(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】弾性波デバイス、弾性波フィルタ、及び弾性波デバイスを製造する方法
(51)【国際特許分類】
H03H 9/25 20060101AFI20240729BHJP
H03H 9/145 20060101ALI20240729BHJP
H03H 3/08 20060101ALI20240729BHJP
H03H 9/64 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
H03H9/25 A
H03H9/145 C
H03H3/08
H03H9/145 D
H03H9/64 Z
H03H9/25 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019231526
(22)【出願日】2019-12-23
【審査請求日】2022-12-19
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503031330
【氏名又は名称】スカイワークス ソリューションズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SKYWORKS SOLUTIONS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】後藤 令
(72)【発明者】
【氏名】巻 圭一
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-022501(JP,A)
【文献】特開2000-049564(JP,A)
【文献】実開平06-002823(JP,U)
【文献】特開2006-211613(JP,A)
【文献】特開2018-157508(JP,A)
【文献】実開昭52-050033(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H3/007-3/10
H03H9/00-9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性波デバイスであって、
基板の上の圧電層と、
前記圧電層の上のインターディジタルトランスデューサ電極と、
前記圧電層の上の接地構造物と、
前記圧電層と前記基板との間に配置された導電層と
を含み、
前記導電層は
、少なくとも前記圧電層まわりの巻き付け部分によって前記接地構造物に電気的に接続され、
前記導電層の少なくとも一部分が前記インターディジタルトランスデューサ電極と前記基板との間に配置される、弾性波デバイス。
【請求項2】
前記圧電層の少なくとも一部分を通って延びるビアが、前記導電層と前記接地構造物との間の電気経路に含まれる、請求項1の弾性波デバイス。
【請求項3】
前記ビアは、導電材料が充填された充填ビアである、請求項2の弾性波デバイス。
【請求項4】
前記ビアはコンフォーマルビアである、請求項2の弾性波デバイス。
【請求項5】
前記巻き付け部分は前記圧電層の側壁に沿って延びる導電材料
を含み、
前記導電材料が前記導電層と前記接地構造物との間の電気経路に含まれる、請求項1の弾性波デバイス。
【請求項6】
前記接地構造物は、互いから離間した複数の接地構造部分を含む、請求項1の弾性波デバイス。
【請求項7】
前記インターディジタルトランスデューサ電極の上に配置された温度補償層をさらに含む、請求項1の弾性波デバイス。
【請求項8】
前記圧電層と前記導電層との間に配置された分散調整層をさらに含む、請求項1の弾性波デバイス。
【請求項9】
前記分散調整層は二酸化ケイ素を含む、請求項8の弾性波デバイス。
【請求項10】
前記導電層はアルミニウムを含む、請求項1の弾性波デバイス。
【請求項11】
前記導電層は
、10ナノメートル
と10ミクロンとの間の厚さを有する、請求項1の弾性波デバイス。
【請求項12】
前記接地構造物は導電プレートを含む、請求項1の弾性波デバイス。
【請求項13】
前記接地構造物は導電ピラーを含む、請求項1の弾性波デバイス。
【請求項14】
弾性波フィルタであって、
弾性波デバイスと、
複数の他の弾性波デバイスと
を含み、
前記弾性波デバイスは、基板の上の圧電層と、前記圧電層の上のインターディジタルトランスデューサ電極と、前記圧電層の上の接地構造物と、前記圧電層と前記基板との間に配置された導電層とを含み、
前記導電層は
、少なくとも前記圧電層まわりの巻き付け部分によって前記接地構造物に電気的に接続され、
前記弾性波デバイスと前記複数の他の弾性波デバイスとは、無線周波数信号をフィルタリングするべく一緒に配列され、
前記導電層の少なくとも一部分が前記インターディジタルトランスデューサ電極と前記基板との間に配置される、弾性波フィルタ。
【請求項15】
弾性波デバイスを製造する方法であって、
弾性波デバイス構造物を与えることであって、前記弾性波デバイス構造物は、基板と、前記基板の上の導電層と、前記導電層の上の圧電層と、前記圧電層の上のインターディジタルトランスデューサ電極とを含み、前記導電層は、前記基板と圧電層との間に配置され、前記導電層の少なくとも一部分が前記インターディジタルトランスデューサ電極と前記基板との間に配置されることと、
前記導電層を、
少なくとも前記圧電層まわりの巻き付け部分によって前記圧電層の上の接地構造物に電気的に接続することにより、前記導電層を接地することと
を含む、方法。
【請求項16】
前記導電層を露出させるべく前記圧電層の少なくとも一部分を通る開口を形成することと、
前記開口に導電材料を与えることと
をさらに含み、
前記電気的に接続することは、前記導電層が前記導電材料を経由して前記接地構造物に電気的に接続されることを引き起こす、請求項15の方法。
【請求項17】
前記開口における導電材料は充填ビアである、請求項16の方法。
【請求項18】
前記圧電層の一部分をエッチングすることと、
前記圧電層のエッチング済み部分に導電材料を与えることと
をさらに含み、
前記電気的に接続することは、前記導電層が前記導電材料を経由して前記接地構造物に電気的に接続されることを引き起こす、請求項15の方法。
【請求項19】
前記インターディジタルトランスデューサ電極の上に温度補償層を形成することをさらに含む、請求項15の方法。
【請求項20】
前記与えることは、前記弾性波デバイス構造物に、前記圧電層と前記導電層との間に配置される分散調整層を与えることを含む、請求項15の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願の相互参照
本願は、「多層圧電基板」との名称の2018年12月26日に出願された米国仮特許出願第62/785,011号の優先権の利益を主張し、その開示は全体がここに参照により組み入れられる。
【0002】
本開示の実施形態は弾性波フィルタに関する。
【背景技術】
【0003】
無線周波数電子システムには弾性波フィルタを実装することができる。例えば、携帯電話機の無線周波数フロントエンドにおけるフィルタは、弾性波フィルタを含み得る。弾性波フィルタは、帯域通過フィルタとしてよい。複数の弾性波フィルタを、マルチプレクサとして配列することができる。例えば、2つの弾性波フィルタをデュプレクサとして配列することができる。
【0004】
弾性波フィルタは、無線周波数信号をフィルタリングするべく配列された複数の共振器を含み得る。複数例の弾性波フィルタには、弾性表面波(SAW)フィルタ及びバルク弾性波(BAW)フィルタが含まれる。弾性表面波共振器は、圧電基板上にインターディジタルトランスデューサ電極を含み得る。弾性表面波共振器は、インターディジタルトランスデューサ電極が配置される圧電層の表面に弾性表面波を生成することができる。所定の弾性表面波共振器が、多層圧電基板を含み得る。
【発明の概要】
【0005】
特許請求の範囲に記載のイノベーションはそれぞれが、いくつかの側面を有し、その単独の一つのみが、その所望の属性に対して関与するわけではない。ここで、特許請求の範囲を制限することなく、本開示のいくつかの卓越した特徴の概要が記載される。
【0006】
一側面において、弾性波デバイスが開示される。弾性波デバイスは、圧電層の上の基板と、当該圧電層の上のインターディジタルトランスデューサ電極と、当該圧電層の上のグランド構造物とを含む。弾性波デバイスはまた、圧電層と基板との間に配置された導電層も含む。導電層は、接地構造物に電気的に接続される。
【0007】
一実施形態において、圧電層の少なくとも一部分を貫通するビアが、導電層と接地構造物との間の電気経路に含められる。ビアは、導電材料が充填された充填ビアとしてよい。ビアは、コンフォーマルビアとしてよい。
【0008】
一実施形態において、圧電層の側壁に沿って延びる導電材料は、導電層と接地構造物との間の電気経路に含まれる。
【0009】
一実施形態において、接地構造物は、互いから離間した複数の接地構造部分を含む。
【0010】
一実施形態において、弾性波デバイスはさらに、インターディジタルトランスデューサ電極の上に配置された温度補償層を含む。
【0011】
一実施形態において、弾性波デバイスはさらに、圧電層と導電層との間に配置された分散調整層を含む。分散調整層は二酸化ケイ素を含み得る。
【0012】
一実施形態において、導電層はアルミニウムを含む。
【0013】
一実施形態において、導電層は、近似的に10ナノメートルと近似的に10ミクロンとの間の厚さを有する。
【0014】
一実施形態において、接地構造物は導電プレートを含む。
【0015】
一実施形態において、接地構造物は導電性ピラーを含む。
【0016】
一側面において、弾性波フィルタが開示される。弾性波フィルタは弾性波デバイスを含む。弾性波デバイスは、基板の上の圧電層と、当該圧電層の上のインターディジタルトランスデューサ電極と、当該圧電層の上の接地構造物と、当該圧電層と基板との間に配置された導電層とを含む。導電層は、接地構造物に電気的に接続される。弾性波フィルタはまた、複数の他の弾性波デバイスを含む。弾性波デバイス及び複数の他の弾性波デバイスは、無線周波数信号をフィルタリングするべく一緒に配列される。
【0017】
一つの側面において、弾性波デバイスを製造する方法が開示される。方法は、基板と、当該基板の上の導電層と、当該導電層の上の圧電層と、当該圧電層の上のインターディジタルトランスデューサ電極とを含む弾性波デバイス構造物を与えることを含み、当該導電層は当該基板と圧電層との間に配置される。方法はまた、導電層を、圧電層の上に配置された接地構造物に電気的に接続することにより、当該導電層を接地することも含む。
【0018】
一実施形態において、方法はさらに、導電層を露出させるべく圧電層の少なくとも一部分を通る開口を形成することと、当該開口に導電材料を与えることとを含む。電気的に接続することは、導電層を接地構造物に、導電材料を経由して電気的に接続することを引き起こし得る。開口における導電材料が、充填ビア又はコンフォーマルビアとなり得る。
