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特許7527807歯周病検査方法、歯周病検査システム、歯周病検査キット、機械学習装置、及びデータ構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】歯周病検査方法、歯周病検査システム、歯周病検査キット、機械学習装置、及びデータ構造
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/04 20060101AFI20240729BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20240729BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALI20240729BHJP
【FI】
C12Q1/04
G06N20/00
C12Q1/6844 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020027468
(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公開番号】P2021129531
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向田 志保
(72)【発明者】
【氏名】的石 かおり
【審査官】鳥居 敬司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/088271(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/088272(WO,A1)
【文献】特開2017-085944(JP,A)
【文献】国際公開第2018/159712(WO,A1)
【文献】Scientific Reports,2019年,9:5491
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00-1/70
G06N 20/00-20/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内から採取されたヒト由来の検体からCatonella sp、Peptococcus sp、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌を検出する検出工程と、
前記検出工程で検体からCatonella sp及びPeptococcus spからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌を検出し、前記菌が検出された場合に前記検体の提供者が歯周病に罹患している可能性が高いと評価し、
前記検出工程で検体からHaemophilus paraphrohaemolyticusが検出された場合に前記検体の提供者が歯周病に罹患している可能性が低いと評価する評価工程とを含む歯周病検査方法。
【請求項2】
前記検体が、唾液、洗口吐出液、プラーク、舌苔、及び歯肉溝浸出液からなる群から選ばれる1種である、請求項1に記載の歯周病検査方法。
【請求項3】
口腔内から採取されたヒト由来の検体からCatonella sp、Peptococcus sp、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌を検出する検出部と、
前記検出部で検体からCatonella sp及びPeptococcus spからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌を検出し、前記菌が検出された場合に前記検体の提供者が歯周病に罹患している可能性が高いと評価し、
前記検出部で検体からHaemophilus paraphrohaemolyticusが検出された場合に前記検体の提供者が歯周病に罹患している可能性が低いと評価する評価部とを備える、歯周病検査システム。
【請求項4】
口腔内から採取されたヒト由来の検体からCatonella sp、Peptococcus sp、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌を検出する検出デバイスを備え
前記検出デバイスで検体からCatonella sp及びPeptococcus spからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌を検出し、前記菌が検出された場合に前記検体の提供者が歯周病に罹患している可能性が高いと評価し、
前記検出デバイスで検体からHaemophilus paraphrohaemolyticusが検出された場合に前記検体の提供者が歯周病に罹患している可能性が低いと評価する、歯周病検査キット。
【請求項5】
歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を判断するための関数を学習する機械学習装置であって、
口腔内から採取されたヒト由来の検体からCatonella sp、Peptococcus sp、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌の検出結果と;前記検体の提供者の歯周病の罹患確率又は歯周病の状態からなる群から選ばれる少なくとも一つの判断値と;から構成される複数の学習データに基づいて、前記判断値を決定する前記関数を学習する学習部を含み、
前記学習部は、前記学習データに基づいて、前記関数を用いて歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を決定した結果に対する報酬を計算する報酬計算部と、
該報酬計算部により計算された報酬が高くなるように、前記関数を更新する関数更新部と、
