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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 1/14 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
F16C1/14 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020159923
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022053225
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】時政 秀典
(72)【発明者】
【氏名】西村 淳史
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-128131(JP,U)
【文献】実開平03-096421(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 1/00-1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルエンドを有するケーブルと、
前記ケーブルエンドが連結され、前記ケーブルの操作時に動作する連結部材と、
前記連結部材が動作可能に設けられる基部と
を備えた操作装置であって、
前記連結部材は、前記ケーブルエンドが接続される接続部を備え、
前記接続部は、前記ケーブルエンドが接続されたときに前記ケーブルエンドの一部と対向する連結部材側対向面を有し、
前記連結部材の前記連結部材側対向面は、前記連結部材が前記ケーブルから所定以上の負荷が加わった所定の負荷状態になったときに、前記ケーブルから負荷が加わっていない無負荷状態のときの前記連結部材側対向面の位置である基準面に対して、所定の傾斜角で傾斜するように、前記基部に対して設けられ、
前記ケーブルエンドは、前記連結部材側対向面と対向するケーブルエンド側対向面を有し、
前記連結部材側対向面または前記ケーブルエンド側対向面は、前記連結部材が前記基準面に対して傾斜したときに、前記連結部材側対向面と前記ケーブルエンド側対向面とが干渉しないように構成され、
前記ケーブルエンド側対向面が、前記連結部材が傾斜する方向と同じ方向に傾斜した傾斜面を有し、
前記傾斜面の前記基準面に対する角度は、前記連結部材が前記無負荷状態から前記所定の負荷状態となった際に傾斜するときの前記所定の傾斜角以上である、操作装置。
【請求項2】
前記基部は、前記連結部材の回転軸となる軸部を備え、
前記軸部は、前記軸部の軸方向に沿って延びるスリットにより互いに分離された複数の軸部材を備え、
前記所定の負荷状態において、前記軸部材が前記連結部材から力を受けて、前記軸部材の基端部に対して先端部が、前記軸部の径方向内側に撓むことによって、前記軸部に取り付けられた前記連結部材が傾斜する、請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記操作装置がさらに、
前記ケーブルによって前記連結部材が操作されると、前記連結部材を介して操作される第2ケーブルおよび第3ケーブルを備え、
前記第2ケーブルの第2ケーブルエンドは、前記連結部材において、前記軸部を挟んで前記ケーブルのケーブルエンドの反対側に取り付けられ、
前記第3ケーブルの第3ケーブルエンドは、前記連結部材において、前記ケーブルのケーブルエンドと、前記連結部材の回転方向で同じ位置に取り付けられ、前記ケーブルのケーブルエンドと前記第3ケーブルの第3ケーブルエンドとは、前記軸部の軸方向に並ぶように設けられている、請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
ケーブルエンドを有するケーブルと、
前記ケーブルエンドが連結され、前記ケーブルの操作時に動作する連結部材と、
前記連結部材が動作可能に設けられる基部と
を備えた操作装置であって、
前記連結部材は、前記ケーブルエンドが接続される接続部を備え、
前記接続部は、前記ケーブルエンドが接続されたときに前記ケーブルエンドの一部と対向する連結部材側対向面を有し、
前記連結部材の前記連結部材側対向面は、前記連結部材が前記ケーブルから所定以上の負荷が加わった所定の負荷状態になったときに、前記ケーブルから負荷が加わっていない無負荷状態のときの前記連結部材側対向面の位置である基準面に対して、所定の傾斜角で傾斜するように、前記基部に対して設けられ、
前記ケーブルエンドは、前記連結部材側対向面と対向するケーブルエンド側対向面を有し、
前記連結部材側対向面または前記ケーブルエンド側対向面は、前記連結部材が前記基準面に対して傾斜したときに、前記連結部材側対向面と前記ケーブルエンド側対向面とが干渉しないように構成され、
前記基部は、前記連結部材の回転軸となる軸部を備え、
前記軸部は、前記軸部の軸方向に沿って延びるスリットにより互いに分離された複数の軸部材を備え、
前記所定の負荷状態において、前記軸部材が前記連結部材から力を受けて、前記軸部材の基端部に対して先端部が、前記軸部の径方向内側に撓むことによって、前記軸部に取り付けられた前記連結部材が傾斜する、操作装置。
【請求項5】
ケーブルエンドを有するケーブルと、
前記ケーブルエンドが連結され、前記ケーブルの操作時に動作する連結部材と、
前記連結部材が動作可能に設けられる基部と
を備えた操作装置であって、
前記連結部材は、前記ケーブルエンドが接続される接続部を備え、
前記接続部は、前記ケーブルエンドが接続されたときに前記ケーブルエンドの一部と対向する連結部材側対向面を有し、
前記連結部材の前記連結部材側対向面は、前記連結部材が前記ケーブルから所定以上の負荷が加わった所定の負荷状態になったときに、前記ケーブルから負荷が加わっていない無負荷状態のときの前記連結部材側対向面の位置である基準面に対して、所定の傾斜角で傾斜するように、前記基部に対して設けられ、
前記ケーブルエンドは、前記連結部材側対向面と対向するケーブルエンド側対向面を有し、
