(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】服飾用ハンガー
(51)【国際特許分類】
A47G 25/28 20060101AFI20240729BHJP
A47G 25/36 20060101ALI20240729BHJP
D06F 57/00 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
A47G25/28 Z
A47G25/36 Z
D06F57/00 340
(21)【出願番号】P 2020086437
(22)【出願日】2020-05-18
【審査請求日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】P 2019143979
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】719005116
【氏名又は名称】星野 まゆみ
(72)【発明者】
【氏名】星野 まゆみ
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-106383(JP,U)
【文献】実開平02-002071(JP,U)
【文献】特開2008-086612(JP,A)
【文献】特開2008-149100(JP,A)
【文献】特開2003-290019(JP,A)
【文献】実公昭33-019744(JP,Y1)
【文献】実開昭55-023602(JP,U)
【文献】特開平08-275859(JP,A)
【文献】実公平01-041343(JP,Y2)
【文献】登録実用新案第3062063(JP,U)
【文献】特開平11-313749(JP,A)
【文献】特公昭31-003481(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G25/00-25/92
D06F57/00-57/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
前記屈曲材に、さらにコイル体を有する服飾用ハンガーであって、前記コイル体は前記樹脂層で覆われており、前記線材層は前記コイル体の内側に長手方向に挿入され、前記コイル体の内側に前記緩衝空部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の服飾用ハンガー。
【請求項3】
前記コイル体をジャバラに置き換えたことを特徴とする請求項2に記載の服飾用ハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服のトップス・ボトムス、サイズ、肩幅の広狭、ウエスト・ヒップの大小、立体的形状・平面的形状に関わらず掛けるものに適合し、滑り落ちず、型崩れを防止し、ハンガー跡をつけることなく使用できる服飾用ハンガーであって、広くは衣服以外にタオル、靴、鞄その他の服飾小物を掛けることにも使用でき、洗濯物の屋外干しにも使用することができる多目的に好適な服飾用ハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のハンガーでは、肩先やボトムスの履き口等にハンガー肩部の先端の跡が衣服についてしまったり、衣服の肩の傾斜やウエストからヒップの立体的な形状等がハンガーと適合しないために型崩れを起こしている。
【0003】
そこで、特許文献1では、吊り下げ部をコイルで自由自在に変形でき、特に肩先を首元より変形しやすく構成することで衣服の縫製形状に追従し、型崩れが生じないハンガーが提案されている。
ただし、上記のハンガーでは、コイルがむき出しであるため、柔らかい素材や薄手素材等、衣服の素材によってはコイルと接している部分に凹凸の跡がついてしまうものである。特に、洗濯物干しとして使用する場合は、衣服が乾くまでに凹凸の跡が定着しやすく、ハンガーの用途範囲が制限されるものであった。
また、隣り合うコイルの輪同士が衣服を噛んでしまい、衣服を傷めるおそれもある。
【0004】
特許文献2では、芯材が設置されていないため強度の面で劣り、薄手のニットやシャツ等の軽量な衣服には適合するものの、掛けるものの重量に制限が生じている。ロングコート等の比較的重量が重い衣服を掛けたときに樹脂製パイプが衣服の重さにより意図せず変形してしまい、所望とする形状に調整することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-086612
