(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】ブラインド用操作装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/326 20060101AFI20240729BHJP
E06B 9/13 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
E06B9/326
E06B9/13 Z
(21)【出願番号】P 2020075453
(22)【出願日】2020-04-21
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100182349
【氏名又は名称】田村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 裕
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3213019(JP,U)
【文献】特開2001-336376(JP,A)
【文献】特開2016-199969(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0243402(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のボール部をコード部で連結して構成され、遮蔽材を開閉操作するためのボールチェーンと、
前記ボールチェーンに連結され、前記ボールチェーンの移動を規制可能なストッパと、
を備えたブラインド用操作装置であって、
前記ストッパには、
前記ボール部の少なくとも一部を
前記ボールチェーンの長さ方向から収容可能であり、収容された前記ボール部の離脱を規制する収容部と、
前記コード部を前記収容部に導入するためのスリットと、
を有することを特徴とする、ブラインド用操作装置。
【請求項2】
前記ストッパは、前記ボールチェーンに対して着脱自在であることを特徴とする、請求項1に記載のブラインド用操作装置。
【請求項3】
前記ストッパには、
前記ストッパに対して前記ボール部が前記ボールチェーンの長さ方向に相対移動することを規制する移動規制部と、
前記ボール部を前記ボールチェーンの長さ方向から前記収容部に挿入可能な挿入部と、
が設けられたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のブラインド用操作装置。
【請求項4】
前記ボールチェーンは、前記遮蔽材を開閉する動力を伝達するプーリに対して巻き掛けられており、
前記プーリには、前記ストッパと当接可能な複数の被当接部が設けられており、
前記ストッパには、少なくとも二箇所の前記被当接部と当接可能な当接部を設けたことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のブラインド用操作装置。
【請求項5】
前記ストッパは軸方向の長さが隣り合う前記ボール部間の長さよりも長く、前記収容部と前記ボール部の一部とが重複することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のブラインド用操作装置。
【請求項6】
前記ストッパは、上下に隣り合う2つの前記ボール部に対して移動が規制されることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のブラインド用操作装置。
【請求項7】
前記ボールチェーンの長さ方向に隣り合う2つの前記ボール部は、2つの前記ストッパの収容部にそれぞれ収容されており、2つの前記ストッパは、前記ボールチェーンの長さ方向において互いに当接されていることを特徴とする、請求項6に記載のブラインド用操作装置。
【請求項8】
前記ボールチェーンの長さ方向に隣り合う2つの前記ボール部のうち、上の前記ボール部は上の前記ストッパの収容部に収容されており、下の前記ボール部の上端に下の前記ストッパの外周が当接し、2つの前記ストッパは、前記ボールチェーンの長さ方向において互いに当接されていることを特徴とする、請求項6に記載のブラインド用操作装置。
【請求項9】
前記ストッパは、前記ボール部との間に緩衝部材を備えることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載のブラインド用操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインド用操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブラインド用操作装置としては、実登3213019号公報(特許文献1)に示されるものがある。同文献に開示されるブラインド用操作装置は、操作ボールチェーンに取り付けられたストッパは、操作ボールチェーンのうち互いに隣り合う2個のボール部が含まれる最小寸法よりも短い寸法とされている。
