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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】容器の蓋及び容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/10 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
B65D43/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020114099
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022012320
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】相馬 克彦
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-059055(JP,A)
【文献】特開2012-101841(JP,A)
【文献】特開2016-153312(JP,A)
【文献】米国特許第01393815(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に被せられる蓋であって、
前記容器の口部に着脱自在に外嵌可能に対向して設けられた2つの嵌合部と、
当該蓋の周縁部の前記嵌合部とは異なる位置から嵌合方向外側へ突出し、前記嵌合部の嵌合状態において前記口部と接触せず当該口部との間に所定の空間を形成するように対向して設けられ、同時に押圧されることで前記嵌合部を歪曲させ嵌合を解除する少なくとも2つの押圧部と
を具備する容器の蓋。
【請求項2】
請求項1に記載の容器の蓋であって、
前記押圧部は、前記嵌合を解除するための押圧時の指をガイドする当該押圧方向に凹んだ凹部を有する
容器の蓋。
【請求項3】
請求項1または2に記載の容器の蓋であって、
前記嵌合部の対向方向と前記押圧部の対向方向とがなす角はほぼ90度である
容器の蓋。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の容器の蓋であって、
前記押圧部の内側に、嵌合時の前記容器の口部内面に沿って、嵌合時の前記容器の底面方向に突出するように対向して設けられたリブ
をさらに具備する容器の蓋。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の容器の蓋であって、
前記嵌合部は、前記押圧部から遠い部分ほど嵌合深さが大きくなるように形成される
容器の蓋。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の容器の蓋であって、
前記2つの嵌合部同士を結ぶ直線で当該蓋を一側と他側に二分した場合、前記押圧部は、前記直線を二分する直線に対して対称となるように、前記一側と前記他側に2つずつ設けられる
容器の蓋。
【請求項7】
口部を有する容器本体と、
前記容器本体に被せられる蓋と、
を具備し、
前記蓋は、
前記口部に着脱自在に外嵌可能に対向して設けられた2つの嵌合部と、
前記蓋の周縁部の前記嵌合部とは異なる位置から嵌合方向外側へ突出し、前記嵌合部の嵌合状態において前記口部と接触せず当該口部との間に所定の空間を形成するように対向して設けられ、同時に押圧されることで前記嵌合部を歪曲させ嵌合を解除する少なくとも2つの押圧部と
を有す
容器。
【請求項8】
請求項7に記載の容器であって、前記容器本体が、
紙素材からなるブランクを丸めて形成した胴部と、
前記ブランクの両端を重ね合わせたサイドシーム部とを有し、
前記胴部上端は前記容器の外向きに丸めてカール形状とし、
胴部下端は内向きに折り返し、底紙の周囲を屈曲させた底屈曲部を挟み込んで接合した紙製容器である
容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば食品等を収容する容器の蓋及び当該蓋を有する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品等の包装に用いられる嵌合容器は、容器本体と嵌合蓋(外嵌合蓋/内嵌合蓋)とで構成されているが、商品によっては扱いにくさが生じている。
【0003】
