(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】キサンテン色素、該色素を含有する着色組成物、カラーフィルター用着色剤およびカラーフィルター
(51)【国際特許分類】
C09B 11/28 20060101AFI20240729BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20240729BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
C09B11/28 F
C09B11/28 M
C09B67/20 F
G02B5/20 101
C09B11/28 A
(21)【出願番号】P 2020177062
(22)【出願日】2020-10-22
【審査請求日】2023-08-16
(31)【優先権主張番号】P 2020012064
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005315
【氏名又は名称】保土谷化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】山縣 直哉
(72)【発明者】
【氏名】金 學奎
(72)【発明者】
【氏名】神田 大三
【審査官】河村 明希乃
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108570032(CN,A)
【文献】特開2000-118145(JP,A)
【文献】特開2013-067776(JP,A)
【文献】国際公開第2014/196464(WO,A1)
【文献】Andreia Leite et al.,Synthesis of Pyridyl and N-Methylpyridinium Analogues of Rosamines: Relevance of Solvent and Charge on Their Photophysical Properties,Chemistry - A European Journal,2019年09月24日,Vol. 25,pp. 15073-15082
【文献】Yue Wang et al.,Fluorescent probe based on rosamine with pyridinium unit for hydrogen sulfide detection in mitochondria,Analytical Methods,2018年10月,Vol. 10,pp. 5291-5296
【文献】Rosamine with pyronine-pyridinium skeleton: unique mitochondrial targetable structure for fluorescent probes,The Royal Society of Chemistry,2018年02月,Vol. 143,pp. 1813-1819
【文献】Ling Yang et al.,The pH-influenced PET processed between pyronine and different heterocycles,Organic & Biomolecular Chemistry,2017年09月,Vol. 15,pp. 8402-8409
【文献】Ling Yang et al.,The application of mitochondrial targetable pyronine-pyridiniumskeleton in the detection of nitroreductase,Sensors and Actuators B,2018年12月06日,Vol. 259,pp. 299-306
【文献】Chuangjun Liu et al.,Versatile Strategy To Generate a Rhodamine Triplet State as Mitochondria-Targeting Visible-Light Photosensitizers for Efficient Photodynamic Therapy,ACS Applied Materials & Interfaces,2019年02月07日
【文献】Richard D. Carpenter et al.,Synthesis of a Sensitive and Selective Potassium-Sensing Fluoroionophore,Organic Letters,2010年11月02日,Vol. 12, No. 6,pp. 1160-1163
【文献】Liangxing Wu et al.,Fluorescent Amino- and Thiopyronin Dyes,Organic Letters,2008年09月04日,Vol. 10, No. 9,pp. 1779-1782
【文献】Yutaka Shindo et al.,Newly Developed Mg2+-Selective Fluorescent Probe Enables Visualization of Mg2+ Dynamics in Mitochondria,PLoS ONE,2011年08月16日,Vol. 6 Issue 8,pp. 1-10
【文献】Rates and Equilibria of the Reaction of 2,4,6-Triphenylthiopyrylium Ion with Piperidine and Morpholine in Me2SO. An Unusual Proton Transfer to a Nitrogen Base,American Chemical Society,1984年,Vol. 106,pp. 7082-7087
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 1/00-69/10
G02B 5/00-5/32
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるキサンテン色素。
【化1】
[式(1)中、R
1~R
4は、それぞれ独立に、―H、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、
または置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基を表し
、
R
5およびR
6は
、―Hを表す。
Xは―O―、―S―または―Se―を表す。
Qは
下記一般式(Q1)で表される基である。
【化2】
[式(Q1)中、Z
1
は-N=または-CR
7
=を表し、Z
2
およびZ
4
は、それぞれ独立に、-N=または-CH=を表し、Z
3
は-CR
7
=を表し、Z
5
は-CH=を表す。
ただし、Z
1
、Z
2
およびZ
4
のうち1または2個は―N=であるものとする。
R
7
は、―H、置換基を有していてもよい炭素原子数1~27の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素原子数0~27のアミノ基を表し、
R
7
は、複数ある場合、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
Anは下
記式(J-1)~(J-16)の構造式で示すアニオンを表し、aは1~3の整数を表し、bは0~3の整数を表す。]
【化3】
【請求項2】
前記一般式
(Q1)において、
R
7
は、―H、炭素原子数1~10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素原子数0~10のアミノ基を表し、
R
7
は、複数ある場合、それぞれ同一でも異なっていてもよい、請求項1に記載のキサンテン色素
。
【請求項3】
前記一般式(1)において、Qが置換基を有していてもよい炭素原子数4~30のピリジル基
またはピリミジニル
基である、請求項1または請求項2に記載のキサンテン色素。
【請求項4】
前記一般式(1)において、Xが―O―である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のキサンテン色素。
【請求項5】
前記一般式(1)において、
An
が(CF
3SO
2)
2N
-
であり、かつ、bが1~3の整数である、
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のキサンテン色素。
【請求項6】