前記連結部材側対向面または前記ケーブルエンド側対向面は、前記連結部材が前記基準面に対して傾斜したときに、前記連結部材側対向面と前記ケーブルエンド側対向面とが干渉しないように構成され、
前記連結部材側対向面が傾斜面を有するか、または、前記連結部材側対向面および前記ケーブルエンド側対向面の両方が傾斜面を有し、
i)前記連結部材側対向面が前記傾斜面を有する場合、前記傾斜面は、前記連結部材が傾斜する方向と反対の方向に傾斜し、前記傾斜面の前記基準面に対する角度は、前記連結部材が前記無負荷状態から前記所定の負荷状態となった際に傾斜するときの前記所定の傾斜角以上であり、
ii)前記ケーブルエンド側対向面および前記連結部材側対向面の両方が前記傾斜面を有する場合、前記ケーブルエンド側対向面の前記傾斜面は、前記連結部材が傾斜する方向と同じ方向に傾斜し、前記連結部材側対向面の前記傾斜面は、前記連結部材が傾斜する方向と反対の方向に傾斜し、前記ケーブルエンド側対向面の前記傾斜面および前記連結部材側対向面の前記傾斜面は、前記連結部材が傾斜したときに、前記ケーブルエンド側対向面の前記傾斜面と前記連結部材側対向面の前記傾斜面とが干渉しない所定の傾斜角で傾斜している、操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フードロック装置のロックをケーブルによって解除するケーブル装置が開示されている。この特許文献1のケーブル装置は、フードロックのロック解除操作を行うフードオープナーと、2つのフードロック装置等である第1装置および第2装置のそれぞれに一端が接続された第1ケーブルおよび第2ケーブルと、操作装置に一端が接続された第3ケーブルと、これら3つのケーブルの他端が接続されたプーリとを備えている。プーリはハウジングに回転可能に軸支されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102008034770号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のプーリのように、ケーブルのケーブルエンドが接続された部材は、ケーブルに所定以上の張力が加わったときに、正常状態(ケーブルに所定以上の張力が加わる前の状態)に対して傾いてしまう場合がある。例えば、プーリを回転軸に取り付ける際に、回転軸が弾性変形することでプーリと回転軸とがスナップフィット接続される場合、ケーブルに所定以上の力が加わったときに、回転軸の変形によってプーリが正常状態に対して傾斜してしまう可能性がある。
【0005】
プーリ等の、ケーブルエンドが接続された部材(以下、連結部材という)が正常状態に対して傾くと、ケーブルエンドの形状によっては、連結部材に収容されたケーブルエンドも連結部材の傾きに応じて傾いてしまう場合がある。連結部材の傾きに応じてケーブルエンドが傾いてしまうと、ケーブルエンドの近傍において、ケーブルの曲げ変形が生じる。この曲げ変形が繰り返し生じると、ケーブルエンドの近傍において、ケーブルが疲労折損する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、ケーブルが接続された連結部材の傾きに起因したケーブルエンドの傾きを抑制し、ケーブルエンドの傾きに伴うケーブルの曲げ変形によってケーブルが疲労折損することを抑制することが可能な操作装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ケーブルエンドを有するケーブルと、前記ケーブルエンドが連結され、前記ケーブルの操作時に動作する連結部材と、前記連結部材が動作可能に設けられる基部とを備えた操作装置であって、前記連結部材は、前記ケーブルエンドが接続される接続部を備え、前記接続部は、前記ケーブルエンドが接続されたときに前記ケーブルエンドの一部と対向する連結部材側対向面を有し、前記連結部材の前記連結部材側対向面は、前記連結部材が前記ケーブルから所定以上の負荷が加わった所定の負荷状態になったときに、前記ケーブルから負荷が加わっていない無負荷状態のときの前記連結部材側対向面の位置である基準面に対して、所定の傾斜角で傾斜するように、前記基部に対して設けられ、前記ケーブルエンドは、前記連結部材側対向面と対向するケーブルエンド側対向面を有し、前記連結部材側対向面または前記ケーブルエンド側対向面は、前記連結部材が前記基準面に対して傾斜したときに、前記連結部材側対向面と前記ケーブルエンド側対向面とが干渉しないように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の操作装置によれば、ケーブルが接続された連結部材の傾きに起因したケーブルエンドの傾きを抑制し、ケーブルエンドの傾きに伴うケーブルの曲げ変形によってケーブルが疲労折損することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】連結部材が初期位置に位置する状態を示す、本発明の一実施形態の操作装置の上面図である。
図2図1に示される状態から、ケーブルによって連結部材が作動位置まで移動した状態を示す、本発明の一実施形態の操作装置の上面図である。
図3図1に示される操作装置の分解斜視図である。
図4】(A)は、図1の操作装置に用いられるケーブルエンドの側面図であり、(B)は、(A)のケーブルエンドの正面図であり、(C)は、(A)のケーブルエンドの底面図である。
図5図1の操作装置に用いられる基部の斜視図である。
図6】(A)は、図1の操作装置に用いられる連結部材の、上面側が示された斜視図であり、(B)は、(A)の連結部材の、底面側が示された斜視図である。
図7】連結部材が無負荷状態のときの連結部材および基部を示す概略断面図である。
図8】連結部材にケーブルから負荷が加わり、連結部材が傾斜したときの連結部材および基部を示す概略断面図である。
図9】連結部材が傾斜した状態における、連結部材側対向面およびケーブルエンド側対向面を示す、図8の部分拡大図である。
図10】操作装置の変形例を示す図である。
