(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/29 20060101AFI20240729BHJP
H01L 23/31 20060101ALI20240729BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20240729BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20240729BHJP
H01L 23/50 20060101ALI20240729BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20240729BHJP
【FI】
H01L23/30 R
H01L25/04 C
H01L23/50 K
H02M7/48 Z
(21)【出願番号】P 2020152191
(22)【出願日】2020-09-10
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】松原 弘招
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-207714(JP,A)
【文献】特開2015-008229(JP,A)
【文献】特開2007-073743(JP,A)
【文献】特開2013-105759(JP,A)
【文献】特開2007-067205(JP,A)
【文献】特開昭63-175448(JP,A)
【文献】特開昭60-25258(JP,A)
【文献】実開昭61-158953(JP,U)
【文献】実開平3-124653(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/29
H01L 25/07
H01L 23/50
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に対して直交する第1方向の一方側に配置された第1ダイパッドと、
前記第1ダイパッドに対して前記第1方向の他方側に配置され、かつ前記第1方向において前記第1ダイパッドから離れて位置するとともに、前記第1ダイパッドとは相対的に電位が異なる第2ダイパッドと、
前記第1ダイパッドに搭載され、かつ前記第1ダイパッドとともに第1回路を構成する第1半導体素子と、
前記第2ダイパッドに搭載され、かつ前記第2ダイパッドとともに第2回路を構成する第2半導体素子と、
前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドのいずれかに搭載されるとともに、前記第1回路と前記第2回路との信号の送受信を中継し、かつ前記第1回路および前記第2回路を互いに絶縁する絶縁素子と、
前記第1ダイパッドに対して前記第1方向の前記一方側に位置する部分を含み、かつ前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向に沿って配列されるとともに、少なくともいずれかが前記第1回路に導通する複数の第1端子と、
前記第2ダイパッドに対して前記第1方向の前記他方側に位置する部分を含み、かつ前記第2方向に沿って配列されるとともに、少なくともいずれかが前記第2回路に導通する複数の第2端子と、
前記第1ダイパッド、前記第2ダイパッド、前記第1半導体素子、前記第2半導体素子および前記絶縁素子と、前記複数の第1端子、および前記複数の第2端子の各々の一部ずつと、を覆うとともに、前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドを互いに絶縁する封止樹脂を備え、
前記封止樹脂は、前記厚さ方向において前記第1ダイパッドに対して前記第1半導体素子が位置する側を向く頂面と、前記厚さ方向において前記頂面とは反対側を向く底面と、前記第1方向の前記一方側に位置し、かつ前記頂面および前記底面につながる第1側面と、を有し、
前記第1側面は、前記頂面につながる第1領域と、前記底面につながる第2領域と、前記第1領域および前記第2領域につながり、かつ前記複数の第1端子が露出する第3領域と、を含み、
前記頂面、前記底面、前記第1領域および前記第2領域の各々の表面粗さは、前記第3領域の表面粗さよりも大であることを特徴とする、半導体装置。
【請求項2】
前記第1領域は、前記頂面に対して傾斜し、
前記第2領域は、前記底面に対して傾斜し、
前記厚さ方向に沿って視て、前記第3領域は、前記頂面および前記底面よりも外方に位置する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記封止樹脂は、前記第1方向の前記他方側に位置し、かつ前記頂面および前記底面につながる第2側面を有し、
前記第2側面は、前記頂面につながる第4領域と、前記底面につながる第5領域と、前記第4領域および前記第5領域につながり、かつ前記複数の第2端子が露出する第6領域と、を含み、
前記頂面、前記底面、前記第4領域および前記第5領域の各々の表面粗さは、前記第6領域の表面粗さよりも大である、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第4領域は、前記頂面に対して傾斜し、
前記第5領域は、前記底面に対して傾斜し、
前記厚さ方向に沿って視て、前記第6領域は、前記頂面および前記底面よりも外方に位置する、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記封止樹脂には、前記頂面から凹む凹部が形成され、
前記封止樹脂は、前記厚さ方向において前記頂面と同じ側を向き、かつ前記凹部を規定する貫入面を有し、
前記貫入面の表面粗さは、前記頂面の表面粗さよりも小である、請求項3または4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記頂面および前記底面の各々の表面粗さは、5μmRz以上20μmRz以下である、請求項3ないし5のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1回路に電源電圧が供給され、かつ前記第2回路に電源電圧が供給された状態において、前記第2回路に供給される電源電圧は、前記第1回路に供給される電源電圧よりも大である、請求項3ないし6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数の第1端子の各々は、前記封止樹脂に覆われた第1パッド部と、前記第1パッド部につながり、かつ前記第1側面から一部が露出した第1リード部と、を有し、
前記第2方向に沿って視て、前記複数の第1端子の各々の前記第1リード部は、前記底面に向けて屈曲し、
前記厚さ方向に沿って視て、前記複数の第1端子の各々の前記第1リード部は、前記第1方向に沿って延びている、請求項3ないし7のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記複数の第2端子の各々は、前記封止樹脂に覆われた第2パッド部と、前記第2パッド部につながり、かつ前記第2側面から一部が露出した第2リード部と、を有し、
前記第2方向に沿って視て、前記複数の第2端子の各々の前記第2リード部は、前記底面に向けて屈曲し、
前記厚さ方向に沿って視て、前記複数の第2端子の各々の前記第2リード部は、前記第1方向に沿って延びている、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1方向に沿って視て、前記第2ダイパッドは、前記第1ダイパッドに重なる、請求項8または9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記封止樹脂は、前記第2方向において互いに離れて位置し、かつ前記頂面および前記底面につながる第3側面および第4側面を有し、
前記第3側面および前記第4側面の各々の少なくとも一部の領域の表面粗さは、前記第3領域および前記第6領域の各々の表面粗さよりも大である、請求項8ないし10のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1ダイパッド、前記第2ダイパッド、前記複数の第1端子、および前記複数の第2端子は、前記第3側面および前記第4側面の双方に対して離れて位置する、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記複数の第1端子は、前記第2方向において互いに離れて位置する一対の第1支持端子を含み、
前記一対の第1支持端子は、前記第1ダイパッドの前記第2方向における両端につながっている、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記複数の第2端子は、前記第2方向において互いに離れて位置する一対の第2支持端子を含み、
前記一対の第2支持端子は、前記第2ダイパッドの前記第2方向における両端につながっている、請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドのうち、前記絶縁素子が搭載された特定ダイパッドには、前記厚さ方向に貫通する孔が設けられ、
前記厚さ方向に沿って視て、前記孔は、前記絶縁素子と、前記第1半導体素子および前記第2半導体素子のうち、前記特定ダイパッドに搭載された特定半導体素子と、の間に位置する、請求項1ないし14のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項16】
前記複数の第1端子、および前記複数の第2端子の少なくともいずれかは、前記第1半導体素子および前記第2半導体素子のいずれにも導通しないダミー端子を含む、請求項1ないし15のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項17】
前記絶縁素子は、インダクティブ型である、請求項1ないし16のいずれかに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つのパッケージ内に搭載された複数の半導体素子との間において、絶縁素子を介して信号伝達を行う半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、ハイブリッド自動車および家電機器などに使用されているインバータ装置には、半導体装置が使用されている。当該インバータ装置は、たとえば半導体装置と、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などのパワー半導体とを備える。当該半導体装置は、制御素子および駆動素子を有する。当該インバータ装置においては、ECU(Engine Control Unit)から出力された制御信号が、当該半導体装置の制御素子に入力される。制御素子は、制御信号をPWM(Pulse Width Modulation)制御信号に変換し、駆動素子に伝送する。駆動素子は、PWM制御信号に基づき、たとえば6つのパワー半導体を所望のタイミングでスイッチング動作させる。当該6つのパワー半導体が所望のタイミングでスイッチング動作をすることで、車載用バッテリの直流電力からモータ駆動用の三相交流電力が生成される。たとえば、特許文献1には、モータ駆動装置に利用される半導体装置(駆動回路)の一例が開示されている。
【0003】
ただし、制御素子に要求される電源電圧と、駆動素子に要求される電源電圧とが異なることがある。このような場合、複数の半導体素子を1つのパッケージ内に搭載した半導体装置では、制御素子への導電経路と、駆動素子への導電経路との2つの導電経路の間において、各々に印加される電源電圧に差異があるため、これらの導電経路の間における絶縁耐圧の向上が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は先述の事情に鑑み、絶縁耐圧の向上を図ることが可能な半導体装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供される半導体装置は、厚さ方向に対して直交する第1方向において離間し、相対的に電位が異なる第1ダイパッドおよび第2ダイパッドを含む導電支持部材と、前記第1ダイパッドに搭載され、前記第1ダイパッドとともに第1回路を構成する第1半導体素子と、前記第2ダイパッドに搭載され、前記第2ダイパッドとともに第2回路を構成する第2半導体素子と、前記第1半導体素子および前記第2半導体素子に導通するとともに、前記第1回路および前記第2回路を互いに絶縁する絶縁素子と、前記第1ダイパッド、前記第2ダイパッド、前記第1半導体素子、前記第2半導体素子および前記絶縁素子を覆うとともに、前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドを互いに絶縁する封止樹脂と、を備え、前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドは、前記第1方向に沿って視て互いに重なり、前記厚さ方向に沿って視て、前記第1ダイパッドの周縁は、前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向の第1端部を含む第1近方角部を有し、前記第1近方角部は、前記第2方向において前記第1端部に向かうほど、前記第1方向において前記第2ダイパッドから離れることを特徴としている。
【0007】
本発明の第2の側面によって提供される半導体装置は、厚さ方向に対して直交する第1方向において離間し、相対的に電位が異なる第1ダイパッドおよび第2ダイパッドを含む導電支持部材と、前記第1ダイパッドに搭載され、前記第1ダイパッドとともに第1回路を構成する第1半導体素子と、前記第2ダイパッドに搭載され、前記第2ダイパッドとともに第2回路を構成する第2半導体素子と、前記第1半導体素子および前記第2半導体素子に導通するとともに、前記第1回路および前記第2回路を互いに絶縁する絶縁素子と、前記第1ダイパッド、前記第2ダイパッド、前記第1半導体素子、前記第2半導体素子および前記絶縁素子を覆うとともに、前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドを互いに絶縁する封止樹脂と、を備え、前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドは、前記第1方向に沿って視て互いに重なり、前記第1ダイパッドは、前記厚さ方向を向き、かつ前記第1半導体素子が搭載された第1主面と、前記厚さ方向において前記第1主面とは反対側を向く第1裏面と、を有し、前記第2ダイパッドは、前記厚さ方向を向き、かつ前記第2半導体素子が搭載された第2主面と、前記厚さ方向において前記第2主面とは反対側を向く第2裏面と、を有し、前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向に沿って視て、前記第1裏面と前記第2裏面との前記第1方向における間隔は、前記第1主面と前記第2主面との前記第1方向における間隔よりも大であることを特徴としている。
【0008】
本発明の第3の側面によって提供される半導体装置は、厚さ方向に対して直交する第1方向の一方側に配置された第1ダイパッドと、前記第1ダイパッドに対して前記第1方向の他方側に配置され、かつ前記第1方向において前記第1ダイパッドから離れて位置するとともに、前記第1ダイパッドとは相対的に電位が異なる第2ダイパッドと、前記第1ダイパッドに搭載され、かつ前記第1ダイパッドとともに第1回路を構成する第1半導体素子と、前記第2ダイパッドに搭載され、かつ前記第2ダイパッドとともに第2回路を構成する第2半導体素子と、前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドのいずれかに搭載されるとともに、前記第1回路と前記第2回路との信号の送受信を中継し、かつ前記第1回路および前記第2回路を互いに絶縁する絶縁素子と、前記第1ダイパッドに対して前記第1方向の前記一方側に位置する部分を含み、かつ前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向に沿って配列されるとともに、少なくともいずれかが前記第1回路に導通する複数の第1端子と、前記第2ダイパッドに対して前記第1方向の前記他方側に位置する部分を含み、かつ前記第2方向に沿って配列されるとともに、少なくともいずれかが前記第2回路に導通する複数の第2端子と、前記第1ダイパッド、前記第2ダイパッド、前記第1半導体素子、前記第2半導体素子および前記絶縁素子と、前記複数の第1端子、および前記複数の第2端子の各々の一部ずつと、を覆うとともに、前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドを互いに絶縁する封止樹脂と、を備え、前記封止樹脂は、前記第1方向の前記一方側に位置する第1側面と、前記第1方向の前記他方側に位置する第2側面と、前記第2方向において互いに離れて位置し、かつ前記第1側面および前記第2側面につながる第3側面および第4側面と、を有し、前記第3側面には、当該第3側面の他の領域よりも表面が粗である第1ゲート痕が形成され、前記第2方向に沿って視て、前記第1ゲート痕が、前記第1方向において前記第1ダイパッドと前記第2ダイパッドとの間に設けられたパッド隙間に重なることを特徴としている。
【0009】
本発明の第4の側面によって提供される半導体装置は、厚さ方向に対して直交する第1方向の一方側に配置された第1ダイパッドと、前記第1ダイパッドに対して前記第1方向の他方側に配置され、かつ前記第1方向において前記第1ダイパッドから離れて位置するとともに、前記第1ダイパッドとは相対的に電位が異なる第2ダイパッドと、前記第1ダイパッドに搭載され、かつ前記第1ダイパッドとともに第1回路を構成する第1半導体素子と、前記第2ダイパッドに搭載され、かつ前記第2ダイパッドとともに第2回路を構成する第2半導体素子と、前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドのいずれかに搭載されるとともに、前記第1回路と前記第2回路との信号の送受信を中継し、かつ前記第1回路および前記第2回路を互いに絶縁する絶縁素子と、前記第1ダイパッドに対して前記第1方向の前記一方側に位置する部分を含み、かつ前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向に沿って配列されるとともに、少なくともいずれかが前記第1回路に導通する複数の第1端子と、前記第2ダイパッドに対して前記第1方向の前記他方側に位置する部分を含み、かつ前記第2方向に沿って配列されるとともに、少なくともいずれかが前記第2回路に導通する複数の第2端子と、前記第1ダイパッド、前記第2ダイパッド、前記第1半導体素子、前記第2半導体素子および前記絶縁素子と、前記複数の第1端子、および前記複数の第2端子の各々の一部ずつと、を覆うとともに、前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドを互いに絶縁する封止樹脂と、を備え、前記封止樹脂は、前記厚さ方向において前記第1ダイパッドに対して前記第1半導体素子が位置する側を向く頂面と、前記厚さ方向において前記頂面とは反対側を向く底面と、前記第1方向の前記一方側に位置し、かつ前記頂面および前記底面につながる第1側面と、前記第1方向の前記他方側に位置し、かつ前記頂面および前記底面につながる第2側面と、前記第2方向のいずれかの側に位置し、かつ前記第1側面および前記第2側面につながる第3側面と、を有し、前記複数の第1端子は、前記第1側面から露出するとともに、前記第3側面に対して最も近くに位置する第1縁端子を含み、前記複数の第2端子は、前記第2側面から露出するとともに、前記第3側面に対して最も近くに位置する第2縁端子を含み、前記第1縁端子から前記第1側面と、前記第3側面と、前記第2側面と、に沿って前記第2縁端子に最短で至る第1沿面距離は、前記第1縁端子から前記第1側面と、前記底面と、前記第2側面と、に沿って前記第2縁端子に最短で至る第2沿面距離よりも短いことを特徴としている。
【0010】
本発明の第5の側面によって提供される半導体装置は、厚さ方向に対して直交する第1方向の一方側に配置された第1ダイパッドと、前記第1ダイパッドに対して前記第1方向の他方側に配置され、かつ前記第1方向において前記第1ダイパッドから離れて位置するとともに、前記第1ダイパッドとは相対的に電位が異なる第2ダイパッドと、前記第1ダイパッドに搭載され、かつ前記第1ダイパッドとともに第1回路を構成する第1半導体素子と、前記第2ダイパッドに搭載され、かつ前記第2ダイパッドとともに第2回路を構成する第2半導体素子と、前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドのいずれかに搭載されるとともに、前記第1回路と前記第2回路との信号の送受信を中継し、かつ前記第1回路および前記第2回路を互いに絶縁する絶縁素子と、前記第1ダイパッドに対して前記第1方向の前記一方側に位置する部分を含み、かつ前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向に沿って配列されるとともに、少なくともいずれかが前記第1回路に導通する複数の第1端子と、前記第2ダイパッドに対して前記第1方向の前記他方側に位置する部分を含み、かつ前記第2方向に沿って配列されるとともに、少なくともいずれかが前記第2回路に導通する複数の第2端子と、前記第1ダイパッド、前記第2ダイパッド、前記第1半導体素子、前記第2半導体素子および前記絶縁素子と、前記複数の第1端子、および前記複数の第2端子の各々の一部ずつと、を覆うとともに、前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドを互いに絶縁する封止樹脂と、を備え、前記封止樹脂は、前記厚さ方向において前記第1ダイパッドに対して前記第1半導体素子が位置する側を向く頂面と、前記厚さ方向において前記頂面とは反対側を向く底面と、前記第1方向の前記一方側に位置し、かつ前記頂面および前記底面につながる第1側面と、を有し、前記第1側面は、前記頂面につながる第1領域と、前記底面につながる第2領域と、前記第1領域および前記第2領域につながり、かつ前記複数の第1端子が露出する第3領域と、を含み、前記頂面、前記底面、前記第1領域および前記第2領域の各々の表面粗さは、前記第3領域の表面粗さよりも大であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる半導体装置よれば、絶縁耐圧の向上を図ることが可能となる。
