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特許7527946発振回路、時間デジタル変換器、及び電子装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】発振回路、時間デジタル変換器、及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 3/03 20060101AFI20240729BHJP
   H03K 5/26 20060101ALI20240729BHJP
   H03K 3/354 20060101ALN20240729BHJP
【FI】
H03K3/03
H03K5/26 P
H03K3/354 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020206052
(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公開番号】P2022093002
(43)【公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(72)【発明者】
【氏名】富山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】タ トァン タン
(72)【発明者】
【氏名】近藤 智史
(72)【発明者】
【氏名】崔 明秀
(72)【発明者】
【氏名】杉本 俊貴
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 健太郎
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-074762(JP,A)
【文献】特開2020-085537(JP,A)
【文献】国際公開第2010/004670(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 3/00-5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦続接続されるn(nは3以上の整数)段の遅延素子を有し、最終段の前記遅延素子の出力信号は、初段の前記遅延素子の入力側に帰還され、前記n段の遅延素子の出力をn段の出力ノードとする第1発振器と、
縦続接続されるn段の遅延素子を有し、最終段の前記遅延素子の出力信号は、初段の前記遅延素子の入力側に帰還され、前記n段の遅延素子の出力をn段の出力ノードとする第2発振器と、
縦続接続されるn段の遅延素子を有し、最終段の前記遅延素子の出力信号は、初段の前記遅延素子の入力側に帰還され、前記遅延素子の出力を出力ノードとする第3発振器と、
前記第1発振器、前記第2発振器、及び前記第3発振器を含むm(mは3以上の整数)個の発振器と、を備え、
前記m個の発振器のうち、2つの発振器の組合せごとに異なる前記出力ノード同士が接続され、
前記第1発振器の第a(aは1以上n以下の整数)段目の出力ノードと前記第2発振器の第a段目の出力ノードとが接続され、
前記第2発振器の第b(bは、aとは異なる1以上n以下の整数)段目の出力ノードと前記第3発振器の第b段目の出力ノードとが接続される、発振回路。
【請求項2】
前記m個の発振器は、所定の方向に並べて配置されており、
前記m個の発振器のうち、前記所定の方向に隣接する2つの前記発振器の組合せのすべてについて、それぞれ異なる前記出力ノード同士を接続する、請求項1に記載の発振回路。
【請求項3】
前記所定の方向への並び順に隣接する2つの前記発振器の出力ノード同士を接続する前記遅延素子は、前記所定の方向への配置順序に従って所定の段数ずつずらして配置される、請求項に記載の発振回路。
【請求項4】
前記所定の段数は、前記発振器内の前記n段の遅延素子の数と、前記m個の発振器の数とに応じて決定される、請求項に記載の発振回路。
【請求項5】
前記m個の発振器は、任意の2つの前記発振器内のそれぞれ異なる段の前記遅延素子の出力ノード同士を接続することにより、ループ状に接続される、請求項乃至のいずれか一項に記載の発振回路。
【請求項6】
前記m個の発振器は、それぞれが2以上の発振器を有する複数の発振器群に分類されており、
前記発振器群ごとに、前記所定の方向への並び順に隣接する2つの前記発振器内の出力ノード同士を接続する前記遅延素子は、前記所定の方向への配置順序に従って所定の段数ずつずらして配置される、請求項乃至のいずれか一項に記載の発振回路。
【請求項7】
前記複数の発振器群は、2つの前記発振器群ごとに前記2つの発振器群の出力ノードを接続する、請求項に記載の発振回路。
【請求項8】
前記複数の発振器群内のすべての前記発振器はループ状に接続される、請求項又はに記載の発振回路。
【請求項9】