図11】本発明の構成を有していないケーブルエンドおよび連結部材を有する参考例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の操作装置を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明の操作装置は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
図1図3に示されるように、本実施形態の操作装置1は、ケーブルエンド21aを有するケーブル21と、ケーブルエンド21aが連結され、ケーブル21の操作時に動作する連結部材3と、連結部材3が動作可能に設けられる基部4とを備えている。
【0012】
操作装置1は、ケーブル21を操作することで、ケーブルエンド21aを介して連結部材3を動作させることによって、図示しない所定の操作対象を操作する。操作装置1の構造は、ケーブル21を操作することで、ケーブルエンド21aを介して連結部材3を動作させることによって、所定の操作対象を操作することができれば、特に限定されない。
【0013】
本実施形態では、操作装置1は、図1および図2に示されるように、ケーブル21の操作によって連結部材3が回転動作するように構成されているが、ケーブル21の操作によって連結部材3が直線動作する(例えば、ケーシングとして構成された基部の内部をケーブルが連結されたスライダ(連結部材)が直線移動する)ように構成されていてもよい。
【0014】
本実施形態では、操作装置1は、図1および図2に示されるように、ケーブル21によって連結部材3を動作させることで、連結部材3に接続された従動部材(本実施形態では、第2ケーブル22、第3ケーブル23)を操作して、従動部材によって操作対象を操作するように構成されている。連結部材3に接続される従動部材の構造は、連結部材3の動作によって従動部材が動作するものであれば特に限定されない。従動部材は、ケーブルであってもよいし、ロッド等他の構造を有していてもよい。また、従動部材の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。本実施形態では、従動部材はケーブルである。具体的には、操作装置1は、図1図3に示されるように、ケーブル(第1ケーブル)21によって連結部材3が操作されると、連結部材3を介して操作される第2ケーブル22および第3ケーブル23を備えている。
【0015】
図1に示されるように、第2ケーブル22の第2ケーブルエンド22aは、連結部材3において、後述する軸部41を挟んでケーブル21のケーブルエンド(第1ケーブルエンド)21aの反対側に取り付けられている。第3ケーブル23の第3ケーブルエンド23aは、連結部材3において、ケーブル21のケーブルエンド21aと、連結部材3の回転方向で同じ位置に取り付けられ、ケーブル21のケーブルエンド21aと第3ケーブル23の第3ケーブルエンド23aとは、軸部41の軸X(図3参照)方向に並ぶように設けられている。
【0016】
なお、操作装置1の操作対象は、ケーブル21を操作することで、ケーブルエンド21aを介して連結部材3を動作させることにより操作されるものであれば、特に限定されない。本実施形態では、第2ケーブル22および第3ケーブル23は、それぞれ別々の操作対象に接続され、ケーブル21の操作に連動して、別々の操作対象を操作できるように構成されている。具体的には、ケーブル21は、ケーブルエンド21aとは反対側の端部(ケーブルエンド21b)にケーブル21を操作する操作部(図示せず)を有している。ケーブル21が操作部によって引き操作されると、連結部材3が軸部41の軸X周りに回転して、第2ケーブル22および第3ケーブル23が操作される。これにより、第2ケーブル22および第3ケーブル23のそれぞれによって、別々の操作対象が操作される。
【0017】
操作装置1が適用される用途は特に限定されないが、例えば、操作装置1は、第2ケーブル22および第3ケーブル23のそれぞれが接続された2か所のロック部を有する車両のエンジンフードのフードオープナーや、2か所のロック部を有するシートのリクライニング機構等のロック解除機構に適用することができる。
【0018】
以下、本実施形態の操作装置1の各構成を説明するが、以下の説明によって、本発明の操作装置が限定されるものではない。
【0019】
ケーブル21は、ケーブル21が操作されることにより、連結部材3にケーブルエンド21aを介して操作力を加える。ケーブル21は、図1および図2に示されるように、ケーブル本体21cと、ケーブル本体21cの一端に設けられたケーブルエンド21aと、ケーブル本体21cの他端に設けられたケーブルエンド21bとを備えている。本実施形態では、ケーブル本体21cの一端に設けられたケーブルエンド21aは、連結部材3に接続されている。また、ケーブル本体21cの他端に設けられたケーブルエンド21bは、ケーブル21を操作する操作部(図示せず)に接続されている。なお、ケーブル21を操作する操作部は、レバー等の手動操作部であってもよいし、モータ等の電動操作部であってもよい。
【0020】
ケーブル21の構造は、ケーブルエンド21aを介して連結部材3に操作力を加えることができれば、特に限定されない。例えば、ケーブル21は、公知のコントロールケーブルのインナーケーブルとすることができる。本実施形態では、図1図3に示されるように、ケーブル21は、アウターケーシングOC1に収容されており、操作装置1の取付対象(例えば車両等)において、所定の配索経路で配索される。アウターケーシングOC1の一端は基部4に取り付けられ、他端は操作部側に取り付けられる。
【0021】
ケーブルエンド21bは、ケーブル21を所定の方向に操作するように操作部によって操作される。ケーブルエンド21bの形状や構造は特に限定されず、任意の形状および構造とすることができる。
【0022】
ケーブルエンド21aは、連結部材3に接続されて、連結部材3にケーブル21の操作力を伝達する。ケーブルエンド21aの形状および構造は、後述するように、連結部材3が傾斜したときに、後述する連結部材側対向面Faとケーブルエンド側対向面Fbとが干渉しないように構成されていれば、特に限定されない。ケーブルエンド21aは、図示した形状の他、ケーブルエンド21aのケーブルエンド側対向面Fbに平坦面(必要に応じて傾斜面)を有する、略円柱状のケーブルエンド、略多角形状のケーブルエンドなど、ケーブルエンド側対向面Fbに平坦面を有しているケーブルエンドであることが好ましい。
