(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】管理システム、通信プログラム、通信端末及び制御装置
(51)【国際特許分類】
H04L 67/00 20220101AFI20240729BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20240729BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240729BHJP
F04B 49/06 20060101ALN20240729BHJP
【FI】
H04L67/00
H04Q9/00 301C
H04M11/00 301
F04B49/06 321
(21)【出願番号】P 2020105174
(22)【出願日】2020-06-18
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】志水 章紀
(72)【発明者】
【氏名】松原 颯
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-146083(JP,A)
【文献】特開2010-239518(JP,A)
【文献】特開2018-061278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
H04Q 9/00
H04M 11/00
F04B 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象を含む被管理装置
と、前記被管理装置に設けられ
且つ前記対象を制御
する制御装置
と、前記制御装置と近距離無線通信可能な通信端末と、を備えた管理システムであって、
前記被管理装置は、
前記被管理装置を識別する第1識別情報を表現した二次元コードが固着されており、
前記制御装置は、
前記制御装置を識別する第2識別情報を記憶する記憶部と、
前記第2識別情報を含む無線信号をブロードキャスト通信する第1通信部と、
前記通信端末から接続要求を受けると、前記通信端末との間の近距離無線通信を接続する第2通信部と、
を備え
、
前記通信端末は、予め第1識別情報と第2識別情報とを関連付けたテーブルを有し且つ前記二次元コードに表現された第1識別情報に基づく前記テーブル内の第2識別情報に一致する第2識別情報を含む前記無線信号を受信すると、前記無線信号を送信した前記制御装置に前記接続要求を送信する、
管理システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記被管理装置を識別する第1識別情報を表現した二次元コードを表示するように表示部を制御する表示制御部、を更に備え、
前記被管理装置に固着された二次元コード及び前記表示部に表示された二次元コードは、前記通信端末から読み取り可能なコードであって、互いに同一の情報を表現している、請求項1記載の
管理システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記通信端末との間の近距離無線通信を接続した後、前記通信端末とのペアリングを行うためのパスキーを表現した二次元コードを表示するように表示部を制御する表示制御部を更に備えた請求項
1又は2に記載の
管理システム。
【請求項4】
対象を含む被管理装置を識別する第1識別情報と、前記被管理装置に設けられ且つ前記対象を制御する制御装置を識別する第2識別情報とを関連付けたテーブルを記憶する記憶部を有し且つ前記制御装置と近距離無線通信可能な通信端末のプロセッサに実行される通信プログラムであって、
前記通信端末に、
前記第1識別情報を表現した二次元コードを提示する前記被管理装置のうちの前記二次元コードの画像データから前記第1識別情報を取得する機能、
前記取得した第1識別情報に基づいて前記テーブルから第2識別情報を取得する機能、
前記取得した第2識別情報と前記制御装置からブロードキャスト通信された無線信号内の第2識別情報とを比較する機能、
前記比較した結果、両者が一致するとき、前記無線信号を送信した前記制御装置に接続要求を送信する機能、
を実現させるための通信プログラム。
【請求項5】
請求項4に記載の通信プログラムを備えた通信端末。
【請求項6】
対象を含む被管理装置であって、前記被管理装置を識別する第1識別情報を表現した二次元コードが固着された前記被管理装置に設けられ、前記対象を制御し且つ通信端末と近距離無線通信可能な制御装置であって、
前記制御装置を識別する第2識別情報を記憶する記憶部と、
前記第1識別情報及び前記第2識別情報を含む無線信号をブロードキャスト通信する第1通信部と、
予め第1識別情報と第2識別情報とを関連付けたテーブルを有し且つ
前記二次元コードに表現された第1識別情報に一致する第1識別情報と前記二次元コードに表現された第1識別情報に基づく前記テーブル内の第2識別情報に一致する第2識別情報
との各々を含む前記無線信号を受信する前記通信端末から接続要求を受けると、前記通信端末との間の近距離無線通信を接続する第2通信部と、
を備えた制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置の無線通信に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプ装置等の被管理装置に設けられ、Bluetooth(登録商標)等の無線通信の規格及び技術を用いて近距離無線通信可能な制御装置が知られている。この種の制御装置は、例えば、電波が届く範囲にいる作業者が持つ通信端末に近距離無線通信可能となっている。一方、作業者が持つ通信端末は、管理サーバの通信圏内で管理サーバに通信しつつ、管理サーバが管理する被管理装置と制御装置との組合せに基づいて、制御装置との間の無線接続を行うことにより、制御装置内の情報を管理可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、管理サーバの通信圏外でも、被管理装置と制御装置との組合せに基づいて、制御装置内の情報を管理可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る管理システムは、対象を含む被管理装置と、前記被管理装置に設けられ且つ前記対象を制御する制御装置と、前記制御装置と近距離無線通信可能な通信端末と、を備えている。前記被管理装置は、前記被管理装置を識別する第1識別情報を表現した二次元コードが固着されている。前記制御装置は、前記制御装置を識別する第2識別情報を記憶する記憶部と、前記第2識別情報を含む無線信号をブロードキャスト通信する第1通信部と、前記通信端末から接続要求を受けると、前記通信端末との間の近距離無線通信を接続する第2通信部と、を備えている。前記通信端末は、予め第1識別情報と第2識別情報とを関連付けたテーブルを有し且つ前記二次元コードに表現された第1識別情報に基づく前記テーブル内の第2識別情報に一致する第2識別情報を含む前記無線信号を受信すると、前記無線信号を送信した前記制御装置に前記接続要求を送信する。
本発明の他の一態様に係る制御装置は、対象を含む被管理装置であって、前記被管理装置を識別する第1識別情報を表現した二次元コードが固着された前記被管理装置に設けられる。
【0006】
前記制御装置は、前記対象を制御し且つ通信端末と近距離無線通信可能である。前記制御装置は、記憶部、第1通信部及び第2通信部を備える。
【0007】
前記記憶部は、前記制御装置を識別する第2識別情報を記憶する。
【0008】
前記第1通信部は、前記第1識別情報及び前記第2識別情報を含む無線信号をブロードキャスト通信する。
【0009】
前記第2通信部は、予め第1識別情報と第2識別情報とを関連付けたテーブルを有し且つ前記二次元コードに表現された第1識別情報に一致する第1識別情報と前記二次元コードに表現された第1識別情報に基づく前記テーブル内の第2識別情報に一致する第2識別情報との各々を含む前記無線信号を受信する前記通信端末から接続要求を受けると、前記通信端末との間の近距離無線通信を接続する。
【0010】