キサンテン色素、樹脂、および溶媒を含有し、前記キサンテン色素の25±2℃におけるプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)への溶解度が1質量%以上であ
る着色組成物
であって、
前記キサンテン色素が下記一般式(1)で表されるキサンテン色素であり、
前記樹脂がアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエーテル樹脂、およびフェノール(ノボラック)樹脂からなる群より選択される、
着色組成物。
【化4】
[式(1)中、R
1
~R
4
は、それぞれ独立に、―H、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、
または置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基を表し、
R
5
およびR
6
は、―Hを表す。
Xは―O―、―S―または―Se―を表す。
Qは下記一般式(Q1)で表される基である。
【化5】
[式(Q1)中、Z
1
は-N=または-CR
7
=を表し、Z
2
およびZ
4
は、それぞれ独立に、-N=または-CH=を表し、Z
3
は-CR
7
=を表し、Z
5
は-CH=を表す。
ただし、Z
1
、Z
2
およびZ
4
のうち1または2個は―N=であるものとする。
R
7
は、―H、置換基を有していてもよい炭素原子数1~27の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素原子数0~27のアミノ基を表し、
R
7
は、複数ある場合、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
Anはアニオンを表し、aは1~3の整数を表し、bは0~3の整数を表す。]
【請求項7】
下記一般式(1)で表されるキサンテン色素または
当該キサンテン色素を含有し、25±2℃におけるプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)への溶解度が1質量%以上である着色組成物を含有するカラーフィルター用着色剤。
【化6】
[式(1)中、R
1
~R
4
は、それぞれ独立に、―H、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、
または置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基を表し、
R
1
とR
2
、またはR
3
とR
4
は、単結合、二重結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して、互いに結合して環を形成していてもよい。
R
5
およびR
6
は、それぞれ独立に、―H、ハロゲン原子、―NO
2
、または置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す。
Xは―O―、―S―または―Se―を表す。
Qは含窒素六員環構造を含み、置換基を有していてもよい炭素原子数3~30の複素環基を表す。
Anはアニオンを表し、aは1~3の整数を表し、bは0~3の整数を表す。]
【請求項8】
前記一般式(1)において、Qが下記一般式(Q1)で表される基である、請求項7に記載のカラーフィルター用着色剤。
【化7】
[式(Q1)中、Z
1
~Z
5
は、それぞれ独立に、―N=または―CR
7
=を表す。
ただし、Z
1
~Z
5
のうち1~3個は―N=であるものとする。
R
7
は、―H、ハロゲン原子、―OH、―SH、―CN、―NO
2
、
スルホン酸基、カルボキシ基、スルホンアミド基、アミド基、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~27の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、
置換基を有していてもよい炭素原子数2~27の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、
置換基を有していてもよい炭素原子数6~27の芳香族炭化水素基、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~27のアルコキシ基、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~27のスルファニル基、または
置換基を有していてもよい炭素原子数0~27のアミノ基を表し、
R
7
は、複数ある場合、それぞれ同一でも異なっていてもよく、
隣り合う基同士で、単結合、二重結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して、互いに結合して環を形成していてもよい。]
【請求項9】
前記一般式(1)において、Qが置換基を有していてもよい炭素原子数4~30のピリジル基、ピリミジニル基、キノリル基またはイソキノリル基である、請求項7または請求項8に記載のカラーフィルター用着色剤。
【請求項10】
前記一般式(1)において、Xが―O―である、請求項7~請求項9のいずれか一項に記載のカラーフィルター用着色剤。
【請求項11】
前記一般式(1)において、
AnがCl
-
、Br
-
、I
-
、(CF
3
SO
2
)
2
N
-
、(CF
3
SO
2
)
3
C
-
、
(CN)
2
N
-
、(CN)
3
C
-
、NC―S
-
、(C
2
F
5
)
3
F
3
P
-
、
(C
6
H
4
SO
3
-
)O(C
6
H
3
(C
12
H
25
)(SO
3
-
))、
C
6
H
4
(C
12
H
25
)(SO
3
-
)、PF
6
-
、BF
4
-
または
(PW
12
O
40
)
3-
であり、かつ、bが1~3の整数である、
請求項7~請求項10のいずれか一項に記載のカラーフィルター用着色剤。
【請求項12】
請求項7~請求項11のいずれか一項に記載のカラーフィルター用着色剤を用いるカラーフィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キサンテン色素、該色素を含有する着色組成物、該着色組成物を含有するカラーフィルター用着色剤および該着色剤を用いたカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶や電界発光(EL)表示装置およびCCDやCMOSの撮像素子に、カラーフィルターが用いられる。カラーフィルターは、ガラスや透明樹脂などの透光性基板上に、染色法、顔料分散法、印刷法、電着法などにより、色素薄膜や色素-樹脂複合体膜などの着色層を積層することによって製造される。下記式(B-1)~(B-3)などで表されるキサンテン色素はその鮮明性からカラーフィルターなどの着色剤として利用されている化合物である(特許文献1~3など)。例えば、C.I.アシッドレッド289(式(B-1))やC.I.アシッドレッド52(式(B-2))などのキサンテン色素(C.I.はカラーインデックスの略称)をアゾピリドン色素と併用することにより、優れた赤色色調が得られる(特許文献1)。
【0003】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-265834号公報
【文献】特開2012-207224号公報
【文献】特開2018-076403号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】「Chemical Communications」、(イギリス)、2017年、第53巻、p.1064-1067、Supporting Information
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在の表示装置の開発においては、年々高い性能(高精細、広色域、低電圧)が求められている。カラーフィルターの性能(高透過率、高色純度などの色特性)に対する要求も高くなってきており、現在カラーフィルター用の着色剤として使用されている色素には発色性、溶解性、耐熱性、の面で高い性能が求められている。
【0007】
しかしながら、従来のキサンテン色素は、カラーフィルター用着色剤としての溶解性と耐熱性の両方を満足するものではなかった。例えば特許文献3には、下記式(B-4)で表される複素環の置換基を有するキサンテン色素が、コントラストに優れたカラーフィルターの提供に有用であると記載されているが、堅牢性に関しては記載されていない。
