(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】気道の一部における炎症または損傷の緩和のための一種の血小板乾燥粉末の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 35/19 20150101AFI20240729BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20240729BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20240729BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240729BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240729BHJP
C12N 5/078 20100101ALN20240729BHJP
【FI】
A61K35/19
A61K9/12
A61P11/04
A61P11/00
A61P29/00
C12N5/078
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022097519
(22)【出願日】2022-06-16
【審査請求日】2022-10-11
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522240623
【氏名又は名称】スピリット サイエンティフィック カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】522242339
【氏名又は名称】ダオ ルン スティーブン リン
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チン-ホ,チェン
(72)【発明者】
【氏名】イ-シン,ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】ツ-ミン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ダオ ルン スティーブン,リン
【審査官】北村 悠美子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0195959(US,A1)
【文献】Regenerative Medicine,2018年,Vol.13, No.7, pp.775-784
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00-35/768
A61K 9/00-9/72
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の気道の一部位(portion of the airway, or portion of the respiratory tract)に有効量のエアロゾル(aerosols)を投与することにより、前記対象の前記気道の一部位(portion of the airway, or portion of the respiratory tract)の炎症または損傷(damage)の程度を緩和(relieve)するためのエアロゾル(aerosols)の製造における、血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)の使用であって、
前記エアロゾルの調製工程は、
a.血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)を溶媒と混合し、血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension)を得る工程、および
b.エアロゾル発生器(aerosol generator)を用いて、前記血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension)を噴霧(nebulize)して、複数のエアロゾル(aerosols)を得る工程
を含み、
前記血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、血小板(platelet)数は、1×10
6~1×10
12個(1,000,000~1,000,000,000,000個)であり、
前記血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、白血球(WBC)の数は、0~3,000個である、使用。
【請求項2】
前記血小板乾燥粉末は、凍結乾燥粉末である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記エアロゾル(aerosols)は、前記対象の口または鼻から前記対象に入り(enter)、これにより前記気道に到達する請求項1に記載の使用。
【請求項4】
血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、血小板(platelet)の数は、5×10
9~1×10
11個(5,000,000,000~100,000,000,000個)である、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
前記血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、PDGF-BBの含有量は、0.01~20,000ngである、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
前記血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、PDGF-BBの前記含有量は、90~1,200ngである、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
a.前記血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、VEGFの含有量は、200~200,000pgである;または
b.前記血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、FGFの含有量は、10~7,000pgである;または
c.前記血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、TGF-β1の含有量は、200~10,000ngである;または
d.前記血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、EGFの含有量は、0.5~500ngである
請求項1に記載の使用。
【請求項8】
前記溶媒は、滅菌生理食塩水、注射用水、0.45%NaCl、4.5%高張食塩水、滅菌温泉水、または等張食塩水である、請求項1に記載の使用。
【請求項9】
前記血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension)1ミリリットル(mL)中、血小板(platelet)の数は、1×10
8~1×10
11個(100,000,000個~100,000,000,000個)である、請求項1に記載の使用。
【請求項10】
前記血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension)1ミリリットル(mL)中、白血球(WBC)の数は、0個~1×10
6個(0個~1,000,000個)である、請求項1に記載の使用。
【請求項11】
前記
血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension)中、PDGF-BBの濃度は、0.03~25ng/mLである、請求項1に記載の使用。
【請求項12】
前記血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension)中、PDGF-BBの濃度は、0.25~12ng/mLである、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
a.前記血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension)中、VEGFの濃度は、10~4,000pg/mLである;または
b.前記血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension)中、FGFの濃度は、1~200pg/mLである;または
c.前記血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension)中、TGF-β1の濃度は、5~250ng/mLである;または
d.前記血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension)中、EGFの濃度は、0.1~10ng/mLである
請求項1に記載の使用。
【請求項14】
前記エアロゾル発生器(aerosol generator)は、非侵襲的換気(non-invasive ventilation、NIV)、ネブライザー(Nebulizer)、超音波ネブライザー(Ultrasonic nebulizer)、小容量ネブライザー(Small Volume Nebulizer、SVN)、ジェットネブライザー(Jet Nebulizer)、メッシュネブライザー(Mesh Nebulizer)、振動メッシュネブライザー(Vibrating Mesh Nebulizer)、ソフトミスト吸入器(Soft Mist Inhaler)、またはアダプティブエアロゾルデリバリー(Adaptive Aerosol Delivery、AAD)である、請求項1に記載の使用。
【請求項15】
前記対象は、自発呼吸(Sustain Spontaneous Ventilation)、機械式呼吸(mechanical delivered breath)、または従圧式換気(pressure-controlled ventilation)により前記エアロゾル(aerosols)を前記対象の口または鼻に入れ、前記気道部位に届ける、請求項3に記載の使用。
【請求項16】
前記エアロゾル発生器(aerosol generator)は、マウスピース(mouth piece)、またはマスク(mask)に接続することができ、それにより前記対象の口または鼻を通って、前記エアロゾル(aerosols)を前記対象の前記気道部位に届ける、請求項1に記載の使用。
【請求項17】
前記気道部位は、鼻腔(Nasal cavity)、鼻粘膜(Nasal mucosa)、気管(Trachea)、気管支(Bronchus)、細気管支(Bronchiole)、呼吸細気管支(Respiratory bronchiole)、肺胞管(Alveolar duct)、肺胞(Alveoli)、または肺である、請求項1に記載の使用。
【請求項18】
前記炎症は、気管支炎(Bronchitis)、細気管支炎(Bronchiolitis)、閉塞性細気管支炎(Obliterative bronchiolitis)、肺の炎症、もしくは胸膜炎(Pleurisy)である;または
前記損傷は、肺線維症(pulmonary fibrosis)、肺気腫(emphysema)、特発性肺線維症(Idiopathic pulmonary fibrosis、IFP)、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease、COPD)、気管支拡張症(Bronchiectasis)、サルコイドーシス(Sarcoidosis)、吸入性損傷、放射線損傷、火傷、がんによる損傷、病原体の侵入による損傷、物理的損傷、新型コロナウイルス(COVID-19)感染による損傷、急性肺損傷(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、もしくは肺挫傷である;または
前記炎症または損傷は、上気道感染症(Upper respiratory tract infections)、下気道感染症もしくは肺炎(Lower respiratory tract infections or Pneumonia)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、タバコ災害(Tobacco Hazard)、スモッグ(Smog)、大気汚染(air pollution)の病因(etiological factor)の少なくとも1つによって引き起こされるものである
請求項1に記載の使用。
【請求項19】
前記対象は、ヒトもしくはその他の哺乳動物である;または
