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特許7527672血液ポンプアセンブリおよびそれの使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】血液ポンプアセンブリおよびそれの使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/295 20210101AFI20240729BHJP
   A61M 60/139 20210101ALI20240729BHJP
   A61M 60/427 20210101ALI20240729BHJP
   A61M 60/867 20210101ALI20240729BHJP
   A61M 60/843 20210101ALI20240729BHJP
【FI】
A61M60/295
A61M60/139
A61M60/427
A61M60/867
A61M60/843
【請求項の数】 45
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022152416
(22)【出願日】2022-09-26
(62)【分割の表示】P 2019510708の分割
【原出願日】2017-08-24
(65)【公開番号】P2022173347
(43)【公開日】2022-11-18
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】62/379,032
(32)【優先日】2016-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516064091
【氏名又は名称】ニューパルスシーブイ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ロバート スミス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルヴァン ジェーヴァナンダム
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-528122(JP,A)
【文献】特開平09-122243(JP,A)
【文献】特開2008-264569(JP,A)
【文献】特開平06-297484(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0152945(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0183136(US,A1)
【文献】特表2013-508094(JP,A)
【文献】米国特許第04327709(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0312745(US,A1)
【文献】米国特許第05176619(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/295
A61M 60/139
A61M 60/427
A61M 60/867
A61M 60/843
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液ポンプアセンブリであって、前記血液ポンプアセンブリは、
伸長膨張式チャンバを画定するバルーンであって、前記バルーンは、遠位端および近位端を有し、前記遠位端は、丸みを帯び、前記近位端は、開口部を含む円筒形領域を有する、バルーンと、
膨張管であって、前記膨張管は、前記バルーンの前記近位端の前記開口部の内面が前記膨張管の外面に直接接触するように、前記開口部に結合され、前記膨張管は、前記膨張式チャンバと流体連通する流体チャネルを画定する、膨張管と
を備え、
前記遠位端と前記近位端との間において、前記バルーンは、膨張状態であるときに伸長円筒形状を有する中心領域を有し、
前記膨張管の最遠位端は、非膨張状態であるときに前記バルーンが実質的に平坦な平面形状を有するように、前記バルーンの前記近位端の前記円筒形領域において終端しかつ前記バルーンの前記近位端の前記円筒形領域に結合され、
前記実質的に平坦な平面形状は、前記バルーンが前記非膨張状態であるときに前記バルーンが埋め込まれる血管内で流体の層流を助長するように構成され、
前記膨張管の前記最遠位端は、前記膨張管の前記最遠位端が前記バルーンの前記近位端の前記円筒形領域に結合される場所に平滑な外部外形を提供するように構成されるコーティング層を介して前記バルーンの前記近位端の前記円筒形領域に結合される、血液ポンプアセンブリ。
【請求項2】
前記バルーンは、生体適合性材料から成る、請求項1に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項3】
前記バルーンは、ブロックコポリマーから成る、請求項2に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項4】
前記バルーンは、セグメント化ポリエーテルポリウレタンから成る、請求項3に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項5】
前記バルーンは、前記膨張状態から前記非膨張状態に移行することに応じて、前記バルーンの前記近位端の前に、前記バルーンの前記遠位端が収縮するように構成される、請求項1に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項6】
前記バルーンの前記遠位端は、前記バルーンの前記近位端の厚さ未満の厚さを有する、請求項1に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項7】
前記バルーンは、その全長に沿って一様な厚さを有する、請求項1に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項8】
バルーン厚さは、約0.2~0.4mmである、請求項7に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項9】
バルーン厚さは、約0.25~0.35mmである、請求項8に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項10】
前記バルーンの前記近位端の前記開口部に隣接する放射線不透過性マーカをさらに備える、請求項1に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項11】
前記放射線不透過性マーカは、Pt-Ir合金から成る、請求項10に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項12】
前記放射線不透過性マーカは、前記膨張管の外面にわたって配置されるリングである、請求項10に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項13】
前記バルーンの前記近位端の前記開口部は、前記膨張管の外面にわたって配置される、請求項1に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項14】
生体適合性材料の外層は、前記バルーンの前記近位端の前記開口部にわたって配置され、それによって、前記バルーンを前記膨張管に結合し、前記バルーンから前記膨張管への円滑な移行を提供する、請求項13に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項15】
前記外層は、ブロックコポリマーから成る、請求項14に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項16】
前記外層は、セグメント化ポリエーテルポリウレタンから成る、請求項15に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項17】
前記伸長円筒形状は、前記バルーンの前記遠位端に第1の直径と、前記バルーンの前記近位端に第2の直径とを有し、前記第1の直径は、前記第2の直径未満である、請求項1に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項18】
前記伸長円筒形状は、その長さに沿って一定の直径(D1)を有する、請求項1に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項19】
前記開口部は、円形であり、D1よりも小さいD2の直径を有する、請求項18に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項20】
前記バルーンは、D1からD2まで円滑にテーパ化する、請求項19に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項21】
D1は、約17~22mmである、請求項19に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項22】
