(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】フラップ検査装置及びフラップ検査方法
(51)【国際特許分類】
B65B 57/02 20060101AFI20240729BHJP
B65B 57/00 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
B65B57/02 F
B65B57/00 F
B65B57/02 B
(21)【出願番号】P 2020100256
(22)【出願日】2020-06-09
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【氏名又は名称】坂西 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】千葉 真一
(72)【発明者】
【氏名】大友 章平
(72)【発明者】
【氏名】岩本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鶴間 栄一
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 哲也
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-046831(JP,A)
【文献】特開2013-245023(JP,A)
【文献】特開2007-298472(JP,A)
【文献】特開2010-006393(JP,A)
【文献】特開2011-240978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/02
B65B 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を覆う第1フラップ及び第2フラップを備えた梱包体の前記第1フラップ及び前記第2フラップを検査するフラップ検査装置であって、
前記第1フラップの表面と前記第2フラップの表面との間の段差を検出するセンサと、
前記センサによって検出された前記段差の値が閾値以上である場合に、前記第1フラップ及び前記第2フラップが異常であると判定する異常判定部と、
を備え
、
前記センサは、前記段差の検出を一定時間継続して行い、
前記異常判定部は、検出された前記段差が前記一定時間継続して前記閾値以上である場合に異常と判定する、
フラップ検査装置。
【請求項2】
前記センサは、搬送されている前記梱包体の前記第1フラップ及び前記第2フラップにレーザ光を照射して前記段差を検出する、
請求項
1に記載のフラップ検査装置。
【請求項3】
前記センサは、前記第1フラップ及び前記第2フラップを跨ぐ線状の前記レーザ光を照射し、前記第1フラップにおける前記レーザ光上の第1設定点と、前記第2フラップにおける前記レーザ光上の第2設定点との間に位置する前記段差を検出する、
請求項
2に記載のフラップ検査装置。
【請求項4】
前記レーザ光上の前記第1設定点の位置、及び前記レーザ光上の前記第2設定点の位置が可変とされている、
請求項
3に記載のフラップ検査装置。
【請求項5】
前記一定時間は、6ms以上且つ150ms以下である、
請求項
1から請求項4のいずれか一項に記載のフラップ検査装置。
【請求項6】
開口を覆う第1フラップ及び第2フラップを備えた梱包体の前記第1フラップ及び前記第2フラップを検査するフラップ検査方法であって、
前記第1フラップの表面と前記第2フラップの表面との間の段差を検出する工程と、
前記検出する工程において検出された前記段差の値から前記第1フラップ及び前記第2フラップの異常を判定する工程と、
を備え
、
前記段差を検出する工程では、前記段差の検出を一定時間継続して行い、
前記異常を判定する工程では、検出された前記段差が前記一定時間継続して閾値以上である場合に異常と判定する、
フラップ検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フラップ検査装置及びフラップ検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、段ボール箱等におけるフラップの異常を検査するフラップ検査装置としては種々のものが知られている。特開2011-240978号公報には、フラップ折れ込み不良検知装置が記載されている。フラップ折れ込み不良検知装置は、制御部と、フラップ検知センサと、判定結果出力装置とを備える。フラップ検知センサは、可視光線を用いた距離センサである。フラップ検知センサは、搬送されるカートンの前面に可視光線を照射して当該前面からの反射光を受けてカートンまでの距離を測定する。