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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】誘導用ブロック
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/30 20160101AFI20240729BHJP
   E01F 9/553 20160101ALI20240729BHJP
【FI】
E01F9/30
E01F9/553
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020207081
(22)【出願日】2020-12-14
(65)【公開番号】P2022094191
(43)【公開日】2022-06-24
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592205746
【氏名又は名称】株式会社サカイ・シルクスクリーン
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】谷口 祥治
(72)【発明者】
【氏名】寺沢 大
(72)【発明者】
【氏名】渡瀬 祥一
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-023775(JP,A)
【文献】特開2014-167599(JP,A)
【文献】特開2006-219896(JP,A)
【文献】特開2005-054452(JP,A)
【文献】特開2020-057758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に沿って配置される平面部と、
前記平面部から上方へ突出する凸部と、
前記凸部の内部に配置され、電波を発信する無線装置と、
前記凸部に設けられ、光を透過する光透過部と、
前記凸部の内部において前記光透過部と対向配置され、前記光透過部を通って入射した光により電力を発生させる太陽電池モジュールと、
前記無線装置と前記太陽電池モジュールとが一体化された電子機器ユニットと、
を備え
前記太陽電池モジュールで発電された電力は、前記無線装置に供給され、
前記電子機器ユニットは、前記凸部の内部の空間に沿う形状に形成されるとともに、前記凸部の内部に収容されている誘導用ブロック。
【請求項2】
前記平面部及び前記凸部を形成する第一シート層と、
前記第一シート層の下方に重ねて設けられる第二シート層と、
を備え、
前記無線装置は、前記第一シート層と前記第二シート層との間に設けられている請求項1に記載の誘導用ブロック。
【請求項3】
前記第一シート層及び前記第二シート層は、周縁部の全周に亘って互いに接合されている請求項2に記載の誘導用ブロック。
【請求項4】
前記第一シート層の表面には、樹脂を含む防滑部が形成されている請求項2又は請求項3に記載の誘導用ブロック。
【請求項5】
前記第一シート層の厚みは0.3mm以上1.0mm以下である請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の誘導用ブロック。
【請求項6】
前記平面部に設けられ、光を透過する光透過部と、
前記平面部の下方において前記光透過部と対向配置され、前記光透過部を通って入射した光により電力を発生させる太陽電池モジュールと、
を備え、
前記太陽電池モジュールで発電された電力は、前記無線装置に供給される請求項1に記載の誘導用ブロック。
【請求項7】
前記平面部に設けられ、光を透過する光透過部と、
前記平面部の下方において前記光透過部と対向配置され、前記光透過部を通って入射した光により電力を発生させる太陽電池モジュールと、
を備え、
前記第一シート層のJIS-K-7361に準じた全光透過率は60%以上であり、
前記太陽電池モジュールで発電された電力は、前記無線装置に供給される請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の誘導用ブロック。
【請求項8】
前記凸部に設けられ、光を透過する光透過部と、
前記凸部の内部において前記光透過部と対向配置され、前記光透過部を通って入射した光により電力を発生させる太陽電池モジュールと、
を備え、
前記第一シート層のJIS-K-7361に準じた全光透過率は60%以上であり、
前記太陽電池モジュールで発電された電力は、前記無線装置に供給される請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の誘導用ブロック。
【請求項9】
前記太陽電池モジュールと前記光透過部との間に透明部材を備える請求項6から請求項のいずれか1項に記載の誘導用ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導用ブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、床面に設置され、表面に突起を有することで視覚障害者に物理的に情報を提供し、視覚障害者を安全に誘導案内するための誘導用ブロックの構成が知られている。これらの誘導用ブロックでは、物理的な情報に加え、ICタグ等の無線装置を内蔵させることにより視覚障害者に無線で情報を提供する技術が種々提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、コンクリート製の平板状ブロックと、平板状ブロックを上下方向に貫通する貫通孔と、貫通孔内に配置され、付加的な機能を与えるための構造体と、を有する誘導用ブロックの構成が開示されている。付加的な機能を与えるための構造体は、視覚障害者を誘導するための複数の凸部と、ソーラーパネルと、ソーラーパネルによって駆動されるICタグと、を有する。ICタグは、近くを通行する視覚障害者が所持する移動ICタグに向かって、無線で交通情報を発信する。特許文献1に記載の技術によれば、平板状ブロックにICタグを内蔵することにより、ICタグを外力から保護するとともに、ICタグを容易に配置できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5976391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術にあっては、平板状ブロック全体の厚みが60mm程度ある。このため、平板状ブロックを床面に設置する際に地面(設置面)を掘る必要があり、設置の手間がかかるおそれがあった。よって、特許文献1に記載の技術にあっては、誘導用ブロックを薄型化する点において課題があった。
また、ICタグ等の無線装置を内蔵する誘導用ブロックにおいては、無線装置からの情報送信機能に加え、例えば無線装置の情報を変更するために無線装置が地上に設置された端末から情報を受信する機能を有することが望まれている。この場合、無線装置における電波の送受信をより安定的に行うために、無線装置を地上から近い位置に配置することが望ましい。したがって、電波の送受信の観点からも、誘導用ブロックを薄型化することが望ましい。