【0012】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の平面図である。
【
図2】
図1に対応する平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図12】
図2のXII-XII線に沿う断面図である。
【
図15】
図1に示す半導体装置を用いたモータ駆動装置の構成例を示すブロック図である。
【
図16】
図1に示す半導体装置にかかる複数の第1端子51、および複数の第2端子52の各々の端子種別を説明する平面図である。
【
図17】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する平面図である。
【
図18】
図17のXVIII-XVIII線に沿う断面図である。
【
図19】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図20】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図21】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図22】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する平面図である。
【
図23】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する平面図である。
【
図24】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する平面図である。
【
図25】
図1に示す半導体装置の作用効果を説明する平面図である。
【
図26】本発明の第2実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図27】
図26のXXVII-XXVII線に沿う断面図である。
【
図28】本発明の第3実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図29】本発明の第4実施形態にかかる半導体装置の平面図である。
【
図31】本発明の第5実施形態にかかる半導体装置の平面図である。
【
図32】
図31のXXXII-XXXII線に沿う断面図である。
【
図33】
図31のXXXIII-XXXIII線に沿う断面図である。
【
図34】
図31のXXXIV-XXXIV線に沿う断面図である。
【
図35】本発明の第6実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図36】本発明の第7実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図37】本発明の第8実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図38】本発明の第9実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図39】本発明の第10実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0015】
〔第1実施形態〕
図1~
図14に基づき、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置A1について説明する。半導体装置A1は、第1半導体素子11、第2半導体素子12、絶縁素子13、導電支持部材2、複数の第1ワイヤ61、複数の第2ワイヤ62、複数の第3ワイヤ63、複数の第4ワイヤ64および封止樹脂7を備える。これらのうち導電支持部材2は、第1ダイパッド3、第2ダイパッド4、複数の第1端子51、および複数の第2端子52を含む。半導体装置A1は、たとえば電気自動車またはハイブリッド自動車などのインバータ装置の配線基板に表面実装されるものである。半導体装置A1のパッケージ形式は、SOP(Small Outline Package)である。ただし、半導体装置A1のパッケージ形式は、SOPに限定されない。ここで、
図2は、理解の便宜上、封止樹脂7を透過している。
図2においては、透過した封止樹脂7を想像線(二点鎖線)で示している。
【0016】
半導体装置A1の説明においては、第1ダイパッド3および第2ダイパッド4の各々の厚さ方向を「z方向(厚さ方向)」と呼ぶ。z方向に対して直交する方向を「x方向(第1方向)」と呼ぶ。z方向およびx方向の双方に対して直交する方向を「y方向(第2方向)」と呼ぶ。さらに「平面視」は、z方向に沿った視点を指す。
【0017】
第1半導体素子11、第2半導体素子12および絶縁素子13は、半導体装置A1の機能中枢となる素子である。
図2に示すように、半導体装置A1においては、第1半導体素子11、第2半導体素子12および絶縁素子13の各々は、いずれも個々の素子で構成されている。平面視において、第1半導体素子11、第2半導体素子12および絶縁素子13の各々は、y方向を長辺とする矩形状である。
【0018】
第1半導体素子11は、ECUなどから入力された制御信号をPWM制御信号に変換する回路と、PWM制御信号を第2半導体素子12へ伝送するための送信回路と、第2半導体素子12からの電気信号を受ける受信回路とを有する。
【0019】
第2半導体素子12は、PWM制御信号を受信する受信回路と、PWM制御信号に基づきスイッチング素子(たとえばIGBTやMOSFETなど)のスイッチング動作を行う回路(ゲートドライバ)と、電気信号を第1半導体素子11へ伝送するための送信回路とを有する。当該電気信号は、たとえばモータ近傍に設置された温度センサからの出力信号が挙げられる。
【0020】
絶縁素子13は、PWM制御信号や他の電気信号を、絶縁状態で伝送するための素子である。絶縁素子13は、たとえばインダクティブ型である。インダクティブ型の絶縁素子は、一例では絶縁型トランスであり、2つのインダクタ(コイル)を誘導結合させることで、絶縁状態による電気信号の伝送を行う。絶縁素子13は、Siからなる基板を有する。前記基板上にCuからなるインダクタが形成されている。前記インダクタは、送信側インダクタおよび受信側インダクタを含み、これらのインダクタは絶縁素子13の厚さ方向(z方向)において互いに積層されている。送信側インダクタと受信側インダクタとの間には、SiO2などからなる誘電体層が介装されている。誘電体層により、送信側インダクタと受信側インダクタとは、電気的に絶縁されている。半導体装置A1では、絶縁素子13は、インダクティブ型である場合を示すが、キャパシティブ型であってもよい。キャパシティブ型の絶縁素子13は、一例ではコンデンサである。さらに絶縁素子13は、フォトカプラでもよい。
【0021】
半導体装置A1では、第2半導体素子12は、第1半導体素子11よりも高い電圧を必要とする。そのため、第1半導体素子11と第2半導体素子12との間に著しい電位差が生じることから、半導体装置A1においては、第1半導体素子11を含む第1回路と、第2半導体素子12を含む第2回路とが、絶縁素子13により絶縁されている。つまり、絶縁素子13は、相対的に低電圧の第1半導体素子11を含む第1回路と、相対的に高電圧の第2半導体素子12を含む第2回路とを絶縁する。たとえば電気自動車もしくはハイブリッド自動車のインバータ装置においては、第1半導体素子11に要求される電源電圧が5V程度であることに対し、第2半導体素子12に要求される電源電圧は600V以上である。
【0022】
図2および
図10に示すように、絶縁素子13は、x方向において、第1半導体素子11と第2半導体素子12との間に位置する。第1半導体素子11および絶縁素子13は、導電支持部材2の一部(後述の第1ダイパッド3)に搭載されている。第2半導体素子12は、導電支持部材2の一部(後述の第2ダイパッド4)に搭載されている。第1半導体素子11の上面(z方向を向く面)には、複数の電極11Aが設けられている。複数の電極11Aは、第1半導体素子11に構成された回路に導通する。同様に、第2半導体素子12の上面(z方向を向く面)には、複数の電極12Aが設けられている。複数の電極12Aは、第2半導体素子12に構成された回路に導通する。絶縁素子13の上面(z方向を向く面)には、複数の第1電極13A、および複数の第2電極13Bが設けられている。複数の第1電極13A、および複数の第2電極13Bの各々は、送信側インダクタおよび受信側インダクタのいずれかに導通する。
【0023】
図13に示すように、絶縁素子13においては、複数の第1電極13Aは、y方向に沿って配列されている。同様に、複数の第2電極13Bもy方向に沿って配列されている。絶縁素子13は、パッシベーション膜13Cを有する。パッシベーション膜13Cは、たとえばポリイミドを含む材料からなる。パッシベーション膜13Cは、絶縁素子13の上面に位置する。複数の第1電極13A、および複数の第2電極13Bの各々は、パッシベーション膜13Cから露出している。パッシベーション膜13Cは、第1膜13Dおよび第2膜13Eを含む。第1膜13Dは、x方向において複数の第1電極13Aと、複数の第2電極13Bとの間に位置する。第2膜13Eは、パッシベーション膜13Cから第1膜13Dを除いた部分である。
図14に示すように、第1膜13Dの表面粗さは、第2膜13Eの表面粗さよりも大である。これにより、複数の第1電極13Aの各々から、当該第1電極13Aに対して最も近くに位置する複数の第2電極13Bのいずれかに至る沿面距離をより長くすることが可能となる。このことは、絶縁素子13の絶縁耐圧の向上に寄与する。
【0024】
導電支持部材2は、半導体装置A1において、第1半導体素子11、第2半導体素子12および絶縁素子13とインバータ装置の配線基板との導通経路を構成する部材である。導電支持部材2は、たとえばCuを組成に含む合金からなる。導電支持部材2は、後述するリードフレーム81から形成される。導電支持部材2は、第1半導体素子11、第2半導体素子12および絶縁素子13を搭載する。
図1に示すように、導電支持部材2は、第1ダイパッド3、第2ダイパッド4、複数の第1端子51および複数の第2端子52を含む。
図2に示すように、第1ダイパッド3は、x方向の一方側に配置されている。第2ダイパッド4は、第1ダイパッド3に対してx方向の他方側に配置され、かつx方向において第1ダイパッド3から離れて位置する。このため、x方向において第1ダイパッド3と第2ダイパッド4との間には、パッド隙間21が設けられている。平面視において、パッド隙間21は、y方向に沿って延びている。
【0025】
第1ダイパッド3は、
図2および
図10に示すように、第1半導体素子11および絶縁素子13が搭載されている。第1ダイパッド3は、第1半導体素子11と導通しており、先述した第1回路の一要素である。第1ダイパッド3は、平面視において略矩形状である。第1ダイパッド3の厚さ(z方向の寸法)は、たとえば100μm以上300μm以下である。第1ダイパッド3は、第1主面31、第1裏面32、第1対向面33、第1端面34、および一対の第1側面35を有する。
【0026】
第1主面31および第1裏面32は、
図10および
図11に示すように、z方向において互いに離れて位置する。第1主面31および第1裏面32は、z方向において互いに反対側を向く。第1主面31および第1裏面32はそれぞれ、略平坦である。第1主面31と第1裏面32との間のz方向における距離は、たとえば100μm以上300μm以下である。第1半導体素子11および絶縁素子13は、図示しない導電性接合材(はんだ、金属ペースト、焼結金属など)により、第1主面31に接合されている。
【0027】
第1対向面33、第1端面34、および一対の第1側面35の各々は、第1主面31および第1裏面32につながり、かつz方向において第1主面31および第1裏面32に挟まれている。
図2、
図10および
図11に示すように、第1対向面33は、x方向において第2ダイパッド4に対向している。第1対向面33は、第1主面側凹部331、第1裏面側凹部332、第1主面側突起部333、第1裏面側突起部334および第1中間突起部335を含む。
【0028】
第1主面側凹部331は、
図11に示すように、第1主面31および第1裏面側凹部332につながる部位である。y方向に沿って視て、第1主面側凹部331は、第1ダイパッド3の内方に窪み、かつ湾曲している。
【0029】
第1裏面側凹部332は、
図11に示すように、第1裏面32および第1主面側凹部331につながる部位である。y方向に沿って視て、第1裏面側凹部332は、第1ダイパッド3の内方に窪み、かつ湾曲している。これにより、第1対向面33は、z方向に並んだ2つの凹部(第1主面側凹部331および第1裏面側凹部332)を含む構成となっている。
図11に示すように、第1裏面側凹部332のz方向の寸法t332は、第1主面側凹部331のz方向の寸法t331よりも大きい。寸法t331に対する寸法t332の比率(t332/t331)は、1以上2以下である。
【0030】
第1主面側突起部333は、
図11に示すように、第1主面31と第1主面側凹部331とによって形成された部位である。y方向に沿って視て、第1主面側突起部333の角度α1は、たとえば70°以上80°以下である。
図11に示すように、角度α1は、y方向に沿って視た第1主面側突起部333の先端を頂点P11として、当該頂点P11と、当該頂点P11から延びる2つの半直線とによって決定される角度である。y方向に沿って視て、2つの半直線のうちの一方は、第1主面31に位置する点であり、かつ頂点P11から直線距離で20μm以上40μm以下(標準30μm)離れた点を通過する。y方向に沿って視て、2つの半直線のうちの他方は、第1主面側凹部331に位置する点であり、かつ頂点P11から直線距離で20μm以上40μm以下(標準30μm)離れた点を通過する。理解の便宜上、
図11において、頂点P11を黒丸で示し、かつ2つの半直線が通過する各点を×印で示している。
【0031】
第1裏面側突起部334は、
図11に示すように、第1裏面32と第1裏面側凹部332とによって形成された部位である。y方向に沿って視て、第1裏面側突起部334の角度β1は、先述の角度α1よりも小さい。角度β1は、たとえば60°以上80°以下である。
図11に示すように、角度β1は、y方向に沿って視た第1裏面側突起部334の先端を頂点P12として、当該頂点P12と、当該頂点P12から延びる2つの半直線とによって決定される角度である。y方向に沿って視て、2つの半直線のうちの一方は、第1裏面32に位置する点であり、かつ頂点P12から直線距離で20μm以上40μm以下(標準30μm)離れた点を通過する。y方向に沿って視て、2つの半直線のうちの他方は、第1裏面側凹部332に位置する点であり、かつ頂点P12から直線距離で20μm以上40μm以下(標準30μm)離れた点を通過する。理解の便宜上、
図11において、頂点P12を黒丸で示し、かつ2つの半直線が通過する各点を×印で示している。
【0032】
第1中間突起部335は、
図11に示すように、第1主面側凹部331と第1裏面側凹部332とによって形成された部位である。y方向に沿って視て、第1中間突起部335の角度γ1は、先述の角度α1と、先述の角度β1との総和(α1+β1)以上の大きさであり、たとえば160°以上180°以下である。
図11に示すように、角度γ1は、y方向に沿って視た第1中間突起部335の先端を頂点P13として、当該頂点P13と、当該頂点P13から延びる2つの半直線とによって決定される角度である。y方向に沿って視て、2つの半直線のうちの一方は、第1主面側凹部331に位置する点であり、かつ頂点P13から直線距離で20μm以上40μm以下(標準30μm)離れた点を通過する。y方向に沿って視て、2つの半直線のうちの他方は、第1裏面側凹部332に位置する点であり、かつ頂点P13から直線距離で20μm以上40μm以下(標準30μm)離れた点を通過する。理解の便宜上、
図11において、頂点P13を黒丸で示し、かつ2つの半直線が通過する各点を×印で示している。
【0033】
図11に示す例では、第1主面側突起部333、第1裏面側突起部334および第1中間突起部335のうち、第1主面側突起部333が、x方向において、第2ダイパッド4に最も接近する。よって、x方向において、第1主面側突起部333は、第1裏面側突起部334および第1中間突起部335よりも、第2ダイパッド4寄りに位置する。また、第1中間突起部335は、x方向において、第1主面側突起部333および第1裏面側突起部334のそれぞれよりも第2ダイパッド4から離れた位置にある。
図11に示す例とは異なり、第1中間突起部335は、x方向において、第1主面側突起部333よりも第2ダイパッド4から離れた位置にあり、かつ、x方向において第1裏面側突起部334よりも第2ダイパッド4寄りに位置する。
【0034】
第1端面34は、
図2に示すように、x方向において第1対向面33から離れて位置する。第1端面34は、x方向において第1対向面33とは反対側を向く。第1端面34は、たとえば略平坦である。なお、第1端面34は、第1対向面33と同様に、z方向に並ぶ2つの凹部を含んでいてもよい。
【0035】
一対の第1側面35は、
図2に示すように、y方向において互いに離れて位置する。一対の第1側面35は、y方向において互いに反対側を向く。一対の第1側面35はそれぞれ、たとえば略平坦である。なお、一対の第1側面35はそれぞれ、第1対向面33と同様に、z方向に並ぶ2つの凹部を含んでいてもよい。一対の第1側面35の各々は、平面視においてx方向に沿って延びている。
【0036】
第1主面31の周縁36は、
図2、
図3および
図4に示すように、一対の第1遠方角部361、一対の第1近方角部362、および第1近方端縁363を含む。
【0037】
一対の第1遠方角部361は、
図2に示すように、第1ダイパッド3の平面視における四隅のうち、x方向において第2ダイパッド4から最も遠くに位置する2つの隅に相当する。平面視において、一対の第1遠方角部361の各々は、第1端面34と、一対の第1側面35のいずれかにより形成された部位である。平面視において、一対の第1遠方角部361の各々は、曲線であって、たとえば単曲線で構成されている。単曲線とは、曲率半径が一定の円弧である。平面視において、一対の第1遠方角部361の各々の曲率半径r11は、たとえば20μm以上80μm以下である。平面視において、一対の第1遠方角部361の各々は、曲線ではなく、略直角に形成されていてもよい。さらに曲率半径r11は、平面視における第1ダイパッド3の大きさにより適宜変更されうる。
【0038】
一対の第1近方角部362は、
図2に示すように、第1ダイパッド3の平面視における四隅のうち、x方向において第2ダイパッド4から最も近くに位置する2つの隅に相当する。一対の第1近方角部362は、一対の第1端部362Aを個別に含む。平面視において、一対の第1近方角部362の各々は、y方向において当該第1端部362Aに向かうほど、x方向において第2ダイパッド4から遠ざかる。したがって、一対の第1近方角部362の各々において、当該第1端部362Aは、第2ダイパッド4からx方向に最も離れて位置する。
図3に示すように、一対の第1近方角部362の各々は、曲線であって、たとえば単曲線で構成されている。平面視において、一対の第1近方角部362の各々の曲率半径r12は、一対の第1遠方角部361の各々の曲率半径r11よりも大きい。平面視において、一対の第1近方角部362の各々の曲率半径r12は、たとえば60μm以上240μm以下(好ましくは120μm)である。曲率半径r12は、平面視における第1ダイパッド3の大きさにより適宜変更されうる。半導体装置A1において、一対の第1近方角部362は、意図的に形成されたものである。
【0039】
図2および
図3に示すように、平面視において、一対の第1端部362Aを結ぶ線分は、x方向において絶縁素子13よりも第2ダイパッド4寄りに位置する。この他、平面視において、当該線分は、絶縁素子13に重なっていてもよい。
【0040】
第1近方端縁363は、
図2に示すように、第1主面31の周縁36のうち、第2ダイパッド4から最も近くに位置する。第1近方端縁363は、y方向に沿って延びている。第1近方端縁363は、当該第1近方端縁363のy方向の両端において一対の第1近方角部362につながっている。第1近方端縁363は、先述の第1主面側突起部333に含まれる要素である。第1近方端縁363には、x方向において第1ダイパッド3の内方に窪む区間が形成されていてもよい。
【0041】
図2および
図3に示すように、平面視において、第1ダイパッド3は、絶縁素子13から第2ダイパッド4に向けて突出した部分を含む。当該部分のx方向の寸法は、絶縁素子13のz方向の寸法の0.3倍以上3倍以下(好ましくは1倍)である。
【0042】
