(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】画像点群データ処理装置、画像点群データ処理方法、及び画像点群データ処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/45 20230101AFI20240726BHJP
【FI】
H04N23/45
(21)【出願番号】P 2024532198
(86)(22)【出願日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 JP2023002844
【審査請求日】2024-05-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100203677
【氏名又は名称】山口 力
(72)【発明者】
【氏名】池西 俊仁
(72)【発明者】
【氏名】西田 大輔
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/209166(WO,A1)
【文献】特開2022-39906(JP,A)
【文献】特開2022-157096(JP,A)
【文献】特開2016-57108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/23
H04N 5/222
H04N 23/695
H04N 23/60
H04N 23/61
H04N 23/65 ,
G06T 7/70
G01B 11/00
G01C 15/00
G01S 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラによって生成された画像データに含まれる基準物から複数の画像特徴点を検出し、前記複数の画像特徴点に基づいて前記基準物を代表する複数の3次元位置である画像代表位置を算出する画像データ処理部と、
測距センサによって生成された3次元点群を示す3次元点群データから、前記画像代表位置に基づいて決定される検出領域内に存在する前記3次元点群である領域内点群を検出し、前記領域内点群に基づいて前記基準物を代表する代表点群を検出する点群データ処理部と、
前記画像代表位置と前記代表点群とに基づいて前記画像データと前記3次元点群データとを共通の座標系のデータにするレジストレーション処理部と、
を有することを特徴とする画像点群データ処理装置。
【請求項2】
前記基準物は、予め決められたキャリブレーションパターンを有するキャリブレーションボードである
ことを特徴とする請求項1に記載の画像点群データ処理装置。
【請求項3】
前記画像代表位置は、前記キャリブレーションボードの隅の座標点である
ことを特徴とする請求項2に記載の画像点群データ処理装置。
【請求項4】
前記画像代表位置は、前記キャリブレーションボードのエッジ上の座標点である
ことを特徴とする請求項2に記載の画像点群データ処理装置。
【請求項5】
前記基準物は、前記画像データから検出された検出物体である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像点群データ処理装置。
【請求項6】
前記画像代表位置は、前記検出物体の隅の座標点及び前記検出物体のエッジ上の座標点の一方又は両方である
ことを特徴とする請求項5に記載の画像点群データ処理装置。
【請求項7】
前記画像データ処理部は、深層学習を用いて前記基準
物の前記画像代表位置を推定する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の画像点群データ処理装置。
【請求項8】
前記カメラと、
前記測距センサと、
を更に有することを特徴とする請求項1から
6のいずれか1項に記載の画像点群データ処理装置。
【請求項9】
画像点群データ処理装置によって実行される画像点群データ処理方法であって、
カメラによって生成された画像データに含まれる基準物から複数の画像特徴点を検出し、前記複数の画像特徴点に基づいて前記基準物を代表する複数の3次元位置である画像代表位置を算出するステップと、
測距センサによって生成された3次元点群を示す3次元点群データから、前記画像代表位置に基づいて決定される検出領域内に存在する前記3次元点群である領域内点群を検出し、前記領域内点群に基づいて前記基準物を代表する代表点群を検出するステップと、
前記画像代表位置と前記代表点群とに基づいて前記画像データと前記3次元点群データとを共通の座標系のデータにするステップと、
を有することを特徴とする画像点群データ処理方法。
【請求項10】
カメラによって生成された画像データに含まれる基準物から複数の画像特徴点を検出し、前記複数の画像特徴点に基づいて前記基準物を代表する複数の3次元位置である画像代表位置を算出するステップと、
測距センサによって生成された3次元点群を示す3次元点群データから、前記画像代表位置に基づいて決定される検出領域内に存在する前記3次元点群である領域内点群を検出し、前記領域内点群に基づいて前記基準物を代表する代表点群を検出するステップと、
