(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】脱穀装置
(51)【国際特許分類】
A01F 12/22 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
A01F12/22 Z
(21)【出願番号】P 2020212896
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】小林 宜泰
(72)【発明者】
【氏名】青山 祐也
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-178947(JP,A)
【文献】特開2019-80508(JP,A)
【文献】特開2016-187309(JP,A)
【文献】特開平8-89066(JP,A)
【文献】特開2019-80513(JP,A)
【文献】特開2013-153727(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108271538(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0329641(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 12/18 - 12/28
A01F 12/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫された作物の全体が投入される扱室と、
前記扱室に回転可能に設けられた扱胴と、が備えられ、
前記扱胴に、前記扱室の前後方向に沿う姿勢で前記扱室に回転可能に設けられる扱胴支軸と、前記扱胴支軸の軸芯方向での中間部に支持される板状の中間支持部材と、前記中間支持部材よりも後側において前記扱胴支軸に支持される後支持部材と、前記扱胴の周方向に間隔を空けた状態で前記中間支持部材および前記後支持部材に支持される複数の棒状の扱歯支持部材と、前記複数の扱歯支持部材それぞれにおいて、前記扱歯支持部材から前記扱胴の径方向外側に向けて突出する状態、かつ、前記扱胴支軸に沿った方向に間隔を空けた状態で前記扱歯支持部材に支持された複数の棒状の扱歯と、が備えられ、
前記中間支持部材に、前記中間支持部材の中央部に重ね合わせて溶接された補強板、および、前記補強板よりも扱胴径方向外側において前記中間支持部材に形成された曲がり部が備えられて
おり、
前記中間支持部材は、前記扱胴支軸が挿通する支軸部材取付け穴を備えて当該支軸部材取付け穴で前記扱胴支軸に取り付けられ、かつ、前記支軸部材取付け穴のまわりで前記扱胴支軸に溶接されており、
前記補強板は、前記扱胴支軸が挿通する補強板取付け穴を備えて当該補強板取付け穴で前記扱胴支軸に取り付けられ、かつ、前記補強板取付け穴のまわりで前記扱胴支軸に溶接されている脱穀装置。
【請求項2】
前記曲がり部は、環状に繋がっている請求項1に記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記曲がり部は、前記補強板が備えられている側とは反対側に向けて曲げられている請求項1または2に記載の脱穀装置。
【請求項4】
前記補強板は、前記中間支持部材の前側の側部に備えられている請求項3に記載の脱穀装置。
【請求項5】
前記扱胴支軸の前部に支持され、前記扱室に投入された作物を前記扱胴の後部に向けて掻き込む掻込み部が備えられ、
前記掻込み部に、前記中間支持部材に支持される基台部、前記基台部の外周部から前記基台部の外側に向かって突出する状態で前記外周部に設けられ、作物を前記扱胴の後部に向けて掻き込む螺旋羽根が備えられている請求項1から4のいずれか一項に記載の脱穀装置。
【請求項6】
前記後支持部材に、前記後支持部材の中央部に重ね合わせて溶接された補強板、および、前記補強板よりも扱胴径方向外側において前記後支持部材に形成された曲がり部が備えられている請求項1から5のいずれか一項に記載の脱穀装置。
【請求項7】
前記後支持部材から後向きに突設されて前記扱胴支軸を後方に延長し、前記扱室の後壁に回転可能に支持される延長支軸と、が備えられ、
前記延長支軸は、前記後壁に支持される軸部、前記軸部と前記後支持部材とに連結されて前記軸部を前記後支持部材に取付ける連結部を備え、
前記連結部は、前記軸部との一体形成によって前記軸部に連結され、かつ、前記後支持部材側ほど外径が大きい支持部材側広がりの中空構造に構成されている請求項1から6のいずれか一項に記載の脱穀装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫された作物の全体が投入される扱室と、扱室に回転可能に設けられた扱胴と、が備えられた脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した脱穀装置には、扱胴に、扱室の前後方向に沿う姿勢で扱室に回転可能に設けられる扱胴支軸と、扱胴支軸の軸芯方向での中間部に支持される板状の中間支持部材と、中間支持部材よりも後側において扱胴支軸に支持される後支持部材と、扱胴の周方向に間隔を空けた状態で中間支持部材および後支持部材に支持される複数の棒状の扱歯支持部材と、複数の扱歯支持部材それぞれにおいて、扱歯支持部材から扱胴の径方向外側に向けて突出する状態、かつ、扱胴支軸に沿った方向に間隔を空けた状態で扱歯支持部材に支持された複数の棒状の扱歯と、が備えられたものがある。