本発明の別の態様に係る通信プログラムは、記憶部を有し且つ前記制御装置と近距離無線通信可能な通信端末のプロセッサに実行されるプログラムである。なお、前記記憶部は、対象を含む被管理装置を識別する第1識別情報と、前記被管理装置に設けられ且つ前記対象を制御する制御装置を識別する第2識別情報とを関連付けたテーブルを記憶する。
【0011】
ここで、前記通信プログラムは、前記通信端末に、前記第1識別情報を表現した二次元コードを提示する前記被管理装置のうちの前記二次元コードの画像データから前記第1識別情報を取得する機能、前記取得した第1識別情報に基づいて前記テーブルから第2識別情報を取得する機能、前記取得した第2識別情報と前記制御装置からブロードキャスト通信された無線信号内の第2識別情報とを比較する機能、前記比較した結果、両者が一致するとき、前記無線信号を送信した前記制御装置に接続要求を送信する機能、を実現させるためのプログラムである。
本発明のさらに別の態様に係る通信端末は、上記通信プログラムを備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、管理サーバの通信圏外でも、被管理装置と制御装置との組合せに基づいて、制御装置内の情報を管理可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態に係る制御盤が設けられたポンプ装置を含むポンプ装置管理システムを例示するブロック図。
【
図3】
図2のポンプ装置がポンプユニットを用いた構成を例示する模式図。
【
図4】
図2のポンプ装置がポンプユニットを用いない構成を例示する模式図。
【
図6】
図2のポンプ装置に用いられる二次元コードを例示する模式図。
【
図8】
図7の通信端末に用いられる製品登録テーブルを例示する模式図。
【
図9】第1の実施形態における動作を例示するシーケンス図。
【
図10】第1の実施形態における動作を例示するシーケンス図。
【
図12】第2の実施形態における動作を例示するシーケンス図。
【
図13】第3の実施形態における動作を例示するシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら実施形態の説明を述べる。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号及び/又は英小文字を用いることもある。
【0015】
なお、以降の説明において便宜上、管理対象となる被管理装置をポンプ装置と仮定するが、被管理装置はポンプ装置に限定されない。被管理装置は、例えば、揚水、排水、圧縮などの任意の用途のポンプを備えた装置であってもよいし、かかる装置とも異なる種々の電気または機械設備、例えば、空調機、給湯機、エレベータ、コンピュータ、OA(Office Automation)機器、家電機器、ロボット、産業機械、などであってもよい。また、以降の説明において、「ポンプ装置」の用語は、より広義の用語である「被管理装置」や「対象設備」として、または他の設備の名称として適宜読み替え可能である。さらに、以降の説明において、「制御盤」は、ポンプ装置に一体的に設けられた制御装置として典型的に用いられている用語であるが、より広義な「制御装置」として適宜読み替えることができる。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る制御盤が設けられたポンプ装置を含むポンプ装置管理システムを例示するブロック図であり、
図2は、当該ポンプ装置を例示するブロック図である。このポンプ装置管理システムは、社内サーバとしての管理サーバ1と、クラウドサーバとしての管理サーバ2と、管理されるポンプ装置10-1、10-2、10-3、・・・と、無線通信可能な通信端末300-1、300-2、・・・とを備えている。
【0017】
なお、
図1における各装置の数は例示に過ぎない。例えば、管理サーバ1は、複数台のサーバとして冗長化されてもよい。ポンプ装置10の台数は任意であるので、3台より多くても少なくてもよい。通信端末300の台数も任意である。
【0018】
管理サーバ1は、例えばポンプ装置10を生産、販売および/または保守する業者によって運用されるオンプレミスサーバである。管理サーバ1は、管理サーバ2と連携して、運転データを集中管理および利活用し得る。管理サーバ1は、例えば、新たに製造されたポンプ装置10の製造番号の登録を管理サーバ2に要求してもよい。
【0019】
管理サーバ2は、例えばクラウドサーバであって、ポンプ装置10を識別する第1識別情報と、当該ポンプ装置10に設けられた制御盤100を識別する第2識別情報とを関連付けた製品登録テーブルを記憶している。第1識別情報は、例えば、ポンプ装置10としての対象設備の個体識別番号に相当する製造番号を含んでおり、さらに、当該対象設備の製品名に相当する形式情報および/または当該形式情報をコード化した製品番号を含み得る。第2識別情報は、例えば、制御盤100としての対象設備の個体識別番号に相当する製造番号を含んでおり、さらに、当該対象設備の製品名に相当する形式情報および/または当該形式情報をコード化した製品番号を含み得る。これらの情報により、対象設備がどの製品のどの個体であるのかを識別することが可能となる。なお、製品番号および製造番号は、必ずしも別の情報要素でなくてもよく、1つの番号から製品および個体の両方が識別可能であるように設計することも可能である。本実施形態の第1識別情報は、ポンプ装置10の製造番号である。本実施形態の第2識別情報は、制御盤100の製造番号である。本実施形態の製品登録テーブルは、ポンプ装置10の製造番号と、制御盤100の製造番号とを関連付けており、後述するように通信端末300に送信される。第2識別情報は、例えば、制御盤100内の記憶部、例えばマイクロコントローラに内蔵されたROM(Read Only Memory)などの不揮発性記憶媒体に書き込まれ得る。また、ポンプ装置10の第1識別情報は、典型的には例えばQRコード(登録商標)に代表される二次元コードc1としても実装されており、当該二次元コードc1を提示する銘板がポンプ装置10における撮影可能な位置に固着されてもよい。なお、銘板には、二次元コードc1の他に、例えば、製品のシリーズ名(愛称)、形式・品番、吸込管・吐出し間の管径、モータの定格出力(kW)、製造時期、その他(ポンプ部20の仕様:制動揚程、吸込揚程、停止流量、揚水量、全揚程など)等を表す文字情報が記載されていてもよい。また、二次元コードは、前述した第1識別情報を表現(コード化)した情報に限らず、これらの文字情報を表現した情報を含んでもよい。
【0020】
また、管理サーバ2は、各ポンプ装置10の運転データを通信端末300から収集し、これらを集約して蓄積する。例えば、管理サーバ2は、ポンプ装置10の個体識別番号に相当する製造番号に紐付けて当該ポンプ装置10に関する運転データを蓄積してもよい。また、管理サーバ2は、蓄積した運転データの利活用を行ってもよい。運転データは、ある運転点での、周波数、電流、電圧、圧力、流量、振動値、モータの絶縁抵抗、及び受水槽の設定などといった、ポンプ装置10の運転状態を示すデータである。補足すると、ポンプ装置10の運転データは、例えば、ポンプ装置10の最新の1つまたはロギングされた複数の時点におけるステータスであり得る。具体的には、運転データは、例えばポンプ装置10のインバータから取得した各時点の電圧/電流値、圧力センサから取得した各時点のセンシング信号またはこれに基づき算出された圧力値、流量センサから取得した各時点のセンシング信号またはこれに基づき算出された流量値、モータの各時点の回転周波数値、各時点の積算運転データ(積算運転時間及び積算運転回数の少なくとも一方)、などを含み得る。なお、クラウドサーバおよびオンプレミスサーバを併用することはオプションであり、管理サーバ1及び管理サーバ2はそのどちらかに統合させることもできる。本明細書中では、理解を容易にする観点から、管理サーバ1を統合させた管理サーバ2により、ポンプ装置10を管理する場合を例に挙げて述べる。
【0021】
管理サーバ2は、建物に給水するポンプ装置10の情報を管理する情報処理装置であって、ネットワーク及び図示しない基地局を介して通信端末300に通信可能となっている。
【0022】