【0023】
本実施形態では、ケーブルエンド21aは、連結部材3からの離脱を抑制するために、鍵型構造を有している。具体的には、ケーブルエンド21aは、図4(A)~(C)に示されるように、ケーブル本体21cが接続されるケーブルエンド基端部Bと、ケーブルエンド基端部Bに対してケーブル21の延在方向に対して垂直に延び、ケーブルエンド基端部Bよりも一回り小さい首部Nと、首部Nからケーブルエンド基端部Bとは反対側に延び、首部Nの外周に対して外側に部分的に突出したケーブルエンド先端部Tとを有している。ケーブルエンド基端部Bは、扁平な略円柱状に形成されている。首部Nは、ケーブルエンド基端部Bよりも外径が小さい、ケーブルエンド基端部Bと同軸上に設けられた細径の略円柱状に形成されている。ケーブルエンド先端部Tは、断面が略長円形状の柱状に形成されている。なお、ケーブルエンド基端部Bおよびケーブルエンド先端部Tには、図4(A)~(C)に示されるように、後述する傾斜面Fb11、Fb21が設けられている。
【0024】
第2ケーブル22は、ケーブル21によって連結部材3が動作することにより、連結部材3によって操作される。第2ケーブル22は、図1および図2に示されるように、ケーブル本体22cと、ケーブル本体22cの一端に設けられたケーブルエンド(第2ケーブルエンド)22aと、ケーブル本体22cの他端に設けられたケーブルエンド22bとを備えている。本実施形態では、ケーブル本体22cの一端に設けられたケーブルエンド22aは、連結部材3に接続されている。また、ケーブル本体22cの他端に設けられたケーブルエンド22bは、図示しない操作対象に接続されている。
【0025】
第2ケーブル22の構造は特に限定されず、例えば、第2ケーブル22は、公知のコントロールケーブルのインナーケーブルとすることができる。本実施形態では、図1図3に示されるように、第2ケーブル22は、アウターケーシングOC2に収容されており、操作装置1の取付対象(例えば車両等)において、アウターケーシングOC2により所定の配索経路で配索される。アウターケーシングOC2の一端は基部4に取り付けられ、他端は操作対象側に取り付けられる。なお、ケーブルエンド22a、22bの形状および構造は特に限定されず、公知の形状とすることができる。ケーブルエンド22aの構造は、ケーブルエンド21aの構造と同様であってもよい。
【0026】
第3ケーブル23は、ケーブル21によって連結部材3が動作することにより、連結部材3によって操作される。第3ケーブル23は、図1および図2に示されるように、ケーブル本体23cと、ケーブル本体23cの一端に設けられたケーブルエンド(第3ケーブルエンド)23aと、ケーブル本体23cの他端に設けられたケーブルエンド23bとを備えている。本実施形態では、ケーブル本体23cの一端に設けられたケーブルエンド23aは、連結部材3に接続されている。また、ケーブル本体23cの他端に設けられたケーブルエンド23bは、図示しない操作対象に接続されている。
【0027】
第3ケーブル23の構造は特に限定されず、例えば、第3ケーブル23は、公知のコントロールケーブルのインナーケーブルとすることができる。本実施形態では、図1図3に示されるように、第3ケーブル23は、アウターケーシングOC3に収容されており、操作装置1の取付対象(例えば車両等)において、アウターケーシングOC3により所定の配索経路で配索される。アウターケーシングOC3の一端は基部4に取り付けられ、他端は操作対象側に取り付けられる。なお、ケーブルエンド23a、23bの形状および構造は特に限定されず、公知の形状とすることができる。ケーブルエンド23a、23bの構造は、ケーブルエンド21aの構造と同様であってもよい。
【0028】
基部4は、連結部材3が動作可能に支持される部位である。基部4の構造は、連結部材3を動作可能に設けることができれば、特に限定されない。本実施形態では、基部4は、連結部材3を収容するハウジングとして構成されている。具体的には、基部4は、図1図3および図5に示されるように、底板4aと、底板4aから立設する側壁4b、4c、4d、4eとを備えている。基部4は、図示しない蓋部材によって連結部材3を内部に収容した状態で閉鎖されるように構成される。側壁4b、4dは、アウターケーシングOC1、OC2、OC3の端部に設けられた端末部材が係合可能な係合溝G1、G2、G3を有し、アウターケーシングOC1、OC2、OC3が取り付けられる。本実施形態では、基部4は、蓋部材によって閉鎖された状態で略直方体状となるように構成されているが、基部4の形状は特に限定されない。
【0029】
基部4は、連結部材3の回転軸となる軸部41を備えている。連結部材3は、図1および図2に示されるように、軸部41の軸X周りに回転可能に軸部41に取り付けられている。なお、上述したように、連結部材は、基部4に対して直線移動可能に設けられていてもよく、基部4は、スライダとして構成された連結部材を直線移動可能に案内するように構成されていてもよい。
【0030】
軸部41は、本実施形態では、基部4の底板4aに対して略垂直な方向に延びている(図7参照)。軸部41は、連結部材3に設けられた挿通部32(図3参照)に挿通されて、連結部材3を回転可能に支持する。軸部41は、本実施形態では、軸部41の軸X方向に沿って延びるスリットSLにより互いに分離された複数の軸部材41a、41bを備えている。軸部材41a、41bは、基部4の底板4a側となる基端部411から爪部CLを有する先端部412側へと延びている。
【0031】
本実施形態では、軸部41がスリットSLにより複数の軸部材41a、41bに軸Xに垂直な方向で分離されていることにより、連結部材3が軸部41に取り付けられるときに、軸部41はスリットSLの幅が狭くなるように弾性変形することができる。連結部材3が軸部41に取り付けられた後は、スリットSLの幅が広がるように軸部材41a、41bが弾性復帰して連結部材3の離脱が抑制される。より具体的には、軸部41は、軸部材41a、41bの先端部412側に設けられた爪部CLにより、連結部材3が軸部41に取り付けられた後に、爪部CLと連結部材3の上面USとが係合して、連結部材3が離脱することがさらに抑制されている。なお、本実施形態では、軸部41は、1つのスリットSLによって分離された2つの軸部材41a、41bによって構成されているが、スリットの数や軸部材の数は特に限定されない。また、複数の軸部材41a、41bは、一体に形成されていてもよいし、別体として構成されていてもよい。
