(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】最小侵襲手術からの回復を改善するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
A61M1/00 101
(21)【出願番号】P 2022516204
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 US2020050118
(87)【国際公開番号】W WO2021050676
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-06-03
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522097119
【氏名又は名称】ノレウス テクノロジーズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NOLEUS TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】3536 Hwy 6S, #112, Sugar Land, Texas 77479, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーラスブラマニアム, スワルナ
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0049943(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0071415(US,A1)
【文献】特開2018-033867(JP,A)
【文献】特開2015-198975(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0163532(US,A1)
【文献】特表2017-527336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
A61M 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術からの術後の回復を改善するための装置であって、
メインステム部分と、前記メインステム部分から延在する1つ以上の一次分岐部分とを有する1つ以上の柔軟な部材と、
前記1つ以上の柔軟な部材を包含し、湾曲した構成を有する1つ以上の層であって、前記1つ以上の層は、体腔内に配置された場合に展開される構成を有し、及び、前記体腔から引き抜かれた場合に退避される構成を有する、1つ以上の層と、
前記1つ以上の層の周囲で前記1つ以上の層と流体連通し、結合された接続管であって、前記1つ以上の層は、前記接続管に力が加えられると、前記接続管に対して前記退避される構成に折り畳み可能である、接続管と、
前記装置を送達可能であるカニューレと、
前記接続管を介して前記1つ以上の柔軟な部材と流体連通する負圧機構と、
を備え
、
前記装置は、ロープロファイルの巻かれた構成に再構成可能であり、
前記巻かれた構成を維持するために、前記巻かれた構成の上に内側展開シースが配置され、
前記内側展開シース及び前記装置は、カニューレ開口部を過ぎて体腔内に前進するまで、前記巻かれた構成のままで、前記カニューレを通って
同時に前進され
、次いで、前記装置は、前記内側展開シースを越えて遠位に前進させられる、装置。
【請求項2】
前記メインステム部分は、前記1つ以上の層の近位端から遠位端まで延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つ以上の一次分岐部分は、前記メインステム部分から、長手方向軸の周りに対称的なパターンで延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記1つ以上の一次分岐部分から延在する1つ以上の二次分岐部分をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記1つ以上の柔軟な部材は、多孔質部材または連続気泡部材を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ以上の層全体に分布された複数の開口部をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記1つ以上の柔軟な部材は、前記接続管に流体接続される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記1つ以上の層は、ポリエチレンおよびポリウレタンからなる群から選択される材料から構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記1つ以上の柔軟な部材は、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)およびポリビニルアルコール(PVA)発泡体からなる群から選択される材料から構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記カニューレは、体内からの気体または流体の漏れを防ぐためのシールを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
手術からの術後の回復を改善するための装置であって、
メインステム部分と、前記メインステム部分から延在する少なくとも1つの一次分岐部分とを有する柔軟な部材と、
前記1つ以上の柔軟な部材を包含する1つ以上の層であって、前記1つ以上の層は、体腔内に配置された場合に展開される構成を有し、及び、前記体腔から引き抜かれた場合に退避される構成を有する、1つ以上の層と、
前記1つ以上の層の周囲で前記1つ以上の層と流体連通し、結合された接続管であって、前記1つ以上の層は、前記接続管に力が加えられると、前記接続管に対して前記退避される構成に折り畳み可能である、接続管と、
前記装置を送達可能であるカニューレと、
前記接続管を介して前記1つ以上の柔軟な部材と流体連通する負圧機構と、
を備え
、
前記装置は、ロープロファイルの巻かれた構成に再構成可能であり、
前記巻かれた構成を維持するために、前記巻かれた構成の上に内側展開シースが配置され、
前記内側展開シース及び前記装置は、カニューレ開口部を過ぎて体腔内に前進するまで、前記巻かれた構成のままで、前記カニューレを通って
同時に前進され
、次いで、前記装置は、前記内側展開シースを越えて遠位に前進させられる、装置。
【請求項12】
前記メインステム部分は、前記1つ以上の層の近位端から遠位端まで延在する、請求項
11に記載の装置。
【請求項13】
前記1つ以上の一次分岐部分は、前記メインステム部分から、長手方向軸の周りに対称的なパターンで延在する、請求項
11に記載の装置。
【請求項14】
前記1つ以上の一次分岐部分は、ピッチフォーク形状の構成を形成する、請求項
11に記載の装置。
【請求項15】
前記1つ以上の柔軟な部材は、多孔質部材または連続気泡部材を含む、請求項
11に記載の装置。
【請求項16】
前記1つ以上の層全体に分布された複数の開口部をさらに含む、請求項
11に記載の装置。
【請求項17】
前記1つ以上の柔軟な部材は、前記接続管に流体接続される、請求項
11に記載の装置。
【請求項18】
前記1つ以上の層は、ポリエチレンおよびポリウレタンからなる群から選択される材料から構成される、請求項
11に記載の装置。
【請求項19】
前記1つ以上の柔軟な部材は、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)およびポリビニルアルコール(PVA)発泡体からなる群から選択される材料から構成される、請求項
11に記載の装置。
【請求項20】
前記カニューレは、体内からの気体または流体の漏れを防ぐためのシールを備える、請求項
11に記載の装置。
【請求項21】
最小侵襲手術からの術後の回復を改善するための装置であって、
メインステム部分と、前記メインステム部分から延在する1つ以上の一次分岐部分とを有する1つ以上の柔軟な部材と、
前記1つ以上の柔軟な部材を包含する1つ以上の層であって、前記1つ以上の層は、湾曲した構成を有する、前記1つ以上の層と、
前記1つ以上の層の周囲で前記1つ以上の層に結合されて流体連通する接続管と、
シースと、
前記接続管を介して前記1つ以上の柔軟な部材と流体連通する負圧機構と、
を備え
、
前記1つ以上の層及び前記1つ以上の柔軟な部材は、展開される構成、及び、退避される構成を有するように構成され、
前記退避される構成は、前記1つ以上の層及び前記1つ以上の柔軟な部材が前記シース内に配置されることを可能に
し、
前記退避される構成を維持するために、前記退避される構成の上に前記シースが配置され、
前記シース及び前記装置は、体腔内に前進するまで、前記退避される構成のままで同時に前進され、次いで、前記装置は、前記シースを越えて遠位に前進させられる、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月11日に出願された米国仮出願62/898,971号及び2019年9月11日に出願された米国仮出願62/899,003号に対する優先権の利益を主張し、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に、腸手術からの術後回復を改善するための装置および方法に関する。より詳細には、本発明は、術後イレウス(腸閉塞)の発症および進行を予防するための装置および方法、ならびに腹腔鏡手術などの最小侵襲手術による合併症の発症および進行を予防するための装置および方法に関する。本発明はまた、外科的合併症の発症を予防し、脳外科手術、乳房切除術、ヘルニア縫合術、またはヘルニア根治術などの、開腹手術または開胸手術からの患者の回復を改善するための装置および方法に関する。装置を使用する装置および方法は、血胸および気胸を治療するための胸部外科手術からの改善された成果をもたらす。
【背景技術】
【0003】
術後イレウス(POI)は、腹部手術後にしばしば生じる腸管運動の一過性障害である。POIは、身体の正常な消化管(「GI」)機能への回復を遅らせる一般的な原因である。この多因子現象をどのように減少させるかを調査する有意な研究にもかかわらず、滞在期間(LOS)および病院費用に対するPOIの有意な影響を減少させる単一の戦略は示されていない。病院は排便後まで患者を退院させないため、POIは長期入院の原因となることが多い。POIはまた、病院への手術後再入院の一部の原因となる可能性がある。他の人が指摘したように、結果としての入院期間は、手術の解剖学的位置、手術操作の程度、炎症反応の大きさによって異なる。外科手術がGIトラックに直接影響を及ぼす場合、結果として生じるPOIはしばしば、より重篤であり、矯正するのに長時間を要する。POIの伝統的な治療法には、授動術、下剤の投与、開腹手術手技、消化管運動促進薬などがある。したがって、POIを治療するための代替的なアプローチが必要とされている。
【0004】
腹腔鏡検査は、患者の皮膚を小さく切開して体内に挿入した腹腔鏡を用いて、患者の体腔(腹部や骨盤など)内で手術を行う最小侵襲的な手術法である。典型的には、腹腔鏡はカメラと光を有し、これにより、外部視覚ディスプレイ画面上で内部構造を明瞭に見ることができる。キーホール手術や最小侵襲手術としても知られている腹腔鏡下手術では、皮膚に大きな切開を加える必要なく、外科医が体内の臓器や構造物にアクセスし、見ることができる。腹腔鏡に加えて、管、プローブ、小さな外科用器具、ならびに吸引および潅注セットを、必要に応じて、同じ切開または他の小さな切開を使用して体内に導入することができる。
【0005】
腹腔鏡検査処置の間、腹腔鏡からより容易に理解可能な画像を得るために、また外科医が内部で作業することができる患者の体腔内の部屋を増やすために、腹部は気体(通常、二酸化炭素)で膨張させられる。手術中、手術部位を清浄にするために流体が腹部にポンプで送り込まれ、任意の他の体液および組織と共にこの流体を除去するために吸引が使用される。
【0006】
