IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東日本旅客鉄道株式会社の特許一覧

特許7527909列車人員配置支援システム及び列車人員配置支援方法
<>
  • 特許-列車人員配置支援システム及び列車人員配置支援方法 図1
  • 特許-列車人員配置支援システム及び列車人員配置支援方法 図2
  • 特許-列車人員配置支援システム及び列車人員配置支援方法 図3
  • 特許-列車人員配置支援システム及び列車人員配置支援方法 図4
  • 特許-列車人員配置支援システム及び列車人員配置支援方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】列車人員配置支援システム及び列車人員配置支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20240729BHJP
   B61L 27/00 20220101ALI20240729BHJP
【FI】
G06Q50/40
B61L27/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020153769
(22)【出願日】2020-09-14
(65)【公開番号】P2022047793
(43)【公開日】2022-03-25
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勤
(72)【発明者】
【氏名】近藤 崇
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-168876(JP,A)
【文献】特開2020-040520(JP,A)
【文献】特開平10-217968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B61L 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の乗客が所持するチケットに係る情報を取得するチケット情報取得手段と、
前記列車の区間毎の乗客の人数を推定する推定手段と、
前記推定手段による推定結果と、前記チケット情報取得手段によってチケットに係る情報が取得された乗客の人数と、の差を区間毎に算出する算出手段と、
前記算出手段が算出した差が所定の値よりも大きい区間のある列車が存在する場合に、所定の端末へと通知する通知手段と、
列車の重量に係る情報を取得する重量情報取得手段と、を備え、
前記推定手段は、前記重量情報取得手段が取得した情報に基づき、前記列車の区間毎の乗客の人数を推定することを特徴とする列車人員配置支援システム。
【請求項2】
列車の乗客が所持するチケットに係る情報を取得するチケット情報取得手段と、
前記列車の区間毎の乗客の人数を推定する推定手段と、
前記推定手段による推定結果と、前記チケット情報取得手段によってチケットに係る情報が取得された乗客の人数と、の差を区間毎に算出する算出手段と、
前記算出手段が算出した差に係る情報を用いて、列車における将来の乗務員の乗務区間及び/又は区間別の乗務人数を決定する人員配置決定手段と、
列車の重量に係る情報を取得する重量情報取得手段と、を備え、
前記推定手段は、前記重量情報取得手段が取得した情報に基づき、前記列車の区間毎の乗客の人数を推定することを特徴とする列車人員配置支援システム。
【請求項3】
前記人員配置決定手段は、前記差が所定の値よりも大きい区間に前記乗務員を配置するようにして、前記乗務員の乗務区間を決定することを特徴とする請求項に記載の列車人員配置支援システム。
【請求項4】
前記推定手段は、前記列車の各区間における重量から前記列車の乗客が乗車していない状態における重量を減じた重量を、乗客一人当たりの重量として予め定めた所定の重量で除算することで、前記列車の区間毎の乗客の人数を推定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の列車人員配置支援システム。
【請求項5】
前記チケット情報取得手段は、列車内の各座席に対応して設けられた所定のセンサによって、乗客が所持するICカード又は携帯端末に記憶された情報を読み取ることにより、前記列車の乗客が所持するチケットに係る情報を取得することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の列車人員配置支援システム。
【請求項6】
前記推定手段による推定結果及び/又は前記チケット情報取得手段によってチケットに係る情報が取得された乗客の人数に係る情報を、列車に乗車予定の乗客に提供する情報提供手段を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の列車人員配置支援システム。
【請求項7】
前記推定手段による推定結果及び/又は前記チケット情報取得手段によってチケットに係る情報が取得された乗客の人数に係る情報を用いて、将来の列車の乗車に係るチケットの販売価格を決定するチケット販売価格決定手段を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の列車人員配置支援システム。
【請求項8】
前記推定手段による推定結果及び/又は前記チケット情報取得手段によってチケットに係る情報が取得された乗客の人数に係る情報を用いて、将来の列車における車内販売に係る商品の仕入れ量を決定する仕入量決定手段を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の列車人員配置支援システム。
【請求項9】
列車人員配置支援システムが実行する列車人員配置支援方法において、
列車の乗客が所持するチケットに係る情報を取得するチケット情報取得ステップと、
前記列車の区間毎の乗客の人数を推定する推定ステップと、
前記推定ステップによる推定結果と、前記チケット情報取得ステップによってチケットに係る情報が取得された乗客の人数と、の差を区間毎に算出する算出ステップと、
前記算出ステップにて算出した差が所定の値よりも大きい区間のある列車が存在する場合に、所定の端末へと通知する通知ステップと、
列車の重量に係る情報を取得する重量情報取得ステップと、を備え、
前記推定ステップは、前記重量情報取得ステップにおいて取得した情報に基づき、前記列車の区間毎の乗客の人数を推定することを特徴とする列車人員配置支援方法。
【請求項10】
列車人員配置支援システムが実行する列車人員配置支援方法において、
列車の乗客が所持するチケットに係る情報を取得するチケット情報取得ステップと、
前記列車の区間毎の乗客の人数を推定する推定ステップと、
前記推定ステップによる推定結果と、前記チケット情報取得ステップによってチケットに係る情報が取得された乗客の人数と、の差を区間毎に算出する算出ステップと、
前記算出ステップにて算出した差に係る情報を用いて、列車における将来の乗務員の乗務区間及び/又は区間別の乗務人数を決定する人員配置決定ステップと、
列車の重量に係る情報を取得する重量情報取得ステップと、を備え、
