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  • 特許-運転支援システム及び運転支援方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】運転支援システム及び運転支援方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
G05B23/02 X
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020214108
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2022100000
(43)【公開日】2022-07-05
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517107634
【氏名又は名称】SOINN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】國政 瑛大
(72)【発明者】
【氏名】日隈 克敏
(72)【発明者】
【氏名】井加田 洸輔
(72)【発明者】
【氏名】梅津 雄一
【審査官】西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-118574(JP,A)
【文献】特開2020-021108(JP,A)
【文献】特開2020-181363(JP,A)
【文献】特開2019-159675(JP,A)
【文献】特開2020-181296(JP,A)
【文献】特開2013-058137(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0349740(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械設備の運転操作を支援する運転支援システムであって、
前記機械設備に設けられた監視機器から取得できる前記機械設備のある時点における又はある時点までの状態情報と当該ある時点の所定時間後における前記機械設備の運転状態とが関連付けされた状態予測データが記憶された状態予測データ記憶部と、
前記監視機器から前記機械設備のその時における又はその時までの状態情報を取得し、取得した前記機械設備の状態情報と前記状態予測データ記憶部に記憶された前記状態予測データとに基づいて、前記機械設備の状態情報の取得から所定時間後における前記機械設備の運転状態を予測する運転状態予測部と、
前記運転状態予測部が予測した前記機械設備の運転状態に基づいて前記機械設備に対して実施する理論操作を決定する理論操作決定部と、
前記理論操作決定部で決定した前記理論操作に基づいて、推奨操作を決定して出力する推奨操作決定部と、を備えている、運転支援システム。
【請求項2】
過去に実施された運転操作である経験操作とその経験操作が実施された時における又はその経験操作が実施されるまでの前記機械設備の状態情報とが関連付けされた経験データが記憶された経験データ記憶部と、
前記監視機器から前記機械設備のその時における又はその時までの状態情報を取得し、前記経験データ記憶部に記憶された前記経験データを参照して前記監視機器から取得した前記機械設備の運転状態に対応する経験操作を決定する経験操作決定部と、をさらに備え、
前記推奨操作決定部は、前記理論操作決定部で決定した前記理論操作と前記経験操作決定部で決定した前記経験操作とが一致する操作を推奨操作として出力する、請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項3】
予め定めた規制操作が記憶された規制操作データ記憶部をさらに備え、
前記推奨操作決定部は、前記理論操作決定部で決定した前記理論操作と前記経験操作決定部で決定した前記経験操作とが一致する操作であって、かつ、前記規制操作データ記憶部で記憶された前記規制操作に該当しない操作を推奨操作として出力する、請求項2に記載の運転支援システム。
【請求項4】
機械設備の運転操作を支援する運転支援方法であって、
