(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】診断システム
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20240729BHJP
G01H 17/00 20060101ALI20240729BHJP
B25J 19/06 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
G01H17/00 Z
B25J19/06
(21)【出願番号】P 2023517182
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2022014952
(87)【国際公開番号】W WO2022230531
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2021073846
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501397920
【氏名又は名称】旭光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】和田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】安藤 清
(72)【発明者】
【氏名】白田 卓也
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-080561(JP,A)
【文献】特開平08-220171(JP,A)
【文献】特開平06-281541(JP,A)
【文献】特開2000-121426(JP,A)
【文献】特開昭58-062528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 99/00
G01H 17/00
B25J 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アクチュエータと第2アクチュエータとが動力伝達経路を介して伝達された動力をもとに協調動作する機器の診断システムであって、
前記動力伝達経路の上流側に設置された前記第1アクチュエータに設置された第1センサの検知結果を取得する第1取得部と、
前記動力伝達経路の下流側に設置された前記第2アクチュエータに設置された第2センサの検知結果を取得する第2取得部と、
前記第1センサの検知結果と前記第2センサの検知結果とに基づいて、ノイズ成分を抽出するノイズ抽出部と、
前記ノイズ成分の抽出結果と前記第1センサの検知結果とに基づいて、前記第1アクチュエータの状態を推定し、または、前記ノイズ成分の抽出結果と前記第2センサの検知結果とに基づいて、前記第2アクチュエータの状態を推定する推定部と、
を備え
、
前記第1センサと前記第2センサは、センサ設置位置の振動を検知するためのセンサであり、
前記ノイズ抽出部は、前記第1センサの検知結果と前記第2センサの検知結果の両方に含まれる同一周波数の振動をノイズとして抽出する
診断システム。
【請求項2】
前記推定部は、前記第1センサの検知結果から、前記ノイズ抽出部により抽出された前記ノイズ成分を除去して、前記第1アクチュエータの状態を推定し、または、前記第2センサの検知結果から、前記ノイズ抽出部により抽出された前記ノイズ成分を除去して、前記第2アクチュエータの状態を推定する
請求項1に記載の診断システム。
【請求項3】
前記機器は、エンジンであり、
前記第1アクチュエータは、前記エンジンの第1気筒であり、
前記第2アクチュエータは、前記エンジンの第2気筒である
請求項1
または2に記載の診断システム。
【請求項4】
前記機器は、建設機械であり、
前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータのそれぞれは、旋回用アクチュエータと、ブームアクチュエータと、バケットアクチュエータのいずれかである
請求項1
または2に記載の診断システム。
【請求項5】
前記機器は、ロボットアームであり、
前記第1アクチュエータは、前記動力伝達経路の上流側の関節に設置されたアクチュエータであり、
前記第2アクチュエータは、前記動力伝達経路の下流側の関節に設置されたアクチュエータである
請求項1
または2に記載の診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データ処理技術に関し、特に診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1には、推定部が、第2力検出部による検出結果に基づいて、第1力検出部が検出する力の向きおよび大きさを推定し、異常判断部が、推定部による推定結果と、第1力検出部による検出結果とを比較することにより、第1力検出部と第2力検出部の少なくとも一方が異常であるか否かを判断する作業装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献に記載の技術をロボットアーム等の機器に適用した場合、機器に生じる振動等に起因してセンサの検知結果にノイズが混入することがあり、センサの異常を推定する精度が