予め定められた収束条件を満たすまで、前記報酬計算部による計算及び前記関数更新部による更新を繰り返させる収束判定部と、
を含み、
前記関数は、
前記検体からCatonella sp及びPeptococcus spからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌が検出された場合に前記検体の提供者が歯周病に罹患している可能性が高いことを示す前記判断値を決定し、
前記検体からHaemophilus paraphrohaemolyticusが検出された場合に前記検体の提供者が歯周病に罹患している可能性が低いことを示す前記判断値を決定する機械学習装置。
【請求項6】
口腔内から採取されたヒト由来の検体からCatonella sp、Peptococcus sp、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌の検出結果と、前記検体の提供者を特定する情報と、を含むデータ構造であり、
前記検出結果に基づいて、前記検体の提供者の歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を表現した値を出力するように予め学習された学習済みモデルを用いて歯周病の罹患又は状態に関する確率を算出する処理であって、前記検体からCatonella sp及びPeptococcus spからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌が検出された場合に前記検体の提供者が歯周病に罹患している可能性が高いことを示す前記確率を算出し、前記検体からHaemophilus paraphrohaemolyticusが検出された場合に前記検体の提供者が歯周病に罹患している可能性が低いことを示す前記確率を算出する処理に用いられるデータ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、歯周病検査方法、歯周病検査システム、歯周病検査キット、機械学習装置、及びデータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
歯周病の検査方法として、口腔内における特定の細菌の状態によって歯周病に罹患しているか否かを判断する手法が種々検討されている。例えば、非特許文献1にはFretibacteriumと歯周病の関係について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】Journal of Endodontics, Volume 41, Issue 12, December 2015 pp. 1975-1984
【発明の概要】
【0004】
口腔内における特定の細菌の状態と歯周病との関係に関する報告は非特許文献1をはじめとして複数存在するが、口腔内のどのような情報に基づいて歯周病に罹患しているか否かを判断するのが適しているかについては未だ検討の余地がある。
また、口腔内の情報に基づいて歯周病に罹患しているか否かを判断するための手法を数多く見出すことは、歯周病の検査技術の向上、検査を受ける者にとっての選択肢の充実化等の観点から有益であると考えられる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、歯周病の検査に用いる新規な機械学習装置及びデータ構造の提供を目的とする。本発明はまた、新規な歯周病検査方法、歯周病検査システム及び歯周病検査キットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するための具体的手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>口腔内から採取された検体からFilifactor alocis、Veillonella atypica、Catonella sp、Peptococcus sp、Dialister invisus、Abiotrophia defectiva、Lachnoanaerobaculum umeaense、Prevotella pallens、Prevotella histicola、Granulicatella elegans、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌を検出する検出工程を含む、歯周病検査方法。
<2>前記検出工程で検体からFilifactor alocis、Veillonella atypica、Catonella sp、Peptococcus sp、Dialister invisusからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌を検出し、前記菌が検出された場合に前記検体の提供者が歯周病に罹患している可能性が高いと評価する評価工程をさらに含む、<1>に記載の歯周病検査方法。
<3>前記検出工程で検体からGranulicatella elegans、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌を検出し、前記菌が検出された場合に前記検体の提供者が歯周病に罹患している可能性が低いと評価する評価工程をさらに含む、<1>に記載の歯周病検査方法。
<4>前記検出が、メタゲノム解析、DNAマイクロアレイ解析、リアルタイムPCR法、及びLAMP法からなる群から選ばれる1種の遺伝子増幅により行われる、<1>~<3>のいずれかに記載の歯周病検査方法。
<5>前記検体が、唾液、洗口吐出液、プラーク、舌苔、及び歯肉溝浸出液からなる群から選ばれる1種である、<1>~<4>のいずれかに記載の歯周病検査方法。
