(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】圃場の水管理装置、圃場の水管理システム
(51)【国際特許分類】
A01G 25/00 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
A01G25/00 501D
(21)【出願番号】P 2020214100
(22)【出願日】2020-12-23
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森田 仁
(72)【発明者】
【氏名】藤本 好宏
(72)【発明者】
【氏名】末吉 康則
(72)【発明者】
【氏名】陳 巨壹
(72)【発明者】
【氏名】三木 一浩
(72)【発明者】
【氏名】武内 利樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 雅司
(72)【発明者】
【氏名】山森 直毅
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-099217(JP,A)
【文献】特開2018-121556(JP,A)
【文献】特開2020-103285(JP,A)
【文献】特開2019-180400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に水を供給する給水動作及び前記圃場の水を排出する排水動作のいずれかを行うアクチュエータと、
前記圃場を監視する監視装置と、
前記アクチュエータ若しくは前記監視装置の制御に関する制御情報、又は前記監視装置の監視結果を示す監視情報を送受信する通信装置と、
前記アクチュエータ、前記監視装置、及び前記通信装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記制御情報及び前記監視情報を送受信可能な携帯端末の位置を示した位置情報に基づいて、
前記携帯端末が近づいていることが検出された場合、前記近づいていることが検出されない場合よりも、前記通信装置により前記制御情報又は前記監視情報の送受信を行う通信周期を
短く変更する圃場の水管理装置。
【請求項2】
電源である電池を備え、
前記制御装置は、前記携帯端末の位置情報に基づいて、
前記携帯端末が当該水管理装置及び前記圃場のいずれかに近づいていることが検出されない場合、前記通信装置による前記通信周期を所定の第1周期
に切り替え、
前記近づいていることが検出された場合、前記通信装置による前記通信周期を前記第1周期より短い所定の第2周
期に切り替える請求項1に記載の圃場の水管理装置。
【請求項3】
圃場に水を供給する給水動作及び前記圃場の水を排出する排水動作のいずれかを行うアクチュエータと、
前記圃場を監視する監視装置と、
前記アクチュエータ若しくは前記監視装置の制御に関する制御情報、又は前記監視装置の監視結果を示す監視情報を送受信する通信装置と、
前記アクチュエータ、前記監視装置、及び前記通信装置を制御する制御装置と、
電源である電池と、
前記
制御情報及び前記監視情報を送受信可能な携帯端末の
位置を示した位置情報に基づいて前記携帯端末までの距離を演算する距離演算部
と、を備え、
前記制御装置は、
前記携帯端末の位置情報に基づいて、前記通信装置により前記制御情報又は前記監視情報の送受信を行う通信周期を変更するため、
前記距離演算部により演算された前記携帯端末までの距離が所定の前記閾値以上である場合、前記通信装置による前記通信周期を
所定の第1周期に切り替え、
前記携帯端末までの距離が閾値未満である場合、前記通信装置による前記通信周期を前記
第1周期より短い所定の第2周期に切り替え
る圃場の水管理装置。
【請求項4】
前記距離演算部は、当該水管理装置の位置を示した管理位置情報と、前記携帯端末の位置情報とに基づいて、前記携帯端末までの距離を演算する請求項3に記載の圃場の水管理装置。
【請求項5】
圃場に水を供給する給水動作及び前記圃場の水を排出する排水動作のいずれかを行うアクチュエータと、
前記圃場を監視する監視装置と、
前記アクチュエータ若しくは前記監視装置の制御に関する制御情報、又は前記監視装置の監視結果を示す監視情報を送受信する通信装置と、
前記アクチュエータ、前記監視装置、及び前記通信装置を制御する制御装置と、
電源である電池と、
前記
制御情報及び前記監視情報を送受信可能な携帯端末の
位置を示した位置情報に基づいて前記携帯端末の移動状態を検出する移動検出部
と、を備え、
前記制御装置は、
前記携帯端末の位置情報に基づいて、前記通信装置により前記制御情報又は前記監視情報の送受信を行う通信周期を変更するため、
前記移動検出部により前記携帯端末が近づいていることが検出された場合、前記通信装置による前記通信周期を
所定の第1周期より短い所定の第2周期に切り替え、
前記移動検出部により前記携帯端末が近づいていないことが検出された場合、前記通信装置による前記通信周期を前記第1周期に切り替え
る圃場の水管理装置。
【請求項6】
前記移動検出部は、異なるタイミングで取得した前記携帯端末の複数の位置情報に基づいて、前記携帯端末の移動状態を検出する請求項5に記載の圃場の水管理装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記携帯端末の位置情報に基づいて、
前記携帯端末が近づいていることが検出された場合、前記近づいていることが検出されない場合よりも、前記監視装置により前記圃場を監視する監視周期を
短く変更する請求項1~6のいずれか1項に記載の圃場の水管理装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記通信装置による前記通信周期と同期して、前記監視装置による前記監視周期を変更する請求項7に記載の圃場の水管理装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の圃場の水管理装置と、
当該水管理装置が有するアクチュエータ若しくは監視装置の制御に関する制御情報、又は前記監視装置の監視結果を示す監視情報を送受信可能な携帯端末と、を含んだ圃場の水管理システム。
【請求項10】
前記水管理装置及び前記携帯端末に対して前記制御情報及び前記監視情報を送受信可能な支援装置を含んだ請求項9に記載の圃場の水管理システム。
【請求項11】
前記水管理装置及び前記携帯端末に対して前記制御情報及び前記監視情報を送受信可能な支援装置を含み、
前記携帯端末の位置情報に基づいて前記水管理装置又は前記圃場から前記携帯端末まで
の距離を演算する
前記距離演算部を、前記水管理装置に代えて、前記支援装置に備えた
請求項3を引用する請求項
9に記載の圃場の水管理システム。
【請求項12】
前記水管理装置及び前記携帯端末に対して前記制御情報及び前記監視情報を送受信可能な支援装置を含み、
前記携帯端末の位置情報に基づいて前記携帯端末の移動状態を検出する
前記移動検出部を、前記水管理装置に代えて、前記支援装置に備えた
請求項5を引用する請求項
9に記載の圃場の水管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の水管理を行う圃場の水管理装置及び圃場の水管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された圃場の水管理システムが知られている。本水管理システムでは、水栓装置は、圃場管理サーバから受信した制御情報に基づいて栓部を開閉させて、圃場に対して給水又は排水する。また、水栓装置は、圃場の水位情報を水位センサから受信して圃場管理サーバに送信する。さらに、水栓装置は、近傍にある携帯端末の位置情報を携帯端末から受信して、当該位置情報を自身の位置情報とみなして記憶したり管理サーバに送信したりする。圃場管理サーバは、水栓装置による圃場の給排水状態や水位や作物等の監視情報を管理する。携帯端末は、当該監視情報を圃場管理サーバから受信して表示部に表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圃場に作付けした作物の品種や作付け日等に基づいて、圃場の水管理のスケジュールを決定し、当該スケジュールに従って水管理装置により圃場に対して給水や排水を行うことは可能である。然るに、気温や降水量等の気候変動により、作物の生育状況は変わるため、実際には、作業者が圃場に行って、作物の生育状況や圃場の水位等を目視により確認し、圃場の水管理のスケジュールを調整している。
【0005】
作業者が圃場を見回る際に、例えば水管理装置による給排水状態やセンサ等による圃場の監視結果を、携帯端末で確認したいという要望がある。しかし、例えば省電力化のため、水管理装置の通信周期が長く設定されている場合、圃場の給排水状態や監視結果等を携帯端末により取得しようとしたり、水管理装置を携帯端末により操作しようとしたりしても、水管理装置の反応が遅く、見回り効率が悪くなってしまう。逆に、水管理装置の通信周期が短く設定されている場合、水管理装置の消費電力が大きくなってしまう。そして、水管理装置が内蔵する電池の電力で駆動する構成にあれば、通信による消費電力が大きくなることで、給排水等の他の機能の稼働時間が短くなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、圃場の水管理装置の消費電力を低減し且つ圃場の見回り作業を効率良く行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
本発明の一態様にかかる圃場の水管理装置は、圃場に水を供給する給水動作及び圃場の水を排出する排水動作のいずれかを行うアクチュエータと、前記圃場を監視する監視装置と、前記アクチュエータ若しくは前記監視装置の制御に関する制御情報、又は前記監視装置の監視結果を示す監視情報を送受信する通信装置と、前記アクチュエータ、前記監視装置、及び前記通信装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記制御情報及び前記監視情報を送受信可能な携帯端末の位置を示した位置情報に基づいて、前記携帯端末が近づいていることが検出された場合、前記近づいていることが検出されない場合よりも、前記通信装置により前記制御情報又は前記監視情報の送受信を行う通信周期を短く変更する。