【0006】
そこで、本発明は、従来技術と比較して薄型化した誘導用ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一つの形態の誘導用ブロックは、設置面に沿って配置される平面部と、前記平面部から上方へ突出する凸部と、前記凸部の内部に配置され、電波を発信する無線装置と、前記凸部に設けられ、光を透過する光透過部と、前記凸部の内部において前記光透過部と対向配置され、前記光透過部を通って入射した光により電力を発生させる太陽電池モジュールと、前記無線装置と前記太陽電池モジュールとが一体化された電子機器ユニットと、を備え、前記太陽電池モジュールで発電された電力は、前記無線装置に供給され、前記電子機器ユニットは、前記凸部の内部の空間に沿う形状に形成されるとともに、前記凸部の内部に収容されている
【0008】
この構成によれば、誘導用ブロックは平面部と凸部とを有するので、例えば誘導用ブロック上を通過する視覚障害者に対して、凸部により物理的に情報を提供できる。さらに、誘導用ブロックは無線装置を備えるので、近くを通行する視覚障害者等が所持する移動端末に対して、例えば交通情報や位置情報等の各種情報を無線で提供することができる。
凸部の内部に無線装置が配置されるので、凸部内の空間を有効に利用し、凸部と無線装置とを合わせた上下方向の高さ寸法を抑えることができる。これにより、凸部より下方に無線装置を配置する従来技術と比較して、誘導用ブロック全体の厚みを薄くすることができる。例えば、設置面を掘る必要が無い程度に誘導用ブロックを薄型化した場合には、設置にかかる手間を削減し、施工を容易に行うことができる。また、従来技術と比較して無線装置をより上方(地上に近い側)に配置できるので、無線装置と地上の端末等との間で情報の送受信をより安定して行うことができる。特に、地上の端末から無線装置にアクセスし易くなるので、無線装置に登録された設定情報を変更する等の機能を持たせることができる。これにより、誘導用ブロックの汎用性を向上することができる。
したがって、従来技術と比較して薄型化した誘導用ブロックを提供できる。
また、凸部は光透過部を有するので、凸部に太陽電池モジュールを配置した場合、光透過部を通った光により太陽電池モジュールを発電させることができる。太陽電池モジュールで発電された電力は無線装置に供給されるので、無線装置の電池交換が不要となる。よって、利便性を向上できる。また、凸部の内部に太陽電池モジュールを配置できるので、凸部の内部の空間を有効に利用できる。よって、太陽電池モジュールを設けることによる誘導用ブロックの厚みの増加を抑制できる。
また、電子機器ユニットが凸部の空間に沿う形状に形成されて凸部に収容される。このため、凸部の内部の空間を有効に利用することができる。これにより、電子機器ユニットを設けることによる厚みの増加を抑制し、誘導ユニットを薄型化できる。また、無線装置と太陽電池モジュールとが一体化されているので、太陽電池モジュールから無線装置へ効率良く電力を供給できる。さらに太陽電池モジュールと無線装置とを繋ぐ配線等を短くできるので、電子機器ユニットの構成を簡素化及び小型化できる。
【0009】
また、前記誘導用ブロックは、前記平面部及び前記凸部を形成する第一シート層と、前記第一シート層の下方に重ねて設けられる第二シート層と、を備え、前記無線装置は、前記第一シート層と前記第二シート層との間に設けられている。
【0010】
この構成によれば、複数のシート層により誘導用ブロックが構成されるので、コンクリート製の誘導用ブロックと比較して、誘導用ブロックの厚みを薄くすることができる。床面に複数のシート層を配置することにより誘導用ブロックを床面に設置できるので、従来技術のように地面(設置面)を掘る必要がない。よって、誘導用ブロックの施工を容易に行うことができる。無線装置は第一シート層と第二シート層との間に設けられている。これにより、複数のシート層と無線装置とを合わせた合計の厚み寸法を最小限に抑えることができる。よって、無線装置を有する誘導用ブロックにおいて、上下方向の厚みを薄型化できる。
【0011】
また、前記誘導用ブロックは、前記第一シート層及び前記第二シート層は、周縁部の全周に亘って互いに接合されている。
【0012】
この構成によれば、第一シート層と第二シート層との間への水や異物等の侵入を防止できる。これにより、第一シート層と第二シート層との間に配置された無線装置が被水するおそれがないので、無線装置に防水理処理等を施す必要が無い。よって、無線装置の構成をより簡素化するとともに、無線装置を薄型化することができる。
【0013】
また、前記誘導用ブロックは、前記第一シート層の表面には、樹脂を含む防滑部が形成されている。
【0014】
この構成によれば、樹脂製の防滑部が形成されることにより、誘導用ブロックの上を通過する通行人等が滑ることを抑制できる。よって、通行人等の安全性を向上できる。
【0015】
また、前記誘導用ブロックは、前記第一シート層の厚みは0.3mm以上1.0mm以下である。
【0016】
この構成によれば、第一シート層の厚みを薄く形成できるので、複数のシート層を重ねた場合であっても、誘導用ブロックを薄型化することができる。
【0017】
また、前記誘導用ブロックは、前記平面部に設けられ、光を透過する光透過部と、前記平面部の下方において前記光透過部と対向配置され、前記光透過部を通って入射した光により電力を発生させる太陽電池モジュールと、を備え、前記太陽電池モジュールで発電された電力は、前記無線装置に供給される。
【0018】
この構成によれば、平面部は光透過部を有するので、平面部に太陽電池モジュールを配置した場合、光透過部を通った光により太陽電池モジュールを発電させることができる。太陽電池モジュールで発電された電力は無線装置に供給されるので、無線装置の電池交換が不要となる。よって、利便性を向上できる。
【0021】
また、前記誘導用ブロックは、前記平面部に設けられ、光を透過する光透過部と、前記平面部の下方において前記光透過部と対向配置され、前記光透過部を通って入射した光により電力を発生させる太陽電池モジュールと、を備え、前記第一シート層のJIS-K-7361に準じた全光透過率は60%以上であり、前記太陽電池モジュールで発電された電力は、前記無線装置に供給される。
【0022】
この構成によれば、平面部は光透過部を有するので、平面部に太陽電池モジュールを配置した場合、光透過部を通った光により太陽電池モジュールを発電させることができる。太陽電池モジュールで発電された電力は無線装置に供給されるので、無線装置の電池交換が不要となる。よって、利便性を向上できる。さらに、第一シート層のJIS-K-7361に準じた全光透過率は60%以上であるため、太陽電池モジュールに十分な量の光を供給することができ、太陽電池モジュールで発電される電力量を増やすことができる。
【0023】
また、前記誘導用ブロックは、前記凸部に設けられ、光を透過する光透過部と、前記凸部の内部において前記光透過部と対向配置され、前記光透過部を通って入射した光により電力を発生させる太陽電池モジュールと、を備え、前記第一シート層のJIS-K-7361に準じた全光透過率は60%以上であり、前記太陽電池モジュールで発電された電力は、前記無線装置に供給される。