【文献】実開平03-051065
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、衣服等をハンガーに掛けた際についてしまうハンガーの跡や型崩れを解消し、洗濯物干しとして屋外でも使用でき、衣服以外の服飾小物も自由自在に掛けることができる強度、耐候性、柔軟性を備えた服飾用ハンガーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、金属線材と軟質な樹脂と緩衝空部と長尺のコイル体又はジャバラとで構成し、前記樹脂で屈曲材の表面をなめらかに仕上げ、肩部を構成することで、前記課題を解決することとした。
【0008】
請求項1記載の服飾用ハンガーは、フックと、前記フックの両側に設けられた一対の肩部と、前記フックを支持すると共に一対の前記肩部の間に配置された支持部とで構成され、前記肩部は自在に屈曲可能な屈曲材で構成されていて、前記屈曲材は、塑性変形可能な金属製の線材層と樹脂層と緩衝空部とを有していて、前記線材層は前記樹脂層の内側に長手方向に複数挿入されていて、前記緩衝空部は前記線材層と前記樹脂層との間に設けられており、前記屈曲材の両端は前記支持部内に位置し、当該支持部の両側から延出した部分は、それぞれ前記フックが設けられている側とは反対側に向けて下り傾斜して、衣類の襟元に対応する襟部分を形成し、その先で前記肩部を形成し、さらにその先で互いに近づく側に屈曲し、屈曲した先において互いに連続した環状を呈することを特徴とする服飾用ハンガー。
【0009】
請求項2記載の服飾用ハンガーは、請求項1に記載の服飾用ハンガーにおいて、屈曲材に、さらにコイル体を有する服飾用ハンガーであって、コイル体は樹脂層で覆われており、前記線材層は前記コイル体の内側に長手方向に挿入され、前記コイル体の内側に前記緩衝空部を設けた屈曲材で肩部を構成することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の服飾用ハンガーは、請求項2に記載の服飾用ハンガーであって、コイル体をジャバラに置き換えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本請求項1に係る発明によれば、肩部を曲折することで、衣服のトップス・ボトムス、サイズ、肩幅の広狭、ウエスト・ヒップの大小、ウエストとヒップの差等によって生じる立体的形状等のあらゆる形状に適合し、ハンガー跡や型崩れを防止することができる。
さらに、線材層が樹脂層により覆われているので、肩部が筒状で厚みのある形状となり、これによりセンタープレス線に合わせて畳んで掛けるスラックスやストール等にハンガー跡がつきにくい。
線材層と樹脂層との間に緩衝空部が設けられているので、屈曲材を曲折することで線材にうねり(いびつな形状)が生じたとしても、その線材の形状が屈曲材の表面に現れにくくなる。このため、樹脂層の表面の滑らかな形状が維持され、柔らかい素材や薄手の素材の衣服を含むあらゆる衣服、服飾小物、洗濯物にハンガー跡が付くことや、型崩れを抑制することができる。
また、緩衝空部は、屈曲材を曲折させる際の力が一点に集中することを抑制し、繰り返し曲折することによる線材の断線を抑制することができる。
屈曲材の外層が樹脂層であるため、線材層を雨や直射日光等から保護することができるので、猛暑や寒冷地に適応し、洗濯物干しに使用できる。また、樹脂層により、衣服等の掛けたものが滑り落ちることを防止する。
【0012】
本請求項2に係る発明によれば、線材の径をより小さくしたり、線材の本数を少なくしたりした場合でも、コイル体の螺旋形状が樹脂層を支持するので、服飾の重量により耐えうる強度を確保しつつ、屈曲材の長手方向に交差する方向の断面視で筒状の形状を維持し、線材層との間に緩衝空部をより確実に確保することができる。また、コイル体自体は隣り合う輪(螺旋)の間で屈曲させやすいので、より小さい力で屈曲材を曲折することができる。
【0013】
