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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】屋台
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20240729BHJP
   E04H 15/48 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
E04H1/12 304
E04H15/48
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024035920
(22)【出願日】2024-03-08
【審査請求日】2024-03-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523017888
【氏名又は名称】岩田 正恵
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】岩田 正恵
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-030661(JP,U)
【文献】特開2022-013085(JP,A)
【文献】実開昭49-004593(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00-8/02
E04H 1/12
E04B 1/344
E04H 15/44-15/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の大幅角柱と、該大幅角柱と同等長さの小幅角柱とからなり,前記大幅角柱と前記小幅角柱とが断面L字状をなすように幅方向に沿う面を重ね合わせられると共に前記大幅角柱と前記小幅角柱とのそれぞれの長手方向の中間箇所が枢支連結されて枢支部とされ、前記大幅角柱と前記小幅角柱とが一直線の状態から交差状で90度以下の60度乃至70度の角度θを有してX字状に構成され、該X字状の状態にて、前記大幅角柱と前記小幅角柱とが前記枢支部付近にそれぞれ設けられた固定孔相互に固定具が挿入されて固定され、前記X字状に固定された縦置きX柱体が前記小幅角柱を内側にして対向して所定間隔をおいて2つ備えられ、両該縦置きX柱体の下端側寄りの両前記小幅角柱間には前記小幅角柱の厚さ方向に沿う所定面にスカート部が固定され、前記両該縦置きX柱体の上端間に天幕が張られ、且つ両前記縦置きX柱体の前記枢支部位置より下側位置に天板体が取付けられてなることを特徴とした屋台。
【請求項2】
請求項1に記載の屋台において、前記縦置きX柱体を所定のX字状に拡開された状態で且つ前記大幅角柱の前記固定孔と前記小幅角柱の前記固定孔とが前記枢支部からの距離が一致するようにそれぞれ形成され、両該固定孔に貫通する軸状の前記固定具が挿入されて前記縦置きX柱体はX字状に固定されてなることを特徴とした屋台。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の屋台において、前記縦置きX柱体の前記大幅角柱と小幅角柱とは、断面視で幅方向に沿う長辺と厚さ方向に沿う短辺とをそれぞれ有しており、前記大幅角柱と前記小幅角柱の両短辺は同等寸法とし、前記大幅角柱の長辺は、前記小幅角柱の長辺よりも大きく2倍前後相当の寸法に設定されてなることを特徴とした屋台。
【請求項4】
請求項3に記載の屋台において、前記固定孔は前記枢支部箇所よりも下方となるように設定されてなることを特徴とした屋台。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の屋台において、前記スカート板の前記小幅角柱への取付はネジ軸部に手回し自在のツマミ部を設けた取付ネジ材としてなることを特徴とした屋台。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の屋台において、両前記縦置きX柱体の後方側上端箇所には後方垂れ幕が備えられてなることを特徴とした屋台。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の屋台において、前記枢支部には枢支連結具が備わり、該枢支連結具は頭部が扁平状の低頭ボルトが使用されてなることを特徴とした屋台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一人で簡易且つ短時間に組立及び分解することができる屋台に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フリーマーケット、マルシェ、ガレージセール、バザール、ガラクタ市等の催し物が頻繁に開催されるようになっている。催し物には、老若男女種々の人々が出展者として参加する。このような催し物にて商品を会場の来訪者に販売提供するために、屋台が多く使用されている。屋台は、食品類,小物類等を商品として展示し販売を行うための屋台が備わっている。
【0003】
上記に上げた催し物で使用される屋台は、基本的に極めて簡単な構造で、天板と日除けの天幕が有ればよく、これらを支持する柱が備わったもので十分である。そして、屋台は簡単に組立及び解体ができ、そのまま、収納したり、或いは別の催し会場に運んだりするものである。催し物の参加者は、このような屋台を自分で所持するか、又は開催者が参加者に貸与することが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-13085号公報
【文献】特許第7396753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、簡易な屋台として、特許文献1(特開2022-13085号公報)が存在する。特許文献1では、間隔をあけて対向配置された一組の支持体の間に一組の屋根部材が着脱可能に配置される組立式屋台である。そして、支持体は、上端側に設けられた回動部を介して左右に回動自在に結合された一組の支柱を有している。この一組の支柱は連結具を介して屋根状に組まれるものである。
【0006】
