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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】一時停止線検出装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/60 20170101AFI20240729BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240729BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
G06T7/60 200J
G06T7/00 650A
G06T7/60 150D
G06T7/60 180B
G08G1/16 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021020865
(22)【出願日】2021-02-12
(65)【公開番号】P2022123511
(43)【公開日】2022-08-24
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】松本 祥吾
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-056951(JP,A)
【文献】特開2013-029427(JP,A)
【文献】特開2006-209511(JP,A)
【文献】加世山秀樹 外2名,先進安全自動車(ASV)における運転支援システム,人工知能学会誌,(社)人工知能学会,2007年07月01日,第22巻 第4号,pp.517~522
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
G08G 1/00 - 99/00
CSDB(日本国特許庁)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された撮像画像から一時停止線候補を検出する一時停止線検出部と、
前記一時停止線検出部により検出された前記一時停止線候補の長さ方向の両側端点を検出する前記一時停止線候補の端点検出部と、
前記一時停止線候補の前記両側端点に基づいて算出される前記一時停止線候補の長さが所定長さ以上であるか否かを判定する一時停止線候補判定部と、
前記一時停止線候補判定部により前記所定長さ以上であると判定された前記一時停止線候補に対して車道の幅方向両外側における車道の両側端点を取得する車道端点取得部と、
前記一時停止線候補の両側端点と前記車道の両側端点との位置関係に基づいて、自車線側の一時停止線であることを判定する自車線側一時停止線判定部とを備えること、を特徴とする一時停止線検出装置。
【請求項2】
前記自車線側一時停止線判定部は、前記一時停止線候補の両側端点と対応する方向における前記車道の両側端点との離間距離を比較して、前記自車線側の一時停止線であることを判定すること、を特徴とする請求項1に記載の一時停止線検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一時停止線検出装置に関し、特に、撮像した画像から一時停止線を検出する一時停止線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像した画像から一時停止線を検出する一時停止線検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、一時停止線以外の白線の誤検知を防止して、一時停止線を精度よく検出する一時停止線検出装置が記載されている。上記特許文献1に記載された一時停止線検出装置では、カメラにより撮像された自車両前方の画像から自車両の走行レーンの境界を示すレーンマーク(区画線)を検出し、レーンマークと交差するように路面車幅方向(水平方向)に延びる白線を検出し、該白線が直線状かつ所定長さ以上である場合に一時停止線であると認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-150595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1のように、自車両前方における一時停止線を認識するための手段として、自車両の走行レーンの境界を示すレーンマーク(区画線)を検出し、レーンマークと路面車幅方向(水平方向)に接続する一定長さのラインを認識する等の検出方法がある。
【0006】
しかしながら、上記のような方法では、自車両前方における一時停止線が自車線側(自車両側)の一時停止線であるのか、又は対向車線側(対向車両側)の一時停止線であるのかを判別することが困難であるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消すべくなされたものであって、自車両前方における一時停止線が自車線側の一時停止線であることの判定率を向上することが可能な一時停止線検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、次のように構成されている。
