(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】カラオケシステム
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
(21)【出願番号】P 2020210526
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】山口 光
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-083772(JP,A)
【文献】特開平09-149497(JP,A)
【文献】特開2001-215977(JP,A)
【文献】特開平10-149161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/04
H04R 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ装置とリモコン装置とが通信可能に接続されたカラオケシステムであって、
前記カラオケ装置は、
利用者による楽曲の予約を受け付ける予約部と、
予約済み楽曲の楽曲データをレンダリングしてオーディオデータを生成して前記リモコン装置に送信する生成部と、
予約済み楽曲の楽曲データに基づいてカラオケ演奏する第1の音響制御部と、を有し、
前記リモコン装置は、
前記カラオケ装置でカラオケ演奏されたカラオケ演奏音を集音する集音手段と、
前記集音手段から取得した集音データと前記カラオケ装置から受信したオーディオデータを時系列に沿って比較してカラオケ演奏の異常を検出し、異常を検出した楽曲の位置を示す異常検出位置情報を出力する異常検出部と、
前記カラオケ装置から受信したオーディオデータに基づいてカラオケ演奏可能な第2の音響制御部と、
異常検出位置情報が出力された場合に、前記第2の音響制御部に対して異常検出位置情報が示す位置から楽曲のカラオケ演奏を開始するように指示する指示部と、を有していることを特徴とするカラオケシステム。
【請求項2】
前記予約部は、テンポ情報及び/又はキー情報の設定を受け付けており、
前記生成部は、テンポ情報及び/又はキー情報に基づいて予約済み楽曲の楽曲データをレンダリングしてオーディオデータを生成することを特徴とする請求項1に記載のカラオケシステム。
【請求項3】
前記指示部は、異常検出位置情報が出力された場合に、前記第1の音響制御部に対してカラオケ演奏を停止又はカラオケ演奏音をミュートするように指示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカラオケシステム。
【請求項4】
前記リモコン装置は、前記カラオケ装置を操作するための入力部を有し、
前記入力部によってカラオケ演奏の停止指示が入力された場合に、前記異常検出部が異常検出位置情報の出力を中止することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のカラオケシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ演奏中のフリーズ等の異常に対処可能な技術が提案されている。例えば、この種の技術としてCPU障害に対処可能なカラオケ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。カラオケ装置にはメインCPUとサブCPUが設けられ、サブCPUでメインCPUの障害を検出してメインCPUを再起動させている。また、カラオケ装置の装置本体の異常時に、カラオケ演奏を継続可能なものも知られている(例えば、特許文献2参照)。リモコン装置が装置本体の異常を検出して、装置本体の代わりにリモコン装置がサーバ装置から楽曲データを受信して、音響処理装置にカラオケ演奏を続行させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-266646号公報
