(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】経皮デバイスにおける配向表示および位置合わせに関する装置
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20240729BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B17/34
(21)【出願番号】P 2020557923
(86)(22)【出願日】2019-04-23
(86)【国際出願番号】 GB2019051132
(87)【国際公開番号】W WO2019202339
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-03-17
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517317428
【氏名又は名称】ステント・テック・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】STENT TEK LIMITED
【住所又は居所原語表記】1 SQUARE RIGGER ROW, LONDON SW11 3TZ, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ポーパ,ソリン
(72)【発明者】
【氏名】ディキンソン,ロバート
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/092613(WO,A1)
【文献】特表2018-508333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/20
A61B 17/34
A61B 17/11
A61B 5/06
A61M 25/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースデバイスとターゲットデバイスとの間の角度の位置合わせを判定するための装置
であって、前記装置が、ソースデバイス、ターゲットデバイス、および処理システムを備
え、前記ソースデバイスが、第1の空間的に変化する電場を発生させるための第1の空間
的に変化する電場発生器、および第2の空間的に変化する電場を発生させるための第2の
空間的に変化する電場発生器を備え、前記第2の空間的に変化する電場が、前記第1の空
間的に変化する電場に関して共有軸または共通軸の周囲で角度的にオフセットされており
、前記ターゲットデバイスが、前記第1の空間的に変化する電場からの第1の信号、およ
び前記第2の空間的に変化する電場からの第2の信号を検出するように構成されている少
なくとも1つのセンサを備え、前記処理システムが、前記ターゲットデバイスによって検
出された前記第1の空間的に変化する電場および前記第2の空間的に変化する電場からの
前記第1の信号および前記第2の信号に基づいて、前記ソースデバイスと前記ターゲット
デバイスとの間の角度の位置合わせを判定
し、
前記処理システムが、前記ソースデバイスを少なくとも第1のモードおよび第2のモードで動作させることができ、前記第1のモードにおいて、前記第1の空間的に変化する電
場発生器が、前記第1の空間的に変化する電場を発生させ、前記第2のモードにおいて、
前記第2の空間的に変化する電場発生器が、前記第2の空間的に変化する電場を発生させ、
前記処理システムが、前記ソースデバイス上の前記第1の空間的に変化する電場発生器
および前記第2の空間的に変化する電場発生器に接続されている、第1のスイッチングシ
ステムをさらに備え、前記第1のスイッチングシステムが、前記ソースデバイスを、前記
第1のモードと前記第2のモードとの間で切り替えるように構成されている、装置。
【請求項2】
前記第1の空間的に変化する電場および前記第2の空間的に変化する電場の各々が、共
有軸または共通軸の周囲で既知の角度依存性を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の空間的に変化する電場が、前記第2の空間的に変化する電場から、共有軸ま
たは共通軸の周囲で所定の角度だけ角度的にオフセットされている、請求項1又は2に記
載の装置。
【請求項4】
前記所定の角度が、90°である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の空間的に変化する電場発生器および前記第2の空間的に変化する電場発生器
が、各々少なくとも1つの電極である、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の空間的に変化する電場発生器の前記少なくとも1つの電極が、角度依存性お
よび/または空間依存性を有する前記第1の空間的に変化する電場を生成するように配置
されており、前記第2の空間的に変化する電場発生器の前記少なくとも1つの電極が、角
度依存性および/または空間依存性を有する前記第2の空間的に変化する電場を生成する
ように配置されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
角度依存性および/または空間依存性を有する、前記第1の空間的に変化する電場およ
び前記第2の空間的に変化する電場が、双極子、四極子、および八極子を含む群から独立
して選択された場である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の空間的に変化する電場発生器の前記少なくとも1つの電極および前記第2の
空間的に変化する電場発生器の前記少なくとも1つの電極が、各々別個に配置されて、双
極子場を生成する、請求項5~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のスイッチングシステムが、前記ソースデバイスを前記第1のモードおよび前
記第2のモードで連続的に動作させる、請求項
1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記ソースデバイスは、粗い角度の位置合わせが実現されるまで前記第1のモードで動
作し、次いで、前記ソースデバイスが、前記第2のモードで動作して、精細な角度の位置
合わせを実現し、粗い角度の位置合わせが、精細な角度の位置合わせと比較して、前記ソ
ースデバイスの角度の位置合わせの角度においてより低い精度を有する、請求項
9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のスイッチングシステムが、前記第1のモードと前記第2のモードとの間でト
グルし、その結果、信号を、前記第1の空間的に変化する電場および前記第2の空間的に
変化する電場の両方から同時に検出することができる、請求項
1~
10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記第1のスイッチングシステムが、前記ソースデバイスを前記第1のモードおよび前
記第2のモードで同時に動作させる、請求項
1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の空間的に変化する電場および前記第2の空間的に変化する電場が、前記ター
ゲットデバイス上の前記センサによって区別可能である、請求項
12に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の空間的に変化する電場および前記第2の空間的に変化する電場が、異なる搬
送周波数を有する前記第1の空間的に変化する電場および前記第2の空間的に変化する電
場に起因して、前記ターゲットデバイス上の前記センサによって区別可能である、請求項
13に記載の装置。
【請求項15】
前記ターゲットデバイス上の前記センサが、第2のスイッチングシステムを介して前記
処理システムに接続されており、前記第2のスイッチングシステムが、前記センサで検出
された、前記検出された空間的に変化する信号を2つのメモリ場所のうちの一方に流用し
、前記第2のスイッチングシステムは、前記第1のスイッチングシステムが前記第1のモ
ードで動作しているとき、検出された信号を前記2つのメモリ場所の第1のメモリ場所に
流用し、前記第2のスイッチングシステムは、前記第1のスイッチングシステムが前記第
2のモードで動作しているとき、前記検出された信号を、前記2つのメモリ場所の第2の
メモリ場所に流用する、請求項
1~
14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記第2のスイッチングシステムが、ハードウェアおよびソフトウェアからなる群から
選択されるタイプのものである、請求項
15に記載の装置。
【請求項17】
請求項1~
16のいずれか一項に記載の装置で使用するための処理システム。
【請求項18】
ディスプレイをさらに備える、請求項1~
16のいずれか一項に記載の装置、または請求項
17に記載の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する体腔間の導管、開口部、または瘻孔の低侵襲性の作成(吻合)に使用される装置および方法に関する。特に、本発明は、吻合の低侵襲性の作成に使用される装置および方法、より具体的には、カテーテルおよび位置合わせ技法を使用する吻合の作成に関する。
【背景技術】
【0002】
低侵襲性手術は、様々な心血管および内視鏡処置を実行するための一般的な方法である。これは典型的には、皮膚の小さな切開を通して、体内の様々な管腔または他の空洞に挿入されるカテーテルを使用して実行される。導管、開口部、または瘻孔(吻合)の作成への経皮的アプローチは、処置を簡素化すること、および開存性に悪影響を与える空洞または血管への外科的外傷を低減させることを含む、いくつかの臨床的利点を有する。
【0003】
経皮的に吻合を作成する目的でいくつかの技術が開発されるが、臨床使用が承認されたものはない。以下の技術はすべて、隣接する2つの血管の間に吻合を作成するために、1つまたは2つのカテーテルを用いる。米国特許第8523800号明細書は、COPD患者および高血圧症の患者を治療することを目的とした瘻孔を形成するための技術について説明する。米国特許第5830222号明細書は、動脈血を静脈系に流用するために2つの血管を経皮的に接続するための技術について説明し、米国特許第6475226号明細書は、冠状動脈バイパス手術の代替法について説明する。米国特許出願公開第2013/0281998号明細書および米国特許出願公開第2012/0302935号明細書は、透析使用のための瘻孔を経皮的に作成するための技術について説明する。
【0004】
吻合を作成するために血管内または内視鏡カテーテルを使用する1つのアプローチは、接続を形成するために、2つの体腔(すなわち、2つの管腔)の間にチューブまたはステントグラフトを配置することを含む。蛍光透視法は角度の位置合わせには不十分であるため、これには2つのカテーテルを位置合わせするための能動的な手段が必要である。
【0005】
上記のような低侵襲的かつ経皮的介入では、ある介入デバイスを別の介入デバイスに対して位置合わせする必要がある。
【0006】
方向性位置合わせは、ビームのようなエネルギー源、すなわち、回転する灯台ビーコン(すなわち、ほとんどのソースデバイスの回転に対して信号がないか最小限であり、正しい方向を指すと明るいピークとなる)のように機能するレーザを使用して実現できることが既知である。このアプローチで測定された信号は、インパルス関数のガウス近似に似ている。
【0007】