前記血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)は、自己血サンプル(Autologous blood sample)もしくは同種血液サンプル(allogeneic blood sample)から調製される
請求項1に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一種の血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder、PDP)に関し、詳細には、気道の一部における炎症または損傷の緩和に使用される一種の血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder、PDP)に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症は人体の防御機構である。身体部位における炎症は、しばしば感染(infection)、外傷(trauma)、または過敏症(hypersensitivity)により引き起こされが、これによって有害な刺激および病原体を取り除き、組織の修復を促進する。炎症は、急性炎症(acute inflammation)と慢性炎症(chronic inflammation)に分けられ、アレルギー性鼻炎(Allergic Rhinitis)、肺炎(Pneumonia)、肝炎(Hepatitis)、腸炎(Enteritis)などが挙げられる。重度の肺炎は、慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease、COPD)や肺線維症(pulmonary fibrosis)などの疾患につながることさえあり、重度の肝炎は、肝硬変(Liver cirrhosis)やがん(Cancer)につながる可能性がある。
【0003】
ヒトの気道(respiratory tract)は、口と鼻腔(Nasal cavity)、鼻粘膜(Nasal mucosa)、気管(Trachea)、気管支(Bronchus)、細気管支(Bronchiole)、呼吸細気管支(Respiratory bronchiole)、肺胞管(Alveolar duct)、肺胞(Alveoli)などの部分(portion)から構成される。気道の各部位が感染したり、毒素(toxins)にさらされたり、汚染物質(pollutants)にさらされたりすると、体は炎症反応を起こし、その後、気管支炎(Bronchitis)、細気管支炎(Bronchiolitis)、閉塞性細気管支炎(Obliterative bronchiolitis)、肺炎、肋膜炎(Pleurisy)、肺線維症(pulmonary fibrosis)、肺気腫(emphysema)、特発性肺線維症(Idiopathic pulmonary fibrosis、IFP)、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease、COPD)など、気道の炎症に関連する疾患につながることがある。その中でも、新型コロナウイルス感染症(Coronavirus Disease-2019、COVID-19)は、2019年末から世界中で流行し始めた。この肺炎は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2、SARS-CoV-2)の感染が原因であり、重症化すると、重度の肺炎、呼吸窮迫症候群または多臓器不全、ショック、さらには死亡すら引き起こす可能性がある。新型コロナウイルス感染症は、2019年末から世界的なパンデミックとなっており、世界保健機関(World Health Organization、WHO)は、2020年1月30日に国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(Public Health Emergency of International Concern、PHEIC)と宣言した。
【0004】
高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)は、正常な血液の約1.5~5倍の血小板濃度を有する血液由来産物(blood-derived products)である。血小板(platelet)には、血小板由来成長因子(Platelet-Derived Growth Factor、PDGF)、血管内皮成長因子(Vascular Endothelial Growth Factor、VEGF)、上皮成長因子(Epidermal Growth Factor、EGF)、線維芽細胞成長因子(Fibroblast Growth Factor、FGF)およびトランスフォーミング成長因子ベータ1(Transforming Growth Factor Beta 1、TGF-β1)などの血小板関連成長因子(platelet-related growth factors)が含まれている
高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)は抗炎症特性(anti-inflammatory properties)を有する(参考文献1)。しかし、高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)は炎症の阻害には効果的でないことが臨床研究で判明しており、それは高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)に標準化された調製方法がないため品質が不安定であることが原因である。また、特に気道の各部位の炎症および損傷を緩和するための臨床応用では、高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)がエアロゾル化する過程におけ る、回収率、エアロゾル化に要する時間、有効濃度等の試験およびデータが欠けているため、臨床治療への適用は難しい。
【0005】
現在の技術限界を打ち破り、気道の各部位の炎症または損傷を緩和または治療することができる医薬組成物が市場で緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
従来技術の欠陥を考慮して、本発明の目的は、気道の炎症または損傷を効果的に緩和または治療することができる血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)を提供することである。
【0007】
本発明の第2の目的は、標準化されたプロセスによって調製され、安定した品質を有する(すなわち、各バッチ中の血小板の数が同じである)血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)を提供することである。
【0008】
本発明の第3の目的は、エアロゾル化後の成長因子の回収率を向上させることである。
【0009】
本発明の第4の目的は、エアロゾル化に要する時間を短縮することである。
【0010】
本発明は、対象の気道の一部位(portion of the airway, or portion of the respiratory tract)に有効量のエアロゾル(aerosols)を投与することにより、対象の気道の一部位(portion of the airway, or portion of the respiratory tract)の炎症または損傷(damage)の程度を緩和(relieve)するためのエアロゾル(aerosols)の製造における、血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)の使用を提供し、ここで、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)当たり、血小板(platelet)の数は、1×106~1×1012個(1,000,000~1,000,000,000,000個)である。
【0011】
好ましくは、血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)当たり、血小板(platelet)の数は、2×106個、3×106個、4×106個、5×106個、6×106個、7×106個、8×106個、9×106個、1×107個、2×107個、3×107個、4×107個、5×107個、6×107個、7×107個、8×107個、9×107個、1×108個、2×108個、3×108個、4×108個、5×108個、6×108個、7×108個、8×108個、9×108個、1×109個、2×109個、3×109個、4×109個、5×109個、6×109個、7×109個、8×109個、9×109個、1×1010個、2×1010個、3×1010個、4×1010個、5×1010個、6×1010個、7×1010個、8×1010個、9×1010個、1×1011個、2×1011個、3×1011個、4×1011個、5×1011個、6×1011個、7×1011個、8×1011個、9×1011個(2,000,000個、3,000,000個、4,000,000個、5,000,000個、6,000,000個、7,000,000個、8,000,000個、9,000,000個、10,000,000個、20,000,000個、30,000,000個、40,000,000個、50,000,000個、60,000,000個、70,000,000個、80,000,000個、90,000,000個、100,000,000個、200,000,000個、300,000,000個、400,000,000個、500,000,000個、600,000,000個、700,000,000個、800,000,000個、900,000,000個、1,000,000,000個、2,000,000,000個、3,000,000,000個、4,000,000,000個、5,000,000,000個、6,000,000,000個、7,000,000,000個、8,000,000,000個、9,000,000,000個、10,000,000,000個、20,000,000,000個、30,000,000,000個、40,000,000,000個、50,000,000,000個、60,000,000,000個、70,000,000,000個、80,000,000,000個、90,000,000,000個、100,000,000,000個、200,000,000,000個、300,000,000,000個、400,000,000,000個、500,000,000,000個、600,000,000,000個、700,000,000,000個、800,000,000,000個、900,000,000,000個)である。
【0012】
好ましくは、該エアロゾル(aerosols)の調製工程は、a.血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)を溶媒と混合し、血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)を得る工程、およびb.エアロゾル発生器(aerosol generator)を用いて、血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)を噴霧(nebulize)して、複数のエアロゾル(aerosols)を得る工程を含む。
【0013】
好ましくは、該エアロゾル(aerosols)は、対象の口または鼻から対象に入り(enter)、これにより気道の一部位に到達する。
【0014】
好ましくは、血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)当たり、血小板(platelet)の数は、5×109~1×1011個(5,000,000,000 ~ 100,000,000,000個)である。
【0015】
好ましくは、血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)当たり、血小板(platelet)の数は、6×109個、7×109個、8×109個、9×109個、1×1010個、2×1010個、3×1010個、4×1010個、5×1010個、6×1010個、7×1010個、8×1010個、または9×1010個(6,000,000,000個、7,000,000,000個、8,000,000,000個、9,000,000,000個、10,000,000,000個、20,000,000,000個、30,000,000,000個、40,000,000,000個、50,000,000,000個、60,000,000,000個、70,000,000,000個、80,000,000,000個、または90,000,000,000個)である。