D2は、約3.0~7.5mmである、請求項19に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項23】
D1は、約18~20mmであり、D2は、約4~7mmである、請求項19に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項24】
前記アセンブリの外面全体は、実質的に平滑である、請求項1に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項25】
前記伸長円筒形状は、約195~210mmの長さを有する、請求項1に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項26】
前記伸長円筒形状は、約200~205mmの長さを有する、請求項25に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項27】
前記バルーンは、膨張されたときに約40~60cc、または膨張されたときに約50ccの体積を有する、請求項1に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項28】
前記バルーンは、約10psiを上回る定格破裂圧力を有する、請求項1に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項29】
前記バルーンは、約2,500万、5,000万、7,500万、または1億サイクルを上回る膨張/収縮サイクルの存続期間を有する、請求項1に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項30】
請求項1~29のいずれかに記載の血液ポンプアセンブリを備える、血管内心室補助システム(iVAS)。
【請求項31】
前記伸長膨張式チャンバと流体連通するベローズを収納する駆動ユニットをさらに備える、請求項30に記載のiVAS。
【請求項32】
縫合リングと、血管移植片およびストッパとを備える動脈インターフェースデバイス(AID)をさらに備える、請求項30に記載のiVAS。
【請求項33】
皮膚インターフェースデバイス(SID)をさらに備える、請求項30に記載のiVAS。
【請求項34】
前記SIDは、
SID基部に回転可能に結合されるSIDキャップであって、前記SIDキャップおよび前記SID基部は両方とも、空気圧駆動ラインに結合するように構成される、SIDキャップと、
前記SIDを通して空気を伝送するための前記SIDキャップとAIS基部との間の気密導管と
を備え、
前記SID基部は、第1の空気圧駆動ラインを介して前記バルーンの前記伸長膨張式チャンバに流体的に結合され、前記SIDキャップは、第2の空気圧駆動ラインを介してベローズに流体的に結合される、請求項33に記載のiVAS。
【請求項35】
前記血液ポンプアセンブリは、対象の血管の中に埋め込まれるように構成され、一連の膨張/収縮サイクルを通して循環させられるように構成される、請求項1~29のいずれかに記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項36】
前記対象は、心不全を有する、請求項35に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項37】
前記血液ポンプアセンブリは、1、2、3、4、または5年を上回って埋め込まれたままであるように構成される、請求項35に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項38】
前記対象は、ヒトである、請求項35に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項39】
前記iVASの前記血液ポンプアセンブリは、対象の血管の中に埋め込まれるように構成され、一連の膨張/収縮サイクルを通して循環させられるように構成される、請求項30~34のいずれかに記載のiVAS。
【請求項40】
前記対象は、心不全を有する、請求項39に記載のiVAS。
【請求項41】
前記血液ポンプアセンブリは、1、2、3、4、または5年を上回って埋め込まれたままであるように構成される、請求項39に記載のiVAS。
【請求項42】
前記対象は、ヒトである、請求項39に記載のiVAS。
【請求項43】
血液ポンプを対象の血管の中に導入するための導入器アセンブリをさらに備える、請求項1~29のいずれかに記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項44】
下行大動脈内に前記血液ポンプアセンブリを固着するための、血管移植片およびストッパを有する動脈インターフェースデバイスをさらに備える、請求項43に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項45】
前記開口部の前記内面および前記膨張管の前記外面は、ともに溶剤接合されている、請求項1に記載の血液ポンプアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2016年8月24日に出願された米国特許出願第62/379,032号の35 U.S.C. §119(e)のもとでの優先権の利益を主張するものであり、該仮出願の全内容は、その全体を参照することにより本明細書中に援用される。
【0002】
本発明は、概して、心臓補助デバイス(CAD)に関し、より具体的には、CADとともに使用するために好適な血液ポンプ、ならびに血液ポンプを用いて対象を治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
CADの使用は、心不全を治療するための周知の方法である。血液ポンプは、大動脈の内側に、典型的には、近位下行大動脈の中に位置付けられる。ポンプは、典型的には、40~50ccの変位体積を備え、心臓と直列に連動し、血流を増補する。拡張期中に、ポンプは、膨張され、それによって、上行大動脈および大動脈弓内の血液を冠動脈の中へ駆動し、酸素を心筋に供給する。収縮期中に、左心室が収縮すると、ポンプは、後負荷を減少させるように収縮される。
【0004】
CADの血液ポンプ部分の使用は、周知であるが、いくつかの合併症が、従来の血液ポンプの使用中に証明されている。1つの潜在的に重篤な合併症は、従来のポンプが大動脈内の血液の層流を最大限にする収縮形状を維持できないことに起因して、ポンプが収縮状態であるときに、収縮期中の大動脈の過剰な閉塞から生じる。過剰な動脈閉塞と関連付けられる合併症の危険性を低減させる、血液ポンプの必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、血管内心室補助システム(iVAS)とともに使用するための血液ポンプ、ならびに血液ポンプを利用して心不全を治療するための方法を提供する。
【0006】
故に、一側面では、本発明は、血液ポンプアセンブリを提供する。血液ポンプアセンブリは、a)伸長膨張式チャンバを画定する、バルーンであって、バルーンは、遠位端および近位端を有し、遠位端は、丸みを帯び、近位端は、開口部を有する、バルーンと、b)バルーンの近位端の開口部に結合される、膨張管であって、膨張式チャンバと流体連通する流体チャネルを画定する、管とを含む。バルーンは、膨張状態であるときに伸長円筒形状と、非膨張状態であるときに実質的に平面状の形状とを有する、中心領域を有し、それによって、ポンプが埋め込まれる血管内で流体の層流を助長する。
【0007】
別の側面では、本発明は、本開示の血液ポンプアセンブリを含む、血管内心室補助システム(iVAS)を提供する。実施形態では、iVASは、血液ポンプと流体連通するベローズを収納する、駆動ユニットと、縫合リング、血管移植片およびストッパを有する、動脈インターフェースデバイス(AID)と、皮膚インターフェースデバイス(SID)とを含む。
【0008】
さらに別の側面では、本発明は、心室補助を対象に提供する方法を提供する。本方法は、対象の血管の中に本開示の血液ポンプアセンブリを埋め込み、一連の膨張/収縮サイクルを通して血液ポンプを循環させるステップを含む。
【0009】
なおも別の側面では、本発明は、対象の心不全を治療する方法を提供する。本方法は、対象の血管の中に本開示の血液ポンプアセンブリを埋め込み、一連の膨張/収縮サイクルを通して血液ポンプを循環させるステップを含む。
【0010】
別の側面では、本発明は、血液ポンプを対象の血管の中に導入する方法を提供する。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
血液ポンプアセンブリであって、前記血液ポンプアセンブリは、
a)伸長膨張式チャンバを画定するバルーンであって、前記バルーンは、遠位端および近位端を有し、前記遠位端は、丸みを帯び、前記近位端は、開口部を有する、バルーンと、
b)前記バルーンの前記近位端の前記開口部に結合される膨張管であって、前記管は、膨張式チャンバと流体連通する流体チャネルを画定する、管と
を備え、
前記バルーンは、膨張状態であるときに伸長円筒形状と、非膨張状態であるときに実質的に平面状の形状とを有する、中心領域を有し、それによって、ポンプが前記非膨張状態であるときに前記ポンプが埋め込まれる血管内で流体の層流を助長する、血液ポンプアセンブリ。