【0009】
(1)本発明による一時停止線検出装置は、車両前方を撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された撮像画像から一時停止線候補を検出する一時停止線検出部と、前記一時停止線検出部により検出された前記一時停止線候補の長さ方向の両側端点を検出する前記一時停止線候補の端点検出部と、前記一時停止線候補の前記両側端点に基づいて算出される前記一時停止線候補の長さが所定長さ以上であるか否かを判定する一時停止線候補判定部と、前記一時停止線候補判定部により前記所定長さ以上であると判定された前記一時停止線候補に対して車道の幅方向両外側における車道の両側端点を取得する車道端点取得部と、前記一時停止線候補の両側端点と前記車道の両側端点との位置関係に基づいて、自車線側の一時停止線であることを判定する自車線側一時停止線判定部とを備えること、を特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、撮像部により撮像された自車両前方における一時停止線候補の両側端点、及び車道の幅方向両外側における車道の両側端点との位置関係に基づいて、自車両前方における一時停止線候補が自車線側(自車両側)の一時停止線であるのか、又は対向車線側(対向車両側)の一時停止線であるのかを判定することができる。これにより、自車両前方における一時停止線候補が自車線側の一時停止線であることの判定率を向上することができる。
【0011】
(2)本発明による一時停止線検出装置において、好ましくは、前記自車線側一時停止線判定部は、前記一時停止線候補の両側端点と対応する方向における前記車道の両側端点との離間距離を比較して、前記自車線側の一時停止線であることを判定するとよい。このように構成すれば、一時停止線候補の両側端点と対応する方向における車道の両側端点との離間距離の大きさに基づいて、容易に、一時停止線候補が自車線側(自車両側)の一時停止線であるのか、又は対向車線側(対向車両側)の一時停止線であるのかを判定することができる。
【0012】
(3)この場合において、好ましくは、前記一時停止線候補の両側端点は、車両の進行方向に対して左側に位置する停止線左側端点、及び車両の進行方向に対して右側に位置する停止線右側端点を含み、前記車道の両側端点は、車両の進行方向に対して左側に位置する車道左側端点、及び車両の進行方向に対して右側に位置する車道右側端点を含み、前記停止線左側端点と前記車道左側端点との離間距離を左側離間距離とし、前記停止線右側端点と前記車道右側端点との離間距離を右側離間距離とした場合に、前記左側離間距離及び前記右側離間距離が所定の離間距離よりも小さいことを条件として、前記自車線側の一時停止線であると前記自車線側一時停止線判定部が判定するとよい。このように構成すれば、左側離間距離及び右側離間距離が所定の離間距離よりも小さい場合に、一時停止線候補の長さが車道の幅方向の長さに対して所定長さ以上であると判定することができる。その結果、一時停止線候補が自車線側(自車両側)の一時停止線であると判定することができる。
【0013】
(4)上記左側離間距離及び右側離間距離を所定の離間距離と比較する構成において、好ましくは、前記左側離間距離及び前記右側離間距離のうち少なくとも一方が所定の離間距離よりも大きいことを条件として、前記自車線側一時停止線判定部は、前記左側離間距離が前記右側離間距離よりも小さいことを条件に前記自車線側の一時停止線であると判定するとともに、前記左側離間距離が前記右側離間距離よりも大きいことを条件に対向車線側の一時停止線であると判定するとよい。このように構成すれば、左側離間距離が右側離間距離よりも小さい場合に一時停止線候補が車道の中央に対して左側に位置する(左寄り)と判定されるため、一時停止線候補が自車線側(自車両側)の一時停止線であると判定することができる。一方、左側離間距離が右側離間距離よりも大きい場合に一時停止線候補が車道の中央に対して右側に位置する(右寄り)と判定されるため、一時停止線候補が対向車線側(対向車両側)の一時停止線であると判定することができる。
【0014】
(5)本発明による一時停止線検出装置において、好ましくは、前記一時停止線検出部は、深層学習を利用した画像認識を利用して前記一時停止線候補を検出するとよい。このように構成すれば、深層学習を利用した画像認識により、撮像部により撮像された車両前方における複数の一時停止線候補が、自車線側の一時停止線であるのか、又は対向車線側の一時停止線であるのかを効果的に判定することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る態様によれば、自車両前方における一時停止線が自車線側の一時停止線であることの判定率を向上することが可能な一時停止線検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る一時停止線検出装置を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る一時停止線検出装置における一時停止線判定処理を示すフローチャートである。
