(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】水まわり機器の通信システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20240729BHJP
A47K 17/00 20060101ALI20240729BHJP
E03D 11/00 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
A47K17/00
E03D11/00
(21)【出願番号】P 2020118672
(22)【出願日】2020-07-09
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】川端 優豪
(72)【発明者】
【氏名】吉川 和成
(72)【発明者】
【氏名】坂西 宏一
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/220898(WO,A1)
【文献】特開2011-069121(JP,A)
【文献】特開2020-088696(JP,A)
【文献】特表2019-507998(JP,A)
【文献】特開2016-112669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
A47K 17/00
E03D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機を有する複数の水まわり機器と、
ネットワークを介して外部機器に接続されるネットワーク機器と、
前記通信機と前記ネットワーク機器とをペアリングするためのペアリング指令信号を前記通信機に送信する指令装置と、
を備え、
前記水まわり機器は、前記ペアリングを許容しない第1状態と、前記水まわり機器への切換操作により前記第1状態から切り換えられ
ることにより前記ペアリングを許容する第2状態と、を有し、
前記通信機は、
前記指令装置から送信された前記ペアリング指令信号を受信した場合に、前記水まわり機器が前記第1状態であるときには前記ネットワーク機器とペアリングするためのペアリングモードに移行せず、
前記指令装置から送信された前記ペアリング指令信号を受信した場合に、前記水まわり機器が前記第2状態であるときには前記ネットワーク機器とペアリングするためのペアリングモードに移行し、
前記切換操作は、前記通信機の記憶部に前記ネットワーク機器の識別情報が記憶されていない初回ペアリングの場合と、前記記憶部に前記ネットワーク機器の識別情報が記憶されている再ペアリングの場合とで異なることを特徴とする水まわり機器の通信システム。
【請求項2】
前記切換操作は、前記初回ペアリングよりも前記再ペアリングの方が操作回数が多いことを特徴とする請求項1に記載の水まわり機器の通信システム。
【請求項3】
前記水まわり機器は、前記水まわり機器の作動を開始するための操作部を有し、
前記再ペアリングでの前記切換操作は、前記操作部への操作が含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の水まわり機器の通信システム。
【請求項4】
前記通信機と前記ネットワーク機器とのペアリングは、前記通信機と前記ネットワーク機器との両方がペアリングモードに移行している場合に実行されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の水まわり機器の通信システム。
【請求項5】
前記水まわり機器は、便座への着座を検知する着座センサを有する温水洗浄便座を有し、
前記初回ペアリングでの前記切換操作は、前記着座センサが着座を検知した場合であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の水まわり機器の通信システム。
【請求項6】
前記水まわり機器は、前方に位置する人体を検知する人体検知センサを有する小便器を有し、
前記初回ペアリングでの前記切換操作は、前記人体検知センサが人体を検知した場合であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の水まわり機器の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、水まわり機器の通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ室の状態をネットワークを介して外部機器に送信することにより、管理者の管理者端末でトイレ室の管理をすることができる通信システムが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、例えば温水洗浄便座、大便器、手洗器、ソープディスペンサ、電気温水器、および手乾燥装置などの水まわり機器の使用状況やメンテナンスの要否などを管理者の管理者端末で一元管理できる水まわり機器の通信システムも知られている。
【0004】
このような水まわり機器の通信システムは、例えば水まわり機器の状態や使用状況などの情報をゲートウェイなどのネットワーク機器から外部機器に送信している。この場合、1つのネットワーク機器は、複数の水まわり機器と通信可能な通信規格を用いることにより、各水まわり機器に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
水まわり機器の通信システムでは、ネットワーク構築を行うために、ネットワーク機器と各水まわり機器とのペアリング作業を行わなければならない。この場合、ペアリング作業は、誤ペアリングを抑制するために、複雑な作業工程が必要となる虞がある。この複雑な作業工程を複数の水まわり機器で個別に行っていると、多くの作業時間を費やさなければならず、ペアリング作業の作業効率が低下する虞がある。そこで、ペアリング作業は、簡単に行うことができるとともに、誤ペアリングを抑制できるのが好ましい。
【0007】
また、例えばネットワーク機器を交換した場合などには、新たなネットワーク機器と水まわり機器とを再ペアリングしなければならない。ペアリング作業を簡単に行えるようにした場合には、ネットワーク機器の通信範囲に設けられている水まわり機器の通常の使用により、水まわり機器が意図せずにペアリングモードに移行してしまう虞がある。従って、再ペアリングを行う場合には、周囲の水まわり機器の全てを使用禁止にしなければならず、ペアリング作業の作業効率が低下するとともに、水まわり機器が設置されている施設の利便性が低下する虞がある。
【0008】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、複数の水まわり機器とネットワーク機器とのペアリング作業の作業負担を低減できる水まわり機器の通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、通信機を有する複数の水まわり機器と、ネットワークを介して外部機器に接続されるネットワーク機器と、前記通信機と前記ネットワーク機器とをペアリングするためのペアリング指令信号を前記通信機に送信する指令装置と、を備え、前記水まわり機器は、前記ペアリングを許容しない第1状態と、前記水まわり機器への切換操作により前記第1状態から切り換えられ前記ペアリングを許容する第2状態と、を有し、前記通信機は、前記指令装置から送信された前記ペアリング指令信号を受信した場合に、前記水まわり機器が前記第1状態であるときには前記ネットワーク機器とペアリングするためのペアリングモードに移行せず、前記指令装置から送信された前記ペアリング指令信号を受信した場合に、前記水まわり機器が前記第2状態であるときには前記ネットワーク機器とペアリングするためのペアリングモードに移行し、前記切換操作は、前記通信機の記憶部に前記ネットワーク機器の識別情報が記憶されていない初回ペアリングの場合と、前記記憶部に前記ネットワーク機器の識別情報が記憶されている再ペアリングの場合とで異なることを特徴とする水まわり機器の通信システムである。
【0010】