トロカールは、閉塞具(金属またはプラスチックの鋭利なまたは刃のない先端であってもよい)、カニューレ(基本的に中空管)、およびシールから構成される医療用または獣医用デバイスである。腹腔鏡手術の際には、腹部からトロカールを留置する。トロカールは、把持器、はさみ、ステープラ等のような他の器具のその後の配置のためのポータルとして機能する。トロカールはまた、体内の器官からの気体または流体の漏出を可能にする。腹腔鏡検査による合併症には、気腹、肺水腫および内出血がある。
【0007】
歴史的に、手持ち式腹腔鏡吸引および潅注が典型的に接続される病院中央吸引システムは、比較的短期間にわたって比較的高レベルの吸引(750mmHgほどの高さ)を提供するように設計され、長期間にわたって維持されたレベルの吸引を提供するようには設計されていない。
【0008】
手術が吸引を必要とする場合、腹腔鏡吸引および潅注セットハンドル上の制御ボタンは、病院中央吸引システムからの高い吸引流量が高い真空圧レベル下で直ちに生成されるように操作される。腹腔鏡吸引および潅注セットは、外科医に吸引流量に対するいかなる制御も提供しない。その結果、吸引下の流量が、腹腔内に圧送される医療用ガスの流量を超えると、腹部は潰れ始める。これは、外科医の手術部位のビューを制限する影響があるだけでなく、外科医が吸引を使用できる期間の長さを制限し、腹腔の再膨張を許容するために休息期間を必要とする。欧州特許3017833号は、腹腔鏡手術中に吸引流量を制御するための複雑な吸引制御装置を教示することによって、これらの制限を克服する。
【0009】
米国特許出願公開第2014/0058328号明細書は、内視鏡処置中に体腔からガスを排出するためのシステムおよび方法を開示しており、真空破壊装置は、排気ガス入口および排気ガスコンセントと流体連通するチャンバを有し、チャンバは大気と流体連通する1つ以上の開口を含み、体腔は排気ガス入口と流体連通し、排気ガスコンセントは、吸引源に直接または間接的に接続される。
【0010】
腹腔内に手術空間を形成するために腹壁を持ち上げる非常に望ましい手段として、真空デバイスが提案されている。このようなデバイスを教示する特許の例は米国特許第4,633,865号である。この特許によって開示された装置の重大な欠点は、真空の適用によって腹壁が持ち上げられるときに、腹腔内の内部器官が、腹壁の上方移動と同時に上昇することである。その結果、手術空間が提供されないか、または非常に最小限の手術空間が提供され、医原性損傷のリスクが増加するのであろう。
【0011】
乳房切除術、乳房縮小術、乳房再建術および乳房増強術が、日常的な美容外科手術となっている。乳房増強のための典型的な外科的技術において、シリコンまたは生理食塩水で満たされたインプラントデバイスが、乳房内ひだ(プリーツ)、または乳輪周囲領域のような位置での切開の後に、乳房に挿入される。このような処置では、外科医が乳房の軟組織を操作し、それを適所に保持して、乳房インプラントの清潔な切開および配置のために皮膚に容易にアクセスできるようにすることがしばしば必要である。これにより瘢痕化が最小限に抑えられ、より良い審美的訴求が得られ、術後合併症が予防される。
【0012】
ヘルニア修復術とは、それを含む壁を通って内臓や組織がふくらむヘルニアを矯正するための外科的手術をいう。この手術は、腹部、鼠径部、横隔膜、脳、または以前に手術を受けた部位のヘルニアを矯正するために実施されることがある。ヘルニア縫合術とヘルニア根治術の2種類に分けられる。
【0013】
鼠径管を修復せずにヘルニア嚢を切除する手術をヘルニア根治術と呼ぶ。ヘルニア根治術は、自己材料(患者自身の組織)またはプロレンメッシュなどの不均質な材料を用いた後鼠径管壁の補強された修復と組み合わされる。対照的に、ヘルニア縫合術では、補強のために自己材料または不均質な材料が使用されない。
【0014】
通常、肺は、胸膜腔内の負圧によって胸腔内で膨張した状態に保たれる。空気および/または血液が胸膜腔に集まると、肺が部分的または完全につぶれ、その結果、負圧が失われる(それぞれ、気胸および/または血胸と呼ばれる)。典型的には、単純な気胸は、胸壁の上方に配置される小さな管(チューブ)を配置することによって治療される。血胸は一般に、胸膜腔の下部に蓄積する血液および体液をすべて除去するためのデバイスを必要とする。これらの状態のうち最も危険なものは、緊張性気胸(すなわち、圧迫性気胸または弁性気胸)および/または頻度は低いが緊張性血胸である。この場合、肺は完全につぶれるだけでなく、胸膜腔内の空気および/または液体が胸腔内に十分な圧力を蓄積して、体の静脈が血液を心臓に戻す能力が大幅に低下するため、緊急に治療しない限り、心停止や死亡に至る可能性がある。
【0015】
米国特許第7,229,433号は、気胸および/または血胸を治療するための装置を記載しており、この装置は、部品の組み立てを必要とせず、これらの状態を治療する際に最小限の経験および訓練で医療従事者によって使用することができる。従来の胸部管と同様に、このような装置は、胸腔から流体を効果的に排出することができず、また、術後の治癒および回復のためのサポートを提供しない。
【0016】
漿液腫(血清腫)は、手術後にしばしば起こる合併症であり、多数の毛細血管が切断されたときに起こることがあり、血漿が血液およびリンパ循環から漏出することを可能にしてしまう。漿液腫形成につながりうる手術創には、腹壁形成手術、乳房再建手術、脂肪層切除術、腹壁ヘルニア修復術など、腹部皮弁を含む手術に起因する創傷がある。
【0017】
従来の外科的ドレインデバイスは、特に腹部皮弁手術後に適用される場合、いくつかの欠点に悩まされる。それらは、流体を適切に排出することができず、詰まりやすく、創傷内の組織接着を促進することができないことである。
【発明の概要】
【0018】
前述の問題および傾向に鑑みて、本開示の実施形態は、漿液腫を起こしやすい最大侵襲性手術からの患者の回復を改善し、腹腔鏡下手術による合併症の発症と進行を予防するための装置および方法を提供する。開示されるデバイスおよび方法の態様は、2016年7月27日に出願された米国特許出願第15/221,509号にさらに詳細に記載されており、その全体が任意の目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
本開示の別の態様では、乳房切除術、ヘルニア縫合術、またはヘルニア根治術などの外科手術、より小さな切開部位から折り畳み、除去することができるより小さな装置が望ましい場合がある。
【0020】
本開示の別の態様では、装置及び当該装置を使用する方法は、血胸および気胸を治療するための胸部外科手術からの改善された結果につながる。
【0021】
本開示の別の態様によれば、装置は、複数の発泡体ストリップを包含する二重層を含む。
【0022】
本開示の別の態様では、腹腔鏡手術からの合併症の発症および進行を予防するための方法は、二重層に包まれた複数の発泡体ストリップを有するトロカールを腸に配置するステップと、前記複数のストリップに負の真空圧治療を適用するステップとを含む。
【0023】
本発明のさらに別の態様では、手術後の感染または血腫を減少させるための装置は、二重層を包含するトロカールを含み、この二重層は、腹腔鏡手術などの最小侵襲手術で使用するために適合された「リーフ(葉)」状パターンで分布された複数の発泡体ストリップを包含する。二重層設計に包含された、この「ミニリーフ」のパターン化された発泡体ストリップは、プランジャ状手段によって、閉鎖された胸部または腹腔内に、その退避された(または折り畳まれた、または巻かれた)位置から滲出または展開される。既に開示されているように、発泡体ストリップは、最小侵襲手術中に、手術後の空洞、胸部、または腹腔内の血液および/または流体を除去するための導管として機能し、装置は、負圧送達手段に流体接続される。
【0024】
手術からの術後の回復を改善するための一実施形態は概して、メインステム部分(主茎部分)と、前記メインステム部分から延在する1つ以上の一次分岐部分とを有する1つ以上の柔軟な部材と、前記1つ以上の柔軟な部材を包含し、湾曲した構成を有する1つ以上の層であって、前記1つ以上の層は、体腔内に配置された場合に展開される構成を有し、及び、前記体腔から引き抜かれた場合に退避される構成を有する、1つ以上の層と、前記1つ以上の層の周囲で前記1つ以上の層と流体連通し、結合された接続管であって、前記1つ以上の層は、前記接続管に力が加えられると、前記接続管に対して前記退避される構成に折り畳み可能である、接続管とを備える。
【0025】
組織領域を治療する方法の一実施形態は概して、治療される組織領域へ進入管腔を通じてロープロファイル(目立たない、控えめな)コンパクト形状で治療装置を前進させることと、前記治療装置を展開、拡張した構成に再構成することと、前記組織領域に前記治療装置を配置することと、前記治療装置を介して体液を除去するように、前記治療装置に負圧療法を施すことと、前記治療装置が、前記組織領域からの除去のために接続管の周りで折り畳まれた構成に再構成されるように、前記治療装置の周辺に連結された前記接続管に張力を加えることとを含む。
【0026】
手術後の回復を改善するための別の実施形態は概して、メインステム部分と、前記メインステム部分から延在する少なくとも1つの一次分岐部分とを有する柔軟な部材と、前記1つ以上の柔軟な部材を包含する1つ以上の層であって、前記1つ以上の層は、体腔内に配置された場合に展開される構成を有し、及び、前記体腔から引き抜かれた場合に退避される構成を有する、1つ以上の層と、前記1つ以上の層の周囲で前記1つ以上の層と流体連通し、結合された接続管であって、前記1つ以上の層は、前記接続管に力が加えられると、前記接続管に対して前記退避される構成に折り畳み可能である、接続管とを備える。
【0027】
本明細書に記載された実施形態の他の態様は、実施形態の原理を例示する以下の説明および添付の図面から明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下の図面は本明細書の一部を形成し、本特許請求される主題の特定の態様をさらに実証するために含まれ、本特許請求される主題を限定または定義するために使用されるべきではない。本特許請求の主題は、本明細書で提示される実施形態の説明と組み合わせて、これらの図面のうちの1つ以上を参照することによって、よりよく理解され得る。したがって、本発明の実施形態、ならびにそのさらなる特徴および利点のより完全な理解は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって得ることができ、添付の図面では、同様の参照符号は同様の要素を識別することができる。
【0029】
【
図1】
図1は、装置が人間の体内にある実施形態の斜視図である。
【0030】
【
図2】
図2は、患者の骨盤底内への配置を予想して完全に拡張された本開示の実施形態の平面図である。
【0031】
【
図3A】
図3Aは、約2cmの切開(図示せず)を通して退避され(引っ込められ)、患者(図示せず)の骨盤底から除去された、本開示の実施形態の平面図である。
【0032】
【
図3B】
図3Bは、退避および除去を補助する、本開示の折り目を付けた態様の斜視断面図である。
【0033】
【
図4】
図4は、ポリウレタン二重層の様々な構成要素およびオフセット穿孔を示す実施形態の側面断面図である。
【0034】
【
図5】
図5は、本開示のいくつかの態様を具体化する構成要素の部分斜視図である。
【0035】
【
図6】
図6は、
図2に類似した本発明の実施形態の平面図であり、装置は、患者の体内に留置された後、負圧手段に接続され得る管で完全に拡張(伸長)されている。
【0036】
【
図7】
図7は、プロトタイプ装置の潜在的な直径寸法を決定するために使用された、
図2に類似した本開示の実施形態の平面図である。
【0037】
【
図8】
図8は、
図7に類似した本開示の実施形態の側面斜視図である。
【0038】
【
図9】
図9は、プロトタイプ装置の寸法を決定するために使用された、本開示の実施形態の2つの斜視図の合成図である。
【0039】
【
図10A】
図10Aは、複数のデバイスが身体の異なる領域で展開され得る、人間の最大侵襲性開腹手術の内部での展開時の、本開示の実施形態の正面斜視図である。
【0040】
【
図10B】
図10Bは、複数の装置が腹部手術を受けている患者の内部にある実施形態の配置の別の斜視図である。
【0041】
【
図10C】
図10Cは、単一のデバイスが展開される、人間の最大侵襲性開腹手術の内部での展開時の、本開示の実施形態の正面斜視図である。