<6>口腔内から採取された検体からFilifactor alocis、Veillonella atypica、Catonella sp、Peptococcus sp、Dialister invisus、Abiotrophia defectiva、Lachnoanaerobaculum umeaense、Prevotella pallens、Prevotella histicola、Granulicatella elegans、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌を検出する検出部を備える、歯周病検査システム。
<7>口腔内から採取された検体からFilifactor alocis、Veillonella atypica、Catonella sp、Peptococcus sp、Dialister invisus、Abiotrophia defectiva、Lachnoanaerobaculum umeaense、Prevotella pallens、Prevotella histicola、Granulicatella elegans、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌を検出する検出デバイスを備える、歯周病検査キット。
<8>歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を判断するための関数を学習する機械学習装置であって、
口腔内から採取された検体から検出されたFilifactor alocis、Veillonella atypica、Catonella sp、Peptococcus sp、Dialister invisus、Abiotrophia defectiva、Lachnoanaerobaculum umeaense、Prevotella pallens、Prevotella histicola、Granulicatella elegans、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌に関する口腔内情報と;前記検体の提供者の歯周病の罹患確率又は歯周病の状態からなる群から選ばれる少なくとも一つの判断値と;から構成される複数の学習データに基づいて、前記判断値を決定する前記関数を学習する学習部を含み、
前記学習部は、前記学習データに基づいて、前記関数を用いて歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を決定した結果に対する報酬を計算する報酬計算部と、
該報酬計算部により計算された報酬が高くなるように、前記関数を更新する関数更新部と、
予め定められた収束条件を満たすまで、前記報酬計算部による計算及び前記関数更新部による更新を繰り返させる収束判定部と、
を含む機械学習装置。
<9>口腔内から採取された検体から検出されたFilifactor alocis、Veillonella atypica、Catonella sp、Peptococcus sp、Dialister invisus、Abiotrophia defectiva、Lachnoanaerobaculum umeaense、Prevotella pallens、Prevotella histicola、Granulicatella elegans、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌に関する口腔内情報と、前記検体の提供者を特定する情報と、を含むデータ構造であり、
前記口腔内情報に基づいて、前記検体の提供者の歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を表現した値を出力するように予め学習された学習済みモデルを用いて歯周病の罹患又は状態に関する確率を算出する処理に用いられるデータ構造。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、歯周病の検査に用いる新規な機械学習装置及びデータ構造が提供される。また本発明によれば、新規な歯周病検査方法、歯周病診断方法、歯周病検査システム及び歯周病検査キットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】機械学習装置100の構成の一例を示す概略図である。
図2】機械学習装置100の機械学習処理ルーチンの一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
【0010】
<機械学習装置>
本実施形態の機械学習装置は、歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を判断するための関数を学習する機械学習装置であって、
口腔内から採取された検体から検出されたFilifactor alocis、Veillonella atypica、Catonella sp、Peptococcus sp、Dialister invisus、Abiotrophia defectiva、Lachnoanaerobaculum umeaense、Prevotella pallens、Prevotella histicola、Granulicatella elegans、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌に関する口腔内情報と;前記検体の提供者の歯周病の罹患確率又は歯周病の状態からなる群から選ばれる少なくとも一つの判断値と;から構成される複数の学習データに基づいて、前記判断値を決定する前記関数を学習する学習部を含み、
前記学習部は、前記学習データに基づいて、前記関数を用いて歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を決定した結果に対する報酬を計算する報酬計算部と、
該報酬計算部により計算された報酬が高くなるように、前記関数を更新する関数更新部と、