前記推定ステップは、前記重量情報取得ステップにおいて取得した情報に基づき、前記列車の区間毎の乗客の人数を推定することを特徴とする列車人員配置支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車人員配置支援システム及び列車人員配置支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
列車の車内には、例えば乗客が保有するチケットの確認等のために乗務員が配置されることがあるが、配置することを要する乗務員の数は、列車に乗車している乗客の数等によって左右されることが多い。
そこで、指定席、すなわち乗客が乗車する列車及び着席する座席が予め指定された座席に係るチケットの事前の売り上げ状態に基づいて、列車毎の指定席の需要予測を行い、その需要予測に基づいて列車の輸送計画の変更を行い、併せて列車内に配置する人員の追加配置につき決定するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、列車には、普通運賃に加えて特別料金を支払うことを要するものであっても、必ずしもその座席は指定席に限られず、乗客が任意の列車の任意の座席に着席することができるものも存在している。
そして、このような場合においては、列車内における乗客の所持するチケットの確認作業の手間を省くため、例えば、ICカードやICカードの機能を内蔵する携帯端末への発行等の特定の形式で発行されたチケットにつき、乗客の所定の操作(例えばICカードや携帯端末のタッチ操作等)によって、自動的に、すなわち乗務員による確認作業を要することなく、乗客が所持するチケットに係る情報を取得することを可能としたシステムが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-100485号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】東日本旅客鉄道株式会社ホームページ、[令和2年8月17日検索]、インターネット<URL:https://www.jreast.co.jp/suica/use/green/use_system.html>、JR東日本トップ/Suica/Suicaトップ/利用方法/普通列車グリーン車の利用/グリーン車Suicaシステムの利用方法
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1に記載のシステムが採用された列車においては、ICカードや携帯端末への発行等の特定の形式で発行されたチケットについては、システムによって乗客が所持するチケットに係る情報を自動的に取得することができ、乗務員によるチケットの確認作業を要しない。したがって、乗務員の配置は、システムによって所持するチケットに係る情報を取得することができず、乗務員によるチケットの確認や販売等を要する乗客(例えば、上記特定の形式以外の磁気券等の形式でチケットを購入した乗客や、列車に乗車する前にチケットを購入できず列車内でのチケットの購入を希望する乗客等)の多寡に応じて決定することが好ましい。
しかしながら、特許文献1に記載のシステムは、指定席に係るチケットの事前の売り上げ状態のみに基づいて人員配置を決定するものであり、列車内での乗務員によるチケットの確認や販売等の要否について考慮するものではないことから、例えば非特許文献1に記載のシステムが採用された列車においては、列車内における適切な乗務員の配置を実現することは困難であった。
【0007】
本発明の課題は、列車内において一部の乗客について自動的に所持するチケットに係る情報を取得でき、その他の乗客について乗務員によるチケットの確認や販売等を要する場合において、適切に乗務員を配置することを可能とする列車人員配置支援システム及び列車人員配置支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、列車人員配置支援システムにおいて、
列車の乗客が所持するチケットに係る情報を取得するチケット情報取得手段と、
前記列車の区間毎の乗客の人数を推定する推定手段と、
前記推定手段による推定結果と、前記チケット情報取得手段によってチケットに係る情報が取得された乗客の人数と、の差を区間毎に算出する算出手段と、
前記算出手段が算出した差が所定の値よりも大きい区間のある列車が存在する場合に、所定の端末へと通知する通知手段と、
列車の重量に係る情報を取得する重量情報取得手段と、を備え、
前記推定手段は、前記重量情報取得手段が取得した情報に基づき、前記列車の区間毎の乗客の人数を推定することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、列車人員配置支援システムにおいて、
列車の乗客が所持するチケットに係る情報を取得するチケット情報取得手段と、
前記列車の区間毎の乗客の人数を推定する推定手段と、
前記推定手段による推定結果と、前記チケット情報取得手段によってチケットに係る情報が取得された乗客の人数と、の差を区間毎に算出する算出手段と、
前記算出手段が算出した差に係る情報を用いて、列車における将来の乗務員の乗務区間及び/又は区間別の乗務人数を決定する人員配置決定手段と、
列車の重量に係る情報を取得する重量情報取得手段と、を備え、
前記推定手段は、前記重量情報取得手段が取得した情報に基づき、前記列車の区間毎の乗客の人数を推定することを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の列車人員配置支援システムにおいて、
前記人員配置決定手段は、前記差が所定の値よりも大きい区間に前記乗務員を配置するようにして、前記乗務員の乗務区間を決定することを特徴とする。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の列車人員配置支援システムにおいて、
前記推定手段は、前記列車の各区間における重量から前記列車の乗客が乗車していない状態における重量を減じた重量を、乗客一人当たりの重量として予め定めた所定の重量で除算することで、前記列車の区間毎の乗客の人数を推定することを特徴とする。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の列車人員配置支援システムにおいて、
前記チケット情報取得手段は、列車内の各座席に対応して設けられた所定のセンサによって、乗客が所持するICカード又は携帯端末に記憶された情報を読み取ることにより、前記列車の乗客が所持するチケットに係る情報を取得することを特徴とする。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の列車人員配置支援システムにおいて、
前記推定手段による推定結果及び/又は前記チケット情報取得手段によってチケットに係る情報が取得された乗客の人数に係る情報を、列車に乗車予定の乗客に提供する情報提供手段を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の列車人員配置支援システムにおいて、