【0042】
【
図10D】
図10Dは、単一の装置が腹部外科手術を受けている患者の体内にある実施形態の配置の別の斜視図である。
【0043】
【
図11A】
図11Aは、血胸を治療するために胸腔鏡手術を受けている最小侵襲性の方法で患者の体内にある装置を示す本開示の実施形態の正面斜視図である。
【0044】
【
図11-1A】
図11-1Aは、血胸を治療するために外科手術を受けている最大侵襲性開放手技において、患者の体内の位置での装置を示す本開示の実施形態の正面斜視図である。
【0045】
【0046】
【
図12C】
図12A~12Cは、展開の様々な段階における「扇形の」装置の複合体である。
【0047】
【
図12E】
図12D~12Eは、最小侵襲性/腹腔鏡手術における展開のためのトロカール/カニューレ装置に巻かれ、装填された「扇」デザインの進行図を示す。
【0048】
【
図13】
図13A~13Fは、最小侵襲性/腹腔鏡手術中の患者への開示されたデザインの任意のバージョンの動作の1つの方法を示す。
【0049】
【
図13-1F】
図13-1A~13-1Fは、開腹手術などの最大侵襲手術中の患者への開示されたデザインの任意のバージョンの動作の別の方法を示す。
【0050】
【
図14】
図14A~14Bは、開放/展開状態における「リーフ(葉)」デザインの別の変形例の寸法の特徴例である。
【0051】
図14Cは、トロカール/カニューレ装置で使用するための「巻かれた」コンパクト設計の
図14A~14Bの装置を特徴付ける。
【0052】
【
図15D】
図15A~15Dは、最小侵襲性/腹腔鏡手術における展開のために、トロカール/カニューレ装置内に巻かれ、装填された
図14A~14Cに開示され、「リーフ」デザインの進行図を示す。
【0053】
【
図15E】
図15Eは、本明細書に開示される「リーフ」デザインのしわになった/折り畳まれたバージョンを示す。
【0054】
【
図16】
図16は、「リーフ」デザインの構成要素の分解図である。
【0055】
【
図17】
図17は、プロトタイプ装置の寸法の例を示す、本開示の実施形態の斜視図である。
【0056】
【
図18】
図18は、プロトタイプ装置の寸法の例を示す、本開示の実施形態の別の斜視図である。
【0057】
【
図19】
図19は、プロトタイプ装置の寸法を決定するために使用された、本開示の実施形態のさらに別の斜視図である。
【0058】
【
図20】
図20A~20Bは、本開示の「ピッチフォーク」デザインの実施形態の正面斜視図および詳細図であり、装置は、乳房切除術を受けている患者の内部の位置にある。
【0059】
【
図21B】
図21A~21Bは、装置が脳外科手術を受けている患者の体内にある実施形態の斜視図である。
【0060】
【
図22B】
図22A~22Bは、装置が大きな創傷について手術を受けている患者の体内にある実施形態の斜視図である。
【0061】
【
図23C】
図23A~23Cは、装置が開示されたデザインの「ピッチフォーク」バージョンにある実施形態の斜視図である。
【0062】
【
図24F】
図24A~24Fは、気胸を治療するための乳房手術または胸部手術中の患者への開示されたデザインの「ピッチフォーク」バージョンの動作の別の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
表記及び用語
特定の用語は、特定のシステム構成要素および構成を指すために、以下の説明および特許請求の範囲全体にわたって使用される。当業者には理解されるように、同じ構成要素は異なる名称で参照されてもよい。本書では、名称は異なるが機能は異なる構成要素を区別することは意図していない。以下の議論および特許請求の範囲において、用語「含む(including)」および「含む(comprising)」は制限のない方法で使用され、「含むが、限定されない」を意味するように解釈されるべきである。
【0064】
用語「患者」は、本明細書全体を通して、本開示の方法による治療が提供される動物、ヒトまたは非ヒトを記載するために使用される。獣医学用途は、本開示によって明らかに予想される。その用語は哺乳動物、例えばヒト、他の霊長類、ブタ、齧歯類、例えばマウスおよびラット、ウサギ、モルモット、ハムスター、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、ヒツジおよびヤギを含むが、これらに限定されない。用語「治療する(treat)(治療(treatment))」は、本明細書において、状態(コンディション)、例えばイレウス(腸閉塞)の影響の開始の遅延、阻害、予防、または軽減を記載するために使用される。本明細書で使用される「ドナー」または「ドナー患者」という用語は、レシピエント患者への移植の目的で臓器または組織を得ることができる患者(ヒトまたは非ヒト)を指す。用語「レシピエント」または「レシピエント患者」は、器官または組織が移植され得る患者(ヒトまたは非ヒト)をいう。
【0065】
本明細書で使用される「イレウス(腸閉塞)」という用語は一般に、胃腸管の部分的または完全な麻痺または運動障害を指す。イレウス(腸閉塞)は、胃腸管全体にわたって生じ得るか、またはその1つもしくはいくつかの部分(例えば、胃、小腸、または結腸)のみを含み得る。熟練した開業医は、イレウス(腸閉塞)が例えば、手術(例えば、開腹術を含むあらゆる手術、例えば、小腸移植(SITx)、または腹腔鏡検査を含むあらゆる手術)、腸虚血、後腹膜血腫、腹腔内敗血症、腹腔内炎症、急性虫垂炎、胆のう炎、膵炎、尿管結腸、胸部病変、基底部肺炎、心筋梗塞、代謝障害、例えば、カリウム濃度の低下をもたらすもの、薬物、例えば、オピエート類の長期使用、および外傷、例えば、脊椎の骨折および肋骨骨折を包含する非常に多くの因子によって引き起こされ得ることを認識するのであろう(例えば、Oxford Textbook of Surgery,Morris and Malt,Eds.,Oxford University Press(1994)を参照)。この用語には分娩後イレウス(腸閉塞)も含まれ、これは例えば、経膣分娩(「自然分娩」)または外科的補助分娩後の、分娩後の期間の女性にとって一般的な問題である。本明細書中で使用される場合、用語「術後イレウス(腸閉塞)(post operative ileus」」すなわちPOIは、任意の外科的処置(例えば、腹部外科手術)後に患者が経験するイレウス(腸閉塞)をいう。
【0066】
図面の前述の説明は、読者の便宜のために提供されたものである。しかしながら、実施形態は、図面に示される正確な配置および構成に限定されないことを理解されたい。また、図面は、必ずしも縮尺通りに描かれておらず、特定の特徴は、明確さおよび簡潔さのために、縮尺が誇張されて、または一般化された形態もしくは概略的な形態で示されている場合がある。同一または類似の部分には、同一または類似の参照番号を付してある。
【0067】
様々な実施形態が本明細書に記載されているが、本開示は多種多様な状況で具現化され得る多くの発明概念を包含することを理解されたい。例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読まれるが、単に例示的なものであり、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。なぜなら、本開示における例の可能な実施形態および文脈のすべてを含むことは不可能または非実用的であるからである。本開示を読むと、本開示の多くの代替実施形態が当業者に明らかになるだろう。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される。
【0068】
本開示の例示的な実施形態を以下に記載する。明確にするために、本明細書では、実際の実装形態のすべての特徴を説明するわけではない。いずれの図面も、本開示の「例示的」実施形態にすぎないので、範囲を限定するものと推論されない。任意のそのような実際の実施形態の開発において、設計に固有の目標を達成するために、多数の実装固有の決定がなされる必要があり得、それは、実装ごとに異なり得る。そのような開発努力はおそらく複雑で時間がかかるが、それにもかかわらず、本開示の恩恵を受ける当業者にとって日常的な仕事であることが理解されるのであろう。
【0069】
どのような種類の手術でも、術後に正常な腸機能が回復することは、通常は予測可能なイベントである。小腸の蠕動運動の再開が最初に始まり、通常は術後4~8時間で、一般に24時間前後で完了する。結腸は、術後48~72時間の間にその機能を再開する。しかし、症例によっては、イレウス(腸閉塞)に至る正常な腸機能の遅延または恒久不全が認められる。POIの病因はほとんど解明されていないが、複数の原因が示唆されている。交感神経反射、抑制性体液性因子、腸壁からのノルエピネフリンの放出、麻酔薬、オピエート類、および炎症の影響である。
【0070】
手術とは、イレウス(腸閉塞)を引き起こし、および/または患者をイレウス(腸閉塞)のリスクにさらすあらゆる手術のことである。例えば、手術は、胃および/または腸(例えば、小腸または大腸(例えば、結腸))の手技(例えば、直接的または間接的に)を伴い得、そして開腹を伴うかまたは開腹を伴わない(例えば、腹腔鏡検査を伴う手術)一般に最小侵襲手術と呼ばれる手術などの任意の手術であり得るか、またはより広範には、手術はまた、開胸、胸部、脳、および腹部手術のような外部環境に内部器官および組織を曝露する患者における開放腔を作る、最大侵襲手術を包含し得る。特定の実施形態では、手術は、移植手術または非移植手術、例えば、腹部の任意の器官または組織(例えば、尿生殖器系(例えば、腎臓、尿管、および/または膀胱、ならびに生殖器官(例えば、子宮、卵巣、および/または卵管))、消化系(例えば、胃、小腸、大腸(例えば、結腸)、虫垂、胆のう、肝臓、脾臓、および/または膵臓)、リンパ系、呼吸系(例えば、肺)、横隔膜、腹部内の任意の器官または組織の癌を処置するための手術、子宮内膜手術、および整形外科手術(例えば、股関節手術)であり得る。
【0071】
創傷が大きすぎて自発的に閉鎖できないか、さもなければ治癒できない創傷部位に負圧を加えることによる開放創または慢性創傷の治療が、当技術分野で知られている。現在一般に知られている負圧創傷治療(NPWT)システムは、創傷の上に液体を通さないカバーを配置することと、創傷を取り囲む患者の組織にカバーをシールするために様々な機構を使用することと、負圧源(真空ポンプなど)をカバーに接続することとを含み、それによって負圧の領域が創傷の領域のカバーの下に生成される。
【0072】
NPWTは、特別な封止被覆材(ドレッシング)を通して真空を適用することによって、開放創傷(例えば、手術中および手術後に生じる創傷)の治癒を促進する。継続的な真空は創傷から流体を引き出し、その領域への血流を増加させる。真空は、治療される創傷のタイプおよび臨床目的に応じて、連続的または断続的に適用されてもよい。典型的には、被覆材は数回交換される。この技術のために使用される被覆材は、創傷部位に真空を含むことが意図される、透過性であってもなくてもよい閉塞性被覆材またはポリウレタンで封止された連続気泡発泡体被覆材およびガーゼを含む。特定の状況下では、NPWTデバイスおよびシステムは、生理食塩水または抗生物質などの流体を送達して創傷を潅注することを可能にすることが望ましいか、または必要であり得る。使用済み流体の断続的な除去は、創傷床の洗浄および排液を支援する。
【0073】
腹部の外傷や手術では、直ちに閉じることができない傷ができる。創傷は、さらなる治療を可能にするために、または感染を排除するために、開放されたままである必要があり得る。腸を含む内臓が露出することもある。瘻(ろう)ができることもある(瘻は、体内と皮膚、または、2つの内臓のいずれかの間の異常な通路である)。開腹は、「Bogotaバッグ」(腸を収容するための滅菌プラスチックバッグ)、ジップを備えたシステム、または被覆材を使用することを含む、異なる方法で管理され得る。英国国立医療技術評価機構(NICE)は、開腹を管理するために真空療法を用いることは、英国の国民保健サービスのような政府が提供する健康保険のもう一つの推奨治療選択肢であるべきであると結論づけた。
【0074】