【0024】
この構成によれば、凸部は光透過部を有するので、凸部に太陽電池モジュールを配置した場合、光透過部を通った光により太陽電池モジュールを発電させることができる。太陽電池モジュールで発電された電力は無線装置に供給されるので、無線装置の電池交換が不要となる。よって、利便性を向上できる。また、凸部の内部に太陽電池モジュールを配置できるので、凸部の内部の空間を有効に利用できる。よって、太陽電池モジュールを設けることによる誘導用ブロックの厚みの増加を抑制できる。さらに、第一シート層のJIS-K-7361に準じた全光透過率は60%以上であるため、太陽電池モジュールに十分な量の光を供給することができ、太陽電池モジュールで発電される電力量を増やすことができる。
【0027】
また、前記誘導用ブロックは、前記太陽電池モジュールと前記光透過部との間に透明部材を備える。
【0028】
この構成によれば、太陽電池モジュールは上方から透明部材に覆われる。これにより、例えば誘導用ブロックが踏まれた場合や荷物が置かれた場合等の外力が入力された場合に、透明部材により太陽電池モジュールを外力から保護できる。これにより、太陽電池モジュールを上方に配置した場合であっても、誘導用ブロックの剛性を高めて太陽電池モジュールの破損等を抑制することができる。よって、誘導用ブロックの薄型化と強度向上とを両立できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、従来技術と比較して薄型化した誘導用ブロックを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1実施形態に係る誘導用ブロックを用いた位置情報案内システムの説明図。
図2】第1実施形態に係る誘導用ブロックの正面図。
図3】第1実施形態に係る誘導用ブロックの分解斜視図。
図4】第1実施形態に係る電子機器ユニットの斜視図。
図5図2のV-V線に沿う断面図。
図6】第2実施形態に係る誘導用ブロックの正面図。
図7】第2実施形態に係る誘導用ブロックの分解斜視図。
図8】第2実施形態に係る電子機器ユニットの斜視図。
図9】第3実施形態に係る誘導用ブロックの正面図。
図10】第4実施形態に係る電子機器ユニットの断面図。
図11】第5実施形態に係る電子機器ユニットの断面図。
図12】第6実施形態に係る電子機器ユニットの断面図。
図13】第7実施形態に係る電子機器ユニットの断面図。
図14】第8実施形態に係る誘導用ブロックの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。以下の説明において、上下方向は、誘導用ブロック1を設置面に設置した状態で鉛直上下方向に沿う方向と一致する。
【0032】
(誘導用ブロック)
図1は、第1実施形態に係る誘導用ブロック1を用いた位置情報案内システムの説明図である。
誘導用ブロック1は、いわゆる視覚障害者誘導用ブロックであり、視覚障害者Pに必要な情報を提供するため、道路や床面(設置面)に敷設して用いられる。
【0033】
図1に示すように、誘導用ブロック1は、位置情報等を案内する位置情報案内システムの一部を構成する。具体的に、図1に示す例において、位置情報案内システムは、誘導用ブロック1と、通信端末51と、イヤホン53と、クラウド52と、を有する。
誘導用ブロック1は、自己を示す信号(ID)を発信する機能を有している。誘導用ブロック1に内蔵された無線装置6(図2参照)は常に信号を発信しており、視覚障害者やその他通行人(以下、特に区別しない場合は単に通行人等Pという。)が誘導用ブロック1に近付くと、通行人等Pが所持する通信端末51は、誘導用ブロック1からの信号を受信することができる。受信された信号は、ネットワークを介してクラウド52に送られ、クラウド52がその信号に応じた情報を通信端末51に送る。これにより、通行人等Pは、無線装置6からの情報を取得する。ここで、誘導用ブロック1は、一定の間隔をおいて床面に敷設されている。これにより、通行人等Pは、歩きながら新しい情報を随時取得することが可能となる。各誘導用ブロック1同士の間には、無線装置を内蔵しないタイプの誘導用ブロックが配置されている。
なお、本実施形態において、誘導用ブロック1は、一定の間隔をおいて床面に敷設されている。しかしながら、誘導用ブロック1は、必ずしも一定の間隔で床面に敷設されなくてもよい。
【0034】
誘導用ブロック1から取得された情報は、さらに、通信端末51で、例えば音声に代えられることにより、通行人等Pが聴取することが可能となる。通行人等Pが視覚障害者である場合には、例えばイヤホン53を介して聴取される。なお、通信端末51は、例えば受信した情報を画面に表示することにより、通行人等Pが視認可能な形態で情報を提供してもよい。また、通行人等Pが視覚障害者である場合には、例えばその介助者が看取できるようにしてもよい。通信端末51は、受信した情報を他の通信端末(不図示)に送信してもよい。
【0035】
図2は、第1実施形態に係る誘導用ブロック1の正面図である。図3は、第1実施形態に係る誘導用ブロック1の分解斜視図である。
図2及び図3に示すように、誘導用ブロック1は、正面視で矩形状に形成されている。本実施形態において、誘導用ブロック1全体の上下方向に沿う厚みは、約8mmとなっている。よって、誘導用ブロック1は、設置の際に地面を掘ることなく、例えば設置面に接着されることにより設置面への設置が可能となっている。誘導用ブロック1は、ブロック構成体2と、電子機器ユニット3と、を備える。
【0036】
(ブロック構成体)
ブロック構成体2は、誘導用ブロック1の本体部分であり、誘導用ブロック1の外郭を形成している。図3に示すように、ブロック構成体2は、第一シート層11と、第二シート層12と、中間シート層13と、固形充填体14と、を備える。
【0037】
第一シート層11は、誘導用ブロック1が設置面に設置された状態で、外表面として外部に露出する部分である。第一シート層11は、例えばシリコーン樹脂やポリアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステルエラストマー等の材料により形成されている。これらの中でも、第一シート層11の材料として、高強度かつ軽量であることから、ポリウレタン樹脂又は塩化ビニル樹脂であることが好ましい。さらに、耐摩耗性及び踏んだ時の足への衝撃を緩和する観点から、ポリウレタン樹脂であることがより好ましい。
【0038】
第一シート層11は、厚みが0.3mm以上1.0mm以下の透明又は半透明なシート状に形成されている。詳しくは後述する太陽電池モジュール7に十分な量の光を供給するため、第一シート層11のJIS-K-7361に準じた全光線透過率は、60%以上となっている。なお、第一シート層11は、全光線透過率が60%以上という条件を満たす範囲で、紫外線吸収剤や消泡剤、分散剤、難燃剤等の添加剤を別途含んでもよい。
【0039】
