(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】マイクロ流体デバイス
(51)【国際特許分類】
B81B 1/00 20060101AFI20240726BHJP
B01J 19/00 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
B81B1/00
B01J19/00
(21)【出願番号】P 2024530688
(86)(22)【出願日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 JP2023022276
(87)【国際公開番号】W WO2024004685
(87)【国際公開日】2024-01-04
【審査請求日】2024-06-10
(31)【優先権主張番号】P 2022106726
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179970
【氏名又は名称】桐山 大
(74)【代理人】
【識別番号】100071205
【氏名又は名称】野本 陽一
(72)【発明者】
【氏名】舩橋 輝
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特許第4728573(JP,B2)
【文献】特表2003-526359(JP,A)
【文献】特開2001-194373(JP,A)
【文献】特開2006-214741(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/156993(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/106799(US,A1)
【文献】特許第6552611(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が導入される微細空間を内部に有するプレート状のメインチップと、
連絡用流路を内部に有し、前記連絡用流路を前記微細空間に連絡するための一対のジョイント連絡孔を上面両端側に有するプレート状のジョイントチップと、
前記メインチップを保持する上部保持領域と、前記上部保持領域に保持された前記メインチップに部分的に積層した状態で前記ジョイントチップの両端のうちの一方を択一的に保持する下部保持領域とを有するガイドと、
を備え、
前記メインチップは、前記上部保持領域に保持された状態で、前記下部保持領域に保持された前記ジョイントチップのジョイント連絡孔と前記微細空間とを連絡する一対のメイン連絡孔を下面両端側に備える、
マイクロ流体デバイス。
【請求項2】
前記メインチップは、前記微細空間と連絡する液体供給用の供給孔を上面に有する、
請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項3】
前記メインチップは、前記微細空間と前記一対のメイン連絡孔とを有するメイン基板の上面に、上層メイン基板を接合している、
請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項4】
前記メインチップは、前記微細空間と前記一対のメイン連絡孔とを有するメイン基板の上面に、前記供給孔を有する上層メイン基板を接合している、
請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項5】
前記メイン基板は、
前記微細空間となる開口部を有する中層メイン基板と、
前記開口部に連絡する前記一対のメイン連絡孔を有し、前記微細空間となる開口部を塞ぐように前記中層メイン基板の下面に接合された下層メイン基板と、
を備える請求項3に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項6】
前記メイン基板は、前記微細空間と前記一対のメイン連絡孔とを一体に有している、
請求項3に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項7】
前記上層メイン基板は透光性を有し、
前記ガイドは、前記上層メイン基板を露出させた状態で前記メインチップを前記上部保持領域に保持する、
請求項3に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項8】
前記メイン基板及び前記上層メイン基板は、アクリル板である、
請求項7に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項9】
前記ジョイントチップは、前記連絡用流路を有するジョイント基板の上面に、前記一対のジョイント連絡孔を有する上層ジョイント基板を接合している、
請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項10】
前記ジョイント基板は、
前記連絡用流路となる開口部を有する中層ジョイント基板と、
前記連絡用流路となる開口部を塞ぐように前記中層ジョイント基板の下面に接合された下層ジョイント基板と、
を備える請求項9に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項11】
前記ジョイント基板は、前記連絡用流路を一体に有している、
請求項9に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項12】