予め定められた収束条件を満たすまで、前記報酬計算部による計算及び前記関数更新部による更新を繰り返させる収束判定部と、を含む機械学習装置である。
【0011】
上記機械学習装置は、検体の提供者が歯周病に罹患しているか否かの判断、歯周病が治癒しているか否かの判断、歯周病が治癒するか否かの判断、歯周病が進行するか否かの判断などに用いることができる。
【0012】
ある実施態様では、検体として唾液を使用するが、これらに制限されるものではない。例えば、洗口吐出液、プラーク、舌苔、及び歯肉溝浸出液などが挙げられる。特に検体として唾液を使用することで、検体の採取のために歯肉等を傷付けることなく簡便な手法で提供者の口腔内情報を得ることができる。
【0013】
歯周病の罹患確率又は歯周病の状態からなる群から選ばれる少なくとも一つの判断値としては、口腔内の細菌叢組成における特定の菌の有無又はその割合に基づく判断値が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0014】
上記学習データは、必要に応じ、他の情報を含んでもよい。このような情報としては、例えば、検体の提供者の年齢、性別、喫煙習慣、食習慣、口腔ケアの実施状況、歯の治療歴、持病又は既往症、虫歯の有無、歯並び、唾液の量、口腔内の衛生状態、習癖(歯ぎしり、口呼吸など)、ストレス状態などが挙げられる。
【0015】
本実施形態の機械学習装置は、入力された口腔内情報から、学習部による学習された前記関数を用いて、上記判断値を決定する判断部を更に含むものであってもよい。
【0016】
図1は機械学習装置100の構成の一例を示す概略図である。図1に示す構成の機械学習装置100は、CPUと、RAMと、後述する機械学習処理ルーチンを実行するためのプログラムや各種データを記憶したROMと、を含むコンピュータで構成することが出来る。この機械学習装置100は、機能的には図1に示すように入力部10と、演算部20と、出力部90とを備えている。
【0017】
入力部10は、検体から検出されたFilifactor alocis、Veillonella atypica、Catonella sp、Peptococcus sp、Dialister invisus、Abiotrophia defectiva、Lachnoanaerobaculum umeaense、Prevotella pallens、Prevotella histicola、Granulicatella elegans、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌に関する口腔内情報と;前記検体の提供者の歯周病の罹患確率又は歯周病の状態からなる群から選ばれる少なくとも一つの判断値と;から構成される複数の学習データを受け付ける。また、入力部10は、判断対象となる、検体から検出された口腔内情報を受け付ける。
【0018】
演算部20は、学習データ記憶部30と、学習部40と、学習済みモデル記憶部50と判断部60とを備える。
【0019】
学習データ記憶部30には、入力部10により受け付けた複数の学習データが記憶される。
学習部40は、複数の学習データに基づいて、判断値を決定する関数を学習する。ここで、関数は、後述する学習済みモデルである。
具体的には、学習部40は、報酬計算部42、関数更新部44、及び収束判定部46を備えている。
報酬計算部42は、複数の学習データの各々について、当該学習データに基づいて、関数を用いて歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を決定した結果に対する報酬を計算する。
関数更新部44は、報酬計算部42により複数の学習データの各々について計算された報酬に基づいて、報酬が高くなるように、関数を更新する。
収束判定部46は、予め定められた収束条件を満たすまで、報酬計算部42による計算及び関数更新部44による更新を繰り返させる。
学習済みモデル記憶部50は、学習部40により学習された関数を記憶している。
判断部60は、判断対象として入力された、検体から検出された口腔内情報から、学習部40による学習された関数を用いて、検体の提供者の歯周病の罹患確率又は歯周病の状態からなる群から選ばれる少なくとも一つの判断値を決定する。
【0020】
本実施形態の機械学習装置の各構成要素は特に制限されるものではなく、公知の機械学習装置の各構成要素であってよい。
【0021】
<学習済みモデル>
本実施形態の学習済みモデルは、例えば、深層学習の手法により、ニューラルネットワークモデルのパラメータの重みを学習したモデルであって、検体から検出された口腔内情報に関するデータを入力として前記検体の提供者の歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を表現した値を出力するように予め学習されたモデルである。モデルの学習は、例えば、実際に取得された口腔内情報に関するデータが入力されたときに、正解となる歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を表現した値を出力するように、パラメータの重みを学習する。深層学習の手法は、GAN(Generative Adversarial Network)、またはLSTM(Long Short-Term Memory)等どのような手法を用いてもよい。このようにして学習された学習済みモデルに口腔内情報に関するデータを入力すると、歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を表現した値が出力される。
【0022】
ある実施態様では、検体として唾液を使用するが、これらに制限されるものではない。例えば、洗口吐出液、プラーク、舌苔、及び歯肉溝浸出液などが挙げられる。特に検体として唾液を使用することで、検体の採取のために歯肉等を傷付けることなく簡便な手法で提供者の口腔内情報を得ることができる。
