(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
A61M25/00 632
A61M25/00 620
(21)【出願番号】P 2020011913
(22)【出願日】2020-01-28
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】591245624
【氏名又は名称】株式会社東海メディカルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【氏名又は名称】江口 基
(72)【発明者】
【氏名】堀 政重
(72)【発明者】
【氏名】西 絵里子
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-168151(JP,A)
【文献】特表2017-533012(JP,A)
【文献】特開2004-329254(JP,A)
【文献】特開2012-034801(JP,A)
【文献】特表2014-511238(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0306806(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインルーメンと、サブルーメンとを有し、
円筒形のパイプ形状部と、パイプ状の一部が切り取られた形状を有するハーフパイプ形状部と、前記ハーフパイプ形状部に連結されたワイヤー部と、前記パイプ形状部の先端に設けられたバルーンと、前記ワイヤ部の近位側に設けられるハブと、を備えたカテーテルにおいて、
前記メインルーメンの外周又は外周近傍に配置され、金属製又はプラスチック製のパイプから作製されており、前記パイプの湾曲性を確保するために少なくとも一部を除去する加工を施した加工部と、前記加工部以外の部位であって前記サブルーメンが形成されるサブルーメン形成部と、を有する内部補強材と、
前記サブルーメン形成部に形成されたサブルーメンと、
を備え、
前記サブルーメンは、前記ハブ、前記
パイプ形状部、前記ハーフパイプ形状部、前記ワイヤ部及び前記バルーンに連通するように設けられていることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
メインルーメンと、サブルーメンとを有するカテーテルにおいて、
前記メインルーメンの外周又は外周近傍に配置され、金属製又はプラスチック製のパイプから作製されており、前記パイプの湾曲性を確保するために少なくとも一部を除去する加工を施した加工部と、前記加工部以外の部位であって前記サブルーメンが形成されるサブルーメン形成部と、を有する内部補強材と、
前記サブルーメン形成部に形成されたサブルーメンと、
を有し、
前記サブルーメンは、前記加工部以外の部位をスリット状に切除したサブルーメン用スリットに接合されていることを特徴とするカテーテル。
【請求項3】
前記内部補強材の加工部は、切込加工されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記内部補強材は、前記加工部がスリット状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記内部補強材は、前記加工部が網状又はメッシュ状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記サブルーメンは、前記加工部以外の部位を長手方向に貫通する貫通孔で形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルには、バルーンカテーテルに使用されるカテーテルのように、カテーテル内部に複数のルーメンを有するものがある。複数のルーメンを有するカテーテルには、同心円状の二重管構造を有するカテーテルと、ルーメンが並列に配置されている並列管構造を有するカテーテルがある(特許文献1参照)。
【0003】
こうした並列管構造のカテーテルの場合、サブルーメンを通す領域を有するため、メインルーメンの断面積が小さくなってしまうという問題がある。特に、近年、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患に使用される経皮的冠動脈インターベンション術や、末梢動脈疾患に対するカテーテル治療におけるバルーン拡張術においては、心臓や末梢動脈といった複雑な血管系を通す必要があることから、ガイディングカテーテルが病変まで挿入することができず、ガイディングカテーテルよりさらに細いマイクロカテーテルやハーフパイプカテーテルを使用して、バルーン、ステント、IVUS、OCTを挿入することが行われている。しかしながら、マイクロカテーテルやハーフパイプカテーテルは、その直径が短いことから、メインルーメンがさらに狭くなってしまうという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、並列管構造を有するカテーテルにおいて、従来の並列管構造のカテーテルと比較してメインルーメンの断面積を大きくすることができるカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のカテーテルは、
メインルーメンと、サブルーメンとを有するカテーテルにおいて、
前記メインルーメンの外周又は外周近傍に配置され、金属製又はプラスチック製のパイプから作製されており、前記パイプの湾曲性を確保するために少なくとも一部を除去する加工を施した加工部と、前記加工部以外の部位であって前記サブルーメンが形成されるサブルーメン形成部とを、有する内部補強材と、
