(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】接続装置
(51)【国際特許分類】
G01R 1/073 20060101AFI20240729BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20240729BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
G01R1/073 E
G01R31/26 J
G01R31/26 F
H01L21/66 X
H01L21/66 B
(21)【出願番号】P 2020122316
(22)【出願日】2020-07-16
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】福士 樹希也
(72)【発明者】
【氏名】神谷 浩
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-58650(JP,A)
【文献】特開2004-205579(JP,A)
【文献】特開2004-45535(JP,A)
【文献】特開昭62-31136(JP,A)
【文献】特開2018-81948(JP,A)
【文献】特開2019-35694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/073
G01R 31/26
G01R 31/28
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体と、前記被検査体の電気的特性及び光学的特性を検査する検査装置と接続する接続装置において、
第1開口部が形成される配線基板と、
前記配線基板の一方の面に備えられ、前記第1開口部と連通する第2開口部が形成される補強部材と、
前記被検査体の発光素子が発光した光を受光して前記検査装置に伝送する伝送路を有し、線状に形成される複数の光学的接続子と、
前記被検査体の前記発光素子と対をなす電極端子に対して電気的に接触すると共に、電気配線を介して前記検査装置と接続する複数の電気的接触子と
を備え、
前記補強部材には、前記配線基板と反対側の面に、前記第2開口部の縁部から該補強部材の外側面に亘って凹部が形成され、
前記凹部は、前記第2開口部に連なる底面部分が曲面又はテーパ状に形成されており、前記第2開口部から送り出された前記複数の光学的接続子を、当該補強部材の外側面に案内するように形成され、
前記補強部材の前記外側面には収容溝が形成されており、前記収容溝が、前記第1開口部及び前記第2開口部から送り出され、前記補強部材の前記
外側面に巻回される前記複数の光学的接続子を支持する
ことを特徴とする接続装置。
【請求項2】
前記複数の光学的接続子のそれぞれを、前記被検査体の光信号端子に光学的に接続させると共に、前記複数の電気的接触子を保持する接続子基板と、
前記第1開口部に設けられ、前記接続子基板及び前記配線基板を機械的に接続させる接続ユニットと
をさらに備え、
前記接続ユニットには、前記第1開口部と連通する第3開口部が形成され、
前記複数の光学的接続子の先端側の一部は、前記第1開口部及び前記第3開口部に挿通される
ことを特徴とする請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記凹部は、前記外側面に連なる底面部分が曲面又はテーパ状に形成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の接続装置。
【請求項4】
前記凹部の底面を挟んで対向する一対の壁面の前記外側面側の端部は、該外側面に向かうにつれて該凹部の該壁面間の距離が広がる方向に曲がる曲面又はテーパ状に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の接続装置。
【請求項5】
前記収容溝の少なくとも一部分は、前記外側面からの溝深さが、前記補強部材における前記配線基板側の面に向かうにつれて、深くなるように形成されることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の接続装置。
【請求項6】
前記配線基板の一方の面には、前記光学的接続子の一部を保持する保持部を備えることを特徴とする請求項1に記載の接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続装置に関し、例えば、半導体ウェハ上に形成された、電気信号端子及び光信号端子を有する複数の被検査体の特性を検査する検査装置に用いられる接続装置に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、シリコンフォトニクス技術を用いて、電信回路と光回路とを有する半導体集積回路(以下、「光デバイス」とも呼ぶ。)が、半導体ウェハ上に形成される。従来、半導体ウェハ上に形成された複数の光デバイスの特性を検査する検査装置があり(特許文献1参照)、複数の光デバイスを検査するには、半導体ウェハと検査装置とを接続する接続装置が用いられる。