一方、ポンプ装置10は、建物に給水し、通信圏内の通信端末300に近距離無線通信可能な装置である。係るポンプ装置10は、例えば、水道本管に直結され、水道本管を流れる水を直接増圧し、建造物に設けられた蛇口やシャワーヘッド等の供給先に給水する、いわゆる直結増圧型給水装置であり得る。なお、本実施形態のポンプ装置10は、例えば、建物の地下室などのように、管理サーバ2の通信圏外の場所(基地局に電波の届かない場所)に配置されている場合と、建物の戸外のように、管理サーバ2の通信圏内の場所に配置されている場合とがある。すなわち、本実施形態において、ポンプ装置10の通信圏内では、通信端末300が管理サーバ2に通信できない場合と、通信端末300が管理サーバ2に通信できる場合とがある。以下では、主に、管理サーバ2の通信圏外の場所にポンプ装置10が配置されている場合(ポンプ装置10の通信圏内では通信端末300が管理サーバ2に通信できない場合)を例に挙げて述べる。
【0023】
このポンプ装置10は、
図2に例示するように、銘板に提示された二次元コードc1と、ポンプ部20と、制御盤100と、図示されない吸込配管および吐出配管とを含む。ポンプ装置10は、ポンプ部20により、吸込配管を介して一次側にある水を取り込み、吐出配管を介して二次側へ給水する。吸込配管は、例えば、水道本管から分岐された水道分管およびポンプ部20を接続する。吐出配管は、ポンプ部20とその二次側の給水先とを接続する。
【0024】
なお、ポンプ装置10は、
図3又は
図4に示すように、1台の制御盤100と、N台のポンプ部20-1、20-2、・・・、20-Nとを含んでいてもよい(例えば、1≦N≦7)。
図3は、ポンプ装置10が、複数台のポンプ部20-1~20-Nを収容するポンプユニット20uを用いた構成を例示している。
図3の場合、ポンプ装置10の第1識別情報が1つであり、第1識別情報を表現した1つの二次元コードc1がポンプ装置10に固着されている。また、
図4は、ポンプ装置10-1、10-2、・・・、10-Nが、ポンプユニットを用いない構成を例示している。
図4の場合、ポンプ装置10-1~10-Nの第1識別情報がN個であり、第1識別情報を表現したN個の二次元コードc1-1、c1-2、・・・、c1-Nが、ポンプ装置10-1、10-2、・・・、10-Nに固着されている。いずれにしても複数台の場合(2≦N)に、制御盤100は、複数台のポンプ部20を交互に駆動する交互運転、複数台のポンプ部20を同時に駆動する並列運転、などを行うことができる。また、
図2乃至4の例では、ポンプ部20は給水用のポンプであるが、これに限らず、任意の種類のポンプに置き換えられてよい。すなわち、ポンプ部20は、揚水、排水、圧縮、などいずれの用途のポンプであってもよい。ポンプ装置10は、対象を含む被管理装置であって、当該被管理装置を識別する第1識別情報を表現した二次元コードが固着された当該被管理装置の一例である。ポンプ部20は、対象の一例である。
【0025】
制御盤100は、ポンプ部20(のモータ)と電気的に接続され、当該ポンプ部20を制御する。具体的には、制御盤100は、各種センサからのセンシング信号に基づいて、インバータ103を介してポンプ部20のモータの駆動を制御する。
【0026】
例えば、制御盤100は、ポンプ装置10の吸込配管および吐出配管に取り付けられポンプの吸込圧力および吐出圧力を検出可能な圧力センサからのセンシング信号に基づいて、ポンプの運転中に例えば推定末端圧力一定制御等の目標圧力一定制御を行い得る。また、制御盤100は、ポンプの運転中にモータを所望の回転数で駆動するように制御することができ、必要に応じてモータの回転数を増減させる。
【0027】
さらに、制御盤100は、ポンプ部20に含まれるポンプの二次側の配管に取り付けられ当該配管に流れる水の流量を検出可能な流量センサからのセンシング信号に基づいて、流量が小水量であることを検知するとポンプを停止させ得る。そして、制御盤100は、圧力センサからのセンシング信号に基づいてポンプの二次側の圧力が予め定められた始動圧力以下に低下したことを検知すると、ポンプを再駆動する。
【0028】
さらに、制御盤100は、かかるポンプ部20の制御に加えて、制御盤100を識別する第2識別情報を含む無線信号のブロードキャスト通信を行い、通信端末300と近距離無線接続することにより、適宜、運転データの出力を行う。詳細は後述するが、制御盤100は、例えば作業員が所持するスマートフォンなどの通信端末300との間で近距離無線通信を行うことができる。近距離無線通信としては、例えば、Bluetooth(登録商標) Low Energyの規格に基づく通信や、Wi-Fi(登録商標)、NFC(Near Field Communication)といった通信が適宜、使用可能となっている。本明細書では、Bluetooth(登録商標) Low Energyの規格に基づく通信を用いる場合を例に挙げて説明する。この例に伴い、上記したブロードキャスト通信される無線信号として、アドバタイズパケットが用いられる。以下、「Bluetooth(登録商標) Low Energyの規格」は、「BLE規格」ともいう。BLE規格は、BLEのバージョン4.0以降の規格であればよく、BLEの通信方式と互換性があればよい。これに伴い、「BLE規格」は、「Bluetooth バージョン4.0以降の規格」と呼んでもよい。BLE規格に基づく通信は、近距離無線通信の一例である。アドバタイズパケットは、ブロードキャスト通信される無線信号の一例である。制御盤100は、対象を制御し且つ通信端末と近距離無線通信可能な制御装置の一例である。
【0029】
制御盤100は、
図5に示すように、通信部101、入力部102、インバータ103、インタフェース104、表示部105、メモリ106及びプロセッサ107を備えている。また、制御盤100のインタフェース104は、ポンプ部20に接続される。なお、入力部102及び/又は表示部105は、制御盤100とは別体であってもよいし、制御盤100に組み込まれていてもよい。
【0030】
通信部101は、プロセッサ107により制御され、BLE規格に基づいて、通信端末300などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。通信部101は、「BLE基板」又は「BLEモジュール」などとして実装してもよい。通信部101は、通信端末300と制御盤100との接続を確立するための何らかのデータ、例えば通信端末300及び制御盤100がそれぞれスキャナおよびアドバタイザとしてBluetoothで接続する場合には、スキャナとしての通信端末からのリクエスト、を受信することもあり得る。
【0031】
入力部102は、例えば、操作パネル、タッチパネル、キーボード、マウス、などのユーザ入力を受け付ける装置と、圧力センサ、マイクロホン、カメラなどのセンサとを含み得る。
【0032】
インバータ103は、プロセッサ107からインバータ制御信号を受け取る。インバータ103は、このインバータ制御信号に応じて動作する。例えば、インバータ103は、運転停止信号または運転開始信号に相当するインバータ制御信号に応じてインタフェース104を介してポンプ部20の運転を停止または開始し得る。また、インバータ103は、回転数制御信号に相当するインバータ制御信号に応じてインタフェース104を介して、ポンプ部20のモータの回転数を制御し得る。
【0033】
表示部105は、典型的には液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイなどの表示デバイスを含み得るが、表示デバイスの代わりにまたは表示デバイスに加えて、スピーカ、LED(Light Emitting Diode)点灯部などを含み得る。
【0034】
メモリ106は、プロセッサ107が各処理を実現するために当該プロセッサ107によって実行されるプログラムおよび当該プロセッサ107によって使用されるデータなどを記憶する。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、通信制御プログラム、表示制御プログラム、ポンプ制御プログラムなどが適宜、記憶される。データとしては、例えば、制御盤100を識別する第2識別情報(以下、制御盤100の第2識別情報ともいう)、コード、テーブルなどが適宜記憶される。なお、メモリ106は、ポンプ装置10を識別する第1識別情報(以下、ポンプ装置10の第1識別情報ともいう)を更に記憶してもよい。メモリ106は、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。メモリ106は、記憶部の一例である。
