(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20240729BHJP
H10B 41/27 20230101ALI20240729BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240729BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20240729BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20240729BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20240729BHJP
H10B 43/35 20230101ALI20240729BHJP
G11C 16/26 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
H10B43/27
H10B41/27
H01L29/78 371
G11C16/04 170
H10B43/35
G11C16/26
(21)【出願番号】P 2020123692
(22)【出願日】2020-07-20
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 旭
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-045749(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0035312(US,A1)
【文献】特開2021-047964(JP,A)
【文献】特開2014-170599(JP,A)
【文献】特開2019-079885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 43/27
H10B 41/27
H01L 21/336
H01L 29/788
H01L 29/792
G11C 16/04
H10B 43/35
G11C 16/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1メモリセルトランジスタと、第2メモリセルトランジスタと、前記第1メモリセルトランジスタと前記第2メモリセルトランジスタとの間を直列に接続する第1選択素子と、
前記第1メモリセルトランジスタに接続される第1選択トランジスタと、前記第2メモリセルトランジスタに接続される第2選択素子と、を含む第1メモリストリングと、
第3メモリセルトランジスタと、第4メモリセルトランジスタと、前記第3メモリセルトランジスタと前記第4メモリセルトランジスタとの間を直列に接続する第
3選択素子と、
前記第3メモリセルトランジスタに接続される第2選択トランジスタと、前記第4メモリセルトランジスタに接続される第4選択素子と、を含む第2メモリストリングと、
前記第1メモリセルトランジスタ及び前記第3メモリセルトランジスタの各々のゲートに共通接続された第1配線と、
前記第2メモリセルトランジスタ及び前記第4メモリセルトランジスタの各々のゲートに共通接続された第2配線と、
前記第1メモリストリング及び前記第2メモリストリングの各々の第1端に共通接続された第3配線と、
前記第1メモリストリング及び前記第2メモリストリングの各々の第2端に共通接続された第4配線と、
制御回路と、
を具備し、
前記第1選択トランジスタは、前記第3配線と前記第1メモリセルトランジスタとの間を直列に接続し、
前記第2選択素子は、前記第4配線と前記第2メモリセルトランジスタとの間を直列に接続し、
前記第2選択トランジスタは、前記第3配線と前記第3メモリセルトランジスタとの間を直列に接続し、
前記第4選択素子は、前記第4配線と前記第4メモリセルトランジスタとの間を直列に接続し、
前記第1選択トランジスタのゲートは、前記第2選択トランジスタのゲートと電気的に絶縁され、
前記制御回路は、前記第1メモリストリングのデータを読み出す際に、前記第1選択素子をオン状態にしつつ、前記第
3選択素子をオフ状態に
し、
前記第1メモリセルトランジスタのデータを読み出す際には、前記第2選択トランジスタをオン状態にしつつ、前記第4選択素子をオフ状態にし、
前記第2メモリセルトランジスタのデータを読み出す際には、前記第4選択素子をオン状態にしつつ、前記第2選択トランジスタをオフ状態にする
ように構成された、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1選択素子は、直列に接続された第3選択トランジスタ及び第4選択トランジスタを含み、
前記第
3選択素子は、直列に接続された第5選択トランジスタ及び第6選択トランジスタを含み、
前記制御回路は、前記第1メモリストリングのデータを読み出す際には、
前記第3選択トランジスタ及び前記第5選択トランジスタの各々のゲートに第1電圧を印加し、
前記第4選択トランジスタ及び前記第6選択トランジスタの各々のゲートに前記第1電圧と異なる第2電圧を印加する
ように構成された、
請求項
1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第
2選択素子は、直列に接続された第7選択トランジスタ及び第8選択トランジスタを含み、
前記第4選択素子は、直列に接続された第9選択トランジスタ及び第10選択トランジスタを含み、
前記制御回路は、
前記第1メモリセルトランジスタのデータを読み出す際には、前記第7選択トランジスタ及び前記第9選択トランジスタの各々のゲートに第3電圧を印加し、前記第8選択トランジスタ及び前記第10選択トランジスタの各々のゲートに前記第3電圧と異なる第4電圧を印加するように構成され、
前記第2メモリセルトランジスタのデータを読み出す際には、前記第7選択トランジスタ、前記第8選択トランジスタ、前記第9選択トランジスタ、及び前記第10選択トランジスタの各々のゲートに第5電圧を印加するように構成された、
請求項
1記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記第1メモリストリングのデータを読み出す際に、
前記第3選択トランジスタ及び前記第4選択トランジスタをいずれもオン状態とし、
前記第5選択トランジスタ及び前記第6選択トランジスタのいずれか一方をオン状態とし、他方をオフ状態とする
ように構成された、
請求項
2記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記第1メモリセルトランジスタのデータを読み出す際に、
前記第7選択トランジスタ及び前記第8選択トランジスタをいずれもオン状態とし、
前記第9選択トランジスタ及び前記第10選択トランジスタのいずれか一方をオン状態とし、他方をオフ状態とし、
前記第2メモリセルトランジスタのデータを読み出す際に、
前記第7選択トランジスタ及び前記第8選択トランジスタをいずれもオン状態とし、
前記第9選択トランジスタ及び前記第10選択トランジスタをいずれもオン状態とする
ように構成された、
請求項
3記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第3選択トランジスタの閾値電圧が前記第5選択トランジスタの閾値電圧よりも大きい場合、前記第4選択トランジスタの閾値電圧は、前記第6選択トランジスタの閾値電圧よりも小さく、
前記第3選択トランジスタの閾値電圧が前記第5選択トランジスタの閾値電圧よりも小さい場合、前記第4選択トランジスタの閾値電圧は、前記第6選択トランジスタの閾値電圧よりも大きい、
請求項
2又は請求項
4記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第7選択トランジスタの閾値電圧が前記第9選択トランジスタの閾値電圧よりも大きい場合、前記第8選択トランジスタの閾値電圧は、前記第10選択トランジスタの閾値電圧よりも小さく、
前記第7選択トランジスタの閾値電圧が前記第9選択トランジスタの閾値電圧よりも小さい場合、前記第8選択トランジスタの閾値電圧は、前記第10選択トランジスタの閾値電圧よりも大きい、
請求項
3又は請求項
5記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第3配線は、ビット線であり、
前記第4配線は、ソース線である、
請求項1乃至請求項
7のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置として、NAND型フラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2017/0352430号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0108417号明細書
【文献】特開2018-160301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
読出し動作の特性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、第1メモリセルトランジスタと、第2メモリセルトランジスタと、上記第1メモリセルトランジスタと上記第2メモリセルトランジスタとの間を直列に接続する第1選択素子と、を含む第1メモリストリングと、第3メモリセルトランジスタと、第4メモリセルトランジスタと、上記第3メモリセルトランジスタと上記第4メモリセルトランジスタとの間を直列に接続する第2選択素子と、を含む第2メモリストリングと、上記第1メモリセルトランジスタ及び上記第3メモリセルトランジスタの各々のゲートに共通接続された第1配線と、上記第2メモリセルトランジスタ及び上記第4メモリセルトランジスタの各々のゲートに共通接続された第2配線と、上記第1メモリストリング及び上記第2メモリストリングの各々の第1端に共通接続された第3配線と、上記第1メモリストリング及び上記第2メモリストリングの各々の第2端に共通接続された第4配線と、制御回路と、を具備する。上記制御回路は、上記第1メモリストリングのデータを読み出す際に、上記第1選択素子をオン状態にしつつ、上記第2選択素子をオフ状態にするように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る半導体記憶装置のブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る半導体記憶装置の備えるメモリセルアレイの回路図である。
【
図4】第1実施形態に係る半導体記憶装置におけるメモリセルアレイの構造の例を示す断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る半導体記憶装置におけるダミーセルトランジスタが取り得る閾値電圧を説明するための図である。
【
図6】第1実施形態に係る半導体記憶装置のダミーセルトランジスタに設定される閾値電圧の状態の例を示す図である。
【
図7】第1実施形態に係る半導体記憶装置を用いた読出し動作(動作例1-1)の際の各配線の電圧を示すタイミングチャートである。
【
図8】第1実施形態に係る半導体記憶装置を用いた読出し動作(動作例1-1)の際の各ストリングユニットとビット線及びソース線との電気的な接続を説明するための図である。
【
図9】第1実施形態に係る半導体記憶装置を用いた読出し動作(動作例1-2)の際の各配線の電圧を示すタイミングチャートである。
【
図10】第1実施形態に係る半導体記憶装置を用いた読出し動作(動作例1-2)の際の各ストリングユニットとビット線及びソース線との電気的な接続を説明するための図である。
【
図11】第2実施形態に係る半導体記憶装置の備えるメモリセルアレイの回路図である。
【
図12】第2実施形態に係る半導体記憶装置におけるメモリセルアレイの構造の例を示す断面図である。
【
図13】第2実施形態に係る半導体記憶装置のダミーセルトランジスタに設定される閾値電圧の状態の例を示す図である。
【
図14】第2実施形態に係る半導体記憶装置を用いた読出し動作(動作例2-1)の際の各配線の電圧を示すタイミングチャートである。