【0019】
一実施形態において、方法はさらに、圧電層の一部分をエッチングすることと、圧電層のエッチング済み部分に導電材料を与えることとを含む。電気的に接続することは、導電層を接地構造物に、導電材料を経由して電気的に接続することを引き起こし得る。
【0020】
一実施形態において、方法はさらに、インターディジタルトランスデューサ電極の上に温度補償層を形成することを含む。
【0021】
一実施形態において、与えることは、弾性波デバイス構造物に、圧電層と導電層との間に配置される分散調整層を与えることを含む。
【0022】
一側面において、弾性波デバイスが開示される。弾性波デバイスは、基板の上の圧電層と、当該圧電層の上のインターディジタルトランスデューサ電極と、当該圧電層と当該基板との間に配置された導電層とを含む。弾性波デバイスはまた、基板の下に配置された接地構造物も含み、当該基板は、導電層と当該接地構造物との間に配置される。導電層は、接地構造物に電気的に接続される。
【0023】
一実施形態において、基板の少なくとも一部分を貫通するビアが、導電層と接地構造物との間の電気経路に含められる。ビアは、充填ビアとしてよい。ビアは、コンフォーマルビアとしてよい。
【0024】
一実施形態において、基板の側壁に沿って延びる導電材料が、導電層と接地構造物との間の電気経路に含められる。
【0025】
一実施形態において、接地構造物は、互いから離間した複数の接地構造部分を含む。
【0026】
一実施形態において、弾性波デバイスはさらに、インターディジタルトランスデューサ電極の上に配置された温度補償層を含む。
【0027】
一実施形態において、弾性波デバイスはさらに、圧電層と導電層との間に配置された絶縁層を含む。
【0028】
一実施形態において、インターディジタルトランスデューサ電極は、接地構造物に電気的に接続される。
【0029】
一実施形態において、導電層は、近似的に10ナノメートルと近似的に10ミクロンとの間の厚さを有する。
【0030】
一実施形態において、第1ビアが、接地構造物から導電構造物まで延び、第2ビアが、導電層を通って接地構造物からインターディジタルトランスデューサ電極まで延びる。
【0031】
一実施形態において、弾性波デバイスは、弾性表面波を生成するべく配列される。
【0032】
一側面において、弾性波フィルタが開示される。弾性波フィルタは弾性波デバイスを含む。弾性波デバイスは、基板の上の圧電層と、当該圧電層の上のインターディジタルトランスデューサ電極と、当該圧電層と当該基板との間に配置された導電層と、当該基板の下に配置された接地構造物とを含み、当該基板は、当該導電層と接地構造物との間に配置される。導電層は、接地構造物に電気的に接続される。弾性波フィルタはまた、複数の他の弾性波デバイスも含む。弾性波デバイス及び複数の他の弾性波デバイスは、無線周波数信号をフィルタリングするべく一緒に配列される。
【0033】
一つの側面において、弾性波デバイスを製造する方法が開示される。方法は、基板と、当該基板の上の導電層と、当該導電層の上の圧電層と、当該圧電層の上に配置されたインターディジタルトランスデューサ電極とを含む弾性波デバイス構造物を与えることを含み、当該導電層は当該基板と圧電層との間に配置される。方法はまた、導電層を、基板の下の接地構造物に電気的に接続することも含む。基板は、導電層と接地構造物との間に配置される。
【0034】
一実施形態において、方法はさらに、基板の少なくとも一部分を通る開口を形成することと、当該開口に導電材料を与えることとを含む。電気的に接続することは、導電層を接地構造物に、導電材料を経由して電気的に接続することを引き起こす。導電材料は、基板を貫通するビアを形成し得る。
【0035】
一実施形態において、方法はさらに、インターディジタルトランスデューサ電極の上に温度補償層を形成することを含む。
【0036】
一実施形態において、与えることは、弾性波デバイス構造物に、圧電層と導電層との間に配置される分散調整層を与えることを含む。
【0037】
一実施形態において、電気的に接続することはまた、接地構造物とインターディジタルトランスデューサ電極とを電気的に接続する。
【0038】
一実施形態において、電気的に接続することの後、第1ビアが、接地構造物から導電構造物まで延び、第2ビアが、導電層を通って接地構造物からインターディジタルトランスデューサ電極まで延びる。
【0039】
他側面において、弾性波共振器が、基板の上の圧電層と、当該圧電層の上のインターディジタルトランスデューサ電極と、当該インターディジタルトランスデューサ電極の上の接地構造物と、当該圧電層と基板との間に配置された導電層とを含む。導電層は、少なくとも圧電層を通って延びるビアを経由して、接地構造物に電気的に接続される。
【0040】
弾性波共振器は、弾性表面波を生成するべく構成された弾性表面波共振器としてよい。
【0041】
弾性波共振器はさらに、インターディジタルトランスデューサ電極の上に配置された分散調整層を含み得る。代替的又は付加的に、弾性波共振器は、圧電層と導電層との間に配置された分散調整層を含み得る。分散調整層は二酸化ケイ素を含み得る。
【0042】
導電層は、近似的に10ナノメートルと近似的に10ミクロンとの間の厚さを有し得る。導電層はアルミニウムを含み得る。
【0043】
基板は高速基板としてよい。接地構造物は銅プレートを含み得る。接地構造物は銅ピラーを含み得る。
【0044】
弾性波共振器はさらに、接地構造物の上にはんだパッドを含み得る。
【0045】
弾性波フィルタが、ここに開示の弾性波共振器のいずれかを含む弾性波共振器を含み得る。弾性波フィルタは、無線周波数信号をフィルタリングすることができる。
【0046】
無線通信デバイスが、アンテナと、当該アンテナと通信するここに開示の弾性波フィルタのいずれかとを含み得る。
【0047】
他側面において、弾性波共振器を製造する方法が開示される。方法は、弾性波共振器の少なくとも圧電層を通る開口を形成して導電層を露出させることであって、当該圧電層及び導電層は当該弾性波共振器の多層圧電基板に含まれることと、当該開口に導電材料を充填し、当該圧電層を通るビアを形成することと、当該導電層を当該ビアを経由して接地構造物に電気的に接続することとを含み、当該接地構造物は、当該圧電層と当該弾性波共振器のインターディジタルトランスデューサ電極との上に配置され、当該インターディジタルトランスデューサ電極は、当該圧電層の上に配置される。
【0048】
方法はさらに、インターディジタルトランスデューサ電極の上に分散調整層を含み得る。代替的又は付加的に、方法は、圧電層と導電層との間に分散調整層を形成することを含み得る。分散調整層は二酸化ケイ素を含み得る。弾性波共振器は、弾性表面波を生成するべく構成された弾性表面波共振器としてよい。
【0049】
他側面において、弾性波共振器が、基板の上の圧電層と、当該圧電層の上のインターディジタルトランスデューサ電極と、当該インターディジタルトランスデューサ電極の上の接地構造物と、当該圧電層と基板との間に配置された導電層とを含む。圧電層は、弾性波共振器の対向側にエッチング済み部分を有する。導電層は、圧電層のエッチング済み部分における導電材料を経由して接地構造物に電気的に接続される。
【0050】
弾性波共振器は、弾性表面波を生成するべく構成された弾性表面波共振器としてよい。弾性波共振器はさらに、インターディジタルトランスデューサ電極の上に配置された分散調整層を含み得る。代替的又は付加的に、弾性波共振器はさらに、圧電層と導電層との間に配置された分散調整層を含み得る。
【0051】
他側面において、弾性波共振器を製造する方法が開示される。方法は、弾性波共振器の圧電層の部分をエッチングすることと、エッチング済み部分を導電材料で充填することと、当該導電材料を接地構造物に電気的に接続することとを含み、当該圧電層は導電層の上に存在し、当該圧電層及び導電層は、当該弾性波共振器の多層圧電基板に含まれ、当該接地構造物は、当該圧電層と当該弾性波共振器のインターディジタルトランスデューサ電極との上に配置され、当該インターディジタルトランスデューサ電極は、当該圧電層の上に配置される。
【0052】
圧電層の部分をエッチングすることは、当該圧電層の部分をエッチバックすることを含み得る。弾性波共振器は、弾性表面波を生成するべく構成された弾性表面波共振器としてよい。
【0053】
方法はさらに、圧電層と導電層との間に配置された分散調整層の対応部分をエッチングすることと、当該分散調整層の対応エッチング済み部分を導電材料で充填することとを含み得る。
【0054】
方法はさらに、インターディジタルトランスデューサ電極の上の第2分散調整層の対応部分をエッチングすることと、当該第2分散調整層の対応エッチング済み部分を導電材料で充填することとを含み得る。
【0055】
本開示をまとめる目的で本イノベーションの所定の側面、利点及び新規な特徴が、ここに記載されてきた。理解されることだが、そのような利点の必ずしもすべてが、いずれかの特定の実施形態において達成されるというわけではない。よって、本イノベーションは、ここに教示される一つの利点又は一群の利点を、ここに教示又は示唆される他の利点を必ずしも達成することなく、達成又は最適化する態様で、具体化し又は実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
ここで、本開示の実施形態が、添付図面を参照する非限定的な例を介して記載される。
【0057】
【
図2】他の弾性表面波共振器の一部分の断面図である。
【
図3】他の弾性表面波共振器の一部分の断面図である。
【
図4A】一実施形態に係る多層圧電基板を有する他の弾性表面波共振器の一部分の断面図である。
【
図4B】他実施形態に係る多層圧電基板を有する他の弾性表面波共振器の一部分の断面図である。
【
図4C】他実施形態に係る多層圧電基板を有する他の弾性表面波共振器の一部分の断面図である。
【
図4D】他実施形態に係る多層圧電基板を有する他の弾性表面波共振器の断面図である。
【
図4E】他実施形態に係る多層圧電基板を有する他の弾性表面波共振器の断面図である。
【
図4F】他実施形態に係るコンフォーマルビアを含む多層圧電基板を有する弾性表面波共振器の一部分の断面図である。
【
図4G】他実施形態に係る多層圧電基板を有する他の弾性表面波共振器の断面図である。
【
図4H】他実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器の断面図である。
【
図4I】他実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器の断面図である。
【