【0035】
プロセッサ107は、典型的にはマイコンであるが、CPU、GPU、FPGA、DSP、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ107は、例えば、通信制御、表示制御、ポンプ制御などの任意の処理を行う。
【0036】
プロセッサ107は、メモリ106に保存されたプログラムを実行することで、
図5の通信制御部107a、表示制御部107b及びポンプ制御部107c等として機能し得る。なお、プロセッサ107内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。また、プロセッサ107内の通信制御部107aと、通信部101との機能分担も便宜的なものであり、適宜、変更可能である。例えば、通信制御部107aをBLEのプロトコルスタックのアプリケーション層とし、通信部101をホスト(L2CAP、SMP、ATT、GAP、GATT)及びコントローラ(物理層PHY、リンク層LL)としてもよいが、この機能分担に限定されない。例えば、ホストのプロトコルを適宜、通信制御部107a及び通信部101に分担させてもよい。ここで、L2CAPは、論理リンク制御及びアダプテーションプロトコルの略語である。SMPは、セキュリティマネージャプロトコルの略語である。ATTは、アトリビュートプロトコルの略語である。GAPは、汎用アクセスプロトコルの略語である。GATTは、汎用アトリビュートプロトコルの略語である。通信部101及び通信制御部107aは、第1通信部及び第2通信部の一例である。
【0037】
通信制御部107aは、通信部101を介して、制御盤100の第2識別情報を含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信する。また、通信部101は、通信部101を介して、当該アドバタイズパケットを受信する通信端末300から接続要求を受けると、通信端末300との間の通信を接続してもよい。この場合、通信端末300は、予め第1識別情報と第2識別情報とを関連付けたテーブルを有している。また、通信端末300は、二次元コードに表現された第1識別情報に基づく当該テーブル内の第2識別情報に一致する第2識別情報を含む当該アドバタイズパケットを受信することにより、接続要求を送信する。なお、アドバタイズパケットは、アドバタイズメントパケットと呼んでもよい。アドバタイズパケットは、BLE規格に基づくものであり、BLEパケットのプロトコルデータ(PDU)をアドバタイジングPDUのフォーマットで用いている。アドバタイジングPDUは、2バイトのヘッダと、そのペイロードとを備えている。本実施形態のアドバタイズパケットは、例えば、アドバタイジングPDUのペイロード内の製造者固有データ(Manufacturer Specific Data)に第2識別情報を含んでいる。製造者固有データは、可変長で任意に使用可能な部分である。このため、アドバタイズパケットが第1識別情報及び第2識別情報を含む場合でも、当該第1識別情報及び第2識別情報を製造者固有データに含めることにより、実装可能である。
【0038】
また、通信制御部107aは、通信端末300との無線通信を行う際に、通信部101及び表示制御部107bを制御する。例えば、通信制御部107aは、メモリ106から運転データを読み出し、当該運転データを通信部101に送出する。また例えば、通信制御部107aは、BLE規格に基づいて生成したパスキー(Passkey)を表示制御部107bに送出する。パスキーは、BLE規格に基づき、通信端末300とのペアリングに用いられる6桁の値である。
【0039】
表示制御部107bは、通信制御部107a又はポンプ制御部107cに制御され、通信制御部107a又はポンプ制御部107cからのデータを表示するように、表示部105を制御する。このとき、表示制御部107bは、通信制御部107a又はポンプ制御部107c等からのデータを二次元コードに変換し、当該二次元コードを表示するように表示部105を制御してもよい。例えば
図6に示すように、表示制御部107bは、入力部102からの指示に応じてメモリ106から制御盤100の製造番号及び/又はポンプ装置10の製造番号を読み出し、当該読み出した製造番号を二次元コードc2に変換し、当該二次元コードc2を表示するように表示部105を制御してもよい。なお、ポンプ装置10の製造番号を二次元コードc2に変換して表示した場合には、ポンプ装置10に固着された銘板内の二次元コードc1と、表示された二次元コードc2とは、互いに同一の情報(ポンプ装置10の製造番号)を表現している。通信端末300は、作業者が撮影し易い方の二次元コードc1又はc2を撮影し、得られた画像からポンプ装置10の製造番号を取得すればよい。あるいは、表示制御部107bは、通信制御部107aから受けたパスキーを二次元コードc2に変換し、当該二次元コードc2を表示するように表示部105を制御してもよい。なお、表示制御部107bは、当該パスキーを二次元コードc2に変換せずに表示部105に表示させてもよい。
【0040】
ポンプ制御部107cは、各種センサからのセンシング信号に基づいて、ポンプ装置10の運転状態を示す運転データを取得し、当該運転データを第2識別情報に関連付けてメモリ106に保存する。また、ポンプ制御部107cは、メモリ106に保存されたポンプ制御プログラムによって決まる制御ポリシーに従い、最新のセンシング信号等に応じてインバータ制御信号を生成し、これをインバータ103へ送る。なお、ポンプ制御部107cは、積算運転時間、および/または積算運転回数を、ポンプ装置10の運転実態に応じて算出し、メモリ106に書き込んでもよい。
【0041】
また一方、通信端末300は、建物に給水するポンプ装置10と、ポンプ装置10を管理する管理サーバ2とに通信可能な情報処理装置である。通信端末300は、例えば、PC、モバイル端末(例えば、タブレット、スマートフォン、ラップトップ、フィーチャーフォンなど)などであり得るが、これらに限られない。
【0042】
このような通信端末300は、
図7に例示するように、通信部301、入力部302、表示部305、メモリ306及びプロセッサ307を備えている。プロセッサ307は、後述するように、通信制御部307a、処理部307b等の機能を実現可能となっている。なお、プロセッサ307内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。通信制御部307aと通信部301との機能分担も便宜的なものであり、適宜、変更可能である。例えば、通信制御部307aをBLEのプロトコルスタックの上位のアプリケーション層とし、通信部301を中位のホスト(L2CAP、SMP、ATT、GAP、GATT)及び下位のコントローラ(物理層PHY、リンク層LL)としてもよいが、この機能分担に限定されない。例えば、ホストのプロトコルを適宜、通信制御部307a及び通信部301に分担させてもよい。
【0043】
ここで、通信部301は、プロセッサ307により制御され、例えば、近距離通信技術を用いて、管理サーバ2やポンプ装置10などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、通信部301は、例えば、BLE規格を用いて、ポンプ装置10等の外部装置に接続可能となっている。なお、通信部301は、さらに、Wi-Fi(登録商標)などの無線通信技術、またはUSBなどの有線通信技術を用いて、ポンプ装置10等の外部装置に接続可能としてもよい。本実施形態の通信部301は、BLE規格に基づいて、ポンプ装置10の制御盤100と無線通信を行う。
【0044】
通信部301は、プロセッサ307により制御され、例えば、遠距離通信技術を用いて、管理サーバ2などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、通信部301は、例えば、移動通信(3G、4G)、Wimaxなどの無線通信技術を用いて、基地局及びネットワーク経由で管理サーバ2等の外部装置に接続可能となっている。
