(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】凝集剤組成物
(51)【国際特許分類】
B01D 21/01 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
B01D21/01 109
B01D21/01 104
B01D21/01 102
(21)【出願番号】P 2021010068
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】511123429
【氏名又は名称】テクニカ合同株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】篠原 智志
(72)【発明者】
【氏名】石神 大輔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭二郎
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 好太
(72)【発明者】
【氏名】高矢 秀樹
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-062554(JP,A)
【文献】特開2012-148270(JP,A)
【文献】特開2004-344829(JP,A)
【文献】特開平08-001197(JP,A)
【文献】特開2010-201309(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0314326(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/01
B01D 21/02-21/34
C02F 1/52- 1/56
C02F 3/12
C02F 3/28- 3/34
C02F 11/00-11/20
E21D 1/00- 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
泥水を処理するための凝集剤組成物であって、
(a)以下の構造式(I):
【化1】
(R
1~R
4は、共に又は独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、及びターシャリーブチル基からなる群から選択されるアルキル基である。)
を有する第4級アンモニウムカチオン
とアニオンとの塩(第4級アンモニウム塩)を含む凝集剤と、
(b)二価のカチオンの金属塩を含む凝集脱水助剤と、
を含有する凝集剤組成物。
【請求項2】
前記凝集剤及び前記凝集脱水助剤の剤形は、溶液又は懸濁液である請求項1に記載の凝集剤組成物。
【請求項3】
前記凝集剤における前記第4級アンモニウム塩の含有量は、30~50重量%であり、前記凝集脱水助剤における前記二価のカチオンの金属塩の含有量は、25~45重量%である請求項2に記載の凝集剤組成物。
【請求項4】
前記凝集剤と前記凝集脱水助剤との配合比率(a:b)が、体積比で1:0.5~1:7に設定されている請求項1~3の何れか一項に記載の凝集剤組成物。
【請求項5】
水で3~5倍の体積に希釈されている請求項1~4の何れか一項に記載の凝集剤組成物。
【請求項6】
前記二価のカチオンの金属塩の濃度が、2.5重量%以上に設定されている請求項5に記載の凝集剤組成物。
【請求項7】
前記第4級アンモニウム塩の濃度が、3重量%以上に設定されている請求項5又は6に記載の凝集剤組成物。
【請求項8】
前記二価のカチオンの金属塩は、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、ニッケル塩、亜鉛塩、及びコバルト塩からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1~7の何れか一項に記載の凝集剤組成物。
【請求項9】
前記二価のカチオンの金属塩は、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、及びリン酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも一種である請求項1~8の何れか一項に記載の凝集剤組成物。
【請求項10】
無機凝集剤を含有しない請求項1~9の何れか一項に記載の凝集剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泥水を処理するための凝集剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シールドマシンを用いた泥水シールド工事では、発生した土砂が泥水状であることから、土砂の廃棄量削減等の目的で固液分離処理が行われる。具体的には、地中で発生した土砂(泥水)を地上に圧送し、サイクロン等を用いて泥水中の粗粒分を取り除く分級(一次処理)を行った後、細粒分を含む泥水(余剰泥水)を貯留槽に貯留する。次いで、貯留槽中で余剰泥水に含まれる細粒分を凝集沈降させ、さらにフィルタープレス等の脱水機に通して高度な脱水(二次処理)を行う。脱水後に発生したケーキは、廃棄物として廃棄されるか、あるいは再利用される。