この水まわり機器の通信システムによれば、通信機は、指令装置からペアリング指令信号を受信しても、水まわり機器が第2状態になければペアリングモードに移行しないので、ネットワーク機器と通信機との誤ペアリングを抑制することができる。また、例えば再ペアリングでの第1状態から第2状態への切換操作を初回ペアリングのときの切換操作よりも複雑にすることで、再ペアリングの場合に他の通信機がペアリング指令信号を受信しても、ペアリングモードに移行するのを抑制できる。従って、水まわり機器とネットワーク機器とのペアリング作業の作業負担を低減できる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記切換操作は、前記初回ペアリングよりも前記再ペアリングの方が操作回数が多いことを特徴とする水まわり機器の通信システムである。
【0012】
この水まわり機器の通信システムによれば、水まわり機器を第1状態から第2状態に切り換える操作は、再ペアリングの方が初回ペアリングよりも複雑となる。従って、例えば水まわり機器が設置される施設の施工時などで行われる初回ペアリングでは、簡単に複数の水まわり機器の通信機とネットワーク機器とをペアリングできる。一方、再ペアリングでは、第1状態から第2状態への切り換えを水まわり機器の通常の使用ではなされないような操作回数とすることで、他の水まわり機器の使用を禁止することなくペアリング作業を行うことができる。
【0013】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記水まわり機器は、前記水まわり機器の作動を開始するための操作部を有し、前記再ペアリングでの前記切換操作は、前記操作部への操作が含まれていることを特徴とする水まわり機器の通信システムである。
【0014】
この水まわり機器の通信システムによれば、水まわり機器を作動させる電源スイッチや水まわり機器の機能を作動させる操作スイッチなどの既存の操作部を利用することにより、再ペアリングを行うことができる。従って、再ペアリングを行うための特別な装置などを用意する必要がなく、ペアリング作業の作業効率を向上することができる。
【0015】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、前記通信機と前記ネットワーク機器とのペアリングは、前記通信機と前記ネットワーク機器との両方がペアリングモードに移行している場合に実行されることを特徴とする水まわり機器の通信システムである。
【0016】
この水まわり機器の通信システムによれば、例えば複数の水まわり機器をペアリングモードに移行させた状態でネットワーク機器をペアリングモードに移行させることで、複数の水まわり機器とネットワーク機器とをまとめてペアリングさせることができる。従って、複数の水まわり機器とネットワーク機器とのペアリング作業の作業負担を低減できる。
【0017】
第5の発明は、第1~第4のいずれか1つの発明において、前記水まわり機器は、便座への着座を検知する着座センサを有する温水洗浄便座を有し、前記初回ペアリングでの前記切換操作は、前記着座センサが着座を検知した場合であることを特徴とする水まわり機器の通信システムである。
【0018】
この水まわり機器の通信システムによれば、初回ペアリングの場合に、温水洗浄便座の着座センサを利用して、簡単に温水洗浄便座の通信機をペアリングモードに移行させることができる。また、他の水まわり機器の通信機は、ペアリング指令信号を受信したとしてもペアリングモードに移行しない。従って、他の水まわり機器の通信機が意図せずにペアリングモードに移行してしまうのを抑制できる。
【0019】
第6の発明は、第1~第4のいずれか1つの発明において、前記水まわり機器は、前方に位置する人体を検知する人体検知センサを有する小便器を有し、前記初回ペアリングでの前記切換操作は、前記人体検知センサが人体を検知した場合であることを特徴とする水まわり機器の通信システムである。
【0020】
この水まわり機器の通信システムによれば、初回ペアリングの場合に、小便器の人体検知センサを利用して、簡単に小便器の通信機をペアリングモードに移行させることができる。また、他の水まわり機器の通信機は、ペアリング指令信号を受信したとしてもペアリングモードに移行しない。従って、他の水まわり機器の通信機が意図せずにペアリングモードに移行してしまうのを抑制できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の態様によれば、複数の水まわり機器とネットワーク機器とのペアリング作業の作業負担を低減できる水まわり機器の通信システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】ネットワークシステムを模式的に示す説明図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る水まわり機器の通信システムを模式的に示すブロック図である。
【
図3】通信機の制御部で実行される制御処理を示す流れ図である。
【
図4】機器本体の制御部で実行される第1状態から第2状態への切換制御の制御処理を示す流れ図である。
【
図5】機器本体の制御部で実行される制御処理を示す流れ図である。
【
図6】ネットワーク機器の制御部で実行される制御処理を示す流れ図である。
【
図7】通信機をペアリングモードに移行させる場合の説明図である。
【
図8】ネットワーク機器をペアリングモードに移行させる場合の説明図である。
【
図9】ペアリングが完了した状態を示す説明図である。
【
図10】水まわり機器が温水洗浄便座である場合の斜視図である。
【
図11】水まわり機器が小便器である場合の斜視図である。
【
図12】本発明の第2実施形態による水まわり機器の通信システムを模式的に示すブロック図である。
【
図13】通信機の制御部で実行される制御処理を示す流れ図である。
【
図14】機器本体の制御部で実行される制御処理を示す流れ図である。
【
図15】本発明の変形例に係る水まわり機器の通信システムのペアリング設定を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、ネットワークシステムを模式的に示す説明図である。
図1に示すように、ネットワークシステム101は、水まわり機器10と、水まわり機器10とネットワーク30を介して接続された外部機器40と、外部機器40とネットワーク30を介して接続された管理者端末50と、を備えている。
【0024】
水まわり機器10は、例えば不特定多数の者が使用する施設に設けられる機器となっており、例えば公衆のトイレ室TR、ビル内のトイレ室、ホテルのユニットバス、および公衆浴場などに関連して用いられる機器となっている。一例を挙げると、水まわり機器10は、温水洗浄便座、大便器、小便器、自動水栓、オートソープディスペンサ、電気温水器、手乾燥装置、紙巻器、人感・行列センサ、ドア・鍵センサ、ストック棚、照明、スピーカ、音楽再生機、映像表示機、および生態センサなどを挙げることができる。
【0025】
ネットワーク機器20は、例えば水まわり機器10の使用状況やメンテナンスの要否などに関連する複数の機器情報を、ネットワーク30を介して外部機器40に送信する。このように、ネットワーク機器20は、複数の水まわり機器10に接続され、各水まわり機器10の複数の機器情報を外部機器40などに送信する。また、ネットワーク機器20は、外部機器40から送信された種々の指令信号を受信して各水まわり機器10に送信する。
【0026】
ネットワーク機器20は、ネットワーク30を介して外部機器40と無線通信を行うとともに、ネットワーク35を介して各水まわり機器10とそれぞれ無線通信を行う。ネットワーク機器20は、例えば外部機器40側のネットワーク30のプロトコルと水まわり機器10の無線通信のプロトコルとの変換を行うゲートウェイである。なお、ネットワーク機器20は、ゲートウェイに限らず、外部と通信可能であればどのような通信機器でもよい。ネットワーク機器20と水まわり機器10との間の通信は、双方向の通信となっている。また、ネットワーク機器20と外部機器40との間の通信は、双方向の通信となっている。
【0027】