図3】本実施形態に係る一時停止線検出装置における一時停止線判定処理を示すフローチャートである。
図4】本実施形態に係るルックアップテーブルの一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る一時停止線判定処理を説明するための図である。
図6】本実施形態に係る車道検出を説明するための図である。
図7】本実施形態の第一変形例に係る一時停止線判定処理を説明するための図である。
図8】本実施形態の第二変形例に係る一時停止線判定処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る一時停止線検出装置を説明する。これらの図は模式図であって、必ずしも大きさを正確な比率で記したものではない。また、図中、同様の構成部品は、同様の符号を付して示す。
【0018】
(全体構成)
図1図6を参照して、本発明の一実施形態に係る一時停止線検出装置の概略構成について説明する。一時停止線検出装置100は、車両(図示省略)に搭載されている。一時停止線検出装置100は、道路領域を含む自車両前方を撮像して画像及び映像を取得し、撮像された画像及び映像に基づいて一時停止線候補を検出し、一時停止線候補が自車線側の一時停止線であるか又は対向車線側の一時停止線であるかを判定するように構成されている。
【0019】
図1に示すように、一時停止線検出装置100は、主に、撮像部10と、制御部20と、出力部30とを備えている。
【0020】
撮像部10は、カメラユニット等により構成されている。撮像部10(カメラユニット)は、例えば、車室内におけるフロントガラスや車両の前方等に取り付けられている。撮像部10は、道路領域や人物等を含む自車両前方を撮像する。また、撮像部10は、撮像された画像及び映像に関する情報を制御部20に出力する。
【0021】
制御部20は、後述する一時停止線判定に関する制御に基づいて、撮像部10により撮像された画像及び映像から一時停止線候補を検出し、この一時停止線候補が自車線側の一時停止線であるか又は対向車線側の一時停止線であるかを判定する。また、制御部20は、上記の判定結果を出力部30に出力する。
【0022】
出力部30は、制御部20から受信した判定結果に関する情報を出力するように構成されている。出力部30は、例えば、表示装置、記録装置、及び通信装置等により構成されている。表示装置としては、カーナビゲーションやインストルメントパネル等が挙げられる。記録装置としては、SDカード、HDD(Hard Disk Drive)、及びSSD(Solid State Drive)等が挙げられる。通信装置としては、Wifi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等が挙げられる。
【0023】
(制御部)
制御部20は、一時停止線検出部21と、端点検出部22と、一時停止線候補判定部23と、車道端点取得部24と、自車線側一時停止線判定部25とを備えている。
【0024】
(一時停止線検出部)
一時停止線検出部21は、撮像部10により撮像された車両前方における画像及び映像から一時停止線候補A(図5参照)を検出する。一時停止線検出部21は、深層学習(物体検出やセマンティックセグメンテーション等)もしくはエッジ処理等を利用した画像認識を利用して一時停止線候補Aを検出する。なお、一時停止線候補Aが検出されるのと同時に、対向車線側に位置する一時停止線候補C(図6参照)についても検出される。以下の説明では、説明の便宜上、主に一時停止線候補Aに関する処理について説明する。
【0025】
(端点検出部)
端点検出部22は、一時停止線検出部21により検出された一時停止線候補Aの長さ方向(車両の進行方向に対する水平方向(横方向))の両側端点を検出する。図5に示すように、本実施形態では、端点検出部22は、撮像部10により撮像された画像(映像)における左上の点(座標)を(x,y)=(0,0)とした場合に、一時停止線候補Aにおける左端の点(x,y)を取得するとともに、一時停止線候補Aにおける右端の点(x,y)を取得する。
【0026】
図6に示すように、端点検出部22は、一時停止線候補Aにおける中点及び長さを算出する。算出方法の一例としては、一時停止線候補Aにおける中点は、(xcenter=(x+x)/2,ycenter=(y+y)/2)により算出される。一時停止線候補Aにおける長さは、(d=((x-x+(y-y1/2)により算出される。
【0027】