【0016】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、PDGF-BBの含有量は0.01~20,000ngである。
【0017】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、PDGF-BBの含有量は、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、1,250、1,500、1,750、2,000、2,250、2,500、2,750、3,000、3,250、3,500、3,750、4,000、4,250、4,500、4,750、5,000、5,250、5,500、5,750、6,000、6,250、6,500、6,750、7,000、7,250、7,500、7,750、8,000、8,250、8,500、8,750、9,000、9,250、9,500、9,750、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、または19,000ngである。
【0018】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、PDGF-BBの含有量は50~1,500ngである。
【0019】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、PDGF-BBの含有量は90~1,200ngである。
【0020】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、PDGF-BBの含有量は、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、1,050、1,100、1,150、1,200、1,250、1,300、1,350、1,400、または1,450ngである。
【0021】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、VEGFの含有量は200~200,000pgである。
【0022】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、VEGFの含有量は5,000~80,000pgである。
【0023】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、VEGFの含有量は、230、240、250、260、270、280、290、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2,500、2,600、2,700、2,800、2,900、3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、10,000、15,000、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、45,000、50,000、55,000、60,000、65,000、70,000、75,000、79,000、80,000、85,000、90,000、95,000、100,000、105,000、110,000、115,000、120,000、125,000、130,000、135,000、140,000、145,000、150,000、155,000、160,000、165,000、170,000、175,000、180,000、185,000、190,000、195,000、または199,000pgである。
【0024】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、FGFの含有量は10~7,000pgである。
【0025】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、FGFの含有量は100~3,000pgである。
【0026】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、FGFの含有量は、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,200、6,400、6,600、6,800、または6,900pgである。
【0027】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、TGF-β1の含有量は200~10,000ngである。
【0028】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、TGF-β1の含有量は250~7,000ngである。
【0029】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、TGF-β1の含有量は、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,200、6,400、6,600、6,800、または6,900ngである。
【0030】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、EGFの含有量は0.5~500ngである。
【0031】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、EGFの含有量は10~210ngである。
【0032】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、EGFの含有量は、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.2、6.4、6.6、6.8、7、7.2、7.4、7.6、7.8、8、8.2、8.4、8.6、8.8、9、9.2、9.4、9.6、9.8、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、または495ngである。
【0033】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、アルブミン(albumin)の含有量は0~3gである。
【0034】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、アルブミン(albumin)の含有量は、0.25、0.5、0.75、1、1.25、1.5、1.75、2、2.25、2.5、または2.75gである。
【0035】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、アルブミン(albumin)の含有量は0~1gである。
【0036】
好ましくは、該小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、アルブミン(albumin)の含有量は、0.25、0.5、または0.75gである。
【0037】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、グロブリン(globulin)の含有量は0~2gである。
【0038】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、グロブリン(globulin)の含有量は、0.25、0.5、0.75、1、1.25、1.5、または1.75gである。
【0039】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、グロブリン(globulin)の含有量は0~1gである。
【0040】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、グロブリン(globulin)の含有量は、0.25、0.5、または0.75gである。
【0041】
好ましくは、該溶媒は、滅菌生理食塩水、注射用水、0.45%NaCl、4.5%高張食塩水、滅菌温泉水、または等張食塩水である。
【0042】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、白血球(WBC)の数は、0~9×105個(0~900,000個)である。
【0043】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、白血球(WBC)の数は、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、200,000、300,000、400,000、500,000、600,000、700,000、または800,000個である。
【0044】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、白血球(WBC)の数は0~3,000個である。
【0045】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)中、白血球(WBC)の数は0~2,000個である。
【0046】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)1ミリリットル(mL)中、血小板(platelet)の数は1×108~1×1011個(100,000,000個~100,000,000,000個)である。
【0047】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)1ミリリットル(mL)中、血小板(platelet)の数は、1×109~1×1010個(1,000,000,000個~10,000,000,000個)である。
【0048】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)1ミリリットル(mL)中、血小板(platelet)の数は、2×109、3×109、4×109、5×109、6×109、7×109、8×109、または9×109個(2,000,000,000、3,000,000,000個、4,000,000,000個、5,000,000,000個、6,000,000,000個、7,000,000,000個、8,000,000,000個、または9,000,000,000個)である。
【0049】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)1ミリリットル(mL)中、白血球(WBC)の数は0個~1×106個(0個~1,000,000個)である。
【0050】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)1ミリリットル(mL)中、白血球(WBC)の数は1×105~1×106個(100,000~1,000,000個)である。
【0051】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)1ミリリットル(mL)中、白血球(WBC)の数は、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、200,000、300,000、400,000、500,000、600,000、700,000、800,000、900,000、または1,000,000個である。
【0052】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、PDGF-BBの濃度は0.03~25ng/mLである。
【0053】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、PDGF-BBの濃度は、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25ng/mLである。
【0054】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、PDGF-BBの濃度は0.25~12ng/mLである。
【0055】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、VEGFの濃度は10~4,000pg/mLである。
【0056】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、VEGFの濃度は60~1,000pg/mLである。
【0057】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、VEGFの濃度は、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、33、35、37、39、40、43、45、47、49、50、53、55、57、59、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、3,000、3,300、3,500、3,700、または3,900pg/mLである。