【0032】
連結部材3は、ケーブル21のケーブルエンド21aが連結され、ケーブル21の操作時に動作する。本実施形態では、連結部材3は、図1および図2に示されるように、回転動作するように構成されているが、連結部材は、回転動作以外の動作、例えば、上述したように直線動作するように構成されていてもよい。連結部材3は、ケーブル21の操作時に動作することにより、所定の操作対象を操作する。本実施形態では、連結部材3が動作したときに、連結部材3によって第2ケーブル22および第3ケーブル23が操作されて、これにより、第2ケーブル22および第3ケーブル23に接続された操作対象が操作される。
【0033】
連結部材3の形状および構造は、ケーブル21のケーブルエンド21aが連結され、ケーブル21の操作時に動作するものであれば、特に限定されない。本実施形態では、連結部材3は、ケーブルエンド21aが接続される接続部31を備えている。また、本実施形態では、連結部材3は、軸部41が挿通される挿通部32と、第2ケーブル22の第2ケーブルエンド22aが接続される第2接続部33と、第3ケーブル23の第3ケーブルエンド23aが接続される第3接続部34とを備えている。
【0034】
接続部31は、ケーブルエンド21aが接続される連結部材3の所定の領域である。接続部31は、ケーブル21が操作されたときに、ケーブルエンド21aから力を受ける係合部分に限られず、その周辺部分も含む。接続部31は、本実施形態では、ケーブルエンド21aを収容可能な内部空間を有する凹部である。本実施形態では、接続部31は、ケーブルエンド21aの首部Nおよびケーブルエンド先端部Tが接続部31の内部空間に収容され、ケーブルエンド21aのケーブルエンド基端部Bは、連結部材3の外側に位置している。接続部31は、ケーブルエンド21aのケーブルエンド先端部Tを内部空間へと収容できるように、ケーブルエンド先端部Tの形状に対応した形状を有する開口部31aを有している。本実施形態では、開口部31aは、ケーブルエンド21aのケーブルエンド先端部Tの形状と同様であり、ケーブルエンド先端部Tよりも一回り大きい長円形である。接続部31の内部空間は、連結部材3の上面USからケーブルエンド21aの首部Nに対応する大きさおよび長さで軸X方向に延びた後、軸部41の軸X方向に対して垂直な方向に広がっている。接続部31の詳細については後述する。
【0035】
挿通部32は、軸部41が挿通されるように構成されている。本実施形態では、挿通部32は、連結部材3を軸X方向に貫通する貫通孔を有している。
【0036】
第2接続部33は、第2ケーブルエンド22aを接続可能な内部空間を有している。本実施形態では、第2接続部33は、略円柱状の第2ケーブルエンド22aを収容できるように、略円柱状の内部空間を有している。第2接続部33は、図6(B)に示されるように、連結部材3の底面BSにおいて円形の開口を有している。また、第2接続部33が設けられた連結部材3の側面LSには、連結部材3が回転したときに、連結部材3からの第2ケーブル22の延在方向の変化(図1および図2参照)に対応できるように、第2ケーブル22が通過可能なケーブル通過スリット33aが設けられている。
【0037】
また、第3接続部34は、第3ケーブルエンド23aを接続可能な内部空間を有している。本実施形態では、第3接続部34は、略円柱状の第3ケーブルエンド23aを収容できるように、略円柱状の内部空間を有している。第3接続部34は、図6(B)に示されるように、連結部材3の底面BSにおいて円形の開口を有している。また、第3接続部34が設けられた連結部材3の側面LSには、連結部材3が回転したときに、連結部材3からの第3ケーブル23の延在方向の変化(図1および図2参照)に対応できるように、第3ケーブル23が通過可能なケーブル通過スリット34aが設けられている。なお、第2接続部33および第3接続部34の形状および構造は、第2ケーブルエンド22a、第3ケーブルエンド23aを係合することができれば、特に限定されない。
【0038】
連結部材3の全体形状は特に限定されないが、本実施形態では、連結部材3は、軸部41に取り付けられた状態で、挿通部32から軸部41の軸X方向に垂直な一方の方向に延びる第1部分3aと、挿通部32から軸X方向に垂直な他方の方向(第1部分3aと反対方向)に延びる第2部分3bとを備えている。第1部分3aおよび第2部分3bは、本実施形態では、図1および図2に示されるように、連結部材3を軸部41の軸X方向に見たときに、直線状となるように延びている。なお、連結部材3は、プーリ等の円形形状であってもよいし、扇形状であってもよい。
【0039】
本実施形態では、図6(A)、(B)および図7に示されるように、第1部分3aには、接続部31および第3接続部34が軸部41の軸X方向に並んで設けられている。また、第2部分3bには第2接続部33が設けられている。第1部分3aは、2つの接続部31、34が設けられるため、第2部分3bと比較して軸部41の軸X方向に厚くなっている。なお、第2接続部33および第3接続部34は、軸部41の軸X方向でほぼ同じ位置(底板4aの表面からの距離がほぼ同じ位置)に設けられ、接続部31は、第2接続部33および第3接続部34とは、軸部41の軸X方向で異なる位置(底板4aの表面からより離れた位置)に設けられている。
【0040】
連結部材3は、本実施形態では、付勢部材5(図3参照)により連結部材3の回転方向で一方の方向に付勢されている。具体的には、連結部材3は、ケーブル21により操作される前は、付勢部材5に付勢されて初期位置(図1参照)で保持されるように構成されている。なお、付勢部材5の構造は特に限定されないが、本実施形態では一端が連結部材3に取り付けられ、他端が基部4に取り付けられたトーションバネである。
【0041】
