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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】プリンタおよび同プリンタの印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 15/04 20060101AFI20240729BHJP
   B41J 11/04 20060101ALI20240729BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20240729BHJP
   B65H 27/00 20060101ALI20240729BHJP
   B65H 23/192 20060101ALI20240729BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20240729BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
B41J15/04
B41J11/04
B41J11/70
B65H27/00 Z
B65H23/192
B41J3/36 T
B41J29/38
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020070461
(22)【出願日】2020-04-09
(65)【公開番号】P2021167072
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】502038842
【氏名又は名称】株式会社デジアイズ
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】及川 森夫
(72)【発明者】
【氏名】菊池 優太
(72)【発明者】
【氏名】山田 直史
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-215899(JP,A)
【文献】特開2001-130800(JP,A)
【文献】特開2001-018939(JP,A)
【文献】特開昭59-054585(JP,A)
【文献】特開平11-320989(JP,A)
【文献】特開2012-206185(JP,A)
【文献】米国特許第05487337(US,A)
【文献】独国特許出願公開第04107164(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 15/04
B41J 11/04
B41J 11/70
B65H 27/00
B65H 23/192
B41J 3/36
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライナーレスラベル印刷用紙を搬送し、切断部により前記ライナーレスラベル印刷用紙を切断してラベルを発行するプリンタであって、
前記ライナーレスラベル印刷用紙に印字する印字部と、
前記印字部に対向して設けられ前記ライナーレスラベル印刷用紙を搬送するプラテンと、
前記プラテンの直後に設けられ前記ライナーレスラベル印刷用紙の粘着面をガイドする第1ガイド部材と、
前記第1ガイド部材と前記プラテンによって形成される隙間の直後に設けられ回転自在なローラで構成され前記ライナーレスラベル印刷用紙の粘着面をガイドする第2ガイド部材と、
を備えることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記第2ガイド部材の上端は、前記プラテンの上端よりも低く、かつ前記第1ガイド部材の上端よりも高くなっていることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記第1ガイド部材は、前記ライナーレスラベル印刷用紙の幅方向に離間して複数個所に配置されており、
前記第1ガイド部材の近傍には、前記第2ガイド部材が複数配置されていることを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記プラテンの周面と前記第1ガイド部材の上流端との隙間の調整を可能にする位置調整手段を更に有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記第1ガイド部材は、前記プリンタの両側のフレームに回転可能に支持された第1軸と、前記第1軸の上側に一定距離隔てた位置に備えられた第2軸とに連結され、
前記位置調整手段は、前記第1軸を中心として一定の角度範囲内で回動させることで前記プラテンの周面と前記第1ガイド部材の上流端との隙間の調整を行なうことを特徴とする請求項4に記載のプリンタ。
【請求項6】
請求項1又は5に記載のプリンタの印刷方法であって、印刷動作を実施しようとする時、印刷動作後の経過時間が規定時間以内であれば直ちに印刷動作を行い、規定時間を経過した場合は、前記ライナーレスラベル印刷用紙の前後移動を行った後に印刷動作を行うことを特徴とするプリンタの印刷方法。
【請求項7】
請求項1又は5に記載のプリンタの印刷方法であって、印刷動作を実施しようとする時、印刷動作後の経過時間が規定時間以内であれば直ちに印刷動作を行い、経過時間の長さにより前後移動の回数を変更し、かつ経過時間が何日にもわたる場合は、前記ライナーレスラベル印刷用紙が再セットされないと印刷動作に移行しないことを特徴とするプリンタの印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷される面の裏面に塗着されている糊が互いに粘着するのを防ぐライナーを有しないロール状の連続紙をラベル印刷用紙として用いるプリンタおよび同プリンタの印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベル用紙に印刷する印刷ヘッドに対向して設けられたプラテンローラと、印刷ヘッドとプラテンとのニップ部の上流側に備えられてラベル用紙を案内する上流側用紙ガイドと前記ニップ部の下流側に備えられてラベル用紙をカッターの固定刃と可動刃の間に案内する下流側用紙ガイドを備えたラベルプリンタが存在する。