【0003】
この種の脱穀装置としては、例えば特許文献1に示されるものがある。特許文献1に示される脱穀装置では、扱胴支軸としての扱胴軸、中支持部材としての前支持板および仕切板、後支持部材としての後支持板、扱歯支持部材としての丸パイプが備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した脱穀装置では、扱歯に掛かる脱穀負荷が棒状の扱歯支持部材に掛かるが、扱室に多量の作物が投入されるなど強い脱穀負荷が扱歯に掛かっても、扱歯支持部材が変形しないようにしっかり支持され、脱穀処理が適切に行われる脱穀装置を要望されている。
【0006】
本発明は、扱歯支持部材の支持構造を簡素に済ませながら、脱穀処理物の引っ掛かりを防止しながら、強い脱穀負荷が扱歯に掛かっても扱歯支持部材の変形を防止できる脱穀装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による脱穀装置は、
収穫された作物の全体が投入される扱室と、前記扱室に回転可能に設けられた扱胴と、が備えられ、前記扱胴に、前記扱室の前後方向に沿う姿勢で前記扱室に回転可能に設けられる扱胴支軸と、前記扱胴支軸の軸芯方向での中間部に支持される板状の中間支持部材と、前記中間支持部材よりも後側において前記扱胴支軸に支持される後支持部材と、前記扱胴の周方向に間隔を空けた状態で前記中間支持部材および前記後支持部材に支持される複数の棒状の扱歯支持部材と、前記複数の扱歯支持部材それぞれにおいて、前記扱歯支持部材から前記扱胴の径方向外側に向けて突出する状態、かつ、前記扱胴支軸に沿った方向に間隔を空けた状態で前記扱歯支持部材に支持された複数の棒状の扱歯と、が備えられ、前記中間支持部材に、前記中間支持部材の中央部に重ね合わせて溶接された補強板、および、前記補強板よりも扱胴径方向外側において前記中間支持部材に形成された曲がり部が備えられており、前記中間支持部材は、前記扱胴支軸が挿通する支軸部材取付け穴を備えて当該支軸部材取付け穴で前記扱胴支軸に取り付けられ、かつ、前記支軸部材取付け穴のまわりで前記扱胴支軸に溶接されており、前記補強板は、前記扱胴支軸が挿通する補強板取付け穴を備えて当該補強板取付け穴で前記扱胴支軸に取り付けられ、かつ、前記補強板取付け穴のまわりで前記扱胴支軸に溶接されている。
【0008】
本構成によると、中間支持部材が補強板および曲がり部によって補強されるので、中間支持部材の剛性をアップでき、扱歯支持部材の支持構造を中間支持部材に補強板および曲がり部を備えるだけの簡素な構造で済ませながら、強い脱穀負荷が扱歯に掛かっても、扱歯支持部材が中間支持部材によってしっかり支持されて扱歯支持部材の変形を防止できる。補強板を中間支持部材に連結する連結手段が溶接なので、扱胴の内部空間に入り込んだ脱穀処理物が連結手段に引っ掛からない。
【0009】
本発明においては、
前記曲がり部は、環状に繋がっていると好適である。
【0010】
本構成によると、曲がり部による中間支持部材の補強が効果的に行われるので、中間支持部材の剛性をよりアップできて扱歯支持部材の変形をよりしっかり防止できる。
【0011】
本発明においては、
前記曲がり部は、前記補強板が備えられている側とは反対側に向けて曲げられていると好適である。
【0012】
曲がり部の曲がり方向が、補強板が位置する側の方向に一致する場合、補強板が曲がり部の内部空間に位置することになるので、補強板を中間支持部材に溶接する作業を行い難い。また、曲がり部の内部空間に位置した脱穀処理物が補強板と中間支持部材との間に詰まり易い。本構成によると、補強板が中間支持部材に対して曲がり部の内部空間が位置する側とは反対側に位置するので、中間支持部材に対する補強板の溶接を行い易い。また、脱穀処理物が内部空間に入っても出易くて、内部空間に脱穀処理物が滞留しない。
【0013】
本発明においては、
前記補強板は、前記中間支持部材の前側の側部に備えられていると好適である。
【0014】
本発明においては、
前記扱胴支軸の前部に支持され、前記扱室に投入された作物を前記扱胴の後部に向けて掻き込む掻込み部が備えられ、前記掻込み部に、前記中間支持部材に支持される基台部、前記基台部の外周部から前記基台部の外側に向かって突出する状態で前記外周部に設けられ、作物を前記扱胴の後部に向けて掻き込む螺旋羽根が備えられていると好適である。
【0015】
本構成によると、基台部が剛性の高い中間支持部材によってしっかり支持されるので、基台部の支持に中間支持部材を活用して基台部の支持構造を簡素化しつつ、螺旋羽根に強い掻き送り負荷が掛かっても、基台部の変形を防止できて作物の掻き送りを的確に行わせられる。
【0016】
本発明においては、
前記後支持部材に、前記後支持部材の中央部に重ね合わせて溶接された補強板、および、前記補強板よりも扱胴径方向外側において前記後支持部材に形成された曲がり部が備えられていると好適である。
【0017】
本構成によると、後支持部材が補強板および曲がり部によって補強されるので、後支持部材の剛性をアップでき、扱歯支持部材が後支持部材によってもしっかり支持される。
【0018】
本発明においては、
