(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】ダイアフラムポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 45/04 20060101AFI20240729BHJP
F04B 43/02 20060101ALI20240729BHJP
F04B 39/08 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
F04B45/04 D
F04B43/02 D
F04B39/08 C
(21)【出願番号】P 2022123415
(22)【出願日】2022-08-02
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】500421820
【氏名又は名称】三映電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 孝行
(72)【発明者】
【氏名】池田 修一
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-250313(JP,A)
【文献】特開2019-183711(JP,A)
【文献】特開2004-169677(JP,A)
【文献】特開平02-250787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/02
F04B 45/04
F04B 39/08-39/12
F16K 11/065
B25J 15/06
B66C 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の変形部を有するダイアフラムと、
一方側に前記ダイアフラムが配置され、他方側に吸込口及び吐出口が設けられたポンプ室と、
モータと、
前記モータの回転軸に取り付けられ、前記ダイアフラムの各変形部を変形させるように前記回転軸から外径方向に向けて突出した位置に設けられた回転変形部と、
前記ポンプ室の吸込口と吐出口のいずれか一方と連通する吸排ノズルと、
前記吸排ノズルと、前記吸込口及び前記吐出口との間に設けられ、前記吸込口を前記吸排ノズルに連通させるか、又は前記吐出口を前記吸排ノズルに連通させるかを切り換える流路切換部と、
前記流路切換部の切換動作を行う切換駆動装置と、を具備
し、
前記切換駆動装置は、電磁ソレノイドであって、
前記電磁ソレノイドの駆動制御を実行する制御回路が設けられ、
前記モータの回転制御を行うモータ制御回路が設けられ、
前記モータ制御回路は、モータのCW回転とCCW回転の切り替え時の制御信号を前記モータと前記電磁ソレノイドに対して出力することによって、前記電磁ソレノイドの前記制御回路を兼用していることを特徴とするダイアフラムポンプ。
【請求項2】
前記流路切換部は、
前記吸込口及び前記吐出口を結ぶ方向に移動可能であって、
前記吸込口と前記吸排ノズルとを連通させる第1流路と、
前記第1流路が前記吸込口と前記吸排ノズルとを連通させたときに、前記吐出口とポンプ外部とを連通させる位置に形成された第2流路と、
前記吐出口と前記吸排ノズルとを連通させる第3流路と、
前記第3流路が前記吐出口と前記吸排ノズルとを連通させたときに、前記吸込口とポンプ外部とを接続する位置に形成された第4流路と、を有することを特徴とする請求項1記載のダイアフラムポンプ。
【請求項3】
前記流路切換部は、
前記吸込口及び前記吐出口を結ぶ方向に移動可能であって、
前記吸込口又は前記吐出口と前記吸排ノズルとを連通させる第1流路と、
前記第1流路が前記吸込口と前記吸排ノズルとを連通させたときに、前記吐出口とポンプ外部とを連通させる位置に形成された第2流路と、
前記第1流路が前記吐出口と前記吸排ノズルとを連通させたときに、前記吸込口とポンプ外部とを接続する位置に形成された第3流路と、を有することを特徴とする請求項1記載のダイアフラムポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイアフラムによって流体の流路の容積変化をすることで流体の吐出と吸込を行えるダイアフラムポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイアフラムポンプは、容積式ポンプの一種であり、流体の吐出や吸込に際して異物の混入のおそれが無く、また回転部分のシール構造からの漏れのおそれもなく、且つ構造がシンプルで扱いやすいという利点がある。
