IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ISOWAの特許一覧

<>
  • 特許-段ボールシートの製函機 図1
  • 特許-段ボールシートの製函機 図2
  • 特許-段ボールシートの製函機 図3
  • 特許-段ボールシートの製函機 図4
  • 特許-段ボールシートの製函機 図5
  • 特許-段ボールシートの製函機 図6
  • 特許-段ボールシートの製函機 図7
  • 特許-段ボールシートの製函機 図8
  • 特許-段ボールシートの製函機 図9
  • 特許-段ボールシートの製函機 図10
  • 特許-段ボールシートの製函機 図11
  • 特許-段ボールシートの製函機 図12
  • 特許-段ボールシートの製函機 図13
  • 特許-段ボールシートの製函機 図14
  • 特許-段ボールシートの製函機 図15
  • 特許-段ボールシートの製函機 図16
  • 特許-段ボールシートの製函機 図17
  • 特許-段ボールシートの製函機 図18
  • 特許-段ボールシートの製函機 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】段ボールシートの製函機
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/00 20170101AFI20240729BHJP
   B31B 100/00 20170101ALN20240729BHJP
【FI】
B31B50/00
B31B100:00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020109344
(22)【出願日】2020-06-25
(65)【公開番号】P2021160337
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2020060628
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000139931
【氏名又は名称】株式会社ISOWA
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】児玉 純一
(72)【発明者】
【氏名】山田 大河
(72)【発明者】
【氏名】安田 純也
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-128355(JP,A)
【文献】特開2017-144650(JP,A)
【文献】特開2011-207006(JP,A)
【文献】特開2004-291470(JP,A)
【文献】特開2017-048015(JP,A)
【文献】特開2005-008374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/00 - 50/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボールシートを1枚つ送り出す給紙装置と、段ボールシートに印刷を施す印刷装置と、段ボールシートに罫線加工を施すクリーザユニットと、段ボールシートに溝切り加工を施すスロッタユニットと、これらの給紙装置、印刷装置、クリーザユニット及びスロッタユニットを制御する制御装置と、を有する段ボールシートの製函機であって、
上記給紙装置は、積層された段ボールシートのうち最下層の段ボールシートを送り出す給紙ローラと、この給紙ローラを回転駆動する給紙ローラ駆動モータと、給紙ローラに対して昇降して給紙ローラと最下層の段ボールシートとの接触状態と非接触状態とを切り替えるグレイトと、このグレイトを昇降させるグレイト昇降装置と、を備え、
上記スロッタユニットは、段ボールシートに溝切り加工を施すスロッタ刃が取り付けられた上部スロッタと、この上部スロッタのスロッタ刃と嵌合可能な溝が形成された下部スロッタと、これらの上部スロッタ及び下部スロッタを回転駆動するスロッタ駆動モータと、を備え、
上記制御装置は、現オーダの生産終了後、スロッタ駆動モータを駆動して上部スロッタ及び下部スロッタを停止及び加速させることなく回転させた状態を継続させ、グレイト昇降装置を制御してグレイトを上昇位置まで上昇させて給紙ローラと最下層の段ボールシートを非接触状態として給紙動作を停止させ、この給紙動作が停止した後に、上記給紙装置、印刷装置、クリーザユニット及びスロッタユニットにおける次オーダを生産するための準備作業であるセット作業を開始させ、上記スロッタユニットのセット作業において上部スロッタ及び下部スロッタを次のオーダの生産速度に応じた周速とし、これらのセット作業が完了した後、上部スロッタ及び下部スロッタを停止及び加速させることなく回転させた状態を継続させ、グレイト昇降装置を制御してグレイトを下降位置まで下降させて給紙ローラと最下層の段ボールシートを接触状態として給紙動作を開始し、次オーダの生産を開始させる、段ボールシートの製函機。
【請求項2】
上記制御装置は、現オーダの生産終了後、グレイト昇降装置を制御してグレイトを上昇位置まで上昇させて給紙ローラと最下層の段ボールシートを非接触状態にすると共に上記給紙ローラ駆動モータを制御して給紙ローラの回転を停止させて給紙動作を停止させ、この給紙動作が停止した後に、上記給紙装置、印刷装置、クリーザユニット及びスロッタユニットにおけるセット作業を開始させ、これらのセット作業が完了した後、グレイト昇降装置を制御してグレイトを下降位置まで下降させて給紙ローラと最下層の段ボールシートを接触状態とすると共に上記給紙ローラ駆動モータを制御して給紙ローラを回転させて給紙動作を開始し、次オーダの生産を開始させる、請求項1に記載の段ボールシートの製函機。
【請求項3】
段ボールシートを1枚つ送り出す給紙装置と、段ボールシートに印刷を施す印刷装置と、段ボールシートに罫線加工を施すクリーザユニットと、段ボールシートに溝切り加工を施すスロッタユニットと、これらの給紙装置、印刷装置、クリーザユニット及びスロッタユニットを制御する制御装置と、を有する段ボールシートの製函機であって、
上記給紙装置は、積層された段ボールシートのうち最下層の段ボールシートを送り出す給紙ローラと、この給紙ローラを回転駆動する給紙ローラ駆動モータと、を備え、
上記スロッタユニットは、段ボールシートに溝切り加工を施すスロッタ刃が取り付けられた上部スロッタと、この上部スロッタのスロッタ刃と嵌合可能な溝が形成された下部スロッタと、これらの上部スロッタ及び下部スロッタを回転駆動するスロッタ駆動モータと、を備え、
上記制御装置は、現オーダの生産終了後、スロッタ駆動モータを駆動して上部スロッタ及び下部スロッタを停止及び加速させることなく回転させた状態を継続させ、給紙ローラ駆動モータを制御して給紙ローラの回転を停止させて給紙動作を停止させ、この給紙動作が停止した後に、上記給紙装置、印刷装置、クリーザユニット及びスロッタユニットにおける次オーダを生産するための準備作業であるセット作業を開始させ、上記スロッタユニットのセット作業において上部スロッタ及び下部スロッタを回転させたまま次のオーダの生産速度に応じた周速とし、これらのセット作業が完了した後、上部スロッタ及び下部スロッタを停止及び加速させることなく回転させた状態を継続させ、給紙ローラ駆動モータを制御して給紙ローラを回転させて給紙動作を開始し、次オーダの生産を開始させる、段ボールシートの製函機。
【請求項4】
段ボールシートを1枚つ送り出す給紙装置と、段ボールシートに印刷を施す印刷装置と、段ボールシートに罫線加工を施すクリーザユニットと、段ボールシートに溝切り加工を施すスロッタユニットと、これらの給紙装置、印刷装置、クリーザユニット及びスロッタユニットを制御する制御装置と、を有する段ボールシートの製函機であって、
上記給紙装置は、積層された段ボールシートのうち最下層の段ボールシートを送り出すキッカーと、このキッカーを往復運動させるためのキッカー駆動モータと、を備え、
上記スロッタユニットは、段ボールシートに溝切り加工を施すスロッタ刃が取り付けられた上部スロッタと、この上部スロッタのスロッタ刃と嵌合可能な溝が形成された下部スロッタと、これらの上部スロッタ及び下部スロッタを回転駆動するスロッタ駆動モータと、を備え、
上記制御装置は、現オーダの生産終了後、スロッタ駆動モータを駆動して上部スロッタ及び下部スロッタを停止及び加速させることなく回転させた状態を継続させ、キッカー駆動モータを制御してキッカーの往復運動を停止させて給紙動作を停止させ、この給紙動作が停止した後に、上記給紙装置、印刷装置、クリーザユニット及びスロッタユニットにおける次オーダを生産するための準備作業であるセット作業を開始させ、上記スロッタユニットのセット作業において上部スロッタ及び下部スロッタを回転させたまま次のオーダの生産速度に応じた周速とし、これらのセット作業が完了した後、上部スロッタ及び下部スロッタを停止及び加速させることなく回転させた状態を継続させ、キッカー駆動モータを制御してキッカーを往復運動させて給紙動作を開始し、次オーダの生産を開始させる、段ボールシートの製函機。
【請求項5】
上記スロッタユニットは、更に、上部スロッタと下部スロッタの上下方向の間隙を調整するスロッタ間隙調整装置と、上部スロッタと下部スロッタを幅方向に移動するスロッタ幅方向移動装置と、を備え、
上記制御装置は、スロッタユニットのセット作業において、スロッタ駆動モータを駆動して上部スロッタ及び下部スロッタを回転させた状態を継続させ、スロッタ間隙調整装置を制御して、上部スロッタのスロッタ刃と下部スロッタの溝が嵌合しないように上下方向の間隙を広げ、間隙を広げた後、スロッタ幅方向移動装置を制御して、上部スロッタ及び下部スロッタをそれぞれ次オーダの段ボールシートの溝切り加工位置へ移動させ、幅方向移動後、上部スロッタ及び下部スロッタを回転させた状態を継続させ、スロッタ間隙調整装置を制御して、上部スロッタのスロッタ刃と下部スロッタの溝が嵌合するように間隙を狭める、請求項1乃至4の何れか1項に記載の段ボールシートの製函機。
【請求項6】
上記スロッタユニットは、更に、上部スロッタ及び下部スロッタを幅方向に移動するスロッタ幅方向移動装置と、上部スロッタと下部スロッタを連結して上部スロッタと下部スロッタの幅方向における相対位置を固定するスロッタ連結装置と、を備え、
