IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】圃場監視防草装置
(51)【国際特許分類】
   A01B 39/18 20060101AFI20240729BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20240729BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240729BHJP
【FI】
A01B39/18 Z
A01B39/18 C
A01B69/00 303M
A01B69/00 303D
G05D1/43
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020170613
(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公開番号】P2022062534
(43)【公開日】2022-04-20
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】今枝 立至
(72)【発明者】
【氏名】西澤 直晃
(72)【発明者】
【氏名】忠政 明博
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-130088(JP,A)
【文献】特開2007-082523(JP,A)
【文献】特開2019-095937(JP,A)
【文献】特開2020-091830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 27/00-31/00
A01B 35/00-49/06
A01B 69/00-69/08
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場内の作物を栽培するための畝の畝間の雑草を踏みながら走行する圃場監視防草装置であって、
前記圃場の監視対象である前記畝の前記作物を監視する監視装置と、
前記畝間の前記雑草を踏むことにより、前記監視装置による前記監視対象である前記作物の監視を妨げる前記雑草の成長を抑制して防草を行う防草装置と、を有し、
前記走行は、
前記防草装置によって前記畝間の前記防草を行いながら、前記監視装置によって前記監視対象である前記畝の前記作物を監視することにより行われることを特徴とする圃場監視防草装置。
【請求項2】
前記圃場監視防草装置は、少なくとも
本体部と、
前記本体部を覆うように両側に設けられた一対の駆動輪と、を有し、
前記監視装置は、前記本体部に対して設けられており、
前記防草装置は、一対の前記駆動輪により構成されることを特徴とする請求項1に記載の圃場監視防草装置。
【請求項3】
前記本体部は、
前記駆動輪を駆動可能なモータと、
前記本体部の位置及び方向を検知するセンサと、
前記センサ及び前記監視装置の情報によって前記本体部の動きを検知して前記駆動輪の駆動を制御する制御装置と、
前記モータ、前記センサ及び前記制御装置に電力を供給するバッテリーと、
を有することを特徴とする請求項に記載の圃場監視防草装置。
【請求項4】
前記圃場監視防草装置は、少なくとも、
球状の本体部を有し、
前記監視装置は、前記本体部に対して設けられており、
前記防草装置は、球状の前記本体部により構成されることを特徴とする請求項1に記載の圃場監視防草装置。
【請求項5】
前記本体部は、
前記本体部を駆動可能なモータと、
前記本体部の位置及び方向を検知するセンサと、
前記センサ及び前記監視装置の情報によって前記本体部の動きを検知して前記本体部の駆動を制御する制御装置と、
前記モータ、前記センサ及び前記制御装置に電力を供給するバッテリーと、
を有することを特徴とする請求項に記載の圃場監視防草装置。
【請求項6】
前記圃場監視防草装置は、
GPSから取得した位置情報及び予め用意した地図情報を用いて自律走行することを特徴とする請求項1に記載の圃場監視防草装置。
【請求項7】
通信装置と無線通信を行うことにより、前記圃場監視防草装置を遠隔制御することを特徴とする請求項に記載の圃場監視防草装置。
【請求項8】
複数の前記圃場監視防草装置を直列又は並列に連結させた状態で前記圃場内を走行することを特徴とする請求項1に記載の圃場監視防草装置。
【請求項9】
前記圃場監視防草装置は、
装置全体の重量が5kgから100kgの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の圃場監視防草装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場監視防草装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な圃場を監視するための装置が考案されているが、雑草が茂った状態において、圃場内の地形や土壌環境、作物の育成状況、マルチシートや杭などの圃場内設置物の状態、病害虫の発生などを詳細に監視することが難しいという問題点がある。