【0003】
特許文献1には、発光素子用のウェハプローバ装置が記載されており、プローブカードと、そのプローブカードの下面に、発光素子の発光部から出力された光を受光する受光装置が設けられている。受光装置は、プローブカードに固定された光ファイバを有しており、光ファイバの先端が、発光素子の発光した光を受光できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、複数の光デバイスを検査する場合、プローブカードに固定されている複数の光ファイバのそれぞれを検査装置と接続させるため、プローブカード側から長尺の複数の光ファイバを引き出すことになる。
【0006】
しかしながら、引き出される複数の光ファイバが、接続装置の構成部品の角部と接触してしまうと、光ファイバに極端な応力が作用することが考えられる。また、長尺な光ファイバをプローブカードの狭いスペースに収容することは難しく、作業中に応力を与えてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためのものであり、その目的は、光学的接続子の破損を抑制することが可能な接続装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するために、本発明は、被検査体と、被検査体の電気的特性及び光学的特性を検査する検査装置と接続する接続装置において、第1開口部が形成される配線基板と、配線基板の一方の面に備えられ、第1開口部と連通する第2開口部が形成される補強部材と、被検査体の発光素子が発光した光を受光して検査装置に伝送する伝送路を有し、線状に形成される複数の光学的接続子と、被検査体の発光素子と対をなす電極端子に対して電気的に接触すると共に、電気配線を介して検査装置と接続する複数の電気的接触子とを備え、補強部材には、配線基板と反対側の面に、第2開口部の縁部から該補強部材の外側面に亘って凹部が形成され、凹部は、第2開口部に連なる底面部分が曲面又はテーパ状に形成されており、第2開口部から送り出された複数の光学的接続子を、補強部材の外側面に案内するように形成され、補強部材の外側面には収容溝が形成されており、収容溝が、第1開口部及び第2開口部から送り出され、補強部材の外側面に巻回される複数の光学的接続子を支持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光学的接続子の破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5】従来の接続装置において、複数の光ファイバを引き出す構成を説明する平面図である。
【
図6】従来の接続装置において、複数の光ファイバを引き出す構成を説明する断面図である。
【
図7】接続装置の変形例を示す構成図である(その1)。
【
図8】接続装置の変形例を示す構成図である(その2)。
【
図9】接続装置の変形例を示す構成図である(その3)。
【
図10】収容溝の構成を示す拡大断面図である(その1)。
【
図11】収容溝の構成を示す拡大断面図である(その2)。
【
図12】収容溝の構成を示す拡大断面図である(その3)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(A)実施形態
以下では、本発明に係る接続装置の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
本実施形態は、半導体ウェハ上に形成された、電気回路と光回路とを有する複数の半導体集積回路を被検査体として、複数の被検査体の電気的特性及び光学的特性を検査する検査装置に用いられる接続装置に、本発明を適用する場合を例示する。
【0013】
(A-1)実施形態の構成
図1は、検査装置9の構成を示す構成図である。
図2は、接続装置1(以下、プローブカード1と示す場合がある。)の構成を示す平面図である。
図1のプローブカード1の構成は、
図2のA-A断面図でもある。
【0014】
図1において、検査装置9の主な構成は、検査部(テスター)8、円形板状部材(補強部材)11、配線基板12、接続ユニット13、接続子基板14、検査ステージ31及びチャックトップ32を有する。
【0015】
図1に例示する検査装置9は、主要な構成部材を模式的に図示したものであり、これらの部材に限定されない。実際の組み立ての際には、ボルト等の固定部材を用いて固定することになるが、これら固定部材については、図示を省略している。