代替的に、ソースデバイスのターゲットデバイスへの位置合わせは、ソースデバイスから方向性または非対称の信号もしくは電場を送信し、隣接するターゲットデバイスで信号を受信することによって実現することができる。受信された信号が位置合わせを示すように、ソースデバイスを回転または別様に移動させる。この技術は、電場を含む多くの異なる技術(国際公開第2016/145202号)を参照して説明される。位置合わせは、例えば、ある空洞から別の空洞へのチャネルを作るためにステントグラフトを挿入する前兆として、あるデバイスから別のデバイスへの針などの貫通デバイスの前進を案内するために使用することができる(国際公開第97/13463号)。
【0008】
最大信号が得られるまで回転するプロセスには、いくつかの欠点を有する。場合によっては、最大値が浅くなり、角度の変化に位置合わせが敏感にならず、位置合わせが不正確になり得る。最大値を見つけるには、最大値に達してから通過するまで、ソースデバイスを回転させる必要があるため、信号が、最大値から減少し始め、つまり、最大値を位置付けるプロセスは、オペレータが最大信号にたどり着くまで、両方向に何度も反復移動を必要とすることを意味する。さらに第1の信号が得られるとき、ソースデバイスをどの方向に回転させるかが明確ではなく、これにより、信号を最大化しようとする前に信号を見つけるために大幅な回転をもたらす場合がある。
【0009】
さらに、ターゲットデバイスに対してソースデバイスを回転的に位置合わせさせる目的は、針などの貫通部材(すなわち、交差部材)を、空洞または血管の管腔内のソースカテーテルから、ターゲットカテーテルが位置付けられる空洞または血管の管腔に正確に方向付けることである。ターゲットカテーテルが、それが存在する管腔内で適切に中心に置かれていない場合、交差部材が最初にターゲットカテーテルに位置合わせされたとしても、交差部材が管腔を完全に失うリスクが高まる。加えて、それがターゲット体腔に到達した後、貫通部材を感知および/または捕捉する手段が望ましいであろう。
【0010】
付加的に、針の配置と位置合わせされる非対称電場の発生には、ソースデバイス上の電極の正確な位置決めが必要である。現在の製造方法は、直径の小さいカテーテルに限定されており、典型的には、再現性と精度が制限される、導電性フォイルの手動の組み立て/配置を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第8523800号明細書
【文献】米国特許第5830222号明細書
【文献】米国特許第6475226号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0281998号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0302935号明細書
【文献】国際公開第2016/145202号
【文献】国際公開第97/13463号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、先行技術と関連付けられた不利な点の少なくともいくつかに対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の概要
本出願の範囲内で、前の段落、特許請求の範囲、および/または以下の説明ならびに図面、特にその個々の特徴において記載されている様々な態様、実施形態、実施例および代替例が、独立して、または任意の組み合わせで、取られ得ることが明確に意図される。すなわち、すべての実施形態および/または任意の実施形態の特徴は、かかる特徴が不適合な場合を除いて、任意の方法および/または組み合わせで組み合わせることができる。出願人は、最初に出願された請求項を変更する権利、またはそれに応じて新しい請求項を出願する権利を留保し、これには、その様式で最初になされた請求でなくとも、最初に出願されたいずれの請求項を修正して、任意の他の請求項の任意の特徴に従属し、および/または任意の特徴を組み込むための権利を含む。
【0014】
本発明の第1の態様によれば、ソースデバイスとターゲットデバイスとの間の位置合わせを判定するための装置が提供される。この装置は、ソースデバイス、ターゲットデバイス、および処理システムを備える。ソースデバイスは、第1の空間的に変化する電場を発生させるための第1の空間的に変化する電場発生器、および第2の空間的に変化する電場を発生させるための第2の空間的に変化する電場発生器を備え、第2の空間的に変化する電場は、第1の空間的に変化する電場に関して、角度的にオフセットされる。ターゲットデバイスは、第1の空間的に変化する電場からの第1の信号および第2の空間的に変化する電場からの第2の信号を検出するように構成された少なくとも1つのセンサを備える。
【0015】
処理システムは、ターゲットデバイスによって検出された第1および第2の空間的に変化する電場からの第1および第2の信号に基づいて、第1のソースデバイスとターゲットデバイスとの間の位置合わせを判定するように構成される。
【0016】
一実施形態では、第1の空間的に変化する場および第2の空間的に変化する場の各々は、既知の角度依存性を有し得る。別の実施形態では、第1の空間的に変化する電場は、所定の角度、または既知の角度によって、第2の空間的に変化する電場から角度的にオフセットされ得る。好適には、所定の角度は、90°であり得る。
【0017】
さらなる実施形態では、第1の空間的に変化する電場発生器および第2の空間的に変化する電場発生器は、各々少なくとも1つの電極であり得る。好適には、第1の空間的に変化する電場発生器および第2の空間的に変化する電場発生器は、各々少なくとも2つの電極であり得る。
【0018】
好適には、第1の空間的に変化する電場発生器の少なくとも1つの電極は、角度依存性および/または空間依存性を有する第1の空間的に変化する電場を生成するように配置されており、第2の空間的に変化する電場発生器の少なくとも1つの電極が、角度依存性および/または空間依存性を有する第2の空間的に変化する電場を生成するように配置される。
【0019】
一実施形態では、角度依存性および/または空間依存性を有する、第1の空間的に変化する電場および第2の空間的に変化する電場が、双極子、四極子、および八極子を含む群から独立して選択された場である。
【0020】
好適には、第1の空間的に変化する電場発生器の少なくとも1つの電極および第2の空間的に変化する電場発生器の少なくとも1つの電極が、各々別個に配置されて、双極子場を生成し得る。
【0021】
一実施形態では、処理システムは、ソースデバイスを少なくとも第1のモードおよび第2のモードで動作させることができる可能性があり、第1のモードにおいて、第1の空間的に変化する電場発生器が、第1の空間的に変化する電場を発生させ、第2のモードにおいて、第2の空間的に変化する電場発生器が、第2の空間的に変化する場を発生させる。
【0022】
一実施形態では、処理システムは、ソースデバイス上の第1の空間的に変化する電場発生器および第2の空間的に変化する電場発生器に接続されている、第1のスイッチングシステムをさらに備え得、第1のスイッチングシステムが、ソースデバイスを、第1のモードと第2のモードとの間で動作させるように構成される。
【0023】
一実施形態では、スイッチングシステムは、ソースデバイスを第1のモードおよび第2のモードで連続的に動作させ得る。
【0024】
一実施形態では、ソースデバイスは、粗い位置合わせが実現されるまで第1のモードで動作し得、次いで、ソースデバイスが、第2のモードで動作して、精細な位置合わせを実現し、粗い位置合わせが、精細な位置合わせと比較して、ソースデバイスの位置合わせの角度においてより低い精度を有する。
【0025】
一実施形態では、第1のスイッチングシステムは、第1のモードと第2のモードとの間でトグルし、それにより、信号を、第1の空間的に変化する場および第2の空間的に変化する場の両方から同時に検出することができる。
【0026】
代替的な実施形態では、第1のスイッチングシステムは、ソースデバイスを第1のモードおよび第2のモードで同時に動作させてもよい。この実施形態では、好適には、第1の空間的に変化する電場および第2の空間的に変化する電場は、ターゲットデバイス上のセンサによって区別可能であり得る。より好適には、第1の空間的に変化する電場および第2の空間的に変化する電場は、異なる搬送周波数を有する、第1の空間的に変化する電場および第2の空間的に変化する電場に起因して、ターゲットデバイス上のセンサによって区別可能であり得る。
【0027】
実施形態では、ターゲットデバイス上のセンサは、第2のスイッチングシステムを介して処理システムに接続され得、第2のスイッチングシステムが、センサで検出され、または感知された、検出された空間的に変化する信号を2つのメモリ場所のうちの一方に流用し、第2のスイッチングシステムは、第1のスイッチングシステムが第1のモードで動作しているとき、検出された信号を2つのメモリ場所の第1のメモリ場所に流用するように制御され、第2のスイッチングシステムは、第1のスイッチングシステムが第2のモードで動作しているとき、検出された信号を、2つのメモリ場所の第2のメモリ場所に流用する。
【0028】
好適には、第2のスイッチングシステムは、ハードウェアおよびソフトウェアからなる群から選択されたタイプのものであり得る。
【0029】
本発明の別の態様によれば、ソースデバイスとターゲットデバイスとの間の位置合わせの角度を判定するための方法が提供され、ソースデバイスが、第1の空間的に変化する電場を発生させるための第1の空間的に変化する電場発生器と、第2の空間的に変化する電場を発生させるための第2の空間的に変化する電場発生器と、を備え、第2の空間的に変化する電場が、第1の空間的に変化する電場に関して角度的にオフセットされており、ターゲットデバイスが、第1の空間的に変化する電場からの第1の信号および第2の空間的に変化する電場からの第2の信号を検出するように構成された少なくとも1つのセンサを備える。本方法は、
a)ソースデバイス上の第1の空間的に変化する電場発生器から第1の空間的に変化する電場を発生させることと、
b)第1の空間的に変化する信号を提供するために、ターゲットデバイス上のセンサを使用して、第1の空間的に変化する電場の信号を検出することと、
c)ソースデバイス上の第2の空間的に変化する電場発生器から第2の空間的に変化する場を発生させることと、
d)第2の空間的に変化する信号を提供するために、ターゲットデバイス上のセンサを使用して、第2の空間的に変化する電場の信号を検出することと、
続いて、
e)第1の空間的に変化する電場および第2の空間的に変化する電場に関して、検出された信号の関数として、ソースデバイスとターゲットデバイスとの間の位置合わせ角度を判定することと、を含む。
【0030】
実施形態では、ステップ(a)は、ステップ(b)に先行し、ステップ(c)は、ステップ(d)に先行する。ステップ(a)および(b)、ならびにステップ(c)および(d)は、順に実行されても(すなわち、ステップ(a)、ステップ(b)が続き、その後にステップ(c)が続き、その後にステップ(d)が続く)、逆順に実行されても(すなわち、ステップ(c)の後に工程(d)が続き、その後にステップ(a)が続き、その後にステップ(b)が続く)、または同時に実行されてもよい(すなわち、ステップ(a)~(d)はすべて、同時に実行される)。好適には、ステップ(a)~(d)のすべては、一度実行されるか繰り返されるかにかかわらず、ステップ(e)に先行する。
【0031】
好適には、ステップ(a)~(d)は、同時に実行される。代替的に、ステップ(a)~(e)が順に実行されるとき、ステップ(b)の後、第1の空間的に変化する電場は、信号が、第2の空間的に変化する電場によって発生させられる前に、オフに切り替えられる。
【0032】
別の実施形態では、ステップ(a)~(d)は、繰り返されてもよい。
【0033】