【0003】
泥水の凝集沈降処理を行うにあたっては、一般に、無機凝集剤や有機高分子凝集剤が使用されている。例えば、泥水シールド工事で使用する泥水処理装置として、泥水に無機凝集剤を添加して混合器に導入し、この混合器から排出される泥水と無機凝集剤との混合物に有機高分子凝集剤を注入するように構成した装置があった(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の泥水処理装置は、閉塞等の原因となる高濃度SSの泥水を処理するため、無機凝集剤と有機高分子凝集剤とを前段と後段とに分けて投入している。そして、特許文献1には、無機凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(PAC)を使用することが記載されている(同文献段落[0007])。
【0004】
また、泥水シールド工事で発生した高含水掘削土(泥水)に高分子凝集剤を添加して一次凝集土とし、この一次凝集土に無機凝集剤を添加し、混合して二次凝集土とし、当該二次凝集土を脱水機にかけて固液分離を行う脱水処理方法が知られている(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2には、高分子凝集剤としてポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸重合物等を使用することが記載され、無機高分子凝集剤としてポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸アルミニウム等を使用することが記載されている(同文献段落[0032])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-244611号公報
【文献】特開2005-36517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
泥水シールド工事を行うにあたっては、泥水の処理に大きな負担やコストが掛からないことが従来から求められていたが、脱水の所要時間がシールド掘進の所要時間を超える場合、又は脱水ケーキの脱水率が不十分な場合には、脱水性能を向上させるために薬剤の過剰添加で対応する必要があった。この場合、求める脱水性能の向上を得られつつ、機械や設備の腐食を引き起こさないこと、さらには周辺環境に悪影響を及ぼさないこと等も望まれている。
【0007】
この点に関し、特許文献1の泥水処理装置は、無機凝集剤として強酸性のポリ塩化アルミニウムを使用しているため、無機凝集剤の添加量を増加すると機械や設備の腐食が進み易く、このような機械や設備の腐食を防止するためには、無機凝集剤そのものや処理後の泥水が触れる可能性のある箇所に耐食性のある素材を使用したり、耐食性コーティングを施したりする等の対策が必要となる。また、廃棄物を環境に負担を掛けずに廃棄するためには、脱水ケーキや処理水に対してpH調整(中和作業)を行う必要があり、手間とコストが掛かることになる。
【0008】
特許文献2の脱水処理方法についても、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸アルミニウム等の中酸性ないし強酸性の無機凝集剤を使用しているため、特許文献1と同様の問題が内在している。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、泥水の処理に大きな負担やコストが掛からず、脱水性能を向上させるために薬剤の添加量を増量させた場合にも機械や設備の腐食を引き起こす虞が少なく、さらには環境にも優しい凝集剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明にかかる凝集剤組成物の特徴構成は、
泥水を処理するための凝集剤組成物であって、
(a)以下の構造式(I):
【化1】
(R
1~R
4は、共に又は独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、及びターシャリーブチル基からなる群から選択されるアルキル基である。)
を有する第4級アンモニウムカチオンと他のアニオンとの塩(第4級アンモニウム塩)を含む凝集剤と、
(b)二価のカチオンの金属塩を含む凝集脱水助剤と、
を含有することにある。
【0011】