【0045】
入力部302は、ユーザ入力を受け付けるための入力I/Fであり、通信端末300に内蔵されてもよいし、通信端末300に外付けされてもよい。入力部302は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、マイクロフォン、カメラなどを含んでもよいし、タッチスクリーンのように出力I/Fの機能を備えていてもよい。ユーザ入力は、典型的には、タップ、クリック、ドラッグ、特定のキーの押下などであり得る。このほか、ユーザ入力は、例えば、マイクロフォンによって捉えられる音声などを含むこともできる。また、ユーザ入力は、例えば、カメラにより撮影された二次元コードc1,c2の画像を含んでもよい。二次元コードc1,c2としては、例えば、QRコード(登録商標)が適宜、使用可能となっている。
【0046】
表示部305は、プロセッサ307の処理に応じて、画像及び/又は音声を出力するための出力I/Fの一例であり、動画像、静止画像、テキストなどを表示するための表示デバイスを含み得る。動画像又は静止画像としては、例えば、二次元コードc1又はc2を表示してもよい。テキストとしては、例えば、ペアリングのためのパスキーを表示してもよい。表示部305は、音声、楽曲などを出力するためのスピーカを含んでもよい。「表示部」は「出力部」と読み替えてもよい。表示デバイスは、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどである。表示デバイスは、コンテンツを含む表示データを表示する。なお、表示デバイスは、タッチスクリーンのように入力I/Fの機能を備えていてもよい。
【0047】
メモリ306は、プロセッサ307が各処理を実現するために当該プロセッサ307によって実行されるプログラム、および当該プロセッサ307によって使用されるデータなどを記憶する。メモリ306は、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、通信プログラムなどが適宜、記憶される。データとしては、例えば、コード、運転データ、テーブルなどが適宜、記憶される。テーブルとしては、
図8に例示するように、製品登録テーブルT1が記憶される。製品登録テーブルT1は、ポンプ装置10の製造番号と、制御盤100の製造番号とを関連付けたテーブルである。製品登録テーブルT1内の第1の組合せe1は、
図2又は
図3に示す構成に対応しており、1つのポンプ装置10の製造番号と、制御盤100の製造番号とを関連付けている。製品登録テーブルT1内の第2の組合せe2は、
図4に示す構成に対応しており、N台のポンプ装置10の製造番号と、1台の制御盤100の製造番号とを関連付けている。
【0048】
プロセッサ307は、典型的にはCPUであるが、マイコン、GPU、FPGA、DSP、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ307は、管理サーバ2とポンプ装置10との間に介在して、ポンプ装置10を管理する処理を実行するものである。プロセッサ307は、メモリ306に保存されたプログラムを実行することで、
図7の通信制御部307a、処理部307bとして機能し得る。当該プログラムのうち、通信制御部307aに対応するプログラムは、通信プログラムの一例である。
【0049】
通信制御部307aは、通信部301を介して、管理サーバ2との遠距離通信を行う。また、通信制御部307aは、通信部301を介して、ポンプ装置10との近距離通信を行う。例えば、通信制御部307aは、ポンプ装置10の製造番号を表現した二次元コードc1を提示するポンプ装置10のうちの二次元コードc1の画像データから当該ポンプ装置10の製造番号を取得する。また、通信制御部307aは、当該取得したポンプ装置10の製造番号に基づいて製品登録テーブルT1から制御盤100の製造番号を取得する。また、通信制御部307aは、当該取得した制御盤100の製造番号と、制御盤100からブロードキャスト通信されたアドバタイズパケット内の制御盤100の製造番号とを比較する。また、通信制御部307aは、当該比較した結果、両者が一致するとき、通信部301を介して、アドバタイズパケットを送信した制御盤100に接続要求を送信する。また、通信制御部307aは、通信部301を介して、ポンプ装置10又は管理サーバ2との接続を確立するための何らかのデータを送信することや、操作者の操作に応じて、管理サーバ2にリクエストを送信することもあり得る。あるいは、通信制御部307aは、通信端末300とポンプ装置10との接続を確立するための何らかのデータ、例えばポンプ装置10及び通信端末300がそれぞれスキャナおよびアドバタイザとしてBluetoothで接続する場合には、アドバタイザとしてのポンプ装置10からのリクエスト、を受信することもあり得る。
【0050】
処理部307bは、ポンプ装置10の点検、メンテナンス及び管理など、作業者の作業に応じた情報処理を実行する。例えば、処理部307bは、作業者によるポンプ装置10からの運転データの収集を支援する。
【0051】
以下、
図9乃至
図11を参照しながら、
図2のポンプ装置10及び
図7の通信端末300を用いて無線通信の接続時の動作例を説明する。この動作例は、製品登録テーブルを予め保存するステップS10と、通信圏外に移動するステップS20と、通信を接続するステップS30と、ペアリングを行うステップS40とを含んでいる。ペアリングのステップS40は、任意の付加的事項であり、省略してもよい。また、ステップS30内でもステップS37~S38は、任意の付加的事項であり、適宜、変更可能及び省略可能である。以下、ステップS10~S40の動作例について順に述べる。
【0052】
(ステップS10:製品登録テーブルの保存)
始めに、製品登録テーブルを保存するステップS10は、ステップS11~S13により実行される。まず、通信端末300のプロセッサ307は、製品登録テーブルT1の送信を管理サーバ2に要求する(ステップS11)。
【0053】
ステップS11の後、管理サーバ2は、当該要求に基づいて、メモリから読み出した製品登録テーブルT1を通信端末300に送信する(ステップS12)。製品登録テーブルT1は、ポンプ装置10の製造番号と、制御盤100の製造番号とを関連付けたテーブルである。なお、製品登録テーブルT1は、例えば組み立て工場において、ポンプ装置10を組み立てる毎に、ポンプ装置10の製造番号と制御盤100の製造番号との組合せが登録されたテーブルである。すなわち、製品登録テーブルT1は、ポンプ装置10と制御盤100との正しい組合せ(又は組み立て時の組合せ)を示している。
【0054】
ステップS12の後、通信端末300は、管理サーバ2から受けた製品登録テーブルT1をメモリ306に保存する(ステップS13)。以上のステップS11~S13の実行により、ステップS10が終了する。
【0055】
(ステップS20:通信圏外に移動)
ステップS10の終了後、通信端末300を所持した作業者が、ポンプ装置10の設置場所に移動する。本実施形態のポンプ装置10は、基地局に電波の届かない場所に設置されている。このため、通信端末300は、作業者の移動に伴い、管理サーバ2の通信圏外に移動すると共に(ステップS20)、ポンプ装置10の設置場所に到着する。以上により、ステップS20が終了する。
【0056】
(ステップS30:無線通信の接続)
ステップS20の終了後、ポンプ装置10の制御盤100と、通信端末300との間の無線通信を接続するステップS30が、ステップS31~S39により実行される。制御盤100は、通信部101及びプロセッサ107により、当該制御盤100の製造番号を含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信する(ステップS31)。アドバタイズパケットのブロードキャスト通信は、所定間隔毎に、繰り返し実行される。
【0057】