つまり、2本の支柱と連結具によって支持体が組まれるが、2本の支柱と連結具はばらばらに分離された部材であり、これらを組付けるのに時間がかかり、且つボルト・ナット等の固着具及び工具が必要となる。その他、棚板や被覆体を組付けなければならず、参加者一人では組立にかなり大変な労力と時間を要する。
【0007】
特許文献2(特許第7396753号公報)は、屋台ではなく、テントであるが、骨組を構成するパイプフレームがX字状に構成されている。X字状による支柱は、屋台の支柱に好適であるが、特許文献2では、X字状の骨組を構成する2本のパイプフレームは、その交差部を構成するピンによって折り畳みができるようにしている。
【0008】
しかし、2本のパイプフレームをX字状に組付けたときに、この状態を維持するために、リンク状の連結部材が存在する。しかもこのようなパイプフレームは、金属材である。つまり、特許文献2を屋台に適用しようとするには、価格が高くなる可能性がある。また、屋台を略木材で組み立てられたものが好まれる状況においては、金属部材を含む特許文献2は不適当である。
【0009】
次に、特許文献としては具体的に示すものは存在しないが、従来の屋台において、図7の従来品に示すように、天板及び天幕を支持するための2本の角柱a,aが、ボルト・ナットからなる枢支連結部bによってX字状に拡開するフレームを使用しているものが存在している。
【0010】
これは、2本の長尺な角柱は同一サイズ且つ同一形状のものであり、使用時にはX字状とし、折畳み時には一直線状となるタイプのものである。そして、X字状を構成する枢支連結部bには、ボルト・ナットが使用されている。このような構成なので、2本の角柱a,aは枢支連結部bを介してX字状に拡開したときに、枢支連結部bのボルト・ナットを締め付けないとX字状を維持するための固定ができない。
【0011】
しかし、枢支連結部bにおけるボルト・ナットを締め付けるのみでは、安定したX字状にすることができず、角柱a,aに形成した貫通孔cに天板dを装着するためにピン材eを貫通孔cに貫通させることによってはじめて角柱a,aがX字状に固定されるものである。したがって、従来品による屋台の組立作業が行い難いものであった。さらに、従来品は、屋台を組み立てるのに、ボルト・ナットが使用されるので、ドライバ,スパナ等の工具も必要となる。
【0012】
ところで、屋台は、極めて簡単なものであっても、前述したように柱材,枠材,天板及び天幕等から構成され、屋台を組み立てるときには、少なくとも二人が必要である。そのため、参加者が一人の場合では、他の参加者の手を借りなくてはならないこともしばしば起きうることである。
【0013】
しかし、どの出展参加者も忙しく、他人を手伝う余裕がないこともあり、そのため、自分一人で組立,解体を行うことになる。そのため、屋台は、極めて簡単な構造で、且つ組立,解体が極めて容易且つ短時間に行えるものが好ましいが、以上に示した特許文献1,2及び従来品は、いずれも好適なものとは言えない。そこで、本発明の目的は、構造が極めて簡単で、一人で簡易且つ短時間に効率よく組立及び分解することができる屋台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、長尺の大幅角柱と、該大幅角柱と同等長さの小幅角柱とからなり,前記大幅角柱と前記小幅角柱とが断面L字状をなすように幅方向に沿う面を重ね合わせられると共に前記大幅角柱と前記小幅角柱とのそれぞれの長手方向の中間箇所が枢支連結されて枢支部とされ、前記大幅角柱と前記小幅角柱とが一直線の状態から交差状で90度以下の60度乃至70度の角度θを有してX字状に構成され、該X字状の状態にて、前記大幅角柱と前記小幅角柱とが前記枢支部付近にそれぞれ設けられた固定孔相互に固定具が挿入されて固定され、前記X字状に固定された縦置きX柱体が前記小幅角柱を内側にして対向して所定間隔をおいて2つ備えられ、両該縦置きX柱体の下端側寄りの両前記小幅角柱間には前記小幅角柱の厚さ方向に沿う所定面にスカート部が固定され、前記両該縦置きX柱体の上端間に天幕が張られ、且つ両前記縦置きX柱体の前記枢支部位置より下側位置に天板体が取付けられてなることを特徴とした屋台としたことにより、上記課題を解決した。
【0015】
請求項2の発明を、請求項1に記載の屋台において、前記縦置きX柱体を所定のX字状に拡開された状態で且つ前記大幅角柱の前記固定孔と前記小幅角柱の前記固定孔とが前記枢支部からの距離が一致するようにそれぞれ形成され、両該固定孔に貫通する軸状の前記固定具が挿入されて前記縦置きX柱体はX字状に固定されてなることを特徴とした屋台としたことにより、上記課題を解決した。
【0016】
請求項3の発明を、請求項1又は2に記載の屋台において、前記縦置きX柱体の前記大幅角柱と小幅角柱とは、断面視で幅方向に沿う長辺と厚さ方向に沿う短辺とをそれぞれ有しており、前記大幅角柱と前記小幅角柱の両短辺は同等寸法とし、前記大幅角柱の長辺は、前記小幅角柱の長辺よりも大きく2倍前後相当の寸法に設定されてなることを特徴とした屋台としたことにより、上記課題を解決した。
【0017】
請求項4の発明を、請求項3に記載の屋台において、前記固定孔は前記枢支部箇所よりも下方となるように設定されてなることを特徴とした屋台としたことにより、上記課題を解決した。請求項5の発明を、請求項1又は2に記載の屋台において、前記スカート板の前記小幅角柱への取付はネジ軸部に手回し自在のツマミ部を設けた取付ネジ材としてなることを特徴とした屋台としたことにより、上記課題を解決した。
【0018】
請求項6の発明を、請求項1又は2に記載の屋台において、両前記縦置きX柱体の後方側上端箇所には後方垂れ幕が備えられてなることを特徴とした屋台としたことにより、上記課題を解決した。請求項7の発明を、請求項1又は2に記載の屋台において、前記枢支部には枢支連結具が備わり、該枢支連結具は頭部が扁平状の低頭ボルトが使用されてなることを特徴とした屋台としたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明では、横置き状態で縦置きX柱体は、大幅角柱と小幅角柱とを、枢支連結された枢支部を中心にして拡開し、X字状にした後、固定具によって、そのX字状を維持することができる。これによって、縦置きX柱体は、枢支部と固定具とによる2点支持固定となり、しかも一組の縦置きX柱体間にスカート板のみを取り付けることで、2個の縦置きX柱体がX字状を維持した状態にできる。
