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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/16 20060101AFI20240729BHJP
   B29C 33/14 20060101ALI20240729BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
B29C45/16
B29C33/14
B29C45/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019092616
(22)【出願日】2019-05-16
(65)【公開番号】P2020185745
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-03-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000158781
【氏名又は名称】紀伊産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(72)【発明者】
【氏名】小松 冨士夫
(72)【発明者】
【氏名】井上 直明
【合議体】
【審判長】神谷 健一
【審判官】宮澤 浩
【審判官】植前 充司
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-267505(JP,A)
【文献】特開2002-360809(JP,A)
【文献】特開2007-290315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B29C45/00-45/84
B29C33/00-33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加飾シートを用いてインサート成形することによって、樹脂成形品の一面を加飾する樹脂成形品の製造方法であって、
加飾部と前記加飾部の周囲に位置する挟持部とを有し、加飾部と挟持部を分離する切り込みが形成されている加飾フィルムと、前記加飾フィルムの加飾面に付着された保護フィルムを有する加飾シートを用意する工程と、
前記加飾シートをキャビティおよびコアを有する金型に配置し、前記キャビティには凹部が設けられており、前記凹部内に前記加飾シートを保持する保持部が設けられており、前記加飾シートを、前記保護フィルムが内側となり、前記キャビティの保持部と当接するように、前記保持部に配置する工程と、
前記コアには前記凹部内に挿入される凸部が設けられており、前記凸部には樹脂成形品を成形する成形部が設けられており、前記凹部内に前記凸部を挿入し、前記キャビティの保持部と前記コアの凸部とで前記加飾シートの前記挟持部を挟んで固定する工程と、
前記金型内に樹脂を射出して樹脂成形品をインサート成形する工程と、
前記金型から前記樹脂成形品を取り出す工程とを含み、
前記保護フィルムをはがすことにより、前記加飾部によって前記樹脂成形品の表面の加飾が行われ
前記加飾シートに前記挟持部及び前記切り込みが形成されていることにより、成形後、樹脂成形品から前記加飾シートを取り外すと、前記保護フィルム及び前記挟持部を取り除くことができ、
前記加飾シートの加飾部の平面形状が、円形または楕円形であることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
【請求項2】
前記キャビティの保持部には前記加飾部に対応する部分に凹状の曲面を設け、前記樹脂成形品の表面を凸状の曲面に形成し、前記樹脂成形品の曲面の表面を前記加飾部によって加飾することを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項3】
加飾シートを用いてインサート成形することによって、樹脂成形品の一面を加飾する樹脂成形品の製造方法であって、
加飾部と前記加飾部の周囲に位置する挟持部とを有し、加飾部と挟持部を分離する切り込みが形成されている加飾フィルムと、前記加飾フィルムの加飾面に付着された保護フィルムを有する加飾シートを用意する工程と、
前記加飾シートをコアおよびキャビティを有する金型に配置し、前記コアには凹部が設けられ、前記凹部内に前記樹脂成形品を成形する成形部および前記加飾シートを保持する保持部が設けられており、前記加飾シートを、前記保護フィルムが外側となり、前記加飾フィルムが前記コアの保持部と当接するように、前記保持部に配置する工程と、
前記キャビティには前記凹部内に挿入される凸部が設けられており、前記凹部内に前記凸部を挿入し、前記コアの保持部と前記キャビティの凸部とで前記加飾シートの前記挟持部を挟んで固定する工程と、
前記金型内に樹脂を射出して樹脂成形品をインサート成形する工程と、
前記金型から前記樹脂成形品を取り出す工程とを含み、