前記機械設備に設けられた監視機器から取得できる前記機械設備のある時点における又はある時点までの状態情報と当該ある時点の所定時間後における前記機械設備の運転状態とが関連付けされた状態予測データを記憶しておき、前記監視機器から前記機械設備のその時における又はその時までの状態情報を取得し、取得した前記機械設備の状態情報と前記状態予測データとに基づいて、前記機械設備の状態情報の取得から所定時間後における前記機械設備の運転状態を予測し、予測した前記機械設備の運転状態に基づいて前記機械設備に対して実施する理論操作を決定し、決定した前記理論操作に基づいて、推奨操作を決定して出力する、運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、機械設備の運転操作を支援する運転支援システム及び運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経験の少ないオペレータは、プラントなどの機械設備を適切に運転操作することが容易でない場合がある。そこで、推奨操作をモニター等に出力しオペレータに提示することで、運転操作を支援する運転支援システム及び運転支援方法が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-159675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような運転支援システム及び運転支援方法では、より適切な推奨操作を出力することが望まれる。そこで、本願は適切な推奨操作を出力することができる運転支援システム及び運転支援方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の一態様に係る運転支援システムは、機械設備の運転操作を支援する運転支援システムであって、前記機械設備に設けられた監視機器から取得できる前記機械設備のある時点における又はある時点までの状態情報と当該ある時点の所定時間後における前記機械設備の運転状態とが関連付けされた状態予測データが記憶された状態予測データ記憶部と、前記監視機器から前記機械設備のその時における又はその時までの状態情報を取得し、取得した前記機械設備の状態情報と前記状態予測データ記憶部に記憶された前記状態予測データとに基づいて、前記機械設備の状態情報の取得から所定時間後における前記機械設備の運転状態を予測する運転状態予測部と、前記運転状態予測部が予測した前記機械設備の運転状態に基づいて前記機械設備に対して実施する理論操作を決定する理論操作決定部と、前記理論操作決定部で決定した前記理論操作に基づいて、推奨操作を決定して出力する推奨操作決定部と、を備えている。
【0006】
この構成によれば、機械設備の状態情報の取得から所定時間後における機械設備の運転状態を考慮して推奨操作を決定し出力するため、その時の状態情報のみにとらわれない適切な推奨運転を出力することができる。
【0007】
本願の一態様に係る運転支援方法は、機械設備の運転操作を支援する運転支援方法であって、前記機械設備に設けられた監視機器から取得できる前記機械設備のある時点における又はある時点までの状態情報と当該ある時点の所定時間後における前記機械設備の運転状態とが関連付けされた状態予測データを記憶しておき、前記監視機器から前記機械設備のその時における又はその時までの状態情報を取得し、取得した前記機械設備の状態情報と前記状態予測データとに基づいて、前記機械設備の状態情報の取得から所定時間後における前記機械設備の運転状態を予測し、予測した前記機械設備の運転状態に基づいて前記機械設備に対して実施する理論操作を決定し、決定した前記理論操作に基づいて、推奨操作を決定して出力する。
【0008】
この方法によれば、機械設備の状態情報の取得から所定時間後における機械設備の運転状態を考慮して推奨操作を決定し出力するため、その時の状態情報のみにとらわれない適切な推奨運転を出力することができる。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によれば、適切な推奨操作を出力することができる運転支援システム及び運転支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、運転支援システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<運転支援システムの概要>
以下、実施形態に係る運転支援システム100について説明する。図1は、運転支援システム100のブロック図である。運転支援システム100は、オペレータによる機械設備101の運転操作を支援するシステムである。機械設備101には、ごみ焼却設備などのプラントの他、産業ロボット等が含まれる。
【0012】