半導体装置A1においては、一対の第1遠方角部361、および一対の第1近方角部362の各々は、平面視において単曲線で構成された例を示したが、これに限定されない。たとえば、これらの図に示す例とは異なり、単曲線で構成された部分と、緩和曲線で構成された部分とを含んでいてもよい。緩和曲線は、曲率が徐々に減少する曲線であり、単曲線と直線とを滑らかにつなぐ曲線である。この他、複合曲線で構成されていてもよい。複合曲線は、同じ方向に曲がり、かつ異なった半径を持つ2つ以上の円弧で構成される曲線であり、円弧同士が適宜共通の接線、または摺り付け曲線でつながっている。
【0043】
第2ダイパッド4は、
図2および
図10に示すように、第2半導体素子12が搭載されている。第2ダイパッド4は、第2半導体素子12と導通しており、先述した第2回路の一要素である。第2ダイパッド4は、平面視において略矩形状である。第1ダイパッド3と第2ダイパッド4とは、互いに離間しつつ、x方向に並んでいる。
図2に示す例では、第2ダイパッド4は、たとえば第1ダイパッド3のx方向側に配置されている。第1ダイパッド3と第2ダイパッド4とは、ガルバニック絶縁されている。第2ダイパッド4の厚さ(z方向の寸法)は、たとえば100μm以上300μm以下である。第2ダイパッド4は、第2主面41、第2裏面42、第2対向面43、第2端面44、および一対の第2側面45を有する。
【0044】
第2主面41および第2裏面42は、
図10および
図11に示すように、z方向において互いに離れて位置する。第2主面41および第2裏面42は、z方向において互いに反対側を向く。第2主面41および第2裏面42の各々は、略平坦である。第2主面41と第2裏面42との間のz方向の距離は、たとえば100μm以上300μm以下である。さらに、第1ダイパッド3の厚さと、第2ダイパッド4の厚さとの各々は、パッド隙間21の長さの0.2倍以上1.2倍以下である。第2半導体素子12は、図示しない導電性接合材(たとえば、はんだ、金属ペースト、あるいは、焼結金属など)により、第2主面41に接合されている。
【0045】
第2対向面43、第2端面44、および一対の第2側面45の各々は、第2主面41および第2裏面42につながり、かつz方向において第2主面41および第2裏面42に挟まれている。
図2、
図10および
図11に示すように、第2対向面43は、第1ダイパッド3の第1対向面33に対向している。第2対向面43は、第2主面側凹部431、第2裏面側凹部432、第2主面側突起部433、第2裏面側突起部434および第2中間突起部435を含む。
【0046】
第2主面側凹部431は、
図11に示すように、第2主面41および第2裏面側凹部432につながる部位である。y方向に沿って視て、第2主面側凹部431は、第2ダイパッド4の内方に窪み、かつ湾曲している。
【0047】
第2裏面側凹部432は、
図11に示すように、第2裏面42と第2主面側凹部431とにつながる部位である。y方向に沿って視て、第2裏面側凹部432は、第2ダイパッド4の内方に窪み、かつ湾曲している。これにより、第2対向面43は、z方向に並んだ2つの凹部(第2主面側凹部431および第2裏面側凹部432)を含む構成となっている。
図11に示すように、第2裏面側凹部432のz方向の寸法t432は、第2主面側凹部431のz方向の寸法t431よりも大きい。寸法t431に対する寸法t432の比率(t432/t431)は、1以上2以下である。
【0048】
第2主面側突起部433は、
図11に示すように、第2主面41と第2主面側凹部431とによって形成された部位である。y方向に沿って視て、第2主面側突起部433の角度α2は、たとえば70°以上80°以下である。
図11に示すように、角度α2は、y方向に沿って視た第2主面側突起部433の先端を頂点P21として、当該頂点P21と、当該頂点P21から延びる2つの半直線とによって決定される角度である。y方向に沿って視て、2つの半直線のうちの一方は、第2主面41に位置する点であり、かつ頂点P21から直線距離で20μm以上40μm以下(標準30μm)離れた点を通過する。y方向に沿って視て、2つの半直線のうちの他方は、第2主面側凹部431に位置する点であり、かつ頂点P21から直線距離で20μm以上40μm以下(標準30μm)離れた点を通過する。理解の便宜上、
図11において、頂点P21を黒丸で示し、かつ2つの半直線が通過する各点を×印で示している。
【0049】
第2裏面側突起部434は、
図11に示すように、第2裏面42と第2裏面側凹部432とによって形成された部位である。y方向に沿って視て、第2裏面側突起部434の角度β2は、先述の角度α2よりも小さい。角度β2は、たとえば60°以上80°以下である。
図11に示すように、角度β1は、y方向に沿って視た第2裏面側突起部434の先端を頂点P22として、当該頂点P22と、当該頂点P22から延びる2つの半直線によって決定される角度である。y方向に沿って視て、2つの半直線のうちの一方は、第2裏面42に位置する点であり、かつ頂点P22から直線距離で20μm以上40μm以下(標準30μm)離れた点を通過する。y方向に沿って視て、2つの半直線のうちの他方は、第2裏面側凹部432に位置する点であり、かつ頂点P22から直線距離で20μm以上40μm以下(標準30μm)離れた点を通過する。理解の便宜上、
図11において、頂点P22を黒丸で示し、かつ2つの半直線が通過する各点を×印で示している。
【0050】
第2中間突起部435は、
図11に示すように、第2主面側凹部431と第2裏面側凹部432とによって形成された部位である。y方向に沿って視て、第2中間突起部435の角度γ2は、先述の角度α2と、先述の角度β2との総和(α2+β2)以上の大きさであり、たとえば160°以上180°以下である。
図11に示すように、角度γ2は、y方向に沿って視た第2中間突起部435の先端を頂点P23として、当該頂点P23と、当該頂点P23から延びる2つの半直線によって決定される角度である。y方向に沿って視て、2つの半直線のうちの一方は、第2主面側凹部431に位置する点であり、かつ頂点P23から直線距離で20μm以上40μm以下(標準30μm)離れた点を通過する。y方向に沿って視て、2つの半直線のうちの他方は、第2裏面側凹部432に位置する点であり、かつ頂点P23から直線距離で20μm以上40μm以下(標準30μm)離れた点を通過する。理解の便宜上、
図11において、頂点P23を黒丸で示し、かつ2つの半直線が通過する各点を×印で示している。
【0051】
図11に示す例では、第2主面側突起部433、第2裏面側突起部434および第2中間突起部435のうち、第2主面側突起部433が、x方向において第1ダイパッド3から最も近くに位置する。よって、x方向において、第2主面側突起部433は、第2裏面側突起部434および第2中間突起部435よりも第1ダイパッド3に寄って位置する。また、第2中間突起部435は、x方向において、第2主面側突起部433よりも第1ダイパッド3から離れた位置にあり、かつ、x方向において、第2裏面側突起部434よりも第1ダイパッド3に寄って位置する。
図11に示す例とは異なり、第2中間突起部435は、x方向において、第2主面側突起部433および第2裏面側突起部434のそれぞれよりも第1ダイパッド3から離れた位置にある。
【0052】
図11に示すように、y方向に沿って視て、第1裏面32と第2裏面42との離間距離d2は、第1主面31と第2主面41との離間距離d1よりも大きい。ここで、離間距離d1は、第1対向面33の第1主面側突起部333と、第2対向面43の第2主面側突起部433とのx方向の間隔に相当する。離間距離d2は、第1対向面33の第1裏面側突起部334と、第2対向面43の第2裏面側突起部434とのx方向の間隔に相当する。したがって、第1主面側突起部333と第2主面側突起部433とのx方向の間隔は、第1裏面側突起部334と第2裏面側突起部434とのx方向の間隔よりも小さい。離間距離d1は、250μm以上500μm以下である。離間距離d2は、250μm以上500μm以下であり、かつ離間距離d1より大である。
【0053】
第2端面44は、
図2に示すように、x方向において、第2対向面43と離間している。第2端面44は、x方向において、第1ダイパッド3と反対側を向いており、半導体装置A1では、x方向を向く。第2端面44は、たとえば略平坦である。なお、第2端面44は、第2対向面43と同様に、z方向に並ぶ2つの凹部を含んでいいてもよい。
【0054】
一対の第2側面45は、
図2に示すように、y方向において、互いに離間している。一対の第2側面45の一方は、y方向を向き、一対の第2側面45の他方は、y方向を向く。一対の第2側面45はそれぞれ、たとえば略平坦である。なお、一対の第2側面45はそれぞれ、第2対向面43と同様に、z方向に並ぶ2つの凹部を含んでいてもよい。一対の第2側面45の各々は、平面視においてx方向に沿って延びている。
【0055】
第2主面41の周縁46は、
図2、
図3および
図5に示すように、一対の第2遠方角部461、一対の第2近方角部462、および第2近方端縁463を含む。
【0056】
一対の第2遠方角部461は、
図2に示すように、第2ダイパッド4の平面視における四隅のうち、x方向において第1ダイパッド3から最も遠くに位置する2つの隅に相当する。平面視において、一対の第2遠方角部461の各々は、第2端面44と、一対の第2側面45のいずれかにより形成された部位である。平面視において、一対の第2遠方角部461の各々は、曲線であって、たとえば単曲線で構成されている。単曲線とは、曲率半径が一定の円弧である。一対の第2遠方角部461の各々の曲率半径r21は、たとえば20μm以上80μm以下である。平面視において、一対の第2遠方角部461の各々は、曲線ではなく、略直角に形成されていてもよい。さらに曲率半径r21は、平面視における第2ダイパッド4の大きさにより適宜変更されうる。
【0057】
一対の第2近方角部462は、
図2に示すように、第2ダイパッド4の平面視における四隅のうち、x方向において第1ダイパッド3から最も近くに位置する2つの隅に相当する。一対の第2近方角部462は、一対の第2端部462Aを個別に含む。平面視において、一対の第2近方角部462の各々は、y方向において当該第2端部462Aに向かうほど、x方向において第1ダイパッド3から遠ざかる。したがって、一対の第2近方角部462の各々において、当該第2端部462Aは、第1ダイパッド3からx方向に最も離れて位置する。
図3に示すように、一対の第2近方角部462の各々は、曲線であって、たとえば単曲線で構成されている。平面視において、一対の第2近方角部462の各々の曲率半径r22は、一対の第2遠方角部461の各々の曲率半径r21よりも大きい。一対の第2近方角部462の各々の曲率半径r22は、たとえば60μm以上240μm以下(好ましくは120μm)である。曲率半径r22は、平面視における第2ダイパッド4の大きさにより適宜変更されうる。半導体装置A1において、一対の第2近方角部462は、意図的に形成されたものである。
【0058】
図2および
図3に示すように、平面視において、一対の第2端部462Aを結ぶ線分は、x方向において第2半導体素子12に重なっている。この他、平面視において、当該線分は、第2半導体素子12よりも第1ダイパッド3寄りに位置していてもよい。
【0059】
第2近方端縁463は、
図2に示すように、第2主面41の周縁46のうち、第1ダイパッド3から最も近くに位置する。第2近方端縁463は、y方向に沿って延びている。平面視において、第2近方端縁463は、第1近方端縁363に対して略平行である。第2近方端縁463は、当該第2近方端縁463のy方向の両端において一対の第2近方角部462につながっている。第2近方端縁463は、先述の第2主面側突起部433に含まれる要素である。第2近方端縁463には、x方向において第2ダイパッド4の内方に窪む区間が形成されていてもよい。
【0060】
図2、
図3および
図5に示す例では、一対の第2遠方角部461、および一対の第2近方角部462はそれぞれ、単曲線で構成された例を示したが、これに限定されない。たとえば、これらの図に示す例とは異なり、単曲線で構成された部分と、緩和曲線で構成された部分とを含んでいてもよい。この他、複合曲線で構成されていてもよい。
【0061】
複数の第1端子51は、インバータ装置などの配線基板に接合されることで、半導体装置A1と前記配線基板との導電経路を構成する部材である。複数の第1端子51の少なくともいずれかは、第1半導体素子11に導通している。複数の第1端子は、先述した第1回路の一要素である。
図1、
図2および
図8に示すように、複数の第1端子51は、互いに離間しつつ、y方向に沿って配列されている。複数の第1端子51は、封止樹脂7(後述の第1側面73)からそれぞれx方向(x方向)に延出するように露出している。複数の第1端子51はいずれも、第2ダイパッド4よりもx方向側に位置する。また、複数の第1端子51はいずれも、平面視において、第1近方端縁363よりもx方向側に位置する。複数の第1端子51は、複数の第1中間端子511、一対の第1側端子512、および一対の第1支持端子513を含む。
【0062】
複数の第1中間端子511は、
図2および
図8に示すように、一対の第1側端子512に挟まれて配列されている。複数の第1中間端子511はそれぞれ、
図2に示すように、リード部511Aおよびパッド部511Bを含む。
【0063】
リード部511Aは、x方向に沿って延びた長矩形状の部位である。リード部511Aは、封止樹脂7から露出した部分と封止樹脂7に覆われた部分とがある。
図6および
図7に示すように、リード部511Aのうち封止樹脂7から露出した部分は、ガルウィング状に曲げ加工が施されている。また、リード部511Aのうち封止樹脂7から露出した部分には、めっき処理が施されていてもよい。当該めっき処理により形成されるめっき層は、たとえばはんだなどのSnを含む合金からなり、封止樹脂7から露出した部分を覆う。当該めっき層は、はんだ接合によって半導体装置A1をインバータ装置の配線基板に表面実装させる際に、当該露出した部分へのはんだの付着を良好なものにしつつ、はんだ接合に起因した当該露出した部分の浸食を防止する。
【0064】
パッド部511Bは、リード部511Aにつながり、かつ、y方向においてリード部511Aよりも幅広の矩形状の部位である。パッド部511Bの上面(z方向を向く面)には、めっき処理が施されていてもよい。当該めっき処理により形成されるめっき層は、たとえばAgを含む金属からなり、パッド部511Bの上面を覆う。当該めっき層は、後述の第1ワイヤ61の接合強度を高めつつ、第1ワイヤ61のワイヤボンディング時の衝撃からリードフレーム81(後述)を保護する。パッド部511Bは、全面にわたって封止樹脂7に覆われている。パッド部511Bは、略平坦である。
【0065】
一対の第1側端子512は、y方向において、複数の第1中間端子511の両側に配置されている。一対の第1側端子512はそれぞれ、
図2に示すように、リード部512Aおよびパッド部512Bを含む。
【0066】
リード部512Aは、x方向に沿って延びた長矩形状の部位である。リード部512Aは、封止樹脂7から露出した部分と封止樹脂7に覆われた部分とがある。
図6および
図7に示すように、リード部512Aのうち封止樹脂7から露出した部分は、ガルウィング状に曲げ加工が施されている。また、リード部521Aのうち封止樹脂7から露出した部分は、リード部511Aと同様に、めっき層(たとえばはんだなどのSnを含む合金)で覆われていてもよい。
【0067】
パッド部512Bは、リード部512Aにつながり、かつ、y方向においてリード部512Aよりも幅広の部位である。パッド部512Bの上面(z方向を向く面)は、パッド部511Bの上面と同様に、めっき層(たとえばAgを含む金属)で覆われていてもよい。パッド部512Bは、全面にわたって封止樹脂7に覆われている。パッド部512Bは、略平坦である。
【0068】
一対の第1支持端子513は、
図2および
図8に示すように、y方向に離間して配置されている。一対の第1支持端子513は、第1ダイパッド3のy方向両端に連結されており、第1ダイパッド3を支持する。
図2および
図8に示すように、一対の第1支持端子513は、たとえばy方向において一対の第1側端子512の両側に配置されている。一対の第1支持端子513はそれぞれ、
図2に示すように、リード部513Aおよびパッド部513Bを含む。
【0069】
リード部513Aは、x方向に沿って延びた長矩形状の部位である。リード部513Aは、封止樹脂7から露出した部分と封止樹脂7に覆われた部分とがある。
図6および
図7に示すように、リード部513Aのうち封止樹脂7から露出した部分は、ガルウィング状に曲げ加工が施されている。また、リード部513Aのうち封止樹脂7から露出した部分は、リード部511Aと同様に、めっき層(たとえばはんだなどのSnを含む合金)で覆われていてもよい。リード部513Aのうち封止樹脂7に覆われた部分の長さは、各リード部511A,512Aの封止樹脂7に覆われた部分の長さよりも長い。
【0070】
パッド部513Bは、リード部513Aにつながり、かつ、y方向に延出した部位である。
図2に示すように、パッド部513Bの端部が第1ダイパッド3に連結されている。パッド部513Bの上面(z方向を向く面)は、パッド部511Bの上面と同様に、めっき層(たとえばAgを含む金属)で覆われていてもよい。パッド部513Bは、全面にわたって封止樹脂7に覆われている。パッド部513Bは、略平坦である。
【0071】
複数の第2端子52は、複数の第1端子51と同様にインバータ装置などの配線基板に接合されることで、半導体装置A1と前記配線基板との導電経路を構成する部材である。複数の第2端子52の少なくともいずれかは、第2半導体素子12に導通している。複数の第2端子は、先述した第2回路の一要素である。
図1、
図2および
図9に示すように、複数の第2端子52は、互いに離間しつつ、y方向に沿って配列されている。複数の第2端子52は、封止樹脂7(後述の第2側面74)からそれぞれx方向に延出するように露出している。複数の第2端子52はそれぞれ、x方向において、第1ダイパッド3よりもx方向側に位置する。複数の第2端子52は、複数の第2中間端子521、一対の第2側端子522、および一対の第2支持端子523を含む。
【0072】
複数の第2中間端子521は、
図2および
図9に示すように、一対の第2側端子522に挟まれて配列されている。複数の第2中間端子521はそれぞれ、
図2に示すように、リード部521Aおよびパッド部521Bを含む。
【0073】
リード部521Aは、x方向に沿って延びた長矩形状の部位である。リード部521Aは、封止樹脂7から露出した部分と封止樹脂7に覆われた部分とがある。
図6および
図7に示すように、リード部521Aのうち封止樹脂7から露出した部分は、ガルウィング状に曲げ加工が施されている。また、リード部521Aのうち封止樹脂7から露出した部分には、リード部511Aと同様に、めっき層(たとえばはんだなどのSnを含む合金)が形成されていてもよい。
【0074】
パッド部521Bは、リード部521Aにつながり、かつ、y方向においてリード部521Aよりも幅広の部位である。パッド部521Bの上面(z方向を向く面)は、パッド部511Bの上面と同様に、めっき層(たとえばAgを含む金属)で覆われていてもよい。パッド部521Bは、全面にわたって封止樹脂7に覆われている。パッド部521Bは、略平坦である。
【0075】
一対の第2側端子522は、y方向において、複数の第2中間端子521の両側に配置されている。一対の第2側端子522はそれぞれ、
図2に示すように、リード部522Aおよびパッド部522Bを含む。
【0076】
リード部522Aは、x方向に沿って延びた長矩形状の部位である。リード部522Aは、封止樹脂7から露出した部分と封止樹脂7に覆われた部分とがある。
図6および
図7に示すように、リード部522Aのうち封止樹脂7から露出した部分は、ガルウィング状に曲げ加工が施されている。また、リード部522Aのうち封止樹脂7から露出した部分は、リード部511Aと同様に、めっき層(たとえばはんだなどのSnを含む合金)で覆われていてもよい。リード部522Aのうち封止樹脂7に覆われた部分の長さは、リード部521Aの封止樹脂7に覆われた部分の長さよりも長い。
【0077】
パッド部522Bは、リード部522Aにつながり、かつ、y方向においてリード部522Aよりも幅広の部位である。パッド部522Bの上面(z方向を向く面)は、パッド部511Bの上面と同様に、めっき層(たとえばAgを含む金属)で覆われていてもよい。パッド部522Bは、全面にわたって封止樹脂7に覆われている。パッド部522Bは、略平坦である。
【0078】
一対の第2支持端子523は、
図2および
図9に示すように、y方向に離間して配置されている。第2支持端子523は、第2ダイパッド4のy方向両端に連結されており、第2ダイパッド4を支持する。
図2および
図9に示すように、y方向において、一対の第2支持端子523の内側に、複数の第2中間端子521が配列されている。また、y方向において、一対の第2支持端子523の外側に、一対の第2側端子522がそれぞれ配置されている。一対の第2支持端子523はそれぞれ、
図2に示すように、リード部523A、パッド部523Bおよび連結部523Cを含む。
【0079】
リード部523Aは、x方向に沿って延びた長矩形状の部位である。リード部523Aは、封止樹脂7から露出した部分と封止樹脂7に覆われた部分とがある。
図6および
図7に示すように、リード部523Aのうち封止樹脂7から露出した部分は、ガルウィング状に曲げ加工が施されている。また、リード部523Aのうち封止樹脂7から露出した部分は、リード部511Aと同様に、めっき層(たとえばはんだなどのSnを含む合金)で覆われていてもよい。
【0080】