前記画像代表位置と前記代表点群とに基づいて前記画像データと前記3次元点群データとを共通の座標系のデータにするステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像点群データ処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像点群データ処理装置、画像点群データ処理方法、及び画像点群データ処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ撮影によって得られた画像データと測距センサによって検出された3次元点群データとを共通の座標系のデータに変換するための複合キャリブレーション装置の提案がある(例えば、特許文献1参照)。この装置では、ロボットアームを用いてカメラ及び測距センサをキャリブレーションボードの前に移動し、そのときに得られた画像データと3次元点群データとを用いてレジストレーションを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の装置では、ロボットアームによってカメラ及び測距センサを移動することが前提となっている。このため、カメラによる撮影範囲内及び測距センサによる検出範囲内にキャリブレーションボード以外の物体が存在する実環境においては、画像データと3次元点群データとの間の座標変換を高精度に行うことができないという問題がある。
【0005】
本開示は、画像データと3次元点群データとを高い精度で共通の座標系のデータにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の画像点群データ処理装置は、カメラによって生成された画像データに含まれる基準物から複数の画像特徴点を検出し、前記複数の画像特徴点に基づいて前記基準物を代表する複数の3次元位置である画像代表位置を算出する画像データ処理部と、測距センサによって生成された3次元点群を示す3次元点群データから、前記画像代表位置に基づいて決定される検出領域内に存在する前記3次元点群である領域内点群を検出し、前記領域内点群に基づいて前記基準物を代表する代表点群を検出する点群データ処理部と、前記画像代表位置と前記代表点群とに基づいて前記画像データと前記3次元点群データとを共通の座標系のデータにするレジストレーション処理部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本開示の画像点群データ処理方法は、画像点群データ処理装置によって実行される方法であって、カメラによって生成された画像データに含まれる基準物から複数の画像特徴点を検出し、前記複数の画像特徴点に基づいて前記基準物を代表する複数の3次元位置である画像代表位置を算出するステップと、測距センサによって生成された3次元点群を示す3次元点群データから、前記画像代表位置に基づいて決定される検出領域内に存在する前記3次元点群である領域内点群を検出し、前記領域内点群に基づいて前記基準物を代表する代表点群を検出するステップと、前記画像代表位置と前記代表点群とに基づいて前記画像データと前記3次元点群データとを共通の座標系のデータにするステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示の装置、方法、及びプログラムによれば、画像データと3次元点群データとを高い精度で共通の座標系のデータにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る画像点群データ処理装置の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係る画像点群データ処理装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る画像点群データ処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】(A)から(C)は、実施の形態1における画像データ処理部の動作を示す説明図である。
【
図5】(A)から(D)は、実施の形態1における点群データ処理部の動作を示す説明図である。
【
図6】(A)及び(B)は、実施の形態1におけるレジストレーション処理部の動作を示す説明図である。
【
図7】実施の形態2に係る画像点群データ処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】(A)から(C)は、実施の形態2における画像データ処理部の動作を示す説明図である。
【
図9】(A)から(D)は、実施の形態2における点群データ処理部の動作を示す説明図である。
【
図10】実施の形態3に係る画像点群データ処理装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図11】実施の形態3に係る画像点群データ処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図12】(A)から(C)は、実施の形態における画像データ処理部の動作を示す説明図である。
【
図13】(A)から(C)は、実施の形態2における点群データ処理部の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施の形態に係る画像点群データ処理装置、画像点群データ処理方法、及び画像点群データ処理プログラムを、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態は、例にすぎず、実施の形態を適宜組み合わせること及び各実施の形態を適宜変更することが可能である。