ネットワーク30は、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)などであり、外部機器40を介してネットワーク機器20、管理者端末50、および表示部60を接続している。ネットワーク30は、外部機器40と管理者端末50、外部機器40とネットワーク機器20、および外部機器40と表示部60を有線で接続するものでもよいし、無線で接続するものでもよいし、有線と無線との組み合わせでもよい。ネットワーク30は、ネットワーク機器20、外部機器40、および管理者端末50の間の通信を可能にする任意のネットワークでよい。
【0028】
外部機器40は、水まわり機器10から離れた位置に設けられている。外部機器40は、例えばクラウドサーバであり、ネットワーク30により管理者端末50に接続され、水まわり機器10の情報を管理している。
【0029】
管理者端末50は、トイレ室TRを管理する管理者が保有する端末であり、例えば携帯端末50aやPC端末50bとなっている。管理者端末50は、ネットワーク30を介して外部機器40に接続されている。管理者は、例えば外部機器40に接続して、トイレ室TRに設置された水まわり機器10の各種の情報を取得(閲覧)することができる。また、管理者は、管理者端末50を操作して外部機器40から水まわり機器10に向けて種々の指令信号を出力させることができる。
【0030】
表示部60は、例えば公共施設や建物の出入口や案内センタに設置されるもので、施設内の案内を表示するものである。表示部60には、例えばトイレ室TRの空満表示や清掃状況などが表示される。これにより、使用者は、表示部60を確認することで施設内の状況を認識することができる。
【0031】
このように、ネットワークシステム101は、トイレ室TRをIoT(Internet of Things)化させることにより、各水まわり機器10の使用状況やメンテナンスの要否などを管理者が一元管理できるようになっている。これにより、管理者は、トイレ室TRから離れた場所で、水まわり機器10の故障、メンテナンス、および使用状況を把握することができる。また、管理者は、管理者端末50を操作することにより、水まわり機器10に関する種々の設定を行うことができる。従って、管理者は、公衆のトイレ室TRなどに行かなくても、トイレ室TRの管理を行うことができる。
【0032】
次に、ネットワークシステム101を使用する前に、水まわり機器10とネットワーク機器20とを互いに認証させるペアリングを行うための水まわり機器の通信システム1について説明する。
図2は、本発明の第1実施形態に係る水まわり機器の通信システムを模式的に示すブロック図である。
図2に示すように、水まわり機器の通信システム1は、水まわり機器10と、ネットワーク機器20と、指令装置25と、を備えている。水まわり機器の通信システム1は、ネットワークシステム101を利用する前に、水まわり機器10とネットワーク機器20との間のネットワーク35を構築するためのシステムとなっている。
【0033】
水まわり機器10は、機器本体11と、機器本体11に電気的に接続された通信機16と、を有している。水まわり機器10は、機器本体11の使用状況やメンテナンスの要否などに関する情報を通信機16からネットワーク機器20に送信している。
【0034】
機器本体11は、水まわり機器10の作動を行うもので、例えば人体を検知する人体検知部12と、機器本体11の作動を制御する制御部13と、機器本体11の状態や使用状況を記憶する記憶部14と、水まわり機器10の作動を開始するための操作部15と、を備えている。機器本体11は、例えば温水洗浄便座ならば、便座を保温する保温装置やおしりを洗浄する衛生洗浄装置などであり、小便器ならば、便器洗浄のための洗浄水を流す洗浄装置などであり、自動水栓ならば湯水を吐水する水栓装置などとなっている。
【0035】
人体検知部12は、人体を検知するものである。人体検知部12は、例えば便器の前方にいる人体を検知する人体検知センサ、便座への着座を検知する着座センサ、自動水栓から湯水を吐水させるために手を検知する人体検知センサ、オートソープディスペンサから石鹸水を吐出させるために手を検知する人体検知センサ、電気温水器の前方にいる人体を検知する人体検知センサ、および手乾燥装置から送風させるために手を検知する人体検知センサなどを挙げることができる。すなわち、人体検知部12は、水まわり機器10の周囲に人がいることを検知するものである。
【0036】
制御部13は、水まわり機器10の機器本体11の作動を制御している。また、制御部13は、通信機16とネットワーク機器20とのネットワークを構築するときに、水まわり機器10の機器本体11が通信機16とネットワーク機器20とのペアリングを許容しない第1状態にあるか、ペアリングを許容する第2状態にあるかを判定する。第1状態から第2状態への切り換えは、通信機16の記憶部19にネットワーク機器20の識別情報が記憶されていない初回ペアリングと、記憶部19にネットワーク機器20の識別情報が記憶されている再ペアリングとでその条件が異なっている。通信機16とネットワーク機器20とのペアリング制御については、後で説明する。
【0037】
記憶部14は、水まわり機器10の使用履歴、水まわり機器10に設けられている各種装置の状況、および人体検知部12による人体検知の有無などを記憶するメモリとなっている。また、記憶部14には、制御部13が実行する制御プログラムが格納されている。なお、記憶部14は、制御部13内に設けられていてもよい。
【0038】
操作部15は、水まわり機器10の作動を開始するためのもので、例えば電源スイッチや水まわり機器10の機能を作動させるための操作スイッチなどである。一例を挙げると、水まわり機器10が温水洗浄便座の場合には、温水洗浄便座の電源スイッチや便座の温度を設定するための操作スイッチなどを操作部15とすることができる。また、操作部15は、水まわり機器10の通信機16とネットワーク機器20とを再ペアリングするときに操作される。再ペアリングでのペアリング制御については、後で説明する。
【0039】
通信機16は、ネットワーク機器20とネットワークを構築するときに、指令装置25から送信される第1ペアリング指令信号を受信したり、ネットワークが構築された後にネットワーク機器20と通信したりする。すなわち、通信機16は、指令装置25からの信号と、ネットワーク機器20からの信号と、を受信可能な2つの通信部(受信部)を有している。指令装置25は、通信機16をペアリングモードに移行させるための装置である。第1ペアリング指令信号は、本発明のペアリング指令信号を構成している。そして、通信機16は、第1通信部17a、第2通信部17b、制御部18、および記憶部19を有している。
【0040】
第1通信部17aは、指令装置25に接続されるもので、指令装置25から送信される第1ペアリング指令信号を受信する受信部17a1と、受信部17a1が第1ペアリング指令信号を受信したことを制御部13に送信する送信部17a2と、を有している。
【0041】
第2通信部17bは、ネットワーク機器20に接続されるもので、ネットワーク機器20から種々の指令信号を受信する受信部17b1と、受信部17b1が受信した指令信号を制御部13に送信したり、ネットワーク機器20に向けて水まわり機器10の情報を送信したりする送信部17b2と、を有している。
【0042】
制御部18は、通信機16の作動を制御する。制御部18は、例えば第1通信部17aの受信部17a1が受信した第1ペアリング指令信号を記憶部19に記憶させたり、第1通信部17aの送信部17a2から機器本体11の制御部13に向けて第1ペアリング指令信号があることを送信したりする。また、制御部18は、指令装置25から送信された第1ペアリング指令信号と、機器本体11の制御部13から送信されたペアリング許可信号とにより、通信機16をペアリングモードに移行させる。
【0043】
記憶部19は、第1通信部17aの受信部17a1が受信した第1ペアリング指令信号や、第2通信部17bで送受信した信号などを記憶するメモリとなっている。また、記憶部19には、ペアリングしたネットワーク機器20の識別情報が記憶される。この識別情報は、ネットワーク機器20に個別に設定されたものである。また、記憶部19には、制御部18が実行する制御プログラムが格納されている。なお、記憶部19は、制御部18内に設けられていてもよい。