【0020】
そして、縦置きX柱体を横置きされた状態で天幕等を装着することができ、これによって、横置きされた状態で屋台の組付けを略完了することができ、天板体は、縦置きX柱体を反転して起こした状態で取り付けることで、一人で、極めて簡単且つ短時間で屋台の組立を完了できる。場合によっては天板体も縦置きX柱体を横置きされた状態で組付けることができる。
【0021】
以上のことから、従来のように、複数の人員が必要であったが、本発明における屋台は、縦置きX柱体を横置きされた状態でX字状に固定でき、天幕及び反転した後に天板体を取り付けることで一人でも組み立て分解(解体)ができるものである。また、縦置きX柱体の略下端箇所まで覆うスカート板によって、縦置きX柱体の小幅角柱の下端付近がスカート板によって覆われることになり、来訪者の足が屋台の前方側に位置する小幅角柱の下端箇所に引っかかることなく、躓くことを防止でき、同時に屋台が倒れてしまうことも防止できる。
【0022】
縦置きX柱体は、大幅角柱と小幅角柱からなり、特に大幅角柱を使用しているので、大幅角柱と小幅角柱とを拡開してX字状にしたときに、前記大幅角柱に全体の強度を向上させることができる。また、大幅角柱と小幅角柱とは一直線状に折り畳んだときには長手方向に直交する断面がL字状であり、2個の縦置きX柱体を小幅角柱同士が対向かつ一方を断面L字状とし、他方を逆L字状として組み合わせることでコンパクトに収めることができ、持ち運びが楽になるという利点が存在する。
【0023】
以上述べたように、本発明は、縦置きX柱体を横置き状態でX字状にした状態を維持しつつ、天幕及び天板体を縦置きX柱体に取り付けることができることにある。つまり、従来ではX字状に拡開できる支柱を有する屋台の組立は、一人が支柱のX字状を保持しつつ、もう一人が天幕や天板を取り付けるという少なくとも二人による組立作業であったが、本発明では、縦置きX柱体を横置き状態でX字状に固定できる。そのために、横置きゆえの低い位置で天幕を縦置きX柱体に取り付けることができ、天板体も取り付けることが可能であり、これらの作業を一人でできることが本発明の最も優れた効果である。
【0024】
請求項2の発明では、縦置きX柱体を所定のX字状に維持するための固定構造を、大幅角柱の固定孔と、小幅角柱の固定孔と、両固定孔に挿入する軸状の固定具のみから構成でき、極めて簡単な構成にすることができる。請求項3の発明では、大幅角柱を小幅角柱よりも長手方向に直交する幅方向を極めて大きくしたもので、従来の小幅角柱と同等の角柱のみからなるものに対して力学的強度及び安定性に優れた屋台にすることができる。請求項4の発明では、縦置きX柱体をX字状に立置きさせたときに、枢支部の下方に固定箇所が存在することとなり、屋台の使用時における両縦置きX柱体の安定性をさらに向上させることができる。
【0025】
請求項5の発明では、スカート板の小幅角柱への取付はネジ軸部に手回し自在のツマミ部を設けた取付ネジ材としたことにより、本発明の屋台は、工具を一切使用しないで組み立てることができる。請求項6の発明では、両縦置きX柱体の後方側上端箇所には後方垂れ幕が備えられることにより、屋台で食品類の販売提供を行うことができる。
【0026】
請求項7の発明では、枢支部には枢支連結具が備わり、該枢支連結具は頭部が扁平状の低頭ボルトが使用されることにより、縦置きX柱体からの突起物を極めて小さくでき、折り畳み状態にした複数の縦置きX柱体を束ね易く搬送のときにも作業員が引っかかり難いものにでき、安全に搬送することができる。また、縦置きX柱体が折り畳まれた状態では、前述したように低頭ボルトを使用しているので、突起物を最小限に抑え、多数の縦置きX柱体同士が束ねられた状態で突起部分で干渉することなく、ワゴン車に多数(30個以上)積みこむことができる。
【0027】
その他の効果として、縦置きX柱体のX字状のときの上下方向における交差角度を小さくすることで、天井部分つまり天幕部分を高くすることができ、店舗前にポップ等を掲示しても、販売者の顔が良くみえる。また店舗内が明るいものにできる。また、屋台の奥行きを小さくしてコンパクトな屋台にできる等の効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】(A)は本発明の屋台の斜視図、(B)はスカート板によって連結された2個の縦置きX柱体が横置きされた斜視図、(C)は2個の横置き状態の縦置きX柱体に天幕が取り付けられた斜視図である。
図2】(A)乃至(E) は本発明の屋台を組み立てる工程図である。
図3】(A)は縦置きX柱体を横置き状態とした斜視図、(B)は(A)の(α)部拡大図、(C)は(A)の(α)において大幅角柱,小幅角柱及び枢支連結具を分離した斜視図、(D)は縦置きX柱体の大幅角柱と小幅角柱を分離した状態の枢支連結部箇所付近における側面図、(E)は縦置きX柱体の大幅角柱と小幅角柱を枢支連結具にて連結した枢支連結部箇所付近における側面図、(F)は(E)のY1-Y1矢視拡大断面図である。
図4】(A)は縦置きX柱体を横置き状態でX字状に拡開した斜視図、(B)は(A)の(β)部拡大図、(C)は(A)の(α)において大幅角柱,小幅角柱に固定具を介して固定しようとする斜視図、(D)は縦置きX柱体の大幅角柱と小幅角柱を拡開してX字状として大幅角柱と小幅角柱との固定孔同士を一致させた状態の枢支連結部箇所付近における側面図、(E)は(D)のY2-Y2矢視拡大断面図である。
図5】(A)は2個の縦置きX柱体を平行に横置きした状態の平面図、(B)は2個縦置きX柱体を平行に横置きしスカート板を取り付けようとする一部断面とした正面拡大図、(C) は2個の縦置きX柱体を平行に横置きした状態の平面図、(D)は取付ネジ材の拡大斜視図である。
図6】(A)は横置き状態の縦置きX柱体に天幕を取り付けようとする要部斜視図、(B)は縦置きX柱体に天板体を取り付けようとする要部斜視図、(C)は本発明の屋台に後方垂れ幕を装着した斜視図、(D)は本発明の屋台に後方垂れ幕を装着した側面図である。