【0008】
また、本発明の一態様では、前記圃場の前記水管理装置は、電源である電池を備え、前記制御装置は、前記携帯端末の位置情報に基づいて、前記携帯端末が当該水管理装置及び前記圃場のいずれかに近づいていることが検出されない場合、前記通信装置による前記通信周期を所定の第1周期に切り替え、前記近づいていることが検出された場合、前記通信装置による前記通信周期を前記第1周期より短い所定の第2周期に切り替える。
【0009】
本発明の他の一態様にかかる圃場の水管理装置は、圃場に水を供給する給水動作及び前記圃場の水を排出する排水動作のいずれかを行うアクチュエータと、前記圃場を監視する監視装置と、前記アクチュエータ若しくは前記監視装置の制御に関する制御情報、又は前記監視装置の監視結果を示す監視情報を送受信する通信装置と、前記アクチュエータ、前記監視装置、及び前記通信装置を制御する制御装置と、電源である電池と、前記制御情報及び前記監視情報を送受信可能な携帯端末の位置を示した位置情報に基づいて前記携帯端末までの距離を演算する距離演算部と、を備え、前記制御装置は、前記携帯端末の位置情報に基づいて、前記通信装置により前記制御情報又は前記監視情報の送受信を行う通信周
期を変更するため、前記距離演算部により演算された前記携帯端末までの距離が所定の前記閾値以上である場合、前記通信装置による前記通信周期を所定の第1周期に切り替え、前記携帯端末までの距離が閾値未満である場合、前記通信装置による前記通信周期を前記第1周期より短い所定の第2周期に切り替える。
また、本発明の一態様では、前記距離演算部は、前記圃場の前記水管理装置の位置を示した管理位置情報と、前記携帯端末の位置情報とに基づいて、前記携帯端末までの距離を演算する。
【0010】
本発明の他の一態様にかかる圃場の水管理装置は、圃場に水を供給する給水動作及び前記圃場の水を排出する排水動作のいずれかを行うアクチュエータと、前記圃場を監視する監視装置と、前記アクチュエータ若しくは前記監視装置の制御に関する制御情報、又は前記監視装置の監視結果を示す監視情報を送受信する通信装置と、前記アクチュエータ、前記監視装置、及び前記通信装置を制御する制御装置と、電源である電池と、前記制御情報及び前記監視情報を送受信可能な携帯端末の位置を示した位置情報に基づいて前記携帯端末までの距離を演算する距離演算部と、を備え、前記制御装置は、前記携帯端末の位置情報に基づいて、前記通信装置により前記制御情報又は前記監視情報の送受信を行う通信周期を変更するため、前記移動検出部により前記携帯端末が近づいていることが検出された場合、前記通信装置による前記通信周期を所定の第1周期より短い所定の第2周期に切り替え、前記移動検出部により前記携帯端末が近づいていないことが検出された場合、前記通信装置による前記通信周期を前記第1周期に切り替える。
また、本発明の一態様では、前記移動検出部は、異なるタイミングで取得した前記携帯端末の複数の位置情報に基づいて、前記携帯端末の移動状態を検出する。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記制御装置は、前記携帯端末の位置情報に基づいて、前記携帯端末が近づいていることが検出された場合、前記近づいていることが検出されない場合よりも、前記監視装置により前記圃場を監視する監視周期を短く変更する。
また、本発明の一態様では、前記制御装置は、前記通信装置による前記通信周期と同期して、前記監視装置による前記監視周期を変更する。
【0012】
本発明の一態様による圃場の水管理システムは、前記圃場の前記水管理装置と、当該水管理装置が有するアクチュエータ若しくは監視装置の制御に関する制御情報、又は前記監視装置の監視結果を示す監視情報を送受信可能な携帯端末と、を含んでいる。
また、本発明の一態様では、前記圃場の水管理システムは、前記水管理装置及び前記携帯端末に対して前記制御情報及び前記監視情報を送受信可能な支援装置を含んでいる。
また、本発明の一態様では、前記圃場の前記水管理システムは、前記携帯端末の位置情
報に基づいて前記水管理装置又は前記圃場から前記携帯端末までの距離を演算する距離演算部を、前記水管理装置に代えて、前記支援装置に備える。
さらに、本発明の一態様では、前記圃場の前記水管理システムは、前記携帯端末の位置情報に基づいて前記携帯端末の移動状態を検出する移動検出部を、前記水管理装置に代えて、前記支援装置に備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、圃場の水管理装置の消費電力を低減し且つ圃場の見回り作業を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】圃場における水管理装置の設置例を示す図である。
【
図6】第1実施形態の圃場の水管理システムの電気的構成図である。
【
図7】水管理装置と外部装置の識別情報の対応関係を示す図である。
【
図8】水管理装置の監視情報と制御情報の一例を示す図である。
【
図9】第1実施形態の水管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図10】支援装置の動作を示すフローチャートである。
【
図11】携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【
図12】水管理装置の動作周期を示すタイムチャートである。
【
図13】圃場と水管理装置と携帯端末の位置の一例を示す図である。
【
図14】圃場と水管理装置と携帯端末の位置の他の例を示す図である。
【
図15】第2実施形態の水管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図16】圃場と水管理装置と携帯端末の位置の他の例を示す図である。
【
図17】第3実施形態の水管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図18】圃場と水管理装置と携帯端末の位置の他の例を示す図である。
【
図19】第4実施形態の圃場の水管理システムの電気的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
<圃場の水管理システムの構成>
図1は、圃場の水管理システム7の概略構成図である。圃場の水管理システム7は、圃場の水管理装置1、外部装置2~4、及び中継局5を備えている。以下、便宜上、圃場の水管理システムのことを「水管理システム」と言い、圃場の水管理装置のことを「水管理装置」と言う。
【0016】
図2は、圃場Hにおける水管理装置1の設置例を示す図である。水管理装置1は、作物を作付する圃場Hの周囲に、所定の間隔で複数設置されている。
図2では、水管理装置1を4台示し、
図1では、便宜上、水管理装置1を2台示しているが、水管理装置1は圃場Hの広さ等に応じて適宜数設置されて、水管理システム7に組み込まれる。
図1において、外部装置2~4には、携帯端末2、端末装置3、及び支援装置4が含まれている。携帯端末2は、圃場Hで作業を行う作業者が携帯するスマートフォンやタブレット機等である。端末装置3は、圃場Hから離れた場所に設置された据え置き型のパーソナルコンピュータやノートパソコン等である。携帯端末2と端末装置3は、作業者により使用される。支援装置4は、管理センタ(図示省略)に設置されたサーバ等である。
【0017】
中継局5は、水管理装置1と支援装置4との通信を中継する通信ユニットである。中継局5は、水管理装置1からの様々な情報を支援装置4に送信したり、支援装置4からの様々な情報を水管理装置1に送信したりする。つまり、水管理装置1と支援装置4は、中継局5を介して相互に通信を行う。携帯端末2、端末装置3、及び支援装置4は、インターネット、携帯電話通信網、又はその他のデータ通信網等の公衆通信網6を介して相互に通信を行う。
【0018】
図1では、便宜上、携帯端末2、端末装置3、支援装置4、及び中継局5を1台ずつ示しているが、これらは水管理システム7に適宜数設けられる。
他の例として、水管理装置1と携帯端末2若しくは端末装置3との通信を、中継局5により中継してもよい。また、中継局5や公衆通信網6を介さずに、水管理装置1と外部装置2~4が直接通信を行ってもよい。
【0019】
図3は、圃場Hと水管理装置1の側面図である。
本実施形態の圃場Hは、例えば水稲から成る作物Uを作付けした水田である。水管理装置1は、圃場Hの給水側(
図3で左側)と排水側(
図3で右側)とにそれぞれ設置されている。給水側に設置された水管理装置1(F)は、パイプライン100の分岐管100bの先端部に、開閉弁100cを介して接続されている。開閉弁100cは、分岐管100bの先端部に装着されている。分岐管100bの根元部は、パイプライン100の供給管100aに接続されている。即ち、分岐管100bは、供給管100aから分岐して、圃場H1に向かって延びている。供給管100aには、用水路(図示省略)を流れる用水が導入される。
【0020】
圃場Hの排水側に設置された水管理装置1(D)は、排水桝122に設けられた落水部123の上端部に接続されている。排水桝122には、排水管121の先端部が接続されている。排水管121の根元部は、排水路120に接続されている。
<給水側の水管理装置の構造>
図4は、給水側の水管理装置1(F)の内部を示す図である。
【0021】
給水側の水管理装置1(F)の収容体11は、垂直方向に長く延びる立体構造を有している。収容体11は、筒状に形成されていて、水管理装置1(F)の筐体を構成している。また、収容体11は、開閉弁100cの上方に設置されている。