一実施形態では、位置合わせ角度は、式:位置合わせ角度=関数(第1の空間的に変化する信号、第2の空間的に変化する信号)を使用して、ステップ(b)および(d)における検出された信号の関数として計算され得る。
【0034】
別の実施形態では、第1の空間的に変化する電場が、第2の空間的に変化する電場から約90o だけ角度的にオフセットされる場合、位置合わせ角度は、式:位置合わせ角度=arctan(第1の空間的に変化する信号、第2の空間的に変化する信号2)を使用して、ステップ(b)および(d)における検出された信号の関数として計算される。
【0035】
さらなる実施形態では、第1の空間的に変化する場および第2の空間的に変化する場の角度依存性は、同じであり、ならびに/または第1の空間的に変化する場および第2の空間的に変化する場の角度依存性は、正弦波である。
【0036】
一実施形態では、所望の位置合わせ角度は、第1の空間的に変化する電場および第2の空間的に変化する電場によって示される角度から、オフセット角度によって定義される角度だけオフセットされ、位置合わせ角度は、式:位置合わせ角度=オフセット角度+arctan(第1の空間的に変化する信号、第2の空間的に変化する信号)を使用して、ステップ(b)および(d)における検出された信号の関数として計算される。
【0037】
一実施形態では、位置合わせ角度は、ディスプレイ上に表示される。
【0038】
本発明の第3の態様によれば、上記の装置で使用するための、および/または上記の方法を実行するように構成された処理システムが提供される。
【0039】
本発明の第1の態様または本発明の第3の態様の一実施形態では、装置または処理システムは、ディスプレイをさらに備えてもよい。
【0040】
また、本明細書に記載されるのは、ターゲットデバイスの位置合わせ中心を、それが位置付けされるターゲット管腔に向かって、またはその中心に位置決めするためのセルフセンタリング機構(SCM)を備えるターゲットデバイスである。好適には、SCMは、半径方向に拡張可能な部材を含み得る。好適には、SCMは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50またはそれ以上の半径方向に拡張可能な部材を含み得る。好適には、半径方向に拡張可能な部材は、実質的に等しい剛性のものである。実施例では、半径方向に拡張可能な部材は、中心の長手方向軸の周りに実質的に回転対称の配向で配置される。好適には、SCMの半径方向に拡張可能な部材の各々は、展開されるとき、一方の端部の固定近位点から他方の端部の固定遠位点まで延在する弧状である。
【0041】
実施例では、SCMは、ターゲットデバイス、好適にはカテーテルの細長いシャフトの遠位端に位置付けられる。ターゲットデバイスは、細長いシャフトの長さに沿って延在する管腔を有し得る。実施例では、SCMは、第1の格納位置または構成および第2の展開位置または構成を有し、実施例では、SCMは、第1の格納位置から第2の展開位置まで半径方向に拡張可能であり、カテーテルの細長いシャフトの端部を、血管またはそれが位置付けられる管腔もしくは空洞の中心に位置決めする。第1の格納位置は、ターゲットデバイス上の管腔内で完全にまたは実質的に格納されているSCMを備え得る。拡張構成を実現するために、SCMは、ターゲットデバイスの管腔から遠位に前進させて、1つ以上の半径方向に拡張可能な部材を、好適には細長いシャフトの長手方向軸から半径方向に拡張させることができる。好適には、拡張は、少なくとも1つ、好適には少なくとも2つ、好適には少なくとも3つ、好適には4つ以上、好適には半径方向に拡張可能な部材の各々が、ターゲットデバイスが位置付けられる血管または空洞の内壁に接触する程度までである。好適には、半径方向に拡張可能な部材は、Nitinol(登録商標)などの形状記憶金属で形成され、その結果、格納構成と拡張構成との間の移動は、ターゲットデバイスからのSCMの展開時に自動的に行われる。第1の格納位置は、比較的狭い血管を通って体内のターゲット領域へのSCMの通過を可能にし得、次いで、SCMは、ターゲット領域に到達すると、第2の展開位置に展開され得る。
【0042】
実施例では、セルフセンタリング機構は、導電性部材を含み得るか、代替的に、半径方向に拡張可能な部材またはその一部が導電性である。好適には、導電性部材または導電性の半径方向に拡張可能な部材、またはその一部は、中心点または軸の周囲に円周方向に配置されて、中心点または軸に単一の感知電極を模倣または提供し、好適には、SCMの中心点または軸は、拡張可能な部材の各々から実質的に、またはほぼ等距離にある。
【0043】
実施例では、導電性部材または導電性の半径方向に拡張可能な部材、またはその一部は、ターゲットデバイスが位置付けられる血管または空洞に入った貫通部材などのデバイスとの接触を検出するためのセンサとして機能するように構成される。好適には、SCM導電性部材または導電性の半径方向に拡張可能な部材もまた、または代替的に、ターゲットデバイスが位置付けられる管腔を離れる際にデバイス貫通部材を検出するように構成される。
【0044】
実施例では、SCMは、ターゲットデバイス内に存在するか、またはターゲットデバイスに運ばれるガイドワイヤもしくは他の好適な物体を、捕捉またはスネアするように構成される。捕捉は、ガイドワイヤまたは他の好適な物体が少なくとも2つの半径方向に拡張可能な部材の間を通過すると、SCMをターゲットデバイスの管腔に格納することによって好適に行うことができる。
【0045】
この説明はまた、貫通部材の存在および/または位置を検出し、ガイドワイヤを捕捉するためのSCMを備えるターゲットデバイスの使用方法に関する。この説明はまた、SCMおよびSCMを備えるターゲットデバイスの製造方法に関する。
【0046】
また、本明細書に記載されるのは、カテーテルのものなどの、小径の曲面上に電極を作成するための方法である。好適には、本方法は、カテーテル上での電極の作成において十分な精度を提供し、それらが2つの血管または空洞の間の導管の作成(吻合)を案内することができる。好適には、配置の精度は、10ミクロンの解像度よりも優れており、基点上の公称位置に対して1度以内に回転方向に位置合わせされている必要がある。
【0047】
別の実施例では、印刷方法は、連続的な流体押し出しを含むことができる。印刷方法は、米国特許出願公開第2010/0209318号明細書に記載されているものと同様であり得、内部に記載されている印刷方法の詳細は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
一実施例では、要素およびトラックは、ベースとして銀ベースのインクで作られ、その上に金ベースのインクが印刷されている。好適には、ポリウレタンなどの絶縁材料が、導電性トラックの上部に選択的に印刷されて、特定の要素のみを露出させることができる。
【0049】
別の実施例では、プライマが、カテーテルチューブ上に印刷され、その後、無電解めっき溶液に浸漬することにより、電極パターンを堆積させることができる
【0050】
別の実施例では、プライマが、カテーテルチューブ上に印刷され、次いで、レーザで活性化され、その後、無電解めっき溶液に浸漬することにより、電極パターンを堆積させることができる
【0051】
別の実施例では、電極パターンのネガを含有するマスクを使用することができ、それを通して、金または銀などの金属を、スパッタ堆積(物理蒸着(PVD)の形態)を使用してポリマー基板に適用することができる。
【0052】
別の実施例では、金または銀などの金属を、スパッタ堆積を使用してポリマー基板に適用することができ、その後、レーザビームを使用して、金属化コーティングを選択的にアブレーションして、電極パターンを作成することができる。
【0053】
この方法は、カテーテルを回転させること、および回転中に電極をカテーテルの表面上に印刷することを含み得る。印刷プロセスは、好適な導電性材料のインクジェット印刷プロセスを含み得る。
【0054】
好適には、インクは、銀粒子または金粒子、もしくは他の導電性材料を含む。インクはまた、硬化したときに可撓性を維持するポリマー媒体を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
ここで、本発明の1つ以上の実施形態を、単に例として、添付の図面を参照して説明する。
【
図1】ソースカテーテル(
図1a)、感知/ターゲットカテーテル(
図1b)、ならびにデバイスのハンドルおよびユーザインターフェースを備える装置の一実施形態の表現である。
【
図2a】
図1のソースカテーテルのより詳細な表現である。
【
図2b】線BBに沿った
図2aのソースカテーテルの断面表現である。
【
図2c】
図2aの円E内のソースカテーテルの遠位端の拡大図である。
【
図3a】信号源電極が貫通部材上に配置された装置、および感知カテーテルの一実施形態の表現である。
【
図3b】2対の信号源電極が貫通部材上に直径方向に対向する様式で配置された装置、および感知カテーテルの一実施形態の表現である。
【
図3c】
図3bに示される貫通部材の断面図を示す。
【
図3d】貫通部材の先端を形成する単一のソース電極を備えた装置の一実施形態の表現である。
【
図3e】貫通部材の全長からなる単一のソース電極を備えた装置の一実施形態の表現である。
【
図4a】一実施形態による感知カテーテルの特定の実施形態の表現である。
【
図4b】線AAに沿った
図4aの感知カテーテルの断面表現である。
【
図5】
図1、
図2、
図4a、
図4bに示される装置で使用される位置合わせ処理システムの特定の実施形態を示すブロック図である。
【
図6】
図3に示される位置合わせ処理システムで使用するための装置の一実施形態の表現である。
【
図7a】処理システムが第1のモードに切り替えられたときの、ソースカテーテルの切り替えられた電極配置の代替表現である。
【
図7b】処理システムが第1のモードに切り替えられたときの、ソースカテーテルの切り替えられた電極配置の代替表現である。
【
図8】
図7aまたは
図7bのいずれかに示されるシステムが第1のモードに切り替えられたときの、ソースカテーテルの信号出力対感知カテーテルに対するソースカテーテルの回転角を示す図である。
【
図9a】処理システムが第2のモードに切り替えられたときの、ソースカテーテルの切り替えられた電極配置の代替表現である。
【
図9b】処理システムが第2のモードに切り替えられたときの、ソースカテーテルの切り替えられた電極配置の代替表現である。
【
図10】
図9aまたは
図9bに示されるシステムが第2のモードに切り替えられたときの、感知カテーテルの信号出力対感知カテーテルに対するソースカテーテルの角度を示す図である。
【
図11】
図8および
図10の図を重ね合わせた図であり、システムが第1のモードと第2のモードとの間で切り替えられたときの、感知カテーテルの信号出力対感知カテーテルに対するソースカテーテルの角度を示す。
【
図12】ターゲット管腔内のターゲットカテーテルと位置合わせされた、発射管腔内の発射またはソースカテーテルを示す表現であり、発射カテーテルが、ターゲット管腔の中心に位置合わせされている。
【
図13】セルフセンタリング機構を備えたターゲットカテーテルの一実施形態を示す表現であり、セルフセンタリング機構が、ターゲット管腔内の低い半径方向プロファイルの格納位置にある。
【
図14】半径方向に拡張可能な要素がターゲット管腔内に展開された、拡張構成にあるセルフセンタリング機構を備えたターゲットカテーテルの一実施形態を示す表現である。
【
図15】発射管腔およびターゲット管腔内にそれぞれ位置付けられた発射カテーテルおよびターゲットカテーテルの一実施形態を示す表現であり、セルフセンタリング機構は、拡張構成にあり、ターゲット管腔の中心に位置付けられたターゲットポイントソースを作成する。