NICEがレビューした7件の研究には、計5263例の患者が含まれていた。一般的に、患者の創傷の約半分(45~58%)が真空療法後に外科的に閉鎖できるのに対し、他のタイプの一時被覆材では13~78%であることが示された。少数の患者がその後腹壁に人工パッチを必要としたが、他の技術を用いた後にもこのようなことが起こった。真空療法後に死亡した患者の割合(22~30%)は、他のタイプの一時被膜剤の後に死亡した患者の数(16~33%)と同様であった。再び、死亡が使用された処置に関連しているという証拠はなかった。
【0075】
既に述べたように、真空療法の目標は、感染物質を除去し、流体が逃げるのを止め、創傷治癒を助けることである。流体が通過することを可能にする透過性フィルムを創傷の上に置き、発泡体スポンジ、またはガーゼなどの以下でさらに論じる他の被覆材が上に置かれる。排液管をスポンジ内に配置し、全てを透明な粘着性フィルムで覆って創傷を封止する。次いで、小さなポンプが、創傷から過剰な流体を吸引する(治療の真空部分)。発泡体の上部に配置されたパッドの形態の感知装置を使用して、正しい量の吸引が使用されることを確実にすることができる。
【0076】
NPWTの別の変形例は、次の通りである。発泡体などの被覆材または充填材料が(最初に非接着性被覆材フィルムで覆われる)創傷の輪郭に適合(フィット)され、次いで、上にある発泡体が透明フィルムで封止される。排液管は、透明フィルムの開口部を通して被覆材に接続される。真空管はフィルムドレープの開口部を通して真空ポンプまたは真空源の側のキャニスタに接続され、開放創傷を制御された閉じた創傷に変え、一方、過剰な流体を創傷床から除去して、循環を増強し、創傷流体を除去する。これは湿潤な治癒環境を作り、浮腫を減らす。この技法は通常、慢性創傷、または治癒中に困難を呈することが予想される創傷(糖尿病に関連する創傷など)に用いられる。
【0077】
このようなNPWTシステムは例えば、独自のV.A.C.(登録商標)製品ラインを有するテキサス州サンアントニオのKinetic Concepts,Inc.によって商業化されている。実際には、負のゲージ圧の創傷への適用は、典型的には過剰な流体の除去と同時に、創傷の機械的な収縮を伴う。このようにして、V.A.C.(登録商標)療法は、適切な静脈還流のために必要な血管構造が欠如している血流増加によって引き起こされる浮腫の産生などの、既知の多くの内因性副作用を軽減しながら、身体の自然な炎症過程を増強する。結果として、V.A.C.(登録商標)療法は、創傷閉鎖の促進において非常に成功していることが示されており、以前はほとんど治療不可能であると考えられていた多くの創傷を治癒している。しかしながら、V.A.C.(登録商標)療法を利用する治療は、開放表面創傷に大きく限定されてきた。この処置は、2001年に、メディケアおよびメディケイドサービスセンターによる償還のために承認された。
【0078】
開腹(OA)または開腹術の状況のために一般に使用されるKinetic Concepts,Inc.によって開発された第2世代のシステムは、6つの発泡体拡張を含み且つ改善された流体除去を提供する内臓保護層(VPL)を除いて、V.A.C.(登録商標)製品ラインとデザインが類似している。このABThera(商標)OA NPTシステムは、非接着性の有窓ポリウレタンを使用し、これは、腸を腹壁から分離し、そして負圧を使用して流体を除去する。ABThera(商標)穿孔発泡体は、筋膜の収縮および領域の損失を最小限にするのを助けるために、内側張力を提供する。ABThera(商標)内蔵保護層は、腹壁と内臓との間の分離を提供し、腹部内容物を保護し、これは、次いで、流体除去を増強する。配置に必要な縫合糸は存在せず、容易な取り外しおよび交換を可能にする。このシステムは、より速く、より効率的な流体除去、ならびに使用の容易性の向上という利点を有する。しかしながら、このシステムのかさばりのために、腹腔は、その使用の間、開いたままでなければならない。浮腫および腫脹が十分に減少した場合、ABThera(商標)OA NPTシステム全体を除去し、腹腔を閉鎖する。これは、完全な腸機能を回復した患者と相関することもあれば、しないこともある。したがって、POIを予防し、患者が腹腔の閉鎖後に完全な腸機能を回復するのを助けることを意図した装置はない。
【0079】
本開示は、最大侵襲性手術または漿液腫の傾向がある手術からの術後の回復を改善するための装置および方法を教示する。より詳細には、本開示は、術後のイレウス(腸閉塞)の発症および進行を予防するための装置および方法に関する。より広くは、この装置および方法は、腹腔鏡手術後の結果を改善し得る。
【0080】
一例では、発泡体部分などの収集部分で接合することができる、様々な形状、例えば楔形とすることができる複数の発泡体ストリップを取り囲む扇状ポリウレタンヒートシール二重層が、穿孔収集部分に対してシールされた管、例えばシリコン管を通して提供される負圧にさらされる。胸部または腹部の閉鎖後にこのような負圧を長期間かけると、体液喪失、膿瘍、血腫および感染を予防するのに役立ち、その結果、患者の回復が促進され、入院期間が短縮される。他の例では、二重層は、複数のストリップまたは要素、例えば、収集部分で接合し、負圧にさらされる「リーフ」静脈パターンで分布されてもよい楔形発泡体ストリップ、を取り囲む。さらに他の例では、二重層は例えば、発泡体で作ることができ、収集部分で接合するピッチフォークパターンで分布させることができる、約3つの楔形ストリップを取り囲む。
【0081】
本明細書に開示されるように、企図される装置および方法は、外科的合併症の発症を予防し、開胸手術(例えば、乳房切除術または開胸手術(例えば、ヘルニア縫合術、またはヘルニア根治術または最大侵襲性脳手術))中の患者の回復を改善するための装置および方法を含む。一般に、術後感染を減少させるための装置は、次いで、脳手術、乳房切除術、およびヘルニア手術のような(これらに限定されない)最大侵襲手術での使用に適合された「リーフ(葉)」のパターンで分布された複数の発泡体ストリップを包含する二重層を含む。
【0082】
ヘルニア修復術における差別化要因の1つは、手術が開腹下で行われるか最大侵襲的に行われるか、または腹腔鏡下で(最小侵襲的に)行われるかである。開腹ヘルニア修復術は、ヘルニアのすぐ上の皮膚を切開した場合である。腹腔鏡下ヘルニア修復術は、最小侵襲のカメラおよび装置を使用し、小さな切開のみでヘルニアを修復する場合である。このような技法は、腹腔鏡下胆のう手術において使用される技法に類似している。
【0083】
別の差別化要因は、ヘルニアを治療するためにメッシュが使用されるかどうかである。ヘルニア根治術は、患者自身の組織のような自己材料を用いて、またはプロレンメッシュのような不均一材料を用いて実施され得る。ヘルニア根治術に使用される外科用メッシュは、臓器および他の組織のための恒久または一時的な支持体として使用される緩く織られたシートである。メッシュは、無機材料および生物学的材料の両方において利用可能であり、種々のヘルニア手術において使用される。ヘルニア修復手術が最も一般的な用途であるが、骨盤臓器脱など他の病態の治療にも用いられることがある。恒久メッシュは体内に残るが、一時的メッシュは時間とともに溶解する。例えば、TIGR(登録商標)マトリックスメッシュは、ヒツジでの試験において3年後に完全に溶解した。いくつかのメッシュは、ポリグリコール酸から作られた再吸収性ビプリルと、非再吸収性ポリプロピレンであるプロレンとを組み合わせた製品であるViproのような恒久メッシュと一時的メッシュとを組み合わせている。
【0084】
開示された装置および方法は、最大侵襲性および最小侵襲性のヘルニア手術、特に腹壁ヘルニア手術のための扇デザインおよび/またはリーフデザインに特に適している。例えば、組織の除去および/または大きな切開を伴う腹壁手術の間、大量の血液および他の流体が、腔内に蓄積し得る。手術は、筋膜の縫合、血液に関する「シール」にメッシュを追加すること、および切開の全長に沿って多数の縫い目を含みうる。このように、さらなる外科的合併症、さらには再手術の必要性につながる漿液腫形成の可能性がある。腹部ヘルニア手術の間および後に適用される本明細書に開示される装置および方法は、体液収集および漿液腫を減少させ、それによって、手術合併症を減少させ、手術後の患者の結果を改善する。鼠径(鼠径部)ヘルニアはより小さく(したがって、大きな表面積でNPT治療を必要としない)、したがって、「ピッチフォーク」デザインは、そのような手術中および手術後に生成される腫脹および過剰な流体を低減し得る。
【0085】
二重層デザインに包含された「ミニリーフ」パターンの発泡体ストリップは、開いた胸部または開いた腹部などの開放腔内に、その退避された(または折り畳まれた、または巻かれた)位置から滲出するか、または展開される。設計におけるこの変形は、空洞が閉じられた後に残るより小さい直径の切開部への挿入およびそこからの退避(後退、引っ込めること)を可能にする。既に開示したように、発泡体ストリップは、任意の手術中に任意の空洞内の血液および/または流体を除去するための導管として機能し、装置は、負圧送達手段に流体接続される。
【0086】
この「リーフ」のデザインは、幅、深さ、他の寸法、発泡体ストリップの数、全体の形状などを、広範囲の外科手術のために減少させることによって最適化され得る。例えば、限定することを意味するものではないが、以下の分野で使用するための実施形態が企図される:腹部での手術、ヘルニア手術、胸郭/胸部領域での手術(本開示は胸腔内の血液または膿胸を排出するのを助けるために胸部管を置き換える)、乳房手術(例えば、予防的乳房切除術、胸腔鏡手術(胸部手術を含む)、および脳手術(さらに小さい切開部位からの抽出のために最適化されたより小さいバージョンのミニリーフデザインを使用する)。
【0087】
本明細書中に開示されるように、新規な「ピッチフォーク/管状デザイン(設計)」は、漿液腫になりやすい任意の手術のために使用され得る。漿液腫は、漿液腫形成のための空いた空間を残してどの組織を切除しても生じる傾向がある。例えば、乳房手術、ヘルニア手術、リンパ節やリンパ液が豊富な脇の下領域の手術など、最小侵襲手術及び最大侵襲手術のいずれにおいても、手術によって発生する組織皮弁が漿液腫を防ぐために封止(シール)することが望ましい。NPTの適用により、組織皮弁(フラップ)の封止が容易になると同時に、手術部位から流体を排出する。全ての流体が閉鎖された創傷から排出された後、ピッチフォーク装置は折り畳まれ、手術部位から抜去される。
【0088】
開放創傷の文脈において、本明細書に開示される方法および装置は、外科的領域において追加の液を保持しないオプションを提供する。
【0089】
一実施形態では、
図1に示すように、発泡体部分などの収集部分で接合する複数の連続気泡または多孔質部材、例えば楔形発泡体ストリップを取り囲む二重層などの(例えば熱を有する)エンクロージャなどの扇状のポリウレタン封止装置100は、収集部分に接続される管によって提供される負圧にさらされる。このような負圧は例えば、手術後約48~72時間適用され、合併症を減少させ、これは、次に、患者の回復を強化し、そして患者の入院期間を減少させる。
【0090】
被覆材などの従来の皮膚/創傷を覆う材料は、材料(またはフィルム)の二重層または二つの層から構成され、任意の数の層を使用することができるが、各層は特定の特性を有する。切り傷、創傷、火傷などを覆うためのこれらの従来の被覆材は、治癒過程の間、患者の組織を保護する。1つの層は、第2の水蒸気透過性バッキング層にシール(封止)された、皮膚に接着的に接触させるための、例えば、粘着性ポリマ複合体層を含むことができる。高分子複合体層は、混在すると水溶性複合体を形成するために、共レシピタブルである二つの親水性ポリマの溶液を混ぜ合わせることによって生成される。一対のこのようなポリマの例は、ポリアクリル酸およびポリエチレンオキシドである。
【0091】
従来の被覆材の修正版がNPWTに使用される。NPWTに使用される創傷被覆は、典型的には綿ガーゼまたはポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)またはポリビニルアルコール(PVA)スポンジのような合成または半合成の充填物、スポンジまたは発泡体材料のコア層を含み、これは2つの薄いポリマ(これもまた、PU、PEまたはPVAから構成される)フィルムの間で気密にシール(封止)され、これはスポンジの周りに二重層を形成する。