また、端点検出部22は、図4に示すルックアップテーブルに基づいて、一時停止線候補Aの中点(ycenter)における水平方向の1ピクセル当たりの長さ(Lpixel)を取得することにより、一時停止線候補Aの実際の長さである実長さ(Lreal=Lpixel×d)を予測する。なお、ルックアップテーブルは、カメラ画像の歪み等の補正値であるカメラパラメータから作成可能である。
【0028】
(一時停止線候補判定部)
図1及び図5に示すように、一時停止線候補判定部23は、一時停止線候補Aの両側端点(x,y)(x,y)に基づいて算出される一時停止線候補Aの長さが所定長さMよりも大きいか否かを判定する。なお、一時停止線候補Aの両側端点(x,y)(x,y)は、車両の進行方向に対して左側に位置する停止線左側端点(x,y)、及び車両の進行方向に対して右側に位置する停止線右側端点(x,y)である。本実施形態では、一時停止線候補判定部23は、一時停止線候補Aの実長さ(Lreal)が所定の長さM(例えば、1.5m)よりも大きいことを条件に、セマンティックセグメンテーションを用いて車道Bを検出する(図6参照)。
【0029】
(車道端点取得部)
図6に示すように、車道端点取得部24は、一時停止線候補判定部23により所定長さM以上であると判定された一時停止線候補Aに対して車道の幅方向両外側における車道の両側端点(x,y)(x,y)を取得する。なお、車道の両側端点は、車両の進行方向に対して左側に位置する車道左側端点(x,y)、及び車両の進行方向に対して右側に位置する車道右側端点(x,y)である。本実施形態では、図6に示すように、車道端点取得部24は、一時停止線候補判定部23により検出された車道Bのデータから一時停止線候補Aにおける左端の垂直方向の座標yに位置する最小のxを取得するとともに、一時停止線候補Aにおける右端の垂直方向の座標yに位置する最大のxを取得する。
【0030】
また、停止線左側端点(x,y)と車道左側端点(x,y)との離間距離を左側離間距離(d13)とし、停止線右側端点(x,y)と車道右側端点(x,y)との離間距離を右側離間距離(d24)とした場合に、左側離間距離(d13)及び右側離間距離(d24)が所定の離間距離(M)よりも小さいことを条件として、自車線側一時停止線判定部25により一時停止線候補Aが自車線側の一時停止線であると判定される。
【0031】
(自車線側一時停止線判定部)
自車線側一時停止線判定部25は、一時停止線候補Aの両側端点(x,y)(x,y)と車道の両側端点(x,y)(x,y)との位置関係に基づいて、一時停止線候補Aが自車線側の一時停止線であるか否かを判定する。ここで、「一時停止線候補の両側端点と車道の両側端点との位置関係に基づいて」とは、一時停止線候補Aの両側端点(x,y)(x,y)と対応する方向における車道の両側端点(x,y)(x,y)との離間距離(d13及びd24)を比較することである。言い換えると、車道の幅方向中央部を境として一方側にある一時停止線候補Aの端点(x)及び車道の端点(x)の間隔(d13)と、車道の幅方向中央部を境として他方側にある一時停止線候補Aの端点(x)及び車道の端点(x)の間隔(d24)とを比較することである。
【0032】
図6に示すように、本実施形態では、左側離間距離(x-x=d13)、右側離間距離(x-x=d24)とした場合における、左側離間距離(d13)及び右側離間距離(d24)の両方が所定の離間距離Nよりも小さいこと(例えば、d13<30cm、及び、d24<30cm)を条件として、自車線側一時停止線判定部25により一時停止線候補Aが自車線側の一時停止線であると判断される。
【0033】
一方、左側離間距離(d13)及び右側離間距離(d24)のうち少なくとも一方が所定の離間距離Nよりも大きいこと(例えば、d13>30cm及びd24>30cmのうち少なくとも一方)を条件として、後述するように、自車線側一時停止線判定部25により一時停止線候補Aが自車線側の一時停止線であるか、又は一時停止線を対向車線側の一時停止線であると判断される。
【0034】
また、自車線側一時停止線判定部25は、上記のように、左側離間距離(d13)及び右側離間距離(d24)のうち少なくとも一方が所定の離間距離Nよりも大きいことを条件として、以下のような判定を行う。自車線側一時停止線判定部25は、左側離間距離(d13)が右側離間距離(d24)よりも小さいこと(d13<d24)を条件として、一時停止線候補Aが自車線側の一時停止線であると判定する。一方、自車線側一時停止線判定部25は、左側離間距離(d13)が右側離間距離(d24)よりも大きいこと(d13>d24)を条件に、一時停止線候補Aが自車線側の一時停止線ではないと判定する。この場合、図6に示すように、対向車線側の一時停止線候補Cについて、左側離間距離(d13)が右側離間距離(d24)よりも大きいこと(d13>d24)を条件に、一時停止線候補Cが対向車線側の一時停止線であると判定される。
【0035】
次に、図2図6を参照して、本実施形態に係る一時停止線判定に関する制御について説明する。
【0036】