【
図16】発射管腔およびターゲット管腔内それぞれの発射カテーテルおよびターゲットカテーテルを示す表現であり、ターゲットカテーテルが、本発明に従っていないか、または半径方向に拡張可能な要素が、展開されていない。ターゲットカテーテルによって形成されたターゲットポイントソースは、ターゲット管腔の中心に固定されていない。
【
図17a】ターゲット管腔への貫通部材の進行を示す本発明の一実施形態の表現であり、ターゲットカテーテルが、拡張構成でセルフセンタリング機構を備えて配設され、ターゲットポイントソースがその中心またはその近位で形成される。
【
図17b】ターゲット管腔への貫通部材の進行を示す本発明の一実施形態の表現であり、ターゲットカテーテルが、拡張構成でセルフセンタリング機構を備えて配設され、ターゲットポイントソースがその中心またはその近位で形成される。
【
図17c】ターゲット管腔への貫通部材の進行を示す本発明の一実施形態の表現であり、ターゲットカテーテルが、拡張構成でセルフセンタリング機構を備えて配設され、ターゲットポイントソースがその中心またはその近位で形成される。
【
図18a】本発明のセルフセンタリング機構の一実施形態の側面図と、ターゲット管腔内にガイドワイヤを展開および捕捉(スネアリング)する本発明の処理システムと、を示す一連の表現である。
【
図18b】本発明のセルフセンタリング機構の一実施形態の側面図と、ターゲット管腔内にガイドワイヤを展開および捕捉(スネアリング)する本発明の処理システムと、を示す一連の表現である。
【
図18c】本発明のセルフセンタリング機構の一実施形態の側面図と、ターゲット管腔内にガイドワイヤを展開および捕捉(スネアリング)する本発明の処理システムと、を示す一連の表現である。
【
図18d】本発明のセルフセンタリング機構の一実施形態の側面図と、ターゲット管腔内にガイドワイヤを展開および捕捉(スネアリング)する本発明の処理システムと、を示す一連の表現である。
【
図18e】本発明のセルフセンタリング機構の一実施形態の側面図と、ターゲット管腔内にガイドワイヤを展開および捕捉(スネアリング)する本発明の処理システムと、を示す一連の表現である。
【
図18f】本発明のセルフセンタリング機構の一実施形態の側面図と、ターゲット管腔内にガイドワイヤを展開および捕捉(スネアリング)する本発明の処理システムと、を示す一連の表現である。
【
図18g】本発明のセルフセンタリング機構の一実施形態の側面図と、ターゲット管腔内にガイドワイヤを展開および捕捉(スネアリング)する本発明の処理システムと、を示す一連の表現である。
【
図19】本発明の一実施形態による、印刷された電極を有するカテーテルの表現である。
【
図20】
図19の印刷された電極を有するカテーテルの遠位部分の拡大表現である。
【
図21】インクジェットプロセスを使用して、
図19のカテーテル上で電極を製造する方法の表現である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本明細書で引用される全ての参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0057】
本発明は、典型的には遠位部分に機能要素を備え、近位末端にユーザまたはオペレータインターフェースを含む、カテーテルの状況において、医療機器の形態の装置の改善を提供する。本発明の改善は、概して、位置合わせの微調整および最適な位置合わせを識別する改善された方法、ターゲット管腔におけるターゲットデバイスのセンタリング、ターゲット管腔の成功した貫通を感知し、成功した交差後にターゲット管腔に通過した貫通部材または材料を捕捉もしくはスネアリングする手段を改善するための装置、ならびに湾曲したカテーテル表面に電極および/または追加の導電性支持回路を正確に適用するための改善されたプロセスに関する。
【0058】
本発明を説明する前に、本発明の理解を助ける多くの定義が提供される。
【0059】
本明細書で使用される「含む」という用語は、規定される要素のうちのいずれかが必ず含まれ、他の要素も同様に任意選択的に含まれ得ることを意味する。「から本質的になる」は、任意の規定される要素が必ず含まれ、列挙される要素の基本的および新規の特性に実質的に影響を及ぼす要素が除外され、他の要素が任意選択的に含まれ得ることを意味する。「からなる」は、列挙される要素以外の全ての要素が除外されることを意味する。これらの用語の各々によって定義される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0060】
本明細書において使用される際、遠位および近位という用語は、装置の長手方向軸に沿った配向を指すために使用される。本発明のデバイスは、本質的に細長く、一次元に一致するので、使用中、遠位方向は、オペレータから最も遠いデバイスの端部を指し、近位方向は、オペレータに最も近いデバイスの端部を指す。近位という用語は、「近く」という従来の意味を採用する「近接」という用語と混同しないように注意すべきである。
【0061】
本明細書において使用される際、「カテーテル」という用語は、細長いシャフトを備えるデバイスを指す。シャフトは、典型的には、その全長に沿って延在する中央管腔を備える。本発明の実施形態の細長いシャフトは、典型的には、直径約0.15mmから最大約12mm以上(フランスのサイズ0.5~34に対応する)の範囲の様々なサイズのカテーテルとして好適に構築される。好適には、カテーテルの直径の上限は、約4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、またはそれ以上(フランスのサイズ0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、20、31、32、33、34またはそれ以上に対応する)であり得る。細長いシャフトは、シリコーンゴムなどのポリマー材料、または熱可塑性エラストマ、PEEK、ポリイミド、高密度ポリエチレン(HDPE)、Pebax、および/またはナイロンを含むポリマー、またはその複合材料から好適に構築される。シャフトの全てまたは一部分はまた、例えば、PTFEまたはパリレンなどのフルオロポリマーを含み得る、低摩擦または潤滑性コーティングを含み得る。シャフトの全てまたは一部はまた、金属フィラメントの様々な配置を使用して補強することもできる。シャフトの全てまたは一部はまた、ニッケルチタン合金、ステンレス鋼、または他の生体適合性金属合金などのレーザカットされた金属管に置き換えることもできる。
【0062】
本明細書において使用される際、「中心(centre)」または「中心の(centred)」または「中心化(centring)」は、空洞または血管の管腔の側面から離れて位置決めすることを指す。それは、管腔の中心に(すなわち、管腔の各側面から等距離に)、または実質的に管腔の中心(すなわち、管腔の正確な中心に近く、好適には正確な中心からの管腔の半径の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%以内に、より好適には、正確な中心からの管腔の半径の25%以内、さらに好適には、正確な中心から管腔の半径の10%以内)に、正確に位置決めすることを意味し得る。不規則な形状の管腔では、本用語は、管腔の重心または幾何学的中心、もしくはその一部を指す場合がある。
【0063】
本明細書において使用される際、「非対称信号」、「非対称電場」、「方向性信号」、「方向性電場」、「空間的に変化する信号」、「空間的に変化する電場」、「空間的に変化する電場」、又は「空間的な変化を伴う電場」という用語は、交換可能に使用されることを意図しており、測定されたものが、空間的な変化を有するとき(すなわち、非対称であるか、または、測定可能な信号に関して、少なくとも1つの所与の平面内もしくは電場の少なくとも1つの回転軸上の1つ以上の非対称を有する)、少なくとも1つの特性を有する信号または電場を意味する。空間的な変化または非対称は、例えば、電場の電圧の振幅および/または極性内にあり得る。例えば、カテーテル上の2つの電極間に形成された双極子場は、各電極から等距離に形成される平面のいずれかの側の測定可能な電圧の極性が非対称であるため、非対称の場である。好適には、電場の振幅は、その位置がセンサに対して変化するときに正弦波的に変化してもよい(すなわち、電場は、電極のうちの1つに対する角度に対して「正弦波依存性」を有する可能性がある)。非対称または空間的に変化する場は、電場の振幅または極性などの特性を有し得、例えば、その値が電場として変化する所与の点での電圧、および/もしくは電場を発生させる電極が、角度的または長手方向にそのポイントに対して変位される。かかる状況では、非対称電場は、「角度依存性」または「空間依存性」、例えば「長手方向依存性」を有すると説明され得る。場が特定の依存性を有するすべての場合において、電場は、その配向または位置の態様に応じて測定されたときに、それを作成する電極に対して、非対称または不均一に変化する。すべての場合において、非対称性または空間的変化は、ソースカテーテル上の信号発生器が、またはソースカテーテル上の信号発生電極が、所与の軸の周りを移動し、および/または感知カテーテル内で受信電極(複数可)に対して空間内で移送するとき、場または信号が、均一でないことを意味する。
【0064】
「非対称電場」または「空間的に変化する電場」もしくは「空間的に変化する場」は、上記で定義された非対称または空間的に変化する信号を有する電場の特性を有する非対称場である。これは、2つの対向するプレート間で発生させられた電場とは対照的となるはずであり、そのサイズは、分離と比較して大きく、場内のセンサの移動は、選択されたパラメータ内における変化を経験しない。
【0065】
本明細書において使用される際、「正弦波」は、振幅が所与の時点でのその変位角の正弦(sin)または余弦(cos)に常に比例する、滑らかな反復振動を表す波形を意味する。「正弦波形」という用語は、単一の正弦波または余弦波、もしくはこれらの波の組み合わせに関してもよい。最も基本的な形式では、時間(t)の関数としての正弦波形は、
Y(t)=Asin(2πft+φ)=Asin(ωt+φ)である。
【0066】
式中、Aは振幅、fは周波数、ω=2πfは角周波数、φは位相である。
【0067】
ゼロ値、ヌル値、最小値、最大値、またはその他の値への言及は、特に明記されていない限り、電圧振幅または電場の他の特性の値として想定される。非対称電場または同様のものの検出への言及はまた、非対称電場のパラメータまたは特性の検出、およびその振幅の測定を意味することを意図する。
本明細書において使用される際、「表示(display)」または「表示する(to display)」という用語は、好適なアナログまたはデジタルの様式で位置合わせ角度をユーザに提示するデバイスまたはアクションを意味する。位置合わせ角度は、数値表現またはグラフ表現として示されてもよい。かかる表示はまた、色の変化、点滅、音、グラフィック表現などの最適な/不十分な位置合わせが実現されたときの視覚的表示を含み得る。表示は、スクリーンまたは他の好適な視覚的および/もしくは聴覚的表示機器の形態であり得る。
【0068】
外科用デバイスおよび使用方法
本発明は、WO2016/145202に記載されている装置および方法の進歩に関するものであり、その開示は、その全体が本明細書に組み込まれている。
【0069】
一例では、従来技術の装置は、3つの主要な構成要素:ソースカテーテル、感知カテーテル、および電子位置合わせモニタシステムを備える。一例では、ソースカテーテルは、第1の体腔(または管腔もしくは血管)内に位置付けられ得、感知カテーテルは、隣接する第2の体腔(または管腔もしくは血管)内に位置付けられ得る。
【0070】