(項目2)
前記バルーンは、生体適合性材料から成る、項目1に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目3)
前記バルーンは、ブロックコポリマーから成る、項目2に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目4)
前記バルーンは、セグメント化ポリエーテルポリウレタンから成る、項目3に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目5)
前記バルーンは、前記膨張状態から前記非膨張状態に移行することに応じて、前記バルーンの前記近位端の前に、前記バルーンの前記遠位端が収縮するように構成される、項目1に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目6)
前記バルーンの前記遠位端は、前記バルーンの前記近位端の厚さ未満の厚さを有する、項目6に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目7)
前記バルーンは、その全長に沿って一様な厚さを有する、項目1に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目8)
バルーン厚さは、約0.2~0.4mmである、項目7に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目9)
バルーン厚さは、約0.25~0.35mmである、項目8に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目10)
前記バルーンの前記近位端の前記開口部に隣接する放射線不透過性マーカをさらに備える、項目1に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目11)
前記放射線不透過性マーカは、Pt-Ir合金から成る、項目10に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目12)
前記マーカは、前記膨張管の外面にわたって配置されるリングである、項目10に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目13)
前記開口部は、前記膨張管の外面にわたって配置される、項目1に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目14)
生体適合性材料の外層は、前記バルーン開口部にわたって配置され、それによって、前記バルーンを前記膨張管に結合し、バルーンから膨張管への円滑な移行を提供する、項目13に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目15)
前記外層は、ブロックコポリマーから成る、項目14に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目16)
前記外層は、セグメント化ポリエーテルポリウレタンから成る、項目15に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目17)
前記伸長円筒形状は、前記バルーンの前記遠位端に第1の直径と、前記バルーンの前記近位端に第2の直径とを有し、前記第1の直径は、前記第2の直径未満である、項目1に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目18)
前記伸長円筒形状は、その長さに沿って一定の直径(D1)を有する、項目1に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目19)
前記開口部は、円形であり、D1よりも小さいD2の直径を有する、項目18に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目20)
前記バルーンは、D1からD2まで円滑にテーパ化する、項目19に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目21)
D1は、約17~22mmである、項目19に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目22)
D2は、約3.0~7.5mmである、項目19に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目23)
D1は、約18~20mmであり、D2は、約4~7mmである、項目19に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目24)
前記アセンブリの外面全体は、実質的に平滑である、項目1に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目25)
前記伸長円筒形状は、約195~210mmの長さを有する、項目1に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目26)
前記伸長円筒形状は、約200~205mmの長さを有する、項目25に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目27)
前記バルーンは、膨張されたときに約40~60cc、または膨張されたときに約50ccの体積を有する、項目1に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目28)
前記バルーンは、約10psiを上回る定格破裂圧力を有する、項目1に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目29)
前記バルーンは、約2,500万、5,000万、7,500万、または1億サイクルを上回る膨張/収縮サイクルの存続期間を有する、項目1に記載の血液ポンプアセンブリ。
(項目30)
項目1-29のいずれかに記載の血液ポンプアセンブリを備える、血管内心室補助システム(iVAS)。
(項目31)
前記伸長膨張式チャンバと流体連通するベローズを収納する、駆動ユニットをさらに備える、項目30に記載のiVAS。
(項目32)
縫合リングと、血管移植片およびストッパとを備える、動脈インターフェースデバイス(AID)をさらに備える、項目30に記載のiVAS。
(項目33)
皮膚インターフェースデバイス(SID)をさらに備える、項目30に記載のiVAS。
(項目34)
前記SIDは、
SID基部に回転可能に結合されるSIDキャップであって、前記キャップおよび基部は両方とも、空気圧駆動ラインに結合するように構成される、SIDキャップと、
前記SIDを通して空気を伝送するための前記キャップと基部との間の気密導管と、
を備え、
前記基部は、第1の空気圧駆動ラインを介して前記バルーンの前記伸長膨張式チャンバに流体的に結合され、前記キャップは、第2の空気圧駆動ラインを介してベローズに流体的に結合される、項目33に記載のiVAS。
(項目35)
対象の血管の中に項目1-29のいずれかに記載の血液ポンプアセンブリを埋め込み、一連の膨張/収縮サイクルを通して前記血液ポンプを循環させることを含む、カウンタパルゼーションを介して心室補助を対象に提供する方法。
(項目36)
前記対象は、心不全を有する、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記血液ポンプは、1、2、3、4、または5年を上回って埋め込まれたままである、項目35に記載の方法。
(項目38)
前記対象は、ヒトである、項目35に記載の方法。
(項目39)
対象の血管の中に項目30-34のいずれかに記載のiVASの血液ポンプアセンブリを埋め込み、一連の膨張/収縮サイクルを通して前記血液ポンプを循環させることを含む、カウンタパルゼーションを介して心室補助を対象に提供する方法。
(項目40)
前記対象は、心不全を有する、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記血液ポンプは、1、2、3、4、または5年を上回って埋め込まれたままである、項目39に記載の方法。
(項目42)
前記対象は、ヒトである、項目39に記載の方法。
(項目43)
対象の血管の中に項目1-29のいずれかに記載の血液ポンプアセンブリを埋め込み、一連の膨張/収縮サイクルを通して前記血液ポンプを循環させることを含む、対象の心不全を治療する方法。
(項目44)
対象の血管の中に項目30-34のいずれかに記載のiVASの血液ポンプアセンブリを埋め込み、一連の膨張/収縮サイクルを通して前記血液ポンプを循環させることを含む、対象の心不全を治療する方法。
(項目45)
血液ポンプを対象の血管の中に導入する方法であって、前記方法は、
a)鎖骨下動脈へのアクセスを提供することと、
b)大腿動脈へのアクセスを提供することと、
c)大腿動脈アクセスから鎖骨下動脈アクセスまで前記大腿動脈に沿ってスネアデバイスを前進させることと、
d)項目1-29のいずれかに記載の血液ポンプアセンブリの膨張式チャンバの中へガイドワイヤを前進させることと、