前記後支持部材から後向きに突設されて前記扱胴支軸を後方に延長し、前記扱室の後壁に回転可能に支持される延長支軸と、が備えられ、前記延長支軸は、前記後壁に支持される軸部、前記軸部と前記後支持部材とに連結されて前記軸部を前記後支持部材に取付ける連結部を備え、前記連結部は、前記軸部との一体形成によって前記軸部に連結され、かつ、前記後支持部材側ほど外径が大きい支持部材側広がりの中空構造に構成されていると好適である。
【0019】
本構成によると、連結部と軸部とを一体形成によってしっかり連結できるので、連結部の支持部材側広がりによって後支持部材に対する連結部の連結面積が広くなって連結部を後支持部材にしっかり連結できるので、連結部の中空構造によって延長支軸を軽量化できるので、扱胴を延長支軸によって後壁に支持させるものでありながら、扱胴の支持構造を軽量化しつつ扱胴を後壁にしっかり支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図8】
図3のVIII-VIII断面矢視図である。
【
図12】第1領域および第2領域の隙間が縮小側に調節されたチャフシーブおよび隙間調節機構を示す側面図である。
【
図13】第1領域および第2領域の隙間が拡大側に調節されたチャフシーブおよび隙間調節機構を示す側面図である。
【
図14】扱胴の後部の支持構造を示す断面図である。
【
図15】別の実施形態を備える揺動選別装置を有する脱穀装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、コンバインの走行機体に関し、
図1に示される矢印Fの方向を「機体前方」、矢印Bの方向を「機体後方」、矢印Uの方向を「機体上方」、矢印Dの方向を「機体下方」、紙面表側の方向を「機体左方」、紙面裏側の方向を「機体右方」とする。
【0022】
〔コンバインの全体について〕
図1に示されるように、コンバインは、角パイプ材などの複数の鋼材を連結して構成された機体フレーム1を有し、かつ、機体フレーム1の下部に備えられた左右一対のクローラ式走行装置2を有する走行機体3を備えている。走行機体3の前部に、運転部4および刈取搬送部5が設けられている。運転部4には、運転座席4aが備えられている。運転座席4aの下方に、エンジン6が設けられている。刈取搬送部5には、刈取搬送部5の前部に設けられ、作業走行時に水稲や麦などの作物をバリカン型の刈取装置7によって刈り取って収穫する刈取部5Aと、刈取部5Aの後部から後向きに延ばされ、刈取部5Aによって収穫された作物を後方に向けて搬送するフィーダ8と、が備えられている。刈取搬送部5は、機体左右向きの連結軸芯Pを揺動支点にした揺動昇降が可能な状態で設けられ、機体フレーム1とフィーダ8とに連結された昇降シリンダ9の伸縮作動によって昇降操作される。機体フレーム1の後部に、フィーダ8が搬送してきた作物を受け入れて脱穀処理し、脱穀処理後の処理物に選別処理を施す脱穀装置10と、脱穀装置10によって得られた穀粒を回収して貯留する穀粒タンク11とが設けられている。脱穀装置10と穀粒タンク11とは、横並び状態で設けられている。穀粒タンク11の後部に、穀粒タンク11から穀粒を排出する穀粒排出装置12が接続されている。
【0023】
〔脱穀装置の構成について〕
脱穀装置10及び扱胴13の説明にあたり、脱穀装置10及び扱胴13の処理始端側[穀稈投入側(
図2の紙面左側)]を「前」とし、脱穀装置10及び扱胴13の処理終端側[穀稈排出側(
図2の紙面右側)]を「後」とする。
【0024】
図2に示されるように、脱穀装置10には、フィーダ8が搬送してきた作物としての刈取り穀稈を脱穀処理物として、この脱穀処理物に脱穀処理を施す脱穀部10Aと、脱穀処理後の処理物に選別処理を施す選別部10Bと、が備えられている。脱穀装置10において、脱穀部10Aにおける脱穀処理方向が走行機体3の前後方向と一致し、脱穀処理方向の上手側が走行機体3の前側に位置するように設定してある。
【0025】
図2に示されるように、脱穀部10Aには、脱穀装置10の上部に形成された扱室14が備えられている。扱室14には、扱胴13が設けられている。扱胴13は、扱胴支軸25を回転中心にして、正面視右回り方向に回転駆動される。扱室14の前下部に、脱穀処理物の扱室14への投入を可能にする供給口16が形成されている。扱室14の後下部に、脱穀排塵の扱室外への排出を可能にする排塵口17が形成されている。扱胴13の周囲のうちの扱胴13の下方の領域に受網18が備えられている。
【0026】
扱室14は、扱胴13を支持する前壁19と後壁20、扱胴13の上方に設けられた天板21、及び受網18などによって区画形成されている。天板21の内側に扱室14の前後方向に並ぶ複数の送塵弁22が設けられている。扱胴13は、
図2に示されるように、扱胴13の前部に設けられた掻込み部13Aと、扱胴13のうち、掻込み部13Aの後側の部位に設けられた扱き処理部13Bとを備えている。扱き処理部13Bは、掻込み部13Aの後部に接続されている。
【0027】
脱穀部10Aにおいては、フィーダ8によって供給口16から扱室14に投入された刈取り穀稈の株元から穂先までの全体が脱穀処理物として掻込み部13Aによって扱胴13の後部に向けて掻き込まれて扱き処理部13Bと受網18とによって脱穀処理される。脱穀処理される脱穀処理物は、回転する扱き処理部13Bによって回動力を付与されて送塵弁22に当り、送塵弁22によって扱室14の後方に向けて流れるように案内される。脱穀処理物は、扱き処理部13Bによって扱室14の後方に向けて移送されつつ脱穀処理される。脱穀処理によって得た穀粒が受網18から漏下する。脱穀処理によって発生した脱穀排稈や切れワラなどが排塵口17から扱室14の外部へ排出される。