図7】(A)は従来の屋台のX字状に拡開する支柱の斜視図、(B)は(A)の(γ)部拡大図、(C)は支柱を拡開してX字とした要部側面図、(D)は支柱を拡開してX字とし天板を取り付けることによって支柱を固定する構成を示す要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。まず、本発明における屋台は、縦置きX柱体A,Aと、スカート板5と、天幕61と、天板体7及び取付ネジ材8とを備えたものである。図1(A)は、本発明の屋台の斜視図であり、図2(B),(C)は本発明の屋台を組み立てる過程において横置き状態とした斜視図である。縦置きX柱体Aは、1台の屋台において2個が必要であり、2個の縦置きX柱体A,Aが揃って一組をなしている〔図1(A),図5等参照〕。
【0030】
本発明の屋台は、組立過程において、縦置きX柱体Aは最初は横置き状態から開始され、屋台の組立が略完成に至る直前で横置き状態から反転させて使用できる台とするものである。反転とは横置き状態から略90度回転させて、横置き状態の縦置きX柱体Aと共に屋台を起き上がらせることである〔図1図2(C),(D)参照〕。
【0031】
縦置きX柱体Aは大幅角柱1と、小幅角柱2と、枢支連結具3及び固定具4によって構成されている。大幅角柱1と小幅角柱2とは長尺で、同等長さである。縦置きX柱体Aにおける大幅角柱1と小幅角柱2とは、それぞれの長手方向の中間位置同士で枢支連結具3によって連結されており、該枢支連結具3によって枢支連結された箇所を縦置きX柱体Aの枢支部Pと称する。
【0032】
枢支部Pは、枢支連結具3と、後述する枢支孔11及び枢支孔21とから構成される。そして、並列状に隣接した大幅角柱1と小幅角柱2とが折り畳み状態の略一直線の状態〔図3(A)参照〕から前記枢支部Pを回動中心として大幅角柱1と小幅角柱2とを回動させ、交差状に拡開し、大幅角柱1と小幅角柱2との前記枢支部P付近に固定具4を取り付けることで屋台の柱となるX字状の縦置きX柱体Aが出来上がる〔図1図4(A)参照〕。縦置きX柱体Aは、X字状に構成された状態とされたときが屋台の主柱として使用できるものである。
【0033】
2個一組の縦置きX柱体A,Aは、所定間隔をおいて左右対称に配置される。具体的には両縦置きX柱体A,Aにおいて、それぞれの大幅角柱1,1は屋台の外方側に位置し、それぞれの小幅角柱2,2は屋台の内方側に位置するように配置されるものである〔図1(A),図5(A),(B)等参照〕。つまり、屋台を前方側より見て左側の縦置きX柱体Aは、大幅角柱1が左に位置し、小幅角柱2が右に位置する。
【0034】
また、屋台を前方側より見て右側の縦置きX柱体Aは、大幅角柱1が右側に位置し、小幅角柱2が左側に位置する〔図1(A)参照〕。図3及び図4に示された縦置きX柱体Aは、屋台を前方側より見て左側のものである。なお、屋台の前方側とは、主に訪問客が立つ側であり、屋台の後方側とは店員である催し物参加者が立つ側である。
【0035】
図5(A)は、2個の縦置きX柱体A,Aが所定間隔をおいて平行に横置きされた平面図である。また、図5(B)は、2個の縦置きX柱体A,Aが所定間隔をおいて平行に横置きされた正面図で、一部断面としている。これらの図によって、2個の縦置きX柱体A,Aが左右対称に配置されることが示されている。
【0036】
それぞれの縦置きX柱体Aにおける大幅角柱1及び小幅角柱2は、共に同等長さの長尺の木製の角材であり、その長尺の方向を長手方向とし、この長手方向に直交する断面の形状は長方形である。長手方向については主要な図に示されている。大幅角柱1における前記断面は符号を付して長辺1a及び短辺1bとする。また、同様に、小幅角柱2における前記断面は符号を付して長辺2a及び短辺2bとする。
【0037】
大幅角柱1と小幅角柱2における短辺1bと短辺2bの寸法は同等であり、長辺1aと長辺2aの寸法については大幅角柱1が小幅角柱2よりも大きい。具体的な寸法を示すと、大幅角柱1は、前記断面の短辺1bと長辺1aとは約30mm×約90mmの角材であり、小幅角柱2の前記断面の短辺2bと長辺2aとは、約30mm×約40mmの角材である。また、大幅角柱1と小幅角柱2の長手方向の長さは、約2430mmである。このような、サイズのものによって、本発明の屋台の奥行寸法は、約1260mm程度となる。
【0038】
以上の数値は、一例として示したものであり、上記数値に限定されるものではなく、屋台の規模に応じて適宜変更してもかまわない。本発明では、縦置きX柱体Aにおける大幅角柱1の長手方向に直交する断面の長辺1aと、小幅角柱2の長手方向に直交する断面の長辺2aについては、大幅角柱1の長辺1aが小幅角柱2の長辺2aのおよそ2倍以上の寸法とすることが好適である。
【0039】
また、小幅角柱2は、断面が長方形であるとしたが、略正方形状としても構わない。ここで、本発明の説明において、大幅角柱1の長辺1a及び短辺1bは、それぞれの辺に対応する長手方向に沿った側面も含まれるものとする。同様に、小幅角柱2の長辺2a及び短辺2bは、それぞれの辺に対応する長手方向に沿った側面も含まれるものとする。そして、大幅角柱1及び小幅角柱2のそれぞれの長辺1a,長辺2aに沿う方向を大幅角柱1及び小幅角柱2における幅方向とする。また、大幅角柱1及び小幅角柱2のそれぞれの短辺1b,短辺2bに沿う方向を大幅角柱1及び小幅角柱2における厚さ方向とする。
【0040】
前述したように、縦置きX柱体Aは、1つの屋台で2個必要である。それぞれの縦置きX柱体Aは、一個の大幅角柱1と一個の小幅角柱2とがその長手方向の中間箇所で枢支連結具3を介して枢支連結されており、その枢支連結箇所を枢支部Pと称する〔図3(A),(B),図4(A),(B)等参照〕。
【0041】
なお、枢支部Pは、大幅角柱1及び小幅角柱2の長手方向の中間箇所としているが、大幅角柱1及び小幅角柱2ともに長手方向の中心よりも僅かにそれぞれの下端よりの位置に設定されることもある。これによって、縦置きX柱体Aは、枢支部Pを中心にしてX字状に拡開したときには、横幅方向が縦方向の約半分程度となる幅狭い縦置きX柱体Aにできる。
【0042】
したがって、大幅角柱1と小幅角柱2のそれぞれの下端の間隔寸法よりもそれぞれの上端の間隔寸法が僅かに広くなり、上端側に取り付けられる後述する天幕61の面積も広く取得できる〔図1(A)参照〕。本発明では、大幅角柱1及び小幅角柱2のそれぞれの長手方向の中心よりも僅かに離れた位置も長手方向中間箇所の範囲に含まれるものとする。