従来のダイアフラムポンプとして、特許文献1(特開2019-183711号公報)に開示されているような構成が知られている。
【0003】
特許文献1のダイアフラムポンプによれば、ポンプ室の一部を構成するダイアフラムに複数のカップ状の変形部が設けられており、この複数の変形部を、駆動機構が押し込みと引き出しを繰り返し行い、ポンプ室の容積を変化させている。
駆動機構は、モータと、モータの回転軸に対して偏心し且つ傾斜して設けられた駆動軸と、この駆動軸の先端に取り付けられた腕部により構成されている。このような構造のため、モータが回転すると腕部が首振り運動をし、腕部がダイアフラムの各変形部を押し込み、引き出しを繰り返し行うことができる。
【0004】
また、特許文献1のダイアフラムポンプは、流体の吸込口と吐出口の両方が設けられているが、1つの口で吸込と吐出の両方の機能を持たせたいという要望もある。
そこで、特許文献2(特開平9-158844号公報)には、吸込口と吐出口のいずれか一方に接続可能なホース接合口部と、ホース接合口部を吸込口と吐出口のいずれかに切り替える切り替えバルブを有するエアーポンプが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-183711号公報
【文献】特開平9-158844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ダイアフラムポンプは、異物の混入のおそれが無く、また回転部分のシール構造からの漏れのおそれもなく、且つ構造がシンプルで扱いやすいという利点から、使用用途として、工場内などで薬液等の搬送に用いられることが一般的である。
一方、ダイアフラムポンプを工場内等で部品を吸着して搬送させる用途として使用したいという要望もあるが、この場合には吸込口と吐出口が1つになっていないと部品の着脱が行えないため、吸込口と吐出口が1つになっているダイアフラムポンプが望まれている。
【0007】
なお、特許文献2には、手動による切り替えバルブによって、ホース接合口部が吸込するか吐出するかを切り替えている。
しかし、工場内での部品の吸着搬送において手動による切り替えを採用することはできない。特に、特許文献2には、水槽への空気供給用のポンプを、入浴時の洗浄や洗顔時の美容に転用できるという記載があり、手動にて切り替えバルブを操作するような構成は一般消費者向けであると考えられ、工場内での使用には適していない。
【0008】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、1つのノズルで吸込と吐出のいずれかを実行することを、手動でなく切り替え可能なダイアフラムポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかるダイアフラムポンプによれば、複数の変形部を有するダイアフラムと、一方側に前記ダイアフラムが配置され、他方側に吸込口及び吐出口が設けられたポンプ室と、モータと、前記モータの回転軸に取り付けられ、前記ダイアフラムの各変形部を変形させるように前記回転軸から外径方向に向けて突出した位置に設けられた回転変形部と、前記ポンプ室の吸込口と吐出口のいずれか一方と連通する吸排ノズルと、前記吸排ノズルと、前記吸込口及び前記吐出口との間に設けられ、前記吸込口を前記吸排ノズルに連通させるか、又は前記吐出口を前記吸排ノズルに連通させるかを切り換える流路切換部と、前記流路切換部の切換動作を行う切換駆動装置と、を具備し、前記切換駆動装置は、電磁ソレノイドであって、前記電磁ソレノイドの駆動制御を実行する制御回路が設けられ、前記モータの回転制御を行うモータ制御回路が設けられ、前記モータ制御回路は、モータのCW回転とCCW回転の切り替え時の制御信号を前記モータと前記電磁ソレノイドに対して出力することによって、前記電磁ソレノイドの前記制御回路を兼用していることを特徴としている。
この構成を採用することによって、切換駆動装置によって、吸排ノズルを吸い込みとして用いるか、吐出として用いるかを切り換えることができるので、ダイアフラムポンプを工場内等において部品の吸着用途に用いることができる。
【0010】