【0044】
ネットワーク機器20は、例えば公衆のトイレ室TR、ビル内のトイレ室、ホテルのユニットバス、および公衆浴場などに配設され、複数の水まわり機器10に対して1個設けられる。ネットワーク機器20は、ネットワーク35により複数の水まわり機器10に接続され、各水まわり機器10に関する情報を外部機器40や通信機16と通信する。そして、ネットワーク機器20は、通信部21と、制御部22と、記憶部23と、を有している。
【0045】
通信部21は、設定装置27に接続されるもので、設定装置27から送信される第2ペアリング指令信号を受信する受信部21aと、ネットワーク機器20の識別情報を送信する送信部21bと、を有している。設定装置27は、ネットワーク機器20をペアリングモードに移行させるための装置である。
【0046】
制御部22は、ネットワーク機器20の作動を制御する。制御部22は、例えば通信部21の受信部21aが受信した第2ペアリング指令信号を記憶部23に記憶させたり、通信部21の送信部21bから各水まわり機器10に向けてネットワーク機器20の識別情報を送信したりする。また、制御部22は、設定装置27から送信された第2ペアリング指令信号により、ネットワーク機器20をペアリングモードに移行させる。
【0047】
記憶部23は、通信部21の受信部21aが受信した第2ペアリング指令信号や、通信部21で送受信した信号などを記憶するメモリとなっている。また、記憶部23には、ペアリングした水まわり機器10の通信機16の識別情報が記憶される。この識別情報は、各通信機16に個別に設定されたものである。また、記憶部23には、制御部22が実行する制御プログラムが格納されている。なお、記憶部23は、制御部22内に設けられていてもよい。
【0048】
指令装置25は、通信機16とネットワーク機器20とをペアリングするための第1ペアリング指令信号を通信機16に送信するものである。すなわち、指令装置25は、水まわり機器10の通信機16をペアリングモードに移行するためのものである。指令装置25は、例えば水まわり機器10を管理する管理者が所有するリモコンである。
【0049】
指令装置25は、第1ペアリング指令信号を第1通信規格により通信機16に向けて送信する。第1通信規格は、例えば指令装置25から通信機16に向けて例えば一方向通信となるものである。また、第1通信規格は、通信機16とペアリングすることなく通信可能となっている。すなわち、第1通信規格は、指令装置25と各水まわり機器10の通信機16との通信プロトコルが同一なものとなっている。
【0050】
従って、指令装置25の電波範囲内にある各通信機16は、指令装置25から送信される第1ペアリング指令信号を同時に受信することができる。また、各水まわり機器10の通信機16ごとに専用の指令装置を用意することなく、1つの指令装置25で各水まわり機器10の通信機16をペアリングモードに移行できる。すなわち、第1ペアリング指令信号は、各通信機16で共通の信号となっている。換言すると、第1通信規格は、各通信機16が指令装置25からの信号を判断する方式である。
【0051】
一方、ネットワーク機器20と各通信機16との間は、第1通信規格とは通信プロトコルが異なる第2通信規格による通信となっている。第2通信規格は、例えばペアリング(ネットワーク構築)を行うことで、ネットワーク機器20と通信機16との双方向通信が可能なもので、ペアリング(ネットワーク構築)を行うまでは情報の通信ができないものである。従って、各通信機16は、2つの異なる通信プロトコルを有する通信を受信することができるものである。
【0052】
設定装置27は、通信機16とネットワーク機器20とをペアリングするための第2ペアリング指令信号をネットワーク機器20に送信するものである。すなわち、設定装置27は、ネットワーク機器20をペアリングモードに移行するためのものである。設定装置27は、例えば水まわり機器10を管理する管理者が所有するタブレット端末である。なお、設定装置27は、タブレット端末に限らず、例えばネットワーク機器20に設けられたスイッチでもよい。
【0053】
本実施形態による水まわり機器の通信システム1は、上述の如き構成を有するもので、次に水まわり機器10の通信機16とネットワーク機器20とのペアリングを行うペアリング作業について説明する。
【0054】
図3は、通信機の制御部で実行される制御処理を示す流れ図である。
図4は、機器本体の制御部で実行される第1状態から第2状態への切換制御の制御処理を示す流れ図である。
図5は、機器本体の制御部で実行される制御処理を示す流れ図である。
図6は、ネットワーク機器の制御部で実行される制御処理を示す流れ図である。
図3~
図6では、各ステップを「S」と示し、例えば「ステップ1」を「S1」で示している。
また、
図3に示す制御処理は、通信機16の記憶部19に予め格納されている。
図4、
図5に示す制御処理は、機器本体11の記憶部14に予め格納されている。
図5に示す制御処理は、ネットワーク機器20の記憶部23に予め格納されている。
【0055】
まず、通信機16の制御部18が実行するペアリング制御処理を
図3を参照して説明する。
【0056】
S1では、指令装置25から第1ペアリング指令信号を受信したか否かを判定する。すなわち、制御部18は、受信部17a1が第1ペアリング指令信号を受信しているか否かを判定する。
【0057】
そして、S1で「YES」、すなわち制御部18は、第1ペアリング指令信号を受信していると判定したら、記憶部19に第1ペアリング指令信号を記憶して、S2に進む。一方、S1で「NO」、すなわち制御部18は、第1ペアリング指令信号を受信していないと判定したら、エンドとする。
【0058】
S2では、機器本体11の制御部13に第1ペアリング指令信号があることを送信する。すなわち、制御部18は、第1ペアリング指令信号を受信したという制御信号を機器本体11の制御部13に送信する。
【0059】
次のS3では、機器本体11の制御部13からペアリング許可信号を受信したか否かを判定する。制御部13が送信するペアリング許可信号については、
図5の制御処理に基づいて実行される。制御部13が通信機16の制御部18にペアリング許可信号を送信する制御については、後で説明する。
【0060】
そして、S3で「YES」、すなわち制御部18は、ペアリング許可信号を受信したと判定したら、S4に進む。一方、S3で「NO」。すなわち制御部18は、ペアリング許可信号を受信していないと判定したら、エンドとする。
【0061】
S4では、ペアリングモードに移行する。すなわち、制御部18は、ネットワーク機器20とのペアリングを行うために、ネットワーク機器20の識別情報を受け入れる状態に移行する。ペアリングモードは、所定時間(例えば、3~10分)継続される。制御部18は、ペアリングモード中に通信機16の識別情報をネットワーク機器20に向けて発信させる。
【0062】
S5では、ネットワーク機器20の識別情報を受信したか否かを判定する。すなわち、制御部18は、ネットワーク機器20がペアリングモードに移行することにより発信したネットワーク機器20の識別情報を受信したか否かを判定する。ネットワーク機器20がペアリングモードに移行するペアリング制御は、
図6の制御処理に基づいて実行される。
図6の制御処理については、後で説明する。
【0063】
そして、S5で「YES」、すなわち制御部18は、ネットワーク機器20の識別情報を受信していると判定したら、S6に進む。一方、S5で「NO」、すなわち制御部18は、ネットワーク機器20の識別情報を受信していないと判定したら、ネットワーク機器20の識別情報を前記所定時間(例えば、3~10分)監視する。なお、この所定時間が経過したならば、ペアリングモードが解除されて、エンドとする。
【0064】
次のS6では、ネットワーク機器20の識別情報を記憶する。すなわち、制御部18は、記憶部19にネットワーク機器20の識別情報を記憶させて、エンドとする。
【0065】
次に、機器本体11の制御部13が実行するペアリング制御処理を