図5】一実施形態に係る導電層なしの弾性波共振器と、導電層ありの弾性波共振器とを比較する受信及び送信のアイソレーション曲線のグラフである。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る導電層接合位置を示す多層圧電基板を有する弾性表面波共振器の一部分の断面図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係る異なる接合位置に導電層を有する弾性波共振器の伝送特性を比較するグラフである。
【
図8A】一実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器の一部分の断面図である。
【
図8B】一実施形態に係る多層圧電基板を有する他の弾性表面波共振器の一部分の断面図である。
【
図8C】一実施形態に係る多層圧電基板を有する他の弾性表面波共振器の一部分の断面図である。
【
図9A】一実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器を製造するプロセスを示すフローチャートである。
【
図9B】一実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器を製造する他のプロセスを示すフローチャートである。
【
図10A】一実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器の断面図である。
【
図10B】他実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器の断面図である。
【
図10C】他実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器の断面図である。
【
図10D】他実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器の断面図である。
【
図10E】他実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器の断面図である。
【
図10F】一実施形態に係る弾性表面波共振器を含む回路トポロジの模式的な図である。
【
図10G】他実施形態に係る弾性表面波共振器を含む回路トポロジの模式的な図である。
【
図11】一実施形態に係る弾性表面波共振器を含む送信フィルタの模式的な図である。
【
図12】一実施形態に係る弾性表面波共振器を含む受信フィルタの模式的な図である。
【
図13】一実施形態に係る弾性波デバイスを含む無線周波数モジュールの模式的な図である。
【
図14】一実施形態に係る弾性波コンポーネントを含む無線周波数モジュールの模式的な図である。
【
図15A】一つ以上の実施形態に係るフィルタを含む無線通信デバイスの模式的なブロック図である。
【
図15B】一つ以上の実施形態に係るフィルタを含む他の無線通信デバイスの模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
所定の実施形態の以下の詳細な説明は、特定の実施形態の様々な記載を表す。しかしながら、ここに記載のイノベーションは、例えば特許請求の範囲によって画定され及びカバーされる多数の異なる態様で具体化することができる。本記載において、同じ参照番号が同一の又は機能的に類似の要素を示し得る図面が参照される。理解されることだが、図面に示される要素は必ずしも縮尺どおりではない。さらに理解されることだが、所定の実施形態は、図面に示されるよりも多くの要素を含んでよく、及び/又は図面に示される要素の部分集合を含んでよい。さらに、いくつかの実施形態は、2つ以上の図面からの特徴のいずれかの適切な組み合わせを組み入れてよい。
【0059】
移動体通信の爆発的な成長に伴い、周波数スペクトルが密集しつつある。これは、無線周波数(RF)フィルタ及びデュプレクサが、急峻なロールオフ、低温ドリフト、低い挿入損失、小型サイズ等、又はこれらの任意の組み合わせを備えるように厳しい仕様を生んでいる。バルク弾性波(BAW)フィルタは、薄膜バルク弾性共振器(FBAR)フィルタ及び/又はソリッドマウント共振器(SMR)を含み得る。このようなBAWフィルタは、所定のアプリケーションにおいてRFフィルタに対する厳しい仕様を満たし得る。弾性表面波(SAW)フィルタは典型的に、温度にわたって高い周波数ドリフトを有する。このようなSAWフィルタは、厳格なフィルタ仕様を満たすことの困難性に遭遇し得る。しかしながら、BAWフィルタは一般に、SAWフィルタよりも高価であり、かつ、サイズが大きい。
【0060】
本開示の側面は、基板層の上にタンタル酸リチウム層(LT)又はニオブ酸リチウム(LN)層のようなリチウム系圧電層と、当該圧電層と基板層との間に配置された導電層を有する多層圧電基板を有する弾性表面波デバイスに関する。導電層は、圧電層の上に配置された接地構造物と電気的に連通し得る。いくつかの他のアプリケーションにおいて、導電層は、基板層の上に配置された接地構造物と電気的に連通し得る。
【0061】
被接地導電層を有する弾性表面波デバイスを含む弾性表面波フィルタ及び/又はデュプレクサにより、受信及び/又は送信のアイソレーションが改善される。例えば、入力ポート、出力ポート、及び圧電層上の他の信号パッドのいずれかの間の寄生容量により、アイソレーション劣化が引き起こされることがある。寄生容量は、入力ポート、出力ポート、及び他の信号パッド上の信号間の電気結合を引き起こし得る。被接地導電層を有する多層圧電基板は、この電気結合を減衰させることができる。
【0062】
弾性波フィルタは、携帯電話機のRFフロントエンドにおいてのような様々なアプリケーションにおいて、無線周波数(RF)信号をフィルタリングすることができる。弾性波フィルタには、弾性表面波(SAW)デバイスが実装され得る。SAWデバイスは、SAW共振器、SAW遅延線、及びマルチモードSAW(MMS)フィルタ(例えばダブルモードSAW(DMS)フィルタ)を含む。いくつかの実施形態が、例示を目的としてSAW共振器を参照して記載されるにもかかわらず、ここに開示される任意の適切な原理及び利点は、任意の他の適切なタイプのSAWデバイスに適用することができる。
【0063】
図1は、弾性表面波共振器130の一部分の断面図である。図示のように、弾性表面波共振器130は、圧電層142、圧電層142の上の接地構造物162、及び接地構造物162の上の一つ以上のパッド164を含む。圧電層142は、ニオブ酸リチウム(LN)層又はタンタル酸リチウム(LT)層のような任意の適切な圧電層としてよい。接地構造物162は、グランドに電気的に接続される。接地構造物162は、グランド接続を与えるべく配列された任意の導電構造物としてよい。接地構造物162は、導電プレート及び/又は一つ以上の導電ピラーを含み得る。接地構造物162は、弾性波コンポーネントの一つ以上のグランドパッドを含み得る。接地構造物162は、銅(Cu)、金(Au)、鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、接着剤付きのCu、Au、Pb、Al及びAgの導電粒子のうちの一つ以上の導電ペースト、並びにその同類のような、任意の適切な導電材料を含み得る。一つ以上のパッド164は、任意の適切なパッド材料を含み得る。図示のパッド164は、例えば、弾性表面波共振器130をモジュール又は回路基板に接続するべく使用することができる。
【0064】
図2は、多層圧電基板を有する弾性表面波共振器132の一部分の断面図である。弾性表面波共振器132は、
図1の弾性表面波共振器130と同様であるが、弾性表面波共振器132の圧電層142が、弾性表面波共振器132においてキャリア基板152の上に存在する点が異なる。この弾性表面波共振器132は、多層圧電基板弾性表面波共振器と称してよい。キャリア基板152は、シリコン基板、水晶基板、サファイヤ基板、セラミック基板、多結晶スピネル基板、又は任意の他の適切なキャリア基板としてよい。キャリア基板152は、支持基板、キャリアウェハ又は支持ウェハと称してよい。
【0065】
図3は、多層圧電基板を有する弾性表面波共振器134の一部分の断面図である。弾性表面波共振器134は、
図2の弾性表面波共振器132と同様であるが、弾性表面波デバイス134に導電層157が含まれる点が異なる。図示の導電層157は、キャリア基板152と圧電層142との間に配置される。
図3における導電層157は浮遊である。
図3における導電層157は、接地構造物162に電気的に接続されない。導電層157は、アルミニウム層、チタン層、鉄層、銅層、導電トレースのために使われる他の規格材料、又は任意の他の適切な導電層としてよい。
【0066】
図4Aは、一実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器136の一部分の断面図である。この弾性表面波共振器136は、多層圧電基板弾性表面波共振器と称してよい。弾性表面波共振器136は、
図2の弾性表面波共振器132と同様であるが、導電層158が接地構造物162に電気的に接続される点が異なる。したがって、導電層158は、接地されるように構成される。図示の導電層158は、キャリア基板152と圧電層142との間に配置される。図示のように、導電層158は、圧電層142まわりの導電材料の巻き付け部分143によってグランドに電気的に接続され、導電層158は、接地構造物162に電気的に接続される。したがって、
図3の浮遊導電層157とは異なり、導電層158は、図示のように接地され得る。巻き付け部分143は、圧電層142の側壁の少なくとも一部分に沿って延びる導電材料を含む。この側壁は、導電層158と接地構造物162との間の電気経路に含まれる。導電層158は、アルミニウム層、又は任意の他の適切な導電層としてよい。導電層158は、近似的に1ミクロンの厚さ、近似的に0.5ミクロンと近似的に2ミクロンとの間の厚さ、近似的に10ナノメートルと近似的に10ミクロンとの間の厚さ、又は10ミクロンを超える厚さを有し得る。
【0067】
一つの巻き付け部分143が、
図4Aにおいて、弾性表面波共振器136の左側に示される。しかしながら、いくつかの他の実施形態において、弾性表面波共振器136は、2つ以上の巻き付け部分を含んでよい。例えば、弾性表面波共振器136は、
図4Aにおいて弾性表面波共振器136の左側及び右側に巻き付け部分143を含んでよい。かかる実施形態において、より強いグランド接続のための付加グランド接続部が存在してよい。
【0068】