【0023】
歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を表現した値としては、口腔内の細菌叢組成における特定の菌の有無又はその割合に基づく判断値が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0024】
上記学習済みモデルは、必要に応じ、口腔内情報と他の情報に基づいて、歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を表現した値を出力するよう、コンピュータを機能させるものであってもよい。このような情報としては、例えば、検体の提供者の年齢、性別、喫煙習慣、食習慣、口腔ケアの実施状況、歯の治療歴、持病又は既往症、虫歯の有無、歯並び、唾液の量、口腔内の衛生状態、習癖(歯ぎしり、口呼吸など)、ストレス状態などが挙げられる。
【0025】
本実施形態の学習済みモデルの各構成要素は特に制限されず、公知の学習済みモデルの構成要素と同様のものであってよい。
【0026】
<データ構造>
本実施形態のデータ構造は、口腔内から採取された検体から検出されたFilifactor alocis、Veillonella atypica、Catonella sp、Peptococcus sp、Dialister invisus、Abiotrophia defectiva、Lachnoanaerobaculum umeaense、Prevotella pallens、Prevotella histicola、Granulicatella elegans、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌に関する口腔内情報と、前記検体の提供者を特定する情報と、を含むデータ構造であり、
前記口腔内情報に基づいて、前記検体の提供者の歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を表現した値を出力するように予め学習された学習済みモデルを用いて歯周病の罹患又は状態に関する確率を算出する処理に用いられるデータ構造である。
【0027】
上記データ構造は、検体の提供者が歯周病に罹患しているか否かの判断、歯周病が治癒しているか否かの判断、歯周病が治癒するか否かの判断、歯周病が進行するか否かの判断などに用いることができる。
【0028】
ある実施態様では、検体として唾液を使用するが、これらに制限されるものではない。例えば、洗口吐出液、プラーク、舌苔、及び歯肉溝浸出液などが挙げられる。特に検体として唾液を使用することで、検体の採取のために歯肉等を傷付けることなく簡便な手法で提供者の口腔内情報を得ることができる。
【0029】
歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を表現した値としては、口腔内の細菌叢組成における特定の菌の有無又はその割合に基づく判断値が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0030】
上記データ構造は、必要に応じ、口腔内情報と他の情報に基づいて、歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を表現した値を出力するよう予め学習された学習済みモデルを用いて歯周病の罹患又は状態に関する確率を算出する処理に用いられるものであってもよい。このような情報としては、例えば、検体の提供者の年齢、性別、喫煙習慣、食習慣、口腔ケアの実施状況、歯の治療歴、持病又は既往症、虫歯の有無、歯並び、唾液の量、口腔内の衛生状態、習癖(歯ぎしり、口呼吸など)、ストレス状態などが挙げられる。
【0031】
本実施形態の学習済みモデルの各構成要素は特に制限されず、公知の学習済みモデルの構成要素と同様のものであってよい。
【0032】
<機械学習装置100の動作>
入力部10において複数の学習データを受け付けると、機械学習装置100は、複数の学習データを、学習データ記憶部30に格納する。そして機械学習装置100は、図2に示す機械学習処理ルーチンを実行する。
【0033】
まず、ステップS100で、複数の学習データの各々について、当該学習データに基づいて、現時点の関数を用いて歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を決定した結果に対する報酬を計算する。例えば、報酬は、現時点の関数を用いて歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を決定した結果が、当該学習データに含まれる判断値に近いほど高くなるように計算される。
ステップS102では、上記ステップS100により複数の学習データの各々について計算された報酬に基づいて、報酬が高くなるように、関数を更新する。
ステップS104は、予め定められた収束条件を満たしたか否かを判定し、収束条件を満たさない場合には、上記ステップS100へ戻る。一方、収束条件を満たした場合には、ステップS106へ移行する。
ステップS106では、最終的に更新された関数を、学習済みモデル記憶部50に格納して、学習処理ルーチンを終了する。
そして、入力部10において、判断対象として入力された、検体から検出された口腔内情報を受け付けると、機械学習装置100の判断部60は、判断対象として入力された、検体から検出された口腔内情報から、学習部40による学習された関数を用いて、検体の提供者の歯周病の罹患確率又は歯周病の状態からなる群から選ばれる少なくとも一つの判断値を決定し、出力部90により出力する。
【0034】
<歯周病検査方法>