前記推定手段による推定結果及び/又は前記チケット情報取得手段によってチケットに係る情報が取得された乗客の人数に係る情報を用いて、将来の列車の乗車に係るチケットの販売価格を決定するチケット販売価格決定手段を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の列車人員配置支援システムにおいて、
前記推定手段による推定結果及び/又は前記チケット情報取得手段によってチケットに係る情報が取得された乗客の人数に係る情報を用いて、将来の列車における車内販売に係る商品の仕入れ量を決定する仕入量決定手段を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項に記載の発明は、列車人員配置支援システムが実行する列車人員配置支援方法において、
列車の乗客が所持するチケットに係る情報を取得するチケット情報取得ステップと、
前記列車の区間毎の乗客の人数を推定する推定ステップと、
前記推定ステップによる推定結果と、前記チケット情報取得ステップによってチケットに係る情報が取得された乗客の人数と、の差を区間毎に算出する算出ステップと、
前記算出ステップにて算出した差が所定の値よりも大きい区間のある列車が存在する場合に、所定の端末へと通知する通知ステップと、
列車の重量に係る情報を取得する重量情報取得ステップと、を備え、
前記推定ステップは、前記重量情報取得ステップにおいて取得した情報に基づき、前記列車の区間毎の乗客の人数を推定することを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、列車人員配置支援システムが実行する列車人員配置支援方法において、
列車の乗客が所持するチケットに係る情報を取得するチケット情報取得ステップと、
前記列車の区間毎の乗客の人数を推定する推定ステップと、
前記推定ステップによる推定結果と、前記チケット情報取得ステップによってチケットに係る情報が取得された乗客の人数と、の差を区間毎に算出する算出ステップと、
前記算出ステップにて算出した差に係る情報を用いて、列車における将来の乗務員の乗務区間及び/又は区間別の乗務人数を決定する人員配置決定ステップと、
列車の重量に係る情報を取得する重量情報取得ステップと、を備え、
前記推定ステップは、前記重量情報取得ステップにおいて取得した情報に基づき、前記列車の区間毎の乗客の人数を推定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、列車内において一部の乗客について自動的に所持するチケットに係る情報を取得でき、その他の乗客について乗務員によるチケットの確認や販売等を要する場合において、適切に乗務員を配置することを可能とする列車人員配置支援システム及び列車人員配置支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る列車人員配置支援システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る列車人員配置支援システムの車両荷重データの取得の際の動作を示すフローチャートである。
図3】実施形態に係る列車人員配置支援システムの座席管理データの取得の際の動作を示すフローチャートである。
図4】実施形態に係る列車人員配置支援システムの業務計画の決定等の際の動作を示すフローチャートである。
図5】列車別に整理された車両荷重データ及び座席管理データに基づく乗車人数の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1から図5に基づいて、本発明の実施形態である列車人員配置支援システム100について説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されるものではない。
【0022】
[第1 構成の説明]
列車人員配置支援システム100は、列車から取得した情報に基づき、乗務員の適切な配置を支援するためのシステムであり、図1に示すように、列車人員配置支援システム100を管理・運営する企業等が保有する各種サーバ、すなわち、データ分析サーバ1、車両荷重データサーバ2及び座席管理データサーバ3と、列車に設置された車両荷重データ取得部4及び座席管理データ取得部5と、鉄道事業者における乗務員の人員配置を行う担当者が使用する担当者端末6と、を備えて構成され、各装置の間は、通信ネットワークNを介して接続されている。
【0023】
なお、上記各サーバは、必ずしも別個に設けられていることを要せず、単一のPC(Personal Computer)、WS(Work Station)等の情報機器が、これら複数のサーバとしての機能を兼ねていてもよい。
また、反対に、上記各サーバは、必ずしも単一のPC、WS等の情報機器によって実現されることを要せず、複数台のPC、WS等の情報機器が通信ネットワークNを介して接続されることで、複数台の情報機器により、各サーバとしての機能が実現されていてもよい。
【0024】
[1 データ分析サーバ]
データ分析サーバ1は、例えば、列車人員配置支援システム100を管理・運営する企業等が保有するPC、WS等の情報機器であり、後述のように、車両荷重データサーバ2から取得した車両荷重データD1及び座席管理データサーバ3から取得した座席管理データD2につき分析の上、担当者端末6への警告の送信や、業務計画の作成等を行う。
データ分析サーバ1は、図1に示すように、例えば、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を備えて構成されている。
【0025】
[(1) 制御部]
制御部11は、データ分析サーバ1の動作を制御する部分であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、記憶部12に記憶されたプログラムデータとCPUとの協働により、データ分析サーバ1の各部を統括制御する。
【0026】
[(2) 記憶部]
記憶部12は、データ分析サーバ1の運用に必要となる各種情報が記憶される部分であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリ等により構成され、プログラムデータ等のデータ分析サーバ1の運用に必要となるデータを、制御部11から読み書き可能に記憶する。
【0027】
記憶部12には、データ分析プログラム121が記憶されている。
データ分析プログラム121は、後述のように車両荷重データサーバ2から取得した車両荷重データD1及び座席管理データサーバ3から取得した座席管理データD2につき分析の上、担当者端末6への警告の送信や、業務計画の作成等を行う際にデータ分析サーバ1を動作させるための制御部11への各種命令を含むプログラムであり、後述の動作の説明において述べるデータ分析サーバ1の動作は、データ分析プログラム121に従ってなされることとなる。
【0028】
[(3) 通信部]