【0058】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、FGFの濃度は1~200pg/mLである。
【0059】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、FGFの濃度は15~50pg/mLである。
【0060】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、FGFの濃度は、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.2、6.4、6.6、6.8、7、7.2、7.4、7.6、7.8、8、8.2、8.4、8.6、8.8、9、9.2、9.4、9.6、9.8、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または195pg/mLである。
【0061】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、TGF-β1の濃度は5~250ng/mLである。
【0062】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、TGF-β1の濃度は40~100ng/mLである。
【0063】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、TGF-β1の濃度は、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.2、6.4、6.6、6.8、7、7.2、7.4、7.6、7.8、8、8.2、8.4、8.6、8.8、9、9.2、9.4、9.6、9.8、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、または245ng/mLである。
【0064】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、EGFの濃度は0.1~10ng/mLである。
【0065】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、EGFの濃度は2~4ng/mLである。
【0066】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、EGFの濃度は、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.2、3.4、3.6、3.8、4、4.2、4.4、4.6、4.8、5、5.2、5.4、5.6、5.8、6、6.2、6.4、6.6、6.8、7、7.2、7.4、7.6、7.8、8、8.2、8.4、8.6、8.8、9、9.2、9.4、9.6、または9.8ng/mLである。
【0067】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、アルブミン(albumin)の濃度は0~3g/dLである。
【0068】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、アルブミン(albumin)の濃度は、0.25、0.5、0.75、1、1.25、1.5、1.75、2、2.25、2.5、または2.75g/dLである。
【0069】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、アルブミン(albumin)の濃度は0~1.5g/dLである。
【0070】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、アルブミン(albumin)の濃度は、0.25、0.5、0.75、1、または1.25g/dLである。
【0071】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、グロブリン(globulin)の濃度は0~2g/dLである。
【0072】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、グロブリン(globulin)の濃度は、0.25、0.5、0.75、1、1.25、1.5、または1.75g/dLである。
【0073】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、グロブリン(globulin)の濃度は0~1.5g/dLである。
【0074】
好ましくは、該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中、グロブリン(globulin)の濃度は、0.25、0.5、0.75、1、または1.25g/dLである。
【0075】
好ましくは、エアロゾル発生器(aerosol generator)は、非侵襲的換気(non-invasive ventilation、NIV)、ネブライザー(Nebulizer)、超音波ネブライザー(Ultrasonic nebulizer)、小容量ネブライザー(Small Volume Nebulizer、SVN)、ジェットネブライザー(Jet Nebulizer)、メッシュネブライザー(Mesh Nebulizer)、振動メッシュネブライザー(Vibrating Mesh Nebulizer)、ソフトミスト吸入器(Soft Mist Inhaler)、またはアダプティブエアロゾルデリバリー(Adaptive Aerosol Delivery、AAD)である。
【0076】
好ましくは、該対象は、自発呼吸(Sustain Spontaneous Ventilation)、機械式呼吸(mechanical delivered breath)、または従圧式換気(pressure-controlled ventilation)によりエアロゾル(aerosols)を対象の口または鼻に入れ、該気道部位に届ける。
【0077】
好ましくは、該エアロゾル発生器(aerosol generator)は、マウスピース(mouth piece)、またはマスク(mask)に接続することができ、それにより該対象の口または鼻を通って、エアロゾル(aerosols)を該対象の該気道部位に届ける。
【0078】
好ましくは、該気道部位は、口と鼻腔(Nasal cavity)、鼻粘膜(Nasal mucosa)、気管(Trachea)、気管支(Bronchus)、細気管支(Bronchiole)、呼吸細気管支(Respiratory bronchiole)、肺胞管(Alveolar duct)、肺胞(Alveoli)、または肺である。
【0079】
好ましくは、該炎症は、気管支炎(Bronchitis)、細気管支炎(Bronchiolitis)、閉塞性細気管支炎(Obliterative bronchiolitis)、肺の炎症、または胸膜炎(Pleurisy)である。
【0080】
好ましくは、該損傷は、肺線維症(pulmonary fibrosis)、肺気腫(emphysema)、特発性肺線維症(Idiopathic pulmonary fibrosis、IFP)、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease、COPD)、気管支拡張症(Bronchiectasis)、サルコイドーシス(Sarcoidosis)、吸入性損傷、放射線損傷、火傷、がんによる損傷、病原体の侵入による損傷、物理的損傷、新型コロナウイルス(COVID-19)感染による損傷、急性肺損傷(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、または肺挫傷である。
【0081】
好ましくは、該炎症または損傷は、上気道感染症(Upper respiratory tract infections)、下気道感染症もしくは肺炎(Lower respiratory tract infections or Pneumonia)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、タバコ災害(Tobacco Hazard)、スモッグ(Smog)、大気汚染(air pollution)の病因(etiological factor)の少なくとも1つによって引き起こされるものである。
【0082】
好ましくは、該対象は哺乳動物である。
【0083】
好ましくは、該対象はヒトである。
【0084】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)は、自己血サンプル(Autologous blood sample)または同種血液サンプル(allogeneic blood sample)から調製される。
【0085】
好ましくは、該エアロゾル発生器(aerosol generator)は、霧化パラメータを制御するためのチップを有し、それにより、出力エアロゾルが霧化効果を達成できる。
【0086】
好ましくは、該霧化パラメータは、動作環境温度10℃~40℃、相対湿度30%~90%であり、霧化効果は、単位時間(使用されるネブライザーモデルの推奨による)当たりの総体積0.2~10mLのエアロゾルを出力するものである。
【0087】
本発明はさらに、対象の気道部位における炎症の程度を緩和(relieve)するための非治療的方法であって、a.血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)を溶媒と混合し、血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)を得る工程、b.エアロゾル発生器(aerosol generator)を用いて、血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)を霧化させ、複数のエアロゾル(aerosols)を得る工程、およびc.該エアロゾルを該対象の口または鼻を経由し、該対象の該気道部位に届ける工程を含む、非治療的方法を提供する。
【0088】
本発明はさらに、対象の気道部位における炎症の程度を緩和(relieve)するための非治療的方法であって、a.エアロゾル発生器(aerosol generator)を用いて、血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)を霧化させ、複数のエアロゾル(aerosols)を得る工程、およびb.該エアロゾルを該対象の口または鼻を経由し、該対象の該気道部位に届ける工程を含む、非治療的方法を提供する。
【0089】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)当たり、白血球(WBC)の数は、0~3,000個;または該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)1ミリリットル(mL)当たり、白血球(WBC)の数は、1×105~1×106個(100,000~1,000,000個)である。
【0090】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)当たり、血小板(platelet)の数は、1×108~1×1012個(100,000,000~1,000,000,000,000個);または該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)1ミリリットル(mL)当たり、血小板(platelet)の数は、1×108~1×1011個(100,000,000~10,000,000,000個)である。
【0091】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)当たり、血小板(platelet)の数は、5×109~1×1011個(5,000,000,000~100,000,000,000個);または該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)1ミリリットル(mL)当たり、血小板(platelet)の数は、1×109~1×1010個(1,000,000,000~10,000,000,000個)である。
【0092】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)当たり、PDGF-BBの含有量は、50~1,500ng;または該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)1ミリリットル(mL)当たり、PDGF-BBの濃度は、0.25~20ng/mLである。
【0093】