図2に示すように、ステップS11において、撮像部10により自車両前方における道路領域や人物等が撮像され、画像及び映像に関する情報(データ)が取得される。その後、ステップS12に進む。
【0037】
ステップS12において、撮像部10により撮像された画像及び映像から、一時停止線検出部21により一時停止線候補A(図5参照)及び一時停止線候補C(図6参照))が検出される。その後、ステップS13に進む。
【0038】
ステップS13において、端点検出部22により、一時停止線候補Aの長さ方向(車両の進行方向に対する水平方向(横方向))の両側端点が検出される。すなわち、一時停止線候補Aにおける車両進行方向に対する左端の点(x,y)が取得されるとともに、一時停止線候補Aにおける車両進行方向に対する右端の点(x,y)が取得される。その後、ステップS14に進む。
【0039】
ステップS14において、端点検出部22により、一時停止線候補Aにおける中点(xcenter,ycenter)及び長さ(d)が算出される。その後、ステップS15に進む。
【0040】
ステップS15において、端点検出部22により、図4に示すルックアップテーブルに基づいて、一時停止線候補Aの中点(ycenter)における水平方向の1ピクセル当たりの長さ(Lpixel)が取得される。その後、ステップS16に進む。
【0041】
ステップS16において、端点検出部22により、一時停止線候補Aの実長さ(Lreal=Lpixel×d)が取得される。その後、ステップS17に進む。
【0042】
ステップS17において、一時停止線候補判定部23により、一時停止線候補Aの実長さ(Lreal)が所定長さ(M)よりも大きい(Lreal>M)か否かが判定される。ステップS17において、一時停止線候補判定部23により、一時停止線候補Aの実長さ(Lreal)が所定長さ(M)よりも小さい(Lreal<M)と判定されたことを条件として、一時停止線候補Aが基準の長さを満たしていないため、ステップS11に戻る。
【0043】
一方、ステップS17において、一時停止線候補判定部23により、一時停止線候補Aの実長さ(Lreal)が所定長さ(M)よりも大きい(Lreal>M)と判定されたことを条件として、一時停止線候補Aが基準の長さを満たしているため、ステップS18(図3参照)に進む。
【0044】
図3に示すように、ステップS18において、一時停止線候補判定部23により、セマンティックセグメンテーションを用いて車道B(図6参照)に関する情報(データ)を取得する。その後、ステップS19に進む。
【0045】
ステップS19において、車道端点取得部24により、車道Bのデータから車道の座標(y)における最小の(x)を取得するとともに、車道の座標(y)における最大の(x)を取得する。その後、ステップS20に進む。
【0046】
ステップS20において、一時停止線候補Aの両側端点(x,y)(x,y)から車道の両側端点(x,y)(x,y)までの距離(左側離間距離(d13)及び右側離間距離(d24))が算出される。その後、ステップS21に進む。
【0047】
ステップS21において、左側離間距離(d13)及び右側離間距離(d24)が所定の離間距離N(例えば、N=30cm)よりも小さい(d13<30cm、及び、d24<30cm)か否かが判定される。ステップS21において、左側離間距離(d13)及び右側離間距離(d24)が所定の離間距離Nよりも小さい(d13<30cm、及び、d24<30cm)ことを条件として、ステップS22に進む。
【0048】
ステップS22において、自車線側一時停止線判定部25により、一時停止線候補Aが自車線側の一時停止線であると判定される。その後、本制御を終了する。
【0049】
一方、ステップS21において、左側離間距離(d13)及び右側離間距離(d24)のうち少なくとも一方が所定の離間距離N(例えば、N=30cm)よりも大きいこと(d13>30cm及びd24>30cmのうち少なくとも一方)を条件として、ステップS23に進む。
【0050】
ステップS23において、自車線側一時停止線判定部25は、左側離間距離(d13)が右側離間距離(d24)よりも小さい(d13<d24)ことを条件として、ステップS22に進む。ステップS22において、自車線側一時停止線判定部25により、一時停止線候補Aが自車線側の一時停止線であると判定される。その後、本制御を終了する。
【0051】
一方、ステップS23において、自車線側一時停止線判定部25は、左側離間距離(d13)が右側離間距離(d24)よりも大きい(d13>d24)ことを条件として、ステップS24に進む。ステップS24において、自車線側一時停止線判定部25により、一時停止線候補Aが自車線側の一時停止線ではないと判定される。すなわち、図6に示すように、対向車線側の一時停止線候補Cについて、左側離間距離(d13)が右側離間距離(d24)よりも大きい(d13>d24)ことを条件に、一時停止線候補Cが対向車線側の一時停止線であると判定される。その後、本制御を終了する。
【0052】