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、1つの目的は、機器に設置されたセンサの検知結果に基づいて機器の状態を推定する場合の推定精度の低下を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の診断システムは、第1アクチュエータと第2アクチュエータとが動力伝達経路を介して伝達された動力をもとに協調動作する機器の診断システムであって、動力伝達経路の上流側に設置された第1アクチュエータに設置された第1センサの検知結果を取得する第1取得部と、動力伝達経路の下流側に設置された第2アクチュエータに設置された第2センサの検知結果を取得する第2取得部と、第1センサの検知結果と第2センサの検知結果とに基づいて、ノイズ成分を抽出するノイズ抽出部と、ノイズ成分の抽出結果と第1センサの検知結果とに基づいて、第1アクチュエータの状態を推定し、または、ノイズ成分の抽出結果と第2センサの検知結果とに基づいて、第2アクチュエータの状態を推定する推定部とを備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を、装置、方法、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、機器に設置されたセンサの検知結果に基づいて機器の状態を推定する場合の推定精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例の診断システムの構成を示す図である。
【
図2】実施例のセンサ装置の機能ブロックを示すブロック図である。
【
図3】実施例の診断装置の機能ブロックを示すブロック図である。
【
図4】実施例の診断システムの動作を示すフローチャートである。
【
図5】第2変形例の診断システムの構成を示す図である。
【
図6】第3変形例の診断システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施例の概要を説明する。機器を構成するアクチュエータの状態を遠隔から診断するために、アクチュエータにセンサが設置されることがある。工作機械(例えばロボットアーム)や建設機械、エンジン等の機器では、その動作に起因してセンサの検知結果にノイズが混入することがある。この結果、センサの検知結果に基づいてアクチュエータの状態を推定する場合の推定精度が低下してしまう。
【0011】
本発明者は、動力伝達経路の上流側のアクチュエータに設置された第1センサによる検知結果と、上記動力伝達経路の下流側のアクチュエータに設置された第2センサによる検知結果には同じノイズが混入するため、第1センサによる検知結果と第2センサによる検知結果とに基づいて、それぞれのセンサの検知結果に混入したノイズ成分を抽出できると考えた。実施例の診断システムでは、抽出したノイズ成分を除去したセンサの検知結果に基づいて、診断対象のアクチュエータの状態を推定する。これにより、アクチュエータの状態の推定精度の低下を抑制する。
【0012】
図1は、実施例の診断システム10の構成を示す。診断システム10は、複数のアクチュエータを有する機器であり、かつ、これら複数のアクチュエータが動力伝達経路を介して伝達された動力をもとに協調動作する機器の状態を診断する。実施例の診断システム10による診断対象機器はロボットアーム12である。
【0013】
ロボットアーム12は、複数のアクチュエータとして、第1可動部14a、第2可動部14b、第3可動部14c(総称する場合、「可動部14」と呼ぶ。)を備える。複数の可動部14のそれぞれは、ロボットアーム12の内部に設けられた動力伝達経路(不図示)を介して伝達された動力を受け付けて駆動する。具体的には、複数の可動部14のそれぞれは関節(ジョイント)部材である。
【0014】
ロボットアーム12は、第1リンク16a、第2リンク16b、第3リンク16c(総称する場合、「リンク16」と呼ぶ。)をさらに備える。第1リンク16aは、第1可動部14aと第2可動部14bを連結するリンク部材である。第2リンク16bは、第2可動部14bと第3可動部14cを連結するリンク部材である。第3リンク16cは、第3可動部14cより先のリンク部材である。
【0015】
ロボットアーム12に設けられた動力伝達経路は、流体(各種の液体や気体)の圧力や電力等の動力を伝達する経路である。ロボットアーム12の動力伝達経路には、上流側から順に、第1可動部14a、第1リンク16a、第2可動部14b、第2リンク16b、第3可動部14c、第3リンク16cが設置される。
【0016】
ロボットアーム制御装置18は、ロボットアーム12にとらせるべき姿勢や動作等に基づいて、第1可動部14a、第2可動部14bおよび第3可動部14cを協調動作させる。すなわち、第1可動部14a、第2可動部14bおよび第3可動部14cは、ロボットアーム制御装置18からの制御信号にしたがって、動力伝達経路を介して伝達された動力をもとに協調動作する。
【0017】