e)前記バルーンの前記遠位端における前記ガイドワイヤの鈍的遠位端を前記スネアデバイスと結合することと、
f)前記大腿動脈アクセスから前記スネアデバイスを引き抜き、それによって、下行大動脈の中に前記バルーンを引き入れることと、
g)前記ガイドワイヤの前記鈍的遠位端から前記スネアデバイスを分断することと、
h)前記血管系から前記スネアデバイスを引き抜くことと、
i)前記バルーン、続いて、前記血管系から、前記ガイドワイヤを引き抜くことと
を含む、方法。
(項目46)
前記鎖骨下動脈アクセスにおいて血管移植片およびストッパを有する動脈インターフェースデバイスを利用して、前記下行大動脈内で前記血液ポンプを固着することをさらに含む、項目45に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、同様の参照指示子が同様の要素を指定するために使用される、図面と併せて解釈される、以下の発明を実施するための形態の熟読から、さらに理解されるであろう。
【0012】
図1図1は、血液ポンプ180と、内部駆動ライン170と、動脈インターフェースデバイス(AID)150と、皮膚インターフェースデバイス(SID)400と、外部駆動ライン310と、外部駆動部320と、ヒト胸部上に重ね合わされた皮下ECGリード線850とを含む、本明細書では血管内心室補助システム(iVAS)とも称される、CADを概略的に示す。
図2図2は、本発明の一実施形態における、血液ポンプ10の斜視図である。
図3図3は、収縮状態時の図2に描写される血液ポンプの上面図である。
図4図4は、図2で描写される、血液ポンプ10の右側面図である。
図5図5は、図2で描写される、血液ポンプの近位端の拡大側面図である。
図6図6は、膨張管21と結合された血液ポンプ10を含む、アセンブリを概略的に示す。
図7図7は、図6で描写される、膨張管21の近位端31の縦軸に沿った断面図である。
図8図8は、バルーン開口部19を介してバルーン15の近位端に結合された際の図6で描写される膨張管21の遠位端32の縦軸に沿った断面図である。
図9図9は、図8の詳細Eの拡大断面図である。
図10図10は、膨張管21と結合されたバルーン15を含む、アセンブリを概略的に示す。
図11図11は、図10で描写される、アセンブリの縦軸に沿った断面図である。
図12図12は、図10の膨張管21を概略的に示す。
図13図13は、図12で描写される、膨張管の区分A-Aの断面図である。
図14図14は、図12で描写される、膨張管の区分B-Bの断面図である。
図15図15は、図12の詳細Cの拡大図である。
図16図16は、図12の詳細Dの拡大図である。
図17図17は、本発明の一実施形態における、放射線不透過性マーカ35の斜視図である。
図18図18は、本発明の一実施形態における、膨張管を駆動ラインに結合するための二重ホースバーブ40を概略的に図示する。
図19図19は、図18で描写される、二重ホースバーブの側面図である。
図20図20は、図18で描写される、二重ホースバーブの区分A-Aの断面図である。
図21図21は、図18の詳細Bの拡大図である。
図22図22は、収縮状態時の図2のポンプの右側面図である。
図23図23は、収縮状態時の図2のポンプの上面図である。
図24図24は、患者にCADの血液ポンプを埋め込むステップとともに使用するための導入器アセンブリ50を概略的に示す。
図25図25は、図24で描写される、導入器アセンブリの断面図である。
図26図26は、図24で描写される、導入器アセンブリ50の係止構成要素90および関連付けられるコレット機構75の拡大断面図である。
図27図27は、ポンプの埋込中のバルーンポンプ180に結合された導入器アセンブリ50を概略的に示す。
図28A図28Aは、AID150を使用して患者に埋め込まれたCADを概略的に示す。
図28B図28Bは、AID150の断面図である。
図29A図29Aは、埋込型基部500と、SIDキャップ600とを備える、皮膚インターフェースデバイス(SID)400を図示する。
図29B図29Bは、患者内に配置されたときのSID400の皮上部分420および皮下部分430を図示する。
図30図30は、バルーンポンプの埋込中にAIDグラフト110を閉塞するために使用される、アクセスポートアセンブリ800を示す。
図31図31は、バルーンポンプの埋込中のアクセスポート800およびシース810と組み合わせた導入器アセンブリ50のアセンブリを示す。
図32図32は、ガイドワイヤ80の鈍的遠位端85が送達中にバルーンの遠位先端まで前進される、バルーンポンプ180の遠位部分の拡大断面図である。
図33図33は、バルーンポンプの埋込中の真空源(シリンジ)と組み合わせた導入器アセンブリ50のアセンブリを示す。
図34図34は、ポンプの膨張カテーテルが、AID150を通して右鎖骨下動脈において血管系に進入する、近位下行大動脈の中に位置付けられたポンプを概略的に示す。
図35図35は、大動脈内ポンプ180と、内部駆動ライン170と、動脈インターフェースデバイス150と、皮膚インターフェースデバイス400と、外部駆動ライン310と、外部駆動部320とを含む、心臓補助デバイス300を概略的に示す。
図36図36は、バルーンポンプの埋込中にAIDグラフトを閉塞するために使用されるアクセスポートアセンブリ1000を示す。
図37図37は、縦軸に沿った図36のアクセスポートアセンブリの断面図である。
図38図38は、図36のアクセスポートアセンブリの区分A-Aの断面図である。
図39図39は、駆動ライン上に配置されたAIDストッパ178を有する、駆動ライン175に流体的に結合されたバルーンポンプ180を有する、アセンブリを概略的に示す。
図40図40は、図39の詳細Aの拡大図である。
図41図41は、図40のAIDストッパ178の斜視図である。
図42図42は、図40の詳細Aの区分A-Aの断面図である。
図43図43は、図41のAIDストッパ178の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
米国特許出願第14/659,375号および第14/476,656号、ならびに米国特許第8,323,174号および第7,892,162号は、それらの全体として本明細書に組み込まれる。米国特許出願第14/659,375号および第14/476,656号、ならびに米国特許第8,323,174号および第7,892,162号に開示されるようなCADならびにその構成要素と関連付けられる、構成要素、デバイス、モジュール、ソースコード、および同等物もまた、本明細書に説明されるようなCADならびにその構成要素の中に配置される。加えて、これらの構成要素、デバイス、モジュール、ソースコード、および同等物を利用する、米国特許出願第14/659,375号および第14/476,656、ならびに米国特許第8,323,174号および第7,892,162号に開示される機能ならびに方法もまた、本明細書に説明されるCADを使用して動作する。
【0014】
本発明は、同様の番号が同一または類似要素を表す、図を参照して以下の説明の中の好ましい実施形態において説明される。本明細書の全体を通した「一実施形態」、「実施形態」、または類似用語の言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、もしくは特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体を通した語句「一実施形態では」、「実施形態では」、または類似用語の出現は全て、必ずではないが、同一の実施形態を指し得る。
【0015】
本発明の説明される特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態では任意の好適な様式で組み合わせられてもよい。以下の説明では、多数の具体的詳細が、本発明の実施形態の徹底的な理解を提供するように列挙される。しかしながら、当業者は、本発明が、具体的詳細のうちの1つ以上のものを伴わずに、もしくは他の方法、構成要素、材料等を伴って実践され得ることを認識するであろう。他の事例において、周知の構造、材料、または動作は、本発明の側面を曖昧にすることを回避するために、詳細に示されていない、もしくは説明されていない。
【0016】
本発明の血液ポンプアセンブリは、概して、本開示のCADの使用とともに開示されるが、これは、種々のデバイスとともに、およびそのようなデバイスの血管埋込を伴う種々の手技で利用されてもよい。
【0017】
主要な実施形態では、本明細書ではiVASとも称される、本開示のCADは、大動脈内バルーンポンプ(IABP)に類似するカウンタパルゼーションの原理に作用する。システムの構成要素が、図1に示されている。拡張期中に、ポンプ膨張は、大動脈内の血液を変位させ、それを下流に押動することによって、天然心臓の心拍出量を増補する。収縮期の開始(R波のピーク)時に、ポンプは、収縮し、大動脈圧力を減少させ、後続の駆出中に左心室の要求される仕事量を低減させる。カウンタパルゼーションは、何十年にもわたって、数時間から数週間にわたって循環支援を提供する心原性ショックの標準治療となっている。
【0018】