開閉弁100cの本体101は、筒状に形成されていて、内部に用水が通過可能になっている。この本体101の内部には、弁体102と弁軸103と軸受部104とが設けられている。弁軸103の下端部は、弁体102に連結されている。軸受部104は、本体101の上端部の内側に嵌合されている。軸受部104の上部は、本体101から上方に突出している。本体101の周面には、当該本体101を径方向に貫通する貫通孔105が形成されている。貫通孔105は、用水が圃場Hに向かって流出する供給口である。
【0022】
弁軸103は、軸受部104に対して回転自在に支持されている。弁軸103の外周に
は雌ねじが形成され、軸受部104の内周には雄ねじが形成されている。弁軸103が軸心周りに回転しながら垂直方向に移動することによって、弁体102が垂直方向に移動して、貫通孔105を開閉させ、用水が圃場Hに対して給水されたり、当該給水が停止されたりする。つまり、弁体102は、用水の給水を調整する機構(調整機構)である。なお、上記開閉弁100cは一例であり、上述した構成に限定されない。
【0023】
収容体11の内部には、アクチュエータ10等が備わっている。アクチュエータ10は、圃場Hに供給する給水(用水の給水)及び圃場Hから排出する排水のいずれかを行う弁体102の開閉動作を行う。アクチュエータ10は、電動モータ10aと、電動モータ10aの駆動により回転する回転軸10bとを有している。
電動モータ10aのモータ軸12には、当該モータ軸12の回転に伴って回転するギア14が取付けられている。ギア14には、ギア15が噛み合っている。ギア15の内面側には、キー溝(符号省略)が形成されている。当該キー溝には、回転軸10bに設けられた凸状の摺動部17が嵌め込まれている。ギア15は、軸受16に回転自在に支持され、且つ回転軸10bを垂直方向に移動自在に支持している。なお、ギア15と回転軸10bとはスプラインによって連結してもよく、上述した構成に限定されない。
【0024】
回転軸10bの下端部は、弁軸103の上端部と連結している。例えば、回転軸10bの下端部には、カップリング部18が形成されている。カップリング部18には、弁軸103の上端部に形成されたカップリング部19が連結されている。
上記アクチュエータ10によれば、電動モータ10aを回転駆動させることで、ギア14、15及び回転軸10bを回転させて、回転軸10bを垂直方向に移動させることができる。そして、回転軸10bの回転と垂直移動に伴って、弁軸103を回転させながら垂直方向に移動させて、弁体102を開閉動作(貫通孔105の開放及び閉塞)させることができる。
【0025】
収容体11は、複数の筒体11a、11b、11cを有している。筒体11a、11b、11cのそれぞれは垂直方向に並べられていて互いに連結されている。具体的には、筒体11aの下端は、開閉弁100cの本体101に取付けられた取付台115に、ボルト等の締結具によって取付けられている。筒体11aは、取付台115に取付けられた状態で上方に延びるように起立している。
【0026】
筒体11aの上には、筒体11bが連結されている。筒体11aの上端と筒体11bの下端との間には、筒状の連結部材25が設けられている。連結部材25は、周壁部25aと、周壁部25aから径外方向に突出したフランジ部25bと、周壁部25aの上端側に設けられた支持壁25cとを有している。筒体11aの上端をフランジ部25bに近接させ、筒体11bの下端をフランジ部25bに近接させる。また、筒体11aの上端及び周壁部25aをボルト等の締結具で締結し、筒体11bの下端及び周壁部25aをボルト等の締結具で締結する。これにより、筒体11aの上端と筒体11bとが一体化されている。
【0027】
支持壁25cには、回転軸10bが貫通する貫通孔(符号省略)が形成されている。軸受16等が取り付けられた構造体27を支持壁25cに取付けることにより、電動モータ10a、回転軸10b、及びギア15が支持壁25cにより支持されている。即ち、筒体11a、11bによって、アクチュエータ10を収容する第1筒体が構成されている。
筒体11bは、下壁部31と、上壁部32と、これら壁部31、32の間に設けられた中間壁33を有している。中間壁33は、径外方向に突出した突出壁34を有している。突出壁34は、円形に構築されている。突出壁34の内側には、操作盤43が設けられている。操作盤43は、中間壁33の外周面に取り付けられている。上壁部32の内径を中間壁33の内径より大きくすることで、上壁部32と中間壁33の連結部分には、段部35が形成されている。段部35は、筒体11bの径内方向に突出して、筒体11cの下端部を支持している。即ち、筒体11bの上壁部32と段部35とは、筒体11cの下部を上方から差し込む差し込み部となっている。
【0028】
筒体11cは、筒体11bの内部に上方から嵌め込まれて、筒体11bと段部35によって支持されている。筒体11cの下端部には、載置板37が取り付けられている。載置板37は、段部35によって下方から支持されている。筒体11cの上端は、天板39によって閉鎖されている。筒体11cの上部には、ブラケット38を介して太陽光パネル40が取り付けられている。
【0029】
筒体11cの内部には、検出装置50、制御装置60、通信装置70、監視カメラ80、及び電源装置41が備わっている。監視カメラ80で圃場Hを撮像できるように、筒体11cの周面には窓部153が設けられている。窓部153は、筒体11cの周面に形成された貫通孔153aと、当該貫通孔153aを覆う透明カバー153bとから構成されている。透明カバー153bは光を透過可能である。
<排水(落水)側の水管理装置の構造>
図5は、排水側の水管理装置1(D)の内部を示す図である。
【0030】
排水側の水管理装置1(D)の筐体も、収容体11により構成されている。排水側の水管理装置1(D)の収容体11は、落水部123の上部に設置されている。
落水部123は、仕切弁125と移動機構126とを備えている。移動機構126は、仕切部125を垂直方向に移動させる。仕切弁125は、垂直方向に移動することで、圃場Hの水を排水管121に向かって落水させない状態(閉鎖状態)と、落水させる状態(開放状態)とに位置変更可能である。
【0031】
移動機構126は、台座127、案内棒128、移動体130、第1軸129、及び第2軸132を有している。台座127は、落水部123の上端に取り付けられている。台座127の下面には、複数の案内棒128の上端が固定されている。各案内棒128は下方に延びて、移動体130のフランジ部(符号省略)を貫通している。移動体130は、案内棒128に沿って上下方向に移動可能になっている。第1軸129は、台座127に形成された貫通孔に挿入されている。
【0032】
排水側の水管理装置1(D)の収容体11の筒体11a、11bの内部にも、アクチュエータ10等が備わっている。第1軸129の上端は、カップリング等によりアクチュエータ10の回転軸10bに連結されている。排水側の水管理装置1(D)の回転軸10bを回転及び垂直移動させる構成と構造は、
図4に示した排水側の水管理装置1(D)の回転軸10bを回転及び垂直移動させる構成と構造と同様であるため、説明を省略する(
図5では符号も省略)。
【0033】
第2軸132は、第1軸129の下端に連結されている。また、第2軸132は移動体130を貫通している。第2軸132の外周には雄ねじが形成され、移動体130の内周には雌ねじが形成されている。アクチュエータ10の電動モータ10aを回転駆動させて、回転軸10bを回転及び垂直移動させることによって、第1軸129及び第2軸132を回転させながら垂直方向に移動させて、移動体130を垂直方向に移動させることができる。
【0034】
仕切弁125は、移動体130に取付けられたブラケット131等に装着されている。仕切弁125は筒状に形成されている。移動体130の垂直方向への移動に伴って、仕切部125の高さが変わる構造になっている。仕切弁125の上端が圃場Hの水面より高いときは、仕切弁125は落水をさせない閉鎖状態となる。仕切弁125の上端が圃場Hの水面より低いときは、仕切弁125は落水をさせる開放状態となる。アクチュエータ10を作動させて、移動体130を垂直移動させることによって、仕切弁125を開閉動作(落水と落水停止)させることができる。つまり、仕切弁123は、排水を調整する機構(調整機構)である。
【0035】
排水側の水管理装置1(D)の筒体11cの内部にも、検出装置50、制御装置60、通信装置70、監視カメラ80、及び電源装置41が備わっている(
図5)。また、筒体11cの周面には窓部153が設けられている。
上述したように、水管理装置1は、圃場Hに供給する給水及び圃場Hから排出する排水のいずれかを開閉動作によって行う弁体(弁体102又は仕切弁125)を含んだ開閉機構を有している。
<水管理システムの電気的構成>
図6は、第1実施形態の水管理システム7の各部の電気的構成図である。
【0036】
水管理装置1は、アクチュエータ10、制御装置60、記憶部30、監視カメラ80、検出装置50、通信装置70、電源装置41、及び太陽光パネル40を備えている。
制御装置60は、CPUとメモリ等から構成されている。制御装置60は水管理装置1の各部の動作を制御する。制御装置60には、距離演算部60aと移動検出部60bとが設けられている。距離演算部60aは、携帯端末2の位置を示した位置情報に基づいて、携帯端末2までの距離を演算する。移動検出部60bは、携帯端末2の位置情報に基づいて、携帯端末2の移動状態(移動の有無、移動方向、移動速度等)を検出する。距離演算部60aと移動検出部60bとは、例えばソフトウェアプログラムにより構成されている。他の例として、距離演算部60aと移動検出部60bとをハードウェアにより構成してもよい。
【0037】
記憶部30は、不揮発性メモリ等から構成されている。アクチュエータ10は、前述した電動モータ10aと、当該電動モータ10aを駆動するためのモータ駆動回路(図示省略)を有している。制御装置60は、モータ駆動回路により電動モータ10aの駆動を制御して、前述した弁体102、125を開閉動作あせて、圃場Hに対して給水又は排水を行う。