【
図15】第2実施形態に係る半導体記憶装置を用いた読出し動作(動作例2-1)の際の各ストリングユニットとビット線及びソース線との電気的な接続を説明するための図である。
【
図16】第2実施形態に係る半導体記憶装置を用いた読出し動作(動作例2-2)の際の各配線の電圧を示すタイミングチャートである。
【
図17】第2実施形態に係る半導体記憶装置を用いた読出し動作(動作例2-2)の際の各ストリングユニットとビット線及びソース線との電気的な接続を説明するための図である。
【
図18】第2実施形態に係る半導体記憶装置を用いた読出し動作(動作例2-3)の際の各配線の電圧を示すタイミングチャートである。
【
図19】第2実施形態に係る半導体記憶装置を用いた読出し動作(動作例2-3)の際の各ストリングユニットとビット線及びソース線との電気的な接続を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態につき図面を参照して説明する。以下の説明において、共通する部分には共通する参照符号を付す。
【0008】
1.第1実施形態
第1実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。なお、以下では、半導体記憶装置としてNAND型フラッシュメモリを例に説明する。
【0009】
1.1 構成
1.1.1 メモリシステムの全体構成
まず、メモリシステムの構成例について、
図1を用いて説明する。
図1は、第1実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ1を含むメモリシステム3の構成の一例を示すブロック図である。
【0010】
メモリシステム3は、例えば、外部のホスト機器4と通信する。メモリシステム3は、ホスト機器4からのデータを保持し、また、データをホスト機器4に読み出す。メモリシステム3は、例えば、SSD(solid state drive)やSDTMカード等である。
【0011】
メモリシステム3は、メモリコントローラ2及びNAND型フラッシュメモリ1を備える。
【0012】
メモリコントローラ2は、ホスト機器4から命令を受取り、受け取った命令に基づいてNAND型フラッシュメモリ1を制御する。具体的には、メモリコントローラ2は、ホスト機器4から書込みを指示されたデータをNAND型フラッシュメモリ1に書込み、ホスト機器4から読出しを指示されたデータをNAND型フラッシュメモリ1から読み出してホスト機器4に送信する。
【0013】
NAND型フラッシュメモリ1は、各々がデータを不揮発に記憶する複数のメモリセルトランジスタを備える。NAND型フラッシュメモリ1は、メモリコントローラ2とNANDバスによって接続される。
【0014】
NANDバスは、NANDインタフェースに従ったチップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号/RE、ライトプロテクト信号/WP、レディ/ビジー信号/RB、及び入出力信号I/O<7:0>の各々について、個別の信号線を介して送受信を行う。信号/CEは、NAND型フラッシュメモリ1をイネーブルにするための信号である。信号CLEは、信号CLEが“H(High)”レベルである間にNAND型フラッシュメモリ1に流れる信号I/O<7:0>がコマンドであることをNAND型フラッシュメモリ1に通知する。信号ALEは、信号ALEが“H”レベルである間にNAND型フラッシュメモリ1に流れる信号I/O<7:0>がアドレスであることをNAND型フラッシュメモリ1に通知する。信号/WEは、信号/WEが“L(Low)”レベルである間にNAND型フラッシュメモリ1に流れる信号I/O<7:0>をNAND型フラッシュメモリ1に取り込むことを指示する。信号/REは、NAND型フラッシュメモリ1に信号I/O<7:0>を出力することを指示する。信号/WPは、データ書込み及び消去の禁止をNAND型フラッシュメモリ1に指示する。信号/RBは、NAND型フラッシュメモリ1がレディ状態(外部からの命令を受け付ける状態)であるか、ビジー状態(外部からの命令を受け付けない状態)であるかを示す。信号I/O<7:0>は、例えば8ビットの信号である。
【0015】
信号I/O<7:0>は、NAND型フラッシュメモリ1とメモリコントローラ2との間で送受信され、コマンドCMD、アドレスADD、及びデータDATを含む。データDATは、書込みデータ及び読出しデータを含む。
【0016】
以上で説明したメモリシステム3を使用するホスト機器4としては、例えばデジタルカメラやパーソナルコンピュータ等が挙げられる。
【0017】
1.1.2 メモリコントローラの構成
メモリコントローラ2の構成について、引き続き
図1を用いて説明する。
【0018】
図1に示されるように、メモリコントローラ2は、CPU(Central Processing Unit)21、内蔵メモリ22、バッファメモリ23、NAND I/F(NANDインタフェース回路)24、及びホスト I/F(ホストインタフェース回路)25を含む。メモリコントローラ2は、例えばSoC(System-on-a-chip)として構成される。
【0019】
CPU21は、メモリコントローラ2全体の動作を制御する。CPU21は、例えば、ホスト機器4から受信したデータの読出し命令に応答して、NANDインタフェースに基づく読出し命令をNAND型フラッシュメモリ1に対して発行する。この動作は、書込み及び消去の場合についても同様である。また、CPU21は、NAND型フラッシュメモリ1からの読出しデータに対して、種々の演算を実行する機能を有する。
【0020】
内蔵メモリ22は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリであり、CPU21の作業領域として使用される。内蔵メモリ22は、NAND型フラッシュメモリ1を管理するためのファームウェア、及び各種の管理テーブル等を保持する。
【0021】
バッファメモリ23は、メモリコントローラ2がNAND型フラッシュメモリ1から受信した読出しデータや、ホスト機器4から受信した書込みデータ等を一時的に記憶する。
【0022】
NANDインタフェース回路24は、NANDバスを介してNAND型フラッシュメモリ1と接続され、NAND型フラッシュメモリ1との通信を司る。NANDインタフェース回路24は、CPU21の指示により、コマンドCMD、アドレスADD、及び書込みデータをNAND型フラッシュメモリ1に送信する。また、NANDインタフェース回路24は、NAND型フラッシュメモリ1から読出しデータを受信する。
【0023】
ホストインタフェース回路25は、ホストバスを介してホスト機器4と接続され、メモリコントローラ2とホスト機器4との間の通信を司る。ホストインタフェース回路25は、例えば、ホスト機器4から受信した命令及びデータを、それぞれCPU21及びバッファメモリ23に転送する。
【0024】
1.1.3 NAND型フラッシュメモリの構成
次に、第1実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ1の構成例について、
図2を用いて説明する。
図2は、第1実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ1の構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
NAND型フラッシュメモリ1は、メモリセルアレイ10、ロウデコーダ20、センスアンプ30、及び制御回路40を備える。
【0026】
メモリセルアレイ10は、ロウ及びカラムに対応付けられた不揮発性のメモリセルトランジスタを含む複数のブロックBLK(BLK0、BLK1、BLK2、・・・)を備える。各々のブロックBLKは、例えば4つのストリングユニットSU(SU0~SU3)を含む。そして各々のストリングユニットSUは、複数のNANDストリングNSを含む。メモリセルアレイ10内のブロック数及びブロック内のストリングユニット数は任意である。メモリセルアレイ10の詳細については後述する。
【0027】
ロウデコーダ20は、ロウアドレスをデコードし、このデコード結果に基づき、ブロックBLKのいずれかを選択し、更にいずれかのストリングユニットSUを選択する。そして、必要な電圧をブロックBLKに出力する。ロウアドレスは、例えばNAND型フラッシュメモリ1を制御するメモリコントローラ2から与えられる。
【0028】
センスアンプ30は、データの読出し動作時には、メモリセルアレイ10内の読出し動作の対象となるメモリセルトランジスタの閾値電圧をセンスする。そして、センス結果を読出しデータとしてメモリコントローラ2に出力する。データの書込み動作時には、外部のメモリコントローラ2から受信した書込みデータをメモリセルアレイ10に転送する。
【0029】
制御回路40は、NAND型フラッシュメモリ1全体の動作を制御する。
【0030】
1.1.4 メモリセルアレイの構成
次に、メモリセルアレイ10の構成について
図3を用いて説明する。
図3は、第1実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ1の備えるメモリセルアレイ10の回路図である。
図3の例は、メモリセルアレイ10内のブロックBLKの1つを示しているが、他のブロックBLKの構成も同じである。前述の通り、ブロックBLKは例えば4つのストリングユニットSUを含み、各々のストリングユニットSUは複数のNANDストリングNSを含む。
【0031】
NANDストリングNSの各々は、16個のメモリセルトランジスタMT(MT0~MT15)、2個の選択トランジスタST1及びST2、並びに4個のダミーセルトランジスタDT(DTU、DTL0、DTL1、及びDTL2)を含む。なお、以降の説明において、ストリングユニットSUi(iは0以上3以下の整数)における2個の選択トランジスタST1及びST2をそれぞれ、選択トランジスタST1_i及びST2_iと呼称し、ストリングユニットSUiにおける4個のダミーセルトランジスタDTU、DTL0、DTL1、及びDTL2をそれぞれ、ダミーセルトランジスタDTU_i、DTL0_i、DTL1_i、及びDTL2_iと呼称する。
【0032】
メモリセルトランジスタMTは、制御ゲートと電荷蓄積層とを備え、データを不揮発に保持する。
【0033】
ダミーセルトランジスタDTL0のソースは、選択トランジスタST2のドレインに接続される。ダミーセルトランジスタDTL0のドレインは、ダミーセルトランジスタDTL1のソースに接続される。
【0034】
メモリセルトランジスタMT0~MT7は、この順に、ダミーセルトランジスタDTL1及びダミーセルトランジスタDTL2の間に直列に接続されている。この直列接続の一端側のメモリセルトランジスタMT0のソースは、ダミーセルトランジスタDTL1のドレインに接続され、他端側のメモリセルトランジスタMT7のドレインは、ダミーセルトランジスタDTL2のソースに接続されている。
【0035】
ダミーセルトランジスタDTL2のドレインは、ダミーセルトランジスタDTUのソースに接続される。
【0036】
メモリセルトランジスタMT8~MT15は、この順に、ダミーセルトランジスタDTU及び選択トランジスタST1の間に直列に接続されている。この直列接続の一端側のメモリセルトランジスタMT8のソースは、ダミーセルトランジスタDTUのドレインに接続され、他端側のメモリセルトランジスタMT15のドレインは、選択トランジスタST1のソースに接続されている。
【0037】
なお、第1実施形態に示す例では、各々のNANDストリングNSが16個のメモリセルトランジスタMTを備える場合を示したが、8個、24個、32個、48個、64個、96個、又は128個等であってもよく、その数は限定されるものではない。
【0038】
ストリングユニットSU0~SU3の各々における選択トランジスタST1のゲートは、それぞれ選択ゲート線SGD0~SGD3に接続される。これに対してストリングユニットSU0~SU3の各々における選択トランジスタST2のゲートは、例えば選択ゲート線SGSに共通接続される。しかしながら、選択トランジスタST2のゲートは、ストリングユニットSU毎に異なる選択ゲート線に接続されていてもよい。