【0028】
〔扱胴の構成について〕
扱胴13は、
図2に示されるように、扱室14の前後方向に沿う姿勢で扱室14に設けられ、扱胴軸芯Yを回転中心として回転駆動される扱胴支軸25と、扱胴支軸25の前部に支持される掻込み部13Aと、扱胴支軸25のうち、掻込み部13Aよりも後側の部分に支持される扱き処理部13Bとを備えている。扱き処理部13Bは、掻込み部13Aの後部に接続する状態で備えられている。
【0029】
〔掻込み部の構成について〕
掻込み部13Aには、
図2,3に示されるように、扱胴支軸25の前部に支持される前支持部材26、および、扱胴支軸25の中間部の前後2箇所に支持される板状の中間支持部材27のうちの前の中間支持部材27aが備えられている。前支持部材26の外周部と中間支持部材27aの外周部とに亘って基台部28が連結されている。基台部28は、前支持部材26および中間支持部材27aを介して扱胴支軸25に支持される。基台部28の外周部に螺旋羽根29が設けられている。螺旋羽根29は、基台部28の外周部から基台部28の外側に突出する状態で設けられている。2つの螺旋羽根29が基台部28の周方向に間隔を空けて並ぶ2重螺旋の状態で設けられている。本実施形態では、基台部28は、扱胴13の前端側ほど小径である前側細り状態に構成されている。具体的には、基台部28は、円錐台状に巻かれた板金部材によって構成されている。
【0030】
掻込み部13Aにおいては、基台部28が前支持部材26及び中間支持部材27aを介して扱胴支軸25によって駆動されて、2つの螺旋羽根29が扱胴軸芯Yを回転中心にして回転駆動される。フィーダ8によって供給口16から扱室14に投入された刈取穀稈の株元から穂先までの全体が回転する螺旋羽根29によって案内底板30(
図2参照)に沿わせて扱胴13の後部に向けて掻き込まれる。
【0031】
〔扱き処理部の構成について〕
扱き処理部13Bは、
図2,3に示されるように、扱胴支軸25の中間部の前後2箇所に支持される板状の中間支持部材27、2箇所の中間支持部材27のうちの後の中間支持部材27bよりも後側において扱胴支軸25に支持される板状の後支持部材31を備えている。2箇所の中間支持部材27および後支持部材31に亘り、扱胴支軸25に沿った状態の複数の棒状の扱歯支持部材32が支持されている。複数の扱歯支持部材32は、扱胴13の周方向に間隔を空けた状態で支持されている。複数の扱歯支持部材32それぞれに、複数の棒状の扱歯33が備えられている。各扱歯支持部材32の複数の扱歯33は、扱胴支軸25に沿った方向に間隔を空けた状態、かつ、扱歯支持部材32から扱胴13の径方向外側に向けて突出する状態で備えられている。
【0032】
本実施形態では、扱歯支持部材32が6本設けられているが、5本以下あるいは7本以上設けてもよい。本実施形態では、扱歯支持部材32は、丸パイプ鋼材によって構成されている。扱歯支持部材32には、丸パイプ鋼材の他、丸鋼材、角棒鋼材、角パイプ鋼材などの各種の棒状部材を採用することができる。また、扱歯支持部材32には、アングル材やチャンネル材も採用可能である。本実施形態では、各扱歯33は、丸鋼材によって構成されている。扱歯33には、丸鋼材の他、角棒鋼材、丸パイプ材、各パイプ材など各種の棒状部材を採用することができる。
【0033】
扱胴13は、扱歯支持部材32どうしの間の空間を介して扱室14に連通する内部空間S1(
図2参照)を内部に形成した籠状に構成し、かつ、扱胴13の外周面から扱胴径方向外側に向けて突出する複数の扱歯33を扱胴13の周方向及び処理方向に間隔を空けて整列した状態で備えるように構成し、いわゆるバー形の扱胴に構成してある。
【0034】
従って、扱胴13は、処理方向の扱胴支軸25を回転中心として回転することにより、掻込み部13Aからの脱穀処理物を、扱き処理部13Bと受網18との間に導入する。扱胴13は、受網18との間の扱き処理空間S2(
図2参照)に位置する脱穀処理物に扱歯支持部材32及び扱歯33による打撃や扱歯33の梳き込みなどによる脱穀処理を施し、この脱穀処理で得た処理物の内部空間S1への入り込みを許容し、扱き処理空間S2の処理物と内部空間S1の処理物とを撹拌しながら、これらの処理物に扱歯支持部材32及び扱歯33の打撃や扱歯33の梳き込みなどによる脱穀処理を施す。
【0035】
〔扱歯支持部材の支持について〕
各扱歯支持部材32の前の中間支持部材27aへの支持は、
図4,7に示されるように、扱歯支持部材32の前端部に備えられた連結ブラケット34を前の中間支持部材27aの後側の側部に当て付けて連結ボルトによって中間支持部材27aに締め付け連結することによって行われる。連結ブラケット34は、中間支持部材27aに2本の連結ボルトによって連結される。連結ブラケット34は、扱歯支持部材32に溶接されている。各扱歯支持部材32の後の中間支持部材27bへの支持は、
図5,8に示されるように、扱歯支持部材32の途中箇所に備えられた連結ブラケット35を後の中間支持部材27bに連結ボルトによって締め付け連結することによって行われる。連結ブラケット35は、中間支持部材27bに1本の連結ボルトによって連結される。連結ブラケット35は、扱歯支持部材32に溶接されている。各扱歯支持部材32の後支持部材31への支持は、