通信部13は、データ分析サーバ1と列車人員配置支援システム100を構成する他の装置との間の通信に用いられる部分であり、例えば、通信用IC(Integrated Circuit)及び通信コネクタなどを有する通信インターフェイスであり、制御部11の制御の元、所定の通信プロトコルを用いて、通信ネットワークNを介したデータ通信を行う。
【0029】
[2 車両荷重データサーバ]
車両荷重データサーバ2は、例えば、列車人員配置支援システム100を管理・運営する企業等が保有するPC、WS等の情報機器であり、後述のように、列車に設置された車両荷重データ取得部4から取得した車両荷重データD1を蓄積の上、データ分析サーバ1へと送信する。
車両荷重データサーバ2は、図1に示すように、データ分析サーバ1と同様、例えば、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、を備えて構成されている。
【0030】
制御部21及び通信部23の構成は、それぞれデータ分析サーバ1における制御部11及び通信部13と変わるところはない。
記憶部22は、データ分析サーバ1における記憶部12と同様に、例えば、HDD、半導体メモリ等により構成され、後述のように列車に設置された車両荷重データ取得部4により取得された車両荷重データD1が記憶される。
【0031】
[3 座席管理データサーバ]
座席管理データサーバ3は、例えば、列車人員配置支援システム100を管理・運営する企業等が保有するPC、WS等の情報機器であり、後述のように、列車に設置された座席管理データ取得部5から取得した座席管理データD2を蓄積の上、データ分析サーバ1へと送信する。
座席管理データサーバ3は、図1に示すように、データ分析サーバ1と同様、例えば、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、を備えて構成されている。
【0032】
制御部31及び通信部33の構成は、それぞれデータ分析サーバ1における制御部11及び通信部13と変わるところはない。
記憶部32は、データ分析サーバ1における記憶部12と同様に、例えば、HDD、半導体メモリ等により構成され、後述のように列車に設置された座席管理データ取得部5により取得された座席管理データD2が記憶される。
【0033】
[4 車両荷重データ取得部]
車両荷重データ取得部4は、列車の各車両に設置された重量センサを含み、後述のように、列車の乗客が乗車していない状態の重量と、乗客が乗車した状態の重量との差、すなわち列車に乗車していた乗客の重量の合計に係る情報である車両荷重データD1を取得の上、取得した情報を、通信ネットワークNを介して、車両荷重データサーバ2へと送信する。
なお、車両荷重データ取得部4は、列車の車両(号車)ごとに、乗客が乗車していない状態の重量と、乗客が乗車した状態の重量との差を算出して、列車の車両(号車)ごとに分けて車両荷重データD1を取得するようにしてもよい。
【0034】
[5 座席管理データ取得部]
座席管理データ取得部5は、例えば、列車の座席毎に、各座席の近傍に設置されたタッチセンサ等を有し、乗客が当該タッチセンサに、当該列車の乗車に要するチケットの発行を受けたICカード、携帯端末(スマートフォン等)等をかざした際に、当該ICカード、携帯端末(スマートフォン等)等に記憶された当該乗客が所持するチケットに係る情報、すなわち、当該乗客の乗車区間に係る情報等を含む当該乗客による座席の使用状況に係る情報である座席管理データD2を取得の上、取得した情報を、通信ネットワークNを介して、座席管理データサーバ3へと送信する。
【0035】
なお、座席管理データ取得部5が備えられる列車としては、普通運賃に加えて特別料金を支払うことを要するものの、座席は指定席ではなく、乗客が空いている座席に自由に着席できるものを想定している。乗客は、事前にICカード、携帯端末(スマートフォン等)等にチケットの発行を受けている場合、座席に着席する際に、チケットの発行を受けたICカード、携帯端末(スマートフォン等)等を、着席する座席の近傍に備えられた座席管理データ取得部5のタッチセンサにかざした上で、着席することとなる。
【0036】
なお、車両荷重データ取得部4及び座席管理データ取得部5は、必ずしも列車の全車両に設置されている必要はなく、例えば、列車のうち一部の車両のみが特別料金を支払うことを要する特別車両であり、他の車両は普通運賃のみで乗車できる普通車両である場合等において、このような特別車両にのみ車両荷重データ取得部4及び座席管理データ取得部5を設置し、車両荷重データD1及び座席管理データD2を取得するようにしてもよい。
この場合、本発明においては、列車のうちこのような特別車両の乗客の人数を、当該列車の乗客の人数として扱い、また、列車のうちこのような特別車両の重量を、当該列車の重量として扱うこととなる。
【0037】
[6 担当者端末]
担当者端末6は、例えば、鉄道事業者における乗務員の人員配置を行う担当者が使用するPC等の情報機器であり、図1に示すように、例えば、データ分析サーバ1等と同様に、制御部61と、記憶部62と、通信部63と、を備えると共に、さらに、表示部64と、操作部65と、を備えて構成されている。
【0038】
表示部64は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイを備え、制御部61から出力された表示制御信号に基づいた画像を表示画面に表示する。
【0039】
操作部65は、例えば、文字入力キー、数字入力キー、その他各種機能に対応付けられたキーを有するキーボード等を備え、例えば、鉄道事業者における乗務員の人員配置を行う担当者からの操作入力を受け付けて、操作入力に応じた操作信号を制御部61へと出力する。操作部65は、例えば、表示部64と一体的に形成されたタッチパネル等であってもよく、鉄道事業者における乗務員の人員配置を行う担当者等からの操作入力を受け付けることができるものであれば特に限定されない。
【0040】
[7 通信ネットワーク]
通信ネットワークNは、例えば、インターネット、電話回線網、携帯電話通信網、無線LAN通信網等であり、図1に示すように、列車人員配置支援システム100を構成する各装置間を接続する。
通信ネットワークNとしては、上記のように各装置間を繋ぎ、これらの間でデータの送受信を行うことが可能なものであれば特に限定されない。
【0041】
[第2 動作の説明]
以下、本実施形態に係る列車人員配置支援システム100の動作について説明する。
列車人員配置支援システム100の動作は、大きく分けて、車両荷重データの取得(ステップS1)、座席管理データの取得(ステップS2)及び業務計画の決定等(ステップS3)の3つの工程からなる。
【0042】
[1 ステップS1 車両荷重データの取得]
まず、列車人員配置支援システム100の車両荷重データD1の取得の際の動作について、図2のフローチャートに従って説明する。
【0043】