パッド部523Bは、リード部523Aにつながり、かつ、y方向においてリード部523Aよりも幅広の部位である。パッド部523Bは、x方向に延出している。パッド部523Bの上面(z方向を向く面)は、パッド部511Bの上面と同様に、めっき層(たとえばAgを含む金属)で覆われていてもよい。パッド部523Bは、全面にわたって封止樹脂7に覆われている。パッド部523Bは、略平坦である。
【0081】
連結部523Cは、パッド部523Bにつながり、かつ、y方向に延出した部位である。
図2に示すように、連結部523Cの端部が第2ダイパッド4に連結されている。連結部523Cの上面(z方向を向く面)は、パッド部511Bの上面と同様に、めっき層(たとえばAgを含む金属)で覆われていてもよい。連結部523Cは、全面にわたって封止樹脂7に覆われている。
【0082】
図2に示すように、平面視において、導電支持部材2は、第1回路を構成する部位と第2回路を構成する部位との間において、第1ダイパッド3と第2ダイパッド4とが最も接近した関係にある。つまり、第1ダイパッド3と第2ダイパッド4とで最も接近する部分の離間距離が、複数の第1端子51と第2ダイパッド4とで最も接近する部分の離間距離よりも小さく、かつ、複数の第2端子52と第1ダイパッド3とで最も接する部分の離間距離のそれぞれよりも小さい。半導体装置A1では、第1近方端縁363と第2近方端縁463とが、第1ダイパッド3と第2ダイパッド4とで最も接近する2つの部位間となる。このため、第1近方端縁363と第2近方端縁463との電界強度が最も強くなる。
【0083】
複数の第1ワイヤ61、複数の第2ワイヤ62、複数の第3ワイヤ63、および複数の第4ワイヤ64は、
図2に示すように、導電支持部材2とともに、第1半導体素子11、第2半導体素子12、および絶縁素子13とが所定の機能を果たすための導通経路を構成している。複数の第1ワイヤ61、複数の第2ワイヤ62、複数の第3ワイヤ63、および複数の第4ワイヤ64の各々の材料は、たとえばAu、CuおよびAlのいずれかを含む金属である。
【0084】
複数の第1ワイヤ61は、
図2および
図10に示すように、第1半導体素子11と、複数の第1端子51との導通経路を構成する。複数の第1ワイヤ61によって、第1半導体素子11は、複数の第1端子51の少なくともいずれかに導通する。複数の第1ワイヤ61は、先述した第1回路の一要素である。複数の第1ワイヤ61の各々は、
図2に示すように、第1半導体素子11の複数の電極11Aのいずれかと、複数の第1中間端子511のパッド部511B、一対の第1側端子512のパッド部512B、および一対の第1支持端子513のパッド部513Bのいずれかとに接合されている。さらに、複数の第1ワイヤ61の少なくともいずれかは、x方向に対して当該第1ワイヤ61がなす角度は、y方向に対して当該第1ワイヤ61がなす角度よりも大である。
図2に示すように、複数の第1ワイヤ61は、特定第1ワイヤ61Aを含む。特定第1ワイヤ61Aは、後述する第1ゲート痕791から最も近くに位置する。x方向に対して特定第1ワイヤ61Aがなす角度は、y方向に対して特定第1ワイヤ61Aがなす角度よりも大である。複数の第1ワイヤ61の各々の長さのうち、特定第1ワイヤ61Aの長さが最も大である。
【0085】
半導体装置A1においては、
図2に示すように、複数の第1中間端子511のいずれかのパッド部511Bと、一対の第1支持端子513の各々のパッド部513Bとには、2つの第1ワイヤ61が接合されている。当該2つの第1ワイヤ61は、当該パッド部511Bおよび当該パッド部513Bの各々に対して互いに重なった状態で接合されている。これにより、当該パッド部511Bおよび当該パッド部513Bの各々に対する当該2つの第1ワイヤ61の接合状態が、より強固なものとなっている。このことは、半導体装置A1の信頼性の向上に寄与する。
【0086】
複数の第2ワイヤ62は、
図2および
図10に示すように、第2半導体素子12と、複数の第2端子52との導通経路を構成する。複数の第2ワイヤ62によって、第2半導体素子12は、複数の第2端子52の少なくともいずれかに導通する。複数の第2ワイヤ62は、先述した第2回路の一要素である。複数の第2ワイヤ62の各々は、
図2に示すように、第2半導体素子12の複数の電極12Aのいずれかと、複数の第2中間端子521のパッド部521B、一対の第2側端子522のパッド部522B、および一対の第2支持端子523のパッド部523Bのいずれかとに接合されている。さらに、複数の第2ワイヤ62の少なくともいずれかは、x方向に対して当該第2ワイヤ62がなす角度は、y方向に対して当該第2ワイヤ62がなす角度よりも大である。
図2に示すように、複数の第2ワイヤ62は、特定第2ワイヤ62Aを含む。特定第2ワイヤ62Aは、後述する第1ゲート痕791から最も近くに位置する。x方向に対して特定第2ワイヤ62Aがなす角度は、y方向に対して特定第2ワイヤ62Aがなす角度よりも大である。複数の第2ワイヤ62の各々の長さのうち、特定第2ワイヤ62Aの長さが最も大である。
【0087】
半導体装置A1においては、
図2に示すように、複数の第2中間端子521のいずれかのパッド部521Bと、一対の第2側端子522のいずれかのパッド部522Bと、一対の第2支持端子523の各々のパッド部523Bとには、2つの第2ワイヤ62が接合されている。当該2つの第2ワイヤ62は、当該パッド部521B、当該パッド部522Bおよび当該パッド部523Bの各々に対して互いに重なった状態で接合されている。これにより、当該パッド部521B、当該パッド部522Bおよび当該パッド部523Bの各々に対する当該2つの第2ワイヤ62の接合状態が、より強固なものとなっている。このことは、半導体装置A1の信頼性の向上に寄与する。
【0088】
複数の第3ワイヤ63は、
図2および
図10に示すように、第1半導体素子11と絶縁素子13との導通経路を構成する。複数の第3ワイヤ63によって、第1半導体素子11と絶縁素子13とは互いに導通する。複数の第3ワイヤ63は、先述した第1回路の一要素である。複数の第3ワイヤ63の各々は、第1半導体素子11の電極11Aのいずれかと、絶縁素子13の第1電極13Aのいずれかとに接合されている。複数の第3ワイヤ63は、y方向に沿って配列されている。
【0089】
複数の第4ワイヤ64は、
図2および
図10に示すように、第2半導体素子12と絶縁素子13との導通経路を構成する。複数の第4ワイヤ64によって、第2半導体素子12と絶縁素子13とは互いに導通する。複数の第4ワイヤ64は、先述した第2回路の一要素である。複数の第4ワイヤ64の各々は、第2半導体素子12の電極12Aのいずれかと、絶縁素子13の第2電極13Bのいずれかとに接合されている。複数の第4ワイヤ64は、y方向に沿って配列されている。半導体装置A1においては、複数の第4ワイヤ64は、パッド隙間21を跨いでいる。
【0090】
封止樹脂7は、
図1に示すように、第1半導体素子11、第2半導体素子12、絶縁素子13、第1ダイパッド3および第2ダイパッド4と、複数の第1端子51、および複数の第2端子52の各々の一部とを覆っている。
図10に示すように、封止樹脂7は、さらに複数の第1ワイヤ61、複数の第2ワイヤ62、複数の第3ワイヤ63、および複数の第4ワイヤ64を覆っている。封止樹脂7は、電気絶縁性を有する。封止樹脂7は、第1ダイパッド3および第2ダイパッド4を互いに絶縁している。封止樹脂7は、たとえば黒色のエポキシ樹脂を含む材料からなる。平面視において、封止樹脂7は、矩形状である。
【0091】
図1、
図6、
図7および
図10に示すように、封止樹脂7は、第1樹脂部7Aおよび第2樹脂部7Bを含む。第1樹脂部7Aは、z方向に沿ってパッド隙間21を貫通するとともに、x方向の寸法がパッド隙間21と同一である。第1樹脂部7Aは、y方向に沿って延びている。第2樹脂部7Bは、第1樹脂部7Aのx方向の両側に位置し、かつ第1樹脂部7Aにつながっている。第2樹脂部7Bは、x方向において互いに離れて位置する。第1樹脂部7Aの単位体積当たりの平均空隙量は、第2樹脂部7Bの単位体積当たりの平均空隙量よりも小である。
【0092】
図6~
図9に示すように、封止樹脂7は、頂面71、底面72、第1側面73、第2側面74、第3側面75および第4側面76を有する。
【0093】
図6~
図9に示すように、頂面71および底面72は、z方向において互いに離れて位置する。頂面71および底面72は、z方向において互いに反対側を向く。頂面71および底面72の各々は、略平坦である。
【0094】
図6~
図9に示すように、第1側面73、第2側面74、第3側面75および第4側面76の各々は、頂面71および底面72につながるとともに、z方向において頂面71と底面72とに挟まれている。
図1、
図6および
図7に示すように、第1側面73は、x方向の一方側に位置する、第2側面74は、x方向の他方側に位置する、第3側面75および第4側面76は、y方向において互いに離れて位置し、かつ第1側面73および第2側面74につながっている。第1側面73から、複数の第1端子51の各々の一部が突出している。第2側面74から、複数の第2端子52の各々の一部が突出している。
【0095】
図6~
図8に示すように、第1側面73は、第1領域731、第2領域732および第3領域733を含む。第1領域731は、z方向の一端が頂面71につながり、かつz方向の他端が第3領域733につながっている。第1領域731は、頂面71に対して傾斜している。第2領域732は、z方向の一端が底面72につながり、かつz方向の他端が第3領域733につながっている。第2領域732は、底面72に対して傾斜している。第3領域733は、z方向の一端が第1領域731につながり、かつz方向の他端が第2領域732につながっている。第3領域733は、z方向およびy方向の双方に沿っている。平面視において、第3領域733は、頂面71および底面72よりも外方に位置する。第3領域733から、複数の第1端子51の各々の一部が露出している。
【0096】
図6、
図7および
図9に示すように、第2側面74は、第4領域741、第5領域742および第6領域743を含む。第4領域741は、z方向の一端が頂面71につながり、かつz方向の他端が第6領域743につながっている。第4領域741は、頂面71に対して傾斜している。第5領域742は、z方向の一端が底面72につながり、かつz方向の他端が第6領域743につながっている。第5領域742は、底面72に対して傾斜している。第6領域743は、z方向の一端が第4領域741につながり、かつz方向の他端が第5領域742につながっている。第6領域743は、z方向およびy方向の双方に沿っている。平面視において、第6領域743は、頂面71および底面72よりも外方に位置する。第6領域743から、複数の第2端子52の各々の一部が露出している。
【0097】
図7~
図9に示すように、第3側面75は、第7領域751、第8領域752および第9領域753を含む。第7領域751は、z方向の一端が頂面71につながり、かつz方向の他端が第9領域753につながっている。第7領域751は、頂面71に対して傾斜している。第8領域752は、z方向の一端が底面72につながり、かつz方向の他端が第9領域753につながっている。第8領域752は、底面72に対して傾斜している。第9領域753は、z方向の一端が第7領域751につながり、かつz方向の他端が第8領域752につながっている。第9領域753は、z方向およびy方向の双方に沿っている。平面視において、第9領域753は、頂面71および底面72よりも外方に位置する。
【0098】
図7に示すように、第3側面75には、第1ゲート痕791が形成されている。第1ゲート痕791は、当該第1ゲート痕791を除く第3側面75の他の領域よりも表面が粗である。第1ゲート痕791は、後述する半導体装置A1の製造工程のうち封止樹脂7を形成する工程において、第1ゲート891において封止樹脂7を切断することにより現れる。y方向に沿って視て、第1ゲート痕791は、パッド隙間21に重なっている。さらにy方向に沿って視て、第1ゲート痕791は、z方向において第1ダイパッド3に対して第1半導体素子11とは反対側に位置する領域を含む。半導体装置A1においては、第1ゲート痕791は、第8領域752に位置する領域と、第9領域753に位置する領域とを含む。第1ゲート痕791は、第3側面75のx方向における中央に位置する。
【0099】
図6、
図8および
図9に示すように、第4側面76は、第10領域761、第11領域762および第12領域763を含む。第10領域761は、z方向の一端が頂面71につながり、かつz方向の他端が第12領域763につながっている。第10領域761は、頂面71に対して傾斜している。第11領域762は、z方向の一端が底面72につながり、かつz方向の他端が第12領域763につながっている。第11領域762は、底面72に対して傾斜している。第12領域763は、z方向の一端が第10領域761につながり、かつz方向の他端が第11領域762につながっている。第12領域763は、z方向およびy方向の双方に沿っている。平面視において、第12領域763は、頂面71および底面72よりも外方に位置する。
【0100】
図6に示すように、第4側面76には、第2ゲート痕792が形成されている。第2ゲート痕792は、当該第2ゲート痕792を除く第4側面76の他の領域よりも表面が粗である。第2ゲート痕792は、後述する半導体装置A1の製造工程のうち封止樹脂7を形成する工程において、第2ゲート892において封止樹脂7を切断することにより現れる。y方向に沿って視て、第2ゲート892は、パッド隙間21に重なっている。さらにy方向に沿って視て、第2ゲート892は、z方向において第1ダイパッド3に対して第1半導体素子11とは反対側に位置する領域を含む。半導体装置A1においては、第2ゲート痕792は、第11領域762に位置する領域と、第12領域763に位置する領域とを含む。第2ゲート痕792は、第4側面76のx方向における中央に位置する。
【0101】
次に、
図15および
図16に基づき、半導体装置A1の回路構成について説明する。
【0102】
図15に示すように、第1半導体素子11に構成された回路は、第1送信部111、第2送信部112、第3受信部113、第4受信部114、ロジック部115、第1低電圧ロックアウト部116、外部エラー検出部117、およびトランジスタNa,Nbを含む。トランジスタNa,Nbの各々は、nチャンネル型MOSFETである。
【0103】
図15に示すように、第2半導体素子12に構成された回路は、第1受信部121、第2受信部122、第3送信部123、第4送信部124、ロジック部125、ドライバ部126、第2低電圧ロックアウト部27、過電流検出部28、OCP(Over Current Protection)タイマ29、トランジスタP1,P2、トランジスタN1,N2,N3、およびSRフリップフロップFFを含む。トランジスタP1,P2の各々は、pチャンネル型MOSFETである。トランジスタN1,N2,N3の各々は、nチャンネル型MOSFETである。
【0104】
図15に示すように、絶縁素子13に構成された回路は、第1トランス131、第2トランス132、第1トランス131および第4トランス134を含む。
【0105】
第1送信部111は、ロジック部115から入力されるスイッチ制御信号S1を第1トランス131経由で第1受信部121に送信する手段である。第2送信部112は、ロジック部115から入力されるスイッチ制御信号S2を第2トランス132経由で第2受信部122に送信する手段である。第3受信部113は、第3送信部123から第3トランス133経由で入力されるウォッチドッグ信号S3を受信してロジック部115に伝達する手段である。第4受信部114は、第4送信部124から第4トランス134経由で入力されるドライバ異常信号S4を受信してロジック部115に伝達する手段である。
【0106】
ロジック部115は、ECU90との間で、各種信号(IN、RST、FLT、OCPOUT)のやり取りを行うとともに、第1送信部111、第2送信部112、第3受信部113および第4受信部114を用いて、第2半導体素子12との間で、各種信号(S1~S4)のやり取りを行う手段である。
【0107】
ロジック部115は、入力信号INがハイレベルであるときには、出力信号OUTをハイレベルとするようにスイッチ制御信号S1,S2を生成し、逆に、入力信号INがローレベルであるときには、出力信号OUTをローレベルとするようにスイッチ制御信号S1,S2を生成する。より具体的に述べると、ロジック部115は、入力信号INのポジティブエッジ(ローレベルからハイレベルへの立ち上がりエッジ)を検出してスイッチ制御信号S1にパルスを立てる一方、入力信号INのネガティブエッジ(ハイレベルからローレベルへの立ち下がりエッジ)を検出してスイッチ制御信号S2にパルスを立てる。
【0108】
ロジック部115は、リセット信号RSTがローレベルであるときには、出力信号OUTの生成動作をディセーブルとするように、すなわち、出力信号OUTをローレベルで固定するようにスイッチ制御信号S1,S2を生成し、逆に、リセット信号RSTがハイレベルであるときには、出力信号OUTの生成動作をイネーブルとするように、すなわち、出力信号OUTを入力信号INに応じた論理レベルとするようにスイッチ制御信号S1,S2を生成する。なお、リセット信号RSTが所定時間(たとえば500ns)にわたってローレベルに維持された場合、ロジック部115は、過電流検出部128による保護動作を復帰させるようにスイッチ制御信号S1,S2を生成する。
【0109】
ロジック部115は、半導体装置A1の正常時には、トランジスタNaをオフとして、第1状態信号FLTをオープン(抵抗R1によるプルアップ状態)とし、半導体装置A1の異常時(第1半導体素子11側での低電圧異常やスイッチ制御信号S1,S2のトランス伝達異常、またはERRIN信号異常が検出された時)には、トランジスタNaをオンとして、第1状態信号FLTをローレベルとする。このような構成であれば、ECU90は、第1状態信号FLTを監視することにより、半導体装置A1の状態を把握することが可能となる。なお、第1半導体素子11側での低電圧異常については、第1低電圧ロックアウト部116での検知結果に基づいて判断すればよく、また、スイッチ制御信号S1,S2のトランス伝達異常については、入力信号IN(スイッチ制御信号S1,S2)とウォッチドッグ信号S3との比較結果に基づいて判断すればよい。また、ERRIN信号異常については、外部エラー検出部117の出力結果に基づいて判断すればよい。
【0110】
ロジック部115は、半導体装置A1の正常時には、トランジスタNbをオフとして、第2状態信号OCPOUTをオープン(抵抗R2によるプルアップ状態)とし、半導体装置A1の異常時(第2半導体素子12側での低電圧異常やハイサイドスイッチSWHに流れるモータ駆動電流の過電流が検出された時)には、トランジスタNbをオンとして、第2状態信号OCPOUTをローレベルとする。このような構成であれば、ECU90は、第2状態信号OCPOUTを監視することにより、半導体装置A1の状態を把握することが可能となる。なお、第2半導体素子12側での低電圧異常やハイサイドスイッチSWHに流れるモータ駆動電流の過電流については、ドライバ異常信号S4に基づいて判断すればよい。
【0111】
第1低電圧ロックアウト部116は、第1電源電圧VCC1が低電圧状態であるか否かを監視し、当該監視結果をロジック部115に伝達する手段である。
【0112】
外部エラー検出部117は、抵抗R3と抵抗R4の接続ノードからERRIN端子に入力される電圧(監視対象となるアナログ電圧を抵抗分割して得られる分圧電圧)と所定の閾値電圧とを比較し、その比較結果をロジック部115に伝達する手段である。
【0113】
第1受信部121は、第1送信部111から第1トランス131経由で入力されるスイッチ制御信号S1を受信してSRフリップフロップFFのセット入力端(S)に伝達する手段である。第2受信部122は、第2送信部112から第2トランス132経由で入力されるスイッチ制御信号S2を受信してSRフリップフロップFFのリセット入力端(R)に伝達する手段である。第3送信部123は、ロジック部125から入力されるウォッチドッグ信号S3を第3トランス133経由で第3受信部113に送信する手段である。第4送信部124は、ロジック部25から入力されるドライバ異常信号S4を第4トランス134経由で第2受信部14に送信する手段である。
【0114】
SRフリップフロップFFは、セット入力端(S)に入力されるスイッチ制御信号S1のパルスエッジをトリガとして出力信号をハイレベルにセットし、リセット入力端(R)に入力されるスイッチ制御信号S2のパルスエッジをトリガとして出力信号をローレベルにリセットする。すなわち、上記の出力信号は、ECU90からロジック部115に入力される入力信号INと同一信号となる。なお、上記の出力信号は、SRフリップフロップFFの出力端(Q)からロジック部125に送出される。
【0115】
ロジック部125は、SRフリップフロップFFの出力信号(入力信号INと同一信号)に基づいて、ドライバ部126の駆動信号を生成する。
【0116】
ロジック部125は、第2低電圧ロックアウト部127および過電流検出部128での検知結果に基づいて、低電圧異常や過電流が生じていると判断した場合、その旨を異常検知信号でドライバ部126に伝達するとともに、ドライバ異常信号S4でロジック部115にも伝達する。このような構成とすることにより、第2半導体素子12に異常が生じた場合でも、ドライバ部126は速やかに保護動作を行うことが可能となり、ロジック部115はECU90への異常通知動作(第2状態信号OCPOUTのローレベル遷移)を行うことが可能となる。なお、ロジック部125は、過電流保護動作後、所定時間が経過した時点で過電流保護動作からの自動復帰を行う機能を有する。