例えば、蓋に設けられたタブを摘まむことで容器本体との嵌合を解除するタイプの容器は、当該タブが小さくて摘まみにくく、開封時に内容物が蓋内面に付着したり内容物を落としたりすることがある。
【0004】
また、ソフトクリームの容器においては、ドーム状の蓋の嵌合を解除する際に、蓋の一片を支点にして斜め上方に傾けることで、ソフトクリームミックスが折れてしまうことがある。さらに、加温用途の容器においては、蓋を開ける際に蒸気で火傷を負うおそれがある。
【0005】
これらの問題は、いずれも、蓋と容器本体との嵌合を解除する際にある程度の力が必要であることによる。
【0006】
この点に関連して、下記特許文献1には、蓋体の左右両端に、容器本体との連結部分を支点に揺動自在に設けられた操作レバーを設け、操作レバーの被操作部を親指と人差し指の間に挟持した状態で左右同時に押圧すると、左右の操作レバーが一緒に揺動して左右の係止部の対向間隔が広がって係止状態を解除することができ、操作レバーを挟持した手をそのまま持ち上げることにより、蓋体を容器本体から取り外して開蓋状態とすることができ、片手をのみを使用した簡単な操作により、係止状態保持機能の解除と開蓋状態への移行を同時に行うことができる容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6083587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においては、操作レバーが係止部(嵌合部)も兼ねているため、係止部による係止を解除するために、係止部に対してそれ相応の力を直接的に加える必要がある。
【0009】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、嵌合部とは異なる箇所を少ない力で挟圧することで嵌合状態の解除が可能な容器の蓋及び当該蓋を有する容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る容器の蓋は、容器に被せられる蓋であって、2つの嵌合部と少なくとも2つの押圧部を有する。上記嵌合部は、容器の口部に着脱自在に外嵌可能に対向して設けられる。上記押圧部は、当該蓋の周縁部の上記嵌合部とは異なる位置から突出し、かつ、上記嵌合部の嵌合状態において上記口部との間に所定の空間を形成するようにするように対向して設けられ、同時に押圧されることで上記嵌合部を歪曲させ嵌合を解除する。
【0011】
この構成により、タブを両側から挟圧するだけで、摘まんだり引っ張ったりする必要がなく、従来よりも小さい力で容易に嵌合を解除して開封することができる。また従来のように開封時に蓋の一片を支点として斜め方向に開封するのと異なり、蓋を真上方向に持ち上げられるため、内容物に触れることなく開封することができる。さらに、加温や冷凍された食品の開封作業では、容器本体の胴部を把持せずに開封が可能な為、火傷リスクが低減する。さらに、蓋の端面に触れることなく開封ができるため、過って指を切る心配がなく安全に開封できる。上記蓋の形状は、平面視において、円形、オーバル形状、角形状等、様々な形状をとることできる。また蓋の材質は、押圧に対する剛性さえどのようなものであってもよく、容器は樹脂製でも紙製でもよい。
【0012】
上記押圧部は、押圧時の指をガイドする当該押圧方向に凹んだ凹部を有してもよい。
【0013】
これにより、押圧時に凹部が指(の腹)にフィットするため押圧操作がさらに容易になる。
【0014】
上記嵌合部の対向方向と上記押圧部の対向方向とがなす角はほぼ90度であってもよい。
【0015】
この構成は、例えば円形の蓋及び容器において特に有効である。
【0016】
上記蓋は、上記押圧部の内側に、嵌合時の上記食品用容器の口部内面に沿って、嵌合時の上記食品用容器の底面方向に突出するように対向して設けられた2つのリブを更に有してもよい。
【0017】
これにより、蓋と容器の位置ずれを防止することで内容物を保護し、また蓋と容器の隙間を抑制することで、埃や虫の混入を防止することができる。
【0018】
上記嵌合部は、上記押圧部から遠い部分ほど嵌合深さが大きくなるように形成されてもよい。
【0019】
これにより、押圧部の押圧により歪曲しやすい部分については嵌合深さを大きくし、押圧部に近く歪曲しづらい部分については嵌合深さを小さくすることで、蓋の嵌合力の維持と容易開封性の両立を図ることができる。