【0011】
《1》実施の形態1
《1-1》構成
図1は、実施の形態1に係る画像点群データ処理装置1の構成を概略的に示す機能ブロック図である。画像点群データ処理装置1は、実施の形態1に係る画像点群データ処理方法を実施することができる装置であり、例えば、実施の形態1に係る画像点群データ処理プログラムを実行することができるコンピュータである。画像点群データ処理装置1は、撮像装置としてのカメラ51の撮影によって得られた画像データと測距センサとしてのLiDAR52(Light Detection And Ranging)によって検出された3次元点群データとを、共通の座標系のデータにするための変換式(すなわち、変換式の変換行列)を導出することができる装置である。
【0012】
図1に示されるように、画像点群データ処理装置1は、画像データ処理部10と、点群データ処理部20と、レジストレーション処理部30とを有している。画像点群データ処理装置1は、画像データ及び3次元点群データを記憶する記憶装置であるデータ記憶部40、外部機器と通信を行う通信部、及び画像を表示する表示装置のうちのいずれか1つ以上を更に有してもよい。
【0013】
画像点群データ処理装置1は、実環境において、カメラ51によって得られた画像データとLiDAR52によって検出された3次元点群データとを共通の座標系のデータにするための変換式に含まれる変換行列を決定する。実空間には、カメラキャリブレーションに用いられる基準物としてのキャリブレーションボード以外の物体(すなわち、他の物体)が存在してもよい。
図1においては、カメラ51及びLiDAR52は、画像点群データ処理装置1と異なる装置として記載されているが、カメラ51及びLiDAR52は、画像点群データ処理装置1の一部であってもよい。
【0014】
画像データ処理部10は、カメラ51によって生成された画像データに含まれる、キャリブレーションボードのキャリブレーションパターンから複数の画像特徴点(例えば、チェッカーパターンの交点)を検出し、複数の画像特徴点に基づいてキャリブレーションボードを代表する複数の3次元位置である画像代表位置を算出する。複数の画像代表位置は、例えば、キャリブレーションボードの隅の位置である。
【0015】
点群データ処理部20は、LiDAR52によって生成された3次元点群を示す3次元点群データから、画像代表位置(例えば、キャリブレーションボードの隅の位置)に基づいて決定される検出領域内に存在する3次元点群である領域内点群を検出し、領域内点群に基づいて基準物であるキャリブレーションボードを代表する代表点群を検出する。キャリブレーションボードは、予め決められたキャリブレーションパターンを有する。キャリブレーションパターンは、複数の矩形の白領域と黒領域とを交互に2次元的に配列したチェッカーパターンである。キャリブレーションパターンは、升目状に並ぶ複数の直線で構成されるグリッドパターン、二次元的に配列された複数のドットで構成されるドットパターン、などであってもよい。
【0016】
レジストレーション処理部30は、画像データ処理部10によって算出された画像代表位置と点群データ処理部20によって検出された代表点群とに基づくマッチングによって、画像データと3次元点群データとの変換に用いる変換式の変換行列を導出する特徴点マッチング処理部である。レジストレーション処理部30は、複数の画像からの特徴点(例えば、キャリブレーションボードの四隅の点)と、LiDAR52で測定された3次元点群の特徴点(例えば、キャリブレーションボードの四隅の点)を、NDT(Normal Distribution Transform)手法又はICP(Iterative Closest Point)手法を用いて変換行列を算出する。
【0017】
図2は、実施の形態1に係る画像点群データ処理装置1のハードウェア構成の例を示す図である。画像点群データ処理装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ101と、記憶部としてのメモリ102と、記憶装置103と、インタフェース104とを有している。画像点群データ処理装置1を構成する各部分は、例えば、処理回路により構成される。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいし、又は、メモリ102に格納されるプログラム(例えば、画像点群データ処理プログラム)を実行するCPUを含んでもよい。プロセッサ101は、
図1に示される各機能ブロックを実現する。
【0018】
メモリ102は、例えば、RAM(Random Access Memory)などの半導体メモリである。記憶装置103は、HDD(ハードディスクドライブ)、SSD(ソリッドステートドライブ)などの不揮発性記憶装置である。また、画像点群データ処理装置1は、回路からなる構成部分とプロセッサからなる構成部分との両方を含むものであってもよい。また、画像点群データ処理装置1の一部又は全部は、ネットワーク上のサーバコンピュータであってもよい。なお、画像点群データ処理プログラムは、ネットワークを介するダウンロードによって、又は、情報を記憶するUSBメモリなどの記憶媒体によって提供される。インタフェース104には、カメラ51、LiDAR52、ユーザ操作が行われる入力装置、情報を提示する液晶ディスプレイなどの表示装置、などが接続される。
【0019】