図1aは、従来技術のソースカテーテル10を示す。ソースカテーテル10は、近位端および遠位端を有する細長い本体12を備える。本体12の近位端に向かって、本体12と連通する第1のルアーコネクタ14、および貫通部材20の管腔と連通する第2のルアーコネクタ16が位置決めされる。
【0071】
ソースカテーテル10は、ガイドワイヤ18をさらに備えてもよく、これはガイドワイヤ18が管腔内に保持される格納位置と、ガイドワイヤ18が管腔の遠位端および貫通部材20から外向きに延在する伸長位置との間で動作可能である。ガイドワイヤ18は、カテーテル10の全長にわたって、貫通部材20内で同軸に走る。貫通部材20は、カテーテル10の内側に拘束されて、カテーテル10の軸に沿って位置する。貫通部材20は、その遠位端に予め形成された曲線を有し、その結果、貫通部材がカテーテル10を出るとき、カテーテル10の軸に対して半径方向に湾曲する形状を採用する。
図1aに示される実施例では、貫通部材20は、カテーテル10の側壁内の開口部または開口19を通して排出される。開口19は、貫通部材20が排出されるときに引き抜くことができるチューブまたはスリーブ(図示せず)などのスライドカバー21で覆われてもよい。さらに、ガイドワイヤ18が、格納位置にあるときのみ、貫通部材20をカテーテル10から排出することができる。
【0072】
貫通部材20は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、炭素繊維を充填した液晶ポリマー、炭化タングステンポリイミド、ステンレス鋼、金、プラチナ、形状記憶合金(NiTinol(登録商標)を含む)、または他の好適な外科的に適合性のある金属合金を含む、好適な材料から形成された格納可能な中空針または探り針であり得る。貫通部材20は、その遠位端に鋭い先端を備えてもよく、これは、治療部位で組織を穿刺し、貫通するために使用される。貫通部材20の管腔は、ある血管から別の血管への標準的なガイドワイヤ18の送達を可能にする。
【0073】
図2aおよび
図2cに最もよく示されるように、本体12の遠位端に向かって、本体12の円周の周囲に、実質的に直径方向に対向するように、空間的に分離された一対の電極22、24が位置決めされる。一対の電極22、24は、それがソースカテーテルから外向きに延在されるとき、貫通部材の展開方向と実質的に位置合わせされる軸に沿って配置される。
図2aに最もよく見られるように、電極ワイヤ26、28(図示せず)は、それらが剛性クリップオンセクション32上のパッド34および36に接続するまで、管腔に沿って電極から近位に延在する。
【0074】
図1aの実施例に示されるように、ハンドル30は、カテーテル10との第1のユーザインターフェースを提供する。ハンドル30は、剛性のクリップオンセクションを介して本体12に取り外し可能に取り付けられる。ハンドル30は、カテーテル10の本体への挿入を妨げないように本体12上に配置され、好適には、ハンドル30は、本体12の近位端に向かって位置決めされる。いくつかの実施例では、カテーテル10は、ハンドル30を含まないように配置され得る。
【0075】
図1b、
図4a、および
図4bは、従来技術の感知カテーテル100の一実施例を示す。感知カテーテル100は、近位端および遠位端を有する細長い管腔102を備える。管腔102の近位端に向かって、ルアーコネクタ104が位置決めされる。
【0076】
感知カテーテル100は、中空ガイドワイヤ106および2つのリング電極108、110を備える。各々がそれぞれのリング電極に接続されている、電極ワイヤ112、114は、管腔102の内部で近位に延在し、ルアーコネクタ104を通って近位端で管腔を出る。
【0077】
図2aは、ハンドル30が取り外された状態のソースカテーテル10を側面図で示す。カテーテル10の本体には、2つのリング電極34、36を備える、本体12よりも大きな直径のセクション32上に剛性クリップがある。このセクションは、ハンドル30と嵌合し、360度の電気接続を通して、ハンドルが自由に回転できるように形成される。
【0078】
カテーテル10の一例では、2つの電極22、24は、各々が本体12の円周の半分未満を占めて、直径方向に対向している。一実施例では、1つの電極22が、正極として機能し、第2の電極24が、負極として機能し、それによって双極子構成を形成する。本体12の周囲に配置された3つ以上の電極の等間隔のアレイなど、他のいくつかの配置もまた可能であり、このタイプの例は、電極の四極子または八極子構成を好適に含んでもよい。電極22、24は、排出されたとき、貫通部材20の端部と位置合わせされるために、ソースカテーテル10の本体に沿って貫通部材20に遠位に位置決めされる。これは、貫通部材20が静脈に穿刺する点が、電極によって発生させられるピーク場強度の位置に対応し、かつ位置合わせされることを確実にする。代替的な実施例では、電極22、24は、貫通部材20の近位に位置決めることができる。
【0079】
電極ワイヤ26、28は、各電極22、24から、カテーテル10の近位端に向かって位置決めされたセクション32上の剛性クリップ内のそれぞれのリング電極34、36への電気的接続を提供する。この実施例では、リング電極34、36は、セクション32上の剛性クリップに取り付けられたとき、ハンドル30との便利な回転接続を形成し、それにより、ハンドル30とソースカテーテル10との間の電気接続を、カテーテル10の軸の周囲の任意の回転の程度を通じて維持する。電気プラグまたは従来のハブを使用する他の実施例もまた好適である。
【0080】
ソースカテーテル10の遠位端の拡大図が、
図2cに示される。2つの電極22、24の典型的な空間配置が、示される。この実施例では、電極22、24は、カテーテル本体12のいずれかの側面で位置合わせされ、直径方向に対向している。別の実施例では、電極、または各対の電極は、直径方向に対向しているが、位置合わせされておらず、一方の電極は、本体12に沿って他方の電極から軸方向にオフセットされる。
【0081】
図3a~
図3eでは、電場における1つ以上の非対称性または空間的変化を介して位置合わせさせることができる、従来技術の貫通部材20の実施例が示される。この実施例では、ソースデバイスの角回転は、必ずしも位置合わせに使用されるとは限らず、代わりに、配向が、感知カテーテル100に対する貫通部材の空間的移動中に測定された信号内の変化に基づく。貫通部材20上の電極の配置および位置決めは、本発明の方法によって適用され得るもののさらなる実施例である。
【0082】
図3a~
図3eに最もよく示されるように、1つ以上のさらなる電極が、貫通部材20の遠位端上に取り付けられる。この実施例では、貫通部材全体が、その近位端で貫通部材20への電気的接続を形成する遠位端のセクションを除いて、絶縁されている。1つ以上のさらなる電極は、貫通部材が格納されたとき、活性化されず、貫通部材がカテーテルを出たときにのみ活性化される。一度活性化されると、これらの1つ以上のさらなる電極は、非対称電場を形成する。これにより、貫通部材が交差するときに、貫通部材の位置合わせを微調整して、ターゲット上に留まることを確実とすることができる。さらに、この構成では、感知カテーテル100は、振幅およびコンダクタンスを含む、いくつかの異なる測定に基づいて、貫通部材が静脈に正常に貫通したことを検出するはずである。
【0083】
図3aにおいて、その遠位先端に正のリング電極39および負のリング電極41を有する貫通部材20が示される。電極39、41は、共に空間的に変化する、または非対称の電場を発生させる。感知カテーテル100上の感知電極108、110は、2つのソース電極39、41によって作成された双極子電場を測定する。貫通部材20が感知カテーテル100に近づくと、貫通部材20の先端が感知電極100に最も近いときに、測定された信号が最大に達するはずである。貫通部材20が感知カテーテル100を超えて前進する(すなわち、オーバーシュートする)場合、信号は減少し始める。代替として、感知電極108、110は、貫通部材20上に位置付けることができ、ソース電極39、41は、感知カテーテル100上にある。この機能は、電子的に、またはソフトウェアを使用して実現して、それに従って装置を構成することができる。
【0084】
図3bは、
図3aに示される貫通部材20の代替的な実施例を示し、この実施例は、その遠位端に2対のソース電極39、41を有する。各対のソース電極39、41は、貫通部材20の円周上に直径方向に対向した様式で配置され、電極39、41の第1の対は、電極の他方の対から約90
°だけ角度的に変位される。これは、
図3cに最もよく示されており、電極対の位置での貫通部材20の断面図である。
【0085】
各対の電極は、電極が活性化されたとき、それらの間で等距離にある平面に沿ってゼロ値の双極子電場を作成する。この配置では、感知カテーテル100上の電極108、110によって測定された信号は、xy平面内の貫通部材20の移動とともに(すなわち、
図3cに示されるように感知カテーテル100の長手方向軸Lに沿ってまたは横切って)変化するはずである。電極の両方の対が活性化されるときの0Vの測定値は、貫通部材20が正の感知カテーテル電極108と位置合わせしていることを示す。0Vより大きい値は、位置合わせずれの程度を示す。信号の振幅は、ヌル(0V)により近い値がより大きな位置合わせを示して、位置合わせを示す。
【0086】
この実施例は、2対の電極を有することに限定される必要はない。同様の機能は、3つ以上の対の電極、例えば、4対または8対(すなわち、四極子または八極子)、または貫通部材20上のより多くの対の電極で実現され得る。
【0087】
図3dは、1つ以上の電極を有する貫通部材20の別の実施例を示す。この実施例では、貫通部材20は、貫通部材20の先端を形成する単一のリングソース電極45を有する。貫通部材が金属などの導電性材料で形成されているとき、この構成は、貫通部材20の先端を形成する電極45と貫通部材20の残りの部分とを分離するための絶縁材料47を必要とする。ワイヤ49は、電極45を電源に接続する。使用中、電流がソース電極45に印加され、電圧が、感知カテーテル100上の接地電極110から測定された接地信号に対して感知電極108上で測定される。別の実施例では、電極45は、電圧源として作動し、電流は、電極108で測定される。感知カテーテル100上の電極108によって測定された電流または電圧は、貫通部材20の先端が感知電極108に最も近いときに増加し、貫通部材20が感知電極108に接触する場合に最大になるはずである。高信号または最大信号を使用して、貫通部材が正常に血管に入ったことを示すことができる。
図3eは、貫通部材20全体がソース電極45として作動し、上記のように機能する代替的な実施例を示す。
【0088】
さらなる実施例では、その遠位端に電極39、41、または45を有する貫通部材20は、それ自体が半径方向の位置合わせ電極を備えないカテーテルの一部を形成する。この実施例では、貫通部材20上の電極は、貫通部材20の展開前に、半径方向の位置合わせに使用することができる。代替的に、貫通部材20の展開前に、カテーテルの半径方向の位置合わせがない場合がある。この実施例では、貫通部材20の方向は、貫通部材20上の電極39、41、または45によって作成された電場によって、感知カテーテル100内で発生させられた信号によって監視される。
【0089】
2つのカテーテル10、100を含む従来技術の装置では、電子位置合わせモニタシステム200に接続される。電子位置合わせモニタシステム200は、ソースカテーテル10の遠位電極22、24に電圧を印加する。一実施例では、電圧は、空間的に反対の電極に印加される。印加される電圧は、好ましくはAC電圧である。好適には、電圧は、10Hz~1MHzの周波数で交流することができ、より好適には、電圧は、1kHz~100kHzの周波数で交流することができる。典型的に、電圧の振幅は、1mV~10Vであり得る。好適には、電流は、EN60601-1で設定された制限内にある必要がある。電子位置合わせシステム200はまた、位置合わせ信号を表示し得る。