前記サブルーメン形成部に形成されたサブルーメンと、
を有することを特徴とする。
【0008】
本発明にかかるカテーテルは、メインルーメンを補強するためにメインルーメンの外周又は外周側近傍に配置される内部補強材に直接サブルーメンを設けることによって、メインルーメンの領域を広く確保したものである。一般的に内部補強材は、コイルや編組で作製されるが、コイルや編組の内部補強材の場合、サブルーメンを設置するためにスリットや切れ込みをいれると、解けたり、バラけたりしてしまうことからコイルや編組にスリットや切れ込みをいれることができない。しかしながら、本発明では、内部補強材に金属製又はプラスチック製のあらかじめパイプに加工された基材を使用して作製することで、スリットや切れ込みをいれても形状を維持することができる。そのため、スリットや切れ込みの部位にサブルーメンを形成可能にしたものである。
【0009】
また、本発明にかかるカテーテルにおいて、前記内部補強材の加工部は、切込加工されたものであることを特徴とするものであってもよい。
【0010】
内部補強材は、湾曲性を確保するために、切込加工したものである。湾曲性を確保することができれば、その形態は、特に限定するものではない。
【0011】
また、本発明にかかるカテーテルにおいて、前記内部補強材は、前記加工部がスリット状に形成されていることを特徴とするものであってもよい。
【0012】
加工部をスリット状に形成することによって、スリット状に加工された部位が開くようにして湾曲させたり、閉じるようにして湾曲させたりすることができる。そのため、柔軟性の高いカテーテルとすることができる。
【0013】
さらに、本発明にかかるカテーテルにおいて、前記内部補強材は、前記加工部が網状又はメッシュ状に形成されていることを特徴とするものであってもよい。
【0014】
かかる構成を採用することによって、網状又はメッシュ状に形成された部分が変形することにより、湾曲しやすくなり、柔軟性の高いカテーテルとすることができる。
【0015】
さらに、本発明にかかるカテーテルにおいて、
前記サブルーメンは、前記加工部以外の部位をスリット状に切除したサブルーメン用スリットに接合されていることを特徴とするものであってもよい。
【0016】
サブルーメンを形成するにあたって、内部補強材の加工部以外の部分を長手方向に切除してサブルーメン用スリットを形成し、このサブルーメン用スリットにサブルーメンを取り付けることとしたものである。かかる構成を採用することによって、従来のように内部補強材の外周側にサブルーメンを設ける場合と比較して、より断面の大きいメインルーメンを設けることができる。
【0017】
さらに、本発明にかかるカテーテルにおいて、
前記サブルーメンは、前記加工部以外の部位を長手方向に貫通する貫通孔で形成されていることを特徴とするものであってもよい。
【0018】
かかる構成を採用することによって、サブルーメンを改めて取り付ける工程を省くことができ、容易にサブルーメンを形成することができる。また、サブルーメンと内部補強材の接合が切断されることが防止されるので、より安定したカテーテルとすることができる。
【0019】
さらに、本発明にかかるカテーテルにおいて、遠位端又は遠位端近傍には、バルーンが設けられていることを特徴とするものであってもよい。
【0020】
遠位端又は遠位端近傍にバルーンを有するバルーンカテーテルとしたものである。バルーンカテーテルとすることによって、サブルーメンを拡張用流体用のルーメンとして活用することができる。
【0021】
さらに、本発明にかかるカテーテルにおいて、
前記カテーテルは、パイプ形状部とハーフパイプ形状部とを有するハーフパイプカテーテルであって、
前記パイプ形状部には、前記加工部と、前記サブルーメン形成部と、を有する前記内部補強材と、前記サブルーメン形成部に形成された前記サブルーメンと、を有し、
前記ハーフパイプ形状部には、前記サブルーメン形成部及びサブルーメンが前記パイプ形状部から延設されていることを特徴とする。
【0022】
本発明は、カテーテルにハーフパイプカテーテルを使用したものである。ハーフパイプカテーテルを使用した場合には、パイプ形状部には、加工部と、サブルーメン形成部と、を有する内部補強材と、サブルーメン形成部に形成されたサブルーメンと、を設けてメインルーメンの領域を確保するとともに、ハーフパイプ形状部にはサブルーメンのみをパイプ形状部から延設するように設けたものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかるカテーテルによれば、従来の並列管構造のカテーテルと比較してメインルーメンの断面積を大きくすることができるカテーテルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、第1実施形態にかかるカテーテル100の構成の概略を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態にかかるカテーテル100の内部補強材13を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態にかかるカテーテル100の内部補強材13の別実施形態を示す側面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態にかかるカテーテル100の内部補強材13の加工部の別実施形態を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態にかかるカテーテル100の内部補強材13にサブルーメン15を取り付ける