【0003】
一般に、ラベルプリンタにおいては、ラベル用紙装填部に装填されているラベル用紙を引き出し、そのラベル用紙の先端の印刷面がサーマルヘッドなどの印刷ヘッド側に存在し、糊面がプラテン側に存在する状態で、ラベル用紙の先端を印刷ヘッドとプラテンのニップ部に挟持して、印刷開始のスタンバイ状態とされる。そして、印刷開始とともにプラテンが所定方向に所定角度回転され、プラテンを含む搬送手段によりラベル用紙が所定量搬送されて印刷ヘッドによりラベル用紙の印刷面に印刷されるとともに、ラベル用紙が引き続き搬送され、ラベル用紙の先端が下流側用紙ガイドによりカッターの可動刃と固定刃の間に案内され、さらに所定量の搬送が終了したときにラベル用紙がカッターにより切断されて、表面に印刷され、裏面に糊を有する所定寸法のラベルが発行される。切断後のラベル用紙は、搬送手段の逆転によりラベル用紙の先端が印刷ヘッドとプラテンのニップ部に挟持される位置まで引き戻されて、次の印刷を待機する。
【0004】
搬送手段の一部を構成するプラテンには、ローラのほかベルト等も多く採用されている。いずれの場合も、ラベル用紙の糊面がプラテンと直接接触または圧接状態となるため、とくに印刷待機時間が長くなるほど、糊がプラテンに貼り付き、その後の印刷開始の際にラベル用紙の先端がプラテンからうまく分離できず、ジャムを誘発するという問題が起きている。
【0005】
図18図22cを用い、従来のラベルプリンタの一例についてさらに詳説する。
図18は、用紙装填部102にラベル用紙pが装填されているラベルプリンタRP’の斜視図であり、図19は、図18のアッパユニット200を取り外した状態の斜視図である。ラベルプリンタRP’は、ロワユニット100の前側上部(図18では左側)に、水平軸s1を中心に回転して開閉可能なアッパユニット200が設けてある。アッパユニット200には、図20に示すように、その前部下面に印刷ヘッド203が設けられ、その印刷ヘッド203の上流側、すなわち、用紙装填部102に近い側に上流側用紙ガイド202が備えてあり、印刷ヘッド203の下流側、すなわち、用紙装填部102から遠い側に下流側用紙ガイド202’が備えてある。
【0006】
ロワユニット100の前側上面のアッパユニット200の印刷ヘッド203に対向する位置にプラテン104が回転可能に備えられ、そのプラテン104の前後に上流側用紙ガイド103と下流側用紙ガイド103’が備えられている。下流側用紙ガイド103’は、ラベル用紙pの幅方向に連続する薄い板で形成され、その下流側の先端に楔状に形成された分離部を有し、その分離部の先端をプラテン104の周面にできるだけ接近させた状態で固定されている。
【0007】
ラベル用紙pの搬送手段として、ロワユニット100に、図示されていない制御装置により駆動されるモータ107が取り付けられ、そのモータ107からの動力がベルト及びプーリを介してプラテン104に与えられ、プラテン104の所定角度回転によりラベル用紙pが所定量搬送される。
【0008】
アッパユニット200の上流側用紙ガイド202と下流側用紙ガイド202’およびロワユニット100の上流側用紙ガイド103と下流側用紙ガイド103’は、ラベル用紙pの搬送路を構成している。
【0009】
上記従来の構成では、(ア)プラテン104に貼り付いたラベル用紙pを下流に搬送しようとした時、プラテン104からラベル用紙pがうまく離れず、図21aに示すように、ラベル用紙pの先端がプラテン104と下流側用紙ガイド103’との間の隙間に入り込んで、図21bに示すように、プラテン104に巻付いていた。
その防止策として従来採用されているのは、サーマルプリンタやレーザープリンタにおいて、プラテン104に油を含浸させるか、塗布などをして、ラベル用紙pの糊がプラテン104に付き難くすることである。
【0010】
(イ)ラベル用紙pの先端がプラテン104と下流側用紙ガイド103’との隙間に入ることなく移動された場合、図22aに示すように、ラベル用紙pの先端が下流側用紙ガイド103’のザラザラな上面に突き当たったり、摩擦抵抗で先端が移動できなくなると、図22bに示すように、上流から押し出されるラベル用紙pが進むことができず、大きく座屈し、やがては座屈したラベル用紙pがプラテン104と下流側用紙ガイド103’との間の隙間に押し込まれて、図22cに示すように、プラテン104に巻付くことや、巻付きまではしないが、搬送路上で腰折れしてジャムが発生していた。
【0011】
(ウ)連続のラベル発行や搬送動作が終了または中断し、ラベル用紙とプラテンの圧接状態が継続すると、時間の経過によりラベル用紙とプラテンの接着力(剥離力)が増加していき、プラテンへの巻き込み頻度も増えていく。さらに、サーマルプリンタなどで印刷後の中断となれば、蓄熱した印刷ヘッドにより糊が軟化し、プラテンの外周に拡散する。その糊が冷却すると、接着力(剥離力)が更に増加するので、プラテンへの巻込みが多発していた。
【0012】
ラベル用紙pがプラテン104に巻付いたり、ジャムが発生すると、その復旧処理に時間がかかるため、円滑に進んでいた業務が停止または停滞されたり、部品の破損を招いたり、メディアの無駄な消費を伴うなどの多くの損失を発生する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2009-107287号公報