図6,9に示されるように、扱歯支持部材32の後端部に備えられた連結ブラケット36を後支持部材31の前側の側部に当て付けて連結ボルトによって後支持部材31に締め付け連結することによって行われる。連結ブラケット36は、後支持部材31に2本の連結ボルトによって連結される。連結ブラケット36は、扱歯支持部材32に溶接されている。
【0036】
〔中間支持部材および後支持部材の構成について〕
前後2箇所の中間支持部材27および後支持部材31の扱胴支軸25に対する連結は、溶接によって行われる。
図3,4,5に示されるように、前後2箇所の中間支持部材27には、中間支持部材27の中央部における側部に溶接された補強板37、および、中間支持部材27のうち補強板37よりも扱胴径方向外側の部位に形成された曲がり部38が備えられている。補強板37は、扱胴支軸25にも溶接されている。各中間支持部材27は、補強板37および曲がり部38によって補強されている。
図7,8に示されるように、各中間支持部材27の曲がり部38は、環状に繋がった状態で形成されている。各中間支持部材27は、円板状に構成されている。
【0037】
〔扱胴を支持する構成について〕
扱胴13の前壁19への支持は、
図4に示されるように、扱胴支軸25の前端部に備えられた入力部材39をベアリング40およびベアリングホルダー41を介して前壁19に連結することによって行われる。入力部材39は、前支持部材26が連結されるように扱胴支軸25に備えられたフランジ部25aに連結されている。入力部材39は、脱穀装置10の前外側に位置する扱胴駆動機構42(
図2参照)に備えられ扱胴駆動軸42aが挿入され、扱胴駆動軸42aの動力を扱胴支軸25に伝達するように構成されている。
【0038】
扱胴13の後壁20への支持は、
図6に示されるように、扱胴支軸25を後方に延長する延長支軸43が後支持部材31から後向きに突設され、延長支軸43をベアリング44およびベアリングケース45を介して後壁20に連結することよって行われる。
【0039】
延長支軸43は、
図6に示されるように、ベアリング44に内嵌されることによって後壁20に支持される軸部43aと、軸部43aと後支持部材31とに連結されて軸部43aを後支持部材31に取付ける連結部43bと、を備えている。
【0040】
図6に示されるように、連結部43bは、軸部43aとの一体成形によって軸部43aに連結されている。連結部43bは、後支持部材側ほど外径が大きい支持部材側広がりの中空構造に構成されている。連結部43bは、連結部43bの支持部材側の端部に形成されたフランジ部43cを備え、フランジ部43cが連結ボルト46によって後支持部材31に締め付け連結されることによって後支持部材31に連結されるように構成されている。
【0041】
〔選別部の構成について〕
図2に示されるように、選別部10Bには、受網18の下方に設けられた揺動選別装置50、および、揺動選別装置50の前下方に設けられた唐箕60が備えられている。揺動選別装置50は、揺動選別装置50の後部に連結された駆動機構52によって前端側を揺動支点にして後端側が上下に揺動するように揺動駆動される。
【0042】
選別部10Bにおいては、受網18の処理物漏下孔から漏下した穀粒、ワラ屑などの選別処理物が揺動選別装置50によって受け止められ、受け止められた選別処理物が揺動選別装置50によって選別部10Bの後部に向けて搬送しながらふるい選別され、かつ、唐箕60が供給する選別風によって風選別されて、1番処理物(単粒化した穀粒)と、2番処理物(単粒化していない穀粒)と、3番処理物(ワラ屑などの塵埃)とに選別される。
【0043】
〔揺動選別装置の構成について〕
図2、10に示されるように、揺動選別装置50は、駆動機構52によって揺動操作されるシーブケース51を備えている。シーブケース51は、左右の側板51aを備えている。
【0044】
図2,10に示されるように、シーブケース51の左右の側板51aの間において、シーブケース51の前端部からグレンパン53が後方に向けて延ばされている。グレンパン53の後下方に、チャフシーブ55が設けられている。チャフシーブ55は、チャフシーブ55の前後方向に間隔を空けた状態で並列された複数のチャフリップ板55aを有している。チャフシーブ55の後方にストローラック56が設けられている。チャフシーブ55の前部の下方に、第2グレンパン57が設けられ、第2グレンパン57よりも後側に、グレンシーブ57aが設けられている。
【0045】
受網18の前部から漏下し選別処理物がグレンパン53によって受け止められ、グレンパン53によって後方に向けて搬送されながらふるい選別される。グレンパン53から後方に落下した選別処理物、および受網18の中間部から漏下した選別処理物がチャフシーブ55によって受け止められ、チャフシーブ55によって後方に向けて搬送されながらチャフシーブ55によるふるい選別、および唐箕60からの選別風による風選別によって穀粒と塵埃とに選別処理される。チャフシーブ55によって選別された穀粒などの処理物がチャフリップ板同士の間の隙間55bから漏下する。チャフシーブ55から漏下した穀粒などの処理物が第2グレンパン57およびグレンシーブ57aによって受け止められ、第2グレンパン57およびグレンシーブ57aによって後方に向けて搬送されながら、第2グレンパン57およびグレンシーブ57aによるふるい選別、および唐箕60からの選別風による風選別によって穀粒と塵埃とに選別処理される。チャフシーブ55から後方に排出された塵埃などの処理物がストローラック56によって受け止められ、ストローラック56によって脱穀装置10の後部に位置する排出部に向けて搬送されながら、ストローラック56による選別および唐箕60からの選別風によって穀粒と塵埃とに選別処理される。ストローラック56によって選別された3番処理物(塵埃)は、脱穀装置10の外部に排出される。