【0090】
カテーテル10、100の位置合わせは、ソースカテーテル10によって発生させられた非対称電場の感知カテーテル100による測定に基づくことができることが既知である。感知電極108によって測定される電位場は、ソースカテーテル上の正極22が感知電極108の中心と完全に位置合わせされるときに最大になるはずである。最小電圧測定は、負極24が感知電極108の中心と位置合わせされたときに行われるはずである。感知電極108は、リングの形態であるため、その測定値は、感知カテーテル100のいずれの回転から独立している。本質的に、感知電極108は、ソースカテーテル10によって発生させられた電気信号(または信号の欠如)の全空間的に変化する受信機である。したがって、開口部19が正のソース電極22と一直線上にある場合、ピーク電圧が感知電極108によって検出されるまで、ソースカテーテル10を回転させることによって、貫通する必要のあるターゲット血管または空洞とその軌道を位置合わせさせることが可能である。代替的に、最小信号またはヌル信号が、位置合わせに使用することができる。
【0091】
位置合わせ処理システム
第1の態様では、本発明は、ソースデバイスとターゲットデバイスとの間の位置合わせを判定するための装置を提供する。この装置は、ソースデバイス、ターゲットデバイス、および処理システムを備える。
本発明による位置合わせ処理システム501を含む装置500の実施形態が、
図5に示される。特定の用途に限定されるものではないが、処理システム501は、上記の従来技術の装置の電子位置合わせモニタシステム200で使用することができる。
図5に示される位置合わせ処理システム501を含む装置500の実施形態では、ソースカテーテル502、ターゲットカテーテル504、およびディスプレイ506も示されている。
【0092】
図5の実施形態では、第1の空間的に変化する(または方向性もしくは非対称性)電場発生器508および第2の空間的に変化する(または方向性もしくは非対称性)電場発生器510が、ソースカテーテル502上に取り付けられる。他の実施形態では、3つ以上の空間的に変化する(または方向性もしくは非対称性)電場発生器を、ソースカテーテル502上に提供することができる。
【0093】
空間的に変化する電場発生器は、例えば、電極間に双極子、四極子、八極子などを作成するように構成された1つ以上の対の電極である。本明細書で提供される定義内に入る空間的に変化する(または方向性もしくは非対称性の電場)を作成する他の発生器もまた、使用され得る。
【0094】
各電場発生器508、510は、空間的に変化する電場または信号を生成する。好適には、この電場は、既知の角度依存性を有する。第1の空間的に変化する電場および第2の空間的に変化する電場の各々の角度依存性は、共有軸または共通軸もしくはその他の周囲で角度的にオフセットされる。
【0095】
処理システム501は、位置合わせ信号発生器512を備える。位置合わせ信号発生器512は、ソースカテーテル502に接続される。接続は、適切な配線または無線通信を介して行うことができる。処理システム501は、位置合わせ信号を、第1の空間的に変化する電場発生器508またはソースカテーテル502上に取り付けられた第2の空間的に変化する電場発生器510のいずれかに方向付ける。信号の方向は、第1のスイッチ配置514を介することができる。各空間的に変化する電場発生器508、510は、既知の角度依存性を有する空間的に変化する電場または信号を生成する。2つの角度依存性は、同じであっても異なっていてもよく、好適にはそれらは同一である。第1の空間的に変化する電場および第2の空間的に変化する電場は、互いに角度的にオフセットされる。
【0096】
一実施形態では、空間的に変化する電場発生器508、510は、同じまたは類似の角度依存性を有するが、一方は他方から角度的に変位し、例えば、空間的に変化する電場発生器は、共通の軸、例えば、ソースカテーテル502の長手方向軸の周囲で、発生器508、510が、直交して取り付けられるように、90度変位される。換言すると、空間的に変化する電場発生器508、510は、同じまたは類似のタイプの電場、例えば、双極子または四極子を生成するように構成され得るが、発生させられた電場は、異なって配置され、その結果、センサに対するソースカテーテル502の回転移動は、それが切り替えられるとき、各電場の信号振幅および/または極性に関して、ターゲットカテーテル504で異なる読み取りをもたらす。
【0097】
上記は、概して、正弦波(sinまたはcos)波形に従って、空間的に変化する一組の双極子場を説明する。
【0098】
代替的に、処理システム501は、異なるキャリア周波数を使用して、両方または2つ以上の対の電極を同時に活性化することができ、または両方の測定値を同時に取得するために、各電極対を迅速に切り替えることができる。
【0099】
電場は、任意の好適な電場であり得る。典型的に、電場は、供給された直流(DC)または交流(AC)を使用して発生させられる。好適には、電極に供給される信号は、AC信号である。これらの実施形態では、電圧振幅のピークツーピーク値は、AC信号について測定され得る。感知された信号の位相もまた測定され、ソースカテーテルの正極に印加された電圧の位相と比較される。このようにして、ピークツーピーク値に符号を付けることができ、位置合わせに使用可能な値が、実現され得る。信号が同相の場合、符号は正であり、信号の位相が180度ずれている場合、符号は負である。このようにして、ソースデバイスが最適に位置合わせされたとき(検出器において同相で、正の符号が提供された)と、最適な位置合わせから180度回転したとき(検出器で位相がずれており、負の符号が提供された)に検出された、他の点では同一の、ピークツーピーク振幅を区別することができる。
【0100】
ターゲットカテーテル504上に取り付けられたセンサ516は、ソースカテーテル502によって発生させられた空間的に変化する電場または信号を検出する。センサ516は、第1のスイッチ配置514および位置合わせ信号発生器512によって判定される際、どの空間的に変化する電場発生器508、510が駆動されているかに応じて、第1の空間的に変化する信号または第2の空間的に変化する信号を検出する。センサ516は、第2のスイッチ配置520およびアナログデジタル変換器(ADC)522を介してプロセッサ(角度計算機)518に接続される。第2のスイッチ配置520は、ハードウェアまたはソフトウェアスイッチ配置であり得る。第2のスイッチ配置520は、センサ516で感知された、検出された空間的に変化する信号を、2つのメモリ場所(図示せず)のうちの1つに流用する。プロセッサ518は、受信された空間的に変化する信号および空間的に変化する信号のタイプに基づいて、位置合わせ角度を計算する。第2のスイッチ520は、第1のスイッチ配置514が、第1の空間的に変化する信号発生器508に第1の空間的に変化する信号を発生させる場合、受信された空間的に変化する信号を、2つのメモリ場所の第1のメモリ場所に流用するように制御され、第1のスイッチ配置514が、第2の空間的に変化する信号発生器510に第2の空間的に変化する信号を発生させる場合、2つのメモリ場所の第2のメモリ場所に流用するように制御される。したがって、第1のスイッチ配置514および第2のスイッチ配置520は、いくつかの点でリンクされ、その結果、第1のスイッチ配置514のスイッチングは、第2のスイッチ配置520にコピーされ、そのため正しいメモリ場所が、発生させられている空間的に変化する信号に対して選択される。
【0101】
上記のスイッチング配置514の代わりに、または同様に、各空間的に変化する電場発生器508、510は、別個の搬送周波数を有する信号を供給され得る。換言すると、第1の空間的に変化する電場発生器508は、第1の周波数を有する第1の空間的に変化する信号を備え得、同時に、または別様に、第2の空間的に変化する電場発生器510は、第2の周波数を有する第2の空間的に変化する信号を備え得る。この実施形態では、センサ516は、両方の信号を検出するように構成され、プロセッサ518は、周波数に基づいて、信号を互いに分離するように構成されたハードウェアおよび/またはソフトウェアを組み込む。例えば、バンドパスフィルタまたは複数のフィルタを使用して、信号を分離してもよい。代替的または付加的に、マルチプレクサ配置を使用して、各電極に送信するための時間依存信号を発生させてもよい。同様に、位置合わせ角度を計算するために、プロセッサ518は、どの空間的に変化する信号がどれであるかを示す、いくつかのリンクを有する。
【0102】
一実施形態では、位置合わせ角度は、2つの方向信号の関数として計算され、
位置合わせ角度=関数(第1の空間的に変化する信号、第2の空間的に変化する信号)である。
【0103】
換言すると、位置合わせ角度は、空間的に変化する信号が入力される関数を使用して計算される。実施形態では、入力値としての空間的に変化する信号によって、空間的に変化する信号の振幅または値が、使用されることを意味する。
【0104】
この関数に従ってプロセッサ518によって位置合わせ角度が計算されると、続いて、それがディスプレイ506に表示され得る。位置合わせ角度は、任意の好適な様式で表示され得る。例えば、位置合わせ角度は、時計の文字盤または同様の円形インジケータ上に矢印として表示され得、矢印は、基準マークから離れた位置合わせ角度で表示される。基準マークは、ソースカテーテルとターゲットカテーテルが相互に予め画定された望ましい配向にある方向を画定するために配置される。所望の配向は、針/貫通部材の排出が、ソースカテーテルからターゲットカテーテルに向かって、または直接向けられるように、カテーテルが位置合わせされるようなものであり得る。矢印は、位置合わせ角度の計算によって与えられた、測定された配向を表示し得る。
【0105】
図5に示される実施例では、基準マーク524は垂直線であるため、方向は、垂直から離れた角度で矢印526として表示されている。使用中、オペレータは、典型的には、このディスプレイ506を使用して、位置合わせ矢印526が基準マーク524と位置合わせされるまでソースカテーテル502を回転させ、これは、カテーテル502の配向が、ソースカテーテル502から排出された針などの貫通部材が、ターゲットカテーテル504に向かって方向付けられるはずであることを意味する。
【0106】
位置合わせ角度のこの計算および表示の利点は、位置合わせを達成するためにソースカテーテル502を回転させる方向が、オペレータに明らかであり、位置合わせ角度が所望の配向になると、さらなる回転は必要とされず、最大信号が求められる状況とは異なる。
【0107】
一実施形態では、空間的に変化する信号発生器508、510は、互いに90°変位している。各空間的に変化する信号発生器508、510は、正弦波の角度依存性を有する空間的に変化する信号を生成する。この実施形態では、位置合わせの計算は、次の式で行われ、
位置合わせ角度=オフセット+arctan(第1の空間的に変化する信号、第2の空間的に変化する信号)である。
【0108】
換言すると、位置合わせ角度は、逆正接関数に追加されたオフセット角度であり、第1の空間的に変化する信号と第2の空間的に変化する信号が、入力値である。表記arctan(x、y)は、2つの入力引数xおよびyを備える逆正接関数を指し、この場合、これらはそれぞれ、第1の空間的に変化する信号および第2の空間的に変化する信号の測定値である。ここでも、実施形態では、第1の空間的に変化する信号および第2の空間的に変化する信号の電圧振幅が、入力引数として使用される。