【0038】
監視カメラ80は、CCDカメラ、CMOSカメラ、又は赤外線カメラ等から構成されている。監視カメラ80は、圃場Hの水面、作物U(
図3)、及びこれらの周辺を撮像(監視)する。
図2等に示したように、圃場Hに複数の水管理装置1を設置した場合、各水管理装置1に備わる監視カメラ80は、圃場Hの全体を撮像してもよいし、又は圃場Hの所定範囲(一部)を撮像してもよい。また、各水管理装置1に備わる監視カメラ80の撮像範囲を完全に異ならせてもよいし、又は一部重複させてもよい。さらに、各水管理装置1に、監視カメラ80を複数設けてもよい。
【0039】
また、圃場Hのより広い範囲を監視カメラ80で撮像(監視)するため、監視カメラ80の向きを変える機構と当該機構を駆動する電動モータを水管理装置1に備えてもよい。また、監視カメラ80の撮像範囲を照明するライト等の光源を水管理装置1に備えてもよい。監視カメラ80により撮像された画像のデータを処理する画像処理部は、監視カメラ80に備わっていてもよいし、又は制御装置60に備わっていてもよい。
【0040】
検出装置50は、圃場Hの状態(環境)を検出する複数のセンサを有している。詳しくは、検出装置50は、水位を検出する水位センサ50a、水温を検出する水温センサ50b、気温を検出する気温センサ50c、湿度を検出する湿度センサ50d、土壌の温度を検出する土壌温度センサ50eを有している。これら各センサ50a~50eの検出子は、前述した水管理装置1の収容部11の外部(圃場H)に設けられている。また、各センサ50a~50eの検出子の出力信号に基づいて検出値(水位、水温、気温、湿度、土壌温度)を演算する演算回路は、水管理装置1の収容部11の内部に設置されている(
図4、
図5)。
【0041】
図2等に示したように、圃場Hに複数の水管理装置1を設置した場合、各水管理装置1に備わる検出装置50は、圃場Hの所定範囲(一部)の水位、水温、気温、湿度、及び土壌温度等を検出する。
なお、各水管理装置1に備わる検出装置50の検出範囲を完全に異ならせてもよいし、又は一部重複させてもよい。また、水管理装置1は、水位センサ50a、水温センサ50b、気温センサ50c、湿度センサ50d、及び土壌温度センサ50eの全てを備えている必要はなく、適宜、組み合わせが可能である。さらに、例えば圃場Hの日射量や風量等のその他の物理量を検出するセンサ等を、検出装置50に設けてもよい。
【0042】
監視カメラ80と検出装置50は、圃場Hを監視する監視装置である。具体的には、例えば、圃場Hの水面や水位、圃場Hに作付けされた作物U、圃場Hに入り込んだ異物(人、動物、及び機械等)を、水管理装置1は検出装置50と監視カメラ80により監視する。検出装置50の検出結果と監視カメラ80で撮像した画像のデータは、記憶部30に記憶される。なお、検出装置50と監視カメラ80のうち、いずれか一方だけ監視装置として水管理装置1に設けてもよい。
【0043】
通信装置70は、水管理装置1が外部装置2~4と通信するための通信モジュールであ
って、様々な情報を外部に対して送受信可能である。通信装置70は、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標)Low Energy)、LPWA(Low Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)等により無線通信を行うことができる。他の例として、通信装置70は、例えば、公衆通信網6を介した無線又は有線の通信を行うことができるように、通信装置70を構成してもよい。
【0044】
制御装置60は、支援装置4から送信された水管理装置1の各部(少なくともアクチュエータ10、監視カメラ80、検出装置50)を制御するための制御情報(この場合は制御指令)を通信装置70により受信する。また、制御装置60は、その支援装置4から受信した制御情報や、検出装置50により検出された検出値(水位、水温、気温、湿度、土壌温度等)に基づいて、アクチュエータ10の電動モータ10aを駆動して、前述の弁体102、125の開閉動作を制御し、圃場Hに対して給水や排水を行う。
【0045】
また、制御装置60は、検出装置50により検出された検出値や、監視カメラ80により撮像された圃場Hの画像データ等の監視結果を示す監視情報を、通信装置70により支援装置4へ送信する。さらに、制御装置60は、水管理装置1の各部(少なくともアクチュエータ10、監視カメラ80、検出装置50)を制御した結果を示す制御情報(この場合は制御結果)を、通信装置70により支援装置4へ送信する。他にも、水管理装置1の各部の故障状況を示す故障情報を、制御装置60が支援装置4に送信してもよい。
【0046】
電源装置41は、水管理装置1の電源である蓄電池41aを有している。蓄電池41aは、例えばリチウムイオンバッテリから構成されている。電源装置41は、蓄電池41aの電力を水管理装置1の各部に供給する。また、電源装置41は、太陽光パネル40が発電した電力を蓄電池41aに蓄電する。
携帯端末2は、制御部2a、記憶部2b、表示操作部2c、通信部2d、位置検出部2e、及び蓄電池2fを備えている。制御部2aは、携帯端末2の各部の動作を制御する。記憶部2cはメモリ等から構成されている。記憶部2cには、水管理装置1による圃場Hの監視状態を確認したり、水管理装置1を操作したりするため等の圃場管理アプリケーションプログラム(以下、「圃場管理アプリ」と言う。)が記憶されている。
【0047】
表示操作部2cは、例えばタッチパネルやスピーカや操作キーやマイク等から構成されている。上記の圃場管理アプリに基づく画像等の表示が表示操作部2cにより出力されたり、圃場管理アプリに対する所定の入力が表示操作部2cにより行えたりする。通信部2dは、Wi-Fi(登録商標)、BLE、LPWA、LPWAN等の通信規格による無線通信や、公衆通信網6を介した無線通信を行うことが可能な通信回路から構成されている。制御部2aは、通信部2dにより端末装置3や支援装置4と通信する。他の例として、携帯端末2が水管理装置1と直接通信可能に通信部2dを構成してもよい。
【0048】
位置検出部2eは、携帯端末2の位置を検出するための電子部品(加速度センサやジャイロセンサ等を含む)や電気回路(アンテナや受信回路等を含む)等から構成されている。例えば位置検出部2eは、D-GPS、GPS、GLONASS、北斗、ガリレオ、みちびき等の衛星測位システム(測位衛星)により、携帯端末2の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出する。蓄電池2fは、例えばリチウムイオンバッテリから構成されている。携帯端末2の各部は、蓄電池2fの電力により駆動する。
【0049】
端末装置3は、制御部3a、記憶部3b、表示部3c、操作部3g、通信部3d、及び電源部3fを備えている。制御部3aは、端末装置3の各部の動作を制御する。記憶部3cはメモリやハードディスク等から構成されている。記憶部3cには、上述した圃場管理アプリが記憶されている。表示部3cは、ディスプレイ等から構成されている。操作部3gは、キーボードやマウス等から構成されている。記憶部3bに記憶された圃場管理アプリに基づく画像等の表示は表示部3cにより出力される。また、圃場管理アプリに対する所定の入力は操作部3gにより行える。
【0050】
通信部3dは、携帯端末2の通信部2dと同様の機能を有している(詳細説明省略)。制御部3aは、通信部3dにより携帯端末2や支援装置4と通信する。他の例として、端末装置3が水管理装置1と直接通信可能に通信部3dを構成してもよい。電源部3fは、
例えばリチウムイオンバッテリ等の蓄電池と、商用電源に接続可能な電源回路等から構成されている。端末装置3の各部は、電源部3fから供給される電力により駆動する。
【0051】
支援装置4は、制御部4a、記憶部4b、通信部4d、電源部4f、及びデータベース4hを備えている。制御部4aは、支援装置4の各部の動作を制御する。記憶部4cはメモリ等から構成されている。通信部4は、携帯端末2の通信部2dと同様の機能を有している(詳細説明省略)。制御部4aは、通信部4dにより携帯端末2、端末装置3、及び水管理装置1と通信する。電源部4fは、商用電源に接続可能な電源回路と、バックアップ電源回路等から構成されている。支援装置4の各部は、電源部4fから供給される電力により駆動する。
【0052】
データベース4hは、ハードディスク等の記憶装置(図示省略)に構成されている。制御部4aは、水管理装置1から送信された圃場Hの監視結果を示す監視情報を通信部4dにより受信して、当該監視情報をデータベース4hに記憶する。また、制御部4aは、水管理装置1から送信された水管理装置1の各部(少なくともアクチュエータ10、監視カメラ80、検出装置50)の制御結果を示す制御情報を通信部4dにより受信して、当該制御情報をデータベース4hに記憶する。また、制御部4aは、予め記憶部4bに記憶された圃場Hの水管理や監視に関するスケジュールに基づいて、水管理装置1のアクチュエータ10、監視カメラ80、又は検出装置50等を制御するための制御情報(制御指令)を通信部4dにより水管理装置1に送信する。
【0053】
また、制御部4aは、上述した水管理装置1に対して通信した内容と結果を示す情報を、通信履歴としてデータベース4hに記憶する。また、制御部4aは、データベース4hに記憶された水管理装置1の監視結果を示す制御情報を解析して、圃場Hにおける作物Uの生育状況、水位分布、及び異物の有無等の管理事項を部分的又は総合的に判断し、当該判断結果をデータベース4dに記憶する。さらに、制御部4aは、データベース4hに記憶された水管理装置1の制御情報、監視情報、又は上記判断結果等に基づいて、圃場Hの水管理や監視に関するスケジュールを立てたり変更したりして、当該スケジュールを記憶部4b又はデータベース4hに記憶する。
【0054】
