(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】身飾品の製造方法および身飾品フレーム部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
A44C 27/00 20060101AFI20240729BHJP
A44C 17/02 20060101ALN20240729BHJP
【FI】
A44C27/00
A44C17/02
(21)【出願番号】P 2020179271
(22)【出願日】2020-10-26
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】503175966
【氏名又は名称】株式会社クロスフォー
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】土橋 秀位
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3042071(JP,U)
【文献】特許第6285595(JP,B2)
【文献】特公平06-022484(JP,B2)
【文献】実開平5-68317(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 1/00-27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム部材を備える身飾品の製造方法であって、
前記フレーム部材は、
正面側と背面側が規定されたフレーム本体と、
背面側フレーム部とを含み、
1つの金属板に打ち抜き加工を施すことによって、前記フレーム本体と、前記フレーム本体の外縁部
であって、当該1つの金属板の外縁にある側端面である本体外縁部から延びた前記背面側フレーム部とを備えるブランク材を形成する工程と、
前記ブランク材の前記背面側フレーム部が前記背面側へ延びるように前記ブランク材を折り曲げる工程とを有
し、
前記ブランク材を折り曲げる工程は、前記フレーム本体の端部であって、前記本体外縁部を含んだ端部である本体端部の少なくとも一部が前記背面側へ反るように、前記背面側フレーム部に隣接する部分を含んだ前記本体端部と前記背面側フレーム部とを前記背面側へ一緒に曲げることを含む、
身飾品の製造方法。
【請求項2】
前記ブランク材を形成する工程は、
前記正面側から見て凸状に湾曲した凸状部分を含んだ前記本体外縁部を持つ前記フレーム本体と、
1以上の前記背面側フレーム
部と他の1以上の前記背面側フレーム
部とが、前記凸状部分における離間した場所であって、前記凸状部分の最頂部を挟んで離間した場所からそれぞれ延びている、2以上の前記背面側フレーム部と
を備える前記ブランク材を形成することを含み、
前記ブランク材を折り曲げる工程によって前記背面側に曲げられた前記1以上の背面側フレーム
部と前記他の1以上の背面側フレーム
部とを、少なくとも一つの場所で接合する工程を有する、
請求項
1に記載の身飾品の製造方法。
【請求項3】
前記身飾品は、前記フレーム部材に対して揺動可能に支持された装飾部材を備え、
前記ブランク材を形成する工程は、前記フレーム本体の前記本体外縁部から延びた少なくとも1つの第1係合部を備える前記ブランク材を形成することを含み、
前記第1係合部と係合可能な少なくとも1つの第2係合部を備える前記装飾部材の前記第2係合部と前記第1係合部とが係合するように、前記装飾部材の前記第2係合部を前記第1係合部に取り付ける工程を有し、
前記装飾部材は、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態で前記フレーム部材に対して揺動可能となる、
請求項1
又は請求項2に記載の身飾品の製造方法。
【請求項4】
身飾品のフレーム部材の製造方法であって、
前記フレーム部材は、
正面側と背面側が規定されたフレーム本体と、
背面側フレーム部とを含み、
1つの金属板に打ち抜き加工を施すことによって、前記フレーム本体と、前記フレーム本体の外縁部
であって、当該1つの金属板の外縁にある側端面である本体外縁部から延びた前記背面側フレーム部とを備えるブランク材を形成する工程と、
前記ブランク材の前記背面側フレーム部が前記背面側へ延びるように前記ブランク材を折り曲げる工程とを有
し、
前記ブランク材を折り曲げる工程は、前記フレーム本体の端部であって、前記本体外縁部を含んだ端部である本体端部の少なくとも一部が前記背面側へ反るように、前記背面側フレーム部に隣接する部分を含んだ前記本体端部と前記背面側フレーム部とを前記背面側へ一緒に曲げることを含む、
身飾品のフレーム部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、身飾品の製造方法および身飾品フレーム部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フレーム部材を備える身飾品が知られている。例えば、特許文献1には、枠体と該枠体内に宝石を有してなるものであり、外側からの圧力による2点乃至6点留めのいずれかで宝石を嵌合させた装身用部材が開示されている。そして、この枠体は、板材をプレスの打ち抜き加工にて、ハート形の外形抜き及びハート型の内径抜きを行うことにより得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、従来に比べて軽薄化が可能なフレーム部材を備える身飾品の製造方法、及び、従来に比べて軽薄化が可能な身飾品フレーム部材の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様は、フレーム部材を備える身飾品の製造方法であって、前記フレーム部材は、正面側と背面側が規定されたフレーム本体と、背面側フレーム部とを含み、1つの金属板に打ち抜き加工を施すことによって、前記フレーム本体と、前記フレーム本体の外縁部であって、当該1つの金属板の外縁にある側端面である本体外縁部から延びた前記背面側フレーム部とを備えるブランク材を形成する工程と、前記ブランク材の前記背面側フレーム部が前記背面側へ延びるように前記ブランク材を折り曲げる工程とを有し、前記ブランク材を折り曲げる工程は、前記フレーム本体の端部であって、前記本体外縁部を含んだ端部である本体端部の少なくとも一部が前記背面側へ反るように、前記背面側フレーム部に隣接する部分を含んだ前記本体端部と前記背面側フレーム部とを前記背面側へ一緒に曲げることを含む、身飾品の製造方法である。
【0006】
本開示の第2の態様は、身飾品のフレーム部材の製造方法であって、前記フレーム部材は、正面側と背面側が規定されたフレーム本体と、背面側フレーム部とを含み、1つの金属板に打ち抜き加工を施すことによって、前記フレーム本体と、前記フレーム本体の外縁部であって、当該1つの金属板の外縁にある側端面である本体外縁部から延びた前記背面側フレーム部とを備えるブランク材を形成する工程と、前記ブランク材の前記背面側フレーム部が前記背面側へ延びるように前記ブランク材を折り曲げる工程とを有し、前記ブランク材を折り曲げる工程は、前記フレーム本体の端部であって、前記本体外縁部を含んだ端部である本体端部の少なくとも一部が前記背面側へ反るように、前記背面側フレーム部に隣接する部分を含んだ前記本体端部と前記背面側フレーム部とを前記背面側へ一緒に曲げることを含む、身飾品のフレーム部材の製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、従来に比べて軽薄化が可能なフレーム部材を備える身飾品の製造方法、及び、従来に比べて軽薄化が可能な身飾品フレーム部材の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る身飾品の一例を示す正面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る身飾品の一例を示す正面側の斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る身飾品の一例を示す背面側の斜視図ある。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る身飾品の製造方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1貫通孔の内面形状の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、フレーム部材形成工程によって得られるフレーム部材の一例を示す斜視図であり、背面側から見たフレーム部材を示す。