通信端末300は、作業者の操作により、入力部302が、ポンプ装置10の銘板の二次元コードc1を撮影する(ステップS32)。なお、これに限らず、二次元コードc2が制御盤100の表示部305に表示された場合には、通信端末300は、表示された二次元コードc2を撮影してもよい。いずれにしても、二次元コードc1,c2は、互いに同一の情報(ポンプ装置10の製造番号)を表現している。
【0058】
ステップS32の後、通信端末300のプロセッサ307は、二次元コードc1の画像データから当該ポンプ装置10の製造番号を取得する(ステップS33)。また同様に、表示された二次元コードc2が撮影された場合には、通信端末300のプロセッサ307は、二次元コードc2の画像データから当該ポンプ装置10の製造番号を取得する。
【0059】
ステップS33の後、プロセッサ307は、当該取得したポンプ装置10の製造番号に基づいて、メモリ306内の製品登録テーブルT1から制御盤100の製造番号を取得する(ステップS34)。
【0060】
ステップS34の後、ステップS31と同様に、制御盤100は、当該制御盤100の製造番号を含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信する(ステップS35)。
【0061】
通信端末300のプロセッサ307は、ステップS34で取得した制御盤100の製造番号と、制御盤100からブロードキャスト通信されたアドバタイズパケット内の制御盤100の製造番号とを比較し、両者が一致するか否かを判定する(ステップS36)。否の場合(ステップS36:No)には、プロセッサ307は、表示部305にエラーを表示させる(ステップS37)。なお、否の場合としては、例えば、複数のポンプ装置10がBLE規格を用いた無線通信の通信圏内に設置された状態で、通信端末300が、意図しない他のポンプ装置10の制御盤100からのアドバタイズパケットを受信した場合がある。エラー表示を視認した作業者は、アドバタイズパケットの受信位置を変更するように、手に持った通信端末300を、通信したい制御盤100に近づける方向に移動させる(ステップS38)。これにより、通信端末300は、変更後の受信位置で新たなアドバタイズパケットを受信し、ステップS36の処理を再実行する。
【0062】
一方、通信端末300のプロセッサ307は、ステップS36で比較した結果、両者が一致するとき、通信部301を介して、アドバタイズパケットを送信した制御盤100に接続要求を送信する(ステップS39)。これにより、制御盤100と通信端末300との無線通信が接続され、制御盤100内の情報が管理可能となる。また、制御盤100は、ブロードキャスト通信を終了する。以上により、ステップS30が終了する。
【0063】
(ステップS40:ペアリング)
ステップS30の終了後、
図10に例示するように、制御盤100と通信端末300とのペアリングを行うステップS40が、ステップS41~S45により実行される。まず、制御盤100と通信端末300との間で、ペアリングに必要な情報が交換される(ステップS41)。ステップS41は、BLE規格に基づき、例えば、セキュリティ要求の送信、セキュリティ要求に対するペアリング要求の返信、ペアリング要求に対するペアリング応答の送信、により実行される。セキュリティ要求により、ペアリングの開始が要求される。ペアリング要求及びペアリング応答のやり取りにより、デバイス入出力能力(IO Capability)(例、キー入力可能、表示出力可能)や最大暗号化キーサイズ(Maximum encryption key size)等の情報が交換される。
図10の例に限らず、制御盤100と通信端末300とのいずれがセキュリティ要求を送信してもよい。このようなステップS41は、BLE規格内のペアリングのフェーズ1に対応する。本実施形態のペアリングのフェーズ1では、ユーザ操作なし自動認証方式(Just Works)及びユーザがパスキーを入力するパスキーエントリー(Passkey Entry)のいずれを用いてもよい。なお、ジャストワークス(Just Works)は、パスキーエントリーに比べ、作業員の操作がない点で優れている。パスキーエントリーは、ジャストワークスに比べ、セキュリティーが高い点で優れている。但し、パスキーエントリーは、パスキーをキー入力する方式のため、作業員にキー入力操作の手間がかかる。そこで、本実施形態のフェーズ1では、パスキーエントリーを入力部302のカメラ操作で行うことにより、セキュリティの高い点を維持しつつ、作業員の操作の手間を軽減させている。但し、前述したように、ステップS40自体が任意であり、ステップS41のフェーズ1の方式も任意である。
【0064】
ステップS41の後、制御盤100のプロセッサ107は、通信端末300とのペアリングを行うためのパスキーを二次元コードに変換し、当該二次元コードを表示するように表示部305を制御する。これにより、表示部305は、パスキーを表現した二次元コードを表示する(ステップS42)。
【0065】
通信端末300は、作業者の操作により、入力部302が、制御盤100の表示部305に表示された二次元コードを撮影する(ステップS43)。
【0066】
ステップS43の後、通信端末300のプロセッサ307は、当該二次元コードの画像データからパスキーを取得する(ステップS44)。ステップS42~S44により、制御盤100と通信端末300との間で無線通信を行わずに、パスキーが共有される。なお、ステップS42~S44は、必須ではなく変形してもよい。例えば
図11に示すように、通信端末300が表示部305にパスキーを表示させ(ステップS42a)、パスキーを視認した作業者が、制御盤100の入力部102にパスキーを入力するように変形しても(ステップS44a)、パスキーは共有される。但し、本実施形態では、
図10に示すように、ステップS42~S44を行う場合を例に用いている。
【0067】
ステップS44の後、制御盤100と通信端末300との間で、鍵生成に必要な情報が交換される(ステップS45)。ステップS45は、BLE 4.0規格に基づき、例えば、ペアリングコンファームのやり取り、ペアリングランダムのやり取りにより、短期鍵STK(Short Term Key)の生成に必要な情報が交換される。
図10の例に限らず、ステップS45は、BLE 4.2規格に基づき、例えば、ECDH(楕円曲線デフィーヘルマン鍵交換)方式を用い、長期鍵LTK(Long Term Key)の生成に必要な情報を交換してもよい。いずれにしても、ステップS45は、BLE規格内のペアリングのフェーズ2に対応する。このようなステップS41~S45の実行により、ステップS40が終了してペアリングが完了する。これにより、制御盤100と通信端末300との間で暗号化通信が可能となる。
【0068】
通信端末300は、作業者の操作により、例えば、運転データを制御盤100に要求する。制御盤100は、この要求に応じて運転データを通信端末300に返信する。これにより、制御盤100内の情報が通信端末300に収集される。
【0069】
通信端末300は、返信された運転データをメモリ306に保存する。
【0070】
しかる後、通信端末300を所持した作業者が、ポンプ装置10の設置場所を離れ、基地局に電波の届く場所に移動する。通信端末300は、作業者の操作により、運転データをポンプ装置10の製造番号及び制御盤100の製造番号と共に、管理サーバ2に送信する。
【0071】
管理サーバ2は、受信した運転データを、ポンプ装置10の製造番号及び制御盤100の製造番号に関連付けて保存することで、制御盤100内の情報を管理する。これにより、ポンプ装置10の点検作業が終了する。
【0072】