上記説明した実施形態によれば、以下の効果(1)~(5)を得ることができる。
【0053】
(1)上記実施形態による一時停止線検出装置100では、撮像部10により撮像された自車両前方における一時停止線候補A及びCの両側端点(x,y)(x,y)、及び車道の幅方向両外側における車道の両側端点(x,y)(x,y)との位置関係に基づいて、自車両前方における一時停止線候補Aが自車線側の一時停止線であると判定するようにした。これにより、自車両前方における一時停止線候補A及びCが自車線側(自車両側)の一時停止線であるのか、又は対向車線側(対向車両側)の一時停止線であるのかを判定することができる。その結果、自車両前方における一時停止線候補Aが自車線側の一時停止線であることの判定率を向上することができる。
【0054】
(2)上記実施形態による一時停止線検出装置100では、一時停止線候補Aの両側端点(x,y)(x,y)と対応する方向における車道の両側端点(x,y)(x,y)との左側離間距離(d13)及び右側離間距離(d24)を比較して、自車線側の一時停止線であることを判定した。これにより、一時停止線候補Aの両側端点(x,y)(x,y)と対応する方向における車道の両側端点(x,y)(x,y)との離間距離(d13,d24)の大きさに基づいて、容易に、一時停止線候補Aが自車線側(自車両側)の一時停止線であるのか、又は対向車線側(対向車両側)の一時停止線であるのかを判定することができる。
【0055】
(3)上記実施形態による一時停止線検出装置100では、左側離間距離(d13)及び右側離間距離(d24)が所定の離間距離(N)よりも小さいことを条件として、自車線側の一時停止線であると判定するようにした。これにより、左側離間距離(d13)及び右側離間距離(d24)が所定の離間距離(N)よりも小さい場合に、一時停止線候補Aの長さが車道の幅方向の長さに対して所定長さ以上であると判定することができる。その結果、一時停止線候補Aが自車線側(自車両側)の一時停止線であると判定することができる。
【0056】
(4)上記実施形態による一時停止線検出装置100では、左側離間距離(d13)及び右側離間距離(d24)のうち少なくとも一方が所定の離間距離(N)よりも大きいことを条件として、自車線側一時停止線判定部25は、左側離間距離(d13)が右側離間距離(d24)よりも小さいことを条件に自車線側の一時停止線であると判定し、左側離間距離(d13)が右側離間距離(d24)よりも大きいことを条件に対向車線側の一時停止線であると判定するようにした。これにより、左側離間距離(d13)が右側離間距離(d24)よりも小さい場合に一時停止線候補Aが車道の中央に対して左側に位置する(左寄り)と判定されるため、一時停止線候補Aが自車線側(自車両側)の一時停止線であると判定することができる。一方、左側離間距離(d13)が右側離間距離(d24)よりも大きい場合に一時停止線候補Aが車道の中央に対して右側に位置する(右寄り)と判定されるため、一時停止線候補Aが対向車線側(対向車両側)の一時停止線であると判定することができる。
【0057】
(5)上記実施形態による一時停止線検出装置100では、一時停止線検出部21が深層学習を利用した画像認識を利用して一時停止線候補Aを検出するようにした。これにより、深層学習を利用した画像認識により、撮像部10により撮像された車両前方における複数の一時停止線候補Aが、自車線側の一時停止線であるのか、又は対向車線側の一時停止線であるのかを効果的に判定することができる。
【0058】
(第一変形例)
次に、図7を参照して、上記説明した実施形態の第一変形例について説明する。この第一変形例では、一時停止線候補Aの中点が車道の中点に対して車両進行方向の左側に位置することを条件に自車線側の一時停止線であると判定するとともに、右側に位置することを条件に対向車線側の一時停止線であると判定する例について説明する。
【0059】
図7に示すように、車道のデータから一時停止線候補Aの中点における垂直方向の座標(ycenter)に位置する最小の(x)を取得するとともに、最大の(x)を取得する。次に、座標(x)と座標(x)との中点(xroad_center=(x+x)/2)を算出する。算出された中点(xroad_center)が(xcenter<xroad_center)であることを条件に、一時停止線候補Aが自車線側の一時停止線であると判定される。一方、算出された中点(xroad_center)が(xcenter>xroad_center)であることを条件に、一時停止線候補Aが自車線側の一時停止線ではない(対向車線側の一時停止線である)と判定される。
【0060】
上記説明した第一変形例によれば、以下の効果(6)を得ることができる。
【0061】