種々の実施形態では、iVASの埋込は、4つの構成要素、すなわち、動脈インターフェースデバイス(AID)、血液ポンプ、皮膚インターフェースデバイス(SID)、および内部駆動ラインを埋め込むことを要求する。血液ポンプの埋込を促進するために、導入器アセンブリを含む、カスタムツールおよび方法が開発された。埋込に応じて、血液ポンプは、反復膨張/収縮サイクルを受け、動脈を通して血液を駆動することを補助する。本発明によって対処される主要な要因は、血液ポンプが収縮期中に収縮状態であるときに動脈内の閉塞を低減させることである。これは、ポンプが、収縮されたときに実質的に平坦な平面形状を維持し、それによって、血管内の層流を助長および/または維持することが可能である、革新的血液ポンプ(本明細書では同義的にバルーンポンプと称される)構造によって達成される。
【0019】
故に、一側面では、本発明は、血液ポンプアセンブリを提供する。図2-5を参照すると、アセンブリ10は、a)伸長膨張式チャンバ16を画定する、バルーン15であって、バルーン15は、遠位端17および近位端18を有し、遠位端17は、丸みを帯び、近位端18は、開口部19を有する、バルーン15と、b)バルーン15の近位端18の開口部19に結合される、膨張管21であって、膨張式チャンバ16と流体連通する流体チャネルを画定する、管21とを含む。バルーン15は、膨張状態であるときに伸長円筒形状と、非膨張状態であるときに実質的に平面状の形状とを有する、中心領域25を有し、それによって、ポンプが埋め込まれる血管内で流体の層流を助長する。
【0020】
図2は、バルーンが完全膨張状態であるときの血液ポンプ15を図示する。着目すべきこととして、収縮状態であるときに、バルーンは、図22-23に示されるように、実質的に平坦な平面状幾何学形状を維持する。図22は、バルーン15が、バルーン15の遠位端17から近位端18まで縦軸に沿って実質的に平坦な平面状構造を有する、収縮状態時のバルーン15を示す、血液ポンプ10の側面図である。収縮バルーン構造もまた、扁平な広がった外形を有するバルーンの上面図である、図23に図示されている。
【0021】
層流は、循環系の大部分の全体を通した血流の正常な状態である。これは、血管の長さに並行して移動する、血液の同心層によって特徴付けられる。最高速度(Vmax)は、血管の中心で見出される。最低速度(V=0)は、血管壁に沿って見出される。流動プロファイルは、いったん層流が完全に発現されると放物線状である。これは、定常流条件下で、長い真っ直ぐな血管の中で起こる。
【0022】
血管を通した血流の隣接層の規則的な移動は、血液の隣接層と血管の壁との間の粘性相互作用を最小限にすることによって、流動する血液中のエネルギー損失を低減させることに役立つ。層流の妨害は、乱流およびエネルギー損失の増加につながる。乱流中に、血液は、隣接層内で線形および円滑に流動せず、代わりに、流動は、無秩序であるものとして表されることができる。乱流が熱を発生させる摩擦の形態でエネルギーの損失を増加させるため、乱流は、血流を駆動するために要求されるエネルギーを増加させる。したがって、乱流の増加は、慢性心不全がある対象の心臓に不要な歪みを生成する所与の流速のために、より高い駆動圧力を要求する。
【0023】
収縮状態時のバルーン外形は、それが内側に埋め込まれる血管内で一様な層流を助長する。したがって、混濁流が、低減され、それによって、凝固、停滞ゾーンの作成、および心臓上の過剰な歪みの傾向を減少させる。
【0024】
血液ポンプアセンブリ10のバルーン部分15は、膨張管21に結合される。図12-16は、近位端31および遠位端32を有する、膨張管21のいくつかの図を示す。膨張管21の遠位端32は、バルーン15の開口部19に結合する。結合された構造は、図9に示されている。膨張管21の遠位端32は、バルーン開口部の内面が膨張管21の外面と接触するように、バルーン15の開口部19の中に挿入される。随意に、放射線不透過性リング35が、結合部位に配置されてもよい。膨張管21の表面およびバルーン開口部19は、ともに溶剤接合されてもよい。コーティング層38は、バルーン15を膨張管21にさらに添着するように、結合部位にわたって配置される。着目すべきこととして、コーティング層38はまた、アセンブリ全体の外面が、埋込に応じて混濁流を増加させ得る突出を有していないように、平滑な外部外形を結合部位に提供する。
【0025】
膨張管21は、典型的には、その長さに沿って一様な直径を有する。実施形態では、管の外径は、4、5、6、または7mm以下である。理想的には、外径は、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、5.8、5.7、5.6、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、5.0、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5mmまたはそれ未満等の約7、6.5、6、5.5、5、4.5、4.0mmまたはそれ未満である。実施形態では、管の内径は、2.5、3、3.5、4、4.5、または5mm以下である。理想的には、内径は、5.0、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5mmまたはそれ未満等の約5、4.5、4.0、3.5、3.0mmまたはそれ未満である。理想的には、内径は、約3.0~3.3mmである。実施形態では、外径は、それが埋め込まれる血管の断面積の80、75、70、65、60、55、50、45%未満が閉塞されるようにサイズ決めされる。理想的には、外径は、それが埋め込まれる血管の断面積の55、50、または45%未満が閉塞されるようにサイズ決めされ、内径は、3.0mmを上回り、外径は、6.0mm未満である。理想的には、外径は、それが埋め込まれる血管の断面積の55、50、または45%未満が閉塞されるようにサイズ決めされ、内径は、3.5mmを上回り、外径は、6.0mm未満である。理想的には、外径は、それが埋め込まれる血管の断面積の55、50、または45%未満が閉塞されるようにサイズ決めされ、内径は、4.0mmを上回り、外径は、6.0mm未満である。実施形態では、内径は、約3.0~4.0mmであり、外径は、約4.1~6.5mmである。一実施形態では、内径は、約3.2mmであり、外径は、約4.0である。一実施形態では、内径は、約3.1mmであり、外径は、約4.0である。一実施形態では、内径は、約3.0mmであり、外径は、約4.0である。実施形態では、内径は、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、または3.9mmであり、外径は、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5.0mmである。当業者によって理解されるであろうように、内径は、ガイドワイヤの鈍的遠位端に存在する任意の特徴を含む、ガイドワイヤに適応するようにサイズ決めされなければならない。したがって、鈍的遠位端は、遠位端の外径が膨張管の内径未満であるようにサイズ決めされるであろう。
【0026】
膨張管21の壁厚は、典型的には、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5mmまたはそれ未満等の1mm未満である。よじれを防止するために、膨張管21は、壁剛性を追加するメッシュ構成要素等の補強材料を含んでもよい。一実施形態では、メッシュ構成要素は、随意に、Nitinol等の医療グレード鋼鉄または合金から成る、ワイヤメッシュである。そのような実施形態では、バルーンは、付加的放射線不透過性マーカを要求しない。代替的補強要素および構成が、当技術分野で公知であり、膨張管壁に組み込まれてもよい。例えば、ポリマー繊維、織物、および同等物が、利用されてもよい。加えて、補強要素は、例えば、メッシュ、編組または織布、螺旋、および同等物として、種々の幾何学形状で膨張管壁に組み込まれてもよい。
【0027】
膨張管21の近位端31は、バルーンを膨張および収縮させるための収縮性ベローズを有する流体駆動部と流体連通する、内部駆動ライン等の空気圧ラインに結合される。図18-21に示されるように、二重ホースバーブ40は、膨張管21を空気圧駆動ラインに接続する。
【0028】
バルーン15は、平滑な外部外形を提供し、反復膨張/収縮サイクルを受けることが可能である、任意の生体適合性材料から成ってもよい。実施形態では、好ましい材料は、セグメント化ポリエーテルポリウレタン等のブロックコポリマーを含む。一実施形態では、バルーンは、DSM Biomedical Inc.によって販売されているBioSpan(R)から本質的に成る。
【0029】
バルーン材料とともにバルーンを寸法決定することは、本明細書で議論されるように適切な流動パラメータを維持するとともに、埋め込まれたときにデバイスの適切な機能を維持する際に重要である。実施形態では、バルーンは、約0.2~0.4mmである、その長さに沿った一様な壁厚を有する。一実施形態では、バルーン壁厚は、約0.3mmである。さらに、バルーンの長さは、約195~210mm、例えば、約200~205mmである。実施形態では、バルーンは、膨張されたときに約40~60ccの体積を有するように寸法決定される。実施形態では、バルーンは、約1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、または0.4mm未満の全体的収縮厚さを有する。理想的には、バルーンは、バルーンの収縮に応じて血管系内の層流を助長するように、約0.2~0.8mm、0.2~0.4mm、0.3~0.6mm、0.4~0.6mm、または0.4~0.8mmの全体的収縮厚さを有する。