【0046】
図2,10に示されるように、唐箕60の後方における揺動選別装置50の下方に、脱穀装置10の横幅方向に延びる1番スクリューコンベヤ64が設けられ、1番スクリューコンベヤ64よりも後側に、脱穀装置10の横幅方向に延びる2番スクリューコンベヤ65が設けられている。1番スクリューコンベヤ64と2番スクリューコンベヤ65との間に、処理物案内部材67が設けられている。処理物案内部材67は、1番スクリューコンベヤ64に向かう前下がり傾斜の第1案内部67a、第1案内部67aの頂部67tから2番スクリューコンベヤ65に向かって後下がり傾斜で延びる第2案内部67bを有している。2番スクリューコンベヤ65の後側に、2番スクリューコンベヤ65に向かう前下がり傾斜の2番案内部材71が設けられている。シーブケース51の後下部に、2番スクリューコンベヤ65に向かう前下がり傾斜の2番流下案内部72が設けられている。2番流下案内部72は、上流側案内部72bと下流側案内部72aとを備えている。
図10に示されるように、2番流下案内部72は、下流側案内部72aの前下がり角度bが上流側案内部72bの前下がり角度aよりも急角度であるように構成されている。
【0047】
揺動選別装置50によって選別された1番処理物(単粒化した穀粒)がシーブケース51の下部から第1案内部67aに向けて延ばされ、遊端側が第1案内部67aに載っている1番流下案内シート68、および第1案内部67aによって1番スクリューコンベヤ64に流下案内されて1番スクリューコンベヤ64に回収される。回収された穀粒は、1番スクリューコンベヤ64によって揺動選別装置50の横幅方向に沿う方向に脱穀装置10の穀粒タンク側の横外側に搬送され、1番スクリューコンベヤ64に接続された揚穀装置66によって穀粒タンク11に搬送される。
【0048】
チャフシーブ55の後部から漏下した2番処理物(単粒化していない穀粒)が、シーブケース51の下部から第2案内部67bに向けて延ばされた2番シュート70、および、第2案内部67bによって2番スクリューコンベヤ65に流下案内されて2番スクリューコンベヤ65に回収される。ストローラック56から漏下した2番処理物が2番流下案内部72に落下し、2番流下案内部72によって2番スクリューコンベヤ65に流下案内されて2番スクリューコンベヤ65に回収される。2番スクリューコンベヤ65に回収された2番処理物は、2番スクリューコンベヤ65によって揺動選別装置50の横幅方向に沿う方向に脱穀装置10の穀粒タンク側の横外側に搬送され、2番スクリューコンベヤ65に接続された還元装置69によって揺動選別装置50の始端部に還元される。2番処理物が2番流下案内部72によって流下案内される際、下流側案内部72aと上流側案内部72bの前下がり角度の相違によって下流側案内部72aと上流側案内部72bの境界に形成される段差部によるふるい選別を受ける。
【0049】
図10に示されるように、シーブケース51の底部のうち、グレンパン53の下方かつチャフシーブ55よりも前側の箇所に、唐箕60からの選別風をシーブケース51の内部に受け入れる入口部58が形成されている。入口部58は、第2グレンパン57よりも前側に位置している。唐箕60からの選別風は、第1案内部材61によって案内されて入口部58に向かって流れる。
【0050】
図10に示されるように、シーブケース51の内部におけるグレンパン53の下方かつチャフシーブ55よりも前側の領域に、入口部58から吹き込んだ選別風をグレンパン53とチャフシーブ55の前部との間に向かわせる風路59が案内部材59aaによって形成されている。風路59は、風路59を流れる選別風に案内作用する風向部材が無いように構成されている。風路59に風向部材が無いとは、側板51aに位置するボルトや補強部材が存在しても、これらは、風向き部材に相当せず、風路59には、なにも設けられていないことである。グレンパン53からチャフシーブ55に向けて落下する選別処理物に選別風が的確に当たる。
【0051】
案内部材59aは、風路59の前方に位置し、入口部58から吹き込んだ選別風が案内部材59aによって後上向きに向かわせられる。選別風がグレンパン53の後端部とチャフシーブ55の前端部との間から上に抜け出過ぎないで後向きに流れる選別風が発生する。
【0052】
案内部材59aは、入口部58から吹き込んだ選別風をチャフシーブ55の前端部に向かわせ、チャフシーブ55のチャフリップ板55aのうちの最前のチャフリップ板55afによってチャフシーブ55上方とチャフシーブ55の下方とに分流させるように構成されている。チャフシーブ55から漏下した処理物塵埃がチャフシーブの下方を流れる選別風によって後向きに流されるので、
【0053】