前記ジョイント基板及び前記上層ジョイント基板は、アクリル板である、
請求項9に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項13】
前記ジョイントチップは、ゴムシートを上面に有しており、
前記ゴムシートは、前記ジョイント連絡孔の位置に貫通孔を有している、
請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項14】
前記ジョイントチップは、前記ジョイント連絡孔を取り囲むOリングを上面に有し、
前記Oリングは、互いに連絡した前記ジョイント連絡孔と前記メイン連絡孔とが位置する連絡空間を密封する、
請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項15】
前記ガイドは、
前記ジョイントチップを保持する端面に装着面を有し、
前記メインチップと前記ジョイントチップとを前記装着面から挿入して前記上部保持領域と前記下部保持領域とにそれぞれ装着可能にする、
請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項16】
前記ガイドは、
前記メインチップをはみ出すことなく前記上部保持領域に保持し、
一つの前記ジョイントチップの一方の端部を保持する前記ガイドと、反対側の端部を保持する別の前記ガイドとの互いに対面する前記装着面同士を着脱自在に接続する接続部を有している、
請求項15に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項17】
前記接続部は、前記装着面に埋め込まれた磁石の磁力によって前記二つのガイドの装着面同士を接続する、
請求項16に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項18】
互いに接続される二つの前記ガイドは、前記メインチップと前記ジョイントチップとの積層方向への前記二つのガイドの位置ずれを規制する規制部を有している、
請求項16に記載のマイクロ流体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マイクロ流体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体デバイスは、微細加工技術によってプレート状のマイクロ流体チップに微細な流路や反応容器などの微細空間を作成したデバイスの総称である。微細空間を利用して、培養液や試薬などの液体に分離、攪拌、熱処理、蛍光検出などの処理を施すことができるため、マイクロ流体デバイスはバイオテクノロジー、生命科学、医学、化学工学をはじめとする幅広い分野の研究に役立てられている。
【0003】
とりわけ液体を微細空間内で扱うマイクロ流体デバイスは、貴重な試料の使用量を節減することができる技術として注目されている。液体の分離、攪拌、熱処理、蛍光検出といった複数の処理を同一のデバイス内で実施することもできるため、反応時間の短縮化にも貢献する。
【0004】
こうした数々の利点から、現在ではマイクロ流体デバイスが利用される分野は広範囲にわたり、多種多様な研究活動を支えるに至っている。
【0005】
その一方で個々の研究ごとに処理内容や処理工程の組み合わせが異なるため、研究ごとに専用デバイスの製造が必要になる。マイクロ流体デバイスはアクリル、ガラス、シリコーンゴムなどの材料で製造される。いずれの材料を選択してもその製造には多くの時間とコストがかかってしまう。
【0006】
そこで例えば特許文献1~3にみられるように、複数のマイクロ流体チップを適宜組み合わせて所望のマイクロ流体デバイスを作りあげるという手法が提案されている。
【0007】
日本の特開2005-147940号公報(特許文献1)で提案されているのは、異なる流路をもつ複数種類のマイクロ流体チップを用意しておき、これらのマイクロ流体チップをベース部材上に適宜組み合わせてマイクロ流体デバイスを製造する技術である。
【0008】
日本の特開2015-123012号公報(特許文献2)には、微細な流路をそれぞれ設けた異なる機能をもつ複数種類のモジュールを用意しておき、これらのモジュールを適宜組み合わせ、用途に応じたマイクロ流体デバイスを製造することが開示されている。
【0009】
国際公開第2019/092989号(特許文献3)の提案は、異なる流路をもつマイクロ流体チップのプレートを複数積層し、目的とする用途に合致したマイクロ流体デバイスを製造することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】日本の特開2005-147940号公報
【文献】日本の特開2015-123012号公報
【文献】国際公開第2019/092989号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
日本の特開2005-147940号公報(特許文献1)及び特開2015-123012号公報(特許文献2)に記載されたマイクロ流体デバイスは、ホルダー(特許文献1のベース部材(2)、特許文献2のホルダー(9))にマイクロ流体チップやモジュールを取り付けてマイクロ流体デバイスとしている。このためマイクロ流体デバイスの規模はホルダーの大きさに依存し、ホルダーの大きさを超えるデバイスを実現することはできない。より柔軟にマイクロ流体デバイスを拡張できるように改善が望まれる。
【0012】