【
図8】
図8は、台座部材に装飾体が固定された装飾部材の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る身飾品の一変形例を示す背面図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る身飾品の一変形例を示す背面図である。
【
図11】
図11は、本実施形態に係る身飾品の一変形例を示す背面図である。
【
図12】
図12は、本実施形態に係る身飾品の一変形例を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
フレーム部材を備える身飾品を製造するにあたり、プレス加工の打ち抜き加工によってフレーム部材を作製することが知られている(例えば、特許文献1)。しかしながら、従来、打ち抜き加工によるせん断加工を行ってフレーム部材を製造することにとどまり、曲げ加工、及び絞り加工まで行って、3次元立体形状の身飾品が製造されることはなかったのが実情である。
【0010】
例えば、ペンダントトップを有する身飾品が知られている。ペンダントトップは、フレーム部材を備える場合がある。このフレーム部材に着目すると、例えば、ペンダントトップのフレーム部材は、従来、ロストワックス法による鋳造を行うことで製造される場合が多い。
【0011】
従来の鋳造により製造される身飾品では、目的とする身飾品の厚みが薄すぎると(例えば、0.5mm以下)、熔融金属を鋳型の隅々にまで注入することが困難になるため、厚みの薄い身飾品を製造することは困難であった。したがって、薄くて軽いペンダントトップを備える身飾品を製造することは困難であった。
【0012】
これに対し、プレス加工によって製造する本開示の身飾品の製造方法であれば、厚みの薄い金属板(例えば、0.2mm以上0.5mm以下)から製造可能であるため、従来の身飾品に比べ、軽薄化(すなわち、厚みが薄く、同様のデザインかつ同様の金種の身飾品と比べ軽量化)することが可能になる。
【0013】
また、本開示の製造方法によれば、プレス加工によって製造するため、大量生産が可能になり、さらに仕上げ工程に係る工数を減らすことが可能である。このため、従来の鋳造による身飾品の製造方法に比べ、製造コストを低減することが可能である。さらに、軽薄化が可能になるため、同様のデザインであり、同様の金種であれば、地金の使用量を減らすことが可能になり、この点でも、製造コストを低減することが可能である。
【0014】
本開示の製造方法によれば、次の効果も得られる。従来、宝石などを含んだ装飾部材とフレーム部材とを有し、装飾部材をフレーム部材に対して揺動可能に支持した構造の身飾品が知られている(以下、この構造の身飾品を揺動式の身飾品という場合がある)。従来の揺動式の身飾品においても、フレーム部材はロストワックス法で製造される。ロストワックス法では、熔融金属を鋳型に注入して鋳造するため、地金に気泡が存在しやすい。
【0015】
これに対し、本開示の製造方法では、金属板からプレス加工によって揺動式の身飾品のフレーム部材を形成するため、地金に気泡が存在することが抑制される。このため、本開示の製造方法によって得られた揺動式の身飾品は、従来の製法で製造した構造の揺動式の身飾品に比べてフレーム部材の強度が高くなる。また、プレス加工により、加工硬化が生じると考えられるため、従来の製法で得られた揺動式の身飾品におけるフレーム部材に比べてフレーム部材自体の強度が高くなると考えられる。このため、軽量化しても強度が保たれた揺動式の身飾品が得られやすい。ここで、プレス加工とは、対となった金型の間に金属板を供給し、金型によって金属板に対して荷重を加えることで、打抜き、曲げ、絞り等の加工を施す加工技術の総称である。
【0016】
従来の製法で製造した揺動式の身飾品では、装飾部材がフレーム部材に対して、外部からの振動に応じて減衰を伴いながら、揺動する。しかしながら、装飾部材の揺動の持続性には、バラつきが見られる場合があった。前述のように、従来の製法で製造した揺動式の身飾品は、フレーム部材等に気泡が含まれやすいため、フレーム部材の表面に粗れが生じることが多い。フレーム部材に対して揺動可能に支持する部位は寸法が小さい場合が多いため、この部位の表面に対して研磨処理を施すことは難しい。このため、この粗れによって、装飾部材をフレーム部材に対して支持する部位に引っ掛かりが生じる場合がある。また、フレーム部材を鋳造で製造するため、装飾部材をフレーム部材に対して揺動可能に支持するための部位は、寸法精度、形状精度等が低くなる場合がある。
【0017】
これに対し、本開示の身飾品の製造方法では、金属板にプレス加工を施すことによってフレーム部材が形成される。材料となる金属板は、例えば圧延等が施されているため、鋳造で製造する場合のような気泡が金属板の地金に存在することは殆どないか、あっても少ない。このため、フレーム部材の表面に粗れが生じることが抑制される。これにより、鋳造で製造する場合に比べ、フレーム部材の表面の平滑性が高くなり、装飾部材の係合部とフレーム部材の係合部との間で生じる引っ掛かりが抑制され易くなる。また、従来の鋳造による製法に比べ、装飾部材をフレーム部材に対して揺動可能に支持するための部位の寸法精度及び形状精度が高いものとなる。このため、従来の製法で得られた揺動式の身飾品に比べ、フレーム部材に対して台座部材が揺動する持続性がより高いものとなる。さらに、これらに加えて、フレーム部材の係合部を含め、身飾品の厚みを軽薄化することが可能である。この場合には、装飾部材をフレーム部材に対して揺動可能に支持するための部位の接触面積が小さくなることにより、摩擦抵抗を小さく抑えることができる。この点でも、フレーム部材に対する装飾部材の揺動の持続性がより高いものとなる。
【0018】
以下、本開示に係る身飾品の製造方法に関する好ましい実施形態の一例について説明する。なお、本開示の身飾品は、以下で説明する各実施形態に限定されるものではなく、本開示の身飾品と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。
【0019】
本開示において、「一体的」とは、一つの部材から形成されていることを意味し、2つの部材が合わさって一つに形成されることは包含しない概念である。
【0020】
本開示において、「装飾体」とは、宝石(天然宝石、合成宝石、人造宝石、模造宝石、自然石等)を含み、特に、天然宝石、合成宝石、人造宝石、模造宝石、自然石を総称して、宝石類という。装飾体は、装身具の美観の観点で、宝石類から選ばれることがよい。
【0021】
天然宝石は、ダイヤモンド、ルビー、サファイヤ、水晶等の自然に生み出される宝石を含む。また、天然宝石は、改良(エンハンスメント)、改変(トリートメント)等の処理が加えられた処理宝石も含む。
合成宝石は、天然石と同一又は類似の化学特性、物理特性、内部構造を有し、人工的に作り出された宝石をいう。合成宝石は、人工宝石とも呼ばれる。
