(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】ロータリバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 5/04 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
F16K5/04 J
(21)【出願番号】P 2023101415
(22)【出願日】2023-06-21
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】591012200
【氏名又は名称】株式会社東海理機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】榊原 晃来
(72)【発明者】
【氏名】黒川 昌久
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-152801(JP,A)
【文献】特開2019-148317(JP,A)
【文献】特開2003-166665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流入口及び流出口を有するハウジングと、弁体と、を備え、
前記ハウジングは、軸線を取り囲んだ状態で前記軸線に沿って延び、かつ自身の周方向における1箇所又は複数箇所に前記流出口を有する環状壁部を備え、
前記弁体は、前記環状壁部に収容される円柱状の弁本体部を備え、
前記環状壁部であって、前記流出口毎の周縁部に対し、同環状壁部の径方向における内方となる箇所にはパッキン装着部が形成され、
前記パッキン装着部には、前記径方向における内側面が、前記弁本体部の外周面に沿って凹状に湾曲したパッキンが装着され、
前記軸線を中心とした前記弁体の回転に伴い回転位相が変化することにより、前記流入口及び前記流出口の連通状態が変更されるロータリバルブであって、
前記弁本体部の前記外周面は、前記パッキンを前記径方向へ弾性変形させることで、前記流出口の周りで、前記環状壁部及び前記弁本体部の間をシールする大径部と、前記大径部に対し、前記弁本体部の周方向に異なる箇所に位置する小径部とを備え、
前記大径部は、前記弁本体部の前記外周面のうち、周方向に延びる領域に形成され、
前記大径部の半径は、前記弁本体部の前記周方向に一定であり、
前記パッキンの前記内側面の半径は、前記弁本体部の前記周方向に一定であり、
前記回転位相は、前記小径部が全ての前記パッキンに対向する回転位相を含み、
前記大径部の半径を半径Aとし、前記小径部の半径を半径Bとし、前記径方向における前記パッキンの厚みが最小である箇所を厚み最小部とし、前記厚み最小部での前記厚みを最小厚みCとし、前記軸線と、前記パッキン装着部の内底面のうち前記厚み最小部が接触する箇所との間隔を装着部寸法Dとした場合、前記半径A、前記半径B、前記最小厚みC及び前記装着部寸法Dは、(式1)~(式3)を満たしている
B<A・・・(式1)
D-C<A・・・(式2)
D-C-B<C・・・(式3)
ロータリバルブ。
【請求項2】
前記半径B、前記最小厚みC及び前記装着部寸法Dは、(式4)を満たしている
B≦D-C・・・(式4)
請求項1に記載のロータリバルブ。
【請求項3】
前記流出口及び前記パッキン装着部の組み合わせは、前記環状壁部の前記周方向における2箇所に形成され、
前記回転位相は、前記大径部が一方の前記パッキンのみに対向する回転位相を含んでいる請求項2に記載のロータリバルブ。
【請求項4】
前記大径部及び前記小径部は、前記大径部及び前記小径部の間に設けられた一対の平面部により繋がっており、
前記小径部の各平面部との境界部分における接線が前記平面部に対しなす角度αは、(式5)を満たしている
170°≦α<180°・・・(式5)
請求項2に記載のロータリバルブ。
【請求項5】
前記2箇所の前記パッキン装着部と、各パッキン装着部に装着された前記パッキンとの組み合わせは、前記環状壁部の前記周方向における一部の領域で、同周方向に互いに隣り合っており、
前記弁体は、前記軸線上に、同軸線に沿って延びる軸部を備えており、
前記ハウジングには、前記軸部が挿通される軸受孔が形成され、
前記軸部の周囲であって、同軸部と前記軸受孔の内壁面との間には、環状の軸シール部材が配置されている請求項3に記載のロータリバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁体を回転させることで、流入口及び流出口の連通状態を変更するロータリバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
図14に示すように、環状壁部72を有するハウジング71、弁体76及びパッキン81を備えるロータリバルブ70が知られている(例えば、特許文献1参照)。ハウジング71には、流体FLの流入口73が形成されている。また、環状壁部72の複数箇所(
図14では2箇所)には、流体FLの流出口74,75が形成されている。弁体76は、環状壁部72内に配置された円柱状の弁本体部77を備えている。弁体76は、軸部79によりハウジング71に回転可能に支持されている。弁本体部77には、流入口73と流出口74,75とを連通させる可動流路78が形成されている。パッキン81は、環状壁部72における流出口74,75毎の周縁部と、弁本体部77の外周面80との間に配置されている。
【0003】
そして、軸部79を中心とした回転に伴い弁体76の回転位相が変化することにより、流入口73及び流出口74,75の連通状態が変更される。
また、例えば、同
図14に示すように、弁本体部77の外周面80によって、パッキン81が環状壁部72の径方向における外方へ圧縮される。パッキン81が径方向に弾性変形されることで、流出口74の周りで、環状壁部72及び弁本体部77の間がシールされる。流出口74が、パッキン81を介して弁本体部77によって閉塞された状態となる。環状壁部72内の流体FLは、流出口74からロータリバルブ70の外部へ流出することを規制される。
【0004】
ところで、上記従来のロータリバルブ70では、弁体76の組み付けに際し、最初に環状壁部72内にパッキン81が装着される。そして、この状態で、弁本体部77が環状壁部72内に収容される。
【0005】
上述したように、パッキン81を上記径方向へ弾性変形させてシールを行なうことから、環状壁部72内において、弁本体部77が収容されるスペースの内径(直径)は、弁体76の組み付け前には、弁本体部77の外径(直径)よりも小さい。
【0006】
上記のように小さなスペースに弁本体部77を挿入するために、従来のロータリバルブ70では、次のいずれかの方法を採っている。
・治具を用いてパッキン81を上記径方向における外方へ圧縮して弾性変形させて、弁本体部77が収容されるスペースを一時的に拡大する。拡大したスペースに弁本体部77を挿入し、その後に治具を抜き出す。
【0007】
・治具を用いることなく、小さな上記スペースに弁本体部77を強く挿入する。すなわち、弁本体部77によってパッキン81を上記径方向における外方へ圧縮させることで上記スペースを拡大しながら、同弁本体部77を上記スペースに挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記前者の方法では、治具によってパッキン81を上記径方向へ弾性変形させる工程と、弁本体部77を挿入する工程とが別々に行なわれる。治具による弾性変形の分、組み付け工数が増える。