ロボットアーム制御装置18は、第1可動部14aの動作を制御する第1制御信号を第1可動部14aへ送信し、第2可動部14bの動作を制御する第2制御信号を第2可動部14bへ送信し、第3可動部14cの動作を制御する第3制御信号を第3可動部14cへ送信する。第1制御信号、第2制御信号、第3制御信号のそれぞれは、各可動部14の動作条件を定めた動作条件情報を含む。動作条件は、例えば、可動部14の動作の態様(例えば速度、角度、角速度、加速度、動作時間等)を指定または規定するデータを含む。
【0018】
診断システム10は、ロボットアーム12の動作に関する主系システムとは独立して構築された傍系システムであり、既存の主系システムに対して後から付加することができる。診断システム10は、第1センサ装置20a、第2センサ装置20b、第3センサ装置20c、診断装置22を備える。
【0019】
第1センサ装置20aは、動力伝達経路の上流側に設置された第1可動部14aに設置される。第2センサ装置20bは、第1可動部14aより動力伝達経路の下流側に設置された第2可動部14bに設置される。第3センサ装置20cは、第2可動部14bより動力伝達経路の下流側に設置された第3可動部14cに設置される。第1センサ装置20a、第2センサ装置20b、第3センサ装置20cを総称する場合、「センサ装置20」と呼ぶ。
【0020】
図2は、実施例のセンサ装置20の機能ブロックを示すブロック図である。本明細書のブロック図で示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのプロセッサ、CPU、メモリをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0021】
センサ装置20は、銘板として、所定の物理構造を有する物品(以下「対象物」とも呼ぶ。)の表面に取り付けられる。対象物は、様々な種類の電子機器、電気機器、機械装置、部品または完成品であってもよい。実施例では、複数のセンサ装置20は、ロボットアーム12の複数の可動部14の表面に設置される。センサ装置20は、検知部30、処理部32、環境発電部34、蓄電部36、アンテナ38を備える。
【0022】
センサ装置20は、銘板として、外側の面(
図2の印字面)に対象物に関する様々な情報を表示する。また、センサ装置20において、
図2に示す各機能ブロックに対応する部材はシート状に一体に設けられる。シート状とは、センサ装置20の厚み方向の長さが、センサ装置20の縦方向の長さと横方向の長さのいずれよりも短いことを意味する。例えばセンサ装置20の縦方向の長さと横方向の長さが数センチメートルであるときに、センサ装置20の厚み方向の長さが5ミリメートル以下である。また望ましくはセンサ装置20の厚み方向の長さが1ミリメートル以下である。
【0023】
検知部30は、対象物に接触または近接するよう設けられ、対象物に関する状態(物理量とも言える)を計測する。第1センサ装置20aの検知部30は、ロボットアーム12における第1センサ装置20a設置位置(設置箇所とも言える)の状態であり、実施例では第1可動部14aに関する状態を計測する。第2センサ装置20bの検知部30は、ロボットアーム12における第2センサ装置20b設置位置の状態であり、実施例では第2可動部14bに関する状態を計測する。第3センサ装置20cの検知部30は、ロボットアーム12における第3センサ装置20c設置位置の状態であり、実施例では第3可動部14cに関する状態を計測する。
【0024】
検知部30により計測される対象物に関する状態は、対象物そのものの状態(対象物の内部または表面のいずれか一方または両方の状態)と対象物の周囲(言い換えれば対象物を取り巻く環境)の状態のいずれか一方、または両方であってもよい。また、対象物に関する状態は、1つの種類の物理的状態または物理量であってもよく、複数の種類の物理的状態または物理量の組合せであってもよい。例えば、対象物に関する状態は、振動(例えば3軸加速度)および/または温度であってもよい。また、対象物に関する状態は、対象物に設けられた動力伝達経路内を流れる流体の速度および/または圧力であってもよく、これらは、超音波または電波の反射強度をもとに計測されてもよい。
【0025】
実施例では、第1センサ装置20aの検知部30、第2センサ装置20bの検知部30、第3センサ装置20cの検知部30のそれぞれは、センサ設置位置である可動部14の振動を計測する。検知部30は、計測結果(検知結果とも言える)に基づく信号(「検知信号」とも呼ぶ。)を処理部32へ出力する。
【0026】
処理部32は、検知部30の計測結果であり、実施例では検知部30から出力された検知信号をもとにアンテナ38から出力される情報(以下「センサデータ」とも呼ぶ。)を生成する。実施例のセンサデータは、検知部30により検知された振動データを含む。振動データは、時系列での振動の大きさや振幅を含んでもよい。処理部32は、検知部30から出力された検知信号をもとに所定の演算(例えば各種フィルタ処理や、人工知能機能による異常診断処理等)を実行し、その演算結果を含むセンサデータを生成してもよい。
【0027】
アンテナ38は、出力部として、検知部30の計測結果に基づくデータであり、実施例では処理部32が生成したセンサデータを外部へ出力する。アンテナ38は、通信部として、Wi-Fi(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))またはNFC(Near Field Communication)等を利用して、センサデータを外部装置へ送信してもよい。実施例では、センサ装置20のアンテナ38から送信されたセンサデータは、無線通信網および有線通信網を介して診断装置22へ伝送される。