図2に示されるように、カメラ51の撮影範囲内であってLiDAR52の測定範囲内には、基準物としてのキャリブレーションボード60が存在するが、キャリブレーションボード60以外の他の物体が存在してもよい。つまり、画像点群データ処理装置1は、多くの物体が存在する実空間を撮影及び測定することによって、画像データと3次元点群データとを高い精度で共通の座標系のデータにすることができる。また、画像点群データ処理装置1は、LiDAR52によって生成された3次元点群データに基づく点群を同じ座標系の画像データに基づく画像に重ねた画像を表示装置に表示させことができる。また、画像点群データ処理装置1は、LiDAR52によって生成された3次元点群データに基づく点群によって構成される面に、画像データに基づく色を付けた画像を表示装置に表示させることができる。
【0020】
《1-2》動作
図3は、実施の形態1に係る画像点群データ処理装置1の動作を示すフローチャートである。
図4(A)から(C)は、画像データ処理部10の動作を示す説明図である。
【0021】
先ず、画像データ処理部10は、カメラ51によって生成された画像データを取得し(ステップS101)、画像データに含まれる基準物としてのキャリブレーションボード60を検出してカメラキャリブレーションを行い、カメラ内部パラメータを決定する(ステップS102)。
図4(A)は、画像データ処理部10が生成したカメラ内部パラメータとしての変換行列を示す。
図4(A)において、(c
x,c
y)は、主点(通常は画像中心)の座標を示し、f
x及びf
yは、ピクセル単位で表される焦点距離を示す。
【0022】
次に、画像データ処理部10は、キャリブレーションボード60のキャリブレーションパターンから複数の画像特徴点61を検出し(ステップS103)、複数の画像特徴点61に基づいてキャリブレーションボード60を代表する複数の3次元位置である画像代表位置63を算出する(ステップS104)。
図4(B)は、複数の画像特徴点61を示す。
図4(C)は、複数の画像特徴点61に基づいて得られた、キャリブレーションボード60の4隅の位置の画像代表位置63を示す。このとき、画像データ処理部10は、基準方向65に対するキャリブレーションボード60の回転角αを算出する。なお、画像代表位置63の代わりに、キャリブレーションボード60のキャリブレーションパターンであるチェッカーパターンの隅の位置62を用いてもよい。
【0023】
図5(A)から(D)は、点群データ処理部20の動作を示す説明図である。点群データ処理部20は、LiDAR52によって生成されクラスタリングなどの手法で分割されたクラスタである3次元点群71を取得した3次元点群71を取得し(ステップS105)、画像データ処理部10から取得した画像代表位置63に基づいて決定される検出領域72内に存在する3次元点群である領域内点群71aを検出する(ステップS106)。
図5(A)は、LiDAR52によって生成された3次元点群71を示す。
図5(B)は、検出領域72内に存在する3次元点群である領域内点群71aを示す。3次元点群71の各点は、レーザビームが照射された測定点である。
【0024】
次に、点群データ処理部20は、領域内点群71aに基づいてキャリブレーションボード60を代表する代表点群73を検出する(ステップS107)。代表点群は、キャリブレーションボード60の隅の位置を示す点からなる点群である。
図5(C)は、検出領域72内に存在する3次元点群である領域内点群71aに基づいて算出された代表点群73を示す。また、
図5(D)は、キャリブレーションボード60を検出する際に用いられる、反射強度に対する点群数の分布特性を示す。つまり、点群データ処理部20は、
図5(D)に類似する点群数の分布(2つのピークを有する分布)を有する物体をキャリブレーションボード60と判定することができる。
【0025】
図6(A)及び(B)は、レジストレーション処理部30の動作を示す説明図である。レジストレーション処理部30は、画像データ処理部10で算出された3次元データによって示される画像代表位置63と点群データ処理部20で算出された3次元点群データによって示される代表点群73との間のマッチングを行い、すなわち、レジストレーションを行い(ステップS108)、その結果を用いて、画像データと3次元点群データとを共通の座標系のデータにするための変換式の変換行列を算出する(ステップS109)。
図6(A)は、レジストレーションを示し、
図6(B)は、画像データと3次元点群データとの間の3次元アフィン変換の変換式を示す。要素a,b,…,k,lを決定することによって、各軸周りの回転、拡大・縮小、平行移動(並進)を設定することができる。ただし、変換式は、3次元アフィン変換に限定されるものではない。
【0026】
《1-3》効果
以上に説明したように、実施の形態1においては、カメラ51によって生成された画像データに基づいてキャリブレーションボード60の回転角αを推定し、LiDAR52によって生成された3次元点群データの検出領域を回転角αを用いて回転させ検出領域内の3次元点群を抽出し、画像代表位置63と代表点群73との間のレジストレーションを行うので、精度の高い変換行列を算出することができる。
【0027】
また、