【0010】
後者の方法では、環状壁部72内に弁本体部77を挿入する際に、パッキン81から大きな反力を受ける。そのため、弁本体部77を環状壁部72へ挿入しづらい。
従って、上記いずれの方法も、弁体76の組み付け性の点で改良の余地が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためのロータリバルブの各態様を記載する。
[態様1]流体の流入口及び流出口を有するハウジングと、弁体と、を備え、前記ハウジングは、軸線を取り囲んだ状態で前記軸線に沿って延び、かつ自身の周方向における1箇所又は複数箇所に前記流出口を有する環状壁部を備え、前記弁体は、前記環状壁部に収容される円柱状の弁本体部を備え、前記環状壁部であって、前記流出口毎の周縁部に対し、同環状壁部の径方向における内方となる箇所にはパッキン装着部が形成され、前記パッキン装着部には、前記径方向における内側面が、前記弁本体部の外周面に沿って凹状に湾曲したパッキンが装着され、前記軸線を中心とした前記弁体の回転に伴い回転位相が変化することにより、前記流入口及び前記流出口の連通状態が変更されるロータリバルブであって、前記弁本体部の前記外周面は、前記パッキンを前記径方向へ弾性変形させることで、前記流出口の周りで、前記環状壁部及び前記弁本体部の間をシールする大径部と、前記大径部に対し、前記弁本体部の周方向に異なる箇所に位置する小径部とを備え、前記回転位相は、前記小径部が全ての前記パッキンに対向する回転位相を含み、前記大径部の半径を半径Aとし、前記小径部の半径を半径Bとし、前記径方向における前記パッキンの厚みが最小である箇所を厚み最小部とし、前記厚み最小部での前記厚みを最小厚みCとし、前記軸線と、前記パッキン装着部の内底面のうち前記厚み最小部が接触する箇所との間隔を装着部寸法Dとした場合、前記半径A、前記半径B、前記最小厚みC及び前記装着部寸法Dは、(式1)~(式3)を満たしている
B<A・・・(式1)
D-C<A・・・(式2)
D-C-B<C・・・(式3)
ロータリバルブ。
【0012】
上記の構成によれば、弁体の組み付けに際しては、最初にパッキンがパッキン装着部に装着される。次に、弁体の弁本体部が環状壁部内に挿入される。この挿入は、小径部が全てのパッキンに対向する回転位相にされた状態で行なわれる。
【0013】
小径部の半径Bが、大径部の半径Aよりも小さいため、上記挿入に際し、小径部がパッキンと干渉しない、又は干渉しにくい。後者の場合、干渉の度合いは、弁本体部の半径が全周にわたって大径部の半径Aと同一である場合や、大径部が少なくとも1つのパッキンに対向する場合に比べ小さい。従って、弁本体部を、環状壁部内に挿入しやすい。
【0014】
ここで、仮に、小径部とパッキンとの間に隙間が生じ、その隙間が過大であると、弁本体部を環状壁部内に挿入する際に、上記隙間でパッキンが倒れるおそれがある。パッキンが倒れないように弁本体部を環状壁部内に挿入する必要があり、挿入作業の作業性が低下する。また、パッキンが倒れたまま弁本体部が挿入されるおそれもある。
【0015】
この点、小径部とパッキンとの間に生ずる隙間は最小厚みCよりも小さい。小径部とパッキンとの間に過大な隙間が生じない。そのため、弁本体部を環状壁部内に挿入する際に、上記隙間でパッキンが倒れる現象が抑制され、挿入作業の作業性が向上する。たとえ、パッキンが倒れてきても、そのパッキンは倒れる前の位置から大きく動くことはないため、この点でも挿入作業がしやすい。
【0016】
ロータリバルブの作動時には、軸線を中心として弁体が回転される。大径部がパッキンに対向すると、そのパッキンが径方向における外方へ圧縮されて、同径方向へ弾性変形させられる。上記流出口の周りで、環状壁部と弁本体部との間がシールされる。流出口が、パッキンを介して大径部によって塞がれた状態となる。環状壁部内の流体は、上記パッキン及び流出口を通ってロータリバルブの外部へ流出することを規制される。
【0017】
[態様2]前記半径B、前記最小厚みC及び前記装着部寸法Dは、(式4)を満たしている
B≦D-C・・・(式4)
[態様1]に記載のロータリバルブ。
【0018】
上記の構成によれば、半径Bが、装着部寸法Dから最小厚みCを差し引いた値よりも大きい場合に比べ、上記挿入に際し、小径部がパッキンと干渉しにくい。弁本体部を、環状壁部内に挿入しやすい。
【0019】
[態様3]前記流出口及び前記パッキン装着部の組み合わせは、前記環状壁部の前記周方向における2箇所に形成され、前記回転位相は、前記大径部が一方の前記パッキンのみに対向する回転位相を含んでいる[態様2]に記載のロータリバルブ。
【0020】
上記の構成によれば、ロータリバルブの作動時に、大径部が一方のパッキンにのみ対向する回転位相まで弁体が回転されると、そのパッキンが大径部によって弾性変形させられる。径方向における上記パッキンの外方の流出口の周りで、環状壁部及び弁本体部の間が、パッキンによってシールされる。
【0021】
大径部は、他方のパッキン、この場合、シールの必要のない箇所のパッキンから環状壁部の周方向へ離れる。径方向における上記パッキンの外方の流出口は、その全体が開放された状態となる。
【0022】
そのため、流入口を通って環状壁部内に流入した流体は、弁体を通過した後に上記他方のパッキンと、径方向における上記他方のパッキンの外方の流出口とを通り、ロータリバルブの外部へ流出される。これに対し、流体は、上記一方のパッキンと、径方向における上記一方のパッキンの外方の流出口とを通ってロータリバルブの外部へ流出されることを規制される。
【0023】
また、このときには、上述したように、大径部は、シールが必要な箇所のパッキンのみを弾性変形させる。そのため、大径部が、シールの必要のない箇所のパッキンも弾性変形させる場合に比べ、余分な荷重が弁体に作用しにくい。弁体を回転させるのに必要な回転トルクが小さくてすむ。
【0024】
[態様4]前記大径部及び前記小径部は、前記大径部及び前記小径部の間に設けられた一対の平面部により繋がっており、前記小径部の各平面部との境界部分における接線が前記平面部に対しなす角度αは、(式5)を満たしている
170°≦α<180°・・・(式5)
[態様2]又は[態様3]に記載のロータリバルブ。
【0025】
上記の構成によれば、小径部がパッキンに対向する回転位相では、その小径部はパッキンに干渉しないか、又は干渉したとしても僅かである。
上記回転位相から、弁体が回転して、大径部がパッキンに対向する回転位相に変化する途中には、大径部の平面部との境界部分がパッキンと干渉する。弁体がさらに回転すると、大径部がパッキンに乗り上げる。大径部がパッキンを径方向における外方へ圧縮し、そのパッキンを径方向に弾性変形させる。
【0026】
大径部がパッキンに乗り上げるときには、大径部がパッキンから抵抗を受けて引っ掛かる。この抵抗の大きさは、小径部の平面部との境界部分における接線が平面部に対しなす角度αによって異なる。上記角度αが大きくなるに従い、大径部と平面部とが緩やかに繋がり、大径部がパッキンから受ける抵抗が小さい。これに対し、上記角度αが小さくなるに従い、大径部と平面部とが尖った形状となり、大径部がパッキンから受ける抵抗が大きくなる。これに伴い、弁体を回転させるのに必要な回転トルクが大きくなる。
