件成立信号を出力しておらず,ステップS50→S80→S100→S140の繰り返しにより,スイッチ回路31gは,操作レバー/ペダル20~24の操作状態に関わらず,基準回転数に基づいて生成した回転数指令を出力する。
【0050】
オートアイドルスイッチ35を切り換えてオートアイドル制御をONにした場合に,操作レバー/ペダル20~24の全てが中立状態のときは,判定部31cは非操作信号を出力するが,蓄電残量に基づいて演算された所定時間TDが経過するまで,所定時間カウンタ31eは所定時間カウント完了信号を出力しないため,ステップS50→S80→S100→S110→S135→S140の繰り返しにより,スイッチ回路31gは基準回転数Nrに基づいて生成した回転数指令を出力し続ける。操作レバー/ペダル20~24の全てが中立状態になった時点から所定時間TDが経過すると,所定時間カウンタ31eは所定時間カウント完了信号を出力し,ステップS50→S80→S100→S110→S120→S125→S130の流れとなり,スイッチ回路31gはオートアイドル制御の低速回転数Niに基づいて生成した回転数指令を出力する。その後はステップS50→S80→S100→S110→S120→S125→S130の繰り返しにより,スイッチ回路31gは低速回転数Niの回転数指令を出力し続ける。
【0051】
この状態で,操作レバー/ペダル20~24の少なくとも一つが操作されると,判定部31cは非操作信号の出力を停止するため,ステップS50→S80→S100→S110→S135→S140の流れとなり,所定時間カウンタ31eはリセットされ,スイッチ回路31gは基準回転数Nrに基づいて生成した回転数指令を出力し,その後はステップS50→S80→S100→S110→S135→S140の繰り返しにより,基準回転数Nrの回転数指令を出力し続ける。
~動作~
以下に,図3に示したコントローラ31の機能ブロック図に基づき,図6に示したフローチャートを参照しつつ,本実施形態の動作を説明する。
【0052】
基準回転数演算テーブル31a及び所定時間演算テーブル31dにおいては,常時,回転数ダイヤル34の指示信号に対応する電動モータ1の基準回転数Nrが演算され(ステップS50),蓄電装置33の蓄電残量情報に対応するオートアイドル制御の所定時間TDが演算されている(ステップS52)。 オートアイドルスイッチ35がONで,操作レバー/ペダル20~24のいずれも,所定時間演算テーブル31dにおいて演算された所定時間TDよりも長い時間,操作されていない場合は,判定部31cから非操作信号が出力され,所定時間カウンタ31eからは所定時間カウント完了信号が出力され,オートアイドルスイッチ35からはオートアイドル制御ON信号が出力されるため,AND回路31fからはオートアイドル条件成立信号が出力される。このため,スイッチ回路31gでは,電動モータ1の目標回転数として低速回転数Niが選択され,この低速回転数Niに基づいて生成された回転数指令が出力され,電動モータ1は低速で回転する(ステップS50→S80→S100→S110→S120→S125→S130)。
【0053】
このような状態から操作レバー/ペダル20~24のいずれかを操作したとき,操作圧の最大値はXMPaを超えるため,判定部31cからの非操作信号の出力が停止し,AND回路31fからのオートアイドル条件成立信号の出力も停止する。このため,スイッチ回路31gでは,電動モータ1の目標回転数として,回転数ダイヤル34の指示信号に基づいて演算された基準回転数Nrが選択され,この基準回転数Nrに基づいて生成された回転数指令がインバータ32に出力される(ステップS50→S80→S100→S110→S135→S140)。これにより電動モータ1の回転数はオートアイドル回転数Niから基準回転数Nrへと上昇し,油圧ポンプP1,P2,P3から基準回転数Nrに応じた流量の圧油が吐出され,操作レバー/ペダル20~24の操作に応じてアクチュエータ12~19を駆動し,所望の作業を行うことができる。また,このとき,所定時間カウンタ31eにおける経過時間のカウントはリセットされる。
【0054】