前記遅延素子は、論理反転素子であり、
前記発振器は、奇数段の前記論理反転素子を環状に接続して構成される、請求項乃至のいずれか一項に記載の発振回路。
【請求項10】
前記遅延素子は、差動入力及び差動出力の差動アンプであり、
前記発振器は、偶数段又は奇数段の前記差動アンプを縦続接続して構成される、請求項乃至のいずれか一項に記載の発振回路。
【請求項11】
前記m個の発振器のいずれか一つの出力ノードに接続される出力ノードを有し、発振動作を行わないダミー回路を備える、請求項2乃至10のいずれか一項に記載の発振回路。
【請求項12】
前記所定の方向に配置された前記m個の発振器の両端側に2つの前記ダミー回路が配置され、
一方の前記ダミー回路の出力ノードは、前記所定の方向に並べて配置された前記m個の発振器のうち、一端側の前記発振器のいずれか一つの出力ノードに接続され、
他方の前記ダミー回路の出力ノードは、前記所定の方向に並べて配置された前記m個の発振器のうち、他端側の前記発振器のいずれか一つの出力ノードに接続される、請求項11に記載の発振回路。
【請求項13】
同一の位相及び同一の周波数の発振信号を出力する複数の発振器と、
前記複数の発振器のいずれかから出力された発振信号の周期数を計測するカウンタと、
複数の時間信号の論理が遷移する際に、対応する発振器から出力される発振信号の位相を検出する複数の位相検出器と、
前記複数の時間信号の論理が遷移する際に前記カウンタのカウント値を保持する複数のカウント保持部と、
前記複数のカウント保持部に保持された前記カウント値と前記複数の位相検出器で検出された位相とに基づいて、前記複数の時間信号に応じた複数のデジタル信号を生成するデジタル信号生成部と、を備え、
前記複数の発振器は、
縦続接続されるn(nは3以上の整数)段の遅延素子を有し、最終段の前記遅延素子の出力信号は、初段の前記遅延素子の入力側に帰還され、前記n段の遅延素子の出力をn段の出力ノードとする第1発振器と、
縦続接続されるn段の遅延素子を有し、最終段の前記遅延素子の出力信号は、初段の前記遅延素子の入力側に帰還され、前記n段の遅延素子の出力をn段の出力ノードとする第2発振器と、
縦続接続されるn段の遅延素子を有し、最終段の前記遅延素子の出力信号は、初段の前記遅延素子の入力側に帰還され、前記n段の遅延素子の出力をn段の出力ノードとする第3発振器と、
前記第1発振器、前記第2発振器、及び前記第3発振器を含むm(mは3以上の整数)個の発振器と、を備え、
前記m個の発振器のうち、2つの発振器の組合せごとに異なる前記出力ノード同士が接続され、
前記第1発振器の第a(aは1以上n以下の整数)段目の出力ノードと前記第2発振器の第a段目の出力ノードとが接続され、
前記第2発振器の第b(bは、aとは異なる1以上n以下の整数)段目の出力ノードと前記第3発振器の第b段目の出力ノードとが接続される、時間デジタル変換器。
【請求項14】
対象物の複数箇所で反射された複数の光信号を受光して、複数の時間信号を生成する受光部と、
前記複数の時間信号に基づいて複数のデジタル信号を生成する時間デジタル変換器と、
前記複数のデジタル信号に基づいて、前記対象物までの距離を計測する距離計測部と、を備え、
前記時間デジタル変換器は、
同一の位相及び同一の周波数の発振信号を出力する複数の発振器と、
前記複数の発振器のいずれかから出力された発振信号の周期数を計測するカウンタと、
前記複数の時間信号の論理が遷移する際に、前記複数の発振器から出力される複数の発振信号の位相を検出する位相検出器と、
前記複数の時間信号の論理が遷移する際に前記カウンタで計測された周期数と、前記位相検出器で検出された位相とに基づいて、前記複数の時間信号に応じたデジタル信号を出力するデジタル信号生成部と、を備え、
前記複数の発振器は、
縦続接続されるn(nは3以上の整数)段の遅延素子を有し、最終段の前記遅延素子の出力信号は、初段の前記遅延素子の入力側に帰還され、前記n段の遅延素子の出力をn段の出力ノードとする第1発振器と、
縦続接続されるn段の遅延素子を有し、最終段の前記遅延素子の出力信号は、初段の前記遅延素子の入力側に帰還され、前記n段の遅延素子の出力をn段の出力ノードとする第2発振器と、
縦続接続されるn段の遅延素子を有し、最終段の前記遅延素子の出力信号は、初段の前記遅延素子の入力側に帰還され、前記n段の遅延素子の出力をn段の出力ノードとする第3発振器と、
前記第1発振器、前記第2発振器、及び前記第3発振器を含むm(mは3以上の整数)個の発振器と、を備え、
前記m個の発振器のうち、2つの発振器の組合せごとに異なる前記出力ノード同士が接続され、
前記第1発振器の第a(aは1以上n以下の整数)段目の出力ノードと前記第2発振器の第a段目の出力ノードとが接続され、