【文献】特開2016-221839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、ラベル用紙がプラテンと下流側用紙ガイドの隙間に押し込まれてプラテンに巻付いたり、巻付きまではしないが、搬送路上で腰折れしたりして、ジャムが発生するのを防止し得るラベルプリンタを提供すること、およびそのプリンタの印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明は、一側面において、ラベル用紙を搬送し、切断部により前記ラベル用紙を切断してラベルを発行するプリンタであって、前記ラベル用紙に印字する印字部と、前記印字部に対向して設けられたプラテンと、前記プラテンの下流側に設けられ前記ラベル用紙の粘着面をガイドする第1ガイド部材と、回転自在なローラで構成され前記ラベル用紙の粘着面をガイドする第2のガイド部材と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態に係るプリンタのアッパユニットが開けられた状態の斜視図である。
図2図1のプリンタのアッパユニットが取り外された状態の斜視図である。
図3図1のプリンタのアッパユニットが閉じられている状態の側面図である。
図4図3のプリンタの正面図である。
図5図4のA-A線に沿った、下半部を省略した断面図である。
図6図4のB-B線に沿った一部の断面図である。
図7図1のプリンタに備えられている用紙ガイド機構を抽出して示す斜視図である。
図8図5の要部の拡大図であり、プラテンと下流側用紙ガイドの先端との間の隙間を説明する図である。
図9図8と同様の拡大図であり、プラテンの上面と下流側用紙ガイドの上面およびフリーローラの上面の高さの違いを説明する図である。
図10a】ラベル用紙の先端が印刷ヘッドとプラテンのニップ部を通過した直後の作用を説明する図である。
図10b】ラベル用紙の先端が下流側用紙ガイドに設けてあるフリーローラに到達したときの作用を説明する図である。
図10c】ラベル用紙の先端がフリーローラに到達した直後の作用を説明する図である。
図10d】ラベル用紙の先端がフリーローラを乗り越えた状態を示す図である。
図11】本発明の他の実施の形態に係るプリンタの用紙ガイド機構の斜視図である。
図12図11の用紙ガイド機構の駆動手段の一例を示す斜視図である。
図13図11図12の固着ローラを溝付きローラにした例を示す断面図である。
図14】本発明の他の実施の形態に係るプリンタの用紙ガイド機構の斜視図である。
図15a】印刷ヘッドとプラテンのニップ部の幅を検討する図である。
図15b図15aと同様の図である。
図16】プリンタの機能的構成図である。
図17a】一実施の形態におけるラベル印刷前処理動作を説明するフローチャートの前半部分である。
図17b図17aのフローチャートの後半部分である。
図18】従来のプリンタの斜視図である。
図19図18のプリンタのアッパユニットを取り外した状態の斜視図である。
図20図18のプリンタの正面中央を通る縦断面に沿った断面図の上半部の拡大図である。
図21a図20の要部の拡大図であり、ラベル用紙の先端がプラテンと下流側用紙ガイドの間の隙間に入り込んだ状態を示す図である。
図21b図20の要部の拡大図であり、ラベル用紙の先端がプラテンに巻き付いた状態を示す図である。
図22a図20の要部の拡大図であり、ラベル用紙の先端が下流側用紙ガイドの上面に突き当たった状態を示す図である。
図22b図20の要部の拡大図であり、ラベル用紙の先端が座屈している状態を示す図である。
図22c図20の要部の拡大図であり、ラベル用紙がさらに折れて潜り込んでいる状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
(定義)
ここで、本明細書では、印刷される面の裏面に塗着されている糊が互いに粘着するのを防ぐライナーを有しないロール状の連続紙を、この明細書では「ライナーレスラベル印刷用紙」または単に「ラベル用紙」といい、前記連続紙から所定の長さにカットされたものを「ライナーレスラベル」または単に「ラベル」という。ラベル用紙に印刷するプリンタを「ラベルプリンタ」または単に「プリンタ」という。ラベル用紙に印刷する印刷ヘッドに対向して設けられ、ラベル用紙を搬送するローラまたはベルトを「プラテン」という。また、印刷ヘッドとプラテンとのニップ部の上流側に備えられてラベル用紙を案内する部材を「上流側用紙ガイド」といい、前記ニップ部の下流側に備えられてラベル用紙をカッターの固定刃と可動刃の間に案内する部材を「下流側用紙ガイド」という。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1図10dを用いて第1の実施の形態を説明する。
この実施の形態に係るラベルプリンタPRは、平面に静置されるロワユニット100と、ロワユニット100の後部上端の水平軸s1を中心に回転して開閉可能なアッパユニット200とを有する。図1は、アッパユニット200の前部を持ち上げて開放された状態を示している。
【0020】
ロワユニット100は、正面(図1の右側) から見て左右に隔てられた一対の縦板101a,101bを底板101cで連結してなるロワフレーム101を有し、そのロワフレーム101の後部上側部分に上方に開放された用紙装填部102が設けられている。用紙装填部102の底部には縦板101a,101bの間において上方に開放された断面U字状の底板(図1には図示されていない)が備えられて、その底板にロール状のラベル用紙pを載置して回転可能に保持することができる。
【0021】