【0003】
これによれば、ストッパを小型化し外観上目立たなくすることができるという効果を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されるブラインド用操作装置は、ストッパは、操作ボールチェーンのボール部をストッパの側面の開口から押し込むことで、操作ボールチェーンに取り付けられるが、ストッパは被当接部に所定以上の衝撃で当接すると、ストッパにはボール部から押し出される方向の負荷がかかり、操作ボールチェーンから外れやすいという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、衝撃が掛かってもストッパがボールチェーンから外れることを防止することができるブラインド用操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明によれば、複数のボール部をコード部で連結して構成され、遮蔽材を開閉操作するためのボールチェーンと、前記ボールチェーンに連結され、前記ボールチェーンの移動を規制可能なストッパと、を備えたブラインド用操作装置であって、前記ストッパには、前記ボール部の少なくとも一部を収容可能であり、収容された前記ボール部の離脱を規制する収容部と、前記ボール部を前記ボールチェーンの長さ方向から前記収容部に収容するために前記コード部を前記収容部に導入するためのスリットと、を有することを特徴とする、ブラインド用操作装置が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、ストッパは、ボール部の離脱を規制する収容部にボール部を収容することによりボールチェーンに連結される。このため、ストッパが被当接部に当接した際に、ストッパに衝撃が掛かっても、ストッパがボールチェーンから外れることを防止できる。
【0009】
本発明は様々な応用が可能である。例えば、前記ストッパは、前記ボールチェーンに対して着脱自在であってもよい。かかる構成によれば、例えば、ストッパが破損したときなどはストッパを交換することができる。
【0010】
また、前記ストッパには、前記ボール部が前記ボールチェーンの長さ方向に移動することを規制する移動規制部と、前記ボール部を前記ボールチェーンの長さ方向から前記収容部に挿入可能な挿入部と、が設けられてもよい。かかる構成によれば、ボール部を挿入部から収容部に挿入するだけで、ストッパをボールチェーンに容易に取り付けることができる。
【0011】
また、前記ボールチェーンは、前記遮蔽材を開閉する動力を伝達するプーリに対して巻き掛けられており、前記プーリには、前記ストッパと当接可能な複数の被当接部が設けられており、前記ストッパには、少なくとも二箇所の前記被当接部と当接可能な当接部を設けてもよい。かかる構成によれば、ストッパと被当接部が当接した際の衝撃負荷が分散され、ストッパの破損防止及びストッパがプーリ内に入り込むことを防止できる。
【0012】
また、前記ストッパは軸方向の長さが隣り合う前記ボール部間の長さよりも長く、前記収容部と前記ボール部の一部とが重複してもよい。かかる構成によれば、ストッパがコード部方向にスライド移動しても、収容部とボール部の一部が連結されている状態を維持するため容易に外れることを防止できる。
【0013】
また、前記ストッパは、上下に隣り合う2つの前記ボール部に対して移動が規制されるようにしてもよい。かかる構成によれば、ストッパが被当接部に当接した際の衝撃が2つのボール部に分散されるため、ストッパの破損防止及びストッパがプーリ内に入り込むことを防止できる。また、ストッパにかかる衝撃負荷の大きさに応じて、ストッパの数を任意に変更することができる。
【0014】
また、前記ボールチェーンの長さ方向に隣り合う2つの前記ボール部は、2つの前記ストッパの収容部にそれぞれ収容されており、2つの前記ストッパは、前記ボールチェーンの長さ方向において互いに当接されていてもよい。かかる構成によれば、ストッパにかかる衝撃負荷の大きさに応じて、ストッパの数を任意に変更して、ストッパの破損及びボール部のずれを防止することができる。
【0015】
また、前記ボールチェーンの長さ方向に隣り合う2つの前記ボール部のうち、上の前記ボール部は上の前記ストッパの収容部に収容されており、下の前記ボール部の上端に下の前記ストッパの外周が当接し、2つの前記ストッパは、前記ボールチェーンの長さ方向において互いに当接されていてもよい。かかる構成によれば、ストッパにかかる衝撃を分散させつつ、ストッパが小型化されて意匠性が向上する。
【0016】