【0027】
この点、上記の構成によるように、角度αが、170°≦α<180°の関係を満たすように設定されることで、大径部と平面部とが緩やかに繋がる。大径部がパッキンに乗り上げるときに、そのパッキンから受ける抵抗は、小さくなる。従って、弁体を回転させるのに必要な回転トルクが小さくてすむ。
【0028】
[態様5]前記2箇所の前記パッキン装着部と、各パッキン装着部に装着された前記パッキンとの組み合わせは、前記環状壁部の前記周方向における一部の領域で、同周方向に互いに隣り合っており、前記弁体は、前記軸線上に、同軸線に沿って延びる軸部を備えており、前記ハウジングには、前記軸部が挿通される軸受孔が形成され、前記軸部の周囲であって、同軸部と前記軸受孔の内壁面との間には、環状の軸シール部材が配置されている[態様3]に記載のロータリバルブ。
【0029】
ここで、大径部がパッキンを弾性変形させると、その弾性変形に伴い反力が発生する。この反力は大径部に作用する。
仮に、大径部が一方のパッキンの全体と、他方のパッキンの全体とに対し同時に対向すると、両方のパッキンから反力が大径部に作用する。より詳しくは、両パッキンの反力を合成した荷重が大径部に作用する。この荷重は、軸部の軸線を挟んで両パッキンの配置されていない側へ向かう。上記荷重は偏荷重として、弁本体部及び軸部を介して軸シール部材に対し、弁体の径方向における一方向から伝わる。
【0030】
この点、上記の構成によれば、大径部が一方のパッキンにのみ対向する、又は一方のパッキンの一部と他方のパッキンの一部とに跨がって対向するのみである。そのため、大径部が一方のパッキンの全体と、他方のパッキンの全体とに対し同時に対向する場合に比べ、軸シール部材に作用する偏荷重が小さくなる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、弁体の組み付け性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】一実施形態におけるロータリバルブの斜視図である。
【
図2】上記実施形態におけるロータリバルブの構成部品をボディ側から見た分解斜視図である。
【
図3】上記実施形態におけるロータリバルブの構成部品をカバー側から見た分解斜視図である。
【
図4】上記実施形態において、パッキンが装着された環状壁部に対し、弁体が組み付けられる前の状態を示す斜視図である。
【
図5】上記実施形態におけるロータリバルブの縦断面図である。
【
図6】上記実施形態において、弁本体部がパッキン、第1流出口及び第2流出口の一部ずつを塞ぐ回転位相となったロータリバルブの部分底断面図である。
【
図7】上記実施形態において、パッキンが装着された環状壁部に対し、弁体が組み付けられた後であって、カバーが装着される前のロータリバルブの部分底面図である。
【
図8】上記実施形態において、パッキンが装着された環状壁部に対し、弁体が組み付けられたロータリバルブの部分底断面図である。
【
図9】
図7の弁体が回転されて、大径部が一方のパッキンのみに対向したロータリバルブの部分底面図である。
【
図10】
図8の弁体が回転されて、大径部が一方のパッキンのみに対向したロータリバルブの部分底断面図である。
【
図11】
図7の一部を示す図であり、ロータリバルブの各部の寸法関係を説明する部分底面図である。
【
図12】角度αが(式5)を満たす上記実施形態の弁体が回転されて、大径部がパッキンに乗り上げるときの作用を説明する模式図である。
【
図13】角度αが(式5)を満たさない比較例の弁体が回転されて、大径部がパッキンに乗り上げるときの作用を説明する模式図である。
【
図14】従来のロータリバルブを示す図であり、
図10に対応する部分底断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、ロータリバルブの一実施形態について、
図1~
図13を参照して説明する。
図1に示すように、ロータリバルブ10は、図示しないポンプ等の流体供給源から供給される水等の流体FLの流路11の途中に設けられている。より詳しくは、流路11は、流体供給源に接続された共通流路12と、共通流路12から分岐した第1分岐流路13及び第2分岐流路14とを備えている。ロータリバルブ10は、第1分岐流路13及び第2分岐流路14が共通流路12から分岐する部分に配置されている。ロータリバルブ10は、第1分岐流路13及び第2分岐流路14に流れる流体FLの流量を調整する役割を担っている。この流量の調整により、
図6に示すように、流体FLを第1分岐流路13及び第2分岐流路14の両方に流したり、
図10に示すように、一方、本実施形態では第2分岐流路14にのみ流したりすることが可能である。
【0034】
図1~
図3に示すように、ロータリバルブ10は、ハウジング15、弁体41、一対のパッキン55,56及び軸シール部材61を備えている。ここで、弁体41は、後述するように、軸線ALを有する軸部48,49を中心として回転可能である。そのため、この軸線ALを基準として、各部材について説明する。
【0035】
<ハウジング15>
ハウジング15は、板状のカバー16及びボディ21を備えている。
カバー16は、軸線ALに沿う方向へ延びる軸受穴17を中心部分に有している(
図5参照)。軸受穴17は、カバー16においてボディ21側(
図2の上側)の面において開口している。
【0036】
図5に示すように、ボディ21は、軸線ALを取り囲んだ状態で、その軸線ALに沿う方向へ延びる筒状の環状壁部22を備えている。軸線ALに沿う方向における環状壁部22のカバー16とは反対側(
図5の上側)の端部には、同端部を塞いだ状態で閉塞部23が形成されている。軸線ALに沿う方向における環状壁部22のカバー16側の端部は、開放端24となっている。開放端24は、ボディ21に取り付けられた上記カバー16によって塞がれている。ボディ21における環状壁部22及び閉塞部23と、カバー16とによって囲まれた箇所は、収容部25を構成している。
【0037】
閉塞部23の中心部には、同閉塞部23を上記軸線ALに沿う方向へ貫通する軸受孔26が形成されている。
図6に示すように、環状壁部22には、収容部25への流体FLの流入口27が形成されている。また、環状壁部22の1箇所又は複数箇所には、収容部25からの流体FLの流出口が形成されている。本実施形態では、環状壁部22において、流入口27から周方向へ離れた箇所に第1流出口31が形成されている。なお、以降の記載では、単に「周方向」という場合には、環状壁部22の周方向を指すものとする。さらに、環状壁部22において、流入口27及び第1流出口31の両者から上記周方向へ離れた箇所には、第2流出口35が形成されている。第1流出口31及び第2流出口35は、上記周方向における環状壁部22の一部、本実施形態では、略半分の領域において、同周方向に隣り合っている。上記周方向における環状壁部22の残りの領域には、上記流入口27が形成されているだけで、流出口は形成されていない。流入口27、第1流出口31及び第2流出口35は、円形又は円形に近い形状をなしている(
図5参照)。
【0038】
図1及び