携帯端末2や端末装置3は、データベース4hに記憶された水管理装置1の監視情報や制御情報(制御指令と制御結果)を支援装置4から取得して、表示操作部2cや表示部3cに表示する。具体的には、例えば携帯端末2や端末装置3において、上述した圃場管理アプリを起動して、表示操作部2cや操作部3gで所定の操作を行うことにより、携帯端末2や端末装置3の制御部2a、3aが監視情報や制御情報を要求する要求信号を通信部2d、3dにより支援装置4に送信する。支援装置4では、携帯端末2や端末装置3から送信された要求信号を通信部4dにより受信すると、制御部4aが当該要求信号に基づいて、水管理装置1の監視情報や制御情報をデータベース4hから読み出して、通信部4dにより携帯端末2や端末装置3に送信する。
【0055】
携帯端末2や端末装置3では、支援装置4から送信された水管理装置1の監視情報や制御情報を通信部2d、3dにより受信すると、制御部2a、3aが当該監視情報や制御情報を表示操作部2cや表示部3cに表示させる。これにより、携帯端末2や端末装置3を使用している作業者は、水管理装置1による圃場Hの管理状態を認識することが可能となる。
<水管理システムの対応関係>
図7は、水管理装置1と外部装置2、3の識別情報の対応関係を示す図である。
【0056】
圃場Hと、圃場Hに設置された水管理装置1と、圃場Hで作業を行う作業者が所有する携帯端末2及び端末装置3には、予め固有の識別情報(名称、型式番号、製造番号、シリアルコード等)が付されている。
図7の外部装置識別情報の欄の「S00xxx」は携帯端末2の識別情報を示し、「T00yyy」は端末装置3の識別情報を示している。水管理装置1の識別情報から、当該水管理装置1が給水側の水管理装置であるか又は排水側の水管理装置であるかが判別可能である。
【0057】
例えば、支援装置4に対して所定の登録用入力操作を行うことにより、
図7に示すように、圃場H、水管理装置1、携帯端末2、及び端末装置3の識別情報が対応付け(紐づけ
)られて、支援装置4の記憶部4bに記憶(登録)される。
また、端末装置3や携帯端末2で所定の入力操作を行うことにより、圃場H、水管理装置1、携帯端末2、及び端末装置3の識別情報が対応付けられて、支援装置4の記憶部4bに記憶されてもよい。この場合、例えば作業者が端末装置3や携帯端末2において、前述の圃場管理アプリにより所定の登録用入力操作を行うと、端末装置3や携帯端末2が当該登録用入力操作を示す操作情報を支援装置4に送信すればよい。そして、支援装置4が端末装置3や携帯端末2から受信した当該操作情報に基づいて、圃場H、水管理装置1、携帯端末2、及び端末装置3の識別情報の対応付けと記憶部4b等への記憶を実行すればよい。
【0058】
またその際、各水管理装置1の設置位置(緯度、経度)や圃場H1の設置位置(緯度、経度)も、各水管理装置1の識別情報や圃場Hの識別情報に対応付けられて、支援装置4の記憶部4b等に予め記憶されてもよい。また、
図7に示すような圃場Hと各装置1~3の識別情報の対応関係を示すテーブルの情報が、水管理装置1、携帯端末2、又は端末装置3の記憶部1b、2b、3bにも予め記憶されてもよい。
【0059】
上記のような圃場Hと装置1~3の対応情報が支援装置4等に予め記憶されていることで、水管理装置1による圃場Hの監視結果を示す監視情報や圃場Hに対する給排水動作等の制御に関する制御情報を、対応する装置1~の間で送受信することができる。そして、当該監視情報や制御情報を支援装置4のデータベース4hに記憶したり、携帯端末2や端末装置3で確認したりすることができる。
【0060】
また、作業者が携帯端末2や端末装置3で所定の入力操作を行うことにより、所望の水管理装置1に給排水動作を行わせることが可能である。具体的には、例えば作業者が携帯端末2や端末装置3において、前述の圃場管理アプリにより所望の水管理装置1に給排水動作を行わせるための所定の給排水用入力操作を行うと、携帯端末2や端末装置3が当該給排水用入力操作を示す操作情報(上記所望の水管理装置1の識別情報を含む)を支援装置4に送信すればよい。そして、支援装置4が携帯端末2や端末装置3から受信した上記操作情報に基づいて、水管理装置1に対して制御指令を送信し、当該制御指令を受信した水管理装置1が当該制御指令に基づいてアクチュエータ10を駆動して、弁体102、125を開閉動作させればよい。
<水管理装置の監視情報と制御情報>
図8は、水管理装置1の監視情報と制御情報の一例を示す図である。
【0061】
水管理装置1が通信装置70により支援装置4へ送信する監視情報には、
図8に示すように、監視カメラ80により圃場Hを撮像した日時(撮像日時)と画像データ、並びに検出装置50により検出した圃場Hの水位、水温、温、湿度、土壌温度等の検出値が含まれている。また、水管理装置1が通信装置70により支援装置4へ送信する制御情報(制御結果)には、
図8に示すように、アクチュエータ10により開閉動作させる弁体102、125の開閉状態と開度が含まれている。
【0062】
水管理装置1は、支援装置4から受信した制御情報に基づいて、監視カメラ80及び検出装置50により圃場Hを監視し、その監視結果を示す上記のような監視情報を、自身の識別情報を付帯させた状態で支援装置4へ所定の周期で送信する。また、水管理装置1は、支援装置4から受信した制御指令に基づいて、アクチュエータ10により弁体102、125の開閉動作を制御して、その制御結果を示す上記のような制御情報を、自身の識別情報を付帯させた状態で支援装置4へ所定の周期で送信する。支援装置4は、水管理装置1から監視情報や制御情報を受信する度に、当該監視情報や制御情報を送信元の水管理装置1の識別情報及び当該水管理装置1が設置された圃場Hの識別情報と対応付けて、データベース4hに記憶する。
<第1実施形態の水管理装置、携帯端末、及び支援装置の動作>
図9は、第1実施形態の水管理装置1の動作を示すフローチャートである。
図10は、支援装置4の動作を示すフローチャートである。
図11は、携帯端末2の動作を示すフローチャートである。
図12は、水管理装置1の動作周期を示すタイムチャートである。
図13は、圃場Hと水管理装置1と携帯端末2の位置の一例を示す図である。
【0063】
水管理装置1では、通常省電力化のため、通信装置70により所定の長い第1周期Ta1(例えば10分間隔)で支援装置4と通信(制御情報又は監視情報を送受信)し(
図12の(a))、且つ監視装置50、80により所定の長い第1周期Tb1(例えば10分間隔)で圃場Hを監視する(
図12の(b)、
図9のS1)。
このとき、水管理装置1の各部は起動状態とスリープ(待機)状態とを繰り返えしている。詳しくは、例えば、制御装置60の内部タイマ等により計時された時間に基づいて、制御装置60が起動状態になって、通信装置70と監視装置50、80を起動状態にしたり、制御装置60が通信装置70と監視装置50、80をスリープ状態(電力供給を停止したオフ状態でもよい)にして、制御装置60自身もスリープ状態になったりする。スリープ状態にあるときは、通信装置70による支援装置4との通信が不可能になる(アクセス不可)。
【0064】
そのため、起動状態にあるときに制御装置60は、通信装置70により支援装置4から第1周期Ta1で受信した制御情報(制御指令)に基づいて、例えばアクチュエータ10を駆動し、弁体102、125を開閉動作させて、圃場Hに対して給排水を行う。
そして、
図12(c)に示すように、アクチュエータ10を前回駆動してから今回駆動するまでの時間間隔Tc1が、予め設定された水管理スケジュールに従ってアクチュエータ10を駆動していたそれまでの駆動周期(即ち弁体102、125の開閉動作による給排水周期)Tcと異なる。
図12(c)に示した例では、水管理装置1が支援装置4から複数回連続でアクチュエータ10の駆動指令を受信して、当該駆動指令に基づいてアクチュエータ10を駆動する場合において、アクチュエータ10の前回駆動から今回駆動までの時間間隔Tc1が、それまでの駆動周期Tcより短くなり且つ通信装置70の通信周期Ta1と略同等になっている。
【0065】
また、制御装置60は、通信装置70により支援装置4から第1周期Ta1で受信した制御情報に基づいて、例えば検出装置50及び監視カメラ80の動作を制御する。また、検出装置50の各センサ50a~50eが第1周期Tb1で対象の検出値を検出し、監視カメラ80が撮像した画像データを第1周期Tb1で記憶部30に保存する。
さらに、制御装置60が、検出装置50及び監視カメラ80による監視結果を示した監視情報を、通信装置70により第1周期Ta1で支援装置4に送信する。なお、通信装置70により通信する第1周期Ta1と監視装置50、80により監視する第1周期Tb1とは、同一周期であってもよいし、又は異なる周期であってもよい。
【0066】
支援装置4では、制御部4aが、例えば予め記憶された水管理スケジュール又はデータベース4hの記憶内容を解析した結果に基づいて、通信部4dにより水管理装置1と制御情報又は監視情報を通信する(
図10のS11)。即ち、制御部4aは、通信部4dにより水管理装置1に制御情報(制御指令)を送信したり、水管理装置1から送信された制御情報(制御結果)及び監視情報を通信部4dにより受信したりする。また、制御部4aは、水管理装置1から通信部4dにより受信した制御情報又は監視情報をデータベース4hに記憶する(S12)。
【0067】
携帯端末2では、作業者が表示操作部2cで所定の操作を行って、圃場管理アプリを起動すると(
図11のS21:YES)、制御部2aが通信部2dにより支援装置4に対して接続を試みる。このとき、例えば制御部2aは、携帯端末2の識別情報を含んだアクセス信号を通信部2dにより支援装置4に送信する。