【0043】
縦置きX柱体Aは、大幅角柱1と小幅角柱2とが並列状の一直線とした折り畳み状態から、態前記枢支部Pを回動中心とし、相互に回動して拡開されることによってX字状態となる〔図3(A),図4(A)参照〕。さらに、縦置きX柱体AがX字状に拡開した状態で、大幅角柱1と小幅角柱2とが固定具4を取り付けることによって相互に不動となるように固定される構造となっている。縦置きX柱体Aを拡開してX字状で固定する手段については後述する。
【0044】
まず、大幅角柱1には、その長手方向中間箇所で且つ対向する長辺1a,1a間つまりその厚さ方向にわたって貫通する枢支孔11が形成されている〔図3(C),(D)参照〕。同様に、小幅角柱2には、その長手方向中間箇所で且つ対向する長辺2a,2a間つまりその厚さ方向にわたって貫通する枢支孔21が形成されている〔図3(C),(D)参照〕。
【0045】
縦置きX柱体Aにおける枢支部Pについて理解し易くするため、大幅角柱1及び小幅角柱2を折り畳み状態で且つ横置きした状態で説明する〔図3(A)参照〕。横置き状態において、大幅角柱1と小幅角柱2とは並列状に隣接させてそれぞれの直線方向が水平状に揃うようにして、大幅角柱1と小幅角柱2との長手方向に直交する断面形状が略L字状を構成するように配置する〔図3(B),(F),図5(B),(C)参照〕。同様に、もう一つの縦置きX柱体Aでは、大幅角柱1と小幅角柱2との長手方向に直交する断面形状が略逆L字状を構成するように配置する〔図5(B),(C)参照〕。
【0046】
そして、この状態で大幅角柱1と小幅角柱2とが、その長手方向の中間箇所同士が枢支連結具3によって枢支連結連され枢支部Pが縦置きX柱体Aに設けられる。枢支連結具3の具体例として、ボルト材31とナット材32とにより構成される〔図3(C)参照〕。ボルト材31及びナット材32は、低頭ボルト及び低頭ナットが使用されることが好適であり、つまり頭部が扁平皿形状としたものである。
【0047】
ボルト材31及びナット材32に低頭ボルト及び低頭ナットを使用することで、屋台を分解(解体)して、所定の場所に搬送する際に、多数の縦置きX柱体A,A,…同士が束ねられたときに、枢支連結具3によって大きな突起物が生じることを防ぎ、自動車の荷台に、多くの縦置きX柱体Aを搬送することができる。なお、ボルト材31及びナット材32を、低頭ボルト及び低頭ナットとした場合については、これらをジョイントコネクターボルト及びジョイントコネクターナットと称されるものを使用しても構わない。
【0048】
ボルト材31は、頭部31aが略扁平皿形状であり、その中心に六角レンチ用の六角穴が形成されている。該頭部31aの裏面側にネジ軸部31bが形成されている〔図3(C),(F)参照〕。ボルト材31のネジ軸部31bの長さは、縦置きX柱体Aにおける隣接状態で相互に対向する短辺1b,短辺2b同士が当接する状態とした大幅角柱1と小幅角柱2の厚さ方向の総合寸法と略同等又は僅かにネジ軸部31bの長さ寸法を大きくしている。ナット材32の管状部32bの長さは、適宜設定されるもので、通常市販されている低頭ナットの規格に従うもので構わない。
【0049】
大幅角柱1の長手方向中間(略中間も含む)箇所の位置には、枢支孔11が形成されており、同様に小幅角柱2の長手方向中間(略中間も含む)箇所の位置には、枢支孔21が形成されている〔図3(C),(D)参照〕。大幅角柱1の枢支孔11と、小幅角柱2の枢支孔21とは同等直径である。そして、大幅角柱1と小幅角柱2とを並列隣接させた状態で、且つ両者の長手方向に直交する断面をL字状に設置した状態において、長辺1a及び長辺2aの下端すなわち下面に位置する短辺1bと短辺2bとを同等位置に揃えたときに、枢支孔11と枢支孔21とは直径中心は同等高さとする〔図3(F)参照〕。
【0050】
大幅角柱1の枢支孔11及び小幅角柱2の枢支孔21は、前記ナット材32の管状部32bが挿入される程度の内径を有しており、共にボルト材31のネジ軸部31bが遊挿できることは当然である〔図3(D)参照〕。大幅角柱1の枢支孔11と、小幅角柱2の枢支孔21は、縦置きX柱体Aの枢支部Pを、枢支連結具3と共に構成する。
【0051】
そして、大幅角柱1の枢支孔11又は小幅角柱2の枢支孔21の何れか一方側にナット材32の管状部32bが挿入され、他方側からボルト材31のネジ軸部31bが遊挿され、ボルト材31のネジ軸部31bと、ナット材32の管状部32bの内ネジとが螺合し、ボルト材31とナット材32とが連結される。そして、ボルト材31の頭部31aと、ナット材32の頭部32aとが、大幅角柱1と小幅角柱2との厚さ方向に沿って互いに離間する側における長辺1aの側面と、長辺2aの側面とを挟持する状態となり、大幅角柱1と小幅角柱2とが枢支連結される〔図3(F)参照〕。
【0052】
これによって、大幅角柱1と小幅角柱2とが並列状態の一直線の折り畳み状態〔図3(A)参照〕と、枢支部Pを回動中心として拡開しX字状態〔図4(A)参照〕となることを自由に行うことができる。また、必要に応じて枢支連結具3には、座金33を加えて、大幅角柱1と小幅角柱2の長辺1a,長辺2a同士を挟持する構成としてもよい〔図3(C)参照〕。
【0053】
次に、縦置きX柱体Aの大幅角柱1には固定孔12が形成され、小幅角柱2には固定孔22が形成されている。大幅角柱1の固定孔12及び小幅角柱2の固定孔22は、それぞれの枢支部Pの付近に形成される。つまり、大幅角柱1の固定孔12は、枢支孔11の付近に形成され、小幅角柱2の固定孔22は、枢支孔21の付近に形成される。
【0054】
大幅角柱1の固定孔12及び小幅角柱2の固定孔22は、枢支部Pの位置から等距離の位置に形成される。小幅角柱2の枢支孔21と固定孔22とは、長手方向に沿って所定の間隔をおいて形成されている。枢支孔21の直径中心と、固定孔22の直径中心とを結ぶ線分は、小幅角柱2の長辺2aにおける長手方向に沿う中心線T2上に形成される〔図3(D)参照〕。
【0055】
したがって、横置き状態の小幅角柱2において、下方側短辺2bからの固定孔22と枢支孔21との高さは同等である〔図3(D)参照〕。大幅角柱1の固定孔12は、横置き状態とした大幅角柱1の長辺1aの上端付近に形成される。つまり、大幅角柱1の幅方向で且つ長手方向に沿う中心線T1よりも上方の位置に固定孔12が形成される〔図3(D)参照〕。