【0028】
環境発電部34は、センサ装置20の周囲の環境に存在するエネルギーを電力に変換(いわゆる環境発電)し、発電した電力を、センサ装置20の各機能ブロックを動作させるための電力として供給する。環境発電部34は、温度、湿度、Wi-Fi等の電波、センサ装置20の周囲からの電磁波(放射線や宇宙線を含み、電動モータ等から発せされる電磁ノイズも含む)、振動、音(超音波含む)、光(可視光、赤外光、紫外線を含む)、流体や粉体の流れ(風や波など)のうち少なくとも1つのエネルギーをもとに公知の環境発電を行ってもよい。アンテナ38は、環境発電部34の機能を含んでもよく、この場合、アンテナ38は、データ通信と環境発電を時分割で実行してもよい。
【0029】
蓄電部36は、環境発電部34により発電された電気を蓄積し、蓄積した電力を、センサ装置20の各機能ブロックを動作させるための電力として供給する。センサ装置20の検知部30、処理部32、アンテナ38は、環境発電部34から供給された電力をもとに動作可能であり、蓄電部36から供給された電力によっても動作可能である。蓄電部36は、キャパシタ(電気二重層コンデンサを含む)であってもよく、二次電池(例えばリチウムイオン電池、固体リチウムイオン電池、空気電池)であってもよい。
【0030】
図1に戻り、診断装置22は、不図示のアクセスポイントやスイッチ、ルータ等により構成される無線通信網および有線通信網を介して、第1センサ装置20a、第2センサ装置20b、第3センサ装置20cと接続される情報処理装置である。診断装置22は、ロボットアーム12の設置場所とは異なる遠隔のデータセンタ等に設置されてもよい。診断装置22は、第1センサ装置20aが設置された第1可動部14a、第2センサ装置20bが設置された第2可動部14b、および第3センサ装置20cが設置された第3可動部14cの状態を診断するためのデータ処理を実行する。
【0031】
図3は、実施例の診断装置22の機能ブロックを示すブロック図である。診断装置22は、制御部40、記憶部42、通信部44を備える。制御部40は、各種データ処理を実行する。記憶部42は、制御部40により参照または更新されるデータを記憶する。通信部44は、所定の通信プロトコルにしたがって外部装置と通信する。実施例では、制御部40は、通信部44を介して、第1センサ装置20a、第2センサ装置20b、第3センサ装置20cとデータを送受信する。
【0032】
記憶部42は、正常値記憶部46と診断情報記憶部48を含む。正常値記憶部46は、第1センサ装置20a、第2センサ装置20b、第3センサ装置20cそれぞれの検知結果の正常値を記憶する。実施例では、検知結果の正常値としてのセンサ設置位置の振動の値を記憶する。正常値としての振動の値は、振動の大きさと時系列での変化の少なくとも一方の正常範囲を示す値であってもよい。なお、既述したように、センサ装置20は、振動以外の物理量を検知してもよい。この場合、正常値記憶部46は、センサ装置20が検知する物理量の種類に応じた正常値または正常範囲を記憶してもよい。
【0033】
診断情報記憶部48は、診断対象アクチュエータ(実施例では第1可動部14a、第2可動部14b、第3可動部14cを含む)の状態に関する推定結果を示す診断情報を記憶する。診断情報は、診断結果としての診断対象アクチュエータの状態(例えば正常または異常)を示す情報と、診断対象アクチュエータの状態が診断された日時を示す情報を含んでもよい。
【0034】
制御部40は、検知結果取得部50、ノイズ抽出部52、状態推定部54、診断情報提供部56を含む。これら複数の機能ブロックの機能が実装されたコンピュータプログラムが、所定の記録媒体に格納されてもよく、その記録媒体を介して診断装置22のストレージにインストールされてもよい。また、上記コンピュータプログラムが、通信網を介してダウンロードされ、診断装置22のストレージにインストールされてもよい。診断装置22のCPUは、上記コンピュータプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、各機能ブロックの機能を発揮してもよい。
【0035】
検知結果取得部50は、第1取得部および第2取得部として、ロボットアーム12に設置された複数のセンサ装置20の検知結果を取得する。具体的には、検知結果取得部50は、第1センサ装置20aから送信された、第1センサ装置20aの検知結果を示す第1センサデータと、第2センサ装置20bから送信された、第2センサ装置20bの検知結果を示す第2センサデータと、第3センサ装置20cから送信された、第3センサ装置20cの検知結果を示す第3センサデータとを取得する。実施例の第1センサデータ、第2センサデータ、第3センサデータはいずれも、各センサ設置位置の振動データを含む。
【0036】
ノイズ抽出部52は、第1センサ装置20aの検知結果と、第2センサ装置20bの検知結果と、第3センサ装置20cの検知結果とに基づいて、各検知結果に含まれるノイズ成分を抽出する。ノイズ抽出部52は、第1センサ装置20aの検知結果、第2センサ装置20bの検知結果、および第3センサ装置20cの検知結果のそれぞれについて、複数回の検知結果を連結した時系列の振動データを構築してもよく、各センサ装置20により検知された時系列の振動データからノイズ成分を抽出してもよい。