本実施形態では、図1に示される初期位置において、ケーブル21が操作されると、連結部材3が接続部31に接続されたケーブルエンド21aから力を受けて、軸X周りに(図1において時計回りに)回転する(図2参照)。図1の初期位置から図2の作動位置まで連結部材3が軸X周りに回転すると、第2ケーブル22が連結部材3側に引き操作され、第3ケーブル23も連結部材3側に引き操作される。これにより、1つのケーブル21の操作によって2つの第2ケーブル22および第3ケーブル23が操作され、2つの操作対象が操作される。
【0042】
次に、連結部材3の接続部31およびケーブルエンド21aの詳細について説明する。
【0043】
接続部31は、図7に示されるように、ケーブルエンド21aが接続されたときにケーブルエンド21aの一部と対向する連結部材側対向面Faを有している。また、ケーブルエンド21aは、図7に示されるように、連結部材側対向面Faと対向するケーブルエンド側対向面Fbを有している。
【0044】
連結部材側対向面Faは、ケーブルエンド21aの一部、すなわち、ケーブルエンド側対向面Fbと対向する部分である。なお、本明細書において、「対向」とは、互いに接触しながら対向するものであってもよいし、後述する傾斜面Fb11、Fb21との対向のように、わずかな間隔をあけて対向するものであってもよい。連結部材側対向面Faは、ケーブルエンド21aのケーブルエンド側対向面Fbと任意の方向で対向し得る。本実施形態では、図7に示されるように、連結部材側対向面Faは、ケーブル21の延在方向に対して垂直な方向、より具体的には、軸部41の軸X方向(または基部4の底板4aに垂直な方向)で、ケーブルエンド側対向面Fbと対向している。
【0045】
連結部材側対向面Faは、1つの面のみで構成されていてもよいし、本実施形態のように、互いに分離した複数の面によって構成されていてもよい。本実施形態では、図7に示されるように、連結部材側対向面Faは、第1連結部材側対向面Fa1と、第2連結部材側対向面Fa2とを有している。より具体的には、第1連結部材側対向面Fa1は、後述する第1ケーブルエンド側対向面Fb1と対向する連結部材3の上面US(基部4の底板4aに対向する底面BSに対して、軸部41の軸X方向で反対側の面)である。第2連結部材側対向面Fa2は、後述する第2ケーブルエンド側対向面Fb2と対向する接続部31の凹部の底面である。なお、本実施形態では、無負荷状態で第1連結部材側対向面Fa1の一部が第1ケーブルエンド側対向面Fb1の一部(後述する平坦面Fb12)と軸部41の軸X方向で接触しており、第2連結部材側対向面Fa2の一部が第2ケーブルエンド側対向面Fb2の一部(後述する平坦面Fb22)と軸部41の軸X方向で接触している。
【0046】
本実施形態では、連結部材側対向面Faは、連結部材3に負荷が加わっていない無負荷状態で、軸部41の軸X方向に略垂直に延びる平坦面のみによって構成されているが、後述する変形例のように軸部41の軸X方向に略垂直に延びる平坦面に対して傾斜した傾斜面を有していてもよい(図10参照)。なお、連結部材側対向面Faが傾斜面を有している場合、傾斜面は平面であってもよいし、湾曲した面であってもよい。また、連結部材側対向面Faは、肉抜孔などによってその表面に部分的に凹凸を有していてもよい。
【0047】
ケーブルエンド側対向面Fbは、接続部31の一部、すなわち、連結部材側対向面Faと対向する部分である。ケーブルエンド側対向面Fbは、接続部31の連結部材側対向面Faと任意の方向で対向し得る。本実施形態では、図7に示されるように、ケーブルエンド側対向面Fbは、ケーブル21の延在方向に対して垂直な方向、より具体的には、軸部41の軸X方向(または基部4の底板4aに垂直な方向)で、連結部材側対向面Faと対向している。
【0048】
ケーブルエンド側対向面Fbは、1つの面のみで構成されていてもよいし、本実施形態のように、互いに分離した複数の面によって構成されていてもよい。本実施形態では、図7に示されるように、ケーブルエンド側対向面Fbは、第1ケーブルエンド側対向面Fb1と、第2ケーブルエンド側対向面Fb2とを有している。より具体的には、第1ケーブルエンド側対向面Fb1は、ケーブルエンド21aのケーブルエンド基端部Bのうち、第1連結部材側対向面Fa1と対向する面である。第2ケーブルエンド側対向面Fb2は、ケーブルエンド21aのケーブルエンド先端部Tのうち、第2連結部材側対向面Fa2と対向する面である。
【0049】
本実施形態では、図7に示されるように、ケーブルエンド側対向面Fbは、連結部材3に負荷が加わっていない無負荷状態で、軸部41の軸X方向に略垂直に延びる平坦面Fb12、Fb22と、平坦面Fb12、Fb22に対して傾斜した傾斜面Fb11、Fb21とを有している。しかし、ケーブルエンド側対向面Fbは、後述する変形例のように軸部41に略垂直に延びる平坦面のみで構成されていてもよい。なお、ケーブルエンド側対向面Fbが傾斜面を有している場合、傾斜面は平面であってもよいし、湾曲した面であってもよい。また、ケーブルエンド側対向面Fbは、肉抜孔などによってその表面に部分的に凹凸を有していてもよい。
【0050】
本実施形態では、連結部材3の連結部材側対向面Faは、連結部材3がケーブル21から所定以上の負荷が加わった所定の負荷状態になったときに、ケーブル21から負荷が加わっていない無負荷状態のときの連結部材側対向面Faの位置である基準面(図7参照)に対して、所定の傾斜角で傾斜するように(図8および図9参照)、基部4に対して設けられている。すなわち、連結部材3および基部4は、ケーブル21の引き操作等によって連結部材3に力が加わった場合に、連結部材3が無負荷状態に対して傾斜した姿勢となる可能性があるような構造を有している。なお、所定以上の負荷が加わった所定の負荷状態は、連結部材3が傾斜する負荷が加わった状態であり、この連結部材3が傾斜するときに加わる所定の負荷は、連結部材3や基部4の形状や構造等に応じて変化するため、特に限定されない。また、所定の傾斜角は、ケーブル21に加わる負荷等に応じて変化するため、特に限定されない。本実施形態では、ケーブル21から負荷が加わったときに、図8および図9に示されるように、連結部材3の連結部材側対向面Faにおいて、ケーブル本体21c側(ケーブル21が引かれる方向側)の基部4(底板4a)からの離間距離が、連結部材側対向面Faのうちケーブル本体21cとは反対側(ケーブル21が引かれる方向の反対側)の基部4(底板4a)からの離間距離よりも短くなるように傾斜する。連結部材3の通常の動作(図1の状態から図2の状態となるまでの動作)においては、連結部材3は、基部4(底板4a)に対してほぼ傾斜せずに(基部4の底板4aに対して平行な方向に)動作する。