【0117】
ロジック部125は、SRフリップフロップFFの出力信号をそのままウォッチドッグ信号S3として第3送信部123に出力する。このように、第2半導体素子12から第1半導体素子11に向けてウォッチドッグ信号S3を返信する構成であれば、ロジック部115において、第1半導体素子11に入力された入力信号INと、これに対して第2半導体素子12から返信されたウォッチドッグ信号S3を比較することにより、トランス伝達異常の有無を判定することが可能となる。
【0118】
ドライバ部126は、ロジック部125から入力される駆動信号に基づいて、トランジスタP1とトランジスタN1のオン/オフ制御を行い、トランジスタP1とトランジスタN1との接続ノードから出力信号OUTを出力する手段である。出力信号OUTは、トランジスタQ1およびQ2から成る駆動回路を介して、ハイサイドスイッチSWHに入力されている。上記の駆動回路は、出力信号OUTにハイサイドスイッチSWHの駆動能力を持たせるべく、出力信号OUTの立ち上がり/立ち下がり時間(スルーレート)を調整する手段である。なお、出力信号OUTがハイレベルであるときには、ハイサイドスイッチSWHがオンとされ、逆に、出力信号OUTがローレベルであるときには、ハイサイドスイッチSWHがオフとされる。
【0119】
ドライバ部126は、出力信号OUTの電圧レベル(GND2基準)がローレベルとなったとき、ハイサイドスイッチSWHのゲートからCLAMP端子を介して電荷(ミラー電流)を吸い込むように、トランジスタN2をオンとする機能(アクティブミラークランプ機能)を有する。このような構成とすることにより、ハイサイドスイッチSWHをオフする際には、上記の駆動回路で設定されるスルーレートに依ることなく、トランジスタN2を介してハイサイドスイッチSWHのゲート電位を速やかにローレベルへ立ち下げることが可能となる。
【0120】
ドライバ部126は、出力信号OUTの電圧レベル(GND2基準)がハイレベルとなったとき、CLAMP端子を介してハイサイドスイッチSWHのゲートを第2電源電圧VCC2にクランプするように、トランジスタP2をオンとする機能(ショートサーキットクランプ機能)を有する。このような構成とすることにより、ハイサイドスイッチSWHをオンする際、ハイサイドスイッチSWHのゲート電位が第2電源電圧VCC2よりも高電位まで上昇することはなくなる。
【0121】
ドライバ部126は、ロジック部125から入力される異常検知信号に基づいて保護動作を行う必要があると判断した場合、トランジスタP1,P2およびトランジスタN1,N2をいずれもオフとする一方、トランジスタN3をオンとする機能(スローオフ機能)を有する。このようなスイッチ制御により、保護動作時には、ハイサイドスイッチSWHのゲートから抵抗R5を介して、通常動作時よりも緩やかに電荷を引き抜くことができる。このような構成とすることにより、保護動作時にモータ電流が瞬断されることを回避できるので、モータコイルの逆起電力によって生じるサージを抑制することが可能となる。なお、抵抗R5の抵抗値を適宜選択することにより、保護動作時の立ち下がり時間を任意に調整することができる。
【0122】
第2低電圧ロックアウト部127は、第2電源電圧VCC2が低電圧状態であるか否かを監視し、当該監視結果をロジック部125に伝達する手段である。
【0123】
過電流検出部128は、抵抗R7と抵抗R8の接続ノードからOCP/DESATIN端子に入力される電圧(ダイオードD1のアノード電圧を抵抗分割して得られる分圧電圧)と所定の閾値電圧とを比較し、その比較結果をロジック部125に伝達する手段である。なお、ハイサイドスイッチSWHに流れるモータ駆動電流が大きいほど、ハイサイドスイッチSWHとして用いられている絶縁ゲートバイポーラトランジスタのコレクタ・エミッタ間電圧が大きくなる。したがって、ハイサイドスイッチSWHに流れるモータ駆動電流が大きいほど、ダイオードD1のアノード電圧が上昇し、延いては、OCP/DESATIN端子に入力される電圧が上昇する。そこで、過電流検出部128は、OCP/DESATINに入力される電圧(GND2基準)が所定の閾値(たとえば0.5V)に達したとき、ハイサイドスイッチSWHに流れるモータ駆動電流が過電流状態であると判定する。
【0124】
なお、本構成例では、ハイサイドスイッチSWHとして用いられている絶縁ゲートバイポーラトランジスタのコレクタ・エミッタ間電圧を検出することで、モータ駆動電流の検出を行う方式(電圧検出方式)を採用した構成を例に挙げて説明を行ったが、モータ駆動電流の検出方式はこれに限定されるものではなく、たとえば、ハイサイドスイッチSWHに流れるモータ駆動電流(或いは、これと同等の挙動を示すミラー電流)をセンス抵抗に流して電圧信号を生成し、これをOCP/DESATIN端子に入力する方式(電流検出方式)を採用しても構わない。
【0125】
OCPタイマ129は、過電流保護動作後の経過時間をカウントする手段である。
【0126】
第1トランス131は、第1半導体素子11から第2半導体素子12にスイッチ制御信号S1を伝達するための直流絶縁素子である。第2トランス132は、第1半導体素子11から第2半導体素子12にスイッチ制御信号S2を伝達するための直流絶縁素子である。第3トランス133は、第2半導体素子12から第1半導体素子11にウォッチドッグ信号S3を伝達するための直流絶縁素子である。第4トランス134は、第2半導体素子12から第1半導体素子11にドライバ異常信号S4を伝達するための直流絶縁素子である。
【0127】
このように、第1半導体素子11と第2半導体素子12との間で、スイッチ制御信号S1,S2だけでなく、ウォッチドッグ信号S3やドライバ異常信号S4をやり取り
する構成であれば、ハイサイドスイッチSWHのオン/オフ制御だけでなく、種々の保護機能を適切に実現することが可能となる。
【0128】
図16に示すように、複数の第1端子51の端子種別は、GND1、VCC1、IN、RST、FLT、OCPOUT、ERRINおよびNCで構成されている。GND1は、GND端子である。半導体装置A1においては、複数の第1端子51のうち一対の第1支持端子513の各々がGND1である。このため、GND1は、第1半導体素子11および第1ダイパッド3の双方に導通している。VCC1は、電源端子(たとえば5V)である。INは、制御入力端子である。RSTは、リセット入力端子である。FLTは、第1状態信号(第1半導体素子11での異常状態検出信号)の出力端子である。OCPOUTは、第2状態信号(第2半導体素子12での異常状態検出信号)の出力端子である。ERRINは、エラー検出端子である。NCは、ノンコネクション端子であり、いわゆるダミー端子である。NCは、第1半導体素子11に導通しない。
【0129】
図16に示すように、複数の第2端子52の端子種別は、GND2、VCC2、VEE2、OUT、PROOUT、CLAMP、OCP/DESATINおよびNCで構成されている。GND2は、GND端子である。
図15に示すように、GND2は、半導体装置A1の外部において絶縁ゲートバイポーラトランジスタTr1のエミッタに接続される。VCC2は、正電源端子である。半導体装置A1においては、複数の第2端子52のうち一対の第2支持端子523の各々がVCC2である。このため、VCC2は、第2半導体素子12および第2ダイパッド4の双方に導通している。VEE2は、負電源端子である。OUTは、出力端子である。PROOUTは、スローOFF出力端子である。CLAMPは、クランプ端子である。OCP/DESATINは、過電流検出端子である。NCは、ノンコネクション端子であり、いわゆるダミー端子である。NCは、第2半導体素子12に導通しない。
【0130】
半導体装置A1においては、複数の第1端子51のうちのいずれか2つ以上には第1電源が接続され、複数の第2端子52のうちのいずれか2つ以上には第2電源が接続される。第2電源が出力する電源電圧は、第1電源が出力する電源電圧よりも高い。よって、第2回路(第2半導体素子12、第2ダイパッド4、複数の第2端子52、および複数の第2ワイヤ62)に供給される電源電圧は、第1回路(第1半導体素子11、第1ダイパッド3、複数の第1端子51、および複数の第1ワイヤ61)に供給される電源電圧よりも大きい。たとえば先述のとおり、第1半導体素子11に要求される電源電圧が5V程度であることから、上記第1電源から第1回路に供給される電源電圧は、5V程度である。また、第2半導体素子12に要求される電源電圧が600V以上であることから、上記第2電源から第2回路に供給される電源電圧は600V以上である。この構成において、複数の第1端子51のうち第1ダイパッド3に導通する第1端子51に上記第1電源の低電位側の端子(たとえばGND端子)が接続され、かつ、複数の第2端子52のうち第2ダイパッド4に導通する第2端子52に上記第2電源の高電位側の端子が接続された場合、第1ダイパッド3と第2ダイパッド4との電位差が最も大きくなる。第1回路に電源電圧が供給され、第2回路に電源電圧が供給された状態において、一例では、第1ダイパッド3の電位は0V(GND電位)となり、第2ダイパッド4の電位は600V以上となる。たとえば、第1ダイパッド3と第2ダイパッド4との間の絶縁電圧は、2,500Vrms以上であることが好ましい。
【0131】
次に、
図17~
図24に基づき、半導体装置A1の製造方法の一例について説明する。ここで、
図19~
図21の各々の断面位置は、
図18の断面位置と同一である。
【0132】
まず、
図17および
図18に示すように、z方向に離間する主面81Aおよび裏面81Bを有するリードフレーム81を用意した上で、主面81Aおよび裏面81Bにレジスト82を形成する。
【0133】
リードフレーム81を用意する工程では、たとえば平面視矩形状の銅板を打ち抜き加工することで、
図17に示すように、外枠811、アイランド部812、複数の第1リード813、複数の第2リード814、複数の支持リード815、および、ダムバー816を含むリードフレーム81を形成する。このうち、外枠811およびダムバー816は、半導体装置A1を構成しない。複数の第1リード813は、後に複数の第1中間端子511および一対の第1側端子512となる部位である。複数の第2リード814は、後に複数の第2中間端子521および一対の第2側端子522となる部位である。複数の支持リード815は、後に一対の第1支持端子513および一対の第2支持端子523となる部位である。
【0134】
レジスト82を形成する工程では、リードフレーム81の主面81Aおよび裏面81Bのそれぞれ一部ずつに、レジスト82を形成する。理解の便宜上、
図17において、レジスト82にドットを描画している。レジスト82は、
図17および
図18に示すように、第1被覆部82Aおよび第2被覆部82Bを含む。第1被覆部82Aは、主面81Aの一部を覆っている。
図17および
図18に示すように、第1被覆部82Aからは主面81Aの一部が露出しており、主面81Aは、第1被覆部82Aから露出する第1露出領域810Aを含む。第2被覆部82Bは、裏面81Bの一部を覆っている。
図18に示すように、第2被覆部82Bからは裏面81Bの一部が露出しており、裏面81Bは、第2被覆部82Bから露出する第2露出領域810Bを含む。第1露出領域810Aと第2露出領域810Bとは、
図17に示すように各々がアイランド部812に配置される。また、第1露出領域810Aと第2露出領域810Bとは、
図18に示すように、平面視において重なる。
【0135】
次いで、
図19~
図21に示すように、リードフレーム81にエッチング処理を施す。リードフレーム81にエッチング処理を施す工程では、リードフレーム81の主面81A側および裏面81B側の両側からそれぞれエッチングを行う。
図19~
図21は、このエッチング工程における状態遷移を示しており、
図19、
図20、
図21に示す順序でエッチングが進行する。
図19に示すように、第1露出領域810Aからエッチングが進行するとともに、第2露出領域810Bからエッチングが進行する。その後、
図20および
図21に示すように、第1露出領域810Aからのエッチングと第2露出領域810Bからのエッチングとにより、アイランド部812が2つの部位(第1ダイパッド812Aおよび第2ダイパッド812B)に分離される。第1ダイパッド812Aは、第1ダイパッド3に相当する。第2ダイパッド812Bは、第2ダイパッド4に相当する。
【0136】
このようにリードフレーム81の主面81A側および裏面81B側の両側から同時にエッチングを行うことで、第1ダイパッド3の第1対向面33、および第2ダイパッド4の第2対向面43が形成される。また、第1対向面33(第1ダイパッド3)においては、第1主面側凹部331、第1裏面側凹部332、第1主面側突起部333、第1裏面側突起部334および第1中間突起部335が形成される。第2対向面43(第2ダイパッド4)においては、第2主面側凹部431、第2裏面側凹部432、第2主面側突起部433、第2裏面側突起部434および第2中間突起部435が形成される。
【0137】
図19~
図21に示すように、第2露出領域810Bからのエッチングの進行速度が、第1露出領域810Aからのエッチングの進行速度よりも速い。これは、z方向の一方側を鉛直方向上向き、かつz方向の他方側を鉛直方向下向きとする向きでエッチング処理を行うことで、たとえば、
図19に状態では、主面81A側ではエッチング液が滞留し、エッチングの進行が抑制されるためである。なお、裏面81B側ではエッチング液が滞留しない。このため、第2露出領域810Bから進行するエッチングの深さD
81Bは、第1露出領域810Aから進行するエッチングの深さD
81Aよりも大きい。また、エッチングにより分離される2つのアイランド部812(第1ダイパッド812Aおよび第2ダイパッド812B)のx方向に沿う離間距離は、裏面81B側の離間距離L81bが主面81A側の離間距離L81aよりも大きい。半導体装置A1の製造においては、主面81A側の離間距離L
81Aが250μm以上500μm以下になるように、エッチング条件が設定されている。このようなエッチング条件により、半導体装置A1において、角度α1,α2,β1,β2,γ1,γ2の各々が設定される。その後、レジスト82を除去することで、
図22に示すリードフレーム81が形成される。
【0138】
次いで、
図23に示すように、第1半導体素子11および絶縁素子13をダイボンディングにより第1ダイパッド812Aに接合する。あわせて、第2半導体素子12をダイボンディングにより第2ダイパッド812Bに接合する。これらの工程を経た後、複数の第1ワイヤ61、複数の第2ワイヤ62、複数の第3ワイヤ63、および複数の第4ワイヤ64の各々をワイヤボンディングにより形成する。
【0139】
次いで、
図24に示すように、封止樹脂7を形成する。封止樹脂7は、トランスファモールド成形により形成される。本工程においては、複数のキャビティ88を有する金型にリードフレーム81を収納する。この際、リードフレーム81のうち、半導体装置A1において封止樹脂7に覆われた導電支持部材2の部分が、複数のキャビティ88のいずれかに収容されるようにする。その後、ポット86からランナー87を介して複数のキャビティ88の各々に流動化した樹脂が流れ込む。ポット86にはプランジャ(図示略)が連結されている。当該プランジャが作動すると、ポット86の中で流動化した樹脂がランナー87向けて流れ出す。リードフレーム81には、第1ゲート891および第2ゲート892が設けられている。複数のキャビティ88の各々において、第1ゲート891は、流動化した樹脂の流入口である。複数のキャビティ88の各々において、第2ゲート892は、流動化した樹脂の流出口である。第1ゲート891は、複数のキャビティ88の各々においてx方向の中央に位置する。第2ゲート892は、複数のキャビティ88の各々においてx方向の中央に位置する。これにより、y方向に沿って視て、第1ゲート891および第2ゲート892の各々が、x方向において第1ダイパッド812Aと第2ダイパッド812Bとの間に設けられた隙間、すなわちパッド隙間21に重なる。複数のキャビティ88の中において流動化した封止樹脂7を固化させた後、複数のキャビティ88の各々に対して外方に位置する樹脂バリを高圧水などで除去する。この際、第1ゲート891に位置する樹脂バリを除去すると、封止樹脂7に第1ゲート痕791が形成される。同様に第2ゲート892に位置する樹脂バリを除去すると封止樹脂7に第2ゲート痕792が形成される。以上により封止樹脂7の形成が完了する。
【0140】
その後、ダイシングを行い、個片化することで、外枠811やダムバー816によって互いにつながっていたアイランド部812(第1ダイパッド812aおよび第2ダイパッド812b)と、複数の第1リード813と、複数の第2リード814と、複数の支持リード815とが、適宜分離される。
【0141】
以上に示した工程を経ることで、半導体装置A1を製造される。上記製造方法では、用意工程にて、アイランド部812を含むリードフレーム81を用意し、エッチング工程において、アイランド部812を第1ダイパッド812aと第2ダイパッド812bとの2つの部位に分離する例を示したが、これに限定されない。たとえば、用意工程では、平面視矩形状のリードフレーム81を用意し、レジスト形成工程およびエッチング工程により、当該リードフレーム81に、外枠811、第1ダイパッド812a、第2ダイパッド812b、複数の第1リード813、複数の第2リード814、支持リード815、および、ダムバー816を一括して形成してもよい。
【0142】
次に、半導体装置A1の作用効果について説明する。
【0143】
半導体装置A1は、第1回路と第2回路とを絶縁する絶縁素子13を備える。第1回路は、第1半導体素子11を含む。第2回路は、第2半導体素子12を含む。これにより、第1半導体素子11に供給される電源電圧と、第2半導体素子12に供給される電源電圧とに差異がある場合において、第1回路と第2回路との絶縁耐圧の向上を図ることができる。したがって、半導体装置A1によれば、絶縁耐圧の向上を図ることが可能となる。
【0144】
半導体装置A1は、第1ダイパッド3および第2ダイパッド4を含む導電支持部材2を備える。平面視における第1ダイパッド3の周縁36は、y方向の第1端部362Aを含む第1近方角部362を有しており、当該第1近方角部362は、y方向において第1端部362Aに向かうほど、x方向において第2ダイパッド4から離間している。これにより、第1近方角部362が平面視において直角に形成された場合よりも、第1近方角部362と第2ダイパッド4との間の電界強度を低減できる。つまり、半導体装置A1は、さらに絶縁耐圧の向上を図ることができる。また、平面視における第2ダイパッド4の周縁46は、y方向の第2端部462Aを含む第2近方角部462を有しており、当該第2近方角部462は、y方向において第2端部462aに向かう程、x方向において第1ダイパッド3から離間している。これにより、第2近方角部462が平面視において直角に形成された場合よりも、第2近方角部462と第1ダイパッド3との間の電界強度を低減できる。したがって、半導体装置A1によれば、絶縁耐圧のさらなる向上を図ることができる。
【0145】
半導体装置A1は、第1ダイパッド3および第2ダイパッド4を含む導電支持部材2を備える。第1ダイパッド3は、z方向を向き、かつ第1半導体素子11を搭載する第1主面31と、z方向において第1主面31とは反対側を向く第1裏面32を有する。第2ダイパッド4は、z方向を向き、かつ第2半導体素子12を搭載する第2主面41と、z方向において第2主面41とは反対側を向く第2裏面42とを有する。y方向に沿って視て、第1裏面32と第2裏面42との離間距離d2(
図11参照)は、第1主面31と第2主面41との離間距離d1(
図11参照)よりも大きい。これにより、第1ダイパッド3と第2ダイパッド4とは、y方向に沿って視て、z方向において第1主面31と第2主面41とが位置する側における端部の電界強度は、z方向において第1裏面32と第2裏面42とが位置する側の端部の電界強度よりも強くなる。したがって、半導体装置A1は、第1主面31と第2主面41との離間距離を調整することで、半導体装置A1の絶縁耐性の向上を図ることができる。また、半導体装置A1の製造工程のうち封止樹脂7を形成する工程(
図24参照)において、流動化した樹脂が流入する第1ゲート891と、当該樹脂が流出する第2ゲート892との各々の位置によっては、パッド隙間21において、当該樹脂が第1主面31および第2主面41側よりも第1裏面32および第2裏面42側で十分に充填されないおそれがある。この場合、第1裏面32および第2裏面42側において、絶縁耐圧が低下するおそれがある。そこで、離間距離d2が離間距離d1よりも大きいことで、第1裏面32および第2裏面42側で当該樹脂の流出を助長し、第1裏面32および第2裏面42側において、当該樹脂を十分に充填させることが可能となる。したがって、半導体装置A1によれば、絶縁耐圧のさらなる向上を図ることができる。
【0146】
半導体装置A1においては、第1主面31と第2主面41とのx方向における離間距離d1(