各列車に設置された車両荷重データ取得部4は、これが設置された列車の運行中、走行中の区間毎、すなわち、各列車の鉄道路線における隣り合う停車駅と停車駅との間の部分毎に、列車の重量に係るデータを取得の上、取得したデータから、予め記憶された当該列車の乗客が乗車していない状態での重量を減ずることで、区間毎の列車に乗車していた乗客の重量の合計に係るデータ(車両荷重データD1)を取得し(ステップS1-1)、取得したデータを、当該列車の列車番号に係る情報及び当該データが取得された区間に係る情報と紐付けて、通信ネットワークNを介して車両荷重データサーバ2へと送信する(ステップS1-2)。
【0044】
車両荷重データサーバ2においては、通信部23によって列車に設置された車両荷重データ取得部4から車両荷重データD1を受信する度に、制御部21が、取得したデータを、列車番号及びデータが取得された区間に係る情報と紐付けて、記憶部22に記憶させる(ステップS1-3)。
すなわち、車両荷重データサーバ2の記憶部22には、列車が運行される度に、各列車につき、区間毎に、乗車していた乗客の重量の合計に係る情報が蓄積されていくこととなる。
【0045】
なお、上記においては、車両荷重データ取得部4からリアルタイムに車両荷重データD1が車両荷重データサーバ2へと送信される場合につき説明したが、これに限られず、例えば、車両荷重データ取得部4に設けられたHDD、半導体メモリ等からなる記憶部に蓄積された車両荷重データD1を、列車の運行後や修繕時等の所定のタイミングで、所定の担当者が手動で車両荷重データサーバ2へと入力するようにすることも可能である。
【0046】
[2 ステップS2 座席管理データの取得]
続いて、列車人員配置支援システム100の座席管理データD2の取得の際の動作について、図3のフローチャートに従って説明する。
【0047】
各列車に設置された座席管理データ取得部5は、列車の運行中、乗客が各座席の近傍に設置されたタッチセンサに、当該列車の乗車に要するチケットの発行を受けたICカード、携帯端末(スマートフォン等)等をかざす度に、当該ICカード、携帯端末(スマートフォン等)等に記憶された当該乗客が所持するチケットに係る情報、すなわち、当該乗客の乗車区間に係る情報等を含む当該乗客による座席の使用状況に係る情報である座席管理データD2を取得し(ステップS2-1)、取得したデータを、列車番号及び座席番号に係る情報と紐付けて、通信ネットワークNを介して座席管理データサーバ3へと送信する(ステップS2-2)。
【0048】
座席管理データサーバ3においては、通信部33によって列車に設置された座席管理データ取得部5から座席管理データD2を受信する度に、制御部31が、取得したデータを、列車番号及び座席番号に係る情報と紐付けて、記憶部32に記憶させる(ステップS2-3)。
すなわち、座席管理データサーバ3の記憶部32には、列車が運行される度に、各列車につき、当該列車の各座席の使用状況に係る情報が蓄積されていくこととなる。
【0049】
なお、上記においては、座席管理データ取得部5からリアルタイムに座席管理データD2が座席管理データサーバ3へと送信される場合につき説明したが、これに限られず、例えば、座席管理データ取得部5に設けられたHDD、半導体メモリ等からなる記憶部に蓄積された座席管理データD2を、列車が駅に長時間停車するタイミングや折り返しのタイミング等の所定のタイミングで、所定の担当者が手動で座席管理データサーバ3へと入力するようにすることも可能である。
【0050】
[3 ステップS3 業務計画の決定等]
続いて、列車人員配置支援システム100の業務計画の決定等の際の動作について、図4のフローチャートに従って説明する。
【0051】
データ分析サーバ1は、所定のタイミングで、車両荷重データサーバ2に蓄積された車両荷重データD1及び座席管理データサーバ3に蓄積された座席管理データD2を取得する。
【0052】
具体的には、車両荷重データサーバ2においては、制御部21が、所定の期間ごとに当該期間において記憶部22に記憶された車両荷重データD1を、これと紐づけられた情報と共に一括して、通信部23から通信ネットワークNを介してデータ分析サーバ1へと送信し、データ分析サーバ1は、車両荷重データサーバ2から送信されたデータを、通信部13によって受信し、取得する(ステップS3-1)。
また、座席管理データサーバ3においては、制御部31が、所定の期間ごとに当該期間において記憶部32に記憶された座席管理データD2を、これと紐づけられた情報と共に一括して、通信部33から通信ネットワークNを介してデータ分析サーバ1へと送信し、データ分析サーバ1は、座席管理データサーバ3から送信されたデータを、通信部13によって受信し、取得する(ステップS3-2)。
【0053】
車両荷重データD1及び座席管理データD2を取得したデータ分析サーバ1においては、制御部11が、適宜データ形式をデータ分析サーバ1において使用可能なデータ形式に整形する(ステップS3-3)。
具体的には、制御部11は、例えば、車両荷重データD1や座席管理データD2が二進数のデータである場合に、これを変換する等の処理を行う。
【0054】
続いて、制御部11は、整形が完了した車両荷重データD1及び座席管理データD2を列車別に整理する(ステップS3-4)。すなわち、列車には、通常、列車のダイヤにおける個々の列車毎に列車番号が付されていることから、このような列車番号が共通する列車を同一の列車として、例えば、図5に示すように、列車番号毎にデータを整理することとなる。
【0055】
具体的には、まず、車両荷重データD1から分かる列車が運行した各区間に係る車両荷重、すなわち、区間毎の列車に乗車していた乗客の重量の合計に係る情報を、列車番号と紐付けて記憶する。また、座席管理データD2から、区間毎に、チケットの発行を受けたICカード、携帯端末(スマートフォン等)等による座席管理データ取得部5のタッチセンサへのタッチ操作を行った乗客の乗車人数(当該区間においてタッチ操作を行った者に限られず、タッチ操作を行った上で当該区間において乗車している全ての乗客の人数のことを指す。)を割り出し、当該乗車人数に係る情報を、列車番号と紐付けて記憶する。
【0056】
なお、チケットに含まれる乗車可能区間に係る情報と、乗客の実際の乗車区間とは一致する場合が多いことから、座席管理データD2から区間毎のタッチ操作を行った乗客の乗車人数を集計する際には、チケットに含まれる乗車可能区間に係る情報をそのまま用いて集計してもよいが、乗客によっては、乗車可能区間の途中から乗車する場合や、乗車可能区間の途中で降車する場合もあり得ることから、各乗客の乗車区間について、座席管理データ取得部5のタッチセンサへのタッチ操作を行った地点に係る情報から決定するようにしてもよい。
さらに、乗客によっては、乗車後数駅通過してからタッチ操作を行ったり、タッチ操作を行わずに降車したりする場合もあることから、チケットに含まれる乗車可能区間に係る情報と、座席管理データ取得部5のタッチセンサへのタッチ操作を行った地点に係る情報との両者を用いて、実際の乗降駅を推定することで、各乗客につき、より利用実態にあった乗車区間を決定するようにしてもよい。
【0057】
また、列車番号が共通する列車に係るデータが複数存在する場合には、車両荷重の情報、ICカード、携帯端末(スマートフォン等)等によるタッチ操作を行った乗客の乗車人数に係る情報のいずれも、列車番号が共通する列車における区間毎の平均値を算出して用いればよい。なお、列車番号が共通する列車毎の集計方法は、平均値を用いることが簡便であるが、必ずしもこれに限られず、区間毎の複数のデータを基に、最も合理的と判断できる方法で区間毎の値を算出して用いればよい