図5(D)に示す特性(2つのピーク)を有する物体をキャリブレーションボード60と判定することにより、キャリブレーションボード60以外の物体が存在する実空間の映像データ及び3次元点群データとを用いて、精度の高い変換行列を導出することができる。
【0028】
《2》実施の形態2
《2-1》構成
実施の形態1においては、画像代表位置63がキャリブレーションボード60の隅の座標点である例を説明したが、実施の形態2においては、画像代表位置がキャリブレーションボード60のエッジ(辺)上の座標点である例を説明する。実施の形態2の他の点は、実施の形態1と共通であるため、実施の形態2の説明において
図1及び
図2を参照する。
【0029】
《2-2》動作
図7は、実施の形態2に係る画像点群データ処理装置の動作を示すフローチャートである。実施の形態2に係る画像点群データ処理装置は、ステップS204,S207の処理が、実施の形態1に係る画像点群データ処理装置1のものと異なる。
【0030】
図8(A)から(C)は、実施の形態2における画像データ処理部10の動作を示す説明図である。先ず、画像データ処理部10は、カメラ51によって生成された画像データを取得し(ステップS101)、画像データに含まれる基準物としてのキャリブレーションボード60を検出してカメラキャリブレーションを行い、カメラ内部パラメータを決定する(ステップS102)。
図8(A)は、
図4(A)と同様に、画像データ処理部10が生成したカメラ内部パラメータとしての変換行列を示す。
【0031】
次に、画像データ処理部10は、キャリブレーションボード60のキャリブレーションパターンから複数の画像特徴点61を検出し(ステップS103)、複数の画像特徴点61に基づいてキャリブレーションボード60を代表する複数の3次元位置であるエッジ(辺)64を算出する(ステップS204)。
図8(B)は、複数の画像特徴点61を示し、
図8(C)は、複数の画像特徴点61に基づいて得られたキャリブレーションボード60のエッジ64の位置を画像代表位置として算出する。このとき、画像データ処理部10は、基準方向に対するキャリブレーションボード60の回転角αを算出する。なお、画像代表位置63の代わりに、キャリブレーションボード60のキャリブレーションパターンであるチェッカーパターンのエッジの位置を用いてもよい。
【0032】
図9(A)から(C)は、実施の形態2における点群データ処理部20の動作を示す説明図である。点群データ処理部20は、LiDAR52によって生成され、クラスタリングなどの手法で分割されたクラスタである3次元点群71を取得し(ステップS105)、画像データ処理部10から取得した画像代表位置63に基づいて決定される検出領域72内に存在する3次元点群である領域内点群71aを検出する(ステップS106)。
図9(A)は、LiDAR52によって生成された3次元点群71を示す。
図9(B)は、検出領域72内に存在する3次元点群である領域内点群71aを示す。
【0033】
次に、点群データ処理部20は、領域内点群71aに基づいてキャリブレーションボード60を代表するエッジの代表点群74を検出する(ステップS207)。代表点群74は、キャリブレーションボード60のエッジの位置を示す点群である。
図9(C)は、検出領域72内に存在する3次元点群である領域内点群71aに基づいて算出されたエッジの代表点群74を示す。また、
図9(D)は、キャリブレーションボード60を検出する際に用いられる、反射強度に対する点群数の分布特性を示す。
【0034】
レジストレーション処理部30の動作は、実施の形態1の場合と同様である。
【0035】
《2-3》効果
実施の形態2においては、実施の形態1で説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0036】
《3》実施の形態3
《3-1》構成
図10は、実施の形態3に係る画像点群データ処理装置3のハードウェア構成の例を示す図である。
図10において、
図2に示される構成と同一又は対応する構成には、
図2に示される符号と同じ符号が付されている。実施の形態1及び2においては、基準物がキャリブレーションパターンを有するキャリブレーションボード60である例を説明したが、実施の形態3においては、基準物が検出物体(例えば、車両)80である。検出物体80は、予め決められたパターンであるキャリブレーションパターンを有している必要はない。また、実施の形態3の説明においては、機能ブロック図である
図1を参照する。
【0037】
《3-2》動作
図11は、実施の形態2に係る画像点群データ処理装置3の動作を示すフローチャートである。実施の形態3に係る画像点群データ処理装置3は、ステップS303、S304、S306、S307の処理が、実施の形態1に係る画像点群データ処理装置1のものと異なる。
【0038】
図12(A)から(C)は、実施の形態3における画像データ処理部10の動作を示す説明図である。先ず、画像データ処理部10は、カメラ51によって生成された画像データを取得し(ステップS101)、画像データに含まれる基準物としての検出物体80(図では車両)を検出してカメラキャリブレーションを行い、カメラ内部パラメータを決定する(ステップS102)。
【0039】
次に、画像データ処理部10は、画像データの色分布を特徴量として画像データから検出物体80を検出し、検出物体80の深度を推定する(ステップS303)。このとき、カメラ撮影で得られた画像データから深層学習により物体を検知し、深度を推定して、特徴点を求めてもよい。