図1に示す各構成部材の厚みや寸法などは、実際の構成部材と異なることに留意すべきである。
図1に示す検査装置9の各構成要素は、技術的思想を具体化するための構成を例示したものであり、構成部材の材質、形状、構造、配置等は
図1に限定されない。
【0016】
なお、後述する接続子基板14に備えられる複数のプローブ221の配列方向のうち一方向をX軸方向と示し、複数のプローブ221の配列方向であってX軸方向に直交する方向をY軸方向と示し、X軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向と示す。Z軸方向において、後述する配線基板12に対して後述する円形板状部材11が位置する方向を上方向(所定の方向)とし、上方向に対する方向を下方向(他の方向)と示す。
【0017】
[検査ステージ31、チャックトップ32]
検査ステージ31は、Xステージ、Yステージ、Zステージ及びθステージを組み合わせて構成されている。検査ステージ31の上部には、チャックトップ32が設けられている。
【0018】
チャックトップ32は、X軸方向と、Y軸方向と、Z軸方向との三方向に位置調整が可能である。チャックトップ32は、Z軸回りのθ方向に回転調整が可能である。
【0019】
チャックトップ32の上面321には、被検査体5が配置される。この実施形態では、電気回路と光回路とを有する半導体集積回路を被検査体5とし、複数の半導体集積回路が形成されている半導体ウェハが、チャックトップ32の上面321に置かれる。
【0020】
被検査体5の特性検査の際、チャックトップ32の上面321に置かれた被検査体5と、プローブカード1とを相対的に近接させ、プローブカード1の下側に配置されている接続子基板14の各プローブ(電気的接触子)221を被検査体5の電気信号端子51に対して電気的に接触させると共に、接続子基板14の各光ファイバ(光学的接続子)21と被検査体5の光信号端子(発光素子)52とを光学的に接続させる。光ファイバ21は、光信号端子52が発光した光を受光して、検査部8へと伝える伝送路を有する。
【0021】
ここで、「光学的接続子」は、後述する接続子基板14の各貫通孔41に挿入され、被検査体5の光信号端子52に対して光学的接続するものである。この実施形態では、光学的接続子の一例として、光ファイバ21を用いる場合を例示する。光学的接続子としての光ファイバ21は、例えば、シリコンフォトニクスデバイス(光デバイス)に対応させるため、シリコンの屈折率に合わせた材料で形成されるようにしてもよい。
【0022】
「電気的接触子」は、後述する接続子基板14に保持され、被検査体5の電気信号端子51に対して電気的に接触するものである。この実施形態では、電気的接触子の一例として、プローブ221を用いる場合を例示する。電気的接触子としてのプローブ221は、例えばカンチレバータイプのプローブや、垂直タイプのプローブなどを適用することができるが、これに限定されず、任意の形状のプローブを適用できる。
【0023】
「光学的接続」とは、被検査体5としての光デバイスが発光した光信号の光損失が可能な限り少なくなるように、被検査体5の光信号端子52に対して光ファイバ21を接続配置させることをいう。光ファイバ21と光信号端子52とは、互いに近接する非接触の状態で光学的に接続させるようにしてもよい。光学的接続は、被検査体5の光信号端子52の端面と、光ファイバ21の端面との位置精度を良好(例えば、位置ずれ量が閾値未満)とし、被検査体5が発光する光の光軸と、光ファイバ21の光軸との軸精度を良好(例えば、光軸のずれ量が閾値未満)とし、光信号端子52の端面(例えば上端面)と光ファイバ21の端面(例えば下端面)との間隙長を閾値未満となるように、光信号端子52に対して光ファイバ21を配置させる。
【0024】
[被検査体5]
被検査体5は、半導体ウェハ上に形成された電気回路と光回路とを有する半導体集積回路(「光デバイス」とも呼ぶ。)である。例えば、被検査体5は、電気信号が供給されると、光を発光する半導体素子を適用できる。より具体的に、被検査体5は、例えば、シリコンフォトニクスチップ、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等とすることができる。また例えば、被検査体5は、光信号を受光すると光電変換により電気信号を出力する半導体素子(すなわち、受光素子)であってもよい。
【0025】
図中において、被検査体5としての光デバイスが、シリコンフォトニクス技術により、半導体ウェハ上に高密度に集積されて形成された半導体素子の場合を例示する。被検査体5は、電気信号を供給するための電気信号端子51と、光信号を発光する光信号端子(以下、「発光部」とも呼ぶ。)52と、を有する。なお、電気信号端子51及び光信号端子52とは、被検査体5の1つのユニットにまとめて構成されることに限らず、電気信号端子51及び光信号端子52がそれぞれ別ユニットで構成されてもよい。