【文献】特開2017-083772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術を用いれば、カラオケ演奏中に異常が起きた場合に、速やかにカラオケ装置を再起動させて、中断された楽曲をカラオケ演奏し直すことができる。しかしながら、カラオケ装置の再起動中はカラオケ演奏が中断されているため、再起動後に最初からカラオケ歌唱しなければならない。特許文献2に記載の技術を用いれば、カラオケ装置の装置本体に異常が起きてもカラオケ演奏を続行させることができる。しかしながら、リモコン装置が音響処理装置に演奏処理を行わせているため、音響処理装置に動作異常が起きた場合には対処することはできない。
【0005】
本発明の目的は、カラオケ演奏に異常が起きた場合であっても、利用者にカラオケ歌唱を続行させることができるカラオケシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、カラオケ装置とリモコン装置とが通信可能に接続されたカラオケシステムであって、前記カラオケ装置は、利用者による楽曲の予約を受け付ける予約部と、予約済み楽曲の楽曲データをレンダリングしてオーディオデータを生成して前記リモコン装置に送信する生成部と、予約済み楽曲の楽曲データに基づいてカラオケ演奏する第1の音響制御部と、を有し、前記リモコン装置は、前記カラオケ装置でカラオケ演奏されたカラオケ演奏音を集音する集音手段と、前記集音手段から取得した集音データと前記カラオケ装置から受信したオーディオデータを時系列に沿って比較してカラオケ演奏の異常を検出し、異常を検出した楽曲の位置を示す異常検出位置情報を出力する異常検出部と、前記カラオケ装置から受信したオーディオデータに基づいてカラオケ演奏可能な第2の音響制御部と、異常検出位置情報が出力された場合に、前記第2の音響制御部に対して異常検出位置情報が示す位置から楽曲のカラオケ演奏を開始するように指示する指示部と、を有するカラオケシステムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リモコン装置がカラオケ装置からオーディオデータを受信し、カラオケ装置に演奏されたカラオケ演奏音をリモコン装置が集音して集音データを取得する。リモコン装置によってオーディオデータと集音データが時系列に沿って比較され、カラオケ装置のカラオケ演奏の異常が検出された場合には、リモコン装置によって異常が検出された位置からカラオケ演奏が開始される。カラオケ装置のカラオケ演奏に異常が起きた場合でも、カラオケ装置からリモコン装置にカラオケ演奏が引き継がれるため、カラオケ演奏が中断されずに利用者にカラオケ歌唱を続行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態のカラオケシステムの構成図である。
【
図2】第1実施形態のカラオケシステムの機能ブロック図である。
【
図3】第1実施形態のカラオケシステムの処理動作の一例を示すフロー図である。
【
図4】変形例2のカラオケシステムの処理動作の一例を示すフロー図である。
【
図5】第2実施形態のカラオケシステムの機能ブロック図である。
【
図6】第2実施形態のカラオケシステムの処理動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
図1及び
図2を参照して、第1実施形態のカラオケシステムについて説明する。
図1は、第1実施形態のカラオケシステムの構成図である。
図2は、第1実施形態のカラオケシステムの機能ブロック図である。なお、
図2の機能ブロック図には、説明の便宜上、特定処理を実現するための機能ブロックを図示しているが、カラオケ装置が通常備える構成については備えているものとする。
【0010】
図1に示すように、第1実施形態のカラオケシステム1は、利用者が予約したカラオケ楽曲の演奏に合わせて歌唱を楽しむためのシステムであり、カラオケ装置10と、モニタ11と、スピーカ12と、マイクロフォン13と、リモコン装置20と、を備えている。モニタ11は、カラオケ装置10からの映像信号等に基づいて、カラオケ演奏に合わせて背景映像と共に歌詞テロップ等を表示する。スピーカ12は、カラオケ装置10からの放音信号に基づいて、楽曲のカラオケ演奏音と共に利用者の歌唱音声を放音する。マイクロフォン13は、利用者の歌唱音声を歌唱音声信号に変換してカラオケ装置10に入力する。
【0011】