前記保護フィルムをはがすことにより、前記加飾部によって前記樹脂成形品の表面の加飾が行われ
前記加飾シートに前記挟持部及び前記切り込みが形成されていることにより、成形後、樹脂成形品から前記加飾シートを取り外すと、前記保護フィルム及び前記挟持部を取り除くことができ、
前記加飾シートの加飾部の平面形状が、円形または楕円形であることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
【請求項4】
前記コアの保持部には前記加飾部に対応する部分に凹状の曲面を設け、前記樹脂成形品の表面を凸状の曲面を形成し、前記樹脂成形品の曲面の表面を前記加飾部によって加飾することを特徴とする請求項に記載する樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾シートを用いてインサート成形することによって、樹脂成形品の一面を加飾する樹脂成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加飾フィルムを用いて、樹脂成形品の成形と同時に加飾を行う方法として、主にインモールド成形とインサート成形の2種類の成形方法が用いられている。インモールド成形は、金型でロール状の加飾フィルムを挟み込んだ状態で、樹脂を射出し射出成形を行うことにより、樹脂成形品の表面に転写する(特許文献1参照)。インモールド成形は、樹脂成形品からはみ出した加飾フィルムは箔バリとなるので箔バリを除去する工程が必要であり、また、ロール状の加飾フィルムを金型で挟み込むことから位置ずれが生じるという問題がある。
【0003】
インサート成形は、所定の形状にカット加工した加飾シートを金型内に入れ、金型内に樹脂を射出して成形することによって、樹脂成形品の表面に加飾シートを一体化させる方法である(特許文献2参照)。インサート成形は、インモールド成形と比べて、箔バリの問題が無く、位置ずれが生じ難くはなるが、加飾シートをカット加工する際に発生する切り粉や加飾シート表面へのごみなどの付着、加飾シートの形状が円形の場合だと位置決めが難しいという問題があり、加飾シートと金型との間に樹脂が流れ込む、あるいは、加飾シートがずれるという問題もあり、特に曲面への加飾が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-172196号公報
【文献】特開2013-184294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、加飾シートを用いてインサート成形する際に、加飾シートの位置決めが簡単かつ正確であり、製造時の加飾シート表面へのごみなどの付着および破損を防止し、さらに、樹脂を射出した際の加飾シートの位置ずれなどを防止し、樹脂成形品の曲面への加飾が可能な樹脂成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の樹脂成形品の製造方法は、加飾シートを用いてインサート成形することによって、樹脂成形品の一面を加飾する樹脂成形品の製造方法であって、加飾部と前記加飾部の周囲に位置する挟持部とを有し、加飾部と挟持部を分離する切り込みが形成されている加飾フィルムと、前記加飾フィルムの加飾面に付着された保護フィルムを有する加飾シートを用意する工程と、前記加飾シートをキャビティおよびコアを有する金型に配置し、前記キャビティには凹部が設けられており、前記凹部内に前記加飾シートを保持する保持部が設けられており、前記加飾シートを、前記保護フィルムが内側となるように、前記保持部に配置する工程と、前記コアには前記凹部内に挿入される凸部が設けられており、前記凸部には樹脂成形品を成形する成形部が設けられており、前記凹部内に前記凸部を挿入し、前記キャビティの保持部と前記コアの凸部とで前記加飾シートの前記挟持部を挟んで固定する工程と、前記金型内に樹脂を射出して樹脂成形品をインサート成形する工程と、前記金型から前記樹脂成形品を取り出す工程とを含み、前記保護フィルムをはがすことにより、前記加飾部によって前記樹脂成形品の表面の加飾が行われることを特徴とする。
【0007】
前記キャビティの保持部には前記加飾部に対応する部分に、凹状の曲面を設け、前記樹脂成形品の表面を凸状の曲面に形成し、前記樹脂成形品の曲面の表面を前記加飾部によって加飾することも可能である。
【0008】
前記加飾シートの加飾部の平面形状を、円形または楕円形とすることができる。
【0009】