(6)上記第一変形例による一時停止線検出装置100では、一時停止線候補Aの両側端点(x,y)(x,y)に基づき算出された中点(xcenter)、及び車道の両側端点(x,y)(x,y)に基づき算出された中点(xroad_center)との位置関係に基づいて、一時停止線候補Aの中点(xcenter)が車道の中点(xroad_center)よりも小さいこと(左寄り)を条件として、自車両前方における一時停止線候補Aが自車線側の一時停止線であると判定するようにした。これにより、自車両前方における一時停止線候補Aが自車線側(自車両側)の一時停止線であるのか、又は対向車線側(対向車両側)の一時停止線であるのかを判定することができる。その結果、自車両前方における一時停止線候補Aが自車線側の一時停止線であることの判定率を向上することができる。
【0062】
(第二変形例)
次に、図8を参照して、上記説明した実施形態の第二変形例について説明する。この第二変形例では、一時停止線候補Aにおける車道の中点に対する車両進行方向の左側の長さと右側の長さとを比較して、左側の長さが右側の長さよりも大きいことを条件に自車線側の一時停止線と判定し、左側の長さが右側の長さよりも小さいことを条件に対向車線側の一時停止線と判定する例について説明する。
【0063】
図8に示すように、一時停止線候補Aにおける車道の中点に対する車両進行方向の左側の長さ(xroad_center-x=d1c)を算出するとともに、一時停止線候補Aにおける車道の中点に対する車両の進行方向の右側の長さ(x-xroad_center=d2c)を算出する。算出された一時停止線候補Aの左側の長さ(d1c)が一時停止線の右側の長さ(d2c)よりも大きいこと(d1c>d2c)を条件に、一時停止線候補Aが自車線側の一時停止線であると判定される。一方、算出された一時停止線候補Aの左側の長さ(d1c)が一時停止線候補Aの右側の長さ(d2c)よりも小さいこと(d1c<d2c)を条件に、一時停止線候補Aが自車線側の一時停止線であると判定される。
【0064】
上記説明した第二変形例によれば、以下の効果(7)を得ることができる。
【0065】
(7)上記第二変形例による一時停止線検出装置100では、一時停止線候補Aの両側端点(x,y)(x,y)、及び車道の両側端点(x,y)(x,y)に基づき算出された一時停止線候補Aの左側の長さ(d1c)及び右側の長さ(d2c)の位置関係に基づいて、一時停止線候補Aの左側の長さ(d1c)が右側の長さ(d2c)よりも大きいこと(d1c>d2c)を条件として、自車両前方における一時停止線候補Aが自車線側の一時停止線であると判定するようにした。これにより、自車両前方における一時停止線候補Aの左側の長さ(d1c)及び右側の長さ(d2c)の位置関係に基づいて、一時停止線候補Aが自車線側(自車両側)の一時停止線であるのか、又は対向車線側(対向車両側)の一時停止線であるのかを判定することができる。その結果、自車両前方における一時停止線候補Aが自車線側の一時停止線であることの判定率を向上することができる。
【0066】
(その他の変形例)
上記実施形態は、以下のように変更した構成とすることもできる。
【0067】
上記実施形態では、本発明による撮像部の一例として、車両前方を撮像するカメラユニットを示したが、本発明はこれに限られない。例えば、車両前方を撮像することが可能であればカメラユニット以外の撮像装置を適用することが可能である。また、上記実施形態では、カメラユニットを車室内におけるフロントガラスや車両の前方等に取り付けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、車両前方を撮像することが可能であれば、カメラユニットの取付位置は限定されない。
【0068】
上記実施形態では、一時停止線候補判定部により一時停止線候補Aの実長さ(Lreal)が所定の長さM(例えば、1.5m)よりも大きいか否かを判定する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、所定の長さMを1.5m以外の長さに適宜設定することも可能である。
【0069】
上記実施形態では、自車線側一時停止線判定部により、左側離間距離(d13)及び右側離間距離(d24)が所定の離間距離N(例えば、d13<30cm、及び、d24<30cm)よりも小さいか否かを判定する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、所定の離間距離Nを30cm以外の離間距離に適宜設定することも可能である。
【0070】
上記実施形態は、いずれも本発明の適応の例示であり、特許請求の範囲に記載の範囲内におけるその他いかなる実施形態も、発明の技術的範囲に含まれることは当然のことである。
【符号の説明】
【0071】
10 撮像部
20 制御部
21 一時停止線検出部
22 端点検出部
23 一時停止線候補判定部
24 車道端点取得部
25 自車線側一時停止線判定部
30 出力部
100 一時停止線検出装置
A 自車線側の一時停止線候補
B 車道
C 対向車線側の一時停止線候補
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8