好ましくは、該血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)当たり、PDGF-BBの含有量は、90~1,200ng;または該血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)1ミリリットル(mL)当たり、PDGF-BBの濃度は、0.25~12ng/mLである。
【0094】
本発明はさらに、気道部位(portion of the airway, or portion of the respiratory tract)の損傷(damage)を治療する医薬品エアロゾル(pharmaceutical aerosols)の製造における血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)の使用を提供し、血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)当たり、血小板(platelet)の数は、1×108~1×1012個(100,000,000~1,000,000,000,000個)である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【
図1】血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)のPDGF-BB濃度が霧化後のPDGF-BB回収率に及ぼす影響を示す棒グラフである。
【
図2A】異なる種類の血小板溶液のPDGF-BB濃度が霧化後の回収液中のPDGF-BB濃度に及ぼす影響を示す棒グラフヒストグラムである。
【
図2B】異なる種類の血小板溶液のPDGF-BB濃度が霧化後の回収液中の体積に及ぼす影響を示す棒グラフである。
【
図2C】異なる種類の血小板溶液のPDGF-BB濃度が霧化後のPDGF-BB回収率に及ぼす影響を示す棒グラフである。
【
図3】異なる種類の血小板溶液のPDGF-BB濃度が霧化所要時間に及ぼす影響を示す棒グラフである。
【
図4A】血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の白血球(WBC)濃度が霧化後のPDGF-BB回収率に及ぼす影響を示す散布図である。
【
図4B】血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の白血球(WBC)濃度が霧化所要時間に及ぼす影響を示す棒グラフである。
【
図5A】新世代インパクタの閉鎖状態および使用状態の図である。
【
図5B】新世代インパクタの開放状態の図である(各ステージを含む)。
【
図6】新世代インパクタの各ステージの開口サイズおよび該ステージによってシミュレートされた気道部位である。
【
図7A】本発明の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)(PDGF-BB濃度により定量化)がヒト肺線維芽細胞の炎症と損傷を軽減する効果を示す棒グラフである(実施例6、第1バッチ)。
【
図7B】本発明の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)(PDGF-BB濃度により定量化)がヒト肺線維芽細胞の炎症と損傷を軽減する効果を示す棒グラフである(実施例6、第2バッチ)。
【発明を実施するための形態】
【0096】
以下は、本発明の実施形態、ならびに本発明の技術および特徴の詳細な説明である。しかし、本実施形態は、本発明を限定することを意図するものではなく、技術に精通した技術者によって本発明の精神および範囲から逸脱しない変更および修正が、本発明の特許出願の範囲に含まれるべきである。
【0097】
実施例1:血小板乾燥粉末の調製とその組成分析。
【0098】
実施例1-1:血小板乾燥粉末の調製。
【0099】
ヒト全血(Whole Blood)を抗凝固剤の入った遠沈管に入れ、遠心分離機で遠心分離(1,500~2,000g、10~15分、これが1回目の遠心分離)し、ヒト全血を上から下に、血漿層(Plasma layer)、白血球が位置するバフィーコート層(Buffy coat layer)、赤血球層(Red blood cells layer)の3層に分けた(参考文献2~5参照)。これらの工程および遠心分離後の血球の層形成は当業者に周知であり、前述1回目の遠心分離の遠心分離条件は、500~3,000gで5~20分間まで拡大することができる。遠心分離後、血小板(platelet)は血漿層(Plasma layer)に分布し、バフィーコート層(Buffy coat layer)に隣接した。無菌操作で、血漿層(Plasma layer)とバフィーコート層(Buffy coat layer)を吸引し、高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)である血漿層(Plasma layer)とバフィーコート層(Buffy coat layer)の混合物を取得する。
【0100】
高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)を、遠心分離機を使用して遠心分離(700~1,200g、5分)した。PRPを、2層液を含んだ上下二層に分けることができるように、前述の遠心条件を、100~1,000g、5~10分に拡張でき、さらに遠心速度を、前述1回目の遠心分離工程で使用した実際の遠心速度(500~3,000g、5~20分)より遅くする必要がある。上層液と下層液を無菌操作で分離し、下層液に含まれる白血球(WBC)を完全に除去した。上層液中の血小板数を自動血球計(型式XP-300、SYSMEX製)を用いて検出し、上層液中の血小板濃度を1×109/mLに調整した。血小板の破損、アポトーシス、または活性の低下による成長因子濃度の低下を避けるために試薬を投入した。試薬は、塩化カルシウム、トロンビン、アデノシン二リン酸が挙げられ得る。2,500~3,000gで10分間遠心分離したが、血小板が底に集まるように、前述の遠心条件を500~4,000gで10~15分間まで拡張でき、さらに回転速度を、前述1回目の遠心分離工程で使用した実際の遠心速度(500~3,000g、5~20分)よりも速くする必要がある。上澄み液を完全に除去し、血漿(plasma)と血漿(plasma)中のタンパク質を完全に除去した後、上澄み液と同体積の注射用水(Water for Injection)を加え、分注待ち溶液を得る。
【0101】
上記調製工程において、試薬(血小板の破損、アポトーシス、または活性の低下による成長因子濃度の低下を避けるために使用される試薬)は、添加しなくてもよい。
【0102】
分注待ち溶液をサンプル瓶に分注し、各サンプル瓶には分注待ち溶液を1ミリリットル(mL)充填し、凍結乾燥(freeze-drying)を行った。凍結乾燥工程は次のとおりであった:(1)予冷(-30~-50℃、最低5時間)、(2)一次乾燥(温度を、工程(1)の温度勾配から10~20時間かけて10℃まで上げた、真空値は100mTorr以下であった)、(3)二次乾燥(20℃、3~5時間、真空値100mTorr以下)。凍結乾燥後の乾燥産物が血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)であった。
【0103】
好ましくは、血小板乾燥粉末の各瓶は、1×109個の血小板(platelet)を含む。血小板乾燥粉末中の血小板の数は、顕微鏡計数法、あるいは血球自動分析装置または他の方法を用いて検出することができる。
【0104】
上記の調製工程から、高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)は多量の白血球(White Blood Cell、WBC)と血漿(Plasma)を含み、血漿には多量のアルブミン(albumin)とグロブリン(globulin)、例えば免疫グロブリンG(immunoglobulin G、IgG)血小板溶液が含まれていることがわかる。血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)の調製工程には、白血球(WBC)および血漿(plasma)を除去する工程が含まれ、乾燥工程(例えば、凍結、低温、または真空などを介して)を含んだ。したがって、血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)には、低濃度の白血球(WBC)を含んだか、または白血球(WBC)を含まなかった。
【0105】
好ましくは、血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)は、低濃度のアルブミン(albumin)を含んだか、またはアルブミン(albumin)を含まなかった。
【0106】
好ましくは、血小板乾燥粉末は、低濃度のグロブリン(globulin)を含んだか、またはグロブリン(globulin)を含まなかった。
【0107】
実施例1-2:血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)の組成分析。
【0108】
精密電子天秤(型式ME204、Mettler製)を用いて、瓶5本の血小板乾燥粉末の重量を測定した。瓶5本の血小板乾燥粉末をそれぞれ1mLの生理食塩水と混合して、瓶5本の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)を取得した。自動血球分析器(型式XP-300、SYSMEX製)を用いて、各瓶の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中の白血球(WBC)の数を分析し、酵素結合免疫吸着法(Enzyme-linked immunosorbent assay、ELISA)を用いて、各成長因子(PDGF-BB、VEGF、EGF、FGF、TGF-β1を含む)を分析した。実験結果は、血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中のPDGF-BB、VEGF、EGF、FGF、TGF-β1の濃度がそれぞれ12.3~15.6ng/mL、733.4~943.6pg/mL、2.1~2.5ng/mL、19.2~31.9pg/mL、および49.7~85.1ng/mLであり、血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)1マイクロリットル(μL)中、白血球(WBC)の数は0~100個であったことを示す。血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中の各成長因子と白血球(WBC)の濃度を用いて、血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)1グラム(g)当たりの各成長因子と白血球(WBC)の重量を逆算した。実験結果を表1に示す。
【0109】
【0110】
表1で示すように、血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)の各瓶の平均重量は0.06グラム(g)である。血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)は、1グラム(g)当たり平均、3.45×1010個の血小板(platelet)、440.6ngのPDGF-BB、27,188.6pgのVEGF、74.3ngのEGF、959.4pgのFGF、および2,577ngのTGF-β1を含み、白血球(WBC)は、1ナノグラム(ng)当たり平均、血小板乾燥粉末(Platelet Dry Powder)中、未検出(または約0~100個の白血球(WBC)が検出)である。
【0111】
実施例2:霧化後のPDGF-BBの回収率に対する血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中の成長因子濃度の影響。
【0112】
血小板の各成長因子中、PDGF-BBは、損傷した細胞の修復および細胞増殖の促進において最も重要な役割を果たす。そこで、本発明の発明者らは、PDGF-BBが霧化後に影響を受けるか否かを確認するために、以下の実験を行った。
【0113】
乾燥粉末(Platelet dry powder)を生理食塩水と混合し、血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)を得た。酵素結合免疫吸着法(Enzyme-linked immunosorbent assay、ELISA)を用いて、血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中のPDGF-BB濃度を分析した。生理食塩水を用いて、血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中の成長因子PDGF-BB濃度を100ng/mLに調整し、注射用水で段階希釈して、PDGF-BB濃度の異なる7群の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)を調製した。7群の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の希釈液のPDGF-BB濃度は、それぞれ1.1、2.8、5.2、12、22.4、29.2、および56.2ng/mLであった。