唐箕60が供給する選別風が第2グレンパン57の可能に設けられた第2案内部材62によって案内されてシーブケース51の後部に向けて流れ、グレンシーブ57aを下方から上方に通り、さらにチャフシーブ55を下方から上方に通ってシーブケース51の上方に抜けるように構成されている。唐箕60が供給する選別風が唐箕60の送風口を形成する底板63によって案内されてシーブケース51の後部に向けて流れ、ストローラック56を下方から上方に通ってシーブケース51の上方に抜けるように構成されている。
【0054】
〔チャフシーブの構成について〕
図10に示されるように、チャフシーブ55は、シーブケース51の前後方向に間隔を空けて並ぶ複数のチャフリップ板55aを備え、処理物をチャフリップ板55aによってふるい選別し、選別した1番処理物などの処理物をチャフリップ板55a同士の間の隙間55bから漏下させる。
【0055】
チャフシーブ55は、
図10に示されるように、前部におけるチャフリップ板55a同士の間の隙間55dが後部におけるチャフリップ板55a同士の間の隙間55dよりも狭くなるように構成されている。チャフシーブ55の前部に、チャフリップ板55a同士の間の隙間55dが狭い第1領域A1が備えられ、チャフシーブ55の後部に、チャフリップ板55a同士の間の隙間55dが広い第2領域A2が備えられている。
【0056】
チャフシーブ55は、
図10に示されるように、第1領域A1と第2領域A2との境界55Kがチャフシーブ55の前後方向での中心55Cよりも前側に位置するように構成されている。チャフシーブ55の前後長さは、最前の隙間55bの前端から最後の隙間55bの後端までの長さである。第2領域A2には、塵埃を多く含む選別処理物が位置し、塵埃を多く含む選別処理物が、前後長さが第1領域A1よりも長い第2領域A2によってしっかり選別処理される。
【0057】
図10に示されるように、第1領域A1が受網18の前後方向での中心18Cに対応する位置よりも後まで延ばされている。受網18の前部から漏下する多量の選別処理物が第1領域A1によって受け止められて選別処理される。
【0058】
図10に示されるように、第2領域A2が2番スクリューコンベヤ65の軸芯Xに対応する位置XTよりも後側まで延ばされている。塵埃を多く含む状状態で第2領域A2に位置する処理物が2番スクリューコンベヤ65の軸芯よりも後側まで搬送されつつ選別処理される。
【0059】
図10に示されるように、第1領域A1と第2領域A2との境界55Kが処理物案内部材67における第1案内部67aの頂部67tに対応する位置よりも前側に位置している。第2領域A2の前部から漏下した1番処理物が第1案内部67aに落下し、第1案内部67aによって1番スクリューコンベヤ64に流下案内される。
【0060】
チャフシーブ55に隙間調節機構75が備えられ、第1領域A1における隙間55bおよび第2領域A2における隙間55bを調節できるように構成されている。隙間調節機構75は、具体的には、次の如く構成されている。
【0061】
以下において、第1領域A1のチャフリップ板55aを第1チャフリップ板55aと呼称し、第2領域A2のチャフリップ板55aを第2チャフリップ板55aと呼称して説明する。
【0062】
図11に示されるように、第1チャフリップ板55aおよび第2チャフリップ板55aの上部を回動可能に支持する支持部材82が側板51aに支持されている。第1チャフリップ板55aおよび第2チャフリップ板55aは、上部に位置する枢支点を回動支点にして側板51aに対して回動可能に構成されている。
【0063】
隙間調節機構75は、
図11,12に示されるように、側板51aの内側において第1チャフリップ板55aおよび第1チャフリップ板55aの下部を連動連結するリンク部材76、側板51aの外側に人為操作可能に設けられた調節部材77を備えている。調節部材77に、調節部材77の揺動案内を行うガイド機構78、および、調節部材77の操作位置での位置決めを行う位置決め機構79が備えられている。
【0064】
リンク部材76は、第1チャフリップ板55aおよび第2チャフリップ板55aの下部に枢支され、側板51aに対して前後方向に移動操作されることにより、第1チャフリップ板55aおよび第2チャフリップ板55aを前後方向に揺動操作することが可能になっている。
【0065】
調節部材77は、第1領域A1と第2領域A2との境界55Kに位置するチャフリップ板55akを側板51aに枢支している支軸80に側板51aの外部において連結され、境界55Kに位置するチャフリップ板55akに連動連結されている。
【0066】
隙間調節機構75においては、
図12,13に示されるように、調節部材77が支軸80を揺動支点にして、ガイド機構78によって案内されて揺動操作されると、支軸80が回転操作されて境界55Kのチャフリップ板55akが側板51aに対して揺動操作されてリンク部材76がチャフリップ板55akによって前後方向に移動操作され、チャフリップ板55akの揺動方向と同じ揺動方向に第1チャフリップ板55aおよび第2チャフリップ板55aが揺動操作され、第1チャフリップ板55a同士の間の隙間55bおよび第2チャフリップ板55a同士の間の隙間55bが調節される。すなわち、第1領域A1の隙間55bおよび第2領域A2の隙間55bが拡大側や縮小側に変更される。第1領域A1の隙間55bおよび第2領域A2の隙間55bが調節された後においても、第1領域A1の隙間55bが第2領域A2の隙間55bよりも狭くなっている。
【0067】
ガイド機構78は、