本発明の樹脂成形品の別の形態の製造方法は、加飾シートを用いてインサート成形することによって、樹脂成形品の一面を加飾する樹脂成形品の製造方法であって、加飾部と前記加飾部の周囲に位置する挟持部とを有し、加飾部と挟持部を分離する切り込みが形成されている加飾フィルムと、前記加飾フィルムの加飾面に付着された保護フィルムを有する加飾シートを用意する工程と、前記加飾シートをコアおよびキャビティを有する金型に配置し、前記コアには凹部が設けられ、前記凹部内に前記樹脂成形品を成形する成形部および前記加飾シートを保持する保持部が設けられており、前記加飾シートを、前記保護フィルムが外側となるように、前記保持部に配置する工程と、前記キャビティには前記凹部内に挿入される凸部が設けられており、前記凹部内に前記凸部を挿入し、前記コアの保持部と前記キャビティの凸部とで前記加飾シートの前記挟持部を挟んで固定する工程と、前記金型内に樹脂を射出して樹脂成形品をインサート成形する工程と、前記金型から前記樹脂成形品を取り出す工程とを含み、前記保護フィルムをはがすことにより、前記加飾部によって前記樹脂成形品の表面の加飾が行われることを特徴とする。
【0010】
前記コアの保持部には前記加飾部に対応する部分に凹状の曲面を設け、前記樹脂成形品の表面を凸状の曲面を形成し、前記樹脂成形品の曲面の表面を前記加飾部によって加飾することも可能である。
【0011】
前記加飾シートの加飾部の平面形状を、円形または楕円形とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の樹脂成形品の製造方法は、加飾シートを用いてインサート成形することによって、樹脂成形品の一面を加飾する樹脂成形品の製造方法であって、加飾部と前記加飾部の周囲に位置する挟持部とを有し、加飾部と挟持部を分離する切り込みが形成されている加飾フィルムと、前記加飾フィルムの加飾面に付着された保護フィルムを有する加飾シートを用意する工程と、前記加飾シートをキャビティおよびコアを有する金型に配置し、前記キャビティには凹部が設けられており、前記凹部内に前記加飾シートを保持する保持部が設けられており、前記加飾シートを、前記保護フィルムが内側となるように、前記保持部に配置する工程と、前記コアには前記凹部内に挿入される凸部が設けられており、前記凸部には樹脂成形品を成形する成形部が設けられており、前記凹部内に前記凸部を挿入し、前記キャビティの保持部と前記コアの凸部とで前記加飾シートの前記挟持部を挟んで固定する工程と、前記金型内に樹脂を射出して樹脂成形品をインサート成形する工程と、前記金型から前記樹脂成形品を取り出す工程とを含み、前記保護フィルムをはがすことにより、前記加飾部によって前記樹脂成形品の表面の加飾が行われた状態となるので、前記加飾シートの位置決めが簡単に、かつ、正確に行うことができるようになり、前記樹脂成形品の表面に、位置ずれ、または、皺などを生じることなく綺麗に加飾することが可能となり、さらに、加飾シートをカット加工する際に発生する切り粉や加飾シート表面へのごみなどの付着および損傷が少なくなって歩留まりが向上することで、加飾された樹脂成形品の製造コストを低減することができるようになる。
【0013】
前記キャビティの保持部には前記加飾部に対応する部分に、凹状の曲面を設け、前記樹脂成形品の表面を凸状の曲面に形成し、前記樹脂成形品の曲面の表面を前記加飾部によって加飾することにより、前記樹脂成形品の表面に、位置ずれ、または、皺などを生じることなく加飾することが可能となる。
【0014】
本発明の樹脂成形品の別の形態の製造方法は、加飾シートを用いてインサート成形することによって、樹脂成形品の一面を加飾する樹脂成形品の製造方法であって、加飾部と前記加飾部の周囲に位置する挟持部とを有し、加飾部と挟持部を分離する切り込みが形成されている加飾フィルムと、前記加飾フィルムの加飾面に付着された保護フィルムを有する加飾シートを用意する工程と、前記加飾シートをコアおよびキャビティを有する金型に配置し、前記コアには凹部が設けられ、前記凹部内に前記樹脂成形品を成形する成形部および前記加飾シートを保持する保持部が設けられており、前記加飾シートを、前記保護フィルムが外側となるように、前記保持部に配置する工程と、前記キャビティには前記凹部内に挿入される凸部が設けられており、前記凹部内に前記凸部を挿入し、前記コアの保持部と前記キャビティの凸部とで前記加飾シートの前記挟持部を挟んで固定する工程と、前記金型内に樹脂を射出して樹脂成形品をインサート成形する工程と、前記金型から前記樹脂成形品を取り出す工程とを含み、前記保護フィルムをはがすことにより、前記加飾部によって前記樹脂成形品の表面の加飾が行われた状態となるので、前記加飾シートの位置決めが簡単に、かつ、正確に行うことができるようになり、前記樹脂成形品の表面に、位置ずれ、または、皺などを生じることなく綺麗に加飾することが可能となり、さらに、加飾シートをカット加工する際に発生する切り粉や加飾シート表面へのごみなどの付着および損傷が少なくなって歩留まりが向上することで、加飾された樹脂成形品の製造コストを低減することができるようになる。
【0015】
前記コアの保持部には前記加飾部に対応する部分に、凹状の曲面を設け、前記樹脂成形品の表面を凸状の曲面に形成し、前記樹脂成形品の曲面の表面を前記加飾部によって加飾することにより、前記樹脂成形品の表面に、位置ずれ、または、皺などを生じることなく加飾することが可能となる。
【0016】