また、前記ストッパは、前記ボール部との間に緩衝部材を備えてもよい。かかる構成によれば、緩衝部材がストッパに加わる衝撃を緩和するため、ストッパの破損及びボール部のずれを防止できる。また、緩衝部材は、ストッパの外部や収容部内に設けることができるが、特に、緩衝部材を収容部内に設ける場合、緩衝部材が外側に露出せず、意匠性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、衝撃が掛かってもストッパがボールチェーンから外れることを防止することができるブラインド用操作装置が提供される。本発明のその他の効果については、後述する発明を実施するための形態においても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ロールスクリーン100の全体の構成を示す斜視図である。
【
図3】プーリ150付近の構成を示す正面図である。
【
図4】ストッパ170をボールチェーン160に装着する工程を示す斜視図であり、(a)は装着始めの状態を示す図であり、(b)は装着途中の状態を示す図であり、(c)は装着完了した状態を示す図である。
【
図5】ストッパ170が被当接部に当接した状態を示す側断面図である。
【
図6】ストッパ170が被当接部に当接した状態を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は被当接部付近の拡大図である。
【
図7】ロールスクリーン200の第2の実施形態を示す図であり、(a)は全体の構成を示す側断面図であり、(b)はストッパ付近を拡大した正面図である。
【
図8】ロールスクリーン300の第3の実施形態を示す図であり、(a)は全体の構成を示す側断面図であり、(b)はストッパ付近を拡大した正面図である。
【
図9】ロールスクリーン400の第4の実施形態を示す図であり、(a)は全体の構成を示す側断面図であり、(b)はストッパ付近を拡大した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
まず、本実施形態に係るブラインド用操作装置を実施したブラインドの全体構成について、
図1~
図3を参照しながら説明する。
図1は、ロールスクリーン100の全体の構成を示す斜視図であり、
図2は、ロールスクリーンの側断面図である。
図3は、プーリ150付近の構成を示す正面図である。なお以下では、ブラインドの一例としてロールスクリーンを説明するが、本発明は横型ブラインド、縦型ブラインド、プリーツスクリーン、ハニカムスクリーンなど、他のブラインドでも実施可能である。
【0021】
ロールスクリーン100は、
図1に示したように、図示していない窓枠や天井等にブラケット112を介して固定されるセットフレーム110と、セットフレーム110の両端に設けられたサイドブラケット120と、サイドブラケット120に回転可能に支持される巻取パイプ130と、巻取パイプ130に上端が連結され、巻取パイプ130に巻き取り及び巻き解かれるスクリーン(遮蔽材)140と、巻取パイプ130の一方の端部とサイドブラケット120の間に設けられ、巻取パイプ130に回転を伝達するプーリ150と、プーリ150を駆動するボールチェーン160と、ボールチェーン160の移動を規制可能なストッパ170と、を備えて構成される。なお、ボールチェーン160とストッパ170によって本実施形態の特徴的な構成であるブラインド用操作装置180が構成される。
【0022】
このように構成されるロールスクリーン100は、スクリーン140を昇降することにより、ロールスクリーン100を開閉するようにしたものである。すなわち、
図1及び
図2に示したように、ボールチェーン160を矢印a方向に操作することより、プーリ150を介して巻取パイプ130を回転させて、巻取パイプ130からスクリーン140を巻き解くことにより、スクリーン140を矢印bで示すように下降させる。一方、ボールチェーン160を矢印aの反対方向に操作することにより、巻取パイプ130を逆回転させて、巻取パイプ130によってスクリーン140を巻き取ることにより、スクリーン140を上昇させる。
【0023】
次に、本実施形態のロールスクリーン100の各構成について説明する。
【0024】
(セットフレーム110)
セットフレーム110は、ロールスクリーン100を窓枠や壁、天井などに取り付けるためのものである。セットフレーム110は、
図1に示したように、巻取パイプ130よりも若干長く構成されており、長さ方向の2か所に窓枠や壁、天井などに取り付けるためのブラケット112が設けられている。セットフレーム110の両端には、サイドブラケット120が設けられている。
【0025】
(サイドブラケット120)
サイドブラケット120は、巻取パイプ130の両端を回転可能に支持するものである。サイドブラケット120は、
図1に示したように、セットフレーム110の両端部に設けられており、セットフレーム110の前方にそれぞれ突出している。一方のサイドブラケット120は、巻取パイプ130の一端を回転可能に直接支持している。他方のサイドブラケット120は、後述するプーリ150を介して巻取パイプ130の他端を回転可能に支持している。