【0008】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、優れた溶解性および耐熱性を有するキサンテン色素、該化合物を含有する着色組成物、該色素または該着色組成物を含有するカラーフィルター用着色剤、および該着色剤を用いるカラーフィルターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を解決し、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、溶解性および耐熱性に優れたキサンテン色素を見出した。すなわち本発明は以下を要旨とする。
【0011】
1.下記一般式(1)で表されるキサンテン色素。
【0012】
【0013】
[式(1)中、R1~R4は、それぞれ独立に、―H、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、
または置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基を表し、
R1とR2、またはR3とR4は、単結合、二重結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して、互いに結合して環を形成していてもよい。
R5およびR6は、それぞれ独立に、―H、ハロゲン原子、―NO2、または置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す。
Xは―O―、―S―または―Se―を表す。
Qは置換基を有していてもよい炭素原子数3~30の含窒素六員環を有する複素環基を表す。
Anはアニオンを表し、aは1~3の整数を表し、bは0~3の整数を表す。]
【0014】
2.前記一般式(1)において、Qが下記一般式(Q1)で表される含窒素六員環を有する複素環基であるキサンテン色素。
【0015】
【0016】
[式(Q1)中、Z1~Z5は、それぞれ独立に、―N=または―CR7=を表す。
ただし、Z1~Z5のうち1~3個は―N=であるものとする。
R7は、―H、ハロゲン原子、―OH、―SH、―CN、―NO2、
スルホン酸基、カルボキシ基、スルホンアミド基、アミド基、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~27の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、
置換基を有していてもよい炭素原子数2~27の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、
置換基を有していてもよい炭素原子数6~27の芳香族炭化水素基、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~27のアルコキシ基、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~27のスルファニル基、または
置換基を有していてもよい炭素原子数0~27のアミノ基を表し、
R7は、複数ある場合、それぞれ同一でも異なっていてもよく、
隣り合う基同士で、単結合、二重結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して、互いに結合して環を形成していてもよい。]
【0017】
3.前記一般式(1)において、Qが置換基を有していてもよい炭素原子数4~30のピリジル基、ピリミジニル基、キノリル基またはイソキノリル基であるキサンテン色素。
【0018】
4.前記一般式(1)において、Xが―O―であるキサンテン色素。
【0019】
5.前記一般式(1)において、
AnがCl-、Br-、I-、(CF3SO2)2N-、(CF3SO2)3C-、
(CN)2N-、(CN)3C-、NC―S-、(C2F5)3F3P-、
(C6H4SO3
-)O(C6H3(C12H25)(SO3
-))、
C6H4(C12H25)(SO3
-)、PF6
-、BF4
-または
(PW12O40)3-であり、かつ、bが1~3の整数であるキサンテン色素。
【0020】
6.25±2℃(23~27℃)におけるプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)への溶解度が1質量%以上であるキサンテン色素を含有する着色組成物。
【0021】
7.前記キサンテン色素または着色組成物を含有するカラーフィルター用着色剤。
【0022】
8.前記カラーフィルター用着色剤を用いるカラーフィルター。
【発明の効果】
【0023】
本発明のキサンテン色素は、溶解度および耐熱性に優れたカラーフィルター用着色剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態について以下に詳細に説明する。なお本発明は、以下の実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。まず、前記一般式(1)で表されるキサンテン色素について説明する。
【0025】
一般式(1)において、R1~R6で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」における「炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」としては、具体的に、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの直鎖状のアルキル基;
イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基などの分岐状のアルキル基があげられる。
【0026】
一般式(1)において、R1~R4で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基」における「芳香族炭化水素基」は、アリール基および縮合多環芳香族基を含み、「炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基」としては、具体的に、フェニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基があげられる。
【0027】
一般式(1)において、R5およびR6で表される「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などがあげられ、塩素原子または臭素原子が好ましい。
【0028】
一般式(1)において、R1~R6で表される
「置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、または、R1~R4で表される「置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基」における「置換基」としては、具体的に、
重水素原子、―OH、―CN、―CF3、―NO2;
―SO3
-、―SO3H、―SO3Mで表されるスルホン酸基、または
―CO2
-、―CO2H、―CO2M、―CO2―Rで表されるカルボキシ基(ただし、Mは有機カチオンまたは無機カチオンを表す。(Rは任意の一価基を表す。);
―SO2NR2で表されるスルホンアミド基、または
―CONR2で表されるアミド基(Rは任意の一価基を表す。);
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;
炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;
炭素原子数3~20のシクロアルキル基;
炭素原子数2~20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基;
炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;
炭素原子数3~20のシクロアルコキシ基または1-アダマンチルオキシ基、2-アダマンチルオキシ基;
炭素原子数1~20のアシル基;
炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;
炭素原子数2~20の複素環基;
炭素原子数6~20のアリールオキシ基;
無置換アミノ基;炭素原子数1~20の一置換もしくは二置換アミノ基、などがあげられる。これらの「置換基」は1つでも複数でもよく、複数ある場合、互いに同一でも異なっていてもよい。また、これら「置換基」はさらに、前記例示した置換基を有していてもよい。なお、「置換基」が炭素原子を含む場合、その炭素原子は、R1~R6で表される「基」における「炭素原子数1~20」および「炭素原子数6~20」に算入される。また、これらの置換基同士が単結合、二重結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