また、前記流路切換部は、前記吸込口及び前記吐出口を結ぶ方向に移動可能であって、前記吸込口と前記吸排ノズルとを連通させる第1流路と、前記第1流路が前記吸込口と前記吸排ノズルとを連通させたときに、前記吐出口とポンプ外部とを連通させる位置に形成された第2流路と、前記吐出口と前記吸排ノズルとを連通させる第3流路と、前記第3流路が前記吐出口と前記吸排ノズルとを連通させたときに、前記吸込口とポンプ外部とを接続する位置に形成された第4流路と、を有することを特徴としてもよい。
【0011】
また、前記流路切換部は、前記吸込口及び前記吐出口を結ぶ方向に移動可能であって、前記吸込口又は前記吐出口と前記吸排ノズルとを連通させる第1流路と、前記第1流路が前記吸込口と前記吸排ノズルとを連通させたときに、前記吐出口とポンプ外部とを連通させる位置に形成された第2流路と、前記第1流路が前記吐出口と前記吸排ノズルとを連通させたときに、前記吸込口とポンプ外部とを接続する位置に形成された第3流路と、を有することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ダイアフラムポンプにおいて、1つのノズルでの吸込と吐出を手動でなく切り替え可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ダイアフラムポンプの外観を示す側面図である。
【
図2】ダイアフラムを斜め上方から見たダイアフラムポンプの内部構成図である。
【
図3】ダイアフラムを上方から見たダイアフラムポンプの内部構成図である。
【
図4】流路の切換部分の構造を示したダイアフラムポンプの内部構成図である。
【
図6】流路切換部の移動によって吸排ノズルが空気の吸込みを行っている状態を示す断面図である。
【
図7】流路切換部の移動によって吸排ノズルが空気の吐出を行っている状態を示す断面図である。
【
図9】他の実施形態における吸排ノズルが空気の吸込みを行っている状態を示す断面図である。
【
図10】他の実施形態における吸排ノズルが空気の吐出を行っている状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、ダイアフラムポンプの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態におけるダイアフラムポンプは空気の吸引、吐出を行うものである。
図1にダイアフラムポンプの外観側面図を示す。ただし、
図1で半透明に表示されている箇所は内部構造を表示するために半透明で表示しているだけであり、実際には半透明の部材で形成していない。また、
図2~
図4にダイアフラムポンプの内部構造を示す。
【0017】
ダイアフラムポンプ10は、モータ20と、ダイアフラム12を有するポンプ室16と、吸排ノズル34と、吸排ノズル34における吸込と吐出を切り換える流路切換部40と、流路切換部40を動作させる切換駆動装置50とを備えている。
【0018】
ダイアフラム12は、複数の変形部14を有しており、ポンプ室16の一方側(本実施形態ではモータ側)を閉塞している。
ポンプ室16には、ダイアフラム12と対向する他方側において、吸込口30と、吐出口32とが設けられている。吸込口30は、ポンプ室16の容積が増加したときに空気を吸い込むように逆止弁(図示せず)が設けられており、吐出口32は、ポンプ室16の容積が増加したときに空気を吐出するように逆止弁(図示せず)が設けられている。
【0019】
ダイアフラム12の各変形部14には、モータ側に突出する突起部15がそれぞれ形成されている。突起部15の先端には大径部17が形成されている。
【0020】
ダイアフラム12の動作は、モータ20の駆動によって実行される。
モータ20の回転軸22には、回転軸22から外径方向に向けて突出する複数の回転変形部24が設けられており、それぞれの回転変形部24がダイアフラム12の各変形部14に当接可能となっている。1つの回転変形部24が1つの変形部14に位置するときは、他の回転変形部24もそれぞれ他の変形部14に位置するよう配置されている。
【0021】
回転変形部24は、回転軸22を中心にして等間隔で三方に突出しており、また先端側がモータ20側に向けて傾斜するように設けられている。
各回転変形部24の先端には、変形部14の突起部15を収容可能であって且つ大径部17よりも小径の切欠部25が形成されている。
【0022】