【0026】
(巻取パイプ130)
巻取パイプ130は、スクリーン140を巻取り及び巻解くことによってスクリーン140を開閉するものである。巻取パイプ130は、
図1に示したように、一方の端部がサイドブラケット120に回転可能に直接支持されている。また、巻取パイプ130の他方の端部がプーリ150を介して一方のサイドブラケット120に支持されている。巻取パイプ130はプーリ150から回転が伝達される。
【0027】
巻取パイプ130内には、上昇操作時における巻取速度を減速させるためのブレーキ装置(図示せず)を設けることができる。ブレーキ装置は、サイドブラケット120に固定されるとともに巻取パイプ130内を軸方向に延びるネジ軸と、ネジ軸に螺合するとともに巻取パイプ130内周面と係合した移動コマと、ネジ軸の端部に設けられるとともに移動コマと係合することで作動可能なブレーキと、から構成される。
【0028】
ボールチェーン160の操作によって、巻取パイプ130がスクリーン140の上昇方向に回転すると、移動コマがネジ軸上をブレーキ方向に移動する。スクリーン140が上限位置近くまで巻取られると、移動コマがブレーキに係合してブレーキが作動し、ブレーキがボールチェーン160の操作に負荷を与えることで、スクリーン140の巻取速度が減速されるようになる。このようにして、スクリーン140の上限位置手前でボールチェーン160の操作速度を抑えることで、ストッパ170が後述するプーリ150の被当接部150a、150b、152aに当接したときの衝撃を軽減することができる。
【0029】
(スクリーン140)
スクリーン140は、
図1及び
図2に示したように、上端が巻取パイプ130に連結されており、巻取パイプ130の回転方向により、巻取パイプ130に巻き取られたり、巻き解かれたりする。スクリーン140の下端にはウエイトバー142が連結されている。
【0030】
(プーリ150)
プーリ150は、ボールチェーン160の操作に応じて巻取パイプ130に回転を伝達するものである。プーリ150は、
図1及び
図2に示したように、サイドブラケット120と巻取パイプ130の間に設けられている。プーリ150の外周にはボールチェーン160が巻き掛けられている。ボールチェーン160を操作することにより、プーリ150が回転するようになっており、プーリ150の回転が伝達されて巻取パイプ130が回転する。
【0031】
プーリ150には、
図1及び
図2に示したように、上部とサイドブラケット120側の端部を覆うカバー部152が設けられている。プーリ150の両側部とカバー部152の前後方向の端部には、
図3に示したように、ストッパ170の当接部170eが当接する左側被当接部150a、右側被当接部150b、上部被当接部152aが形成されている。
【0032】
(ボールチェーン160)
ボールチェーン160は、スクリーン140を開閉操作するためのものである。ボールチェーン160は、
図1及び
図2に示したように、複数のボール部162と複数のボール部162を連結するボール部162よりも小径のコード部164を備えて構成されている。ボールチェーン160は、両端部のボール部162が1つのコネクタ166に連結されて無端状に構成されている。コネクタ166は、一般的なものを用いることができる。また、ボールチェーン160は、両端部のボール部162を半円形状とし、両端部のボール部162同士を溶着によって連結することで無端状に構成することもできる。このように、無端状に構成されたボールチェーン160がプーリ150に巻き掛けられる。ボールチェーン160は、プーリ150の前後に位置するどちらか一方を引き下げることにより、プーリ150が回転される。
【0033】
(ストッパ170)
ストッパ170は、ボールチェーン160の移動を規制可能なものである。ストッパ170は、
図1に示したように、円筒状であり、コネクタ166を挟んでボールチェーン160の所定箇所(スクリーン140の上限位置及び下限位置のうち少なくとも一方まで昇降したときに被当接部に当接するボール部162の位置であり、
図1の例では前側と後側の両方)に設けられている。ストッパ170は、
図2に示したように、ボール部162の少なくとも一部を収容可能であり、収容されたボール部162の離脱を規制する収容部170aと、ボール部162をボールチェーン160の長さ方向から収容部170aに収容するためにコード部164を収容部170aに導入するためのスリット170bと、を有する。ストッパ170は、
図2に示したように、軸方向(ボールチェーン160の長さ方向)の長さL2がコード部164の長さL1よりも長く構成されている。
【0034】