【0058】
続いて、データ分析サーバ1においては、制御部11が、車両荷重データD1に基づき、各列車の各区間における乗車人数を推定する(ステップS3-5)。具体的には、各列車の各区間における車両荷重データD1に係る重量を、乗客一人当たりの重量として予め定めた所定の重量で除算することで、乗車人数を推定することとなる。車両荷重データD1には、座席管理データ取得部5によって座席管理データD2が取得された乗客に限られず、全乗客の重量が含まれることから、これによって、各列車の各区間における全乗車人数の値が推定されることとなる。
例えば、ある列車のある区間における車両荷重データD1に係る重量の値が10,000kgであり、乗客一人当たりの重量として定めた所定の重量が65kgであれば、10,000÷65≒154人を当該列車の当該区間における乗車人数と推定する。
【0059】
続いて、制御部11は、各列車の各区間につき、座席管理データD2に基づく、チケットの発行を受けたICカード、携帯端末(スマートフォン等)等による座席管理データ取得部5のタッチセンサへのタッチ操作を行った乗客の乗車人数と、ステップS3-5において推定された車両荷重データD1に基づく乗車人数と、を比較し、その差を算出する(ステップS3-6)。
【0060】
すなわち、制御部11は、各列車の各区間につき、列車に設置された座席管理データ取得部5によって所持するチケットに係る情報が取得された乗客の乗車人数と、ステップS3-5において推定した車両荷重データD1に基づく乗車人数、すなわち、各列車の各区間における全乗車人数の推定値と、の差を算出することとなる。
【0061】
続いて、制御部11は、各列車の各区間につき、ステップS3-6で算出した差が、所定の閾値を超過していないかにつき判定する(ステップS3-7)。
【0062】
閾値は、例えば、ステップS3-5において推定した車両荷重データD1に基づく乗車人数の推定値に対する、ステップS3-6で算出した差の割合によって定めることができる。
【0063】
例えば、ある列車のある区間における車両荷重データD1に基づく乗車人数が、上記のように154人と推定された場合において、座席管理データD2に基づく、チケットの発行を受けたICカード、携帯端末(スマートフォン等)等による座席管理データ取得部5のタッチセンサへのタッチ操作を行った乗客の乗車人数が135人であれば、その差は19人となる。この場合、車両荷重データD1に基づく乗車人数の推定値(154人)に対する上記差(19人)の割合は、約12%となるところ、例えば上記閾値が10%と定められていた場合、制御部11は、閾値を超過しているものと判定することとなる。
【0064】
上記閾値の設定方法は特に限定されず、列車人員配置支援システム100を管理する管理者が適宜設定することができる。
例えば、全列車番号の列車につき、全区間について同様の閾値を設定してもよいし、例えば、過去のデータから列車番号及び/又は区間別に個別に設定するようにして、座席管理データ取得部5によって所持するチケットに係る情報が取得された乗客の人数と、車両荷重データD1に基づいて推定された乗車人数との差が従来大きい列車、区間については閾値を大きく設定し、座席管理データ取得部5によって所持するチケットに係る情報が取得された乗客の人数と、車両荷重データD1に基づいて推定された乗車人数との差が従来小さい列車、区間については閾値を小さく設定するといった手法をとってもよい。
【0065】
ステップS3-7において閾値を超過していた区間のある列車が存在していた場合には、制御部11は、通信部13から通信ネットワークNを介して、閾値を超過していた区間のある列車が存在する旨の所定の警告及び閾値を超過していた列車の列車番号及び超過区間に係る情報を、担当者端末6へと送信し(ステップS3-8)、通信部63によってこれを受信した担当者端末6においては、制御部61が、表示部64に、閾値を超過していた区間のある列車が存在する旨の所定の警告及び閾値を超過していた列車の列車番号及び超過区間に係る情報を表示させる(ステップS3-9)。
なお、ステップS3-7において閾値を超過していた区間のある列車が存在しなかった場合には、ステップS3-8及びステップS3-9の工程を経ることなく、ステップS3-10へと進むこととなる。
【0066】
続いて、データ分析サーバ1においては、制御部11が、ステップS3-6において算出した、座席管理データ取得部5によって所持するチケットに係る情報が取得された乗客の人数と、車両荷重データD1に基づいて推定された乗車人数との差に係る情報を用いて、列車における乗務員の人員配置、すなわち列車における将来の乗務員の乗務区間及び/又は区間別の乗務人数に係る情報を含む業務計画を作成する(ステップS3-10)。
【0067】
具体的には、本実施形態における列車の乗客には、例えば、列車の乗車に要するチケットの発行を受けたICカード、携帯端末(スマートフォン等)等を所持しており、着席時に座席管理データ取得部5により所持するチケットに係る情報を取得できる乗客と、このようなチケットを所持していない、例えば、車内でのチケットの購入を希望する乗客や、磁気券等の座席管理データ取得部5により所持するチケットに係る情報を取得できないチケットの所持者等の、乗務員によるチケットの確認や販売等を要する乗客と、がいるところ、ステップS3-6において算出した座席管理データ取得部5によって所持するチケットに係る情報が取得された乗客の人数と、車両荷重データD1に基づいて推定された乗車人数との差が大きい区間程、座席管理データ取得部5により所持するチケットに係る情報を取得できず、乗務員によるチケットの確認や販売等を要する乗客が多いことが推定される。
【0068】
したがって、例えば、制御部11は、各列車につき、座席管理データ取得部5によって所持するチケットに係る情報が取得された乗客の人数と、車両荷重データD1に基づいて推定された乗車人数との差が所定の閾値より大きい区間に乗務員を配置するようにして、乗務員の人員配置につき決定する。この際の閾値としては、ステップS3-7における警告の送信のための閾値と同様の値を用いてもよいし、別個設定した閾値を用いてもよい。
【0069】
また、配置する乗務員の人数も、各列車につき、座席管理データ取得部5によって所持するチケットに係る情報が取得された乗客の人数と、車両荷重データD1に基づいて推定された乗車人数との差が大きい区間程配置する人数が多くなるようにして決定するようにしてもよい。
この場合、例えば、上記差が、10%未満の区間については0人、10%以上20%未満の区間については1人、20%以上の区間には2人といった形で、乗務員の人員配置を決定する。
【0070】
また、例えば、各列車における乗務員の乗務区間毎の乗務時間と乗務区間毎の車内におけるチケットの販売額の対応関係に係る情報をさらに用いて、乗務時間ごとのチケットの販売額が最大となる区間に乗務員を配置するようにして、乗務員の配置を決定するようにしてもよい。