本請求項3に係る発明によれば、コイル体の場合と同様に、服飾の重量により耐えうる強度を確保しつつ、屈曲材の長手方向に交差する方向の断面視で筒状の形状を維持し、線材層との間に緩衝空部をより確実に確保することができる。また、ジャバラの山と谷が連続する形状により、屈曲材の曲折しやすさを確保することができる。その一方で、コイル体のような隣り合う輪同士の間の空間が無いため、線材層のうねりが生じた場合でもその形状が屈曲材の表面により現れにくくなる。また、樹脂層を介して雨等の水分が内部に浸透してきたとしても、当該水分が線材層に達して付着することをジャバラで阻害することができるので、耐候性が向上する。そして、例えば、金属製のコイル体をプラスチック製のジャバラに置き換えた場合には、製造コストや重量を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(本発明の服飾用ハンガーの概要)
本発明は、衣服等をハンガーに掛けた際に生じる型崩れを解消し、洗濯物干しとして屋外でも使用でき、衣服以外の服飾小物も自由自在に掛けることができる服飾用ハンガーである。
【0015】
(実施例1)
第1実施例の服飾用ハンガーは、
図1(a)、(b)に示すように、フック7を有する支持部6と当該支持部の両側に設けられた一対の肩部1とを有しており、少なくとも肩部1が屈曲材9で構成されている。屈曲材9の詳細については、後述する。
支持部6は、ステンレス鋼やアルミニウム等の硬質な金属から形成された筒状の部材であり、内部に屈曲材9が挿入されている。支持部6の長手方向の中央部にはフック7が突設されている。フック7は、パイプ等に係止させる部分であり、支持部6に対して回動可能に取り付けられていても良いし、支持部6と一体に固定されていても良い。
屈曲材9は、内側から外側に向けて順に、少なくとも1本の塑性変形可能な金属線材で構成した線材層2と、緩衝空部4と、軟質な樹脂層5とを有している。本実施例では線材層2が2本の線材で構成した例を示したが、1本または3本以上の線材から線材層2を構成しても良い。
また、屈曲材9は、断面の直径が数cm程度、全長が数十cmから1m程度の棒状の部材からなり、予め服飾用ハンガーとしての形状に形成されている。
具体的には、支持部6の両側から延出した屈曲材9は、それぞれフック7が設けられている側とは反対側(フック7が設けられている側を上側とした場合、下側。以下、同様。)に向けて下り傾斜して、衣類の襟元に対応する部分(以下、「襟部分10」と言う。)を形成している。当該襟部分10よりも先の、衣類の肩に対応する部分が肩部1であり、本実施例では、当該肩部1の傾斜角度は襟部分10の傾斜角度よりもなだらかに設定されている。
【0016】
図1(b)に示すように、屈曲材9は、肩先で反転する状態に湾曲し、両側の先端同士が互いに向き合う形となっている。このような形状が、本実施例の服飾用ハンガーとしての基本的な形状である。本実施例における服飾用ハンガーは、襟部分10を有することにより、衣類を掛けるときに襟部分10を衣類の襟の内側に配置することで速やかに位置決めすることができると共に、衣類の位置ずれや脱落を抑制することができる。なお、本実施例では、襟部分10の傾斜角度と肩部1の傾斜角度とを異ならせる構成を提示したが、これには限られず、支持部6から延出した屈曲材9が肩先にかけて概ね一定の傾斜角度で傾斜する構成を採用することも可能である。
すなわち、襟部分10を有さず、支持部6から肩先までの部分が肩部1である構成としても良い。要するに、服飾用ハンガーとしての機能が発揮できる形状であればよい。
また、屈曲材9は、使用者が手で力を加えることにより自在に屈曲させて所望の形状に変形させることが可能に構成されている。線材層2の線材は塑性変形が可能な金属から構成されており、
図1(a)、(c)に示すように、線材層2の周囲は緩衝空部4が設けられている。
緩衝空部4は、線材層2の外径(線材層2が複数の線材から構成されている場合には、各線材層2を包含する仮想の外接円の外径)と樹脂層5の内径の差により形成される空間である。すなわち、緩衝空部4は、線材層2の外径(或いは、上記外接円の外径)よりも大きい直径の空間である。なお、この緩衝空部4は、線材層2が断面視で屈曲材9の中心部に位置すること、すなわち、線材層2の中心(線材層2が複数の線材から構成されている場合、上記外接円の中心)と屈曲材9の断面の中心とが一致する状態を仮定した場合の線材層2のと樹脂層5との間に数mm程度の層として構成されている。
【0017】
緩衝空部4の周囲は、全体を樹脂層5で覆われており、外部に線材層2及び緩衝空部4が露出しないように構成されている。すなわち、樹脂層5の内径は、緩衝空部4の直径であると言える。但し、緩衝空部4に関し、実際には一定の厚さでなく、場所によって接触している部分があっても良い。
樹脂層5は、線材層2等と比較して対候性の高い合成樹脂、例えば、ポリウレタン樹脂やシリコーン樹脂等により構成されている。