この点国際公開第2019/092989号(特許文献3)に記載されたマイクロ流体デバイスは、マイクロ流体チップのプレートを積層するという構造上、プレートの大きさを増大させることなくマイクロ流体チップを拡張することができる。その反面、下層に位置するマイクロ流体チップに設けられた流路や圧力容器などの微細空間を外部に露出させることができないため、試料である液体を観察し、検出し、あるいは所望の処理を加えたりすることができない。試料の観察等が必要になる研究には適さない。
【0013】
マイクロ流体チップを二次元上に展開する拡張性の高いマイクロ流体デバイスの実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
マイクロ流体デバイスの一態様は、液体が導入される微細空間を内部に有するプレート状のメインチップと、連絡用流路を内部に有し、前記連絡用流路を前記微細空間に連絡するための一対のジョイント連絡孔を上面両端側に有するプレート状のジョイントチップと、ガイドとを備えている。ガイドは、前記メインチップを保持する上部保持領域と、前記上部保持領域に保持された前記メインチップに部分的に積層した状態で前記ジョイントチップの両端のうちの一方を択一的に保持する下部保持領域とを有している。前記メインチップは、前記上部保持領域に保持された状態で、前記下部保持領域に保持された前記ジョイントチップのジョイント連絡孔と前記微細空間とを連絡する一対のメイン連絡孔を下面両端側に備えている。
【発明の効果】
【0015】
マイクロ流体チップを二次元上に展開する拡張性の高いマイクロ流体デバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】複数個のマイクロ流体チップが接続されたマイクロ流体デバイスの実施の一例を示す斜視図。
【
図2】マイクロ流体デバイスの内部構造を示す模式図。
【
図4】第1の実施の形態のメインチップの垂直断面図。
【
図6】第2の実施の形態のメインチップの垂直断面図。
【
図7】第1の実施の形態のジョイントチップの斜視図。
【
図8】第1の実施の形態のジョイントチップの垂直断面図。
【
図9】第2の実施の形態のジョイントチップの斜視図。
【
図10】第2の実施の形態のジョイントチップの垂直断面図。
【
図12】第1の実施の形態のマイクロ流体チップの斜視図。
【
図13】第2の実施の形態のマイクロ流体チップの斜視図。
【
図14】ガイドを捨象して第1の実施の形態のマイクロ流体チップを示す模式図。
【
図15】ガイドを捨象して第2の実施の形態のマイクロ流体チップを示す模式図。
【
図16】シール構造の別の実施の形態を示すジョイントチップの斜視図。
【
図17】ジョイントチップを垂直断面にした斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態を図面に基づいて説明する。説明は次の項目に沿って行なう。
1.構成
(1)全体の概略
(2)メインチップ
(第1の態様)
(第2の態様)
(共通事項)
(3)ジョイントチップ
(第1の態様)
(第2の態様)
(共通事項)
(4)ガイド
(5)マイクロ流体チップ
(6)シール構造の別の実施の形態
2.作用効果
(1)作用
(2)効果
3.変形例
【0018】
1.構成
(1)全体の概略
図1に示すように、本実施の形態のマイクロ流体デバイス101は、複数のマイクロ流体チップ11が一列に接続されて構成されている。個々のマイクロ流体チップ11は、微細な流路や反応容器などの微細空間MSを内部に備えたメインチップ31を主体としており、このメインチップ31をジョイントチップ51とともにガイド71で保持した構造を有している(
図2、
図12参照)。
【0019】
図1中のX方向は、マイクロ流体チップ11の配列方向であり、各要素の長さ方向を規定する。マイクロ流体デバイス101、マイクロ流体チップ11、メインチップ31、ジョイントチップ51、及びガイド71の「両端」「端部」といったときは、X方向の両端、端部をそれぞれ意味する。
【0020】
図1中のY方向は、マイクロ流体チップ11の配列方向と直交する方向であり、各要素の幅方向を規定する。マイクロ流体デバイス101、マイクロ流体チップ11、メインチップ31、ジョイントチップ51、及びガイド71の「両側端」「側部」といったときは、Y方向の両側端、側部をそれぞれ意味する。
【0021】
図1中のZ方向は、マイクロ流体デバイス101、マイクロ流体チップ11、メインチップ31、ジョイントチップ51、及びガイド71の上下方向を規定している。
図1中、Z方向の上方に現れるのが上面、下方に現れるのが下面である。
【0022】
図2に模式的に示すように、メインチップ31は、ガイド71と同一の長さ(X方向の長さ)を有しており、はみ出すことなくガイド71に保持されている。したがって個々のマイクロ流体チップ11が一列に並べられて接続されたとき、隣接する二つのマイクロ流体チップ11に含まれているメインチップ31及びガイド71は、それぞれの両端面同士を接触させる。本実施の形態では、隣接する二つのガイド71の互いに接触する端面を装着面72という(
図11参照)。
【0023】
ジョイントチップ51は、隣接する二つのメインチップ31を跨ぐようにそれらのメインチップ31に積層して配置される。
【0024】
ガイド71において、メインチップ31を保持する領域は上部保持領域73、ジョイントチップ51を保持する領域は下部保持領域74である(