モータ20の回転により、複数の回転変形部24の先端の切欠部25が、各変形部14の突起部15に入り込み大径部17をモータ20方向に引っ張る。このとき、各変形部14がモータ20方向に引っ張られてポンプ室16全体は容積が増加し、吸込口30からポンプ室16に空気が吸い込まれる。
さらにモータ20が回転すると、複数の回転変形部24の先端の切欠部25から突起部15が抜け出て変形部14がポンプ室16方向に戻る。このとき、ポンプ室16全体は容積が減少し、吐出口32からポンプ室16内の空気を吐出する。
【0023】
なお、モータ20がどちらの方向に回転した場合であっても、複数の回転変形部24が変形部14を引っ張る動作に変わりはなく、ポンプ室16には吸込口30から空気が入り込み、吐出口32から空気が吐出される。
つまり、モータ20の回転方向はCW回転であろうがCCW回転であろうが、吸込口30からは常に空気が入り込み、吐出口32からは常に空気が吐出される。
【0024】
吸込口30と吐出口32は、流路切換部40を介して吸排ノズル34に接続されている。
吸排ノズル34は、1つのノズルで、空気の吸い込み又は空気の吐出のいずれかを切り換えて行えるものであり、その切り換えは流路切換部40の動作によって行われる。
【0025】
図5に流路切換部40を示す。また、
図6に吸排ノズル34が空気の吸い込みをしている状態を示し、
図7に吸排ノズル34が空気の吐出をしている状態を示す。
流路切換部40は、吸込口30及び吐出口32を結ぶ方向に移動可能となるように配置された、吸込口30及び吐出口32を結ぶ方向に延びる概略直方体状の部材である。
また、吸込口30、吐出口32及び吸排ノズル34の位置は動くことは無く固定であり、吸込口30及び吐出口32と吸排ノズル34との間に配置された流路切換部40のみ移動して、吸排ノズル34の吸排を切り換える。
【0026】
流路切換部40は、吸込口30と吸排ノズル34とを連通させる第1流路42が板厚方向に貫通して形成されており、第1流路42が吸込口30と吸排ノズル34とを連通させたときに吐出口32とポンプ外部とを連通させる第2流路44が、長尺方向の一端側に向けて凹溝として形成されている。
また、流路切換部40は、吐出口32と吸排ノズル34とを連通させる第3流路46が板厚方向に貫通して形成されており、第3流路46が吐出口32と吸排ノズル34とを連通させたときに、吸込口30とポンプ外部とを接続する第4流路48が、長尺方向の他端端側に向けて凹溝として形成されている。
【0027】
なお、
図4、
図6の流路切換部40の状態では、吸込口30と吸排ノズル34が連通しており、吸排ノズル34は空気を吸い込む状態となっている。吸排ノズル34から吸い込まれた空気は、第1流路42と吸込口30を経てポンプ室16へ導入される。ポンプ室16内の空気は吐出口32へ吐出され、第2流路44を経てポンプ外部へと排気される。
【0028】
なお、
図4、
図6の状態から、吸排ノズル34から空気を吐出する状態にする場合は、流路切換部40を
図4、
図6の右方向に、
図7のように移動させて、吸込口30と第4流路48を連通させ、吐出口32と第3流路46とを連通させる。すると、第4流路48から吸い込まれた空気が吸込口30を経てポンプ室16へ導入される。ポンプ室16内の空気は吐出口32へ吐出され、第2流路44を経て吸排ノズル34から吐出される。
【0029】
本実施形態では、吸排ノズル34に対して、第1流路42又は第3流路46のいずれかが常時接続される。このため、第1流路42又は第3流路46のいずれか一方が接続されているときには、他方の流路は吸排ノズル34に接続されないようにする必要がある。
したがって、吸排ノズル34には、流路切換部40の移動に対して、吸込口30又は吐出口32と接続されてない第1流路42又は第3流路46のいずれか他方を遮断する遮断壁35が形成されている。
【0030】
流路切換部40を駆動する切換駆動装置50は、例えば直動式の電磁ソレノイドを採用することができる。切換駆動装置50には、流路の切換を実行するための制御信号が入力され、制御信号に基づいて切換駆動装置50が動作し、流路切換部40を移動させることにより、吸排ノズル34が空気を吸い込む状態か、空気を吐出する状態かを切り換えることができる。
切換駆動装置50を動作させる制御信号は、制御回路52から出力される。制御回路52は、所定のタイミングで切換駆動装置50を動作させる制御信号を出力可能な回路である。
【0031】