ストッパ170は、ポリアセタール、ポリアミド(ナイロン)系の樹脂材料で構成することができる。ストッパ170は、加えられる衝撃力の大きさによって、ポリアセタールやポリアミド系などの固い材質の樹脂材料やそれ以外の柔らかい材質の材料を任意に使い分けることができる。
【0035】
収容部170aは、
図2(a)に示したように、円柱状の空間であって、ボール部162が嵌め合わされる大きさである。収容部170aは、ボール部162に対して移動を規制する移動規制部170cと、ボール部162が収容部170aに挿入可能な挿入部170dと、が設けられる。移動規制部170cは、収容部170aの軸方向の上端を覆うように形成された天井部分であり、ボール部162の上方への移動を規制する。移動規制部170cの中心にはコード部164が貫通する貫通孔170fが形成されている。
【0036】
スリット170bは、ボール部162をボールチェーン160の長さ方向から収容部170aに収容するためにコード部164を収容部170aに導入するためのものである。スリット170bは、
図2(b)に示したように、ストッパ170の側部の軸方向全長にわたって形成されている。スリット170bは、収容部170aと貫通孔170fに連通している。スリット170bは、コード部164の径とほぼ同じ大きさの幅で形成されている。このため、コード部164は、スリット170bを介して収容部170aに挿入されたり、導出したりすることが可能である。一方、ボール部162は、スリット170bを介しての収容部170aへの挿入及び導出が不可能になっている。
【0037】
移動規制部170cの上部は、
図2に示したように、当接部170eが形成されている。当接部170eは、プーリ150の左側被当接部150a、右側被当接部150b及びカバー部152の上部被当接部152aに当接可能である。また、移動規制部170cの貫通孔170fが形成されている部分は、ボールチェーン160のコード部164を直線状に案内するように軸方向に突出した案内部170gが形成されている。
【0038】
ストッパ170の挿入部170dは、
図2(a)に示したように、収容部170aの軸方向の下端が開放されて形成されている。挿入部170dから収容部170aにボール部162が挿入可能である。収容部170aは、
図3に示したように、ボール部162を完全に収容する。なお、本実施形態では、収容部170aはボール部162を完全に収容するように構成されているが、収容部170aはボール部162の一部を収容する構成としてもよい。
【0039】
以上、本実施形態のロールスクリーン100の構成について説明した。次に、本実施形態のストッパ170をボールチェーン160に装着する工程について、
図4を参照しつつ説明する。
図4は、ストッパ170をボールチェーン160に装着する工程を示す斜視図である。
【0040】
まず、
図4(a)に示したように、スリット170bをコード部164と対面させた状態で、挿入部170dがコード部164に近く、当接部170eがコード部164から遠くなるようにストッパ170を傾ける。そして、図中矢印cに示したように、ストッパ170をコード部164の方向に移動させる。
【0041】
次に、
図4(b)に示したように、挿入部170dを介して収容部170aにボール部162の上端を挿入しながらスリット170bを介してコード部164を収容部170aに導入する。そして、図中矢印dに示したように、ボール部162に沿ってストッパ170を引き下げる。
【0042】
ボール部162が移動規制部170cに当接するまでストッパ170を引き下げると、
図4(c)に示したように、ボール部162が収容部170a完全に収容されるとともに、コード部164が案内部170gに案内されて上方に導出される。このようにして、ストッパ170がボールチェーン160に取り付けられる。
【0043】
次に、ボールチェーン160を操作するときのストッパ170の作用について、
図5及び
図6を参照しつつ説明する。
図5は、ストッパ170が被当接部に当接した状態を示す側断面図である。
図6は、ストッパ170が被当接部に当接した状態を示す図である。
【0044】
スクリーン140を下降させる場合は、
図5の矢印eに示したように、後ろ側に配置されているボールチェーン160を引き下ろす。すると、
図5の矢印fに示したように、スクリーン140が下降していく。スクリーン140が最下限位置まで下降すると、ストッパ170の当接部170eが、
図6に示したように、左側被当接部150a、右側被当接部150b、上部被当接部152aに当接して、ボールチェーン160のそれ以上の操作が規制される。
【0045】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、ストッパ170は、ボール部162の離脱を規制する収容部170aにボール部162を収容することによりボールチェーン160に連結される。このため、ストッパ170が左側被当接部150a、右側被当接部150b、上部被当接部152aに当接した際に、ストッパ170に衝撃が掛かっても、ストッパ170がボールチェーン160から外れることを防止できる。