図11参照)。メインチップ31が上部保持領域73に正しく保持され、ジョイントチップ51が下部保持領域74に正しく保持されたとき、メインチップ31とジョイントチップ51とは
図2に示すような積層されて接触する状態に位置付けられる。
【0025】
個々のマイクロ流体チップ11が一列に接続されたとき、微細空間MSを含む流路FCが形成される。流路FCを形成するのはつぎの要素である。
・メインチップ31の微細空間MS
・メインチップ31の一対の供給孔32
・メインチップ31の一対のメイン連絡孔33
・ジョイントチップ51の連絡用流路52
・ジョイントチップ51の一対のジョイント連絡孔53
【0026】
複数のマイクロ流体チップ11が一列に接続されてマイクロ流体デバイス101が構成されたとき、メインチップ31の供給孔32から試料である液体が導入されると、液体は流路FCを流通する。
【0027】
もっとも流路FCを形成する各要素のうち、供給孔32は、マイクロ流体デバイス101という全体の構造物からすると必須であるのに対して、個々のマイクロ流体チップ11の単位でみると、すべてのマイクロ流体チップ11に必須というわけではない。そこでメインチップ31には、供給孔32を設けたタイプと設けないタイプとを混在させている。
【0028】
図1中、手前の二つのメインチップ31は供給孔32を有するタイプ、奥の二つのメインチップ31は供給孔32を有しないタイプである。このように所望のメインチップ31を組み合わせてマイクロ流体デバイス101を組み立てるに際して、供給孔32を有するメインチップ31と有しないメインチップ31とを適宜組み合わせることが可能である。
【0029】
以下説明の便宜上、供給孔32を設けたメインチップ31を例に挙げて説明するが、すべてのメインチップ31に供給孔32が設けられているわけではない。供給孔32を有しないタイプのメインチップ31については、以下に紹介するメインチップ31から供給孔32を捨象したものとご理解いただきたい。
【0030】
(2)メインチップ
(第1の態様)
図3及び
図4に、メインチップ31の第1の態様を示す。このメインチップ31は、矩形形状をしたプレート状の基板であり、透光性を有する三枚のアクリル板が積層されて構成されている。中層メイン基板34、上層メイン基板35、及び下層メイン基板36の三枚である。中層メイン基板34の上面に上層メイン基板35を、下面に下層メイン基板36をそれぞれ位置させて熱圧着することで、メインチップ31は製造されている。
【0031】
三層をなす三枚のアクリル板(34、35、36)には、すべて20mm角を有する同一の形状及び大きさのものが用いられている。厚みは中層メイン基板34が0.5mm、上層メイン基板35が1.0mm、そして下層メイン基板36が0.5mmである。
【0032】
中層メイン基板34には、微細空間MSとなる開口部37が設けられている。開口部37によって定められる微細空間MSの形状は、個々のマイクロ流体チップ11の用途に応じて適宜定めることができる。
【0033】
上層メイン基板35には、微細空間MSに連絡する一対の供給孔32が両端側に設けられている。
【0034】
下層メイン基板36には、微細空間MSに連絡する一対のメイン連絡孔33が両端側に設けられている。
【0035】
積層された三枚のアクリル板(34、35、36)が熱圧着されて完成したメインチップ31は、
図1に示すように、外部から微細空間MSを視認できる形態になっている。
【0036】
供給孔32を有しないタイプのメインチップ31については、供給孔32を有しないプレーンな上層メイン基板35を用いることで、同様に製造することができる。
【0037】
(第2の態様)
図5及び
図6に、メインチップ31の第2の態様を示す。このメインチップ31は、矩形形状をしたプレート状の基板であり、透光性を有する二枚のアクリル板が積層されて構成されている。メイン基板34Aと上層メイン基板35との二枚である。メイン基板34Aの上面に上層メイン基板35を位置させて熱圧着することで、メインチップ31は製造されている。
【0038】
二層をなす二枚のアクリル板(34A、35)には、いずれも20mm角を有する同一の形状及び大きさのものが用いられている。厚みはメイン基板34Aも上層メイン基板35もともに1.0mmである。
【0039】
メイン基板34Aには、微細空間MSと一対のメイン連絡孔33とが設けられている。微細空間MSの形状は、個々のマイクロ流体チップ11の用途に応じて適宜定めることができる。一対のメイン連絡孔33は、メイン基板34Aの下面に連絡するようにメイン連絡孔33が両端側に設けられている。
【0040】
上層メイン基板35には、微細空間MSに連絡する一対の供給孔32が両端側に設けられている。
【0041】
積層された二枚のアクリル板(34A、35)が熱圧着されて完成したメインチップ31は、
図1に示すように、外部から微細空間MSを視認できる形態になっている。
【0042】
供給孔32を有しないタイプのメインチップ31については、供給孔32を有しないプレーンな上層メイン基板35を用いることで、同様に製造することができる。
【0043】
(共通事項)
実施に際しては、流路や反応容器という典型的な形状を備えた各種の微細空間MSを有する標準化されたメインチップ31を予め複数種類用意しておき、適宜選択できるようにしておけばよい。供給孔32を備えたメインチップ31と備えないメインチップ31とについても、同様に標準化が可能である。予め用意されていない微細空間MSが必要になった場合には、その都度そのような微細空間MSを有するメインチップ31(専用パーツ)を製造する。