【0114】
各群の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の希釈液から3 mLの溶液を取り、エアロゾル発生器(aerosol generator)(型式Pulmogine、HCmed製)を用いて、それぞれの群の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の希釈液の溶液を霧化(nebulize)し、複数のエアロゾル(aerosols)をそれぞれ得た。エアロゾル発生器(aerosol generator)は、例えば、「医療機器の品質管理監督システム(QMS)」に準拠するか、各国の保健機関(FDAなど)に承認され販売されているエアロゾル発生器(aerosol generator)であってもよく、例えば医療用Pulmogineネブライザー(HCmed製)、医療用NEB800ネブライザー(Microlife製)、または医療用TD-7001ネブライザー(Clever Check製)が挙げられる。本実施例で用いたエアロゾル発生器(aerosol generator)の口径は5μmであり、主に2つの部分から構成され、上部がリザーバー(reservior)、下部が本体(the main unit)である。リザーバー(reservior)に血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の希釈液を注ぎ、上蓋(reservoir cop)を閉め、リザーバー(reservior)を本体(the main unit)の下半分に接続し、その後、遠心管をリザーバー(reservior)に接続し、霧化後の回収液を収集した。本体(the main unit)のスタートボタンを押すと、血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の希釈液がすべてエアロゾル(aerosols)に霧化された。本実施例では、遠心管を使用して霧化後のエアロゾル(aerosols)を収集し、エアロゾル(aerosols)を遠心管内で凝集させ回収液を形成した。さらに回収液の体積を分析し、酵素結合免疫吸着法(Enzyme-linked immunosorbent assay、ELISA)を用いて回収液中のPDGF-BB濃度を分析した。
【0115】
各群の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の希釈液をそれぞれ霧化し、各群の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の希釈後の回収液の体積とPDGF-BB濃度を霧化後にさらに分析し、霧化後のPDGF-BB回収率を算出した。実験結果を表2、表3および
図1に示す。
【0116】
【0117】
【0118】
図1を参照されたい。
図1は、霧化後のPDGF-BBの回収率に対する血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)のPDGF-BB濃度の影響を示す棒グラフである。
【0119】
図1に示す結果は、血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)を生理食塩水と混合し、PDGF-BB濃度が12ng/mL以下の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の希釈液を調製し、霧化、エアロゾル(aerosols)の回収、および回収液への凝集などの工程を行った後PDGF-BBの回収率は、85%以上(回収液中のPDGF-BB総量÷血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の希釈液中のPDGF-BB総量×100%≧85%)もの高さであることを示す。一方、血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)を生理食塩水と混合し、PDGF-BB濃度が 22.4ng/mL以上の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の希釈液を調製した場合、霧化、エアロゾル(aerosols)の回収、および回収液への凝集などの工程を行った後PDGF-BBの回収率は、約60%(回収液中のPDGF-BB総量÷血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の希釈液中のPDGF-BB総量×100%≒60%)である。
【0120】
上述の実験から、血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)がPDGF-BB濃度22.4 ng/mL未満の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)に調製された場合、前述の濃度範囲内の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)がエアロゾル発生器(aerosol generator)で霧化した後、PDGF-BBの回収率は63%以上もの高さであった。
【0121】
好ましくは、血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)がPDGF-BB濃度12 ng/mL以下の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)に調製された場合、前述の濃度範囲内の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)がエアロゾル発生器(aerosol generator)で霧化した後、PDGF-BBの回収率は85%と高く、予期せぬ効果を持つ。
【0122】
実施例3:霧化後のPDGF-BBの回収率と霧化所要時間に対する各種類の血小板溶液の影響。
【0123】
この実験では、2種類の血小板溶液、すなわち(1)高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)、および(2)実施例1に記載の方法に従って血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)を生理食塩水と混合することによって調製された血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)を用いた。血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)および高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)中のPDGF-BB濃度は、酵素結合免疫吸着法(Enzyme-linked immunosorbent assay、ELISA)で分析された。次に、注射用水で連続希釈して、異なる濃度のPDGF-BBを含む血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の希釈液6群と、異なる濃度のPDGF-BBを含む高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)の希釈液6群を調製し、希釈液中のPDGF-BB濃度は、それぞれ4.5、5.5、9、10、19.5、および20.5ng/mL であった。
【0124】
血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の希釈液の各群および高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)の希釈液の各群から、3mLの溶液を取り、エアロゾル発生器(型式Pulmogine、HCmed製)を用いてそれぞれ霧化(nebulize)し、複数のエアロゾル(aerosols)をそれぞれ得た。3mLの溶液を霧化する所要時間を記録し、各群の溶液の霧化後に得られたエアロゾル(aerosols)を遠沈管を用いて収集し、遠沈管内でエアロゾル(aerosols)を凝集させて回収液を得て、さらに各群の回収液の体積を分析した後、各群の回収液中のPDGF-BB濃度を酵素結合免疫吸着法(Enzyme-linked immunosorbent assay、ELISA)を用いて分析して、霧化後のPDGF-BBの回収率を算出した。PDGF-BBの回収率に関する実験結果を、表4、表5、および
図2A~4Cに示す。
【0125】
【0126】
【0127】
図2A~2Cを参照されたい。
図2Aは、霧化後の回収液中のPDGF-BB濃度に対する各種血小板溶液のPDGF-BB濃度の影響を示す棒グラフである。
図2Bは、霧化後の回収液の体積に対する、異なる種類の血小板溶液のPDGF-BB濃度の影響を示す棒グラフである。
図2Cは、霧化後のPDGF-BBの回収率に対する、異なる種類の血小板溶液のPDGF-BB濃度の影響を示す棒グラフである。
【0128】
図2Cに示すように、同じPDGF-BB濃度を含む二種類の血小板溶液の希釈液(血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)および高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP))の霧化の結果を比較すると、血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の希釈液のPDGF-BBの回収率は、高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)よりも高く、その違いは35.6%(80%-44.4%=35.6%)と高かった。これにより、高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)と比較して、本発明により調製された血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)は、霧化後のPDGF-BBの回収率を著しく向上させることができ、予期せぬ効果を示す。
【0129】
霧化の所要時間に関する実験結果を表6および
図3に示す。
【0130】
【0131】
図3を参照されたい。
図3は、各種類の血小板溶液のPDGF-BB濃度が霧化所要時間に及ぼす影響を示す棒グラフである。
【0132】
図3に示すように、同じPDGF-BB濃度を含む二種類の希釈液(血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPSおよび高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP))の霧化の結果を比較すると、血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の希釈液の霧化所要時間は、高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)のものより短くなっており、霧化所要時間は最低でも従来の2分の1、またはさらには3分の2にまで短縮することができる。これにより、高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)と比較して、本発明により調製された血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)は、霧化所要時間を著しく短縮させることができ、予期せぬ効果を示す。
【0133】
実施例4:霧化に対する血小板溶液中の白血球(WBC)濃度の影響。
【0134】
実施例4-1:血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中の白血球(WBC)濃度が、霧化後のPDGF-BBの回収率および霧化所要時間に及ぼす影響。
【0135】
ヒト全血を採取した。実施例1で示した方法を用いて、ヒト全血の一部から血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)を調製し、ヒト全血の別の一部を遠心分離し、バフィーコート層(Buffy coat layer)を無菌的に吸い出して、白血球濃縮物(White Blood Cell Concentrates)とした。
【0136】
血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)を生理食塩水と混合して、血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)を得た。