【0046】
また、ストッパ170には、ボール部162に対して移動を規制する移動規制部170cと、ボール部162が収容部170aに挿入可能な挿入部170dと、が設けられているため、ストッパ170はボールチェーン160に着脱自在に取り付けることができる。
【0047】
また、ストッパ170には、左側被当接部150a、右側被当接部150b、上部被当接部152aのうち少なくとも2箇所に当接する当接部170eを設けたため、ストッパ170が当接した際の衝撃負荷が分散される。よって、ストッパ170の破損防止及びストッパ170がプーリ150内に入り込むことを防止できる。
【0048】
また、ストッパ170は軸方向の長さが隣り合うボール部162間の長さよりも長く、収容部170aとボール部162の一部とが重複するため、ストッパ170がコード部164方向にスライド移動しても、収容部170aとボール部162の一部が連結されている状態を維持するため容易に外れることを防止できる。
【0049】
(第2の実施形態)
次に、本実施形態に係るロールスクリーン200の構成について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、ロールスクリーン200の本実施形態を示す図である。本実施形態は、上記第1の実施形態とストッパ270-1、270-2の構成が相違するものである。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0050】
本実施形態のストッパ270-1、270-2は、ボールチェーン260の上下に隣り合う2つのボール部262-1、262-2に対して移動が規制されるように構成されている。ストッパ270-1、270-2は、
図7に示したように、案内部270g-1、270g-2の長さが第1の実施形態の案内部170gよりも長く構成されている点が相違しており、その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0051】
本実施形態のセットフレーム210、サイドブラケット220、巻取パイプ230、スクリーン240、プーリ250、ボールチェーン260は、第1の実施形態のセットフレーム110、サイドブラケット120、巻取パイプ130、スクリーン140、プーリ150、ボールチェーン160と実質的に同様に構成することができる。
【0052】
ボールチェーン260の長さ方向に隣り合う2つのボール部262-1、262-2に、ストッパ270-1、270-2がそれぞれ取り付けられている。2つのボール部262-1、262-2は、2つのストッパ270-1、270-2の収容部270a-1、270a-2にそれぞれ収容されている。上に配置されるストッパ270-1の挿入部270d-1に下に配置されるストッパ270-2の案内部270g-2が当接している。
【0053】
このように、2つのストッパ270-1、270-2は、ボールチェーン260の長さ方向において互いに当接される。よって、被当接部に当接した際の衝撃を2つのストッパ270-1、270-2に分散できるため、各ストッパ270-1、270-2への衝撃力を小さくすることができる。なお、本実施例では、2つのストッパ270-1、270-2を用いたが、より衝撃の負荷がかかる場合は、3つ以上のストッパを連結して、ストッパの破損やボール部がコード部に対してずれてしまうことを防止することができる。
【0054】
本実施形態のロールスクリーン200も第1の実施形態のロールスクリーン100と同様に、スクリーン240を下降させる場合は、
図7の矢印gに示したように、後ろ側に配置されているボールチェーン260を引き下ろす。すると、
図7の矢印hに示したように、スクリーン240が下降していく。
【0055】
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、ストッパ270が被当接部に当接した際の衝撃が2つのボール部262-1、262-2に分散されるため、ストッパ270の破損防止及びストッパ270がプーリ250内に入り込むことを防止できる。
【0056】
また、複数個のストッパ270を連結可能なため、ストッパ270にかかる衝撃負荷の大きさに応じて、ストッパ270の数を自由に変更することができる。このようにして、ストッパ270の破損及びボール部262のずれを防止することができる。
【0057】
(第3の実施形態)