図2に示すように、このように形成された第一シート層11は、平面部21と、複数の凸部22と、を有する。平面部21は、設置面と平行な平面上に形成されている。凸部22は、平面部21から上方へ向かって突出している。凸部22は、平面視において、誘導用ブロック1の一辺と平行に延びる線状に形成されている。本実施形態において、凸部22は、4個設けられている。各凸部22は、互いに平行かつ所定の間隔をあけて並んで設けられている。以下の説明では、4個の凸部22をそれぞれ並び方向の一端から順に第一の凸部22a、第二の凸部22b、第三の凸部22c、及び第四の凸部22dと呼ぶ場合がある。各凸部22は、凸部22の長さ方向に直交する面で切った断面視において、上方へ向かうにつれて互いに近接する一対の斜面18と、斜面18の上端部同士を接続する上面19と、を有する断面台形状に形成されている(図5も参照)。凸部22の長さや幅、平面部21から凸部22の上面19までの高さ等は、JIS規格により定められた条件を満たすように設定されている。本実施形態において、凸部22は、平面部21から凸部22の上面19までの突出高さが5mmとなるように形成されている。第一シート層11は、上述した平面部21及び凸部22が連続する1枚のシートからなる。
【0040】
また、第一シート層11は、印刷部23と、光透過部24と、防滑部25と、を有する。印刷部23は、第一シート層11のうち、一部に設けられた光透過部24を除くほぼ全領域に設けられている。印刷部23は、第一シート層11の裏面(下面)に設けられた印刷面である。換言すれば、第1シート層の裏面には、印刷部23が積層されている。印刷部23は、例えばシルクスクリーン印刷により形成されており、極めて薄い層である。透明又は半透明な材料で形成された第一シート層11の裏面に印刷が施されることにより、第一シート層11の表面(上面)から印刷部23の色や模様が認識可能となっている。本実施形態では、黄色のベタ柄の印刷が施されている。
【0041】
本実施形態において、光透過部24は、凸部22に設けられている。より詳細に、光透過部24は、4個の凸部22のうち最も端に設けられた第一の凸部22aの上面19であって、かつ第一の凸部22aを長手方向の中央部分で分けた半分の領域に設けられている。光透過部24は、第一シートのうち印刷部23が施されていない部分である。光透過部24を通って、外部からの光が凸部22の内部、すなわち第一シート層11の裏面側に入射可能となっている。
【0042】
防滑部25は、第一シート層11の表面(上面)に形成されている。防滑部25は、誘導用ブロック1が踏まれた場合に通行人等Pが滑って転ぶことを抑制する機能を有する。防滑部25は、シリコーン樹脂を主成分とする、透明又は半透明の材料で形成されている。防滑部25は、透明性を阻害しない範囲で、紫外線吸収剤や消泡剤、分散剤、難燃剤等の添加剤を別途含んでいてもよい。
【0043】
図3に示すように、第二シート層12は、第一シート層11の下方に重ねて設けられている。第二シート層12は、例えば、軟質アルミニウム薄板や軟質塩化ビニル薄板、ポリエステル薄板、ゴムシート等の材料により形成されている。本実施形態の第二シート層12は、カールし難く、かつ踏んだ時の横方向への力を逃がしやすいというメリットを有するゴムシートで形成されている。ゴムシートとしては、例えばウレタンゴムやアクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。柔軟性及び汎用性の観点から、ウレタンゴムであることがより好ましい。なお、第二シート層12は、フレキシブル性を阻害しない範囲で、着色剤や、紫外線吸収剤、消泡剤、分散剤、難燃剤等の添加剤を別途含んでもよい。
【0044】
第二シート層12は、厚さが0.3mm以上20mm以下の平坦なシート状に形成されている。第二シート層12は、平面視において第一シート層11と同等の大きさの矩形状に形成されている。第二シート層12の周縁部12a及び第一シート層11の周縁部11aは、全周に亘って互いに接合されている(図5も参照)。具体的に、第二シート層12は、接着剤や両面テープにより第一シート層11と接合されている。なお、第一シート層11及び第二シート層12は、例えば溶着により互いに接合されてもよい。第一シート層11及び第二シート層12が周縁部11a,12aで互いに接合されることにより、第一シート層11と第二シート層12との間の空間への水や異物の侵入が防止されている。
【0045】
このように形成された第二シート層12の下面には、不図示の接着剤層(例えば両面テープ)が設けられている。接着剤層を介して、第二シート層12は道路や床面等の設置面に貼着される。これにより、誘導用ブロック1が設置面に設置される。
【0046】
中間シート層13は、第一シート層11と第二シート層12との間に設けられている。中間シート層13は、例えば軟質ゴム等の材料により形成されている。中間シート層13は、平坦なシート状に形成されている。中間シート層13は、平面視において、第一シート層11の平面部21と対応する位置に配置されるように形成されている。中間シート層13は、凸部22に収容された電子機器ユニット3や固形充填体14の位置ずれを抑制するための部材である。ブロック構成体2が組み合わせられた状態で、中間シート層13の上面は、第一シート層11の平面部21に接している。また、中間シート層13の下面は、第二シート層12に接している。
【0047】
固形充填体14は、複数の凸部22のうち、電子機器ユニット3が配置される凸部22以外の残りの凸部22(例えば、第二の凸部22b、第三の凸部22c及び第四の凸部22d)の内部に収容されている。固形充填体14は、凸部22内の空間の形状と同等の形状に形成されている。すなわち、固形充填体14は、凸部22の長手方向に沿って延びる台形柱状に形成されている。固形充填体14は、例えばポリウレタン樹脂や塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂材料により形成されている。凸部22に固形充填体14が収容されることにより、固形充填体14は、誘導用ブロック1が踏み付けられた場合のクッションとして機能する。つまり、固形充填体14は、誘導用ブロック1に作用する衝撃を軽減させる機能を有する。
【0048】
(電子機器ユニット)
図4は、第1実施形態に係る電子機器ユニット3の斜視図である。図5は、図2のV-V線に沿う断面図である。
図3から図5に示すように、電子機器ユニット3は、第一シート層11と第二シート層12との間に設けられている。換言すれば、電子機器ユニット3は、第一シート層11及び第二シート層12により囲まれた防水空間内に配置されている。電子機器ユニット3は、第一の凸部22aの内部に収容されている。電子機器ユニット3は、凸部22の内部の空間に沿う断面台形状に形成されている。本実施形態において、電子機器ユニット3の長手方向の長さと、第一の凸部22aの長手方向の長さと、が同等となっている。電子機器ユニット3は、筐体5と、無線装置6と、太陽電池モジュール7と、透明部材8と、を有する。
【0049】