【0056】
大幅角柱1の枢支孔11の直径中心と、固定孔12の直径中心との距離L1は、小幅角柱2の枢支孔21の直径中心と、固定孔22の直径中心との距離L2と同等である。
つまり、L1=L2である。
【0057】
そして、距離L1と距離L2とが等しいことにより、大幅角柱1と小幅角柱2とを枢支部Pを回動中心として拡開する過程で、大幅角柱1の固定孔12と、小幅角柱2の固定孔22との位置が一致する状態が存在する〔図4(C),(D)参照〕。
【0058】
さらに、大幅角柱1の固定孔12の位置と、小幅角柱2の固定孔22の位置とは、大幅角柱1と小幅角柱2とが枢支部Pを回動中心としてX字状に拡開したときに、大幅角柱1と小幅角柱2とが交わり重合状態となる範囲内であることが必要である。つまり、大幅角柱1と小幅角柱2とがX字状となったときに、固定孔12と固定孔22とが一致して重なる状態になることが必要である〔図4(C),(D),(E)参照〕。大幅角柱1の固定孔12と、小幅角柱2の固定孔22との位置が一致して軸状の固定具4を固定孔12と固定孔22に挿入できるときが適正な屋台の主柱として使用できるX字状となるときである。
【0059】
また、横置き状態の大幅角柱1の下端側の短辺1bと枢支孔11との距離H1とし、小幅角柱2の下端側の短辺2bと枢支孔21との距離H2とすると、距離H1と距離H2とは同等である。
つまりH1=H2である。
【0060】
そして、前述したように距離H2は、小幅角柱2の長辺2aの長手方向に沿う中心線T2の下端側の短辺2bからの距離に等しいものである。よって、横置き状態の大幅角柱1の枢支孔11の位置は、小幅角柱2の中心線T2と同等位置に存在することになる。
【0061】
縦置きX柱体Aの大幅角柱1において、枢支孔11と固定孔12との位置関係を説明する。大幅角柱1の固定孔12の位置は、縦置きX柱体AをX字状とするときの大幅角柱1と小幅角柱2との交差する角度θを決定するものである。この角度θは、縦置きX柱体Aを、屋台を設置したときの使用状態、つまり立置きした状態で大幅角柱1と小幅角柱2との両上端側同士又は両下端側同士における角度となる〔図2(D),(E)参照〕。
【0062】
角度θは、次に示すようにして設定される。まず、大幅角柱1の枢支孔11の直径中心を起点として大幅角柱1の長辺1aの長手方向に沿う仮想直線q1を設定する。該仮想直線q1は、大幅角柱1の長手方向に沿う中心線T1に平行である。次に、枢支孔11の直径中心と、固定孔12の直径中心とを結ぶ仮想直線q2を設定する。そして、前記仮想直線q1と前記仮想直線q2とのなす角度をθとする〔図3(D)参照〕。なお、前記仮想直線q1は、大幅角柱1と小幅角柱2とを並列の一直線状態で横置き状態としたときに小幅角柱2の中心線T2と平行且つ線方向が水平状にて一致する。
【0063】
この角度θは、前述したように縦置きX柱体Aを、屋台を設置したときの使用状態、つまり立置きした状態で大幅角柱1と小幅角柱2との両上端側同士又は両下端側同士における角度を決定するものである〔図2(D),(E)参照〕。この角度θは約60度乃至約70度が好ましく、特に約65度が好適であり、これによってX字状とした縦置きX柱体Aの形状及びバランスが最適となる。
【0064】
前述したように、並列且つ一直線状にした大幅角柱1と小幅角柱2において、小幅角柱2の長辺2aの長手方向に沿う中心線T2は枢支部Pを通過するように設定されている。したがって、大幅角柱1の断面において枢支部Pの位置は長辺1aの幅方向において大幅角柱1の中心線T1の位置よりも下方で且つ前記小幅角柱2の中心線T2と一致する位置となる。
【0065】
そして、大幅角柱1と小幅角柱2とを枢支部Pを回動中心として回動させ、X字状に拡開されることで、大幅角柱1の固定孔12の位置と、小幅角柱2の固定孔22との位置とが一致し、固定孔12,固定孔22に棒状軸部材とした固定具4が挿入可能な状態となる〔図4(C)参照〕。そして、固定孔12と固定孔22に固定具4を挿入することにより、大幅角柱1と小幅角柱2とはX字状に交差した状態で固定され、縦置きX柱体Aは屋台の主柱として使用できる状態となる。
【0066】
固定具4は、断面円形状の軸状の部材であり、その直径は、固定孔12及び固定孔12の直径(内径と称してもよい)よりも小さいものとし、固定具4の固定孔12及び固定孔22への挿入を容易にできるようにしている。好ましくは固定孔12お固定孔22の直径(内径と称してもよい)よりも僅かに小さい程度のものがよく、挿入するときに多少の力を要しても、抜け難いものとすることが好ましい。
【0067】
軸状とした固定具4の軸長方向の長さは、大幅角柱1と小幅角柱2における短辺1bと短辺2bとの厚さ方向における総和よりも長い寸法に設定される。具体的には、固定具4の長さ寸法は、連続状に隣接する固定孔12と固定孔22に対して固定具4を挿入し易く、また外し易い程度の突出部分を有することが好ましい〔図4(B),(C),(E)参照〕。
【0068】
なお、固定具4は、大幅角柱1の固定孔12側、また小幅角柱2の固定孔22側の何れから挿入且つ外しても構わない。そして、両縦置きX柱体A,AがX字状に固定された状態で横置きされることで、2個の縦置きX柱体A,Aは、高さが低い状態であるため天幕61を取り付ける作業を行い易くすることができるし、両縦置きX柱体A,Aを横置き状態のまま、天板体7を両縦置きX柱体A,Aに取り付ける場合であっても簡単にできる。
【0069】
これによって、縦置きX柱体Aを一直線状にして長手方向を平坦な地面又は床面に設置したときに、小幅角柱2の短辺が地面に接触するようにすれば、縦置きX柱体Aの断面はL字状となり、安定した状態で地面に置いておくことができる。大幅角柱1には、前記枢支部Pの位置の付近に、固定孔12が形成されており、同様に小幅角柱2にも、枢支部Pの付近に固定孔12が形成されている。大幅角柱1の固定孔12と、小幅角柱2の固定孔12とは、枢支部Pを回動中心としてX字状に拡開したときに、一致するように構成されている。
【0070】