図11参照)が、250μm以上500μm以下である。一方、離間距離d1が500μmよりも大きい場合、先述のエッチング工程におけるエッチング処理がオーバーエッチングとなる。y方向に沿って視て、オーバーエッチングの状態においては、第1主面側突起部333、第1裏面側突起部334、第2主面側突起部433および第2裏面側突起部434の各々の角度がより小さくなる。その結果、第1主面側突起部333と第2主面側突起部433との間の電界強度と、第1裏面側突起部334と第2裏面側突起部434との間の電界強度とがより強くなるため、半導体装置A1の絶縁耐圧の低下の要因となる。他方、離間距離d1が250μmよりも小さい場合、先述のエッチング工程におけるエッチング処理がアンダーエッチングとなる。アンダーエッチングの状態においては、離間距離d1がより小さくなる。その結果、第1主面31と第2主面41との間の電界強度がより強くなるため、半導体装置A1の絶縁耐圧の低下の要因となる。したがって、半導体装置A1においては、離間距離d1を250μm以上500μm以下に設定することによって、半導体装置A1の絶縁耐圧の低下を抑制できる。
【0147】
半導体装置A1においては、平面視において、第1ダイパッド3と第2ダイパッド4との最も接近する部分の離間距離が、平面視において、複数の第1端子51と第1ダイパッド3とで最も接近する部分の離間距離、および、平面視において、複数の第2端子52と第1ダイパッド3とで最も接近する部分の離間距離よりも小さい。この構成によると、導電支持部材2は、第1回路を構成する部位と第2回路を構成する部位との間において、第1ダイパッド3と第2ダイパッド4とが最も接近した関係にある。したがって、第1ダイパッド3と第2ダイパッド4との絶縁耐圧の向上を図ることで、半導体装置A1の絶縁耐圧を向上させることができる。
【0148】
半導体装置A1においては、第2半導体素子12および第2ダイパッド4を含む第2回路に供給される電源電圧が、第1半導体素子11および第1ダイパッド3を含む第1回路に供給される電源電圧よりも大きい。たとえば、第1回路に供給される電源電圧が5V程度であることに対し、第2回路に供給される電源電圧が600V以上である。このように、供給される電源電圧に著しい電位差がある際において、絶縁素子13を搭載することに加え、半導体装置A1のさらなる絶縁耐圧の向上を図ることは、半導体装置A1の信頼性を向上させる上で好ましい。
【0149】
半導体装置A1においては、複数の第1端子51は、第1側面73から露出している。複数の第2端子52は、第2側面74から露出している。ここで、第1ダイパッド3、第2ダイパッド4、複数の第1端子51、および複数の第2端子52は、いずれも導電支持部材2の各構成部材である。この場合において、第3側面75および第4側面76の各々から、アイランドサポートなどの導電支持部材2が露出していない。この構成をとることで、複数の第1端子51よりも高電圧が印加される複数の第2端子52の近傍に、封止樹脂7から露出した導電支持部材2の金属部が存在しなくなる。したがって、半導体装置A1によれば、絶縁耐圧のさらなる向上を図ることができる。
【0150】
半導体装置A1の製造方法においては、上記エッチング工程により、第1ダイパッド812aおよび第2ダイパッド812bを形成した。つまり、第1ダイパッド3と第2ダイパッド4との間の隙間をエッチング処理により形成した。この構成によると、打ち抜き加工によりこの隙間を形成する場合よりも、離間距離d1(
図11参照)を精度良く設定することができる。したがって、離間距離d1を250μm以上500μm以下に設定することが容易となる。特に、半導体装置A1の製造方法では、打ち抜き加工によって、リードフレーム81に、外枠811、アイランド部812、複数の第1リード813、複数の第2リード814、複数の支持リード815およびダムバー816などを形成している。打ち抜き加工は、エッチング処理よりも、加工速度が速くかつ安価である。そのため、加工精度が要求される第1ダイパッド3と第2ダイパッド4との間の隙間のみエッチング処理を行うことで、半導体装置A1の製造効率を向上させるとともに、半導体装置A1の製造コストを低減できる。
【0151】
半導体装置A1においては、封止樹脂7の第1側面73には、当該第1側面73の他の領域よりも表面が粗である第1ゲート痕791が形成されている。第1ゲート痕791は、半導体装置A1の製造工程のうち封止樹脂7を形成する工程(
図24参照)において、流動化した樹脂が複数のキャビティ88の各々の中に流入する第1ゲート891に由来する痕跡である。y方向に沿って視て、第1ゲート痕791が、x方向において第1ダイパッド3と第2ダイパッド4との間に設けられたパッド隙間21に重なっている。これにより、
図25に示すように、第1ゲート891から複数のキャビティ88の各々の中に流入した当該樹脂は、より短い距離でパッド隙間21に向けて流れ込む。よって、パッド隙間21を流れる当該樹脂の流量がより大となるため、z方向に沿ってパッド隙間21を貫通する封止樹脂7の第1樹脂部7Aの平均密度がより高くなる。したがって、半導体装置A1によれば、絶縁耐圧のさらなる向上を図ることができる。
【0152】
半導体装置A1においては、封止樹脂7の第2側面74には、当該第2側面74の他の領域よりも表面が粗である第2ゲート痕792が形成されている。第2ゲート痕792は、半導体装置A1の製造工程のうち封止樹脂7を形成する工程(
図24参照)において、流動化した樹脂が複数のキャビティ88の各々の外に流出する第2ゲート892に由来する痕跡である。y方向に沿って視て、第2ゲート痕792が、x方向においてパッド隙間21に重なっている。これにより、複数のキャビティ88の各々における当該樹脂の主たる流れは、
図25に示す矢印に沿ったものとなる。よって、パッド隙間21を流れる当該樹脂の流量がさらに大となるため、封止樹脂7の第1樹脂部7Aの平均密度がさらに高くなる。したがって、半導体装置A1によれば、絶縁耐圧のさらなる向上を図ることができる。この結果として、封止樹脂7において、第1樹脂部7Aの単位体積当たりの平均空隙量は、第2樹脂部7Bの単位体積当たりの平均空隙量よりも小となる。
【0153】
半導体装置A1は、第1半導体素子11と、複数の第1端子51のいずれかとに接合された複数の第1ワイヤ61をさらに備える。複数の第1ワイヤ61の少なくともいずれかは、x方向に対して当該第1ワイヤ61がなす角度が、y方向に対して当該第1ワイヤ61がなす角度よりも大である。ここで、
図25に示すように、第1ゲート891から流動化した樹脂が複数のキャビティ88の各々の中に流入すると、複数のキャビティ88の各々において、当該樹脂はフローFに沿って拡がる。そこで、本構成をとることにより、当該樹脂の流れに起因した当該第1ワイヤ61のx方向の変位を抑制することができる。したがって、当該第1ワイヤ61が第2回路に極度に近接することを回避できる。本作用効果は、複数の第1ワイヤ61のうち、第1ゲート痕791から最も近くに位置し、かつ長さが最も大である特定第1ワイヤ61Aに対してとりわけ有益である。
【0154】
半導体装置A1は、第2半導体素子12と、複数の第2端子52のいずれかとに接合された複数の第2ワイヤ62をさらに備える。複数の第2ワイヤ62の少なくともいずれかは、x方向に対して当該第2ワイヤ62がなす角度は、y方向に対して当該第2ワイヤ62がなす角度よりも大である。これにより、先述と同様の理由に基づき、流動化した樹脂の流れに起因した第2ワイヤ62のx方向の変位を抑制することができる。したがって、当該第2ワイヤ62が第1回路に極度に近接することを回避できる。本作用効果は、複数の第2ワイヤ62のうち、第1ゲート痕791から最も近くに位置し、かつ長さが最も大である特定第2ワイヤ62Aに対してとりわけ有益である。
【0155】
〔第2実施形態〕
図26および
図27に基づき、本発明の第2実施形態にかかる半導体装置A2について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、
図26は、理解の便宜上、封止樹脂7を透過している。
図26においては、透過した封止樹脂7を想像線で示している。
【0156】
半導体装置A2においては、第1ダイパッド3の構成が、先述した半導体装置A1の当該構成と異なる。
【0157】
図26および
図27に示すように、第1ダイパッド3には、複数の孔39が形成されている。複数の孔39はそれぞれ、x方向において第1半導体素子11と絶縁素子13との間に位置する第1ダイパッド3の領域に形成されている。孔39の数は特に限定されないが、半導体装置A2においては、3つの孔39が形成されている。各孔39はそれぞれ、y方向に延びた長孔である。なお、各孔39の平面視形状は、自由に設定することが可能である。
図26に示すように、第1ダイパッド3において、一対の第1支持端子513および複数の孔39は、y方向に沿った直線N(一点鎖線)上に配置されている。
【0158】
次に、半導体装置A2の作用効果について説明する。
【0159】
半導体装置A2は、第1回路と第2回路とを絶縁する絶縁素子13を備える。第1回路は、第1半導体素子11を含む。第2回路は、第2半導体素子12を含む。したがって、半導体装置A2によっても、絶縁耐圧の向上を図ることが可能となる。さらに、半導体装置A2は、半導体装置A1と共通する構成をとることにより、半導体装置A1と同等の効果を奏する。
【0160】
半導体装置A2においては、第1ダイパッド3には、孔39が形成されている。第1ダイパッド3の平面視面積は、第2ダイパッド4の平面視面積よりも広いため、封止樹脂7の形成にあたっては、第1ダイパッド3の近傍に位置する封止樹脂7の部分に空隙が発生しやすい。そこで、第1ダイパッド3に孔39が形成されることで、封止樹脂7の形成にあたって金型内に注入された溶融樹脂が十分に充填されうる。つまり、半導体装置A2は、第1ダイパッド3に孔39を設けない場合を比較して、封止樹脂7に空隙が発生することを抑制できる。
【0161】
〔第3実施形態〕
図28に基づき、本発明の第3実施形態にかかる半導体装置A3について説明する。本図において、先述した半導体装置A1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、
図28は、理解の便宜上、封止樹脂7を透過している。
図28においては、透過した封止樹脂7を想像線で示している。
【0162】
半導体装置A3においては、第1ダイパッド3および第2ダイパッド4の各々の構成が、先述した半導体装置A1の当該構成と異なる。
【0163】
図28に示すように、一対の第1近方角部362、および一対の第2近方角部462の各々が、平面視において直線状に形成されている。一対の第1近方角部362はそれぞれ、y方向に対して傾斜している。半導体装置A3においては、各第1近方角部362は、y方向において第1端部362Aに向かうほど、x方向において第2ダイパッド4から離間するように傾斜している。一対の第2近方角部462はそれぞれ、y方向に対して傾斜している。半導体装置A3では、各第2近方角部462は、y方向において第2端部462aに向かうほど、x方向において第1ダイパッド3から離間するように傾斜している。このような構成により、一対の第1近方角部362と一対の第2近方角部462とのx方向における隙間が、テーパー状に形成されている。
【0164】
半導体装置A3では、平面視において一対の第1端部362Aを結ぶ線分は、x方向において絶縁素子13よりも第2ダイパッド4寄りに位置していてもよいし、x方向において絶縁素子13に重なっていてもよい。ただし、当該線分が、x方向において絶縁素子13よりも第2ダイパッド4側に位置する方が、平面視において、各第1近方角部362と第1近方端縁363とがなす角度をより大きくすることが容易となる。また、平面視において一対の第2端部462aを結ぶ線分は、x方向において、第2半導体素子12に重なっていてもよいし、第2半導体素子12よりも第1ダイパッド3側に位置していてもよい。ただし、当該線分が、第2半導体素子12よりも第1ダイパッド3側に位置する方が、平面視において、各第2近方角部462と第2近方端縁463とがなす角度をより大きくすることが容易となる。
【0165】
次に、半導体装置A3の作用効果について説明する。
【0166】
半導体装置A3は、第1回路と第2回路とを絶縁する絶縁素子13を備える。第1回路は、第1半導体素子11を含む。第2回路は、第2半導体素子12を含む。したがって、半導体装置A3によっても、絶縁耐圧の向上を図ることが可能となる。さらに、半導体装置A3は、半導体装置A1と共通する構成をとることにより、半導体装置A1と同等の効果を奏する。
【0167】
〔第4実施形態〕
図29および
図30に基づき、本発明の第4実施形態にかかる半導体装置A4について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0168】
半導体装置A4においては、封止樹脂7の構成が、先述した半導体装置A1の当該構成と異なる。
【0169】
図29に示すように、複数の第1端子51は、第1縁端子51Aを含む。第1縁端子51Aは、封止樹脂7の第1側面73から露出するとともに、封止樹脂7の第3側面75に対して最も近くに位置する。半導体装置A4においては、第1縁端子51Aは、一対の第1支持端子513の一方に相当する。複数の第2端子52は、第2縁端子52Aを含む。第2縁端子52Aは、封止樹脂7の第2側面74から露出するとともに、第3側面75に対して最も近くに位置する。半導体装置A4においては、第2縁端子52Aは、一対の第2側端子522の一方に相当する。
【0170】
図29および
図30においては、第1沿面距離CD1、第2沿面距離CD2および第3沿面距離CD3を示している。第1沿面距離CD1は、第1縁端子51Aから、封止樹脂7の第1側面73と、封止樹脂7の第3側面75と、封止樹脂7の第2側面74とに沿って第2縁端子52Aに至る最短距離である。第2沿面距離CD2は、第1縁端子51Aから、第1側面73と、封止樹脂7の底面72と、第2側面74とに沿って第2縁端子52Aに至る最短距離である。第3沿面距離CD3は、第1縁端子51Aから、第1側面73と、封止樹脂7の頂面71と、第2側面74とに沿って第2縁端子52Aに至る最短距離である。第1沿面距離CD1は、第2沿面距離CD2よりも短い。第3沿面距離CD3は、第2沿面距離CD2よりも長い。したがって、第1沿面距離CD1、第2沿面距離CD2および第3沿面距離CD3の長さ関係は、第1沿面距離CD1<第2沿面距離CD2<第3沿面距離CD3となっている。
【0171】
図29に示すように、平面視において、封止樹脂7のx方向に沿った周縁Lの寸法は、封止樹脂7のy方向に沿った周縁Bの寸法よりも大である。周縁Lの寸法は、周縁Bの寸法の0.75倍以上3倍以下であることが好ましい。
【0172】
図30に示すように、z方向において、第1ダイパッド3から封止樹脂7の頂面71に至る最短距離H1は、第1ダイパッド3から封止樹脂7の底面72に至る最短距離H2よりも長い。このことは、第3沿面距離CDが、第2沿面距離CD2よりも長いことの主たる理由となる。
【0173】
次に、半導体装置A4の作用効果について説明する。
【0174】
半導体装置A4は、第1回路と第2回路とを絶縁する絶縁素子13を備える。第1回路は、第1半導体素子11を含む。第2回路は、第2半導体素子12を含む。したがって、半導体装置A4によっても、絶縁耐圧の向上を図ることが可能となる。さらに、半導体装置A4は、半導体装置A1と共通する構成をとることにより、半導体装置A1と同等の効果を奏する。
【0175】
半導体装置A4においては、第1沿面距離CD1は、第2沿面距離CD2よりも短い。この場合において、
図29に示す周縁Lの寸法をより大とすることにより、第1沿面距離CD1がより長くなる。これにより、半導体装置A4の絶縁耐圧のさらなる向上を図ることができる。
【0176】
半導体装置A4においては、z方向において、第1ダイパッド3から封止樹脂7の頂面71に至る最短距離H1は、第1ダイパッド3から封止樹脂7の底面72に至る最短距離H2よりも長い。これにより、第1半導体素子11、第2半導体素子12、絶縁素子13、第1ダイパッド3、第2ダイパッド4、複数の第1ワイヤ61、複数の第2ワイヤ62、複数の第3ワイヤ63、および複数の第4ワイヤ64の各々に対する封止樹脂7の被覆厚さをより大とすることができる。したがって、半導体装置A4の絶縁耐圧のさらなる向上を図ることができる。
【0177】
〔第5実施形態〕
図31~
図34に基づき、本発明の第5実施形態にかかる半導体装置A5について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0178】
半導体装置A5においては、封止樹脂7の構成が、先述した半導体装置A1の当該構成と異なる。
【0179】
図32および
図33に示すように、封止樹脂7の頂面71、底面72、第1側面73および第2側面74の各々の表面は、半導体装置A1の場合と比較して粗となっている。したがって、封止樹脂7の表面積は、半導体装置A1の封止樹脂7の表面積よりも大となっている。頂面71、底面72、第1側面73の第1領域731、および第1側面73の第2領域732の各々の表面粗さは、第1側面73の第3領域733の表面粗さよりも大である。さらに、頂面71、底面72、第2側面74の第4領域741、および第2側面74の第5領域742の各々の表面粗さは、第2側面74の第6領域743の表面粗さよりも大である。頂面71および底面72の各々の表面粗さは、5μmRz以上20μmRz以下であることが好ましい。
【0180】
図31および
図34に示すように、封止樹脂7には、頂面71からz方向に凹む凹部711が形成されている。これにより、封止樹脂7は、z方向において頂面71と同じ側を向き、かつ凹部711を規定する貫入面711Aを有する。貫入面711Aの表面粗さは、頂面71の表面粗さよりも小である。半導体装置A5を配線基板に実装する際、凹部711は、複数の第1端子51と、複数の第2端子52とを区別するための目印となる。
【0181】
次に、半導体装置A5の作用効果について説明する。
【0182】
半導体装置A5は、第1回路と第2回路とを絶縁する絶縁素子13を備える。第1回路は、第1半導体素子11を含む。第2回路は、第2半導体素子12を含む。したがって、半導体装置A5によっても、絶縁耐圧の向上を図ることが可能となる。さらに、半導体装置A5は、半導体装置A1と共通する構成をとることにより、半導体装置A1と同等の効果を奏する。
【0183】
半導体装置A5においては、頂面71、底面72、第1側面73の第1領域731、および第1側面73の第2領域732の各々の表面粗さは、第1側面73の第3領域733の表面粗さよりも大である。さらに、頂面71、底面72、第2側面74の第4領域741、および第2側面74の第5領域742の各々の表面粗さは、第2側面74の第6領域743の表面粗さよりも大である。これにより、
図29および
図30に示す第2沿面距離CD2および第3沿面距離CD3の各々の長さを、より長く確保することができる。したがって、半導体装置A5の絶縁耐圧のさらなる向上を図ることができる。
【0184】
〔第6実施形態〕
図35に基づき、本発明の第6実施形態にかかる半導体装置A6について説明する。本図において、先述した半導体装置A1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、
図35は、理解の便宜上、封止樹脂7を透過している。
図35においては、透過した封止樹脂7を想像線で示している。
【0185】
半導体装置A6においては、複数の第1ワイヤ61、および複数の第2ワイヤ62の配置構成が、先述した半導体装置A1の当該構成と異なる。
【0186】
図35に示すように、複数の第1中間端子511のいずれかのパッド部511Bと、一対の第1支持端子513の各々のパッド部513Bとには、2つの第1ワイヤ61が接合されている。半導体装置A6においては、当該2つの第1ワイヤ61は、当該パッド部511Bおよび当該パッド部513Bの各々に対して互いに離れた状態で接合されている。
【0187】
図35に示すように、複数の第2中間端子521のいずれかのパッド部521Bと、一対の第2側端子522のいずれかのパッド部522Bと、一対の第2支持端子523の各々のパッド部523Bとには、2つの第2ワイヤ62が接合されている。半導体装置A6においては、当該2つの第2ワイヤ62は、当該パッド部521B、当該パッド部522Bおよび当該パッド部523Bの各々に対して互いに離れた状態で接合されている。
【0188】
次に、半導体装置A6の作用効果について説明する。
【0189】
半導体装置A6は、第1回路と第2回路とを絶縁する絶縁素子13を備える。第1回路は、第1半導体素子11を含む。第2回路は、第2半導体素子12を含む。したがって、半導体装置A6によっても、絶縁耐圧の向上を図ることが可能となる。さらに、半導体装置A6は、半導体装置A1と共通する構成をとることにより、半導体装置A1と同等の効果を奏する。
【0190】
〔第7実施形態〕
図36に基づき、本発明の第7実施形態にかかる半導体装置A6について説明する。本図において、先述した半導体装置A1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、
図36は、理解の便宜上、封止樹脂7を透過している。
図36においては、透過した封止樹脂7を想像線で示している。
【0191】
半導体装置A7においては、絶縁素子13の配置構成が、先述した半導体装置A1の当該構成と異なる。
【0192】
図36に示すように、絶縁素子13は、第2ダイパッド4の第2主面41に搭載されている。半導体装置A7においては、複数の第3ワイヤ63がパッド隙間21を跨いでいる。
【0193】
次に、半導体装置A7の作用効果について説明する。
【0194】
半導体装置A7は、第1回路と第2回路とを絶縁する絶縁素子13を備える。第1回路は、第1半導体素子11を含む。第2回路は、第2半導体素子12を含む。したがって、半導体装置A7によっても、絶縁耐圧の向上を図ることが可能となる。さらに、半導体装置A7は、半導体装置A1と共通する構成をとることにより、半導体装置A1と同等の効果を奏する。
【0195】
〔第8実施形態〕