【0030】
バルーンは、埋込に応じて失敗なく多数の反復膨張/収縮サイクルを受けることが可能でなければならない。理想的には、バルーンは、約2,500万、5,000万、7,500万、または1億サイクルを上回る膨張/収縮サイクルの存続期間を有する。したがって、デバイスは、埋込に応じて患者の寿命の持続時間にわたって、例えば、1、2、3、4、5年、またはそれを上回って埋め込まれたままであってもよい。
【0031】
一実施形態では、血液ポンプアセンブリは、図24-26に示されるように、導入器アセンブリを使用して埋め込まれる。図24-26を参照すると、アセンブリ50は、a)縦軸に沿って伸長である、シャフト55であって、遠位端60、近位端65、遠位端60から近位端65まで縦軸に沿って延在する管腔70、およびガイドワイヤ80を受容するために近位端65に配置されるコレット機構75を有する、シャフトと、b)遠位端および近位端を有する、係止構成要素90であって、係止構成要素の遠位端がシャフトの近位端に可逆的に結合するように適合される、係止構成要素とを含む。係止構成要素は、係止構成であるときに、握持力がコレット機構75と管腔70内に挿入されたガイドワイヤ80との間に生成されるように、係止構成および係止解除構成を有する。
【0032】
着目すべきこととして、シャフトの近位端65は、係止構成要素90と液密シールを形成するように適合される。これは、Oリング95の包含によって達成されることができる。液密シールは、血管系の中へのバルーンポンプ180の導入中に血液損失を防止する。Oリング95はまた、導入器とポンプ180との間に気密シールを作成し、ポンプが血管系の中への挿入中に収縮されることを可能にする。
【0033】
図28Aおよび28Bは、iVASのAID150を図示する。図28Aを参照すると、血管インターフェース100は、動脈内の切開の位置に縫合リング130を用いて動脈120に取り付けられた血管AIDグラフト110を使用して、形成される。示される特定のグラフトは、その遠位端140において広がる。AID150は、AIDグラフト110の内側に位置し、AIDグラフト110の内部を充填する。
【0034】
縫合リング130を鎖骨下動脈に縫い付けることは、システムを埋め込むときに外科医が実施する最初のタスクである。次に、AIDグラフト110は、縫合リング130に縫合される。
【0035】
図28Aおよび28Bを参照すると、AID150は、本体155を備える。ある実施形態では、本体155は、ポリウレタンを備える。ある実施形態では、本体155は、ポリシロキサンを備える。図28Aおよび28Bの図示される実施形態では、本体155は、それを通して延在する2つの管腔を含むように形成される。管腔160は、AID150を通して空気圧駆動ライン170を通過させるために利用される。
【0036】
第2の管腔165は、随意に、動脈圧力を測定する圧力センサ190と、センサ190をSID400に相互接続する(図29Aおよび29B)センサリード線192、194、196、および198とを収納する。センサリード線192、194、196、および198は、電力をセンサ190に提供し、接地接続を提供し、クロック信号をセンサ190に提供し、センサ190からSID400に動脈圧力信号を通信するために使用される。
【0037】
AID150の長さを通して延在する管腔160は、空気圧駆動ライン170によって充填される。空気圧駆動ライン170は、ひいては、その遠位端においてポンプ180に接続される。ある実施形態では、膨張カテーテルは、3~6mmの範囲内(多くの場合、約5mm)の内径を有するように形成されるが、他の直径も可能である。
【0038】
図28Aには、空気圧駆動ライン170の近位端が示されていない。ポンプ180が、心室補助デバイスとして機能するために心周期と協調して膨張および収縮する必要があるため、ポンプは、空気圧駆動ライン170を介して駆動部(例えば、空気圧縮機またはポンプ)と流体連通しなければならない。
【0039】
そのような駆動部が図1に示されるように身体の外部にある、実施形態では、SID400(図29Aおよび29B)は、システムの設計が、患者の身体に埋め込まれる、および外部にある、両方の部品から成ることを可能にする。空気圧駆動ライン170は、SID400に取り付けられ、SID400は、流体駆動部に取り付けられる。ある実施形態では、駆動部、空気圧駆動ライン170、およびポンプ180は、閉鎖空気システムを形成し、その閉鎖システムは、明確に定義され、精密に制御された体積の空気を含む。そのような明確に定義され、精密に制御された体積の空気は、漏出検出を促進する。
【0040】
ある実施形態では、空気体積および空気の移動は、例えば、限定ではないが、1つ以上の線形アクチュエータによって駆動されるベローズを使用して、精密に制御される。本明細書の皮膚インターフェースデバイスの説明では、空気圧駆動ライン170は、代替として、内部駆動ラインと称される。
【0041】
バルーンポンプ180の埋込において、いったん縫合リング130およびAIDグラフト110の吻合が上記で議論されるように完成すると、アイリスバルブ(図30)を含有するアクセスポートが、グラフトの近位端の中に挿入され、止血を生成する。外科医は、次いで、シース(図31)をポートの近位端に取り付ける。シースの内側には、その収縮状態時の血液ポンプ180がある。シースの他方の端部は、図31に図示されるように、導入器アセンブリのシャフトに縛り付けられる。アクセスポートの機能は、ポンプ挿入中に血液損失を最小限にすることである。シースは、アクセスポートを通して逃散する任意の血液を収集するために使用される。
【0042】
図30および31を参照すると、血液ポンプ180の埋込において、いったん縫合リング130およびAIDグラフト110の吻合が上記で議論されるように完成すると、随意に、アイリスバルブ(図30)を含有するアクセスポートが、その近位端においてAIDグラフト110の中に挿入され、止血を生成する。外科医は、次いで、随意に、シース810(図31)をアクセスポートアセンブリ800の近位端に取り付ける。シース810の内側には、その収縮状態時の血液ポンプ180がある。シース810の他方の端部は、図31に図示されるように、導入器アセンブリ50のシャフトに縛り付けられる。シース810は、縫合糸820を介してアクセスポートアセンブリ800および導入器アセンブリ50のシャフトに取り付けられる。アクセスポートの機能は、ポンプ挿入中に血液損失を最小限にすることである。シースは、アクセスポートを通して逃散する任意の血液を収集するために使用される。血液ポンプ180は、次いで、患者の血管系、すなわち、下行胸部大動脈に埋め込まれる。ポンプを埋め込むために、外科医は、それを挿入し、患者の鎖骨下動脈まで誘導し、鎖骨下大動脈分岐を横断し、次いで、最終場所まで大動脈を下って進行する。ポンプは、導入器50を用いることなく埋込を可能にする機械的剛性を有していない。
【0043】
実施形態では、シースは、埋込において要求されない。そのような実施形態では、血液ポンプ180の埋込において、いったん縫合リング130およびAIDグラフト110の吻合が上記で議論されるように完成すると、アイリスバルブ(図30)を含有するアクセスポートアセンブリ800が、その近位端においてAIDグラフト110の中に挿入され、止血を生成する。シースは、AIDグラフト110が血液損失を防止するように可逆的に圧着され得るため要求されない。血液ポンプ180は、次いで、患者の血管系、すなわち、下行胸部大動脈に埋め込まれる。ポンプを埋め込むために、外科医は、それを挿入し、患者の鎖骨下動脈まで誘導し、鎖骨下大動脈分岐を横断し、次いで、最終場所まで大動脈を下って進行する。ポンプは、導入器50を用いることなく埋込を可能にする機械的剛性を有していない。
【0044】
一実施形態では、バルーンポンプ180の配設中に、ガイドワイヤ80は、ワイヤの鈍的遠位端85がポンプの遠位内側先端に接触するように、バルーンポンプの中に挿入される(図32)。したがって、ガイドワイヤ80は、補助管腔の中またはバルーンの外表面上にあることとは対照的に、挿入中にバルーンポンプ180の中心管腔内にある。これは、バルーンが単一の管腔を有することを可能にし、バルーンは、その長さに沿って一様な厚さである。導入器シャフトの遠位端は、次いで、図27に示されるように、ポンプの近位端に機械的に取り付けられる。コレット機構75および関連付けられる係止構成要素90は、定位置にガイドワイヤ80を係止するために使用される。真空デバイス(すなわち、図33のようなシリンジ)は、次いで、ポンプ(図示せず)に真空を引き込み、そのサイズを最小限にするために使用される。いったんポンプが設置されると、真空が解放され、ガイドワイヤ80が抽出され、シャフトが除去される。
【0045】