図6に示すように、環状壁部22における流入口27の周縁部には、同環状壁部22の径方向における外方へ突出する接続管部28が設けられている。なお、以降の記載では、単に「径方向」という場合には、環状壁部22の径方向を指すものとする。接続管部28と流体供給源とは、流体FLの上記共通流路12によって接続されている。
【0039】
環状壁部22における第1流出口31の周縁部には、上記径方向における外方であって、上記接続管部28の突出方向とは異なる方向へ突出する接続管部32が設けられている。接続管部32には、流体FLの上記第1分岐流路13が接続されている。第1流出口31から流出された流体FLは、第1分岐流路13を通って、流体FLの使用先に送られる。環状壁部22内であって、第1流出口31の周縁部に対し、上記径方向における内方となる箇所には、パッキン装着部33が形成されている。パッキン装着部33は、第1流出口31との境界部分に内底面33aを有している。内底面33aは、第1流出口31の中心軸線(図示略)及び第1分岐流路13に対し交差、本実施形態では直交する平面によって構成されている。
【0040】
環状壁部22における第2流出口35の周縁部には、上記径方向における外方であって、接続管部28,32の突出方向とは異なる方向へ突出する接続管部36が設けられている。接続管部36には、流体FLの上記第2分岐流路14が接続されている。第2流出口35から流出された流体FLは、第2分岐流路14を通って、流体FLの使用先に送られる。環状壁部22内であって、第2流出口35の周縁部に対し、上記径方向における内方となる箇所には、パッキン装着部37が形成されている。パッキン装着部37は、第2流出口35との境界部分に内底面37aを有している。内底面37aは、第2流出口35の中心軸線(図示略)及び第2分岐流路14に対し交差、本実施形態では直交する平面によって構成されている。パッキン装着部37は、上記パッキン装着部33に対し、上記周方向に隣り合っている。
【0041】
<弁体41>
図2、
図3及び
図6に示すように、弁体41は、その骨格部分を構成する弁本体部42と、軸部とを備えている。弁本体部42は、軸線ALに沿う方向に延びる円柱状をなし、かつ上記収容部25に配置(収容)されている。弁本体部42は、軸線ALに沿う方向に互いに離間した状態で配置された円板状の一対の端壁部43,44を備えている。両端壁部43,44は、端壁部43の外周部の一部と、端壁部44の外周部の一部との間に設けられた連結部45によって連結されている。この連結部45は、弁本体部42における円筒状の外周面46の一部を、自身の外周面として有している。
【0042】
弁本体部42において、両端壁部43,44間であって、連結部45とは異なる箇所は、上記流入口27と、第1流出口31及び第2流出口35とを連通させる可動流路47を構成している。可動流路47は、弁本体部42の外周面46において開口されている。
【0043】
軸部は、上記軸線AL上に配置された軸部48,49を備えている。軸部48は、端壁部43の中心部から軸線ALに沿う方向における一方(
図3の下方)へ突出している。軸部49は、端壁部44の中心部から軸線ALに沿う方向における他方(
図2及び
図3の上方)へ突出している。
【0044】
図5に示すように、弁体41は、軸部48においてカバー16の軸受穴17に対し回転可能に支持されている。軸部49は、閉塞部23の軸受孔26に挿通されている。弁体41は、軸部49において軸受孔26の内壁面に対し回転可能に支持されている。このようにして、弁体41は、両軸部48,49により、ハウジング15に回転可能に支持されている。
【0045】
上記構成の弁体41は、図示しないモータ、手動操作等によって回転される。この回転に伴い弁体41の回転位相が変化することにより、流入口27と、第1流出口31及び第2流出口35との連通状態が変更される。
【0046】
図6に示す回転位相では、弁本体部42(連結部45)が、第1流出口31の一部及びパッキン55の孔59の一部と、第2流出口35の一部及びパッキン56の孔59の一部とを閉塞する。この回転位相では、共通流路12と、第1分岐流路13及び第2分岐流路14とが連通される。また、
図10に示す回転位相では、弁本体部42(連結部45)が、第1流出口31の全体及びパッキン55の孔59の全体をそれぞれ閉塞し、かつ第2流出口35の全体及びパッキン56の孔59の全体を開放する。この回転位相では、共通流路12と第2分岐流路14とが連通される。図示はしないが、上記とは逆に、弁本体部42(連結部45)が、第2流出口35の全体及びパッキン56の孔59の全体をそれぞれ閉塞し、かつ第1流出口31の全体及びパッキン55の孔59の全体を開放する回転位相も可能である。この回転位相では、共通流路12と第1分岐流路13とが連通される。
【0047】
なお、弁体41が採り得る回転位相には、第1流出口31及びパッキン55の孔59のそれぞれの開度(開き具合)を調整する回転位相や、第2流出口35及びパッキン56の孔59のそれぞれの開度(開き具合)を調整する回転位相も含まれる。
【0048】
<一対のパッキン55,56>
図3及び
図6に示すように、両パッキン55,56は、互いに同一の構成を有している。各パッキン55,56は、ゴム等の弾性材料によって形成されている。一方のパッキン55は、上記パッキン装着部33に装着されている。パッキン55は、環状壁部22における第1流出口31の周縁部と弁本体部42の外周面46との間に位置している。他方のパッキン56は、上記パッキン装着部37に装着されている。パッキン56は、環状壁部22における第2流出口35の周縁部と弁本体部42の外周面46との間に位置している。両パッキン55,56は、第1流出口31、第2流出口35及びパッキン装着部33,37と同様、上記周方向における環状壁部22の一部(略半分)の領域において、同周方向に隣り合っている。
【0049】
各パッキン55,56は、板状をなすパッキン本体部57と、図示しないシール部とを備えている。パッキン本体部57は、パッキン55,56の骨格部分を構成する部分であり、矩形の外形形状を有している(
図2及び
図3参照)。
【0050】
上記径方向におけるパッキン55,56毎のパッキン本体部57の内側面58は、弁本体部42の外周面46に沿って凹状に湾曲している。
各パッキン本体部57には、上記径方向に延びる円形の孔59が形成されている。各孔59は、第1流出口31及び第2流出口35のそれぞれと同程度の内径(直径)を有している。パッキン55,56毎の孔59の内径(直径)は、上記周方向における連結部45の寸法よりも小さい。各孔59は、これを連結部45によって塞ぐことのできる大きさに形成されている。パッキン55の孔59は第1流出口31に対向し、かつパッキン56の孔59は第2流出口35に対向している。
【0051】
パッキン55,56毎のシール部は、孔59の周縁部から上記径方向における内方へ突出している。シール部は、内側面58と同様に、上記外周面46に沿って凹状に湾曲しているため、同外周面46に密着可能である。
【0052】
<軸シール部材61>
図2、
図3及び
図5に示すように、軸シール部材61は、ゴム等の弾性材料によって円環状に形成されている。軸シール部材61としては、Oリング、Xリング等を用いることができる。軸シール部材61は、軸部49の周囲であって、同軸部49と、閉塞部23における軸受孔26の内壁面との間に配置されている。軸シール部材61は、収容部25の流体FLが軸部49と軸受孔26の内壁面との間を通って、ロータリバルブ10の外部へ漏れ出るのを規制する。