【0020】
上記2つの嵌合部同士を結ぶ直線で当該蓋を一側と他側に二分した場合、上記押圧部は、上記直線を二分する直線に対して対称となるように、上記一側と上記他側に2つずつ設けられてもよい。
【0021】
これにより、押圧部を計4つ設けることで、長方形やオーバル形状の蓋についても挟圧による容易な開封を可能とすることができる。
【0022】
本発明の他の形態に係る容器は、口部を有する容器本体と蓋とを有する。上記蓋は、2つの嵌合部と少なくとも2つの押圧部を有する。上記嵌合部は、上記口部に着脱自在に外嵌可能に対向して設けられる。上記押圧部は、上記蓋の周縁部の上記嵌合部とは異なる位置から突出するように対向して設けられ、同時に押圧されることで上記嵌合部を歪曲させ嵌合を解除する。
【0023】
上記容器は、紙素材からなるブランクを丸めて形成した胴部と、上記ブランクの両端を重ね合わせたサイドシーム部とを有し、上記胴部上端は前記容器の外向きに丸めてカール形状とし、胴部下端は内向きに折り返し、底紙の周囲を屈曲させた底屈曲部を挟み込んで接合した紙製容器であってもよい。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、嵌合部とは異なる箇所を少ない力で挟圧することで嵌合状態の解除が可能な容器の蓋及び当該蓋を有する容器を提供することができる。しかし、当該効果は本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る食品用容器を示した正面側の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る食品用容器を示した側面側の斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る食品用容器を示した側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る食品用容器を示した平面図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る食品用容器を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る食品用容器の、蓋と容器本体とに分離した状態の正面側の斜視図であり、図2は当該食品用容器の上記分離した状態の側面側の斜視図であり、図3は当該食品用容器の上記分離した状態の側面図であり、図4は当該食品用容器の上記分離した状態の平面図である。
【0028】
これらの図に示すように、本実施形態に係る食品用容器100は、例えば洋菓子やソフトクリーム等の容器として使用されるものであり、容器本体20と当該容器本体20に被せられる蓋10とで構成される。
【0029】
蓋10は、ハット形状を有し、下端に設けられたフランジ部11と、当該フランジ部11の内周から突出形成されたドーム部12とを有する。蓋10は例えばポリスチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂で形成され、また無色透明に形成される。しかし、蓋10は、後述する押圧に対する最低限の剛性さえ有していれば例えば紙等の他の素材で形成されてもよいし有色不透明に形成されてもよい。なお図3においては説明の便宜上、蓋10をグレーで着色しコンピュータグラフィックスにより示している。
【0030】
容器本体20は、円筒形状を有し、蓋10と嵌合する口部21と、食品が載置される底部22と、当該口部21と底部22とを接続する胴部23とを有する。容器本体20は例えば紙で形成されるが、合成樹脂で形成されてもよい。口部21は例えば、胴部23の上端を向きに丸めてカール形状とすることで突出形成されたものであるが、外向きに突き出した鍔状でも良い。
【0031】
具体的には、胴部23は、紙素材からなるブランクを丸めることで形成され、当該ブランクの両端を重ね合わせたサイドシーム部23aを有する。また図示しないが、胴部23の下端は内向きに折り返され、底部22となる底紙の周囲を屈曲させた底屈曲部を挟み込んで接合したものである。
【0032】
蓋10のフランジ部11には、容器本体の口部21に着脱自在に外嵌可能な嵌合部13が、容器本体20の直径に対して一側と他側に対向して設けられる。
【0033】