図4Cは、一実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器137の一部分の断面図である。弾性表面波共振器137の多層圧電基板は、ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従って実装された導電層158を含み得る。図示のように、弾性表面波共振器137は、キャリア基板152の上に圧電層142を含む。導電層158は、キャリア基板152と圧電層142との間に配置される。インターディジタルトランスデューサ(IDT)電極144が、圧電層142の上に配置される。IDT電極144は、図示のように圧電層142と物理的に接触してよい。IDT電極144は、アルミニウム(Al)、又はその任意の適切な合金を含み得る。IDT電極144は、いくつかの例において2つ以上の導電層を含み得る。そのようなIDT電極144は、アルミニウム(Al)と、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、チタン(Ti)等のような他の導電層とを含み得る。いくつかの実施形態において、IDT電極144は、多層IDT電極としてよい。
【0069】
図4Bの弾性表面波共振器137は、導電層158と、
図4Aの弾性波共振器136の接地構造物162との間に電気的連通を与える一つのアプローチを示す。弾性表面波共振器137において、圧電層142の、一つ以上の部分を、製造中に導電層158を露出させるように除去することができる。除去された部分は、導電材料160で充填され、導電材料160が、圧電層142の上に配置され得る導電層158及び接地構造物162(図示せず)と接触する。導電材料160は、導電層158と接地構造物162との間の電気経路に含まれ得る。すなわち、導電層158は、導電材料160を経由して接地構造物162に電気的に接続される。
【0070】
圧電層142の一つ以上のエッチング済み部分は、ウェットエッチング、ドライエッチング、化学機械平面化(CMP)、レーザドリリング等のような任意の適切なエッチングプロセスを使用して、弾性表面波共振器137の一つ以上のエッジからエッチングにより除去され及び/又はエッチバックされ得る。導電材料160は、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、電気化学蒸着(ECD)、分子線エピタキシー(MBE)、原子層蒸着(ALD)、電子ビーム蒸着等のような任意の適切な堆積プロセスを使用して、エッチング済み部分に堆積され得る。導電材料160は、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、チタン(Ti)等のような任意の適切な導電材料としてよい。
【0071】
図4Cは、他実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器138の一部分の断面図である。弾性表面波共振器138の多層圧電基板は、ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従って実装された導電層158を含み得る。弾性表面波共振器138は、
図4Bの弾性表面波共振器137と同様であるが、
図4Cが、
図4Aの導電層158と接地構造物162との電気的連通を与える他のアプローチを示す点が異なる。
【0072】
弾性表面波共振器138において、導電材料で充填された一つ以上のビア166が、導電層158と、圧電層142の上に配置され得る接地構造物162(図示せず)との電気的連通を与える。ビア166は、導電層158と接地構造物162との間の電気経路に含まれる。ビア166が充填ビアとして示されるにもかかわらず、ビア166は、コンフォーマルビア(
図4F参照)としてもよい。任意の他の適切な導電構造物を、代替的又は付加的に、導電層158と接地構造物162との間の電気経路に実装してよい。ビア166は、スルーホールビアを含んでよい。
【0073】
ビア166を、任意の適切なビア形成プロセスを使用して形成することができる。例えば、製造中に導電層158を露出させるべく、開口を、少なくとも圧電層142を通るように形成することができる。開口は、導電層158の上面まで、導電層158の表面の下に、等のように延び得る。一側面において、開口は、任意の適切なエッチングプロセスを使用して形成することができる。開口を導電材料で充填し、圧電層142を通るビア166を形成してビア166の導電材料を導電層158に接触させることができる。一側面において、開口には、任意の適切な堆積プロセスを使用して、導電材料を充填することができる。一側面において、圧電層142を通るビア166を形成するべく開口を導電材料で充填する前に、開口の側壁を電気的絶縁材料によってライニングしてよい。ビア166の導電材料はまた、接地構造物162に接触してよい。接地構造物162は、一つ以上のビア166を通して接地構造物162と導電層158との間の電気的連通を与えるべく、圧電層142の上に配置することができる。
【0074】
導電材料160は、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)等のような任意の適切な導電材料としてよい。絶縁材料の例は、二酸化ケイ素(SiO2)、酸窒化シリコン化合物(SiON)、窒化ケイ素化合物(SiN)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化アルミニウム(Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、シリコンオンガラス(SOG)、ポリイミド等である。
【0075】
図4Dは、他実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器138aの断面図である。弾性波共振器138aは、
図4Cに示される弾性波共振器138と一般に同様であるが、図示の弾性波共振器138aが接地構造物162aを含む点が異なる。接地構造物162aは、圧電層の上に設けられ、ビア166を介して導電層158と電気的に連通する。接地構造物162aの複数部分は、IDT電極144の上に配置される。接地構造物162aは、グランド電位に構成された導電シートとしてよい。一例として、接地構造物162aは、グランド電位に構成された銅シートとしてよい。
【0076】
図4Eは、他実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器138bの断面図である。弾性波共振器138bは、
図4Dに示される弾性波共振器138aと一般に同様であるが、弾性波共振器138bにおける接地構造物162bが、互いから離間した接地構造部分を含む点が異なる。接地構造物162bは、圧電層の上に設けられ、ビア166を介して導電層158と電気的に連通する。接地構造物162bは、IDT電極144よりも圧電層142から遠くに存在する。接地構造物162bの接地構造部分は、IDT電極144から側方に配置してよい。接地構造物162bは、導電ピラー及び/又は導電パッドを含んでよい。接地構造物162bは、所定のアプリケーションにおいて銅を含み得る。
【0077】
図4Fは、他実施形態に係るコンフォーマルビア167を含む多層圧電基板を有する弾性表面波共振器の一部分の断面図である。弾性表面波共振器の当該一部分は、導電層158と、導電層158の上の圧電層142とを含み得る。コンフォーマルビア167は、圧電層142の複数部分によって画定されたビアホールの、少なくとも側壁に沿って等角的に配置された導電材料を含み得る。導電材料はまた、導電層158の一部分によって画定されたビアホールの底に配置され得る。導電材料はまた、圧電層142の少なくとも一部分上に配置してよい。したがって、導電材料は、コンフォーマルビア167から側方に配置されるIDT電極のような、圧電層142上の他素子との電気的な接続を与えることができる。コンフォーマルビア167は、ここに開示の実施形態のいずれかの任意の適切な原理及び利点に従って利用することができる。いくつかの実施形態において、コンフォーマルビア167は、例えば、
図4B~4Eのいずれかに示される導電材料160又はビア166の代わりに使用することができる。いくつかの他の実施形態によれば、コンフォーマルビア167と他タイプのビアとの組み合わせを弾性波デバイスに実装してよい。例えば、導電ピラーを、圧電層142の一部分上に配置されたコンフォーマルビアの導電材料の一部分に設け及び/又は接続してよい。
【0078】
図4Gは、他実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器138cの断面図である。
図4B~4Eにおいてのように、弾性表面波共振器138cは、キャリア基板152と、キャリア基板152の上の圧電層142と、キャリア基板152と圧電層142との間の導電層158とを含む。弾性表面波共振器138cはまた、温度補償層156と、温度補償層156の上に少なくとも圧電層142の側壁に沿って等角的に配置された導電材料169とを含む。いくつかの他例において、パッシベーション層、分散調整層、エアキャビティ等の一つ以上を、温度補償層156と導電材料169との間に配置することができる。
【0079】
温度補償層156は、二酸化ケイ素(SiO2)層又は任意の他の適切な温度補償層としてよい。温度補償層156は、正の周波数温度係数を有する任意の他の適切な材料の層としてよい。例えば、温度補償層156は、所定のアプリケーションにおいて、二酸化テルル(TeO2)層又はオキシフッ化ケイ素(SiOF)層としてよい。温度補償層156は、SiO2、TeO2及び/又はSiOFの任意の適切な組み合わせを含み得る。温度補償層156は、いくつかのアプリケーションにおいてパッシベーション層としてよい。導電材料169は、任意の適切な導電材料を含み得る。導電材料169は、例えば、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)等を含んでよい。
【0080】
導電材料169は、接地構造物としての役割を果たし得る。いくつかのアプリケーションにおいて、弾性表面波共振器138cは、導電材料169の上に他の接地構造物(図示せず)を含み得る。導電材料169は、導電層158と他の接地構造物との間の電気経路に含まれ得る。したがって、導電層158は、圧電層142の側壁に沿った導電材料169を経由して接地構造物に電気的に接続され得る。
【0081】
図4Hは、他実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器138dの断面図を示す。この弾性表面波共振器138dは、多層圧電基板弾性表面波共振器と称してよい。図示のように、弾性表面波共振器138dは、キャリア基板152と、圧電層142と、圧電層142の上の接地構造物162dと、圧電層142に接するインターディジタルトランスデューサ電極144と、キャリア基板152と圧電層142との間の導電層158と、接地構造物162dの上の一つ以上のパッド164とを含む。図示のように、導電層158は、導電材料の一部分143を圧電層142まわりに巻き付けることによってグランドに電気的に接続され、導電層158は、接地構造物162dに電気的に接続される。