【0029】
一般式(1)において、「M」で表される「無機カチオン」または「有機カチオン」が存在する場合、または、一般式(1)中「Q」または「Q1」で表される「含窒素六員環を有する複素環基」又は「含窒素六員環構造を含む複素環基」に含まれる「M」で表される「無機カチオン」または「有機カチオン」について説明する。「有機カチオン」としては、具体的に、R8R9R10R11N+で表されるアンモニウムイオンがあげられ、R8~R11は、それぞれ独立に、―H、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基を表し、互いに結合して環を形成してもよい。なお、R8~R11における「置換基」、「炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」および「炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基」の詳細は、前記一般式(1)におけるR1~R4と同様のものが適用される。また、「無機カチオン」としては、リチウムイオン、ナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオン、または、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオンなどのアルカリ土類金属イオンがあげられる。Mとしては、アルカリ金属イオンが好ましい。
【0030】
一般式(1)においてR1~R6で表される「置換基」を有する各種の「基」において、「置換基」としてあげられている、
「―CO2―R」、「―SO2NR2」もしくは「―CONR2」おける「R」、
「炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、
「炭素原子数3~20のシクロアルキル基」、
「炭素原子数2~20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」、
「炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基」、
「炭素原子数3~20のシクロアルコキシ基」、
「炭素原子数1~20のアシル基」、
「炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基」、
「炭素原子数2~20の複素環基」、
「炭素原子数6~20のアリールオキシ基」、または
「炭素原子数1~20の一置換もしくは二置換アミノ基」としては、具体的に、以下の基が挙げられる。
メチル基、エチル基(Et)、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基などの直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;
シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基などのシクロアルキル基;
ビニル基、1-プロペニル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、1-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基などのアルケニル基、またはこれらが複数結合した直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、イソオクチルオキシ基などの直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;
シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロデシルオキシ基などの炭素原子数3~20のシクロアルコキシ基;
ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、ベンゾイル基などのアシル基;
フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、テトラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;
チエニル基、フリル基、ピロリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、プリニル基、カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリル基、イソキノリル基、ナフチリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、カルボリニル基などの複素環基;
フェニルオキシ基、トリルオキシ基、ビフェニリルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基、フェナントレニルオキシ基などのアリールオキシ基;
メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジ(2-エチルヘキシル)基、ジ-t-ブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または、芳香族炭化水素基を有する一置換もしくは二置換アミノ基。
【0031】
一般式(1)において、R1とR2、またはR3とR4は、単結合、二重結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して、互いに結合して環を形成していてもよく、環を形成する場合、5員環または6員環であるのが好ましい。
【0032】
一般式(1)において、Xは、酸素原子(―O―)、硫黄原子(―S―)またはセレン原子(―Se―)を表し、―O―または―S―が好ましく、―O―がより好ましい。
【0033】
一般式(1)において、「Q」で表される「含窒素六員環構造を含み、置換基を有していてもよい炭素原子数3~30の複素環基」における「含窒素六員環構造」としては、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジンなどに由来する構造があげられる。
一般式(1)において、「Q」で表される「置換基を有していてもよい炭素原子数3~30の含窒素六員環を有する複素環基」における「炭素原子数3~30の含窒素六員環を有する複素環基」又は「含窒素六員環構造を含み、置換基を有していてもよい炭素原子数3~30の複素環基」における「含窒素六員環構造を含む複素環基」としては、ピリジル基、ピリミジニル基、キノリル基、イソキノリル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ナフチリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、カルボリニル基、プリニル基、インドリジニル基、ナフチリジニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、フェナントリジニル基、ペリミジニル基、アンチリジニル基などがあげられる。
また、「置換基を有する炭素原子数3~30の含窒素六員環を有する複素環基」又は「含窒素六員環構造を含み、置換基を有する炭素原子数3~30の複素環基」における「置換基」としては、一般式(1)において、R1~R6で表される「置換基」を有する各種の「基」において「置換基」としてあげられているものと同様のものを含む「置換基」があげられる。
なお、「置換基」が炭素原子を含む場合、その炭素原子は、一般式(1)中の「Q」における「炭素原子数3~30」に算入される。
【0034】
一般式(1)において、「a」は、下記一般式(1-C)で表される化合物(キサンテン色素)のカチオンの部分の数を表す。「An」はアニオンを表し、「b」はAnの数を表す。aは1~3の整数を表し、1または2が好ましい。bは0~3の整数を表し、1~3の整数が好ましい。
【0035】
【0036】
[式(1-C)中、R1~R6、XおよびQは、前記一般式(1)における定義と同じ定義を有する。]
【0037】
一般式(1)において、「An」は特に限定されず、例えば、ハロゲン化物イオンなどの無機アニオン、または有機アニオンがあげられる。具体的には、
Cl-、Br-、I-;(CF3SO2)2N-、(CF3SO2)3C-、
(C2F5SO2)2N-、(C4F9SO2)2N-、(C6F5SO2)2N-、
(CN)2N-、(CN)3C-、NC―S-、(C2F5)3F3P-、
(C6H4SO3