【0026】
[検査部(テスター)8]
検査部8は、半導体ウェハ上に形成された各被検査体5の電気的な特性及び光学的な特性を検査する。検査部8は、プローブカード1等を通じて、各被検査体5の電気的特性を検査する電気特性検査ユニット81と、プローブカード1等を通じて、各被検査体5の光学的特性を検査する光学特性検査ユニット82とを有する。
【0027】
例えば、電気特性検査ユニット81は、各被検査体5の電気信号端子51と電気的に接触するプローブ221に電気信号を供給し、プローブ221を通じて各被検査体5の電気信号端子51に電気信号が供給される。そして、被検査体5は、供給された電気信号に基づいて光回路の発光端子(発光部)52が光を発光する。接続子基板14の各光ファイバ21は、対応する発光端子(発光部)52が発光した光を受光し、その受光した光信号を光学特性検査ユニット82に伝搬する。例えば、光学特性検査ユニット82は、各光ファイバ21を介して受光した光信号の光量に基づく電気信号に基づいて、被検査体5の光学的特性を検査する。
【0028】
このように、プローブカード1は被検査体5に対して検査に係る電気信号を供給し、被検査体5から発光された光をプローブカード1は受光するため、実施形態に係るプローブカード1は「受光型電気的接続装置」ともいえる。
【0029】
[プローブカード1]
プローブカード1は、半導体ウェハ上に形成された、電気信号端子51及び光信号端子52を有する複数の被検査体5と、検査部(テスター)8との間を、電気的及び光学的に接続するものである。プローブカード1は、円形板状部材11、配線基板12、接続ユニット13、接続子基板14等を組み立てて形成される。
【0030】
[配線基板12]
配線基板12は、例えば、ポリイミド等の樹脂材料で形成された略円形のプリント配線基板である。なお、検査装置9はテストヘッド(図示しない)を備えるようにしてもよく、当該テストヘッドの下面に配線基板12が設けられてもよい。
【0031】
配線基板12の上面121には、配線パターン(図示しない)や、接続子基板14側から引き出された各電気配線22の一端部と接続する接続端子62が形成されている。また、配線基板12の上面121には、検査部(テスター)8の電気特性検査ユニット81と電気的に接続する検査側端子(図示せず)が形成されている。そして、例えば、配線パターンや導電路等により検査側端子と接続端子62とが電気的に接続可能であり、各電気配線22通じて、検査部(テスター)8と接続子基板14の各プローブ221との間で電気的に接続されるようにしてもよい。
【0032】
なお、配線基板12の構成は、
図1及び
図2に例示する構成に限定されない。また、配線基板12の上面には、抵抗等の他の電子部品が配置されるようにしてもよい。
【0033】
[接続ユニット13]
接続ユニット13は、配線基板12の中央部に取り付けられ、当該接続ユニット13の下面に接続子基板14を接続する部材である。
【0034】
接続ユニット13は、中央部に矩形の開口部1311(第3の開口部)を有する第1の板状部材131と、第1の板状部材131の下方に、中央部に矩形の凹部1321を有する第2の板状部材132とを有する。
【0035】
接続ユニット13は、その下面で接続する接続子基板14に設けられている線状の長尺な複数の光ファイバ21を、第1の板状部材131の開口部1311を通じて、上方に(すなわち、円形板状部材11の開口部111側)に引き出し可能な構成を有する。
【0036】
第1の板状部材131は、配線基板12の中央部に取り付けられる部分であり、その厚み(Z軸方向の長さ)は、配線基板12の厚さ(Z軸方向の長さ)と略同じであり、第1の板状部材131が配線基板12に取り付けられると、第1の板状部材131の下面と、配線基板12の下面とが略面一になる。
【0037】
第2の板状部材132は、第1の板状部材131の下方に配置される部分であり、第2の板状部材132の下面には、接続子基板14が接続される。
【0038】
第2の板状部材132の下面は、接続子基板14の複数のプローブ221の上端部(一方の端部)と電気的に接続する複数の端子(図示しない)を備え、これら複数の端子が、例えば導電路等を通じて、凹部1321の底部に設けられている接続部1322と電気的に接続する。接続部1322は、複数の電気配線22と接続しており、これら複数の電気配線22が上方に引き上げられて、複数の電気配線22が、開口部1311及び開口部111(第2の開口部)から引き出される。
【0039】
また、第2の板状部材132の凹部1321の接続部1322には、接続子基板14の複数の光ファイバ21が集められ、これら複数の光ファイバ21が上方に引き上げられ、複数の光ファイバ21が、開口部1311及び開口部111から引き出される。