状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態にかかるカテーテル100の内部補強材13のサブルーメン15の別実施形態を示す断面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態にかかるカテーテル100の構成の概略を示す図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態にかかるカテーテル100の使用方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明にかかるカテーテル100の実施形態について、図を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。なお、本実施形態においては、カテーテル100としてハーフパイプカテーテルを例として説明するが、通常のカテーテルの場合は、実施形態におけるパイプ形状部10の形態と同様になるので説明を省略する。
【0026】
(第1実施形態)
第1実施形態にかかるカテーテル100が
図1に示されている。第1実施形態にかかるカテーテル100は、
図1に示すように、遠位端側から順に円筒形のパイプ形状部10、パイプ状の一部が切り取られた形状を有するハーフパイプ形状部30、ワイヤ部50及び把持部70を備えている。
【0027】
パイプ形状部10は、
図2に示すように、断面視で略中央に大きく形成された空洞からなるメインルーメン11と、メインルーメン11の外周又は外周近傍に設けられた内部補強材13と、内部補強材13の一部に設けられたサブルーメン15と、が設けられている。パイプ形状部10においては、メインルーメン11、内部補強材13及びサブルーメン15は、全長に亘って形成されている。
【0028】
メインルーメン11は、カテーテル100の断面に対して略中央又はわずかに偏心された位置に設けられており、カテーテル100の断面で最も大きな面積を占める部分である。好ましくは、断面積の80%以上、より好ましくは90%以上の面積を占めるように形成するとよい。メインルーメン11は、カテーテル100を治療領域まで挿入する際に使用するガイドワイヤを通したり、又は狭窄部等の治療に使用するバルーン、ステント、IVUS又はOCTのセンサ等の治療用挿入器具(図示しない。)を通したりするのに使用される。
【0029】
メインルーメン11の外周には、内部補強材13が設けられている。内部補強材13は、カテーテル100を湾曲させた場合に、メインルーメン11が潰れたり、カテーテル100を引き抜く場合に分断されたりすることを防止するために設けられるものである。内部補強材13は、
図3に示すように、金属製又はプラスチック製のパイプを基材として、かかるパイプを切削、レーザー加工、エッチング等によって加工して形成される。パイプの素材としては、金属の場合は、ステンレス鋼、Ni-Ti(ニッケルチタン)合金、Ni-Ti-Co(ニッケルチタンコバルト)合金等が使用される。プラスチックの場合は、例えば、ポリアミド、ポリエチレン、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン又はポリプロピレン等を挙げることができる。内部補強材13は、内部補強材13の湾曲性を確保するために一部を除去する加工がされた加工部13aを有する。加工部13aは、パイプを切削、切り込み、レーザー加工、エッチング等によって加工して形成される。加工部13aは、少なくとも、パイプ外周の60%以上の範囲に形成される。より好ましくは80%以上である。加工形態としては、
図3に示すように、スリット状に形成してもよいし、
図4に示すように、網状やメッシュ状に形成してもよい。要するに、加工部13aは、内部補強材13の湾曲性が担保可能な形態であれば、どのような形態であってもよく、複雑な形態のものであってもよい。
図5Aに示すように、直線状に切り欠いている必要はなく、複雑な曲線を有するように切り欠いても良いし、
図5Bに示すように、曲線による加工部13aaとスリット13abとの異なる形態の切り欠きを含みあわせて形成してもよい。加工部13a以外の部位は、
図3に示すように、長手方向に連続して形成された非加工部13bを有しており、この部位の一部にサブルーメン15を取付け又は形成することになる。
【0030】
サブルーメン15は、例えば、薬液を注入したり、その他の治療器具を挿入したりするのに使用される。サブルーメン15は、少なくとも内部補強材13の加工部13a以外の部分のサブルーメン形成部に配置される。例えば、
図6に示すように、加工部13a以外の部分(非加工部)13bに長手方向に沿ってサブルーメン形成部として非加工部を切除してサブルーメン用スリット13cを形成し、このサブルーメン用スリット13cにサブルーメン15を接合することで内部補強材13の一部にサブルーメン15を作製することができる。一般に内部補強材13は、コイルや編組が用いられるため、サブルーメン用スリット15cを加工すると、解けたり、ばらけたりしてしまうが、本発明にかかる内部補強材13は、パイプを基材に使用しているので、サブルーメン用スリット13cを形成しても形態を維持しているので問題なく加工することができる。この際に、サブルーメン15の内周面15aは、
図2に示すように、メインルーメン11の中まで位置するように形成してもよいが、あまりメインルーメン11の内周面11aから出っ張りすぎると、ガイドワイヤや治療用挿入器具等を挿入する際に、邪魔になる可能性があるので、メインルーメン11の内周面11aと同一又は内周面11aより外側に位置するように設けても良い。
