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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】包丁立て
(51)【国際特許分類】
   A47J 47/16 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
A47J47/16 P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021053491
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022150750
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2024-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001454
【氏名又は名称】株式会社貝印刃物開発センター
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大塚 淳
(72)【発明者】
【氏名】神谷 悠
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第2889124(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 47/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包丁立てであって、
包丁を保持する複数の保持板と、
前記複数の保持板を連結する連結部材と、を備え、
前記複数の保持板は、前記包丁立てが設置されている状態において間隔を空けて起立するように配置されており、
前記保持板の側面と平行な方向から見ると、前記間隔を通じて後方に視界が抜けており、
平面視で、前記複数の保持板の形状は、2つの鋭角及び2つの鈍角からなる平行四辺形である、包丁立て。
【請求項2】
前記保持板は、内部に磁石を有している、請求項1に記載の包丁立て。
【請求項3】
前記鋭角は、30°~60°の範囲内である、請求項1又は2に記載の包丁立て。
【請求項4】
正面視において、前記保持板に保持されている前記包丁の一部が視認可能である、請求項1~3の何れか一項に記載の包丁立て。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包丁立てに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包丁を保持する複数の板状部材によって構成されている包丁立てが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】DE102014017713B4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている包丁立てでは、包丁を斜めに維持しながら挿入しなければならず、利便性に欠けるという問題点があった。
【0005】
そこで、本開示は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、容易に包丁を挿入することができる包丁立てを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の特徴は、包丁立てであって、包丁を保持する複数の保持板と、前記複数の保持板を連結する連結部材と、を備え、前記複数の保持板は、前記包丁立てが設置されている状態において間隔を空けて起立するように配置されており、前記間隔を通じて後方に視界が抜けており、平面視で、前記複数の保持板の形状は、2つの鋭角及び2つの鈍角を有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、容易に包丁を挿入することができる包丁立てを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る包丁立て1の全体構成の一例を示す斜視図である。
図2図2は、一実施形態に係る包丁立て1の保持板11の構成の一例を説明するための図である。
図3図3は、図1における包丁立て1をY方向から見た図である。
図4図4は、図1に示す包丁立て1の平面図である。
図5図5は、図1における包丁立て1をX方向から見た図である。
図6図6は、変更例1に係る包丁立て1の全体構成の一例を示す斜視図である。
図7図7は、図6における包丁立て1をY方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