用紙装填部102の下流側には、用紙装填部102から引き出されるラベル用紙pを後記ニップ部に案内する横長矩形の用紙ガイド(上流側用紙ガイド)103が設けられている。また、ロワフレーム101には、用紙ガイド103の前端部に隣接して横に長いロール状のプラテン104が設けられている。そのプラテン104の中心軸に沿ってプラテン104の両端から突設された軸105がロワフレーム101の縦板101a,101bに設けられた軸受に貫通されて、プラテン104が回転可能に支持されている。
【0022】
ロワユニット100には、軸105の一端に設けられたギヤドプーリ106と、ロワフレーム101の縦板101b内面に取付けられたモータ107と、そのモータの回転軸に取付けられたギヤドプーリ108と、ギヤドプーリ106,108に架け渡された歯付きベルト109と、モータ107の駆動を制御する図示されていない制御装置が備えられている(図4)。
【0023】
アッパユニット200は、左右の水平軸s1から前方に延びる縦板201a,201bと、その縦板の前端部を結合する横板201cと、左右の縦板201a,201bおよび横板201cの上面に接続された平面矩形の天板201dとからなるアッパフレーム201を有する。
【0024】
天板201dの下面には、アッパユニット200が図3図4に示すように閉じられたとき、ロワユニット100の上流側用紙ガイド103と平行に近接する上流側用紙ガイド202が設けられている(図5)。その上流側用紙ガイド202の下流側に印刷ヘッド203が、アッパユニット200が閉じられたときにプラテン104の上面に当接するように取り付けられている。
【0025】
上流側用紙ガイド103の上流側端部にプラテン104と共通の駆動手段により同期して回転される送りローラ110が設けられ、上流側用紙ガイド202の上流側端部に従動ローラ204が送りローラ110に当接可能に設けられている。これにより、用紙装填部のラベル用紙pの先端が送りローラ110と従動ローラ204とのニップ部に挟持させた状態でモータ107を回転させると、ラベル用紙pの先端が上流側用紙ガイド103,202の間に円滑に進入されるとともに、プラテン104と印刷ヘッド203とのニップ部に円滑かつ正確に案内される。
【0026】
ロワユニット100のプラテン104の下流側には、用紙ガイド機構300が設けられている。この用紙ガイド機構300は、図17図20cに示された従来のラベルプリンタにおける下流側用紙ガイド103’に取って代わるものである。
【0027】
用紙ガイド機構300は、図7に示すように、第1軸に相当するピボットシャフト301と、連結部材302と、第2軸に相当するローラシャフト303と、ガイド部材304と、フリーローラ305とを有する。
【0028】
ピボットシャフト301は、プラテン104とほぼ等しい長さを有し、ピボットシャフト301の両端部に連結部材302が固着されている。ローラシャフト303は、ピボットシャフト301から少し離れた位置においてピボットシャフト301と平行に延び、両連結部材302に結合されている。
【0029】
ガイド部材304は、最上面にラベル用紙の経路となる用紙ガイド面304aを有し、その用紙ガイド面304aの先端に、プラテン104の半径よりも少し大きな半径の円弧と交差する円弧面を有する鋭い爪状の突起からなる分離爪304bが形成されている。ガイド部材304は、複数個がプラテン104の長手方向に離間して配置され、ガイド部材304の上部と下部に設けてある孔にローラシャフト303とピボットシャフト301をそれぞれ貫通させてある。ピボットシャフト301はEリングなどの止め部材306により所定の位置に固定されている。分離爪304bのうち、両端の分離爪304bの位置は、ラベル用紙の幅と同等か、あるいはラベル用紙の幅よりやや小さくなる位置でよい。また、分離爪304bの位置はラベル用紙の幅に合わせて調整可能としてもよい。フリーローラ305は、ガイド部材304の両側または片側において、ローラシャフト303に装着されている。
【0030】
用紙ガイド機構300は、図2に示すように、ロワユニット100のロワフレーム101の左右の縦板101a,101bの間であって、プラテン104の下流側における空間に収容され、ロワフレーム101の外側からピボットシャフトセットネジ307aをピボットシャフト301(図7)の両端のピボットシャフトネジ穴307bにねじ込むことにより、ピボットシャフト301を中心として揺動可能に支持されている。
【0031】
連結部材302は、ほぼレ字形に形成され、中間の屈曲部302aにピボットシャフト301の端部が結合され、上方に延びる腕302bの端部にローラシャフト303の端部が軸受308を介して支持されている。そして、連結部材302の屈曲部302aから斜め上方向に延びる腕は、その下側に平滑面を有してカムフォロワ302cを構成している。その平滑面にはカム309(図8図10d)が当接されていて、カムフォロワ302cの先端にはスプリング310の自由端が結合されている(図5)。そのため、カムフォロワ302cは常にカム309の上面に当接している。
【0032】
上記用紙ガイド機構300には、複数のガイド部材304の分離爪304bとプラテン104の周面との間の隙間(直線距離)を調整する位置調整手段が備えられている。位置調整手段は、図2図3に示すように、プリンタのロワフレーム101に回転可能に取付けられたカムシャフト311と、そのカムシャフト311に固着され、カムフォロワ302c(図7)に常に圧接されるカム309(図6)と、カムシャフト311に固着され、カムシャフト311を一定の角度範囲で回転させることができるアジャストプレート312と、そのアジャストプレートを回転後の位置に固定するプレート固定ネジ314を有して構成されている。
【0033】