図4、
図5を参照して説明する。制御部13では、通信機16がペアリングモードに移行するのを許容するか否かを判定している。通信機16をペアリングモードに移行させる水まわり機器10の状態は、通信機16が初めてペアリングする初回ペアリングの場合と、例えば初回ペアリング後にネットワーク機器20が交換された場合などに行われる再ペアリングの場合とで異なっている。すなわち、再ペアリングで水まわり機器10になされる第2切換操作は、初回ペアリングで水まわり機器10になされる第1切換操作と異なっている。
【0066】
図4では、水まわり機器10の制御部13で実行される第1状態から第2状態への切換制御を示している。
まず、S11では、通信機16の記憶部19にネットワーク機器20の識別情報が記憶されているか否かを判定する。すなわち、制御部13は、通信機16が過去にネットワーク機器20とペアリングされたことがあるか否かを判定する。制御部13は、例えば通信機16の記憶部19にネットワーク機器20の識別情報が記憶されたとき(
図3中のS6のとき)に、通信機16がペアリングされたことを取得して記憶部14に記憶させていてもよい。また、制御部13は、通信機16から第1ペアリング指令信号があること(
図3中のS2)の信号を受信したときに、通信機16からペアリングされているか否かの情報を取得してもよい。
【0067】
そして、S11で「NO」、すなわち制御部13は、通信機16の記憶部19にネットワーク機器20の識別情報が記憶されていない初回ペアリングであると判定したら、S12に進む。一方、S11で「YES」、すなわち制御部13は、通信機16の記憶部19にネットワーク機器20の識別情報が記憶されている再ペアリングであると判定したら、S14に進む。
【0068】
S12では、第1切換操作があるか否かを判定する。すなわち、制御部13は、水まわり機器10に第1切換操作がなされたか否かを判定する。第1切換操作は、例えば水まわり機器10が使用されるときの操作となっている。換言すると、第1切換操作は、水まわり機器10への単純な操作となっている。
【0069】
一例を挙げると、第1切換操作は、温水洗浄便座10aであれば、人体検知部12となる着座センサ12aが便座11aへの着座を検知する操作とすることができる(
図10参照)。また、第1切換操作は、小便器10eであれば、人体検知部12となる人体検知センサ12bが小便器10eの前にいる人体を検知する操作とすることができる(
図11参照)。また、自動水栓、手乾燥装置、電気温水器、およびオートソープディスペンサなどは、人体検知部12となる光電センサが人体(手)を検知する操作とすることができる。
【0070】
そして、S12で「YES」、すなわち、制御部13は、第1切換操作があると判定したら、S13に進み、水まわり機器10が第1状態から第2状態に切り換えられたと判断する。なお、制御部13は、例えば人体検知部12が人体を検知しているときのみを第2状態とすることができる。すなわち、制御部13は、人体検知部12が人体を検知しなくなったら、第2状態から第1状態に戻す。なお、制御部13は、人体検知部12が人体を検知しなくなってから所定時間(例えば、数十秒)の間で第2状態を継続させてもよい。一方、S12で「NO」、すなわち制御部13は、第1切換操作がないと判定したら、エンドとする。
【0071】
S14では、第1切換操作による第1状態から第2状態への切り換えを禁止する。すなわち、制御部13は、通信機16がネットワーク機器20とペアリングされている場合には第1切換操作により通信機16がペアリングモードに移行するのを禁止する。
【0072】
次のS15では、第2切換操作があるか否かを判定する。すなわち、制御部13は、水まわり機器10に第2切換操作がなされたか否かを判定する。ここで、第2切換操作は、第1切換操作よりも複雑な操作となっている。換言すると、第2切換操作は、第1切換操作よりも操作回数が多くなっている。この場合、第2切換操作は、第1切換操作を含んでいてもよいし、第1切換操作とは全く異なる他の操作でもよい。
【0073】
一例を挙げると、第2切換操作は、温水洗浄便座10aであれば、操作部15である電源スイッチをONしてから所定時間の間に、他の操作部15を操作したり、人体検知部12により人体を検知させたりする操作とすることができる。また、第2切換操作は、小便器10eであれば、電源スイッチやメンテナンスモードに移行させるための操作部15を操作してから所定時間の間に、人体検知部12により人体を検知させる操作とすることができる。また、自動水栓、手乾燥装置、電気温水器、およびオートソープディスペンサなどは、電源スイッチや機器を作動させる操作部15を操作してから所定時間の間に、人体検知部12を検知させる操作とすることができる。すなわち、第2切換操作は、水まわり機器10の使用者が行わないような特殊な操作とすることができる。
【0074】
そして、S15で「YES」、すなわち制御部13は、第2切換操作があると判定したら、S13に進み、水まわり機器10が第1状態から第2状態に切り換えられたと判断する。なお、制御部13は、所定時間(例えば、数十秒)の間で第2状態を継続させ、所定時間が経過したら第1状態に戻す。一方、S15で「NO」、すなわち制御部13は、第2切換操作がないと判定したら、エンドとする。
【0075】
図5は、水まわり機器10の制御部13が通信機16にペアリング許可信号を送信する制御を示している。
【0076】
S21では、通信機16からペアリング指令信号があることを受信したか否かを判定する。すなわち、制御部13は、通信機16が指令装置25から第1ペアリング指令信号を受信したか否かを判定する。
【0077】
そして、S21で「YES」、すなわち制御部13は、通信機16からペアリング指令信号があることを受信していると判定したら、S22に進む。すなわち、S21での「YES」は、
図3中のS2に基づきなされる。一方、S21で「NO」、すなわち制御部13は、通信機16からペアリング指令信号があることを受信していないと判定したら、エンドとする。
【0078】
S22では、水まわり機器10が第2状態になっているか否かを判定する。すなわち、制御部13は、水まわり機器10がペアリングを許容しない第1状態と、ペアリングを許容する第2状態のいずれの状態となっているかを判定する。水まわり機器10が第1状態にあるか第2状態にあるかは、
図4中の制御処理によりなされる。
【0079】
そして、S22で「YES」、すなわち制御部13は、水まわり機器10が第2状態になっていると判定したら、S23に進む。一方、S22で「NO」、すなわち制御部13は、水まわり機器10が第1状態になっていると判定したら、エンドとする。すなわち、制御部13は、水まわり機器10が第1状態である場合には通信機16がペアリングモードに移行するのを拒否する。
【0080】
S23では、通信機16にペアリング許可信号を送信する。すなわち、制御部13は、通信機16がペアリングモードに移行することを許可して、エンドとする。
【0081】
次に、ネットワーク機器20の制御部22が実行するペアリング制御処理を
図6を参照して説明する。
【0082】
まず、S31では、設定装置27から第2ペアリング指令信号を受信したか否かを判定する。すなわち、制御部22は、受信部21aが第2ペアリング指令信号を受信しているか否かを判定する。
【0083】
そして、S31で「YES」、すなわち制御部22は、第2ペアリング指令信号を受信していると判定したら、記憶部23に第2ペアリング指令信号を記憶して、S32に進む。一方、S31で「NO」、すなわち制御部22は、第2ペアリング指令信号を受信していないと判定したら、エンドとする。
【0084】
S32では、ペアリングモードに移行する。すなわち、制御部22は、通信機16とのペアリングを行うために、通信機16の識別情報を受け入れる状態に移行する。ペアリングモードは、所定時間(例えば、3~10分)継続される。制御部22は、ペアリングモード中にネットワーク機器20の識別情報を通信機16に向けて発信させる。
【0085】
次のS33では、通信機16の識別情報を受信したか否かを判定する。すなわち、制御部22は、通信機16がペアリングモードに移行することにより発信した通信機16の識別情報を受信したか否かを判定する。