本実施形態の歯周病検査方法は、検体からFilifactor alocis、Veillonella atypica、Catonella sp、Peptococcus sp、Dialister invisus、Abiotrophia defectiva、Lachnoanaerobaculum umeaense、Prevotella pallens、Prevotella histicola、Granulicatella elegans、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種類の菌(以下、検出対象とも称する)を検出する検出工程を含む。
【0035】
本実施形態の歯周病検査方法は、特定の菌種から選択される少なくとも1種類を検出する工程を含むことにより、歯周病検査の精度を高めたものである。
【0036】
上記検査方法は、検体の提供者が歯周病に罹患しているか否かの判断、歯周病が治癒しているか否かの判断、歯周病が治癒するか否かの判断、歯周病が進行するか否かの判断などに用いることができる。
【0037】
(検出工程)
検出工程は、検体に含まれる検出対象を検出可能であればどのような方法で行ってもよい。例えば、メタゲノム解析(メタ16S解析等)、メタゲノム解析、DNAマイクロアレイ解析、リアルタイムPCR法、及びLAMP法が挙げられる。ある実施態様では、検出工程はメタゲノム解析により行われる。メタゲノム解析は、複数種の菌種の有無及び存在率を一度の工程で検出することができ、1工程あたり1菌種の検出が基本である遺伝子増幅法に比べて検査効率の点で有利である。
【0038】
検出される情報として具体的には、細菌の系統樹と枝分かれの長さ(Unifrac distance);次世代シークエンスで得られるリード数(配列と読み取り量);細菌間情報伝達(クオラムセンシング、オートインデューサー)の種類と量;細菌間の相互栄養共生関係の種類と量;細菌の発育条件(酸素要求、栄養要求等);免疫機能に影響する抗原の種類と量;生体構造を破壊するプロテアーゼの種類と量;遺伝子発現或いは遺伝子制御に係るポリヌクレオチドの種類と量;エンドトキシンや細菌の細胞壁外膜を構成するリポ多糖の種類と量;細菌の機能を表す特徴量などが利用できる。これらの情報のそれぞれを所定の重みをつけて組み合わせてもよく、主成分分析をして特徴を抽出した後の特徴量やその組み合わせでもよい。
【0039】
ある実施態様では、検体として唾液を使用するが、これらに制限されるものではない。例えば、唾液、洗口吐出液、プラーク、舌苔、及び歯肉溝浸出液などが挙げられる。特に検体として唾液を使用することで、検体の採取のために歯肉等を傷付けることなく簡便な手法で提供者の口腔内情報を得ることができる。
【0040】
検査精度の向上の観点からは、検出対象はFilifactor alocis、Veillonella atypica、Catonella sp、Peptococcus sp、Dialister invisus、Abiotrophia defectiva、Lachnoanaerobaculum umeaense、Prevotella pallens、Prevotella histicola、Granulicatella elegans、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種の菌であり、少なくとも2種類の菌であることが好ましく、少なくとも3種類の菌であることがより好ましい。
【0041】
(評価工程)
本実施形態の歯周病検査方法は、検出工程の後に、検出工程で得られた結果をもとに検体の提供者が歯周病に罹患している可能性を評価する評価工程を含んでもよい。評価工程は、検出工程で得られた結果をもとに検体の提供者が歯周病に罹患している可能性を評価することができればどのような方法で行ってもよい。例えば、計算機を用いても、呈色反応等を利用してもよい。
【0042】
評価工程は、検体に含まれる菌の数の総和と、検出対象の菌の数とを計算する解析工程を含み、解析工程で得られる解析結果に基づいて評価を行うものであってもよい。
【0043】
ある実施態様では、評価工程では、検出工程で得られた配列数の総和に対する検出対象の菌の各々の配列数の割合と、学習済みモデルとを用いてスコアを算出し、スコアが所定の値以上である場合は検体の提供者が歯周病に罹患している可能性が高いと評価する。
【0044】
本実施形態の歯周病検査方法において「検出対象の菌の配列数」とは、検体に含まれる菌のうち、Filifactor alocis、Veillonella atypica、Catonella sp、Peptococcus sp、Dialister invisus、Abiotrophia defectiva、Lachnoanaerobaculum umeaense、Prevotella pallens、Prevotella histicola、Granulicatella elegans、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群に含まれる菌であって、検出対象として採用した1種類以上の菌の各々の配列数を意味する。
従って、上記群に含まれる菌であっても検出対象として採用しなかった菌の配列数は「検出対象の菌の配列数」に含まれない。
【0045】
評価工程では、必要に応じ、検出工程で得られた結果に加えて他の情報を参照して検体の提供者が歯周病に罹患している可能性を評価してもよい。
このような情報としては、例えば、検体の提供者の年齢、性別、喫煙習慣、食習慣、口腔ケアの実施状況、歯の治療歴、持病又は既往症、虫歯の有無、歯並び、唾液の量、口腔内の衛生状態、習癖(歯ぎしり、口呼吸など)、ストレス状態などが挙げられる。
【0046】
<歯周病検査システム>