実施形態では、アクセスポートアセンブリ800は、血液ポンプ180の埋込中に除去されてもよい。したがって、ポートの内径は、AID150および導入器アセンブリ50に適応することができるように、十分に大きくサイズ決めされてもよい。例えば、いったん血液ポンプ180が動脈内に設置されると、アクセスポートアセンブリ800は、取り外され、導入器アセンブリ50およびガイドワイヤ80にわたって患者から離れるように摺動されてもよい。実施形態では、アクセスポートの内径は、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15mmを上回る。一実施形態では、アクセスポートの内径は、約7または8mmと等しい、もしくはそれを上回る。
【0046】
配設中にバルーンポンプ180の設置および検出を促進するために、ガイドワイヤ80またはその一部は、放射線不透過性材料を含んでもよい。例えば、鈍的端部85は、放射線不透過性材料から成ってもよい、または別様にそれを含んでもよい。代替として、バルーンポンプ180またはその一部は、放射線不透過性材料を含んでもよい。一実施形態では、バルーンは、バルーンの膨張領域に隣接し、かつその近位に、放射線不透過性材料のリングを含む。例えば、バルーンポンプ180は、Pt-Ir合金から成るリングを含んでもよい。別の実施形態では、ガイドワイヤ80またはその一部およびバルーンポンプ180またはその一部は両方とも、放射線不透過性材料を含む。
【0047】
図34は、右鎖骨下動脈上の定位置にAIDグラフト110を(概略的に)示す。本位置は、容易な外科的アクセスおよび下行大動脈への比較的短い距離を可能にするため有利である。図34はまた、縫合糸210によってAID150に固着されたグラフトを示す。インターフェースのための他の好適な位置は、総頸動脈、腕頭動脈、左鎖骨下動脈、下行大動脈、および腹部大動脈のいずれかを含む。外腸骨および大腿動脈等の大動脈の下流分岐もまた、使用されてもよい。
【0048】
実施形態では、バルーンポンプ180の埋込は、導入器アセンブリの補助なく達成されてもよい。例えば、バルーンポンプ180は、血管系の中へ、かつそれを通してポンプを引き入れることによって、血管系内に位置付けられてもよい。いったんガイドワイヤ80の鈍的遠位端85がポンプの遠位内側先端まで前進されると、スネアデバイスが、鈍的遠位端85を把持し、血管系内の定位置にバルーンポンプ180を引き入れるために使用される。手技は、以下のように説明される。
【0049】
上記で議論されるように、縫合リング130を鎖骨下動脈に縫い付けることが実施され、AIDグラフト110は、縫合リング130に縫合される。いったん縫合リング130およびAIDグラフト110の吻合が完成すると、アクセスポートがグラフトの近位端の中に挿入され、ポートが閉塞される。図36-38は、一実施形態の本発明におけるアクセスポートを図示する。図36-38に示されるように、アクセスポート800は、管類950を介してシリンジ900に結合されて示されている。
【0050】
外科医は、次に、血管系の中へガイドワイヤ80を前進させ、大動脈内の将来のポンプ設置を可視化し、埋め込むポンプの適切な長さ(例えば、12インチまたは16インチの一体駆動ラインを含む、全長を有するポンプ)を決定する。ガイドワイヤ80は、次いで、血管系から除去される。
【0051】
スネアデバイスは、次いで、大腿動脈の中に導入され、スネアデバイスの遠位先端がアクセスポートを介して血管系から退出するまで血管系に沿って前進される。スネアデバイスは、概して、ガイドワイヤ80の鈍的遠位端85を可逆的に把持する、またはそれと結合するように構成される遠位先端を有する、伸長可撓性シャフトを含む。さらに、スネアデバイスの伸長可撓性シャフトは、シャフトの遠位先端が血管系から退出するようにアクセスポート800を通して前進されるときに、シャフトの近位端が大腿動脈挿入点において血管系の外側に留まるように、十分な長さである。鎖骨下動脈におけるアクセスポートまでのスネアデバイスの前進を促進するために、スネアデバイスは、スネアデバイスの流れの上方で血管系内に設置され、アクセスポートまでスネアデバイスを引動するために使用される、ワイヤ、例えば、J-ワイヤに結合されてもよい。実施形態では、ガイドワイヤ80は、スネアデバイスをアクセスポートまで引動するために使用されてもよい。
【0052】
ガイドワイヤ80の鈍的遠位端85およびスネアデバイスの遠位先端は、バルーンの先端を損傷することなく、相互への可逆的取付を可能にする、任意の数の幾何学形状で構成されてもよい。一実施形態では、鈍的遠位端85は、球体または楕円体等の平滑な丸みを帯びた幾何学形状を有し、ガイドワイヤがバルーンの遠位端を穿刺することを防止する一方で、スネアデバイスの遠位先端の把持構造が結合するための構造も提供する。当業者は、スネアデバイスの把持構造が、バルーンへの損傷を回避しながら、ガイドワイヤの鈍的遠位端85との結合を促進するように種々の方法で構成され得ることを理解するであろう。例えば、把持部分は、ワイヤスネア、把持ジョー、鈍的遠位端を受容するためのスロット付き部材、および同等物として構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤの遠位端は、把持機構に係合する溝、切り欠き、または陥凹を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤの遠位端は、把持機構に係合する突起または突出を含んでもよい。
【0053】
次に、外科医は、ガイドワイヤ80をバルーンポンプ180の中に挿入し、バルーンポンプ180が患者の外側に留まっている間に鈍的遠位端85をバルーンポンプの遠位先端まで前進させる。スネアデバイスの遠位端は、例えば、ワイヤループを介して、鈍的遠位端85と結合され、バルーンポンプ180は、その大腿動脈進入点からスネアデバイスのシャフトを次第に引き抜き、それによって、血管系に沿って下行大動脈内の定位置にバルーンを引き入れることによって、アクセスポート800(すなわち、図36-37のようなアクセスポート800)を通して血管系の中に導入される。アクセスポート800は、随意に、血液損失を最小限にしながら血液ポンプ挿入を可能にするように同時に作動される。バルーンポンプ180が血管系の中に導入される前に、真空デバイスが、随意に、ポンプに真空を引き込み、そのサイズを最小限にするために使用される。これは、弁に結合された真空デバイスとともに、図40に示されるように駆動ライン175の近位端179において結合されたTuohy Borst弁の使用を介して、達成されることができる。以下で議論されるようなバルーンポンプの設置に応じて、真空が解放され、ガイドワイヤ80が抽出される。代替実施形態では、図36は、バルーンポンプ180に真空を引き込むために使用され得る、管類950を介してシリンジ900に結合されたアクセスポート800を図示する。
【0054】
血管系内のバルーンポンプ180の挿入および正しい設置を可視化するために、蛍光透視法または当技術分野で公知である任意の他の好適な撮像方法が使用される。一実施形態では、バルーンポンプ180上で遠位に位置する放射線不透過性マーカ35とともに、ガイドワイヤ80の鈍的遠位端85が、正しい設置を確実にするために視覚マーカとして使用される。
【0055】
いったんバルーンポンプ180が所望の位置に来ると、AIDのストッパ部分が、AIDのグラフト部分の中に挿入される。図39は、AIDストッパ178を有する駆動ライン175に接続されたバルーンポンプ180を含む、アセンブリを示す。駆動ライン175は、AIDストッパ178の中心管腔を通して延在する。図41および43は、本発明の実施形態におけるAIDストッパ178を図示する。
【0056】
縫合糸が、次いで、血管系内のバルーンポンプの場所を確保するように、AIDグラフト110、AIDストッパ178、および駆動ライン175の周囲に縛られる。外科医は、次いで、ポンプの遠位端におけるガイドワイヤ80の鈍的遠位端85からスネアデバイスの遠位端を分断する。スネアは、次いで、血管系から引き抜かれ、ガイドワイヤ80もまた、バルーンポンプ180から引き抜かれる。
【0057】
駆動ライン175の管腔が縫合張力によって過剰に圧縮されないことを確実にするために、ゲージデバイスが、AIDストッパ178の管腔を通して横断する駆動ライン175の領域中の駆動ライン175の内径を測定または監視するために使用されてもよい。一実施形態では、ゲージデバイスは、駆動ラインの内径を監視するように駆動ラインの管腔の中へ前進される、所定の外径を有する可鍛性ロッドである。縫合糸は、駆動ラインが圧縮されていることを外科医が決定する場合に調節されてもよい。これは、バルーンの中へのガス流体流が、システムの最適な性能を阻止するであろう制約を受けないことを確実にする。
【0058】
一実施形態では、血管系内のポンプの位置付けは、縫合糸を使用することなく固着される。本実施形態では、AIDグラフト110、AIDストッパ178、および駆動ライン175にわたって設置される、クランプが利用される。クランプは、駆動ライン175を過剰に圧縮することなく、AIDグラフト110およびAIDストッパ178に係合するように事前にサイズ決めされる。実施形態では、クランプは、AIDグラフト110,AIDストッパ178、および駆動ライン175を包囲するように構成される、随意にヒンジ連結される、伸長クランプであってもよい。