【0040】
[接続子基板14]
接続子基板14は、複数のプローブ(電気的接触子)221と、複数の光ファイバ(光学的接続子)21とを保持する接続子基板である。
【0041】
この実施形態では、例えば1個の被検査体5に、1組の電気信号端子51及び光信号端子52が設けられており、被検査体5を検査する際に、1個の被検査体(光デバイス)5の1組の電気信号端子51及び光信号端子52に対して、1組のプローブ221及び光ファイバ21を接続させる場合を例示する。したがって、接続子基板14は、被検査体5の数に応じた組数のプローブ221及び光ファイバ21を保持する。
【0042】
接続子基板14は、基板厚み方向(Z軸方向)に貫通する貫通孔41を複数有するセラミック基板141と、セラミック基板141の上面に設けられる板状部材142とを備える。
【0043】
セラミック基板141は、検査対象とする各被検査体5の光信号端子52の位置と対応する各位置に貫通孔41が設けられている。そして、複数の貫通孔41のそれぞれに、光ファイバ21が挿入され、周知の構造で貫通孔41に保持される。被検査体5の検査の際、各貫通孔41に挿入された光ファイバ21の下端部(以下では、「先端部」とも呼ぶ。)は、被検査体5の光信号端子52に対して、光学的に接続可能な位置に配置される。例えば、被検査体5が半導体ウェハの基板面に対して垂直上方に光を発光するものである場合、各貫通孔41に挿入された光ファイバ21の下端部(先端部)は、被検査体5の光信号端子52に対して垂直上方の位置に配置される。これにより、被検査体5からの光が、損失を少なくして効率的に光ファイバ21に入射される。
【0044】
セラミック基板141に保持される各プローブ221は、当該プローブ221の先端部が、各被検査体5の電気信号端子51に対して電気的に接触が可能な位置に配置される。
【0045】
[円形板状部材11]
円形板状部材11は、配線基板12の上面中央部に配置されるものであり、配線基板12の姿勢を安定化させるものである。円形板状部材11は、スティフナとも呼ばれる部材である。
【0046】
円形板状部材11は、Z方向に厚みを持つ略円形の板状部材であり、その中央部には矩形の開口部111を有する。そして、円形板状部材11の開口部111と、下方の接続ユニット13の開口部1311との位置が一致するように、円形板状部材11が、接続ユニット13の上面及び配線基板12の開口部122(第1の開口部)の縁部の上面に配置される。
【0047】
接続子基板14に保持される複数の光ファイバ(光学的接続子)21と、接続子基板14に保持される各プローブ(電気的接触子)221に対して電気的に接続可能な複数の電気配線22とは、接続ユニット13を介して、円形板状部材11の開口部111から引き出され、検査部(テスター)8と接続される。
【0048】
より具体的に、配線基板12の中央部には矩形の開口部122が設けられており、開口部122に後述する接続ユニット13が組み立てられ、この接続ユニット13の下面に接続子基板14が取り付けられる。なお、開口部122は、矩形に限らず、円形状又は多角形状等に形成されてもよい。
【0049】
接続子基板14には、被検査体5の電気信号端子51と電気的に接触する複数のプローブ(電気的接触子)221と、被検査体5の光信号端子52と光学的に接続する複数の光ファイバ(光学的接続子)21とが設けられる。被検査体5の特性検査の際、接続子基板14の各プローブ221を被検査体5の電気信号端子51に電気的に接触させると共に、接続子基板14の各光ファイバ21を、被検査体5の光信号端子52に光学的に接続させることが要求される。このとき、接続子基板14が取り付けられた配線基板12の姿勢を安定化させるため、配線基板12の上面121に円形板状部材11が設けられる。
【0050】
なお、この実施形態では、開口部111及び開口部1311が矩形開口である場合を例示するが、開口部111及び開口部1311の形状はこれに限定されず、円形、楕円形、6角形や8角形などの多角形であってもよい。
【0051】
[ガイド凹部112]
図2において、円形板状部材11の上面は、ガイド凹部112を境界として、一方の側に略円弧状の第1の段差部113と、第1の段差部113に対向する他方の側に略円弧状の第2の段差部114とを備える。すなわち、第1の段差部113と第2の段差部114との間には、ガイド凹部112が形成される。
【0052】
ガイド凹部112は、円形板状部材11の上面に形成された凹部であり、複数の長尺の光ファイバ21を円形板状部材11の外側面115に案内するものである。
【0053】