上述したように第1の実施形態によれば、制御装置において、制御装置を識別する第2識別情報を記憶し、当該第2識別情報を含む無線信号をブロードキャスト通信する。また、制御装置において、予め第1識別情報と第2識別情報とを関連付けたテーブルを有し且つ二次元コードに表現された第1識別情報に基づく当該テーブル内の第2識別情報に一致する第2識別情報を含む当該無線信号を受信する通信端末から接続要求を受けると、当該通信端末との間の近距離無線通信を接続する。このように、通信端末がテーブルを有することにより、管理サーバのテーブルを参照せずに、制御装置からの無線信号に応じて接続要求を送信できる。従って、基地局に電波が届かない場所でも、制御装置と通信端末との近距離無線接続を実現することができる。すなわち、管理サーバの通信圏外でも、被管理装置と制御装置との組合せに基づいて、制御装置内の情報を管理可能にすることができる。補足すると、通信端末が管理サーバに通信していないオフライン(例、地下)のときでも、自動でペアリングを実行することができる。また、ユーザの勘違い無く、被管理装置と制御装置との正しい組合せでデータを管理することができる。例えば、通信端末は、周囲に複数のアドバタイズ(制御盤)がある場合でも、テーブルを参照し、第1識別情報に合致する制御盤を選んで接続することで、接続したい制御盤と間違いなく(自動で)接続できる。
また、近距離無線通信がBluetooth(登録商標)バージョン4.0以降の規格に基づく通信であり、無線信号がアドバタイズパケットである場合、NFC(Near Field Communication)に比べ、利便性の向上を図ることができる。補足すると、制御装置と通信端末とが無線接続する際には、容易に接続することが望まれる。例えば、NFCの規格のように、直接タッチすることで通信する手法もあるが、常時通信できないことから、利便性が低い。また、BluetoothのペアリングのみNFCで行う手法もあるが、Bluetoothとは別の周波数帯のため、アンテナの追加が必要でコストを要する。これに対し、本実施形態のBLEを用いた近距離無線通信によれば、通信端末が二次元コードを読み取り、アドバタイズパケットを受信することで、常時通信の下、簡単に正しい組合せでペアリングを実行することが可能となる。
【0073】
また、第1の実施形態によれば、通信端末において、対象を含む被管理装置を識別する第1識別情報と、当該被管理装置に設けられ且つ当該対象を制御する制御装置を識別する第2識別情報とを関連付けたテーブルを記憶する。また、通信端末において、ポンプ装置の第1識別情報を表現した二次元コードを提示する被管理装置のうちの当該二次元コードの画像データから当該第1識別情報を取得する。また、通信端末において、当該取得した第1識別情報に基づいてテーブルから第2識別情報を取得する。また、通信端末において、当該取得した第2識別情報と、制御装置からブロードキャスト通信された無線信号内の第2識別情報とを比較する。また、通信端末において、当該比較した結果、両者が一致するとき、当該無線信号を送信した制御装置に接続要求を送信する。従って同様に、通信端末は、記憶部のテーブルを参照することにより、管理サーバのテーブルを参照せずに、無線信号に応じて接続要求を送信できるので、基地局に電波が届かない場所でも、制御装置と通信端末との近距離無線接続を実現することができる。すなわち、管理サーバの通信圏外でも、被管理装置と制御装置との組合せに基づいて、制御装置内の情報を管理可能にすることができる。
【0074】
また、第1の実施形態によれば、制御装置において、被管理装置を識別する第1識別情報を表現した二次元コードを表示するように表示部を制御してもよい。このとき、被管理装置に固着された二次元コード及び当該表示部に表示された二次元コードは、通信端末から読み取り可能なコードであって、互いに同一の情報を表現している。この場合、通信端末を所持した作業者が2つの二次元コードのいずれか撮影し易い方を撮影して第1識別情報を取得すればよいので、無線接続に要する作業のうち、二次元コードの読み取り作業の容易化を図ることができる。
【0075】
また、第1の実施形態によれば、制御装置において、通信端末との間の近距離無線通信を接続した後、当該通信端末とのペアリングを行うためのパスキーを表現した二次元コードを表示するように表示部を制御してもよい。この場合、通信端末が二次元コードを撮影してパスキーを取得できるので、パスキーの無線通信やキー入力操作を行うことなく、制御装置と通信端末との間でパスキーを共有することができる。
【0076】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第2識別情報を含む無線信号(アドバタイズパケット)を用いた第1の実施形態とは異なり、第1識別情報を更に含む無線信号(アドバタイズパケット)を用いた形態である。言い換えると、第2の実施形態は、第1識別情報及び第2識別情報を含む無線信号(アドバタイズパケット)を用いた形態である。
【0077】
これに伴い、制御盤100の通信制御部107aは、第1識別情報及び第2識別情報を含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信する。
【0078】
通信端末300の通信制御部307aは、二次元コードの画像データから取得した第1識別情報と制御盤100からブロードキャスト通信されたアドバタイズパケット内の第1識別情報とを比較する。また、通信制御部307aは、当該比較した結果、第1識別情報が互いに一致するときで且つ、第1の実施形態における比較の結果も一致であるとき、当該アドバタイズパケットを送信した制御盤100に接続要求を送信する。
【0079】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0080】
以下、
図12を参照しながら、第2の実施形態におけるステップS30の動作例を説明する。なお、ステップS10~S20、S40は、第1の実施形態と同様である。
【0081】
(ステップS30:無線通信の接続)
制御盤100は、通信部101及びプロセッサ107により、ポンプ装置10の製造番号と当該制御盤100の製造番号とを含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信する(ステップS31a)。アドバタイズパケットのブロードキャスト通信は、所定間隔毎に、繰り返し実行される。
【0082】
また、ステップS32~S34が前述同様に実行され、通信端末300は、二次元コードc1の画像データからポンプ装置10の製造番号を取得すると共に、メモリ306内の製品登録テーブルT1から制御盤100の製造番号を取得する。
【0083】
ステップS34の後、ステップS31aと同様に、制御盤100は、ポンプ装置10の製造番号と当該制御盤100の製造番号とを含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信する(ステップS35a)。
【0084】
通信端末300のプロセッサ307は、ステップS33で取得したポンプ装置10の製造番号と、制御盤100からブロードキャスト通信されたアドバタイズパケット内のポンプ装置10の製造番号とを比較し、両者が一致するか否かを判定する。また同様に、通信端末300のプロセッサ307は、ステップS34で取得した制御盤100の製造番号と、制御盤100からブロードキャスト通信されたアドバタイズパケット内の制御盤100の製造番号とを比較し、両者が一致するか否かを判定する。すなわち、通信端末300のプロセッサ307は、各々のステップで取得した製造番号がそれぞれアドバタイズパケット内の製造番号に一致するか否かを判定する(ステップS36a)。否の場合(ステップS36a:No)には、プロセッサ307は、表示部305にエラーを表示させる(ステップS37)。エラー表示を視認した作業者は、アドバタイズパケットの受信位置を変更するように、手に持った通信端末300を移動させる(ステップS38)。これにより、通信端末300は、変更後の受信位置で新たなアドバタイズパケットを受信し、ステップS36の処理を再実行する。
【0085】
一方、通信端末300のプロセッサ307は、ステップS36aでの比較結果がそれぞれ一致を示すとき、通信部301を介して、アドバタイズパケットを送信した制御盤100に接続要求を送信する(ステップS39)。これにより、制御盤100と通信端末300との無線通信が接続される。また、制御盤100は、ブロードキャスト通信を終了する。以上により、ステップS30が終了する。
【0086】
上述したように第2の実施形態によれば、無線信号(アドバタイズパケット)は、被管理装置の第1識別情報を更に含んでいる。これに伴い、通信端末において、前述した制御装置の第2識別情報の比較に加え、被管理装置の第1識別情報の比較が行われた後、接続要求が送信される。従って、第1の実施形態の作用効果に加え、被管理装置の第1識別情報についても確認した上で、接続要求を送信することができる。