前記第2発振器の第b(bは、aとは異なる1以上n以下の整数)段目の出力ノードと前記第3発振器の第b段目の出力ノードとが接続される、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発振回路、時間デジタル変換器、及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の発振器の特定の出力同士を接続すると、相互に位相が注入されて、位相雑音を低下することができ、高精度の時間信号を生成できる。
しかしながら、複数の発振器の各出力を一つのノードに接続すると、このノードの寄生容量が大きくなり、各発振器の他の出力との対称性が悪くなり、発振信号の線形性が悪化してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許3619352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示では、構成を複雑化することなく、線形性を向上させて、より高精度の発振信号を生成可能な発振回路、時間デジタル変換器、及び電子装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本開示によれば、n(nは3以上の整数)段の出力ノードを有する第1発振器と、
n段の出力ノードを有する第2発振器と、
n段の出力ノードを有する第3発振器と、を備え、
前記第1発振器の第a(aは1以上n以下の整数)段目の出力ノードと前記第2発振器の第a段目の出力ノードとが接続され、
前記第2発振器の第b(bは、aとは異なる1以上n以下の整数)段目の出力ノードと前記第3発振器の第b段目の出力ノードとが接続される、発振回路が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態による発振回路を内蔵する時間デジタル変換器の概略構成を示すブロック図。
図2】発振器の3つの出力ノードの位相状態と第1位相情報とを示す図。
図3図3の発振器のタイミング波形図。
図4】第2の実施形態による複数の発振器を有する発振回路の回路図。
図5】第3の実施形態による複数の発振器を有する発振回路の回路図。
図6】第4の実施形態による発振回路の回路図。
図7】一変形例による発振回路のブロック図。
図8】電子装置の概略構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、発振回路、時間デジタル変換器、及び電子装置の実施形態について説明する。以下では、発振回路、時間デジタル変換器、及び電子装置の主要な構成部分を中心に説明するが、発振回路、時間デジタル変換器、及び電子装置には、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態による発振回路1を内蔵する時間デジタル変換器2の概略構成を示すブロック図である。本実施形態による時間デジタル変換器2は、多チャネル構成であり、複数チャネルの時間信号を並行してデジタル信号に変換する。図1の時間デジタル変換器2は、3チャネルの構成を示しているが、2チャネル以上の任意のチャネル数に適用可能である。図1の時間デジタル変換器2は、3つの時間信号TIN1、TIN2、TIN3の立ち上がりエッジのタイミングをデジタル信号DOUT1、DOUT2、DOUT3に変換する。
【0009】
図1の時間デジタル変換器2は、複数の発振器3を有する発振回路1と、カウンタ4と、複数の位相検出器5と、複数のカウント保持部6と、複数のデジタル信号生成部7とを備えている。
【0010】
発振回路1内の複数の発振器3は、位相ずれのない発振信号を出力する。複数の発振器3は、所定の方向Xに並べて配置されており、各発振器3は位相の異なる発振信号を出力可能な複数の出力ノードを有する。複数の発振器3内の対応する出力ノードから出力される発振信号の位相及び周波数は揃っている。発振器3の具体的な構成については後述するが、図1の各発振器3は、位相の異なる3つの発振信号を出力する3つの出力ノードN1、N2、N3を有する。
【0011】
カウンタ4は、複数の発振器3のいずれかから出力された発振信号の周期数を計測する。複数の発振器3は、対応する出力ノードから位相及び周波数が揃った発振信号を出力するため、カウンタ4には、どの発振器3から出力された発振信号が入力されてもよい。
【0012】
複数の位相検出器5は、対応する時間信号の論理が遷移する際に、対応する発振器3から出力された位相の異なる複数の発振信号の位相を検出する。各位相検出器5は、位相保持部8とエンコーダ9を有する。
【0013】
位相保持部8は、対応する時間信号の論理が遷移するタイミング(例えば、ローからハイに遷移するタイミング)に同期して、対応する発振器3から出力される発振信号の位相を保持する。位相保持部8は、例えば複数のフリップフロップ(以下、F/F)10を有する。各F/F10は、対応する時間信号の論理が遷移するタイミング(例えば、ローからハイに遷移するタイミング)に同期して、対応する発振器3の位相を保持する。エンコーダ9は、位相保持部8で保持された複数の発振信号の位相をエンコードして、第1位相情報を生成する。