本構成の凝集剤組成物によれば、凝集剤として第4級アンモニウム塩と、凝集脱水助剤として二価のカチオンの金属塩とを組み合わせたことで、当該凝集組成物を泥水シールド工事で発生した泥水の凝集沈降処理及び高度脱水処理(二次処理)に使用した場合、高いフロック形成能(凝集性)と強いケーキ形成能(脱水性)とを両立させることができる。従って、例えば、泥水が大量に発生するような場面であっても、効率的に泥水処理を進めることが可能となり、作業員の負担や処理コストの低減に寄与するものとなる。また、第4級アンモニウム塩及び二価のカチオンの金属塩は、中性ないし弱塩基性の物質であるため、脱水性能を向上させるために凝集剤組成物の添加量を増量させた場合にも機械や設備の腐食を引き起こす虞が少ないものとなる。そして、処理後に生成した脱水ケーキ及び処理水は、中性ないし弱酸性を維持できることから、従来は必要とされていたpH調整(中和作業)は不要又は低減することができ、結果として、環境への負荷も小さいものとなる。
【0012】
本発明にかかる凝集剤組成物において、
前記凝集剤及び前記凝集脱水助剤の剤形は、溶液又は懸濁液であることが好ましい。
【0013】
本構成の凝集剤組成物によれば、凝集剤及び凝集脱水助剤の剤形を、溶液又は懸濁液として適用することにより、第4級アンモニウム塩と二価のカチオンの金属塩とを混合したときの発熱、あるいは二価のカチオンの金属塩が水に接触したときの発熱が抑えられ、作業環境の安全性が向上する。
【0014】
本発明にかかる凝集剤組成物において、
前記凝集剤における前記第4級アンモニウム塩の含有量は、30~50重量%であり、前記凝集脱水助剤における前記二価のカチオンの金属塩の含有量は、25~45重量%であることが好ましい。
【0015】
本構成の凝集剤組成物によれば、凝集剤における第4級アンモニウム塩の含有量、及び凝集脱水助剤における二価のカチオンの金属塩の含有量が適切な範囲にあるため、使い勝手がよく、且つ優れた凝集性及び脱水性を発揮することができる。
【0016】
本発明にかかる凝集剤組成物において、
前記凝集剤と前記凝集脱水助剤との配合比率(a:b)が、体積比で1:0.5~1:7に設定されていることが好ましい。
【0017】
本構成の凝集剤組成物によれば、凝集剤と凝集脱水助剤との配合比率が適切な範囲にあるため、凝集性と脱水性とのバランスに優れたものとなる。
【0018】
本発明にかかる凝集剤組成物において、
水で3~5倍の体積に希釈されていることが好ましい。
【0019】
本構成の凝集剤組成物によれば、水で適切な倍率に希釈されているため、優れた凝集性と脱水性とを維持しながら、液剤としての使い勝手が向上し、作業性が良好なものとなる。
【0020】
本発明にかかる凝集剤組成物において、
前記二価のカチオンの金属塩の濃度が、2.5重量%以上に設定されていることが好ましい。
【0021】
本構成の凝集剤組成物によれば、二価のカチオンの金属塩の濃度が一定以上確保されているため、優れた脱水性を実現することができる。
【0022】
本発明にかかる凝集剤組成物において、
前記第4級アンモニウム塩の濃度が、3重量%以上に設定されていることが好ましい。
【0023】
本構成の凝集剤組成物によれば、第4級アンモニウム塩の濃度が一定以上確保されているため、優れた凝集性を実現することができる。
【0024】
本発明にかかる凝集剤組成物において、
前記二価のカチオンの金属塩は、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、ニッケル塩、亜鉛塩、及びコバルト塩からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0025】
本構成の凝集剤組成物によれば、二価のカチオンの金属塩として適切な金属塩を含むため、凝集性及び脱水性が優れたものとなり、さらには、剤形が溶液又は懸濁液の使い易い液剤として提供することができる。
【0026】
本発明にかかる凝集剤組成物において、
前記二価のカチオンの金属塩は、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、及びリン酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0027】
本構成の凝集剤組成物によれば、二価のカチオンの金属塩として適切な無機カルシウム塩を含むため、凝集性及び脱水性がより優れたものとなり、液剤としての使い勝手もさらに向上する。
【0028】
本発明にかかる凝集剤組成物において、
無機凝集剤を含有しないことが好ましい。
【0029】
本構成の凝集剤組成物によれば、無機凝集剤を含有しないものとすることにより、従来の凝集剤又は凝集剤組成物において解決が望まれていた腐食性、作業性、コスト、環境負荷等の諸問題を同時に解決することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、実施例4~7、比較例2、及び参考例2~3による脱水試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明にかかる凝集剤組成物について説明する。ただし、本発明は、以下で説明する実施形態や実施例に記載される構成に限定されるものではない。