リモコン装置20は、操作パネル(タッチパネル)を主体に構成されている。リモコン装置20は、検索メニューや検索結果等の各種情報を操作パネルに表示すると共に、操作パネルによって利用者の入力を受け付けている。リモコン装置20とカラオケ装置10は近距離無線通信を介してペアリングされており、リモコン装置20とカラオケ装置10の間で各種情報が相互に送受信される。リモコン装置20によって楽曲が検索され、操作パネルに表示された転送ボタンのタッチによって予約操作が完了して、リモコン装置20からカラオケ装置10に楽曲識別情報が送信される。
【0012】
リモコン装置20からの楽曲識別情報は、カラオケ装置10の予約待ち行列に登録される。カラオケ装置10の記憶部14(
図2参照)には、楽曲識別情報毎にカラオケ歌唱に関する各種データとして、例えば、カラオケ演奏音の元になる楽曲データ、歌唱の採点基準となるリファレンスデータ、歌詞テロップの元になる歌詞テロップデータ、背景映像の元になる背景映像データが記憶されている。カラオケ演奏時には、予約待ち行列から登録順に楽曲識別情報が読み出されて、この楽曲識別情報に対応する各種データが記憶部14から読み出される。
【0013】
カラオケ演奏時には、楽曲データの再生に同期して、歌詞テロップデータ及び背景映像データに基づいて歌詞テロップと背景映像がモニタ11に表示される。また、カラオケ演奏の演奏音信号とマイクロフォン13から入力された歌唱音声信号がミキサによって適切な比率でミキシングされて、このミキシング信号がアンプによって増幅されてスピーカ12から放音される。このように、歌唱者がカラオケ演奏に合わせて歌唱すると、スピーカ12からカラオケ演奏音と共に歌唱音声が放音される。さらに、歌唱音声はリファレンスデータに基づいて採点される。
【0014】
図2に示すように、カラオケシステム1は、カラオケ装置10とリモコン装置20が通信可能に接続されており、カラオケ装置10のカラオケ演奏に異常が起きた場合に、カラオケ装置10からリモコン装置20にカラオケ演奏を引き継ぐように構成されている。カラオケ装置10には、記憶部14と、予約部15と、生成部16と、第1の音響制御部17と、が設けられている。記憶部14には、楽曲識別情報が登録順に並べられた予約管理テーブルが記憶されている。また、記憶部14には、上記したように、楽曲識別情報毎に楽曲データ、リファレンスデータ、歌詞テロップデータ、背景映像データが記憶されている。
【0015】
予約部15は、利用者の予約操作に応じて、楽曲の楽曲識別情報を予約待ち行列に登録する。リモコン装置20の操作パネルに表示された予約画面に楽曲の楽曲識別情報が入力され、予約画面の転送ボタンが押されることで、リモコン装置20からカラオケ装置10に楽曲識別情報が送信される。予約部15が楽曲の予約を受け付けて、楽曲の楽曲識別情報が予約待ち行列の最後尾に登録される。なお、予約部15は、リモコン装置20を介して予約を受け付ける代わりに、カラオケ装置10の操作パネルを介して予約を受け付けてもよいし、利用者の携帯端末を介して予約を受け付けてもよい。
【0016】
生成部16は、予約済み楽曲の楽曲データをレンダリングしてオーディオデータを生成する。楽曲データは、演奏データ形式のMIDI(Musical Instrument Digital Interface)データである。生成部16によって記憶部14から楽曲識別情報に対応する楽曲データが読み出されて、ソフトウェアによって楽曲データに対してレンダリングが実施される。レンダリングには、仮想的にソフトウェア・シンセサイザを高速駆動させるDAW(Digital Audio Workstation)等の公知の技術(特開2017-097289号公報参照)を用いることができる。
【0017】
生成部16は、レンダリング後のオーディオデータをリモコン装置20に向けて送信する。なお、楽曲データはMIDIデータ等の演奏データに限らず、WAVEデータ等のオーディオデータで構成されていてもよい。楽曲データがオリジナルのキー及びテンポのオーディオデータである場合には、生成部16がレンダリングを実施せずに楽曲データをそのままリモコン装置20に送信することができる。この場合、楽曲データのデータ形式、キー、テンポに応じて、生成部16において楽曲データに対するレンダリングの要否が切り替えられている。
【0018】