上記制御装置は、スロッタユニットにおけるセット作業において、スロッタ駆動モータを駆動して上部スロッタ及び下部スロッタを回転させた状態を継続させ、スロッタ連結装置を制御して、上部スロッタ及び下部スロッタを連結して、上部スロッタ及び下部スロッタの幅方向における相対位置を固定し、スロッタ幅方向移動装置を制御して、上部スロッタ及び下部スロッタをそれぞれ次オーダの段ボールシートの溝切り加工位置へ移動させ、幅方向移動後、スロッタ連結装置を制御して、上部スロッタと下部スロッタの連結を解除する、請求項1乃至4の何れか1項に記載の段ボールシートの製函機。
【請求項7】
上記給紙装置は、更に、段ボールシートを載置する給紙テーブルと、給紙テーブル上の最下層の段ボールシートを下方に吸引するためのサクションボックス及び吸引装置と、給紙テーブル上の段ボールシートの後端を規制するバックガイドと、このバックガイドを段ボールシートの送り出し方向に移動させるバックガイド移動装置と、給紙テーブル上に少なくとも1枚の段ボールシートがセットされたことを検出する1枚目シートセット検出装置と、を備え、
上記制御装置は、給紙装置におけるセット作業において、バックガイド移動装置を制御して、バックガイドを次オーダの段ボールシートの寸法に合わせた位置に移動させるとともに吸引装置を制御して吸引を停止させ、バックガイドの移動と吸引停止が完了した後、1枚目シートセット検出装置により、少なくとも1枚の段ボールシートがセットされたことを検出させ、少なくとも1枚の段ボールシートがセットされた後、吸引装置を制御して吸引を開始する、請求項1乃至6の何れか1項に記載の段ボールシートの製函機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシートの製函機に係り、特に、準備作業を伴うオーダチェンジを1日に何度も行う段ボールシートの製函機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、特許文献1に記載されているように、段ボールシートを1枚づつ送り出す給紙装置(給紙ユニット)と、段ボールシートに印刷を施す印刷装置(印刷ユニット)と、段ボールシートに罫線加工を施すクリーザユニットと、段ボールシートに溝切り加工を施すスロッタユニットと、段ボールシートに打ち抜き加工を施すダイカッタ等を備え、段ボールシートから段ボール箱を生産する段ボールシートの製函機が知られている。
【0003】
この特許文献1に記載された段ボールシートの製函機においては、主駆動モータが設けられ、この主駆動モータにより、上述した各ユニット(給紙ユニット、印刷ユニット、クリーザユニット、スロッタユニット、ダイカッタ)を同期して駆動されるようになっている。
【0004】
次に、製函機により段ボール箱を生産する工場では、客先から受けたオーダを次々に切り替えながら、1日に多数のオーダに係る段ボール箱を生産する。各オーダを生産する際には、段ボールシートを連続給紙して生産を開始する前に、そのオーダに係る段ボール箱の仕様に合わせる準備作業を伴うオーダチェンジが、1日に何度も行われる。この何度も行われるオーダチェンジにおいて、次のオーダ(オーダチェンジ直後のオーダ)を生産するための準備に要する時間(準備時間)が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6045023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上述したオーダチェンジには、「交換作業のないオーダチェンジ」と「交換作業のあるオーダチェンジ」がある。
「交換作業のないオーダチェンジ」は、各ユニットにおいて、可動部材を自動で位置決めする作業や、給紙装置(給紙ユニット)において、次のオーダで加工する段ボールシートを自動で又はオペレータが給紙テーブルの上にセットする作業を行う場合である。
一方、「交換作業のあるオーダチェンジ」は、上述した「交換作業のないオーダチェンジ」において行う作業に加えて、印刷ユニットの印版の交換作業や、ダイカッタの打ち抜きダイの交換作業を行う場合である。
【0007】
本発明者らは、先ず、上述したオーダチェンジにおける準備時間を短縮できれば、1日の全体の生産時間を短縮することができ、生産効率を向上させることができることを見出した。次に、本発明者らの調査により、一例として、1日の生産時間のうち、準備時間が約70%を占めており、1日の生産時間を8時間とすると、5.6時間を準備に費やしていることが判明した。
【0008】
更に、本発明者らの調査により、1日に行うオーダチェンジのうち、「交換作業のないオーダチェンジ」が70%を占めることが判明した。したがって、本発明者らは、「交換作業のないオーダチェンジ」における準備時間を短縮することにより、効率的に1日の全体の準備時間を短縮できることに着目した。
【0009】
次に、本発明者らは、「交換作業のないオーダチェンジ」における準備時間の内訳について鋭意調査研究を行った。
具体的に説明すると、特許文献1に記載された段ボールシートの製函機では、主駆動モータが停止すると、各ユニットにおいてそれぞれ次のオーダを生産するための準備作業(以下「セット作業」という)が行われる。このとき、給紙動作は停止しているので、他のユニットでセット作業が行われている間に、段ボールシートが給紙されてしまい、機械が故障するといった恐れがない。そして、全てのユニットのセット作業が完了した後、主駆動モータを駆動し、給紙動作を開始して、次オーダの生産を開始するようになっている。
【0010】
本発明者らの調査では、図9に示すように、一例として、「交換作業のないオーダチェンジ」における準備時間は179秒であり、そのうち、主駆動モータを高速回転状態から減速して停止させる時間と、主駆動モータを停止状態から加速して高速回転させる時間は、それぞれ20秒、合計40秒で、主駆動モータの減速・加速時間が準備時間全体の22%を占めていることが分かった。
これを1日の時間に換算すると、1日に「交換作業のないオーダチェンジ」を例えば70回行う場合、1日の生産時間8時間のうち、40秒×70回=2800秒=46分を、主駆動モータの減速・加速に費やしていることになる。
【0011】
次に、特許文献1の製函機において、主駆動モータの減速・加速時間が長い理由を説明する。主駆動モータに、給紙装置の給紙ローラやグレイトに加えて、印刷装置の印刷シリンダ、スロッタユニットの上部スロッタ、ダイカッタのダイシリンダなどの加工ロール(段ボールシートが1枚搬送されるのに合わせて1回転して段ボールシートの所定位置に加工を施すロール)や、印刷装置のプレスロール、スロッタユニットの下部スロッタ、ダイカッタのアンビルシリンダなどの受けロール(加工ロールと協働して段ボールシートを搬送するロール)が、それぞれ連結されて駆動される。これらの加工ロールや受けロールは、寸法の大きい段ボールシートを均一に加工し、安定して搬送できるように、ロールの径が大きく且つ幅方向の長さが長くなるように製作される(例えば、加工ロールの直径は406.4mm、幅方向長さは約3000mm)。また、ロールが撓まないように、材料に、鉄などの剛性の高い素材が使用される。主駆動モータは、このような大型で重量物のロールを回転させるために、ロールやモータ自身の慣性モーメントが大きくなり、急減速や急加速をさせることが難しかった。このため、主駆動モータを高速回転状態から減速して停止させたり、停止状態から加速して高速回転させるのに、長い時間がかかっていた。
【0012】
ここで、主駆動モータが停止すると、各ユニットでセット作業が同時並行で行われるが、ユニットによって作業内容が異なるため、セット作業に要する時間(セット作業時間)もそれぞれ異なる。
本発明者らの調査では、図9に示すように、交換作業のないオーダチェンジにおける、各ユニットのセット作業時間は、各ユニット(給紙装置、印刷装置、クリーザユニット、スロッタユニット、ダイカッタ)において異なるが、特に、給紙装置とスロッタユニットのセット作業時間が特に長くなることが分かった。これは、給紙装置やスロッタユニットのセット作業内容が多いことが要因だと考えられる。
具体的には、給紙装置では、可動部材を位置決めする作業に加えて、他のユニットにはない「シートセット」を行うため、スロッタユニットでは、可動部材を位置決めする作業工程が多い(調整項目が多い)ために、セット作業時間が長くなると考えられる。
【0013】
本発明者らの調査研究により、各ユニットのセット作業時間は、前後のオーダの組み合わせに応じた可動部材の移動距離や、シートセット枚数などに応じて変動するが、いずれにしても、給紙装置かスロッタユニットのどちらかが、セット作業時間のボトルネックになることが分かった。そして、このボトルネックとなる給紙装置やスロッタユニットのセット作業時間に、主駆動モータを高速回転状態から減速して停止させる時間と、主駆動モータを停止状態から加速して高速回転させる時間が、それぞれ加算されることにより、製函機全体としての準備時間が長くなってしまっていたことが判明した。
【0014】
そこで、本発明は、交換作業のないオーダチェンジに必要な準備時間を短縮することにより、1日の全体の準備時間を短縮して、生産効率を向上させることができる段ボールシートの製函機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明は、段ボールシートを1枚づつ送り出す給紙装置と、段ボールシートに印刷を施す印刷装置と、段ボールシートに罫線加工を施すクリーザユニットと、段ボールシートに溝切り加工を施すスロッタユニットと、これらの給紙装置、印刷装置、クリーザユニット及びスロッタユニットを制御する制御装置と、を有する段ボールシートの製函機であって、給紙装置は、積層された段ボールシートのうち最下層の段ボールシートを送り出す給紙ローラと、この給紙ローラを回転駆動する給紙ローラ駆動モータと、給紙ローラに対して昇降して給紙ローラと最下層の段ボールシートとの接触状態と非接触状態とを切り替えるグレイトと、このグレイトを昇降させるグレイト昇降装置と、を備え、スロッタユニットは、段ボールシートに溝切り加工を施すスロッタ刃が取り付けられた上部スロッタと、この上部スロッタのスロッタ刃と嵌合可能な溝が形成された下部スロッタと、これらの上部スロッタ及び下部スロッタを回転駆動するスロッタ駆動モータと、を備え、制御装置は、現オーダの生産終了後、スロッタ駆動モータを駆動して上部スロッタ及び下部スロッタを回転させた状態を継続させ、グレイト昇降装置を制御してグレイトを上昇位置まで上昇させて給紙ローラと最下層の段ボールシートを非接触状態として給紙動作を停止させ、この給紙動作が停止した後に、給紙装置、印刷装置、クリーザユニット及びスロッタユニットにおける次オーダを生産するための準備作業であるセット作業を開始させ、これらのセット作業が完了した後、上部スロッタ及び下部スロッタを回転させた状態を継続させ、グレイト昇降装置を制御してグレイトを下降位置まで下降させて給紙ローラと最下層の段ボールシートを接触状態として給紙動作を開始し、次オーダの生産を開始させること、を特徴としている。