【0039】
また、同一のブロックBLK内にあるメモリセルトランジスタMT0~MT15の制御ゲートは、それぞれワード線WL0~WL15に共通接続される。
【0040】
また、同一のブロックBLK内にあるダミーセルトランジスタDTU、DTL0、DTL1、及びDTL2の制御ゲートは、それぞれダミーワード線DWLU、DWLL0、DWLL1、及びDWLL2に共通接続される。しかしながら、ダミーセルトランジスタDTU、及びDTL0~DTL2のゲートは、それぞれストリングユニットSU毎に異なるダミーワード線に接続されていてもよい。なお、以降の説明において、ダミーワード線DWLU、及びDWLL0~DWLL2を、総称してダミーワード線DWLとも呼ぶ。
【0041】
また、ストリングユニットSU内にある各NANDストリングNSの選択トランジスタST1のドレインは、それぞれ異なるビット線BL(BL0~BL(k-1)、但しkは2以上の自然数)に接続される。また、ビット線BLは、複数のブロックBLK間で各ストリングユニットSU内にある1つのNANDストリングNSを共通に接続する。更に、複数の選択トランジスタST2のソースは、ソース線CELSRCに共通に接続されている。
【0042】
つまりストリングユニットSUは、異なるビット線BLに接続され、かつ同一の選択ゲート線SGDに接続されたNANDストリングNSの集合体である。またブロックBLKは、ワード線WLを共通にする複数のストリングユニットSUの集合体である。そしてメモリセルアレイ10は、ビット線BLを共通にする複数のブロックBLKの集合体である。
【0043】
データの消去は、例えば、同一のブロックBLK内にあるメモリセルトランジスタMTに対して一括して行われる。これに対して、データの読出し及び書込みは、いずれかのブロックBLKのいずれかのストリングユニットSUにおける、いずれかのワード線WLに共通接続された複数のメモリセルトランジスタMTにつき、一括して行われ得る。このような、1つのストリングユニットSU中でワード線WLを共有するメモリセルトランジスタMTの組は、例えば、メモリセルユニットMUと称される。つまり、メモリセルユニットMUは、一括して書込み、又は読出し動作が実行され得るメモリセルトランジスタMTの組である。
【0044】
メモリセルユニットMU内の複数のメモリセルトランジスタMTの各々に保持された1ビットのデータのデータ列の単位が「ページ」として定義される。1つのメモリセルトランジスタMTは、例えば2ビットデータを保持可能である。この2ビットデータを、下位ビットからそれぞれ下位(lower)ビット、及び上位(upper)ビットと呼ぶ。この場合、メモリセルユニットMUには、2ページ分のデータが記憶され、メモリセルユニットMU内の各々のメモリセルトランジスタMTの保持する下位ビットの集合を下位ページと呼び、上位ビットの集合を上位ページと呼ぶ。
【0045】
1.1.5 メモリセルアレイの構造
第1実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ1のメモリセルアレイ10の構造について、
図4を用いて説明する。
図4は、メモリセルアレイ10の構造の断面図である。
【0046】
なお、以下で参照される図面において、X軸はワード線WLの延伸方向に対応し、Y軸はビット線BLの延伸方向に対応し、Z軸はNAND型フラッシュメモリ1が形成される半導体基板の表面に対する鉛直方向に対応している。
【0047】
NAND型フラッシュメモリ1は、半導体基板100、及び導電体層103~106を含む。導電体層104は、導電体層104L0、104L1、104L2、及び104Uをそれぞれ1個ずつ含む。導電体層105は、導電体層105L及び105Uをそれぞれ8個ずつ含む。
【0048】
半導体基板100は、半導体基板100の表面近傍に設けられたP型ウェル領域101を含む。
【0049】
P型ウェル領域101上には、絶縁体層102が設けられる。絶縁体層102上には、導電体層103が積層される。導電体層103は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。導電体層103は、選択ゲート線SGSとして使用される。導電体層103は、例えばタングステンを含む。
【0050】
導電体層103上には、絶縁体層111が設けられる。絶縁体層111上には、導電体層104L0、絶縁体層112、及び導電体層104L1がこの順に積層される。導電体層104L0及び104L1は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。導電体層104L0及び104L1は、それぞれダミーワード線DWLL0及びDWLL1として使用される。導電体層104L0及び104L1は、例えばタングステンを含む。
【0051】
導電体層104L1上には、絶縁体層113Lが設けられる。絶縁体層113L上には、8個の導電体層105L及び8個の絶縁体層114Lが、導電体層105L、絶縁体層114L、・・・、導電体層105L、絶縁体層114Lの順に積層される。導電体層105Lは、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。積層された8個の導電体層105Lは、P型ウェル領域101側から順に、それぞれワード線WL0~WL7として使用される。導電体層105Lは、例えばタングステンを含む。
【0052】
最上層の絶縁体層114L上には、導電体層104L2、絶縁体層115、及び導電体層104Uがこの順に積層される。導電体層104L2及び104Uは、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。導電体層104L2及び104Uは、それぞれダミーワード線DWLL2及びDWLUとして使用される。導電体層104L2及び104Uは、例えばタングステンを含む。
【0053】
導電体層104U上には、絶縁体層113Uが設けられる。絶縁体層113U上には、8個の導電体層105U及び8個の絶縁体層114Uが、導電体層105U、絶縁体層114U、・・・、導電体層105U、絶縁体層114Uの順に積層される。導電体層105Uは、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。積層された8個の導電体層105Uは、P型ウェル領域101側から順に、それぞれワード線WL8~WL15として使用される。導電体層105Uは、例えばタングステンを含む。
【0054】
最上層の絶縁体層114U上には、導電体層106及び絶縁体層116がこの順に積層される。導電体層106は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。積層された導電体層106は、選択ゲート線SGDとして使用される。導電体層106は、例えばタングステンを含む。導電体層106は、例えばスリットSHEによって、ストリングユニットSU毎に電気的に切断される。
【0055】
絶縁体層116上には、導電体層107が設けられる。導電体層107は、例えばY方向に延伸したライン状に形成され、ビット線BLとして使用される。つまり、図示せぬ領域において複数の導電体層107は、X方向に沿って配列している。導電体層107は、例えば銅を含む。
【0056】
NAND型フラッシュメモリ1において、メモリピラーMPが、Z方向に沿って延伸して設けられ、導電体層103~106を貫通している。また、メモリピラーMPの各々は、下層のホールLMH内に形成される第1部分と、上層のホールUMH内に形成される第2部分とを有している。
【0057】
具体的には、ホールLMHに対応する第1部分は、導電体層103、104L0~104L2、及び105Lを貫通し、底部がP型ウェル領域101に接触している。ホールUMHに対応する第2部分は、ホールLMHに対応する第1部分の上方に設けられ、導電体層104U、105U、及び106を貫通している。メモリピラーMPの第1部分と第2部分との境界部分を含む層、すなわち絶縁体層115が設けられた配線層は、接合層とも呼ばれる。
【0058】
メモリピラーMPの各々は、例えば半導体層121、ブロック絶縁膜122、絶縁膜123、及びトンネル絶縁膜124を含む。例えば、半導体層121、ブロック絶縁膜122、絶縁膜123、及びトンネル絶縁膜124のそれぞれは、メモリピラーMPの第1部分と第2部分との間で連続的に設けられている。
【0059】
半導体層121は、例えばZ方向に沿って延伸して設けられる。具体的に、半導体層121の上端は、導電体層106よりも上層に含まれ、半導体層121の下端は、P型ウェル領域101に接触している。トンネル絶縁膜124は、半導体層121の側面を覆っている。絶縁膜123は、トンネル絶縁膜124の側面を覆っている。ブロック絶縁膜122は、絶縁膜123の側面を覆っている。
【0060】
絶縁膜123は、例えばトラップ準位を有する絶縁膜(例えば、SiN膜)を含む。なお、絶縁膜123は、半導体膜(例えば、シリコン膜)を含んでもよい。絶縁膜123が半導体膜を含む場合、半導体膜は、メモリセルトランジスタMTごとに互いに分離されている。
【0061】
半導体層121は、例えばアモルファスシリコン又はポリシリコンを含む。半導体層121は、例えば柱状の絶縁体(酸化シリコン等)と、柱状の絶縁体の側面を覆う半導体領域と、を含んでいてもよい。
【0062】
なお、半導体層121は、メモリセルアレイ10の製造工程に起因して、例えばメモリピラーMPの第1部分及び第2部分それぞれにおいてテーパー状の断面形状を有している場合もある。この場合、X方向(及びY方向)における第1部分及び第2部分の下部の寸法(直径)は、それぞれX方向(及びY方向)における第1部分及び第2部分の上部の寸法(直径)よりも小さくなる。
【0063】
以上で説明したメモリピラーMPの構造において、メモリピラーMPと導電体層103とが交差した部分は、選択トランジスタST2として機能する。また、メモリピラーMPと導電体層105Lとが交差した部分、及びメモリピラーMPと導電体層105Uとが交差した部分は、それぞれメモリセルトランジスタMTとして機能する。また、メモリピラーMPと導電体層104L0とが交差した部分、メモリピラーMPと導電体層104L1とが交差した部分、メモリピラーMPと導電体層104L2とが交差した部分、及びメモリピラーMPと導電体層104Uとが交差した部分は、それぞれダミーセルトランジスタDTL0、DTL1、DTL2、及びDTUとして機能する。また、メモリピラーMPと導電体層106とが交差した部分は、選択トランジスタST1として機能する。また、半導体層121は、メモリセルトランジスタMT0~MT15、ダミーセルトランジスタDTL0~DTL2、及びDTU、並びに選択トランジスタST1及びST2のそれぞれのチャネルとして機能する。また、絶縁膜123は、メモリセルトランジスタMT及びダミーセルトランジスタDTの電荷蓄積層として機能する。
【0064】
メモリピラーMP内の半導体層121上には、柱状のコンタクトCVが設けられる。コンタクトCVは、当該コンタクトCVの上面において、1つの導電体層107、すなわち1本のビット線BLと接触している。
【0065】
なお、
図4に示した構造はあくまで一例であり、その他の構造についても適宜適用可能である。例えば、
図4に示した半導体基板100の上方には、ソース線CELSRCとして機能する導電体(図示せず)が更に設けられてもよい。
【0066】
1.1.6 ダミーセルトランジスタの閾値電圧
第1実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ1のダミーセルトランジスタDTの閾値電圧について、
図5を用いて説明する。
図5は、ダミーセルトランジスタDTが取り得る閾値電圧を説明するための図である。
【0067】
ダミーセルトランジスタDTは、例えば閾値電圧の異なる4つの状態を取り得る。以下では、この4つの状態を閾値電圧の低い順にそれぞれ、“S0”状態、“S1”状態、“S2”状態、及び“S3”状態と呼ぶ。
【0068】