判定結果出力装置は、フラップ検出センサによって測定された距離が所定の閾値から逸脱したときに、フラップの折れ込みの不良が生じていると判定し、当該判定結果を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述したように、距離センサを用いてフラップの折れ込み等の異常を検出する場合には、フラップの異常の検出の精度において改善の余地がある。カートンの前面に可視光線を照射してカートンとの距離を測定する場合には、例えば、搬送ラインに対して斜めに搬送されたカートンを異常と判定する可能性がある。すなわち、フラップの状態が正常であるにもかかわらず、斜めに搬送されたカートンが異常と判定される可能性がある。従って、フラップの状態が正常であるカートンを異常であると誤判定する懸念がある。また、前述した距離センサを用いてフラップの異常を判定する場合には、フラップの間に紙屑が挟まっている異常等を検出できない可能性がある。よって、より高精度にフラップの異常を検出することが求められている。
【0005】
本開示は、フラップの異常をより高精度に検出することができるフラップ検査装置及びフラップ検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るフラップ検査装置は、開口を覆う第1フラップ及び第2フラップを備えた梱包体の第1フラップ及び第2フラップを検査するフラップ検査装置であって、第1フラップの表面と第2フラップの表面との間の段差を検出するセンサと、センサによって検出された段差の値が閾値以上である場合に、第1フラップ及び第2フラップが異常であると判定する異常判定部と、を備える。
【0007】
このフラップ検査装置では、第1フラップの表面と第2フラップの表面との段差をセンサが検出する。そして、センサによって検出された段差の値が閾値以上である場合に、第1フラップ及び第2フラップが異常であると異常判定部が判定する。よって、第1フラップの表面と第2フラップの表面との間に形成された段差をセンサによって検出し、当該段差の値に応じて第1フラップ及び第2フラップの異常判定が行われる。すなわち、第1フラップと第2フラップとの段差から異常判定を行うので、第1フラップの位置と第2フラップの位置との位置関係から異常判定がなされる。従って、第1フラップと第2フラップの位置関係から異常判定を行うことにより、斜めに搬送された梱包体でフラップの状態が正常であるものを異常と判定しないようにすることができる。よって、第1フラップ及び第2フラップの異常判定を高精度に行うことができる。また、第1フラップ及び第2フラップの位置関係から異常判定を行うことにより、第1フラップと第2フラップとの間に挟まれた抜き屑の検出を行うことができる。従って、フラップの異常をより高精度に判定することができる。
【0008】
センサは、一体の段差検出センサであってもよい。この場合、1つの段差検出センサを配置すればよいので、センサの構成を簡易にすることができる。更に、複数のセンサを備える場合と比較して、複数のセンサの測定結果の比較を行わずに1台の段差検出センサで段差の測定を行うことができるので、測定精度を高めることができる。
【0009】
センサは、搬送されている梱包体の第1フラップ及び第2フラップにレーザ光を照射して段差を検出してもよい。この場合、指向性が高いレーザ光を第1フラップ及び第2フラップに照射して段差の測定を行うことができるので、より高精度な段差の測定が可能となる。
【0010】
センサは、第1フラップ及び第2フラップを跨ぐ線状のレーザ光を照射し、第1フラップにおけるレーザ光上の第1設定点と、第2フラップにおけるレーザ光上の第2設定点との間に位置する段差を検出してもよい。この場合、線状のレーザ光上における第1設定点と第2設定点との間に位置する段差を測定できるので、容易且つ高精度に段差の測定を行うことができる。
【0011】
レーザ光上の第1設定点の位置、及びレーザ光上の第2設定点の位置が可変とされていてもよい。この場合、段差を測定する対象となる2つの位置が可変となるので、レーザ光上における任意の箇所の段差測定が可能となる。従って、より高精度に段差を測定することができる。
【0012】
センサは、段差の検出を一定時間継続して行い、異常判定部は、検出された段差が一定時間継続して閾値以上である場合に異常と判定してもよい。この場合、第1フラップと第2フラップとの段差が一定時間未満、一時的に生じた場合を異常と判定される場合から除外することができるので、誤判定の可能性をより低減させることができる。
【0013】
前述した一定時間は、6ms以上且つ150ms以下であってもよい。この場合、6ms以上継続して段差を測定することによって、誤判定の可能性を一層低減させることができる。また、150ms以下継続して段差を測定することにより、検出すべき段差を検出して異常判定の精度をより高めることができる。