【0032】
本発明にかかる凝集剤組成物は、凝集剤と、凝集脱水助剤とを含有する。
【0033】
<凝集剤>
凝集剤は、泥水シールド工事で発生した泥水中に浮遊する土粒子を凝集し、沈降させるための薬剤であり、その主成分は、第4級アンモニウム塩である。第4級アンモニウム塩は、第4級アンモニウムカチオンと他のアニオンとの塩であり、カチオン系凝集剤に分類される。
【0034】
第4級アンモニウムカチオンは、以下の構造式(I):
【0035】
【化1】
を有する。ここで、R
1~R
4は、共に又は独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、及びターシャリーブチル基からなる群から選択されるアルキル基である。すなわち、構造式(I)に示される第4級アンモニウムカチオンと他のアニオンとの塩は、テトラアルキルアンモニウム塩である。
【0036】
第4級アンモニウムカチオンは、上記構造式(I)において、R3及びR4が共にメチル基である以下の構造式(II):
【0037】
【化2】
を有するものが好ましい。ここで、R
1及びR
2は、共に又は独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、及びターシャリーブチル基からなる群から選択されるアルキル基である。すなわち、構造式(II)に示される第4級アンモニウムカチオンと他のアニオンとの塩は、ジメチルジアルキルアンモニウム塩である。
【0038】
好ましいジメチルアルキルアンモニウム塩は、R1及びR2が共にメチル基であるテトラメチルアンモニウム塩、R1及びR2の一方がメチル基であり他方がエチル基であるトリメチルエチルアンモニウム塩、R1及びR2が共にエチル基であるジメチルジエチルアンモニウム塩、R1及びR2の一方がメチル基であり他方がプロピル基であるトリメチルプロピルアンモニウム塩、R1及びR2の一方がエチル基であり他方がプロピル基であるジメチルエチルプロピルアンモニウム塩、R1及びR2が共にプロピル基であるジメチルジプロピルアンモニウム塩、R1及びR2が共にブチル基であるジメチルジブチルアンモニウム塩、R1及びR2の一方がメチル基であり他方がブチル基であるトリメチルブチルアンモニウム塩、R1及びR2の一方がエチル基であり他方がブチル基であるジメチルエチルブチルアンモニウム塩、R1及びR2の一方がプロピル基であり他方がブチル基であるジメチルプロピルブチルアンモニウム塩である。
【0039】
第4級アンモニウムカチオンと組み合わせ可能な他のアニオンとしては、塩化物イオン(Cl-)、臭化物イオン(Br-)、フッ化物イオン(F-)、ヨウ化物イオン(I-)等のハロゲン化物イオンに代表される単原子イオン、次亜塩素酸イオン(ClO-)、水酸化物イオン(OH-)、硝酸イオン(NO3
-)、硫酸イオン(SO4
-)、リン酸イオン(PO4
-)、酢酸イオン(CH3COO-)、炭酸水素イオン(HCO3
-)等の多原子イオン、テトラヒドロキシドアルミン酸イオン([Al(OH)4]-)等の錯イオンが挙げられる。これらのうち好ましいアニオンは、ハロゲン化物イオンであり、より好ましいアニオンは、塩化物イオン(Cl-)である。
【0040】
上記の構造式(I)又は構造式(II)に示される第4級アンモニウムカチオンと他のアニオンとを組み合わせた第4級アンモニウム塩は、同一の構造式を有する同種の第4級アンモニウム塩のみからなる単一物であってもよいし、異なる二種以上の構造式を有する第4級アンモニウム塩の混合物であってもよい。
【0041】
上記の第4級アンモニウム塩を含む凝集剤の剤形は、後述する発熱の問題や使い勝手の点から、溶液又は懸濁液とすることが好ましい。なお、第4級アンモニウム塩が水溶性である場合は、凝集剤は水溶液として調製され、第4級アンモニウム塩が難水溶性である場合は、凝集剤は懸濁液として調製される。
【0042】
凝集剤における第4級アンモニウム塩の含有量は、30~50重量%であることが好ましく、35~45重量%であることがより好ましい。凝集剤における第4級アンモニウム塩の含有量が上記の範囲内であれば、凝集剤として使い易いものとなり、且つ優れた凝集性を発揮することができる。
【0043】
<凝集脱水助剤>
凝集脱水助剤は、凝集剤による凝集性能を向上させるとともに、凝集剤によって凝集沈降させた土粒子のフロックをフィルタープレス等の脱水機に通してケーキとする際の当該ケーキの脱水効果を向上させるための薬剤であり、その主成分は、二価のカチオンの金属塩である。二価のカチオンの金属塩は、従来、凍結防止剤、除湿剤、乾燥剤、排水処理剤、肥料等の用途として知られていたが、本発明者らは、凝集剤として第4級アンモニウム塩を使用した泥水処理において、二価のカチオンの金属塩を助剤として併用すると、泥水中の土粒子の凝集性及びフロックの脱水性が向上するという予期し得ない新たな効果を発見し、本発明を完成するに至った。