【0051】
本実施形態では、所定の負荷状態において、軸部材41a、41bが連結部材3から力を受けて、軸部材41a、41bの基端部411に対して先端部412が、軸部41の径方向内側に撓むことによって、軸部41に取り付けられた連結部材3が傾斜する。具体的には、図1に示される連結部材3が無負荷状態のときの位置から所定の位置(例えば、図2に示される位置)まで移動し、この状態で操作対象のそれ以上の操作ができないとする。この状態でさらにケーブル21が引き操作されると、操作対象はほぼ動かずに連結部材3は回転できずにケーブル21の引き操作の方向に力を受ける。これにより、図8に示されるように、ケーブル21の引き操作の方向で軸部材41a、41bを有する軸部41は、連結部材3からの力によって、軸部材41a、41bの間のスリットSLの間隔が狭くなるように変形する。そのため、連結部材3の連結部材側対向面Faは、無負荷状態のときの連結部材側対向面Fa(図7参照)に対して傾斜してしまう。
【0052】
ここで、図11の参考例に示されるように、本発明の構成を有していないケーブルエンド210aおよび連結部材30の場合、ケーブルエンド210aは、連結部材30が傾斜したときに、連結部材30と対向している部分が連結部材30から力を受けて傾斜してしまう。ケーブル本体210cに張力が加わった状態でケーブルエンド210aが傾斜すると、ケーブル本体210cとケーブルエンド210aとの間の接続箇所の近傍で、図11に示されるように、ケーブル本体210cに曲げ変形が生じる。このようなケーブル本体210cの曲げ変形がケーブル210の操作の都度繰り返し生じると、ケーブル本体210cが疲労折損してしまう。
【0053】
本実施形態では、連結部材側対向面Faまたはケーブルエンド側対向面Fbは、連結部材3が基準面に対して傾斜したときに、連結部材側対向面Faとケーブルエンド側対向面Fbとが干渉しないように構成されている。ここで、連結部材側対向面Faとケーブルエンド側対向面Fbとの間の「干渉」とは、連結部材側対向面Faとケーブルエンド側対向面Fbとが、連結部材3が傾斜して姿勢が変化したときに、ケーブル本体21cとケーブルエンド21aとの間の接続箇所の近傍において、ケーブル本体21cに曲げ変形が生じるようにケーブルエンド21aの姿勢を変化させるように、連結部材側対向面Faがケーブルエンド側対向面Fbに干渉(ケーブルエンド側対向面Fbを押圧)することをいう。より具体的には、連結部材3がケーブル21から力を受けて、連結部材側対向面Faが基準面から傾斜したときに、連結部材側対向面Faの移動軌跡上にケーブルエンド側対向面Fbが位置しないように構成されていることにより、連結部材側対向面Faとケーブルエンド側対向面Fbとが干渉しないように構成されている。
【0054】
本実施形態では、図7図9に示されるように、ケーブルエンド側対向面Fbが、連結部材3が傾斜する方向と同じ方向に傾斜した傾斜面Fb11、Fb21を有する。傾斜面Fb11、Fb21の基準面(無負荷状態の連結部材側対向面Fa)に対する角度は、連結部材3が無負荷状態から所定の負荷状態となった際に傾斜するときの所定の傾斜角以上となるように構成されている。これにより、連結部材側対向面Faとケーブルエンド側対向面Fbとが干渉しないように構成されている。傾斜面Fb11、Fb21は、ケーブル本体21c側から離れるに従って、基部4(底板4a)に対する離間距離が大きくなるように傾斜している。また、傾斜面Fb11、Fb21は、ケーブルエンド側対向面Fbのうち、ケーブル本体21cから離れた側に設けられている。ケーブルエンド側対向面Fbのうち、ケーブル21に近い側には、無負荷状態のときの連結部材側対向面Faと平行に延びる平坦面Fb12、Fb22が設けられている。平坦面Fb12、Fb22は、連結部材側対向面Fa(例えば連結部材3の上面US)に当接して、ケーブルエンド21aが連結部材3に支持されている。
【0055】
傾斜面Fb11、Fb21の基準面(無負荷状態の連結部材側対向面Fa)に対する角度は、連結部材3が傾斜する可能性のある傾斜角度に応じて適宜設定可能であり、特に限定されない。なお、本実施形態では、傾斜面Fb11、Fb21の基準面(無負荷状態の連結部材側対向面Fa)に対する角度は、平坦面Fb12、Fb22に対する傾斜面Fb11、Fb21の角度に相当する。本実施形態では、ケーブルエンド側対向面Fbが傾斜面Fb11、Fb21を有しているが、後述するように、連結部材側対向面Faに傾斜面が設けられていてもよいし、ケーブルエンド側対向面Fbと連結部材側対向面Faとの両方に傾斜面が設けられていてもよい。
【0056】
上述したように、本実施形態では、ケーブルエンド側対向面Fbが、連結部材3が基準面に対して傾斜したときに、連結部材側対向面Faとケーブルエンド側対向面Fbとが干渉しないように構成されている。したがって、連結部材3の傾斜に伴って、ケーブルエンド21aが傾斜してしまうことが抑制される。よって、ケーブル本体21cがケーブルエンド21a近傍の部分で繰り返し曲げ変形を受けてケーブル本体21cが疲労折損することが抑制される。以下、この効果についてより詳細に説明する。
【0057】
図7に示されるように、ケーブル21から負荷が加わっていない無負荷状態において、連結部材3は傾斜しておらず、連結部材側対向面Faは基部4の底板4aに略平行な状態である。ケーブルエンド側対向面Fbの平坦面Fb12、Fb22も同様に基部4の底板4aに略平行な状態で連結部材側対向面Faに支持されている。ケーブルエンド側対向面Fbの傾斜面Fb11、Fb21は、連結部材側対向面Faに対して傾斜して延びており、連結部材側対向面Faに対して軸X方向に離間している。
【0058】