【0031】
こうして作製された内部補強材13は、外周側を保護用樹脂18で被覆してカテーテル100のパイプ形状部10が作製される。ここで使用される樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリエチレン、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン又はポリプロピレン等を挙げることができる。なお、内部補強材13の内周面を保護用樹脂で被覆してもよい。
【0032】
ハーフパイプ形状部30は、
図1又は
図7に示すように、断面円形の一部が欠けた断面円弧状に形成されている。ハーフパイプ形状部30は、前述したメインルーメン11に対して狭窄部等の治療に使用するバルーン、ステント、IVUS又はOCTのセンサ等の治療用挿入器具を挿入する際のガイドとして使用される部位であり、このハーフパイプ形状部30に治療用挿入器具を滑らせて挿入することによって、容易に治療用挿入器具をパイプ形状部10のメインルーメン11に挿入することができる。ハーフパイプ形状部30に配置される内部補強材13は、
図3のαに示すように、加工部13aが存在せず、ハーフパイプ形状部30の断面に合わせて弧状に形成されている。すなわち、パイプ形状部10から加工部13a以外の部分が延設されて形成されている。サブルーメン15はパイプ形状部10から連続して形成されている。なお、ハーフパイプ形状部30は、内部補強材13を設けることなく、サブルーメン15のみで形成してもよい。
【0033】
ワイヤ部50は、パイプ形状部10及びハーフパイプ形状部30に対して手元側の操作のプッシュ力を伝えるものであり、別途作製されたワイヤを取付けてもよいし、内部補強材13をワイヤ状に加工してもよい。ワイヤの内部には、サブルーメンが形成されている。
【0034】
把持部70は、特に限定するものではなく、把持しつつパイプ形状部10及びハーフパイプ形状部30及びワイヤ部50を操作可能な形態に作製されていればよい。
【0035】
以上のようにして作製されたカテーテル100は、従来と比較してサブルーメン15がメインルーメン11のより近い位置に設けられているので、メインルーメン11の断面をより大きく設けることができる。また、サブルーメン15と内部補強材13が一体に形成されているので、湾曲に対して指向性をもたせることができ、より扱いやすいカテーテル100とすることができる。
【0036】
なお、第1実施形態において、サブルーメン15を内部補強材13に対して、後加工により取り付けるものとしたが、
図8に示すように、あらかじめ内部補強材13の加工部13a以外の部分を長手方向に貫通する貫通孔を設けたパイプを使用してもよい。すなわち、サブルーメン形成部がパイプ自体に形成されていることになる。このように作製することで、サブルーメン15を後加工する必要がなく、より容易にカテーテル100を作製することができる。
【0037】
(第2実施形態)
第2実施形態にかかるカテーテル100が
図9に示されている。第2実施形態にかかるカテーテル100は、遠位端又は遠位端近傍にバルーン90が設けられているバルーンカテーテルである。パイプ形状部10、ハーフパイプ形状部30及びワイヤ部50は第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0038】
第2実施形態では、カテーテル100の遠位端にバルーン90が設けられている点、及び手元側にハブ95が設けられている点が異なる。
【0039】
第2実施形態にかかるカテーテル100は、先端側にバルーン90が設けられており、バルーン90内にサブルーメン15から連通する開口穴17が設けられている。また、手元側には、把持部70の代わりに、サブルーメン15に拡張用流体を挿入するための加圧器(図示しない。)と接続するハブ95が設けられている。
【0040】
以上のように作製されたカテーテル100は、通常のバルーンカテーテルとして使用することができる他、マイクロカテーテルとして、ガイドワイヤ又はバルーン、ステント、IVUS又はOCTのセンサ等の治療用挿入器具を挿入する際のバックアップとして有効に使用することができる。すなわち、
図10に示すように、狭窄部等に治療用挿入器具96を挿入する際に、ガイディングカテーテル97が冠動脈から外れてしまい、デバイスに力が伝わらず、治療用挿入器具96を狭窄部に通すことができなくなることがある。こうした場合に、実施形態にかかるカテーテル100を挿入し、所定の位置でバルーン90を膨らますことによって、より病変に近い位置でカテーテル100の先端を固定することができる。そして、先端で固定された状態で、治療用挿入器具96を挿入することで、治療用挿入器具96に力が伝達され、容易に病変まで到達させることができる。このように、第2実施形態にかかるカテーテル100によれば、バックアップ機能を有するカテーテル100としても使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
上述した実施の形態で示すように、特に、病変治療用のカテーテルとして産業上利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
10…パイプ形状部、11…メインルーメン、13…内部補強材、13a…加工部、13b…非加工部、13c…サブルーメン用スリット、15…サブルーメン、15a…内周面、17…開口穴、18…保護用樹脂、30…ハーフパイプ形状部、50…ワイヤ部、70…把持部、90…バルーン、95…ハブ、96…治療用挿入器具、97…ガイディングカテーテル、100…カテーテル