【0044】
二価のカチオンの金属塩としては、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、ニッケル塩、亜鉛塩、及びコバルト塩等が挙げられる。これらの二価のカチオンの金属塩は、同種の二価のカチオンの金属塩のみからなる単一物として使用してもよいし、異なる二種以上の二価のカチオンの金属塩の混合物として使用してもよい。とりわけ好ましい二価のカチオンの金属塩は、カルシウム塩である。カルシウム塩としては、塩化カルシウム等の水溶性カルシウム塩、又は硫酸カルシウムやリン酸カルシウム等の難水溶性カルシウム塩の何れも使用可能であるが、水溶性カルシウム塩である塩化カルシウムがより好ましく使用される。
【0045】
上記の二価のカチオンの金属塩を含む凝集脱水助剤の剤形は、第4級アンモニウム塩と二価のカチオンの金属塩とを混合したときの発熱(凝集剤組成物の調製時の発熱)、あるいは二価のカチオンの金属塩が水に接触したときの発熱(凝集脱水助剤の調製時の発熱)が抑えられるという点から、凝集剤と同様に溶液又は懸濁液とすることが好ましい。凝集剤組成物の調製時の発熱、あるいは凝集脱水助剤の調製時の発熱が抑えられることで、作業環境の安全性も向上する。なお、二価のカチオンの金属塩として、塩化カルシウム等の水溶性カルシウム塩を用いる場合は、凝集脱水助剤は水溶液として調製され、硫酸カルシウム等の難水溶性カルシウム塩を用いる場合は、凝集脱水助剤は懸濁液として調製される。
【0046】
凝集脱水助剤における二価のカチオンの金属塩の含有量は、25~45重量%であることが好ましく、30~40重量%であることがより好ましい。凝集脱水助剤における二価のカチオンの金属塩の含有量が上記の範囲内であれば、凝集脱水助剤として使い易いものとなり、且つ優れた凝集性及び脱水性を発揮することができる。
【0047】
<凝集剤組成物>
本発明にかかる凝集剤組成物は、上記の凝集剤と、上記の凝集脱水助剤とを組み合わせたことで、当該凝集組成物を泥水シールド工事で発生した泥水の凝集沈降処理及び高度脱水処理(二次処理)に使用した場合、高いフロック形成能(凝集性)と強いケーキ形成能(脱水性)とを両立させることができる。従って、例えば、泥水が大量に発生するような場面であっても、効率的に泥水処理を進めることが可能となり、作業員の負担や処理コストの低減に寄与するものとなる。また、凝集剤に含まれる第4級アンモニウム塩、及び凝集脱水助剤に含まれる二価のカチオンの金属塩は、中性ないし弱塩基性の物質であるため、脱水性能を向上させるために凝集剤組成物の添加量を増量させた場合にも機械や設備の腐食を引き起こす虞が少ないものとなる。そして、処理後に生成した脱水ケーキ及び処理水は、中性ないし弱酸性を維持できることから、従来は必要とされていたpH調整(中和作業)は不要又は低減することができ、結果として、環境への負荷も小さいものとなる。
【0048】
本発明にかかる凝集剤組成物において、フロック形成能(凝集性)とケーキ形成能(脱水性)とを同時に高める(両立させる)ためには、凝集剤及び凝集脱水助剤は夫々適量配合されることが好ましい。具体的には、凝集剤組成物における凝集剤の配合量をaとし、凝集剤組成物における凝集脱水助剤の配合量をbとすると、凝集剤と凝集脱水助剤との配合比率(a:b)は、体積比で1:0.5~1:7に設定されることが好ましく、1:1~1:7に設定されることがより好ましい。凝集剤と凝集脱水助剤との配合比率(a:b)が上記の範囲であれば、泥水処理に凝集剤組成物を使用した場合、優れた凝集性及び脱水性を発揮することができ、凝集性と脱水性とのバランスにも優れたものとなる。
【0049】
本発明にかかる凝集剤組成物は、上記の凝集剤と、上記の凝集脱水助剤とを含む原液をそのまま使用することも可能ではあるが、液剤としての使い勝手や作業性を良好なものとするため、通常、水で3~5倍の体積に希釈して、好ましくは3.5~4.5倍の体積に希釈して、より好ましくは4倍の体積に希釈して使用される。この場合、水で希釈した凝集剤組成物中において、二価のカチオンの金属塩の濃度は、2.5重量%以上に設定されていることが好ましく、第4級アンモニウム塩の濃度は、3重量%以上に設定されていることが好ましい。このように水で希釈した凝集剤組成物であっても、希釈倍率が適正であれば、優れた凝集性と脱水性とを維持することができる。
【0050】
本発明にかかる凝集剤組成物は、上記の凝集剤と、上記の凝集脱水助剤とを組み合わせたことで優れた凝集性及び脱水性を発揮できるため、従来使用されていたポリ塩化アルミニウム(PAC)、液体塩化アルミニウム(LAC)、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄等の無機凝集剤を含有しないものとして調製することができる。これにより、本発明にかかる凝集剤組成物は、機械や設備の腐食を引き起こす虞が少ないものとなる。また、処理後に発生する脱水ケーキや処理水に対してpH調整(中和作業)を行う必要がないため、作業員の手間とコストが大幅に低減され、さらには環境にも優しいものとなる。