図37に基づき、本発明の第8実施形態にかかる半導体装置A8について説明する。本図において、先述した半導体装置A1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、
図37は、理解の便宜上、封止樹脂7を透過している。
図37においては、透過した封止樹脂7を想像線で示している。
【0196】
半導体装置A8においては、第1半導体素子11および絶縁素子13の構成が、先述した半導体装置A1の当該構成と異なる。
【0197】
図37に示すように、第1半導体素子11および絶縁素子13は、これらが一体となった単一素子とされている。第1半導体素子11と絶縁素子13との導通は、当該単一素子に構成された回路においてなされる。これにより、複数の第3ワイヤ63の配置が不要となる。
【0198】
次に、半導体装置A8の作用効果について説明する。
【0199】
半導体装置A8は、第1回路と第2回路とを絶縁する絶縁素子13を備える。第1回路は、第1半導体素子11を含む。第2回路は、第2半導体素子12を含む。したがって、半導体装置A8によっても、絶縁耐圧の向上を図ることが可能となる。さらに、半導体装置A8は、半導体装置A1と共通する構成をとることにより、半導体装置A1と同等の効果を奏する。
【0200】
〔第9実施形態〕
図38に基づき、本発明の第9実施形態にかかる半導体装置A9について説明する。本図において、先述した半導体装置A1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、
図38は、理解の便宜上、封止樹脂7を透過している。
図37においては、透過した封止樹脂7を想像線で示している。
【0201】
半導体装置A9においては、絶縁素子13の構成が、先述した半導体装置A1の当該構成と異なる。
【0202】
図38に示すように、絶縁素子13は、一対の素子により構成されている。当該一対の素子のうち一方は、第1ダイパッド3の第1主面31に搭載されている。当該一対の素子のうち他方は、第2ダイパッド4の第2主面41に搭載されている。当該一対の素子の相互の導通は、複数の第5ワイヤ65によりなされている。
【0203】
次に、半導体装置A9の作用効果について説明する。
【0204】
半導体装置A9は、第1回路と第2回路とを絶縁する絶縁素子13を備える。第1回路は、第1半導体素子11を含む。第2回路は、第2半導体素子12を含む。したがって、半導体装置A9によっても、絶縁耐圧の向上を図ることが可能となる。さらに、半導体装置A9は、半導体装置A1と共通する構成をとることにより、半導体装置A1と同等の効果を奏する。
【0205】
〔第10実施形態〕
図39に基づき、本発明の第10実施形態にかかる半導体装置A10について説明する。本図において、先述した半導体装置A1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、
図39は、理解の便宜上、封止樹脂7を透過している。
図39においては、透過した封止樹脂7を想像線で示している。
【0206】
半導体装置A10においては、第1半導体素子11、第2半導体素子12および絶縁素子13の構成が、先述した半導体装置A1の当該構成と異なる。
【0207】
図39に示すように、絶縁素子13は、一対の素子により構成されている。当該一対の素子のうち一方は、第1半導体素子11と一体となった単一素子とされている。当該一対の素子のうち他方は、第2半導体素子12と一体となった単一素子とされている。これらの単一素子の相互の導通は、複数の第5ワイヤ65によりなされている。これにより、半導体装置A9と比較して、複数の第3ワイヤ63、および複数の第4ワイヤ64の配置が不要となる。
【0208】
次に、半導体装置A10の作用効果について説明する。
【0209】
半導体装置A10は、第1回路と第2回路とを絶縁する絶縁素子13を備える。第1回路は、第1半導体素子11を含む。第2回路は、第2半導体素子12を含む。したがって、半導体装置A10によっても、絶縁耐圧の向上を図ることが可能となる。さらに、半導体装置A10は、半導体装置A1と共通する構成をとることにより、半導体装置A1と同等の効果を奏する。
【0210】
本発明は、先述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0211】
本発明によって提供される半導体装置の技術的構成について、以下に付記する。
【0212】
〔付記1A〕
厚さ方向に対して直交する第1方向において離間し、相対的に電位が異なる第1ダイパッドおよび第2ダイパッドを含む導電支持部材と、
前記第1ダイパッドに搭載され、前記第1ダイパッドとともに第1回路を構成する第1半導体素子と、
前記第2ダイパッドに搭載され、前記第2ダイパッドとともに第2回路を構成する第2半導体素子と、
前記第1半導体素子および前記第2半導体素子に導通し、かつ前記第1回路と前記第2回路とを絶縁する絶縁素子と、
前記第1ダイパッド、前記第2ダイパッド、前記第1半導体素子、前記第2半導体素子および前記絶縁素子を覆うとともに、前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドを互いに絶縁する封止樹脂と、を備え、
前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドは、前記第1方向に沿って視て互いに重なり、
前記厚さ方向に沿って視て、前記第1ダイパッドの周縁は、前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向の第1端部を含む第1近方角部を有し、
前記第1近方角部は、前記第2方向において前記第1端部に向かうほど、前記第1方向において前記第2ダイパッドから離れることを特徴とする、半導体装置。
〔付記2A〕
前記厚さ方向に沿って視て、前記第2ダイパッドの周縁は、前記第2方向の第2端部を含む第2近方角部を有し、
前記第2近方角部は、前記第2方向において前記第2端部に向かうほど、前記第1方向において前記第1ダイパッドから離れる、付記1Aに記載の半導体装置。
〔付記3A〕
前記第1近方角部は、前記厚さ方向に沿って視て円弧状である、付記2Aに記載の半導体装置。
〔付記4A〕
前記第1ダイパッドの前記周縁は、前記第1方向において前記第1端部よりも前記第2ダイパッドと反対側に位置する第1遠方角部を有し、
前記第1遠方角部は、前記厚さ方向に見て円弧状であり、
前記厚さ方向に沿って視て、前記第1近方角部の曲率半径は、前記第1遠方角部の曲率半径よりも大きい、付記3Aに記載の半導体装置。
〔付記5A〕
前記厚さ方向に沿って視て、前記第1近方角部の曲率半径は、60μm以上240μm以下である、付記3Aまたは4Aに記載の半導体装置。
〔付記6A〕
前記第2近方角部は、前記厚さ方向に沿って視て円弧状である、付記2Aないし5Aのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記7A〕
前記第2ダイパッドの前記周縁は、前記第1方向において前記第2端部よりも前記第2ダイパッドと反対側に位置する第2遠方角部を有し、
前記第2遠方角部は、前記厚さ方向に沿って視て円弧状であり、
前記厚さ方向に見て、前記第2近方角部の曲率半径は、前記第2遠方角部の曲率半径よりも大きい、付記6Aに記載の半導体装置。
〔付記8A〕
前記厚さ方向に沿って視て、前記第2近方角部の曲率半径は、60μm以上240μm以下である、付記6Aまたは7Aに記載の半導体装置。
〔付記9A〕
前記厚さ方向に沿って視て、前記第1ダイパッドの前記周縁は、前記第1近方角部のうち、前記第1端部とは反対側の端部から前記第2方向に沿って延びるとともに、前記第1方向において前記第2ダイパッドに対向する第1近方端縁を有し、
前記厚さ方向に沿って視て、前記第2ダイパッドの前記周縁は、前記第2近方角部のうち、前記第2端部と反対側の端部から前記第2方向に沿って延びるとともに、前記第1方向において前記第1ダイパッドに対向する第2近方端縁を有する、付記2Aないし8Aのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記10A〕
前記第1近方端縁と前記第2近方端縁との前記第1方向における間隔は、250μm以上500μm以下である、付記9Aに記載の半導体装置。
〔付記11A〕
前記絶縁素子は、前記第1ダイパッドに搭載されるとともに、前記第1方向において前記第1半導体素子と前記第2半導体素子との間に配置されている、付記1Aないし10Aのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記12A〕
前記絶縁素子は、インダクティブ型である、付記1Aないし11Aのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記13A〕
前記第1半導体素子、前記第2半導体素子および前記絶縁素子の各々は、いずれも個々の素子で構成されている、付記1Aないし12Aのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記14A〕
前記第1回路に電源電圧が供給され、前記第2回路に電源電圧が供給された状態において、前記第2回路に供給される電源電圧は、前記第1回路に供給される電源電圧よりも大である、付記1Aないし13Aのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記15A〕
前記導電支持部材は、前記第2方向に沿って配列され、かつ少なくともいずれかが前記第1回路に導通する複数の第1端子と、前記第2方向に沿って配列され、かつ少なくともいずれかが前記第2回路に導通する複数の第2端子と、を含み、
前記複数の第1端子の各々の一部が、前記第1方向の一方側を向く前記封止樹脂の第1側面から露出し、
前記複数の第2端子の各々の一部が、前記第2方向の他方側を向く前記封止樹脂の第2側面から露出している、付記1Aないし14Aのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記16A〕
前記厚さ方向に沿って視て、前記第1ダイパッドと前記第2ダイパッドとの間の最小間隔は、前記複数の第1端子の各々と前記第2ダイパッドとの最小間隔と、前記複数の第2端子の各々と前記第1ダイパッドとの最小間隔と、よりも小である、付記15Aに記載の半導体装置。
【0213】
〔付記1B〕
厚さ方向に対して直交する第1方向において離間し、相対的に電位が異なる第1ダイパッドおよび第2ダイパッドを含む導電支持部材と、
前記第1ダイパッドに搭載され、前記第1ダイパッドとともに第1回路を構成する第1半導体素子と、
前記第2ダイパッドに搭載され、前記第2ダイパッドとともに第2回路を構成する第2半導体素子と、
前記第1半導体素子および前記第2半導体素子に導通し、かつ、前記第1回路と前記第2回路とを絶縁する絶縁素子と、
前記第1ダイパッド、前記第2ダイパッド、前記第1半導体素子、前記第2半導体素子および前記絶縁素子を覆うとともに、前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドを互いに絶縁する封止樹脂と、を備え、
前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドは、前記第1方向に沿って視て互いに重なり、
前記第1ダイパッドは、前記厚さ方向を向き、かつ前記第1半導体素子が搭載された第1主面と、前記厚さ方向において前記第1主面とは反対側を向く第1裏面と、を有し、
前記第2ダイパッドは、前記厚さ方向を向き、かつ前記第2半導体素子が搭載された第2主面と、前記厚さ方向において前記第2主面とは反対側を向く第2裏面と、を有し、
前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向に沿って視て、前記第1裏面と前記第2裏面との前記第1方向における間隔は、前記第1主面と前記第2主面との前記第1方向における間隔よりも大であることを特徴とする、半導体装置。
〔付記2B〕
前記第1ダイパッドは、前記第1主面および前記第1裏面につながるとともに、前記第2ダイパッドに対向する第1対向面を有し、
前記第1対向面は、前記第1主面につながる第1主面側凹部と、前記第1裏面につながる第1裏面側凹部と、を含み、
前記第2方向に沿って視て、前記第1主面側凹部および前記第1裏面側凹部は、前記第1ダイパッドの内方に窪んでいる、付記1Bに記載の半導体装置。
〔付記3B〕
前記第1対向面は、前記第1主面と前記第1主面側凹部とによって形成される第1主面側突起部と、前記第1裏面と前記第1裏面側凹部とによって形成される第1裏面側突起部と、前記第1主面側凹部と前記第1裏面側凹部とによって形成される第1中間突起部とを含む、付記2Bに記載の半導体装置。
〔付記4B〕
前記第2方向に沿って視て、前記第1裏面側突起部の角度は、前記第1主面側突起部の角度よりも小である、付記3Bに記載の半導体装置。
〔付記5B〕
前記第2方向に沿って視て、前記第1中間突起部の角度は、前記第1主面側突起部の角度と、前記第1裏面側突起部の角度と、の合計よりも大である、付記3Bまたは4Bに記載の半導体装置。
〔付記6B〕
前記第2方向に沿って視て、前記第1中間突起部は、前記第1主面側突起部および前記第1裏面側突起部よりも、前記第1ダイパッドの内方に位置する、付記3Bないし5Bのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記7B〕
前記第1裏面側凹部の前記厚さ方向の寸法は、前記第1主面側凹部の前記厚さ方向の寸法よりも大である、付記2Bないし6Bのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記8B〕
前記第2ダイパッドは、前記第2主面および前記第2裏面につながるとともに、前記第1ダイパッドに対向する第2対向面を有し、
前記第2対向面は、前記第2主面につながる第2主面側凹部と、前記第2裏面につながる第2裏面側凹部と、を含み、
前記第2方向に沿って視て、前記第2主面側凹部および前記第2裏面側凹部は、前記第2ダイパッドの内方に窪んでいる、付記2Bないし7Bのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記9B〕
前記第2対向面は、前記第2主面と前記第2主面側凹部とによって形成される第2主面側突起部と、前記第2裏面と前記第2裏面側凹部とによって形成される第2裏面側突起部と、前記第2主面側凹部と前記第2裏面側凹部とによって形成される第2中間突起部とを含む、付記8Bに記載の半導体装置。
〔付記10B〕
前記第2方向に沿って視て、前記第2裏面側突起部の角度は、前記第2主面側突起部の角度よりも小である、付記9Bに記載の半導体装置。
〔付記11B〕
前記第2方向に見て、前記第2中間突起部の角度は、前記第2主面側突起部の角度と、前記第2裏面側突起部の角度と、の合計よりも大である、付記9Bまたは10Bに記載の半導体装置。
〔付記12B〕
前記第2方向に沿って視て、前記第2中間突起部は、前記第2主面側突起部および前記第2裏面側突起部よりも、前記第2ダイパッドの内方に位置する、付記9Bないし11Bのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記13B〕
前記第2裏面側凹部の前記厚さ方向の寸法は、前記第2主面側凹部の前記厚さ方向の寸法よりも大である、付記8Bないし12Bのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記14B〕
前記第1ダイパッドの前記厚さ方向の寸法と、前記第2ダイパッドの前記厚さ方向の寸法と、の各々は、前記第1主面と前記第2主面との前記第1方向における間隔の0.2倍以上1.2倍以下である、付記1Bないし付記13Bのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記15B〕
前記第1主面と前記第2主面との前記第1方向における間隔は、250μm以上500μm以下である、付記1Bないし14Bのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記16B〕
前記絶縁素子は、前記第1ダイパッドに搭載されるとともに、前記第1方向において前記第1半導体素子と前記第2半導体素子との間に配置されている、付記1Bないし15Bのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記17B〕
前記絶縁素子は、インダクティブ型である、付記1Bないし16Bのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記18B〕
前記第1回路に電源電圧が供給され、前記第2回路に電源電圧が供給された状態において、前記第2回路に供給される電源電圧は、前記第1回路に供給される電源電圧よりも大である、付記1Bないし17Bのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記19B〕
前記導電支持部材は、前記第2方向に沿って配列され、かつ少なくともいずれかが前記第1回路に導通する複数の第1端子と、前記第2方向に沿って配列され、かつ少なくともいずれかが前記第2回路に導通する複数の第2端子と、を含み、
前記複数の第1端子の各々の一部が、前記第1方向の一方側を向く前記封止樹脂の第1側面から露出し、
前記複数の第2端子の各々の一部が、前記第2方向の他方側を向く前記封止樹脂の第2側面から露出している、付記1Bないし18Bのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記20B〕
前記厚さ方向に沿って視て、前記第1ダイパッドと前記第2ダイパッドとの間の最小間隔は、前記複数の第1端子の各々と前記第2ダイパッドとの最小間隔と、前記複数の第2端子の各々と前記第1ダイパッドとの最小間隔と、よりも小である、付記19Bに記載の半導体装置。
【0214】
〔付記1C〕
厚さ方向に対して直交する第1方向の一方側に配置された第1ダイパッドと、
前記第1ダイパッドに対して前記第1方向の他方側に配置され、かつ前記第1方向において前記第1ダイパッドから離れて位置するとともに、前記第1ダイパッドとは相対的に電位が異なる第2ダイパッドと、
前記第1ダイパッドに搭載され、かつ前記第1ダイパッドとともに第1回路を構成する第1半導体素子と、
前記第2ダイパッドに搭載され、かつ前記第2ダイパッドとともに第2回路を構成する第2半導体素子と、
前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドのいずれかに搭載されるとともに、前記第1回路と前記第2回路との信号の送受信を中継し、かつ前記第1回路および前記第2回路を互いに絶縁する絶縁素子と、
前記第1ダイパッドに対して前記第1方向の前記一方側に位置する部分を含み、かつ前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向に沿って配列されるとともに、少なくともいずれかが前記第1回路に導通する複数の第1端子と、
前記第2ダイパッドに対して前記第1方向の前記他方側に位置する部分を含み、かつ前記第2方向に沿って配列されるとともに、少なくともいずれかが前記第2回路に導通する複数の第2端子と、
前記第1ダイパッド、前記第2ダイパッド、前記第1半導体素子、前記第2半導体素子および前記絶縁素子と、前記複数の第1端子、および前記複数の第2端子の各々の一部ずつと、を覆うとともに、前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドを互いに絶縁する封止樹脂を備え、
前記封止樹脂は、前記第1方向の前記一方側に位置する第1側面と、前記第1方向の前記他方側に位置する第2側面と、前記第2方向において互いに離れて位置し、かつ前記第1側面および前記第2側面につながる第3側面および第4側面と、を有し、
前記第3側面には、当該第3側面の他の領域よりも表面が粗である第1ゲート痕が形成され、
前記第2方向に沿って視て、前記第1ゲート痕が、前記第1方向において前記第1ダイパッドと前記第2ダイパッドとの間に設けられたパッド隙間に重なることを特徴とする、半導体装置。
〔付記2C〕
前記第4側面には、当該第4側面の他の領域よりも表面が粗である第2ゲート痕が形成され、
前記第2方向に沿って視て、前記第2ゲート痕が前記パッド隙間に重なっている、付記1Cに記載の半導体装置。
〔付記3C〕
前記封止樹脂は、前記厚さ方向に沿って前記パッド隙間を貫通するとともに、前記第1方向の寸法が前記パッド隙間と同一である第1樹脂部と、前記第1樹脂部の前記第1方向の両端に位置する第2樹脂部と、を含み、
前記第1樹脂部の単位体積当たりの平均空隙量は、前記第2樹脂部の単位体積当たりの平均空隙量よりも小である、付記2Cに記載の半導体装置。
〔付記4C〕
前記厚さ方向に沿って視て、前記パッド隙間は、前記第2方向に沿って延びている、付記3Cに記載の半導体装置。
〔付記5C〕
前記第1ゲート痕は、前記第3側面の前記第1方向における中央に位置する、付記4Cに記載の半導体装置。
〔付記6C〕
前記第1半導体素子と、前記複数の第1端子のいずれかと、に接合された複数の第1ワイヤをさらに備え、
前記複数の第1ワイヤの少なくともいずれかは、前記第1方向に対して当該第1ワイヤがなす角度は、前記第2方向に対して当該第1ワイヤがなす角度よりも大である、付記2Cないし5Cのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記7C〕
前記複数の第1ワイヤは、前記第1ゲート痕から最も近くに位置する特定第1ワイヤを含み、
前記第1方向に対して前記特定第1ワイヤがなす角度は、前記第2方向に対して前記第1ワイヤがなす角度よりも大であり、