“S0”状態を取るダミーセルトランジスタDTの閾値電圧は、電圧VS0よりも小さい。これにより、“S0”状態を取るダミーセルトランジスタDTは、対応するダミーワード線への電圧VS0以上の電圧の印加によりオン状態とされる。
【0069】
“S1”状態を取るダミーセルトランジスタDTの閾値電圧は、電圧VS0以上であり、かつ電圧VS1未満である(但し、VS1>VS0)。これにより、“S1”状態を取るダミーセルトランジスタDTは、対応するダミーワード線への電圧VS1以上の電圧の印加によりオン状態とされる。
【0070】
“S2”状態を取るダミーセルトランジスタDTの閾電圧値は、電圧VS1以上であり、かつ電圧VS2未満である(但し、VS2>VS1)。これにより、“S2”状態を取るダミーセルトランジスタDTは、対応するダミーワード線への電圧VS2以上の電圧の印加によりオン状態とされる。
【0071】
“S3”状態を取るダミーセルトランジスタDTの閾値電圧は、電圧VS2以上であり、かつ電圧VS3未満である(但し、VS3>VS2)。これにより、“S3”状態を取るダミーセルトランジスタDTは、対応するダミーワード線への電圧VS3以上の電圧の印加によりオン状態とされる。
【0072】
第1実施形態では、ダミーセルトランジスタDTの閾値電圧の状態は、例えば製品出荷前において、“S0”状態~“S3”状態のいずれかに予め設定される。
【0073】
図6は、ダミーセルトランジスタDTに設定される閾値電圧の状態の一例を示す図である。
【0074】
図6では、列方向に指定されるストリングユニットSU、及び行方向に指定されるダミーワード線DWLによってマトリクス状に特定されるダミーセルトランジスタDTと、当該ダミーセルトランジスタDTに設定される閾値電圧の状態と、が「(ダミーセルトランジスタの符号)/(閾値電圧の状態)」の形式で示される。
【0075】
ダミーセルトランジスタDTU_0~DTU_3は、例えば、それぞれ“S0”状態、“S1”状態、“S2”状態、及び“S3”状態に設定される。この場合、ダミーセルトランジスタDTL2_0~DTL2_3は、それぞれ“S3”状態、“S2”状態、“S1”状態、及び“S0”状態に設定される。なお、ダミーセルトランジスタDTU_0~DTU_3が、それぞれ“S3”状態、“S2”状態、“S1”状態、及び“S0”状態に設定されていてもよく、この場合、ダミーセルトランジスタDTL2_0~DTL2_3は、それぞれ“S0”状態、“S1”状態、“S2”状態、及び“S3”状態に設定される。
【0076】
ダミーセルトランジスタDTL1_0~DTL1_3は、例えば、それぞれ“S0”状態、“S1”状態、“S2”状態、及び“S3”状態に設定される。この場合、ダミーセルトランジスタDTL0_0~DTL0_3は、それぞれ“S3”状態、“S2”状態、“S1”状態、及び“S0”状態に設定される。なお、ダミーセルトランジスタDTL1_0~DTL1_3が、それぞれ“S3”状態、“S2”状態、“S1”状態、及び“S0”状態に設定されていてもよく、この場合、ダミーセルトランジスタDTL0_0~DTL0_3は、それぞれ“S0”状態、“S1”状態、“S2”状態、及び“S3”状態に設定される。
【0077】
1.2 読出し動作
次に、第1実施形態に係る読出し動作の例について説明する。
【0078】
本実施形態では、ダミーセルトランジスタDTを、ストリングユニットSUとビット線BL又はソース線CELSRCとの間の電気的な接続を制御するための選択トランジスタとして使用する。より具体的に、第1実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ1は、ダミーセルトランジスタDTのゲートに印加する電圧を制御することで、非選択ストリングユニットSUにおいて、メモリピラーMPの第1部分又は第2部分のうちの一方の部分に電圧を印加しつつ、他方の部分をフローティング状態にする。
【0079】
なお、以下の説明では、説明を簡略化するため、1回の読出し動作において、1ビットデータが読み出される場合について説明する。
【0080】
1.2.1 読出し動作の具体例
第1実施形態に係る読出し動作について、ストリングユニットSU1のメモリセルトランジスタMT0の読出し動作を実行する場合(動作例1-1)、及びストリングユニットSU1のメモリセルトランジスタMT8の読出し動作を実行する場合(動作例1-2)を例に、具体的に説明する。
【0081】
なお、以降の説明において、読出し動作の対象となるメモリセルトランジスタMTを選択メモリセルトランジスタMTと呼ぶ。また、選択メモリセルトランジスタMTに対応するワード線WLを選択ワード線WLと呼ぶ。
【0082】
1.2.1.1 動作例1-1
第1実施形態に係る読出し動作の動作例1-1について説明する。
【0083】
図7は、読出し動作時の各配線の電圧を示すタイミングチャートである。
【0084】
図7では、上述のように、動作例1-1として、ストリングユニットSU1のメモリピラーMPの第1部分に含まれるメモリセルトランジスタMT0からデータが読み出される場合が示される。
【0085】
図7に示されるように、まず、時刻t1において、ロウデコーダ20は、選択ゲート線SGD1に電圧VSGDを印加し、選択ゲート線SGD0、SGD2、及びSGD3に電圧VSSを印加する。これにより、ストリングユニットSU1の選択トランジスタST1_1がオン状態となり、ストリングユニットSU0、SU2、及びSU3の選択トランジスタST1_0、ST1_2、及びST1_3がオフ状態となる。また、ロウデコーダ20は、選択ゲート線SGSに、例えば電圧VSGDと同等の電圧を印加し、選択トランジスタST2をオン状態にする。電圧VSGDは、データ読出し動作時に選択ゲート線SGD及びSGSに印加され、対応する選択トランジスタST1及びST2をオン状態とする電圧である。
【0086】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLUに電圧VS1を印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTU_0及びDTU_1がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTU_2及びDTU_3がオフ状態となる。
【0087】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLL2に電圧VS2を印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTL2_1~DTL2_3がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTL2_0がオフ状態となる。
【0088】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLL0及びDWLL1に電圧VS3を印加する。これにより、全てのストリングユニットSUのダミーセルトランジスタDTL0及びDTL1がオン状態となる。
【0089】
また、ロウデコーダ20は、非選択ワード線WL1~WL15に電圧VREADを印加し、選択ワード線WL0に電圧VCGRVを印加する。電圧VREADは、データ読出し動作時に非選択ワード線WLに印加され、対応するメモリセルトランジスタMTをオン状態とする電圧である。また、電圧VCGRVは、読出し動作の対象となるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧に応じた電圧である。電圧VCGRVと電圧VREADは、VCGRV<VREADの関係にある。例えば、読出し動作の対象となるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が電圧VCGRVより高い場合、メモリセルトランジスタMTはオフ状態となり、閾値電圧が電圧VCGRV以下の場合、メモリセルトランジスタMTはオン状態となる。
【0090】
時刻t2において、センスアンプ30は、ビット線BLの電位を電圧VBLとする。
【0091】
センスアンプ30は、選択ワード線WL0の電位が電圧VCGRVに安定した後に、ビット線BLに流れるセル電流をセンス及び増幅してデータを読み出す。
【0092】
時刻t3において、ロウデコーダ20は、全てのダミーワード線DWL及び全てのワード線WL、並びに全ての選択ゲート線SGDに電圧VSSを印加する。また、センスアンプ30は、ビット線BLに電圧VSSを印加する。
【0093】
以上により、選択ストリングユニットSU1のメモリセルトランジスタMT0からデータが読み出される。
【0094】
図8は、
図7に示した読出し動作の際の各ストリングユニットSUとビット線BL及びソース線CELSRCとの電気的な接続を説明するための図である。
図8では、読出し動作の際にオフ状態とされる選択トランジスタST1及びダミーセルトランジスタDTに“×”印が付されている。
【0095】
図8に示されるように、選択ストリングユニットSU1では、全てのダミーセルトランジスタDTがオン状態となるため、メモリピラーMPは、ビット線BLとソース線CELSRCとの間の電流経路として機能することができる。
【0096】
一方、非選択ストリングユニットSU0、SU2、及びSU3では、ダミーセルトランジスタDTL0及びDTL1がいずれもオン状態となり、かつダミーセルトランジスタDTL2及びDTUのいずれか1つがオフ状態となる。このため、メモリピラーMPのうちダミーセルトランジスタDTL2及びDTUより下方に位置するメモリセルトランジスタMT0~MT7のチャネルは、ソース線CELSRCと導通する。一方、メモリピラーMPのうちダミーセルトランジスタDTL2及びDTUより上方に位置するメモリセルトランジスタMT8~MT15のチャネル(
図8中の一点鎖線で囲まれる領域)は、ビット線BL及びソース線CELSRCから電気的に絶縁されたフローティング状態となる。
【0097】
なお、
図7及び
図8では、メモリセルトランジスタMT0が選択される場合について説明したが、ダミーセルトランジスタDTL2及びDTUより下方に位置するメモリセルトランジスタMT1~MT7が選択される場合においても、上記と同等の読出し動作を適用することができる。
【0098】
1.2.1.2 動作例1-2
次に、第1実施形態に係る読出し動作の動作例1-2について説明する。
【0099】
図9は、読出し動作時の各配線の電圧を示すタイミングチャートである。
【0100】
図9では、上述のように、動作例1-2として、ストリングユニットSU1のメモリピラーMPの第2部分に含まれるメモリセルトランジスタMT8からデータが読み出される場合が示される。
【0101】
以下では、動作例1-1と同様の動作についてはその説明を省略し、動作例1-1と異なる動作について主に説明する。
【0102】
図9に示されるように、時刻t1において、ロウデコーダ20は、全てのストリングユニットSUの選択ゲート線SGD0~SGD3に電圧VSGDを印加する。これにより、全てのストリングユニットSU0~SU3の選択トランジスタST1がオン状態となる。
【0103】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLU及びDWLL1に電圧VS1を印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTU_0、DTU_1、DTL1_0、及びDTL1_1がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTU_2、DTU_3、DTL1_2、及びDTL1_3がオフ状態となる。
【0104】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLL2及びDWLL0に電圧VS2を印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTL2_1~DTL2_3、及びDTL0_1~DTL0_3がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTL2_0及びDTL0_0がオフ状態となる。