【0044】
第1の態様の中層メイン基板34及び下層メイン基板36は、概念的には、第2の態様のメイン基板34Aに相当する。第1の態様では、二枚のアクリル板(34、36)を積層して接合することによって、第2の態様では、一枚のアクリル板(34A)単体で、それぞれメイン基板34A(中層メイン基板34、下層メイン基板36)を生成している。したがって第1の態様と第2の態様との相違は、メイン基板34Aの製造方法にあるといえる。
【0045】
このような製造方法の違いという面からいうと、メイン基板34Aと上層メイン基板35とを一体に成形することも可能である。一例として、3Dプリンタを用いて、メイン基板34Aと上層メイン基板35との一体成形品を実現させることができる。この場合、微細空間MS、供給孔32、及び一対のメイン連絡孔33となる部分にはサポート材を予め設けておき、サポート材も含め造形する。造形が完了したら、サポート材を除去することによって、微細空間MSを内部に有し、微細空間MSと連絡する供給孔32を上面に、そして微細空間MSに連絡する一対のメイン連絡孔33を下面両端側に有するプレート状のメインチップ31が完成する。
【0046】
本実施の形態では、メインチップ31を一枚又は二枚以上のアクリル板(34~36、34A及び35)、つまりアクリル樹脂によって生成する例を示したが、アクリル樹脂に限らず、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ガラス、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィンポリマー(COP)などを材料としてメインチップ31を製造するようにしてもよい。その他にも、ABS樹脂とPLA樹脂、ASA樹脂(耐候性が強い)、PP樹脂(耐熱、耐薬品性が強い)、PC樹脂やナイロン樹脂、アクリル樹脂、PETG、熱可塑性ポリウレタンなど、様々な種類の材料を用いてメインチップ31を製造することが可能である。
【0047】
(3)ジョイントチップ
(第1の態様)
図7及び
図8に、ジョイントチップ51の第1の態様を示す。このジョイントチップ51は、矩形形状をしたプレート状の基板であり、透光性を有する三枚のアクリル板が積層されて構成されている。中層ジョイント基板54、上層ジョイント基板55、及び下層ジョイント基板56の三枚である。中層ジョイント基板54の上面に上層ジョイント基板55を、下面に下層ジョイント基板56をそれぞれ位置させて熱圧着することで、ジョイントチップ51は製造されている。
【0048】
三層をなす三枚のアクリル板(54、55、56)には、すべて10mm角を有する同一の形状及び大きさのものが用いられている。厚みはすべて同一で、中層ジョイント基板54が0.5mm、上層ジョイント基板55が0.5mm、そして下層ジョイント基板56も0.5mmである。
【0049】
中層ジョイント基板54には、連絡用流路52となる開口部57が設けられている。
【0050】
上層ジョイント基板55には、連絡用流路52に連絡する一対のジョイント連絡孔53が両端側に設けられている。
【0051】
下層ジョイント基板56は、孔や開口などが形成されていないプレーンなアクリル板である。
【0052】
積層された三枚のアクリル板(54、55、56)が熱圧着されて完成したジョイントチップ51には、その上面、つまり上層ジョイント基板55の表面にゴムシート58が接合されている。上層ジョイント基板55の表面に対するゴムシート58の接合は、例えば接着による。ゴムシート58は、三枚のアクリル板(54、55、56)と同一の大きさ及び形状を有しており、これらのアクリル板(54、55、56)に対してはみ出したり位置ずれしたりすることなく接合される。
【0053】
ゴムシート58には、上層ジョイント基板55の両端側に設けた一対のジョイント連絡孔53を塞ぐことがないように、これらのジョイント連絡孔53に位置を合わせて一対の貫通孔58aが設けられている。
【0054】
(第2の態様)
図9及び
図10に、ジョイントチップ51の第2の態様を示す。このジョイントチップ51は、矩形形状をしたプレート状の基板であり、透光性を有する二枚のアクリル板が積層されて構成されている。ジョイント基板54Aと上層ジョイント基板55との二枚である。ジョイント基板54Aの上面に上層ジョイント基板55を位置させて熱圧着することで、ジョイントチップ51は製造されている。
【0055】
二層をなす二枚のアクリル板(54A、55)には、いずれも10mm角を有する同一の形状及び大きさのものが用いられている。厚みはジョイント基板54Aが1.0mm、上層ジョイント基板55が0.5mmである。
【0056】
ジョイント基板54Aには、連絡用流路52が設けられている。
【0057】
上層ジョイント基板55には、連絡用流路52に連絡する一対のジョイント連絡孔53が両端側に設けられている。
【0058】
積層された二枚のアクリル板(54A、55)が熱圧着されて完成したジョイントチップ51には、その上面、つまり上層ジョイント基板55の表面にゴムシート58が接合されている。上層ジョイント基板55の表面に対するゴムシート58の接合は、例えば接着による。ゴムシート58は、二枚のアクリル板(54A、55)と同一の大きさ及び形状を有しており、これらのアクリル板(54A、55)に対してはみ出したり位置ずれしたりすることなく接合される。
【0059】