-)O(C6H3(C12H25)(SO3
-))、
C6H4(C12H25)(SO3
-)、PF6
-、BF4
-、(PW12O40)3-、または、下記式(J-1)~(J-16)の構造式で示すアニオンなどがあげられる。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
一般式(1)において、R1~R4は、―H、置換基を有していてもよい炭素原子数1~10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素原子数6~12の芳香族炭化水素基が好ましい。
【0044】
一般式(1)において、R5およびR6は、―H、塩素原子または臭素原子が好ましい。
【0045】
一般式(1)において、Qは、置換基を有していてもよい炭素原子数3~30の「含窒素六員環を有する複素環基」又は「含窒素六員環構造を含む複素環基」を表し、前記一般式(Q1)で表される1価の複素環基であることが好ましい。すなわち、一般式(1)は下記一般式(1-Q1)であることが好ましい。
【0046】
【0047】
[式(1-Q1)中、R1~R6、X、An、aおよびbは、前記一般式(1)における定義と同じ定義を有する。また、Z1~Z5、および、Z1~Z5に含まれるR7は、前記一般式(Q1)における定義と同じ定義を有する。]
【0048】
一般式(Q1)において、R7で表される「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などがあげられ、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
【0049】
一般式(Q1)において、
Z1~Z5における「―CR7=」中のR7で表される、
「スルホン酸基」、「カルボキシ基」、「スルホンアミド基」、「アミド基」、
「置換基を有していてもよい炭素原子数1~27の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」における「炭素原子数1~27の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、
「置換基を有していてもよい炭素原子数2~27の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」における「炭素原子数2~27の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」、
「置換基を有していてもよい炭素原子数6~27の芳香族炭化水素基」における「炭素原子数6~27の芳香族炭化水素基」、
「置換基を有していてもよい炭素原子数1~27のアルコキシ基」における「炭素原子数1~27のアルコキシ基」、
「置換基を有していてもよい炭素原子数1~27のスルファニル基」における「炭素原子数1~27のスルファニル基」または
「置換基を有していてもよい炭素原子数0~27のアミノ基」における「炭素原子数0~27のアミノ基」としては、具体的に、以下の基が挙げられる。
―SO3
-、―SO3H、―SO3Mで表されるスルホン酸基、または
―CO2
-、―CO2H、―CO2M、―CO2―Rで表されるカルボキシ基(ただし、Mは有機カチオンまたは無機カチオンを表す。Rは任意の一価基を表す。);
―SO2NR2で表されるスルホンアミド基、または
―CONR2で表されるアミド基(Rは任意の一価基を表す。);
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの直鎖状のアルキル基;
イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基などの分岐状のアルキル基;
ビニル基、1-プロペニル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、1-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基などのアルケニル基、またはこれらが複数結合した直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基;
フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基(アントリル基)、テトラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基(アリール基および縮合多環芳香族基を含む。);
メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジ(2-エチルヘキシル)基、ジ-t-ブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、エチルフェニルアミノ基。
【0050】
一般式(Q1)において、R7で表される、
「―CO2―R」、「―SO2NR2」もしくは「―CONR2」における「R」、
「置換基を有していてもよい炭素原子数1~27の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、
「置換基を有していてもよい炭素原子数2~27の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」、
「置換基を有していてもよい炭素原子数6~27の芳香族炭化水素基」、
「置換基を有していてもよい炭素原子数1~27のアルコキシ基」、
「置換基を有していてもよい炭素原子数1~27のスルファニル基」または
「置換基を有する炭素原子数0~27のアミノ基」における「置換基」としては、
一般式(1)中において、R1~R6で表される
「置換基を有する炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」または
R1~R4で表される「置換基を有する炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基」における「置換基」としてあげたものと同様のものがあげられる。これらの「置換基」は1つのみ含まれてもよく、複数含まれてもよく、複数含まれる場合は互いに同一でも異なっていてもよい。また、これら「置換基」はさらに、前記例示した置換基を有していてもよい。
なお、R7または「置換基」が炭素原子を含む場合、その炭素原子は、一般式(1)中の「Q」における「炭素原子数3~30」に算入される。
また、これらの置換基同士が単結合、二重結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
【0051】
一般式(Q1)において、R7は、複数ある場合、隣り合う基同士で、単結合、二重結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して、互いに結合して環を形成していてもよく、形成する環は、5員環または6員環であるのが好ましい。
【0052】
一般式(1)におけるQ、または、一般式(Q1)で表される「含窒素六員環を有する複素環基」又は「含窒素六員環構造を含む複素環基」としては、置換基を有していてもよい炭素原子数4~30のピリジル基、ピリミジニル基、キノリル基またはイソキノリル基であることが好ましく、これらの基が有する「置換基」としては、一般式(Q1)において「置換基」としてあげられているものと同様のものであってよい。これらの「置換基」としては、―H、―CN、フッ素原子、塩素原子、―NO2、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数6~10の芳香族炭化水素基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~10のアルコキシ基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~10のスルファニル基」または「置換基を有していてもよい炭素原子数0~10のアミノ基」が好ましい。
【0053】
一般式(1)で表されるキサンテン色素は、公知の方法(非特許文献1など)により、一般式(1)の各種の相当する基を有する試薬等を用いて、以下のように合成することができる。3,6-ビス(ジエチルアミノ)キサントンなどのキサントン誘導体と、2-ブロモピリジンなどの複素環式化合物とを、テトラヒドロフラン(THF)などの適当な溶媒中、n-ブチルリチウムを用い、適切な冷却条件で、縮合反応させ、反応混合物をろ過することにより、一般式(1)で表される化合物を含有する生成物が得られる。
【0054】