【0082】
一つ以上のパッドは、信号接続のための信号パッド164aと、グランド接続のためのグランドパッド164bとを含み得る。グランドパッド164bは、接地構造物162dに接続される。接地構造物162dは、導電部分163a、163b、163cを含み得る。接地構造物162dの導電部分163a、163b、163cは、銅(Cu)、金(Au)、鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、接着剤付きのCu、Au、Pb、Al及びAgの導電粒子のうちの一つ以上の導電ペースト、又はその同類のような、任意の適切な導電材料を含み得る。導電部分163aは、IDT電極144よりも厚くてよい。弾性表面波共振器138dはまた、接地構造物162dのための物理的支持を与え得る誘電体部分172a、172bを含む。
【0083】
図4Iは、他実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器138eの断面図を示す。弾性表面波共振器138eは、
図4Hに示される弾性表面波共振器138dと同様であるが、
図4Iにおける導電層158が、ビア166を経由して接地構造物162dに接続される点が異なる。
【0084】
図5は、
図1~2に示される導電層なし弾性波共振器と、
図3に示される浮遊導電層あり弾性波共振器との、
図4Aに示される接地された導電層あり弾性波共振器と比べての、送信及び受信のアイソレーション曲線のグラフである。代表LT(REF)の送信及び受信のアイソレーション曲線を、
図1の弾性表面波共振器130に関連付けることができる。代表LT/Siの送信及び受信のアイソレーション曲線を、
図2の弾性表面波共振器132に関連付けることができ、代表LT/導電層(浮遊)の送信及び受信のアイソレーション曲線を、
図3の弾性表面波共振器134に関連付けることができる。代表LT/導電層(GNDに接続)/Siの送信及び受信のアイソレーション曲線を、
図4Aの弾性表面波共振器136に関連付けることができる。
【0085】
グラフは、キャリア基板152と圧電層142との間に配置された浮遊導電層が、アイソレーションを劣化させ得ることを示す。
図5はまた、キャリア基板152と圧電層142との間の導電層が、アイソレーションを改善し得ることを示す。
図5は、導電層が圧電層とキャリア基板との間に配置された多層圧電基板を有する弾性波共振器が、多層基板内の電子結合を抑制し得るということを示す。この電子結合の抑制により、送信及び受信のアイソレーションが改善し得る。
【0086】
図6は、一実施形態に係る導電層接合位置を示す多層圧電基板を有する弾性表面波共振器600の一部分の断面図である。図示のように、弾性波共振器600は、キャリア基板606と、キャリア基板606の上の圧電層602と、圧電層602とキャリア基板606との間に配置された二酸化ケイ素(SiO
2)層604及び導電層608と、圧電層602の上のIDT電極610とを含む。導電層608は、グランド接続のための接地構造物に接続されるように構成される。キャリア基板606は、高速キャリア基板、シリコン基板、水晶基板、サファイヤ基板、セラミック基板、多結晶スピネル基板、又は任意の他の適切なキャリア基板としてよい。二酸化ケイ素層604は分散調整層としてよい。圧電層602は、ニオブ酸リチウム層又はタンタル酸リチウム層のような任意の適切な圧電層としてよい。IDT電極610は、図示のように圧電層602と物理的に接触してよい。IDT電極610は、アルミニウム(Al)、アルミニウムの任意の適切な合金、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、チタン(Ti)等を含み得る。
【0087】
図6は、導電層608にとっての接合箇所の3つの例を示す。他側面において、他の接合位置も使用し得る。第1の例示箇所において、導電層608は、導電層608Aによって表され、圧電層602と二酸化ケイ素層604との間に配置される。例示の第2箇所において、導電層608は、導電層608Bによって表され、二酸化ケイ素層604の中に配置される。第3の例示箇所において、導電層608は、導電層608Cによって表され、二酸化ケイ素層604とキャリア基板606との間に配置される。
【0088】
図7は、
図6に示される異なる接合位置A、B及びCに導電層608を有する弾性波共振器600の伝送特性を比較するグラフである。
図7は、導電層を接合位置Aに含む多層圧電基板を有する弾性波共振器に対する伝送特性が、導電層を接合位置B又はCに含む多層圧電基板を有する弾性波共振器と比べて劣化していることを示す。具体的には、例えば、導電層を接合位置Aに含む多層圧電基板を有する弾性波共振器の反共振が、導電層を接合位置B又はCに含む多層圧電基板を有する弾性波共振器と比べて劣化している。
【0089】
図7はさらに、二酸化ケイ素層及び導電層を接合位置Cに含む多層圧電基板を有する弾性波共振器が、二酸化ケイ素層及び導電層を接合位置A又はBに含む多層圧電基板を有する弾性波共振器と比べて良好な伝送特性を与えることを示す。例えば、接合位置Aにおいて、導電層608Aは圧電層602に直接接触し、IDT電極610の電気性能が劣化し得る。二酸化ケイ素層の誘電率が圧電層602の誘電率よりも小さいので、二酸化ケイ素層604による絶縁が、IDT電極610の電気特性を改善するのに役立ち得る。したがって、いくつかの実施形態において、導電層を、当該層と圧電層602との間に十分な厚さを有する絶縁層(例えば二酸化ケイ素層604)とともに配置することが好ましくなり得る。
【0090】
接地構造物に電気的に接続された導電層を、様々な異なる多層圧電基板弾性波デバイスに実装することができる。そのような弾性波デバイスの複数例を、
図8A~8Cを参照して以下に記載する。これらの弾性波デバイスの例はいずれも、圧電層の上方に配置された接地構造物への任意の適切な電気接続に実装することができる。代替的又は付加的に、これらの弾性波デバイスの例はいずれも、キャリア基板の下方に配置された接地構造物への任意の適切な電気接続に実装することができる。
【0091】
図8Aは、一実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器153の一部分の断面図である。弾性表面波共振器153は、ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従う多層圧電基板を含み得る。図示のように、弾性表面波共振器153は、キャリア基板152と、キャリア基板152の上の導電層158、当該導電層の上の分散調整層154と、分散調整層154の上の圧電層142と、圧電層142の上のIDT電極144とを含む。
【0092】
キャリア基板152は、シリコン基板、水晶基板、サファイヤ基板、セラミック基板、多結晶スピネル基板、又は任意の他の適切なキャリア基板としてよい。図示の導電層158は、分散調整層154とキャリア基板152との間に配置される。導電層158は、アルミニウム(Al)層、任意の適切なアルミニウム(Al)合金層、モリブデン(Mo)層、タングステン(W)層、金(Au)層、銀(Ag)層、銅(Cu)層、白金(Pt)層、ルテニウム(Ru)層、チタン(Ti)層、又は任意の他の適切な導電層を含み得る。導電層158は、いくつかの例において、2つ以上の導電層を含み得る。
【0093】
図示の分散調整層154は、導電層158と圧電層142との間に配置される。分散調整層154は、代替的又は付加的に、任意の適切な絶縁層、温度補償層、誘電層及び/又は接着層を含んでよい。分散調整層154は、窒化ケイ素層、二酸化ケイ素層、又は任意の他の適切な分散調整層としてよい。圧電層142は、ニオブ酸リチウム(LN)層又はタンタル酸リチウム(LT)層のような任意の適切な圧電層としてよい。IDT電極144は、図示のように圧電層142と物理的に接触してよい。IDT電極144は、アルミニウム(Al)、又はその任意の適切な合金を含み得る。IDT電極144は、いくつかの例において2つ以上の導電層を含み得る。そのようなIDT電極144は、アルミニウム(Al)と、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、チタン(Ti)等のような他の導電層とを含み得る。
【0094】
導電層158は、弾性表面波共振器153において圧電層142の上に配置された接地構造物と電気的に連通し得る。代替的又は付加的に、導電層158は、キャリア基板152の下に配置された接地構造物と電気的に連通してよい。導電層158は、導電層158と称してよい。一側面において、分散調整層154及び圧電層142は、弾性表面波共振器153の一つ以上のエッジにおいてエッチングにより除去され又はエッチバックされ得る。エッチングにより除去され又はエッチバックされた部分は、導電材料により充填され、当該導電材料が、接地構造物及び導電層158に電気的に連通する。他側面において、少なくとも一つのビアが、弾性表面波共振器153の圧電層142及び分散調整層154を通るように形成され、当該ビアを充填する導電材料が、接地構造物と導電層158との間に電気的連通を与える。
【0095】
図8Bは、他実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器155の一部分の断面図である。弾性表面波共振器155は、ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従う多層圧電基板を含み得る。弾性表面波共振器155は、
図8Aの弾性表面波共振器153と同様であるが、分散調整層154が多層圧電基板に含まれない点が異なる。その代わり、温度補償層156が、弾性表面波デバイス155に含まれる。図示の温度補償層156は、IDT電極144の上に配置される。温度補償層156は、二酸化ケイ素層又は任意の他の適切な温度補償層としてよい。温度補償層156は、いくつかのアプリケーションにおいて、パッシベーション層としての役割を果たし得る。温度補償層156は、弾性表面波共振器155の周波数温度係数(TCF)を、ゼロの近くにもたらすことができる。例えば、圧電層142は負のTCFを有し、温度補償層156は正のTCFを有し得る。温度補償層156は、圧電層142とは反対のTCFを有し得る。
【0096】
導電層158は、弾性表面波共振器155において圧電層142の上に配置された接地構造物と電気的に連通し得る。代替的又は付加的に、導電層158は、キャリア基板152の下に配置された接地構造物と電気的に連通してよい。一側面において、少なくとも圧電層142が、弾性表面波共振器155の一つ以上のエッジにおいてエッチングにより除去され又はエッチバックされ得る。エッチングにより除去され又はエッチバックされた部分は、導電材料により充填され、当該導電材料が、接地構造物及び導電層158に電気的に連通する。他側面において、少なくとも一つのビアが、少なくとも弾性表面波共振器155の圧電層142を通るように形成され、当該ビアを充填する導電材料が、接地構造物と導電層158との間に電気的連通を与える。いくつかの例において、温度補償層156は、導電層142と接地構造物との間の介在層となり得る。このようなケースでは、温度補償層156の対応部分がエッチングされて導電材料を充填され、又は少なくとも一つのビアが、温度補償層156及び圧電層142を通るように形成され得る。