図4に示すように、本実施形態の電子機器ユニット3では、筐体5、無線装置6、太陽電池モジュール7及び透明部材8が一体化されている。図4及び図5に示すように、筐体5は、外観が凸部22内の空間の形状に対応した台形柱状となっている。よって、凸部22内の空間に筐体5を挿入して嵌め込むことが可能となっている。
【0050】
筐体5は、本実施形態においては、ステンレスや鉄等の金属材料により形成されている。これは、筐体5に所望の機械的強度を持たせるためである。したがって、筐体5は、所望の機械的強度を持つ材料によって形成されればよく、例えば強化プラスチックによって形成されてもよい。筐体5が金属材料により形成される場合、磁力が伝わらずに後述のリードスイッチ43が作動しない場合も考えられるが、筐体5が強化プラスチックによって形成される場合、リードスイッチ43が作動しない、という不具合が解消され、電子機器ユニット3のON/OFFの確実性が向上する。
【0051】
筐体5の上部には、長さ方向に延び、上方に開口する開口部35が形成されている。開口部35は、筐体5の長手方向の中央部分よりも一方側の約半分の領域に設けられている。電子機器ユニット3が凸部22の内部に配置された状態において、開口部35は、平面視において第一シート層11の光透過部24と対応する位置に設けられている(図2も参照)。
【0052】
本実施形態のように、筐体5が金属材料により形成されている場合、筐体5において、無線装置6の近傍に、小径の貫通孔5a、およびスリット5bが設けられている。貫通孔5aは、筐体5の上部に設けられており、スリット5bは、筐体5の側部に設けられている。筐体5内の無線装置6から発せられる電波は、貫通孔5aおよびスリット5bを通過して、外部に送出される。
なお、筐体5の全体が金属材料によって形成されている場合には、上述のように貫通孔5a、スリット5bが必要であるが、これらは必ずしも両方ともに形成される必要はなく、どちらか一方であってもよい。また、貫通穴やスリットが設けられる箇所は、筐体5の上面または側面でなくてもよく、例えば裏面(裏蓋)に設けられてもよい。また、筐体5の一部(例えば裏蓋等)が電波を透過させることができる材料(例えば強化プラスチック)によって形成される場合、貫通孔5a、スリット5bは、設けられなくてもよい。
【0053】
図5に示すように、筐体5の内部には、第一段部31及び第二段部32が形成されている。第一段部31は、筐体5の上面から下方へ向かって凹んでいる。第一段部31の下面は、水平方向に沿う平面状に形成されている。第二段部32は、第一段部31の下面からさらに下方へ向かって凹んでいる。第二段部32の下面は、第一段部31の下面と平行な平面状に形成されている。第二段部32の下面は、筐体5の底面よりも上方に位置している。このように形成された第一段部31及び第二段部32には、無線装置6、太陽電池モジュール7及び透明部材8が収容される。
【0054】
図4に示すように、無線装置6は、筐体5に収容されている。無線装置6は、筐体5の長手方向において開口部35とは反対側に位置する約半分の領域内に配置されている。無線装置6は、ビーコン基板41と、バッテリ42と、リードスイッチ43と、を備える。
【0055】
ビーコン基板41は、自己を示す信号(ID)を含む電波を外部へ向けて発信するものである。ビーコン基板41は、例えばBluetooth low energy(BLE)信号(Bluetooth:登録商標)を発信する。ビーコン基板41から発信された信号に基づいて、誘導用ブロック1の付近を通過する通行人等Pの所持する通信端末51に所定の情報が提示される。本実施形態では、ビーコン基板41は、自己を示す信号(ID)を発信する。ビーコン基板41は、この信号を所定の時間間隔で定期的に発信する。通行人等Pへ確実に情報を提供する観点から、ビーコン基板41が信号を発信する所定の時間間隔は、数十から数百ミリ秒程度であることが望ましい。ビーコン基板41が信号を発信する所定の時間間隔は、数秒であってもよい。
【0056】
バッテリ42は、ビーコン基板41と隣接して設けられている。バッテリ42は、筐体5の長手方向においてビーコン基板41よりも開口部35側に設けられている。バッテリ42は、ビーコン基板41に電力を供給する。
【0057】
リードスイッチ43は、ビーコン基板41と隣接して設けられている。リードスイッチ43は、筐体5の長手方向において、ビーコン基板41に対してバッテリ42と反対側に設けられている。リードスイッチ43は、例えば外部からの磁力により電子機器ユニット3の動作のON及びOFFを切り替える。例えば誘導用ブロック1を設置した後にリードスイッチ43にアクセスすることが可能となるので、誘導用ブロック1の設置後に電子機器ユニット3の動作をONにすることができる。
なお、リードスイッチ43は、ビーコン基板41上に設けられていてもよい。
【0058】
太陽電池モジュール7は、筐体5に収容されている。太陽電池モジュール7は、筐体5の長手方向において開口部35と対応する位置に配置されている。太陽電池モジュール7は、例えば光により発電するソーラーパネルである。電子機器ユニット3が凸部22の内部に配置された状態で、太陽電池モジュール7は、凸部22の内部において第一シート層11の光透過部24と対向して配置されている。
【0059】
太陽電池モジュール7は、光透過部24を通って入射した太陽光により電力を発生させる。太陽電池モジュール7で発電された電力は、無線装置6に供給される。具体的に、太陽電池モジュール7で発電された電力は、一旦バッテリ42に蓄えられ、必要に応じてバッテリ42からビーコン基板41やリードスイッチ43用の回路等に供給される。よって、太陽電池モジュール7で発電することにより、バッテリ42を交換する必要が無く、ビーコン基板41を半永久的に利用可能となる。なお、太陽電池モジュール7は、光エネルギーを利用するものであればよく、太陽電池モジュール7に入射する光は太陽光以外の光であってもよい。
【0060】
透明部材8は、太陽電池モジュール7より上方に設けられている。透明部材8は、透明又は半透明であって、本実施形態においては、例えば板状に形成されている。透明部材8は、例えば強化アクリル板や強化ポリカーボネート板等の材料により形成されている。特に透明性及び汎用性の観点から、透明部材8の材料は、強化アクリル板であることが好ましい。透明部材8は、筐体5の開口部35に取り付けられている。より詳細に、透明部材8は、筐体5の第一段部31に嵌め込まれて筐体5に固定されることで、開口部35を閉塞している。この状態で透明部材8の下面には、太陽電池モジュール7が取り付けられている。換言すれば、太陽電池モジュール7は、筐体5の第二段部32内に収容されている。電子機器ユニット3が凸部22の内部に収容された状態で、透明部材8は、太陽電池モジュール7と光透過部24との間に設けられている。よって、光は、第一シート層11の光透過部24及び透明部材8を通じて、太陽電池モジュール7に到達する。
【0061】
(作用、効果)
次に、上述の誘導用ブロック1の作用、効果について説明する。