【0109】
この式では、「オフセット」という用語は、例えば、貫通部材が空間的に変化する電場の直線状のソースデバイスから出ていない場合、最適な信号の角度が、デバイスに必要な位置合わせからオフセットされる場所を指す。これにより、特定のデバイスの任意の要件に対して検出された信号によって示されるように、位置合わせが効果的に正規化される。
【0110】
このアプローチの一実施形態では、ソースカテーテル(または送信カテーテル)は、2つの別個の円形非対称電場を生成することができ、ターゲットカテーテル(または受信カテーテル)は、電場を検出することができる。この実施形態によるソースカテーテル602およびターゲットカテーテル604を示す、
図6に示されるように、2つのリング電極606、608が、ターゲットカテーテル604上に取り付けられる。2つのリング電極608のうちの一方は、参照電極として作動し、位置合わせ平面からいくらかの距離を離れて位置決めされ、2つのリング電極606のうちの他方は、ターゲットカテーテル604の遠位端610に位置決めされる信号電極であり、ソースカテーテル602の送信電極612に隣接して位置決めされるように配置される。
【0111】
図6では、4つのストリップ電極612は、
図6では2つだけが見えるが、ソースカテーテル602上に取り付けられ、各電極612がその2つの隣接する電極612に直交するように、ソースカテーテル602の円周の周囲に直径方向に対向する対で配置される。
【0112】
図7aおよび
図9aから見ることができるように、ここでは612a~612dと呼ばれ、612aおよび612dが、描かれるように位置合わせ方向620の左側の上部および下部電極であり、612bおよび612cが、描かれるように位置合わせ方向620の右側の上部および下部電極である、電極612は、ここでは第1のスイッチ配置514を形成しているプログラム可能なスイッチ(図示せず)を介して、位置合わせ信号発生器512の2つの極616、618に接続され、ここでは矢印620によって示される、針/貫通部材の出口方向に対して位置合わせされる。
【0113】
本実施形態によれば、ソースカテーテル602の、送信電極とも呼ばれる、電極612は、2つの空間的に変化する電場を発生させるために2つのモードで動作可能である。
図7aおよび
図7bに示される実施形態では、2つのモードの第1のモード、すなわちモード1において、電極612は、矢印によって示される位置合わせ方向に対して、前面および背面モードで共に接続される。
図7aの実施形態では、これは、上部電極612aおよび612bが、一方の極616に接続され、下部電極612dおよび612cが他方の極618に接続されることを意味する。これは、ソースカテーテル602上の(位置合わせ方向として既知である)針/貫通部材の出口方向620が、ターゲットカテーテル604の方を向いているときに最大の信号を与える。
図8に示される信号振幅対角度のプロットでは、正の値は、測定されたAC信号が、同相のときであり、負の値は、測定されたAC信号が電極(複数可)に適用されたAC信号に対して位相がずれているときである。
【0114】
このモードでは、位置合わせのために明確な信号の最大値が得られるが、信号は、軸外の小さなたわみにあまり敏感ではない。角度感度を改善するために、2つのモードの第2のモード、つまりモード2が、実装され、
図9aに示されるように、電極が、側面-側面構成で接続される。
図9aの配置では、これは、左側の電極612a、612dが、一方の極616に接続され、右側の電極612b、612cが、他方の極618に接続されることを意味する。
【0115】
この第2のモードでは、
図10に見られ得るように、信号がゼロのときに、ソースカテーテル602は、ターゲットカテーテル604と位置合わせされる。ただし、180°にもゼロがあるというあいまいさが存在する。このため、両方のモードが必要とされ、
図11に要約されるように、モード1で位置合わせし、モード2で微調整する。このようにして、処理システム501は、モード2の180°のゼロを、この位置合わせのモード1で測定された負の値から、ソースカテーテル602が逆位置合わせされたときであるとして区別することができる。
【0116】
2つの信号は、式:位置合わせ角度=arctan(モード1、モード2)を使用して、位置合わせ角度を計算するために使用し得る。
【0117】
この実施形態では、オフセットは、ゼロであるため、式には含まれない。実施形態では、ソースカテーテル602が所与のモードで操作されるときに測定される電圧振幅が、対応する入力値として使用される。例えば、
図11で見ることができるように、モード1で測定された電圧振幅が、1のとき、およびモード2の電圧振幅が0のとき、位置合わせ角度は、0である。Arctan(1、0)は、0度であるため、カテーテル602、604が位置合わせされる。
【0118】
図5に関連して説明される一般的な実施形態に関して、この実施形態を考慮すると、ソースカテーテル602の4つのストリップ電極612は、第1の空間的に変化するおよび第2の空間的に変化する(または方向性もしくは非対称性)電場発生器508、510の両方として動作する。単一の空間的に変化する(または方向性もしくは非対称性)電場発生器は、第1のスイッチ配置514によって異なる構成で駆動されるとき、異なる時間で第1の空間的に変化する(または方向性もしくは非対称性)電場および第2の空間的に変化する(または方向性もしくは非対称性)電場を発生させることができるという事実から、第1の空間的に変化する(または方向性もしくは非対称性)電場発生器508および第2の空間的に変化する(または方向性もしくは非対称性)電場発生器510であると見なすことができる。
【0119】
上記の実施形態の一般的な動作では、第1のスイッチ配置514が、第1の空間的に変化する電場発生器508および第2の空間的に変化する電場発生器510を一定の間隔で切り替えるようにプログラムされ、その結果、位置合わせ角度が、説明されるように、2つのモードの関数として計算することができると想定される。
【0120】
一実施形態では、第1のモードは、おおよその位置合わせが実現されるまで実施され得、おおよその位置合わせが実現されると、第2のモードは、続いて、位置合わせを効果的に「微調整」するために使用され得る。ピークが位置合わせに使用される第1のモードは、ピークが信号の他の部分よりも広い範囲をカバーすることに起因して、信号が軸外の小さなたわみの影響を受けないため、位置合わせに近づけることに役立つ。ゼロが位置合わせに使用される、第2のモードは、信号のゼロが最も高い勾配を有するポイントにあるため、微調整に役立ち、そのため小さな変更によってゼロからの変動が発生し、信号は小さなたわみに敏感になる。
【0121】
代替的な実施形態では、システムは、異なるキャリア周波数を使用して、同時に、2つ以上の組の電極またはすべての電極を活性化することができ、または上記で説明したように、両方またはすべての測定値を同時に取得するために、各電極対間で迅速に切り替えることができる。
【0122】
このアプローチの別の実施形態では、ソースカテーテルは、交流電流源に接続されたとき、各々が磁場を発生させる2つの直交コイルを収容する。1つ以上の受信コイルが、ターゲットカテーテルに取り付けられており、各々が、ソースカテーテルによって発生させられた磁場の振幅に比例した信号を生成する。磁場の振幅は、位置合わせ角度に依存するため、位置合わせ角度は、前述のように計算することができる。
【0123】
カテーテルのセルフセンタリング
本発明のさらなる態様では、ターゲットデバイスは、ターゲットデバイスの位置合わせ中心を、それが位置付けされるターゲット管腔に向かって、またはその中心に位置決めするためのセルフセンタリング機構(SCM)を備えて、提供される。
【0124】
最初に
図12を参照すると、一実施形態では、発射管またはソース管腔1206内に位置付けられた発射カテーテル(すなわち、ソースカテーテル)1202は、ターゲット管腔1208内に位置付けられたターゲットカテーテル1204に回転方向に位置合わせされる。ターゲットカテーテル1204は、複数の特性/用途を有することができる。その主な目的は、発射カテーテル1202によって発生させられた非対称電場を測定する1つ以上の感知電極のためのプラットフォームとして機能することであり、これにより、処理システム(図示せず)が発射カテーテル1202とターゲットカテーテル1204との間の位置合わせの角度を計算することができる。
図12に示されるように、ターゲットカテーテル1204がターゲット管腔1208内の中心にあるという仮定の下で、発射カテーテル1202がターゲットカテーテル1204に位置合わせされるとき、発射カテーテル1202もまた、ターゲット管腔1208の中心に位置合わせされる。
【0125】
ターゲット管腔1208内のターゲットカテーテル1204の自由な通過を確実とするために、ターゲットカテーテル1204は、それが位置付けられている管腔1208よりも小さい直径を有することが有利である。しかしながら、これは、ターゲットカテーテル1204の遠位端が、管腔1208の中心に位置決めされない可能性があることを意味する。位置合わせは、ターゲットカテーテル1204に対してであるため、次いで、ソースカテーテル1202がターゲット管腔1208の端部または側面に位置合わせされ、ターゲット管腔1208を見逃す可能性が高まるか、またはターゲット管腔1208の側に近い側に貫通する可能性が高まり、ターゲット管腔1208または反対側のターゲット管腔1208を出る貫通部材を切開するリスクを増加させる。したがって、ターゲットカテーテル1204の位置合わせの中心を、ターゲット管腔1208の中または中心に向かって位置決めすることが望ましい。
【0126】
したがって、ターゲットカテーテル1204は、ターゲットカテーテル1204の位置合わせ中心を、ターゲット管腔1208に向かって、またはターゲット管腔1208の中心に位置決めする、セルフセンタリング機構(SCM)を好適に備え得る。ターゲットカテーテル1204の位置合わせの中心をターゲット管腔1208に向かって、またはターゲット管腔1208の中心に効果的に位置決めするSCMの任意の構成は、本発明に含まれる。好適には、SCMは、1つ以上の半径方向に拡張する部材を備える。SCMは、
図13~
図18gに示され、以下に説明されるように、弧状に半径方向に延在するリブ状の拡張可能な部材を用いることができる。SCMは、代替的に、または組み合わせて、既知のステントまたは閉塞デバイスと同様の編組または織りパターンを含み得る。
【0127】
図13~
図18gに示される、本発明のこの態様の一実施形態では、SCM1210は、1つ以上の半径方向に拡張可能な部材1212を備える。好適には、SCM1210は、2つ以上の半径方向に拡張可能な部材1212を備える。好適には、半径方向に拡張可能な部材は、実質的に等しい剛性のものである。好適には、半径方向に拡張可能な部材は、実質的に回転対称の配向で配置され、これは、管腔1208または血管もしくは空洞内に展開されるとき、ターゲットカテーテル1204を中心に置くのに役立つ。一実施形態では、SCM1210は、血管内または尿のスネア、血塊捕捉バスケット、血管閉塞プラグ、もしくは自己拡張型ステントに実質的に類似している。
【0128】
SCM1210は、格納構成および拡張構成で構成可能である。格納構成では、SCM1210は、低い半径方向プロファイルを有し、低い放射状プロファイルの格納構成で血管を下って送達され得る。好適には、格納構成では、SCM1210は、ターゲットカテーテル1204上の管腔を用いて、少なくとも部分的に、好ましくは完全に格納される。ターゲットカテーテル1204が正しく位置付けられると、SCM1210は、血管壁の内周に圧力をかける位置で拡張構成に展開される。好適な展開は、ターゲットカテーテルの開いた遠位端から長手方向にSCM1210を移動させることによるものであり得る。