人造宝石は、自然界に存在しないものの、一定の化学特性、物理特性、内部構造を有しており、例えば、キュービック・ジルコニア(CZ)、ヤグ(YAG)等の天然宝石とは異なる物質を使用して作り出された宝石をいう。
模造宝石は、天然宝石を模した色、外観等を有しているものの、化学特性及び物理構造が異なり、例えば、ガラス、プラスチック、セラミックス等を使用して天然宝石を模して形成される宝石をいう。
自然石は、天然宝石の原石以外の自然に生み出された石をいう。
【0022】
本開示において、「板状」とは、板のような形状を表す。例えば、全体として、略一定の厚さを有している状態の形状が挙げられる。
【0023】
本開示において、形状を表す場合の「略」の用語は、当該形状及び当該形状に近い形状を含む概念である。
【0024】
本開示において、身飾品の各部分の相対的な位置関係を説明するために、身飾品を基準とした3つの直交する方向(X方向、Y方向、Z方向)が規定される。X方向は互いに逆向きの2つの方向(X1方向、X2方向)を含み、Y方向は互いに逆向きの2つの方向(Y1方向、Y2方向)を含み、Z方向は互いに逆向きの2つの方向(Z1方向、Z2方向)を含む。
Z方向は、例えば、本開示の身飾品がフレーム部材において装飾部材を揺動可能に支持する姿勢にあるときの鉛直方向を基準に設定される。Y方向は、例えば、本開示の身飾品の正面側から背面側へ向かう方向を基準に設定される。身飾品の正面側とは、例えば装飾体の正面が配置される側を表し、装飾体の正面が上方側に傾いている場合でも、装飾体の正面が配置される側を指す。X方向は、Z方向とY方向のそれぞれに対して直交する方向に設定される。
以下の説明において、身飾品の上方向は、
図1~
図3に示すZ1方向、及び各方向の中間方向よりもZ1方向寄りの方向を含む。身飾品の下方向は、
図1~
図3に示すZ2方向、及び各方向の中間方向よりもZ2方向寄りの方向を含む。身飾品の右方向は、
図1~
図3に示すX1方向、及び各方向の中間方向よりもX1方向寄りの方向を含む。身飾品の左方向は、
図1~
図3に示すX2方向、及び各方向の中間方向よりもX2方向寄りの方向を含む。身飾品の前方向は、
図2、
図3に示すY2方向、及び各方向の中間方向よりもY2方向寄りの方向を含む。身飾品の後方向は、
図2、
図3に示すY1方向、及び各方向の中間方向よりもY1方向寄りの方向を含む。
【0025】
まず、本実施形態に係る身飾品の製造方法で得られる身飾品の好ましい一例について説明する。
図1~
図3は、本実施形態に係る身飾品の製造方法で得られる身飾品の一例を示す図である。
図1~
図3に示すネックレス1は身飾品の一例である。
図1はネックレス1の正面図を示し、
図2は正面側から見たネックレス1の斜視図を示し、
図3は背面側から見たネックレス1の斜視図を示す。ネックレス1は、紐状部材の一例であるチェーン3と、ペンダントトップ2(身飾品本体の一例)とを備えており、ペンダントトップ2がチェーン3に吊り下げられている。
図1~
図3では、要部であるペンダントトップ2を中心に図解している。
【0026】
ペンダントトップ2は、1つの金属板のプレス加工品であるフレーム部材10と、フレーム部材10に対して揺動可能に支持された装飾部材20とを備える。装飾部材20は、装飾体の一例である宝石21と、宝石21を固定保持する台座部材22とを有する。台座部材22は、4本の爪部221を備えており、これらの爪部221によって、宝石21を固定保持している。
【0027】
フレーム部材10は、それぞれ第1貫通孔131が形成された2つの第1係合部13を有する。2つの第1係合部13は、フレーム部材10の背面側において左右方向に並んで設けられている。台座部材22は、それぞれ第2貫通孔231が形成された2つの第2係合部23を有する。2つの第2係合部23は、宝石21を挟んで、相対的な位置(つまり、宝石21の正面側から見て左右の関係になる位置)に設けられている。一方の第1係合部13と一方の第2係合部23とが、第1貫通孔131の内面と第2貫通孔231の内面とを接触させるように互い連結されている。他方の第1係合部13と他方の第2係合部23とが、第1貫通孔131の内面と第2貫通孔231の内面とを接触させるように互い連結されている。2つの第1係合部13と2つの第2係合部23とが互いに係合して連結されることにより、宝石21を固定保持している台座部材22がフレーム部材10に対して揺動可能に吊り下げられた状態となる。
【0028】
フレーム部材10は、
図1~
図3に示すように、フレーム本体11を有する。2つの第1係合部13は、フレーム本体11の外縁部(プレス加工された金属板の外縁にある側端面)である本体外縁部110からそれぞれ背面側に延びている。
【0029】
図1に示すように、フレーム本体11の本体外縁部110は、正面側から背面側へ向かうY1方向に対して平行な方向から見てZ1方向に凹状に湾曲した凹状部分と、Y1方向に対して平行な方向から見てこの凹状部分と同じ方向(Z1方向)に湾曲した凸状部分とを含む。凹状部分と凸状部分とは互いに対向している。フレーム本体11の正面側から見た形状は、曲部を有する逆V字の形状となっている。
【0030】
図3において示すように、フレーム本体11の端部(本体外縁部110を含んだ端部)である本体端部113の少なくとも一部は、背面側に反っている。
図3の例では、本体外縁部110の上述した凹状部分と凸状部分において、フレーム本体11の本体端部113が背面側に反っている。フレーム本体11は、背面側から見て、本体外縁部110に対して内側の部分(本体外縁部110に囲まれた範囲の内側にある部分)が正面側へ凹んでいる。ここで、凹状部分における最奥部とは、凹状形状の最も凹となる部分を指す。
【0031】
2つの第1係合部13は、背面側へ反った本体端部113の本体外縁部110から延びている。
図1~
図3に示すように、2つの第1係合部13は、本体外縁部110の凹状部分における離間した場所であって、凹状部分の最奥部を挟んで離間した場所から延びている。凸状部分における最頂部とは、凸状形状の最も凸となる部分を指す。
【0032】
またフレーム部材10は、
図1~
図3に示すように、本体外縁部110から背面側へ延びた2つの背面側フレーム部12を有する。2つの背面側フレーム部12は、背面側へ反った本体端部113の本体外縁部110の一部から背面側へ延びている。
図3の例において、2つの背面側フレーム部12は、本体外縁部110の凸状部分における離間した場所であって、凸状部分の最頂部を挟んで離間した場所から延びている。
【0033】
背面側フレーム部12は、フレーム本体11の頂部から上下方向の中央部周辺にかけて、フレーム本体11に沿う形状で設けられている。背面側フレーム部12は、フレーム本体11の頂部付近の本体外縁部110から背面側へ延びた上部フレーム121と、フレーム本体11の上下方向の中央付近から背面側へ延びた下部フレーム122と、上部フレーム121と下部フレーム122の背面側の端部間に渡って設けられた中間フレーム123とを有する。背面側フレーム部12は、上下方向の寸法が前後方向よりも長い略矩形状をなしており、上部フレーム121と、下部フレーム122と、中間フレーム123とフレーム本体11とにより囲まれる領域に開口部124を形成する。
図2、
図3の例において、開口部124は左右方向へ貫通しており、上下方向に長い略矩の形状を持つ。この開口部124にチェーン3が挿通される。
【0034】