ガイド凹部112は、円形板状部材11の上面において、開口部111の縁部から円形板状部材11の外側面115に亘って形成される。ガイド凹部112のY軸方向の幅長は、中央に位置する開口部111のY軸方向の長さと略同じとすることができ、開口部111から引き出した複数の長尺の光ファイバ21を纏めて収容することができる。なお、ガイド凹部112の幅長は、開口部111の長さと略同じにすることに限らず、開口部111の長さと異なる長さに設定されてもよい。
【0054】
従来は、
図5に示すように、円形板状部材71の開口部711から引き出した複数の光ファイバ74を纏めて収容することができず、作業中に応力を与えてしまうおそれがあった。
【0055】
なお、ガイド凹部112の深さは、開口部111から引き出された複数の光ファイバ21を収容することが可能な長さに設定される。すなわち、ガイド凹部112の深さは、例えば、束状にまとめられる複数の光ファイバ21のZ軸方向の長さ(光ファイバ21の束の太さ)よりも長く設定される。以下、ガイド凹部112の壁部において、第1の段差部113側の壁部を第1の壁面113cと示し、第2の段差部114側の壁部を第2の壁面114cと示す。
【0056】
ガイド凹部112の底面には、丸み加工が施される箇所と、平坦面とが形成される。丸み加工が施される箇所は、開口部111から引き出された光ファイバ21と、円形板状部材11とが接触することによって、光ファイバ21に対してせん断力等の応力が作用する接触箇所に形成される。ガイド凹部112の底面には、例えば、開口部111に向かうにつれて下方向へと向かうように、所定の曲率を持つ曲面112a及び曲面112bが形成されている。
【0057】
例えば
図6に示す従来の円形板状部材71のように、開口部711の端部が角部となっている。その場合、引き出された光ファイバ74が開口部711の端部の角部と接触すると、角部との接触箇所で、光ファイバ74に対して強い物理的な力が作用してしまい、光ファイバ74が破損してしまうリスクがある。これに対して、この実施形態のように、開口部111の左右端部に連なるガイド凹部112の底部部分を曲面112a及び曲面112bとすることで、引き出された光ファイバ21を緩やかな曲率の曲面112aで支持できるので、光ファイバ21の破損を防ぐことができる。
【0058】
ここで、ガイド凹部112の底面部分である曲面112a及び曲面112bの曲率は、特に限定されず、引き出された光ファイバ21の折れ曲がりによる応力及び、光ファイバ21に対してせん断力等の応力が作用しない、適度な曲率とすることが望まれる。
【0059】
なお、ガイド凹部112は、開口部111に連なる底面部分がテーパ状に形成されてもよい。すなわち、
図7に例示するように、ガイド凹部112の底面には、開口部111に向かうにつれて、配線基板12側へと漸次向かうように形成されるテーパ部112e、112fが備えられてもよい。ガイド凹部112の底面には、曲面112a、112b又はテーパ部112e、112fのいずれか一方が形成されることに限らず、開口部111に向けて、曲面とテーパ部との両方を組み合わせた面が形成されてもよい。
【0060】
また例えば、ガイド凹部112の底面において、円形板状部材11の外側面付近の底面部分が、円形板状部材11の外側面に向けて高さが低くなるように、所定の曲率を持つ曲面112c及び曲面112dが形成されている。すなわち、ガイド凹部112の外側面115に連なる底面部分は、外側面115に向かうにつれて、配線基板12へと向かうように曲面112c、112dが形成される。
【0061】
なお、ガイド凹部112は、外側面115に連なる底面部分がテーパ状に形成されてもよい。すなわち、
図9に例示するように、ガイド凹部112の底面には、外側面115に向かうにつれて、配線基板12側へと漸次向かうように形成されるテーパ部112gが備えられてもよい。ガイド凹部112の外側面115付近の底面には、曲面112c、112d又はテーパ部112gのいずれか一方が形成されることに限らず、外側面に向けて、曲面とテーパ部との両方を組み合わせた面が形成されてもよい。
【0062】
なお、ガイド凹部112の底面は、丸み加工が施される箇所及び平坦面の二つの形状が形成されることに限らず、開口部111の縁部から円形板状部材11の外側面115に亘って丸み加工が施されてもよい。すなわち、ガイド凹部112は、例えば、開口部111の縁部から円形板状部材11の外側面115に亘って、上方向に凸形状のアーチ状に形成されてもよい。
【0063】
さらに例えば、円形板状部材11において、ガイド凹部112の壁面端部は、丸み加工が施されている。すなわち、ガイド凹部112の底面を挟んで対向する一対の壁面(例えば、第1の壁面113c及び第2の壁面114cを示す)の外側面115側の端部は、外側面115に向かうにつれてガイド凹部112の壁面間の距離が広がる方向に曲がる曲面が形成される。換言すると、ガイド凹部112を形成する第1の段差部113の第1の壁面113cの両端部が所定の曲率の曲面113a及び曲面113bを有し、第2の段差部114の第2の壁面114cの両端部が所定の曲率の曲面114a及び曲面114bを有する。