【0037】
実施例では、ノイズ抽出部52は、時系列で取得した第1センサ装置20aの検知結果と、時系列で取得した第2センサ装置20bの検知結果と、時系列で取得した第3センサ装置20cの検知結果のいずれにおいても同一のタイミングで発生している振動をノイズ成分として識別し、抽出する。時系列で取得した第1センサ装置20aの検知結果は、複数個の第1センサデータが示す時系列の振動データであってもよい。同様に、時系列で取得した第2センサ装置20bの検知結果は、複数個の第2センサデータが示す時系列の振動データであってもよい。時系列で取得した第3センサ装置20cの検知結果は、複数個の第3センサデータが示す時系列の振動データであってもよい。
【0038】
状態推定部54は、ノイズ抽出部52によるノイズ成分の抽出結果と、第1センサ装置20aの検知結果とに基づいて、第1センサ装置20aが設置された第1可動部14aの状態を推定する。また、状態推定部54は、ノイズ成分の抽出結果と、第2センサ装置20bの検知結果とに基づいて、第2センサ装置20bが設置された第2可動部14bの状態を推定する。また、状態推定部54は、ノイズ成分の抽出結果と、第3センサ装置20cの検知結果とに基づいて、第3センサ装置20cが設置された第3可動部14cの状態を推定する。
【0039】
具体的には、状態推定部54は、第1センサ装置20aの検知結果から、ノイズ抽出部52により抽出されたノイズ成分を除去する。状態推定部54は、第1センサ装置20aの検知結果が示す時系列の振動データからノイズ成分を除去した振動データ(以下、「振動データ(真値)」とも呼ぶ。)が、正常値記憶部46に記憶された第1センサ装置20aの検知結果の正常値に整合する場合、第1可動部14aの状態を正常と推定する。状態推定部54は、第1センサ装置20aの検知結果に関する振動データ(真値)が正常値に不整合の場合、第1可動部14aの状態を異常と推定する。
【0040】
振動データ(真値)が正常値に整合するとは、振動データ(真値)と正常値との差が予め定められた閾値内であることでもよく、予め定められた正常値の範囲(正常範囲)内に振動データ(真値)が含まれることでもよい。振動データ(真値)が正常値に不整合とは、振動データ(真値)と正常値との差が上記閾値を超えることでもよく、振動データ(真値)が上記正常範囲を逸脱することでもよい。上記閾値または上記正常範囲は、診断システム10の開発者の知見や、診断システム10を用いた実験等に基づいて適切な値が決定されてよい。
【0041】
同様に、状態推定部54は、第2センサ装置20bの検知結果から、ノイズ抽出部52により抽出されたノイズ成分を除去する。状態推定部54は、第2センサ装置20bの検知結果が示す時系列の振動データからノイズ成分を除去した振動データ(真値)が、正常値記憶部46に記憶された第2センサ装置20bの検知結果の正常値に整合する場合、第2可動部14bの状態を正常と推定する。状態推定部54は、第2センサ装置20bの検知結果に関する振動データ(真値)が正常値に不整合の場合、第2可動部14bの状態を異常と推定する。
【0042】
同様に、状態推定部54は、第3センサ装置20cの検知結果から、ノイズ抽出部52により抽出されたノイズ成分を除去する。状態推定部54は、第3センサ装置20cの検知結果が示す時系列の振動データからノイズ成分を除去した振動データ(真値)が、正常値記憶部46に記憶された第3センサ装置20cの検知結果の正常値に整合する場合、第3可動部14cの状態を正常と推定する。状態推定部54は、第3センサ装置20cの検知結果に関する振動データ(真値)が正常値に不整合の場合、第3可動部14cの状態を異常と推定する。
【0043】
状態推定部54は、診断対象アクチュエータの状態の推定結果と、推定日時とを含む診断情報を診断情報記憶部48に格納する。診断情報提供部56は、外部からの要求に対する応答として、または定期的に、診断情報記憶部48に記憶された診断情報を不図示の外部装置(例えば保守者の端末等)へ送信する。実施例では、第1可動部14a、第2可動部14b、第3可動部14cのいずれも診断対象アクチュエータとするが、変形例として、第1可動部14a、第2可動部14b、第3可動部14cの一部を診断対象アクチュエータとしてもよい。
【0044】
以上の構成による実施例の診断システム10の動作を説明する。
図4は、実施例の診断システム10の動作を示すフローチャートである。ロボットアーム12の第1センサ装置20aの検知部30は、定期的に、第1可動部14aにおける振動を検知する。第1センサ装置20aのアンテナ38は、検知部30による検知結果を示す第1センサデータを診断装置22へ送信する。これと並行して、第2センサ装置20bは、定期的に、第2可動部14bにおける振動を検知し、その検知結果を示す第2センサデータを診断装置22へ送信する。第3センサ装置20cは、定期的に、第3可動部14cにおける振動を検知し、その検知結果を示す第3センサデータを診断装置22へ送信する。診断装置22の検知結果取得部50は、第1センサ装置20a、第2センサ装置20b、第3センサ装置20cから定期的に送信された第1センサデータ、第2センサデータ、第3センサデータを取得する(S10)。