【0092】
二重層内で使用される被覆材または発泡体/スポンジストリップは、創傷のタイプ、臨床目的および患者に依存する。痛みに敏感な患者で、創傷が浅いか不規則な場合、浸食するあるいは探査された路(tract)やトンネルを伴う創傷には、ガーゼを用いることがある。しかし、本開示では、発泡体は、患者の腹腔にフィットするように容易に切断され、積極的な肉芽形成および創傷の収縮が所望の目標である場合に、より良好に機能し得るので、使用され得る。
【0093】
本開示は2次元特徴を参照するが、装置は3次元であることは明らかである。そのようなものとして、それは、可撓性であり、柔軟であり、腹腔内で腸を取り囲んで包含するように腸の周りに配置されるように意図されている。例えば、
図1の装置100の非管状部分は、骨盤への入口において、例えば、仰臥位の患者の高さ軸上で、前方の恥骨の高さで下腹部を横切り、後方の仙骨翼を横切って、ほぼ水平に、または、例えば、45度の角度まで、配置されてもよい。
【0094】
装置は、一時的に腹部に配置されることを意図している。まず骨盤底に置き、腹部を開いた状態で腸管の上で膨張させて平らにする。(人を支持するハンモックに類似した)腸のための緩衝支持体もまた、腸機能の患者の回復を増強し得る装置によって提供される。装置の配置は、負圧が腸の表面積の大部分に適用されるように、大量の腸表面積との接触を最大にすることであるべきである。負圧と腸の間の表面積対話を最大限にすることで、腸の治癒が促進される(手術中および手術後に生じる可能性のある外傷に対抗する)。本明細書中に開示されるように、封止された発泡体二重層を通して真空を適用することによって、継続的な真空は、腸から流体を引き出し、そしてその領域への血流を増加させる。
【0095】
図1に示すように、装置からの管は、負圧手段を取り付けることができるように、患者の腹部の外部に延びている。次いで、当技術分野で知られている従来の外科的手段を使用して、腹部を閉じる。患者が腸機能の回復を示し、イレウス(腸閉塞)の可能性がほとんどない場合、装置は、管部分を穏やかに引っ張り、それを引き出すことによって除去される。発泡体楔形ストリップの間に並列プリーツ(ひだ)または窪み(
図2の要素108、
図1には示されていない)が存在することにより、患者の腹部の例えば約2cmの切開部109を通して装置を退避させることが容易になる。「約」2cmの切開部109は、+10%だけ、または、外科当業者で従来から使用されているか、またはデバイス100を任意の負圧源に接続するために従来の管に必要とされる寸法だけ変化し得る。
【0096】
さらに、プリーツ(ひだ)または窪み108は、デバイス100のそのロープロファイル(目立たない形、控えめな形;low profile)への折り畳みまたは再構成を容易にするために示されるが、プリーツ(ひだ)または窪み108はまた、デバイス100から省略され得、これは制限されない方法で、ロープロファイルへと折り畳むまたは退避する(引っ込める)ことを可能にされ得る。管107が長手方向に引っ張られると、デバイス100の残りが、管107の位置がデバイス100の周辺縁部(エッジ)に沿って接続されていることによって部分的に、ロープロファイルへ長手方向に折り畳まれてしまう可能性がある。
【0097】
本開示では、充填(例えば、発泡体ストリップまたはスポンジストリップ)材料のいずれも、任意の内臓または組織と直接接触しない。しかしながら、従来の創傷被覆材(内臓および/または組織と直接接触することがある)に使用される充填材料に関する類似技術からの教示は、証明された生体適合性および安全性を伴って、本開示にしばしば使用される発泡体ストリップ材料の最適化をもたらすことができる。創傷表面には、連続気泡発泡体、ガーゼおよび透明フィルム、または窪んだ創傷接触表面を有するハニカムテキスタイル(ハニカム繊維)の3つのタイプの充填材料が使用される。しかしながら、他の実施形態では他のタイプの充填材料を使用することができ、記載された装置は任意の特定のタイプの充填材料に限定されることを意図していない。一般に、発泡体被覆材は、開放腔創傷を充填するために使用され、創傷に適合する大きさに切断され得る。発泡体被覆材を適用し、創傷を充填し、次いでフィルムドレープを上部に適用して、被覆材の周りにシールを形成する。オープンウィーブ(weave)綿ガーゼは透明フィルムで覆うことができ、フラットドレインをガーゼに挟み、創傷上に配置する。フィルムドレープが創傷を覆い、完全なシールを作り、その後、管を介してドレインがポンプに接続される。本開示の充填材料は、ポリエチレン二重層に封入された連続気泡発泡体を含むことが企図される。しかしながら、単一の従来の充填材料(例えば、連続気泡発泡体のみ)または他の充填材料の組合せを使用してもよい。発泡体およびスポンジという用語は、互換的に使用されることに留意されたい。
【0098】
UFP Technologiesなどの企業は、患者の治癒を促進し、強化し、かつ治癒プロセスを促進するNPWT用の動的被覆材を設計し、製作することに焦点を当てている。発泡体は適用が容易であり、様々な範囲の創傷タイプおよびサイズに適しており、創傷寸法の減少および創傷床の肉芽組織の改善を含むNPWTの目標を効果的に達成することができるので、負圧創傷治療において最も一般的に使用される被覆材である。より具体的には、網状ポリウレタン医療用発泡体が、洗浄容易で、微生物に対して不浸透性であり、安全性を付加するために殺真菌性および殺菌性添加剤を用いて作製することができるので、使用される。連続気泡の疎水性を有する網状発泡体は、負圧を創傷部位に均等に分配するのに役立つ。網状発泡体の孔径は、肉芽組織形成速度の大きな決定因子であると思われる。したがって、本開示の実施形態によれば、発泡体/スポンジストリップ全体の孔径サイズは、特定の用途に応じて操作(変化)され得る。連続気泡発泡体としても知られている網状発泡体の孔径サイズは、適用要件に応じて変えることができる。これらの網状発泡体はまた、腸組織、二重層の各層、発泡体ストリップ、および負圧手段からの圧力の間の流体連通を容易にする、より大きな孔(またはスリットまたは穿孔)を生成するために、さらに穿孔され得る。
【0099】
市販のKCI VACシステムは、CHuang等によるレビュー記事で述べられるように、ブラックポリウレタンエーテル(V.A.C GranuFoam、KCI)、ブラックポリウレタンエステル(V.A.C VeraFlow、KCI)、ホワイトポリビニルアルコール(V.A.C WhiteFoam、KCI)の3つの汎用タイプを使用する。伝統的なポリウレタンエーテル発泡体は疎水性であるが、ポリビニルアルコールおよびポリウレタンエステル発泡体はより親水性である。ポリウレタンエステルデバイスは、点滴療法と共に使用するように設計されている。伝統的なポリウレタンエーテル発泡体の特性は、OA状況に必要とされるように、大きな流体排出を伴う創傷のため、および肉芽組織形成を刺激するために使用される。対照的に、ポリビニルアルコールスポンジは、創傷トンネルがある場合、または腱または血管などの繊細な下にある構造を保護する必要がある場合に使用されている。最後に、ホワイトポリビニルアルコール系発泡体の増加した密度およびより小さい細孔は、肉芽組織の内部成長を制限するのに役立ち、それによって、被覆材の変化に関連する痛みを減少させ、肉芽過剰が懸念される場合の危険性を減少させる。さらに、発泡体に銀を浸透させることができ、これは、高度な湿潤創傷治癒技術を提供しながら、細菌浸透に対する有効な障壁を提供する。
【0100】
さらに、一実施形態では、網状ポリウレタン発泡体は、発泡体を包む前述の二重層を形成する熱可塑性ポリウレタン(TPU)フィルムと組み合わされる。TPUフィルムは、優れた耐水性、耐菌性および耐摩耗性を提供するので、医療用途に広く使用されている。それらはまた、柔らかく、通気性があり、順応性があり、患者の快適さを高めるのに役立つ。これらの半透明TPUフィルムは、ヒト組織に非接着性であり、患者のための置換および除去を無痛にする。例えば、Lubrizol Advanced Materials,Inc(クリーブランド、オハイオ州)などの製造業者は、強く、可撓性、不透過性、生体安定性、耐溶剤性のある様々なTPUフィルムを製造している。熱硬化性フィルムではなく、熱可塑性プラスチックが、腹腔への配置および腹腔からの除去を容易にする柔軟性を維持するために使用される。柔軟性はまた、負圧を提供する装置と腸との間の表面積対話の最大化を容易にするので重要である。
【0101】
あるいは、Smith & Nephew,inc.(ミシサガ、オンタリオ州、カナダ)によって製造されるActicoat(登録商標)などの製品は、装置のカプセル化された網状発泡体部分に使用することができる。特に、水分レベルの管理を助けるレーヨン/ポリエステル内側被覆材コアは、被覆材を通る銀の通過を容易にする銀被覆高密度ポリエチレンメッシュ二重層に包まれる。純粋な銀のナノ結晶コーティングは、他の形態の銀よりも速く、30分以内に抗菌バリア活性を発揮する。Acticoat(登録商標)の抗菌技術は、数日間にわたって有効濃度の銀を放出することができる銀被覆ポリエチレンフィルムを製造することができる。したがって、銀イオンが消費されるにつれて、さらなる銀が被覆材から放出され、効果的な抗菌バリアを提供する。このような銀ベースの被覆材技術は、周囲組織の汚染を防止するのを助けることができる、迅速に作用し、長期間持続する抗菌バリア制御を提供する。さらに、この特徴は、MRSAのような「スーパーバグ」によって引き起こされる入院中に発症する感染を減少させる可能性がある。また、銀の持続放出は、より少ない被覆材変化を意味し、その結果、環境への組織床の曝露がより少なくなる。これは、感染の危険性を減少させ、病院のコストをさらに低下させる。
【0102】
別の実施形態では、二重層は医療グレードTPUから構成されてもよく、各二重層は例えば、約160~800ミクロンの厚さである。完全に拡張された扇状の装置は、約1,413cm2の表面積を提供するために、例えば、約30cmの半径を有してもよく、網状のカプセル化された発泡体の厚さは、例えば、10mmであり、一方、各々のポリウレタン二重層は、例えば、160ミクロンの厚さを有する。貯蔵寿命は室温で約3年であり、全ての成分は無菌であり、ラテックスを含まない。保管温度範囲の例は、-20°F(-29°C) から140°F(60°C) である。動作温度範囲の例は、50°F(10°C)から100°F(38°C)であり、最適なパフォーマンスを得る高度範囲は、0~8,000フィート (0~2438m) である。収縮または圧縮されたデバイスの寸法は、装置を退避(後退)させるために必要な腹部切開が同様に最大2cmであるように、2cm未満であるべきである。
【0103】
装置は、任意の形状(円形、正方形、台形など)であってもよいが、最適なパフォーマンスを得るために、内部発泡体ストリップは、完全に拡張されたときに扇状、リーフ(葉)状、またはピッチフォーク状のデザインで分布されるべきである。実施例は、角度をほとんどまたは全く有さない構成が患者の空洞からの装置の退避(後退)および除去における困難性を軽減するので、装置上に角度が非常に少ないことに留意されたい。従って、装置の全ての縁部(周辺部)は一般に丸みを帯び、封止(密封、シール)されている。封止のための手段は、二重層に熱を加えることであり、これは簡単であり(追加の取り付け手段の適用を必要としない)、安全である(接着剤によるような化学物質の取り付けは患者に害を及ぼす可能性がある)。しかし、当技術分野で知られている他の手段の封止および取付けが、本発明によって企図される。空洞のサイズおよび存在する脂肪組織のレベルに応じて、器官または組織を完全に包含するために、患者の空洞内に2つ以上の装置を配置することが必要であり得る。対照的に、患者が、より小さい内臓を有するより小さいフレームを有する場合、装置はより小さい器官/組織および挿入サイズに適応するように、半径(またはサイズ)を減少させるように切断され得る。二重層は、ヒートシール可能であるので、本開示は、手術室内での柔軟性を可能にして、手術の種類、患者の大きさなどに合わせて調整された可変のデザインの装置を作り出す。
【0104】