【0014】
複数のカウント保持部6は、対応する時間信号の論理が遷移する際に、カウンタ4のカウント値を保持する。各カウント保持部6は、例えばレジスタ11と倍数器12とを有する。各レジスタ11は、時間信号の論理が遷移するタイミング(例えば、ローからハイに遷移するタイミング)に同期して、カウンタ4のカウント値を保持する。カウンタ4は、位相検出器5が検出する位相の最小単位の例えば6倍ごとにカウントアップするため、倍数器12はレジスタ11で保持されたカウント値を6倍して第2位相情報を生成する。
【0015】
複数のデジタル信号生成部7は、複数のカウント保持部6で保持されたカウント値と、複数の位相検出器5で検出された位相とに基づいて、複数の時間信号に応じた複数のデジタル信号DOUT1~DOUT3を生成する。より詳細には、各デジタル信号生成部7は、対応するカウント保持部6から出力された第2位相情報と、対応する位相検出器5から出力された第1位相情報とを合成して、対応する時間信号に応じたデジタル信号を生成する。
【0016】
図1の時間デジタル変換器2では、時間信号TIN1~TIN3がローからハイに遷移するタイミングでの、発振器3の位相とカウンタ4のカウント値とに基づいて、時間信号をデジタル信号に変換する。発振器3の段数が3段の場合、発振器3の位相状態は0~5の6通りを取りうる。
【0017】
図2は発振器3の3つの出力ノードN1、N2、N3の位相状態と第1位相情報とを示す図である。第1位相情報は、3つの出力ノードの位相状態をコード化した値である。エンコーダ9は、発振器3の3つの出力ノードの位相状態に応じた第1位相情報を出力する。
【0018】
図3は各発振器3の3つの出力ノードN1、N2、N3の位相状態と、カウンタ4のカウント値CNTOUTと、時間信号TIN1、TIN2、TIN3と、各エンコーダ9でエンコードされた第1位相情報PH1、PH2、PH3と、各レジスタ11に保持されたカウント値CNTOUT1、CNTOUT2、CNTOUT3と、各デジタル信号DOUT1、DOUT2、DOUT3のタイミング波形図である。
【0019】
図3の例では、時刻t0で、発振器3の出力ノードN3がハイからローに遷移したタイミングで、カウンタ4のカウント値CNTOUTが0になる例を示している。その後、時刻t1で、時間信号TIN1がローからハイに遷移する。このとき、対応する発振器3の3つの出力ノードN1、N2、N3の位相状態は(110)である。よって、対応するエンコーダ9でエンコードされる第1位相情報PH1=1になる。また、時刻t1では、カウンタ4のカウント値CNTOUT=0であるため、レジスタ11は0を保持し、倍数器12から出力される第2位相情報は0になる。よって、図1の最上段のデジタル信号生成部7は、DOUT1=1を出力する。
【0020】
その後、時刻t2で、時間信号TIN2がローからハイに遷移する。このとき、対応する発振器3の3つの出力ノードN1、N2、N3の位相状態は(001)である。よって、対応するエンコーダ9でエンコードされる第1位相情報PH2=4になる。このとき、倍数器12から出力される第2位相情報は0のままである。よって、図1の中段のデジタル信号生成部7は、DOUT2=4を出力する。
【0021】
その後、時刻t3で、発振器3の出力ノードN3がハイからローに遷移して、カウンタ4のカウント値は1になる。その後、時刻t4で、時間信号TIN3がローからハイに遷移する。このとき、対応する発振器3の3つの出力ノードN1、N2、N3の位相状態は(100)である。よって、対応するエンコーダ9でエンコードされる第1位相情報PH2=2になる。また、時刻t4では、カウンタ4のカウント値CNTOUT=1であるため、レジスタ11は1を保持し、倍数器12から出力される第2位相情報は6になる。よって、図1の最下段のデジタル信号生成器は、DOUT3=6+2=8を出力する。
【0022】
図1のカウント保持部6内のレジスタ11は、チャネルごとに離れて配置される場合がありうる。空間的に離れた場所で時間信号を利用する場合、信号の減衰を補償するためにリピータを使うことが考えられるが、リピータの製造ばらつきやノイズによって時間信号に誤差が重畳されてしまう。そこで、図1では、発振回路1内に複数の発振器3を設けて、隣接する発振器3の出力ノード同士を接続して位相注入を行う。また、3つ以上の発振器3の出力ノードが一箇所に接続されないようにして、寄生容量の増大を防止する。このように、本実施形態による発振回路1は、所定の方向Xに並べて配置された複数の発振器3のうち、2つの発振器3の組合せごとにそれぞれ異なる出力ノード同士を接続している。