【0045】
診断装置22のノイズ抽出部52は、ノイズ抽出部52が取得した第1センサデータが示す第1センサ装置20aの検知結果と、第2センサデータが示す第2センサ装置20bの検知結果と、第3センサデータが示す第3センサ装置20cの検知結果とに基づいて、各センサ装置20の検知結果に含まれるノイズ成分を抽出する(S12)。
【0046】
診断装置22の状態推定部54は、第1センサデータが示す第1センサ装置20aの検知結果と、第2センサデータが示す第2センサ装置20bの検知結果と、第3センサデータが示す第3センサ装置20cの検知結果のそれぞれから、S12で抽出されたノイズ成分を除去する(S14)。これにより、実施例の状態推定部54は、第1センサ装置20aの検知結果に関する振動データ(真値)と、第2センサ装置20bの検知結果に関する振動データ(真値)と、第3センサ装置20cの検知結果に関する振動データ(真値)とを得る。
【0047】
診断装置22の状態推定部54は、第1センサ装置20aの検知結果に関する振動データ(真値)に基づいて、第1可動部14aの状態を推定する。また、状態推定部54は、第2センサ装置20bの検知結果に関する振動データ(真値)に基づいて、第2可動部14bの状態を推定する。また、状態推定部54は、第3センサ装置20cの検知結果に関する振動データ(真値)に基づいて、第3可動部14cの状態を推定する(S16)。状態推定部54は、各可動部14の状態の推定結果を示す診断情報を診断情報記憶部48に格納する。診断装置22の診断情報提供部56は、診断情報記憶部48に記憶された診断情報を外部装置へ送信する(S18)。
【0048】
実施例の診断システム10では、機器を構成する複数のアクチュエータに設置された複数のセンサの検知結果からノイズ成分を抽出し、ノイズ成分除去後のセンサの検知結果に基づいて診断対象のアクチュエータの状態を推定する。これにより、診断対象のアクチュエータの状態の推定精度の低下を抑制することができる。また、実施例の診断システム10では、複数のセンサの検知結果である複数の振動データをもとに、同一のタイミングで発生している振動をノイズとして抽出する。これにより、複数のセンサから出力された振動データに混入したノイズ成分を、精度よくかつ効率的に抽出することができる。
【0049】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。実施例は例示であり、実施例に記載の構成要素や処理プロセスの組合せにはいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0050】
第1変形例を説明する。診断装置22のノイズ抽出部52は、第1センサ装置20aの検知結果と、第2センサ装置20bの検知結果と、第3センサ装置20cの検知結果のそれぞれをフーリエ変換して、それぞれの検知結果(振動データ)に含まれる周波数成分を導出してもよい。ノイズ抽出部52は、第1センサ装置20aの検知結果と、第2センサ装置20bの検知結果と、第3センサ装置20cの検知結果のいずれにも含まれる同一周波数の振動をノイズ成分として識別し、抽出してもよい。
【0051】
診断装置22の状態推定部54は、第1センサ装置20aの検知結果の周波数成分のデータと、第2センサ装置20bの検知結果の周波数成分のデータと、第3センサ装置20cの検知結果の周波数成分のデータのそれぞれについて、ノイズ抽出部52により抽出されたノイズ成分を除去した上で、逆フーリエ変換を行って時間領域のデータに戻してもよい。これにより、状態推定部54は、実施例と同様に、第1センサ装置20aの検知結果に関する振動データ(真値)と、第2センサ装置20bの検知結果に関する振動データ(真値)と、第3センサ装置20cの検知結果に関する振動データ(真値)とを得てもよい。以降、上記実施例と同様の方法で、第1可動部14aと、第2可動部14bと、第3可動部14cそれぞれの状態を推定してもよい。
【0052】
第1変形例の診断システム10も、実施例の診断システム10と同様の効果を奏し、すなわち、複数のセンサから出力された振動データに混入したノイズ成分を、精度よくかつ効率的に抽出することができる。
【0053】
第2変形例を説明する。上記実施例に記載の技術思想は、ロボットアーム12以外の様々な機器に設置されたアクチュエータの状態を診断することにも適用可能である。第2変形例では、上記実施例に記載の技術思想をエンジンに適用する例を説明する。
図5は、第2変形例の診断システム10の構成を示す。第2変形例の診断システム10は、エンジン60(ここでは船舶用エンジン)を構成するアクチュエータである気筒62の状態を診断する。
【0054】
エンジン60は、複数の気筒62(第1気筒62a、第2気筒62b、第3気筒62c)を備える。複数の気筒62のそれぞれは、気筒62内のシリンダに燃料を噴射する燃料噴射装置64を含む。複数の気筒62は、連結部材66を介して同じプロペラシャフト68に連結される。プロペラシャフト68は、エンジン60から出力された動力をスクリュー70へ伝達する動力伝達経路である。第1気筒62aは、プロペラシャフト68における動力伝達方向の上流側に連結される。第2気筒62bは、第1気筒62aより下流側でプロペラシャフト68に連結される。第3気筒62cは、第2気筒62bより下流側でプロペラシャフト68に連結される。