【0097】
図8Cは、他実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器159の一部分の断面図である。弾性表面波共振器159は、
図8Aの弾性表面波共振器153と同様であるが、温度補償層156が弾性表面波共振器159に含まれる点が異なる。弾性表面波共振器159は、ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従う多層圧電基板を含み得る。いくつかの例において、分散調整層154と温度補償156とは同じ材料となり得る。分散調整層154と温度補償156とは、所定例において、異なる材料となり得る。
【0098】
導電層158は、弾性表面波共振器159において圧電層142の上に配置された接地構造物と電気的に連通し得る。代替的又は付加的に、導電層158は、キャリア基板152の下に配置された接地構造物と電気的に連通してよい。一側面において、温度補償層156、圧電層142及び分散調整層154は、弾性表面波共振器159の一つ以上のエッジにおいてエッチングにより除去され又はエッチバックされ得る。エッチングにより除去されエッチバックされた部分は、導電材料で充填され、当該導電材料が、接地構造物及び導電層158に電気的に連通する。他側面において、少なくとも一つのビアが、弾性表面波共振器159の温度補償層156、圧電層142及び分散調整層154を通るように形成され、当該ビアを充填する導電材料が、接地構造物と導電層158との間に電気的連通を与える。
【0099】
弾性波デバイスは、様々な態様で製造することができる。一実施形態に係る弾性波デバイスを製造する方法は、弾性波デバイス構造物を与えることを含む。弾性波構造物は、基板と、当該基板の上の導電層と、当該導電層の上の圧電層と、当該圧電層の上のインターディジタルトランスデューサ電極とを含み、当該導電層は、当該基板と圧電層との間に配置される。方法はまた、導電層を、圧電層の上に配置された接地構造物に電気的に接続することにより、当該導電層を接地することも含む。
【0100】
弾性波デバイスを製造する方法は、導電層を露出させるべく圧電層の少なくとも一部分を通る開口を形成することと、当該開口に導電材料を与えることとを含み得る。いくつかの実施形態において、導電材料を与えることは、導電材料層を形成することを含み得る。開口における導電材料は、導電層と接地構造物との間に電気的な接続を与え得る。例えば、開口における導電材料は、充填ビア又はコンフォーマルビアを画定し得る。
【0101】
所定の実施形態において、弾性波デバイスを製造する方法は、圧電層の一部分をエッチングすることと、当該圧電層のエッチング済み部分に導電材料を与えることとを含み得る。エッチング済み部分における導電材料は、導電層と接地構造物との間に電気的な接続を与え得る。
【0102】
方法は、いくつかの実施形態において、インターディジタルトランスデューサ電極の上に温度補償層を形成することを含み得る。
【0103】
弾性波デバイス構造物はまた、所定のアプリケーションにおいて、圧電層と導電層との間に配置された分散調整層を含み得る。
【0104】
ここに開示される任意の適切な原理及び利点は、ラム波共振器又は弾性境界波共振器のような任意の他のタイプの弾性波共振器及び/又は弾性波デバイスに実装することができる。ラム波共振器は、圧電層上のIDT電極と、IDT電極の対向側において圧電層上に配置された反射グレーティングとを含み得る。反射グレーティングは、IDT電極により誘起された弾性波を反射して当該共振器の中に共振キャビティを形成する。反射グレーティングは、圧電層上に、周期的なパターンの金属を含み得る。ラム波共振器は、ここに説明される任意の適切な原理及び利点に従う多層圧電基板弾性波共振器を含む。
【0105】
図9A及び9Bは、所定の実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性波共振器を製造するプロセスを示すフローチャートである。弾性波共振器は、キャリア基板と、当該キャリア基板の上の圧電層と、当該圧電層とキャリア基板との間の導電層と、当該圧電層の上のIDT電極と、当該圧電層の上に配置されたグランドへの電気接続を与えるべく構成された接地構造物とを含み得る。いくつかの側面において、弾性波共振器はさらに、圧電層とキャリア基板との間に配置された分散調整層、又はIDT電極の上の分散調整層を含み得る。いくつかの側面において、弾性波共振器はさらに、2つの分散調整層を含み得る。ここで、第1分散調整電極が圧電層とキャリア基板との間に配置され、第2分散調整層がIDT電極の上に配置される。いくつかの側面において、弾性波共振器は、弾性波共振器136、153、155及び159のいずれかとしてよい。
【0106】
図9Aは、導電層を露出させるべく、導電層と接地構造物との間の複数の層の部分を除去するプロセスを示す。例えば、
図4Bの弾性波共振器137及び
図4Aの弾性波共振器136において、図示のように、除去された部分が導電材料により充填される。
【0107】
工程902において、少なくとも圧電層の部分が除去され、導電層が露出される。一側面において、導電層と接地構造物との間の任意の介在層の対応部分もまた、導電層を露出されるべく除去される。任意の適切なエッチングプロセスを使用して当該層の部分を除去することができる。
【0108】
工程904において、エッチング済み部分が導電材料により充填され、当該導電材料を導電層に電気的に連通させる。任意の適切な堆積プロセスを使用して、エッチング済み部分に導電材料を堆積することができる。一側面において、充填部分は、圧電層の上方に接地構造物まで延びる。
【0109】
工程906において、接地構造物が、充填された導電材料に電気的に接続され、導電層が、充填された導電材料を通して接地構造物に電気的に接続される。
【0110】
図9Bは、導電層と接地構造物との間に一つ以上のビアを製作するプロセスを示す。
図4Cの弾性波共振器138において図示されるように、一つ以上のビアが導電材料により充填される。
【0111】
工程912において、導電層を露出させるべく少なくとも圧電層を通るビアが形成される。一側面において、ビアは、導電層と接地構造物との間の任意の介在層を通って導電層を露出させるように形成される。例えば、圧電層及び任意の介在層を通って導電層を露出させる開口が形成される。任意の適切なエッチングプロセスを使用して開口を形成することができる。
【0112】
工程914において、開口が導電材料により充填され、当該導電材料が導電層に電気的に連通する。任意の適切な堆積プロセスを使用して、開口に導電材料を堆積することができる。一側面において、ビアは、接地構造物の圧電層の上方に延びる。
【0113】
工程916において、接地構造物は、ビアの導電材料に電気的に接続され、導電層は、当該ビアを介して接地構造物に電気的に接続される。
【0114】
所定の実施形態が、弾性波デバイスを圧電層の上の接地構造物に関連付けているが、いくつかの他の実施形態において、接地構造物は、キャリア基板の下方に配置される。接地構造物がキャリア基板の下に配置され、キャリア基板の側壁を貫通する及び/又は当該側壁に沿って延びる一つ以上のビア及び/又は他の導電構造物は、導電層と接地構造物との間の電気経路に含まれ得る。キャリアウェハの導電構造物に対する反対側に接地構造物を有する実施形態を、
図10A及び10Bを参照して以下に記載する。
【0115】
図10Aは、一実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器170の断面図である。弾性表面波共振器170は、キャリア基板152と、キャリア基板152の上の圧電層142と、圧電層142の上のIDT電極144と、キャリア基板152と圧電層142との間の導電層158と、圧電層142と導電層158との間の分散調整層154とを含む。表面弾性共振器170はまた、キャリア基板152の下に配置された接地構造物162cも含む。図示のように、接地構造物162cは、キャリア基板152の、導電層158に対する反対側に存在する。接地構造物162cは、キャリア基板152の、圧電層142に対する反対側に存在する。
【0116】
接地構造物162cは、キャリア基板152を通るビア166aを経由して導電層158に電気的に接続される。接地構造物162cは、2つ以上のビア166aにより導電層158に電気的に接続され得る。接地構造物162cは、ここに開示の接地構造物のいずれかの任意の構造及び機能を有してよい。例えば、接地構造物162cは、一つ以上の導電パッドを含み得る。代替的に、接地構造物は導電プレートを含み得る。
【0117】
図10Bは、一実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器171の断面図である。弾性表面波共振器171は、
図10Aに示される弾性表面波共振器170と一般に同様となり得るが、ビア166bがまた、圧電層142及び分散調整層154も貫通する点が異なる。ビア166aは、図示のように、IDT電極144電気的に接続される。ビア166bは、IDT電極144にグランド接続を与え得る。ビア166bは、図示のように、IDT電極144の導電材料と整列し得る。これにより、IDT電極144とグランドとの間に良好な電気的接続が得られる。図示のように、弾性表面波共振器は、ビア166a及びビア166bの双方を含み得る。
【0118】
図10Cは、一実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器173の断面図である。弾性表面波共振器173は、キャリア基板152と、キャリア基板152の上の圧電層142と、圧電層142の上のIDT電極144と、キャリア基板152と圧電層142との間の導電層158と、圧電層142と導電層158との間の分散調整層154とを含む。表面弾性共振器173はまた、キャリア基板152の下に配置された接地構造物162cも含む。図示のように、接地構造物162cは、キャリア基板152の、導電層158に対する反対側に存在する。接地構造物162cは、キャリア基板152の、圧電層142に対する反対側に存在する。
【0119】