【0064】
なお、ガイド凹部112の壁面端部は、テーパ状に形成されてもよい。すなわち、
図8に例示するように、ガイド凹部112の壁面端部には、外側面115に向かうにつれて、ガイド凹部112の幅が漸次広がるように形成されるテーパ部113d、114dが備えられてもよい。ガイド凹部112の壁面端部には、曲面113a,113b又はテーパ部113dのいずれか一方が形成されることに限らず、曲面113a、113b及びテーパ部113dの両方が形成されてもよい。
【0065】
これは、ガイド凹部112によって、引き出された複数の長尺な光ファイバ21が円形板状部材11の外側面115に案内されて巻回されるときに、光ファイバ21とガイド凹部112の壁面端部とが接触して、その接触箇所で光ファイバ21に強い物理的な力が作用して破損してしまうことを防止するためである。なお、長尺な光ファイバ21を円形板状部材11の全周に亘って巻回することにより、円形板状部材11の上面にガイド凹部112が、開口部111から引き出された光ファイバ21を緩やかに曲げた状態で案内することもできる。
【0066】
なお、円形板状部材11は配線基板12の姿勢を均等に安定化させるための部材なので、円形板状部材11の構造は、開口部111の中心を通るY軸を境界線として線対称の構造としている。
【0067】
[収容溝116]
円形板状部材11の外側面115には、巻き付けられる複数の長尺な光ファイバ21を収容するための1又は複数の収容溝116が形成されている。各収容溝116は、円形板状部材11の外側から中心方向を溝方向として形成された溝であり、円形板状部材11の外側面115に沿って、外側面115の全周に亘って形成されている。外側面115に複数の収容溝116が設けられる場合、複数の収容溝116はそれぞれZ軸方向に沿って並んで形成される。
【0068】
外側面115の各収容溝116は、円形板状部材11の全周に亘って巻回される光ファイバ21を収容して、円形板状部材11の外側面115に巻回される光ファイバ21を支持する。
【0069】
これにより、引き出される長尺な光ファイバ21を円形板状部材11の外側面115に巻回することができ、また、巻回した光ファイバ21を収容溝116に収容させることができる。また、従来は、作業中に、長尺な光ファイバ21に引っ掛けてしまい、光ファイバ21が破損するリスクもあるが、この実施形態によれば、そのようなリスクを防ぐことができる。さらに、円形板状部材11の外側面115に収容溝116を設けることにより、外側面115に巻かれている光ファイバ21のほどけ等を防止できる。
【0070】
図3は、実施形態に係る収容溝116の構成を示す拡大断面図である。
図3では、3個の収容溝116a~116cが、円形板状部材11の外側面115に形成されている場合を例示している。
【0071】
各収容溝116a~116cは、外側面115のZ軸方向に並んで配置されており、各収容溝116a~116cは、巻回される複数の光ファイバ21を収容できるようになっている。円形板状部材11の外側面115に巻き付けられる光ファイバ21が各収容溝116a~116cに収容されることで、光ファイバ21を押さえることができ、巻き付けられている光ファイバ21の巻き戻りやほどけを防止できる。
【0072】
各収容溝116a~116cは、ガイド凹部112の曲面112dの終端位置Xよりも下方に位置している外側面115に形成されている。
【0073】
なお、各収容溝116a~116cの溝幅は、略同じ長さに設定されてもよいし、それぞれ異なる長さに設定されてもよい。各収容溝116a~116cの深さは、略同じ長さに設定されてもよいし、それぞれ異なる長さに設定されてもよい。各収容溝116a~116cに収容される光ファイバ21の本数は、同じ本数が収納されてもよいし、それぞれ異なる本数が収容されてもよい。
【0074】
[光ファイバ固定部61]
配線基板12の上面121には、光ファイバ固定部61が配置されている。光ファイバ固定部61は、円形板状部材11の外側面115の全周に亘って巻回され、巻き終えた複数の光ファイバ21(すなわち、光ファイバ21の束)を固定する。これにより、円形板状部材11の外側面115に沿って巻回された複数の光ファイバ21の巻回状態を保持することができる。すなわち、巻き終えた複数の光ファイバ21を光ファイバ固定部61で固定することで、光ファイバ21の巻き戻りを防ぐことができる。
【0075】
さらに、複数の光ファイバ21の検査部(テスター)8への取り付け作業の際に、被検査体5の光信号端子52に対応する光ファイバ21を区別しながら光ファイバ21を検査部(テスター)8に取り付けることが必要となるが、光ファイバ固定部61で複数の光ファイバ21を固定しておくことで、光ファイバ21を選別しやすくなり、作業性が良好となる。