前記加飾シートの加飾部の平面形状を、円形または楕円形とすることにより、前記加飾シートのずれを防止し、さらに、前記加飾シートの位置決めを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態の樹脂成形品の製造方法に使用する加飾シートの斜視図である。
図2】第1の実施形態で使用する加飾シートの断面図である。
図3】第1の実施形態で使用するキャビティの斜視図である。
図4】第1の実施形態で使用するコアの斜視図である。
図5】第1の実施形態の樹脂成形品の製造方法の工程を示す断面図である。
図6】第1の実施形態の樹脂成形品の製造方法の工程を示す断面図である。
図7】第1の実施形態の樹脂成形品の製造方法の工程を示す断面図である。
図8】第1の実施形態で製造した樹脂成形品から加飾シートを取り外す前の斜視図である。
図9】第1の実施形態で製造した樹脂成形品から加飾シートを取り外した後の斜視図である。
図10】第2の実施形態で使用するコアの斜視図である。
図11】第2の実施形態で使用するキャビティの斜視図である。
図12】第2の実施形態の樹脂成形品の製造方法の工程を示す断面図である。
図13】第2の実施形態の樹脂成形品の製造方法の工程を示す断面図である。
図14】第2の実施形態の樹脂成形品の製造方法の工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の樹脂成形品の製造方法について、図面を参照しながら以下に詳細に説明する。最初に、本発明の第1の実施形態の樹脂成形品の製造方法について説明するが、第1の実施形態で使用する加飾シート1から説明する。図1に示すのが、本発明の第1の実施形態の樹脂成形品の製造方法に使用する加飾シート1の斜視図であり、図2が断面図である。第1の実施形態の樹脂成形品の製造方法の説明は、樹脂成形品10として円形の蓋を用いて説明し、前記蓋の表面に加飾を施す場合について説明する。樹脂成形品の用途、形状、加飾する場所については、特に限定するものではなく、本発明は、様々な用途、形状の樹脂成形品に適用することが可能であり、加飾する面については、樹脂成形品の一面であれば表面に限定するものではない。
【0019】
第1の実施形態の樹脂成形品の製造方法に使用する加飾シート1は、樹脂成形品10である蓋の表面を加飾するためのシートであって、図1に示すように、加飾フィルム2および保護フィルム3から構成されている。前記加飾フィルム2は、図1に示すように、樹脂成形品10の加飾部分に合わせた円形の加飾部21、前記加飾部21の周囲に位置し、矩形の輪郭を有する挟持部22から構成されており、前記加飾部21と前記挟持部22とは環状の切り込み23によって分離されている。
【0020】
前記加飾フィルム2は、一面に印刷などによって加飾が施された加飾面を有するフィルムであって、少なくとも前記加飾部21だけに加飾が施されていればよく、場合によっては前記挟持部22にも加飾が施されていてもよい。前記加飾部21の形状は円形に限定するものではなく、樹脂成形品10の加飾部分に合わせた形状であればよく、楕円形とすることも可能であり、その他にも様々な形状とすることができる。また、前記加飾部21の加飾方法についても限定するものではなく、従来の様々な手段を用いることができる。
【0021】
前記切り込み23は、前記樹脂成形品10の加飾部分の形状に合わせて、前記加飾フィルム2をカットしたラインであり、前記切り込み23を前記加飾フィルム2に設けておくことにより、前記樹脂成形品10を成形した後、前記加飾部21を前記樹脂成形品10の表面に残した状態で、簡単に前記加飾シート1を前記樹脂成形品10から取り外すことができる。
【0022】
前記保護フィルム3は一面が粘着面となっており、前記粘着面に前記加飾フィルム2が付着されている。前記保護フィルム3の粘着力は、前記加飾フィルム2を保持し、樹脂成形品10を成形後、前記加飾部21を残した状態で前記加飾シート1を取り外すことができる粘着力があればよく、前記保護フィルム3として、一般的な粘着フィルムを用いることができる。前記保護フィルム3は、例えば、ポリエチレン系のフィルムの一面に粘着面を設けたものを用いることができるが、特に材質を限定するものではなく、様々なフィルムを用いることができ、透明、半透明、または、不透明でもよい。樹脂成形品の表面が平坦ではない場合は、射出成形の際に前記保護フィルム3が変形する必要があることから、この場合、変形しやすい材質を用いることが好ましい。
【0023】
前記加飾シート1は、前記加飾フィルム2の加飾面に前記保護フィルム3を付着させていることにより、前記樹脂成形品10の成形が完了するまで、加飾面を保護することができ、前記加飾フィルム2の表面にごみなどが付着することや、表面を損傷することといった不具合を防ぐことができる。従来のような製造過程において生じる加飾フィルムの不具合による歩留まりを向上させることができ、製造コストの低減が可能となる。
【0024】