【0023】
図1の発振回路1内の各発振器3は、縦続接続される複数の遅延素子13を有する。各遅延素子13は、例えば論理反転素子(インバータ)で構成することができる。隣接する2つの発振器3内の所定段目の遅延素子13の出力ノード同士を接続することにより、位相注入を行うことができる。これにより、各発振器3で位相が共有されると同時に位相雑音を低下させることができる。図1の発振回路1によれば、単一の発振器3で一定の位相雑音性能を実現するよりも、発振器3の一個あたりの面積と消費電力を抑制できる。図1の発振回路1は、生成するデジタル信号のビット数に応じた段数の遅延素子13を有し、所定の方向Xに隣接する発振器3の対応する遅延素子13の出力ノード同士を接続することにより、発振回路1の位相雑音性能を一定に維持できる。
【0024】
本実施形態では、各発振器3の遅延素子13そのものが信号を送るリピータの代わりの役割を担う。すなわち、複数の発振器3を用いることで、時間信号をデジタル化するだけでなく、離れた場所に時間信号を送信することができる。
【0025】
すべての発振器3の特定の出力ノード同士を一箇所に接続することでも位相注入を行うことはできるが、寄生容量が大きくなり、対称性が悪くなる。そこで、本実施形態では、複数の発振器3のうち、2つの発振器3の組合せごとにいずれかの出力ノード同士を接続し、2つの発振器3の組合せと別の2つの発振器3の組合せでは、それぞれ異なる出力ノード同士を接続している。これにより、多数の発振器3の出力ノードが一箇所に集中して接続されなくなり、発振器3の各出力ノードの寄生容量をいずれも小さくできる。
【0026】
複数の発振器3のうち、2つの発振器3の組合せのすべてについて、それぞれ異なる出力ノード同士を接続してもよい。また、2つの発振器3の出力ノード同士を接続する配線は短い方が寄生容量を削減できるため、所定の方向Xに隣接する2つの発振器3の出力ノード同士を接続するのが望ましい。その際、所定の方向Xに隣接する2つの発振器3と、所定の方向Xに隣接する別の2つの発振器3とでは、それぞれ異なる出力ノード同士を接続する。これにより、発振器3の出力ノードでの寄生容量を削減できる。また、複数の発振器3のうち、隣接する2つの発振器3の組合せのすべてについて、それぞれ異なる出力ノード同士を接続してもよい。すべての組合せについて出力ノード同士を接続することにより、対称性及び線形性を向上できる。
【0027】
発振器3は、複数の遅延素子13を環状に接続したリング発振器であってもよい。この場合、縦続接続される複数の遅延素子13のうち、最終段の遅延素子13の出力信号は、初段の遅延素子13の入力側に帰還される。
【0028】
所定の方向Xへの並び順に隣接する2つの発振器3の出力ノード同士を接続する遅延素子13は、所定の方向Xへの配置順序に従って所定の段数ずつずらして配置されてもよい。所定の段数は、発振器3内の複数の遅延素子13の数と、複数の発振器3の数とに応じて決定される。所定の段数ずつずらして遅延素子13の出力ノード同士を接続することにより、対称性及び線形性が向上する。
【0029】
発振回路1内の複数の発振器3は、任意の2つの発振器3内のそれぞれ異なる段の遅延素子13の出力ノード同士を接続することにより、ループ状に接続されうる。これにより、線形性を向上させることができる。複数の発振器3同士をどのように接続すれば線形性が向上するかは、発振器3の遅延素子13の段数と発振器3の個数との関係で決定される。
【0030】
第1の実施形態による発振回路1は、最小限の構成として、3つの発振器3を有する。これら発振器3を第1発振器、第2発振器、及び第3発振器と呼ぶとすると、第1~第3発振器はいずれも、n(nは3以上の整数)段の出力ノードを有する。一つの出力ノードは、他の出力ノードとは異なる位相の発振信号を出力する。第1発振器の第a(aは1以上n以下の整数)段目の出力ノードと第2発振器の第a段目の出力ノードとが接続される。また、第2発振器の第b(bは、aとは異なる1以上n以下の整数)段目の出力ノードと第3発振器の第b段目の出力ノードとが接続される。
【0031】
なお、第1~第3共振器内の出力ノードの段数は異なっていてもよい。この場合、第1発振器の第a段目のノードと第2発振器の第b段目のノードが接続される。また、第2発振器の第c段目のノードと第3発振器の第d段目のノードが接続される。この場合、bとcの値は異なっており、aとbは同一でも相違していてもよい。aとdは同一でも相違していてもよい。cとdは同一でも相違していてもよい。
【0032】