【0051】
本発明にかかる凝集剤組成物は、必要に応じて、その他の成分を含有することも可能である。その他の成分としては、消泡剤、pH調整剤、溶剤、増粘剤、安定化剤、着色剤、消臭剤、防錆剤等が挙げられる。
【実施例】
【0052】
本発明に含まれる凝集剤組成物(実施例1~3)、及び本発明に含まれない凝集剤組成物(比較例1)を夫々以下のとおり調製した。また、参考のため、代表的な無機凝集剤であるポリ塩化アルミニウム(PAC)(参考例1)を準備した。
【0053】
<実施例1>
凝集剤として、第4級アンモニウム塩であるジアルキルジメチルアンモニウムクロリド(製品名:TGスコール、剤形:40重量%水溶液、テクニカ合同株式会社製)を使用し、凝集脱水助剤として、塩化カルシウム(剤形:35重量%水溶液、株式会社トクヤマ製)を使用した。ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドと、塩化カルシウムとを体積比で1:0.57となるように混合し、この混合物に水を添加して4倍の体積となるように希釈し、実施例1の凝集剤組成物(ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド濃度:5重量%、塩化カルシウム濃度:2.5重量%)を得た。
【0054】
<実施例2>
凝集剤として、第4級アンモニウム塩であるジアルキルジメチルアンモニウムクロリド(製品名:TGスコール、剤形:40重量%水溶液、テクニカ合同株式会社製)を使用し、凝集脱水助剤として、塩化カルシウム(剤形:35重量%水溶液、株式会社トクヤマ製)を使用した。ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドと、塩化カルシウムとを体積比で1:1となるように混合し、この混合物に水を添加して4倍の体積となるように希釈し、実施例2の凝集剤組成物(ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド濃度:5重量%、塩化カルシウム濃度:4.4重量%)を得た。
【0055】
<実施例3>
凝集剤として、第4級アンモニウム塩であるジアルキルジメチルアンモニウムクロリド(製品名:TGスコール、剤形:40重量%水溶液、テクニカ合同株式会社製)を使用し、凝集脱水助剤として、塩化カルシウム(剤形:35重量%水溶液、株式会社トクヤマ製)を使用した。ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドと、塩化カルシウムとを体積比で1:7となるように混合し、この混合物に水を添加して4倍の体積となるように希釈し、実施例3の凝集剤組成物(ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド濃度:5重量%、塩化カルシウム濃度:30.6重量%)を得た。
【0056】
<比較例1>
凝集剤として、第4級アンモニウム塩であるジアルキルジメチルアンモニウムクロリド(製品名:TGスコール、剤形:40重量%水溶液、テクニカ合同株式会社製)を使用した。ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドに水を添加して8倍の体積となるように希釈し、比較例1の凝集剤組成物(ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド濃度:5重量%、塩化カルシウム濃度:0重量%)を得た。
【0057】
<参考例1>
無機凝集剤として市販されているポリ塩化アルミニウム(製品名:PAC250A、濃度:10重量%(Al2O3換算)、多木化学株式会社製)を、そのまま参考例1の凝集剤として使用した。
【0058】
実施例1~3の凝集剤組成物、比較例1の凝集剤組成物、並びに参考例1の凝集剤の性能を比較するため、泥水シールド工事で発生した泥水を用いて、以下の試験を実施した。
【0059】
〔CST試験〕
CST(Capillary Suction Time)試験は、毛細管現象により液が一定の範囲に広がる時間を測定するものであり、これにより泥水のろ水性を評価することができる。CST試験では、泥水に粘物質が多く含まれると、測定値(CST値)が大きくなり、脱水性が悪いと評価されることになる。
【0060】
泥水に対し、実施例1~3の凝集剤組成物、比較例1の凝集剤組成物、並びに参考例1の凝集剤を夫々、0kg/m3、2kg/m3、4kg/m3の割合で添加し、十分に混合した後、泥水のCST値をスラッジ評価CST測定装置(製品名:Type304M、Triton Electronics社製)を用いて測定した。なお。凝集剤組成物を添加する前の泥水の物性(初期値)は、比重が1.14、ファンネル粘性が21.5(秒)、浮遊土粒子が0.22(sst/m3)、pHが10.3、砂分が3重量%であった。泥水のファンネル粘性は、ファンネル粘度計(製品名:S-251、株式会社西日本試験機製)により測定したものである。CST値の測定結果を下記の表1に示す。