以下、図1図5を参照して、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る包丁立て1の全体構成の一例を示す斜視図であり、図2(a)は、一実施形態に係る包丁立て1の保持板11の構成の一例を説明するための図(包丁2については省略)であり、図2(b)は、図2(a)をz方向から見た図であり、図3は、図1における包丁立て1をY方向から見た図であり、図4は、図1に示す包丁立て1の平面図であり、図5は、図1における包丁立て1をX方向から見た図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る包丁立て1は、起立して設置されるように構成されている。以下、本実施形態に係る包丁立て1は、包丁以外にも、ナイフ等の調理用刃物を収納することができる。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る包丁立て1は、複数の保持板11と、連結部材12とを有している。本実施形態では、保持板11の枚数が3枚であるケースについて例示しているが、本発明は、かかるケースに限定されることなく、保持板の枚数が2枚或いは4枚以上であるケースにも適用可能である。
【0013】
図1に示すように、複数の保持板11は、包丁2を保持するように構成されている板状部材である。例えば、複数の保持板11は、自重により切っ先2Eが垂れ下がった状態の包丁2を保持するように構成されている。
【0014】
また、図1に示すように、複数の保持板11は、包丁立て1が設置されている状態において間隔Tを空けて起立するように配置されている。
【0015】
ここで、複数の保持板11の各々は、図2(a)及び図2(b)に示すように、内部に磁石3を有していてもよい。例えば、かかる磁石3は、ネオジウム磁石であってもよい。また、図2(a)に示すように、かかる磁石3は、円形磁石であってもよい。
【0016】
なお、包丁2等の刃物の刀身として使用される材料としては、磁性を有している刃物用の炭素鋼や刃物用のステンレス鋼であることが多い。本実施形態に係る包丁立て1は、かかる材料が用いられている包丁2を対象としている。
【0017】
なお、かかる磁石は、保持板11の外部から見えないように設けられていてもよい。例えば、図2(b)に示すように、複数の保持板11の各々の内部には、磁石3の外側に、蓋部31が設けられていてもよい。
【0018】
かかる蓋部31は、保持板11の外観と同様の形状(例えば、保持板11と同じ木目)を有していてもよい。かかる構成によれば、外部から見ると一見して磁石3が設けられていることが分からない。
【0019】
図2(b)に示すように、複数の保持板11は、かかる磁石3によって、一方の側面11Aにおいて包丁2を保持するように構成されている。また、複数の保持板11は、かかる磁石3によって、他方の側面11Bにおいても包丁2を保持するように構成されていてもよい。すなわち、複数の保持版11は、両側面において包丁2を保持することができるように構成されていてもよい。
【0020】
連結部材12は、複数の保持板11を連結するように構成されている板状部材である。連結部材12は、包丁立て1が設置されている状態において、複数の保持板11の底面11E近傍にて、複数の保持板11を連結するように構成されていてもよい。
【0021】
例えば、複数の保持板11及び連結部材12は、ブラックウォルナット等の黒みを帯びた木材によって構成されていてもよい。かかる構成によれば、ブラックウォルナット等の黒みを帯びた木材を用いることで高級感を出しつつ、包丁2の刀身の銀色とのコントラストを上げてディスプレイされた包丁2を見やすくすることができ、また、汚れを目立ちにくくすることができる。
【0022】
図3に示すように、本実施形態に係る包丁立て1において、複数の保持板11の側面11Aと平行な方向(図1に示すY方向)から見ると、間隔Tを通じて後方に視界が抜けている。換言すると、図3に示すように、本実施形態に係る包丁立て1において、Y方向から見た場合に、複数の保持板11の前面11Dの間から後方の視界が確保されている。すなわち、本実施形態に係る包丁立て1では、複数の保持板11の間には、Y方向から見た場合に、後方の視界を阻害する部材等が配置されていない。
【0023】
図4に示すように、本実施形態に係る包丁立て1において、平面視で、複数の保持板11の形状(具体的には、天面11Cの形状)は、2つの鋭角A及び2つの鈍角Bからなる平行四辺形であってもよい。
【0024】
図4の例では、平面視における複数の保持板11の天面11C形状は、同一の形状となっており、複数の保持板11は、略平行に配置されている。
【0025】
また、かかる鋭角Aは、30°~60°の範囲内であってもよい。また、好ましくは、かかる鋭角Aは、45°であってもよい。かかる鈍角Bは、120°~150°の角度範囲内であってもよい。また、好ましくは、かかる鈍角Bは、135°であってもよい

さらに、図4に示すように、本実施形態に係る包丁立て1において、平面視で、連結部材12の形状は、2つの鋭角A及び2つの鈍角Bからなる平行四辺形であってもよい。なお、連結部材12の形状は、任意の形状であってもよい。
【0026】
本実施形態に係る包丁立て1では、上述のように、複数の保持板11は、包丁立て1が設置されている状態において間隔Tを空けて起立するように配置されており、且つ、複数の保持板11の側面11A/11Bと平行な方向(Y方向)から見ると、複数の保持板11間の間隔Tを通じて後方に視界が抜けている。