このように構成された本発明においては、グレイトを昇降させるグレイト昇降装置を上部スロッタ及び下部スロッタを回転駆動するスロッタ回転駆動モータとは別に設けたので、現オーダの生産終了後、上部スロッタ及び下部スロッタを回転させたまま、グレイトを上昇させて給紙動作を停止することができる。ここで、グレイトは軽量で慣性モーメントが小さいので、従来に比べ短い時間で給紙動作を停止することができる。また、慣性モーメントの大きい上部スロッタ及び下部スロッタは回転させた状態を継続するので、セット作業において、スロッタ駆動モータを高速回転状態から減速して停止する時間は発生しない。そして、セット作業の間は、グレイトは上昇位置に停止し給紙動作が停止されるため、セット作業中に段ボールシートが給紙されて、機械が故障することがない。さらに、セット作業が完了した後、グレイトを下降させる際にも、グレイトを急加速させることができるため、従来に比べて、短い時間で給紙動作を開始することができる。また、上部スロッタ及び下部スロッタは回転させた状態を継続するので、スロッタ駆動モータを停止状態から加速して高速回転させる時間は発生しない。その結果、本発明によれば、交換作業のないオーダチェンジを行う場合に、ボトルネックとなる給紙装置やスロッタユニットのセット作業時間に加算されていた、スロッタ駆動モータの減速・加速時間を削減することができ、製函機全体としての準備時間を短縮することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、制御装置は、現オーダの生産終了後、グレイト昇降装置を制御してグレイトを上昇位置まで上昇させて給紙ローラと最下層の段ボールシートを非接触状態にすると共に給紙ローラ駆動モータを制御して給紙ローラの回転を停止させて給紙動作を停止させ、この給紙動作が停止した後に、給紙装置、印刷装置、クリーザユニット及びスロッタユニットにおけるセット作業を開始させ、これらのセット作業が完了した後、グレイト昇降装置を制御してグレイトを下降位置まで下降させて給紙ローラと最下層の段ボールシートを接触状態とすると共に給紙ローラ駆動モータを制御して給紙ローラを回転させて給紙動作を開始し、次オーダの生産を開始させる。
このように構成された本発明においては、給紙ローラを回転駆動する給紙ローラ駆動モータを上部スロッタ及び下部スロッタを回転駆動するスロッタ回転駆動モータとは別に設けたので、現オーダの生産終了後、上部スロッタ及び下部スロッタの回転を継続させた状態で、給紙ローラの回転を停止させて、給紙動作を停止することができる。また、セット作業の完了後、上部スロッタ及び下部スロッタの回転を継続させた状態で、給紙ローラを回転させて、給紙動作を開始することができる。ここで、給紙ローラは軽量で慣性モーメントが小さく、急減速・急加速させることができるため、従来よりも短い時間で給紙動作を停止したり開始したりすることができる。
【0017】
本発明は、段ボールシートを1枚づつ送り出す給紙装置と、段ボールシートに印刷を施す印刷装置と、段ボールシートに罫線加工を施すクリーザユニットと、段ボールシートに溝切り加工を施すスロッタユニットと、これらの給紙装置、印刷装置、クリーザユニット及びスロッタユニットを制御する制御装置と、を有する段ボールシートの製函機であって、給紙装置は、積層された段ボールシートのうち最下層の段ボールシートを送り出す給紙ローラと、この給紙ローラを回転駆動する給紙ローラ駆動モータと、を備え、スロッタユニットは、段ボールシートに溝切り加工を施すスロッタ刃が取り付けられた上部スロッタと、この上部スロッタのスロッタ刃と嵌合可能な溝が形成された下部スロッタと、これらの上部スロッタ及び下部スロッタを回転駆動するスロッタ駆動モータと、を備え、制御装置は、現オーダの生産終了後、スロッタ駆動モータを駆動して上部スロッタ及び下部スロッタを回転させた状態を継続させ、給紙ローラ駆動モータを制御して給紙ローラの回転を停止させて給紙動作を停止させ、この給紙動作が停止した後に、給紙装置、印刷装置、クリーザユニット及びスロッタユニットにおける次オーダを生産するための準備作業であるセット作業を開始させ、これらのセット作業が完了した後、上部スロッタ及び下部スロッタを回転させた状態を継続させ、給紙ローラ駆動モータを制御して給紙ローラを回転させて給紙動作を開始し、次オーダの生産を開始させる、ことを特徴としている。
このように構成された本発明においては、給紙ローラを回転駆動する給紙ローラ駆動モータを上部スロッタ及び下部スロッタを回転駆動するスロッタ回転駆動モータとは別に設けたので、現オーダの生産終了後、上部スロッタ及び下部スロッタの回転を継続させた状態で、給紙ローラの回転を停止させて、給紙動作を停止することができる。また、セット作業の完了後、上部スロッタ及び下部スロッタの回転を継続させた状態で、給紙ローラを回転させて、給紙動作を開始することができる。ここで、給紙ローラは軽量で慣性モーメントが小さく、急減速・急加速させることができるため、従来よりも短い時間で給紙動作を停止したり開始したりすることができる。
【0018】
本発明は、段ボールシートを1枚づつ送り出す給紙装置と、段ボールシートに印刷を施す印刷装置と、段ボールシートに罫線加工を施すクリーザユニットと、段ボールシートに溝切り加工を施すスロッタユニットと、これらの給紙装置、印刷装置、クリーザユニット及びスロッタユニットを制御する制御装置と、を有する段ボールシートの製函機であって、給紙装置は、積層された段ボールシートのうち最下層の段ボールシートを送り出すキッカーと、このキッカーを往復運動させるためのキッカー駆動モータと、を備え、スロッタユニットは、段ボールシートに溝切り加工を施すスロッタ刃が取り付けられた上部スロッタと、この上部スロッタのスロッタ刃と嵌合可能な溝が形成された下部スロッタと、これらの上部スロッタ及び下部スロッタを回転駆動するスロッタ駆動モータと、を備え、制御装置は、現オーダの生産終了後、スロッタ駆動モータを駆動して上部スロッタ及び下部スロッタを回転させた状態を継続させ、キッカー駆動モータを制御してキッカーの往復運動を停止させて給紙動作を停止させ、この給紙動作が停止した後に、給紙装置、印刷装置、クリーザユニット及びスロッタユニットにおける次オーダを生産するための準備作業であるセット作業を開始させ、これらのセット作業が完了した後、上部スロッタ及び下部スロッタを回転させた状態を継続させ、キッカー駆動モータを制御してキッカーを往復運動させて給紙動作を開始し、次オーダの生産を開始させる、ことを特徴としている。
このように構成された本発明においては、キッカーを往復運動させるためのキッカー駆動モータを上部スロッタ及び下部スロッタを回転駆動するスロッタ回転駆動モータとは別に設けたので、現オーダの生産終了後、上部スロッタ及び下部スロッタの回転を継続させた状態で、キッカーの往復運動を停止させて、給紙動作を停止することができる。また、セット作業の完了後、上部スロッタ及び下部スロッタの回転を継続させた状態で、キッカーを往復運動させて、給紙動作を開始することができる。ここで、キッカーは軽量で慣性モーメントが小さく、急減速・急加速させることができるため、従来よりも短い時間で給紙動作を停止したり開始したりすることができる。
【0019】
本発明において、好ましくは、スロッタユニットは、更に、上部スロッタと下部スロッタの上下方向の間隙を調整するスロッタ間隙調整装置と、上部スロッタと下部スロッタを幅方向に移動するスロッタ幅方向移動装置と、を備え、制御装置は、スロッタユニットのセット作業において、スロッタ駆動モータを駆動して上部スロッタ及び下部スロッタを回転させた状態を継続させ、スロッタ間隙調整装置を制御して、上部スロッタのスロッタ刃と下部スロッタの溝が嵌合しないように上下方向の間隙を広げ、間隙を広げた後、スロッタ幅方向移動装置を制御して、上部スロッタ及び下部スロッタをそれぞれ次オーダの段ボールシートの溝切り加工位置へ移動させ、幅方向移動後、上部スロッタ及び下部スロッタを回転させた状態を継続させ、スロッタ間隙調整装置を制御して、上部スロッタのスロッタ刃と下部スロッタの溝が嵌合するように間隙を狭める。
先ず、スロッタユニットのセット作業において、上部スロッタ及び下部スロッタをそれぞれ幅方向に移動させる際に、部品のガタつきや変形などが原因で、上部スロッタと下部スロッタの幅方向移動速度がずれることがある。このとき、上部スロッタのスロッタ刃と下部スロッタの溝が嵌合していると、高速回転状態のスロッタ刃と溝が接触してしまい、擦れて摩耗してしまう。
このため上述したように構成された本発明においては、スロッタユニットのセット作業において、上部スロッタ及び下部スロッタをそれぞれ幅方向に移動させる際に、上部スロッタ及び下部スロッタの上下方向の間隙を広げて、スロッタ刃と溝を一旦離間させた後、上部スロッタ及び下部スロッタを幅方向に移動し、移動後に、再び上下方向の間隙を狭めてスロッタ刃と溝を嵌合させることにより、上部スロッタ及び下部スロッタの回転を継続させた状態であっても、スロッタ刃と溝が接触して摩耗することなく、スロッタユニットのセット作業を行うことができる。
【0020】