【0003】
圃場に発生する雑草は、作物の栽培において作物の育成の妨げになる。また、収穫など農作業自体や監視の妨げになるために、雑草を適時除去していく必要がある。
【0004】
従来、上記問題点を解決するために、人的手段や機械的手段および化学的手段を用いた多様な除草ならびに草刈り手段が実施されている。
【0005】
人的手段の例としては、鎌や草刈り機を使って人力による草刈り作業が行われている。しかしながら、それら人的手段は、人件費の問題や人材の確保、天候の問題、作物周辺の草刈り作業が困難など多くの問題点があった。
【0006】
また、機械的手段としては、例えばリモートコントロールの芝刈り機や、特許文献1に記載の自走式の草踏みロボットが使用されている。
【0007】
しかし、リモートコントロールの芝刈り機の操縦には作業員の高度な技術が必要で、かつ、方向転換用に枕地を必要とするという問題があった。自走式の草踏みロボットは圃場の狭い作物の間や、畝間の走行が難しいという問題があった。
【0008】
化学的手段としては、例えば、走行しながら採草地、牧草地などの永年草地に生えている雑草を光学的に識別し、この雑草に対してのみ除草剤を選択的に散布することにより、機械的にスポット除草を行うことができる除草剤散布装置がある。
【0009】
しかしながら、除草剤散布装置は、周辺環境への薬剤による環境汚染被害や、作物自体への影響、薬剤購入ならびに装置の維持管理費などのランニングコストとかかるという様々な問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2018-130088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1では、自走式の草踏みロボットが使用されているが、雑草の防草と作物の監視を同時に行うことについては考慮されていない。
【0012】
本発明の目的は、圃場監視防草装置において、雑草の防草と作物の監視を同時にもしくは自動で同時に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様の圃場監視防草装置は、圃場内の雑草を踏みながら走行する圃場監視防草装置であって、前記圃場の監視対象を監視する監視装置と、前記雑草を踏むことにより、前記監視装置による前記監視対象の監視を妨げる前記雑草の成長を抑制して防草を行う防草装置と、を有し、前記走行は、前記防草装置によって前記防草を行いながら、前記監視装置によって前記監視対象を監視することにより行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、圃場監視防草装置において、雑草の防草と作物の監視を同時にもしくは自動で同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1の駆動輪タイプの圃場監視防草装置の一例の外観形態図である。
図2図1の圃場監視防草装置に対する正面からの断面図である。
図3図1の圃場監視防草装置に対するブロック図である。
図4図1の圃場監視防草装置が畝間を走行している状態を示す図である。
図5図1の圃場監視防草装置に対して、監視装置を覆う保護カバーを取り付けた図である。
図6図1の圃場監視防草装置に対して、側面にも監視装置を取り付けた図である。
図7図1の圃場監視防草装置に対して、スタビライザとキャスターを取り付けた図である。
図8図1の圃場監視防草装置に対して、駆動輪を別のタイプ(畝の斜面用)に取り換えた図である。
図9図8の圃場監視防草装置が畝間を走行している状態を示す図である。
図10図1の圃場監視防草装置に対して、複数台を直列および並列に連結させた図である。
図11】実施例2のボールタイプの圃場監視防草装置の一例の側面からの概略図である。
図12図11の圃場監視防草装置に対する正面からの断面図である。
図13図11の圃場監視防草装置に対する正面からの断面図の別の例を示す図である。
図14図11の圃場監視防草装置に対するブロック図である。
図15図11の圃場監視防草装置が畝間を走行している状態を示す図である。
図16図11の圃場監視防草装置に対して、監視装置を覆う保護カバーを取り付けた図である。
図17図11の圃場監視防草装置に対して、側面にも監視装置を取り付けた図である。
図18図11の圃場監視防草装置に対して、側面にアタッチメント(畝の斜面用)を取り付けた図である。
図19図11の圃場監視防草装置に対して、本体が球状以外の例を示す図である。
図20】GPSにより圃場監視防草装置の位置情報を取得している図である。
図21】圃場監視防草装置が雑草を認識して踏みに行く動作を示す図である。
図22図21の動作を実現するための自律走行の制御フローを示した図である。