【0027】
かかる構成によれば、部品点数を抑え、清浄に保ちやすくしつつ、木材の質感を生かした高級感を低いコストで実現することができる。
【0028】
かかる構成によれば、包丁立て1の上方及び側方において開口していることで、包丁2の収納時のアクセスがしやすい。すなわち、ユーザは、自重により切っ先が垂れ下がった状態の包丁2を、上方から包丁立て1に挿入することができ、且つ、側方から包丁立て1に挿入することもできる。
【0029】
かかる構成によれば、通気性が向上するため、湿気が多い地域での利用に適する。
【0030】
かかる構成によれば、刃体の幅の狭い牛刀及びペティを同一側面11A/11Bへ収納できる等の自由度をもたせることができる。
【0031】
本実施形態に係る包丁立て1では、平面視で、複数の保持板11の形状は、2つの鋭角A及び2つの鈍角Bからなる平行四辺形である。
【0032】
かかる構成によれば、正面視において(図1のX方向から見て)、複数の保持板11を斜めに配置することで、包丁立て1の本体の奥行きを抑えることができ、キッチンでの省スペース化を実現することができる。
【0033】
かかる構成によれば、正面視において(図1のX方向から見て)、複数の保持板11を斜めに配置することで、中華包丁のような刃体の幅が広い包丁2を収納する際のスペース効率を高めつつ、包丁2の刃体の一部が見えるようにディスプレイすることができる。
【0034】
具体的には、図5に示すように、本実施形態に係る包丁立て1において、図1に示すX方向から見た場合(正面視において)、収納されている包丁2(保持板11に保持されている包丁2)の一部(例えば、刃体の一部)が見えるようにディスプレイすることができる。
【0035】
この結果、本実施形態に係る包丁立て1を正面から見ることで、包丁2を包丁立て1から取り出すことなく、包丁2の種類を判別することができる。また、高級包丁を見せながら収納したいというニーズに対応することができる。
【0036】
さらに、図1に示すX方向から見た場合(正面視において)、収納されている包丁2の刃先を露出させにくく収納しつつ、包丁2の刃体の審美性をディスプレイすることができる。
【0037】
本実施形態に係る包丁立て1では、複数の保持板11は、内部に磁石を有していてもよい。かかる構成によれば、複数の保持版11の各々の側面11A/11Bにおいて容易に包丁2を保持することができる。
【0038】
本実施形態に係る包丁立て1では、上述の鋭角Aは、30°~60°の範囲内であってもよい。かかる構成によれば、包丁2を収納する際のスペース効率が最も良くなる。
【0039】
ここで、上述の鋭角Aを45°とすると、図4に示すように、包丁立て1の奥行きL1が短い場合であっても、奥行きの1.4倍(√2倍)の幅(保持板11の幅L2)までの包丁2を保持板11に収納することができるため、中華包丁のような幅の広い包丁2であっても効率よく収納することができる。
【0040】
例えば、上述の鋭角Aを45°とし、奥行きL1を約85mmとすると、保持板11の幅L2が約120mmとなるため、最大刃幅105mmの一般的な中華包丁であっても十分に収納可能であり、少ない奥行きで効率よく包丁2を収納することができる。
【0041】
(変更例1)
以下、図6及び図7を参照して、本発明の変更例1に係る包丁立て1について、上述の第1実施形態に係る包丁立て1との相違点に着目して説明する。図6は、本変更例1に係る包丁立て1の全体構成の一例を示す斜視図であり、図7は、図6における包丁立て1をY方向から見た図である。
【0042】
図6に示すように、本変更例1に係る包丁立て1は、包丁2を保持する手段として、上述の磁石3の代わりに引掛け部13を有している。かかる引掛け部13は、図6に示すように、複数の保持板11の一方の側面11Aに設けられている。例えば、かかる引掛け部13は、L字形ワイヤによって構成されていてもよい。
【0043】
かかる構成によれば、磁性を有していない刀身がセラミック製の包丁2の場合であっても、引掛け部13によって保持板11に保持することができる。
【0044】
図7に示すように、包丁2の口金21の部分が引掛け部13の上に乗る状態で、包丁2は、複数の保持板11に保持される。ここで、包丁2は、図7に示すように、口金21を境にして、刃体側の厚みは薄くハンドル側の厚みが厚くなるように構成されている。
【0045】
なお、本発明に係る包丁立て1において、上述の磁石や引掛け部13の代わりに、複数の保持板11の一方の側面11A及び他方の側面11Bの少なくとも一方に粘着テープが設けられていてもよい。かかる構成によれば、かかる粘着テープにより、包丁2は、複数の保持板11に保持される。
【符号の説明】
【0046】
1…包丁立て
2…包丁
2E…切っ先
21…口金
11…保持板
11A、11B…保持板の側面
11C…保持板の天面
11D…保持板の前面
11E…保持板の底面
12…連結部材
13…引掛け部
3…磁石
31…蓋
A…鋭角
B…鈍角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7