ゴムシート58には、上層ジョイント基板55の両端側に設けた一対のジョイント連絡孔53を塞ぐことがないように、これらのジョイント連絡孔53に位置を合わせて一対の貫通孔58aが設けられている。
【0060】
(共通事項)
第1の態様の中層ジョイント基板54及び下層ジョイント基板56は、概念的には、第2の態様のジョイント基板54Aに相当する。第1の態様では、二枚のアクリル板(54、56)を積層して接合することによって、第2の態様では、一枚のアクリル板(54A)単体で、それぞれジョイント基板54A(中層ジョイント基板54、下層ジョイント基板56)を生成している。したがって第1の態様と第2の態様との相違は、ジョイント基板54Aの製造方法にあるといえる。
【0061】
このような製造方法の違いという面からいうと、ジョイント基板54Aと上層ジョイント基板55とを一体に成形することも可能である。一例として、3Dプリンタを用いて、ジョイント基板54Aと上層ジョイント基板55との一体成形品を実現させることができる。この場合、連絡用流路52及び一対のジョイント連絡孔53となる部分にはサポート材を予め設けておき、サポート材も含め造形する。造形が完了したら、サポート材を除去することによって、連絡用流路52を内部に有し、連絡用流路52を微細空間MSに連絡するための一対のジョイント連絡孔53を上面両端側に有するプレート状のジョイントチップ51が完成する。
【0062】
本実施の形態では、ジョイントチップ51を一枚又は二枚以上のアクリル板(54~56、54A及び55)、つまりアクリル樹脂によって生成する例を示したが、アクリル樹脂に限らず、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ガラス、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィンポリマー(COP)などを材料としてジョイントチップ51を製造するようにしてもよい。その他にも、ABS樹脂とPLA樹脂、ASA樹脂(耐候性が強い)、PP樹脂(耐熱、耐薬品性が強い)、PC樹脂やナイロン樹脂、アクリル樹脂、PETG、熱可塑性ポリウレタンなど、様々な種類の材料を用いてジョイントチップ51を製造することが可能である。
【0063】
(4)ガイド
図11に示すように、ガイド71は例えば樹脂材料によって成形されており、上面を開口させた上部保持領域73を備え、上部保持領域73の両端側に一対の下部保持領域74を備えている。
【0064】
ガイド71の両端に位置する装着面72の側から見ると、上部保持領域73の両側壁の上部は互いに対面するようにオーバーハングし、メインチップ31のスライド移動を案内する一対のレール75を構成している。メインチップ31は、これらのレール75に沿って装着面72から挿入され、上部保持領域73に収納されて保持される。上部保持領域73に収納されたメインチップ31は、一対のレール75の間の空間から微細空間MSを外部に露出させ、外部からの視認及び処理操作を可能にする。
【0065】
一対の下部保持領域74は、上部保持領域73の底面から一段下がった形態で装着面72に連絡している。したがって下部保持領域74は、上部保持領域73にメインチップ31が保持された状態で装着面72の側に開口し、ジョイントチップ51のスライド移動による装着を受け入れる。このとき下部保持領域74の深さは、ジョイントチップ51の長さの半分になるように設定されている。
【0066】
前述したように、複数のマイクロ流体チップ11はその長さ方向(
図1中のX方向)に接続可能である。このようなマイクロ流体チップ11同士の接続を実現させているのは、ガイド71の装着面72に設けた接続部76である。接続部76は、装着面72に埋め込んだ複数の磁石76aによって構成されている。
【0067】
本実施の形態では、個々のガイド71の接続には方向性が持たされており、例えば一つのガイド71と別のガイド71とが接続される場合、互いに対面して接合される面が予め定められている。説明の便宜上、
図11中において手前側に位置する見えている面を装着面72A、奥側の見えていない面を装着面72Bとする。この前提で、二つのガイド71を接続する場合、一方のガイド71の装着面72Aには別のガイド71の装着面72Bを接続し、一方のガイド71の装着面72Bには別のガイド71の装着面72Aを接続する。
【0068】
そこで接続部76は、装着面72Aに埋め込む磁石76aと、装着面72Bに埋め込む磁石76aとの極性を異ならせる。これによって互いの磁石76aが磁力で吸着し、二つのガイド71を固定状態で接続することが可能になる。
【0069】
ガイド71は、さらに規制部77も有している。規制部77は、二つのガイド71が互いに接続された際、メインチップ31とジョイントチップ51との積層方向に二つのガイド71が位置ずれすることを規制する構造を有している。このような規制部77は、装着面72Aに設けられた凸段部77aと、装着面72Bに設けられた凹段部77bとによって構成されている。凸段部77aは装着面72Aから長さ方向(
図1中のX方向)に突出し、凹段部77bは装着面72Bから長さ方向に引っ込んでおり、互いに嵌り合うようになっている。
【0070】
二つのガイド71が接続される際、一方のガイド71の凸段部77aが別のガイド71の凹段部77bに嵌り合い、あるいは一方のガイド71の凹段部77bに別のガイド71の凸段部77aに嵌り合い、メインチップ31とジョイントチップ51との積層方向に二つのガイド71が位置ずれすることを規制する。