図23】複数の圃場監視防草装置が無線通信を介して互いに通信し合う状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明原理に基づく圃場監視防草装置の実施例について説明する。なお、ここでの実施例説明は本発明の理解のためであり、本発明の保護の範囲は、これら実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されたもの、及びこれに近似するものにも及ぶ。
【実施例1】
【0017】
図1図4を参照して、実施例1の駆動輪タイプの圃場監視防草装置について説明する。
【0018】
図1は、実施例1の駆動輪タイプの圃場監視防草装置ロボット装置の外観形態図である。
図1に示すように、実施例1の駆動輪タイプの圃場監視防草装置100は、監視装置101と一対の駆動輪102を有する。圃場監視防草装置100は、防草と監視を同時にもしくは自動で同時に行う。
【0019】
図2は圃場監視防草装置100の正面からの断面図である。
図2に示すように、圃場監視防草装置100は、本体部103、本体部103を覆うように設けられた左右の駆動輪102、本体部103に固定された監視装置101及び支持棒104を有する。
【0020】
圃場監視防草装置100の重量は、5kgから100kgの間の適切な重量である。重量を制限する理由は5kgより軽いと雑草を轢き込みながら走行することができない。また100kgより重いと、土壌を踏み固めてしまい作物の根部の育成などに悪影響を及ぼすためである。正確には接地面積に対する重量の比率(接地圧)を論じる必要があるが簡略化のため、装置の重量についてのみ言及する。
【0021】
ここで、支持棒104は、圃場監視防草装置100が移動する際に、本体部103が回転してしまわないようにする。それに加えて、左右の駆動輪102の間の隙間部分を通る雑草を押さえつける効果もある。左右の駆動輪102にあるホイール105は、本体部103の車軸106に固定され、車軸106の回転を駆動輪102に伝える。
【0022】
本体部103の内部には、左右の駆動輪102を駆動可能な2つのモータ107、本体の位置や方向を検知するセンサ108、駆動輪102の駆動を制御し、センサ108の情報によって本体部103の動きを検知し制御する制御装置109及びそれらに電力を供給するバッテリー110を有する。左右の駆動輪102を2つのモータ107で駆動させることでより小回りの利く動きが可能になる。
【0023】
監視装置101は、例えば、カメラで構成され、畝間に沿って真っ直ぐ進む。このカメラによって、圃場監視防草装置100の前方の画像データを取得し、畝間を認識しながらそれに沿って走行する。この際、ずれがある閾値以上大きくなったらそれを修正するように制御装置109により制御する。
【0024】
図3は圃場監視防草装置100のブロック図を示す。
図3に示すように、本体部103の内部に設けられたバッテリー110は、モータ107、位置及び方向を検知するためのセンサ108及び制御装置109に電力を供給する。センサ108で検知した検知データと監視装置101の監視データは制御装置109に送られ、制御装置109はモータ107を制御して駆動輪102を駆動する。
【0025】
図4を参照して、圃場監視防草装置100の動作について説明する。図4は、図2の圃場監視防草装置100を正面から見た図である。
図4に示すように、圃場監視防草装置100は、両側の畝400の間の形成された畝間430を走行する。雑草410の上を走行することで、轢き込む、圧し潰す、茎を折るなどの物理的手段の他に、接触刺激など科学的手段により、雑草410の成長を抑制する。また、監視装置101によって畝400における作物420やマルチシートの状態を監視する。
【0026】
このように、圃場監視防草装置100が畝間430などの所定のコース上を走行することで、駆動輪102によってコース周辺の雑草410を轢き込む。これにより、雑草410の成長を抑制して、監視装置101により監視対象である作物420を監視可能として監視対象の状況を詳細に監視する。
【0027】
また、図20(a)に示すように、人工衛星200のGPSなどを用いて位置情報を取得し、あらかじめ用意した地図情報とそのルートと現在位置を比較して自律走行が可能である。この際、車軸106と駆動輪102を固定する位置を自由に移動できるようにすることで、車幅を可変にしてもよい。これにより、畝400の間の幅に合わせたより安定した走行が可能になる。
【0028】
圃場監視防草装置100は、GPSの位置情報を用いて畝間430に沿って真っ直ぐ進む。この際、事前に畝間430の地図を作成しておき、その地図上で走行範囲を指定したら、圃場監視防草装置100はGPSの位置情報を用いてその地図上での自分の位置を認識しながら自律走行する。この際、ずれがある閾値以上大きくなったらそれを修正するように制御装置109により制御する。
【0029】
このように、実施例1の圃場監視防草装置100は、圃場内の雑草410を踏みながら走行する。圃場監視防草装置100は、圃場の監視対象である作物420を監視する監視装置101と、雑草410を踏むことにより監視装置101による監視対象の監視を妨げる雑草410の成長を抑制して防草を行う防草装置を有する。圃場監視防草装置100は、上記防草装置によって防草を行いながら走行して、監視装置101によって監視対象を監視する。