さらに、二重層の正確な組成は、用途、透過性、および所望の柔軟性に応じて修正されてもよい。発泡体および/またはポリエチレン/ポリウレタンまたは構成要素のいずれかに対する追加の強化が望ましく、企図される。例えば、発泡体は、従来公知の放射線不透過性添加剤を組み込んでもよい。したがって、退避(後退)プロセス中に発泡体を含む任意の部分が患者内に残された場合、放射線不透過性発泡体の使用は、患者をx線照射する際にこれを識別することができる。これにより、手術中のこのようなエラーにより生じる可能性のある患者の合併症が減少する。任意選択で、被覆材の1つまたはすべての構成要素に埋め込まれた他の発光材料または不透明材料、または他の材料を使用して、視認性を向上させることができる。
【0105】
図2に示すように、装置100の一実施形態は、複数の楔形発泡体又はスポンジストリップ105を包む扇状の圧縮性ポリエチレン又はTPU二重層101である。スポンジストリップ105の個数は
図2に示すように、この例示的な使用のためには5つであるが、この個数は包まれたスポンジストリップの最適なサイズに応じて、装置製造中に増減することができる。具体的には発泡体ストリップの各々が広げられる場合、ストリップの個数は減少し、一方、各発泡体ストリップの表面積の減少は、ストリップの個数を増加させることを必要とし得る。いずれにしても、退避(後退)され、凝縮された装置は、腹腔から出るときに、管部分107を通って、例えば、2cm未満の切開(
図1の109)から引き抜かれることができることが望ましい。
【0106】
図2に示すように、ポリエチレン二重層101上にランダムに離間した穿孔102があってもよい。装置の全表面の穿孔数は可変である。しかしながら、穿孔102は、
図2に示されるような方法で二重層の全体を覆うように、すなわち、二重層が、穿孔102を欠くその表面の大きな領域を有さないように、二重層101の表面にわたって十分に多数であり、十分に散乱される。各穿孔の形状およびサイズも可変である。別の実施形態では、各穿孔は例えば、0.3cm未満である。任意選択的に、発泡体ストリップ105には穿孔104がある。これらは、従来の網状発泡体の固有の特徴である前述の細孔とは異なる。穿孔102と同様に、穿孔104は、
図2に示されるような方法で、すなわち発泡体ストリップ105の表面が穿孔104を欠く大きな領域を有さないように、発泡体ストリップ105にわたって十分に多数であり、十分に散乱されて、
図2に示されるそれらの表面の全体を覆う。発泡体ストリップ105の穿孔104は、発泡体の一方の側から他方の側に延在し、すなわち、発泡体を厚さ方向(
図2の紙面内)に通過する。対照的に、各ポリウレタンまたはポリエチレン二重層の穿孔102もまた、各個々のポリウレタンまたはポリエチレン層を通って延在するが、それらは二重層の第2の層まで延在しない。したがって、二重層の一方の層の穿孔102は、二重層の他方の層の穿孔102から(
図2の紙面の長さおよび/または幅の方向に)オフセットしており、これにより、二重層の2つの層の間に気密またはほぼ気密なシールを形成することができる。この特徴は、負圧が加えられたときに、発泡体ストリップ105を通る流体交換を容易にする。
【0107】
切断線103は、より小さい腸を有する患者における装置の使用に適応するために使用され得る。前述のように、装置はより小さな腹腔に適応するために、非管部分の全体的な半径(サイズ)を減少させるように切断されてもよい。半径を減少させるための推奨プロセスは、装置100内の全てのストリップのより広い発泡体(非楔形)領域を通る半円形の切り込み(カット)を作ること、ストリップの各々から過剰の発泡体を引き抜くこと、およびポリウレタン二重層が自己シール(自己封止)することを可能にすることを含む。発泡体が任意の組織と直接接触しないように、二重層が封止(シール)されることが重要であり、これは組織への発泡体の不注意な付着をもたらし得、これは装置100全体の後の除去を困難にし、そして患者に痛みを与え得る。
【0108】
複数の楔形発泡体またはスポンジストリップ部分は、やはり発泡体材料で構成され得る接続領域106に継ぎ目なく(シームレスに)接合する。あるいは、複数の楔形発泡体ストリップは、それらが接続領域106にシームレスに先細りすることにつれて、より小さな幅に狭くなってもよい(図示せず)。二重層部分(非管部分)に包まれた複数のスポンジストリップ全体は、腹腔を横切ってその外側に延在し且つ真空源に接続されたシリコン107の管状拡張部に、任意の従来の手段によってさらに封止(シール)される。スポンジストリップ105は、(
図2に見られるように部分円形扇形の装置100に適用されると理解されるような極座標系に関して)平行であるように図示され、扇形の半径方向外側端部の近く(すなわち、扇形が円形である場合は円周の近く)から半径方向内側端部に/半径方向内側の近くに存在する要素106まで延在する。
【0109】
また、
図2に示すように、平行な窪みまたは折り目108があってもよく、1つ(
図2に示すように、またはそれ以上)が、隣接する発泡体ストリップ105の各ペアの間に(ペアに平行に)配置され、これは、腹部から退避(後退)する間の装置のひだ付けまたは折り畳み(扇状)を容易にする。これらのプリーツ108の数、半径(すなわち、範囲、長さ)および深さは、可変であり、存在する発泡体ストリップ105の数および発泡体ストリップの寸法に応じて最適化され得る。(ここでも、用語「平行」の使用は、デカルト座標系ではなく、上述の極座標系を指す。)
【0110】
前述したように、プリーツまたは窪み108は、デバイス100のロープロファイルへの折り畳みまたは再構成を容易にするために示されているが、プリーツまたは窪み108は、制限されない方法でロープロファイルへの折り畳みまたは退避(後退)を可能にするデバイス100から省略することもできる。管107が長手方向に引っ張られると、デバイス100の残りが、デバイス100の周辺縁部(エッジ)に沿って接続されている管107の位置のために部分的に、そのロープロファイルに長手方向に折り畳まれてしまう可能性がある。
【0111】
各発泡体ストリップの頂点(半径方向内側端部)は、
図2に示すように、接続スポンジ部分に一体化されている。装置が腸を支持するように腹腔内に配置されると、負圧を提供するための任意の従来の手段(例えば、真空ポンプ)が、装置の管部107に取り付けられ得る。真空ポンプ管と装置の管部分107との間のコネクタ(図示せず)は、Bel-Arts Product社のScienceware(登録商標) Quick Connectorであってもよい。特定の構成要素は、雄-雌中心テーパと一緒にしっかりと組み立てられる2つの有刺ポリエチレンコネクタである。これらのコネクタは、圧力の変動が大きい真空ラインやその他の管アセンブリの接続および取り外しに使用されるように特別に設計されている。
【0112】
ポンプは、連続的または断続的な圧力を送達するように設定され得、圧力のレベルは使用されるデバイスに依存し、発泡体ストリップに使用される材料および患者の耐性に依存して、-125mmHgと-75mmHgとの間で変動する。圧力は、常時または断続的に加えることができる。標準的な負圧システムと同様に、連続的な負圧(-125mmHg)が推奨されるが、-125mmHg未満の圧力は推奨されない。圧力は、従来の医療グレードの真空ポンプを用いて、または緊急事態において、例えば、携帯型ハンドヘルド吸引ポンプなどの任意の真空源を用いて適用され得る。
【0113】
これは、組織/創傷縁部を一緒に引っ張り、過剰な流体を排出させる。さらに、「マイクロマッサージ効果」(「マイクロストレイン」効果としても知られる)は、細胞増殖および新しい組織形成の刺激を可能にし得る。
【0114】
図3Aは、退避(後退)した状態または収縮した状態の
図2の装置を示す。図示されるように、窪み108は、装置の扇状の「折り畳み」を容易にして、装置の全体寸法を縮小し、約2cmの切開部から腹部の外部への装置の退避(後退)を可能にする。装置の配置後に腹腔が閉じられるので、この退避(後退)能力の特徴は、術後回復の後に装置を除去するための追加の手術の必要性を排除する。
【0115】
図3Bは、その半径方向外側端部から見た装置100の斜視断面図である。
図3Bは、腹部からの装置の退避(後退)および除去を補助する、装置100の折り目のある態様を示す。非管状部分の窪み108は、2cmの切除からぶら下がっている管状部分107を単に引っ張ることによって、装置の折り畳みおよび取り外しを補助する。前述のように、発泡体ストリップの両側に並列ひだ(プリーツ)または窪みが存在することにより、装置100が「折り畳まれる」ことを容易にすることによって、退避(後退)が容易になる。これは折りたたみ式扇(ファン)の機能と同様であり、正常な腸機能が回復した時点(閉腹後約48~72時間)で、非外科医が患者の閉じられた腹部からそれを除去できる。
【0116】
図4は、ポリウレタンまたはポリエチレン二重層101のオフセット穿孔104、装置の外側半径方向端部における二重層のヒートシール(
図5でさらに説明する)、および二重層へのシリコン管107の融着を示す実施形態の分解側断面図である。上述したように、二重層101は、その中に配置された多数の発泡体又はスポンジストリップ105を包含する。また、説明したように、任意選択で、患者の腸のサイズに応じて、装置100全体の半径(サイズ)は、切断線103(上記、
図2参照)に沿って切断することによって縮小されてもよい。
図4に見られるように、二重層101における穿孔104は上層に1つ、下層に1つ(すなわち、
図4に示されるように、「上」および「下」)、装置100の半径方向(
図4では左右方向であり、
図2では上下方向である)に互いにオフセットされる。
【0117】
例示的に、管(または管状部分)107はシリコンであり生体適合性があるが、当技術分野で公知の任意の材料から作製されてもよい。
図4に示すように、管107は、封止(シール)された(図示せず)ポリウレタン二重層の一方または両方の層に予め融着されてもよい。それは、腹腔を横切って約2cmの切開部(
図1の109)から出るのを容易にするために、例えば、約24インチの長さであってもよい。この管部分107は、シリコン管とポリエチレン二重層との間の接続点での流体の漏れを防ぐので、任意選択で、装置100の残りの部分から取り外し不可能である。あるいは、管部分107は、
図6に示されるように、可搬性および適合性を最大にするように、装置100から取り外し可能であることが意図される。管107は、装置100から任意に取り外すことができるコネクタ200を介して取り外し可能に結合することができる。
【0118】
図5に示す本開示の別の態様は、二重層101の2つの層を一緒に接合するためにヒートシールを使用することである。二重層101のシートまたは層は特に、腹腔からの装置の圧縮および除去の応力の間の構造的完全性を確実にするために、それらの(共通の)周囲501全体に沿って、例えば、ヒートシール、接着剤などを介してシールされる。この封止はまた、上述の気密シールを提供し、これは、真空圧力による楔発泡体ストリップ105内の穿孔104を通しての流体の除去を容易にする。(
図5は装置101のヒートシールされた周囲501の一部のみを示すが、周囲501全体がヒートシールされていることが理解され、また
図2にも見られる。
図2は周囲501を示すが参照番号を付されていないことに留意されたい。)シーリングも、各楔形発泡体ストリップ105の周辺502に沿って使用され、シールは発泡体ピースの形状に適合するように輪郭形成されている。これは、装置100全体の半径/サイズを減少させるために半円形の切断が必要とされる場合に、各発泡体ストリップの周りにポリウレタンの各層を封止し、発泡体の除去を容易にするという2つの目的に役立つ。切断が行われた後、発泡体コアは、シールなしでポリエチレン二重層中に「浮遊(フローティング)」したままにされ得る。これは発泡体が患者の組織と接触する可能性を増加させ、これは装置除去の間の感染および疼痛の可能性を増加させる。任意選択的に、装置全体の完全性を改善するために、追加のヒートシールがあってもよい。
【0119】
(各ストリップに沿って楔を形成するために)規則的な間隔で発泡体ストリップを狭くすることにより、発泡体ストリップの重量および全体寸法を低減することができる。この狭窄は、
図5(各ストリップ105の異なる半径方向位置にある2つの狭くなった楔領域)および