本発明において、好ましくは、スロッタユニットは、更に、上部スロッタ及び下部スロッタを幅方向に移動するスロッタ幅方向移動装置と、上部スロッタと下部スロッタを連結して上部スロッタと下部スロッタの幅方向における相対位置を固定するスロッタ連結装置と、を備え、制御装置は、スロッタユニットにおけるセット作業において、スロッタ駆動モータを駆動して上部スロッタ及び下部スロッタを回転させた状態を継続させ、スロッタ連結装置を制御して、上部スロッタ及び下部スロッタを連結して、上部スロッタ及び下部スロッタの幅方向における相対位置を固定し、スロッタ幅方向移動装置を制御して、上部スロッタ及び下部スロッタをそれぞれ次オーダの段ボールシートの溝切り加工位置へ移動させ、幅方向移動後、スロッタ連結装置を制御して、上部スロッタと下部スロッタの連結を解除する。
このように構成された本発明においては、スロッタユニットのセット作業において、上部スロッタと下部スロッタを連結して、上部スロッタと下部スロッタの幅方向における相対位置を固定した後、上部スロッタ及び下部スロッタを幅方向に移動することにより、上部スロッタと下部スロッタが一定の位置関係を維持したまま幅方向に移動するので、上部スロッタのスロッタ刃と下部スロッタの溝が嵌合したまま且つ上部スロッタ及び下部スロッタの回転を継続した状態であっても、スロッタ刃と溝が接触して摩耗することなく、スロッタユニットのセット作業を行うことができる。また、幅方向移動後に、上部スロッタ及び下部スロッタの連結を解除することにより、オーダ生産中に、搬送される段ボールシートがスロッタ連結装置に衝突する恐れがない。
【0021】
本発明において、好ましくは、給紙装置は、更に、段ボールシートを載置する給紙テーブルと、給紙テーブル上の最下層の段ボールシートを下方に吸引するためのサクションボックス及び吸引装置と、給紙テーブル上の段ボールシートの後端を規制するバックガイドと、このバックガイドを段ボールシートの送り出し方向に移動させるバックガイド移動装置と、給紙テーブル上に少なくとも1枚の段ボールシートがセットされたことを検出する1枚目シートセット検出装置と、を備え、制御装置は、給紙装置におけるセット作業において、バックガイド移動装置を制御して、バックガイドを次オーダの段ボールシートの寸法に合わせた位置に移動させるとともに吸引装置を制御して吸引を停止させ、バックガイドの移動と吸引停止が完了した後、1枚目シートセット検出装置により、少なくとも1枚の段ボールシートがセットされたことを検出させ、少なくとも1枚の段ボールシートがセットされた後、吸引装置を制御して吸引を開始する。
先ず、段ボールシートの所定位置に正しく加工を施すためには、給紙テーブル上の所定位置(フロントゲートとバックガイドの間)に、正しく段ボールシートをセットする必要がある。このため、バックガイドの移動完了後、シートセットを行う際に、給紙テーブル上に段ボールシートをいったん載せた後、段ボールシートの位置を微調整することがある。このとき、吸引力が作用していると、最下層の段ボールシートは、給紙テーブルに吸い付けられて動かせず、位置調整ができなくなる。
そのため、上述したように構成された本発明においては、バックガイドの移動とともに吸引を停止することにより、シートセットの際には吸引力が作用しないので、給紙テーブル上の最下層の段ボールシートを位置調整することができる。また、バックガイドの移動と並行して吸引を停止させるので、吸引を停止した後にバックガイドの移動を開始するのと比べて、給紙装置のセット作業時間を短縮することができる。さらに、少なくとも1枚の段ボールシートがセットされた後に、吸引を開始するので、シートセットが完了した後に吸引を開始するのと比べて、給紙装置のセット作業時間を短縮することができる。このとき、下から2枚目以降の段ボールシートには吸引力が作用しないので、下から2枚目以降の段ボールシートを位置調整することができる。
【0022】
本発明は、段ボールシートを1枚づつ送り出す給紙装置と、段ボールシートに印刷を施す印刷装置と、段ボールシートに罫線加工を施すクリーザユニットと、段ボールシートに溝切り加工を施すスロッタユニットと、これらの給紙装置、印刷装置、クリーザユニット及びスロッタユニットを制御する制御装置と、を有する段ボールシートの製函機であって、給紙装置は、積層された段ボールシートのうち最下層の段ボールシートを送り出す送出機構と、この送出機構を駆動する送出機構駆動モータと、を備え、スロッタユニットは、段ボールシートに溝切り加工を施すスロッタ刃が取り付けられた上部スロッタと、この上部スロッタのスロッタ刃と嵌合可能な溝が形成された下部スロッタと、これらの上部スロッタ及び下部スロッタを回転駆動するスロッタ駆動モータと、を備え、制御装置は、現オーダの生産終了後、スロッタ駆動モータを駆動して上部スロッタ及び下部スロッタを回転させた状態を継続させ、送出機構駆動モータを制御して送出機構を停止させて給紙動作を停止させ、この給紙動作が停止した後に、給紙装置、印刷装置、クリーザユニット及びスロッタユニットにおける次オーダを生産するための準備作業であるセット作業を開始させ、これらのセット作業が完了した後、上部スロッタ及び下部スロッタを回転させた状態を継続させ、送出機構駆動モータを制御して送出機構を駆動して給紙動作を開始し、次オーダの生産を開始させる、ことを特徴としている。
このように構成された本発明においては、送出機構を駆動する送出機構駆動モータを上部スロッタ及び下部スロッタを回転駆動するスロッタ回転駆動モータとは別に設けたので、現オーダの生産終了後、上部スロッタ及び下部スロッタを回転させたまま、送出機構を停止させて給紙動作を停止することができる。ここで、送出機構は軽量で慣性モーメントが小さいので、従来に比べ短い時間で給紙動作を停止することができる。また、慣性モーメントの大きい上部スロッタ及び下部スロッタは回転させた状態を継続するので、セット作業において、スロッタ駆動モータを高速回転状態から減速して停止する時間は発生しない。そして、セット作業の間は、送出機構が停止し給紙動作が停止されるため、セット作業中に段ボールシートが給紙されて、機械が故障することがない。さらに、セット作業が完了した後、送出機構を駆動する際にも、送出機構を急加速させることができるため、従来に比べて、短い時間で給紙動作を開始することができる。また、上部スロッタ及び下部スロッタは回転させた状態を継続するので、スロッタ駆動モータを停止状態から加速して高速回転させる時間は発生しない。その結果、本発明によれば、交換作業のないオーダチェンジを行う場合に、ボトルネックとなる給紙装置やスロッタユニットのセット作業時間に加算されていた、スロッタ駆動モータの減速・加速時間を削減することができ、製函機全体としての準備時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の段ボールシートの製函機によれば、交換作業のないオーダチェンジに必要な準備時間を短縮することにより、1日の全体の準備時間を短縮して、生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態による段ボールシートの製函機を示す概略側面図である。
図2】本発明の実施形態による段ボールシートの製函機の給紙装置を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態による段ボールシートの製函機の給紙装置を図2のIII-III線に沿って見たグレイトが上昇位置にある断面図である。
図4】本発明の実施形態による段ボールシートの製函機の給紙装置を図2のIII-III線に沿って見たグレイトが下降位置にある断面図である。
図5】本発明の実施形態による段ボールシートの製函機の制御装置及びこれに関連する装置を示すブロック図である。
図6】本発明の実施形態による段ボールシートの製函機の制御装置により実行されるオーダチェンジ動作を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態による段ボールシートの製函機の制御装置により実行される給紙装置のセット作業を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態による段ボールシートの製函機の制御装置により実行されるスロッタユニットのセット作業を示すフローチャートである。
図9】従来の段ボールシートの製函機におけるオーダチェンジのセット作業の時間を示すタイムチャートである。
図10】本発明の実施形態による段ボールシートの製函機の給紙装置におけるオーダチェンジのセット作業の時間を示すタイムチャートである。
図11】本発明の実施形態による段ボールシートの製函機のスロッタユニットにおけるオーダチェンジのセット作業の時間を示すタイムチャートである。
図12】本発明の実施形態の変形例による段ボールシートの製函機の制御装置の一部を示すブロック図である。
図13】本発明の実施形態の変形例による段ボールシートの製函機の制御装置により実行されるスロッタユニットのセット作業を示すフローチャートである。
図14】本発明の他の実施形態による段ボールシートの製函機のキッカー式給紙装置を示す部分側面図である。
図15】本発明の他の実施形態による段ボールシートの製函機のキッカー式給紙装置を示す側面図である
図16】本発明の他の実施形態による段ボールシートの製函機の制御装置及びこれに関連する装置を示すブロック図である。
図17】本発明の他の実施形態による段ボールシートの製函機の制御装置により実行されるオーダチェンジ動作を示すフローチャートである。
図18】本発明の他の実施形態による段ボールシートの製函機の制御装置により実行されるキッカー式給紙装置のセット作業を示すフローチャートである。
図19】本発明の他の実施形態による段ボールシートの製函機のキッカー式給紙装置におけるオーダチェンジのセット作業の時間を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による段ボールシートの製函機について説明する。
まず、図1を参照して、本発明の実施形態による段ボールシートの製函機の全体構成について説明する。図1は、本発明の実施形態による段ボールシートの製函機を示す概略側面図である。
【0026】
図1に示すように、本発明の実施形態による段ボールシートの製函機1は、段ボールシートSHを1枚づつ送り出す給紙装置2と、段ボールシートSHに印刷を施す印刷装置4と、段ボールシートSHに罫線加工を施すクリーザユニット6と、段ボールシートSHに溝切り加工を施すスロッタユニット8と、段ボールシートSHに打ち抜き加工を施すダイカッタ10とを備えている。製函機1は、これらに加えて、図示しないが、ダイカッタ10の下流側に、段ボールシートを箱状に接合するフォルダグルアと、この箱状に接合された段ボールシートを計数し、所定のシート枚数のバッチを形成して送り出すカウンタエジェクタを備えている。