【0014】
本開示に係るフラップ検出方法は、開口を覆う第1フラップ及び第2フラップを備えた梱包体の第1フラップ及び第2フラップを検査するフラップ検査方法であって、第1フラップの表面と第2フラップの表面との間の段差を検出する工程と、検出する工程において検出された段差の値から第1フラップ及び第2フラップの異常を判定する工程と、を備える。
【0015】
このフラップ検査方法では、第1フラップの表面と第2フラップの表面との段差が検出され、検出された段差の値から、第1フラップ及び第2フラップが異常であるか否かが判定される。従って、前述したフラップ判定装置と同様、第1フラップの表面と第2フラップの表面との段差から異常判定が行われるので、第1フラップと第2フラップとの位置関係に応じた判定を行うことができる。よって、斜めに搬送された梱包体でフラップの状態が正常であるものを異常と判定しないようにすることができると共に、第1フラップと第2フラップとの間に挟まれた抜き屑の検出を行うことができる。以上より、フラップの異常をより高精度に判定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、フラップの異常をより高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係るフラップ検査装置の構成の例を模式的に示す図である。
【
図2】
図1のフラップ検査装置のセンサから照射されたレーザ光及び梱包体の第1フラップと第2フラップを示す側面図である。
【
図3】第1フラップ及び第2フラップが異常である状態の例を示す梱包体の側面図である。
【
図4】第1フラップ及び第2フラップが異常である状態の別の例を示す梱包体の斜視図である。
【
図5】比較例に係るレーザ光の照射の例を模式的に示す梱包体の側面図である。
【
図6】
図2のレーザ光と第1フラップ及び第2フラップとを示す梱包体の側面図である。
【
図7】実施形態に係るフラップ検査方法の工程の例を示すフローチャートである。
【
図8】斜めに搬送された梱包体の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照しながら本開示に係るフラップ検査装置及びフラップ検査方法の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0019】
本開示において、「フラップ」とは、梱包体の開口を覆う蓋となる部分を示している。「フラップ」は、外フラップと内フラップとを含む。但し、以下の実施形態では、外フラップを検査対象とする例について説明する。「梱包体」は、梱包対象物を梱包する箱を示している。
【0020】
「梱包体」は、例えば、段ボール箱であってもよいし、段ボール箱以外の紙箱であってもよい。「梱包対象物」は、梱包体に梱包される対象の物を示している。「梱包対象物」としては、例えば、飲料缶等の缶、ペットボトル、又は瓶等を含む飲料容器が挙げられる。以下の実施形態では、梱包対象物が飲料缶C(
図3参照)である例について説明する。
【0021】
図1は、例示的なフラップ検査装置1の各機器を示す図である。
図2は、フラップ検査装置1のセンサ10が梱包体Bを検査している状態の例を示す側面図である。
図1及び
図2に示されるように、フラップ検査装置1は、例えば、梱包体に梱包対象物を梱包するケーサー2と、梱包体Bの第1フラップB1及び第2フラップB2を検査するセンサ10と、フラップ検査装置1の各部を制御する制御部5(異常判定部)と、センサ10によって異常と判定された梱包体Bを排斥する排斥機4とを備える。フラップ検査装置1は、更に、センサ10の検査状況をモニタするモニタ3を備えてもよい。
【0022】
例えば、第1フラップB1及び第2フラップB2は梱包体Bのショートフラップ(外フラップ)である。一例として、第1フラップB1は鉛直上側に位置するショートフラップであり、第2フラップB2は鉛直下側に位置するショートフラップである。梱包体Bの「異常」とは、例えば、第1フラップB1又は第2フラップB2の内折れ、第1フラップB1又は第2フラップB2の剥がれ、及び、第1フラップB1と第2フラップB2の間に抜き屑が挟まった状態、等が挙げられる。
【0023】
例えば、ケーサー2は、段ボール等の梱包体Bを取り出すと共に梱包体Bに複数の梱包対象物を収容し、梱包体Bを成形することによって梱包対象物を梱包する装置である。ケーサー2は、例えば、取り出した梱包体B及び梱包対象物を搬送する搬送ラインを備えており、当該搬送ラインに沿って梱包体B及び梱包対象物を搬送しながら梱包体Bを成形する。ケーサー2とセンサ10とは搬送経路R1によって互いに接続されており、ケーサー2によって飲料缶Cが収容された梱包体Bは搬送経路R1を介してセンサ10に搬送される。なお、センサ10は、ケーサー2の出口付近に配置されていてもよい。