【0105】
また、ロウデコーダ20は、非選択ワード線WL0~WL7、及びWL9~WL15に電圧VREADを印加し、選択ワード線WL8に電圧VCGRVを印加する。
【0106】
時刻t2及びt3における動作は、動作例1-1と同等であるため、説明を省略する。
【0107】
以上により、選択ストリングユニットSU1のメモリセルトランジスタMT8からデータが読み出される。
【0108】
図10は、
図9に示した読出し動作の際の各ストリングユニットSUとビット線BL及びソース線CELSRCとの電気的な接続を説明するための図である。
図10では、読出し動作の際にオフ状態とされる選択トランジスタST1及びダミーセルトランジスタDTに“×”印が付されている。
【0109】
図10に示されるように、選択ストリングユニットSU1では、全てのダミーセルトランジスタDTがオン状態となるため、メモリピラーMPは、ビット線BLとソース線CELSRCとの間の電流経路として機能することができる。
【0110】
一方、非選択ストリングユニットSU0、SU2、及びSU3では、ダミーセルトランジスタDTL0及びDTL1のいずれか1つと、ダミーセルトランジスタDTL2及びDTUのいずれか1つと、がオフ状態となる。このため、メモリピラーMPのうちダミーセルトランジスタDTL2及びDTUより上方に位置するメモリセルトランジスタMT8~MT15のチャネルは、ビット線BLと導通する。一方、メモリピラーMPのうちダミーセルトランジスタDTL2及びDTUより下方に位置するメモリセルトランジスタMT0~MT7のチャネル(
図10中の一点鎖線で囲まれる領域)は、ビット線BL及びソース線CELSRCから電気的に絶縁されたフローティング状態となる。
【0111】
なお、
図9及び
図10では、メモリセルトランジスタMT8が選択される場合について説明したが、ダミーセルトランジスタDTL2及びDTUより上方に位置するメモリセルトランジスタMT9~MT15が選択される場合においても、上記と同等の読出し動作を適用することができる。
【0112】
1.2.2 その他の動作例
上述の動作例1-1及び動作例1-2では、ストリングユニットSU1に含まれるメモリセルトランジスタMTの読出し動作が実行される場合を例に示した。
【0113】
以下では、動作例1-1を上位概念化したストリングユニットSUi(iは0以上3以下の整数)の第1部分に含まれるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧を読み出す場合、及び動作例1-2を上位概念化したストリングユニットSUiの第2部分に含まれるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧を読み出す場合の動作について、それぞれ説明する。
【0114】
1.2.2.1 第1部分に含まれるメモリセルトランジスタの読出し動作
まず、ストリングユニットSUiのメモリピラーMPの第1部分に含まれるメモリセルトランジスタMTの読出し動作が実行される場合について説明する。なお、ワード線WL、ダミーワード線DWLL0及びDWLL1、ビット線BL、並びに選択ゲート線SGSに印加する電圧の制御については動作例1-1と同様であるため、ダミーワード線DWLU及びDWLL2、並びに選択ゲート線SGDの制御について主に説明する。
【0115】
ロウデコーダ20は、選択ストリングユニットSUiの選択ゲート線SGDに電圧VSGDを印加し、非選択ストリングユニットSUj1(j1は、iとは異なる、0以上3以下の整数)の選択ゲート線SGDに電圧VSSの印加を維持する。
【0116】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLUに電圧VSiを印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTU_j2(j2は0以上i以下の整数)がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTU_j3(j3はiより大きい、3以下の整数)がオフ状態となる。なお、iが3である場合、全てのダミーセルトランジスタDTUがオン状態となる。
【0117】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLL2に電圧VS(3-i)を印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTL2_j4(j4はi以上3以下の整数)がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTL2_j5(j5はiより小さい、0以上の整数)がオフ状態となる。なお、iが0である場合、全てのダミーセルトランジスタDTL2がオン状態となる。
【0118】
以上の動作により、非選択ストリングユニットSUj1において、ダミーセルトランジスタDTL0及びDTL1をいずれもオン状態とし、かつダミーセルトランジスタDTL2及びDTUのいずれか1つをオフ状態とすることができる。
【0119】
1.2.2.2 第2部分に含まれるメモリセルトランジスタの読出し動作
次に、ストリングユニットSUiのメモリピラーMPの第2部分に含まれるメモリセルトランジスタMTの読出し動作が実行される場合について説明する。なお、ワード線WL、ビット線BL、並びに選択ゲート線SGD及びSGSに印加する電圧の制御については動作例1-2と同様であるため、ダミーワード線DWLの制御について主に説明する。
【0120】
ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLU及びDWLL1に電圧VSiを印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTU_j6、及びDTL1_j6(j6は0以上i以下の整数)がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTU_j7、及びDTL1_j7(j7はiより大きい、3以下の整数)がオフ状態となる。なお、iが3である場合、全てのダミーセルトランジスタDTU及びDTL1がオン状態となる。
【0121】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLL2及びDWLL0に電圧VS(3-i)を印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTL2_j8、及びDTL0_j8(j8はi以上3以下の整数)がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTL2_j9、及びDTL0_j9(j9はiより小さい、0以上の整数)がオフ状態となる。なお、iが0である場合、全てのダミーセルトランジスタDTL2及びDTL0がオン状態となる。
【0122】
以上の動作により、非選択ストリングユニットj1において、ダミーセルトランジスタDTL0及びDTL1のいずれか1つと、ダミーセルトランジスタDTL2及びDTUのいずれか1つと、がオフ状態となる。
【0123】
1.3 第1実施形態に係る効果
第1実施形態によれば、半導体記憶装置の読出し動作の特性を向上できる。第1実施形態の効果について、以下に説明する。
【0124】
上述のように、第1実施形態では、メモリピラーMPの各々が、第1部分に含まれるダミーセルトランジスタDTL0~DTL2、及び第2部分に含まれるダミーセルトランジスタDTUを備える。第1実施形態において、ダミーセルトランジスタDTL0~DTL2、及びDTUの閾値電圧はそれぞれ、読出し動作の前に、ストリングユニットSU毎に異なる所定の状態に予め設定される。これにより、第1実施形態のNAND型フラッシュメモリ1は、読出し動作の際、非選択ストリングユニットSUにおいて、非選択ワード線WLに接続された少なくとも1つのチャネルをフローティング状態にすることができる。このため、当該フローティング状態のメモリセルトランジスタMTをビット線BL又はソース線CELSRCを介して充電することが不要となり、ビット線BL又はソース線CELSRCの充電容量の増加を抑制することができる。したがって、充電速度を向上させると共に、充電電流の増加を抑制することができる。
【0125】
また、第1実施形態のNAND型フラッシュメモリ1は、読出し動作の際、非選択ストリングユニットSUにおいて、選択ワード線WLに接続されたメモリセルトランジスタMT、及び当該選択ワード線WLと隣り合う非選択ワード線WLに接続されたメモリセルトランジスタMTのチャネルをビット線BL又はソース線CELSRCに電気的に接続することができる。これにより、非選択ストリングユニットSU内のメモリセルトランジスタMTのゲート及びソース間に意図しない電位差が生じ、閾値電圧が変動してしまうことを抑制できる。このため、半導体記憶装置の読出し動作の特性を向上できる。
【0126】
なお、以上の説明では、読出し動作の場合を例に説明をしたが、本実施形態はこれに限らず、書込み動作の際のベリファイ動作においても適用できる。
【0127】
2. 第2実施形態
次に、第2実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ1について説明する。第2実施形態は、第1実施形態の構成に加えてさらに2つのダミーセルトランジスタDTM0及びDTM1、及び当該2つのダミーセルトランジスタDTM0及びDTM1に挟まれるメモリセルトランジスタMTを備える。以下の説明では、第1実施形態と同様の構成及び動作についてはそれらの説明を省略し、第1実施形態と異なる構成及び動作について主に説明する。
【0128】
2.1 構成
第2実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ1の構成について説明する。
【0129】
2.1.1 メモリセルアレイの構成
第2実施形態に係るメモリセルアレイ10の構成について
図11を用いて説明する。
図11は、第2実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ1の備えるメモリセルアレイ10の回路図である。
【0130】
第2実施形態に係るメモリセルアレイ10において、NANDストリングNSの各々は、24個のメモリセルトランジスタMT(MT0~MT23)、2個の選択トランジスタST1及びST2、並びに6個のダミーセルトランジスタDT(DTU、DTM0、DTM1、及びDTL0~DTL2)を含む。なお、以降の説明において、ストリングユニットSUi(iは0以上3以下の整数)における2個のダミーセルトランジスタDTM1及びDTM0をそれぞれ、ダミーセルトランジスタDTM1_i、及びDTM0_iとも呼称する。
【0131】
ダミーセルトランジスタDTL0~DTL2、及びメモリセルトランジスタMT0~MT7の構成は、第1実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ1と同等に構成される。
【0132】
ダミーセルトランジスタDTL2のドレインは、ダミーセルトランジスタDTM0のソースに接続される。
【0133】
メモリセルトランジスタMT8~MT15は、この順に、ダミーセルトランジスタDTM0及びダミーセルトランジスタDTM1の間に直列に接続されている。この直列接続の一端側のメモリセルトランジスタMT8のソースは、ダミーセルトランジスタDTM0のドレインに接続され、他端側のメモリセルトランジスタMT15のドレインは、ダミーセルトランジスタDTM1のソースに接続されている。
【0134】
ダミーセルトランジスタDTM1のドレインは、ダミーセルトランジスタDTUのソースに接続される。
【0135】
同一のブロックBLK内にあるダミーセルトランジスタDTM1、及びDTM0の制御ゲートは、それぞれダミーワード線DWLM1及びDWLM0に共通接続される。しかしながら、ダミーセルトランジスタDTM1及びDTM0のゲートは、それぞれストリングユニットSU毎に異なるダミーワード線に接続されていてもよい。
【0136】