【0053】
<弁本体部42の外周面46の形状について>
図7及び
図8に示すように、本実施形態のロータリバルブ10は、弁本体部42の外周面46の形状に特徴を有している。
図14に示す従来のロータリバルブ70では、弁本体部77の外周面80が、単一の外径(半径)を有する円筒面によって構成されている。これに対し、
図7及び
図8に示すように、本実施形態の外周面46は、弁本体部42の周方向に互いに異なる箇所に位置する大径部51及び小径部52を有している。大径部51及び小径部52は、弁本体部42の周方向に互いに離間している。大径部51は、連結部45の外周面によって構成されている。大径部51及び小径部52は、いずれも軸線ALを中心とする円筒面の一部によって構成されている。
【0054】
図12に示すように、大径部51及び小径部52は、それらの大径部51及び小径部52の間に設けられた一対の平面部53により繋がっている。各平面部53は、軸線ALに沿う方向へ延びている。
【0055】
図4に示すように、弁本体部42における可動流路47は、大径部51においては開口されていない。可動流路47は、小径部52及び平面部53において開口されている。
<各部の寸法関係について>
ここで、
図11に示すように、大径部51の半径を半径Aとし、かつ小径部52の半径を半径Bとする。上記径方向におけるパッキン55,56の厚みが最小である箇所を厚み最小部60とし、かつ厚み最小部60での厚みを最小厚みCとする。上記軸線ALと、パッキン装着部33,37の内底面33a,37aのうち、厚み最小部60が接触する箇所との間隔を装着部寸法Dとする。半径A、半径B、最小厚みC及び装着部寸法Dは、次の(式1)~(式3)を満たしている。
【0056】
B<A・・・(式1)
D-C<A・・・(式2)
D-C-B<C・・・(式3)
上記(式2)は、次の事項を意味している。
【0057】
・大径部51の半径Aは、パッキン55,56と干渉する大きさである。すなわち、半径Aは、大径部51がパッキン55,56を圧縮して径方向へ弾性変形させる大きさである。こうした半径Aの設定は、第1流出口31及び第2流出口35の周りで、環状壁部22及び弁本体部42の間をシールするために必要である。
【0058】
また、上記(式3)における左辺は、パッキン55,56の内側面58と小径部52との間の隙間の上記径方向における寸法である。
本実施形態は、さらに、半径B、最小厚みC及び装着部寸法Dが、(式4)を満たしている。
【0059】
B≦D-C・・・(式4)
上記(式4)は、次の事項を意味している。
・小径部52の半径Bが、D-Cと同一である場合、同小径部52はパッキン55,56を全く又はほとんど弾性変形させずに内側面58に軽く接触する。
【0060】
・小径部52の半径Bが、D-Cよりも小さい場合、同小径部52はパッキン55,56の内側面58から離間する。
また、
図12に示すように、小径部52の各平面部53との境界部分における接線を、接線TLとする。
図12では、片方の接線TLのみが図示されている。各接線TLが平面部53に対しなす角度を、角度αとする。角度αは、次の(式5)を満たしている。
【0061】
170°≦α<180°・・・(式5)
なお、仮に半径Bが半径Aと同一であれば、角度αは180°となる。上述したように半径Bが半径Aよりも小さいことから、角度αは180°よりも小さな値を採る。
【0062】
<弁体41の回転位相について>
弁体41は、軸部48,49を中心として回転することにより、回転位相を変化させる。この回転位相は、次に示す回転位相を含んでいる。
【0063】
・
図7、
図8、
図11等に示すように、小径部52が全てのパッキン55,56に対向する回転位相。この回転位相では、小径部52がパッキン55の全体とパッキン56の全体とに対向する。
【0064】
・
図9、
図10等に示すように、大径部51がパッキン55,56の一方のみに対向する回転位相。すなわち、大径部51が、パッキン55のみに対向する回転位相、又はパッキン56のみに対向する回転位相。
【0065】
この場合、上記周方向における大径部51の一方の端部が、上記周方向におけるパッキン55,56の一方の端部に隣り合う。これに加え、上記周方向における大径部51の他方の端部が、上記周方向におけるパッキン55,56の他方の端部に隣り合う。
【0066】
・
図6等に示すように、大径部51が、上記周方向におけるパッキン55の一部に対向し、かつ同周方向におけるパッキン56の一部に対向する回転位相。表現を変えると、大径部51が、上記周方向におけるパッキン55の一部と、同周方向におけるパッキン56の一部とに跨がって対向する回転位相。
【0067】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用について説明する。
<弁体41の組み付けについて>
弁体41の組み付けに際しては、
図3及び
図4に示すように、パッキン55がパッキン装着部33に装着され、かつパッキン56がパッキン装着部37に装着される。これとは別に、弁体41の軸部49に軸シール部材61が被せられる。次に、弁本体部42が環状壁部22内、より正確には、収容部25のうち、パッキン55,56とは異なる箇所に挿入される。この挿入の過程で、軸部49が軸受孔26(
図5参照)に挿通される。
【0068】
上記の挿入は、
図7、
図8及び
図11に示すように、小径部52がパッキン55の全体とパッキン56の全体とに対向する回転位相にされた状態で行なわれる。
上記(式1)により、小径部52の半径Bが、大径部51の半径Aよりも小さい。そのため、上記挿入に際し、小径部52がパッキン55,56と干渉しない、又は干渉しにくい。後者の場合、干渉の度合いは、弁本体部42の半径が全周にわたって大径部51の半径Aと同一である場合や、大径部51がパッキン55,56の少なくとも一方に対向する場合に比べ小さい。
【0069】
特に、本実施形態では、(式4)により半径Bが、装着部寸法Dから最小厚みCを差し引いた値以下である。そのため、半径Bが、装着部寸法Dから最小厚みCを差し引いた値よりも大きい場合に比べ、上記挿入に際し、小径部52がパッキン55,56と干渉しにくい。
【0070】
ここで、仮に、小径部52とパッキン55,56との間に隙間が生じ、その隙間が過大であると、弁本体部42を環状壁部22内に挿入する際に、上記隙間でパッキン55,56が倒れるおそれがある。パッキン55,56が倒れないように弁本体部42を環状壁部22内に挿入する必要があり、挿入作業の作業性が低下する。また、パッキン55,56が倒れたまま弁本体部42が挿入されるおそれもある。
【0071】
この点、上記(式3)により、小径部52とパッキン55,56との間に生ずる隙間は最小厚みCよりも小さい。小径部52とパッキン55,56との間に過大な隙間が生じない。弁本体部42を環状壁部22内に挿入する際に、上記隙間でパッキン55,56が倒れる現象が抑制されるため、挿入作業の作業性が向上する。たとえ、パッキン55,56が倒れてきても、そのパッキン55,56は倒れる前の位置から大きく動くことはないため、この点でも挿入作業がしやすい。
【0072】
なお、弁本体部42が環状壁部22内に挿入された後には、