一般式(1)で表される本発明のキサンテン色素として好ましい化合物の具体例を以下の式(A-1)~(A-35)に示すが、本発明は、これらの化合物に限定されない。なお、前記一般式(1-C)で表されるカチオン部を示しており、Anで表されるアニオン部は省略して記載している。下記構造式では、水素原子を一部省略して記載している。また、立体異性体が存在する場合であっても、その平面構造式を記載している。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
本発明のキサンテン色素は、1種または分子構造の異なる2種以上を組み合わせて使用(例えば混合)してもよい。当該2種以上を使用する際は、キサンテン色素全体において、最も少ない方の1種のキサンテン色素は0.1~50質量%である。キサンテン色素の種類は1種または2種であるのが好ましい。
【0068】
本発明のキサンテン色素に係る精製方法としては、カラムクロマトグラフィーによる精製;シリカゲル、活性炭、活性白土などによる吸着精製;溶媒による再結晶や晶析法などの公知の方法があげられる。また、本発明に係る化合物の同定、分析には、核磁気共鳴分析(NMR)、分光光度計による吸光度測定や紫外可視吸収スペクトル(UV-Vis)測定、熱重量測定-示差熱分析(TG-DTA)などを行うことができる。さらに、これらの方法は、得られた化合物の溶解性、色彩評価、耐熱性評価などにも用いることができる。
【0069】
本発明のキサンテン色素は、各種樹脂溶液と混合してガラスなどの透明基板上に塗布するなどの方法で塗膜を作製し、分光測色計を用いて塗膜を測色し、色彩評価を行うことができる。色彩値はCIE L*a*b*表色系などが一般的に用いられる。具体的には、膜試料の色彩値L*、a*、b*を測定し、適当な温度での加熱前後の色彩値の色差(ΔE*
ab)より、耐熱性を判断することができる。カラーフィルターに応用する場合、230℃前後の温度での色差を耐熱性の指標として用いることができる。ΔE*
abは、その値が小さいほど、熱分解による色の変色が少ないことを意味し、10以下が好ましく、3以下がより好ましい。
【0070】
本発明のキサンテン色素、該色素を含有する着色組成物、該色素または該着色組成物を含有するカラーフィルター用着色剤は、着色剤およびカラーフィルターの製造工程において、樹脂などを含有する有機溶媒に良好に溶解または分散させる必要があるため、有機溶媒に対する溶解度や分散性が高いことが好ましい。有機溶媒としては、特に限定されないが、具体的には、酢酸エチル、酢酸-n-ブチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)などのエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)などのエーテルエステル類;アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;メタノール、エタノール、2-プロパノールなどのアルコール類;ジアセトンアルコール(DAA)など;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)などのアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO);クロロホルム(トリクロロメタン)、などがあげられ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン、またはジアセトンアルコール(DAA)が好ましく、樹脂の溶解性とキサンテン色素の溶解性の両立の観点からはプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)またはシクロヘキサノンが特に好ましい。これらの溶剤は、単独または2種類以上混合して用いてもよい。
【0071】
本発明のキサンテン色素は、有機溶媒への溶解性、特にPGMEへの溶解性に優れ、例えばPGMEに対する溶解度は、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが特に好ましい。高コントラスト比のカラーフィルターへの応用を考えた場合、溶解度は高い程好ましい。
【0072】
本発明のキサンテン色素と有機溶媒を適当な比率で混合し、超音波処理した後、室温(25℃)下、不溶分の有無を目視で確認することにより、溶解度を評価することができる。溶解度の測定に用いる有機溶媒としては、特に限定されず、前記有機溶媒を用いる事ができるが、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン、またはジアセトンアルコール(DAA)が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン、またはジアセトンアルコール(DAA)が特に好ましい。
【0073】
本発明のカラーフィルター用着色剤は、一般式(1)で表されるキサンテン色素を少なくとも1種含有する着色組成物と、カラーフィルターの製造に一般的に使用される成分とを含む。一般的なカラーフィルターは、例えば、フォトリソグラフィー工程を利用した方法の場合、染料や顔料などの色素を樹脂成分(モノマー、オリゴマーを含む)や溶媒と混合して調製した液体を、ガラスや樹脂などの基板の上に塗布し、フォトマスクを用いて光重合させ、溶媒に可溶/不溶な色素-樹脂複合膜の着色パターンを作製し、洗浄後、加熱することにより得られる。また電着法や印刷法においても、色素を樹脂やその他の成分と混合したものを用いて着色パターンを作製する。よって、本発明のカラーフィルター用着色剤における具体的な成分としては、少なくとも1種の一般式(1)で表されるキサンテン色素、その他の染料または顔料などの色素、樹脂成分、有機溶媒、および光重合開始剤などその他の添加剤があげられる。また、これらの成分から取捨選択してもよく、必要に応じて他の成分を追加してもよい。
【0074】
本発明のキサンテン色素を含有する着色組成物をカラーフィルター用着色剤として用いる場合、各色用カラーフィルターに用いてもよいが、赤色カラーフィルター用着色剤として用いるのが好ましい。
【0075】
本発明のキサンテン色素を含有する着色組成物またはカラーフィルター用着色剤は、1種または2種以上のキサンテン色素を単独で使用してもよく、色調の調整のために、その他の染料または顔料などの公知の色素を混合してもよい。赤色カラーフィルター用着色剤に用いる場合、特に限定されないが、C.I.ピグメントレッド177、209、242、254、255、264、269、C.I.ピグメントオレンジ38、43、71などの赤色系顔料;その他の赤色系レーキ顔料;C.I.ピグメントイエロー138、139、150などの黄色系顔料;C.I.アシッドレッド88、C.I.ベーシックバイオレット10などの赤色系染料、などがあげられる。青色カラーフィルター用着色剤に用いる場合、特に限定されないが、C.I.ベーシックブルー3、7、9、54、65、75、77、99、129などの塩基性染料;C.I.アシッドブルー9、74などの酸性染料;ディスパースブルー3、7、377などの分散染料;スピロン染料;シアニン系、インディゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、メチン系、トリアリールメタン系、インダンスレン系、オキサジン系、ジオキサジン系、アゾ系、本発明に属さないキサンテン系;その他の青色系レーキ顔料、などの青色系の染料または顔料があげられる。
【0076】
本発明のキサンテン色素を含有する着色組成物またはカラーフィルター用着色剤における他の色素の混合比は、キサンテン色素(2種以上の場合にはそれらの合計)に対して5~2000質量%であるのが好ましく、10~1000質量%とするのがより好ましい。液状のカラーフィルター用着色剤中における色素成分の混合比は、着色剤全体に対して0.5~70質量%であるのが好ましく、1~50質量%であるのがより好ましい。
【0077】
本発明の着色組成物またはカラーフィルター用着色剤における樹脂成分としては、これらを使用して形成されるカラーフィルター樹脂膜の製造方式や使用時に必要な性質を有するものであれば、公知のものを使用することができる。例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエーテル樹脂、フェノール(ノボラック)樹脂、その他の透明樹脂、光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂があげられ、これらのモノマーまたはオリゴマー成分を適宜組み合わせて使用することができる。また、これらの樹脂の共重合体を組み合わせて使用することもできる。これらのカラーフィルター用着色剤における樹脂の含有量は、液状の着色剤の場合、5~95重量%であるのが好ましく、10~50質量%であるのがより好ましい。