【0027】
ここで、本実施形態による段ボールシートの製函機においては、上述した製函機とは異なり、ダイカッタ10を備えない場合もあり、この場合には、スロッタユニット8の下流側に、フォルダグルアと、カウンタエジェクタを備えている。
【0028】
給紙装置1は、筐体としてのサクションボックス12を有し、このサクションボックス12の上面を形成するテーブル12b上には、コルゲーター(図示せず)により製造された複数の段ボールシートSHが、フロントゲート14とバックガイド16との間に積載される。フロントゲート14は、テーブル12bとフロントゲート14との間隙から1枚ずつ段ボールシートSHが送り出されるように配置される。バックガイド16は、フロントゲート14に対して、送り出し方向FDに移動可能に構成され、送り出し方向FDに沿った長さが異なる段ボールシートSHを収容できるようになっている。また、サクションボックス12の下部には、吸引装置18(図1では一部分のみを図示)が取り付けられており、サクションボックス12の内部の空気が吸引装置18によって吸引されるようになっている。
【0029】
更に、給紙装置2は、送り出し方向FD及びこれに直交する方向のそれぞれに沿って配置された複数の給紙ローラ20と、送り出し方向FD及びこれに直交する方向のそれぞれに沿って延在する板状部材により形成され、給紙ローラ20に対して昇降可能な昇降部材であるグレイト22と、を有する。これら複数の給紙ローラ20及びグレイト22は、サクションボックス12の上部に設けられ、サクションボックス12の上面の一部分を構成する。グレイト22が給紙ローラ20よりも下降したときには、給紙ローラ20が複数の段ボールシートSHのうちで最も下側にある段ボールシートSHに接触することにより、給紙ローラ20の回転がこの段ボールシートSHに伝達されて、段ボールシートSHが前方のフィードロール24に向けて送り出される。この場合、給紙ローラ20によって送り出された段ボールシートSHがフィードロール24に到達すると、フィードロール24によって段ボールシートSHが更に前方の印刷装置4へと送り出される。他方で、グレイト22が給紙ローラ20よりも上昇したときには、給紙ローラ20が段ボールシートSHと非接触になり、給紙ローラ20の回転が段ボールシートSHに伝達されなくなる。なお、フィードロール24は、フィードロール駆動モータ76(図5参照)によって駆動される。
【0030】
印刷装置4は、2つの印刷ユニット25、26を備える。印刷ユニット25、26は、印刷シリンダ25A、26Aと、印刷版25B、26Bと、インク塗布機構25C、26Cと、プレスロール25D、26Dと、をそれぞれ備える。印刷版25B、26Bは、所定の印刷パターンを有し、印刷シリンダ25A、26Aの外周面にそれぞれ取り付けられる。インク塗布機構25C、26Cは、印刷ユニットごとに異なる色のインクを塗布する。印刷装置4は、両印刷ユニット25、26により、段ボールシートSHに2色の印刷を施して、この印刷された段ボールシートSHをクリーザユニット6に供給する。
これらの印刷ユニット25、26は、段ボールシートSHに印刷を施すことなく空通過させたり、空通過状態で印刷板25B、26Bを交換するために、搬送ラインから印刷シリンダ25A、26Aを離すための昇降装置104、106(図5参照)を備えている。これらの昇降装置104、106により、印刷シリンダ25A、26Bを下方の使用位置と上方の待機位置とに切換えることができるようになっている。
なお、印刷ユニット25、26の印刷シリンダ25A、26Aは、印刷シリンダ駆動モータ78、80(図5参照)によって駆動され、プレスロール25D、26Dは、プレスロール駆動モータ82、84(図5参照)によって駆動される。
【0031】
クリーザユニット6は、罫線加工を施すために、上下に配置される一対の罫線ロール6A、6Bを備える。
スロッタユニット8は、溝切り加工を施すための2つのスロッタ27、28を備え、2つのスロッタ27、28は、溝切り加工を施すために、スロッタ刃27B、28Bが取り付けられる上部スロッタ27A、28Aと、スロッタ刃27B、28Bと嵌合可能な溝27C、28Cが形成される下部スロッタ27D、28D、とをそれぞれ備える。
【0032】
ダイカッタ10は、搬送経路を挟んでダイシリンダ30と、アンビルシリンダ29とを備える。段ボールシートSHを打ち抜くための1つの打ち抜きダイ31が合板ベニヤなどの板状体に取り付けられ、この板状体が、ダイシリンダ30の外周面に巻装される。打ち抜きダイ31は、オーダ変更の際に、オーダに応じた打ち抜きパターンの打ち抜きダイと交換可能である。
【0033】
上述したクリーザユニット6、2つのスロッタ27、28、ダイカッタ10は、クリーザ・スロッタ・ダイカッタ駆動モータ86(図5参照)によって駆動される。
【0034】
次に、図2乃至図4を参照して、本発明の実施形態による段ボールシートの製函機1の給紙装置2の具体的な構造について説明する。図2は本発明の実施形態による段ボールシートの製函機の給紙装置を示す斜視図であり、図3は本発明の実施形態による段ボールシートの製函機の給紙装置を図2のIII-III線に沿って見たグレイトが上昇位置にある断面図であり、図4は本発明の実施形態による段ボールシートの製函機の給紙装置を図2のIII-III線に沿って見たグレイトが下降位置にある断面図である。
【0035】
図2に示すように、サクションボックス12は、左右の側壁12c及び上面のテーブル(載置面)12bなどによって筐体を形成しており、その下部に吸引装置18(図2では一部分のみを図示)が取り付けられ、テーブル12bに載置された段ボールシートSH(図1参照)を下方へと吸引するようになっている。このサクションボックス12の下流側には、上方に垂直に延びるようにフロントゲート14が配置されている。フロントゲート14は、上下方向に位置調整可能であり、段ボールシートSHの厚みに合わせて、フロントゲート14下端とサクションボックス12のテーブル12bとの間の距離を調整できるようになっている。また、サクションボックス12の下流側には、サクションボックス12の上面の高さに沿って上下1対のフィードロール24が設けられている。段ボールシートSHは、サクションボックス12のテーブル12b上に積み重ねた状態でセットされ、最下層のものから順に1枚ずつ下流側に送り出されて、1対のフィードロール24の間に取り込まれる。
【0036】
サクションボックス12の上部には、積層された段ボールシートSHのうちの最下層の段ボールシートSHをフィードロール24側に送り出す複数の給紙ローラ20(20a、20b、20c、20d)と、複数の給紙ローラ20に対する突出量をその昇降動により調整することにより、複数の給紙ローラ20と最下層の段ボールシートSHとの接離を調整するグレイト22と、が設けられている。具体的には、サクションボックス12は、テーブル12b上に開口部12aが設けられており、この開口部12aに複数の給紙ローラ20及びグレイト22が配置される。また、サクションボックス12の側方には、複数の給紙ローラ20をそれぞれ駆動するサーボモータである複数の給紙ローラ駆動モータ32、及び、グレイト22を駆動するサーボモータであるグレイト昇降モータ34が配置されている。
【0037】
複数の給紙ローラ20は、4本の駆動軸36を有し、これらの4本の駆動軸36のそれぞれに対して給紙ローラ駆動モータ32が連結されており、4本の駆動軸36のそれぞれを独立して回転駆動できるようになっている。また、給紙ローラ20は、グレイト22の昇降動により、グレイト22の開口部22aを介して、グレイト22より上方に突出してサクションボックス12の開口部12aに現れたり(図4参照)、グレイト22より下方側に位置したりする(図3参照)。
【0038】
図3及び図4に示すように、グレイト22は、サクションボックス12の開口部12aに配置された板状の部材である。このグレイト22には、その昇降の際に給紙ローラ20と接触しないように、各給紙ローラ20(20a、20b、20c、20d)を受け入れるための複数の開口部22aが板状の部材を貫通して形成されている。グレイト22は、板状の四隅付近に配されたL字型部材38、38やアーム40等を介して揺動軸42に連結されている。具体的には、板状のグレイト22の前後方向の両端に、コの字状の爪部22bが形成されており、この爪部22bを介してグレイト22の昇降を担うL字型部材38やアーム40等が連結される。
【0039】
グレイト22の揺動軸42の端部には揺動部材44が取り付けられ、この揺動部材44に偏心カム46が取り付けられ、この偏心カム46にサーボモータであるグレイト駆動モータ34が取り付けられている。偏心カム46は、円形形状に形成され、グレイト駆動モータ34の回転軸線から偏心した回転軸線にて回転するようになっており、揺動部材44は、このような偏心カム46の動作によって、揺動軸42を中心にして揺動するようになっている。そして、揺動部材44の揺動運動が揺動軸42に伝達される。揺動軸42は、連結具50を介してグレイト22の下方に配されたアーム40と連結され、このアーム40は、グレイト22の下方に段ボールシートSHの送り出し方向FDに配され、グレイト22の四隅付近に配されたL字型部材38を介してグレイト22と連結される。揺動軸42の回転によりアーム40が送り出し方向FDに移動すると、L字型部材38においてグレイト22に連結された側が持ち上がるので、グレイト22が図3に示す上昇位置まで上昇する。これに対して、揺動軸42の回転によりアーム40が送り出し方向FDと逆方向に移動すると、L字型部材38においてグレイト22に連結された側が押し下がるので、グレイト22が図4に示す下降位置まで下降する。
【0040】
次に、図5を参照して、本実施形態による段ボールシートの製函機1の制御装置及びこれに関連する装置を説明する。図5は本発明の実施形態による段ボールシートの製函機の制御装置及びこれに関連する装置を示すブロック図である。