第1の音響制御部17は、予約済み楽曲の楽曲データに基づいてカラオケ演奏する。第1の音響制御部17は、MIDI音源、ミキサ、アンプ(いずれも不図示)等によって構成されている。第1の音響制御部17によって記憶部14から楽曲データが読み出されて、MIDI音源によって楽曲データが再生されて演奏音信号が出力される。また、第1の音響制御部17には、マイクロフォン13から歌唱音声信号が入力される。ミキサによって演奏音信号と歌唱音声信号がミキシングされ、ミキシング信号がアンプによって増幅されてスピーカ12に出力される。
【0019】
リモコン装置20には、集音手段21と、異常検出部22と、第2の音響制御部23と、放音手段24と、指示部25と、が設けられている。集音手段21は、リモコン装置20のケースに取付られた内蔵マイクロフォンであり、カラオケ装置10でカラオケ演奏されたカラオケ演奏音を集音する。スピーカ12から放音されたカラオケ演奏音が集音手段21によってアナログ電気信号に変換されて、さらに集音手段21によってアナログ電気信号がデジタル化されてオーディオデータ形式の集音データが生成される。集音データは集音手段21から異常検出部22に出力される。
【0020】
異常検出部22は、集音手段21から取得した集音データとカラオケ装置10から受信したオーディオデータを時系列に沿って比較して、カラオケ装置10によるカラオケ演奏の異常を検出する。また、異常検出部22は、カラオケ演奏の異常を検出した楽曲の位置(時間位置)を示す異常検出位置情報を出力する。この場合、集音手段21から集音データが出力され始めたことを契機にして、集音データとオーディオデータの比較が開始される。なお、利用者が楽曲のカラオケ演奏の開始を指示したタイミングに基づいて、集音データとオーディオデータの比較が開始されてもよい。
【0021】
集音データの歌唱区間には演奏音信号だけでなく利用者の歌唱音声信号が含まれている。このため、集音データとオーディオデータに対して歌唱音声信号の周波数帯域がフィルタリングされて、フィルタリング後の集音データとオーディオデータが比較されることが望ましい。フィルタリングされる周波数帯域は、楽曲のリファレンスデータに基づいて、例えば260[Hz]-880[Hz](音高C4-A5に相当)のように決定することができる。集音データとオーディオデータの比較には、デジタル波形の差分を算出して評価する等の公知の波形比較手法を用いることができる。
【0022】
カラオケ装置10によるカラオケ演奏の異常は、集音データとオーディオデータの一致度に基づいて検出される。例えば、カラオケ演奏音の中断、音量の不安定、ノイズの発生、カラオケ演奏音の歪み、特定音の継続的な出力等といった異常が検出される。カラオケ演奏の異常が検出されると、異常検出部22によって異常検出位置情報が出力される。より具体的には、集音手段21から集音データが出力されたタイミング(t=0)からタイマーによって計時が開始され、異常が検出されたタイミング(t=p)を示す情報が異常検出位置情報として指示部25に出力される。
【0023】
指示部25は、異常検出位置情報が出力された場合に、第2の音響制御部23に対して異常検出位置情報が示す位置から楽曲のカラオケ演奏を開始するように指示する。指示部25は、異常検出位置情報が示す位置をオーディオデータの再生開始位置として第2の音響制御部23に出力する。第2の音響制御部23は、カラオケ装置10から受信したオーディオデータに基づいてカラオケ演奏可能に構成されている。第2の音響制御部23は、オーディオ音源、ミキサ、アンプ(いずれも不図示)等によって構成されており、指示部25の指示に応じてカラオケ演奏を開始する。
【0024】
この場合、指示部25に指示された再生開始位置からオーディオ音源によって、オーディオデータが再生されて演奏音信号が出力される。また、リモコン装置20にもマイクロフォン13が通信可能に接続されており、マイクロフォン13から第2の音響制御部23に歌唱音声信号が入力されている。ミキサによって演奏音信号と歌唱音声信号がミキシングされ、ミキシング信号がアンプによって増幅されて、リモコン装置20のケースに取付られた放音手段24からカラオケ演奏音が放音される。なお、放音手段24は、カラオケ装置10から独立していればよく、例えば外部のスピーカやアンプ内蔵スピーカでもよい。
【0025】