本実施形態の歯周病検査システムは、検体からFilifactor alocis、Veillonella atypica、Catonella sp、Peptococcus sp、Dialister invisus、Abiotrophia defectiva、Lachnoanaerobaculum umeaense、Prevotella pallens、Prevotella histicola、Granulicatella elegans、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種類の菌(検出対象)を検出する検出部を備える。
【0047】
上記検査システムは、検体の提供者が歯周病に罹患しているか否かの判断、歯周病が治癒しているか否かの判断、歯周病が治癒するか否かの判断、歯周病が進行するか否かの判断などに用いることができる。
【0048】
(検出部)
検出部は、検体に含まれる検出対象を検出可能であれば特に制限されない。例えば、メタゲノム解析(メタ16S解析等)、イムノクロマト法、遺伝子増幅法(リアルタイムPCR、LAMP法等)などを実施する装置が挙げられる。ある実施態様では、検出工程はメタゲノム解析により行われる。複数種の菌種の有無及び存在率を一度の工程で検出することができ、1工程あたり1菌種の検出が基本である遺伝子増幅法に比べて検査効率の点で有利である。また、定性評価のイムノクロマト法に比べて菌の検出精度に優れている。
【0049】
検出される情報として具体的には、細菌の系統樹と枝分かれの長さ(Unifrac distance);次世代シークエンスで得られるリード数(配列と読み取り量);細菌間情報伝達(クオラムセンシング、オートインデューサー)の種類と量;細菌間の相互栄養共生関係の種類と量;細菌の発育条件(酸素要求、栄養要求等);免疫機能に影響する抗原の種類と量;生体構造を破壊するプロテアーゼの種類と量;遺伝子発現或いは遺伝子制御に係るポリヌクレオチドの種類と量;エンドトキシンや細菌の細胞壁外膜を構成するリポ多糖の種類と量;細菌の機能を表す特徴量などが利用できる。これらの情報のそれぞれを所定の重みをつけて組み合わせてもよく、主成分分析をして特徴を抽出した後の特徴量やその組み合わせでもよい。
【0050】
検出部の具体的な構成は特に制限されず、採用する検出方法に応じて選択できる。例えば、検出部はコンピュータ等の計算機を用いて検出を実施するものであっても、試験片のように手技を介して検出を実施するものであってもよい。
【0051】
ある実施態様では、検体として唾液を使用するが、これらに制限されるものではない。例えば、歯肉溝滲出液、歯垢、バイオフィルム、舌苔などが挙げられる。特に検体として唾液を使用することで、検体の採取のために歯肉等を傷付けることなく簡便な手法で提供者の口腔内情報を得ることができる。
【0052】
検査精度の向上の観点からは、検出対象はFilifactor alocis、Veillonella atypica、Catonella sp、Peptococcus sp、Dialister invisus、Abiotrophia defectiva、Lachnoanaerobaculum umeaense、Prevotella pallens、Prevotella histicola、Granulicatella elegans、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種類の菌であり、少なくとも2種類の菌であることが好ましく、少なくとも3種類の菌であることがより好ましい。
【0053】
(評価部)
本実施形態の歯周病検査システムは、検出部で得られた結果をもとに検体の提供者が歯周病に罹患している可能性を評価する評価部を備えてもよい。評価部は、検出部で得られた結果をもとに検体の提供者が歯周病に罹患している可能性を評価できるものであれば特に制限されない。例えば、計算機を用いるものであっても、呈色反応等を利用するものであってもよい。
【0054】
評価部は、検出工程で得られた配列数の総和と、検出対象の菌の各々の配列数とを計算する解析部を備え、解析部で得られる解析結果と、学習済みモデルとに基づいて評価を行うものであってもよい。
【0055】
ある実施態様では、評価部は、検出部で得られた配列数の総和に対する検出対象の菌の各々の配列数の割合と、学習済みモデルとに基づいて、スコアを算出し、スコアが所定の値以上である場合は検体の提供者が歯周病に罹患している可能性が高いと評価する。
【0056】
本実施形態の歯周病検査システムにおいて「検出対象の菌の配列数」とは、検体に含まれる菌のうち、Filifactor alocis、Veillonella atypica、Catonella sp、Peptococcus sp、Dialister invisus、Abiotrophia defectiva、Lachnoanaerobaculum umeaense、Prevotella pallens、Prevotella histicola、Granulicatella elegans、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群に含まれる菌であって、検出対象として採用した1種類以上の菌の各々の配列数を意味する。
従って、上記群に含まれる菌であっても検出対象として採用しなかった菌の数は「検出対象の菌の配列数」に含まれない。
【0057】
本実施形態の歯周病検査システムは、上述した検出部と必要に応じて含まれる評価部及び解析部に加えて他の機能を果たす部位を備えてもよい。また、本実施形態の歯周病検査システムは、上述した各部が一体化した装置の状態であっても、各部をそれぞれ備える装置の組み合わせであってもよい。また、本実施形態の歯周病検査システムには、より簡易な形態(例えば、後述する歯周病検査キット)なども含まれる。
【0058】
<歯周病検査キット>