【0041】
図5に示すように、本実施形態による段ボールシートの製函機1は、制御装置60を備えている。製函機1は、この制御装置60により、上述した給紙装置2、印刷装置4、クリーザユニット6、スロッタユニット8及びダイカッタ10等を制御するようになっている。
【0042】
具体的に説明すると、制御装置60は、駆動制御ユニット62を介して、フィードロール駆動モータ制御ユニット64、2つの印刷ユニット(1色目と2色目)25、26の印刷シリンダ駆動モータ制御ユニット66、68と、プレスロール駆動モータ制御ユニット70、72と、クリーザ・スロッタ・ダイカッタ駆動モータ制御ユニット74に、それぞれ駆動指令を送り、各駆動モータを制御するようになっている。具体的には、フィードロール駆動モータ制御ユニット64は、フォードロール駆動モータ76を制御し、印刷シリンダ駆動モータ制御ユニット66、68は、それぞれ印刷シリンダ駆動モータ78、80を制御し、プレスロール駆動モータ制御ユニット70、72は、それぞれプレスロール駆動モータ82、84を制御し、クリーザ・スロッタ・ダイカッタ駆動モータ制御ユニット74により、クリーザ・スロッタ・ダイカッタ駆動モータ86を制御する。
【0043】
次に、制御装置60は、給紙ローラ駆動モータ制御ユニット88を介して、給紙ローラ駆動モータ32を制御して、給紙ローラ20を回転し、グレイト昇降モータ制御ユニット90を介して、グレイト昇降モータ34を制御して、グレイト22を昇降させる。
【0044】
ここで、オーダの生産中は、段ボールシートSHを搬送するフィードロール24、印刷装置4、クリーザユニット6、スロッタユニット8、ダイカッタ10の各ロールの周速が一致するように、駆動制御ユニット62を介して各ロールを同期回転させるとともに、印刷シリンダ25A、26A等の加工ロールが1回転するタイミングに合わせて段ボールシートSHが1枚給紙されるように、給紙ローラ20やグレイト22の動作を制御する。
【0045】
さらに、制御装置60は、給紙装置制御ユニット92を介して、吸引装置18のブロアモータ94、フロントゲート移動装置96、バックガイド移動装置98を制御して、給紙装置2のセット作業を行う。
同様に、2つの印刷ユニット(1色目と2色目)25、26の印刷装置制御ユニット100、102を介して、各昇降装置104、106を制御して、印刷装置4の2つの印刷ユニット25、26のセット作業を行う。
同様に、クリーザ制御ユニット108を介して、クリーザ間隙調整装置110や、クリーザ幅方向移動装置112を制御して、クリーザユニット6のセット作業を行う。
同様に、スロッタユニット制御ユニット114を介して、スロッタ間隙調整装置116や、スロッタ幅方向移動装置118や、スロッタ位相調整装置120を制御して、スロッタユニット8のセット作業を行う。
同様に、ダイカッタ制御ユニット122を介して、ダイカッタ間隙調整装置124を制御して、ダイカッタ10のセット作業を行う。
なお、上述したクリーザ間隙調整装置110、クリーザ幅方向移動装置112、スロッタ間隙調整装置116及びスロッタ幅方向移動装置118は、例えば特開2004-291470号公報に記載されている。また、スロッタ位相調整装置120は例えば特開2002-67190号公報に記載されている。
【0046】
制御装置60には操作パネル126が接続され、この操作パネル126は、各ユニットに対する操作などを行うための、複数の操作スイッチを備える。操作スイッチは、テーブル12b上に少なくとも1枚段ボールシートSHがセットされた時に操作する「1枚目シートセット完了スイッチ128」と、テーブル10b上にセットされた段ボールシートSHを連続給紙してオーダの生産を開始する「給紙開始スイッチ130」と、を含む。
【0047】
制御装置60には、プログラムメモリ132が接続され、このプログラムメモリ132には、オーダチェンジ動作に関するプログラムなどが固定記憶される。また、制御装置60には、作業メモリ134が接続され、この作業メモリ134には、実行予定のオーダに関する情報が一時記憶される。
【0048】
次に、図6乃至図8を参照して、本発明の実施形態による段ボールシートの製函機1の制御装置60により実行されるオーダチェンジ動作を説明する。ここで、図6乃至図8において、「S」、「P」、「T」は、それぞれ各ステップを示す。
【0049】
スタート後に、先ず、S1において、現オーダの生産を実行する。次に、S2に進み、オーダチェンジ動作に関するプログラムを実行する。具体的には、現オーダの予定枚数の段ボールシートを給紙し、給紙テーブル上に段ボールシートがなくなったことを検出する。この検出は、センサ(図示せず)を使用する。
【0050】
次に、S3に進み、給紙ローラとグレイトを停止して、給紙動作を停止する。次に、S4に進み、現オーダの最後の段ボールシートがダイカッタを通過したことを検出する。この検出もセンサ(図示せず)を使用する。
【0051】
次に、S5に進み、「交換作業のあるオーダチェンジ」か否かを判定する。ここで、上述したように、「交換作業のないオーダチェンジ」は、各ユニットにおいて、可動部材を自動で位置決めする作業や、給紙装置(給紙ユニット)において、次のオーダで加工する段ボールシートを自動で又はオペレータが給紙テーブルの上にセットする作業を行う場合であり、一方、「交換作業のあるオーダチェンジ」は、「交換作業のないオーダチェンジ」において行う作業に加えて、印刷ユニットの印版の交換作業や、ダイカッタの打ち抜きダイの交換作業を行う場合である。
【0052】
S5において、「交換作業のあるオーダチェンジ」と判定された場合には、S6に進む。先ず、S6において、判断された各ユニット(フィードロール、印刷装置、クリーザユニット、スロッタユニット、ダイカッタ)を停止する。次に、S7に進み、各ユニットのセット作業を開始する。このセット作業において、印版の交換作業や、ダイカッタの打ち抜きダイの交換作業が行われる。次に、S8に進み、各ユニットにおいて、各ロールを回転させる。この後、後述するS15とS16に進む。
【0053】
次に、S5において、「交換作業のあるオーダチェンジ」でない、即ち「交換作業のないオーダチェンジ」と判定された場合には、S9に進み、各ユニットのセット作業を開始する。このとき、各ユニットのセット作業を同時並行で行う。即ち、後述するS10、S11、S12、S13、S14において各セット作業を同時並行で行う。
【0054】
先ず、S10に進み、給紙装置のセット作業を実行する。この給紙装置のセット作業の内容を図7により説明する。P1において、フィードロールを回転させたまま、次オーダの生産速度(=段ボールシートの搬送速度)に応じた周速になるように、フィードロールの回転速度を調整する(このとき、給紙ローラは停止している)。次に、P2において、バックガイドを、次オーダの段ボールシートの寸法に合わせた位置に移動する。次に、P3において、ブロアモータの回転を停止して、吸引を停止する。これらのP2及びP3における作業の後、自動又は作業者によりシートセットが行われる。
【0055】
次に、P4に進み、操作パネルの「1枚シートセット完了スイッチ」が操作されたことを検出する。その後、P5及びP6に進み、P5において、ブロアモータを回転させて、吸引を開始させ、同時に、P6において、フロントゲートを、フロントゲートの下端と給紙テーブルの上面の間を次オーダの段ボールシートが1枚だけ通過できるように、高さ調整する。ここで、P5及びP6が実行されている間、自動又は作業者によりシートセットが続けられる。
【0056】
次に、図6のS11に戻り、印刷装置のセット作業を実行する。例えば、現オーダで1色目を使用、次オーダで2色目を使用の場合には、1)1色目と2色目のプレスロールを回転させたまま、次オーダの生産速度に応じた周速になるように、回転速度を調整する。2)1色目印刷ユニットの印刷シリンダの回転を停止する。3)1色目印刷ユニットを下方の使用位置から上方の待機位置へ移動する。4)2色目印刷ユニットの印刷シリンダを回転させながら、次オーダの生産速度に応じた周速になるように、回転速度を調整する。5)2色目印刷ユニットを上方の待機位置から下方の使用位置へ移動する。上述した1)~5)の作業は同時並行で行う。
【0057】
次に、図6のS12に進み、クリーザユニットのセット作業を実行する。1)上下罫線ローラを回転させたまま、次オーダの生産速度に応じた周速になるように、回転速度を調整する。2)上下罫線ローラの間隙を、次オーダの段ボールシートの厚さに応じた値に調整する。3)上下罫線ローラの幅方向位置を、次オーダの段ボールシートの罫線加工位置に移動する。これらの1)~3)の作業は同時並行で行う。
【0058】
次に、図6のS13に進み、スロッタユニットのセット作業を実行する。このスロッタユニットのセット作業の内容を図8により説明する。T1において、上下スロッタを回転させたまま、次オーダの生産速度に応じた周速になるように、回転速度を調整する。T2において、上部スロッタのスロッタ刃の位相を、次オーダの段ボールシートの溝切り加工寸法に合わせて調整する。T3において、上下スロッタの間隙を広げて、上部スロッタのスロッタ刃と下部スロッタの溝が嵌合しないようにする。これらのT1、T2、T3の作業は同時並行で行う。
【0059】
次に、T4において、上下スロッタの幅方向位置を次オーダの段ボールシートの溝切り加工位置に移動する。ここで、T3が実行された後、T4はT1、T2と同時並行で行う。
【0060】
次に、T5において、上下スロッタの間隙を狭めて、上部スロッタのスロッタ刃と下部スロッタの溝を嵌合させ、間隙を次オーダの段ボールシートの厚さに応じた値に調整する。ここで、T4が実行された後、T5はT1,T2と同時並行で行う。
【0061】
次に、図6のS14に進み、ダイカッタのセット作業を実行する。1)ダイシリンダとアンビルシリンダを回転させたまま、次オーダの生産速度に応じた周速になるように、回転速度を調整する。2)ダイシリンダとアンビルシリンダの間隙を、次オーダの段ボールシートの厚さに応じた値に調整する。ここで、1)と2)の作業は同時並行で行う。
【0062】
次に、S15に進み、全てのユニットのセット作業が完了し、操作パネルの「給紙開始スイッチ」が操作されたことを検出する。次に、S16に進み、給紙ローラとグレイトを駆動して、給紙動作を開始し、次オーダの生産を開始する。