図13および
図14は、それぞれ、格納構成および拡張構成のターゲット管腔1208内のSCM1210を示す。好適には、SCM1210は、1つ以上の拡張可能要素1212を含み得、これは拡張構成をとるために好適な位置において、ターゲットカテーテル1204の端部から展開される低半径プロファイル構成でターゲットカテーテル1204の管腔内に格納される。
【0129】
SCM1210は、任意の好適な材料から作ることができる。好適には、SCM1210は、Nitinol(登録商標)などの形状記憶合金から作られる。SCM1210が導電性であり、機械的および電気的に処理システムに接続されている実施形態では、機構の部材は、機構の中心に位置付けられた単一の感知電極(ターゲットポイントソース1214、
図15)として扱うことができる。これは、球の中心にある点電荷からの電場と同等である、球の周囲の電荷の対称分布からの電場に関するガウスの法則に準拠する(http://physics.bu.edu/~duffy/semester2/d06_potential_spheres.html、2019年4月17日にアクセス)。
【0130】
電子位置合わせまたは処理システムの使用中、SCM1210は、ターゲット管腔1208を横切って延在するように開放される。位置合わせ電極としてSCM1210を使用することの利点は、それがターゲット管腔1208の中心またはその近くにあることが確実とされることである。これは順に、発射管腔1206からターゲット管腔1208に交差する貫通部材(PM)1216の潜在的な精度を増加させる。
【0131】
SCM1210無しでは、
図16に示されるように、ターゲット管腔1208内でターゲットカテーテル1204の位置合わせずれのリスクがある。ターゲットカテーテル1204の位置合わせずれはまた、ターゲットカテーテル1204が管腔1208内に集中せず、位置合わせがターゲットカテーテル1204に対して実現されるため、PM1216のターゲット管腔1208への位置合わせずれのリスクがある。
【0132】
付加的に、
図17a~
図17cに示されるように、本発明の一実施形態では、PM1216の全体または一部は、導電性であり得る。好適には、PM1216の先端1218のみが導電性である。SCM1210またはSCM1210の一部分もまた導電性であり、SCM1210の部材が、共に十分に接近し、そのためPM1216(Nitinol(登録商標)メッシュまたは織りなど)と接触するとき、次いでPM1216が、ターゲット管腔1208を貫通するとき、PM1216の先端1218がターゲット管腔1208に入ったとき、さらに、それが管腔1208から再び通過したか、または穿刺したかどうかを検出することが可能である。これは、管腔1208を完全に貫通して過度の出血/損傷を引き起こすリスクを低減するので、オペレータにとって非常に有益である。電子位置合わせシステムは、PM1216とSCM1210との間の導電率、抵抗率、または連続性などの様々な電気的測定を行うことによって、または発射カテーテル1202によって発生させられる電場の変化を検出することによって、PM1216からSCM1210に対して行われる接触を検出することができる。
【0133】
使用中、オペレータは、PM1216が最初に管腔1208に入るときにPM1216とSCM1210との間の第1の接触を検出し、これは、
図17aにあるように、電子位置合わせシステムによって登録されるはずである。
図17bにあるように、オペレータは、PM1216が管腔1208内に安全にあり、PM1216の先端1218とSCM1210との間に電気的接触がないことを検出することができる。続いて、オペレータは、
図17cに示されるように、PM1216が管腔1208を出る可能性がある直前、再びSCM1210と接触するため、PM1216とSCM1210との間の接触を示すさらなる測定に基づいて、PM1216の先端1218が、管腔1208の壁に再び近づくことを検出することができる。
【0134】
SCM1210を使用する別の利点は、ターゲット管腔壁上に半径方向の力を加えると、壁に張力が生じ、PM1216がターゲット管腔1208に入るときに壁が押されたときの壁の潜在的なたわみが減少することである。一実施形態では、SCM1210は、自己拡張型金属ステントと同様に、血管壁上に半径方向の力を及ぼすNitinol(登録商標)部材から構成される。この実施形態では、半径方向の力は、PM1216によって貫通しやすい緊張した管腔壁を確実とすることに役立つ。
【0135】
図18a~
図18gに最もよく示されるように、ガイドワイヤ1220が、発射管腔1206からターゲット管腔1208に通される本発明の別の実施形態では、SCM1210のさらなる利点は、ガイドワイヤ1220が、
図18a~
図18gに示されるように、部分的にターゲット管腔1208に前進するときに格納されるその能力である。ガイドワイヤ1220が部分的にターゲット管腔1208に前進したとき、SCM1210をターゲットカテーテル1204の内部管腔内に格納することにより、SCM1210は、スネアとして作動し、ガイドワイヤ1220の端部を捕捉して保持する。これは、ガイドワイヤ1220を適切な位置に固定し、ガイドワイヤ1220に沿ってターゲット管腔1208への介入デバイスの安全な展開を容易にするか、またはガイドワイヤ1220を血管の下にさらに引き下げるために使用することができる。
図18aでは、ガイドワイヤ1220が、発射管腔1206内に位置決めされる。
図18bでは、発射カテーテル1202は、ガイドワイヤ1220を介して発射管腔1206に沿って通過され、ターゲットカテーテル1204は、SCM1210が拡張された状態でターゲット管腔1208内に位置決めされる。
図18cでは、発射カテーテル1202およびターゲットカテーテル1204は、この文書で前述した方法を使用して位置合わせされる。2つのカテーテル1202、1204を位置合わせさせた後、貫通部材1216を使用して、
図18dの位置合わせ方向で、ソース管腔1206からターゲット管腔1208に通過させる。
図18eでは、ガイドワイヤ1220は、針である貫通部材1216を通って、ターゲット管腔1208内に前進する。ガイドワイヤ1220は、貫通部材1216を通って、SCM1210の部材間に画定された体積に前進する。
図18fでは、SCM1210は、その拡張された構成から格納され、ガイドワイヤ1220をスネアリングし、それを固定している。
図18gでは、ターゲットカテーテル1204が取り外され、ガイドワイヤ1220がターゲット管腔1208を通って前進する。ソースカテーテル1202もまた取り外される。
【0136】
電極の製造
本発明のさらなる態様では、2つの血管または空洞の間の導管の作成(吻合)を案内するのに十分な精度で小径カテーテル上に電極を作成する方法が、説明される。
【0137】
一実施形態では、本発明のこの態様は、各々が、細長いシャフトアセンブリを備える医療デバイスの形態の装置を提供し、典型的には、遠位部分に機能要素を備え、近位末端にユーザまたはオペレータインターフェースを備えるカテーテルの形態である。ユーザインターフェースは、ハンドル、ハンドルアセンブリまたはハブを備え得る。
【0138】
【0139】
電極1902、1904は、空間的に変化する(または方向性もしくは非対称性の)電場を発生させる。任意の好適な数の電極が想定されるが、示される構成では、4つの電極は、カテーテルの遠位端で円周の周囲に等間隔に配置され、これらは、遠位端1912から近位端1914まで、カテーテル1910上のトラック1906、1908を介して発電機に接続される。これらのトラック1906、1908は、交差針がカテーテルから出る開口1920を回避する必要があり得る。近位端1914において、トラック1906、1908は、多芯導体ケーブル1918を接続することができる接続パッド1916を形成する。
図20は、カテーテル1910の遠位部分1912の拡大画像を示す。
【0140】
正確な位置合わせを提供するために、電極を正確に、典型的には、20ミクロンより良い解像度、好適には10ミクロンより良い解像度、好適には5ミクロンより良い解像度、好適には2ミクロンより良い解像度に配置し、基点上の公称位置に対して5度、好適には5度、4度、3度、2度、または1度以内(すなわち、直径方向に対向する対、各対が他方に対して90度)に回転的に位置合わせされることが必要不可欠である。
【0141】
電極の正確な配置を実現するために、それらは、印刷プロセスによってカテーテルに追加することができる。一実施形態では、導電性インクは、カテーテル1910(
図21)を回転させながら、インクジェットディスペンサ1922を平面内で移動させるプログラム可能な印刷機を使用して、インクジェットプロセスによって堆積させることができる。
【0142】
カテーテルチューブは、任意の好適な材料から作られ、好適には、カテーテルチューブは、ポリイミド、ナイロン、または他のポリマーから作られる。インクは、任意の好適な材料に基づくことができ、好適には、インクは、銀粒子、金粒子、または他の導電性材料に基づく。インクはまた、硬化したときに可撓性を維持するポリマー媒体を含むことができる。
【0143】
別の実施形態では、印刷方法は、連続的な流体押し出しを含むことができる。印刷方法は、米国特許出願公開第2010/0209318号明細書に記載されているものと同様であり得る。好ましい実施形態では、要素およびトラックは、ベースとして銀ベースのインクで作られ、その上に金ベースのインクが印刷される。付加的に、ポリウレタンなどの絶縁材料を、導電性トラックの上部に選択的に印刷して、特定の要素のみを露出させることができる。
【0144】
別の実施形態では、プライマが、カテーテルチューブに印刷され、その後、無電解めっき溶液に浸漬することにより、電極パターンを堆積させることができる。
【0145】
別の実施形態では、プライマがカテーテルチューブに印刷され、次いで、レーザで活性化され、その後、無電解めっき溶液に浸漬することにより、電極パターンを堆積させることができる。
【0146】
別の実施形態では、電極パターンのネガを含有するマスクを使用することができ、それを通して、金または銀などの金属を、スパッタ堆積(物理蒸着(PVD)の形態)を使用してポリマー基板に適用することができる。
【0147】
別の実施形態では、金または銀などの金属を、スパッタ堆積を使用してポリマー基板に適用することができ、その後、レーザビームを使用して、金属化コーティングを選択的にアブレーションして、電極パターンを作成することができる。
【0148】
本発明の特定の実施形態を本明細書において詳細に開示してきたが、これは例として、かつ例示のみを目的として行われたものである。前述の実施形態は、添付の特許請求の範囲の範疇を制限することを意図するものではない。本発明者によって、特許請求の範囲によって定義される本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な置換、変更、および修正が行われてもよいことが企図される。
【0149】
本出願の範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な変更および修正を行うことができることが理解されよう。上記の本発明の態様および実施形態を組み合わせて、新しい態様および実施形態を形成することができる。例えば、本発明の実施形態は、これらの特徴のいずれかが互いに互換性がないと明示的に示されない限り、外科用デバイス、処理システム、セルフセンタリング機構、および/または印刷電極の特徴の任意の組み合わせを含み得る。