運転支援システム100は、機械設備101に設けられた監視機器102から機械設備101の状態情報を取得し、その状態情報に基づいて種々の演算を行い、出力装置103に推奨操作を出力する。例えば、機械設備101がごみ焼却設備である場合には、焼却炉内を撮影するカメラ、焼却炉内の温度を測定する温度センサ、焼却炉内のごみの積載量を測定する測量センサ、焼却炉内に供給する空気の流量を測定する流量計などが、監視機器102に該当する。そして、焼却炉内を撮影した画像データ、焼却炉内の温度、焼却炉内のごみの積載量、焼却炉内に供給する空気の流量などが、機械設備101の状態情報に該当する。なお、画像データの場合は、画像データを数値化し、これを機械設備101の状態情報としてもよい。例えば、炎の大きさ、炎の位置、燃焼炉内におけるごみの位置などを数値化したものを機械設備101の状態情報としてもよい。
【0013】
さらに、ディスプレイ及びスピーカなどが、前述の出力装置103に該当する。出力装置103がディスプレイの場合は推奨操作を表示し、スピーカの場合は推奨操作を音声で出力する。このように運転支援システム100は、出力装置103に推奨操作を出力しオペレータに提示することにより、オペレータは提示された推奨操作を参照して適切な運転操作を実施することができる。したがって、運転支援システム100が出力する推奨操作は、より適切であることが望まれる。
【0014】
図1に示すように、運転支援システム100は制御装置10を備えている。制御装置10は、CPU、RAM、ROM等によって構成されている。制御装置10は、機能的な構成要素として、状態予測データ記憶部11と、運転状態予測部12と、理論操作決定部13と、経験データ記憶部14と、経験操作決定部15と、規制操作データ記憶部16と、推奨操作決定部17と、を備えている。以下、これらの構成要素について順に説明する。
【0015】
<状態予測データ記憶部>
状態予測データ記憶部11は、状態予測データを記憶する部分である。状態予測データは、監視機器102から取得できる機械設備101のある時点における又はある時点までの状態情報と当該ある時点の所定時間後における機械設備101の運転状態とが関連付けされたデータである。ここで、機械設備101の運転状態は、機械設備101の運転状態を判断する指標となる数値であってもよい。例えば、ごみ焼却設備におけるボイラが生成する蒸気量を機械設備101の運転状態としてもよい。
【0016】
上記の例で言えば、ある時点における燃焼炉内の温度(又はある時点までの燃焼炉内の上昇温度)がXであるとき(状態情報)、その時点の所定時間後の蒸気量がYになる(運転状態)と予測される場合は、これらが関連付けされて状態予測データとして状態予測データ記憶部11に記憶される。上記の状態予測データは、過去に運転が実施されたときの機械設備101の状態情報の履歴データと機械設備101の運転状態の履歴データを照らし合わせることにより作成できる。ただし、状態予測データは、シミュレーションを行うことにより作成してもよい。
【0017】
また、運転状態の1つの項目と関連づけされる状態情報の項目は1つであってもよく複数であってもよい。さらに、状態情報の1つの項目に関連付けされる運転状態の項目は1つであってもよく複数であってもよい。なお、状態予測データは、最新の機械設備101の状態情報の履歴データ及び機械設備101の運転状態の履歴データに基づいて順次更新してもよい。
【0018】
<運転状態予測部>
運転状態予測部12は、監視機器102から機械設備101のその時における又はその時までの状態情報を取得し、機械設備101の状態情報の取得から所定時間後における機械設備101の運転状態を予測する部分である。前述のとおり、状態予測データ記憶部11には、監視機器102から取得できる機械設備101のある時点における又はある時点までの状態情報と当該ある時点の所定時間後における機械設備101の運転状態とが関連付けされた状態予測データが記憶されている。そのため、取得した機械設備101の状態情報と上記の状態予測データ記憶部11に記憶された状態予測データに基づけば、所定時間後における機械設備101の運転状態を予測することができる。
【0019】
<理論操作決定部>
理論操作決定部13は、理論操作を決定する部分である。理論操作は、運転支援システム100が出力する推奨操作になりうる運転操作である。機械設備101がごみ焼却設備である場合、推奨操作の項目には、焼却炉内におけるごみの搬送速度の増減操作や焼却炉内に供給する空気の流量の増減操作などが含まれる。
【0020】
理論操作は、運転状態予測部12が予測した機械設備101の運転状態に基づいて決定される。理論操作は、運転状態予測部12が予測した所定時間後における機械設備101の運転状態のみに基づいて決定してもよい。ただし、本実施形態の理論操作は、運転状態予測部12が予測した所定時間後における機械設備101の運転状態に加え、監視機器102から取得した機械設備101の状態情報に基づいて決定する。
【0021】