本実施形態の誘導用ブロック1によれば、誘導用ブロック1は平面部21と凸部22とを有するので、例えば誘導用ブロック1上を通過する視覚障害者Pに対して、凸部22により物理的に情報を提供できる。さらに、誘導用ブロック1は無線装置6を備えるので、近くを通行する視覚障害者P等が所持する移動端末(通信端末51)に対して、例えば交通情報や位置情報等の各種情報を無線で提供することができる。
凸部22の内部に無線装置6が配置されるので、凸部22内の空間を有効に利用し、凸部22と無線装置6とを合わせた上下方向の高さ寸法を抑えることができる。これにより、凸部22より下方に無線装置6を配置する従来技術と比較して、誘導用ブロック1全体の厚みを薄くすることができる。例えば、設置面を掘る必要が無い程度に誘導用ブロック1を薄型化した場合には、設置にかかる手間を削減し、施工を容易に行うことができる。また、従来技術と比較して無線装置6をより上方(地上に近い側)に配置できるので、無線装置6と地上の端末等との間で情報の送受信をより安定して行うことができる。特に、地上の端末から無線装置6にアクセスし易くなるので、無線装置6に登録された設定情報を変更する等の機能を持たせることができる。これにより、誘導用ブロック1の汎用性を向上することができる。
したがって、従来技術と比較して薄型化した誘導用ブロック1を提供できる。
【0062】
誘導用ブロック1は、第一シート層11と、第一シート層11の下方に設けられる第二シート層12と、を備える。無線装置6は、第一シート層11と第二シート層12との間に設けられている。このように複数のシート層11,12,13により誘導用ブロック1が構成されるので、コンクリート製の誘導用ブロック1と比較して、誘導用ブロック1の厚みを薄くすることができる。床面に複数のシート層11,12,13を配置することにより誘導用ブロック1を床面に設置できるので、従来技術のように地面(設置面)を掘る必要がない。よって、誘導用ブロック1の施工を容易に行うことができる。無線装置6は第一シート層11と第二シート層12との間に設けられている。これにより、複数のシート層11,12,13と無線装置6とを合わせた合計の厚み寸法を最小限に抑えることができる。よって、無線装置6を有する誘導用ブロック1において、上下方向の厚みを薄型化できる。
【0063】
第一シート層11及び第二シート層12は、周縁部11a,12aの全周に亘って互いに接合されているので、第一シート層11と第二シート層12との間への水や異物等の侵入を防止できる。これにより、第一シート層11と第二シート層12との間に配置された無線装置6が被水するおそれがないので、無線装置6に防水理処理等を施す必要が無い。よって、無線装置6の構成をより簡素化するとともに、無線装置6を薄型化することができる。
【0064】
第一シート層11の表面には、樹脂を含む防滑部25が形成されている。樹脂製の防滑部25が形成されることにより、誘導用ブロック1の上を通過する通行人等Pが滑ることを抑制できる。よって、通行人等Pの安全性を向上できる。
【0065】
第一シート層11の厚みは0.3mm以上1.0mm以下となっている。これにより、第一シート層11の厚みを薄く形成できるので、複数のシート層11,12,13を重ねた場合であっても、誘導用ブロック1を薄型化することができる。
【0066】
誘導用ブロック1は、凸部22に設けられる光透過部24と、光透過部24と対向配置され、光透過部24を通って入射した光により電力を発生させる太陽電池モジュール7と、を備える。凸部22は光透過部24を有するので、凸部22に太陽電池モジュール7を配置した場合、光透過部24を通った光により太陽電池モジュール7を発電させることができる。太陽電池モジュール7で発電された電力は無線装置6に供給されるので、無線装置6の電池交換が不要となる。よって、利便性を向上できる。また、凸部22の内部に太陽電池モジュール7を配置できるので、凸部22の内部の空間を有効に利用できる。よって、太陽電池モジュール7を設けることによる誘導用ブロック1の厚みの増加を抑制できる。
【0067】
誘導用ブロック1は、無線装置6と太陽電池モジュール7とが一体化された電子機器ユニット3を備える。電子機器ユニット3は、凸部22の空間に沿う形状に形成されて凸部22に収容される。このため、凸部22の内部の空間を有効に利用することができる。これにより、電子機器ユニット3を設けることによる厚みの増加を抑制し、誘導ユニットを薄型化できる。また、無線装置6と太陽電池モジュール7とが一体化されているので、太陽電池モジュール7から無線装置6へ効率良く電力を供給できる。さらに太陽電池モジュール7と無線装置6とを繋ぐ配線等を短くできるので、電子機器ユニット3の構成を簡素化及び小型化できる。
【0068】
太陽電池モジュール7と光透過部24との間に透明部材8を備える。このため、太陽電池モジュール7は上方から透明部材8に覆われる。これにより、例えば誘導用ブロック1が踏まれた場合や荷物が置かれた場合等の外力が入力された場合に、透明部材8により太陽電池モジュール7を外力から保護できる。これにより、太陽電池モジュール7を上方に配置した場合であっても、誘導用ブロック1の剛性を高めて太陽電池モジュール7の破損等を抑制することができる。よって、誘導用ブロック1の薄型化と強度向上とを両立できる。
【0069】
凸部22の内部の空間に無線装置6を収容しているので、通信端末51に信号を発信することができると共に、無線装置6に直接汚れが付着することを防止することができる。また、誘導用ブロック1が踏まれた際の衝撃が無線装置6に伝わることも十分に抑制することができる。その結果、ビーコン基板41及び太陽電池モジュール7の耐久性を向上できる。
凸部22に光透過部24を設けたので、光透過部24に汚れが溜まりにくくなる。よって、光を、光透過部24から内部に効率良く導入し、太陽電池モジュール7に光を照射することができる。
【0070】
無線装置6としてビーコン基板41を採用している。これにより、従来用いられていたICタグのように専用の読み取り機や専用のアプリを必要とすることがないので、汎用性を向上できる。
ビーコン基板41は、Bluetooth low energy(BLE)信号を発信するものである。このため、低コストで利用することができ、消費電力も抑えることができる。
【0071】
透明部材8として強化プラスチック板を用いた。これにより、十分な強度を確保し、太陽電池モジュール7等を確実に保護することができる。
透明な第一シート層11に印刷部23が積層されることにより誘導用ブロック1に色や模様を付与できる。これにより、例えば色の濃度や模様等の変更がし易く、生産性及び汎用性を向上することができる。
【0072】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態に係る誘導用ブロック201の正面図である。図7は、第2実施形態に係る誘導用ブロック201の分解斜視図である。図8は、第2実施形態に係る電子機器ユニット203の斜視図である。第2実施形態では、太陽電池モジュール7が複数設けられる点及び電子機器ユニット3が複数の凸部22間に渡って設けられている点で上述した第1実施形態と相違している。
【0073】