このように、第1の実施形態では、発振回路1内の複数の発振器3のうち、2つの発振器3の組合せごとに、別々の段の遅延素子13の出力ノード同士を接続することで、寄生容量が一箇所に集中しなくなり、寄生容量を複数箇所に分散させることができる。これにより、時間信号をデジタル化する際の線形性が向上する。また、複数の発振器3のうち、2つの発振器3の組合せごとに、別々の段の遅延素子13の出力ノード同士を接続することで、複数の発振器3をループ状に接続することができ、対称性及び線形性を向上させることができる。さらに、複数の発振器3の並び順に、出力ノード同士を接続する遅延素子13を所定段ごとにずらすことでも、対称性と線形性を向上させることができる。
【0033】
(第2の実施形態)
発振回路1内の発振器3の数が一つの発振器3内の遅延素子13の接続段数よりも多い場合、発振回路1内の複数の発振器3のうち、2つの発振器3の組合せごとに、それぞれ異なる段の遅延素子13の出力ノード同士を接続しようとしても、接続されるべき遅延素子13の段数が足りなくなる。そこで、第2の実施形態による発振回路1では、発振回路1内の発振器3の数が一つの発振器3内の遅延素子13の接続段数よりも多い場合には、複数の発振器3を、それぞれが2以上の発振器3を有する複数の発振器群14に分類して、発振器群14ごとに、2つの発振器3の出力ノード同士をずらしながら接続すればよい。
【0034】
図4は第2の実施形態による複数の発振器3を有する発振回路1aの回路図である。図4の発振回路1aは、図1の時間デジタル変換器2内の発振回路1の代わりに用いることができる。図4の発振回路1aは、所定の方向Xに並べて配置された複数の発振器群14を備えている。図4には、2つの発振器群14が図示されているが、発振器群14の数には特に制限はない。また、図4に示すように、どの発振器群14にも属さない発振器3が存在していてもよいし、存在していなくてもよい。各発振器群14は、所定の方向Xに並べて配置された複数の発振器3を有する。各発振器3は、環状に接続された複数の遅延素子13を有する。遅延素子13は、例えば論理を反転するインバータである。図4の発振器3は、環状に接続された3段の遅延素子13を有するが、遅延素子13の接続段数は任意である。
【0035】
図4の発振回路1aは、発振器3の数が発振器3内の遅延素子13の接続段数よりも多い例を示している。図4の場合、発振器3内の出力ノードの数が3つしかないのに対して、所定の方向Xに隣接する2つの発振器3の組合せは4つ以上存在する。そこで、3つ以内の発振器3を有する発振器群14ごとに、2つの発振器3の組合せを複数設けて、組合せごとに、それぞれ異なる段の遅延素子13同士を接続する。
【0036】
これにより、第2の実施形態による発振回路1aにおいても、複数の発振器3の出力ノード同士が一箇所に集中して接続されなくなり、寄生容量を均等に分散でき、時間信号をデジタル化する際の線形性が向上する。また、複数の発振器群14のそれぞれにおいて、2つの発振器3の組合せごとに、例えば1段ずつずらして遅延素子13の出力ノードを接続することができ、対称性及び線形性を向上させることができる。
【0037】
図4の発振回路1aでは、発振器群14ごとに、所定の方向Xへの並び順に隣接する2つの発振器3内の出力ノード同士を接続する遅延素子13は、所定の方向Xへの配置順序に従って所定の段数ずつずらして配置される。また、2つの発振器群14ごとに2つの発振器群14の出力ノードを接続してもよい。複数の発振器群14について、2つの発振器群14ごとに出力ノードを接続することで、複数の発振器群14内のすべての発振器3をループ状に接続されうる。ループ状に接続することで、寄生容量を均等に分散でき、対称性が向上するとともに線形性も向上する。
【0038】
このように、第2の実施形態では、発振回路1a内の発振器3の数が一つの発振器3内の遅延素子13の数よりも多い場合には、発振回路1a内の複数の発振器3を2以上の発振器3を有する複数の発振器群14に分類して、発振器群14ごとに所定の方向Xに並べて配置された複数の発振器3のうち、2つの発振器3の組合せごとにそれぞれ異なる出力ノード同士を接続する。これにより、発振器群14ごとに、対称性及び線形性を向上できる。また、2つの発振器群14の出力ノード同士を接続することで、寄生容量を均等に分散できる。
【0039】
(第3の実施形態)
第2の実施形態とは逆に、発振器3の数が発振器3内の遅延素子13の接続段数よりも少ない場合、出力ノード同士を接続する遅延素子13を、複数段ごとにずらしてもよい。
図5は第3の実施形態による複数の発振器3を有する発振回路1bの回路図である。図5の発振回路1bは、図1の時間デジタル変換器2内の発振回路1bに適用することができる。図5の発振回路1bは、所定の方向Xに並べて配置された複数の発振器3を有する。図5は、発振回路1bが4つの発振器3を有する例を示すが、発振回路1b内の発振器3の数には特に制限はない。
【0040】