【0055】
連結部材66は、ピストンと、コネクティングロッドと、クランクシャフトとを含む。気筒62は、内部のシリンダ内で燃焼ガスが膨張することで、ピストンを押し出す力を出力する。ピストンの直線的な運動は、コネクティングロッドとクランクシャフトによりプロペラシャフト68の回転運動に変換される。逆に、プロペラシャフト68の回転運動は、連結部材66を介して、気筒62の内部のシリンダへピストンを押し込む力となる。このように、第1気筒62aと、第2気筒62bと、第3気筒62cは、プロペラシャフト68を介して伝達された動力をもとに協調動作する。
【0056】
第2変形例の診断システム10は、実施例の診断システム10と同様に、第1センサ装置20a、第2センサ装置20b、第3センサ装置20c、診断装置22を備える。第1センサ装置20aは、第1気筒62aに設置され、第2センサ装置20bは、第2気筒62bに設置され、第3センサ装置20cは、第3気筒62cに設置される。
【0057】
第2変形例の診断装置22が備える機能ブロックは、
図3に関連して説明した実施例の診断装置22が備える機能ブロックと同様である。また、第2変形例の診断システム10の動作は、
図4に関連して説明した実施例の診断システム10の動作と同様である。診断対象の気筒62は、第1気筒62a、第2気筒62b、第3気筒62cの全てでもよく、一部でもよい。第2変形例の診断システム10も、実施例の診断システム10と同様の効果を奏し、すなわち、エンジン60の気筒62に設置されたセンサ装置20の検知結果に基づいて気筒62の状態を推定する場合の推定精度の低下を抑制することができる。
【0058】
第3変形例を説明する。第3実施例では、上記実施例に記載の技術思想を建設機械に適用する例を説明する。
図6は、第3変形例の診断システム10の構成を示す。第3変形例の診断システム10は、建設機械80(ここでは油圧ショベル)を構成するアクチュエータの状態を診断する。
【0059】
建設機械80は、作動油タンク82、油圧ポンプ84、油圧制御部86、旋回用アクチュエータ88、ブームアクチュエータ90、バケットアクチュエータ92を備える。これらの部材は、作動油が流れる動力伝達経路としての油圧管路94により連結される。油圧制御部86は、圧油の流量と方向を制御する制御弁を含む。油圧制御部86は、不図示の操作部に運転者が入力した操作に応じて、作動油タンク82と油圧ポンプ84を介して供給された圧油(圧力を掛けた作動油)を、旋回用アクチュエータ88、ブームアクチュエータ90およびバケットアクチュエータ92に供給する。これにより、油圧制御部86は、運転者の操作に応じて、旋回用アクチュエータ88、ブームアクチュエータ90およびバケットアクチュエータ92を協調動作させる。
【0060】
旋回用アクチュエータ88は、油圧管路94を介して供給された圧油を動力として、建設機械80の上部旋回体を旋回させるアクチュエータであり、例えば油圧モータを含む。旋回用アクチュエータ88は、動力伝達経路である油圧管路94の上流側に設けられたアクチュエータである。
【0061】
ブームアクチュエータ90は、油圧管路94を介して供給された圧油を動力として、建設機械80のブームを動作させるアクチュエータであり、例えばブームシリンダを含む。ブームアクチュエータ90は、油圧管路94の下流側(旋回用アクチュエータ88より下流)に設けられたアクチュエータである。
【0062】
バケットアクチュエータ92は、油圧管路94を介して供給された圧油を動力として、建設機械80のバケットを動作させるアクチュエータであり、例えばバケットシリンダを含む。バケットアクチュエータ92は、油圧管路94の下流側(ブームアクチュエータ90より下流)に設けられたアクチュエータである。既述したように、旋回用アクチュエータ88、ブームアクチュエータ90およびバケットアクチュエータ92は、運転者の操作に基づく油圧制御部86による制御に応じて協調動作する。
【0063】
第3変形例の診断システム10は、実施例の診断システム10と同様に、第1センサ装置20a、第2センサ装置20b、第3センサ装置20c、診断装置22を備える。第1センサ装置20aは、旋回用アクチュエータ88に設置される。第2センサ装置20bは、ブームアクチュエータ90に設置される。第3センサ装置20cは、バケットアクチュエータ92に設置される。
【0064】
第3変形例の診断装置22が備える機能ブロックは、
図3に関連して説明した実施例の診断装置22が備える機能ブロックと同様である。また、第3変形例の診断システム10の動作は、
図4に関連して説明した実施例の診断システム10の動作と同様である。診断対象のアクチュエータは、旋回用アクチュエータ88、ブームアクチュエータ90、バケットアクチュエータ92の全てでもよく、一部でもよい。第3変形例の診断システム10も、実施例の診断システム10と同様の効果を奏し、すなわち、建設機械80のアクチュエータに設置されたセンサ装置20の検知結果に基づいてアクチュエータの状態を推定する場合の推定精度の低下を抑制することができる。