【0078】
本発明の着色組成物の成分としては、用途に応じて界面活性剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、その他の添加剤を添加することができる。着色組成物における添加剤の含有率は適量であることが好ましく、本発明の着色組成物の溶媒中の溶解性を低下させたり、もしくは必要以上に向上させたり、また、カラーフィルターなどの製品の製造時に用いる他の同種の添加剤の効果に影響しない範囲の含有率であることが好ましい。これらの添加物は、着色組成物の調製の任意のタイミングで投入することができる。
【0079】
本発明のカラーフィルター用着色剤におけるその他の添加剤としては、光重合開始剤や架橋剤などの樹脂の重合や硬化に必要な成分があげられ、また、液状のカラーフィルター用着色剤中の成分の性質を安定させるために必要な界面活性剤や分散剤などがあげられる。これらはいずれも、カラーフィルター製造用の公知のものを使用することができ、特に限定されない。カラーフィルター用着色剤の固形分全体におけるこれらの添加剤の総量の混合比は、5~60質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。
【実施例】
【0080】
本発明の実施の形態について、実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。なお、合成実施例で得られた化合物の同定は、1H-NMR分析(ブルカー社製核磁気共鳴装置、型番:Magnet System 300MHz/54mm UltraShield)により行い、測定結果および同定した構造を下記合成実施例中に示す。
【0081】
[合成実施例1] 化合物(D-1)の合成
以下の化学反応は窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた100mL容4つ口フラスコに、マグネシウム(削り状)2.15g(88.6mmol)、ヨウ素1片、THF40mLを入れ、室温(23~28℃)で30分間撹拌した。2-ブロモピリジン11.67g(73.87mmol)、THF30mLを滴下しながら加えた後、反応液を室温で30分間撹拌し、グリニャール試薬を調製した。
冷却管、撹拌装置、温度計を備えた100mL容4つ口フラスコに、既知の方法(非特許文献1、Supporting Information)を参考に合成した下記式(100)で表される中間体5.00g(14.7mmol)、THF40mLを入れ、冷媒浴中、5℃に冷却した後、前記グリニャール試薬全量とTHF10mLを滴下しながら加えた。反応液を室温に昇温し、14時間撹拌した。反応液を5℃に冷却し、水20mLを加えて反応を停止した後、35~38%濃塩酸で中和し、pH7に調整した。混合物に塩化ナトリウム30gを加えて室温で30分間撹拌した後、ジクロロメタン300mLで抽出し、有機層を水100mL、飽和食塩水100mLで洗浄した。水層からジクロロメタン300mLで再抽出し、有機層を混合した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧ろ過した。ろ液の溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ジクロロメタン/メタノール=30/1(体積比))で精製した。精製後、乾燥して得た黒紫色固体を酢酸エチル100mLで洗浄し、減圧ろ過した。残渣を80℃で減圧乾燥し、目的物の下記化合物(D-1)を黒紫色固体として得た(2.39g,収率37%)。
【0082】
【0083】
1H-NMR(300MHz、DMSO-d6):δ(ppm)=8.91(1H)、8.15(1H)、7.77-7.68(2H)、7.30-7.23(2H)、7.19-7.11(2H)、7.04-6.98(2H)、3.67(8H)、1.22(12H)。
【0084】
【0085】
[合成実施例2] 化合物(D-2)の合成
以下の化学反応は窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた100mL容4つ口フラスコに、前記化合物(D-1)2.02g(4.63mmol)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI,Li+(CF3SO2)2N-)1.47g(5.12mmol)、DMF45mLを入れ、50℃で3時間撹拌した。反応液を30℃以下まで放冷し、水200mLに注加し、室温で10分間撹拌した後、減圧ろ過した。残渣を水100mLで洗浄し、減圧ろ過した後、残渣を80℃で減圧乾燥し、目的物の下記化合物(D-2)を暗緑色固体として得た(2.72g,収率87%)。
【0086】
1H-NMR(300MHz、DMSO-d6):δ(ppm)=8.91(1H)、8.15(1H)、7.77-7.68(2H)、7.30-7.23(2H)、7.19-7.11(2H)、7.04-6.98(2H)、3.67(8H)、1.23(12H)。
【0087】
【0088】
[合成実施例3] 化合物(D-3)の合成
以下の化学反応は窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた250mL容4つ口フラスコに、3-ブロモピリジン2.80g(17.7mmol)、THF50mLを入れ、冷媒浴中、-50℃に冷却した後、1.6M n-ブチルリチウム/n-ヘキサン溶液12.0mL(19.2mmol)を加え、-50℃で30分間撹拌した。反応液に中間体(100)5.00g(14.8mmol)のTHF20mL溶液を10分間で加え、-50℃で30分間撹拌した後、そのまま0℃まで昇温しながら1.5時間撹拌した。反応液を-50℃に冷却し、水10mLを加えて反応を停止した後、濃塩酸10mLを加えて酸性にした。混合物を室温に昇温し、水酸化ナトリウム水溶液でpH7に中和した後、ジクロロメタン100mLで抽出した。有機層を水100mL、飽和食塩水100mLで洗浄した後、水層からジクロロメタン100mLで再抽出した。有機層を混合し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧ろ過し、ろ液の溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ジクロロメタン/メタノール=10/1(体積比))で精製し、乾燥して得た黒緑色固体を酢酸エチル30mLで洗浄し、減圧ろ過した。残渣を80℃で減圧乾燥し、目的物の下記化合物(D-3)を黒緑色固体として得た(0.42g,収率6%)。
【0089】
1H-NMR(300MHz、DMSO-d6):δ(ppm)=8.89(1H)、8.72(1H)、8.03(1H)、7.75(1H)、7.32-7.11(4H)、7.07-6.99(2H)、3.68(8H)、1.22(12H)。
【0090】
【0091】
[合成実施例4] 化合物(D-4)の合成
合成実施例2において、化合物(D-1)に代えて前記化合物(D-3)0.40g(0.92mmol)、LiTFSI 0.29g(1.0mmol)を使用した以外は同様の方法により、目的の下記化合物(D-4)を緑色固体として得た(0.47g,収率75%)。
【0092】
1H-NMR(300MHz、DMSO-d6):δ(ppm)=8.89(1H)、8.72(1H)、8.02(1H)、7.75(1H)、7.31-7.21(2H)、7.21-7.11(2H)、7.08-7.00(2H)、3.68(8H)、1.22(12H)。
【0093】
【0094】
[合成実施例5] 化合物(D-5)の合成
合成実施例3において、3-ブロモピリジンに代えて下記中間体(Q-100)6.03g(26.3mmol)、1.6M n-ブチルリチウム/n-ヘキサン溶液16.4mL(26.2mmol)、前記中間体(100)4.45g(13.1mmol)を使用した以外は同様の方法により、目的の下記化合物(D-5)を暗赤紫色固体として得た(2.30g,収率34%)。
【0095】
【0096】
1H-NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)=8.34(1H)、7.86-7.76(2H)、7.50(1H)、7.20(1H)、7.01(2H)、6.78(2H)、3.67(8H)、3.55(4H)、1.43-1.28(18H)。
【0097】
【0098】
[合成実施例6] 化合物(D-6)の合成