両縦置きX柱体A,Aの両小幅角柱2,2の長手方向下端側には、スカート板5が取り付けられる。したがって、小幅角柱2の長手方向下端側には、スカート板5を取り付けるため取付ネジ材8のネジ穴23所定間隔をおいて複数形成されている。一つの小幅角柱2には、通常2個のネジ穴23が形成される〔図3(A),図5参照〕。該ネジ穴23は、穴の内周側に内ネジが形成されたものであり、取付ネジ材8のネジ軸部81と螺合する〔図5(B)参照〕。
【0071】
スカート板5は、両縦置きX柱体A,Aの屋台前方側且つ下方に位置する両小幅角柱2,2に取り付けられる。スカート板5は長方形であり、複数の木製の平板材にて形成されたり、或いは長方形の単一板として形成される。スカート板5は、屋台の前方側の下方箇所を覆い隠す役目〔図1(A)参照〕と共に、平行に配置された両縦置きX柱体A,Aの間隔を決定する役目もなす〔図5(A)乃至(C)参照〕。
【0072】
スカート板5は、その4隅箇所に取付孔51,51,…が形成され、スカート板5が平行に配置された両縦置きX柱体A,Aの両小幅角柱2,2の下端位置に配置され、小幅角柱2のネジ穴23とスカート板5の取付孔51の位置を合わせて、取付ネジ材8によってスカート板5が両小幅角柱2,2の下端側に固着される〔図5(A)乃至(C)参照〕。スカート板5は、屋台の両縦置きX柱体A,Aの下方側で前方側に突出する両小幅角柱2,2の下方に取り付けられ、スカート板5の下端辺は両小幅角柱2,2の下端に近接する状態となっている〔図1(A),図2(D),(C)参照〕。
【0073】
つまり、スカート板5の下端辺は屋台が設置される地面に極めて近い位置となっており、両小幅角柱2,2の下端箇所がスカート板5にて覆われ、ほとんど前方側に露出しないようにしている。このようにすることによって、訪問客は歩行時に足が小幅角柱2の下端箇所に引っかかり、訪問客が転んだり或いは屋台が倒れてしまうことを防止できるようになっている。
【0074】
そして、取付ネジ材8は、ネジ軸部81に比較的厚みを有するツマミ部82が設けられている〔図5(D)参照〕。該ツマミ部82の外周は、凹凸が形成された円周側面となっており、作業員はツマミ部82を手の指先でもって手回しすることができるようになっている。これにより、屋台の組立において、両小幅角柱2,2の下端箇所にスカート板5を取り付ける作業において、取付ネジ材8は、ネジ軸部81をスカート板5の取付孔51と、小幅角柱2のネジ穴23に挿入且つ螺合させるときに、作業員は取付ネジ材8を、ツマミ部82を手で回転させることができ、工具を一切使用しないで、両小幅角柱2,2の下端箇所にスカート板5を固着することができる。
【0075】
天幕61は、シート部61aと取付竿部61bとを有し長方形状のシート部61aの前後方向両側に取付竿部61b,61bが設けられている。取付竿部61bは断面が円形状の棒状材であり、シート部61aの長方形の前後両端部が取付竿部61bに巻き付けられるようにしてシート部61aの端部が縫製されて取付竿部61bに取り付けられている。
【0076】
また、シート部61aの取付竿部61bに巻き付けられホック,リベット等の固着具にてシート部61aが取付竿部61bに取り付けられることもある。また、ホックを使用したシート部61aの場合では、シート部61aと取付竿部61bとは相互に分離することができ、シート部61aのみを清掃できるし、雨で濡れた場合でもシート部61aを乾かし、衛生的にも清潔な状態を維持できる。
【0077】
また、縦置きX柱体A,Aの大幅角柱1と小幅角柱2のそれぞれの上端箇所には、天幕取付孔14及び天幕取付孔24が形成されている。屋台において両縦置きX柱体A,Aの両大幅角柱1,1のそれぞれの上端箇所は前方側に突出し、両小幅角柱2,2の上端箇所は後方側に突出する。
【0078】
そして、両縦置きX柱体A,Aの両大幅角柱1,1の上端箇所の天幕取付孔14,14に天幕61の前方側の取付竿部61bの軸方向両端を挿入され、両小幅角柱2,2の上端箇所の天幕取付孔24,24に天幕61の後方側の取付竿部61bの軸方向両端が挿入され、これによって、両縦置きX柱体A,Aの上端箇所に天幕61を装着される。
【0079】
図6(A)は、縦置きX柱体AをX字状とした状態で横置き状態とし、上方に大幅角柱1の上端箇所が位置し、下方に小幅角柱2の上端箇所が位置している。そして、上方側の大幅角柱1の上端箇所の天幕取付孔14に天幕61の前方側の取付竿部61bの軸端が挿入されようとする状態であり、下方側の小幅角柱2の上端箇所の天幕取付孔24に天幕61の後方側の取付竿部61bの軸端が挿入されようとする状態を示している。
【0080】
また、屋台において、前記天幕61と共に、両縦置きX柱体A,Aの後方側上端箇所から屋台の下方に向かって後方垂れ幕62が設けられることもある〔図6(C),(D)参照〕。該後方垂れ幕62は、垂れシート部62aの上端に取付竿部62bが装着されたものである。後方垂れ幕62は、屋台で食品を扱う場合に必要とされるものである。後方垂れ幕62は、垂れシート部62aの上端の取付竿部62bが天幕61の後方側の取付竿部61bに種々の手段にて取り付けられる。
【0081】
この手段としては、天幕61の取付竿部61bに後方垂れ幕62の取付竿部62bをゴム輪や紐等を使用して取り付けるものである。或いは両縦置きX柱体A,Aの両小幅角柱2,2の上端に天幕取付孔24と同様の貫通孔を形成し、該貫通孔に後方垂れ幕62の取付竿部62bの軸方向両端箇所を挿入して両縦置きX柱体A,Aに後方垂れ幕62を取り付けることも可能である。
【0082】
次に、天板体7は、天板部71と、腕状フレーム部72とから構成され、全体が木製である〔図1(A),図6(B)参照〕。天板部71は長方形の部材であり、複数枚の木製の板材から構成されたり、1枚の単板から構成される。本発明では、天板部71は、3枚の板材によって構成されている。天板部71の横幅方向は、屋台の両縦置きX柱体A,Aにおける内方側に位置する両小幅角柱2,2の対向する内側の長辺2a,2aの間隔寸法に略同等又は僅かに小さく設定される。
【0083】
天板部71の横幅方向両側には腕状フレーム部72,72が配置されている。両該腕状フレーム部72,72は、天板部71の下面側で且つ縦幅方向において後方側に向かって突出するように形成されている。両腕状フレーム部72,72には天板貫通孔73が形成されており、それぞれの腕状フレーム部72に腕状フレーム部72の長手方向に沿って所定間隔をおいて、前記天板貫通孔73が2個形成されている。また、縦置きX柱体Aの大幅角柱1の枢支部Pよりも下方となる位置に天板取付貫通孔15が形成され、小幅角柱2の枢支部Pよりも下方となる位置に天板取付貫通孔25が形成されている。