背面側へ延びた2つの背面側フレーム部12は、フレーム本体11の本体外縁部110から離れた場所で互いに接合された接合部を有する。例えば、一方の背面側フレーム部12の上部フレーム121と他方の背面側フレーム部12の上部フレーム121とが、図示しない接合部によって接合される。接合部では、溶接(例えば、ロウ付け、又はレーザ加熱)などの方法によって2つの背面側フレーム部12が互いに接合される。一方の上部フレーム121と他方の上部フレーム121とを接合する接合部は、フレーム本体11の1つまたは2つ以上の場所に設けてもよい。また、接合部は断続的に設けてもよく、連続的に設けてもよい。
【0035】
フレーム本体11における第1係合部13の下方周辺を上下方向に垂直な面で切断した断面の形状は、正面側から後方が広がり、曲部を有する略V字状の形状をなしている。フレーム本体11は、底部から頂部にわたって、同様の断面形状を持つ。一方、背面側フレーム部12の上部フレーム121及び下部フレーム122を前後方向に垂直な面で切断した断面の形状は、略矩形状をなしている。中間フレーム123を上下方向に垂直な面で切断した断面の形状も略矩形状をなしている。
【0036】
フレーム本体11の略V字状の一方の面の厚み(フレーム本体11のV字状の前後方向において対向する面間の距離)、背面側フレーム部12の左右方向における厚み(背面側フレーム部12の左右方向において対向する面間の距離)は、例えば0.3mm以上0.4mm以下の範囲に設定される。背面側フレーム部12の厚みは、例えば、下部フレーム122において計測した場合、0.2mm以上であってもよく、0.25mm以上であってもよい。また、この厚みは0.5mm以下であってもよく、0.4mm以下であってもよく、0.35mm以下であってもよい。本開示においてフレーム部材10の厚みは特に限定されず、身飾品のデザイン、強度等に応じて、目的に適った厚みに設定してよい。
【0037】
第1係合部13は、フレーム本体11と同一の金属板から連続して一体的に形成される。ここで、連続して一体的に形成されるとは、異なる材料の介在によって分断されることなく、1つの同じ金属板によって連続的に繋げられて形成されていることを示す。第1係合部13は、例えば
図3に示すように、第1貫通孔131を囲む第1リング部132と、フレーム本体11の本体外縁部110から背面側へ延びた第1中間部133とを有する。第1中間部133は、第1リング部132の外縁部であるリング外縁部134と本体外縁部110との間に介在する。すなわち、第1係合部13は、本体外縁部110から背面側へ延びた第1中間部133と、第1中間部133から背面側へ延びた第1リング部132とを備えており、フレーム本体11と第1リング部132とは、互いに離れた位置に配される。ここで、フレーム本体11と第1リング部132とが離れた位置に配されるとは、フレーム本体11と第1リング部132とが互いに接してなく、第1リング部132とフレーム本体11との間に距離があることを示す。
図3の例において、第1係合部13は、下部フレーム122よりも下方側の位置であり、かつ、下部フレーム122よりも内側の領域に配置されている。第1係合部13は、ペンダントトップ2の正面側から背面側に向かって延びており、本体端部から折り曲げられた形状を有する。なお、第1中間部133を設けることで、例えば、フレーム部材10を形成するときに、第1係合部13を背面側に容易に折り曲げることができる。それにより、後述の曲げ加工で、第1リング部132の形状が歪むように変形することが抑制され易くなり、第1リング部132の形状を安定して維持できるという利点が得られる。
【0038】
ここで、第1係合部13の幅を、この第1係合部13を形成する金属板の厚み方向に対して垂直な方向における幅であって、かつ、この第1係合部13が本体外縁部110から延伸する方向に対して垂直な方向における幅と規定する。この場合、
図3等に示すように、第1係合部13の第1中間部133における幅は、第1リング部132における幅に比べて小さい。第1中間部133は、
図3の例において、略矩形状に形成されている。第1中間部133の上下方向の寸法は、第1リング部132の外径よりも短い。第1中間部133は、第1中間部133の中心位置が、第1リング部132の中心からフレーム本体11までの最短距離となる仮想線上に配置される形状で設けられている。
【0039】
第1リング部132は、中央の第1貫通孔131に装飾部材20の第2係合部23を挿入することが可能な円環状(円弧状の曲部を有する形状の一例)の形状を有する。2つの第1リング部132は、フレーム部材10の左右の位置に、互いの第1貫通孔131を向かい合わせた状態で配置されている。
【0040】
図1に示すように、フレーム部材10には、仮想平面Vが規定されている。仮想平面Vは、正面側から背面側へ向かう方向(Y1方向)に対して平行であり、かつ、正面側から見たフレーム本体11の本体外縁部110の凹状部分を通る平面である。
図1~
図3に示すように、フレーム部材10は、この仮想平面Vについて面対称な形状を持つ。
【0041】
2つの第1係合部13は仮想平面Vに対してそれぞれ平行(平行及び平行に近い状態を含む)な方向に延びている。2つの第1係合部13に形成される2つの第1貫通孔131は、仮想平面Vに垂直な方向(X1方向、X2方向)から見て互いに重なる場所に位置する。
【0042】
台座部材22は、宝石21が固定される台座本体部220と、台座本体部220を挟んで配置された2つの第2係合部23を備える。2つの第2係合部23は、宝石21を挟んだ両側に、相対的な位置となるように配置されている。それぞれの第2係合部23は、第2貫通孔231を囲む第2リング部232と、台座本体部220から延びた板状の第2中間部233とを含む。第2中間部233は、第2リング部232と台座本体部220との間に介在する。台座本体部220の中央部には、円形の開口部が設けられており、宝石21のキューレット部が台座本体部220の開口部から突き出した状態で、宝石21が台座部材22に固定保持される。
【0043】
第2中間部233は、台座本体部220と第2リング部232とを連結する連結部である。2つの第2中間部233は、互いに対称的な形状を有し、台座本体部220から外側に向けて延びている。一例において、第2中間部233と、台座本体部220と、第2リング部232とは、連続して一体的に形成されている。第2中間部233は、台座本体部220から延びるとともに、宝石21の正面に対して傾斜して配されている。第2リング部232も第2中間部233の傾斜と同様に傾斜している。この傾斜角度は、宝石21の正面に対して傾斜させた角度であり、台座本体部220における爪部221が設けられる側の面に対して0°を超え90°以下の範囲であってよい。傾斜角度は、例えば、5°以上であってもよく、10°以上であってもよい。また、60°以下であってもよく、45°以下であってもよい。なお、台座部材22は、第2中間部233の連結長さ、傾斜部分の有無など、目的に応じて変更が可能である。例えば、台座部材22において第2中間部233を設けずに、台座本体部220と第2リング部232とを一体的に形成し、台座本体部220から直接延びた第2リング部232を形成することも可能である。
【0044】
板状の第2中間部233には、例えば捩りを設けてもよい。第2中間部233に捩りを設けなくても装飾部材20は揺動可能であるが、第2リング部232に適度な捩じりを設けることによって身飾品の美観を高めることが可能な場合がある。第2中間部233は、全体が捩じられていてもよいし、一部が捩じられていてもよい。第2中間部233に適度な捩じりを設けることで、宝石21を固定保持した台座部材22が吊り下げられた状態において、宝石21のテーブル面を斜め上方に向けて傾斜させることができる。この場合、宝石21のテーブル表面の傾斜角度を、例えば5°以上45°以下の角度(10°以上20°以下の角度であってもよい)にすることで、身飾品の美観をより高めることが可能である。
【0045】
次に、本開示の身飾品の製造方法に関する好ましい実施形態の一例について、前述の