【0063】
なお、実際のオーダチェンジでは、セット作業完了後、段ボールシートを1枚だけ給紙して試し加工と検品を行った後に、連続給紙して生産を開始するが、ここでは、その説明は省略する。
【0064】
次に、図9乃至図11を参照して、本実施形態による段ボールシートの製函機による作用効果を説明する。図9は従来の段ボールシートの製函機におけるオーダチェンジのセット作業の時間を示すタイムチャートであり、図10は本発明の実施形態による段ボールシートの製函機の給紙装置におけるオーダチェンジのセット作業の時間を示すタイムチャートであり、図11は本発明の実施形態による段ボールシートの製函機のスロッタユニットにおけるオーダチェンジのセット作業の時間を示すタイムチャートである。
【0065】
先ず、図9に示すように、従来の製函機においては、各ユニット(給紙装置、フィードロール、印刷装置、クリーザユニット、スロッタユニット、ダイカッタ)の駆動ロールの回転速度は、段ボールシートの搬送速度となるように、同期制御される。さらに、印刷装置やスロッタユニットのロールは大型の重量物であるため慣性モーメントが大きく、急停止や急加速ができない。そのため、「交換作業のないオーダチェンジ」を行うとき、現オーダの生産が終了しても、駆動モータが減速して停止するまでに20秒を要し、また、オーダチェンジにおけるセット作業が終了した後に次オーダの生産のために駆動モータを加速して運転速度に到達するまでに20秒を要する。
【0066】
さらに、セット作業には、「給紙装置の機械セット」、「給紙装置のシートセット」、「印刷装置の機械セット」、「クリーザユニットの機械セット」、「スロッタユニットの機械セット」、「ダイカッタの機械セット」が、同時並行して実行されるが、それでも、79秒要する。ここで、「機械セット」とは、各ユニットにおいて、次のオーダで加工する段ボールシートの寸法や加工位置に合わせて、可動部材(印刷装置の印刷シリンダ等)を自動で位置決めする作業である。
【0067】
このように従来の製函機においては、「交換作業のないオーダチェンジ」を行うとき、一例であるが、製函機の駆動モータの減速時間20秒、各ユニットにおけるセット作業時間79秒、製函機の駆動モータの加速時間20秒、次オーダ生産のための試し加工検品時間60秒、合計した準備時間179秒が必要であった。
【0068】
この従来の製函機に対し、本実施形態による段ボールシートの製函機においては、図10及び図11に示すように、「交換作業のないオーダチェンジ」を行うとき、一例であるが、給紙装置の機械セット及びシートセットの時間のみが必要となり、次オーダ生産のための試し加工検品時間60秒を含め、合計した準備時間139秒が必要となる。それゆえ、従来の製函機に比べて、オータチェンジにおける準備時間を40秒短縮することができる。以下、具体的に説明する。
【0069】
図10及び図11に示すように、「交換作業のないオーダチェンジ」を行うとき、給紙装置においては、給紙ローラ20を駆動する給紙ローラ駆動モータ32及びグレイト22を駆動するグレイト昇降モータ34を、クリーザユニット6,スロッタユニット8、ダイカッタ10を駆動するクリーザ・スロッタ・ダイカッタ駆動モータ86とは、別に設けたので、先ず、給紙ローラ駆動モータ32及びグレイト昇降モータ34はそれぞれ軽量で慣性モーメントが小さいので、従来に比べて短時間(約1秒)で給紙動作を停止させることができる(図10参照)。次に、オーダチェンジのとき、スロッタユニット8においては、上部スロッタ27A、28A及び下部スロッタ27D、28Dを回転させた状態を継続させるようにしている(図11参照)。よって、本実施形態による製函機においては、「交換作業のないオーダチェンジ」を行うとき、大型で慣性モーメントが大きなスロッタユニットを停止及び加速させる必要がないので、従来必要であった停止及び加速のための40秒の時間は不要となった。このとき、クリーザユニット6及びダイカッタ10も、スロッタユニット8と同様に、回転させた状態を継続させるようにしている。以上から、本実施形態による段ボールシートの製函機1によれば、「交換作業のないオーダチェンジ」を行うとき、大型で大きな慣性モーメントを持つスロッタユニット等を停止させることなく継続して回転させるようにしているので、オーダチェンジのための作業時間を短縮することができる。
また、スロッタユニットのセット作業においては、上部スロッタ及び下部スロッタをそれぞれ幅方向に移動させる際に、部品のガタつきや変形などが原因で、上部スロッタと下部スロッタの幅方向移動速度がずれることがある。このとき、上部スロッタのスロッタ刃と下部スロッタの溝が嵌合していると、高速回転状態のスロッタ刃と溝が接触してしまい、擦れて摩耗してしまう。そこで、上部スロッタ及び下部スロッタの上下方向の間隙を広げて、スロッタ刃と溝を一旦離間させた後、上部スロッタ及び下部スロッタを幅方向に移動させ、移動後に、再び上下方向の間隙を狭めてスロッタ刃と溝を嵌合させることにより、上部スロッタ及び下部スロッタの回転を継続させた状態であっても、スロッタ刃と溝が接触して摩耗することなく、スロッタユニットのセット作業を行うことができる。
【0070】
次に、図12及び図13を参照して、スロッタユニットのセット作業の変形例を説明する。図13における「R」は各ステップを示す。
先ず図12に示すように、本実施形態による製函機においては、スロッタユニット制御ユニット114を介して、スロッタ幅方向移動装置118や、スロッタ連結装置126を制御して、スロッタユニット8のセット作業を行う。
ここで、スロッタ連結装置126は、例えば特開2004-291470号公報に記載されている。
【0071】
具体的に説明すると、スロッタユニットのセット作業を行うとき、図13に示すように、R1において、上下スロッタを回転させたまま、次オーダの生産速度に応じた周速になるように、回転速度を調整する。R2において、上部スロッタのスロッタ刃の位相を、次オーダの段ボールシートの溝切り加工寸法に合わせて調整する。R3において、上下スロッタを連結する。これらのR1、R2、R3の作業は同時並行で行う。なお、上部スロッタのスロッタ刃と下部スロッタの溝は嵌合したままの状態である。
【0072】
次に、R4において、上下スロッタの幅方向位置を次オーダの段ボールシートの溝切り加工位置に移動する。ここで、R3が実行された後、R4はR1、R2と同時並行で行う。
【0073】
次に、R5において、上下スロッタの連結を解除して、上部スロッタのスロッタ刃と下部スロッタの溝を嵌合させたまま、間隙を次オーダの段ボールシートの厚さに応じた値に調整する。ここで、R4が実行された後、R5はR1,R2と同時並行で行う。
【0074】
この変形例による作用効果を説明する。上述したように、スロッタユニットのセット作業においては、上部スロッタ及び下部スロッタをそれぞれ幅方向に移動させる際に、部品のガタつきや変形などが原因で、上部スロッタと下部スロッタの幅方向移動速度がずれることがある。このとき、上部スロッタのスロッタ刃と下部スロッタの溝が嵌合していると、高速回転状態のスロッタ刃と溝が接触してしまい、擦れて摩耗してしまう。そこで、上下スロッタを連結して、上部スロッタと下部スロッタのぞれぞれの幅方向における相対位置を固定して連結した後、連結された上部スロッタ及び下部スロッタを幅方向に移動することにより、上部スロッタと下部スロッタが一定の位置関係を維持したまま幅方向に移動するので、上部スロッタのスロッタ刃と下部スロッタの溝が嵌合したまま、且つ、上部スロッタ及び下部スロッタを回転させたまま、スロッタ刃と溝が接触して摩耗することなく、スロッタユニットのセット作業を行うことができる。また、幅方向移動後に、上部スロッタと下部スロッタの連結を解除することにより、オーダ生産中に、搬送される段ボールシートがスロッタ連結装置に衝突する恐れがない。
【0075】
次に、給紙装置における給紙動作と停止方法に関する変形例を説明する。グレイトとグレイト昇降モータの連結部分にクラッチを設け、セット作業開始時に、グレイト昇降モータを停止する代わりに、クラッチによってグレイトと昇降モータの接続を切り離すことにより、グレイトを上方位置に停止させるようにしてもよい。
また、セット作業開始時に、給紙ローラを回転させたまま、グレイトのみ上方位置に停止させて、給紙動作を停止するようにしてもよい。
【0076】
次に、給紙装置の変形例を説明する。この変形例では、給紙装置が、グレイトを備えず、給紙ローラのみを備えている。この変形例においては、複数の給紙ローラが、複数の給紙ローラ駆動モータによって個別に回転駆動され、セット作業開始時には、現オーダの最後の段ボールシートを送り出した後、各給紙ローラを停止させて、給紙動作を停止させる。また、オーダの生産開始時には、各給紙ローラが最下層の段ボールシートに接触している状態で、各給紙ローラを回転させて段ボールシートを送り出し、その後、最下層の段ボールシートとの接触が解除された上流側の給紙ローラから順に停止させることにより、下から2番目の段ボールシートが回転中の給紙ローラに接触して損傷することを防ぐ。オーダ生産中は、このような給紙ローラの回転と停止制御を繰り返す。
ここで、この給紙装置の変形例では、図3に示すグレイト22や、このグレイト22を昇降動作させるためのL字型部材38、アーム40、揺動軸42等は設けられていない。さらに、図5に示すグレイト昇降モータ制御ユニット90及びグレイト昇降モータ34も設けられていない。
【0077】
次に、図14乃至図19を参照して、本発明の他の実施形態による段ボールシートの製函機について説明する。本発明の他の実施形態による段ボールシートの製函機は、給紙装置として、キッカー式給紙装置を用いており、この点が、上述した図1乃至図13により説明した段ボールシートの製函機と異っている。よって、以下、他の実施形態による製函機について、上述した実施形態による製函機と異なる部分について説明する。
【0078】
先ず、図14及び図15により、本発明の他の実施形態による段ボールシートの製函機に用いられるキッカー式給紙装置の構造について説明する。図14は本発明の他の実施形態による段ボールシートの製函機のキッカー式給紙装置を示す部分側面図であり、図15は本発明の他の実施形態による段ボールシートの製函機のキッカー式給紙装置を示す側面図である