図2(3つの中央ストリップ105のそれぞれにある異なる半径方向位置にある4つの狭くなった楔領域、および右端および左端のストリップ105のそれぞれにある異なる半径方向位置にある3つの狭くなった楔領域)に見られるが、製造を容易にするために、網状発泡体ストリップ内に楔状領域が存在しないことも企図される。
【0120】
本開示の実施形態のプロトタイプでは、様々な材料が利用された。負圧を送達する管107のための取り付け手段は、
図2に示すように、本開示の装置に一体化されてもよい。あるいは
図6に示すように、管は、当技術分野で知られている任意の手段によって別々にしっかりと取り付けることができる。管は、患者内に配置した後、圧力レギュレータ(図示せず)を用いて独立型の負圧装置に接続されることが望ましい。しかしながら、圧力を調節するための手段(例えば、真空ライン)の有無にかかわらず、負圧を提供するための任意の手段が使用されてもよい。
図6において、管107は、0.126インチの壁の厚さを有するシリコンゴム管であったが、任意の長さ、幅、および直径の管の任意の寸法が、本開示によって意図される。
【0121】
図7は、プロトタイプ装置の潜在的な直径寸法を決定するために使用された、
図2と同様の本開示の実施形態の平面図である。図示されるように、角度A、例えば、63.44°は装置100の横軸と最外側のストリップとの間に規定されてもよく、一方、角度B、例えば、13.28°は、各隣接するストリップの間に形成されてもよい。
【0122】
図8は、
図7と同様の本開示の実施形態の側面斜視図である。この実施形態では、2枚のフィルム210、212、例えば、0.015インチの厚さであったMcMaster-Carr(Douglasville、GA)製のTPUフィルムを用いて、1/4インチの厚さの連続気泡発泡体の周りに二重層を作製した。さらに別の実施形態では、2枚の0.015インチの厚さのMcMaster-Carr製のTPUフィルムを使用して、1/2インチの厚さの連続気泡発泡体の周りに二重層を作製した(図示せず)。
図9は、プロトタイプ装置の寸法を決定するために使用された、本開示の実施形態の2つの斜視図の複合図である。この例では、装置100が18インチの全長を有することができ、その最も広い点での全幅は12インチである。
【0123】
図10Aは、最小侵襲手術における展開時の、
図7と同様の本開示の実施形態の正面斜視図である。この実施例は、複数の装置100、100’が最小限の侵襲性で、身体の異なる領域において、どのように同時に使用され得るかを例示する。この実施例はまた、装置100、100’の一方または両方が最小侵襲性のアクセスのために、カニューレ600を通って体腔内に、そのロープロファイル構成でどのように前進され得るかを示す。装置100、100’はそれぞれのカニューレ600を通る挿入および前進中に、それらのロープロファイルに構成されてもよく、体腔内に入ると、装置100、100’は所望の組織領域上に配置するために、その拡張型構成に再構成されてもよい。カニューレ600は、体内からの気体または流体の漏れを防ぐために、例えば気腹を維持するために、それぞれシール601を組み込み得る。装置100、100’に結合された管107は、装置接続部602を介してポンプ604に流体的に結合されてもよく、管107は、治療中に収集された流体を除去するために使用されてもよく、カニューレ600を通して膨張ガスを任意に提供してもよい。
【0124】
複数の装置100、100’は、最小侵襲性/腹腔鏡手術のための状況に依存して使用され得る。図は、単一のポンプを介して送達される真空によって制御される複数の装置を描いているが、任意の組合せおよび数のポンプおよび/またはコントローラに接続される任意の組合せおよび数の装置が実現可能であることが企図される。
【0125】
図10Bは、装置100、100’が例えば、腹部外科手術、最小侵襲性処置における腹腔鏡下ヘルニア手術を受けている患者の体内の位置に、どのように配置され得るかを示す別の斜視図である。
【0126】
図10Cは、最大侵襲性の開腹手術中の別の実施形態の正面斜視図を示し、ここで、切開部700は、処置のために関心のある身体領域への開放アクセスを提供し得る。装置100は、示されるように、組織領域上に配置され得、一方、管107は別個の切開部109を通過し得るか、またはより大きな切開部700の一部を通過し得、一方、管107は、シール601を用いて身体を通って維持され得る。治療が完了し、装置100が望ましくは組織の上にある状況になると、切開部700は、装置100が患者の体内に残った状態で閉じることができる。
【0127】
図10Dは、装置100が、最大侵襲性の開放処置において、例えば、腹部手術を受けている患者の内部の位置に、どのように配置され得るかを示す別の斜視図である。
【0128】
図11Aは、装置100が例えば、血胸を治療するための胸腔鏡手術のためのカニューレ600を通して、最小侵襲性胸部手術において展開され得る別の実施形態の正面斜視図である。
【0129】
図11-1Aは、装置100が、切開部702を通した最大侵襲性の開胸手術において展開され得る別の実施形態の正面斜視図である。
【0130】
図11Bは、血胸を治療するために胸腔鏡外科手術を受けている患者の体内の位置に装置を配置する別の斜視図である。装置100は、胸腔に最小限に侵襲的にアクセスするために、切開部704およびカニューレ600を通って前進され得る。血胸とは、胸腔内に血液がたまった状態のことである。肋骨骨折などの胸部外傷が、胸郭内の血管構造のいずれかに損傷を与えるほど重大な場合に起こる。胸腔が血液で満たされると、肺は正常に拡張する能力が低下し、それによって酸素化と換気が低下する。血胸が悪化し続けると、放血や低酸素症によって死亡することがある。また、胸膜腔内の血液が取り除かれなければ、やがて凝固する。このかたまりは、壁側胸膜と臓側胸膜を癒着させる傾向があり、胸膜内の瘢痕化につながる可能性があり、広範囲に及ぶと線維性胸郭として知られる状態に至る。
【0131】
従来の胸部管/ドレインとは異なり、本明細書に記載される装置の実施形態は、最小侵襲手術または開胸、胸腔鏡手術の間および後に、血液および他の流体を胸腔から迅速かつ効率的に排出することによって、血胸および気胸を処置するために使用され得る。複数の排液発泡体ストリップを包含する二重層のより大きい、より平坦な表面積によって、本開示の設計は優れた排液(ドレナージ)を提供し、これは、同時に、胸部外傷からのより速い肺治癒を促進する。また、この装置は、血胸および気胸を治療するための腹腔鏡手術または胸腔鏡手術中の他の目的のために使用され得ることも意図される。
【0132】
図12A~Cは、展開または再構成の様々な段階における「扇形」装置100の複合図を示す。
図12Aは、例えば、治療のために組織領域上に展開されたときの、完全に拡張された構成の装置100を示し、
図12Bは、最小侵襲性処置中にカニューレを通って前進するために、装置100が長手方向の創傷構成に巻かれ得る、巻かれた構成の装置100の変形例を示す。このようにして、巻かれた構成は、装置100がカニューレ開口部を過ぎて体腔内に前進するまで、ロープロファイルの圧縮構成のままで、カニューレを通って前進されてもよい。カニューレが解放されると、装置100は、組織領域上に配置するために、自動的に展開構成に展開することができる。
図12Cは、装置100が患者の身体から取り外す準備ができているときに利用することができるロープロファイル折り畳み構成を示す。管107は、本明細書に記載されるように、装置100が管107と一致する長手方向軸の周りで折り畳まれる(潰れる)ように引っ張られるか、または引っ張られ得、その結果、装置100は体腔からの除去のために、患者の体内の切開部を通して除去するために折り畳まれる(潰れる)ように引っ張られ得る。
【0133】
図12Dおよび12Eは最小侵襲性処置において使用される場合に、装置100がカニューレを通って前進するためにどのように準備され得るかの例を示す。図示のように、装置がロープロファイル構成に巻かれると、内部展開シース700が、巻かれた構成を維持するために、巻かれた装置100の上に配置されてもよい。次いで、内側展開シース700および装置100は、外側展開シース701内へ一緒に前進させられてもよく(120)、アセンブリは、体腔内への挿入のためにカニューレを通って前進させられてもよい。いったん体腔内に前進させられると、装置100は、治療のために組織領域上に配置するために体腔内で展開するために、内側および外側展開シース700、701を通過して前進させられてもよい。あるいは、内側展開シース700および装置100は、内側展開シース700および装置100が治療される組織領域に近接して体腔内に配置されるように、カニューレを通って、または切開部を直接通って、残り得る外側展開シース701を通って同時に前進させられてもよい。次いで、装置100は、内側展開シース700を越えて遠位に前進させられてもよく、または内側展開シース700は、展開のために装置100を露出させるために退避(後退)させられてもよい。
【0134】
図13A~13Fは、最小侵襲手術中の患者への任意のバージョンの開示されたデザインの動作の1つの方法を示す。この例では、装置および内側展開シース700は、そのロープロファイルの巻かれた構成のために構成されてもよく、1つ以上の対応するトロカールが、
図13Aに示されるように、患者の体内に開口部を作製するために使用されてもよく、それを通して、任意の数の腹腔鏡処置が達成されてもよい。外科的処置が完了すると、装置100および内側展開シース700は、体腔にアクセスするために切開部を通って前進させられてもよい。挿入後、装置は、臓器または組織の周りへの配置のために展開されるように、プランジャ状アセンブリによって外科手術部位で圧縮解除される。展開された装置は、NPTをその位置で継続するために体内に残される。この変形例では、
図13Bに示すように、2つの装置100、100’が展開のためにそれぞれの切開部を通して挿入されているように示されているが、単一の装置を使用してもよく、または3つ以上の装置を使用してもよい。
【0135】
装置100、100’が展開されて体腔内の組織上に配置された状態で、
図13Cに示されるように、両方の装置100、100’に流体的に結合されたポンプ604を介して、任意の体液を排出して組織の膨張を低減するために吸引が適用され得る。あるいは、各装置が、それ自体の個々のポンプを利用してもよい。治療が完了すると、
図13Dに示すように、ポンプ604を各装置100、100’から切り離すことができ、装置は、
図13Eに示されるように、それぞれの切開部109、109’を通して除去するために、装置がその折り畳み構成に折り畳まれるように、それぞれの管に張力をかけるかまたは引っ張ることによって、それぞれ除去され得る。デバイスを取り外した状態で、
図13Fに示すように、切開部109、109’を閉じることができる。
【0136】
図13-1A乃至
図13-1Fは、開腹手術のような最大侵襲手術中の患者への任意のバージョンの開示されたデザインの動作の別の方法を示す。例えば、腹腔にアクセスするための切開部700を用いて、装置100は、
図13-1Aに示されるように、そのロープロファイルの巻かれた構成に同様に構成され得、そして別個の切開部109を通して挿入されるか、または切開部700を通して配置され得、その結果、管107は、外科的処置の完了後に患者の身体から離れて延在する。いずれの場合においても、装置100は、
図13-1Bに示されるように、組織領域上に配置するために、その展開構成に展開され得る。組織上に配置された装置100では、
図13-1Cに示されるように、切開部109を通って伸長しながら、管107が装置100に流体的に結合されたままで、切開部700を閉じることができる。
【0137】
一旦、任意の体液が十分に排出され、組織の膨張が低減されると、管107は、ポンプ604から切り離され得、次いで、管107は、
図13-1Dおよび13-1Eに示されるように、装置100の周辺上の管接続について装置100が折り畳まれるように、張力をかけられ得るか、または引っ張られ得る。折り畳まれた装置100は、装置100が身体から完全に取り外されるまで、管107の張力を維持しながら、切開部109を通して退避(後退)させられてもよい。次に、
図13-1Fに示すように、残りの切開部109を閉じることができる。
【0138】