図1等に示すネックレス1の製造方法を例に挙げて説明する。
図4は、本実施形態に係る身飾品の製造方法の一例を説明するためのフローチャートである。ここで、本実施形態に係る身飾品フレーム部材の製造方法は、以下で説明する身飾品の製造方法におけるブランク材形成工程及び折り曲げ工程等と同様の工程であるため、説明を省略する。
【0046】
本実施形態に係る身飾品の製造方法では、特にフレーム部材10がプレス加工により形成される。
図4に示すように、ネックレス1の製造方法は、金属板を準備する工程(金属板準備工程:ST10)と、プレス加工によってフレーム部材10を形成する工程(フレーム部材形成工程:ST20)とを有する。また、
図1~
図3に示すペンダントトップ2は、フレーム部材10に吊り下げられて揺動可能に支持された装飾部材20を備える。そのため、ネックレス1の製造方法は、フレーム部材10の第1係合部13に挿通部を形成する工程(挿通部形成工程:ST30)と、装飾部材20を準備する工程(装飾部材準備工程:ST40)と、フレーム部材10の第1係合部13に装飾部材20の第2係合部23を連結させる工程(連結工程:ST50)とを有する。
【0047】
(金属板準備工程:ST10)
金属板を準備する工程は、目的とする身飾品に応じて、被加工材となる板状の金属材料を準備する工程である。この工程では、例えば、圧延等を経た金属板を準備する。金属板の形状は、予め切断された平板状の金属板に限定されず、コイル状の金属板も包含する。例えば、金属板は、加工性の観点で、厚さ方向の断面形状が略矩形状であることが好ましい。金属板の厚みは、0.2mm以上であってもよく、0.5mm以下であってもよく、0.4mm以下であってもよく、0.35mm以下であってもよい。金属板の材料(金種)は特に限定されず、例えば、銀、金、白金、銅、及び鉄からなる群から選ばれる金属、並びにこれら金属の合金(例えば、金を主体として、銀及び銅の少なくとも一方を含有する合金)、及びこれら金属を主体として他の金属を含む合金(例えば、金を主体として、パラジウム等を含有する合金、銅を主体として亜鉛を含有する合金等)など、いずれの金属材料であってもよい。準備する金属板は、製造予定の身飾品に応じて、目的とする金属材料を用いればよい。なお、本開示において、「主体」とする成分は、二種類以上の金属元素から構成される合金のうち、最も含有量が多い成分をいう。
【0048】
(フレーム部材形成工程:ST20)
フレーム部材10を形成する工程は、ブランク材を形成する工程(ブランク材形成工程:ST21)と、第1係合部13の第1貫通孔131を加工する工程(第1貫通孔加工工程:ST22)と、ブランク材を折り曲げる工程(折り曲げ工程:ST23)と、折り曲げ工程により折れ曲がった2つの背面側フレーム部12を接合する工程(接合工程:ST24)とを更に含む。
【0049】
(ブランク材形成工程:ST21)
ブランク材形成工程は、1つの金属板に打ち抜き加工(せん断加工)を施すことによって、ブランク材を形成する工程である。この工程では、目的とする形状のブランク材を得るために、準備した金属板を金型内に供給し、せん断現象を生じさせて金属板を打ち抜く。
【0050】
ブランク材形成工程は、例えば、打ち抜き加工のみによって、目的とする形状のブランク材を得てもよい。この場合、外形形状及び細部(第1貫通孔131など)を打ち抜く1段の工程によって、目的とする形状のブランク材を得てもよい。また、外形形状を打ち抜いた後、細部を打ち抜く多段の工程によって、目的とする形状のブランク材を得てもよい。
【0051】
あるいは、ブランク材形成工程は、例えば、せん断加工及び変形加工によって、目的とする形状のブランク材を得てもよい。この場合、1段の工程で、目的とする形状のブランク材を得てもよい。例えば、金属板に打ち抜き加工を行うときに、外形形状及び細部を打ち抜くとともに、フレーム本体11及び背面側フレーム部12の少なくとも一方の断面形状を目的とする形状に形成してもよい。また、多段の工程で、目的とする形状のブランク材を得てもよい。例えば、外形形状を打ち抜いた後、第1貫通孔131などの細部を打ち抜き、その後、フレーム本体11及び背面側フレーム部12の少なくとも一方の断面形状を、目的とする形状に成形する多段の工程で行ってもよい。なお、本開示では、絞り加工及び曲げ加工を総称して変形加工と称する。
【0052】
(第1貫通孔加工工程:ST22)
図5は、第1貫通孔131の内面形状の一例を示す断面図である。
第1貫通孔加工工程は、第1貫通孔131の開口部135から内側に向かうほど第1貫通孔131の径が小さくなるように、第1貫通孔131の内面136の少なくとも一部を傾斜させる加工を施す。第1貫通孔131の加工は、例えば、回転刃によって第1貫通孔131の内面を削ることにより行ってもよいし、金型を用いたプレス加工によって行ってもよい。第1貫通孔131を経た第1係合部13の第1貫通孔131は、周方向に直交する断面形状が、内周面側の領域において、内周面に向かって先細りとなる略台形形状をなしている。このような形状とすることで、内周面側に接する装飾部材20の第2リング部232の揺動がより持続しやすくなる。第1リング部132の周方向に直交する断面形状は、これに限定されず、種々の断面形状を採用することが可能である。なお、第1貫通孔加工工程(ST22)は、上述したブランク材形成工程(ST21)と同じプレス加工の工程において並行して実施してもよい。
【0053】
(折り曲げ工程:ST23)
折り曲げ工程は、第1貫通孔加工工程(ST22)を経て得られたブランク材に曲げ加工を行うことで、目的とする形状に形成されたフレーム部材10を得る工程である。この工程は、例えば金型を用いたプレス加工により行う。フレーム部材10は、三次元立体形状を有する。この工程では、ブランク材2つの第1係合部13と2つの背面側フレーム部12とがそれぞれ背面側へ延びるようにブランク材を折り曲げる。すなわち、折り曲げ工程は、ブランク材に対して、フレーム本体11の本体端部113(本体外縁部110を含んだ端部)の少なくとも一部が背面側へ反るように、少なくとも一部の本体端部113と、2つの第1係合部13と、2つの背面側フレーム部12とを、背面側へ一緒に曲げる。折り曲げ工程において第1係合部13及び背面側フレーム部12と一緒に折り曲げられる本体端部113は、少なくとも、第1係合部13に隣接する部分と、背面側フレーム部12に隣接する部分とを含む。
【0054】
折り曲げ加工により、背面側フレーム部12はフレーム部材10の側壁となる。フレーム部材10は、フレーム本体11と背面側フレーム部12とにより囲まれる空間を持つ三次元立体形状となる。そして、ネックレス1を正面視したとき、背面側フレーム部12が見えにくくなる。同様に、ネックレス1を正面視したとき、第1係合部13も見えにくくなる。
【0055】
折り曲げ加工後、フレーム本体11と背面側フレーム部12との曲げ角、及びフレーム本体11と第1係合部13(第1中間部133)との曲げ角は、略90°程度(例えば、80°以上100℃以下、好ましくは85°以上95°以下)であることがよい。この曲げ角は、美観の観点では、略90°の鈍角側の角度が好ましい。本開示において、曲げ角とは、フレーム本体11からの角度であり、背面側フレーム部12及び第1係合部13(第1中間部133)の曲げ方向の外側の角度を表す。背面側フレーム部12及び第1係合部13に曲げ加工を施す順序は限定されず、同時でもよく、いずれかの部位を先に行ってもよい。曲げ加工は、多段で行ってもよく、一段で行ってもよい。
【0056】
ブランク材形成工程(ST21)、折り曲げ工程(ST23)は、各々別の金型で行ってもよく、同じ金型内で行ってもよい。これらの工程は、順送プレス加工でもよいし、フットプレス(足踏みプレス)による単発のプレス加工でもよい。