この際には、全区間に乗務員を乗車させることなく、多少のチェック漏れが生じることを許容しつつ、最も費用対効果の高い区間に乗務員を配置することを念頭に、乗務員の配置を決定することとなる。
【0071】
また、乗務員は、ある方向へと走行する列車に乗車の上、ある区間において乗務を行った場合、それと反対方向へと走行する列車に乗車の上、同一の区間において乗務を行いつつ戻ることが必要となる。
そこで、乗務員の行きと帰りとの両者を合わせて、乗務時間ごとのチケットの販売額が最大となるようにして、乗務員の配置を決定するようにしてもよい。
【0072】
ステップS3-10において、乗務員の人員配置に係る情報を含む業務計画を作成すると、制御部11は、通信部13から通信ネットワークNを介して、当該業務計画に係る情報を担当者端末6へと送信し(ステップS3-11)、通信部63によってこれを受信した担当者端末6においては、制御部61が、表示部64に、当該業務計画を表示させる(ステップS3-12)。
【0073】
[第3 効果の説明]
次に、本実施形態に係る列車人員配置支援システム100の効果について説明する。
【0074】
上記のように、列車の乗客には、例えば、列車の乗車に要するチケットの発行を受けたICカード、携帯端末(スマートフォン等)等を所持しており、座席管理データ取得部5により所持するチケットに係る情報を取得できる乗客と、このようなチケットを所持していない、乗務員によるチケットの確認や販売等を要する乗客と、がいるところ、この場合、前者については、特に乗務員による確認や販売等の作業を要しないことから、乗務員の配置は、後者の人数の多寡に応じて決定することが好ましい。
【0075】
そして、このような乗務員によるチケットの確認や販売等を要する乗客の人数は、座席管理データ取得部5によって所持するチケットに係る情報が取得された乗客の人数と、車両荷重データD1に基づいて推定された乗車人数との差とほぼ一致し、また、同一の列車番号の列車の同一の区間であれば、このような差の大きさは、多少の変動はあっても、同一の傾向となることが推定される。
【0076】
この点、本実施形態に係る列車人員配置支援システム100によれば、データ分析サーバ1において、各列車の各区間につき、座席管理データD2から分かる座席管理データ取得部5によって所持するチケットに係る情報が取得された乗客の人数と、車両荷重データD1に基づいて推定された乗車人数との差が算出されることから、このような差に基づいて、将来の各列車の各区間につき、乗務員によるチケットの確認や販売等を要する乗客の数を予測することが可能となる。
これにより、例えば、このような予測に従って乗務員を配置することにより、上記のように、列車内において一部の乗客について自動的に所持するチケットに係る情報を取得でき、その他の乗客について乗務員によるチケットの確認や販売等を要する場合においても、適切に乗務員を配置することが可能となる。
【0077】
また、座席管理データ取得部5によって所持するチケットに係る情報が取得された乗客の人数と、車両荷重データD1に基づいて推定された乗車人数との差が所定の閾値を超過していた区間のある列車が存在する場合に、データ分析サーバ1から、担当者端末6へと警告が送信されることから、鉄道事業者における乗務員の人員配置を行う担当者は、上記超過区間につき認識の上、例えば、このような区間につき乗務員を増加させるようにして、将来の乗務員配置を見直すことが可能となる。
【0078】
また、座席管理データ取得部5によって所持するチケットに係る情報が取得された乗客の人数と、車両荷重データD1に基づいて推定された乗車人数との差に係る情報を用いて、データ分析サーバ1において、列車における乗務員の人員配置、すなわち列車における将来の乗務員の乗務区間及び/又は区間別の乗務人数に係る情報を含む業務計画を作成することによって、鉄道事業者における乗務員の人員配置を行う担当者は、逐一人員配置を決定せずとも、自動的に適切な人員配置に係る情報を取得することが可能となる。
【0079】
また、列車の乗車人数の推定が、列車に設置された車両荷重データ取得部4によって取得された各列車の各区間における車両荷重データD1に係る重量を、乗客一人当たりの重量として予め定めた所定の重量で除算することによってなされることで、列車において重量に係る情報を取得するのみで、容易に乗車人数を推定することが可能となる。
【0080】
また、乗客による座席管理データ取得部5のタッチセンサへのチケットの発行を受けたICカード、携帯端末(スマートフォン等)等によるタッチ操作時に、座席管理データ取得部5により、当該ICカード、携帯端末(スマートフォン等)等に記憶された情報を読み取ることで、乗客の所持するチケットに係る情報についても、容易に取得することが可能となる。
【0081】
[第4 変形例]
次に、本実施形態に係る列車人員配置支援システム100の変形例について説明する。
【0082】
[1 変形例1:リアルタイムに乗務員の不足につき警告する場合]
上記実施形態においては、過去の所定の期間において取得された車両荷重データD1及び座席管理データD2を一括して用いて、閾値を超過していた区間のある列車が存在した場合の警告や、将来の乗務員の人員配置の決定等を行う場合について説明したが、これとは異なり、リアルタイムに車両荷重データD1及び座席管理データD2に基づいて乗務員の不足につき警告するようにしてもよい。したがって、本発明における列車の区間毎の乗客の人数の推定や、列車の区間毎の乗客の人数の推定結果と所持するチケットに係る情報が取得された乗客の人数との差の算出等には、実施態様に応じて、過去のデータに基づいて行う場合と、リアルタイムにデータを取得して行う場合と、の両者が含まれることとなる。
【0083】
この場合、各列車に設置された車両荷重データ取得部4は、各区間において車両荷重データD1を取得する度に、即座に車両荷重データサーバ2へと送信するようにし、車両荷重データサーバ2においては、車両荷重データD1を車両荷重データ取得部4から取得する度に、即座にデータ分析サーバ1へと送信するようにする。
また、各列車に設置された座席管理データ取得部5は、座席管理データD2を取得する度に、即座に座席管理データサーバ3へと送信するようにし、座席管理データサーバ3においては、座席管理データD2を座席管理データ取得部5から取得する度に、即座にデータ分析サーバ1へと送信するようにする。
【0084】
通信部13によって、ある列車(この場合、列車番号が共通する列車を一括して扱うのではなく、個々の列車を意味する。したがって、本発明における「列車」には、実施態様に応じて、列車番号が共通する列車を一括して扱う場合と、個々の列車を個別に扱う場合と、の両者が含まれることとなる。)のある区間に係る車両荷重データD1を取得したデータ分析サーバ1においては、制御部11が、車両荷重データD1に基づき当該列車の当該区間における乗車人数を推定の上、これと、この時点までに受信した座席管理データD2から分かる、当該列車の当該区間における、チケットの発行を受けたICカード、携帯端末(スマートフォン等)等による座席管理データ取得部5のタッチセンサへのタッチ操作を行った乗客の乗車人数と、の差を算出し、当該差が所定の閾値を超過していないかにつき判定する。