次に、第1の実施形態の樹脂成形品の製造方法に使用する金型について説明する。前記金型は、キャビティ5およびコア6から構成されている。前記キャビティ5は、図3に示すように、前記加飾シート1を挿入し配置するための凹部51が設けられている。前記凹部51は、前記加飾シート1を挿入し、前記キャビティ5に対して所定の位置に配置するために設けられていることから、前記加飾シート1と同じ平面形状を有している。前記凹部51に前記加飾シート1を保持する保持部52、および、前記樹脂成形品10の加飾部分を成形する加飾面成形部53が設けられている。前記加飾面成形部53は円形の平面形状を有し、さらに、前記樹脂成形品10の加飾部分を凸状の曲面とするために、凹状の曲面に形成されている。前記加飾面成形部53の周囲の平坦な面が前記保持部52となっている。
【0025】
前記凹部51内に前記加飾シート1を挿入した時に確実に保持するために、前記保持部52の部分に吸引溝を設けることも可能である。前記吸引溝は、例えば、前記加飾面成形部53を囲むように環状に配置することができ、前記吸引溝によって前記加飾シート1を吸引することにより、前記キャビティ5と前記コア6とを組み合わせるまでの間、確実に前記保護シート1を保持することが可能となる。
【0026】
前記コア6は、図4に示すように、前記コア6を前記キャビティ5と組み合わせる際に、前記キャビティ5の凹部51内に挿入される凸部61を有している。前記凸部61は前記凹部51に嵌合される形状を有しており、図4に示すように、前記凸部61の先端の表面には、前記樹脂成形品10を成形するための成形部62が設けられており、前記成形部62の開口の周囲に平坦な保持部63が設けられている。前記成形部62の開口の形状は、前記樹脂成形品10の加飾部分の平面形状(本実施形態では円形)となっている。
【0027】
前記コア6を前記キャビティ5と組み合わせるために、前記コア6の凸部61を前記キャビティ5の凹部51に挿入すると、前記コア6の保持部63は前記キャビティ5の保持部52と当接し、この時、図6(b)に示すように、前記保持部63と前記保持部52とによって、前記加飾シート1の挟持部22の部分を挟み込むことにより、前記加飾シート1を所定の位置で固定することができる。
【0028】
前記金型には、シートインサート成形に必要な樹脂を射出するゲートなどが設けられているが、このような射出成形に必要な従来の構造については、従来の金型の様々な構造を用いることができることから、図示しておらず、詳細な説明は省略している。前記金型については、前記樹脂成形品10の形状に合わせて様々な形状および構造に変更することや、彫刻などの加工を施すことにより、様々な模様を形成することができる。
【0029】
前記キャビティ5の凹部51および前記コア6の凸部61の平面形状に関しては、本実施形態では矩形としているが、特に限定するものではなく、樹脂成形品の形状に合わせて変更することが可能である。ただし、前記加飾シート1を前記凹部51に挿入することにより位置決めが行われる必要があることから、前記加飾シート1の位置決めが可能な形状であればよく、円形とすることは好ましくない。
【0030】
前記凹部51の先端の前記加飾面成形部53の形状は、前記樹脂成形品10の加飾部分の表面の形状に合わせて変更することができ、本実施形態のような凹状の曲面だけでなく、凸状の曲面なども可能であり、射出成形の際に、前記加飾シート1が追従して変形可能な形状であればよい。
【0031】
本発明の第1の実施形態の樹脂成形品の製造方法について説明する。第1の実施形態の樹脂成形品の製造方法は、前記加飾シート1および前記金型を用いて、蓋である樹脂成形品10をインサート成形し、前記樹脂成形品10の表面を加飾する製造方法である。図1に示すような、所定のデザインで加飾した前記加飾シート1を用意し、図5(a),(b)に示すように、前記金型のキャビティ5の凹部51内に前記加飾シート1を挿入し、前記凹部51内の前記保持部52の表面に前記加飾シート1を配置する。
【0032】
前記加飾シート1は、前記保護フィルム3が内側となり、前記キャビティ5の保持部52と当接する状態で前記凹部51内に挿入する。前記加飾シート1を前記凹部51に挿入し前記保持部52と当接するように配置すると、図5(b)に示すように、前記加飾シート1の加飾フィルム2の加飾部21は、前記キャビティ5の加飾面成形部53と重なるように配置される。この時、前記金型の凹部51の平面形状と、前記加飾シート1の平面形状が同じであることから、前記加飾シート1の向きを確認し前記凹部51内に挿入するだけで、前記加飾シート1を正確に所定の位置に正確に配置することができ、前記加飾部21は前記加飾面成形部53と正確に重なった状態となる。この時、前記保持部52に前記吸引溝が設けられていれば、前記加飾シート1をより確実に保持した状態を維持することができるようになる。
【0033】