接地構造物162cは、導電構造物174を経由して導電層158及びIDT電極144に電気的に接続される。導電構造物174の一部分が、弾性波共振器173の側壁の少なくとも一部分に沿って配置される。導電構造物174は、弾性波共振器173の側壁の一部又はすべてに沿って従順に配置され得る。導電構造物174は、IDT電極174にグランド接続を与え得る。いくつかの他のアプリケーションにおいて、導電構造物174は、一つ以上の弾性反射器にグランド接続を与え得る。
【0120】
図10Dは、一実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器175の断面図である。弾性表面波共振器175は、弾性表面波共振器173と同様であるが、弾性表面波共振器175が、接地構造物162cを導電層158及びIDT電極144に電気的に接続する導電構造物174と、接地構造物162cを導電層158に電気的に接続する導電構造物176とを含む点が異なる。弾性表面波共振器175において、導電構造物174及び176は異なる側壁に沿って延びる。導電構造物174は、導電構造物176よりも多くの、弾性表面波共振器175の層に沿って延びる。
【0121】
図10Eは、一実施形態に係る多層圧電基板を有する弾性表面波共振器177の断面図である。弾性表面波共振器177は、弾性表面波共振器173と同様であるが、弾性表面波共振器175が、接地構造物162cを導電層158及びIDT電極144に電気的に接続する導電構造物174と、キャリア基板152を貫通するビア166aとを含む点が異なる。弾性表面波共振器177において、導電構造物174は単数の側壁に沿って延びる。
【0122】
図10F及び10Gは、2つの実施形態に係る弾性表面波共振器を含む回路トポロジの模式的な図である。これらの回路トポロジは、直列共振器182及びシャント共振器184を含むラダーフィルタの一部分を示す。少なくともシャント共振器184は、ここに開示されるいずれかの実施形態に係る多層圧電基板弾性表面波共振器としてよい。
図10Fにおいて、導電層158への一つのグランド接続部が存在する。
図10Gにおいて、導電層158への3つのグランド接続部が存在する。図示のように、グランド接続部は、導電層158に接続される。
図10F及び10Gにおいて、導電層158は、シャント弾性表面波共振器184とグランドとの間に電気的に接続される。図示のように、シャントインダクタンスが、各グランド接続部とグランドとの間に存在し得る。したがって、一つのシャントインダクタンスが
図10Fに示され、3つのシャントインダクタンスが
図10Gに示される。いくつかの実施形態において、
図10Fに示されるシャント弾性表面波共振器と比べると、
図10Gに示されるシャント弾性表面波共振器は、グランドへの接続部に関連付けられた下側インダクタンスを有し得る。
【0123】
弾性波デバイスは、様々な態様で製造することができる。一実施形態に係る弾性波デバイスを製造する方法は、弾性波デバイス構造物を与えることを含む。弾性波デバイス構造物は、基板と、当該基板の上の導電層と、当該導電層の上の圧電層と、当該圧電層の上のインターディジタルトランスデューサ電極とを含み、当該導電層は、当該基板と圧電層との間に配置される。弾性波デバイスを製造する方法はまた、導電層を基板の下の接地構造物に電気的に接続することも含む。基板は、導電層と接地構造物との間に配置される。
【0124】
いくつかの実施形態において、方法はまた、基板の少なくとも一部分を通る開口を形成することと、当該開口に導電材料を与えることとを含み得る。開口における導電材料は、導電層と接地構造物との間に電気的な接続を与え得る。開口における導電材料は、基板を貫通するビアを画定し得る。
【0125】
所定の実施形態において、弾性波デバイスを製造する方法はまた、インターディジタルトランスデューサ電極の上に温度補償層を形成することも含み得る。
【0126】
弾性波デバイス構造物は、いくつかの実施形態において、圧電層と導電層との間に配置された分散調整層を含み得る。
【0127】
所定の実施形態において、接地構造物とインターディジタルトランスデューサ電極とは、電気的に接続することによって電気的に接続され得る。そのようないくつかの実施形態において、電気的に接続することの後、第1ビアが、接地構造物から導電構造物まで延び、第2ビアが、導電層を通って接地構造物からインターディジタルトランスデューサ電極まで延びる。したがって、電気的に接続することは、導電構造物にグランド接続を与えることができる。
【0128】
ここに開示される特徴の任意の適切な組み合わせを含む弾性波デバイスは、周波数範囲1(FR1)内の第5世代(5G)ニューラジオ(NR)動作帯域にある無線周波数信号をフィルタリングするべく配列されたフィルタに含まれ得る。5G NR動作帯域における無線周波数信号をフィルタリングするべく配列されたフィルタは、ここに開示される一つ以上のSAWデバイスを含み得る。FR1は、現行の5G NR仕様によれば、例えば410MHzから7.125GHzとすることができる。多層圧電基板に被接地導電層を有する弾性波デバイスは、弾性波デバイスを含む弾性波デバイスのポート間のアイソレーションを改善することができる。そのように改善したアイソレーションは、5G NRアプリケーションにとって望ましくなり得る。
【0129】
ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従う一つ以上のSAWデバイスは、4G LTE動作帯域における無線周波数信号をフィルタリングするべく配列されたフィルタに含めてよい。ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従う一つ以上のSAW共振器は、4G LTE動作帯域及び5G NR動作帯域を含む通過帯域を有するフィルタにおいて無線周波数信号をフィルタリングするべく配列されたフィルタに含めることができる。
【0130】
図11は、一実施形態に係る弾性波共振器を含む送信フィルタ180の例の模式的な図である。送信フィルタ180は帯域通過フィルタとしてよい。図示の送信フィルタ180は、送信ポートTXにおいて受信した無線周波数信号をフィルタリングし、フィルタリングされた出力信号をアンテナポートANTに与えるべく配列される。送信フィルタ180は、直列SAW共振器TS1、TS2、TS3、TS4、TS5、TS6及びTS7、シャントSAW共振器TP1、TP2、TP3、TP4及びTP5、直列入力インダクタL1、並びにシャントインダクタL2を含む。弾性波共振器TS1~TS7及び/又はTP1~TP5の一部又はすべてを、ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従う多層圧電基板弾性波共振器としてよい。弾性波共振器TS1~TS7及び/又はTP1~TP5の一部又はすべてを、ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従う弾性表面波共振器としてよい。任意の適切な数の直列弾性波共振器及びシャント弾性波共振器を、送信フィルタ180に含めてよい。そのような弾性波共振器は、ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従う分散調整層を含む多層圧電基板を有する弾性表面波共振器としてよい。
【0131】
図12は、一実施形態に係る弾性波共振器を含む受信フィルタ190の模式的な図である。受信フィルタ190は帯域通過フィルタとしてよい。図示の受信フィルタ190は、アンテナポートANTにおいて受信した無線周波数信号をフィルタリングし、フィルタリングされた出力信号を受信ポートRXに与えるべく配列される。受信フィルタ180は、直列SAW共振器RS1、RS2、RS3、RS4、RS5、RS6、RS7及びRS8、シャントSAW共振器RP1、RP2、RP3、RP4及びRP5、及びRP6、シャントインダクタL2、並びに直列出力インダクタL3を含む。弾性波共振器RS1~RS8及び/又はRP1~RP6の一部又はすべてを、ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従う多層圧電基板弾性波共振器としてよい。弾性波RS1~RS8及び/又はRP1~RP6の一部又はすべてを、ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従う弾性表面波共振器としてよい。任意の適切な数の直列弾性波共振器及びシャント弾性波共振器を、受信フィルタ190に含めてよい。そのような弾性波共振器は、ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従う分散調整層を含む多層圧電基板を有する弾性表面波共振器としてよい。
【0132】
図13は、一実施形態に係る弾性波コンポーネント202を含む無線周波数モジュール200の模式的な図である。例示の無線周波数モジュール200は、弾性波コンポーネント202及び他の回路203を含む。弾性波コンポーネント202は、ここに開示の弾性波共振器の特徴の任意の適切な組み合わせを有する一つ以上の多層圧電基板弾性波共振器を含み得る。弾性波コンポーネント202は、弾性波共振器を含む弾性波ダイを含み得る。例えば、弾性波コンポーネント202は、SAW共振器を含むSAWダイを含んでよい。
【0133】
図13に示される弾性波コンポーネント202は、フィルタ204と、端子205A及び205Bとを含む。フィルタ204は、複数の弾性波共振器を含む。弾性波共振器の一つ以上は、ここに開示される多層圧電基板弾性波共振器の任意の適切な原理及び利点に従って実装することができる。端子205A及び205Bは、例えば、入力接点及び出力接点としての役割を果たし得る。弾性波コンポーネント202及び他の回路203は、
図13において共通パッケージ基板206上に存在する。パッケージ基板206は積層基板としてよい。端子205A及び205Bは、電気コネクタ208A及び208Bそれぞれを経由してパッケージ基板206上の接点207A及び207Bそれぞれに電気的に接続され得る。電気コネクタ208A及び208Bは、例えばバンプ又はワイヤボンドとしてよい。
【0134】
他の回路203は任意の適切な付加回路を含み得る。例えば、他の回路は、一つ以上の電力増幅器、一つ以上の無線周波数スイッチ、一つ以上の付加フィルタ、一つ以上の低雑音増幅器、一つ以上のRF結合器、一つ以上の遅延線、一つ以上の位相シフタ等、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含み得る。無線周波数モジュール200は、例えば、無線周波数モジュール200を保護し及び/又はその容易な扱いを促すべく、一つ以上のパッケージ構造物を含み得る。そのようなパッケージ構造物は、パッケージ基板200を覆うように形成されたオーバーモールド構造物を含み得る。オーバーモールド構造物は、無線周波数モジュール200のコンポーネントの一部又はすべてを封入することができる。
【0135】