【0086】
そして、S33で「YES」、すなわち制御部22は、通信機16の識別情報を受信していると判定したら、S34に進む。一方、S33で「NO」、すなわち制御部22は、通信機16の識別情報を受信していないと判定したら、通信機16の識別情報を前記所定時間(例えば、3~10分)監視する。なお、この所定時間が経過したならば、ペアリングモードが解除されて、エンドとする。
【0087】
次のS34では、通信機16の識別情報を記憶する。すなわち、制御部22は、記憶部23に通信機16の識別情報を記憶させて、エンドとする。
【0088】
次に、
図7~
図9を参照して、水まわり機器10としての温水洗浄便座10aに設けられた通信機16と、ネットワーク機器20aとのペアリング作業について説明する。
【0089】
図7は、通信機をペアリングモードに移行させる場合の説明図である。
図8は、ネットワーク機器をペアリングモードに移行させる場合の説明図である。
図9は、ペアリングが完了した状態を示す説明図である。
図10は、水まわり機器が温水洗浄便座である場合の斜視図である。
図11は、水まわり機器が小便器である場合の斜視図である。
【0090】
図7~
図9に示すトイレ室TRは、男性用のトイレ室TR1と、女性用のトイレ室TR2とが隣接している。トイレ室TR1には、例えば温水洗浄便座10a~10d、小便器10e~10i、自動水栓10j,10k、および手乾燥装置10mなどの水まわり機器10が設けられている。また、トイレ室TR2には、温水洗浄便座10n,10p~10t、自動水栓10u,10v、および手乾燥装置10wなどの水まわり機器10が設けられている。
【0091】
なお、水まわり機器10は、これに限らず、図示しないオートソープディスペンサや電気温水器などの他の機器が設けられていてもよい。そして、トイレ室TR1には、トイレ室TR1用のネットワーク機器20aが設けられ、トイレ室TR2には、トイレ室TR2用のネットワーク機器20bが設けられている。
【0092】
ここで、
図10に示すように、温水洗浄便座10aは、大便器100の上方に設けられている。温水洗浄便座10aの機器本体11は、便座11aと、便座11aに座った使用者の人体局部(「おしり」など)に洗浄水を吐水する洗浄ノズル11bと、便座11aの上方を覆う蓋部11cと、人体を検知する人体検知部12と、温水洗浄便座10aの作動を制御する制御部13と、制御部13が実行する制御プログラムが格納される記憶部14と、を有している。
【0093】
まず、温水洗浄便座10aの通信機16とネットワーク機器20aとを初めてペアリングする初回ペアリングについて説明する。
【0094】
初回ペアリングの場合には、例えば温水洗浄便座10aの着座センサ12aが便座11aへの着座を検知している第1切換操作があるときに、温水洗浄便座10aが第1状態から第2状態となるように設定されている。なお、温水洗浄便座10aの前方にいる人体を検知する人体検知センサ12bが人体を検知しているときに、温水洗浄便座10aが第1状態から第2状態となるように設定されていてもよい。
【0095】
図7に示すように、管理者は、温水洗浄便座10aの便座11aに着座した状態で指令装置25を操作することにより、通信機16をペアリングモードに移行させることができる。なお、
図7では、説明の便宜のために便座11aの着座状態を斜線で示している。
【0096】
管理者が便座11aに着座せずに指令装置25を操作した場合には、温水洗浄便座10aが第1状態にあるので、通信機16をペアリングモードに移行させることはできない。すなわち、温水洗浄便座10aをペアリングモードに移行させるために指令装置25を操作したときに、隣接する温水洗浄便座10bがペアリング指令信号を受信しても、温水洗浄便座10bは第1状態であるので、ペアリングモードに移行しない。小便器10e~10i、自動水栓10j,10k、手乾燥装置10m、およびトイレ室TR2に設けられた他の水まわり機器10についても同様に、ペアリング指令信号を受信しても各水まわり機器10が第1状態にあるので、それぞれの通信機16がペアリングモードに移行することはない。
【0097】
すなわち、初回ペアリングの場合には、トイレ室TRがまだ使用されていない施工時の場合が多いので、他の水まわり機器10が使用状態になることは少ない。従って、ペアリングを行いたい通信機16の水まわり機器10が使用状態にあることを第2状態とすることで、簡単にペアリング作業を行うことができるとともに、誤ペアリングを抑制することができる。
【0098】
次に、
図8に示すように、管理者は、設定装置27を操作する。この場合、ネットワーク機器20aとネットワーク機器20bとは、両方とも設定装置27の通信範囲内に設けられているので、設定装置27にはどちらのネットワーク機器20をペアリングモードに移行させるかの選択画面が表示される。そして、管理者がネットワーク機器20aを選択することで、設定装置27からネットワーク機器20aに第2ペアリング指令信号が送信される。ネットワーク機器20aは、第2ペアリング指令信号を受信すると、ペアリングモードに移行する。
【0099】
図9に示すように、温水洗浄便座10aの通信機16とネットワーク機器20aとの両方がペアリングモードに移行すると、通信機16とネットワーク機器20aとが自動的にペアリングされる。この場合、設定装置27には、ペアリングされた通信機16の識別情報が表示される。なお、誤ペアリングの表示がある場合には、誤ペアリングした通信機16とネットワーク機器20とのペアリングを設定装置27で解除することができる。そして、ペアリングがなされた後には、温水洗浄便座10aの通信機16とネットワーク機器20aとに互いの識別情報が記憶されて、第2通信規格によりデータ通信を行うことができる。
【0100】
他の水まわり機器10も同様の作業手順により、通信機16とネットワーク機器20とをペアリングさせることができる。例えば、
図11に示す小便器10eでは、管理者が小便器10eの前に立っている状態で、指令装置25を操作することにより、小便器10eの通信機16をペアリングモードに移行させることができる。すなわち、小便器10eの通信機16は、小便器10eの人体検知センサ12cが人体を検知している状態でペアリング指令信号を受信すると、ペアリングモードに移行する。
【0101】
なお、管理者が小便器10eの人体検知センサ12bに検知されずに指令装置25を操作した場合には、通信機16をペアリングモードに移行させることはできない。すなわち、小便器10eの通信機16をペアリングモードに移行させるために指令装置25を操作したときに、隣接する小便器10fがペアリング指令信号を受信しても、小便器10fの通信機16は人体検知センサが人体を検知していないので、ペアリングモードに移行しない。
【0102】
なお、通信機16は、ペアリングモードを所定時間継続させることができる。従って、複数の水まわり機器10の各通信機16をペアリングモードに移行させて、前記所定時間以内にネットワーク機器20をペアリングモードに移行させることで、複数の水まわり機器10の各通信機16とネットワーク機器20とをまとめてペアリングすることができる。これにより、誤ペアリングを抑制するとともに、ペアリング作業の作業時間を低減させることができるので、ペアリング作業の作業効率を向上することができる。
【0103】
次に、例えばネットワーク機器20aを他のネットワーク機器20に交換した場合に、温水洗浄便座10aの通信機16と新たなネットワーク機器20とをペアリングする再ペアリングについて説明する。再ペアリングの場合には、トイレ室TRに設置された他の水まわり機器10の各通信機16もネットワーク機器20とペアリングされている状態となっている。すなわち、水まわり機器10の通信機16にネットワーク機器20の識別情報が記憶されている場合には、その後に行われる通信機16とネットワーク機器20とのペアリングは再ペアリングとなる。
【0104】