次いで,オペレータが操作した操作レバー/ペダル20~24を中立に戻し,操作レバー/ペダル20~24のいずれも操作されなくなった場合,判定部31cからは再び非操作信号が出力され,この非操作信号が所定時間カウンタ31eとAND回路31fへ導かれる。所定時間カウンタ31eは判定部31cから非操作信号を受け取ると,カウントを開始する。所定時間カウンタ31eのカウント開始後の経過時間が,所定時間演算テーブル31dにおいて演算された所定時間TD以下である場合,所定時間カウンタ31eから所定時間カウント完了信号は出力されず,AND回路31fからもオートアイドル条件成立信号は出力されない。このため,スイッチ回路31gは,基準回転数Nrに基づいて生成した回転数指令を出力し,電動モータ1は基準回転数Nrで回転し続ける(ステップS50→S80→S100→S110→S120→S125→S140)。このとき,オペレータが再び操作レバー/ペダル20~24のいずれかを操作したときは,油圧ポンプP1,P2,P3はその操作に応じた流量の圧油を吐出し,速やかにアクチュエータを駆動することができる。
【0055】
一方,所定時間カウンタ31eのカウント開始後の経過時間が,所定時間演算テーブル31dにおいて演算された所定時間TDを超えた場合は,所定時間カウンタ31eから所定時間カウント完了信号が出力され,AND回路31fからオートアイドル条件成立信号が出力される。このため,スイッチ回路31gから低速のアイドル回転数Niに基づいて生成された回転数指令が出力され,電動モータ1の回転数は基準回転数Nrから低速回転数Niに切り換わる(ステップS50→S80→S100→S110→S120→S125→S130)。
【0056】
このとき,蓄電装置33の蓄電残量が第2閾値Ebよりも多いときは,オートアイドル制御の通常長さの所定時間Taが演算され,この所定時間Taの経過後に電動モータ1の回転数が低速回転数Niに切り換わり,オートアイドル制御に移行する。
【0057】
一方,蓄電装置33の蓄電残量に減少し,蓄電残量が第1閾値Ea以下であるときは,オートアイドル制御の通常長さの所定時間Taよりも短い所定時間Tbが演算され,所定時間Tbの経過後に電動モータ1の回転数が低速回転数Niに切り換わり,オートアイドル制御に移行する。
【0058】
また,蓄電装置33の蓄電残量が第2閾値Ebから第1閾値Eaへと減少する間,所定時間TDはTaからTbに連続的に減少する。
【0059】
~効果~
このように構成した本実施形態においては,オートアイドル制御に移行するとき,蓄電装置33の蓄電残量が第1閾値Ea以下であるときは,蓄電残量が第1閾値Eaより多いときよりも所定時間TDを短く設定するため,その分,所定時間TDの間の電力消費量が抑えられ,蓄電残量が第1閾値Ea以下に低下したとき,オートアイドル制御に移行する際の蓄電残量の減少が抑えられる。その結果,蓄電装置33の蓄電残量を長持ちさせ,一度の充電で長時間,油圧ショベルを運転することができる。
【0060】
また,蓄電装置33の蓄電残量が第2閾値Ebから第1閾値Eaまで減少する間は,所定時間TDはTaからTbへと連続的に減少するため,オペレータに違和感を与えることなく所定時間TDを徐々に変化させ,良好な操作性を得ることができる。
【0061】
<変形例>
図7は,所定時間演算テーブル31dに設定された蓄電残量と所定時間TDとの関係の他の例を示す図である。
【0062】
図7において,所定時間演算テーブル31dには,蓄電残量が最大蓄電残量Emaxから第1閾値Eaまで減少する間は,所定時間TDはTaで一定であり,蓄電残量が第1閾値Eaから更に減少するとき,所定時間TDはステップ的にTbに減少し,減少後のTbで一定となるように蓄電残量と所定時間TDとの関係が設定されている。
【0063】
このように所定時間演算テーブル31dに蓄電残量と所定時間TDとの関係を設定した場合でも,オートアイドル制御に移行するとき,蓄電装置33の蓄電残量が第1閾値Ea以下に少なくなったときは,蓄電残量が第1閾値Eaより多いときよりも所定時間TDが短くなり,その分,所定時間TDの間の電力消費量が抑えられ,上記実施形態と同様,蓄電装置33の蓄電残量を長持ちさせ,一度の充電で長時間,油圧ショベルを運転することができる。
【0064】
また,この変形例では,蓄電残量が第1閾値Ea以下に減少するとき,所定時間TDはステップ的にTaからTbへと減少するため,オペレータに,蓄電残量が充電を必要とする残量に近づいていることを気付かせることができ,蓄電装置の蓄電残量の枯渇により意図せずに油圧ショベルが停止する頻度を低減することができる。
【0065】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態を図8及び図9を用いて説明する。
【0066】
図8及び図9は,本発明の第2の実施形態に係わる電動式油圧ショベルの駆動システムを示す図であり,図8は蓄電装置33の電力で電動モータ1を駆動している場合を示し,図9は外部電源の電力で蓄電装置33を充電しながら電動モータ1を駆動する場合を示している。
【0067】