【0030】
圃場監視防草装置100は、本体部103と、本体部103を覆うように両側に設けられた一対の駆動輪102を有する。監視装置101は、本体部103に対して設けられており、上記防草装置は、一対の駆動輪102により構成される。
【0031】
本体部103は、駆動輪102を駆動可能なモータ107と、本体部103の位置及び方向を検知するセンサ108と、センサ108及び監視装置101の情報によって本体部103の動きを検知して駆動輪102の駆動を制御する制御装置109と、モータ107、センサ108及び制御装置109に電力を供給するバッテリー110を有する。
【0032】
上記実施例1の駆動輪タイプの圃場監視防草装置100によれば、雑草410の防草と作物420の監視を同時にもしくは自動で同時に行うことができる。
【実施例2】
【0033】
図5を参照して、実施例2の駆動輪タイプの圃場監視防草装置100について説明する。
図5では、実施例1の圃場監視防草装置100に対して、監視装置保護カバー500が設けられている。これにより、砂埃510などから監視装置101の汚れを防ぐ。また、作物420や雑草410や風などからの機械的衝撃などから監視装置101を保護することが可能である。
【0034】
その他の構成は、図4に示す実施例1の圃場監視防草装置100の構成と同じなのでその説明は省略する。
【実施例3】
【0035】
図6を参照して、実施例3の駆動輪タイプの圃場監視防草装置100について説明する。
図6では、実施例2の圃場監視防草装置100に対して、監視装置600が駆動輪102の側面側に設けられている。また、監視装置600を保護するための監視装置保護カバー610が設けられている。これにより、畝400の作物420や土壌やマルチシートの状態をより監視しやすくなる。
【0036】
その他の構成は、図5に示す実施例2の圃場監視防草装置100の構成と同じなのでその説明は省略する。
【実施例4】
【0037】
図7を参照して、実施例4の駆動輪タイプの圃場監視防草装置100について説明する。
図7では、実施例1の圃場監視防草装置100に対して、監視装置101と本体部103との間に、スタビライザ700などの衝撃や振動を緩和する装置が取り付けられている。また、支持棒104にはキャスター710が取り付けられている。
【0038】
これにより、監視装置101の取得する監視データのノイズを小さくできる。また、キャスター710は圃場監視防草装置100の移動を効率的にする。
【0039】
その他の構成は、図2に示す実施例1の圃場監視防草装置100の構成と同じなのでその説明は省略する。
【実施例5】
【0040】
図8を参照して、実施例5の駆動輪タイプの圃場監視防草装置100について説明する。
図8では、実施例1の圃場監視防草装置100に対して、別の形状の駆動輪800を採用した場合である。駆動輪800は、畝400の斜面に対応した形状を有している。このような形状の駆動輪800を用いることにより、図9に示すように、畝400の斜面や畝400上の一部の雑草410を踏むことが可能になる。
【0041】
その他の構成は、図2に示す実施例1の圃場監視防草装置100の構成と同じなのでその説明は省略する。
【実施例6】
【0042】
図10を参照して、実施例5の駆動輪タイプの圃場監視防草装置100について説明する。
図10(a)、(b)、(c)は、実施例1の圃場監視防草装置100を複数台用意し、複数台の圃場監視防草装置100を直列(図10(a)、(b)参照)または並列(図10(c)参照)に連結した場合である。これにより駆動力を向上させたり、車幅を広くしたりすることが可能である。
【実施例7】
【0043】
図21(a)を参照して、圃場監視防草装置100の動作について説明する。
図21(a)に示すように、監視装置101の情報を用いて雑草410の多いところを特定し踏みにいく。
【0044】
図22を参照して、自律走行と雑草踏みの制御フローについて説明する。
スタート(S221)して、走行ルートを終了したかを判定する(S222)。
判定の結果、走行ルートを終了した場合は、処理は終了する(S228)。
判定の結果、走行ルートを終了してない場合は、現在位置と走行ルートの間に差があるかを判定する(S223)。
判定の結果、現在位置と走行ルートの間に差がある場合は、その差が小さくなる方向に走行する(S224)。
判定の結果、現在位置と走行ルートの間に差がない場合は、進行方向に大きな雑草410があるかを判定する(S225)。
判定の結果、進行方向に大きな雑草410がある場合は、雑草410に向かって走行する(S226)。
判定の結果、進行方向に大きな雑草がない場合は、そのまま走行する(S227)。
【実施例8】
【0045】
図23(a)を参照して、実施例8の圃場監視防草装置100について説明する。