例えば、機械設備101がごみ焼却設備である場合、運転状態予測部12が予測した所定時間後におけるごみ焼却設備の運転状態及び監視機器102から取得したごみ焼却設備の状態情報に基づけば、所定時間後におけるごみ焼却設備の問題点(ごみ枯れ、燃焼過剰など)を理論的に予測でき、この問題点に対応する運転操作も予測できる。このような機械設備101の運転状態及び状態情報に対応する運転操作を予め記憶しておけば、予測した機械設備101の運転状態及び取得した機械設備101の状態情報に基づいて、適切な運転操作を予測し、この運転操作を理論操作として決定することができる。
【0022】
理論操作決定部13が決定する理論操作は、運転操作の方向だけであってもよく、運転操作の方向と操作量の両方であってもよい。例えば、理論操作決定部13は、焼却炉内におけるごみの搬送速度を増加させるか又は減少させるかのみを決定してもよく、焼却炉内におけるごみの搬送速度を増加させるか又は減少させるかに加え増加量又は減少量を決定してもよい。
【0023】
<経験データ記憶部>
経験データ記憶部14は、経験データを記憶する部分である。経験データは、過去に実施された運転操作である経験操作とその経験操作が実施された時における又はその経験操作が実施されるまでの機械設備101の状態情報とが関連付けされたデータである。つまり、経験データは、過去に実施された運転操作とそのきっかけとなった機械設備101の運転状態とが関連付けされたデータである。
【0024】
上記の経験データは、過去に運転が実施されたときの機械設備101の状態情報の履歴データと機械設備101に対して実施した運転操作の履歴データに基づいて作成できる。例えば、機械設備101であるごみ焼却設備の運転が過去に実施され、燃焼炉内の温度がある温度以下となったときに(状態情報)、焼却炉内に供給する空気の流量を増やすという運転操作(経験操作)がオペレータにより実施された場合は、これらの状態情報と経験操作が関連付けされて経験データとして経験データ記憶部14に記憶される。
【0025】
経験データに含まれる経験操作は、運転操作の方向だけであってもよく、運転操作の方向と操作量の両方であってもよい。運転操作の1つの項目に関連づけされる状態情報の項目は1つであってもよく複数であってもよい。また、状態情報の1つの項目に関連付けされる経験操作の項目は1つであってもよく複数であってもよい。なお、経験データは、最新の機械設備101の状態情報の履歴データ及び運転操作の履歴データに基づいて順次更新してもよい。
【0026】
<経験操作決定部>
経験操作決定部15は、経験操作を決定する部分である。経験操作は、運転支援システム100が出力する推奨操作になりうる運転操作である。経験操作の項目は、理論操作の項目と同じであってもよい。上記の例でいえば、焼却炉内におけるごみの搬送速度の増減操作や焼却炉内に供給する空気の流量の増減操作などが、経験操作の項目に含まれる。
【0027】
経験操作決定部15は、監視機器102から機械設備101のその時における又はその時までの状態情報を取得し、経験データ記憶部14に記憶された経験データを参照して監視機器102から取得した機械設備101の運転状態に対応する経験操作を決定する。つまり、経験データを参照し、取得した状態情報に類似した状態情報が経験データに含まれている場合は、これに対応する運転操作を経験操作として決定する。
【0028】
<規制操作データ記憶部>
規制操作データ記憶部16は、予め定めた規制操作を記憶する部分である。規制操作は、機械設備101に対する運転操作として適切でない運転操作である。例えば、燃焼炉内の温度が上限値を超えている場合に、さらに燃焼炉内の温度が上昇するような運転操作(燃焼炉内に供給する空気の流量を増加させるなど)や排ガス規制に違反するような運転操作は規制操作に該当する。
【0029】
<推奨操作決定部>
推奨操作決定部17は、推奨操作を決定して出力装置103に出力する部分である。本実施形態の推奨操作決定部17は、理論操作決定部13で決定した理論操作と経験操作決定部15で決定した経験操作とが一致する運転操作であって、かつ、規制操作データ記憶部16で記憶された規制操作に該当しない運転操作を推奨操作として決定して出力する。なお、ここでいう「一致」とは、完全に一致する場合だけでなく、部分的に一致する場合も含む。
【0030】
例えば、理論操作決定部13で決定した理論操作が焼却炉内に供給する空気の流量を増加させるという運転操作であり、経験操作決定部15で決定した経験操作が焼却炉内に供給する空気の流量を10%増加させるという運転操作であった場合は、規制操作に該当しない限り、焼却炉内に供給する空気の流量を10%増加させるという運転操作を推奨操作に決定して出力する。