図5の各発振器3では、発振回路1b内の発振器3の数よりも多い接続段数の遅延素子13が環状に接続されている。発振回路1b内の2つの発振器3の組合せごとに、いずれかの段の遅延素子13の出力ノード同士が接続されるが、出力ノード同士を接続する遅延素子13を、複数の発振器3の並び順に2段ずつずらしている。これにより、出力ノード同士が接続される箇所の寄生容量を対称性よく分散させることができ、線形性も向上する。
【0041】
なお、発振器3内の遅延素子13の接続段数が図5よりも多い場合には、複数の発振器3の並び順に、3段以上の所定段数ずつずらして、2つの発振器3の組み合わせごとに遅延素子13の出力ノード同士を接続してもよい。
【0042】
このように、第3の実施形態では、発振回路1b内の発振器3の数よりも、発振器3内の遅延素子13の接続段数が多い場合には、複数の発振器3の並び順に、出力ノード同士を接続する遅延素子13を複数段ずつずらすため、出力ノード同士が接続される箇所を発振回路1b内で均等に分散させることができ、対称性及び線形性を向上できる。
【0043】
(第4の実施形態)
上述した第1~第3の実施形態では、環状に接続された複数の遅延素子13で発振器3を構成する例を説明したが、遅延素子13としてインバータを用いる場合には、インバータの接続段数は奇数段でなければならない。一方、遅延素子13として、差動入力及び差動出力の差動アンプ15を用いる場合には、差動アンプ15の接続段数は、奇数段でも偶数段でもよくなる。これにより、発振器3内の遅延素子13の接続段数についての制約がなくなる。
【0044】
図6は第4の実施形態による発振回路1cの回路図である。図6の発振回路1cは、図1の時間デジタル変換器2内の発振回路1cに適用可能である。図6の発振回路1cは、所定の方向Xに並べて配置された複数の発振器3を有し、各発振器3は、偶数段(例えば4段)の差動アンプ15を環状に接続して構成されている。隣接する2つの差動アンプ15は、差動信号線で接続されている。
【0045】
第4の実施形態による発振回路1cは、第1~第3の実施形態と同様に、所定の方向Xに並べて配置された複数の発振器3のうち、2つの発振器3の組合せごとに、それぞれ異なる段の差動アンプ15の差動出力ノード同士を接続している。
【0046】
所定の方向Xの両側には、2つのダミー回路16が設けられている。各ダミー回路16は、例えば発振器3の内部構成と同じ回路構成を有する。すなわち、各ダミー回路16は、環状に接続された複数の差動アンプ15を有する。所定の方向Xに配置された複数の発振器3のうち、一端側の発振器3の最終段の差動アンプ15の差動出力ノードは、隣接したダミー回路16内の最終段の差動アンプ15の差動出力ノードと接続されている。同様に、他端側の発振器3の最終段の差動アンプ15の差動出力ノードは、隣接したダミー回路16内の最終段の差動アンプ15の差動出力ノードと接続されている。
【0047】
ダミー回路16は、隣接する発振器3内の最終段の差動アンプ15の差動出力ノードを終端させる目的で用いられる。よって、ダミー回路16は、発振器3と同じ内部構成であったとしても、発振動作を行う必要はない。例えば、ダミー回路16内の各差動アンプ15の差動出力ノードの電位を強制的に固定レベルにしてもよい。これにより、ダミー回路16の発振動作を停止させて消費電力を抑制できる。
【0048】
図6の発振回路1cでは、差動出力ノード同士が接続される2つの差動アンプ15、又は差動アンプ15とダミー回路16が隣接して配置されている。これにより、差動出力ノード同士を接続する差動信号線の配線長を短縮でき、差動信号線の寄生容量を小さくできる。
【0049】
このように、図6の発振回路1cでは、複数の発振器3をループ状に接続するのではなく、複数の発振器3の両側に2つのダミー回路16を配置して、一端側の発振器3の出力ノードを一方のダミー回路16の出力ノードに接続し、他端側の発振器3の出力ノードを他方のダミー回路16の出力ノードに接続している。また、複数の発振器3内の2つの発振器3の組合せごとに出力ノード同士を接続している。これにより、3つ以上の発振器3の出力ノードが一箇所に接続されなくなり、寄生容量を均等に分散できる。
【0050】
また、ダミー回路16を設けることで、隣接しない2つの発振器3の出力ノード同士を接続しなくて済み、出力ノード同士を接続する配線長を短縮できることから、寄生容量を削減できる。
【0051】
また、図6の発振回路1cでは、差動出力ノード同士を接続する2つの発振器3内の差動アンプ15を、所定方向に沿って一段ずつずらしている。これにより、対称性及び線形性をより向上できる。
【0052】
図6のように、発振器3内の遅延素子13として差動アンプ15を用いることで、発振器3内の遅延素子13を1段ずつ増減することができ、発振周波数の調整を行いやすくなる。
【0053】