次に、本実施形態に係るロールスクリーン300の構成について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、ロールスクリーン300の本実施形態を示す図である。本実施形態は、上記第1の実施形態とストッパ370の構成が相違するものである。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0058】
本実施形態のセットフレーム310、サイドブラケット320、巻取パイプ330、スクリーン340、プーリ350、ボールチェーン360は、第1の実施形態のセットフレーム110、サイドブラケット120、巻取パイプ130、スクリーン140、プーリ150、ボールチェーン160と実質的に同様に構成することができる。
【0059】
本実施形態のストッパ370は、ボールチェーン360の上下に隣り合う2つのボール部362-1、362-2に対して移動が規制されるように構成されている。ストッパ370は、
図8に示したように、収容部370aの長さが第1の実施形態の収容部170aよりも短く構成されている点が相違しており、その他の構成は第1の実施形態と同様である。収容部370aは、ボール部362-1の長さよりも若干短めに構成されている。
【0060】
ボールチェーン360の長さ方向に隣り合う2つのボール部362-1、362-2のうち、上のボール部362-1は2つのストッパ370-1、370-2の収容部370a-1、370a-2に収容されている。すなわち、2つのストッパ370-1、370-2は、挿入部370d-1、370d-2同士が当接するように、互いに逆向きに配置されている。よって、ストッパ370-1は、移動規制部370cが上のボール部362-1に当接し、下のストッパ370-2は、案内部370gの先端が下のボール部362-2の上端に当接する。
【0061】
このように、2つのストッパ370-1、370-2は、ボールチェーン360の長さ方向において互いに当接される。よって、被当接部に当接した際の衝撃を2つのストッパ370-1、370-2に分散できるため、各ストッパ370-1、370-2の衝撃力を小さくすることができる。
【0062】
本実施形態のロールスクリーン300も第1の実施形態のロールスクリーン100と同様に動作する。スクリーン340を下降させる場合は、
図8の矢印iに示したように、後ろ側に配置されているボールチェーン360を引き下ろす。すると、
図8の矢印jに示したように、スクリーン340が下降していく。
【0063】
(第3の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、2つのストッパは、比較的大きな衝撃に対応することができるとともに、小型化されて意匠性が向上する。
【0064】
(第4の実施形態)
次に、本実施形態に係るロールスクリーン400の構成について、
図9を参照しながら説明する。
図9は、ロールスクリーン400の第4の実施形態を示す図である。本実施形態は、上記第1の実施形態とストッパ470の構成が相違するものである。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0065】
本実施形態のセットフレーム410、サイドブラケット420、巻取パイプ430、スクリーン440、プーリ450、ボールチェーン460は、第1の実施形態のセットフレーム110、サイドブラケット120、巻取パイプ130、スクリーン140、プーリ150、ボールチェーン160と実質的に同様に構成することができる。
【0066】
ストッパ470は、
図9に示したように、緩衝部材472をさらに備えている。緩衝部材472は、収容部470aにおいて移動規制部470cとボール部462とに挟まれるように配置される。よって、ストッパ470に衝撃が加わった際に、緩衝部材472によって移動規制部470cとボール部462とに加えられる衝撃力が緩和される。
【0067】
本実施形態のロールスクリーン400も第1の実施形態のロールスクリーン100と同様に動作する。スクリーン440を下降させる場合は、
図9の矢印kに示したように、後ろ側に配置されているボールチェーン460を引き下ろす。すると、
図9の矢印mに示したように、スクリーン440が下降していく。
【0068】
(第4の実施形態の効果)
本実施形態によれば、緩衝部材472がストッパ470に加わる衝撃を緩和するため、ストッパ470の破損及びボール部462のずれを防止できる。
【0069】
また、緩衝部材472は、ストッパ470の収容部470aに配置されるため、外側に露出せず、意匠性を向上させることができる。
【0070】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0071】
例えば、上記第1の実施形態では、ストッパ170は、ボールチェーン160に対して着脱自在としたが、本発明はこの例に限定されない。ストッパが被当接部に当接した際に、ストッパに衝撃が掛かっても、ストッパがボールチェーンから外れることを防止できれば、任意の設計とすることができる。例えば、ストッパをボールチェーンに固着してもよい。第2~第4の実施形態も同様である。