前記加飾シート1を前記凹部51に挿入した後、前記コア6を前記キャビティ5と組み合わせて前記金型を組み立てるために、図5(c),図6(a)に示すように、前記コア6の凸部61を前記キャビティ5の凹部51内に挿入する。前記凸部61を凹部51内に挿入すると、図6(a)に示すように、前記凸部61の先端は前記加飾シート1の加飾フィルム2と当接して、前記加飾シート1の挟持部22の部分が、前記キャビティ5の保持部52と前記コア6の保持部63とによって挟まれて、前記加飾シート1が固定された状態となる。
【0034】
この時、前記キャビティ5の凹部51内に設けられた加飾面成形部53は、前記加飾シート1の前記保護フィルム3と前記加飾部21とを介して、前記コア6の成形部62の開口と重なるように位置しているが、前記加飾面成形部53は凹状の曲面を有していることにより、図6(a)の断面図に示すように、前記加飾シート1とは当接しておらず、前記加飾面成形部53と前記加飾シート1の保護フィルム3との間には隙間が生じた状態となっている。前記加飾面成形部53が平坦な場合にはこのような隙間は生じない。
【0035】
このようにして、前記キャビティ5と前記コア6を組み合わせて前記金型を組み立てて、前記キャビティ5の保持部52と前記コア6の保持部63とによって前記加飾シート1の挟持部22を挟み込んだ状態で、前記キャビティ5と前記コア6とを互いに固定すると、前記加飾シート1は、前記金型内において所定の位置に正確に位置決めされた状態で強固に固定される。
【0036】
このようにして前記加飾シート1を前記金型内に固定した後、前記金型の前記成形部62内にゲートを通じて樹脂を射出し、前記樹脂成形品10を射出成形する。前記金型内にゲートから射出された樹脂は、前記成形部62内に射出されて、前記加飾シート1の加飾フィルム2の加飾部21を前記キャビティ5の前記加飾面成形部53へと押圧し、図6(b)に示すように、前記樹脂成形品10の加飾部分が成形される。
【0037】
この時、前記加飾部21は、前記切り込み23によって前記挟持部22とは分離されていることから、前記加飾フィルム2は、前記加飾部21だけが前記樹脂成形品10の加飾部分に合わせて変形し、前記加飾部21が付着されている前記保護フィルム3については、前記加飾部21が付着された部分が弾性変形する。このように、本発明の樹脂成形品の製造方法は、前記加飾フィルム2の加飾部21が、前記切り込み23によって前記挟持部22と分離されていることから、前記挟持部22は固定された状態で、前記加飾部21だけが変形できることから、曲面を加飾した場合に、前記加飾フィルム2に皺などが生じにくいという効果を奏する。
【0038】
さらに、本実施形態の樹脂成形品の製造方法は、前記加飾フィルム2の加飾部21の表面が前記保護フィルム3によって保護されていることによって、射出成形の際に前記加飾部21の表面に樹脂が回り込むことを防止することができ、前記樹脂成形品10の加飾面を綺麗に仕上げることができるという効果を奏する。また、前記加飾部21が前記保護フィルム3と付着されていることにより、前記加飾部21が樹脂によって押され、動いて位置ずれが生じることを防止することができるという効果を奏する。
【0039】
前記金型内への樹脂の射出が終わり、前記樹脂成形品10の成形が完了したら、図7(a)に示すように、前記コア6を前記キャビティ5から取り外して前記金型の面を開放し、その後、図7(b)に示すように、前記樹脂成形品10を前記キャビティ5内から取り出す。前記樹脂成形品10を取り出すと、図8に示すように、前記樹脂成形品10に前記加飾シート1が付着した状態となっている。
【0040】
このような状態の前記樹脂成形品10から、前記加飾シート1を取り外すと、図9に示すように、前記樹脂成形品10の表面には、前記加飾部21が一体に成形されて加飾された状態の前記樹脂成形品10が完成する。前記樹脂成形品10から取り外した前記加飾シート1は、図9に示すように、前記加飾部21が除去された状態となる。
【0041】
前記加飾シート1を取り外す際、前記加飾部21は前記切り込み23によって分離されていることから、前記加飾シート1を引っ張る、あるいは、前記樹脂成形品10を引っ張るだけで、前記加飾部21を前記樹脂成形品10の表面に残した状態で、簡単に前記樹脂成形品10から取り外すことができる。そして、前記樹脂成形品10の表面の前記加飾部21の縁は綺麗にカットされた状態であることから、従来のように、樹脂成形後に加飾フィルムをカットする従来技術と比べると、前記樹脂成形品10の加飾部分の精度および美観は向上し、そして、樹脂成形後の加飾フィルムをカットする工程が不要となることから、製造コストの低減につながる。
【0042】
前記加飾シート1を前記樹脂成形品10から取り外すタイミングは、前記樹脂成形品10を前記金型から取り外した直後とする必要はなく、前記加飾シート1が不要となる工程まで、前記樹脂成形品10から前記加飾シート1を取り外さないで、前記樹脂成形品10の加飾部分を保護する保護シートとして使用することも可能である。
【0043】