図6及び図7に示すように、第2実施形態の第一シート層11は、2個の光透過部224を有する。光透過部224は、4個の凸部22a,22b,22c,22dのうち最も端に設けられた第一の凸部22aの上面19aと、第三の凸部22cの上面19cと、にそれぞれ設けられている。光透過部224は、凸部22の長手方向における中央部分に設けられている。
【0074】
図8に示すように、電子機器ユニット203は、2個の太陽電池モジュール207と、各太陽電池モジュール207とは別体で形成された1個の無線装置206と、を有する。2個の太陽電池モジュール207は、第一の凸部22aの内部と第三の凸部22cの内部にそれぞれ収容されている(図6も参照)。第2実施形態において、透明部材208は、凸部22の内部の空間に沿う台形柱状に形成されている。よって、凸部22内の空間に透明部材208を挿入して嵌め込むことが可能となっている。透明部材208の長手方向に沿う長さは、凸部22の長手方向に沿う長さより短い。透明部材208の長手方向の両端部には、樹脂製又は金属製のスペーサー238が接続されている。透明部材208の下面には、太陽電池モジュール207が取り付けられている。電子機器ユニット203が凸部22に収容された状態で、透明部材208及び太陽電池モジュール207は、第一シート層11の光透過部224と対応する位置に設けられている。
【0075】
図6に示すように、無線装置206は、第二の凸部22bの内部に収容されている。無線装置206は、凸部22の長手方向における中央部分に設けられている。第二の凸部22bにおける内部空間のうち、無線装置206が収容された空間以外の空間には、固形充填体14が収容されている。無線装置206は配線245により2個の太陽電池モジュール207とそれぞれ接続されている。配線245は、第一シート層11の平面部21と第二シート層12との間に設けられている。これにより、2個の太陽電池モジュール207で発電された電力が無線装置206に供給される。また、配線245は、配線245と各シート層11,12との間に設けられた配線カバー246により保護されている。
【0076】
第2実施形態の誘導用ブロック201によれば、太陽電池モジュール207が複数設けられるので、第1実施形態の誘導用ブロック1と比較してより多くの電力をビーコン基板41に供給できる。つまり、電子機器を大電力化できる。これにより、例えばビーコン基板41から発信する電波の発信間隔を短くすることができる。また、固形充填体14同士の間に無線装置206を配置できる。これにより、誘導用ブロック201が踏まれた際の衝撃や荷重が無線装置206に伝わることをより一層抑制することができる。したがって、電子機器ユニット203の安全性を向上できる。
【0077】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態について説明する。図9は、第3実施形態に係る誘導用ブロック301の正面図である。第3実施形態では、太陽電池モジュール307が平面部21と対応する位置に設けられる点で上述した各実施形態と相違している。
【0078】
第3実施形態において、光透過部324は、第一シート層11の平面部21に設けられている。より詳細に、光透過部324は、中央の2個の凸部22(第二の凸部22b及び第三の凸部22c)の間に位置する平面部21に設けられている。第一シート層11と第二シート層12との間であって光透過部324と対応する位置には、太陽電池モジュール307が配置されている。光透過部324が設けられた平面部21と隣接する一方の凸部22(第三の凸部22c)の内部には、無線装置306が収容されている。平面部21に設けられた光透過部324を通って入射した光により、太陽電池モジュール307が発電する。太陽電池モジュール307で発電された電力は、凸部22内に配置された無線装置306に供給される。無線装置306が収容された箇所以外の凸部22内の空間には、固形充填体14が収容されている。
【0079】
第3実施形態の誘導用ブロック301によれば、平面部21は光透過部324を有するので、平面部21に太陽電池モジュール307を配置した場合、光透過部324を通った光により太陽電池モジュール307を発電させることができる。太陽電池モジュール307で発電された電力は無線装置306に供給されるので、無線装置306の電池交換が不要となる。よって、利便性を向上できる。また、平面部21は凸部22と比較して面積が大きいので、光透過部324の面積を大きくすることができる。その結果、太陽電池モジュール7に十分な量の光を供給し、より大きな電力を発電させることができる。
【0080】
(第4から第7実施形態)
次に、本発明に係る第4から第7実施形態について説明する。図10は、第4実施形態に係る電子機器ユニット403の断面図である。図11は、第5実施形態に係る電子機器ユニット503の断面図である。図12は、第6実施形態に係る電子機器ユニット603の断面図である。図13は、第7実施形態に係る電子機器ユニット703の断面図である。図10から図13は、第1実施形態における図5の断面図に相当する。なお、図10から図13では、ブロック構成体2(各シート層11,12,13)の図示を省略している。第4から第7実施形態において、上述の第1実施形態と同様の構成については説明を省略し、第1実施形態と同じ部材については同一の符号を用いて説明する場合がある。
【0081】
図10に示すように、第4実施形態では、筐体5の第一段部31に太陽電池モジュール7及び透明部材8が配置される点で上述した第1実施形態と相違している。第4実施形態において、太陽電池モジュール7は、筐体5の第一段部31の下面に載置されている。透明部材8は、太陽電池モジュール7の上方に配置され、筐体5の第一段部31に嵌め込まれて筐体5に固定されている。
第4実施形態の構成によれば、凸部22の幅方向において太陽電池モジュール7の幅寸法を大きくすることができる。よって、太陽電池モジュール7の面積を増加させ、太陽電池モジュール7により発電可能な電力量を増やすことができる。なお、第4実施形態において、太陽電池モジュール7の下方、すなわち第二段部32内に、無線装置6を配置してもよい。この場合、太陽電池モジュール7と無線装置6とを上下方向に重ねて配置できるので、凸部22の長手方向において太陽電池モジュール7を配置できる面積が増える。よって、凸部22の内部の空間を有効に利用し、より多くの電力を発電することができる。
【0082】
図11に示すように、第5実施形態では、筐体5の上部に透明部材8が載置される点で上述した第1実施形態と相違している。第5実施形態において、筐体505は、平面状に形成された上面505uと、上面505uから下方に向かって凹む第一段部31と、を有する。透明部材508は、筐体505の上面505uに載置された状態で筐体505に固定されている。透明部材508の下面には太陽電池モジュール7が取り付けられている。
第5実施形態の構成によれば、筐体505の構成を簡素化できる。また、透明部材508の面積が増えるので、効率良く光を太陽電池モジュール7へ供給できる。なお、第5実施形態においても第4実施形態と同様、太陽電池モジュール7の下方に無線装置6を配置してもよい。