【0071】
(5)マイクロ流体チップ
図12は、第1の実施の形態のメインチップ31及びジョイントチップ51を用いた第1の実施の形態のマイクロ流体チップ11の斜視図、
図14は、ガイド71を捨象して第1の実施の形態のマイクロ流体チップ11を示す模式図である。
図13は、第2の実施の形態のメインチップ31及びジョイントチップ51を用いた第2の実施の形態のマイクロ流体チップ11の斜視図、
図15は、ガイド71を捨象して第2の実施の形態のマイクロ流体チップ11を示す模式図である。
【0072】
図12及び
図13に示すように、ガイド71の上部保持領域73にメインチップ31を装着し、下部保持領域74にジョイントチップ51を装着すると、マイクロ流体チップ11が組み立てられる。このときジョイントチップ51は、半分の長さだけ下部保持領域74に挿入されて保持され、残りの半分は装着面72から飛び出した状態になる。この飛び出したジョイントチップ51の半分の部分は、マイクロ流体チップ11に接続する別のマイクロ流体チップ11のガイド71に設けられた下部保持領域74に挿入されて保持される。
【0073】
すると
図14及び
図15に示すように、メインチップ31とジョイントチップ51とが積層され、二つのマイクロ流体チップ11のそれぞれの微細空間MSがジョイントチップ51に連結され、流路FCが形成される。
【0074】
より詳しくは、メインチップ31の下層メイン基板36に設けられたメイン連絡孔33にジョイントチップ51の上層ジョイント基板55に設けられたジョイント連絡孔53が連絡する。これによって二つのマイクロ流体チップ11のそれぞれの微細空間MSは、一方のマイクロ流体チップ11のメイン連絡孔33、二つのマイクロ流体チップ11に跨るジョイントチップ51の一方の端部側のジョイント連絡孔53、連絡用流路52、反対の端部側のジョイント連絡孔53、別の一方のマイクロ流体チップ11のメイン連絡孔33を介して連絡される。
【0075】
このような流路FCの形成に際して、積層されたメインチップ31とジョイントチップ51との間の隙間は、ジョイントチップ51の上面に設けられたゴムシート58によってシールされ、流路FCを流通する液体の漏れ出しが防止される。
【0076】
(6)シール構造の別の実施の形態
メインチップ31とジョイントチップ51との間で流路FCをシールするシール構造については、ゴムシート58を用いた構造に限らず、Oリング61を用いた構造によっても実現可能である。
【0077】
図16~
図18に示すように、ジョイントチップ51の上層ジョイント基板55は、一対のジョイント連絡孔53の周囲を取り囲むように円環状の凹部62を設けている。メインチップ31とジョイントチップ51とがガイド71の上部保持領域73と下部保持領域74とにそれぞれ保持され、ジョイントチップ51がメインチップ31に重ね合わされたとき、凹部62は、互いに連絡したジョイント連絡孔53とメイン連絡孔33とが位置する連絡空間CSを形成する。
【0078】
Oリング61は、凹部62を形成する内側壁63に嵌め込まれ、上層ジョイント基板55の表面から僅かに突出することで、メインチップ31の下層メイン基板36(第1の実施の形態)、あるいはメイン基板34A(第2の実施の形態)に接触する。これによってOリング61は、連絡空間CSを密封し、メインチップ31とジョイントチップ51との連結部分で流路FCを流通する液体の漏れ出しを防止する。
【0079】
図17、
図18に示すように、Oリング61の外径は凹部62の内径よりも大きく、凹部62の内側壁63に嵌め込まれたOリング61は、弾性変形して凹部62に食い込んだような状態になっている。
【0080】
図19に示すように、ガイド71の上部保持領域73にメインチップ31を装着し、下部保持領域74にジョイントチップ51を装着すると、マイクロ流体チップ11が組み立てられる。このときジョイントチップ51は、半分の長さだけ下部保持領域74に挿入されて保持され、残りの半分は装着面72から飛び出した状態になる。この飛び出したジョイントチップ51の半分の部分は、マイクロ流体チップ11に接続する別のマイクロ流体チップ11のガイド71に設けられた下部保持領域74に挿入されて保持される。そこでガイド71から飛び出したジョイントチップ51の上層ジョイント基板55は、別のマイクロ流体チップ11のガイド71に保持されている別のメインチップ31との連結のために、Oリング61を露出させている。
【0081】
Oリング61を用いたシール構造は、第1の実施の形態のマイクロ流体チップ11にも第2の実施の形態のマイクロ流体チップ11にも適用可能である。
【0082】
2.作用効果
(1)作用
マイクロ流体デバイス101を必要としたとき、用途に適した微細空間MSを有するマイクロ流体チップ11の組み合わせを計画し、それらのマイクロ流体チップ11を一列に接続してマイクロ流体デバイス101を組み立てる。マイクロ流体デバイス101を使用するに際しては、メインチップ31の上面に用意されている供給孔32に、図示しないパイプやシリンジなどを用いて培養液や試薬などの液体を注入する。すると流路FC内を液体が流通し、選択した微細空間MSに応じた液体の分離、攪拌、熱処理、蛍光検出などの処理を行なうことが可能になる。
【0083】
(2)効果
本実施の形態のマイクロ流体デバイス101は、つぎのような効果を有している。
【0084】