支援装置4では、登録された携帯端末2の識別情報を含んだアクセス信号を通信部4dにより受信すると、制御部4aが当該携帯端末2の識別情報を含んだアンサ信号を通信部4dにより携帯端末2に返信する。携帯端末2では、当該携帯端末2の識別情報を含んだ支援装置4からのアンサ信号を通信部2dにより受信すると、制御部2aが支援装置4との接続が確立したと判断する(S22:YES)。そして、携帯端末2の制御部2aは、当該携帯端末2の識別情報を含んだアンサ信号を通信部2dにより支援装置4に返信する。
【0068】
支援装置4では、先に受信したアクセス信号に含まれた携帯端末2の識別情報と同一の識別情報を含んだアンサ信号を通信部4dにより受信すると、制御部4aが当該携帯端末
2との接続が確立したと判断する(
図10のS13:YES)。そして、支援装置4の制御部4aは、携帯端末2の位置情報を取得する(S14)。
図10の処理S14では、例えば携帯端末2の位置検出部2e(
図6)が検出した当該携帯端末2の位置を示す位置情報を、制御部2aが通信部2dにより支援装置4に送信してもよい。又は、制御部2aが、当該携帯端末2に内蔵されたGPSの位置情報を、携帯端末2の位置情報として通信部2dにより支援装置4に送信してもよい。又は、携帯端末2と支援装置4とのアクセス信号やアンサ信号の通信を中継した携帯基地局(図示省略)の位置情報等に基づいて、携帯端末2や支援装置4の制御部2a、4aが携帯端末2の位置を検出して、当該位置を示す位置情報を生成してもよい。
【0069】
支援装置4の制御部4aは、携帯端末2の位置情報を取得すると(
図10のS14)、当該位置情報を通信部4dにより水管理装置1に送信する(S15)。
水管理装置1では、通信装置70により携帯端末2の位置情報を取得(受信)すると(
図9のS2:YES)、制御装置60の距離演算部60a(
図6)が、予め記憶された水管理装置1の位置を示した管理位置情報と、取得した携帯端末2の位置情報とに基づいて、携帯端末2までの距離Dを演算する(S3)。
【0070】
上記管理位置情報は、例えば圃場Hへの水管理装置1の設置時に、作業者が設置装置により地図アプリ等で実施の水管理装置1の位置を確認しながら、制御装置60の内部メモリ又は記憶部30に書き込む。支援装置4の記憶部4bにも、各水管理装置1の管理位置情報が予め記憶されている。
他の例として、水管理装置1にGPSモジュールを備え、当該GPSモジュールが検出した位置情報を、水管理装置1の管理位置情報として、制御装置60が内部メモリ等に予め記憶させてもよい。又は、例えば支援装置4等に予め記憶させておいた水管理装置1の管理位置情報を、制御装置60が通信装置70により取得(受信)して、内部メモリ等に記憶させてもよい。
【0071】
例えば、作業者が圃場Hで作業を行わないため、携帯端末2を携帯した状態で圃場Hから遠く離れた場所P1(
図13)に居る。このとき、距離演算部60aにより演算された携帯端末2までの距離Dが所定の閾値Da以上になる(
図9のS4:YES)。
この場合、水管理装置1の制御装置60は、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とをそれぞれ第1周期Ta1、Tb1で維持する(S5)。そして、制御装置60は、通信装置70により支援装置4に対して第1周期Ta1で制御情報又は監視情報を送受信し(
図12の(a))、且つ監視装置50、80により第1周期Tb1で圃場Hを監視する(
図12の(b)、
図9のS1)。
【0072】
一方、例えば作業者が圃場Hで、水管理装置1の給排水動作の確認、監視装置80、50の調整や監視結果の確認、又は各部のメンテナンス等の作業を行うため、携帯端末2を携帯した状態で、
図13の場所P1から圃場Hの近くにある場所P2に移動する。すると、水管理装置1の距離演算部60aにより演算された携帯端末2までの距離Dが閾値Da未満になる(
図9のS4:NO)。
【0073】
この場合、水管理装置1の制御装置60は、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とをそれぞれ第1周期Ta1、Tb1より短い第2周期Ta2、Tb2(例えば1分間隔)に切り替える(S6)。そして、制御装置60は、通信装置70により支援装置4に対して第2周期Ta2で制御情報又は監視情報を送受信し(
図12の(a))、且つ監視装置50、80により第2周期Tb2で圃場Hを監視する(
図12の(b)、
図9のS7)。このとき、制御装置60と通信装置70は常時起動状態にある。
【0074】
上記により、水管理装置1では、制御装置60が、通信装置70により支援装置4から第2周期Ta2で受信した制御情報(制御指令)に基づいてアクチュエータ10を駆動するため、アクチュエータ10の駆動周期、即ち弁体102、125の開閉動作による給排水周期が、第2周期Tc2で行われる(
図12の(c))。
そして、
図12(c)に示すように、アクチュエータ10を前回駆動してから今回駆動するまでの時間間隔Tc2が、予め設定された水管理スケジュールに従ってアクチュエー
タ10を駆動していたそれまでの駆動周期Tcと異なる。
図12(c)に示した例では、水管理装置1が支援装置4から複数回連続でアクチュエータ10の駆動指令を受信して、当該駆動指令に基づいてアクチュエータ10を駆動する場合において、アクチュエータ10の前回駆動から今回駆動までの時間間隔Tc2が、それまでの駆動周期Tcや前述の時間間隔Tc1より短くなり且つ通信装置70の通信周期Ta2と略同等になっている。
【0075】
また、制御装置60は、通信装置70により支援装置4から第2周期Ta2で受信した制御情報に基づいて、検出装置50及び監視カメラ80の動作を制御する。また、検出装置50の各センサ50a~50eが第2周期Tb2で対象の検出値を検出し、監視カメラ80が撮像した画像データを第2周期Tb2で記憶部30に保存する。
さらに、制御装置60が、検出装置50及び監視カメラ80による監視結果を示した監視情報を、通信装置70により第2周期Ta2で支援装置4に送信する。なお、通信装置70により通信する第2周期Ta2と監視装置50、80により監視する第2周期Tb2とは、同一周期であってもよいし、又は異なる周期であってもよい。
【0076】
その後、例えば作業者が圃場Hでの作業を終了して、携帯端末2を携帯した状態で、
図13の圃場Hから遠く離れた場所P3に移動(圃場Hからの退去)すると、この携帯端末2の位置情報が支援装置4を経由して、水管理装置1の通信装置70により取得される(
図9の2:YES)。そして、距離演算部60aが携帯端末2までの距離Dを演算し(S3)、当該距離Dが閾値Da以上になる(S4:YES)。この場合、制御装置60は、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とをそれぞれ第1周期Ta1、Tb1に切り替える(S5)。そして、制御装置60は、通信装置70により支援装置4に対して第1周期Ta1で制御情報又は監視情報を通信し(
図12の(a))、且つ監視装置50、80により第1周期Tb1で圃場Hを監視する(
図12の(b)、
図9のS1)。
【0077】
支援装置4では、水管理装置1から第1周期Ta1で送信された制御情報又は監視情報を受信した(
図10のS11)場合よりも、第2周期Ta2で送信された制御情報又は監視情報を受信した(S11)場合の方が、データベース4hにおける当該水管理装置1の制御情報又は監視情報の更新(S12の記憶処理)の周期が短くなる。
携帯端末2では、支援装置4との接続確立(
図11のS22:YES)後に、例えば作業者が表示操作部2cで所定の操作を行って、水管理装置1の制御情報又は監視情報を要求する指示を入力する(S23:YES)。すると、制御部2aが、支援装置4に対して水管理装置1の制御情報又は監視情報を要求するリクエスト信号を通信部2dにより送信する(S24)。
【0078】
支援装置4では、携帯端末2から送信されたリクエスト信号を通信部4dにより受信すると(
図10のS16:YES)、当該リクエスト信号に基づいてデータベース4hから水管理装置1の制御情報又は監視情報を読み出して、当該制御情報又は監視情報を携帯端末2に送信する(S17)。
携帯端末2では、支援装置4から送信された水管理装置1の制御情報又は監視情報を通信部2dにより受信すると(
図11のS25:YES)、当該制御情報又は監視情報を圃場管理アプリによって表示操作部2cに表示する(S26)。
【0079】
また、作業者が表示操作部2cで所定の操作を行って、水管理装置1の給排水動作や監視動作の指示を入力する(S27)。すると、制御部2aが、当該動作指示の内容を示した動作指示信号を通信部2dにより支援装置4に送信する(S28)。なお、
図11の処理S23~S28は、作業者が表示操作部2cで所定の操作を行って、圃場管理アプリが終了する(S29:YES)まで、繰り返し実行される。
【0080】
支援装置4では、携帯端末2から送信された動作指示信号を通信部4dにより受信すると(
図10のS18:YES)、当該動作指示信号に基づいて水管理装置1に対する制御情報(制御指令)を生成し、当該制御情報を通信部2dにより水管理装置1に送信する(S19)。このとき、制御情報が水管理装置1で確実に受信されるように、通信部4dにより水管理装置1に対して制御情報を複数回送信してもよい。
【0081】
水管理装置1では、支援装置4から送信された制御情報を通信装置70により受信する
と(
図9のS1又はSS7)、制御装置60が当該制御情報に基づいて、アクチュエータ10を駆動して給排水動作を実行したり、検出装置50及び監視カメラ80の動作を制御したりする。
図11に示した携帯端末2と同様の動作を、端末装置3(
図6)でも行うことが可能である。即ち、作業者は、端末装置3の操作部3gで所定の操作を行うことにより、圃場管理アプリを起動して、支援装置4との接続を確立する。そして、作業者が表示部3cに表示された圃場管理アプリの画面を見ながら、操作部3gで所定の操作を行うことにより、制御部3aが水管理装置1の制御情報又は監視情報を通信部3dにより支援装置4から取得して、当該制御情報又は監視情報を表示部3cに表示させる。また、作業者が操作部3gで所定の操作を行うことにより、制御部3aが水管理装置1の給排水動作や監視動作の実行指示を通信部3dにより支援装置4に送信する。すると、支援装置4が当該実行指示に基づいて、水管理装置1に給排水動作や監視動作を行わせる。