ここで、再ペアリングでも水まわり機器10への第1切換操作で第1状態から第2状態に切り換えられるとすると、例えば温水洗浄便座10nに使用者が着座することにより、温水洗浄便座10nが第2状態となってしまう。そして、温水洗浄便座10aの通信機16をペアリングモードに移行させるために指令装置25を操作したときに、指令装置25の通信範囲が温水洗浄便座10nまで含んでいると、温水洗浄便座10nの通信機16もペアリングモードに移行してしまい、誤ペアリングがなされる虞がある。従って、このような場合には、他の水まわり機器10の使用を禁止しなければならず、トイレ室TRの利便性が低下する虞がある。
【0105】
そこで、再ペアリングの場合には、第1切換操作による第1状態から第2状態への切り換えが禁止されている。そして、再ペアリングの場合には、第1切換操作とは異なる第2切換操作を水まわり機器10に行うことにより、水まわり機器10を第1状態から第2状態に切り換えることができる。例えば、温水洗浄便座10aの電源スイッチである操作部15をOFFからONに操作してから所定時間以内に、リモコンから所定の信号を所定回数受信し、かつ便蓋を所定回数開閉操作した第2切換操作があるときに、温水洗浄便座10aが第1状態から第2状態となるように設定されている。
【0106】
そして、管理者は、温水洗浄便座10aに第2切換操作を行ってから所定時間の間に指令装置25を操作することにより、温水洗浄便座10aの通信機16をペアリングモードに移行させることができる。このペアリングモードは、所定時間継続される。この所定時間の間に設定装置27を操作して、新たなネットワーク機器20をペアリングモードに移行させる。再ペアリングでの新たなネットワーク機器20のペアリングモードへの移行は、初回ペアリングと同様に行われる。
【0107】
温水洗浄便座10aの通信機16と新たなネットワーク機器20との両方がペアリングモードに移行すると、通信機16と新たなネットワーク機器20とが自動的にペアリングされる。この場合、設定装置27には、ペアリングされた通信機16の識別情報が表示される。なお、誤ペアリングの表示がある場合には、誤ペアリングした通信機16とネットワーク機器20とのペアリングを設定装置27で解除することができる。
【0108】
そして、ペアリングがなされた後には、通信機16の記憶部19に新たなネットワーク機器20の識別情報が書き換えられる。また、新たなネットワーク機器20には、温水洗浄便座10aの通信機16の識別情報が記憶される。その後、温水洗浄便座10aの通信機16と新たなネットワーク機器20とは、第2通信規格によりデータ通信を行うことができる。
【0109】
他の水まわり機器10も同様に第2切換操作により、通信機16とネットワーク機器20とを再ペアリングさせることができる。例えば、
図11に示す小便器10eでは、電源スイッチである操作部15をOFFからONに操作してから所定時間以内に、人体検知センサ12cを所定回数検知させて、指令装置25を操作することにより小便器10eの通信機16をペアリングモードに移行させることができる。
【0110】
なお、通信機16は、ペアリングモードを所定時間継続させることができる。従って、複数の水まわり機器10の通信機16をペアリングモードに移行させて、前記所定時間以内に新たなネットワーク機器20をペアリングモードに移行させることで、複数の水まわり機器10の各通信機16と新たなネットワーク機器20とをまとめてペアリングすることができる。これにより、誤ペアリングを抑制するとともに、再ペアリング作業の作業時間を低減させることができるので、再ペアリング作業の作業効率を向上することができる。
【0111】
このように、第2切換操作は、第1切換操作とは異なり、水まわり機器10の通常の使用では行われないような複雑な操作となっている。これにより、他の水まわり機器10の使用を禁止することなく、水まわり機器10の通信機16と新たなネットワーク機器20との再ペアリングを行うことができる。従って、水まわり機器10の通信システム1は、誤ペアリングを抑制できるとともに、水まわり機器10や水まわり機器10が設置されている施設の利便性が損なわれるのを低減できる。
【0112】
かくして、本実施形態による水まわり機器の通信システム1は、通信機16を有する複数の水まわり機器10と、ネットワークを介して外部機器40に接続されるネットワーク機器20と、通信機16とネットワーク機器20とをペアリングするためのペアリング指令信号を通信機16に送信する指令装置25と、を備えている。
【0113】
そして、水まわり機器10は、ペアリングを許容しない第1状態と、水まわり機器10への切換操作(第1切換操作、第2切換操作)により第1状態から切り換えられペアリングを許容する第2状態と、を有し、通信機16は、指令装置25から送信されたペアリング指令信号を受信した場合に、水まわり機器10が第1状態であるときにはネットワーク機器20とペアリングするためのペアリングモードに移行せず、指令装置25から送信されたペアリング指令信号を受信した場合に、水まわり機器10が第2状態であるときにはネットワーク機器20とペアリングするためのペアリングモードに移行し、切換操作は、通信機16の記憶部19にネットワーク機器20の識別情報が記憶されていない初回ペアリングの場合と、記憶部19にネットワーク機器20の識別情報が記憶されている再ペアリングの場合とで異なっている。
【0114】
これにより、通信機16は、指令装置25からペアリング指令信号を受信しても、水まわり機器10が第2状態になければペアリングモードに移行しないので、ネットワーク機器20と通信機16との誤ペアリングを抑制することができる。また、例えば再ペアリングでの第1状態から第2状態への第2切換操作を初回ペアリングのときの第1切換操作よりも複雑にすることで、再ペアリングの場合に他の通信機16がペアリング指令信号を受信しても、ペアリングモードに移行するのを抑制できる。従って、水まわり機器10とネットワーク機器20とのペアリング作業の作業負担を低減できる。
【0115】
また、切換操作は、初回ペアリングよりも再ペアリングの方が操作回数が多くなっている。これにより、水まわり機器10を第1状態から第2状態に切り換える操作は、再ペアリングの方が初回ペアリングよりも複雑となる。従って、例えば水まわり機器10の使用者がいない施工時などで行われる初回ペアリングでは、簡単に複数の水まわり機器10の通信機16とネットワーク機器20とをペアリングできる。一方、再ペアリングでは、第1状態から第2状態への第2切換操作を水まわり機器10の通常の使用ではなされないような操作回数とすることで、他の水まわり機器10の使用を禁止することなくペアリング作業を行うことができる。
【0116】
また、水まわり機器10は、水まわり機器10の作動を開始するための操作部15を有し、再ペアリングでの第2切換操作は、操作部15への操作が含まれている。これにより、水まわり機器10を作動させる電源スイッチや水まわり機器10の機能を作動させる操作スイッチなどの既存の操作部15を利用することにより、再ペアリングを行うことができる。従って、再ペアリングを行うための特別な装置などを用意する必要がなく、ペアリング作業の作業効率を向上することができる。
【0117】
また、通信機16とネットワーク機器20とのペアリングは、通信機16とネットワーク機器20との両方がペアリングモードに移行している場合に実行される。これにより、例えば複数の水まわり機器10をペアリングモードに移行させた状態でネットワーク機器20をペアリングモードに移行させることで、複数の水まわり機器10とネットワーク機器20とをまとめてペアリングさせることができる。従って、複数の水まわり機器10とネットワーク機器20とのペアリング作業の作業負担を低減できる。
【0118】
また、水まわり機器10は、便座11aへの着座を検知する着座センサ12aを有する温水洗浄便座10aを有し、初回ペアリングでの第1切換操作は、着座センサ12aが着座を検知した場合となっている。これにより、初回ペアリングの場合に、温水洗浄便座10aの着座センサ12aを利用して、簡単に温水洗浄便座10aの通信機16をペアリングモードに移行させることができる。また、他の水まわり機器10の通信機16は、ペアリング指令信号を受信したとしてもペアリングモードに移行しない。従って、他の水まわり機器10の通信機16が意図せずにペアリングモードに移行してしまうのを抑制できる。