【0137】
白血球濃縮物(White Blood Cell Concentrates)を注射用水を用いて連続希釈して、異なる白血球(WBC)濃度を有する白血球濃縮物(White Blood Cell Concentrates)の希釈液10種類を調製した。
【0138】
異なる白血球(WBC)濃度を有する白血球濃縮物(White Blood Cell Concentrates)の希釈液を、それぞれ血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)と混合して、10群の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液の混合液を調製した。10群の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液の混合液の白血球濃度は、それぞれ0、0.3、0.5、0.7、1、1.7、3、5、7、および10×103/μLであった(マイクロリットル(μL)当たり、0、300、500、700、1,000、1,700、3,000、5,000、7,000、および10,000個の白血球を含んだ)。
【0139】
その内、バフィーコート層(Buffy coat layer)の厚さが薄かったため、白血球濃縮物(White Blood Cell Concentrates)を調製する過程で同時に、一部の血小板をやむを得ず含めることになる。そのため、10群の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液の混合液中のPDGF-BB濃度はわずかに異なるが(約±1.6ng/mL)、本発明者らのさらなる評価により、その微量の差は無視できることを見出した。
【0140】
各群の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液の混合液から、3mLの溶液を取り、エアロゾル発生器(型式Pulmogine、HCmed製)を用いて、それぞれの群から血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(PDPS)の混合液を霧化(nebulize)して、複数のエアロゾル(aerosols)を得た。3mLの溶液を霧化する所要時間をそれぞれ記録し、各群の溶液の霧化後に得られたエアロゾル(aerosols)をそれぞれ遠沈管に収集し、遠沈管内でエアロゾル(aerosols)を凝集させて回収液を形成し、各群の回収液の体積をさらに分析し、各群の回収液中のPDGF-BB濃度を酵素結合免疫吸着法(Enzyme-linked immunosorbent assay、ELISA)を用いて分析し、霧化後のPDGF-BBの回収率を算出した。PDGF-BBの回収率に関する実験結果を、表7、表8、および
図4Aに示す。
【0141】
【0142】
【0143】
図4Aを参照されたい。
図4Aは、霧化後のPDGF-BBの回収率に対する血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中の白血球(WBC)濃度の影響を示す散布図である。
図4Aの結果は、血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)を白血球(WBC)濃度が1.7×10
3/μL以下の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)に調製された場合、霧化、エアロゾル(aerosols)の回収、および回収液への凝集などの工程を行った後、PDGF-BBの総量回収率は53.9%以上と高いことを示す。血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)を白血球(WBC)濃度が0.7×10
3/μL以下の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)に調製された場合、PDGF-BBの総量回収率は66%以上と高かった。
【0144】
上記の実施例からわかることは、血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)を白血球(WBC)濃度が1.7×103/μL以下の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)に調製された場合、前述の濃度範囲の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)がエアロゾル発生器(aerosol generator)で霧化した後、PDGF-BBの回収率は53.9%以上と高く、予期せぬ効果を示したことである。
【0145】
好ましくは、血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)を白血球(WBC)濃度が0.7×103/μL以下の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)に調製された場合、前述の濃度範囲の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)がエアロゾル発生器(aerosol generator)で霧化した後、PDGF-BBの回収率は66%以上と高く、予期せぬ効果を示した。
【0146】
霧化所要時間に関する実験結果を、表9および
図4Bに示す。
【0147】
【0148】
図4Bを参照されたい。
図4Bは、霧化の所要時間に対する血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の白血球(WBC)濃度の影響を示す棒グラフである。
【0149】
図4Bに示すように、血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)を、白血球(WBC)濃度が1×10
3/μL以下の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)に調製した場合、前述の濃度範囲内の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の霧化所要時間は比較的短く、霧化所要時間は同様であった(
図4Bでは、白血球(WBC)濃度が1×10
3/μL以下の場合、グラフの傾きは平たい)。血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)を白血球(WBC)濃度が1×10
3/μLを超える血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)に調製された場合、血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の霧化所要時間は著しく伸びた(
図4Bでは、白血球(WBC)濃度が1×10
3/μLを超えると、グラフの傾きが急激に上昇し始めた)。これによりわかることは、血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)中の白血球(WBC)濃度が1×10
3/μL以下であることであり、霧化所要時間を大幅に短縮でき、予期せぬ効果を示す。本発明者は、この実施例の実験がヒト以外の哺乳動物の全血で行われた場合も同様な結果を予期した。
【0150】
実施例4-2:高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)中の白血球(WBC)濃度および霧化後のPDGF-BBの回収率の検出
実験4-1では、白血球(WBC)が血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension)のPDGF-BB回収率低下させることを示した。現行技術における高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)の白血球(WBC)濃度および霧化後のPDGF-BBの回収率を確認するために、本発明者らは以下の実験を行った。
【0151】
この実験では、3人の異なるヒト対象からの全血を使用して、実施例1の方法を用いて高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)試料1~3を得た。自動血球分析器(型式XP-300、SYSMEX製)を用いて、高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)試料1-3中の白血球(WBC)数を分析すること。
【0152】
実験結果が示すように、高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)の試料1~3の白血球(WBC)濃度は、約2×106/mLであった。
【0153】
白血球濃縮物(White Blood Cell Concentrates)と高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)試料1~3をそれぞれ混合して、高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)混合液1~3を調製し、それによって白血球(WBC)濃度は4×103/μLであり、PDGF-BBの濃度は、実施例4-1の10群の混合溶液のPDGF-BB濃度と同様であり、その差は約±2.1ng/mLであった。高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)混合液1~3からそれぞれ3mLを取り、エアロゾル発生器(型式Pulmogine 、HCmed製)で高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)混合液1~3を霧化(nebulize)して、複数のエアロゾル(aerosols)を得た。それぞれ3mLの溶液を霧化する所要時間を記録し、各群の溶液の霧化後に得られたエアロゾル(aerosols)を遠沈管を用いて収集し、それにより遠沈管内でエアロゾル(aerosols)を凝集させて回収液を形成し、さらに各群の回収液の体積を分析した後、各群の回収液中のPDGF-BB濃度を酵素結合免疫吸着法(Enzyme-linked immunosorbent assay、ELISA)を用いて分析して、霧化後のPDGF-BBの回収率を算出した。
【0154】
実験結果が示すように、高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)混合液1~3を噴霧した後、PDGF-BBの回収率がそれぞれ3.54%、6.67%、3.13%であった。
【0155】
実施例4-1と実施例4-2の結果を比較すると、PDGF-BB濃度と白血球(WBC)濃度が類似していても、例えばWBC濃度が3×~4×103/μL、PDGF-BB濃度差はわずか±2.1ng/mL程度、高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)で調製した混合液のPDGF-BB回収率(3.13%~6.67%)は、依然として本発明の血小板乾燥粉末で調製された血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の混合液のPDGF-BB回収率(42.7%)より低く、10倍もの差があることがわかる。すなわち、高濃度血小板血漿(Platelet-Rich Plasma、PRP)と比較して、本発明の血小板乾燥粉末を用いて調製した血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)は、霧化後のPDGF-BB回収率を著しく向上させることができ、予期せぬ効果を示す。
【0156】
実施例5:血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)を用いて調製したエアロゾル(aerosols)の粒子径と気道各部位への到達率。
【0157】
ヒトの気道は、口と鼻腔(Nasal cavity)、鼻粘膜(Nasal mucosa)、気管(Trachea)、気管支(Bronchus)、細気管支(Bronchiole)、呼吸細気管支(Respiratory bronchiole)、肺胞管(Alveolar duct)および肺胞(Alveoli)を含むさまざまな部位を含む。気道は気管支から枝分かれし始め、呼吸細気管支(Respiratory bronchioles)から肺胞(Alveoli)までが少なくとも17~23回枝分けする可能性があり、その目的は、体に必要な酸素を提供し、ガス交換機能を果たすためである。
【0158】