【0057】
(接合工程:ST24)
接合工程は、折り曲げ工程(ST23)によって背面側に曲げられた2つの背面側フレーム部12を少なくとも一つの場所(例えば、本体外縁部110から離れた場所)で接合する。この金属同士の接合は、例えばロウ付け、溶接などにより行われる。
【0058】
なお、フレーム部材形成工程ST20の各工程のうち、目的とするフレーム部材の形状によって不要な工程がある場合は、当該工程を省略してもよい。
【0059】
(挿通部形成工程:ST30)
挿通部形成工程は、フレーム部材形成工程(ST20)により形成されたフレーム部材10の各第1係合部13において、第1貫通孔131を囲む部材(第1リング部132)の一部に挿通部を形成する。例えば、挿通部形成工程は、レーザによる加熱、回転刃等による切削、ハサミ等の工具による切断などの方法によって第1リング部132の一部に挿通部を形成してもよい。
【0060】
(装飾部材準備工程:ST40)
装飾部材準備工程は、フレーム部材10に取り付ける装飾部材20を準備するための工程であり、台座部材22を形成する工程(台座部材形成工程:ST41)と、台座部材22に宝石21を固定保持させる工程(装飾体の固定保持工程:ST42)とを更に含む。
【0061】
(台座部材形成工程:ST41)
台座部材形成工程は、金属板から台座部材22を得る工程である。プレス加工で台座部材22を形成する場合、この工程では、予め定められた金属板を準備する。金属板は、フレーム部材10を作製するために準備した金属板と同じ素材でもよく、異なる素材でもよい。そして、金属板に対して予め定められたプレス加工(せん断加工、曲げ加工、絞り加工など)を行うことで、台座部材22を形成する。
【0062】
台座部材22は、台座本体部220と、2つの第2係合部23(第2リング部232、第2中間部233)と、4つの爪部221とが一体的に形成されている。具体的には、まず、金属板をせん断加工することにより、台座部材用のブランク材を得る。台座部材用のブランク材は、放射状に延びる4本の爪部221を略等間隔に備え、中央部に略円形状の開口部が設けられた台座本体部220が設けられる。また、台座本体部220を挟んで配置され、2本の爪部221の間からそれぞれ離れる方向に延びて設けられる略矩形状の第2中間部233と、第2中間部233の先端から延びて設けられ、中央部に第2貫通孔231を備える環状に形成された第2リング部232とを備えている。次に、台座部材形成工程は、台座本体部220に対して、宝石21の配置を可能とする皿状の形状に絞り加工を行う。また、第2中間部233に対し、前方側に傾斜する方向に、捩じる加工を行う。これら加工を経て、台座部材22が得られる。台座部材22は、順送プレス加工により作製してもよく、フットプレス(足踏みプレス)による単発のプレス加工で作製してもよい。台座部材22は、プレス加工以外にも、鋳造によって製造してもよい。生産コスト等の観点で、台座部材22は、プレス加工で製造することが好ましい。
【0063】
形成する台座部材22は、目的とする台座部材22に応じて、第2中間部233が存在しない第2係合部23を備える台座部材22でも、捩じり部を持たない第2中間部233を備える台座部材22でもよい。第2中間部233が設けられない台座部材22及び捩じり部を備えない台座部材22を得る場合には、第2中間部233を捩じる工程が省略される。
【0064】
(装飾体の固定保持工程:ST42)
装飾体の固定保持工程は、得られた台座部材22の台座本体部220に、宝石21を配置し、固定保持させる工程である。
図7は宝石21が固定される前の台座部材22の一例を示す図である。
図8は、台座部材22に宝石21が固定された装飾部材20の一例を示す図である。
図8の例において、宝石21は、ファセットカットされた宝石類である。この宝石21のキューレット部を台座本体部220に設けられた略円形の開口部から突き出して台座本体部220に配置する。次に、4本の爪部221を宝石21の正面側に傾斜させて、宝石21を固定保持する。
【0065】
(連結工程:ST50)
連結工程は、装飾部材20の第2係合部23とフレーム部材10の第1係合部13とを連結させる工程である。具体的には、装飾部材20の一方の第2係合部23とフレーム部材10の一方の第1係合部13とを、第1貫通孔131の内面と第2貫通孔231の内面とが接触するように互い連結させる。また、装飾部材20の他方の第2係合部23とフレーム部材10の他方の第1係合部13とを、第1貫通孔131の内面と第2貫通孔231の内面とが接触するように互い連結させる。連結工程は、フレーム部材10の第1係合部13に装飾部材20の第2係合部23を取り付ける取り付け工程の一例である。
【0066】
連結工程(ST50)は、具体的には、挿通部形成工程(ST30)で形成された2つの第1係合部13の挿通部から、第1貫通孔131の中へそれぞれ第2係合部23の第2リング部232を挿通させる挿通工程(ST51)と、挿通工程(ST51)の後、2つの第1係合部13の挿通部をそれぞれ塞ぐ挿通部閉塞工程(ST52)とを有する。挿通工程(ST51)では、第1係合部13に形成された挿通部に対し、円環状の第2リング部232を挿入して、第1リング部132の周方向と第2リング部232の周方向とが交差する方向で、各々の内周縁部同士を接触させた状態とする。その後、挿通部閉塞工程(ST52)では、第1リング部132の挿通部の両端部同士を突き合わせて間隙が減少するように押圧し、第1リング部132を環状に塑性変形させる。これによって、左右の環状の第2リング部232を、左右の第1リング部132に、それぞれ連結して係合させることができる。なお、第1リング部132を上述のように塑性変形させた後に、必要に応じて、ロウ付け、レーザ加熱等によって、第1リング部132の突き合わされた端部同士を接合することも可能である。
【0067】
(その他の工程)
上記の製造方法は、その他の工程(例えば、仕上げ工程)を有していてもよい。仕上げ工程は、得られたフレーム部材10、台座部材22に対して、研磨処理などの各処理を施し仕上げを施す工程である。仕上げ工程は、研磨処理後に、必要に応じて、めっき処理(例えば、ロジウム等の白金族の金属によるめっき処理)を施してもよい。また、紐状部材挿通工程によって、紐状部材の一例であるチェーン3をフレーム部材10の頂部に挿通させることで、ペンダントトップ2が吊り下げられた身飾品であるネックレス1が得られる。
【0068】
以上の工程によって、宝石21を含む装飾部材20がフレーム部材10に対して吊り下げられた状態で揺動可能に支持されているネックレス1が得られる。
【0069】
(本実施形態のまとめ)
上述したように、本実施形態に係る身飾品の製造方法は、例えば以下のような特徴を持つ。
【0070】
本実施形態に係る身飾品の製造方法は、1つの金属板に打ち抜き加工を施すことによって、フレーム本体11と、フレーム本体11の外縁部である本体外縁部110から延びた背面側フレーム部12とを備えるブランク材を形成するブランク材形成工程(ST20)と、ブランク材の背面側フレーム部12が背面側へ延びるようにブランク材を折り曲げる折り曲げ工程(ST23)とを有する。
このような構成によれば、1つの金属板に打ち抜き加工を施すことによって形成されたブランク材に対して曲げ加工を施すことにより、フレーム本体11に対して背面側フレーム部12が背面側に延びたフレーム部材10が形成されるため、鋳造等の方法でフレーム部材を形成する場合に比べて軽薄化された身飾品を製造することができる。
【0071】
本実施形態に係る身飾品の製造方法において、折り曲げ工程(ST24)は、フレーム本体11の端部(本体外縁部110を含んだ端部)である本体端部113の少なくとも一部が背面側へ反るように、背面側フレーム部12に隣接する部分を含んだ本体端部113と背面側フレーム部12とを背面側へ一緒に曲げることを含む。