図6の発振回路1cでは、発振回路1cと同じ内部構成のダミー回路16を設ける例を示したが、図7の一変形例による発振回路1dのように、ダミー回路16の内部構成を発振回路1cの内部構成とは相違させてもよい。図7の例では、環状に接続された2つの差動アンプ15でダミー回路16を構成する例を示している。ダミー回路16内の後段側の差動アンプ15の差動出力ノードは、隣接する発振器3内の最終段の差動アンプ15の差動出力ノードと接続される。図7のダミー回路16も、発振動作を行う必要はないことから、ダミー回路16内の差動アンプ15の差動出力ノードの電位を固定レベルにしてもよい。
【0054】
図6及び図7のダミー回路16は、図1図4又は図5の発振回路1、1a、1bに設けてもよい。図4の発振回路1aでは、2つの発振器群14の出力ノード同士を接続することで、複数の発振器3をループ状に接続しているが、ループ状に接続する代わりに、所定の方向Xの両端側に2つのダミー回路16を配置して、各ダミー回路16を、隣接する発振器3内の最終段の遅延素子13と接続してもよい。これにより、ループ状に接続する場合と同様に、対称性及び線形性を向上できる。
【0055】
また、図6及び図7の発振回路1c、1dにおいて、発振器3内の差動アンプ15の接続段数よりも、発振器3の数が多い場合には、図4と同様に、複数の発振器3を、2以上の発振器3を有する複数の発振器群14に分類して、発振器群14ごとに、2つの発振器3の組合せごとに、2つの差動出力ノード同士を接続してもよい。
【0056】
さらに、図6及び図7の発振回路1c、1dでは、差動出力ノード同士を接続する差動アンプ15を1段ずつずらす例を示しているが、発振器3内の差動アンプ15の接続段数が多い場合には、図5と同様に、複数段ずつずらして差動アンプ15の差動出力ノード同士を接続してもよい。
【0057】
このように第4の実施形態では、複数の差動アンプ15を環状に接続して発振器3を構成するため、発振器3内の差動アンプ15の接続段数が偶数段であっても、発振器3を構成できる。また、所定の方向Xに並んで配置された複数の発振器3の両端側にダミー回路16を配置して、両端側の発振器3内の最終段の差動アンプ15の差動出力ノードをダミー回路16内の差動アンプ15の差動出力ノードに接続することで、対称性及び線形性をより向上できる。さらに、所定の方向の両端にダミー回路16を配置することで、隣接しない2つの発振器3の出力ノード同士を接続しなくて済み、出力ノード同士を接続する配線長を短くでき、寄生容量を削減できる。
【0058】
(第5の実施形態)
上述した第1~第4の実施形態による発振回路1、1a、1c、1dを有する時間デジタル変換器2は、例えば、光信号の伝搬時間を用いて距離計測を行う電子装置に組み込むことができる。図8は電子装置20の概略構成を示すブロック図である。図8の電子装置20は、第1~第4の実施形態による発振回路1、1a、1c、1dを有する時間デジタル変換器(TDC)2を備えている。
【0059】
図8の電子装置20は、投光部21と、受光部22と、比較器23と、TDC2と、距離計測部24とを有する。
【0060】
投光部21は、対象物25に対して、複数チャネルの光信号を投光する。光信号は、例えば、パルス状の信号であり、投光部21は、所定の時間間隔で、複数チャネルの光信号を間歇的に投光する。対象物25は、投光部21からの複数チャネルの光信号を反射する。受光部22は、対象物25にて反射された複数チャネルの光信号を受光し、アナログの電気信号(以下、受信信号と呼ぶ)に変換する。
【0061】
比較器23は、受光部22から出力された複数チャネルの受信信号の信号レベルを所定の閾値と比較し、閾値より大きいか否かで2値化した複数チャネルの時間信号を生成する。複数チャネルの時間信号は、例えば図1のような内部構成のTDC2に入力されて、デジタル信号に変換される。距離計測部24は、TDC2から出力されたデジタル信号に基づいて、対象物25までの距離を計測する。
【0062】
第1~第4の実施形態による発振回路1は、周波数及び位相の揃った高精度の発振信号を出力できるため、このような発振回路1を有するTDC2を電子装置20に内蔵することで、対象物25までの距離を精度よく計測できる。
【0063】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 発振回路、2 時間デジタル変換器(TDC)、3 発振器、4 カウンタ、5 位相検出器、6 カウント保持部、7 デジタル信号生成部、8 位相保持部、9 エンコーダ、10 F/F、11 レジスタ、12 倍数器、13 遅延素子、14 発振器群、15 差動アンプ、16 ダミー回路、20 電子装置、21 投光部、22 受光部、23 比較器、24 距離計測部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8