【0119】
また、水まわり機器10は、前方に位置する人体を検知する人体検知センサ12cを有する小便器10eを有し、初回ペアリングでの第1切換操作は、人体検知センサ12cが人体を検知した場合となっている。これにより、初回ペアリングの場合に、小便器10eの人体検知センサ12cを利用して、簡単に小便器10eの通信機16をペアリングモードに移行させることができる。また、他の水まわり機器10の通信機16は、ペアリング指令信号を受信したとしてもペアリングモードに移行しない。従って、他の水まわり機器10の通信機16が意図せずにペアリングモードに移行してしまうのを抑制できる。
【0120】
次に、
図12~
図14を参照して、本発明の第2実施形態による水まわり機器の通信システムについて説明する。第2実施形態の特徴は、ペアリング指令信号を機器本体の通信部で受信することにある。なお、第2実施形態では、上述した第1実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0121】
図12は、本発明の第2実施形態による水まわり機器の通信システムを模式的に示すブロック図である。
図13は、通信機の制御部で実行される制御処理を示す流れ図である。
図14は、機器本体の制御部で実行される制御処理を示す流れ図である。
【0122】
通信部70は、機器本体11に設けられている。この通信部70は、指令装置25から送信されるペアリング指令信号を受信する受信部70aと、制御部13により制御されるペアリング許可信号を通信機16に送信する送信部70bと、を有している。なお、通信部70は、指令装置25に限らず、水まわり機器10を作動させるための操作装置(リモコン)などの他の機器と通信してもよい。
【0123】
図14に示すように、機器本体11の制御部13では、
図5中のS21に代えて、S41(指令装置25から第1ペアリング指令信号を受信したか)が適用される。そして、機器本体11の制御部13は、第1ペアリング指令信号と水まわり機器10の第2状態とに基づき、通信機16にペアリング許可信号を送信する。また、
図13に示すように、通信機16の制御部18では、
図3中のS1とS2とが省略され、機器本体11の制御部13からのペアリング許可信号によりペアリングモードに移行する。
【0124】
このように構成された第2実施形態においても、第1実施形態と同様に複数の水まわり機器10とネットワーク機器20とのペアリング作業の作業負担を低減できる。第2実施形態では、例えば水まわり機器10に設けられている通信部70を利用してネットワーク構築を行うことができる。
【0125】
次に、
図10を参照して、本発明の第3実施形態による水まわり機器の通信システムについて説明する。第3実施形態の特徴は、ペアリングを行うための専用の指令装置25に代えて、水まわり機器10を作動させるための操作装置に指令装置の機能をもたせたことにある。なお、第2実施形態では、上述した第1実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0126】
操作装置80は、例えば温水洗浄便座10aの側方に立設する壁面に設けられたリモコンとなっている。この操作装置80は、例えばスイッチまたはボタンなどを有し、便器洗浄や局部洗浄などの各機能を操作するためのものである。また、操作装置80は、水まわり機器10にペアリング指令信号を送信するリモコンも兼ねている。
【0127】
ペアリング指令信号は、例えば操作装置80の通常の使用では送信されないようになっている。例えば、操作装置80は、管理者しか開けられない蓋部の内部にペアリング指令用のスイッチを有していてもよい。また、操作装置80は、例えば便器洗浄スイッチを所定時間の間に複数回操作したり、複数のスイッチを任意の順番で操作したりするなど、スイッチに通常の使用とは異なる特殊な操作を行うことで、ペアリング指令信号を送信するようにしてもよい。
【0128】
このように構成された第3実施形態においても、第1実施形態と同様に複数の水まわり機器10とネットワーク機器20とのペアリング作業の作業負担を低減できる。第3実施形態では、水まわり機器10を作動させる操作装置80を利用してネットワーク構築を行うことができる。従って、ネットワーク構築を行うための専用の指令装置を用意する必要がないので、管理者が指令装置を持ち運ぶ必要がなく、効率よくネットワーク構築を行うことができる。
【0129】
図15は、本発明の変形例に係る水まわり機器の通信システムのペアリング設定を示す説明図である。
上述した第1実施形態では、
図9に示すように、通信機16とネットワーク機器20との両方がペアリングモードとなったときに、自動的にペアリングされる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば
図15に示す変形例のように、通信機16とネットワーク機器20との両方がペアリングモードとなったときに、通信機16とネットワーク機器20とをペアリングする前に、設定装置27でペアリングするか否かを確認してもよい。すなわち、通信機16とネットワーク機器20との両方がペアリングモードに移行して、設定装置27でペアリングの許可を指示した後に、通信機16とネットワーク機器20とがペアリングされてもよい。このことは、第2、第3実施形態についても同様である。
【0130】
また、上述した第1実施形態では、機器本体11の制御部13が水まわり機器10の第2状態を検出して、通信機16にペアリング許可信号を送信した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば通信機16の制御部18が水まわり機器10の第2状態を検出して、制御部18がペアリングモードに移行するか否かを判定してもよい。このことは、第2、第3実施形態、および変形例についても同様である。
【0131】
また、上述した第3実施形態では、操作装置80が水まわり機器10とは離れた位置に設けられたリモコンである場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば操作装置が水まわり機器10に直接設けられていてもよい。すなわち、操作装置(指令装置25)は、有線により通信機16や通信部70に接続されていてもよい。
【0132】
また、上述した第1実施形態では、外部機器40をクラウドサーバとした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば外部機器40で行われる制御処理を管理者端末50で行ってもよい。すなわち、管理者端末50が外部機器40の制御機能を有していてもよい。換言すると、管理者端末50が水まわり機器10の管理を直接行ってもよい。このことは、第2、第3実施形態、および変形例についても同様である。
【0133】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、水まわり機器の通信システム1が備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0134】
1 水まわり機器の通信システム、 10 水まわり機器、 10a~10d,10n,10p~10t 温水洗浄便座、 10e~10i 小便器、 11 機器本体、 11a 便座、 12 人体検知部、 12a 着座センサ、 12b,12c 人体検知センサ、 13 制御部、 14 記憶部、 15 操作部、 16 通信機、 17a 第1通信部、 17a1 受信部、 17a2 送信部、 17b 第2通信部、 17b1 受信部、 17b2 送信部、 18 制御部、 19 記憶部、 20 ネットワーク機器、 21 通信部、 21a 受信部、 21b 送信部、 22 制御部、 23 記憶部、 25 指令装置、 27 設定装置、 30,35 ネットワーク、 40 外部機器、 50 管理者端末、 50a 携帯端末、 50b PC端末、 60 表示部、 70 通信部、 70a 受信部、 70b 送信部、 80 操作装置、 100 大便器、 101 ネットワークシステム、 TR トイレ室