このようにして、リモコン装置20が、予約済み楽曲のオーディオデータを保持すると共に、カラオケ装置10でカラオケ演奏された楽曲のカラオケ演奏音を監視している。そして、カラオケ装置10のカラオケ演奏に異常が検出された場合に、カラオケ装置10の代わりにリモコン装置20がカラオケ演奏を開始する。したがって、カラオケ装置10の電源が切れて演奏不能になったとしても、カラオケ装置10からリモコン装置20にカラオケ演奏が引き継がれて、利用者にカラオケ歌唱を続行させることができる。利用者がカラオケ歌唱を続行している間にカラオケ装置10を再起動することもできる。
【0026】
なお、カラオケ装置10の生成部16は、オーディオデータと共に歌詞テロップデータをリモコン装置20に送信することもできる。この場合、リモコン装置20の第2の音響制御部23は、表示手段(不図示)に歌詞テロップ表示信号を出力して、リモコン装置20の操作パネルに歌詞テロップを表示させることができる。これにより、カラオケ装置10の電源が切れてモニタ11に歌詞テロップが表示不能になったとしても、カラオケ装置10からリモコン装置20に歌詞テロップの表示が引き継がれて、利用者に歌詞テロップを視認させることができる。
【0027】
また、カラオケシステム1の各処理は、プロセッサを用いてソフトウェアによって実現されてもよいし、集積回路等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。プロセッサを用いる場合には、プロセッサがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することで各種処理が実施される。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)が使用される。また、メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体によって構成されている。
【0028】
図3を参照して、第1実施形態のカラオケシステムの処理動作について具体例を挙げて説明する。
図3は、第1実施形態のカラオケシステムの処理動作の一例を示すフロー図である。なお、ここでは、
図1及び
図2の符号を適宜使用して説明する。
【0029】
図3に示すように、利用者Uによって予約操作が行われると、カラオケ装置10の予約部15によって楽曲Xの楽曲識別情報ID****Xが予約待ち行列に登録される(ステップS01)。次に、生成部16によって予約待ち行列が参照されて、楽曲識別情報ID****Xに関連づいた楽曲データDXが記憶部14から読み出される(ステップS02)。次に、生成部16によって楽曲データDXがレンダリングされてオーディオデータAXが生成されて(ステップS03)、カラオケ装置10からリモコン装置20にオーディオデータAXが送信される(ステップS04)。
【0030】
リモコン装置20がオーディオデータAXを受信して(ステップS05)、リモコン装置20のメモリにオーディオデータAXが一時的に記憶される。利用者Uによって楽曲Xのカラオケ演奏の開始が指示されると、カラオケ装置10の第1の音響制御部17によって楽曲データDXに基づいてカラオケ演奏が開始される(ステップS06)。カラオケ装置10でカラオケ演奏されると、リモコン装置20の集音手段21によってカラオケ演奏音が集音されて、異常検出部22にオーディオデータ形式の集音データMXが取得される(ステップS07)。
【0031】
次に、異常検出部22によって集音データMXとオーディオデータAXの比較が開始される(ステップS08)。カラオケ演奏の異常が検出された場合には(ステップS09でYes)、異常検出部22から指示部25に異常検出位置情報Pが出力される(ステップS10)。次に、指示部25によって第2の音響制御部23に演奏開始が指示されて、第2の音響制御部23によって異常検出位置情報Pが示す位置からカラオケ演奏が開始される(ステップS11)。カラオケ演奏の異常が検出されない場合には(ステップS09でNo)、カラオケ演奏を開始することなくステップS12に処理が移行する。
【0032】
そして、リモコン装置20では、カラオケ装置10又はリモコン装置20のカラオケ演奏が終了するまで、ステップS09からステップS11までの処理が繰り返される(ステップS12)。また、リモコン装置20の動作と平行して、第1の音響制御部17によって楽曲データDXの最後尾まで演奏処理が継続される(ステップS13)。
【0033】