図5に示すように、カバー16がボディ21に装着される。この装着の過程で、軸部48が軸受穴17に挿入される。弁体41が、軸部48,49により、ハウジング15に回転可能に支持される。
【0073】
<ロータリバルブ10の作動について>
ロータリバルブ10の作動時には、軸部48,49の軸線ALを中心として弁体41が回転される。
【0074】
図7、
図8、
図11等に示すように、小径部52がパッキン55,56に対向する回転位相では、小径部52はパッキン55,56に干渉しないか、又は干渉したとしても僅かである。
【0075】
ここで、上記(式2)において、大径部51の半径Aが、装着部寸法Dから最小厚みCを差し引いた値よりも大きい。そのため、上記回転位相から、
図12において矢印で示す方向へ弁体41が回転して、大径部51がパッキン55に対向する回転位相に変化する途中には、同
図12に示すように、大径部51の平面部53との境界部分がパッキン55と干渉する。弁体41がさらに回転すると、大径部51がパッキン55に乗り上げる。大径部51がパッキン55を径方向における外方へ圧縮し、パッキン55を上記径方向に弾性変形させる。
【0076】
大径部51がパッキン55に乗り上げるときには、大径部51がパッキン55から抵抗を受けて引っ掛かる。この抵抗の大きさは、小径部52の平面部53との境界部分における接線TLが平面部53に対しなす角度αによって異なる。上記角度αが大きくなるに従い、大径部51と平面部53とが緩やかに繋がり、大径部51がパッキン55から受ける抵抗が小さくなる。これに対し、
図13の比較例に示すように、上記角度αが小さくなるに従い、大径部51と平面部53とが尖った形状となり、大径部51がパッキン55から受ける抵抗が大きくなる。これに伴い、弁体41を回転させるのに必要な回転トルクが大きくなる。
【0077】
この点、
図12に示すように、上記角度αが上記(式5)を満たすように設定された本実施形態では、大径部51と平面部53とが緩やかに繋がる。大径部51がパッキン55に乗り上げるときに、大径部51がパッキン55から受ける抵抗が小さくなる。弁体41を回転させるのに必要な回転トルクが小さくてすむ。
【0078】
なお、大径部51がパッキン56に乗り上げるときにも、上記と同様に、大径部51がパッキン56から受ける抵抗が小さくなる。この場合にも、弁体41を回転させるのに必要な回転トルクが小さくてすむ。
【0079】
図9及び
図10は、大径部51(連結部45)が一方のパッキン55のみに対向する回転位相まで弁体41が回転されたときのロータリバルブ10の状態を示している。この回転位相では、上記周方向における大径部51の一方の端部が、同周方向におけるパッキン55の一方の端部に隣り合う。これに加え、上記周方向における大径部51の他方の端部が、上記周方向におけるパッキン55の他方の端部に隣り合う。
【0080】
大径部51(連結部45)には、可動流路47が開口されていない。そのため、第1流出口31は、パッキン55を介して大径部51(連結部45)によって塞がれた状態となる。
【0081】
このときには、上記径方向における第1流出口31の内側に位置するパッキン55が、大径部51によって上記径方向における外方へ圧縮される。パッキン55が大径部51(連結部45)によって径方向へ弾性変形させられる。
【0082】
第1流出口31の周りで、環状壁部22及び弁本体部42(連結部45)の間が、上記のように弾性変形されたパッキン55によってシールされる。より詳しくは、大径部51とパッキン55との間がシールされるとともに、パッキン55とパッキン装着部33の内底面33aとの間がシールされる。
【0083】
上記回転位相では、小径部52がパッキン56に対向する。小径部52には可動流路47が開口されている。第2流出口35は、その全体が開放された状態となる。
そのため、共通流路12から流入口27を通って収容部25内に流入した流体FLは、可動流路47を流れた後に、すなわち、弁体41を通過した後にパッキン56の孔59及び第2流出口35を通り、第2分岐流路14へ流出される。流体FLは、パッキン55の孔59及び第1流出口31を通過せず、第1分岐流路13へ流出されない。このように、流体FLは、第1流出口31を通ってロータリバルブ10の外部へ流出されることを規制される。
【0084】
また、このときには、上述したように、大径部51は、シールが必要な箇所のパッキン55のみを弾性変形させる。そのため、大径部51が、シールの必要のない箇所のパッキン56も弾性変形させる場合に比べ、余分な荷重が弁体41に作用しにくい。
【0085】
なお、図示はしないが、大径部51(連結部45)がパッキン56に対してのみ対向する回転位相まで、弁体41が回転されると、流体FLは上記とは逆にパッキン55の孔59及び第1流出口31を通り、第1分岐流路13へ流出される。流体FLは、パッキン56の孔59及び第2流出口35を通過せず、第2分岐流路14へ流出されない。
【0086】
ここで、大径部51がパッキン55又はパッキン56を弾性変形させると、その弾性変形に伴い発生する反力が大径部51に作用する。
仮に、大径部51が、パッキン55の全体とパッキン56の全体とに対し、同時に対向すると、両方のパッキン55,56から反力が大径部51に作用する。より詳しくは、両パッキン55,56の反力を合成した荷重が大径部51に作用する。この荷重は、軸線ALを挟んで両パッキン55,56の配置されていない側へ向かう。上記荷重は偏荷重として、
図5における弁本体部42及び軸部49を介して軸シール部材61に対し、弁体41の径方向における一方向から伝わる。
【0087】
この点、上述した2つの回転位相では、大径部51がパッキン55にのみ、又はパッキン56にのみ対向する。パッキン55,56のうち大径部51が対向しないものからは、同大径部51に対し反力が作用しない。そのため、軸シール部材61に作用する偏荷重が小さくなる。
【0088】
ところで、
図6は、弁本体部42における大径部51(連結部45)が、パッキン55の一部とパッキン56の一部とに対し跨がって対向しているときのロータリバルブ10の状態を示している。パッキン55の孔59のうち、パッキン56に近い側の略半分が閉塞され、遠い側の略半分が開放された状態となる。第1流出口31についても同様である。パッキン56の孔59のうち、パッキン55に近い側の略半分が閉塞され、遠い側の略半分が開放された状態となる。第2流出口35についても同様である。
【0089】
この状態では、共通流路12を流れてきた流体FLは、流入口27を通って収容部25内に流入する。この流体FLの一部は、可動流路47を流れた後に、パッキン55の孔59及び第1流出口31の各開放部分を通り、第1分岐流路13へ流出される。また、流体FLの残部は、可動流路47を流れた後に、パッキン56の孔59及び第2流出口35の各開放部分を通り、第2分岐流路14へ流出される。
【0090】
ただし、パッキン55における孔59の開口面積は、同孔59の全体が開放された場合よりも小さくなる。第1流出口31の開口面積についても同様である。そのため、パッキン55の孔59及び第1流出口31を通って第1分岐流路13へ流れる流体FLの流量は、パッキン55の孔59の全体が開放され、かつ第1流出口31の全体が開放されたときよりも少なくなる。パッキン56の孔59及び第2流出口35を通って第2分岐流路14へ流れる流体FLの流量についても同様である。