【0085】
上記の差が所定の閾値を超過している場合、制御部11は、通信部13から通信ネットワークNを介して、現在閾値を超過している列車が存在する旨の所定の警告並びに閾値を超過している列車及び超過区間に係る情報を、担当者端末6へと送信し、通信部63によってこれを受信した担当者端末6においては、制御部61が、表示部64に、閾値を超過している列車が存在する旨の所定の警告並びに閾値を超過している列車及び超過区間に係る情報を表示させる。
【0086】
この場合、担当者端末6を使用する人員配置の担当者は、リアルタイムに、座席管理データ取得部5によって所持するチケットに係る情報が取得された乗客の人数と、車両荷重データD1に基づいて推定された乗車人数との差が所定の閾値を超える列車、すなわち、乗務員によるチケットの確認や販売等を要する乗客が多いことが予測される列車の発生につき知ることができることから、当該列車につき臨時に乗務員を増員させる等の処置を行うことが可能となる。
【0087】
[2 変形例2:列車の乗客への情報提供]
変形例1において説明したように、データ分析サーバ1においてリアルタイムに取得した車両荷重データD1に基づき推定した列車及び区間毎の乗車人数の推定値及び/又はリアルタイムに取得した座席管理データD2に基づく、チケットの発行を受けたICカード、携帯端末(スマートフォン等)等による座席管理データ取得部5のタッチセンサへのタッチ操作を行った乗客の列車及び区間毎の乗車人数に係る情報を、制御部11が、通信部13から通信ネットワークNを介して、例えば駅に設置された電光掲示板に送信して表示させたり、所定のアプリケーションをダウンロードした乗客が使用する携帯端末(スマートフォン等)等の端末に送信して表示させたりすることで、列車の混雑状況につき、列車に乗車する前の乗客に通知するようにしてもよい。
【0088】
この場合、乗客は、乗車前に、車両荷重データD1に基づき推定した列車及び区間毎の乗車人数の推定値及び/又は座席管理データD2に基づく、列車及び区間毎の座席管理データ取得部5によって所持するチケットに係る情報が取得された乗客の乗車人数に係る情報に基づき、列車の混雑状況につき予め情報を得た上で、例えば、空いている列車を選択して乗車するといったことが可能となる。
【0089】
[3 変形例3:混雑状況に応じたチケットの販売価格の決定]
データ分析サーバ1において、過去の所定期間において取得した車両荷重データD1に基づき推定した列車及び区間毎の乗車人数の推定値及び/又は過去の所定期間において取得した座席管理データD2に基づく、チケットの発行を受けたICカード、携帯端末(スマートフォン等)等による座席管理データ取得部5のタッチセンサへのタッチ操作を行った乗客の列車及び区間毎の乗車人数に係る情報に基づいて、将来のチケットの販売価格につき決定するようにしてもよい。
【0090】
具体的には、データ分析サーバ1の制御部11が、過去の所定期間において取得した車両荷重データD1に基づき推定した列車及び区間毎の乗車人数の推定値及び/又は過去の所定期間において取得した座席管理データD2に基づく、チケットの発行を受けたICカード、携帯端末(スマートフォン等)等による座席管理データ取得部5のタッチセンサへのタッチ操作を行った乗客の列車及び区間毎の乗車人数に係る情報に基づき、各列車番号に係る列車の区間毎の乗車人数の多寡につき判定の上、例えば、乗客の乗車人数の多い列車程チケットの価格が高くなるようする、乗客の乗車人数の多い区間程チケットの価格が高くなるようにする等の方法によりチケットの価格を設定の上、当該価格に係る情報を、通信部13から通信ネットワークNを介して、担当者端末6へと送信するようにする。
これによって、列車及び/又は区間別の需要の予測に基づき、適切にチケットの販売価格を設定することが可能となる。
【0091】
[4 変形例4:列車の車内販売における仕入れ量の調整]
列車の社内においては、飲料や食料品等の車内販売が行われる場合があるところ、データ分析サーバ1において、過去の所定期間において取得した車両荷重データD1に基づき推定した列車及び区間毎の乗車人数の推定値及び/又は過去の所定期間において取得した座席管理データD2に基づく、チケットの発行を受けたICカード、携帯端末(スマートフォン等)等による座席管理データ取得部5のタッチセンサへのタッチ操作を行った乗客の列車及び区間毎の乗車人数に係る情報に基づいて、将来の車内販売における仕入れ量(車内販売のために列車内に持ち込まれる商品の量)につき決定するようにしてもよい。
【0092】
具体的には、データ分析サーバ1の制御部11が、過去の所定期間において取得した車両荷重データD1に基づき推定した列車及び区間毎の乗車人数の推定値及び/又は過去の所定期間において取得した座席管理データD2に基づく、チケットの発行を受けたICカード、携帯端末(スマートフォン等)等による座席管理データ取得部5のタッチセンサへのタッチ操作を行った乗客の列車及び区間毎の乗車人数に係る情報に基づき、各列車の区間毎の乗車人数の多寡につき判定の上、例えば、乗客の乗車人数の多い列車程商品の仕入れ量が多くなるようする、乗客の乗車人数の多い区間程商品の仕入れ量が多くなるようにする等の方法により車内販売用の商品の仕入れ量を決定の上、当該仕入れ量に係る情報を、通信部13から通信ネットワークNを介して、担当者端末6へと送信するようにする。
これによって、列車及び/又は区間別の需要の予測に基づき、適切に車内販売における商品の仕入れ量を設定することが可能となる。
【0093】
[5 変形例5:座席管理データの取得方法の変更]
上記実施形態においては、座席管理データD2を、列車に設置された座席管理データ取得部5において取得する場合につき説明したが、座席管理データD2の取得方法はこれに限られない。
例えば、一部の座席のみが指定席である列車について、窓口や券売機での指定席券の販売状況や、改札通過時に読み取った指定席に係る情報を基にして座席管理データD2を取得し、このような座席管理データD2と、車両荷重データD1に基づいて推定された全乗車人数との差を算出することで、予め指定席券を購入することなく乗車し、指定席以外に乗車している乗客の数を、乗務員によるチケットの確認や販売等を要する乗客の数として求めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0094】
100 列車人員配置支援システム
1 データ分析サーバ
11 制御部(推定手段、算出手段、通知手段、人員配置決定手段、情報提供手段、チケット販売価格決定手段、仕入量決定手段)
12 記憶部
13 通信部
2 車両荷重データサーバ
3 座席管理データサーバ
4 車両荷重データ取得部(重量情報取得手段)
5 座席管理データ取得部(チケット情報取得手段)
6 担当者端末(端末)
N 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5