各側の嵌合部13は、複数(例えば3つ)の嵌合リブ131と対向部132とで構成される。対向部132は、口部21のうち所定の円弧半径部分に対応してフランジ部11の上面と側面との境界部分に設けられ、嵌合時に口部21の上面及び側面と対向し係合する。嵌合リブ131は、当該対向部132の下方のフランジ部11の側面に沿って、蓋10の内側へ突出するように連続して設けられ、嵌合時に口部21の下面と対向し係合する。なお、嵌合リブ131は1つのみ設けられてもよい。
【0034】
またフランジ部11には、対向する1対の押圧部14が、嵌合部13とは異なる位置から、外側(同図X方向)に突出するように設けられる。本実施形態では、嵌合部13の対向方向と押圧部14の対向方向とがなす角はほぼ90度である(押圧部14は、嵌合部13を蓋10の円周上で90度ずらした位置に形成される)。
【0035】
当該一対の押圧部14は、同時に押圧されることで、嵌合部13を外向きに歪曲させ容器本体20との嵌合を解除することが可能である。押圧部14は、当該押圧による変形が可能なように、容器本体20との嵌合状態において口部21との間に所定の空間Sを形成するように設けられている。
【0036】
また押圧部14の側面には、押圧時のユーザの指をガイドする、押圧方向に湾曲状に凹んだ凹部141が形成されている。押圧部14の押圧時にはこの凹部141がユーザの指(の腹)にフィットするため、押圧操作が容易になる。
【0037】
このように、押圧部141を、上面及び側面並びに凹部141を有する立体的な形状に形成することで、剛性を確保するとともに歪曲作用を高め、易開封性を実現することができる。また、押圧時には従来と異なりユーザの指が蓋10の下端部に触れることがないため、過って指を切る心配がなく安全に開封できる。
【0038】
また、押圧部14の内側には、嵌合状態の容器本体20の口部21の内面に沿って、嵌合状態の容器本体20の底部22方向(Z方向)に突出するように、円弧状のリブ15が対向して設けられる。当該リブ15は、嵌合状態における蓋10の位置ずれを防止して内容物を保護するとともに、蓋10と容器本体20との間の隙間を抑制することで、容器本体20への埃や虫の混入を防止する。
【0039】
以上のように構成された食品用容器100の開封動作について説明する。
【0040】
蓋10と容器本体20とが嵌合した状態で、ユーザが、片手の親指と人差し指または中指とで、または両手でそれぞれの押圧部14の凹部141を図1及び図3の矢印方向に挟圧する。
【0041】
すると、当該挟圧による押圧部14の変形の可動域により、嵌合部13の嵌合リブ131が歪曲する。これにより嵌合リブ131が外側に変形し、口部21の下面との係合が解除されることで嵌合が解除される。
【0042】
嵌合が解除されると、ユーザが蓋10を2本の指で把持したまま真上(Z方向)に持ち上げることで、開封作業が完了する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、押圧部14を両側から挟圧するだけで、従来のように摘まんだり引っ張ったりする必要がなく、従来よりも小さい力で容易に蓋10の嵌合を解除して開封することができる。したがって、非力な人や身体の不自由な方でも、従来よりも容易に開封作業を行うことができる。
【0044】
また従来のように開封時に蓋の一片を支点として斜め方向に開封するのと異なり、蓋10を真上方向に持ち上げられるため、内容物に触れることなく開封することができる。したがって開封時に蓋10の内面に内容物(例えばクリーム等)が付着するのを抑制することができる。
【0045】
さらに、加温や冷凍された食品の開封作業では、容器本体20の胴部23を把持せずに開封が可能な為、火傷リスクが低減する。
【0046】
[変形例]
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0047】
上述の実施形態においては、蓋10が円筒状の容器本体20に被せられる平面視円形状である場合について説明した。しかし、蓋10の形状は、円形以外にも、平面視において、オーバル形状、角形状(長方形その他の多角形形状)、角丸形状等、様々な形状をとることできる。これらの形状は、例えば弁当、サラダ、丼もの等の容器の形状として、またはグラタン容器等の加熱時の持ち手つき容器の形状として採用されうる。
【0048】
また上述の実施形態では、蓋10はドーム部12を有する突出形状とされたが、ドーム12以外の立体形状(例えば断面台形形状)であってもよいし、平面形状であってもよい。