【0024】
センサ10は、例えば、搬送経路R1に沿って搬送された梱包体Bの第1フラップB1及び第2フラップB2の状態を検査する。センサ10は、第1フラップB1及び第2フラップB2のそれぞれの表面にレーザ光Lを照射して、第1フラップB1の表面と第2フラップB2の表面との間の段差を測定する一体の段差測定センサである。そして、第1フラップB1及び第2フラップB2の異常有無を制御部5が判定する。異常判定の詳細については後述する。
【0025】
制御部5によって正常と判定された梱包体Bは、センサ10から延びる搬送経路R2に沿って搬送される。制御部5によって異常と判定された梱包体Bは、排斥機4によって搬送経路R2から排斥される。これにより、異常と判定された梱包体Bを正常な梱包体Bから分離することが可能となる。
【0026】
制御部5は、例えば、センサ10を制御可能な構成要素であってもよく、モニタ3は、センサ10の検査状況を表示してもよい。モニタ3は、例えば、
図2に示されるように、センサ10によるレーザ光Lの照射状態を表示してもよい。また、オペレータ等が制御部5を通じてセンサ10によるレーザ光Lの照射を制御可能であってもよい。
【0027】
一例として、レーザ光Lが照射される梱包体Bの表面B11は、長手方向D1及び短手方向D2に延びる長方形状とされている。例えば、梱包体Bは長手方向D1に沿って搬送される。短手方向D2は鉛直方向であってもよい。第1フラップB1は表面B11の短手方向D2の一方側(例えば上側)を構成し、第2フラップB2は表面B11の短手方向D2の他方側(例えば下側)を構成する。
【0028】
例示的な第1フラップB1は、梱包体Bの長手方向D1の中央側に位置する第1線部B12と、第1線部B12の長手方向D1の端部側から短手方向D2の一端側に傾斜する第1傾斜部B13とを備える。例示的な第2フラップB2は、梱包体Bの長手方向D1の中央側に位置する第2線部B22と、第2線部B22の長手方向D1の端部側から短手方向D2の他端側に傾斜する第2傾斜部B23とを備える。なお、第1線部B12、第1傾斜部B13、第2線部B22、及び第2傾斜部B23は、直線状であってもよいし、曲線状であってもよい。
【0029】
第1線部B12と第2線部B22の間、及び第1傾斜部B13と第2傾斜部B23の間には隙間Sが形成されており、隙間Sは第1線部B12及び第2線部B22から長手方向D1の端部側に向かうに従って広く形成されている。例えば、隙間Sから内フラップB3の一部が露出していてもよい。しかしながら、第1フラップB1及び第2フラップB2の形状は、前述した例に限られず適宜変更可能である。
【0030】
センサ10は、例えば、第1フラップB1及び第2フラップB2を跨ぐレーザ光Lを照射する。レーザ光Lは、例えば、長手方向D1に交差する方向に延びる線状とされており、一例として、短手方向D2に直線状に延在する。センサ10は、レーザ光L上における第1設定点L1の位置と第2設定点L2の位置との間に位置する段差を測定する。センサ10が段差を測定するときのサンプリング周期は、例えば、1ms以上且つ300ms以下である。しかしながら、当該サンプリング周期は、2ms以上、5ms以上、6ms以上、8ms以上、10ms以上、11ms以上、15ms以上、20ms以上、30ms以上、50ms以上、100ms以上、又は120ms以上であってもよい。更に、当該サンプリング周期は、250ms以下、225ms以下、200ms以下、175ms以下、又は150ms以下であってもよい。なお、当該サンプリング周期は、上記の値に限られることはなく、適宜変更可能である。
【0031】
例えば、センサ10は、第1設定点L1における第1フラップB1の表面の高さと、第2設定点L2における第2フラップB2の表面の高さと、の差を段差として測定する。なお、「高さ」とは、レーザ光Lを照射するセンサ10から第1設定点L1及び第2設定点L2のそれぞれまでのレーザ光Lの照射方向(例えば、長手方向D1及び短手方向D2の双方に直交する方向、又は
図2の紙面に直交する方向)への距離を示している。
【0032】
一例として、センサ10は、レーザ光Lの照射を行うと共に上記の段差を電気信号として測定するセンサヘッドと、センサヘッドの電気信号を増幅するセンサアンプとを含んでいてもよい。例えば、センサ10は、ケーブルを介してコントロールパネルである制御部5に接続されていてもよく、制御部5はセンサ10によって測定された段差を電気信号として受信して判定を行ってもよい。しかしながら、センサ10及び制御部5のハードウェア構成及び機能構成は、上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0033】