カム309はその偏心を貫通しているカムシャフト311に固着されている(図5)。そのカムシャフト311は、ロワフレーム101の左右の縦板101a,101bに貫通され、回転可能に支持されている(図3)。カムシャフト311の一端は縦板101aの外側まで突出され、その突出端にアジャストプレート312が固着されている(図2,3)。アジャストプレート312は、カムシャフト311を中心とする円弧に沿って延びる孔313を有し、その孔に貫通されたプレート固定ネジ314が縦板101aにねじ込まれている(図3)。
【0034】
アジャストプレート312に設けられている突起などの操作片315を上下方向に移動することにより、カムシャフト311を一定の範囲で回転させることができる(図3,5)。そして、回転後にプレート固定ネジ314を締めて、アジャストプレート312を固定することができる(図3)。すなわち、カムシャフト311を回転後の角度に固定することができる。
【0035】
各ガイド部材304は、分離爪304bの先端がプラテン104の外周に接するか接しないかの状態にある(図8)。アジャストプレート312(図3)を回転させると、カムシャフト311を介してカム309が回転するので(図8)、カムフォロワ302が揺動し、プラテン104と各ガイド部材304の分離爪304bの先端との間隙δが変化する(図8)。カムフォロワ302の揺動は僅かに変化するカム309の揚程に従うので、間隙δを限りなくゼロに近く調整できすることができる。この調整をすることで、プラテン104と各分離爪304bの間隙δを容易にラベル用紙の厚さ以下に設定できる。したがって、ラベル用紙pの先端を分離爪304bの先端部でピックアップできるため、ラベル用紙pがその先端からプラテン104に巻き込むことを防ぐことができる。
【0036】
以上のように、用紙ガイド機構300は、プラテン104の回転軸と平行に延び、プリンタの両側のロワフレーム101に回転可能に支持された第1軸(301)と、第1軸(301)と並行に一定距離隔てた位置に備えられた第2軸(303)と、一端が第1軸(301)の両端に固着され、他端が第2軸(303)の両端を支持する連結部材302と、第1軸(301)および第2軸(303)の長手方向に離間された複数個所に配置されたガイド部材304と、第1軸(301)を中心として一定の角度範囲内で連結部材302を回動させ、停止させる位置調整手段(311~315)を有して構成されているので、1つの位置調整手段の簡単な操作により、プラテン104の周面と複数のガイド部材304の分離爪304bとの間の直線距離(隙間)を一度に調整することができる。そして、その調整の結果、すべてのガイド部材304をプラテン104に近づけることができるので、ラベル用紙がプラテン104に巻付いたり、ジャム発生を防止し得るラベルプリンタを提供することができる。また、ガイド部材304の分離爪304bは、面状でなく、横幅が小さいのでラベル用紙との接触面積が小さくなり、糊面が付きにくく、ラベル用紙が引っ掛かりにくい効果がある。
【0037】
また、位置調整手段は、ロワフレーム101に回転可能に取付けられたカムシャフト311と、そのカムシャフト311に固着され、カムフォロワ302cに常に圧接されるカム309と、カムシャフト311に固着され、カムシャフト311を一定の角度範囲で回転させることができるアジャストプレート312と、そのアジャストプレートを回転後の位置に固定するプレート固定ネジ314とからなっているので、カムフォロワ302の揺動は僅かに変化するカム309の揚程に従うため、作業者の手操作によっても、間隙δを、ラベル用紙の厚み以下となるように調整することができる。
【0038】
続いて、実際の運用について説明する。
工場では、間隙δの規格値を、例えば用紙厚以下の0.02~0.03mmに調整するが、市場に出荷され、消耗品のプラテン等の交換があった場合などは、作業者は、例えば以下の手順で作業を行う。
(1)プラテン104の回転が渋くなるまで、アジャストプレート312で分離爪304bをプラテン104に接触させる。
(2)プラテン104の回転が軽くなる方向にアジャストプレート312を回す。
(3)プラテン104に負荷が掛かっているか、掛かってないか(軽く回るか)を感覚で見極め、そこで設定する。
ここでの回転負荷は、プラテン104に少しでも接触していれば重くなり、間隙δが数μmでもあれば軽く回るので、作業者は、感覚的に、プラテン104と分離爪304bの間の隙間δをラベル用紙の厚み以下となるように調整することができる。空回りではなく少しでも負荷が掛かっている場合は分離爪304bがプラテン104表面に接触していることになるが、実際は、印刷動作によって、プラテン104の接触部分が僅かに削られることはあるが、搬送性能、印字品質には問題は生じない。
【0039】
他の実施例 その1
図9において、フリーローラ305の外周部はプラテン104の外周上部(排紙高さ位置)よりh1だけ低く、分離爪304bの上部平面(用紙ガイド面)はフリーローラ305の外周上部よりh2だけ低くなっている。
この場合は、ラベル用紙のプラテンへの巻き込みが一層良く防止される。プラテン104から排紙された下流での負荷、つまりラベル用紙pの先端の用紙ガイド面304aへの突き当りが弱まり、また用紙ガイド面304aとラベル用紙pが面で接触することがなくなるので、ラベル用紙pがスムーズに下流に流れる。また用紙ガイド面304aへのラベル用紙pの貼り付き等が発生し難くなるので、継続した使用においてもラベル用紙のプラテン104への巻き込みを防止することができる。
なお、分離爪304bに油を含浸させたり、用紙ガイド面に微小な凹凸を設けることによっても、用紙ガイド面304aへのラベル用紙pの貼り付き等を防止することができる。また、フリーローラ305ではなく回転しないローラであっても、図9に示して上述したような構成を有すれば一定の効果を得ることができる。