【0049】
蓋10が上記オーバル形状や角形状、角丸形状等である場合、上記実施形態に示した円形状の蓋10と比較して、蓋10の輪郭に直線部分が多くなったり、また嵌合部13と押圧部14との距離が長くなったりすることで、押圧部14を押圧した場合の嵌合部13の歪曲度合が相対的に小さくなることが考えられる。そうすると、上記実施形態と同様に嵌合部13及び押圧部14を構成しただけでは嵌合解除がスムースに行えなくなることが考えられる。
【0050】
そこで、この場合、嵌合部13の上記嵌合リブ131を、押圧部14から遠い部分ほど嵌合深さが大きくなるように形成してもよい。すなわち、嵌合リブ131のうち、押圧部14に近い部分については嵌合深さを小さくすることで、押圧時のわずかな歪曲でも嵌合が解除されるようにする一方で、押圧時に比較的歪曲しやすい、押圧部14に遠い部分については十分な嵌合深さを確保することで、蓋10の嵌合力の維持と容易開封性の両立を図ることができる。
【0051】
また、上述の実施形態では、押圧部14は一対のみ設けられたが、特に上記のような円形状以外の蓋10においては、押圧部14は複数対設けられてもよい。この場合、上記実施形態と異なり、ユーザは両手の指を用いて押圧を行うことになる。
【0052】
図5は、蓋10及び容器本体20が平面視でオーバル形状である場合の例を示した分離平面図である。
【0053】
同図に示すように、当該食品用容器200は、グラタン等の加熱用食品の包装に用いられるものである。そのため容器本体20には、加熱後の容器を運ぶ際にユーザが把持する持ち手23が、長手方向(X方向)の両端に設けられる。また蓋10の長手方向の両端も、当該持ち手23に係合する形状に形成されている。
【0054】
また嵌合部13は、蓋10の短手方向(Y方向)の両端の中央部に対向して設けられている。当該嵌合部13も、上記実施形態と同様に嵌合リブ131と対向部(図示せず)とを有している。
【0055】
当該嵌合リブ131は、上述したように、押圧部14から遠い部分ほど嵌合深さが大きくなるように形成されてもよい。例えば同図のそれぞれ3つの嵌合リブ131a、131b及び131cのうち、嵌合リブ131aは、嵌合リブ131b及び嵌合リブcよりも嵌合深さが大きく形成されてもよい。
【0056】
そして押圧部14は、上記持ち手23に対応する両端と嵌合部13との間の位置に計4つ設けられている。換言すると、押圧部14は、2つの嵌合部13同士を結ぶ直線C1で蓋10を一側と他側に二分した場合、当該直線C1を二分する直線C2に対して対称となるように、上記一側と上記他側に2つずつ設けられる(14a、14b)。
【0057】
また押圧部14は、上述の実施形態と異なり、外側へ大きく突出した形状とはされていない。これは、加熱後にユーザが当該食品用容器200を持ち運ぶ際に、突出した押圧部14を持ち手と勘違いして掴んでしまい、過って蓋10が外れて火傷を負ったり内容物をこぼしたりしてしまうのを防ぐためである。
【0058】
この場合ユーザは、同図右側の2つの押圧部14aを一方の手の親指と人差し指(中指)とで、蓋10の中心方向(同図矢印方向)へ押圧し、同図左側の2つの押圧部14bを他方の手の親指と人差し指(中指)で、蓋10の中心方向(同図矢印方向)へ押圧することで、嵌合部13を歪曲させ、蓋10と容器本体20の嵌合を解除する。
【0059】
このように、押圧部14を4つ設けることで、オーバル形状や長方形の蓋10についても挟圧による容易な開封を可能とすることができる。
【0060】
嵌合部13及び押圧部14が設けられる位置は、上述したもの及び図示したものに限られない。押圧部14は、嵌合部13が設けられている箇所と異なる箇所であればどの位置に設けられていても構わない。また、蓋10のうち、嵌合部13以外の部分が全て押圧部として形成されていても構わない。
【0061】
上述の実施形態では、容器は食品用容器として説明されたが、容器は食品以外を収容するものであってもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…蓋
11…フランジ部
12…ドーム部
13…嵌合部
131…嵌合リブ
132…対向部
14…押圧部
141…凹部
15…リブ
20…容器本体
21…口部
22…底部
23…胴部
24…持ち手
100、200…食品用容器
図1
図2
図3
図4
図5