複数種類の微細空間MSを有するメインチップ31を好きなように並び替えることができ、目的に応じた流路FCを容易に組み立てることができる。この際、標準化された微細空間MSを有するメインチップ31の組み合わせだけで実現可能な流路FCであれば、専用パーツを用意することなく、目的に応じた流路FCをその場で作成することができる。
【0085】
メインチップ31を機能ごとに分類して用意しておけば、研究の目的別に、表面処理などの操作を容易に実施可能である。
【0086】
接続するすべてのメインチップ31が同一平面上に配置されるため、すべてのメインチップ31が有する微細空間MSの状態を視覚的に観察することができ、また光学センサを用いた蛍光検出などの処理を行なうこともできる。
【0087】
接続可能なマイクロ流体チップ11の数に制限はなく、優れた拡張性が得られる。しかもガイド71の装着面72からメインチップ31とジョイントチップ51とを挿入して二つのガイド71を接続するだけでマイクロ流体チップ11の拡張が可能であり、拡張のための作業性が良好である。
【0088】
メインチップ31もジョイントチップ51も流路FCを構成する部分が開放されている状態になっていることから、内部の洗浄が容易である。
【0089】
メインチップ31もジョイントチップ51も、アクリル板(34、35、36、54、55、56)を積層して接合させるだけで容易に製造することが可能である。
【0090】
メインチップ31とジョイントチップ51との間をゴムシート58でシールすることができるので、液体の漏れ出しを防止することができる。また二つのガイド71を接続したとき、メインチップ31とジョイントチップ51との積層方向への位置ずれを規制部77によって規制し、この面からも液体の漏れ出しを防止することができる。
【0091】
二つのガイド71を磁石76aの磁力を利用した吸着によって容易に接続することができ、マイクロ流体デバイス101の組み立ての容易化を図ることができる。
【0092】
3.変形例
実施に際しては、各種の変形や変更が可能である。
【0093】
例えば第1の実施の形態のマイクロ流体チップ11では、メインチップ31及びジョイントチップ51を構成する三層のアクリル板(34、35、36、54、55、56)について大きさ及び厚みの具体的な数値を挙げたが、これは例示にすぎず、実施に際しては各種の大きさ及び厚みのアクリル板(34、35、36、54、55、56)を用いてメインチップ31及びジョイントチップ51を製造することができる。
【0094】
この点は第2の実施の形態のマイクロ流体チップ11も同様で、メインチップ31及びジョイントチップ51を構成する二層のアクリル板(34A、35、54A、55)について大きさ及び厚みの具体的な数値は例示にすぎず、実施に際しては各種の大きさ及び厚みのアクリル板(34A、35、54A、55)を用いてメインチップ31及びジョイントチップ51を製造することができる。
【0095】
メインチップ31及びジョイントチップ51は、必ずしもアクリル板によって製造しなければならないわけではない。他の種類の樹脂材料やガラスなどを用いてメインチップ31及びジョイントチップ51を製造するようにしてもよい。
【0096】
アクリル板の接合手法も熱圧着に限らず、例えば接着剤を用いた接合や真空圧着など、他の手法を用いるようにしてもよい。
【0097】
二つのガイド71を接続する接続部76に関しては、極性を異ならせた磁石76a同士の吸着のみならず、例えば金属プレートに対する磁石76aの磁気的な吸着を利用して実現させるようにしてもよい。あるいは磁石76aに限らず、例えばねじ止めやクランプ止めなど、二つの部材を接続するあらゆる接続構造が適用可能である。
【0098】
上記実施の形態では、第1の実施の形態のメインチップ31とジョイントチップ51とを組み合わせた構成例を第1の実施の形態のマイクロ流体チップ11として、また第2の実施の形態のメインチップ31とジョイントチップ51とを組み合わせた構成例を第2の実施の形態のマイクロ流体チップ11として紹介した。実施に際してはこれに限らず、第1の実施の形態のメインチップ31と第2の実施の形態のジョイントチップ51、あるいは第2の実施の形態のメインチップ31と第1の実施の形態のジョイントチップ51とを組み合わせてマイクロ流体チップ11を構成するようにしてもよい。
【0099】
またマイクロ流体デバイス101は、第1の実施の形態のメインチップ31及びジョイントチップ51、第2の実施の形態のメインチップ31及びジョイントチップ51、ゴムシート58を用いたシール構造、Oリング61を用いたシール構造、それらの各種の変形や変更を自由に組み合わせて構成することが可能である。
【0100】
その他あらゆる変形及び変更が許容される。
【符号の説明】
【0101】
11 マイクロ流体チップ
31 メインチップ
32 供給孔
33 メイン連絡孔
34A メイン基板
34 中層メイン基板
35 上層メイン基板
36 下層メイン基板
37 開口部
51 ジョイントチップ
52 連絡用流路
53 ジョイント連絡孔
54A ジョイント基板
54 中層ジョイント基板
55 上層ジョイント基板
56 下層ジョイント基板
57 開口部
58 ゴムシート
58a 貫通孔
61 Oリング
62 凹部
63 内側壁
71 ガイド
72、72A、72B 装着面
73 上部保持領域
74 下部保持領域
75 レール
76 接続部
76a 磁石
77 規制部
77a 凸段部
77b 凹段部
101 マイクロ流体デバイス
CS 連絡空間
FC 流路
MS 微細空間