【0072】
また、上記第1の実施形態では、ストッパ170には、ボール部162がボールチェーン160の長さ方向に移動することを規制する移動規制部170cと、ボール部162をボールチェーン160の長さ方向から収容部170aに挿入可能な挿入部170dと、が設けられた構成としたが、本発明はこの例に限定されない。ストッパが被当接部に当接した際に、ストッパに衝撃が掛かっても、ストッパがボールチェーンから外れることを防止できれば、任意の設計とすることができる。第2~第4の実施形態も同様である。
【0073】
また、上記第1の実施形態では、ボールチェーン160は、スクリーン140を開閉する動力を伝達するプーリ150に対して巻き掛けられており、プーリ150には、ストッパ170と当接可能な複数の被当接部150a、150b、152aが設けられており、ストッパ170には、少なくとも二箇所の被当接部と当接可能な当接部170eを設けた構成としたが、本発明はこの例に限定されない。ストッパが被当接部に当接した際に、ストッパに衝撃が掛かっても、ストッパがボールチェーンから外れることを防止できれば、任意の設計とすることができる。例えば、被当接部は一つであってもよい。また、ストッパは、複数ある被当接部のうちの一箇所に当接可能としてもよい。第2~第4の実施形態も同様である。
【0074】
また、上記第1の実施形態では、ストッパ170は軸方向の長さが隣り合うボール部162間の長さよりも長く、収容部170aとボール部162の全部とが重複する構成としたが、本発明はこの例に限定されない。ストッパが被当接部に当接した際に、ストッパに衝撃が掛かっても、ストッパがボールチェーンから外れることを防止できれば、任意の設計とすることができる。例えば、ストッパは軸方向の長さが隣り合うボール部間の長さよりも長く、収容部とボール部の一部とが重複するようにしてもよい。また、ストッパは軸方向の長さが隣り合うボール部間の長さと同じか小さく構成してもよい。このように構成した場合、ストッパをボール部に取り付ける際に、ストッパをコード部に対して傾ける必要がない。スリットをコード部に対して平行に配置して挿入し、ストッパをボール部の軸方向に引き下げることにより取り付けることができる。
【0075】
また、上記第2の実施形態では、ストッパ270は、上下に隣り合う2つのボール部262に対して移動が規制される構成としたが、本発明はこの例に限定されない。ストッパが被当接部に当接した際に、ストッパに衝撃が掛かっても、ストッパがボールチェーンから外れることを防止できれば、任意の設計とすることができる。例えば、ストッパはボールチェーンに3つ以上取り付けてもよい。第3の実施形態も同様である。
【0076】
また、上記第4の実施形態では、ストッパ470は、ボール部462との間に緩衝部材472を備える構成としたが、本発明はこの例に限定されない。ストッパが被当接部に当接した際に、ストッパに衝撃が掛かっても、ストッパがボールチェーンから外れることを防止できれば、任意の設計とすることができる。例えば、緩衝部材は、ストッパの外部や収容部内の任意の位置に設けることができる。
【0077】
以上説明した実施形態、変更例及び応用例の内容は、適宜組み合わせて実施できる。
【符号の説明】
【0078】
100、200、300、400 ロールスクリーン
110、210、310、410 セットフレーム
112、212、312、412 ブラケット
120、220、320、420 サイドブラケット
130、230、330、430 巻取パイプ
140、240、340、440 スクリーン(遮蔽材)
142、242、342、442 ウエイトバー
150、250、350、450 プーリ
150a 左側被当接部
150b 右側被当接部
152、252、352、452 カバー部
152a 上部被当接部
160、260、360、460 ボールチェーン
162、262-1、262-2、362-1、362-2、462 ボール部
164、264、364、464 コード部
166 コネクタ
170、270-1、270-2、370-1、370-2、470 ストッパ
170a、270a-1、270a-2、370a-1、370a-2、470a 収容部
170b スリット
170c、270c-1、270c-2、370c、470c 移動規制部
170d、270d-1、270d-2、370d-1、370d-2、470d 挿入部
170e、270e-1、270e-2、370e-1、370e-2、470e 当接部
170f、270f-1、270f-2、370f-1、370f-2、470f 貫通孔
170g、270g-1、270g-2、370g-1、370g-2、370g、470g 案内部
472 緩衝部材