制御部5は、センサ10によって測定された第1設定点L1と第2設定点L2との段差から第1フラップB1及び第2フラップB2の異常判定を行う。例えば、制御部5は、センサ10によって測定された段差が閾値以上である場合に異常と判定し、センサ10によって測定された段差が当該閾値以上でない場合に正常と判定する。当該閾値は、例えば、1mm以上、2mm以上、3mm以上、5mm以上、7mm以上、又は10mm以上である。当該閾値の上限は、例えば、20mm以下である。一例としての当該閾値は、10mmである。しかしながら、当該閾値の値は、10mmに限定されず、適宜変更可能である。また、当該閾値は、制御部5を介して可変とされていてもよい。一例として、当該閾値は500μm(0.5mm)単位で変更可能である。
【0034】
例えば、レーザ光Lにおける第1設定点L1及び第2設定点L2のそれぞれの位置(第1設定点L1と第2設定点L2との距離)は制御部5によって変更可能とされている。一例として、第1設定点L1と第2設定点L2との距離は、100mm以上且つ200mm以下の範囲において可変とされている。第1設定点L1と第2設定点L2との距離は、110mm以上、120mm以上、130mm以上、140mm以上、又は150mm以上であってもよい。また、第1設定点L1と第2設定点L2との距離は、190mm以下、180mm以下、170mm以下、160mm以下、又は150mm以下であってもよい。しかしながら、第1設定点L1と第2設定点L2の距離の値は、上記の各例に限定されず、適宜変更可能である。また。第1設定点L1と第2設定点L2との距離は可変とされていなくてもよい。
【0035】
本実施形態では、第1設定点L1は第1フラップB1の位置に設定され、第2設定点L2は第2フラップB2の位置に設定される。また、
図3に示されるように、梱包対象物が飲料缶Cである場合には、第2設定点L2が飲料缶Cの缶胴C1の位置(高さ)に設定され、第1設定点L1が飲料缶Cのネック部C2の位置(高さ)に設定されてもよい。「ネック部」とは、飲料缶の缶胴から窪んだ部分を示している。
【0036】
この場合、
図3に例示されるように、センサ10が缶胴C1とネック部C2との間に位置する段差を検出するので、第1フラップB1及び第2フラップB2のそれぞれが飲料缶Cの上下のそれぞれに内折れしている異常も検出可能となる。なお、飲料缶Cとして、
図3では一例として、350ml(ミリリットル)の飲料缶Cを示しているが、例えば500mlの飲料缶であってもよく、飲料缶のサイズは特に限定されない。
【0037】
以上のように、レーザ光Lにおける第1設定点L1と第2設定点L2との間に位置する段差を測定することにより、例えば
図4に示されるように、抜き屑B4が挟まっている異常を検出可能である。
図4の例では、第1フラップB1と第2フラップB2の間に挟まっている抜き屑B4が第1フラップB1側に延びており、第2設定点L2よりも第1設定点L1が高い段差がセンサ10で測定されることによって制御部5が異常と判定する。この抜き屑B4の例のように、本実施形態では、第1フラップB1と第2フラップB2の間に異物が挟まっている異常を検出することが可能である。
【0038】
ところで、例えばピンポイントで第1設定点L1と第2設定点L2との段差を測定する場合、
図5に示されるように、長手方向D1及び短手方向D2の双方に傾斜する端辺B51を有するフラップB5を異常と誤判定する懸念がある。そこで、本実施形態では、
図6に示されるように、一定時間T段差の測定を継続して行う。これにより、
図5のように一時的に段差が現れる場合を異常と誤判定しないようにすることが可能である。
【0039】
前述したように、梱包体Bは、長手方向D1に沿って搬送される。従って、梱包体Bの表面B11にレーザ光Lを一定時間T照射すると、
図6に示されるように、長手方向D1に延びる一定区間で段差の有無が測定される。一定時間Tの値は、例えば、制御部5を介して可変とされている。
【0040】
一例として、梱包体Bの長手方向D1の一端がセンサ10の前に到達してから梱包体Bが長手方向D1に搬送され、梱包体Bの長手方向D1の他端がセンサ10の前に到達するまでの時間は300msである。これに対し、一例として一定時間Tを6msとすると、レーザ光Lは、梱包体Bの長手方向D1の全体のうち1/15の区間に照射されることとなる。
【0041】