以上、第1実施形態によれば、リモコン装置20がカラオケ装置10からオーディオデータAXを受信し、カラオケ装置10に演奏されたカラオケ演奏音をリモコン装置20が集音して集音データMXを取得する。リモコン装置20によってオーディオデータAXと集音データMXが時系列に沿って比較され、カラオケ装置10のカラオケ演奏の異常が検出された場合には、リモコン装置20によって異常が検出された位置からカラオケ演奏が開始される。カラオケ装置10のカラオケ演奏に異常が起きた場合でも、カラオケ装置10からリモコン装置20にカラオケ演奏が引き継がれるため、カラオケ演奏が中断されずに利用者にカラオケ歌唱を続行させることができる。
【0034】
<変形例1>
変形例1のカラオケシステムについて説明する。第1実施形態では、オリジナルのテンポ及びキーのオーディオデータと集音データが比較されたが、テンポ及び/又はキーの変更後のオーディオデータと集音データが比較されてもよい。
図2に示すように、カラオケ装置10の予約部15は、利用者による楽曲の予約を受け付ける際に、テンポ情報及び/又はキー情報の設定を受け付ける。カラオケ装置10の生成部16は、テンポ情報及び/又はキー情報に基づいて予約済み楽曲の楽曲データをレンダリングしてオーディオデータを生成する。変形例1によれば、利用者がテンポ情報及び/又はキー情報を設定した場合でも、リモコン装置20にてオーディオデータと集音データを適切に比較できる。
【0035】
<変形例2>
変形例2のカラオケシステムについて説明する。
図4は、変形例2のカラオケシステムの処理動作の一例を示すフロー図である。なお、ここでは、第1実施形態と同様な処理については簡略化して説明する。
【0036】
第1実施形態では、カラオケ装置10が演奏不能になった状態を想定しているが、カラオケ装置10が異常状態のままカラオケ演奏を中断せずに、スピーカ12から耳障りな音が鳴り続ける場合がある。このため、リモコン装置20はカラオケ装置10からカラオケ演奏を引き継ぐだけでなく、リモコン装置20がカラオケ装置10のカラオケ演奏を停止させてもよい。
図2に示すように、リモコン装置20の異常検出部22から異常検出位置情報が出力された場合に、リモコン装置20の指示部25がカラオケ装置10の第1の音響制御部17に対してカラオケ演奏を停止又はカラオケ演奏音をミュートするように指示する。
【0037】
図4に示すように、変形例2のステップ21-S30までの処理、ステップS32、S33の各処理は、第1実施形態のステップS01-S12までの処理と同様である。変形例2のリモコン装置20では、異常検出部22から指示部25に異常検出位置情報Pが出力されると(ステップS30)、リモコン装置20からカラオケ装置10に演奏停止信号が送信される(ステップS31)。カラオケ装置10が演奏停止信号を受信した場合には(ステップS34でYes)、第1の音響制御部17によってカラオケ演奏の停止又はカラオケ演奏音のミュートが実施される(ステップS35)。カラオケ装置10が演奏停止信号を受信しない場合には(ステップS34でNo)、カラオケ演奏を継続したままステップS35に処理が移行する。そして、カラオケ演奏が終了するまで、ステップS34からステップS35までの処理が繰り返される(ステップS36)。
【0038】
以上、変形例2によれば、カラオケ装置10に異常が起きた場合に、カラオケ装置10にカラオケ演奏を停止させることができる。カラオケ装置10が異常状態でカラオケ演奏することがなく、スピーカ12から耳障りな音が鳴り続けることがない。よって、リモコン装置20のカラオケ演奏によって利用者に気持ちよくカラオケ歌唱を続行させることができる。
【0039】
<第2実施形態>
第2実施形態のカラオケシステムについて説明する。
図5は、第2実施形態のカラオケシステムの機能ブロック図である。
図6は、第2実施形態のカラオケシステムの処理動作の一例を示すフロー図である。なお、第2実施形態のカラオケシステムは、利用者によってカラオケ演奏の停止操作が行われたときに異常検出しない点で第1実施形態のカラオケシステムと相違する。したがって、第2実施形態については第1実施形態と同様な構成については説明を省略する。
【0040】