【0087】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、第1識別情報を表現した二次元コードを用いた第1の実施形態とは異なり、第2識別情報を更に表現している二次元コードを用いた形態である。言い換えると、第3の実施形態は、第1識別情報と第2識別情報とを表現した二次元コードを用いた形態である。
【0088】
これに伴い、ポンプ装置10に固着された銘板の二次元コードc1は、ポンプ装置10の製造番号と制御盤100の製造番号とを表現している。
【0089】
また、制御盤100の表示制御部107bは、ポンプ装置10の製造番号と制御盤100の製造番号とを表現した二次元コードc2を表示するように表示部105を制御する。
【0090】
一方、通信端末300のプロセッサ307は、二次元コードc1,c2のいずれかが撮影された場合に、当該撮影された画像データからポンプ装置10の製造番号と制御盤100の製造番号とを取得する。
【0091】
また、通信端末300のプロセッサ307は、取得したポンプ装置10の製造番号に基づく製品登録テーブルT1内の制御盤100の製造番号と、二次元コードの画像データから取得した制御盤100の製造番号とが整合しているか否かを判定する。プロセッサ307は、この判定の結果、否の場合には不整合をメモリ306に記録する。
【0092】
また、通信端末300のプロセッサ307は、不整合の場合、いずれかの制御盤100の製造番号が、ブロードキャスト通信された無線信号(アドバタイズパケット)内の制御盤100の製造番号と一致するか否かを判定する。プロセッサ307は、この判定の結果、一致する場合には、当該アドバタイズパケットを送信した制御盤100に接続要求を送信する。
【0093】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0094】
以下、
図13を参照しながら、第3の実施形態におけるステップS30の動作例を説明する。なお、ステップS10~S20、S40は、第1の実施形態と同様である。
【0095】
(ステップS30:無線通信の接続)
いま、ステップS31~S32が前述同様に実行され、通信端末300は、作業者の操作により、例えば、ポンプ装置10の銘板の二次元コードc1を撮影する。なお、銘板の二次元コードc1に代えて、表示された二次元コードc2を撮影してもよい。
【0096】
ステップS32の後、通信端末300のプロセッサ307は、二次元コードc1の画像データから当該ポンプ装置10の製造番号と制御盤100の製造番号とを取得する(ステップS33b)。
【0097】
ステップS33bの後、プロセッサ307は、当該取得したポンプ装置10の製造番号に基づいて、メモリ306内の製品登録テーブルT1から制御盤100の製造番号を取得する。また、プロセッサ307は、製品登録テーブルT1から取得した制御盤100の製造番号と、二次元コードc1の画像データから取得した制御盤100の製造番号とが整合しているか否かを判定する(ステップS34b-1)。この判定の結果、否の場合には、プロセッサ307は不整合をメモリ306に記録する(ステップS34b-2)。なお、不整合は、必ずしも異常を示すものではない。例えば、製造時に発行された銘板の二次元コードc1に対し、制御盤100の交換によって製品登録テーブルT1内の制御盤100の製造番号が更新された後には、ステップS34b-1の判定結果が不整合を示す。この場合の不整合は、制御盤100の交換に伴うものであり、異常ではない。
【0098】
ステップS34b-1,S34b-2の後、ステップS31と同様に、制御盤100は、当該制御盤100の製造番号を含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信する(ステップS35)。
【0099】
通信端末300のプロセッサ307は、ステップS34b-1に用いたいずれかの制御盤100の製造番号が、当該アドバタイズパケット内の制御盤100の製造番号と一致するか否かを判定する(ステップS36b)。否の場合(ステップS36b:No)には、プロセッサ307は、前述同様に、ステップS37~S38が実行され、ステップS36bの処理が再実行される。
【0100】
一方、通信端末300のプロセッサ307は、ステップS36bで比較した結果、一致するとき、前述同様にステップS39を実行する。これにより、制御盤100と通信端末300との無線通信が接続される。また、制御盤100は、ブロードキャスト通信を終了する。以上により、ステップS30が終了する。
【0101】
上述したように第3の実施形態によれば、二次元コードは、制御装置の第2識別情報を更に含んでいる。これに伴い、通信端末において、テーブルから取得した制御装置の第2識別情報と、二次元コードの画像データから取得した制御装置の第2識別情報とのうちのいずれかと、無線信号(アドバタイズパケット)内の制御盤の第2識別情報とが一致しているか否かを判定する。この判定の結果、一致する場合には、通信端末から接続要求が送信される。従って、第1の実施形態の作用効果に加え、制御装置の第2識別情報が更新された場合を考慮した上で、接続要求を送信することができる。
【0102】
上述の実施形態は、本発明の概念の理解を助けるための具体例を示しているに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図されていない。実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々な構成要素の付加、削除または転換をすることができる。
【0103】
上述の実施形態では、いくつかの機能部を説明したが、これらは各機能部の実装の一例に過ぎない。例えば、1つの装置に実装されると説明された複数の機能部が複数の別々の装置に亘って実装されることもあり得るし、逆に複数の別々の装置に亘って実装されると説明された機能部が1つの装置に実装されることもあり得る。
【0104】
上記各実施形態において説明された種々の機能部は、回路を用いることで実現されてもよい。回路は、特定の機能を実現する専用回路であってもよいし、プロセッサのような汎用回路であってもよい。
【0105】
上記各実施形態の処理の少なくとも一部は、例えば汎用のコンピュータに搭載されたプロセッサを基本ハードウェアとして用いることでも実現可能である。上記処理を実現するプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納して提供されてもよい。プログラムは、インストール可能な形式のファイルまたは実行可能な形式のファイルとして記録媒体に記憶される。記録媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、半導体メモリなどである。記録媒体は、プログラムを記憶でき、かつ、コンピュータが読み取り可能であれば、何れであってもよい。また、上記処理を実現するプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ(サーバ)上に格納し、ネットワーク経由でコンピュータ(クライアント)にダウンロードさせてもよい。
【0106】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0107】
1,2・・・管理サーバ、10,10-1,10-2,10-3・・・ポンプ装置、20,20-1,20-2,・・・,20-N・・・ポンプ部、20u・・・ポンプユニット、100・・・制御盤、101,301・・・通信部、102,302・・・入力部、103・・・インバータ、104・・・インタフェース、105,305・・・表示部、106,306・・・メモリ、107,307・・・プロセッサ、107a,307a・・・通信制御部、107b・・・表示制御部、107c・・・ポンプ制御部、307b・・・処理部、300-1,300-2・・・通信端末、T1・・・製品登録テーブル、c1,c1-1,c1-2,・・・,c1-N,c2・・・二次元コード。