合成実施例2において、化合物(D-1)に代えて前記化合物(D-5)1.80g(3.55mmol)、LiTFSI 1.12g(3.90mmol)を使用した以外は同様の方法により、目的の下記化合物(D-6)を暗紫固体として得た(2.00g,収率75%)。
【0099】
1H-NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)=8.34(1H)、7.86-7.76(2H)、7.50(1H)、7.20(1H)、7.01(2H)、6.78(2H)、3.67(8H)、3.55(4H)、1.43-1.28(18H)。
【0100】
【0101】
[合成実施例7] 化合物(D-7)の合成
合成実施例3において、3-ブロモピリジンに代えて下記中間体(Q-101)5.75g(25.1mmol)、1.6M n-ブチルリチウム/n-ヘキサン溶液15.7mL(25.1mmol)、前記中間体(100)4.25g(12.6mmol)を使用した以外は同様の方法により、目的の下記化合物(D-7)を暗紫色固体として得た(5.60g,収率68%)。
【0102】
【0103】
1H-NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)=8.22(1H)、7.71-7.04(2H)、7.60(1H)、7.01(2H)、6.84-6.79(2H)、6.76(1H)、3.75-3.62(12H)、1.36(12H)、1.31(6H)。
【0104】
【0105】
[合成実施例8] 化合物(D-8)の合成
合成実施例2において、化合物(D-1)に代えて前記化合物(D-7)5.20g(10.3mmol)、LiTFSI 3.24g(14.3mmol)を使用した以外は同様の方法により、目的の下記化合物(D-8)を赤色固体として得た(7.20g,収率97%)。
【0106】
1H-NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)=8.22(1H)、7.71-7.04(2H)、7.60(1H)、7.01(2H)、6.84-6.79(2H)、6.76(1H)、3.75-3.62(12H)、1.36(12H)、1.31(6H)。
【0107】
【0108】
[合成実施例9] 化合物(D-9)の合成
合成実施例3において、3-ブロモピリジンに代えて下記中間体(Q-102)5.75g(25.0mmol)、1.6M n-ブチルリチウム/n-ヘキサン溶液15.7mL(25.1mmol)、前記中間体(100)4.25g(12.6mmol)を使用した以外は同様の方法により、目的の下記化合物(D-9)を黒色固体として得た(1.90g,収率30%)。
【0109】
【0110】
1H-NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)=8.40(2H)、7.64-7.57(2H)、7.10-7.03(2H)、6.92-6.87(2H)、3.86-3.65(12H)、1.47-1.28(18H)。
【0111】
【0112】
[合成実施例10] 化合物(D-10)の合成
合成実施例2において、化合物(D-1)に代えて前記化合物(D-9)1.40g(2.76mmol)、LiTFSI 0.87g(3.03mmol)を使用した以外は同様の方法により、目的の下記化合物(D-10)を暗紫固体として得た(1.70g,収率82%)。
【0113】
1H-NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)=8.40(2H)、7.64-7.57(2H)、7.10-7.03(2H)、6.92-6.87(2H)、3.86-3.65(12H)、1.47-1.28(18H)。
【0114】
【0115】
[合成実施例11] 化合物(D-11)の合成
合成実施例3において、3-ブロモピリジンに代えて下記中間体(Q-103)5.50g(29.6mmol)、1.6M n-ブチルリチウム/n-ヘキサン溶液18.5mL(29.6mmol)、前記中間体(100)5.00g(14.8mmol)を使用した以外は同様の方法により、目的の下記化合物(D-11)を暗紫色固体として得た(2.30g,収率36%)。
【0116】
【0117】
1H-NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)=7.46(1H)、7.29(1H)、7.18-7.11(2H)、7.01-6.94(2H)、6.93-6.87(2H)、3.69(8H)、2.69(3H)、2.27(3H)、1.35(12H)。
【0118】
【0119】
[合成実施例12] 化合物(D-12)の合成
合成実施例2において、化合物(D-1)に代えて前記化合物(D-11)1.80g(3.88mmol)、LiTFSI 1.22g(4.25mmol)を使用した以外は同様の方法により、目的の下記化合物(D-12)を暗紫固体として得た(2.20g,収率80%)。
【0120】
1H-NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)=7.46(1H)、7.29(1H)、7.18-7.11(2H)、7.01-6.94(2H)、6.93-6.87(2H)、3.69(8H)、2.69(3H)、2.27(3H)、1.35(12H)。
【0121】
【0122】
[実施例1]
(溶解性の評価)
10mL容ガラス製サンプル瓶に、合成実施例2で得られた化合物(D-2)20mgとプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を、色素濃度が0.5質量%、1質量%、3質量%、5質量%となるように秤量して入れ、混合物を調製した。20分間超音波処理した後、室温(25℃)で24時間放置した。各濃度の色素溶液を目視で観察し、不溶分の見られない最高の色素濃度を溶解度とした。測定結果を表1に示す。
【0123】
(耐熱性の評価)
メタアクリル酸-アクリル酸エステル共重合体の2質量%DMF溶液5.0gと前記化合物(D-2)20mgを20mL容サンプル瓶に入れ、室温(25℃)で30分間撹拌し、混合した。得られた着色樹脂溶液をシリンジフィルターでろ過し、ろ液をガラス基板上に塗布(製膜方法:ガラス上にろ液を1g滴下し、スピンコーターを使用し300rpmで10秒間製膜)し、100℃で2分間加熱して製膜した。作製した膜について、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製、型番:CM-5)を用いて透過光による色彩値を測定した。その後、230℃で20分間加熱し、同様に色彩値を測定した。230℃での加熱前後の色彩値の色差(ΔE*
ab)を耐熱性の指標とし、下記の3段階で評価した結果を表1に合わせて示す。
「○」:ΔE*
ab≦3.0
「△」:3.0<ΔE*
ab≦10.0
「×」:ΔE*
ab>10.0
【0124】
[実施例2~実施例6]
実施例1において、化合物(D-2)に代えて表1に示す化合物を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、溶解度および耐熱性を評価した。結果を表1にまとめて示す。
【0125】
[比較例1~比較例3]
比較例として、実施例1の化合物(D-2)の代わりに、本発明に属さないキサンテン色素化合物である、前記式(B-1)~(B-3)で表されるC.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド52またはC.I.ベーシックバイオレット10を使用した以外は、実施例1と同様に溶解度および耐熱性を評価した。結果を表1にまとめて示す。
【0126】
【0127】
表1に示すように、本発明の実施例の化合物であるキサンテン色素は、比較例の従来のキサンテン色素より溶解度が高い。また、実施例のキサンテン色素を含有する着色組成物は、製膜時における良好な耐熱性を備えており、カラーフィルター用着色剤として実用上問題ない。また、実施例の着色組成物の製膜時における耐熱性は比較例と同等またはそれ以上であり、カラーフィルター用着色剤として有用である。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明に係るキサンテン色素を含有する着色組成物は、溶解性および耐熱性に優れており、カラーフィルター用着色剤などの種々の用途の色素材料として利用可能である。また、該着色組成物をカラーフィルター用着色剤として用いることにより、色特性(色域、輝度、コントラスト比など)に優れたカラーフィルターを作製することが可能である。