【0082】
また、作業者が端末装置3を操作して、水管理装置1の通信装置70による通信周期や監視装置80、50による監視周期を切り替えることも可能である。具体的には、例えば、作業者が操作部3gで所定の周期切替操作を行うことにより、制御部3aが水管理装置1の通信装置70による通信周期又は監視装置80、50による監視周期を切り替える周期切替指示を、通信部3dにより支援装置4に送信する。支援装置4は、周期切替指示を端末装置3から受信して、水管理装置1に転送する。水管理装置1は、周期切替指示を支援装置4から受信すると、当該周期切替指示に基づいて通信装置70による通信周期や監視装置80、50による監視周期を第1周期Ta1、Tb1又は第2周期Ta2、Tb2に切り替える。
<他の実施形態の水管理装置等の動作>
上述した第1実施形態では、距離演算部60aが、携帯端末2の位置情報に基づいて、水管理装置1から携帯端末2までの距離Dを演算し、当該距離Dを、水管理装置1を基準に設定された閾値Da(
図13)と比較する例を示した。然るに、これ以外に、例えば、距離演算部60aが、携帯端末2の位置情報に基づいて、圃場Hから携帯端末2までの距離を演算し、当該距離を、
図14に示すような圃場Hを基準に設定された所定の閾値Dbと比較してもよい。この場合、圃場Hから携帯端末2までの距離が閾値Db以上であれば、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期を長い方の第1周期Ta1に切り替え、圃場Hから携帯端末2までの距離が閾値Db未満であれば、当該通信周期及び監視周期を短い方の第2周期Ta2に切り替えればよい。
【0083】
また、上述した第1実施形態では、
図9に示したように、水管理装置1が携帯端末2までの距離Dに応じて通信周期や監視周期を切り替えたが、これに代えて、例えば
図15に示すように、携帯端末2の移動状態に応じて通信周期や監視周期を切り替えてもよい。
図15は、第2実施形態の水管理装置1の動作を示すフローチャートである。
第2実施形態では、水管理装置1の通信装置70により支援装置4から携帯端末2の位置情報を取得すると(
図15のS2:YES)、制御装置60の移動検出部60bが携帯端末2の位置情報を所定の複数回N以上取得したか否かを確認する。このとき、携帯端末2の位置情報を1回しか取得していなければ(S3a:NO)、再度支援装置4から携帯端末2の位置情報が送信されるのを待つ。そして、支援装置4から携帯端末2の位置情報を異なるタイミンで複数回N以上取得すると(S3a:YES)、移動検出部60bは、当該複数の位置情報に基づいて、携帯端末2の移動状態を検出する(S3b)。
【0084】
例えば作業者が圃場Hで作業を行うため、携帯端末2を携帯した状態で、
図16に示すように圃場Hより遠く離れた場所P4から、圃場Hの近くにある場所P5まで移動した場合、携帯端末2が場所P4と場所P5に位置していたことを示した携帯端末2の位置情報がそれぞれ水管理装置1の通信装置70により取得される。このため、移動検出部60bは、少なくともその携帯端末2の場所P4、P5における位置情報に基づいて、携帯端末2が水管理装置1に近づいていることを検出する(
図15のS4a:YES)。
【0085】
すると、制御装置60が、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とをそれぞれ第2周期Ta2、Tb2に切り替える(S6)。そして、制御装置6
0は、通信装置70により支援装置4に対して第2周期Ta2で制御情報又は監視情報を送受信し(
図12の(a))、且つ監視装置50、80により第2周期Tb2で圃場Hを監視する(
図12の(b)、
図15のS7)。
【0086】
一方、例えば作業者が圃場Hでの作業を終了したため、携帯端末2を携帯した状態で、
図16に示すように、圃場Hの近くにある場所P6から圃場Hより遠く離れた場所P7まで移動した場合、携帯端末2が場所P6と場所P7に位置していたことを示した位置情報がそれぞれ水管理装置1の通信装置70により取得される。このため、移動検出部60bは、少なくともその携帯端末2の場所P6、P7における位置情報に基づいて、携帯端末2が水管理装置1から離れていることを検出する(
図15のS4a:NO)。
【0087】
すると、制御装置60が、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とをそれぞれ第1周期Ta1、Tb1に切り替える(S5)。そして、制御装置60は、通信装置70により支援装置4に対して第1周期Ta1で制御情報又は監視情報を送受信し(
図12の(a))、且つ監視装置50、80により第1周期Tb1で圃場Hを監視する(
図12の(b)、
図15のS1)。
【0088】
上記の例では、移動検出部60bが、2か所の携帯端末2の位置情報に基づいて、携帯端末2の移動状態を検出したが、3か所以上の携帯端末2の位置情報に基づいて、携帯端末2の移動状態を検出してもよい。また、水管理装置1又は圃場Hに対する携帯端末2の近づき度合い(距離や時間等)も考慮して、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とを切り替えてもよい。
【0089】
また、例えば
図17に示すように、水管理装置1が、携帯端末2の移動状態と携帯端末2までの距離Dとに応じて、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とを切り替えてもよい。
図17は、第3実施形態の水管理装置1の動作を示すフローチャートである。
第3実施形態では、支援装置4から携帯端末2の位置情報を異なるタイミンで複数回N以上取得すると(
図17のS3a:YES)、当該複数の位置情報に基づいて、距離演算部60aが携帯端末2までの距離Dを演算し(S3)、移動検出部60bが携帯端末2の移動状態を検出する(S3b)。
このとき、携帯端末2が水管理装置1に近づいていることが移動検出部60bにより検出され(S4a:YES)、さらに携帯端末2までの距離Dが閾値Da未満であれば、(S4:NO)、制御装置60が、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とをそれぞれ第2周期Ta2、Tb2に切り替える(S6)。そして、制御装置60は、通信装置70により支援装置4に対して第2周期Ta2で制御情報又は監視情報を送受信し(
図12の(a))、且つ監視装置50、80により第2周期Tb2で圃場Hを監視する(
図12の(b)、
図17のS7)。
【0090】
一方、携帯端末2が水管理装置1に近づいていることが移動検出部60bにより検出されても(
図17のS4a:YES)、携帯端末2までの距離Dが閾値Da以上であれば(S4:YES)、制御装置60が、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とをそれぞれ第1周期Ta1、Tb1に切り替える(S5)。そして、制御装置60は、通信装置70により支援装置4に対して第1周期Ta1で制御情報又は監視情報を送受信し(
図12の(a))、且つ監視装置50、80により第1周期Tb1で圃場Hを監視する(
図12の(b)、
図17のS1)。
【0091】
上記により、例えば
図18に示すように、水管理装置1に対して閾値Daと略同等の距離離れた場所P8、P9で、携帯端末2を携帯した作業者が圃場Hで作業を行うことなくうろついた場合に、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とが短い第2周期Ta2、Tb2に切り替わって、無駄に蓄電池41aの電力を消費するのを阻止することができる。また、携帯端末2を携帯した作業者が圃場Hの近くを通り過ぎた(例えば、場所P10から場所P11への移動)場合にも、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とが短い第2周期Ta2、Tb2に切り替わって、無駄に蓄電池41aの電力を消費するのを阻止することができる。
【0092】
他の例として、
図17の実施形態において、携帯端末2が水管理装置1に近づいていな
いことが移動検出部60bにより検出された場合(
図17のS4a:NO)、携帯端末2までの距離Dが閾値Da未満であれば、制御装置60が、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とをそれぞれ第2周期Ta2、Tb2に切り替えてもよい。
【0093】
上述した実施形態では、距離演算部60aと移動検出部60bを水管理装置1に設けたが、これに代えて、例えば
図19に示す第4実施形態のように、支援装置4に距離演算部4jと移動検出部4kを設けてもよい。この場合、支援装置4では、携帯端末2の位置情報を取得すると、距離演算部4jが、当該携帯端末2の位置情報と、予め記憶された水管理装置1の位置を示した管理位置情報又は圃場Hの位置を示した圃場位置情報とに基づいて、水管理装置1又は圃場Hから携帯端末2までの距離を演算する。
【0094】
また、移動検出部4kが、携帯端末2の複数の位置情報に基づいて、携帯端末2の移動状態を検出し、さらに携帯端末2が水管理装置1に近づいているか否かを検出する。そして、制御部4aが、上記の距離演算部4jの演算結果又は移動検出部4kの検出結果を、通信部4dにより水管理装置1に送信する。
水管理装置1では、支援装置4から送信された距離演算部4jの演算結果又は移動検出部4kの検出結果を通信装置70により受信すると、制御装置60が、当該距離演算部4jの演算結果又は移動検出部4kの検出結果に基づいて、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とを第1周期Ta1、Tb1か第2周期Ta2、Tb2に切り替える。