【0059】
ここで図35を参照すると、実施形態では、CADまたはiVASは、ポンプ180と、空気圧駆動ライン170と、AID150と、SID400と、外部駆動ライン310と、外部駆動部320とを備える。
【0060】
その近位端において、ポンプ180は、空気圧駆動ライン170の遠位端に接続される。AID150は、動脈壁を通して空気圧駆動ライン170を通過させるようにサイズ決めおよび成形される。
【0061】
SID400は、空気圧駆動ライン170の近位端を外部駆動ライン310の遠位端に接続する。外部駆動ライン310の近位端は、駆動部320に接続される。
【0062】
ポンプ180、内部駆動ライン170、SID400、外部駆動ライン170、および駆動部320は、ポンプ媒体を注入されることができる。ある実施形態では、ポンプ媒体は、流体を備える。好ましいポンプ媒体は、空気である。ある実施形態では、ポンプ180、空気圧駆動ライン170、SID400、外部駆動ライン310、および駆動部320は、閉鎖流体システムを画定する。ある実施形態では、ポンプ180、空気圧駆動ライン170、SID400、外部駆動ライン310、および駆動部320は、システムの内側の空気のボーラスが周囲環境と交換されることができる、開放システムを備える。
【0063】
当業者が理解するであろうように、ポンプ180は、患者の生体構造に応じて、種々のサイズを有してもよい。ある実施形態では、ポンプ180は、典型的には、最大収縮期圧を上回って10~20mmHgまで膨張されたときに、約40~60立方センチメートルの膨張体積を有するであろう。
【0064】
内部駆動ライン170は、典型的には、その長さに沿って一様な直径を有する。実施形態では、駆動ラインの外径は、4、5、6、または7mm以下である。理想的には、外径は、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、5.8、5.7、5.6、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、5.0、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5mmまたはそれ未満等の約7、6.5、6、5.5、5、4.5、4.0mmまたはそれ未満である。実施形態では、管の内径は、2.5、3、3.5、4、4.5、または5mm以下である。理想的には、内径は、5.0、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5mmまたはそれ未満等の約5、4.5、4.0、3.5、3.0mmまたはそれ未満である。理想的には、内径は、約3.0~3.3mmである。実施形態では、外径は、それが埋め込まれる血管の断面積の80、75、70、65、60、55、50、45%未満が閉塞されるようにサイズ決めされる。理想的には、外径は、それが埋め込まれる血管の断面積の55、50、または45%未満が閉塞されるようにサイズ決めされ、内径は、3.0mmを上回り、外径は、6.0mm未満である。理想的には、外径は、それが埋め込まれる血管の断面積の55、50、または45%未満が閉塞されるようにサイズ決めされ、内径は、3.5mmを上回り、外径は、6.0mm未満である。理想的には、外径は、それが埋め込まれる血管の断面積の55、50、または45%未満が閉塞されるようにサイズ決めされ、内径は、4.0mmを上回り、外径は、6.0mm未満である。実施形態では、内径は、約3.0~4.0mmであり、外径は、約4.1~6.5mmである。一実施形態では、内径は、約3.2mmであり、外径は、約4.0である。一実施形態では、内径は、約3.1mmであり、外径は、約4.0である。一実施形態では、内径は、約3.0mmであり、外径は、約4.0である。実施形態では、内径は、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、または3.9mmであり、外径は、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5.0mmである。当業者によって理解されるであろうように、内径は、ガイドワイヤの鈍的遠位端に存在する任意の特徴を含む、ガイドワイヤに適応するようにサイズ決めされなければならない。したがって、鈍的遠位端は、遠位端の外径が膨張管の内径未満であるようにサイズ決めされるであろう。
【0065】
内部駆動ライン170の壁厚は、典型的には、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5mmまたはそれ未満等の1mm未満である。よじれを防止するために、駆動ラインは、壁剛性を追加するメッシュ構成要素等の補強材料を含んでもよい。一実施形態では、メッシュ構成要素は、随意に、Nitinol(R)等の医療グレード鋼鉄または合金から成る、ワイヤメッシュである。そのような実施形態では、バルーンは、付加的放射線不透過性マーカを要求しない。代替的補強要素および構成が、当技術分野で公知であり、駆動ライン壁に組み込まれてもよい。例えば、ポリマー繊維、織物、および同等物が、利用されてもよい。加えて、補強要素は、例えば、メッシュ、編組または織布、螺旋、および同等物として、種々の幾何学形状で駆動ライン壁に組み込まれてもよい。
【0066】
ある実施形態では、センサが、空気圧駆動ライン170のように、AID150およびAIDグラフト110を通過し、SID400に接続する、1つ以上の通信インターフェースに接続される。ある実施形態では、これらの1つ以上の通信インターフェースは、データをコントローラに提供する。
【0067】
ある実施形態では、1つ以上のセンサは、有線または無線で、データを本出願人のSID400に伝送する。センサの実施例は、限定ではないが、心電図を測定する導線、体温を検出するセンサ、血液被分析物(血液ガス等)を検出するセンサ、動脈内圧を直接もしくは間接的に検出するセンサ、および/またはポンプ180内の湿度を測定するセンサを含む。間接センサは、例えば、限定ではないが、心音を監視するマイクロホンを含む。
【0068】
ある実施形態では、コントローラ530は、SID400の中に配置される。ある実施形態では、コントローラ530は、外部駆動部320と一体的である。
【0069】
ある実施形態では、1つ以上のセンサからの信号は、心周期、それによって、カウンタパルゼーションサイクルを監視するためにコントローラ530によって使用される。ある実施形態では、1つ以上のセンサからの信号の組み合わせは、心周期を監視するためにコントローラ530によって使用される。
【0070】
ある実施形態では、センサは、システムの内側の空気の状態を決定するために使用される。ある実施形態では、空気圧は、ポンプが適切に膨張しているかどうか、またはシステムに漏出があるかどうかを決定するように測定される。ある実施形態では、空気圧センサからのデータは、コントローラ530に通信される。
【0071】
ある実施形態では、ポンプ180および/またはAID150における動脈血圧のためのセンサは、コントローラ530と通信する。ある実施形態では、これらのセンサは、有線で、または無線でのいずれかで、検出された動脈血圧をコントローラ530に通信する。
【0072】
ここで図29Aを参照すると、SID400は、SID基部500と、SIDキャップ600とを備える。SID基部500およびSIDキャップ600は、空気圧駆動ライン170と外部空気ライン310との間に気密導管を作成するように結合される。このようにして、空気圧駆動ライン170、SID400、および外部空気ライン310は、閉鎖流体システムの一部であることができる。ある実施形態では、気密シールが、ガスケットおよび他の密閉システムを使用して形成される。
【0073】
ここで図29Aおよび29Bを参照すると、埋め込まれたとき、皮膚インターフェースデバイス400は、皮上部分420と組み合わせて、患者の内部に皮下部分430を備える、SID基部500を含む。SIDキャップ600は、SID基部500の皮上部分420に取り付けられる。当業者は、患者上の種々の異なる場所に、例えば、腹部に、または胸部に、SID400を埋め込むことが可能であることを理解するであろう。
【0074】
ここで図29Aを参照すると、SID400は、SIDキャップ600からSID基部500に電気エネルギーを無線で提供し、また、SIDキャップ600とSID基部500との間で、電気信号、すなわち、データを無線で双方向に渡す。SIDキャップ600からSID基部500への電力の伝送を最適化し、同時に、SIDキャップ600とSID基部500との間のデータの伝送を最適化するために、本出願人は、データの伝送から電力の伝送を「分断」している。SIDキャップ600からSID基部500への電力の伝送は、誘導によって行われる。
【0075】
本発明は、上記の実施例を参照して説明されているが、修正および変形例は、本発明の精神ならびに範囲内に包含されることが理解されるであろう。故に、本発明は、以下の請求項のみによって限定される。
図1
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