【0040】
また、フリーローラ305は、僅かな外力で回転するので、図10aにおいて、ラベル用紙pの先端がフリーローラ305の手前で分離爪304bの上面に着地しても、その後の搬送でラベル用紙pの先端がフリーローラ305に当たる(図10b)と、フリーローラ305が回転するので、ラベル用紙pの先端はフリーローラ305の上に駆け上る(図10c)。したがって、ラベル用紙pの先端はフリーローラ305を過ぎて空中を進み、用紙ガイド面304aの終端付近で着地する(図10d)。
【0041】
ラベル用紙pの流れは、上記のようであるから、プラテン104から排紙された下流での負荷、つまりラベル用紙pの先端の用紙ガイド面304aへの突き当りや、用紙ガイド面304aとラベル用紙pが面で接触することがないので、プラテン104へのラベル用紙pの貼り付き等が発生し難い。したがって、図20a~図20cのような折り曲がりジャムや巻付きを防ぐことができる。
【0042】
他の実施例 その2
図11および図12は、他の用紙ガイド機構300Aの例を示す。図11は用紙ガイド機構300Aの斜視図、図12はプラテン104の周辺の左部分を拡大したものである。プラテン104の軸にはプラテンギアg1が固着されている。ロワフレーム101の縦板101aには(図1)、図に無いギアポストが備えられ、それにアイドルギアg2が回転自在に取り付けられている。
【0043】
用紙ガイド機構300Aでは、ローラシャフト303の一端にドリブンギアg3が固着されている。アイドルギアg2はプラテンギアg1とドリブンギアg3の両方に噛み合っているので、プラテン104とローラシャフト303が同方向に回転する。また、ローラシャフト303には、実施例その1のフリーローラ305に相当する複数個のローラ305’が固着されている(以下、このローラを固着ローラという)。
【0044】
さらに、プラテン104の外周の線速Vpと固着ローラ305’の外周の線速Vrは、Vr>Vpとなるように、プラテン104の径、固着ローラ305’の径、プラテンギアg1およびドリブンギアg3の歯数が設定されている。
【0045】
以上のように、プラテン104の外周の線速Vpと固着ローラ305’の外周の線速Vrは、Vr>Vpとなるように、プラテン104と固着ローラ305’を連動して回転するようにしたので、固着ローラ305’により、ラベル用紙pの先端を掬い上げたり、排出側に案内することができるので、排出口までの経路でジャムすることを防ぐことができる。
なお、固着ローラ305’の外周は非粘着性で平滑になっている場合もあるが、図13 のように外周に凹凸が設けることができる。外周に凹凸を設けることで、同様に、ラベル用紙pの先端が固着ローラ305’により掬い上げられたり、排出側に案内されたりしやすくなり、排出口までの経路でジャムすることを防ぐことができる。
【0046】
他の実施例 その3
図14は、用紙ガイド機構304の他の例を示すものである。この実施例は、用紙ガイド面は、プラテン104とほぼ同じ幅をもつ面状のものであり、その面中にフリーローラ305がラベル用紙に当接するための孔がフリーローラの数だけ設けられている例である。印刷されたラベル用紙は、用紙ガイド面304aに現れているフリーローラ305により下流に搬送される。このような用紙ガイド機構であっても、用紙ガイド304とプラテン104との隙間を調整が可能であり、ラベル用紙がプラテン104に巻き付いたりすることを防ぐことができる。また、フリーローラ305により下流に搬送されるので、腰折れしたり、ジャムが発生するのを防ぐことが可能である。また、用紙ガイドの面に細かい凹凸が設けられていると、ラベル用紙の糊面が付着しにくくなる。
なお、図14では、図7の分離爪304bを一つの面状の用紙ガイド面304aとした例で表しているが、ピポットシャフト301がなく、ローラシャフト303だけであっても、フリーローラ305によりラベル用紙を下流に搬送させることができ、シャフトが一つのものでもよい。
【0047】
他の実施例 その4
図15aは印刷の待機状態を示しており、ラベル用紙pの先端は印刷位置から3~4mm下流の位置にある。印刷ヘッド203の押圧によるニップ巾、ここではラベル用紙の糊面とプラテン104の外周が接触する巾をwとした時、印刷中断時間が長くなるほど巾wが拡がっていき、最大で2mm位になることが解っている。
【0048】
この巾wの範囲でラベル用紙pがプラテン104に強力に貼りつくため、プラテン104を正逆回転させることで接着力を緩和することを試みて、この例では、ラベル印刷の前処理として(以下、ラベル印刷前処理という)、ラベル用紙pの先端が、図15aに示したような印刷位置から3~4mm下流の位置、図14bに示すような印刷位置から1~2mm下流の位置になるように、1回または数回移動される。後退させる量はラベル用紙pが後述されるカッタによる切断により形成されるラベルの長さ寸法以上が望ましいが、次の搬送を確実にするにはラベル用紙pの先端が印刷位置から1mmあたりが限界であるので、その辺りに設定される。
【0049】
図1及び図2に示されているように、ラベルプリンタRPには、前端部に用紙ガイド機構300から排出されるラベル用紙pをカットするカッタユニット400が備えられている。カッタユニット400は、既知のものであり、ロワユニット100の左右のロワフレーム101の前部下端に、支軸401により、その支軸401を中心として垂直状態から前方斜めの角度まで回転可能に取付けられた支持板402と、その支持板402の上部の間に固定されたボックス403と、そのボックス403の背後部に昇降可能に設けられた可動刃b1(図8図10d)と、ボックス403の中に設けられた、可動刃b1を昇降させる可動刃昇降手段(図示されていない)とを有している。また、カッタユニット400は、これを図1,図2に示されているように垂直状態になるまで起立させたときは、図10dに示すように、可動刃b1の刃先が、アッパユニット200の天板201d(図1)の前端部に刃先を下向きに取付けられている固定刃b2の刃先と近接する切断位置に位置付けられる。