なお、以降の説明において、ダミーワード線DWLM1及びDWLM0を、ダミーワード線DWLU、及びDWLL2~DWLL0とともに、総称してダミーワード線DWLとも呼ぶ。
【0137】
ダミーセルトランジスタDTU、メモリセルトランジスタMT16~MT23、及び選択トランジスタST1の構成は、メモリセルトランジスタMT8~MT15の代わりにメモリセルトランジスタMT16~MT23が設けられていることを除き、第1実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ1と同等に構成される。
【0138】
2.1.2 メモリセルアレイの構造
第2実施形態に係るメモリセルアレイ10の構成について、
図12を用いて説明する。
図12は、第2実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ1におけるメモリセルアレイ10の構造の例を示す断面図である。
【0139】
第2実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ1において、導電体層104は、導電体層104L0、104L1、104L2、104M0、104M1、及び104Uをそれぞれ1個ずつ含む。また、導電体層105は、導電体層105L、105M、及び105Uをそれぞれ8個ずつ含む。
【0140】
P型ウェル領域101上には、絶縁体層102、導電体層103、導電体層104L0、104L1、導電体層105L、及び導電体層104L2が、第1実施形態と同様に積層される。
【0141】
導電体層104L2上には、絶縁体層115LM及び導電体層104M0がこの順に積層される。導電体層104M0は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。積層された導電体層104M0は、ダミーワード線DWLM0として使用される。導電体層104M0は、例えばタングステンを含む。
【0142】
導電体層104M0上には、絶縁体層113Mが設けられる。絶縁体層113M上には、8個の導電体層105M及び8個の絶縁体層114Mが、導電体層105M、絶縁体層114M、導電体層105M、・・・、絶縁体層114Mの順に積層される。積層された8個の導電体層105Mは、P型ウェル領域101側から順に、それぞれワード線WL8~WL15として使用される。導電体層105Mは、例えばタングステンを含む。
【0143】
最上層の絶縁体層114M上には、導電体層104M1、及び絶縁体層115MUがこの順に積層される。導電体層104M1は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。積層された導電体層104M1は、ダミーワード線DWLM1として使用される。導電体層104M1は、例えばタングステンを含む。
【0144】
絶縁体層115MU上には、導電体層104U、導電体層105U、及び導電体層106、絶縁体層116、及び導電体層107が、第1実施形態と同様に積層される。なお、第2実施形態において、積層された8個の導電体層105Uは、P型ウェル領域101側から順に、それぞれワード線WL16~WL23として使用される。
【0145】
第2実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ1において、メモリピラーMPは、導電体層103~106を貫通している。また、メモリピラーMPの各々は、下層のホールLMH内に形成される第1部分、上層のホールUMH内に形成される第2部分、及び中層のホールMMH内に形成される第3部分を有している。
【0146】
第1部分、及び第2部分は、第1実施形態と同等の構造を有する。第3部分は、第1部分の上方、かつ第2部分の下方に設けられ、導電体層104M0、105M、及び104M1を貫通している。メモリピラーMPの第1部分と第3部分との境界部分を含む層、及び第2部分と第3部分との境界部分を含む層、すなわち絶縁体層115LMが設けられた配線層、及び絶縁体層115MUが設けられた配線層は、接合層とも呼ばれる。
【0147】
半導体層121、ブロック絶縁膜122、絶縁膜123、及びトンネル絶縁膜124のそれぞれは、メモリピラーMPの第1部分と第3部分との間、及び第2部分と第3部分との間で連続的に設けられている。
【0148】
2.1.3 ダミーセルトランジスタの閾値電圧
次に、第2実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ1の各ダミーセルトランジスタDTが取る閾値電圧の状態について、
図13を用いて説明する。
【0149】
第2実施形態では、ダミーセルトランジスタDTの閾値電圧の状態は、例えば製品出荷前において、“S0”状態~“S3”状態のいずれかに予め設定される。
【0150】
図13は、ダミーセルトランジスタDTに設定される閾値電圧の状態の一例を示す図である。
【0151】
図13では、列方向に指定されるストリングユニットSU、及び行方向に指定されるダミーワード線DWLによってマトリクス状に特定されるダミーセルトランジスタDTと、当該ダミーセルトランジスタDTに設定される閾値電圧の状態と、が「(ダミーセルトランジスタの符号)/(閾値電圧の状態)」の形式で示される。
【0152】
なお、ダミーセルトランジスタDTU、及びDTL2~DTL0の閾値電圧の状態は、第1実施形態と同様であるため、以降の説明では、ダミーセルトランジスタDTM0及びDTM1の閾値電圧の状態についてのみ説明する。
【0153】
ダミーセルトランジスタDTM1_0~DTM1_3は、例えば、それぞれ“S0”状態、“S1”状態、“S2”状態、及び“S3”状態に設定される。この場合、ダミーセルトランジスタDTM0_0~DTM0_3は、それぞれ“S3”状態、“S2”状態、“S1”状態、及び“S0”状態に設定される。なお、ダミーセルトランジスタDTM1_0~DTM1_3が、それぞれ“S3”状態、“S2”状態、“S1”状態、及び“S0”状態に設定されていてもよく、この場合、ダミーセルトランジスタDTM0_0~DTM0_3は、それぞれ“S0”状態、“S1”状態、“S2”状態、及び“S3”状態に設定される。
【0154】
2.2 読出し動作
次に、第2実施形態に係る読出し動作について、ストリングユニットSU1のメモリセルトランジスタMTの読出し動作を実行する場合を例に説明する。以下では、第1実施形態に係る読出し動作と同様の動作についてはその説明を省略し、第1実施形態に係る読出し動作と異なる動作について主に説明する。
【0155】
次に、第2実施形態に係る読出し動作について、ストリングユニットSU1のメモリセルトランジスタMT0の読出し動作を実行する場合(動作例2-1)、ストリングユニットSU1のメモリセルトランジスタMT8の読出し動作を実行する場合(動作例2-2)、及びストリングユニットSU1のメモリセルトランジスタMT16の読出し動作を実行する場合(動作例2-3)を例に、具体的に説明する。
【0156】
2.2.1 動作例2-1
第2実施形態に係る読出し動作の動作例2-1について説明する。
【0157】
図14は、読出し動作時の各配線の電圧を示すタイミングチャートである。
【0158】
図14では、上述のように、動作例2-1として、ストリングユニットSU1のメモリピラーMPの第1部分に含まれるメモリセルトランジスタMT0からデータが読み出される場合が示される。
【0159】
図14に示されるように、まず、時刻t1において、ロウデコーダ20は、選択ゲート線SGD1に電圧VSGDを印加し、選択ゲート線SGD0、SGD2、及びSGD3に電圧VSSを印加する。これにより、ストリングユニットSU1の選択トランジスタST1_1がオン状態となり、ストリングユニットSU0、SU2、及びSU3の選択トランジスタST1_0、ST1_2、及びST1_3がオフ状態となる。また、ロウデコーダ20は、選択ゲート線SGSに、例えば電圧VSGDと同等の電圧を印加し、選択トランジスタST2をオン状態にする。
【0160】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLM0に電圧VS1を印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTM0_0及びDTM0_1がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTM0_2及びDTM0_3がオフ状態となる。
【0161】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLL2に電圧VS2を印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTL2_1~DTL2_3がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTL2_0がオフ状態となる。
【0162】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLU、DWLM1、DWLL1、及びDWLL0に電圧VS3を印加する。これにより、全てのダミーセルトランジスタDTU、DTM1、DTL1、及びDTL0がオン状態となる。
【0163】
また、ロウデコーダ20は、非選択ワード線WL1~WL23に電圧VREADを印加し、選択ワード線WL0に電圧VCGRVを印加する。
【0164】
時刻t2及びt3における動作は、第1実施形態と同等であるため、説明を省略する。
【0165】
以上により、選択ストリングユニットSU1のメモリセルトランジスタMT0からデータが読み出される。
【0166】
図15は、
図14に示した読出し動作の際の各ストリングユニットSUとビット線BL及びソース線CELSRCとの電気的な接続を説明するための図である。
図15では、読出し動作の際にオフ状態とされる選択トランジスタST1及びダミーセルトランジスタDTに“×”印が付されている。
【0167】
図15に示されるように、選択ストリングユニットSU1では、全てのダミーセルトランジスタDTがオン状態となるため、メモリピラーMPは、ビット線BLとソース線CELSRCとの間の電流経路として機能することができる。
【0168】
一方、非選択ストリングユニットSU0、SU2、及びSU3では、ダミーセルトランジスタDTL0、DTL1、DTM1、及びDTUがいずれもオン状態となり、かつダミーセルトランジスタDTL2及びDTM0のいずれか1つがオフ状態となる。このため、メモリピラーMPのうちダミーセルトランジスタDTL2及びDTM0より下方に位置するメモリセルトランジスタMT0~MT7のチャネルは、ソース線CELSRCと導通する。一方、メモリピラーMPのうちダミーセルトランジスタDTL2及びDTM0より上方に位置するメモリセルトランジスタMT8~MT23のチャネル(
図15中の一点鎖線で囲まれる領域)は、ビット線BL及びソース線CELSRCから電気的に絶縁されたフローティング状態となる。
【0169】
なお、
図14及び
図15では、メモリセルトランジスタMT0が選択される場合について説明したが、ダミーセルトランジスタDTL2及びDTM0より下方に位置するメモリセルトランジスタMT1~MT7が選択される場合においても、上記と同等の読出し動作を適用することができる。
【0170】
2.2.2 動作例2-2
第2実施形態に係る読出し動作の動作例2-2について説明する。
【0171】
図16は、読出し動作時の各配線の電圧を示すタイミングチャートである。
【0172】
図16では、上述のように、動作例2-2として、ストリングユニットSU1のメモリピラーMPの第3部分に含まれるメモリセルトランジスタMT8のデータが読み出される場合が示される。
【0173】
以下では、動作例2-1と同様の動作についてはその説明を省略し、動作例2-1と異なる動作について主に説明する。
【0174】
図16に示されるように、時刻t1において、ロウデコーダ20は、選択ゲート線SGD、及びSGSに動作例2-1と同等の電圧を印加する。