【0061】
【0062】
実施例1の凝集剤組成物は、従来から泥水処理に使用されているポリ塩化アルミニウム(参考例1)と同等のCST値を示したことから、実用上問題のない脱水性を発揮し得ることが示唆された。実施例2及び3の凝集剤組成物は、ポリ塩化アルミニウム(参考例1)よりも優れたCST値を示し、優れた脱水性を発揮し得るものであった。これに対し、塩化カルシウムを含まない比較例1の凝集剤組成物は、ポリ塩化アルミニウム(参考例1)よりもCST値が劣っており、脱水性が不十分であると考えられる。
【0063】
以上のCST試験の結果より、凝集剤組成物に含まれる塩化カルシウムの濃度が2.5重量%以上であれば、従来の凝集剤であるポリ塩化アルミニウムと同等以上の優れた脱水性を発揮し得ることが判明した。
【0064】
〔脱水試験〕
CST試験で使用した泥水について、本発明に含まれる凝集剤組成物の添加による脱水性の向上効果をフィルタープレス試験機(株式会社三央製)により確認した(実施例4~7)。また、比較のため、本発明に含まれない凝集剤組成物の添加による泥水の脱水性(比較例2)、並びに、参考のため、代表的な無機凝集剤であるポリ塩化アルミニウム(PAC)の添加による泥水の脱水性(参考例3)についても、同じフィルタープレス試験機を用いて確認した。
【0065】
<実施例4>
泥水10Lに対し、実施例2の凝集剤組成物(ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド濃度:5重量%、塩化カルシウム濃度:4.4重量%)を3.7kg/m3の割合で添加し、泥水を3分間攪拌した。次いで、攪拌後の泥水をフィルタープレス試験機に打込み圧0.5MPaで導入し、ろ水量が5000gに達するまでプレスを継続し、その間1分毎にろ水量を計測した。実施例4における脱水時間は、55分であった。プレス終了後に回収した脱水ケーキの特性は、重量が3.01(kg)、コーン指数が60(kN/m2)、含水率が49.3(重量%)であった。ろ水の特性は、pHが10.1、電気伝導度が2.11(ms/cm)であった。
【0066】
<実施例5>
泥水10Lに対し、実施例2の凝集剤組成物(ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド濃度:5重量%、塩化カルシウム濃度:4.4重量%)を7.4kg/m3の割合で添加し、泥水を3分間攪拌した。次いで、攪拌後の泥水をフィルタープレス試験機に打込み圧0.5MPaで導入し、ろ水量が5000gに達するまでプレスを継続し、その間1分毎にろ水量を計測した。実施例5における脱水時間は、37分であった。プレス終了後に回収した脱水ケーキの特性は、重量が3.06(kg)、コーン指数が71(kN/m2)、含水率が50.3(重量%)であった。ろ水の特性は、pHが9.9、電気伝導度が1.88(ms/cm)であった。
【0067】
<実施例6>
泥水10Lに対し、実施例3の凝集剤組成物(ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド濃度:5重量%、塩化カルシウム濃度:30.6重量%)を3.7kg/m3の割合で添加し、泥水を3分間攪拌した。次いで、攪拌後の泥水をフィルタープレス試験機に打込み圧0.5MPaで導入し、ろ水量が5000gに達するまでプレスを継続し、その間1分毎にろ水量を計測した。実施例6における脱水時間は、51分であった。プレス終了後に回収した脱水ケーキの特性は、重量が2.98(kg)、コーン指数が73(kN/m2)、含水率が43.3(重量%)であった。ろ水の特性は、pHが9.8、電気伝導度が3.15(ms/cm)であった。
【0068】
<実施例7>
泥水10Lに対し、実施例3の凝集剤組成物(ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド濃度:5重量%、塩化カルシウム濃度:30.6重量%)を7.4kg/m3の割合で添加し、泥水を3分間攪拌した。次いで、攪拌後の泥水をフィルタープレス試験機に打込み圧0.5MPaで導入し、ろ水量が5000gに達するまでプレスを継続し、その間1分毎にろ水量を計測した。実施例7における脱水時間は、44分であった。プレス終了後に回収した脱水ケーキの特性は、重量が3.00(kg)、コーン指数が62(kN/m2)、含水率が51.3(重量%)であった。ろ水の特性は、pHが9.9、電気伝導度が5.33(ms/cm)であった。
【0069】
<比較例2>