ケーブル21から負荷が加わっていない、図1に示される無負荷状態からケーブル21が引き操作されると、ケーブル21によって連結部材3が軸部41の軸X周りに回転する。図2に示される状態まで連結部材3が回転して、さらにケーブル21が引き操作されると、図8に示されるように、軸部41は、連結部材3から力を受けて、軸部材41a、41bの間のスリットSLの間隔が狭くなるように変形する。これにより、軸部材41a、41bは、軸X方向に対して傾斜するように軸部41の径方向内側に撓む。これにより、軸部材41a、41bと挿通部32において接触した連結部材3は、軸部41の径方向内側への変形に追従して傾斜する。このように連結部材3が傾斜して、連結部材側対向面Faが傾斜すると、図8および図9に示されるように、連結部材側対向面Faの一部(図9において、連結部材側対向面Faのうち、首部Nの右側の部分)は、無負荷状態の基準面からケーブルエンド側対向面Fbに向かって移動し、連結部材側対向面Faの他の一部(図9において、連結部材側対向面Faのうち、首部Nの左側の部分)は、無負荷状態の基準面からケーブルエンド側対向面Fbから離れるように移動する。本実施形態では、ケーブルエンド側対向面Fbは、ケーブルエンド側対向面Fbに向かって移動する連結部材側対向面Faに対向する部分に、傾斜面Fb11、Fb21を有しており、連結部材側対向面Faの移動軌跡上にケーブルエンド側対向面Fbが位置していない。したがって、ケーブルエンド21aが傾斜した連結部材3によって押圧されて傾斜することが抑制される。よって、ケーブルエンド21aに接続されたケーブル本体21cのケーブルエンド21a近傍の部分での曲げ変形が抑制され、ケーブル本体21cが疲労折損することが抑制される。
【0059】
なお、上記実施形態の変形例として、図10に示されるように、連結部材側対向面Faが傾斜面Fa11、Fa21を有していてもよい。図10に示されるように、傾斜面Fa11、Fa21は、連結部材3が傾斜する方向と反対の方向に傾斜している。具体的には、連結部材側対向面Faの傾斜面Fa11、Fa21は、連結部材3が無負荷状態のときに、ケーブルエンド側対向面Fbと対向する位置に、ケーブル本体21cから離れるにつれて、基部4の底板4aに近付くように傾斜している。図10に示される変形例においては、ケーブルエンド側対向面Fbに傾斜面を有しておらず、ケーブルエンド側対向面Fbは、無負荷状態において、基部4の底板4aと略平行な平坦面によって構成されている。ケーブルエンド側対向面Fbは、無負荷状態において、連結部材側対向面Faに設けられた平坦面Fa12、Fa22に当接し得る。
【0060】
この変形例においても、図10に示されるように、連結部材3が傾斜したときに、連結部材側対向面Faとケーブルエンド側対向面Fbとが干渉せず、ケーブルエンド21aが傾斜した連結部材3によって押圧されて傾斜することが抑制される。したがって、ケーブルエンド21aに接続されたケーブル本体21cのケーブルエンド21a近傍の部分での曲げ変形が抑制され、ケーブル本体21cが疲労折損することが抑制される。
【0061】
また、図示は省略するが、さらなる変形例として、連結部材側対向面Faおよびケーブルエンド側対向面Fbの両方に傾斜面が設けられていてもよい。この場合、例えば、ケーブルエンド側対向面Fbに設けられた傾斜面は、ケーブル本体21cから離れるにつれて、底板4aからの距離が大きくなるように傾斜させ、連結部材側対向面Faに設けられた傾斜面は、ケーブル本体21cから離れるにつれて、底板4aからの距離が小さくなるように傾斜させればよい。この変形例においても、連結部材3が傾斜したときに、連結部材側対向面Faとケーブルエンド側対向面Fbとが干渉せず、ケーブルエンド21aが傾斜した連結部材3によって押圧されて傾斜することが抑制される。したがって、ケーブルエンド21aに接続されたケーブル本体21cのケーブルエンド21a近傍の部分で繰り返曲げ変形が抑制され、ケーブル本体21cが疲労折損することが抑制される。
【0062】
なお、上記実施形態では、ケーブル21のみが、連結部材側対向面Faとケーブルエンド側対向面Fbとが干渉しないように示されており、第2ケーブル22のケーブルエンド22a、第3ケーブル23のケーブルエンド23aについては、概略的に示されている。しかし、第2ケーブル22のケーブルエンド22aおよびケーブルエンド22aに対向する連結部材3の対向面、第3ケーブル23のケーブルエンド23aおよびケーブルエンド23aに対向する連結部材3の対向面についても、上述した連結部材側対向面Faおよびケーブルエンド側対向面Fbと同様の構成を有していてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 操作装置
21、210 ケーブル
21a、21b、210a ケーブルエンド
21c、210c ケーブル本体
22 第2ケーブル
22a ケーブルエンド(第2ケーブルエンド)
22b ケーブルエンド
22c ケーブル本体
23 第3ケーブル
23a ケーブルエンド(第3ケーブルエンド)
23b ケーブルエンド
23c ケーブル本体
3、30 連結部材
3a 第1部分
3b 第2部分
31 接続部
31a 開口部
32 挿通部
33 第2接続部
33a ケーブル通過スリット
34 第3接続部
34a ケーブル通過スリット
4 基部
4a 底板
4b、4c、4d、4e 側壁
41 軸部
41a、41b 軸部材
411 基端部
412 先端部
5 付勢部材
B ケーブルエンド基端部
BS 連結部材の底面
CL 爪部
Fa 連結部材側対向面
Fa1 第1連結部材側対向面
Fa2 第2連結部材側対向面
Fa11、Fa21 傾斜面
Fa12、Fa22 平坦面
Fb ケーブルエンド側対向面
Fb1 第1ケーブルエンド側対向面
Fb2 第2ケーブルエンド側対向面
Fb11、Fb21 傾斜面
Fb12、Fb22 平坦面
G1、G2、G3 係合溝
LS 連結部材の側面
N 首部
OC1、OC2、OC3 アウターケーシング
SL スリット
T ケーブルエンド先端部
US 連結部材の上面
X 軸部の軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11