【0076】
光ファイバ固定部61は、例えば絶縁材料で形成された固定部材(保持部材)とすることができ、例えば、複数の光ファイバ21を全て纏めて把持するものや、引き出された複数の光ファイバ21を所定本数毎に分けて光ファイバ21を把持するものや、複数の光ファイバをそれぞれ個別に把持するものなどとしてもよい。なお、光ファイバ固定部61は、光ファイバ21を脱着不能に固定することに限らない。以下、「固定」には、「脱着可能に固定」、「保持」又は「把持」等意味を含むものとする。
【0077】
また、
図2の例では、光ファイバ固定部61が、円形板状部材11のガイド凹部112の一方の端部側(曲面112a側)の近傍であって、配線基板12の上面121の縁部に配置されている。これは、円形板状部材11の全周に亘って巻回されて、第1の段差部113側から巻き終えた複数の光ファイバ21を、光ファイバ固定部61で固定できるようにするためである。したがって、巻き終えた複数の光ファイバ21を固定することができるのであれば、
図2に例示する位置に限定されない。なお、光ファイバ21は、円形板状部材11の全周に亘って巻回されることに限らず、円形板状部材11の外側面115の一部に沿って巻回されてもよい。光ファイバ21は、円形板状部材11の外側面115に巻回されずに、光ファイバ固定部61に支持されてもよい。
【0078】
(A-2)実施形態の効果
以上のように、実施形態によれば、光学的接続子の破損を抑制することができる。
【0079】
(B)他の実施形態
上述した実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の変形実施形態にも適用できる。
【0080】
(B-1)上述した実施形態では、円形板状部材11の外側面115に、当該外側面115に沿って、外側面115の全周に亘って収容溝116が形成される場合を例示した。しかし、収容溝116は、
図1、
図3に例示するものに限定されず、
図4に例示する収容溝516を円形板状部材11に設けてもよい。
【0081】
収容溝516の少なくとも一部分は、外側面115からの溝深さが、円形板状部材11における配線基板12側の面(下面)に向かうにつれて、深くなるように形成される。例えば、
図4の例では、円形板状部材11の下面周縁部に、外側面115に沿って外側面115の全周に亘って設けた円弧断面を有する収容溝516を設ける場合を例示する。つまり、
図4の収容溝516の断面は、外側面115の所定の高さ位置から円形板状部材11の下面に向けて高さが低くなる、上に凸形状とした円弧断面を有する。
【0082】
また例えば、収容溝516の少なくとも一部分は、テーパ状に形成されてもよい。すなわち、例えば
図10に例示するように、収容溝516aが、円形板状部材11の下面に向かうにつれて漸次溝深さが長くなるようにテーパ状の壁面5161が形成されてもよい。また例えば、
図11に例示するように、収容溝516bが、X軸方向の上面5162と、上面5162の端部から、円形板状部材11の下面に向かうにつれて漸次溝深さが長くなるようにテーパ状の壁面5263とが形成されてもよい。さらに例えば、
図12に例示するように、収容溝516cが、X軸方向の上面5164と、上面5164の端部から、円形板状部材11の下面に向かうにつれて漸次溝深さが長くなるようにテーパ状の壁面5265と、壁面5265の端部から円形板状部材11の下面に向けてY軸方向の壁面5166とが形成されてもよい。収容溝516、516a~516cには、円弧形状又はテーパ状のいずれか一方が形成されることに限らず、円弧形状及びテーパ部の両方が形成されてもよい。
【0083】
これにより、収容溝516、516a~516cによれば、巻回される光ファイバ21を支持できるので、光ファイバ21の這い上がりを抑制することができる。
【符号の説明】
【0084】
1…接続装置(プローブカード)、11…円形板状部材、111…開口部、112…ガイド凹部112a及び112b…曲面、112c及び112d…曲面、113…第1の段差部、114…第2の段差部、113a及び113b…曲面、114a及び114b…曲面、113c…第1の壁面、114c…第2の壁面、115…外側面、116及び516、516a~516c…収容溝、12…配線基板、61…光ファイバ固定部、62…接続端子、13…接続ユニット、131…第1の板状部材、1311…開口部、132…第2の板状部材、1321…凹部、1322…接続部、14…接続子基板、141…セラミック基板、142…固定用板部材、41…貫通孔、21…光ファイバ、22…電気配線、221…電気的接触子、5…検査体、51…電気信号端子、52…光信号端子、9…検査装置、8…検査部(テスター)、31…検査ステージ、32…チャックトップ