この場合、一定時間Tに相当する区間で段差がセンサ10によって測定され続けたときに制御部5が異常と判定する。これに対し、一定時間Tに相当する区間の一部のみで段差がセンサ10によって測定されても制御部5は異常と判定しない。従って、一定時間Tの値が大きすぎると、検出すべき異常が生じていても当該異常を検出できなくなる可能性がある。よって、一定時間Tの値は、梱包体Bを搬送する速度等に応じて適切に定められることが好ましい。例えば、一定時間Tが6ms以上且つ100ms以下(又は150ms以下(若しくは150ms未満))であれば、
図5の状態を異常と誤判定することを回避できると共に、検出すべき異常を確実に異常と判定することができる。なお、一定時間Tは、10ms以上、15ms以上、20ms以上、30ms以上、又は50ms以上であってもよい。また、一定時間Tは、120ms以下、90ms以下、80ms以下、70ms以下、60ms以下、又は50ms以下であってもよい。このように、一定時間Tの値は適宜変更可能である。
【0042】
次に、本実施形態に係るフラップ検査方法の工程の例について
図7のフローチャートを参照しながら説明する。
図7のフローチャートは、フラップ検査装置1のケーサー2によって梱包対象物を梱包体Bに梱包し、当該梱包体Bの第1フラップB1及び第2フラップB2の状況をセンサ10及び制御部5が判定する例を示している。
【0043】
まず、飲料缶C等の梱包対象物の搬送を行い(ステップS1)、その後、ケーサー2が梱包対象物の梱包を行う。一例として、ケーサー2は、段ボールを取り出し、取り出した段ボールを搬送ラインに搬送する。そして、段ボールを折り曲げて箱状の梱包体Bを成形し、複数の飲料缶Cを梱包体Bに押し込んで梱包体Bへの飲料缶Cの収容を行う。
【0044】
その後、缶検出センサによって梱包体Bの中に飲料缶Cがあるか否かが検査されてもよい。そして、ケーサー2は、梱包体Bの内フラップB3の外面に接着剤を塗布し、第1フラップB1及び第2フラップB2を梱包体Bの内側に折り曲げて内フラップB3の外面に第1フラップB1及び第2フラップB2を接着してもよい。
【0045】
以上のように梱包対象物の梱包体Bへの梱包が終わった後に梱包体Bのフラップ検査を行う(段差を検出する工程、ステップS3)。なお、ステップS3より前に、センサ10によって照射されるレーザ光Lの第1設定点L1の位置、第2設定点L2の位置(第1設定点L1と第2設定点L2との距離)、段差を測定する時間である一定時間T、及び異常判定のための段差の閾値が設定されてもよい。
【0046】
図6に例示されるように、長手方向D1に沿って搬送される梱包体Bに対してセンサ10が短手方向D2に沿って延びる線状のレーザ光Lを照射し、設定した第1設定点L1と第2設定点L2との間に位置する段差を測定する。当該段差の測定は、設定した一定時間T継続して行う。そして、制御部5がフラップの異常有無の判定を行う(異常を判定する工程、ステップS4)。
【0047】
制御部5は、センサ10によって測定された段差の値が予め設定した閾値以上である場合(ステップS4においてYES)、当該段差を有する梱包体Bを排斥機4によって搬送経路R2から排斥する(ステップS5)。一方、制御部5は、センサ10によって測定された段差の値が当該閾値以上でない場合(ステップS4においてNO)、当該段差を有する梱包体Bを搬送経路R2に沿って搬送する。
【0048】
また、制御部5は、ステップS4において、測定された段差の値が一定時間T継続して閾値以上である場合に、当該梱包体Bを排斥してもよい。そして、制御部5は、測定された段差の値が一定時間T未満継続して閾値以上である場合には、当該梱包体Bを搬送経路R2に沿って搬送してもよい。以上の異常有無の判定を経て一連の工程が完了する。
【0049】
次に、本実施形態に係るフラップ検査装置1及びフラップ検査方法から得られる作用効果について説明する。本実施形態に係るフラップ検査装置1及びフラップ検査方法では、第1フラップB1の表面と第2フラップB2の表面との段差をセンサ10が検出する。そして、センサ10によって検出された段差の値が閾値以上である場合に、第1フラップB1及び第2フラップB2が異常であると制御部5が判定する。
【0050】
よって、第1フラップB1の表面と第2フラップB2の表面との間に形成された段差をセンサ10によって検出し、当該段差の値に応じて第1フラップB1及び第2フラップB2の異常判定が行われる。すなわち、第1フラップB1と第2フラップB2との段差から異常判定を行うので、第1フラップB1の位置と第2フラップB2の位置との位置関係から異常判定がなされる。
【0051】
従って、第1フラップB1と第2フラップB2の位置関係から異常判定を行うことにより、
図8に示されるように、搬送経路R1に対して斜めに搬送された梱包体Bで第1フラップB1及び第2フラップB2の状態が正常であるものを異常と判定しないようにすることができる。
【0052】