前記複数の第1ワイヤの各々の長さのうち、前記特定第1ワイヤの長さが最も大である、付記6Cに記載の半導体装置。
〔付記8C〕
前記第2半導体素子と、前記複数の第2端子のいずれかと、に接合された複数の第2ワイヤをさらに備え、
前記複数の第2ワイヤの少なくともいずれかは、前記第1方向に対して当該第2ワイヤがなす角度は、前記第2方向に対して当該第2ワイヤがなす角度よりも大である、付記6Cまたは7Cに記載の半導体装置。
〔付記9C〕
前記複数の第2ワイヤは、前記第1ゲート痕から最も近くに位置する特定第2ワイヤを含み、
前記第1方向に対して前記特定第2ワイヤがなす角度は、前記第2方向に対して前記第1ワイヤがなす角度よりも大であり、
前記複数の第2ワイヤの各々の長さのうち、前記特定第2ワイヤの長さが最も大である、付記8Cに記載の半導体装置。
〔付記10C〕
前記第1回路に電源電圧が供給され、かつ前記第2回路に電源電圧が供給された状態において、前記第2回路に供給される電源電圧は、前記第1回路に供給される電源電圧よりも大である、付記2Cないし9Cのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記11C〕
前記第2方向に沿って視て、前記第1ゲート痕は、前記厚さ方向において前記第1ダイパッドに対して前記第1半導体素子とは反対側に位置する領域を含む、付記2Cないし10Cのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記12C〕
前記第2方向に沿って視て、前記第2ゲート痕は、前記厚さ方向において前記第1ダイパッドに対して前記第1半導体素子とは反対側に位置する領域を含む、付記11Cに記載の半導体装置。
〔付記13C〕
前記第1方向に沿って視て、前記第2ダイパッドは、前記第1ダイパッドに重なる、付記2Cないし12Cのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記14C〕
前記第1ダイパッド、前記第2ダイパッド、前記複数の第1端子、および前記複数の第2端子は、前記第3側面および前記第4側面の双方から離れて位置する、付記2Cないし13Cのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記15C〕
前記厚さ方向に沿って視て、前記複数の第1端子の各々は、前記第1側面から前記第1方向に沿って突出する第1リード部を有し、
前記厚さ方向に沿って視て、前記複数の第2端子の各々は、前記第2側面から前記第1方向に沿って突出する第2リード部を有する、付記14Cに記載の半導体装置。
〔付記16C〕
前記複数の第1端子は、前記第2方向において互いに離れて位置する一対の第1支持端子を含み、
前記一対の第1支持端子は、前記第1ダイパッドの前記第2方向における両端につながっている付記15Cに記載の半導体装置。
〔付記17C〕
前記複数の第2端子は、前記第2方向において互いに離れて位置する一対の第2支持端子を含み、
前記一対の第2支持端子は、前記第2ダイパッドの前記第2方向における両端につながっている、付記16Cに記載の半導体装置。
〔付記18C〕
前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドのうち、前記絶縁素子が搭載された特定ダイパッドには、前記厚さ方向に貫通する孔が設けられ、
前記厚さ方向に沿って視て、前記孔は、前記絶縁素子と、前記第1半導体素子および前記第2半導体素子のうち前記特定ダイパッドに搭載された特定半導体素子と、の間に位置する、付記1Cないし17Cのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記19C〕
前記絶縁素子は、インダクティブ型である、付記1Cないし18Cのいずれかに記載の半導体装置。
【0215】
〔付記1D〕
厚さ方向に対して直交する第1方向の一方側に配置された第1ダイパッドと、
前記第1ダイパッドに対して前記第1方向の他方側に配置され、かつ前記第1方向において前記第1ダイパッドから離れて位置するとともに、前記第1ダイパッドとは相対的に電位が異なる第2ダイパッドと、
前記第1ダイパッドに搭載され、かつ前記第1ダイパッドとともに第1回路を構成する第1半導体素子と、
前記第2ダイパッドに搭載され、かつ前記第2ダイパッドとともに第2回路を構成する第2半導体素子と、
前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドのいずれかに搭載されるとともに、前記第1回路と前記第2回路との信号の送受信を中継し、かつ前記第1回路および前記第2回路を互いに絶縁する絶縁素子と、
前記第1ダイパッドに対して前記第1方向の前記一方側に位置する部分を含み、かつ前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向に沿って配列されるとともに、少なくともいずれかが前記第1回路に導通する複数の第1端子と、
前記第2ダイパッドに対して前記第1方向の前記他方側に位置する部分を含み、かつ前記第2方向に沿って配列されるとともに、少なくともいずれかが前記第2回路に導通する複数の第2端子と、
前記第1ダイパッド、前記第2ダイパッド、前記第1半導体素子、前記第2半導体素子および前記絶縁素子と、前記複数の第1端子、および前記複数の第2端子の各々の一部ずつと、を覆うとともに、前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドを互いに絶縁する封止樹脂を備え、
前記封止樹脂は、前記厚さ方向において前記第1ダイパッドに対して前記第1半導体素子が位置する側を向く頂面と、前記厚さ方向において前記頂面とは反対側を向く底面と、前記第1方向の前記一方側に位置し、かつ前記頂面および前記底面につながる第1側面と、前記第1方向の前記他方側に位置し、かつ前記頂面および前記底面につながる第2側面と、前記第2方向のいずれかの側に位置し、かつ前記第1側面および前記第2側面につながる第3側面と、を有し、
前記複数の第1端子は、前記第1側面から露出するとともに、前記第3側面に対して最も近くに位置する第1縁端子を含み、
前記複数の第2端子は、前記第2側面から露出するとともに、前記第3側面に対して最も近くに位置する第2縁端子を含み、
前記第1縁端子から前記第1側面と、前記第3側面と、前記第2側面と、に沿って前記第2縁端子に最短で至る第1沿面距離は、前記第1縁端子から前記第1側面と、前記底面と、前記第2側面と、に沿って前記第2縁端子に最短で至る第2沿面距離よりも短いことを特徴とする、半導体装置。
〔付記2D〕
前記第1縁端子から前記第1側面と、前記頂面と、前記第2側面と、に沿って前記第2縁端子に最短で至る第3沿面距離は、前記第2沿面距離よりも長い、付記1Dに記載の半導体装置。
〔付記3D〕
前記厚さ方向に沿って視て、前記封止樹脂の前記第1方向に沿った周縁の寸法は、前記封止樹脂の前記第2方向に沿った周縁の寸法の0.75倍以上3倍以下である、付記1Dまたは2Dに記載の半導体装置。
〔付記4D〕
前記第1回路に電源電圧が供給され、かつ前記第2回路に電源電圧が供給された状態において、前記第2回路に供給される電源電圧は、前記第1回路に供給される電源電圧よりも大である、付記1Dないし3Dのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記5D〕
前記複数の第1端子の各々は、前記封止樹脂に覆われた第1パッド部と、前記第1パッド部につながり、かつ前記第1側面から一部が露出した第1リード部と、を有し、
前記第2方向に沿って視て、前記複数の第1端子の各々の前記第1リード部は、前記底面に向けて屈曲し、
前記厚さ方向に沿って視て、前記複数の第1端子の各々の前記第1リード部は、前記第1方向に沿って延びている、付記1Dないし4Dのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記6D〕
前記第1方向に沿って視て、前記複数の第1端子の各々の前記第1パッド部は、前記第1ダイパッドに重なる、付記5Dに記載の半導体装置。
〔付記7D〕
前記複数の第2端子の各々は、前記封止樹脂に覆われた第2パッド部と、前記第2パッド部につながり、かつ前記第2側面から一部が露出した第2リード部と、を有し、
前記第2方向に沿って視て、前記複数の第2端子の各々の前記第2リード部は、前記底面に向けて屈曲し、
前記厚さ方向に沿って視て、前記複数の第2端子の各々の前記第2リード部は、前記第1方向に沿って延びている、付記5Dまたは6Dに記載の半導体装置。
〔付記8D〕
前記第1方向に沿って視て、前記複数の第2端子の各々の前記第2パッド部は、前記第2ダイパッドに重なる、付記7Dに記載の半導体装置。
〔付記9D〕
前記第1方向に沿って視て、前記第2ダイパッドは、前記第1ダイパッドに重なる、付記5Dないし8Dのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記10D〕
前記厚さ方向において、前記第1ダイパッドから前記頂面に至る最短距離は、前記第1ダイパッドから前記底面に至る最短距離よりも長い、付記9Dに記載の半導体装置。
〔付記11D〕
前記第1ダイパッド、前記第2ダイパッド、前記複数の第1端子、および前記複数の第2端子は、前記第3側面から離れて位置する、付記5Dないし10Dのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記12D〕
前記複数の第1端子は、前記第2方向において互いに離れて位置する一対の第1支持端子を含み、
前記一対の第1支持端子は、前記第1ダイパッドの前記第2方向における両端につながっている、付記11Dに記載の半導体装置。
〔付記13D〕
前記複数の第2端子は、前記第2方向において互いに離れて位置する一対の第2支持端子を含み、
前記一対の第2支持端子は、前記第2ダイパッドの前記第2方向における両端につながっている、付記12Dに記載の半導体装置。
〔付記14D〕
前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドのうち、前記絶縁素子が搭載された特定ダイパッドには、前記厚さ方向に貫通する孔が設けられ、
前記厚さ方向に沿って視て、前記孔は、前記絶縁素子と、前記第1半導体素子および前記第2半導体素子のうち、前記特定ダイパッドに搭載された特定半導体素子と、の間に位置する、付記1Dないし13Dのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記15D〕
前記複数の第1端子、および前記複数の第2端子の少なくともいずれかは、前記第1半導体素子および前記第2半導体素子のいずれにも導通しないダミー端子を含む、付記1Dないし14Dのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記16D〕
前記絶縁素子は、インダクティブ型である、付記1Dないし15Dのいずれかに記載の半導体装置。
【0216】
〔付記1E〕
厚さ方向に対して直交する第1方向の一方側に配置された第1ダイパッドと、
前記第1ダイパッドに対して前記第1方向の他方側に配置され、かつ前記第1方向において前記第1ダイパッドから離れて位置するとともに、前記第1ダイパッドとは相対的に電位が異なる第2ダイパッドと、
前記第1ダイパッドに搭載され、かつ前記第1ダイパッドとともに第1回路を構成する第1半導体素子と、
前記第2ダイパッドに搭載され、かつ前記第2ダイパッドとともに第2回路を構成する第2半導体素子と、
前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドのいずれかに搭載されるとともに、前記第1回路と前記第2回路との信号の送受信を中継し、かつ前記第1回路および前記第2回路を互いに絶縁する絶縁素子と、
前記第1ダイパッドに対して前記第1方向の前記一方側に位置する部分を含み、かつ前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向に沿って配列されるとともに、少なくともいずれかが前記第1回路に導通する複数の第1端子と、
前記第2ダイパッドに対して前記第1方向の前記他方側に位置する部分を含み、かつ前記第2方向に沿って配列されるとともに、少なくともいずれかが前記第2回路に導通する複数の第2端子と、
前記第1ダイパッド、前記第2ダイパッド、前記第1半導体素子、前記第2半導体素子および前記絶縁素子と、前記複数の第1端子、および前記複数の第2端子の各々の一部ずつと、を覆うとともに、前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドを互いに絶縁する封止樹脂を備え、
前記封止樹脂は、前記厚さ方向において前記第1ダイパッドに対して前記第1半導体素子が位置する側を向く頂面と、前記厚さ方向において前記頂面とは反対側を向く底面と、前記第1方向の前記一方側に位置し、かつ前記頂面および前記底面につながる第1側面と、を有し、
前記第1側面は、前記頂面につながる第1領域と、前記底面につながる第2領域と、前記第1領域および前記第2領域につながり、かつ前記複数の第1端子が露出する第3領域と、を含み、
前記頂面、前記底面、前記第1領域および前記第2領域の各々の表面粗さは、前記第3領域の表面粗さよりも大であることを特徴とする、半導体装置。
〔付記2E〕
前記第1領域は、前記頂面に対して傾斜し、
前記第2領域は、前記底面に対して傾斜し、
前記厚さ方向に沿って視て、前記第3領域は、前記頂面および前記底面よりも外方に位置する、付記1Eに記載の半導体装置。
〔付記3E〕
前記封止樹脂は、前記第1方向の前記他方側に位置し、かつ前記頂面および前記底面につながる第2側面を有し、
前記第2側面は、前記頂面につながる第4領域と、前記底面につながる第5領域と、前記第4領域および前記第5領域につながり、かつ前記複数の第2端子が露出する第6領域と、を含み、
前記頂面、前記底面、前記第4領域および前記第5領域の各々の表面粗さは、前記第6領域の表面粗さよりも大である、付記1Eまたは2Eに記載の半導体装置。
〔付記4E〕
前記第4領域は、前記頂面に対して傾斜し、
前記第5領域は、前記底面に対して傾斜し、
前記厚さ方向に沿って視て、前記第6領域は、前記頂面および前記底面よりも外方に位置する、付記3Eに記載の半導体装置。
〔付記5E〕
前記封止樹脂には、前記頂面から凹む凹部が形成され、
前記封止樹脂は、前記厚さ方向において前記頂面と同じ側を向き、かつ前記凹部を規定する貫入面を有し、
前記貫入面の表面粗さは、前記頂面の表面粗さよりも小である、付記3Eまたは4Eに記載の半導体装置。
〔付記6E〕
前記頂面および前記底面の各々の表面粗さは、5μmRz以上20μmRz以下である、付記3Eないし5Eのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記7E〕
前記第1回路に電源電圧が供給され、かつ前記第2回路に電源電圧が供給された状態において、前記第2回路に供給される電源電圧は、前記第1回路に供給される電源電圧よりも大である、付記3Eないし6Eのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記8E〕
前記複数の第1端子の各々は、前記封止樹脂に覆われた第1パッド部と、前記第1パッド部につながり、かつ前記第1側面から一部が露出した第1リード部と、を有し、
前記第2方向に沿って視て、前記複数の第1端子の各々の前記第1リード部は、前記底面に向けて屈曲し、
前記厚さ方向に沿って視て、前記複数の第1端子の各々の前記第1リード部は、前記第1方向に沿って延びている、付記3Eないし7Eのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記9E〕
前記複数の第2端子の各々は、前記封止樹脂に覆われた第2パッド部と、前記第2パッド部につながり、かつ前記第2側面から一部が露出した第2リード部と、を有し、
前記第2方向に沿って視て、前記複数の第2端子の各々の前記第2リード部は、前記底面に向けて屈曲し、
前記厚さ方向に沿って視て、前記複数の第2端子の各々の前記第2リード部は、前記第1方向に沿って延びている、付記8Eに記載の半導体装置。
〔付記10E〕
前記第1方向に沿って視て、前記第2ダイパッドは、前記第1ダイパッドに重なる、付記8Eまたは9Eに記載の半導体装置。
〔付記11E〕
前記封止樹脂は、前記第2方向において互いに離れて位置し、かつ前記頂面および前記底面につながる第3側面および第4側面を有し、
前記第3側面および前記第4側面の各々の少なくとも一部の領域の表面粗さは、前記第3領域および前記第6領域の各々の表面粗さよりも大である、付記8Eないし10Eのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記12E〕
前記第1ダイパッド、前記第2ダイパッド、前記複数の第1端子、および前記複数の第2端子は、前記第3側面および前記第4側面の双方に対して離れて位置する、付記11Eに記載の半導体装置。
〔付記13E〕
前記複数の第1端子は、前記第2方向において互いに離れて位置する一対の第1支持端子を含み、
前記一対の第1支持端子は、前記第1ダイパッドの前記第2方向における両端につながっている、付記12Eに記載の半導体装置。
〔付記14E〕
前記複数の第2端子は、前記第2方向において互いに離れて位置する一対の第2支持端子を含み、
前記一対の第2支持端子は、前記第2ダイパッドの前記第2方向における両端につながっている、付記13Eに記載の半導体装置。
〔付記15E〕
前記第1ダイパッドおよび前記第2ダイパッドのうち、前記絶縁素子が搭載された特定ダイパッドには、前記厚さ方向に貫通する孔が設けられ、
前記厚さ方向に沿って視て、前記孔は、前記絶縁素子と、前記第1半導体素子および前記第2半導体素子のうち、前記特定ダイパッドに搭載された特定半導体素子と、の間に位置する、付記1Eないし14Eのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記16E〕
前記複数の第1端子、および前記複数の第2端子の少なくともいずれかは、前記第1半導体素子および前記第2半導体素子のいずれにも導通しないダミー端子を含む、付記1Eないし15Eのいずれかに記載の半導体装置。
〔付記17E〕
前記絶縁素子は、インダクティブ型である、付記1Eないし16Eのいずれかに記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0217】
A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8,A9,A10:半導体装置
11:第1半導体素子(制御素子)
11A:電極
111:第1送信部
112:第2送信部
113:第3受信部
114:第4受信部
115:ロジック部
116:第1低電圧ロックアウト部
117:外部エラー検出部
12:第2半導体素子(駆動素子)
12A:電極
121:第1受信部
122:第2受信部
123:第3送信部
124:第4送信部
125:ロジック部
126:ドライバ部
127:第2低電圧ロックアウト部
128:過電流検出部
129:OCPタイマ
13:絶縁素子
13A:第1電極
13B:第2電極
13C:パッシベーション膜
13D:第1膜
13E:第2膜
131:第1トランス
132:第2トランス
133:第3トランス
134:第4トランス
2:導電支持部材
21:パッド隙間
3:第1ダイパッド
31:第1主面
32:第1裏面
33:第1対向面
331:第1主面側凹部
332:第1裏面側凹部
333:第1主面側突起部
334:第1裏面側突起部
335:第1中間突起部
34:第1端面
35:第1側面
36:周縁
361:第1遠方角部
362:第1近方角部
362A:第1端部
363:第1近方端縁
39:孔
4:第2ダイパッド
41:第2主面
42:第2裏面
43:第2対向面
431:第2主面側凹部
432:第2裏面側凹部
433:第2主面側突起部
434:第2裏面側突起部
435:第2中間突起部
44:第2端面
45:第2側面
46:周縁
461:第2遠方角部
462:第2近方角部
462A:第2端部
463:第2近方端縁
51:第1端子
51A:第1縁端子
511:第1中間端子
511A:リード部
511B:パッド部
512:第1側端子
512A:リード部
512B:パッド部
513:第1支持端子
513A:リード部
513B:パッド部
52:第2端子
52A:第2縁端子
521:第2中間端子
521A:リード部
521B:パッド部
522:第2側端子
522A:リード部
522B:パッド部
523:第2支持端子
523A:リード部
523B:パッド部
523C:連結部
61:第1ワイヤ
61A:特定第1ワイヤ
62:第2ワイヤ
62A:特定第2ワイヤ
63:第3ワイヤ
64:第4ワイヤ
7:封止樹脂
71:頂面
711:凹部
711A:貫入面
72:底面
73:第1側面
731:第1領域
732:第2領域
733:第3領域
74:第2側面
741:第4領域
742:第5領域
743:第6領域
75:第3側面
751:第7領域
752:第8領域
753:第9領域
76:第4側面
761:第10領域
762:第11領域
763:第12領域
791:第1ゲート痕
792:第2ゲート痕
81:リードフレーム
81A:主面
810A:第1露出領域
81B:裏面
810B:第2露出領域
811:外枠
812:アイランド部
812A:第1ダイパッド
812B:第2ダイパッド
813:第1リード
814:第2リード
815:支持リード
816:ダムバー
82:レジスト
82A:第1被覆部
82B:第2被覆部
86:ポット
87:ランナー
88:キャビティ
891:第1ゲート
892:第2ゲート
90:ECU