このような構成によれば、背面側フレーム部12に隣接する部分を含んだ本体端部113と背面側フレーム部12とが折り曲げ工程(ST24)において一緒に曲げられる。これにより、背面側フレーム部12に隣接する本体端部113と背面側フレーム部12との折り曲げ箇所における段差が生じ難くなる。そのため、折り曲げ箇所の強度の低下を抑制できるとともに、美観を高めることができる。
【0072】
本実施形態に係る身飾品の製造方法において、ブランク材形成工程(ST21)は、正面側から見て凸状に曲がった凸状部分を含んだ本体外縁部110を持つフレーム本体11と、凸状部分における離間した場所であって、凸状部分の最頂部を挟んで離間した場所からそれぞれ延びている2つ背面側フレーム部12とを備えるブランク材を形成することを含む。また、本実施形態に係る身飾品の製造方法は、折り曲げ工程(ST23)によって背面側に曲げられた2つの背面側フレーム部12を少なくとも一つの場所(例えば、本体外縁部110から離れた場所)で接合する接合工程(ST24)とを有する。
このような構成によれば、背面側に反った本体端部113の本体外縁部110から背面側へ背面側フレーム部12が延びているため、ネックレス1を正面側から見た場合に背面側フレーム部12と本体外縁部110との段差を隠すことが可能となり、美観が向上する。また、凸状部分において本体端部113が背面側に反っているため、プレス加工を施した金属板の厚みが薄い場合でも、フレーム本体11の強度を高めることができる。更に、凸状部分の最頂部を挟んで離間した場所から延びている2つの背面側フレーム部12が、少なくとも一つの場所(例えば、本体外縁部110から離れた場所)で互いに接合されているため、フレーム部材10の強度を更に高めることができる。
【0073】
本実施形態に係る身飾品の製造方法において、ブランク材形成工程(ST21)は、フレーム本体11の本体外縁部110から延びた少なくとも1つの第1係合部13を備えるブランク材を形成することを含む。また、本実施形態に係る身飾品の製造方法は、第1係合部13と係合可能な少なくとも1つの第2係合部23を備える装飾部材20の第2係合部23と第1係合部13とが係合するように、装飾部材20の第2係合部23を第1係合部13に取り付ける取り付け工程を有する。装飾部材20は、第1係合部13と第2係合部23とが係合した状態でフレーム部材10に対して揺動可能となる。
このような構成によれば、第1係合部13が1つの金属板のプレス加工品であるフレーム部材10の一部であり、ロウ付け等の方法によりフレーム部材10の本体に固定されたものでないため、フレーム部材10が装飾部材20を揺動可能に支持する部分の強度を高めることができる。
【0074】
本実施形態に係る身飾品フレーム部材の製造方法は、1つの金属板に打ち抜き加工を施すことによって、フレーム本体11と、フレーム本体11の外縁部である本体外縁部110から延びた背面側フレーム部12とを備えるブランク材を形成するブランク材形成工程(ST20)と、ブランク材の背面側フレーム部12が背面側へ延びるようにブランク材を折り曲げる折り曲げ工程(ST23)とを有する。
このような構成によれば、1つの金属板に打ち抜き加工を施すことによって形成されたブランク材に対して曲げ加工を施すことにより、フレーム本体11に対して背面側フレーム部12が背面側に延びたフレーム部材10が形成されるため、鋳造等の方法で形成する場合に比べて軽薄化された身飾品のフレーム部材を製造することができる。
【0075】
(変形例)
前述の実施形態では、フレーム本体の外側に設けられる背面側フレーム部が2つである場合について説明した。背面側フレーム部の数は、これに限られず、例えば、3つであってもよく、4つであってもよい。目的とするフレーム部材の形状に応じて、背面側フレーム部の数を決定すればよい。また、前述の実施形態では、フレーム本体を正面視したときの形状が逆V形状をなす場合について説明した。フレーム部材の形状はこれに限られず、菱形、円形、長円形、長矩形、馬蹄形、しずく型(ティアドロップ型)など、目的とするフレーム部材の形状に応じて決定すればよい。また、フレーム部材から延びる第1係合部の位置は、目的とするフレーム部材の形状に応じて決定すればよい。フレーム部材のフレーム本体に宝石等の装飾体を取り付けることも可能である。
【0076】
前述の実施形態では、フレーム部材10の第1リング部132と装飾部材20の第2リング部232とが全体的にリング形状を有する身飾品を製造する場合を一例として説明した。これ以外にも、本開示の製造方法によって得られる身飾品は、フレーム部材の第1係合部と装飾部材の第2係合部とがそれぞれの貫通孔同士で係合して連結されたときに、互いに接触する部分(貫通孔の内面の一部)が円弧状(リング状)の形状を有し、かつ、それ以外の部分が非円弧状の形状に有するように形成されていてもよい。また、前述の実施形態では、1つのフレーム部材10に対して1つの装飾部材20が吊り下げられる身飾品を製造する場合について説明した。これ以外にも、本開示の製造方法によって得られる身飾品は、1つのフレーム部材に対して、2つ以上の装飾部材が吊り下げられた身飾品であってもよい。
【0077】
前述の実施形態では、フレーム部材10に対して装飾部材20を揺動可能に支持する部位として、第1中間部133と第1リング部132とを持つ第1係合部13をフレーム部材10に設けた身飾品の製造方法について説明した。これに限られず、本開示の製造方法によって得られる身飾品は、
図9に示すように、フレーム部材10に対して揺動可能に支持する部位として、フレーム部材10が凹部形状の第1係合部13Aを備える構造であってもよい。この場合、図示しないが、例えばフレーム部材用のブランク材には、第1係合部13Aに対応する部位として、その折り曲げ加工後の形状が、フレーム部材10の左右方向の内側に向けて開口したボックス形状をとなるように、ボックス形状を展開した形状の部位を設けるようにしてもよい。このボックス形状を展開した形状の部位を、折り曲げ工程において折り曲げることにより、
図9に示すようなボックス形状の第1係合部13Aが形成される。第1係合部13Aと係合させるための装飾部材20の第2係合部23Aは、例えば
図9に示すように、台座本体部220から左右方向に延びる棒状の部材とすればよい。この構造では、孔138Aを有する凹部形状の第1係合部13Aと棒状の第2係合部23Aとが係合することにより、装飾部材20が揺動可能に支持される。第2係合部23Aは、孔138Aとの接点が小面積となるように形成してもよい。
【0078】
また、他の態様として、
図10に示すように、凹部形状の第1係合部13Bの孔138Bに差し込まれる装飾部材20の第2係合部23Bが、クランク状に曲がった形状をなしていてもよい。具体的には、第2係合部23Bが、台座本体部220の両側から左右方向に延び、予め定められた位置で上方に延び、次に、左右方向に延び、さらに、下方に延びる形状であってもよい。この下方に延びる第2係合部23Bの先端が、第1係合部13Bの孔138Bの底面に接することにより、装飾部材20がフレーム部材10に対して揺動可能に支持された状態となる。この構造では、第1係合部13Bの孔138Bの底面と第2係合部23Bの先端との接点が小面積であることにより、揺動状態が持続し易くなっている。
【0079】
また、本開示の製造方法によって得られる身飾品は、
図11に示すように、フレーム部材10に対して装飾部材20を揺動可能に支持する部位として、左右方向の内側に向かって延びる棒片状の第1係合部13Cをフレーム部材10に設けてもよい。この場合、図示しないが、フレーム部材用のブランク材には、第1係合部13Cに対応する部位として、その変形加工後の形状が、フレーム部材10の内側に向けて凸状に延びる棒片状の部位を設けてもよい。この棒片状の部位は、