図23(a)のように、圃場監視防草装置100は、通信装置230と無線通信を行うことで、信号や情報を遠隔に発信し、また、逆に遠隔からの信号や情報を受信してそれに応じた制御を可能にする。
【0046】
具体的には、センサ108のデータを通信装置230に送信し、通信装置230から制御情報などを受信して圃場監視防草装置100を制御する。また、通信装置230から制御情報を用いて、例えばスタックしている他の圃場監視防草装置100を押すなどして助けに行くことも可能である。
【実施例9】
【0047】
図11図15を参照して、実施例2のボールタイプ(球状)の圃場監視防草装置200について説明する。
【0048】
図11は、圃場監視防草装置200の一例の側面からの概略図である。
圃場監視防草装置200は、監視装置201、本体部202、監視装置201を本体部202に固定する固定機具203で構成され、本体部202自体が駆動輪の役割もなす。監視装置201は、磁石204と車輪205を介して本体部202に設けられている。
圃場監視防草装置200の重量は、5kgから100kgの間の適切な重量である。重量を制限する理由は実施例1と同様である。
【0049】
図12図13は、図11の圃場監視防草装置200に対する正面からの断面図で機構が異なる2種類をそれぞれ示す。
【0050】
どちらの場合も、本体部202は、2つのモータ206、制御装置207、本体部202の位置や方向を検知するセンサ208、バッテリー209、車軸210及び重り211を有する。重り211による重心移動によって本体部202が駆動される。図12図13は2つのモータ206を使って重心移動を実現する方法が違うだけである。
【0051】
本体部202の内部の磁石212は、静止状態では常にボール状の本体部202の頂上を向くようになっており、監視装置201を本体部202に固定する固定機具203の下に取り付けられた磁石204と引き付けあっている。監視装置201を本体部202に固定する固定機具203の下に、小さな車輪205を設けても良い。これにより、本体部202との摩擦を小さくできる。
【0052】
監視装置201は、例えば、カメラで構成され、畝間に沿って真っ直ぐ進む。このカメラによって、圃場監視防草装置200の前方の画像データを取得し、畝間を認識しながらそれに沿って走行する。この際、ずれがある閾値以上大きくなったらそれを修正するように制御装置207により制御する。
【0053】
図14で圃場監視防草装置200のブロック図を示す。
図14に示すように、本体部202の内部に設けられたバッテリー209は、モータ206、位置及び方向を検知するためのセンサ208及び制御装置207に電力を供給する。センサ208で検知した検知データと監視装置201の監視データは制御装置207に送られ、制御装置207はモータ206を制御して本体部202を駆動する。
【0054】
図15を参照して、圃場監視防草装置200の動作について説明する。
図15は畝間430を走行している圃場監視防草装置200を正面から見た図である。
【0055】
図15に示すように、圃場監視防草装置200は、両側の畝400の間の形成された畝間430を走行する。雑草410の上を走行することで、轢き込む、圧し潰す、茎を折るなどの物理的手段の他に、接触刺激など科学的手段により、雑草410の成長を抑制する。また、監視装置201によって畝400における作物420やマルチシートの状態を監視する。
【0056】
このように、圃場監視防草装置200が畝間430などの所定のコース上を走行することで、本体部202によってコース周辺の雑草410を轢き込む。これにより、雑草410の成長を抑制して、監視装置201により監視対象である作物420を監視可能として監視対象の状況を詳細に監視する。実施例1との大きな違いは、その形状(球形)からお手入れが容易になるという点である。
【0057】
また、図20(b)に示すように、人工衛星200のGPSなどを用いて位置情報を取得し、あらかじめ用意した地図情報とそのルートと現在位置を比較して自律走行が可能である。
【0058】
圃場監視防草装置200は、GPSの位置情報を用いて畝間430に沿って真っ直ぐ進む。この際、事前に畝間430の地図を作成しておき、その地図上で走行範囲を指定したら、圃場監視防草装置200はGPSの位置情報を用いてその地図上での自分の位置を認識しながら自律走行する。この際、ずれがある閾値以上大きくなったらそれを修正するように制御装置207により制御する。
【0059】
このように、実施例2の圃場監視防草装置200は、圃場内の雑草410を踏みながら走行する。圃場監視防草装置200は、圃場の監視対象である作物420を監視する監視装置201と、雑草410を踏むことにより監視装置201による監視対象の監視を妨げる雑草410の成長を抑制して防草を行う防草装置を有する。
【0060】
圃場監視防草装置200は、上記防草装置によって防草を行いながら走行して、監視装置201によって監視対象を監視する。
【0061】