【0084】
屋台の立置き状態にある縦置きX柱体A,Aの天板取付貫通孔15と天板取付貫通孔25とは、屋台が設置される平坦状の地面からの高さが同一高さとなるように設定される〔図2(D)参照〕。天板取付具9は、軸状部材で前記固定具4と同一直径且つ同一長さである。つまり、天板取付具9は前記固定具4と形状が同一のものであり、共用できるものである。
【0085】
そして、縦置きX柱体Aの使用できる状態としたX字状の立置き状態において天板取付貫通孔15と天板取付貫通孔25とは同一高さであるため、両縦置きX柱体A,Aに取り付けられる天板体7の天板部71は水平面にすることができる〔図1(A),図2(E)参照〕。天板体7の天板部71の前端は、屋台の前方側において、下方で突出する小幅角柱2,2の下端よりも前方に突出するように構成されており、この突出する量は、約20cm程度である。このような構成と、前記スカート板5の下端が両小幅角柱2,2の下端付近に位置していることで、訪問客の足が両小幅角柱2,2に引っかかり難くなり、相互に安全を図ることができる。
【0086】
次に、本発明の屋台を組み立てる工程について説明する。まず、2個の縦置きX柱体A,Aを地面に横置きする〔図2(A),図5(D)参照〕。このとき、両縦置きX柱体A,Aは、所定間隔をおいて平行に配置すると共に、両縦置きX柱体A,Aは両小幅角柱2,2が内方を向くように左右対称に配置する〔図5(A),(B),(C)参照〕。
【0087】
次に、両縦置きX柱体A,Aの両小幅角柱2,2にスカート板5を取付ネジ材8にて取り付ける〔図5(B)参照〕。このとき、横置きされた平行な両縦置きX柱体A,Aは、両小幅角柱2,2が内方で且つ両大幅角柱1,1が外方となるように左右対称に配置されている〔図5(B)参照〕。そのため、両縦置きX柱体A,Aの長手方向に直交する断面がL字状及逆L字状であり、スカート板5は両小幅角柱2の長手方向下端箇所に配置するものであり、スカート板5の横幅方向両側は大幅角柱1,1にて囲まれる状態となり、スカート板5を両縦置きX柱体A,A間に配置し易い構造となる〔図5(B)参照〕。
【0088】
そして取付ネジ材8は、頭部がツマミ部82となっており〔図5(D)参照〕、取付ネジ材8を両小幅角柱2,2形成された複数のネジ穴23,23,…に対して手回しでねじ込むことができるものである〔図5(B),(C)参照〕。両縦置きX柱体A,Aにスカート板5を取付ネジ材8にて固着することで、両縦置きX柱体A,Aは平行状態でスカート板5を介して連結された構造となる〔図5(A)参照〕。
【0089】
そして、両縦置きX柱体A,Aを横置きの状態としたまま、大幅角柱1と小幅角柱2とを枢支部Pを中心にして回動して、拡開させ、大幅角柱1と小幅角柱2とを枢支部Pを中心とするX字状にし〔図2(B)参照〕、大幅角柱1の固定孔12と、小幅角柱2の固定孔22に軸状の固定具4を挿入し〔図4(D),(E)参照〕、縦置きX柱体AをX字状態の形状に維持するように固定する〔図1(B),図2(C),図4(A),(B)参照〕。
【0090】
次に、両縦置きX柱体A,Aの大幅角柱1と小幅角柱2の上端箇所に天幕61を取り付ける。そして、横置き状態の両縦置きX柱体A,Aを立置き状の立ち姿勢となるように反転させる。つまり、横置き状態とした縦置きX柱体A,Aを大幅角柱1,1の下端を回動中心として90度回転させて、図1(C)から図1(A)及び図2(C)に示すように、両縦置きX柱体A,Aを立置きになるように起こす。
【0091】
次に、両縦置きX柱体A,Aの両小幅角柱2,2間に天板体7の両腕状フレーム部72,72を挿入配置し、天板取付具9にて両縦置きX柱体A,Aに天板体7を取り付け、これによって屋台の組立完了し、屋台が完成する。また、必要に応じて屋台の両縦置きX柱体A,Aの後方側に後方垂れ幕9を取り付けてもよい。屋台を分解又は解体するときには、上記組立過程の反対の過程を経ればよい。
【0092】
つまり、両縦置きX柱体A,Aから天板体7を外したのち、両縦置きX柱体A,Aを横置き状態となるように倒し、両縦置きX柱体A,Aから天幕61を外し、両縦置きX柱体A,AをX字状から一直線状に折り畳み、両縦置きX柱体A,Aからスカート板5を外し、これで分解(解体)が完了する。
【0093】
本発明の構成の概略を以下に示す。長尺の大幅角柱1と、該大幅角柱2と同等長さの小幅角柱2とからなり、前記大幅角柱1と前記小幅角柱2との長手方向中間箇所同士にて枢支連結されて、この部分を枢支部Pとし、該枢支部P箇所付近に固定具4が止められて幅方向が縦方向の半分程度となる幅狭い縦置きX柱体Aとして構成され、組立段階にて平行且つ両前記小幅角柱2,2が内側に位置するようにして配置され、2個の両縦置きX柱体A,A間の両前記小幅角柱2,2にスカート板5が取付けられ、横置きされた両前記縦置きX柱体A,Aの中間箇所に天板体7が取り付けられ、両前記縦置きX柱体A,Aの上端間に天幕61が張り付けられ、この状態で反転されてなる屋台である。
【符号の説明】
【0094】
A…縦置きX柱体、1…大幅角柱、11…枢支孔、12…固定孔、1a…長辺、
1b…短辺、2…小幅角柱、21…枢支孔、22…固定孔、2a…長辺、2b…短辺、
4…固定具、3…枢支連結具、31…ボルト材、32…ナット材、P…枢支部、
5…スカート板、61…天幕、62…後方垂れ幕、7…天板体、8…取付ネジ材、
81…ネジ軸部、82…ツマミ部。
【要約】
【課題】一人で簡易且つ短時間に組立及び分解することができる屋台を提供すること。
【解決手段】長尺の大幅角柱1と、大幅角柱1と同等長さの小幅角柱2とからなり,この長手方向中間箇所にて枢支連結されて枢支部Pとし、枢支部P付近に固定具4が取り付けられて幅方向が縦方向の半分程度となる幅狭い縦置きX柱体Aが2つ備えられること。組立段階にて平行に横置きされた両縦置きX柱体A,Aの両小幅角柱2,2間にスカート板5が固定され、両縦置きX柱体A,Aの上端間に天幕61が張られ、この状態で反転された後に天板体7が取付けられてなること。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7