【0091】
このときには、大径部51(連結部45)が、パッキン55の一部と、パッキン56の一部とに跨がって対向する。そのため、大径部51がパッキン55の全体と、パッキン56の全体とに対し同時に対向する場合に比べ、軸シール部材61に作用する偏荷重が小さくなる。
【0092】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)
図11に示すように、本実施形態では、弁本体部42の外周面46が、半径Aを有する大径部51と、半径Aよりも小さな半径Bを有する小径部52とを備えている。
【0093】
そのため、小径部52が両パッキン55,56に対向する回転位相で、弁本体部42を環状壁部22内に挿入する際に、小径部52のパッキン55,56との干渉を回避、又は抑制できる。後者の場合、干渉の度合いを、弁本体部42の半径が全周にわたって大径部51の半径Aと同一である場合や、大径部51がパッキン55,56の少なくとも一方に対向する場合に比べ小さくすることができる。従って、弁本体部42が環状壁部22内に挿入しやすくなる。弁体41の組み付け性の向上を図ることができる。
【0094】
(2)特に、本実施形態では、半径B、最小厚みC及び装着部寸法Dが(式4)を満たす値に設定されている。
そのため、半径Bが、装着部寸法Dから最小厚みCを差し引いた値よりも大きい場合に比べ、上記挿入に際し、小径部52がパッキン55,56と干渉しにくい。弁本体部42を、環状壁部22内にさらに挿入しやすくなる。
【0095】
従って、弁体41の組み付けに際し、従来のロータリバルブ70とは異なり、パッキン55,56を弾性変形させるための治具を用いなくてもすむ。治具を用いることによる生産設備の上昇を抑制できる。また、治具を用いることによる組み付け工数の増加を抑制できる。
【0096】
また、従来のロータリバルブ70とは異なり、治具を用いずに弁本体部42を環状壁部22内に強く挿入することで、弁本体部42が収容されるスペースを拡大しなくてすむ。弁本体部42を強く挿入することが原因でパッキン55,56に傷が付いたり、ボディ21と弁本体部42との間等にパッキン55,56のシール部が噛み込んだりするのを抑制できる。
【0097】
(3)
図11に示すように、本実施形態では、半径B、最小厚みC及び装着部寸法Dが、上記(式3)を満たしている。小径部52とパッキン55,56との間に生ずる隙間を、最小厚みCよりも小さくしている。そのため、弁本体部42を環状壁部22内に挿入する際に、上記隙間でパッキン55,56が倒れるのを抑制できる。また、たとえ、パッキン55,56が倒れてきても、そのパッキン55,56は倒れる前の位置から大きく動かない。従って、弁本体部42の挿入作業の作業性をより向上できる。
【0098】
(4)本実施形態では、上記(式2)に示すように、半径Aを、装着部寸法Dから最小厚みCを差し引いた値よりも大きく設定している。
そのため、弁体41の回転位相を、大径部51がパッキン55,56に対向する回転位相にすることで、パッキン55,56を径方向における外方へ圧縮させて、同径方向へ弾性変形させることができる。第1流出口31及び第2流出口35の周りで、環状壁部22と弁本体部42との間をシールすることができる。
【0099】
図10に示すように、大径部51がパッキン55に対向した場合には、第1流出口31の全体を、パッキン55を介して大径部51によって塞ぐことができる。収容部25の流体FLが、塞がれた第1流出口31からロータリバルブ10の外部へ流出するのを規制できる。
【0100】
また、図示はしないが、大径部51がパッキン56に対向した場合には、第2流出口35の全体を、パッキン56を介して大径部51によって塞ぐことができる。収容部25の流体FLが、塞がれた第2流出口35からロータリバルブ10の外部へ流出するのを規制できる。
【0101】
(5)
図9及び
図10に示すように、本実施形態では、弁体41の回転位相が、大径部51がパッキン55,56の一方のみに対向する回転位相を含んでいる。そのため、大径部51が、パッキン55,56のうち、シールの必要のない箇所のパッキンも弾性変形させる場合に比べ、弁体41を回転させるのに必要な回転トルクを小さくすることができる。その結果、弁体41を回転させるための機構部分に加わる負荷を小さくすること、ロータリバルブ10の製品寿命を長くすること、アクチュエータの小型化を図ること等ができる。
【0102】
(6)
図12に示すように、本実施形態では、角度αが、上記(式5)満たす値に設定されている。
そのため、弁体41の回転に伴い大径部51がパッキン55に乗り上げるときに、大径部51がパッキン55から受ける抵抗を小さくすることができる。大径部51がパッキン56に乗り上げるときも同様である。従って、弁体41を回転させるのに必要な回転トルクを小さくすることができる。そのため、この点でも、上記(5)と同様に、弁体41を回転させるための機構部分に加わる負荷を小さくすること、ロータリバルブ10の製品寿命を長くすること、アクチュエータの小型化を図ること等ができる。
【0103】
(7)
図2~
図5に示すように、本実施形態では、パッキン装着部33及びパッキン55の組み合わせと、パッキン装着部37及びパッキン56の組み合わせとが、上記周方向における環状壁部22の一部の領域で、同周方向に互いに隣り合っている。軸部49と、ハウジング15(閉塞部23)における軸受孔26の内壁面との間に、環状の軸シール部材61が配置されている。
【0104】
このようなロータリバルブ10にあって、
図9及び
図10に示すように、弁体41の回転位相が、大径部51がパッキン55,56の一方のみに対向する回転位相を含んでいる。
【0105】
そのため、パッキン55,56のうち、大径部51が対向しないものから、同大径部51に対し反力が作用しないようにし、軸シール部材61に作用する偏荷重を小さくすることができる。
【0106】
上記の効果は、
図5及び
図6に示すように、大径部51(連結部45)が、パッキン55の一部とパッキン56の一部とに跨がって対向するときにも同様に得られる。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変更例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0107】
<ハウジング15に関する事項>
・軸線ALに沿う方向における閉塞部23及びカバー16の位置が、上記実施形態とは逆の関係となるように変更されてもよい。例えば、
図5では、カバー16が環状壁部22の上側に配置され、閉塞部23が同環状壁部22の下部に形成されてもよい。
【0108】
・流入口27は、ハウジング15において環状壁部22とは異なる箇所、例えば、閉塞部23に形成されてもよい。この場合、流体FLは、収容部25に対し、軸線ALに沿う方向に流入する。
【0109】
・流出口が、環状壁部22の1箇所のみに設けられてもよい。パッキン装着部についても同様である。この場合、パッキンがパッキン装着部に装着されることで、そのパッキンは流出口の周縁部と、弁本体部42の外周面46との間に配置される。
【0110】