本発明の樹脂成形品の製造方法は、前記加飾シート1および前記金型を用いることにより、従来よりも簡単にかつ正確に加飾を行うことができるという優れた効果を奏し、さらに、前記樹脂成形品10を成形後の工程は、前記加飾シート1を取り外すだけであることから、従来のような加飾シートの切断工程が不要となり、また、前記保護フィルム3によって樹脂成形前および樹脂成形中に前記加飾部21を保護することで歩留まりが向上することにより、製造コストを低減することができるという優れた効果を奏する。
【0044】
次に、第2の実施形態の樹脂成形品の製造方法について説明する。第2の実施形態で使用する加飾シート1は、第1の実施形態と同じものを使用することから、加飾シート1に関する説明は省略し、第2の実施形態の樹脂成形品の製造方法に使用する金型について説明する。前記金型は、コア7およびキャビティ8から構成されている。前記コア7は、図10に示すように、前記加飾シート1を挿入し配置するための凹部71が設けられており、前記凹部71内に前記樹脂成形品10を成形するための成形部72、および、保持部73が設けられている。
【0045】
前記凹部71は、前記加飾シート1を挿入し、前記コア7に対して所定の位置に配置するために設けられていることから、前記加飾シート1と同じ平面形状を有している。前記凹部71内に前記成形部72の開口が位置しており、前記開口の形状は、前記樹脂成形品10の加飾部分の平面形状(本実施形態では円形)となっている。前記凹部71内には、前記開口の周囲に前記保持部73が設けられている。前記凹部71内に挿入した前記加飾シート1を確実に保持するために、前記保持部73の部分に吸引溝を設けることも可能である。例えば、前記成形部72の開口を囲むように環状に配置した前記吸引溝によって前記加飾シート1を吸引することにより、前記コア7と前記キャビティ8とを組み合わせるまでの間、確実に前記保護シート1を保持することが可能となる。
【0046】
前記キャビティ8は、図11に示すように、前記キャビティ8を前記コア7と組み合わせる際に、前記コア7の凹部71内に挿入される凸部81を有している。前記凸部81は前記凹部71に嵌合される形状を有しており、図11に示すように、前記凸部81の先端の表面には、前記コア7の保持部73と当接する保持部82、および、前記成形部72の開口を塞ぎ、前記樹脂成形品10の加飾部分を成形する加飾面成形部83が形成されている。前記加飾面成形部83は円形の平面形状を有し、さらに、前記樹脂成形品10の加飾部分を凸状の曲面とするために、凹状の曲面に形成されている。
【0047】
前記キャビティ8を前記コア7と組み合わせるために、前記キャビティ8の凸部81を前記コア7の凹部71に挿入すると、前記キャビティ8の保持部82は前記コア7の保持部73と当接し、この時、図13(b)に示すように、前記保持部82と前記保持部73とによって、前記加飾シート1の挟持部22の部分を挟み込むことにより、前記加飾シート1を所定の位置で固定することができる。
【0048】
前記金型には、シートインサート成形に必要な樹脂を射出するゲートなどが設けられているが、このような射出成形に必要な従来の構造については、従来の金型の様々な構造を用いることができることから、図示しておらず、また、詳細な説明は省略している。前記金型については、前記樹脂成形品10の形状に合わせて様々な形状および構造に変更することができる。
【0049】
前記コア7の凹部71および前記キャビティ8の凸部81の平面形状に関しては、本実施形態では矩形としているが、特に限定するものではなく、樹脂成形品の形状に合わせて変更することも可能である。ただし、前記加飾シート1を前記凹部71に挿入することにより位置決めが行われる必要があることから、前記加飾シート1の位置決めが可能な形状であればよく、円形とすることは好ましくない。
【0050】
前記凸部81の先端の前記加飾面成形部83の形状は、前記樹脂成形品10の加飾部分の表面の形状に合わせて変更することができ、本実施形態のような凹状の曲面だけでなく、凸状の曲面なども可能であり、射出成形の際に、前記加飾シート1が追従して変形可能な範囲での湾曲形状、または、その他の形状とすることができる。
【0051】
本発明の第2の実施形態の樹脂成形品の製造方法について説明する。第2の実施形態の樹脂成形品の製造方法は、第1の実施形態と同様に、前記加飾シート1および前記金型を用いて、蓋である樹脂成形品10をインサート成形し、前記樹脂成形品10の表面を加飾する製造方法である。図1に示すような、所定のデザインで加飾した前記加飾シート1を用意し、図12(a),(b)に示すように、前記金型のコア7の凹部71内に前記加飾シート1を挿入し、前記凹部71の保持部73の表面に前記加飾シート1を配置する。
【0052】
前記加飾シート1は、前記保護フィルム3が外側となり、前記加飾フィルム2が前記コア7の保持部73と当接するように前記凹部71内に挿入する。前記加飾シート1を前記凹部71に挿入し配置すると、図12(b)に示すように、前記加飾シート1の加飾フィルム2の加飾部21は、前記コア7の成形部72の開口と重なるように配置される。この時、前記金型の凹部71の平面形状と、前記加飾シート1の平面形状が同じであることから、前記加飾シート1の向きを確認し前記凹部71内に挿入するだけで、前記加飾シート1を正確に所定の位置に配置することができ、前記加飾部21は成形部72の開口と正確に重なった状態となる。