圃場監視防草装置200は、球状の本体部202を有し、監視装置201は、本体部202に対して設けられており、上記防草装置は、球状の本体部202により構成される。
【0062】
本体部202は、本体部202を駆動可能なモータ206、本体部202の位置及び方向を検知するセンサ208、センサ208及び監視装置201の情報によって本体部202の動きを検知して本体部202の駆動を制御する制御装置207及びモータ206、センサ208及び制御装置207に電力を供給するバッテリー209を有する。
【0063】
上記実施例2の圃場監視防草装置200によれば、雑草410の防草と作物420の監視を同時にもしくは自動で同時に行うことができる。
【実施例10】
【0064】
図16を参照して、実施例10の圃場監視防草装置200について説明する。
図16に示すように、実施例9の圃場監視防草装置200に対して、監視装置保護カバー1600が新たに設けられている。これにより、砂埃などから監視装置201の汚れを防ぐ。また、作物420や雑草410や風などからの機械的衝撃などから監視装置201を保護することが可能である。
【0065】
その他の構成は、図11に示す実施例9の圃場監視防草装置200の構成と同じなのでその説明は省略する。
【実施例11】
【0066】
図17を参照して、実施例11の圃場監視防草装置200について説明する。
図17に示すように、実施例10の圃場監視防草装置200に対して、左右の車軸210上に監視装置1700が新たに設けられている。さらに、監視装置1700を保護するための監視装置保護カバー1710が新たに設けられている。これにより、畝400の作物420や土壌やマルチシートの状態をより監視しやすくなる。
【0067】
その他の構成は、図16に示す実施例10の圃場監視防草装置200の構成と同じなのでその説明は省略する。
【実施例12】
【0068】
図18及び図19を参照して、実施例12の圃場監視防草装置200について説明する。
本体部202の形状は、実施例9のような球状である必要はなく、例えば図18図19に示すように、畝400の形状と踏みつけたい場所によって変更可能である。また、アタッチメントを取り付けてもよい。
【実施例13】
【0069】
図21(b)を参照して、圃場監視防草装置200の動作について説明する。
図21(b)に示すように、監視装置201の情報を用いて雑草410の多いところを特定し踏みにいく。
【0070】
図22を参照して、自律走行と雑草踏みの制御フローについて説明する。
スタート(S221)して、走行ルートを終了したかを判定する(S222)。
判定の結果、走行ルートを終了した場合は、処理は終了する(S228)。
判定の結果、走行ルートを終了してない場合は、現在位置と走行ルートの間に差があるかを判定する(S223)。
判定の結果、現在位置と走行ルートの間に差がある場合は、その差が小さくなる方向に走行する(S224)。
判定の結果、現在位置と走行ルートの間に差がない場合は、進行方向に大きな雑草410があるかを判定する(S225)。
判定の結果、進行方向に大きな雑草410がある場合は、雑草410に向かって走行する(S226)。
判定の結果、進行方向に大きな雑草がない場合は、そのまま走行する(S227)。
【実施例14】
【0071】
図23(b)を参照して、実施例14の圃場監視防草装置200について説明する。
図23(b)のように、圃場監視防草装置100は、通信装置230と無線通信を行うことで、信号や情報を遠隔に発信し、また、逆に遠隔からの信号や情報を受信してそれに応じた制御を可能にする。
【0072】
具体的には、センサ208のデータを通信装置230に送信し、通信装置230から制御情報などを受信して圃場監視防草装置200を制御する。また、通信装置230から制御情報を用いて、例えばスタックしている他の圃場監視防草装置200を押すなどして助けに行くことも可能である。
【0073】
上記実施例によれば、作物の育成の妨げ、農作業の妨げや、圃場を適切に監視するための妨げとなる雑草の成長を効率的に抑制して監視することができる。
【0074】
具体的には、畝間を防草に適度な重量で踏みながら安定して自律走行できる。これによって、監視装置(例えば、作物監視カメラ)の画像を自動で取得することが可能になり、防草と監視を自動で同時に行える。この結果、農作業における労力と時間を大幅に減らすことができる。
【符号の説明】
【0075】
100 圃場監視防草装置
101 監視装置
102 駆動輪
103 本体部
104 支持棒
105 ホイール
106 車軸
107 モータ
108 センサ
109 制御装置
110 バッテリー
200 圃場監視防草装置
201 監視装置
202 本体部
203 固定機具
204 磁石
205 車輪
206 モータ
207 制御装置
208 センサ
209 バッテリー
210 車軸
211 重り
212 磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23