図14は、一実施形態に係る弾性波コンポーネントを含む無線周波数モジュール210の模式的な図である。図示のように、無線周波数モジュール210は、対応する送信フィルタ213A1~213N1及び対応する受信フィルタ213A2~213N2を含む複数のデュプレクサ212A~212Nと、電力増幅器214と、選択スイッチ215と、アンテナスイッチ216とを含む。無線周波数モジュール210は、図示の素子を封入するパッケージを含み得る。図示の素子は、共通パッケージ基板206上に配置することができる。パッケージ基板206は、例えば積層基板としてよい。電力増幅器を含む無線周波数モジュールを、電力増幅器モジュールと称してよい。無線周波数モジュールは、
図14に例示の素子及び/又は付加素子の部分集合を含み得る。
【0136】
デュプレクサ212A~212Nはそれぞれが、共通ノードに結合された2つの弾性波フィルタを含み得る。2つの弾性波フィルタは、送信フィルタ及び受信フィルタとしてよい。図示のように、送信フィルタ及び受信フィルタはそれぞれが、無線周波数信号をフィルタリングするべく配列された帯域通過フィルタを含み得る。送信フィルタ213A1~213N1の一つ以上は、ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従う一つ以上の多層圧電基板弾性波共振器を含み得る。同様に、受信フィルタ213A2~213N2の一つ以上は、ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従う一つ以上の多層圧電基板弾性波共振器を含み得る。
図14がデュプレクサを例示するにもかかわらず、ここに開示の任意の適切な原理及び利点は、他のマルチプレクサ(例えばクアッドプレクサ、ヘキサプレクサ、オクタプレクサ等)に、及び/又はスイッチプレクサに実装することができる。
【0137】
電力増幅器214は、無線周波数信号を増幅することができる。図示のスイッチ215は多投無線周波数スイッチである。スイッチ215は、電力増幅器214の出力を、送信フィルタ213A1~213N1の選択された送信フィルタに電気的に結合することができる。いくつかの例において、スイッチ215は、電力増幅器214の出力を、送信フィルタ213A1~213N1の2つ以上に電気的に接続することができる。アンテナスイッチ216は、デュプレクサ212A~212Nの一つ以上からの信号をアンテナポートANTに選択的に結合することができる。デュプレクサ212A~212Nは、異なる周波数帯域及び/又は異なる動作モード(例えば異なる電力モード、異なる信号モード等)に関連付けることができる。
【0138】
図15Aは、一実施形態に係る無線周波数フロントエンド222においてフィルタ223を含む無線通信デバイス220の模式的な図である。フィルタ223は、ここに説明される任意の適切な原理及び利点に従う一つ以上の多層圧電基板弾性波共振器を含み得る。無線通信デバイス220は、任意の適切な無線通信デバイスとしてよい。例えば、無線通信デバイス220は、スマートフォンのような携帯電話機としてよい。図示のように、無線通信デバイス220は、アンテナ221、RFフロントエンド222、送受信器224、プロセッサ225、メモリ226及びユーザインタフェイス227を含む。アンテナ221は、RFフロントエンド222により与えられたRF信号を送信することができる。そのようなRF信号は、キャリアアグリゲーション信号を含み得る。アンテナ221は、RF信号を受信し、受信したRF信号を、処理を目的としてRFフロントエンド222に与えることができる。
【0139】
RFフロントエンド222は、一つ以上の電力増幅器、一つ以上の低雑音増幅器、一つ以上のRFスイッチ、一つ以上の受信フィルタ、一つ以上の送信フィルタ、一つ以上のデュプレクスフィルタ、一つ以上のマルチプレクサ、一つ以上の周波数マルチプレクシング回路等、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含み得る。RFフロントエンド222は、任意の適切な通信規格に関連づけられたRF信号を送信及び受信することができる。フィルタ223は、上述したいずれかの実施形態を参照して説明される特徴の任意の適切な組み合わせを含む一つ以上の多層圧電基板弾性波共振器を含み得る。
【0140】
RF送受信器224は、増幅及び/又は他の処理を目的としてRF信号をRFフロントエンド222に与えることができる。送受信器224はまた、RFフロントエンド222の低雑音増幅器が与えるRF信号を処理することもできる。送受信器224はプロセッサ225と通信する。プロセッサ225は、ベース帯域プロセッサとしてよい。プロセッサ225は、無線通信デバイス220のための、任意の適切なベース帯域処理機能を与えることができる。メモリ226には、プロセッサ225がアクセス可能である。メモリ226は、無線通信デバイス220のための任意の適切なデータを記憶することができる。ユーザインタフェイス227は、タッチスクリーン能力を有するディスプレイのような、任意の適切なユーザインタフェイスとしてよい。
【0141】
図15Bは、無線周波数フロントエンド222にフィルタ223を、ダイバーシティ受信モジュール232に第2フィルタ233を含む無線通信デバイス230の模式的な図である。無線通信デバイス230は、
図15Aの無線通信デバイス220と同様であるが、無線通信デバイス230がさらにダイバーシティ受信機能を含む点が異なる。
図15Bに示されるように、無線通信デバイス230は、ダイバーシティアンテナ231と、ダイバーシティアンテナ231が受信した信号を処理するべく構成されてフィルタ233を含むダイバーシティモジュール232と、無線周波数フロントエンド222及びダイバーシティ受信モジュール232双方と通信する送受信器234とを含む。フィルタ233は、上述したいずれかの実施形態を参照して説明される特徴の任意の適切な組み合わせを含む一つ以上の多層圧電基板弾性波共振器を含み得る。
【0142】
所定の弾性波共振器を参照して実施形態が説明されるにもかかわらず、ここに開示される任意の適切な原理及び利点は、境界弾性波共振器又はラム波共振器のような任意の他の適切な弾性波共振器に適用することができる。
【0143】
上述された実施形態のいずれもが、セルラーハンドセットのような携帯デバイスに実装することができる。実施形態の原理及び利点は、ここに記載される実施形態のいずれから利益を得る任意のアップリンクセルラーデバイスのような任意のシステム又は装置のために使用することができる。ここでの教示は、様々なシステムに適用可能である。本開示がいくつかの実施形態例を含むにもかかわらず、ここに説明される教示は、様々な構造に適用することができる。ここに説明される原理及び利点はいずれも、約450MHzから8.5GHzの範囲のような、約30kHzから300GHzの範囲にある周波数を有する信号を処理するべく構成されたRF回路に関連して実装することができる。
【0144】
本開示の複数の側面は、様々な電子デバイスに実装することができる。電子デバイスの例は、消費者用電子製品、ダイ及び/又は弾性波フィルタアセンブリ及び/又はパッケージ状無線周波数モジュールのような消費者用電子製品の部品、アップリンク無線通信デバイス、無線通信インフラストラクチャ、電子試験機器等を含んでよいが、これらに限られない。電子デバイスの例は、スマートフォンのような携帯電話機、スマートウォッチ又はイヤピースのようなウェアラブルコンピューティングデバイス、電話機、テレビジョン、コンピュータモニタ、コンピュータ、モデム、ハンドヘルドコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、パーソナルディジタルアシスタント(PDA)、電子レンジ、冷蔵庫、自動車、ステレオシステム、DVDプレーヤ、CDプレーヤ、MP3プレーヤのようなディジタル音楽プレーヤ、ラジオ、ビデオカメラ、カメラ、ディジタルカメラ、携帯型メモリチップ、洗濯機、乾燥機、洗濯/乾燥機、周辺デバイス、腕時計、置き時計等を含んでよいが、これらに限られない。さらに、電子デバイスは未完成の製品も含んでよい。
【0145】
本明細書及び特許請求の範囲全体にわたり、文脈上そうでないことが明らかでない限り、「含む」、「備える」等の用語は、排他的又は網羅的な意味とは反対の包括的意味に、すなわち「~を含むがこれらに限られない」との意味に解釈すべきである。ここで一般に使用される単語「結合」は、直接接続されるか又は一つ以上の中間要素を介して接続されるかのいずれかとなり得る2つ以上の要素を言及する。同様に、ここで一般に使用される単語「接続」は、直接接続されるか又は一つ以上の中間要素を介して接続されるかのいずれかとなり得る2つ以上の要素を言及する。加えて、単語「ここ」、「上」、「下」及び同様の趣旨の単語は、本アプリケーションにおいて使用される場合、本アプリケーション全体を言及し、本アプリケーションの任意の固有部分を言及するわけではない。文脈が許容する場合、単数又は複数を使用する上述の詳細な説明における用語はそれぞれ、複数又は単数をも含み得る。2つ以上の項目のリストを言及する単語「又は」及び「若しくは」は、当該単語の以下の解釈のすべてをカバーする。すなわち、当該リストの任意の項目、当該リストのすべての項目、及び当該リストの項目の任意の組み合わせである。
【0146】
さらに、とりわけ「できる」、「し得る」、「してよい」、「かもしれない」、「例えば」、「のような」等のようなここに記載の条件付き言語は一般に、特にそうでないことが述べられ、又は使用の文脈上そうでないことが理解される場合を除き、所定の実施形態が所定の特徴、要素及び/又は状態を含む一方で他の実施形態がこれらを含まないことを伝えるように意図される。すなわち、かかる条件的言語は一般に、特徴、要素及び/若しくは状態が任意の態様で一つ以上の実施形態にとって必要であるとの示唆を意図しない。
【0147】
所定の実施形態が記載されてきたが、これらの実施形態は、例により提示されたにすぎないので、本開示の範囲を制限することを意図しない。実際のところ、ここに記載される新規な方法、装置及びシステムは、様々な他の形態で具体化することができる。さらに、ここに記載される方法及びシステムの形態における様々な省略、置換及び変更が、本開示の要旨から逸脱することなくなし得る。例えば、複数のブロックが所与の配列で提示されるが、代替実施形態は、異なる部品及び/又は回路トポロジで同様の機能を果たすことができ、いくつかのブロックは削除、移動、追加、細分化、結合、及び/又は修正することができる。これらのブロックはそれぞれが、様々な異なる態様で実装することができる。上述した様々な実施形態の要素及び工程の任意の適切な組み合わせを、さらなる実施形態を与えるように組み合わせることができる。添付の特許請求の範囲及びその均等物が、本開示の範囲及び要旨に収まるかかる形態又は修正をカバーすることが意図される。