図5に示すように、第2実施形態のカラオケシステム2は、第1実施形態のカラオケシステム1と同様に構成されており、カラオケ装置30と、モニタ31と、スピーカ32と、マイクロフォン33と、リモコン装置40とを備えている。カラオケ装置30には、記憶部34と、予約部35と、生成部36と、第1の音響制御部37と、が設けられている。リモコン装置40には、集音手段41と、異常検出部42と、第2の音響制御部43と、放音手段44と、指示部45と、が設けられている。さらに、リモコン装置40には、カラオケ装置10を操作するための入力部46が設けられている。
【0041】
利用者がカラオケ演奏を途中で停止させた場合には、リモコン装置40の集音手段41によってカラオケ演奏音が集音されなくなる。異常検出部42では集音データとオーディオデータに差分が生じるが、これはカラオケ装置30のカラオケ演奏の異常ではない。このため、意図的にカラオケ演奏が停止された場合には、利用者の操作意図に反してカラオケ装置30からリモコン装置40にカラオケ演奏を引き継がせないことが望ましい。そこで、リモコン装置40は、入力部46によってカラオケ演奏の停止指示が入力された場合に、異常検出部42による異常検出位置情報の出力が中止される。
【0042】
図6に示すように、第2実施形態のステップS41-S49までの処理は、第1実施形態のステップS01-S09までの処理と同様である。カラオケ演奏の異常が検出されると(ステップS49でYes)、利用者Uによってカラオケ演奏の停止指示が入力されたか否かが判定される(ステップS50)。カラオケ演奏の停止指示が入力された場合には(ステップS50でYes)、異常検出部42が異常検出位置情報を出力することなくステップS53に処理が移行する。カラオケ演奏の停止指示が入力されていない場合には(ステップS50でNo)、異常検出部42から指示部45に異常検出位置情報Pが出力される(ステップS51)。以降のステップS52-S54までの処理は、第1実施形態のステップS11-S13までの処理と同様である。
【0043】
以上、第2実施形態によれば、利用者によるカラオケ演奏の停止操作に反して、カラオケ装置30からリモコン装置40にカラオケ演奏が引き継がれることを防止することができる。なお、入力部46は、リモコン装置40の操作パネルを介した操作入力だけでなく、近距離無線通信等によってカラオケ装置30の操作パネルを介した操作入力に対応してもよい。また、入力部46によってカラオケ演奏の停止指示以外の他の指示が入力された場合でも、異常検出位置情報の出力が中止されてもよい。例えば、利用者がカラオケ歌唱中に音域が合わないことに気づいてキー操作を行った場合に、異常検出部42による異常検出位置情報の出力が中止されてもよい。この場合、集音データとオーディオデータが一致しなくなるが、利用者による停止操作に反してカラオケ演奏が続行されることがない。
【0044】
なお、各実施形態及び各変形例において、リモコン装置は、カラオケ装置と通信可能に接続された電子機器であればよい。例えば、リモコン装置は、携帯電話、スマートフォン、ゲーム機器、パーソナルコンピュータでもよい。
【0045】
また、各実施形態及び各変形例において、カラオケ装置及びリモコン装置にプログラムをインストールすることによって、カラオケ装置及びリモコン装置にカラオケ演奏の異常時の対処機能が追加されてもよい。このプログラムは記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は特に限定されないが、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等の非一過性の記憶媒体であってもよい。
【0046】
また、本実施形態を説明したが、他の実施形態として、上記実施形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0047】
また、本発明の技術は上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方によって実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0048】
1、2 :カラオケシステム
10、30:カラオケ装置
15、35:予約部
16、36:生成部
17、37:第1の音響制御部
20、40:リモコン装置
21、41:集音手段
22、42:異常検出部
23、43:第2の音響制御部
25、45:指示部
46 :入力部