【0083】
図12に示すように、第6実施形態では、筐体5を有しない点で上述した第1実施形態と相違している。第6実施形態において、透明部材608は、凸部22内の空間の形状と同等の台形柱状に形成されている。透明部材608は、下面から上方へ向かって凹む凹部650を有する。凹部650には、太陽電池モジュール7が取り付けられている。透明部材608の下面には、凹部650の開口を閉塞する底部材609が設けられている。つまり、第6実施形態では、透明部材608が第1実施形態における筐体5の機能を兼ねている。
第6実施形態の構成によれば、太陽電池モジュール7の周囲全体を透明部材608が囲んでいるので、太陽電池モジュール7を外力から保護しつつ、より効率良く光を太陽電池モジュール7へ供給できる。なお、第6実施形態においても第4実施形態と同様、太陽電池モジュール7の下方に無線装置6を配置してもよい。
【0084】
図13に示すように、第7実施形態では、透明部材8の形状が凸部22内の空間の形状と同等となるように形成され、かつ凹部650を有しない点で上述した第6実施形態と相違している。第7実施形態において、透明部材708は、凸部22内の空間の形状に合わせた台形柱状に形成されている。透明部材8の下面には、太陽電池モジュール7が取り付けられている。さらに太陽電池モジュール7の下方には、底部材709が配置されている。よって、透明部材708、太陽電池モジュール7、底部材709が上から順に重ねられた状態で凸部22の内部に収容されている。
第7実施形態の構成によれば、筐体5を設ける必要が無いので部品点数を削減でき、かつ透明部材708の形状を簡素化できる。また、台形柱状に形成された透明部材708の下面に太陽電池モジュール7を配置するので、透明部材708により太陽電池モジュール7を衝撃から保護しつつ、太陽電池モジュール7の面積を大きくすることができる。よって、太陽電池モジュール7により発電可能な電力量を増やすことができる。
【0085】
(第8実施形態)
次に、本発明に係る第8実施形態について説明する。図14は、第8実施形態に係る誘導用ブロック801の正面図である。第8実施形態では、異なる種類の誘導用ブロックを採用した点で上述した各実施形態と相違している。
【0086】
第8実施形態において、第一シート層811は、平面部21と、線状の凸部22と、円錐台状の凸部826と、を有する。線状の凸部22の形状は第1実施形態における凸部22の形状と同等である。線状の凸部22は、誘導用ブロック801の端部に設けられている。円錐台状の凸部826は、線状の凸部22が設けられていない領域に設けられている。本実施形態では、円錐台状の凸部826は、均等に5×5個ずつ並んで設けられている。このような線状の凸部22及び円錐台状の凸部826を有する誘導用ブロック801は、例えば駅のホームの端に設置され、その先が線路であることを示すための誘導用ブロックとして使用される。線状の凸部22には光透過部24が設けられ、線状の凸部22の内部には、電子機器ユニット3が収容されている。線状の凸部22に収容された電子機器ユニット3の構成は第1実施形態と同様であるためここでは説明を省略する。
【0087】
第8実施形態の誘導用ブロック801によれば、用途に応じて様々な種類の誘導用ブロックに本発明を適用できる。よって、汎用性を向上できる。なお、誘導用ブロック801の他の例として、例えば線状の凸部22を有することなく、円錐台状の凸部826のみを有する誘導用ブロックに適用してもよい。この場合、円錐台状の凸部826の内部に無線装置6を配置してもよい。
【0088】
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述の第1実施形態では、第一の凸部22aに電子機器ユニット3を収容した構成について説明したが、これに限られない。第二の凸部22b、第三の凸部22c、又は第四の凸部22dに電子機器ユニット3を収容してもよい。また、電子機器ユニット3が複数設けられ、それぞれ異なる凸部22に収容されてもよい。さらに、凸部22の長手方向において光透過部24を設ける位置(すわなち、太陽電池モジュール7を設ける位置)は、上述の実施形態の構成に限定されない。
【0089】
防滑部25の材料として、シリコーン樹脂以外の樹脂を主成分とするものを採用してもよい。
バッテリ42はなくてもよい。すなわち、太陽電池モジュール7からビーコン基板41へ直接電力を供給してもよい。
中間シート層13と第二シート層12とが一体化されていてもよい。
上述の実施形態では、印刷部23として黄色のベタ柄が印刷されたが、これに限られない。透明な第一シート層11を大量生産した後に、設置される場所や用途に応じて、印刷部23の色や模様を変更してもよい。
上述の実施形態では、誘導用ブロック1の形状は、平面視で矩形状となっているが、これに限られない。誘導用ブロック1の形状は上述した実施形態の形状に限定されない。同様に、凸部22の形状や光透過部24の形状等は、実施形態の形状に限定されない。
【0090】
誘導用ブロック1は、足で踏む道路や床面に限らず、手で触る壁面、手すり等に設置されるものであってもよい。
上述の第1実施形態では、誘導用ブロック1を用いた案内システムとして、通行人等Pに位置情報を提供する位置情報案内システムを例に説明したが、これに限られない。誘導用ブロック1が発信する情報(ID)に基づいてクラウド52から通行人等Pへ提供される情報は、例えば交通情報や観光情報、その他の案内情報等であってもよい。また、誘導用ブロック1から位置情報等を発信することができる場合、案内システムは、必ずしもクラウド52を必要としない。この場合の案内システムは、誘導用ブロック1から発信される位置情報等を、通行人等Pが有する通信端末51が受け取ることにより、通行人等Pに対し、自身の位置を案内する。また、通信端末51は、携帯端末であってもよく、例えば駅や施設等に設置された固定端末であってもよい。通信端末51の一例として、例えば携帯電話やスマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ等が挙げられる。また、視覚障害者Pを安全に誘導案内するためだけでなく、誘導用ブロック1の位置情報や誘導用ブロック1周辺の案内情報を通信端末51に発信するシステムのツールとして利用してもよい。
【0091】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 誘導用ブロック
3,203,303,403,503,603,703 電子機器ユニット
6,206,306 無線装置
7,207,307 太陽電池モジュール
8,208,508,608,708 透明部材
11,811 第一シート層
11a (第一シート層の)周縁部
12 第二シート層
12a (第二シート層の)周縁部
21 平面部
22,22a,22b,22c,22d 凸部
24,224,324 光透過部
25 防滑部
図1
図2
図3
図4
図5
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