【0065】
上記実施例のセンサ装置20は、銘板としてのセンサ装置としたが、変形例として、センサ装置20は、銘板でなくてもよく、対象物に容易に貼り付け可能なシート型またはコイン型のセンサ装置であってもよい。
【0066】
本明細書で開示した実施例のうち、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【0067】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【0068】
なお、実施例および変形例に記載の技術は、以下の態様によって特定されてもよい。
[項目1]
第1アクチュエータと第2アクチュエータとが動力伝達経路を介して伝達された動力をもとに協調動作する機器の診断システムであって、
前記動力伝達経路の上流側に設置された前記第1アクチュエータに設置された第1センサの検知結果を取得する第1取得部と、
前記動力伝達経路の下流側に設置された前記第2アクチュエータに設置された第2センサの検知結果を取得する第2取得部と、
前記第1センサの検知結果と前記第2センサの検知結果とに基づいて、ノイズ成分を抽出するノイズ抽出部と、
前記ノイズ成分の抽出結果と前記第1センサの検知結果とに基づいて、前記第1アクチュエータの状態を推定し、または、前記ノイズ成分の抽出結果と前記第2センサの検知結果とに基づいて、前記第2アクチュエータの状態を推定する推定部と、
を備える診断システム。
この診断システムによると、複数のセンサの検知結果に基づいてノイズ成分を抽出し、ノイズ成分の抽出結果を加味して機器の状態を推定することで、機器の状態の推定精度の低下を抑制することができる。
[項目2]
前記推定部は、前記第1センサの検知結果から、前記ノイズ抽出部により抽出された前記ノイズ成分を除去して、前記第1アクチュエータの状態を推定し、または、前記第2センサの検知結果から、前記ノイズ抽出部により抽出された前記ノイズ成分を除去して、前記第2アクチュエータの状態を推定する
項目1に記載の診断システム。
この診断システムによると、センサの検知結果からノイズ成分を除去することで、センサの検知結果に基づいて機器の状態を推定する場合の推定精度の低下を抑制することができる。
[項目3]
前記第1センサと前記第2センサは、センサ設置位置の振動を検知するためのセンサである
項目1または2に記載の診断システム。
この診断システムによると、センサによる振動の検知結果から機器の状態を推定する場合に、ノイズ成分の抽出結果を加味して機器の状態を推定することで、機器の状態の推定精度の低下を抑制することができる。
[項目4]
前記ノイズ抽出部は、時系列で取得した前記第1センサの検知結果と前記第2センサの検知結果の両方に同一のタイミングで発生している振動をノイズとして抽出する
項目3に記載の診断システム。
この診断システムによると、振動に混入したノイズを、精度よくかつ効率的に抽出することができる。
[項目5]
前記ノイズ抽出部は、前記第1センサの検知結果と前記第2センサの検知結果の両方に含まれる同一周波数の振動をノイズとして抽出する
項目3に記載の診断システム。
この診断システムによると、振動に混入したノイズを、精度よくかつ効率的に抽出することができる。
[項目6]
前記機器は、エンジンであり、
前記第1アクチュエータは、前記エンジンの第1気筒の燃料噴射装置であり、
前記第2アクチュエータは、前記エンジンの第2気筒の燃料噴射装置である
項目1から5のいずれか1項に記載の診断システム。
この診断システムによると、エンジンに設置されたセンサの検知結果に基づいてエンジンの状態を推定する場合の推定精度の低下を抑制することができる。
[項目7]
前記機器は、建設機械であり、
前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータのそれぞれは、旋回用アクチュエータと、ブームアクチュエータと、バケットアクチュエータのいずれかである
項目1から5のいずれか1項に記載の診断システム。
この診断システムによると、建設機械に設置されたセンサの検知結果に基づいて建設機械の状態を推定する場合の推定精度の低下を抑制することができる。
[項目8]
前記機器は、ロボットアームであり、
前記第1アクチュエータは、前記動力伝達経路の上流側の関節に設置されたアクチュエータであり、
前記第2アクチュエータは、前記動力伝達経路の下流側の関節に設置されたアクチュエータである
項目1から5のいずれか1項に記載の診断システム。
この診断システムによると、ロボットアームに設置されたセンサの検知結果に基づいてロボットアームの状態を推定する場合の推定精度の低下を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本開示の技術は、診断システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
10 診断システム、 12 ロボットアーム、 14 可動部、 20 センサ装置、 22 診断装置、 50 検知結果取得部、 52 ノイズ抽出部、 54 状態推定部、 60 エンジン、 62 気筒、 80 建設機械、 88 旋回用アクチュエータ、 90 ブームアクチュエータ、 92 バケットアクチュエータ。