この実施例では、米国およびヨーロッパによって認定された新世代インパクタ(Next Generation Impactor、NGI)を用いて、本発明の霧化後のエアロゾル(aerosols)が気道各部位の組織(tissue)に到達できるか、および各部位の組織におけるエアロゾルの分布を分析する。
【0159】
新世代インパクタは、米国呼吸ケア協会(American Association for Respiratory Care)の指導マニュアルに沿って設計された7つのステージ、すなわちステージ1からステージ7を設置し、肺の各部位をシミュレーションする。
図5A~
図6を参照されたい。
図5Aは新世代インパクタの閉状態と使用状態の図であり、
図5Bは新世代インパクタの開状態の図(各ステージを含む)である。
図6は新世代インパクタの各ステージの開口サイズと各ステージがシミュレーションする気道部位を示す(
図5A~6のデータは、Next Generation Impactor(NGI)取扱説明書から引用)。
図5Aでは、新世代インパクタ1が、シミュレートされたヒトの頭部2に接続され、シミュレートされたヒトの頭部2の口と鼻腔が、マスク3およびネブライザー4に順に接続されている。
図5Bにおいて、新世代インパクタ1は、第1ステージ11、第2ステージ12、第3ステージ13、第4ステージ14、第5ステージ15、第6ステージ16、および第7ステージ17を含む。
【0160】
図6からわかるように、新世代インパクタの第1ステージ(stage 1)は、口と鼻腔(Nasal cavity)と咽頭(pharynx)をシミュレートし、開口サイズは8.61~14.10μmであり、第2ステージ(stage 2)は気管(trachea)をシミュレートし、開口サイズは5.39~8.61μmであり、第3ステージ(stage 3)は気管支(bronchus)をシミュレートし、開口サイズは3.3~5.39μmであり、第4ステージ(stage 4)は、細気管支(bronchiole)または気管支梢をシミュレートし、開口サイズは2.08~3.30μmであり、第5ステージ(stage 5)は呼吸細気管支(respiratory bronchiole)をシミュレートし、開口サイズは1.36~2.08μmであり、第6ステージ(stage 6)は肺胞管(alveolar duct)をシミュレートし、開口サイズは0.98~1.36μmであり、第7ステージ(stage 7)は肺胞(alveoli)をシミュレートし、開口サイズは<0.98μmである。
【0161】
血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)を生理食塩水と混合し、血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)を得た。
【0162】
血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)から3mLの溶液を取り、エアロゾル発生器(aerosol generator)(型式Pulmogine、HCmed製)を用いて血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)を霧化(nebulize)し、霧化条件は米国薬局方(USP)<1601>章に準拠する。エアロゾル発生器(aerosol generator)のリザーバー(reservior)内の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)を空にした後、7つのステージを生理食塩水で洗浄し、サンプルを回収し、7つのステージの回収液サンプルを得た。各ステージから回収した液体サンプルをそれぞれ凍結乾燥機(型式Lab 5 ST-3S、LSI製)で乾燥させた後、1ミリリットル(mL)の注射用水と混合して、7つのステージの混合液を得た。7つのステージの混合液中のPDGF-BB濃度を酵素結合免疫吸着法(ELISA)で分析し、7つのステージに入るエアロゾル(aerosols)中のPDGF-BBの総量および割合を逆算した(すなわち、ヒトの気道に投与された際に気道の解剖学的位置に入るPDGF-BBの総量と割合である)。
【0163】
実験結果を表10に示す。
【0164】
【0165】
表10からわかるように、このシミュレーション実験では、鼻腔および咽頭の組織に入るPDGF-BBの総量は1.6ngであり、鼻腔および咽頭の組織に入るPDGF-BBは5%を占める(各組織に入るPDGF-BB総量を100%とする);気管組織に入るPDGF-BBの総量は6.8ngであり、気管組織に入るPDGF-BBは21%を占める;気管支組織に入るPDGF-BB の総量は7.8ngであり、気管支組織に入るPDGF-BBは24%を占める;細気管支組織に入るPDGF-BBの総量は9.9ngであり、細気管支組織に入るPDGF-BBは31%を占める;呼吸細気管支組織に入るPDGF-BBの総量は4.4ngであり、呼吸細気管支組織に入るPDGF-BBは14%を占める;肺胞管組織に入るPDGF-BBの総量は0.9ngであり、肺胞管組織に入るPDGF-BBは3%を占める;肺胞組織に入るPDGF-BBの総量は0.8ngであり、肺胞組織に入るPDGF-BBは2%を占める。これにより、本発明の血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)を用いて調製されたエアロゾル(aerosols)および活性成分(PDGF-BBなど)は、確実に気道の各部分へ入ることができ、気道の各部分に対し炎症または損傷を軽減する目的を達成することがわかる。
【0166】
実施例6:気道部位の炎症または損傷の緩和に対する血小板乾燥粉末から調製した血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)の影響。
【0167】
リポ多糖(Lipopolysaccharide、LPS)は、ヒト肺線維芽細胞(HFL1;ATCC CCL-153TM)に損傷を与え、細胞増殖を阻害することが既知である(参考文献6-8)。本実施例では、リポ多糖(Lipopolysaccharide、LPS;Sigma Aldrich L2630)を用いて、肺細胞の炎症モデルを立ち上げ、血小板乾燥粉末で調製した血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)が気道部位の炎症または損傷を緩和する効果を評価した。
【0168】
ヒト肺線維芽細胞(HFL1;ATCC CCL-153TM)を、10%ウシ胎児血清(Fetal Bovine Serum、FBS)を含有するイーグル最小必須培地(Eagle's minimum essential medium、MEM,Sigma Aldrich M4655)中で培養し、さらに後で使用するために新鮮な培地に交換した。前述のヒト肺線維芽細胞HFL1は接着細胞(adherent cell)である。
【0169】
96ウェルプレートを未処理ウェル、LPS対照ウェル、および複数の実験ウェルに分け、1ウェルあたり3回繰り返した。本実験では、合計2バッチが実行され、実験の第1バッチの複数の実験ウェルには、(1)PDGF-BB 1ng/mLウェル、(2)PDGF-BB 5ng/mLウェル、(3)PDGF-BB 10ng/mLウェル、および(4)PDGF-BB 20ng/mLウェルを含む;実験の第2バッチの複数の実験ウェルには、(1)PDGF-BB 0.25ng/mLウェル、(2)PDGF-BB 0.5ng/mLウェル、(3)PDGF-BB 0.75ng/mLウェル、(4)PDGF-BB 1ng/mLウェル、(5)PDGF-BB 5ng/mLウェル、(6)PDGF -BB 7.5ng/mLウェル、(7)PDGF-BB 10ng/mLウェル、(8)PDGF-BB 12.5ng/mLウェル、(9)PDGF-BB 15ng/mLウェル、および(10)PDGF- BB 17.5ng/mLウェルを含む。
【0170】
ヒト肺線維芽細胞(HFL1)を未処理ウェル、LPS対照ウェル、および実験ウェルにそれぞれ7,000個の細胞が含まれるように加え、37℃、5%二酸化炭素(carbon dioxide、CO2)インキュベーターで48時間インキュベーションした。
【0171】
古い培地(old medium)を取り除いた。LPS対照ウェルおよび実験ウェルの細胞は、5μg/mL LPSを含むMEM培地(FBSなし)に懸濁し、未処理ウェルの細胞は、LPSを含まないMEM培地(FBSなし)に懸濁し、37℃で、5%二酸化炭素(carbon dioxide、CO2)インキュベーターで24時間インキュベーションした。
【0172】
古い培地(old medium)を取り除いた。本発明の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)を含むMEM培地(FBSなし)で、各実験ウェルの細胞を懸濁し、実験の第1バッチの複数の実験ウェルのPDGF-BB濃度を、それぞれ1、5、10、および20ng/mLにし、実験の第2バッチの複数の実験ウェルのPDGF-BB濃度を、それぞれ0.25、0.5、0.75、1、5、7.5、10、12.5、15、および17.5ng/mLにし、血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)を含まないMEM培地(FBSなし)で、未処理ウェルおよびLPS対照ウェルの細胞を懸濁した。その後、37℃で、5%二酸化炭素(carbon dioxide、CO2)インキュベーターで24時間インキュベーションした。
【0173】
古い培地(old medium)を取り除いた。各ウェルに90μlのMEMと10μlのCCK-8バッファー(Sigma Aldrich、製品番号96992)を加えた。その後、37℃で、5%二酸化炭素(carbon dioxide、CO2)インキュベーターで4時間インキュベーションした。多機能マイクロプレート分光計(型式Spectra Max i3x、Molecular Devices製)を用いて、吸光度を450nmに設定して分析した。吸光度値と細胞数の間の回帰曲線は、CCK-8バッファーの取扱説明書に従って確立され、吸光度値は生細胞数に変換された。
【0174】
データは平均値±SDとして表され、統計分析はT検定(T TEST)によって行われた。「+」でマークされた群は、未処理ウェルからの統計的差異を表し(p<0.05)、「*」でマークされた群は、LPS対照ウェルからの統計的差異を表す(p<0.05)。
【0175】
図7Aおよび
図7Bを参照されたい。
図7Aは、ヒト肺線維芽細胞の炎症および損傷の軽減に対する血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)(PDGF-BB濃度によって定量化)の効果を示す棒グラフであり、(実施例6、第1バッチ)、
図7Bは、ヒト肺線維芽細胞の炎症および損傷の軽減に対する血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)(PDGF-BB濃度によって定量化)の効果の棒グラフである(実施例6、第2バッチ)。
【0176】
図7Aおよび
図7Bに示すように、この事例の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)は、適切な投薬量の下で、LPSによって引き起こされた肺細胞の炎症または損傷を効果的に緩和でき、肺細胞の成長を刺激することがわかる。
【0177】
気道の他の部位の細胞とヒト肺線維芽細胞とは炎症メカニズムが類似しているため、本発明者は、本発明の血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)が他の気道部位の細胞の炎症または損傷も効果的に軽減でき、さらにインターロイキン6(Interleukin 6、IL-6)およびインターロイキン8(Interleukin 8、IL-8)などの炎症性因子の発現を抑えることにより、炎症の程度を軽減すると予想する。
【0178】
本実施例の結果に示すように、本発明のPDGF-BBを含む血小板乾燥粉末(Platelet dry powder)で調製された血小板乾燥粉末溶液/懸濁液(Platelet dry powder solution/suspension、PDPS)が、気道の炎症または損傷を軽減または治療できることがわかる。
【0179】
上記の説明は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。したがって、本発明に開示された精神から逸脱することなくなされた他の変更または修正は、本発明の特許出願の範囲に含まれるべきである。
【0180】
参考文献
【0181】
【符号の説明】
【0182】
1 新世代インパクタ
2 シミュレートされたヒトの頭部
3 マスク
4 ネブライザー
11 第1ステージ
12 第2ステージ
13 第3ステージ
14 第4ステージ
15 第5ステージ
16 第6ステージ
17 第7ステージ