【0175】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLUに電圧VS1を印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTU_0及びDTU_1がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTU_2及びDTU_3がオフ状態となる。
【0176】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLM1に電圧VS2を印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTM1_1~DTM1_3がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTM1_0がオフ状態となる。
【0177】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLM0、及びDWLL2~DWLL0に電圧VS3を印加する。これにより、全てのダミーセルトランジスタDTM0、及びDTL2~DTL0がオン状態となる。
【0178】
また、ロウデコーダ20は、非選択ワード線WL0~WL7、及びWL9~WL23に電圧VREADを印加し、選択ワード線WL8に電圧VCGRVを印加する。
【0179】
時刻t2及びt3における動作は、動作例2-1と同等であるため、説明を省略する。
【0180】
以上により、選択ストリングユニットSU1のメモリセルトランジスタMT8からデータが読み出される。
【0181】
図17は、
図16に示した読出し動作の際の各ストリングユニットSUとビット線BL及びソース線CELSRCとの電気的な接続を説明するための図である。
図17では、読出し動作の際にオフ状態とされる選択トランジスタST1及びダミーセルトランジスタDTに“×”印が付されている。
【0182】
図17に示されるように、選択ストリングユニットSU1では、全てのダミーセルトランジスタDTがオン状態となるため、メモリピラーMPは、ビット線BLとソース線CELSRCとの間の電流経路として機能することができる。
【0183】
一方、非選択ストリングユニットSU0、SU2、及びSU3では、ダミーセルトランジスタDTL0、DTL1、DTL2、及びDTM0がいずれもオン状態となり、かつダミーセルトランジスタDTU及びDTM1のいずれか1つがオフ状態となる。このため、メモリピラーMPのうちダミーセルトランジスタDTU及びDTM1より下方に位置するメモリセルトランジスタMT0~MT15のチャネルは、ソース線CELSRCと導通する。一方、メモリピラーMPのうちダミーセルトランジスタDTU及びDTM1より上方に位置するメモリセルトランジスタMT16~MT23のチャネル(
図17中の一点鎖線で囲まれる領域)は、ビット線BL及びソース線CELSRCから電気的に絶縁されたフローティング状態となる。
【0184】
なお、
図16及び
図17では、メモリセルトランジスタMT8が選択される場合について説明したが、ダミーセルトランジスタDTU及びDTM1より下方、かつダミーセルトランジスタDTM0より上方に位置するメモリセルトランジスタMT9~MT15が選択される場合においても、上記と同等の読出し動作を適用することができる。
【0185】
2.2.3 動作例2-3
第2実施形態に係る読出し動作の動作例2-3について説明する。
【0186】
図18は、読出し動作時の各配線の電圧を示すタイミングチャートである。
【0187】
図18では、上述のように、動作例2-3として、ストリングユニットSU1のメモリピラーMPの第2部分に含まれるメモリセルトランジスタMT16のデータが読み出される場合が示される。
【0188】
以下では、動作例2-1及び動作例2-2と同様の動作についてはその説明を省略し、動作例2-1及び動作例2-2と異なる動作について主に説明する。
【0189】
図18に示されるように、時刻t1において、ロウデコーダ20は、全てのストリングユニットSUの選択ゲート線SGD0~SGD3に電圧VSGDを印加する。これにより、全てのストリングユニットSU0~SU3の選択トランジスタST1がオン状態となる。
【0190】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLU及びDWLL1に電圧VS1を印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTU_0、DTU_1、DTL1_0、及びDTL1_1がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTU_2、DTU_3、DTL1_2、及びDTL1_3がオフ状態となる。
【0191】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLM1及びDWLL0に電圧VS2を印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTM1_1~DTM1_3、及びDTL0_1~DTL0_3がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTM1_0及びDTL0_3がオフ状態となる。
【0192】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLM0及びDWLL2に電圧VS3を印加する。これにより、全てのダミーセルトランジスタDTM0及びDTL2がオン状態となる。
【0193】
また、ロウデコーダ20は、非選択ワード線WL0~WL15、及びWL17~WL23に電圧VREADを印加し、選択ワード線WL16に電圧VCGRVを印加する。
【0194】
時刻t2及びt3における動作は、動作例2-1及び動作例2-2と同等であるため、説明を省略する。
【0195】
以上により、選択ストリングユニットSU1のメモリセルトランジスタMT16からデータが読み出される。
【0196】
図19は、
図18に示した読出し動作の際の各ストリングユニットSUとビット線BL及びソース線CELSRCとの電気的な接続を説明するための図である。
図19では、読出し動作の際にオフ状態とされる選択トランジスタST1及びダミーセルトランジスタDTに“×”印が付されている。
【0197】
図19に示されるように、選択ストリングユニットSU1では、全てのダミーセルトランジスタDTがオン状態となるため、メモリピラーMPは、ビット線BLとソース線CELSRCとの間の電流経路として機能することができる。
【0198】
一方、非選択ストリングユニットSU0、SU2、及びSU3では、ダミーセルトランジスタDTM0及びDTL2がいずれもオン状態となり、かつダミーセルトランジスタDTU及びDTM1のいずれか1つと、ダミーセルトランジスタDTL1及びDTL0のいずれか1つと、がオフ状態となる。このため、メモリピラーMPのうちダミーセルトランジスタDTU及びDTM1より上方に位置するメモリセルトランジスタMT16~MT23のチャネルは、ビット線BLと導通する。一方、メモリピラーMPのうちダミーセルトランジスタDTU及びDTM1より下方に位置するメモリセルトランジスタMT0~MT15のチャネル(
図19中の一点鎖線で囲まれる領域)は、ビット線BL及びソース線CELSRCから電気的に絶縁されたフローティング状態となる。
【0199】
なお、
図18及び
図19では、メモリセルトランジスタMT16が選択される場合について説明したが、ダミーセルトランジスタDTU及びDTM1より上方に位置するメモリセルトランジスタMT17~MT23が選択される場合においても、上記と同等の読出し動作を適用することができる。
【0200】
2.2.4 その他の動作例
上述の動作例2-1、動作例2-2、及び動作例2-3では、ストリングユニットSU1に含まれるメモリセルトランジスタMTの読出し動作が実行される場合を例に示した。
【0201】
以下では、動作例2-1を上位概念化したストリングユニットSUi(iは0以上3以下の整数)の第1部分に含まれるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧を読み出す場合、動作例2-2を上位概念化したストリングユニットSUiの第3部分に含まれるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧を読み出す場合、及び動作例2-3を上位概念化したストリングユニットSUiの第2部分に含まれるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧を読み出す場合の動作について、それぞれ説明する。
【0202】
2.2.4.1 第1部分に含まれるメモリセルトランジスタの読出し動作
まず、ストリングユニットSUiのメモリピラーMPの第1部分に含まれるメモリセルトランジスタMTの読出し動作が実行される場合について説明する。なお、ワード線WL、ダミーワード線DWLU、DWLM1、DWLL1、及びDWLL0、ビット線BL、並びに選択ゲート線SGSに印加する電圧の制御については動作例2-1と同様であるため、ダミーワード線DWLM0及びDWLL2及び選択ゲート線SGDの制御について主に説明する。
【0203】
ロウデコーダ20は、選択ストリングユニットSUiの選択ゲート線SGDに電圧VSGDを印加し、非選択ストリングユニットSUj10(j10は、iとは異なる、0以上3以下の整数)内の選択ゲート線SGDに電圧VSSの印加を維持する。
【0204】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLM0に電圧VSiを印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTM0_j11(j11は0以上i以下の整数)がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTM0_j12(j12はiより大きい、3以下の整数)がオフ状態とされる。なお、iが3である場合、全てのダミーセルトランジスタDTM0がオン状態となる。
【0205】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLL2に電圧VS(3-i)を印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTL2_j13(j13はi以上3以下の整数)がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTL2_j14(j14はiより小さい、0以上の整数)がオフ状態となる。なお、iが0である場合、全てのダミーセルトランジスタDTL2がオン状態となる。
【0206】
以上の動作により、非選択ストリングユニットSUj10において、ダミーセルトランジスタDTL0、DTL1、DTM1、及びDTUをいずれもオン状態とし、かつダミーセルトランジスタDTL2及びDTM0のいずれか1つをオフ状態とすることができる。
【0207】
2.2.4.2 第3部分に含まれるメモリセルトランジスタの読出し動作
次に、ストリングユニットSUiのメモリピラーMPの第3部分に含まれるメモリセルトランジスタMTの読出し動作が実行される場合について説明する。なお、ワード線WL、ダミーワード線DWLM0、及びDWLL2~DWLL0、ビット線BL、並びに選択ゲート線SGSに印加する電圧の制御については動作例2-2と同様であるため、ダミーワード線DWLU及びDWLM1、並びに選択ゲート線SGDの制御について主に説明する。
【0208】
ロウデコーダ20は、選択ストリングユニットSUiの選択ゲート線SGDに電圧VSGDを印加し、非選択ストリングユニットSUj10内の選択ゲート線SGDに電圧VSSの印加を維持する。
【0209】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLUに電圧VSiを印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTU_j15(j15は0以上i以下の整数)がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTU_j16(j16はiより大きい、3以下の整数)がオフ状態となる。なお、iが3である場合、全てのダミーセルトランジスタDTUがオン状態とされる。