図14A~14Cは、エンクロージャ又はレイヤ802が湾曲した楕円形構成または楕円形構成に成形されている、リーフ(葉)と同様の形状を有するように構成された装置の別の例の正面図、詳細図、および側面図を示す。装置800の周辺は、管107が装置800に連結される管接続部812において近位端から緩やかに湾曲し、装置800の遠位端において緩やかな半径を形成するように倒卵形構成または楕円構成で外向きに湾曲する。装置800は、長手方向軸816の周りでその長さに沿って対称に成形されてもよく、一方、エンクロージャまたは層802は、リーフ(葉)の静脈と同様に、層802の間で装置800の内部全体にわたって延在する複数のストリップ部材を含んでもよい。本明細書に記載されるように、ストリップ部材は、ストリップ部材によって収集される体液を収集および輸送するための、発泡体などの多孔質または連続気泡材料から構成されてもよい。さらに、ストリップ部材は互いに流体連結されてもよく、その結果、ストリップ部材のネットワークが装置800の内部全体にわたって延在し、ストリップ部材の末端近位端が管107の開口部に流体的に結合される装置800の近位端で管107に流体的に結合される。
【0139】
図示の変形例では、ストリップ部材は、メインステム部分(主茎部分)804を形成することができ、このステム部分は、その近位端で管107に流体的に結合することができ、装置800の長手方向軸816に沿って延在することができ、装置800の遠位端近傍または遠位端に、メインステム部分804の端末シュート810を画定することができる。1つ以上の一次分岐部分806は、メインステム部分804に対して角度C、C’で延在し得、例えば、装置800の近位端から離れて鋭角を形成する。一次分岐部分806の各々は次に、一次分岐部分806の軸に対して角度D、Eで、それぞれの一次分岐部分806から離れて延在する1つ以上の二次分岐部分808を有する可能性がある。
【0140】
このようにして、一次分岐部分806および二次分岐部分808は、装置800の内部を「神経支配」して、メインステム部分804を通って、および管107を通って近位方向に除去するために、装置800全体にわたって流体収集および輸送を提供し得る。さらに、一次分岐部分806および二次分岐部分808は、メインステム部分804の周りに延在するように対称に構成されてもよいが、別の例では個々の一次分岐部分および二次分岐部分は、メインステム部分804の周りに対称または非対称になるように均一または任意に構成されてもよい。
【0141】
図示された例は、各一次分岐部分806がそれぞれの一次分岐部分806から離れて延在する1つから3つの間の二次分岐部分808を有する、メインステム部分804の両側に均一な距離で延在する4つの一次分岐部分806を有する装置800をさらに示す。しかしながら、他の例では、実施可能なように、各一次分岐部分806が任意の数の二次分岐部分808を有する可能性がある場合、任意の数の一次分岐部分806が利用されてもよい。
【0142】
さらに、一次分岐部分806および二次分岐部分808は、
図14Aの詳細図に示されるように、幅Wを有することができ、これは、部分間で変化し得るか、または均一であり得る。
図14Cは、メインステム部分804のような部材がエンクロージャ802内の長さを通って延在し、厚さTを有するように、どのように配置されるかを示す装置800の側面図を示す。エンクロージャ層もまた、厚さT1を有するものとして示される。
【0143】
図15Aは、装置800と、メインステム部分822を有するが、メインステム部分822から斜めに延在する一次分岐部分824の単純化されたデザインを有するリーフ(葉)構成としてもデザインされた代替装置820とを示す。
【0144】
図15B~15Dは、リーフデザインの装置800が、体腔内への前進および最小侵襲手術における展開のために、コンパクトな巻かれた構成にどのように構成され得るかの例を示す。巻かれた構成の装置800(または装置820)は、
図15C~15Dに示されるように、シース(例えば、前述のような内側展開シース)またはトロカール822内に配置され、カニューレ824を通って前進され得る。挿入後、装置800は、器官または組織の周りへの配置のために展開されるように、装置800からトロカール822を除去することによって、圧縮解除または広げられてもよい。展開された装置800は、体内に残されてもよく、組織の1つ以上の皮弁(フラップ)を含む開放腔は、縫合糸のような当技術分野で公知の任意の手段によって閉鎖され(しかし、空洞から真空ポンプへの管の出口のための手段がなければならないので、封止(シール)されない)、その位置でNPTを継続する。十分な量のNPTが完了すると、装置800の周辺に沿って位置する管接続によって部分的に引っ張られるため、装置800が管107の周りで折り畳まれるように管107に張力を加えたり引っ張ったりすることによって、任意の形状の装置800を重力と力を用いて収縮させることができる、その結果、装置800は閉鎖腔の内部から除去されてもよい。残った小さな切開部は、当業者に知られている手段によって封止(シール)される。
図15Eは、比較のために、折り畳まれた装置100および折り畳まれたリーフ(葉)構成の装置800もまた、折り畳まれた構成で示している。
【0145】
図16は、メインステム部分804及び個々の一次ステム部分806及び二次ステム部分808の詳細図のためのリーフ(葉)構成装置800の斜視分解図を示す。
【0146】
図17は、例えば18.0インチの全長LT1及び例えば10.7インチの全幅WD1を有することができる装置820の例を示す。
図18はまた、同様に、例えば18.0インチの全長LT2及び例えば10.7インチの全幅WD2を有するリーフ(葉)構成装置800の別の例を示す。これらの寸法は、限定することを意味するものではなく、それぞれの構成要素は外科的必要性に応じて変更され得るので、様々な種類の発泡体ストリップの数、発泡体ストリップの長さおよび幅、装置全体の例として役立つものである。しかしながら、一般的に、各設計(デザイン)に対して、様々な構成要素は、別の構成要素に関して、それらの寸法との比例性を保持する。
【0147】
図19は、装置800の全体のサイズに応じて様々な寸法でサイズ決めされ得る装置800の別の図を示す。装置800は、所望の用途および身体内の位置、ならびに治療される組織領域の解剖学的寸法に応じて、標準サイズでサイズ決めされてもよい。例えば、装置800は、任意の様々な寸法でサイズ決めされてもよいが、装置800は、標準的な大型(18インチ×11インチ)、中型(16インチ×9.75インチ)、または小型(14インチ×8.55インチ)でサイズ決めされてもよい。もちろん、大、中、または小の標準サイズは、任意の数の要因に応じて変更することもできる。
【0148】
本明細書に記載される装置のリーフ(葉)構成および他の実施形態とは別に、装置はまた、他の代替構成に成形されてもよい。このような装置の別の例は、ピッチフォーク形状の装置830(以下でさらに詳細に説明する)の実施形態の正面斜視図を示す
図20A~20Bに示されており、装置830は例えば、乳房切除術を受ける患者の内部の位置にある。しばしば、乳房切除術中の腫瘍学的切除、わきの下などの近くの領域の同側腋窩リンパ節の切除が必要となることがある。これらのリンパ節および乳房組織の除去は、体液が集まる患者内の内部空洞につながる。また、漏れ出したリンパ管に体液がたまっていることもある。このような流体「シンク」は、漿液腫形成をもたらし得る。
【0149】
本明細書中に開示される装置および方法を使用することによる補助的外科手術は、NPT吸引が組織を強制的に一緒に融合させ、組織間の空間を減少させ、そして任意の収集された流体を除去するための二重の折り畳み機能を有する。
【0150】
様々な外科的シナリオにおいて、この装置および方法は、切開部の大部分が封止(シール)された後を含む、手術の間およびその後の任意の期間にわたって使用され得ることが企図される。患者は自宅に退院し、漿液腫のような外科的合併症の可能性が減少していると思われた後、”外来”の状況で装置を取り外すことができる。したがって、外科手術後の除去の容易さは、この装置の別の利点である。
【0151】
図21A~21Bは、ピッチフォーク形状の装置830が脳外科手術を受けている患者の頭蓋骨の内側の位置に配置され得る、別の処置の斜視図である。
【0152】
図22A~22Bは、ピッチフォーク形状の装置830が大きな創傷のために手術を受けている患者の腕の内部の位置に配置され得る、別の処置の斜視図である。
【0153】
図23A~23Cは、ピッチフォーク形状の装置830の実施形態を示し、ここで、リーフ(葉)形状の構成の代わりに、エンクロージャ832の層は、治療されるべき組織領域により密接に適合するために、減少した個数のストリップ部材に適合し得る。この例では、装置830は、1つ以上の個々の部材836内に遠位に延在する近位領域838を含むことができる。近位ストリップ部材834は、管107と流体接触して内部に延び、個々のストリップ部材に分離することができる。
図23Aの変形例は、3つのプロング(突起)装置830を示し、
図23Bの実施形態は、2つの個別のプロング(突起)840、842を有する装置を示す。
図23Cは、単一の個々のプロング(突起)844を有する装置のさらに別の実施形態を示す。
図23Aの実施形態では3つのプロング(突起)が示されているが、他の変形例では、3つを超えるプロング(突起)を含むことができる。
【0154】
図24A~24Fは、ピッチフォーク形状の装置が、例えば胸部手術または胸部手術の間に、気胸を処置するために患者内に展開され得る、さらに別の方法を示す。
図24Aおよび24Bに示すように、装置830は、切開部850を通して、例えば、乳房に近接して前進させられてもよく、装置830は、治療される組織上に配置されてもよい。あるいは、装置830は、
図24Cに示されるように、組織領域上に配置するために、別個の切開部852を通って前進され得る。一旦治療が完了すると、装置は、
図24Dおよび24Eに示されるように、組織領域から除去するために、本明細書に記載されるように、管107の周りに折り畳まれた構成に再構成するために引っ張られ得るか、または張力をかけられ得る。装置830が除去されると、切開部852は、
図24Fに示されるように、閉鎖され得る。
【0155】
本明細書に記載され、例示された原理および例示的な実施形態に照らして、例示的な実施形態は、そのような原理から逸脱することなく、配置および詳細において修正され得ることが認識されるのであろう。また、前述の議論は特定の実施形態に焦点を当ててきたが、他の構成も考えられる。特に、「一実施形態において」、「別の実施形態において」などの表現が本明細書で使用されるが、これらの語句は一般に、実施形態の可能性に言及することを意味し、本開示を特定の実施形態の構成に限定することを意図しない。本明細書で使用されるように、これらの用語は、他の実施形態と組み合わせることができる同じまたは様々な実施形態を参照することができる。概して、本明細書で参照される任意の実施形態は、本明細書で参照される他の実施形態のうちの任意の1つまたは複数と自由に組み合わせることができ、異なる実施形態の任意の数の特徴は、別段の指示がない限り、互いに組み合わせることができる。
【0156】
同様に、例示的なプロセスを、特定のシーケンスで実行される特定の動作に関して説明したが、本開示の多数の代替実施形態を導出するために、これらのプロセスに多数の修正を適用することができる。例えば、代替実施形態は、開示された動作のすべてよりも少ないものを使用するプロセス、追加の動作を使用するプロセス、および本明細書で開示された個々の動作が組み合わされ、細分され、再配置され、または別様に変更されるプロセスを含むことができる。
【0157】
本開示は、様々な実施形態によって提供され得る様々な利益および利点の説明を含み得る。様々な実施形態によって、1つ、いくつか、すべて、または異なる利益または利点を提供することができる。
【0158】
本明細書に記載された例示的な実施形態から容易に導き出すことができる多種多様な有用な置換を考慮して、この詳細な説明は、例示的なものにすぎず、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。したがって、本開示として主張されるものは、以下の特許請求の範囲の範囲内に入るすべての実装、およびそのような実装のすべての均等物である。