【0053】
前記加飾シート1を前記凹部71に挿入した後、前記キャビティ8を前記コア7と組み合わせて前記金型を組み立てるために、図12(c),図13(a)に示すように、前記キャビティ8の凸部81を前記コア7の凹部71内に挿入する。前記凸部81を凹部71内に挿入すると、図13(a)に示すように、前記凸部81の先端は前記加飾シート1の保護フィルム3と当接して、前記加飾シート1の挟持部22の部分が、前記コア7の保持部73と前記キャビティ8の保持部82とによって挟まれて、前記加飾シート1が固定された状態となる。
【0054】
この時、前記凸部81の先端に設けられた前記加飾面成形部83は、前記加飾シート1の加飾部21と前記保護フィルム3を介して、前記コア7の成形部72の開口と重なるように位置しているが、前記加飾面成形部83は凹状の曲面を有していることにより、図13(a)の断面図に示すように、前記加飾シート1とは当接しておらず、前記加飾面成形部83と前記加飾シート1の保護フィルム3との間には隙間が生じた状態となっている。前記加飾面成形部83が平坦な場合にはこのような隙間は生じない。
【0055】
このようにして、前記コア7と前記キャビティ8を組み合わせて前記金型を組み立てて、前記コア7の保持部73と前記キャビティ8の保持部82とによって前記加飾シート1の挟持部22を挟み込んだ状態で、前記コア7と前記キャビティ8とを互いに固定すると、前記加飾シート1は、前記金型内において所定の位置に正確に位置決めされた状態で強固に固定される。
【0056】
このようにして前記加飾シート1を前記金型内に固定した後、前記金型の前記成形部72内にゲートを通じて樹脂を射出し、前記樹脂成形品10を射出成形する。前記金型内にゲートから射出された樹脂は、前記成形部72内に射出されて、前記加飾シート1の加飾フィルム2の加飾部21を前記キャビティ8の前記加飾面成形部83へと押圧し、図13(b)に示すように、前記樹脂成形品10の加飾部分が成形される。
【0057】
この時、前記加飾部21は、前記切り込み23によって前記挟持部22とは分離されていることによって、本発明の樹脂成形品の製造方法は、曲面を加飾した場合に、前記加飾フィルム2に皺などが生じにくいという効果を奏する。また、本発明の樹脂成形品の製造方法は、前記加飾シート1の加飾フィルム2が保護フィルム3で保護されていることによって、射出成形の際に前記加飾部21の表面に樹脂が回り込むことを防止し、前記樹脂成形品10の加飾面を綺麗に仕上げることができるという効果を奏し、さらに、前記加飾部21が樹脂によって押され、動いて位置ずれが生じることを防止することができるという効果を奏する。
【0058】
前記金型内への樹脂の射出が終わり、前記樹脂成形品10の成形が完了したら、図14(a)に示すように、前記キャビティ8を前記コア7から取り外して前記金型の面を開放し、その後、図14(b)に示すように、前記樹脂成形品10を前記コア7の凹部71内から取り出す。前記樹脂成形品10を取り出すと、図8に示すように、前記樹脂成形品10に前記加飾シート1が付着した状態となっている。
【0059】
この後は、第1の実施形態と同様に、前記樹脂成形品10から、前記加飾シート1を取り外すと、図9に示すように、表面に前記加飾部21が一体に成形されて加飾された状態の前記樹脂成形品10が完成する。前記樹脂成形品10から取り外した前記加飾シート1は、図9に示すように、前記加飾部21が除去された状態となる。
【0060】
前記加飾シート1を取り外す際、前記切り込み23を設けていることによって、前記加飾シート1を引っ張る、あるいは、前記樹脂成形品10を引っ張るだけで、前記保護フィルム3および前記加飾フィルム2の挟持部22を簡単に、そして、綺麗に前記樹脂成形品10から取り外すことができる。
【0061】
前記加飾シート1を前記樹脂成形品10から取り外すタイミングは、前記樹脂成形品10を前記金型から取り外した直後、あるいは、前記加飾シート1が不要となる工程など様々なタイミングとすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 加飾シート
2 加飾フィルム
21 加飾部
22 挟持部
23 切り込み
3 保護フィルム
5,8 キャビティ
51,71 凹部
52,73 保持部
53,83 加飾面成形部
6,7 コア
61,81 凸部
62,72 成形部
63,82 保持部
10,10’ 樹脂成形品

図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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