弁体41の組み付けに際しては、小径部52がパッキンに対向する回転位相にされた状態で、弁本体部42が環状壁部22内に挿入される。小径部52の半径Bは、大径部51の半径Aよりも小さい。そのため、弁本体部42の半径が全周にわたって大径部51の半径Aと同一である場合に比べ、弁本体部42とパッキンとの間で干渉が起こりにくく、弁本体部42を環状壁部22内に挿入しやすい。
【0111】
ロータリバルブ10の作動時には、軸部48,49を中心として弁体41が回転される。この回転により、大径部51がパッキンに対向すると、そのパッキンが大径部51によって弾性変形させられ、流出口の周りで、環状壁部22と弁本体部42との間がシールされる。流出口がパッキンを介して大径部51によって塞がれた状態となる。収容部25内の流体FLは、流出口を通ってロータリバルブ10の外部へ流出することを規制される。流出口が1つであるため、流体FLの流れがロータリバルブ10によって遮断されることとなる。
【0112】
・流出口が、上記周方向における環状壁部22の3箇所以上の箇所に設けられてもよい。パッキン装着部についても同様である。この場合、各パッキンが、対応するパッキン装着部に装着されることで、各パッキンは各流出口の周縁部と、弁本体部42の外周面46との間に配置される。
【0113】
弁体41の組み付けに際しては、小径部52が全てのパッキンに対向する回転位相にされた状態で、弁本体部42が環状壁部22内に挿入される。小径部52の半径Bは、大径部51の半径Aよりも小さい。そのため、弁本体部42の半径が全周にわたって大径部51の半径Aと同一である場合に比べ、同弁本体部42と各パッキンとの間で干渉が起こりにくく、弁本体部42を環状壁部22内に挿入しやすい。
【0114】
ロータリバルブ10の作動時には、軸部48,49を中心として弁体41が回転される。弁体41の回転位相が、大径部51が少なくとも1つのパッキンに対向する回転位相になると、そのパッキンが大径部51によって弾性変形させられる。上記径方向におけるパッキンの外方の流出口の周りで、環状壁部22及び弁本体部42の間がシールされる。流出口は、パッキンを介して大径部51によって塞がれた状態となる。収容部25内の流体FLは、上記流出口からロータリバルブ10の外部へ流出することを規制される。
【0115】
上記回転位相で、複数の流出口のうち、小径部52が対向するものがあれば、流体FLは、その流出口からロータリバルブ10の外部へ流出される。
これに対し、上記回転位相で、全ての流出口に対し大径部51が対向すると、全ての流出口が塞がれた状態となる。収容部25内の流体FLは、全ての流出口を通ってロータリバルブ10の外部へ流出することを規制される。流体FLの流れがロータリバルブ10によって遮断される。
【0116】
・流出口、パッキン装着部及びパッキンの組み合わせが、上記のように、上記周方向における環状壁部22の3箇所以上の箇所に設けられた場合、組み合わせの位置によっては、次の懸念がある。例えば、全ての組み合わせが、上記周方向における環状壁部22の一部の領域で、同周方向に隣り合うように配置された場合である。
【0117】
大径部51が全てのパッキンに同時に対向すると、全てのパッキンから反力が大径部51に作用する。各パッキンの反力を合成した荷重が大径部51に作用する。この荷重は、軸線ALを挟んでパッキンの配置されていない側へ向かう。上記荷重は偏荷重として、弁本体部42及び軸部49を介して軸シール部材61に対し、弁体41の径方向における一方向から伝わる。
【0118】
そこで、大径部51が、全てのパッキンに同時に対向しないようにする。このようにすると、大径部51が対向しないパッキンからは、同大径部51に対し反力が作用しない。そのため、上記(7)と同様に、軸シール部材61に作用する偏荷重を小さくする効果が得られる。
【0119】
・流出口、パッキン装着部及びパッキンの組み合わせが環状壁部22の2箇所に設けられている上記実施形態では、弁体41の回転に伴い、大径部51が、パッキン55の全体とパッキン56の全体とに対し、同時に対向してもよい。この場合には、第1流出口31及び第2流出口35の両者が、パッキン55,56を介して大径部51によって塞がれた状態となり、収容部25内の流体FLが、第1流出口31及び第2流出口35を通ってロータリバルブ10の外部へ流出することを規制される。流体FLの流れがロータリバルブ10によって遮断される。
【0120】
<弁体41に関する事項>
・弁本体部42における可動流路47の形状が、上記実施形態とは異なる形状に変更されてもよい。
【0121】
・弁本体部42の外周面46における可動流路47の開口形状が、上記実施形態とは異なる形状に変更されてもよい。
・小径部52の半径Bは、大径部51の半径Aよりも小さいことを条件に、パッキン55,56のシール部に接触する、又は軽く圧入する大きさに設定されてもよい。この場合にも、弁本体部42の半径が全周にわたって大径部51の半径Aと同一である場合に比べ、弁本体部42とパッキン55,56との間で生ずる干渉が少ない。従って、弁本体部42を環状壁部22内に挿入しやすくする効果が得られる。
【0122】
・弁体41における軸部が、軸部48,49の一方によって構成されてもよい。
・上記接線TLが平面部53に対しなす角度αが、170°よりも小さな値に設定されてもよい。
【0123】
<パッキン55,56に関する事項>
・パッキン55,56におけるパッキン本体部57の外形形状が、矩形とは異なる形状に変更されてもよい。
【0124】
・パッキン55,56におけるパッキン本体部57は、板状とは異なる形状に形成されてもよい。
・パッキン55,56における孔59の形状が円形とは異なる形状に変更されてもよい。
【0125】
<その他>
・上記ロータリバルブ10は、流体FLとして、水とは異なる種類の液体が流される流路に設けられるロータリバルブや、流体FLとして液体に代えて気体が流される流路に設けられるロータリバルブにも適用可能である。
【符号の説明】
【0126】
10…ロータリバルブ
15…ハウジング
22…環状壁部
26…軸受孔
27…流入口
31…第1流出口(流出口)
33,37…パッキン装着部
33a,37a…内底面
35…第2流出口(流出口)
41…弁体
42…弁本体部
46…外周面
48,49…軸部
51…大径部
52…小径部
53…平面部
55,56…パッキン
58…内側面
60…厚み最小部
61…軸シール部材
A,B…半径
AL…軸線
C…最小厚み
D…装着部寸法
FL…流体
TL…接線
α…角度
【要約】
【課題】弁体の組み付け性の向上を図る。
【解決手段】ハウジング15は、パッキン装着部33,37が形成された環状壁部22を有する。ロータリバルブ10では、弁本体部42を有する弁体41の回転位相が変化することで、ハウジング15に設けられた流入口及び流出口の連通状態が変更される。弁本体部42の外周面46は、大径部51及び小径部52を有する。回転位相は、小径部52が全てのパッキン55,56に対向する回転位相を含む。径方向におけるパッキン装着部33,37の厚みが最小である箇所を厚み最小部60とする。軸線ALと、パッキン装着部33,37の内底面33a,37aのうち厚み最小部60が接触する箇所との間隔を装着部寸法Dとする。大径部51の半径A、小径部52の半径B、厚み最小部60での最小厚みC及び装着部寸法Dは、(式1):B<A、(式2):D-C<A、及び(式3):D-C-B<Cを満たしている。
【選択図】
図11