さらに、襟部分10までを金属製の支持部6で構成しても良い。こうすることで、屈曲材を変形させたとしても襟部分10の形状は維持され、また、衣類の重みで襟部分10が変形することが抑制されるので、衣類の型崩れを抑制するとこができる。
【0018】
(実施例2)
第2実施例の服飾用ハンガーは、
図2(a)、(c)に示すように、第1実施例の服飾用ハンガーにおいて、線材層2と樹脂層5との間にコイル体3を設けた点に特徴を有している。コイル体3の外径は、樹脂層5の内径よりも小さく、尚且つ、コイル体3の内径は、線材層2の外径(あるいは、上記外接円の外径)よりも大きい。これにより、線材層2とコイル体3との間に緩衝空部4が形成されている。
このような構成を採用することにより、線材層2の線材の径をより小さくしたり、線材の本数を少なくしたりした場合でも、コイル体3の螺旋形状が樹脂層5を支持するので、服飾の重量により耐えうる強度を確保しつつ、屈曲材9の長手方向に交差する方向の断面視で筒状の形状を維持し、線材層2との間に緩衝空部4をより確実に確保することができる。また、コイル体3自体は隣り合う輪(螺旋)の間で屈曲させやすいので、より小さい力で屈曲材9を曲折することができる。
線材層2の線材は、長尺なコイル体3の一端部の開口から他端部の開口にかけて内側に長手方向に挿入されている。コイル体3は金属製又は樹脂製の線材をコイル状(螺旋状)にしたものである。コイル体3の内部は、緩衝空部4となっている。
また、線材層2が内部に挿入されたコイル体3は全体を樹脂層5で覆われており、外部に露出しないように構成されている。
【0019】
図2(b)は、第2実施例の服飾用ハンガーの変形例を示す図である。この変形例では、上記コイル体3に替えて、線材層2と樹脂層5との間にジャバラ8を設けた点に特徴を有している。上記第2実施例と同様に、この変形例では線材層2とジャバラ8との間に緩衝空部4が形成されている。
コイル体3の場合と同様に、服飾の重量により耐えうる強度を確保しつつ、屈曲材9の長手方向に交差する方向の断面視で筒状の形状を維持し、線材層2との間に緩衝空部4をより確実に確保することができる。また、ジャバラ8の山と谷が連続する形状により、屈曲材9の曲折しやすさを確保することができる。その一方で、コイル体3のような隣り合う輪同士の間の空間が無いため、線材層2のうねりが生じた場合でもその形状が屈曲材9の表面により現れにくくなる。また、樹脂層5を介して雨等の水分が内部に浸透してきたとしても、当該水分が線材層2に達して付着することをジャバラ8で阻害することができるので、耐候性が向上する。そして、例えば、金属製のコイル体3をプラスチック製のジャバラ8に置き換えた場合には、製造コストや重量を抑えることができる。
【0020】
(実施例3)
図3は、第3実施例の服飾用ハンガーの構成を説明する図である。この実施例では、両側の肩部1が肩先で反転した先において互いに継ぎ目なく連続して環状に構成されている点で上記実施例1及び2とは異なっている。すなわち、屈曲材9の両端部は、それぞれ支持部6の内部に配置されており、肩部1の環状に連結した部分は、支持部6の内部に配置することで、外観上継ぎ目がなく滑らかに構成されている。
また、肩部1を環状に構成することにより第1実施例の場合に比べ、衣服等の重量で肩部1が下方向に変形しようとする力を抑えられ、より重量に耐える安定性を備えることができる。
【0021】
本発明は以上の構成により、下記使用例で説明するように肩部1を自由に曲折することで、衣服のトップス・ボトムス、サイズ、肩幅の広狭、ウエスト・ヒップの大小、ウエストとヒップの差等によって生じる立体的形状等のあらゆる形状の衣服に適合させることができ、ハンガー跡が付きにくくなり、型崩れを抑制しつつ使用できる。さらに、線材層2が樹脂層5により覆われているので、肩部1が筒状で厚みのある形状となり、これによりセンタープレス線に合わせて畳んで掛けるスラックスやストール等にハンガー跡がつきにくい。
線材層2と樹脂層5との間に緩衝空部4が設けられているので、屈曲材9を曲折することで線材にうねり(いびつな形状)が生じたとしても、その線材の形状が屈曲材9の表面に現れにくくなる。このため、樹脂層5の表面の滑らかな形状が維持され、柔らかい素材や薄手の素材の衣服を含むあらゆる衣服、服飾小物、洗濯物にハンガー跡が付くことや、型崩れを抑制することができる。
また、緩衝空部4は、屈曲材9を曲折させる際の力が一点に集中することを抑制し、繰り返し曲折することによる線材の断線を抑制することができる。