本実施形態の歯周病検査キットは、検体からFilifactor alocis、Veillonella atypica、Catonella sp、Peptococcus sp、Dialister invisus、Abiotrophia defectiva、Lachnoanaerobaculum umeaense、Prevotella pallens、Prevotella histicola、Granulicatella elegans、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種類の菌(検出対象)を検出する検出デバイスを備える。
【0059】
検出デバイスは、検体に含まれる検出対象を検出可能であれば特に制限されない。例えば、上述した歯周病検査システムが備える検出部として記載したものであってもよい。また、必要に応じて評価、解析その他の機能を果たすデバイスを備えてもよい。
歯周病検査キットがこれらのデバイスを備える場合、これらのデバイスは検出デバイスと一体化した状態(検出デバイスがこれらのデバイスの機能を兼ねる場合も含む)であっても、別個のデバイスの組合せであってもよい。
【実施例
【0060】
以下、上記実施形態を実施例により具体的に説明するが、上記実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0061】
<実施例1>
被験者の各々について、歯周病の重症度を、健康(歯周炎なし、もしくは歯肉炎)、軽度(PD:ステージI、CAL:1-2mm)、中度(PD:ステージII、CAL:3-4mm)、及び重度(PD:ステージIII~IV、CAL:≧5mm)の何れかに分類し、それぞれ0,1,2,3と番号を付与し、当該被験者から採取した唾液から唾液中の菌種と量を測定し、重症度に対する重要度(インパクト)が大きい菌種を統計的機械学習の手法で解析し、歯周病に対する影響が大きい菌を見出した。なお、PDはポケット深さであり、CALはクリニカルアタッチメントレベルを示す。クリニカルアタッチメントレベルは、歯のエナメル質とセメント質との境目から、歯周ポケットの底までの距離を示す。
【0062】
(検出方法)
各被験者の唾液から細菌ゲノムDNAを抽出し、16SrDNAの領域としてV3-V4領域(F:5’-CCTACGGGNGGCWGCAG-3’、R:5’-GACTACHVGGGTATCTAATCC-3’)またはV4領域(F:5’-GTGCCAGCMGCCGCGGTAA-3’、R:5’-GGACTACHVGGGTWTCTAAT-3’)を、領域特異的な配列を含むプライマー(V3-V4用またはV4用)を用いてPCR(サーモフィッシャー社、SimpliAmp)にて増幅する。増幅したPCR断片にアダプター配列及びインデックス配列を付与し、ライブラリーを構築する。次いで、ライブラリーを次世代シークエンサーMiSeq(イルミナ社)に投入し、塩基配列(Read)を取得する。
【0063】
次いで、取得した配列について、コンピュータを用いて細菌ゲノムデータベース(公共データベース 16SMicrobial、NCBIなど)とBLASTによる照合を行い、配列(Read)数より細菌叢組成を明らかにする(メタ16S解析)。次いで、310種類の菌の各々に対して発現量比を算出する。
【0064】
(検出結果の検討)
次に、ランダムフォレスト、Extremely Randomized Trees、XGBoost(ランダムフォレスト+勾配ブースティング)、LightGBM、Regularized Greedy Forestの5つのモデルそれぞれを用いて、310種類の菌の各々について、当該菌の発現量比と重症度とに基づいて、重症度に対する重要度を算出し、重要度絶対値の降順に菌を並べると以下の表1のようになる。
【表1】
【0065】
上記の表1より、最も歯周病病原性が高いと言われるP.gingivalisよりも歯周病に対する重要度絶対値が高い菌のうち、公知の歯周病影響菌を除いた、Filifactor alocis、Veillonella atypica、Catonella sp、Peptococcus sp、Dialister invisus、Abiotrophia defectiva、Lachnoanaerobaculum umeaense、Prevotella pallens、Prevotella histicola、Granulicatella elegans、Haemophilus paraphrohaemolyticusを見出した。
【0066】
また、歯周病に対する重要度の符号から、Filifactor alocis、Veillonella atypica、Catonella sp、Peptococcus sp、Dialister invisusについては、当該菌が検出された場合に、被験者が歯周病に罹患している可能性が高いと評価される菌であることが分かる。
【0067】
また、歯周病に対する重要度の符号から、Granulicatella elegans、Haemophilus paraphrohaemolyticusについては、当該菌が検出された場合に、被験者が歯周病に罹患している可能性が低いと評価される菌であることが分かる。
【0068】
以上の結果から、検体からFilifactor alocis、Veillonella atypica、Catonella sp、Peptococcus sp、Dialister invisus、Abiotrophia defectiva、Lachnoanaerobaculum umeaense、Prevotella pallens、Prevotella histicola、Granulicatella elegans、及びHaemophilus paraphrohaemolyticusからなる群から選ばれる少なくとも1種類の菌を検出する工程を含む歯周病検査方法は、検体の提供者が歯周病に罹患している可能性の評価に有用であることがわかった。
【符号の説明】
【0069】
10 入力部
20 演算部
30 学習データ記憶部
40 学習部
42 報酬計算部
44 関数更新部
46 収束判定部
50 モデル記憶部
60 判断部
90 出力部
100 機械学習装置
図1
図2