図8及び図9において,本実施形態の駆動システムは,電力供給線65に充電器72を介して外部電源73を接続するための給電コネクタ71を更に備えている。充電器72は電力供給線74を介して給電コネクタ71に接続される。
【0068】
図8において,蓄電装置33は電力供給線65を介してインバータ32に接続され,白抜きの矢印で示すように,蓄電装置33の電力が電力供給線65を介してインバータ32に供給され,電動モータ1が駆動される。
【0069】
蓄電装置33を充電するときは,図9に示すように,電力供給線74を給電コネクタ71に接続し,外部電源73を充電器72を介して給電コネクタ71に接続する。この状態でオペレータが油圧ショベルの始動スイッチをONにすると,2つの白抜きの矢印の1つで示すように,外部電源73の電力が充電器72から蓄電装置33に供給される。このとき,充電器72は蓄電装置33の蓄電残量(電圧)に応じた電流を出力し,蓄電装置33を充電し,蓄電装置33の電圧が設定した電圧に達すると,充電が終了する。
【0070】
また,蓄電装置33の充電中に電動モータ1を駆動した場合は,白抜きの他の1つの矢印で示すように,インバータ32は電動モータ1の駆動に必要な電流を充電器72から受け取り,充電器72の残りの電流で蓄電装置33が充電され,蓄電装置33を充電しながら,電動モータ1を駆動し,作業を行うことができる。
【0071】
また,第1の実施形態で説明したように,蓄電装置33の蓄電残量が第1閾値Ea以下であるときは,オートアイドル制御へ移行する所定時間TDはTaより短いTbであり,所定時間TDが短くなった分,蓄電装置33の充電中に駆動される電動モータ1の消費電力は低減する。このため,蓄電装置33を充電しながら電動モータを駆動するとき,低減した消費電力を蓄電装置33の充電に回すことで,電動モータ1の消費電力が低減した分,蓄電装置33の充電時間を短縮することができる。
【0072】
このように本実施形態においては,充電器72を介して外部電源73を給電コネクタ71に接続することにより,蓄電装置33を充電しながら電動モータ1を駆動することができる。
【0073】
また,蓄電装置33を充電しながら電動モータ1を駆動しても,オートアイドル制御へ移行する所定時間TDが短縮することで電動モータ1の消費電力は低減するため,電動モータ1の消費電力が低減した分,蓄電装置33の充電時間を短縮することができる。
【0074】
<その他>
以上の実施形態では,電動式建設機械が履帯式の油圧ショベルである場合について説明したが,電動式建設機械は履帯式の油圧ショベル以外の建設機械(例えば,ホイール式の油圧ショベル,油圧クレーン,ホイールローダ等)であってもよい。
【0075】
また,上記実施形態では,駆動システムが第1油圧ポンプP1,第2油圧ポンプP2及び第3油圧ポンプP3の3ポンプを備える場合について説明したが,油圧ポンプは1つでも2つでもよく,油圧ポンプの個数に係わらず本発明は適用可能である。
【0076】
更に,上記実施形態では,操作装置20~24の操作レバー或いは操作ペダルが操作されているかどうかを検出するのに圧力センサ36~43を用いたが,圧力センサの代わりに位置センサを用いて操作レバー或いは操作ペダルの操作の有無を検出してもよい。また,操作装置20~24の操作レバー或いは操作ペダルが操作されているかどうかを検出するのに複数の圧力センサ36~43を用いたが,操作装置20~24の操作圧のうちの最も高い圧力を抽出する複数のシャトル弁の組合せからなる高圧選択回路を設け,その抽出圧力(最も高い圧力)を検出する1つの圧力センサを設け,この圧力センサの検出信号をコントローラ31に導いてもよい。この場合,コントローラ31においては,図3の最大値選択部31bを省略し,圧力センサの検出信号を直接,判定部31cに入力すればよい。
【符号の説明】
【0077】
1 電動モータ
3~5 方向切換弁
7~11 方向切換弁
20,20a,20b 操作レバー装置(操作装置)
21,21a,21b 操作レバー装置(操作装置)
22 操作レバー装置(操作装置)
23a,23b,24 操作ペダル装置(操作装置)
31 コントローラ
31a 基準回転数演算テーブル
31b 最大値選択部
31c 判定部
31d 所定時間演算テーブル
31e 所定時間カウンタ
31f AND回路
31g スイッチ回路
31h アイドル回転数設定部
33a 蓄電コントローラ
36~43 圧力センサ
P1 油圧ポンプ
P2 油圧ポンプ
P3 油圧ポンプ
Nr 基準回転数
Ni アイドル回転数
TD 所定時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9