泥水10Lに対し、比較例1の凝集剤組成物(ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド濃度:5重量%、塩化カルシウム濃度:0重量%)を3.7kg/m3の割合で添加し、泥水を3分間攪拌した。次いで、攪拌後の泥水をフィルタープレス試験機に打込み圧0.5MPaで導入し、ろ水量が5000gに達するまでプレスを継続し、その間1分毎にろ水量を計測した。比較例1における脱水時間は、56分であった。プレス終了後に回収した脱水ケーキの特性は、重量が3.24(kg)、コーン指数が41(kN/m2)、含水率が47.6(重量%)であった。ろ水の特性は、pHが10.1、電気伝導度が1.20(ms/cm)であった。
【0070】
<参考例2>
泥水10Lに対し、参考例1の凝集剤(ポリ塩化アルミニウム、濃度:10重量%(Al2O3換算))を5.6kg/m3の割合で添加し、泥水を3分間攪拌した。次いで、攪拌後の泥水をフィルタープレス試験機に打込み圧0.5MPaで導入し、ろ水量が5000gに達するまでプレスを継続し、その間1分毎にろ水量を計測した。参考例2における脱水時間は、60分であった。プレス終了後に回収した脱水ケーキの特性は、重量が3.01(kg)、コーン指数が25(kN/m2)、含水率が44.5(重量%)であった。ろ水の特性は、pHが7.3、電気伝導度が2.78(ms/cm)であった。
【0071】
<参考例3>
泥水10Lに対し、参考例1の凝集剤(ポリ塩化アルミニウム、濃度:10重量%(Al2O3換算))を11.2kg/m3の割合で添加し、泥水を3分間攪拌した。次いで、攪拌後の泥水をフィルタープレス試験機に打込み圧0.5MPaで導入し、ろ水量が5000gに達するまでプレスを継続し、その間1分毎にろ水量を計測した。参考例3における脱水時間は、43分であった。プレス終了後に回収した脱水ケーキの特性は、重量が2.95(kg)、コーン指数が46(kN/m2)、含水率が45.9(重量%)であった。ろ水の特性は、pHが6.6、電気伝導度が4.44(ms/cm)であった。
【0072】
上記の実施例4~7、比較例2、並びに参考例2~3による脱水試験の結果を表2及び表3、並びに
図1に示す。表2及び表3は、フィルタープレス試験機によるプレス期間のろ水量の値を0~30分(表2)と31~60分(表3)とに分けて示したものであり、
図1は、表2及び表3に示したろ水量をプロットしたグラフである。
【0073】
【0074】
【0075】
表2及び表3、並びに
図1から考察すると、本発明にかかる凝集剤組成物の脱水性について、以下の知見が得られた。
【0076】
(1)実施例4~7と比較例2との対比から、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドに塩化カルシウムを併用すると、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドを単独で使用した場合と比べて、脱水性が向上することが確認された。
(2)実施例4と実施例5との対比から、凝集剤組成物に含まれる塩化カルシウムの濃度が低い場合、泥水に対する凝集剤組成物の添加量を増加させると、脱水性が向上することが確認された。この傾向は、凝集剤組成物に含まれる塩化カルシウムの濃度が高い場合(実施例6と実施例7との対比)においても同様であった。
(3)実施例4と実施例6との対比から、泥水に対する凝集剤組成物の添加量が少ない場合、凝集剤組成物に含まれる塩化カルシウムの濃度が高くなると、脱水性が向上することが確認された。一方、実施例5と実施例7との対比から、泥水に対する凝集剤組成物の添加量が多い場合は、凝集剤組成物に含まれる塩化カルシウムの濃度は脱水性の向上に寄与するとは限らないことが示唆された。
(4)実施例4及び6と参考例2との対比から、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドと塩化カルシウムとを含む本発明にかかる凝集剤組成物は、従来用いられていたポリ塩化アルミニウムより、少ない添加量で優れた脱水性を達成できることが確認された。この傾向は、泥水に対する添加量を2倍にした場合(実施例5及び7と参考例3との対比)においても同様であった。
(5)凝集剤組成物を添加する前の泥水のpHは10.3であるところ、実施例4~7による脱水試験で得られたろ水のpHは9.8~10.1であり、参考例2及び3による脱水試験で得られたろ水のpHは6.6~7.3であった。このように、本発明にかかる凝集剤組成物は、使用前後のpH変動が小さいことから、脱水性能を向上させるために凝集剤組成物の添加量を増量させた場合にも機械や設備の腐食を引き起こす虞が少なく、さらには、pH調整(中和作業)に掛かる負担を低減し得るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の凝集剤組成物は、泥水シールド工事で発生した泥水を処理するために好適に利用されるものであるが、その他の用途として、下水、し尿等の生活排水の処理、化学工業、食品工業、紙パルプ業、窯業、染色業等の各種産業廃水の処理においても利用可能である。