図12に締められるように、側板51aに設けられた円弧状のガイド溝78a、ガイド溝78aにスライド可能に係入された状態で調節部材77に備えられてガイドピン78bを備えている。ガイドピン78bは、境界55Kに位置するチャフリップ板55aKをリンク部材76に連結するチャフリップ板55aKの支軸によって構成されている。
【0068】
位置決め機構79は、
図11に示されるように、調節部材77に設けられた複数のボルト孔79a、および、側板51aに設けられた複数のネジ穴79bを備えている。
【0069】
位置決め機構79においては、
図12,13に示されるように、調節部材77の操作位置に対応する一つのボルト孔79aと、調節部材77の操作位置に対応する一つのネジ穴79bとに位置決めボルト81が装着されることにより、調節部材77が位置決めボルト81によって側板51aに連結されて調節部材77の操作位置での位置決めが行われる。
位置決めボルト81がネジ穴79bから抜き出されることにより、位置決めボルト81による調節部材77の側板51aに対する連結が解除されて調節部材77の位置決めが解除される。
【0070】
〔別実施形態〕
(1)
図14は、別の実施形態を備える扱胴13の後部、および別実施形態を備える扱胴後部の支持構造を示す断面図である。
【0071】
別の実施形態を示す扱胴13では、後支持部材31に、後支持部材31の中央部に重ね合わせて溶接された補強板37が備えられている。後支持部材31のうち、補強板37よりも扱胴径方向外側の部位に、曲がり部38が形成されている。曲がり部38は、環状に繋がる状態で形成されている。扱胴支軸25の後部に、補強筒48が外嵌されている。
【0072】
別の実施形態を備える扱胴後部の支持構造では、扱胴支軸25の後部に、扱胴支軸25から後向き突出する延長支軸47備えられ、延長支軸47がベアリング44およびベアリングケース45を介して後壁20に支持されている。
【0073】
(2)
図15は、別の実施形態を備える揺動選別装置を有する脱穀装置を示す断面図である。
別の実施形態を備える揺動選別装置90では、シーブケース51の前後長さが
図2,10に示される揺動選別装置50のシーブケース51の前後長さと同じにされている。グレンパン53とチャフシーブ55との間に第3グレンパン91が設けられている。第3グレンパン91の前部の下方かつ第2グレンパン57の前部の上方の領域に、風向部材49が設けられている。風向部材49は、唐箕60から入口部58を介してシーブケース51の内部に吹き込んだ選別風を第1グレンパン53の後部と第3グレンパン91の前部との間に向かわせるように、かつ、第2グレンパン57の上方に向かわせるように構成されている。チャフシーブ55は、チャフリップ板55a同士の間の隙間55bがチャフシーブ55の全長にわたって同一であるように構成されている。
【0074】
(3)上記した実施形態では、曲がり部38が環状に繋がる状態で形成されているが、環状に繋がらず、中間支持部材27あるいは後支持部材31の周方向に間欠的に並ぶものであってもよい。
【0075】
(4)上記した実施形態では、前の中間支持部材27と後支持部材31との間に一つの中間支持部材27を設けた例を示したが、これに限らない。前の中間支持部材27と後支持部材31との間に別の中間支持部材が無いもの、あるいは、前の中間支持部材27と後支持部材31との間に二つ以上の中間支持部材を設けたものであってもよい。
【0076】
(5)上記した実施形態では、中間支持部材27の前側の側部に溶接された補強板37、後側に向けて曲げられた曲がり部38を備えた例を示したが、これに限らない。たとえば、中間支持部材27の前側の側部に溶接された補強板37、前側に向けて曲げられた曲がり部38を備えたもの、あるいは、中間支持部材27の後側の側部に溶接された補強板37、前側に向けて曲げられた曲がり部38を備えたもの、あるいは、中間支持部材27の後側の側部に溶接された補強板37、後側に向けて曲げられた曲がり部38を備えたものでもよい。
【0077】
(6)上記した実施形態では、延長支軸43,47軸が備えられた例を示したが、延長支軸43,47を備えず、扱胴支軸25が直接に後壁20に支持されるものであってもよい。
【0078】
(7)上記した実施形態では、補強板37および曲がり部38を備えない後支持部材31と延長支軸43とを備える扱胴13、補強板37および曲がり部38を備える後支持部材31と延長支軸47とを備える扱胴13を採用した例を示したが、これに限らない。補強板37および曲がり部38を備えない後支持部材31と延長支軸47とを備える扱胴13、あるいは、補強板37および曲がり部38を備える後支持部材31と延長支軸43とを備える扱胴13の採用が可能である。
【0079】
(8)上記した実施形態では、掻込み部13Aが備えられた例を示したが、掻込み部13Aを備えないものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、収穫された作物の全体が投入される扱室と、扱室に回転可能に設けられた扱胴と、が備えられた脱穀装置に適用できる。
【符号の説明】
【0081】
13 扱胴
13A 掻込み部
14 扱室
25 扱胴支軸
27 中間支持部材
28 基台部
29 螺旋羽根
31 後支持部材
32 扱歯支持部材
33 扱歯
37 補強板
38 曲がり部
43 延長支軸
43a 軸部
43b 連結部