【0031】
前述のとおり、推奨操作決定部17が決定した推奨操作は出力装置103から画像または音声で出力される。オペレータは、出力装置103から出力される推奨操作を参照して、機械設備101に対して運転操作を行うため、適切な運転操作を行うことができる。以上が本実施形態に係る運転支援システム100(運転支援方法)の説明である。
【0032】
<作用効果>
以上のとおり、本実施形態に係る運転支援システムは、機械設備の運転操作を支援する運転支援システムであって、前記機械設備に設けられた監視機器から取得できる前記機械設備のある時点における又はある時点までの状態情報と当該ある時点の所定時間後における前記機械設備の運転状態とが関連付けされた状態予測データが記憶された状態予測データ記憶部と、前記監視機器から前記機械設備のその時における又はその時までの状態情報を取得し、取得した前記機械設備の状態情報と前記状態予測データ記憶部に記憶された前記状態予測データとに基づいて、前記機械設備の状態情報の取得から所定時間後における前記機械設備の運転状態を予測する運転状態予測部と、前記運転状態予測部が予測した前記機械設備の運転状態に基づいて前記機械設備に対して実施する理論操作を決定する理論操作決定部と、前記理論操作決定部で決定した前記理論操作に基づいて、推奨操作を決定して出力する推奨操作決定部と、を備えている。
【0033】
この構成によれば、機械設備の状態情報の取得から所定時間後における機械設備の運転状態を考慮して推奨操作を決定し出力するため、その時の状態情報のみにとらわれない適切な推奨運転を出力することができる。
【0034】
また、本実施形態に係る運転支援システムは、過去に実施された運転操作である経験操作とその経験操作が実施された時における又はその経験操作が実施されるまでの前記機械設備の状態情報とが関連付けされた経験データが記憶された経験データ記憶部と、前記監視機器から前記機械設備のその時における又はその時までの状態情報を取得し、前記経験データ記憶部に記憶された前記経験データを参照して前記監視機器から取得した前記機械設備の運転状態に対応する経験操作を決定する経験操作決定部と、をさらに備え、前記推奨操作決定部は、前記理論操作決定部で決定した前記理論操作と前記経験操作決定部で決定した前記経験操作とが一致する操作を推奨操作として出力している。
【0035】
この構成によれば、所定時間後における機械設備の運転状態を考慮して決定された理論操作のみならず、過去に実施された運転操作を考慮して決定された経験操作を踏まえて推奨操作を決定するため、より適切な推奨操作を出力することができる。
【0036】
また、本実施形態に係る運転支援システムは、予め定めた規制操作が記憶された規制操作データ記憶部をさらに備え、前記推奨操作決定部は、前記理論操作決定部で決定した前記理論操作と前記経験操作決定部で決定した前記経験操作とが一致する操作であって、かつ、前記規制操作データ記憶部で記憶された前記規制操作に該当しない操作を推奨操作として出力する。
【0037】
この構成によれば、規制操作に該当する運転操作が推奨操作として出力されることはないため、より適切な推奨操作を出力することができる。
【0038】
さらに、本実施形態に係る運転支援方法は、機械設備の運転操作を支援する運転支援方法であって、前記機械設備に設けられた監視機器から取得できる前記機械設備のある時点における又はある時点までの状態情報と当該ある時点の所定時間後における前記機械設備の運転状態とが関連付けされた状態予測データを記憶しておき、前記監視機器から前記機械設備のその時における又はその時までの状態情報を取得し、取得した前記機械設備の状態情報と前記状態予測データとに基づいて、前記機械設備の状態情報の取得から所定時間後における前記機械設備の運転状態を予測し、予測した前記機械設備の運転状態に基づいて前記機械設備に対して実施する理論操作を決定し、決定した前記理論操作に基づいて、推奨操作を決定して出力する。
【0039】
この方法によれば、機械設備の状態情報の取得から所定時間後における機械設備の運転状態を考慮して推奨操作を決定し出力するため、その時の状態情報のみにとらわれない適切な推奨運転を出力することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 制御装置
11 状態予測データ記憶部
12 運転状態予測部
13 理論操作決定部
14 経験データ記憶部
15 経験操作決定部
16 規制操作データ記憶部
17 推奨操作決定部
100 運転支援システム
101 機械設備
102 監視機器
103 出力装置
図1