【0040】
次に、画像データ処理部10は、検出物体80のエッジ、四隅の点、色分布を特徴量として抽出し、画像データを2次元画像データから3次元画像データに変換する(ステップS304)。
図12(A)及び(B)は、検出物体80、複数の画像代表位置83、検知物体のエッジ(辺)81を算出する処理を示す。
図12(C)は、検知物体には濃淡があるため、検出物体のグレースケール(階調)に対するピクセル数の分布には特定の傾向(例えば、高い階調でピクセル数のピークがあり、低い階調でピクセル数のピークがある)があることを示されている。
【0041】
図13(A)から(C)は、実施の形態3における点群データ処理部20の動作を示す説明図である。点群データ処理部20は、LiDAR52のレーザのスキャンによって生成されクラスタリングなどの手法で分割されたクラスタである3次元点群91を取得し(ステップS105)、画像データ処理部10から取得した画像代表位置83又はエッジ81に基づいて決定される検出領域92内に存在する3次元点群である領域内点群91aを検出する(ステップS306)。
図13(A)は、LiDAR52によって生成された3次元点群91を示す。
図13(B)は、検出領域92内に存在する3次元点群である領域内点群91aを示す。
図13(C)は、検出物体には濃淡があるため、検出物体のグレースケール(濃淡)に対するピクセル数の分布には特定の傾向があることを示す。
【0042】
次に、点群データ処理部20は、領域内点群91aに基づいて検出物体80を代表するエッジの代表点群74を検出する(ステップS307)。代表点群94は、検出物体80のエッジの位置を示す点群である。
図13(C)は、検出領域92内に存在する3次元点群である領域内点群71aに基づいて算出されたエッジの代表点群74を示す。また、
図13(D)は、キャリブレーションボード60を検出する際に用いられる、反射強度に対する点群数の分布特性を示す。
【0043】
レジストレーション処理部30の動作であるステップS108、S109は、実施の形態1の場合と同様である。
【0044】
《3-3》効果
実施の形態3においては、実施の形態1で説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0045】
また、施の形態3においては、キャリブレーションパターンを持つキャリブレーションボードを必要としていないので、実空間を撮影及び計測することで、画像データと3次元点群データとを共通の座標系のデータにすることができる。
【0046】
《4》産業上の利用可能性
実施の形態1から3のいずれかを用いることによって、多くの物体が存在する実空間を撮影及び測定することで、例えば、カラー画像にLiDAR52によって生成された3次元点群を高い精度で重ねた画像を表示装置に表示させことが可能である。その結果、カラー画像に表示される物体の各部の深度(各部までの距離)を3次元点群の点によって人間(例えば、土木の分野における作業者)が理解可能な形式で表示することが可能になる。
【0047】
また、実施の形態1から3のいずれかを用いることによって、多くの物体が存在する実空間を撮影及び測定することで、例えば、LiDAR52によって生成された3次元点群によって形成された面にカラー画像に基づく色を加えることが可能である。その結果、3次元点群によって形成される面を人間(例えば、土木の分野における作業者)が理解可能な形式で表示することが可能になる。
【0048】
また、実施の形態1から3のいずれかを用いることによって、多くの物体が存在する実空間を撮影及び測定することで、例えば、LiDAR52によって生成された3次元点群の点にカラー画像に基づく色を加えることが可能である。その結果、3次元点群を人間(例えば、土木の分野における作業者)が理解可能な形式で表示することが可能になる。
【符号の説明】
【0049】
1、3 画像点群データ処理装置、 10 画像データ処理部、 20 点群データ処理部、 30 レジストレーション処理部、 51 カメラ、 52 LiDAR(測距センサ)、 60 キャリブレーションボード(基準物)、 61 画像特徴点、 63、83 画像代表位置、 64 エッジ(画像代表位置)、 71、91 3次元点群、 71a、91a 領域内点群、 72、92 検出領域、 73、74、94 代表点群、 80 検出物体(基準物)、 81 エッジ(画像特徴点)、 101 プロセッサ、 102 メモリ、 103 記憶装置、 104 インタフェース。
【要約】
画像点群データ処理装置(1)は、カメラ(51)によって生成された画像データに含まれる基準物(60)から複数の画像特徴点(61)を検出し、複数の画像特徴点(61)に基づいて基準物(60)を代表する複数の3次元位置である画像代表位置(63)を算出する画像データ処理部(10)と、測距センサ(52)によって生成された3次元点群(71)を示す3次元点群データから、画像代表位置(63)に基づいて決定される検出領域(72)内に存在する3次元点群である領域内点群(71a)を検出し、領域内点群(71a)に基づいて基準物(60)を代表する代表点群(73)を検出する点群データ処理部(20)と、画像代表位置(63)と代表点群(73)とに基づいて画像データと3次元点群データとを共通の座標系のデータにするレジストレーション処理部(30)とを有する。