図8は、搬送経路R1に対して斜めに搬送される梱包体Bの例を示しており、搬送経路R1に対するずれZの値は、一例として30mmである。このように斜めに搬送される正常な梱包体Bを異常でないと判定することが可能であるため、誤判定を抑制することができる。よって、第1フラップB1及び第2フラップB2の異常判定を高精度に行うことができる。
【0053】
また、第1フラップB1及び第2フラップB2の位置関係から異常判定を行うことにより、
図4に示されるように、第1フラップB1と第2フラップB2との間に挟まれた抜き屑B4の検出を行うことができる。従って、第1フラップB1及び第2フラップB2の異常をより高精度に判定することができる。
【0054】
前述したように、センサ10は、一体の段差検出センサであってもよい。この場合、1つの段差検出センサを配置すればよいので、センサの構成を簡易にすることができる。更に、複数のセンサを備える場合と比較して、複数のセンサの測定結果の比較を行わずに1台の段差測定センサで段差の測定を行うことができるので、測定精度を高めることができる。
【0055】
センサ10は、搬送されている梱包体Bの第1フラップB1及び第2フラップB2にレーザ光Lを照射して段差を検出してもよい。この場合、指向性が高いレーザ光Lを第1フラップB1及び第2フラップB2に照射して段差の測定を行うことができるので、より高精度な段差の測定が可能となる。
【0056】
センサ10は、第1フラップB1及び第2フラップB2を跨ぐ線状のレーザ光Lを照射し、第1フラップB1におけるレーザ光L上の第1設定点L1と、第2フラップB2におけるレーザ光L上の第2設定点L2との間に位置する段差を検出してもよい。この場合、線状のレーザ光L上における第1設定点L1と第2設定点L2との間に位置する段差を測定できるので、容易且つ高精度に段差の測定を行うことができる。
【0057】
レーザ光L上の第1設定点L1の位置、及びレーザ光L上の第2設定点L2の位置が可変とされていてもよい。この場合、段差を形成する基準となる2つの位置が可変となるので、レーザ光L上における任意の箇所の段差測定が可能となる。従って、より高精度に段差を測定することができる。
【0058】
センサ10は、
図6に示されるように、段差の検出を一定時間T継続して行い、制御部5は、検出された段差が一定時間T継続して閾値以上である場合に異常と判定してもよい。この場合、第1フラップB1と第2フラップB2との段差が一定時間T未満、一時的に生じた場合を異常と判定される場合から除外することができるので、誤判定の可能性をより低減させることができる。
【0059】
一定時間Tは、6ms以上且つ150ms以下であってもよい。この場合、6ms以上継続して段差を測定することによって、誤判定の可能性を一層低減させることができる。また、150ms以下継続して段差を測定することにより、検出すべき段差を検出して異常判定の精度をより高めることができる。
【0060】
以上、本開示に係るフラップ検査装置及びフラップ検査方法の実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、フラップ検査装置の各部の構成及び機能、並びに、フラップ検査方法の工程の数、内容及び順序は、上記の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0061】
例えば、前述の実施形態では、ケーサー2の出口付近の搬送経路R1にセンサ10が設けられる例について説明した。しかしながら、センサ10が設けられる場所は上記の例に限られず適宜変更可能である。また、梱包体Bの搬送経路は、前述した搬送経路R1及び搬送経路R2に限られない。梱包体Bの搬送経路は、例えば、曲線状に湾曲した搬送経路、又は途中で他の経路と合流したり分離したりする経路であってもよく、搬送経路の種類は適宜変更可能である。
【0062】
前述の実施形態では、梱包対象物として飲料缶Cを例示した。しかしながら、梱包対象物は飲料缶C以外のものであってもよく、梱包対象物の種類は適宜変更可能である。更に、前述の実施形態では、梱包体Bが段ボール箱である例について説明した。しかしながら、梱包体は段ボール以外のものであってもよく、梱包体の種類及び材料についても適宜変更可能ある。
【符号の説明】
【0063】
1…フラップ検査装置、2…ケーサー、3…モニタ、4…排斥機、5…制御部(異常判定部)、10…センサ、B…梱包体、B1…第1フラップ、B2…第2フラップ、B3…内フラップ、B4…抜き屑、B5…フラップ、B11…表面、B12…第1線部、B13…第1傾斜部、B22…第2線部、B23…第2傾斜部、B51…端辺、C…飲料缶(梱包対象物)、C1…缶胴、C2…ネック部、D1…長手方向、D2…短手方向、L…レーザ光、L1…第1設定点、L2…第2設定点、R1,R2…搬送経路、S…隙間、T…一定時間。