なお、本実施形態におけるモータ20は、DCブラシレスモータ、サーボモータ等種々のモータを採用できる。モータ20はモータ制御回路によって回転数や回転方向(CW回転とCCW回転)を制御可能である。
本実施形態では、サーボモータを採用しており、サーボモータのモータ制御回路を切換駆動装置50の制御回路52と兼用させることにより部品点数の削減を図っている。
【0032】
すなわち、本実施形態では
図8に示すように、サーボモータのモータ制御回路において、所定のタイミングでCW回転とCCW回転を切り換える切換制御信号を出力するようプログラミングしておき、モータ制御回路からのCW回転とCCW回転を切り換える切換制御信号をモータ20と切換駆動装置50に出力する。切換駆動装置50は、モータ制御回路からの切換制御信号をトリガとして動作する。
【0033】
また、流路切換部40の他端側には、第4流路48の凹溝を閉塞するような壁部54が形成されており、第4流路48の凹溝内にはバネ56が配置されている。バネ56は、切換駆動装置50がプル型の電磁ソレノイドを採用した場合に、動作復帰するために用いられる。
流路切換部40の一端側には、電磁ソレノイドのプランジャ先端が取り付けられる。
【0034】
本実施形態のように切換駆動装置50としてプル型の電磁ソレノイドを採用し、サーボモータのモータ制御回路からのCW回転又はCCW回転の切換制御信号が電磁ソレノイドに入力されると、電磁ソレノイドが流路切換部40を引っ張る。
電磁ソレノイドが流路切換部40を引っ張ると、吸込口30と第4流路48が連通し、吐出口32と第2流路44が連通する位置に流路切換部40が移動する。この状態は、吸排ノズル34が空気を吐出している状態である。
また、このとき、吸込口30の外壁面とバネ56が当接し、バネ56は壁部54と吸込口30の外壁面との間で圧縮される。
【0035】
モータ制御回路からのCW回転又はCCW回転の切換制御信号は、トリガとしての信号であって電磁ソレノイドに電流を印加し続けるわけではない。
したがって、電磁ソレノイドが流路切換部40を引っ張った状態はすぐに開放され、圧縮されたバネ56によってすぐに流路切換部40が元の位置(吸込口30と第1流路42が連通し、吐出口32と第3流路46が連通している位置)に戻る。この状態は、吸排ノズル34が空気を吸い込んでいる状態である。
【0036】
このように、吸排ノズル34が空気を吸い込んでいる状態をデフォルトとし、モータ制御回路からのCW回転又はCCW回転の切換制御信号が入力されたときのみ吸排ノズル34が空気を吐出する状態とすることで、電磁ソレノイドに常時電流を印加しなくても、部品を吸着して運ぶ動作を実現することができる。
すなわち、部品を吸着している時間はある程度長い時間が必要なため、電磁ソレノイドがオフの状態で部品を吸着している時間を長く維持し、モータ制御回路からのCW回転又はCCW回転の切換制御信号が電磁ソレノイドに入力されたときのみ電磁ソレノイドを動作させて空気を排出して部品の吸着を解除できる。
【0037】
(他の実施形態)
なお、上述した実施形態における流路切換部40は、吸込口30と吸排ノズル34とを連通させる第1流路42と、吐出口32と吸排ノズル34とを連通させる第3流路46とは別個の流路として形成されているものであった。
しかし、
図9~
図10に示すように、吸込口30と吸排ノズル34とを連通させる流路と、吐出口32と吸排ノズル34とを連通させる流路とを1つの流路56で共用させる構成であってもよい。
ただし、この実施形態によれば、流路切換部40や吸排ノズル34の構成は簡素化できるが、切り換え時の流路切換部40の移動距離が長くなってしまうという特徴がある。
【0038】
なお、上述してきた実施形態では、切換駆動装置として電磁ソレノイドを採用した例について記載したが、切換駆動装置は、直動装置であればよく電磁ソレノイドに限定するものではない。例えば、エアシリンダーや油圧シリンダーを採用することも可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 ダイアフラムポンプ
12 ダイアフラム
14 変形部
15 突起部
16 ポンプ室
17 大径部
20 モータ
22 回転軸
24 回転変形部
25 切欠部
30 吸込口
32 吐出口
34 吸排ノズル
35 遮断壁
40 流路切換部
42 第1流路
44 第2流路
46 第3流路
48 第4流路
50 切換駆動装置
52 制御回路
54 壁部
56 バネ
58 流路