【0050】
なお、カッタユニット400は、図1図2に示されているように垂直状態になるまで起立させたときは、ロワユニット100の左右のロワフレーム101の外面に備えられている既知の係止リンク404により保持される。
【0051】
図16に、ラベル印刷前処理を実行するためのラベルプリンタRPの機能的構成が示されている。すなわち、印刷させる印刷内容を入力したり、ラベルプリンタRPに対して印刷指令を与えたりするための入力部1と、入力部1からの入力内容や印刷指令を確認したり、ラベルプリンタRPの稼働状況を表示させるための出力部2と、ラベルプリンタRPの駆動部4を制御して、ラベル印刷前処理およびラベル印刷処理を制御する制御部3を有して構成されている。制御部3は、基本プログラムや応用プログラムなどを記憶するROM31、印刷内容などのデータを記憶するRAM32、およびプログラムとデータに基づいて所定の演算制御を行うためのCPU33からを有して構成されている。
【0052】
続いて、この実施例に係るラベルプリンタにおけるラベル印刷前処理動作を、図17a,図17bのフローチャートに基づいて説明する。このラベル印刷前処理は、ラベル印刷前に行われる処理であって、この処理終了後、ラベル印刷処理が開始される。
制御部3は、入力部1に対してラベル発行を行う操作がされるまで待機し、その操作がされたと判定した場合、直前にラべル用紙を搬送したか否かを判定する(S2)。直前にラべル用紙を搬送していないと判定した場合、制御部3は、直前に印刷を実行したか否かを判定する(S3)。直前に印刷を実行したと判定した場合、制御部3は、その印刷終了後、5分以上経過したか否かを判定する(S4)。
【0053】
ステップS4において、印刷終了後5分以上経過していないと判定した場合、制御部3は、ラベル印刷前処理動作を終了させる。ステップS4において、印刷終了後、5分以上経過したと判定した場合、制御部3は、印刷終了後30分以上経過したか否かを判定する(S5)。
【0054】
ステップS2においてラべル用紙を搬送したと判定した場合、およびステップS3において直前に印刷実行をしないと判定した場合、ステップS6において、制御部3は、印刷終了後1時間以上経過したか否かを判定する。印刷終了後1時間以上経過していないと判定した場合、制御部3は、ラベル印刷前処理動作を終了させる。これに対して、ステップS6において、印刷終了後1時間以上経過したと判定した場合、ステップS7において、制御部3は、駆動部4を制御して、ラベル用紙を2mm後退させた後、2mm前進搬送させ、その後ラベル印刷前処理動作を終了させる。
【0055】
ステップS5において、印刷終了後30分以上経過していないと判定した場合、ステップS7において、制御部3は、駆動部4を制御して、ラベル用紙を2mm後退させた後、2mm前進搬送させ、その後ラベル印刷前処理動作を終了させる。これに対して、ステップS5において、印刷終了後30分以上経過したと判定した場合、制御部3は、印刷終了後2時間経過したか否かを判定する(S8)。
【0056】
ステップS8において、印刷終了後2時間以上経過していないと判定した場合、制御部3は、ステップS9に移行して、駆動部4を介して、ラベル用紙を2mm後退させた後、2mm前進搬送する動作を2回行い、その後、ラベル印刷前処理動作を終了させる。
【0057】
ステップS8において、印刷終了後2時間以上経過と判定した場合、制御部3は、印刷終了後12時間以上経過したか否かを判定する(S10)。そして、印刷終了後12時間以上経過していないと判定した場合、ステップS11において制御部3は、駆動部4を介して、ラベル用紙を2mm後退させた後、2mm前進搬送する動作を3回行い、その後、ラベル印刷前処理動作を終了させる。
【0058】
ステップS10において、印刷終了後12時間以上経過と判定した場合、制御部3は、印刷終了後10日以上経過したか否かを判定する(S12)。10日以上経過していないと判定した場合、ステップS11において制御部3は、駆動部4を介して、ラベル用紙を2mm後退させた後、2mm前進搬送させる動作を3回行い、その後、ラベル印刷前処理動作を終了させる。
【0059】
これに対して、ステップS12において、印刷終了後10日以上経過と判定した場合、制御部3は、ラベル用紙が再セットされたか否かを判定する(S13)。ラベル用紙が再セットされていると判定した場合、制御部3は、ラベル印刷前処理動作を終了させ、ラベル用紙が再セットされていないと判定した場合、ステップS14において制御部3は、出力部2を介してラベル用紙の再セットを促す表示を行い、その後、ステップS13に戻る。再セットを促す表示は、接続された機器やプリンタが有する表示画面上などに「ラベルを再セットしてください」と報知すればよい。
【0060】
上述のプリンタを用いる場合の一つの印刷方法を提案する。その印刷方法は、印刷動作を実施しようとした時、直前の動作が印刷をしないで用紙搬送のみであった場合(ステップS3でNOと判定がされた場合)、用紙搬送実施後の時間が規定時間以内であれば直ちに印刷動作ができるが、規定時間を経過した場合は用紙を前後に移動させる動作を行った後に印刷動作をするものである(ステップS6,7)。