図11に示すような第1係合部13Cとなる。第1係合部13Cと係合させるための装飾部材20の第2係合部23Cは、例えば
図11に示すように、台座本体部220に固定されたリング状の部材であり、左右方向に貫通した孔238Cを持つ。この孔238Cの内面と棒片状の第1係合部13Cとが係合することにより、フレーム部材10に対して装飾部材20が揺動可能に支持された状態となる。
【0080】
さらに、本開示の製造方法によって得られる身飾品は、
図12に示すように、フレーム部材に対して装飾部材20を揺動可能に支持する部位として、フレーム部材10の上方に円環状の第1係合部13Dを設ける構造であってもよい。この場合、図示しないが、フレーム部材用のブランク材には、第1係合部13Dに対応する部位として、その変形加工後の形状が、フレーム部材10の左右方向に湾曲して延びた内周面を持つリング状の部位を設けてもよい。このリング状の部位は、
図12に示すような第1係合部13Dとなる。第1係合部13Dと係合させるための装飾部材20の第2係合部23Dは、例えば
図12に示すように、台座本体部220に接続して設けられるリング状の部材であり、左右方向に貫通した孔238Dを持つ。フレーム部材10のリング状の第1係合部13Dと装飾部材20のリング状の第2係合部23Dとを互いの内周面において接触するように連結することで、装飾部材20がフレーム部材10に対して揺動可能に支持された状態となる。
【0081】
上記に限らず、本開示の製造方法によって得られる身飾品は、図示しないが、揺動式の身飾品以外にも、フレーム部材で構成される身飾品であってもよい。例えば、せん断加工、並びに曲げ及び絞り加工によりフレーム部材を成形した後、予め定められた位置に宝石等の装飾体をはめ込んだフレーム部材を備える身飾品でもよい。装飾部材は、装飾のためにフレーム部材に対して揺動可能に支持される部材であればよく、宝石類などの装飾体を台座に固定させた態様のものに限定されない。例えば、金属などの目的とする材料で形成された装飾部材の本体に2つの第2係合部が一体的に形成されたものでもよい。
【0082】
前述の実施形態では、本開示の製造方法によって得られる身飾品の一例として、ペンダントトップ2を有するネックレス1の例を説明した。これ以外にも、本開示の製造方法によって得られる身飾品は、イヤリング、ブローチ、ネクタイ止め等のその他の身飾品であってもよい。中でも、ネックレス、及びイヤリングのいずれかであることが好ましい。なお、本開示において、ネックレスは、ペンダントを含む首飾りの総称であり、イヤリングは、イヤリングとピアスと含む耳飾りの総称である。
【0083】
以上、本開示の好ましい実施形態の一例について説明したが、本開示の製造方法はこれらの実施形態に限定されることはない。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
【0084】
本開示の身飾品及び身飾品の製造方法に関連する付記を以下に記す。
[付記1]
フレーム部材を備える身飾品の製造方法であって、
前記フレーム部材は、
正面側と背面側が規定されたフレーム本体と、
背面側フレーム部とを含み、
1つの金属板に打ち抜き加工を施すことによって、前記フレーム本体と、前記フレーム本体の外縁部である本体外縁部から延びた前記背面側フレーム部とを備えるブランク材を形成する工程と、
前記ブランク材の前記背面側フレーム部が前記背面側へ延びるように前記ブランク材を折り曲げる工程と
を有する身飾品の製造方法。
[付記2]
前記ブランク材を折り曲げる工程は、前記フレーム本体の端部であって、前記本体外縁部を含んだ端部である本体端部の少なくとも一部が前記背面側へ反るように、前記背面側フレーム部に隣接する部分を含んだ前記本体端部と前記背面側フレーム部とを前記背面側へ一緒に曲げることを含む、
付記1に記載の身飾品の製造方法。
[付記3]
前記ブランク材を形成する工程は、
前記正面側から見て凸状に湾曲した凸状部分を含んだ前記本体外縁部を持つ前記フレーム本体と、
1以上の前記背面側フレームと他の1以上の前記背面側フレームとが、前記凸状部分における離間した場所であって、前記凸状部分の最頂部を挟んで離間した場所からそれぞれ延びている、2以上の前記背面側フレーム部と
を備える前記ブランク材を形成することを含み、
前記ブランク材を折り曲げる工程によって前記背面側に曲げられた前記1以上の背面側フレームと前記他の1以上の背面側フレームとを、少なくとも1つの場所で接合する工程を有する、
付記2に記載の身飾品の製造方法。
[付記4]
前記身飾品は、前記フレーム部材に対して揺動可能に支持された装飾部材を備え、
前記ブランク材を形成する工程は、前記フレーム本体の前記本体外縁部から延びた少なくとも1つの第1係合部を備える前記ブランク材を形成することを含み、
前記第1係合部と係合可能な少なくとも1つの第2係合部を備える前記装飾部材の前記第2係合部と前記第1係合部とが係合するように、前記装飾部材の前記第2係合部を前記第1係合部に取り付ける工程を有し、
前記装飾部材は、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態で前記フレーム部材に対して揺動可能となる、
付記1~3のいずれか一項に記載の身飾品の製造方法。
[付記5]
前記ブランク材を折り曲げる工程は、前記フレーム本体の端部であって、前記本体外縁部を含んだ端部である本体端部の少なくとも一部が前記背面側へ反るように、前記背面側フレーム部に隣接する部分と前記第1係合部に隣接する部分とを含んだ前記本体端部と、前記背面側フレーム部と、前記第1係合部とを前記背面側へ一緒に曲げることを含む、
付記4に記載の身飾品の製造方法。
[付記6]
前記ブランク材を形成する工程は、第1貫通孔が形成された前記第1係合部を備える前記ブランク部材を形成することを含み、
前記第1係合部に前記第2係合部を取り付ける工程は、第2貫通孔が形成された前記第2係合部と前記第1係合部とを、前記第1貫通孔の内面と前記第2貫通孔の内面とが接触するように互い連結させることを含む、
付記4又は5に記載の身飾品の製造方法。
[付記7]
前記身飾品がネックレス又はイヤリングである、
付記1~6のいずれか一項に記載の身飾品の製造方法。
[付記8]
身飾品のフレーム部材の製造方法であって、
前記フレーム部材は、
正面側と背面側が規定されたフレーム本体と、
背面側フレーム部とを含み、
1つの金属板に打ち抜き加工を施すことによって、前記フレーム本体と、前記フレーム本体の外縁部である本体外縁部から延びた前記背面側フレーム部とを備えるブランク材を形成する工程と、
前記ブランク材の前記背面側フレーム部を前記フレーム本体に対して前記背面側に折り曲げる工程と
を有する身飾品のフレーム部材の製造方法。
【符号の説明】
【0085】
1・・・ネックレス
2・・・ペンダントトップ
3・・・チェーン
10・・・フレーム部材
11・・・フレーム本体
110・・・本体外縁部
113・・・本体端部
12・・・背面側フレーム部
121・・・上部フレーム
122・・・下部フレーム
123・・・中間フレーム
124・・・開口部
13,13A~13D・・・第1係合部
131・・・第1貫通孔
132・・・第1リング部
133・・・第1中間部
134・・・リング外縁部
135・・・開口部
136・・・内面
138A,138B,238C,238D・・・孔
20・・・装飾部材
21・・・宝石
22・・・台座部材
220・・・台座本体部
221・・・爪部
23,23A~23D・・・第2係合部
231・・・第2貫通孔
232・・・第2リング部
233・・・第2中間部