【0210】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLM1に電圧VS(3-i)を印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTM1_j17(j17はi以上3以下の整数)がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTM1_j18(j18はiより小さい、0以上の整数)がオフ状態となる。なお、iが0である場合、全てのダミーセルトランジスタDTM1がオン状態となる。
【0211】
以上の動作により、非選択ストリングユニットSUj10において、ダミーセルトランジスタDTL0、DTL1、DTL2、及びDTM0をいずれもオン状態とし、かつダミーセルトランジスタDTM1及びDTUのいずれか1つをオフ状態とすることができる。
【0212】
なお、第3部分に含まれるメモリセルトランジスタMTの読出し動作の際、上記読出し動作に代えて、以下の動作を行ってもよい。以下では、ワード線WL、ビット線BL、及び選択ゲート線SGSに印加する電圧の制御については上記読出し動作と同様であるため、ダミーワード線DW、及び選択ゲート線SGDの制御について主に説明する。
【0213】
ロウデコーダ20は、全てのストリングユニットSUの選択ゲート線SGD0~SGD3に電圧VSGDを印加する。これにより、全てのストリングユニットSU0~SU3の選択トランジスタST1がオン状態となる。
【0214】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLM0及びDWLL1に電圧VSiを印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTM0_j19、DTL1_j19(j19は0以上i以下の整数)がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTM0_j20、DTL1_j20(j20はiより大きい、3以下の整数)がオフ状態となる。なお、iが3である場合、全てのダミーセルトランジスタDTM0及びDTL1がオン状態とされる。
【0215】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLL0及びDWLL2に電圧VS(3-i)を印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTL0_j21、及びDTL2_j21(j21はi以上3以下の整数)がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTL0_j22、及びDTL2_j22(j22はiより小さい、0以上の整数)がオフ状態となる。なお、iが0である場合、全てのダミーセルトランジスタDTL0及びDTL2がオン状態となる。
【0216】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLM1及びDWLUに電圧VS3を印加する。これにより、全てのダミーセルトランジスタDTM1及びDTUがオン状態となる。
【0217】
以上の動作により、非選択ストリングユニットSUj10において、ダミーセルトランジスタDTU、及びDTM1をいずれもオン状態とし、かつダミーセルトランジスタDTM0及びDTL2のいずれか1つと、ダミーセルトランジスタDTL1及びDTL0のいずれか1つと、をオフ状態とすることができる。
【0218】
2.2.4.3 第2部分に含まれるメモリセルトランジスタの読出し動作
次に、ストリングユニットSUiのメモリピラーMPの第2部分に含まれるメモリセルトランジスタMTの読出し動作が実行される場合について説明する。なお、ワード線WL、ダミーワード線DWLM0及びDWLL2、ビット線BL、並びに選択ゲート線SGD及びSGSに印加する電圧の制御については動作例2-3と同様であるため、ダミーワード線DWLU、DWLM1、DWLL1、及びDWL0の制御について主に説明する。
【0219】
ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLU及びDWLL1に電圧VSiを印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTU_j23、及びDTL1_j23(j23は0以上i以下の整数)がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTU_j24、及びDTL1_j24(j24はiより大きい、3以下の整数)がオフ状態となる。なお、iが3である場合、全てのダミーセルトランジスタDTU及びDTL1がオン状態となる。
【0220】
また、ロウデコーダ20は、ダミーワード線DWLM1及びDWLL0に電圧VS(3-i)を印加する。これにより、ダミーセルトランジスタDTM1_j25、及びDTL0_j25(j25はi以上3以下の整数)がオン状態となり、ダミーセルトランジスタDTM1_j26、及びDTL0_j26(j26はiより小さい、0以上の整数)がオフ状態となる。なお、iが0である場合、全てのダミーセルトランジスタDTM1及びDTL0がオン状態となる。
【0221】
以上の動作により、非選択ストリングユニットSUj10において、ダミーセルトランジスタDTM0及びDTL2をいずれもオン状態とし、かつダミーセルトランジスタDTM1及びDTUのいずれか1つと、ダミーセルトランジスタDTL1及びDTL0のいずれか1つと、をオフ状態とすることができる。
【0222】
2.3 第2実施形態に係る効果
第2実施形態では、メモリピラーMPの各々が、第1部分に含まれるダミーセルトランジスタDTL0~DTL2、第3部分に含まれるダミーセルトランジスタDTM0及びDTM1、並びに第2部分に含まれるダミーセルトランジスタDTUを備える。第2実施形態において、ダミーセルトランジスタDTL0~DTL2、DTM0、DTM1、及びDTUの閾値電圧はそれぞれ、読出し動作の前に、ストリングユニットSU毎に異なる所定の状態に予め設定される。これにより、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0223】
3. その他
第1実施形態及び第2実施形態では、ダミーセルトランジスタDTを、閾値電圧の異なる4つの状態(“S0”状態、“S1”状態、“S2”状態、及び“S3”状態)に設定する場合を説明したが、本実施形態はこれに限られるものではない。ダミーセルトランジスタDTは、ストリングユニットSUの数に応じて、2つ、8つ等、任意の状態数に設定される。
【0224】
具体的に、NAND型フラッシュメモリ1が2つのストリングユニットSU0及びSU1を含み、各々のストリングユニットSUが第1実施形態又は第2実施形態におけるストリングユニットSUと同等の構造を有する場合、ダミーセルトランジスタDTは閾値電圧の異なる2つの状態(例えば、閾値電圧の低い順に“S0”状態及び“S1”状態)のうちいずれかの状態に設定される。ストリングユニットSU0及びSU1のダミーセルトランジスタDTの閾値電圧は、例えば第1実施形態又は第2実施形態におけるストリングユニットSU0及びSU1のダミーセルトランジスタDTの閾値電圧と同等に設定することができる。
【0225】
また、NAND型フラッシュメモリ1が8つのストリングユニットSU0~SU7を含み、各々のストリングユニットSUが第1実施形態又は第2実施形態におけるストリングユニットSUと同等の構造を有する場合、ダミーセルトランジスタDTは閾値電圧の異なる8つの状態(例えば、閾値電圧の低い順に“S0”状態~“S7”状態)のうちいずれかの状態に設定される。ストリングユニットSU0~SU7の各々のダミーセルトランジスタDTUは、それぞれ、例えば“S0”状態~“S7”状態に設定することができる。この場合、ストリングユニットSU0~SU7の各々のダミーセルトランジスタDTM1は、それぞれ“S7”状態~“S0”状態に設定される。また、ストリングユニットSU0~SU7の各々のダミーセルトランジスタDTM0は、それぞれ、例えば“S0”状態~“S7”状態に設定することができる。この場合、ストリングユニットSU0~SU7の各々のダミーセルトランジスタDTL2は、それぞれ“S7”状態~“S0”状態に設定される。また、ストリングユニットSU0~SU7の各々のダミーセルトランジスタDTL1は、それぞれ、例えば“S0”状態~“S7”状態に設定することができる。この場合、ストリングユニットSU0~SU7の各々のダミーセルトランジスタDTL0は、それぞれ“S7”状態~“S0”状態に設定される。
【0226】
また、第1実施形態及び第2実施形態の説明では、ストリングユニットSUのメモリピラーMPに含まれるチャネルの電気的な接続を制御するための選択トランジスタとして、ダミーセルトランジスタDTを使用する場合について記載したが、本実施形態はこれに限られるものではない。例えば、選択トランジスタとして、ダミーセルトランジスタDTの代わりにメモリセルトランジスタMTを使用してもよい。
【0227】
また、第1実施形態及び第2実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ1では、メモリピラーMPの第1部分~第3部分のうち隣接する2つの部分の間の電気的な接続、及び第1部分とソース線CELSRCとの間の電気的な接続を、それぞれブロックBLK内で共通接続されたダミーセルトランジスタDTにより制御する例を示したが、本実施形態はこれらに限られるものではない。例えば、NAND型フラッシュメモリ1は、第1実施形態における第1部分と第2部分との間の電気的な接続を、ストリングユニットSU毎に1つずつ設けられた選択素子により、ストリングユニットSU毎に制御してもよい。また、NAND型フラッシュメモリ1は、第2実施形態における第1部分と第3部分との間の電気的な接続を、ストリングユニットSU毎に1つずつ設けられた選択素子により、ストリングユニットSU毎に制御してもよい。また、NAND型フラッシュメモリ1は、第2実施形態における第2部分と第3部分との間の電気的な接続を、ストリングユニットSU毎に1つずつ設けられた選択素子により、ストリングユニットSU毎に制御してもよい。また、NAND型フラッシュメモリ1は、第1実施形態及び第2実施形態における第1部分とソース線CELSRCとの間の電気的な接続を、ストリングユニットSU毎に1つずつ設けられた選択素子により、ストリングユニットSU毎に制御してもよい。すなわち、NAND型フラッシュメモリ1は、読出し動作の際、非選択ストリングユニットSUにおいて、少なくとも1つのメモリセルトランジスタMTのチャネルをフローティング状態とするように構成されていればよい。
【0228】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、メモリピラーMPが第1部分と第2部分との2層(2tier)からなる場合、及びメモリピラーMPが第1部分と、第2部分と、第3部分との3層(3tier)からなる場合を示したが、本実施形態はこれらに限られるものではない。NAND型フラッシュメモリ1は、例えば1層(1tier)、又は4層(4tier)以上のメモリピラーMPからなるものであってもよい。
【0229】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0230】
1…NAND型フラッシュメモリ、2…メモリコントローラ、3…メモリシステム、4…ホスト機器、10…メモリセルアレイ、20…ロウデコーダ、30…センスアンプ、40…制御回路、100…半導体基板、101…P型ウェル領域、102…絶縁体層、103~106…導電体層、NS…NANDストリング、MU…メモリセルユニット、SU…ストリングユニット、DTU、DTM0、DTM1、DTL0、DTL1、及びDTL2…ダミーセルトランジスタ。