すなわち、ラベル印刷を行う際に、印刷はしていなくても長い間ラベル用紙pの先端が印刷ヘッド203に押圧されており、ラベル用紙pの先端が糊によりプラテンに接着されている可能性がある場合、先端を移動(剥離動作)させてその接着を剥がすことができるようにしたので、ラベル用紙のジャムの未然防止が可能となる。
【0061】
もう一つの印刷方法を提案する。その印刷方法は、印刷動作に入る時、直前の動作に用紙搬送がされず印刷動作であった場合(ステップS3でYesと判定された場合)、その後の経過時間により直ちに印刷に入れる場合や、用紙の前後搬送を実施した後に印刷動作をする場合があるが、経過時間の長さ毎に前後搬送の回数を変更でき(ステップS9,S11)、かつ経過時間が何日にもわたる場合は用紙が再セットされないと印刷動作に移行できないようにするものである(ステップS13,S14)。
すなわち、ラベル印刷を行う際に、印刷されている場合は、剥離動作をより細かく(2回または3回)設定することができるようにしたので、より効果的に先端がプラテン104に接着することによる不具合を防止することができる。
【0062】
以上、説明したように、本発明の実施形態に係るラベルプリンタは、ラベル用紙を搬送し、切断部400によりラベル用紙を切断してラベルを発行するプリンタであって、ラベル用紙に印字する印字部203と、印字部203に対向して設けられたプラテン104と、プラテン104の下流側に設けられラベル用紙の粘着面をガイドする第1ガイド部材(ガイド部材304)と、回転自在なローラで構成されラベル用紙の粘着面をガイドする第2のガイド部材(フリーローラ305)と、を備える。
これにより、台紙レスラベル用紙がプラテンと下流側用の第1のガイド部材との隙間に押し込まれてプラテンに巻き付いたり、搬送路上で腰折れしたりして、ジャムが発生することを防止できる。
【0063】
また、本発明の実施形態に係るラベルプリンタの第2ガイド部材(フリーローラ305の上端は、プラテン104の上端よりも低く、かつ第1ガイド部材(ガイド部材304)の上端よりも高くなっている。
これにより、ラベル用紙のガイド部材304の用紙ガイド面304aへの突き当たりが弱まり、ラベル用紙がスムーズに下流に流れ、かつ用紙ガイド面へのラベル用紙の貼り付きが発生し難くなるので、ラベル用紙のプラテン104への巻き込みを防止することができる。
【0064】
また、本発明の実施形態に係るラベルプリンタのガイド部材304の分離爪304bは、ラベル用紙の幅方向に離間して複数個所に配置されており、この分離爪304bの近傍には、フリーローラ305が複数配置されている。
これにより、分離爪304bは、全体として横幅が小さく、ラベル用紙との接触面積が小さいので、ラベル用紙の糊面が付きにくくなる。
【0065】
また、本発明の実施形態に係るラベルプリンタのプラテン104の周面とガイド部材304の上流端との隙間の調整を可能にする位置調整手段(311~315)を更に有し、プリンタの両側のフレームに回転可能に支持された第1軸(ピボットシャフト301)と、第1軸(301)の上側に一定距離隔てた位置に備えられた第2軸(ローラシャフト303)とに連結され、位置調整手段(311~315)は、第1軸(301)を中心として一定の角度範囲内で回動させることでプラテン104の周面とガイド部材304の上流端との隙間の調整を行なうことができる。
これにより、1つの位置調整手段の簡単な操作により、プラテン104とガイド部材304との隙間を一度に調整することができ、ガイド部材304をプラテン104に近づけることができるので、ラベル用紙がプラテン104に巻き付いたり、ジャム発生を防止することができる。
【0066】
また、本発明の実施形態に係るラベルプリンタの印刷方法は、印刷動作を実施しようとする時、印刷動作後の経過時間が規定時間以内であれば直ちに印刷動作を行い、規定時間を経過した場合は、用紙の前後移動を行った後に印刷動作を行う。
これにより、印刷実行後、規定時間を経過していないときは、印刷前の処理としてのラベル用紙の前後移動動作を行うことなく、印刷を実行でき、印刷時間を短縮できる。
【0067】
また、本発明の実施形態に係るラベルプリンタの印刷方法は、印刷動作を実施しようとする時、印刷動作後の経過時間が規定時間以内であれば直ちに印刷動作を行い、経過時間の長さにより前後移動の回数を変更し、かつ経過時間が何日にもわたる場合は、用紙が再セットされないと印刷動作に移行しない。
これにより、経過時間に応じて、ラベル用紙の剥離動作を細かく実行することができるので、より効果的にラベル用紙の先端がプラテン104に接着することによる不具合を防止することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 入力部
2 出力部
3 制御部
4 駆動部
100 ロワユニット
101 ロワフレーム
102 用紙装填部
p ラベル用紙(台紙レスラベル印刷用紙)
103 上流側用紙ガイド
104 プラテン
200 アッパユニット
201 アッパフレーム
203 印刷ヘッド
300 用紙ガイド機構
300A
用紙ガイド機構
301 ピボットシャフト
302 カムフォロワ
303 ローラシャフト
304 ガイド部材
304a 用紙ガイド面
304b 分離爪
305 フリーローラ
305’ 固着ローラ
309 カム
310 スプリング
311 カムシャフト
312 アジャストプレート
314 プレート固定ネジ
400 カッタユニット
b1 カッタ固定刃
b2 カッタ可動刃
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
図10d
図11
図12
図13
図14
図15a
図15b
図16
図17a
図17b
図18
図19
図20
図21a
図21b
図22a
図22b
図22c