【0079】
図14に示すように、本発明の他の実施形態による段ボールシートの製函機200は、キッカー式給紙装置202を備えている。このキッカー式給紙装置202は、段ボールシートSHを積層するためのテーブル204と、段ボールシートSHの先端が当接し、上下方向に位置調整可能なフロントゲート206と、段ボールシートSHの後端が当接し、フロントゲート206に対して段ボールシートSHの送り出し方向FDに移動可能であるバックガイド208と、積層された段ボールシートの最下層の段ボールシートSHをフィードロール24へ送り出す(押し出す)キッカー装置210とを備えている。ここで、バックガイド208とキッカー装置210は、段ボールシートSHの長さに応じて、一体的に送り出し方向FDに移動可能となっている。また、テーブル204は、サクションボックス(図示せず)の上面を形成しており、サクションボックスの内部の空気が吸引装置(図示せず)によって吸引されるようになっている。
【0080】
図15に示すように、キッカー式給紙装置202のキッカー装置210は、キッカー駆動モータ212と、このキッカー駆動モータ212の回転動作を往復運動に変換するクランク機構214と、このクランク機構214の他端に連結されたスライド部材216と、このスライド部材216を段ボールシートSHの送り出し方向FDにガイドするリニアガイド218と、スライド部材216に取り付けられ、段ボールシートSHをフィードロール24に向かって押し出すキッカー220を備えている。
【0081】
ここで、クランク機構214は、キッカー駆動モータ212により回転するフライホイール221と、このフライホイール221の表面の外周側に取り付けられた支持ピンと、この支持ピン222を挟み且つ支持ピン222と摺動するU字形状の摺接挟持部材224と、この摺接挟持部材224の後端側の支点軸226を介して取り付けられた第1アーム部材228及び第2アーム部材230とを備えている。ここで、クランク機構214において、摺接挟持部材224と第1アーム部材228とは、支点軸226において、所定の角度γに設定され、この角度γが保持されるようになっている。
【0082】
このキッカー装置210は、フライホイール221の1回転に伴い支持ピン222が1回転すると、その支持ピン222の回転に応じて、摺接挟持部材224が支持ピン222に対して摺動しながら揺動する。摺接挟持部材224の揺動は、角度γで保持された第1アーム部材228に伝達されて、第1アーム部材228を所定角度Aで揺動させる。この揺動は、第2アーム部材230に伝達され、スライド部材216に段ボールシートSHの送り出し方向FDの変位(往復動)が加わる。従って、スライド部材216に取り付けられたキッカー220は、送り出し方向FDに一往復し、段ボールシート1枚がフィードロール24に送り出される(押し出される)ようになっている。
【0083】
次に、図16により、本発明の他の実施形態による段ボールシートの製函機の制御装置及びこれに関連する装置を説明する。図16は本発明の他の実施形態による段ボールシートの製函機の制御装置及びこれに関連する装置を示すブロック図である。ここでは、図5に示すブロック図と異なる構成のみ説明する。
【0084】
本発明の他の実施形態においては、給紙装置としてキッカー式給紙装置202を使用している。そのため、図16に示すように、制御装置232は、キッカー駆動モータ制御ユニット234を介して、キッカー駆動モータ212を制御し、キッカー220を往復運動させ、最下層の段ボールシートSHをフィードロール24へ送り出す(押し出す)ようになっている。
なお、図5に示す「グレイト昇降モータ制御ユニット90」及び「グレイト昇降モータ34」は設けられていない。
【0085】
次に、図17及び図18を参照して、本発明の他の実施形態による第ボールシートの製函機200の制御装置232により実行されるオーダチェンジ動作を説明する。図17は本発明の他の実施形態による段ボールシートの製函機の制御装置により実行されるオーダチェンジ動作を示すフローチャートであり、図18は本発明の他の実施形態による段ボールシートの製函機の制御装置により実行されるキッカー式給紙装置のセット作業を示すフローチャートである。
他の実施形態によるオーダチェンジ動作は、図6及び図7に示された実施形態の制御装置60により実行されるオーダチェンジ動作と大部分が同じであるので、ここでは、異なる部分のみ説明する。
【0086】
図17に示すように、S21、S22、S24~S35は、図6のS1、S2、S4~S15と同じであり、S23及びS36のみが異なっている。
即ち、給紙装置としてキッカー式給紙装置202を使用した場合、S23において、キッカーの往復運動を停止して給紙動作を停止する。さらに、S36において、キッカーを往復運動させて、給紙動作を開始する。
【0087】
図18に示すように、キッカー式給紙装置のセット作業において、P11、P13~P16は、図7のP1、P3~P6と同じであり、S12のみが異なっている。
即ち、給紙装置としてキッカー式給紙装置202を使用した場合、S12において、バックガイドとキッカーを次オーダの段ボールシートの寸法に合わせた位置に移動する。
【0088】
次に、図19を参照して、本発明の他の実施形態による段ボールシートの製函機による作用効果を説明する。図19は本発明の他の実施形態による段ボールシートの製函機のキッカー式給紙装置におけるオーダチェンジのセット作業の時間を示すタイムチャートである。
図19に示すように、キッカー式給紙装置202を用いた製函機200においても、「交換作業のないオーダチェンジ」を行うとき、キッカー220を駆動するキッカー駆動モータ212を、クリーザユニット6,スロッタユニット8、ダイカッタ10を駆動するクリーザ・スロッタ・ダイカッタ駆動モータ86とは、別に設けたので、キッカー駆動モータ212は軽量で慣性モーメントが小さいので、従来に比べて短時間(約1秒)で給紙動作を停止させることができる。次に、オーダチェンジのとき、スロッタユニット8においては、上部スロッタ27A、28A及び下部スロッタ27D、28Dを回転させた状態を継続させるようにしている(図11参照)。よって、キッカー式給紙装置202を用いた製函機200においても、「交換作業のないオーダチェンジ」を行うとき、大型で慣性モーメントが大きなスロッタユニットを停止及び加速させる必要がないので、従来必要であった停止及び加速のための40秒の時間は不要となった。
【0089】
さらに、給紙装置における吸引の停止方法に関する変形例を説明する。吸引装置のダクトの内部に、空気の流れを遮断するシャッターを設け、給紙装置のセット作業中、ブロアモータを停止させる代わりに、シャッターを閉じて吸引を停止してもよい。
【0090】
吸引開始の判断については、操作パネルの「1枚目シートセット完了スイッチ」に代えて、給紙テーブル上の段ボールシートを検出する「シート有無検出センサ」を設け、「シート有無検出センサ」がシート有りを検出した時に、少なくとも1枚の段ボールシートがセットされたと判断して、吸引を開始してもよい。
また、オペレータによらずフィーダ装置を用いて自動でシートセットする場合は、フィーダ装置から送られる信号に基づいて、少なくとも1枚の段ボールシートがセットされたことを判断して、吸引を開始してもよい。
【0091】
また、上部スロッタと下部スロッタの駆動制御に関し、スロッタユニットを駆動するモータを、クリーザユニットやダイカッタを駆動するモータとは別に設けても良く、さらに、上部スロッタを駆動するモータと下部スロッタを駆動するモータを別々に設けても良い。
【0092】
さらに、印刷装置に関し、印刷装置の印刷ユニットが、昇降装置を備えず、隣り合う印刷ユニットの隙間を開いて印版の交換作業を行うようなものであってもよい。この場合、「交換作業のないオーダチェンジ」においては、印版の交換作業のために印刷ユニットの隙間を開閉する必要がないため、印刷シリンダ及びプレスロールを回転させたままセット作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0093】
1、200 段ボールシートの製函機
2 給紙装置
4 印刷装置
6 クリーザユニット
6A、6B 罫線ロール
8 スロッタユニット
10 ダイカッタ
12 サクションボックス
14、206 フロントゲート
16、208 バックガイド
18 吸引装置
20 給紙ローラ
22 グレイト
24 フィードロール
25、26 印刷ユニット
25A、26A 印刷シリンダ
25B、26B 印刷版
25D、26D プレスロール
27、28 スロッタ
27A、28A 上部スロッタ
27B、28B スロッタ刃
27C、28C 溝
27D、28D 下部スロッタ
29 アンビルシリンダ
30 ダイシリンダ
31 打ち抜きダイ
32 給紙ローラ駆動モータ
34 グレイト昇降モータ
60、232 制御装置
62 駆動制御ユニット
64 フィードロール駆動モータ制御ユニット
66、68 印刷シリンダ駆動モータ制御ユニット
70、72 プレスロール駆動モータ制御ユニット
74 クリーザ・スロッタ・ダイカッタ駆動モータ制御ユニット
76 フィードロール駆動モータ
78、80 印刷シリンダ駆動モータ
82、84 プレスロール駆動モータ
86 クリーザ・スロッタ・ダイカッタ駆動モータ
88 給紙駆動モータ制御ユニット
90 グレイト駆動モータ制御ユニット
92 給紙装置制御ユニット
94 ブロアモータ
96 フロントゲート移動装置
98 バックガイド移動装置
100、102 印刷装置制御ユニット
104、106 昇降装置
108 クリーザユニット制御ユニット
110 クリーザ間隙調整装置
112 クリーザ幅方向移動装置
114 スロッタユニット制御ユニット
116 スロッタ間隙調整装置
118 スロッタ幅方向移動装置
120 スロッタ位相装置
122 ダイカッタ制御ユニット
124 ダイカッタ間隙調整装置
126 スロッタ連結装置
202 キッカー式給紙装置
210 キッカー装置
212 キッカー駆動モータ
220 キッカー
234 キッカー駆動モータ制御ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19