屈曲材9の外層が樹脂層5であるため、線材層2を雨や直射日光等から保護することができるので、猛暑や寒冷地に適応し、洗濯物干しに使用できる。また、樹脂層5により、衣服等の掛けたものが滑り落ちることを防止する。
実施例2の構成によれば、線材の径をより小さくしたり、線材の本数を少なくしたりした場合でも、コイル体3の螺旋形状が樹脂層5を支持するので、服飾の重量により耐えうる強度を確保しつつ、屈曲材9の長手方向に交差する方向の断面視で筒状の形状を維持し、線材層2との間に緩衝空部4をより確実に確保することができる。また、コイル体3自体は隣り合う輪(螺旋)の間で屈曲させやすいので、より小さい力で屈曲材9を曲折することができる。
実施例2の変形例の構成によれば、コイル体3の場合と同様に、服飾の重量により耐えうる強度を確保しつつ、屈曲材9の長手方向に交差する方向の断面視で筒状の形状を維持し、線材層2との間に緩衝空部4をより確実に確保することができる。また、ジャバラ8の山と谷が連続する形状により、屈曲材9の曲折しやすさを確保することができる。その一方で、コイル体3のような隣り合う輪同士の間の空間が無いため、線材層2のうねりが生じた場合でもその形状が屈曲材9の表面により現れにくくなる。また、樹脂層5を介して雨等の水分が内部に浸透してきたとしても、当該水分が線材層2に達して付着することをジャバラ8で阻害することができるので、耐候性が向上する。そして、例えば、金属製のコイル体3をプラスチック製のジャバラ8に置き換えた場合には、製造コストや重量を抑えることができる。
そのほか、鞄や靴等の服飾小物にも適合させることができるため、多用途に使用できる。なお、衣服や服飾小物の屋外の洗濯物干しに使用でき、かつ、収納用、ディスプレイ用等としても多目的に使用できる。
【0022】
(使用例)
図4(a)(b)に示すように、肩に縫い目がないトップスの形状に合わせて本服飾用ハンガーの肩部1を曲折し、適合させることができる。そして、肩部1の先端をトップスの内部の肩口から袖口に向かって挿入し配置する。
図4(c)(d)に示すように、襟ぐりが広いトップスや落ち感のある(柔らかく滑らかな)羽織に対して、襟ぐりの開きや肩の傾斜に合わせて本服飾用ハンガーの肩部1を曲折し、適合させることで、型崩れや衣服が滑り落ちることを防止する。
図5(a)に示すように、スラックスをセンタープレス線に合わせて畳み、二つ折りにして本服飾用ハンガーの肩部1が肩先で反転した先の部分にかける。この際、前記肩部1を構成する屈曲材9の厚みのある形状により型崩れを防止する。
図5(b)(c)(d)に示すように、肩のないトップスやボトムスの形状に合わせて本服飾用ハンガーの肩部1を曲折し、適合させることができる。
図6(a)に示すように、肩部1を曲折させることでコンパクトにすることができるので、小さい鞄に収納し、適宜に持ち運ぶことができる。
図6(b)(c)(d)に示すように、鞄の形状に合わせて本服飾用ハンガーの肩部1を曲折し、持ち手や開口部の形状に適合させることができる。
図7(a)、(b)、(c)に示すように、肩部1の端部が上を向く状態に曲折させたり、
図7(d)に示すように肩部1の端部が側方を向く状態に伸ばしたりすることで、服飾小物や洗濯物干しに利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
あらゆる衣服や服飾小物に適合させることができ、ハンガー跡が付きにくく、型崩れを抑制しつつ使用でき、屋外の洗濯物干し、収納用、ディスプレイ用としても多目的に使用できるので、産業上利用価値が高いと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】(a)は実施例1における肩部の内部構造を示した図、(b)は正面図、(c)は肩部の内部構造の拡大図である。
【
図2】(a)は実施例2における肩部の内部構造を示した図、(b)は実施例2の変形例における肩部の内部構造を示した図、(c)は実施例2におけるコイル体と線材層とを示した拡大図である。
【
図4】(a)~(d)は使用例を説明する図である。
【
図5】(a)~(d)は使用例を説明する図である。
【
図6】(a)~(d)は使用例を説明する図である。
【
図7】(a)~(d)は使用例を説明する図である。
【符号の説明】
【0025】
1肩部
2線材層
3コイル体
4緩衝空部
5樹脂層
6支持部
7フック
8ジャバラ
9屈曲材
10襟部分