【0095】
又は、支援装置4の制御部4aが、距離演算部4jの演算結果又は移動検出部4kの検出結果に基づいて、水管理装置1の通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とを第1周期Ta1、Tb1か第2周期Ta2、Tb2に決定し、当該決定結果を示す制御情報を通信部4dにより水管理装置1に送信してもよい。この場合、水管理装置1では、支援装置4から送信された上記制御情報を通信装置70により受信すると、制御装置60が、当該制御情報で示された周期の決定結果に従って、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とを第1周期Ta1、Tb1か第2周期Ta2、Tb2に切り替えればよい。
【0096】
また、上述した実施形態では、携帯端末2等で圃場管理アプリを起動すると、支援装置4や水管理装置1が携帯端末2の位置情報を取得したが、例えば圃場管理アプリの起動・停止に関係なく、支援装置4や水管理装置1が所定のタイミングで携帯端末2の位置情報を取得してもよい。
また、上述した実施形態では、水管理装置1が携帯端末2までの距離D又は携帯端末2の移動状態に基づいて、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とを変更した例を示した。然るに、例えば水管理装置1が携帯端末2の位置情報に基づいて、監視装置50、80のうちいずれか一方の監視周期を変更するようにしてもよいし、又は通信装置70による通信周期だけを変更するようにしてもよい。また、通信装置70による通信周期又は監視装置50、80による監視周期を、携帯端末2の位置情報に基づいて3段階以上に切り替えてもよい。
【0097】
また、上述した実施形態では、同一の圃場Hに設置された複数の水管理装置1のそれぞれが、携帯端末2までの距離D又は携帯端末2の移動状態に基づいて、通信周期や監視周期を変更した例を示した。然るに、例えば同一の圃場Hに設置された複数の水管理装置1のうち、少なくともいずれか1つの水管理装置1で、携帯端末2までの距離D又は携帯端末2の移動状態に基づいて通信周期や監視周期が変更されたときに、他の水管理装置1でも通信周期や監視周期を同様に変更するようにしてもよい。
【0098】
また、人工知能(AI)を用いて、携帯端末2の移動傾向(水管理装置1や圃場Hへの接近傾向等)や、圃場管理アプリに基づく携帯端末2の操作傾向等を判断したり、水管理装置1の通信周期や監視周期を変更したりしてもよい。
具体的には、例えば支援装置4において、作物Uの生育に要する所定期間に、携帯端末2の位置情報又は携帯端末2の操作状態を示した操作情報をそれぞれ異なるタイミングで複数取得して、データベース4hに記憶する。そして、データベース4hから複数の位置
情報又は操作情報を読み出して、人工知能による深層学習を実行し、携帯端末2の移動傾向(即ち携帯端末2を携帯した作業者の移動傾向)又は操作傾向を学習済みモデルとして構築する。この際、時間帯も考慮してよい。その後、制御部4aが、上記学習済みモデルと、携帯端末2等から取得した位置情報又は操作情報とに基づいて、水管理装置1の通信周期又は監視周期を変更する度合いやタイミング等を判断し、当該判断結果を示す制御情報を通信部4dにより水管理装置1に送信する。そして、当該制御情報を受信した水管理装置が、当該制御情報に基づいて通信装置70により通信周期や監視装置50、80による監視周期を変更する。
<本実施形態の構成と効果>
本実施形態の圃場Hの水管理装置1及び水管理システム7は、以下の効果を奏する。
【0099】
本実施形態の圃場Hの水管理装置1は、圃場Hに水を供給する給水動作及び圃場の水を排出する排水動作のいずれかを行うアクチュエータ10と、圃場Hを監視する監視装置80、50と、アクチュエータ10若しくは監視装置80、50の制御に関する制御情報又は監視装置80、50の監視結果を示す監視情報を送受信する通信装置70と、アクチュエータ10、監視装置80、50、及び通信装置70を制御する制御装置60と、を備え、制御装置60は、前記制御情報及び前記監視情報を送受信可能な携帯端末2の位置を示した位置情報に基づいて、通信装置70により前記制御情報又は前記監視情報の送受信を行う通信周期を変更する。
【0100】
上記の構成によれば、携帯端末2の位置情報に基づいて、通信装置70による通信周期を長くすることで、水管理装置1の消費電力を低減することができる。また、携帯端末2の位置情報に基づいて、通信装置70による通信周期を短くすることで、作業者が水管理装置1から圃場Hの給排水状態や監視結果等を携帯端末2により取得する際や、水管理装置1を携帯端末2により操作する際に、水管理装置1の反応が早くなるため、圃場Hの見回り作業を効率良く行うことができる。
【0101】
また、本実施形態では、水管理装置1は、電源である電池41aを備え、制御装置60は、携帯端末2の位置情報に基づいて、通信装置70による通信周期を所定の第1周期Ta1と、当該第1周期Ta1より短い所定の第2周期Ta2とに切り替える。この構成によれば、携帯端末2の位置情報に基づいて、通信装置70による通信周期を第1周期Ta1に切り替えることで、電池41aの消費電力を低減することができ、その分水管理装置1の各部の稼働時間を延長することが可能となる。また、携帯端末2の位置情報に基づいて、通信装置70による通信周期を第2周期Ta2に切り替えることで、水管理装置1の反応が早くなるため、圃場Hの見回り作業を効率良く行うことができる。なお、水管理装置1には電源として二次電池である蓄電池41aを設けたが、これに代えて、1次電池を水管理装置1に設けてもよい。
【0102】
また、本実施形態では、水管理装置1は、携帯端末2の位置情報に基づいて携帯端末2までの距離Dを演算する距離演算部60aを備え、制御装置60は、距離演算部60aにより演算された携帯端末2までの距離Dが所定の閾値Da以上である場合、通信装置70による通信周期を第1周期Ta1に切り替え、携帯端末2までの距離Dが閾値Da未満である場合、通信装置70による通信周期を第2周期Ta2に切り替える。
【0103】
この構成によれば、例えば作業者が圃場Hや水管理装置1に近づいて、水管理装置1による給排水動作や監視結果等を確認するため、携帯端末2を操作したときに、通信装置70による通信周期が短い方の第2周期Ta2に自動で切り替えられている。このため、水管理装置1の反応が早くなり、水管理装置1による給排水動作や監視結果等の確認作業を効率良く行うことができる。また、例えば作業者が作業を終えて圃場Hや水管理装置1から遠く離れた場所へ退去したときや、作業者が圃場Hや水管理装置1の近くで作業を行わないときには、通信装置70による通信周期が長い方の第1周期Ta1に自動で切り替えられている。このため、電池41aの消費電力を低減することができ、その分水管理装置1の各部の稼働時間を延長することが可能となる。
【0104】
また、本実施形態では、距離演算部60aは、水管理装置1の位置を示した管理位置情報と、携帯端末2の位置情報とに基づいて、携帯端末2までの距離Dを演算する。この構
成によれば、圃場Hに設置された水管理装置1から、作業者が携帯する携帯端末2までの距離Dを確実に演算することができる。
また、本実施形態では、水管理装置1は、携帯端末2の位置情報に基づいて携帯端末2の移動状態を検出する移動検出部60bを備え、制御装置60は、移動検出部60bにより携帯端末2が近づいていることが検出された場合、通信装置70による通信周期を第2周期Ta2に切り替え、移動検出部60bにより携帯端末2が近づいていないことが検出された場合、通信装置70による通信周期を第1周期Ta1に切り替える。
【0105】
この構成によれば、例えば作業者が携帯端末2を携帯した状態で圃場Hや水管理装置1に近づくと、通信装置70による通信周期が短い方の第2周期Ta2に自動で切り替えられる。このため、携帯端末2で水管理装置1を操作したときに、水管理装置1の反応が早くなり、水管理装置1による給排水動作や監視結果等の確認作業を効率良く行うことができる。また、例えば作業者が携帯端末2を携帯した状態で圃場Hや水管理装置1から遠く離れた場所にいるときは、通信装置70による通信周期が自動で長い方の第1周期Ta1に切り替えられている。このため、電池41aの消費電力を低減することができ、その分水管理装置1の各部の稼働時間を延長することが可能となる。
【0106】
また、本実施形態では、移動検出部60bは、異なるタイミングで取得した携帯端末2の複数の位置情報に基づいて、携帯端末2の移動状態を検出する。この構成によれば、携帯端末2の移動・停止の状態又は移動する方向や速度等を確実に演算することができる。
また、本実施形態では、制御装置60は、携帯端末2の位置情報に基づいて、監視装置80、50により圃場Hを監視する監視周期を変更する。この構成によれば、携帯端末2の位置情報に基づいて、監視装置80、50による監視周期を長くすることで、水管理装置1の消費電力を低減することができる。また、携帯端末2の位置情報に基づいて、監視装置80、50による監視周期を短くすることで、監視装置80、50の監視結果を示す監視情報の更新周期も短くなるため、圃場Hを詳細に監視することができる。
【0107】
また、本実施形態では、制御装置60は、通信装置70による通信周期と同期して、監視装置80、50による監視周期を変更する。この構成によれば、通信装置70による通信周期と監視装置80、50による監視周期とを同じタイミングで変更することができる。このため、水管理装置1の消費電力をより低減し、且つ圃場Hの見回り作業をより効率良く行うことが可能となる。
【0108】
また、本実施形態の圃場Hの水管理システム7は、上述した水管理装置1と、当該水管理装置1が有するアクチュエータ10若しくは監視装置80、50の制御に関する制御情報、又は監視装置80、50の監視結果を示す監視情報を送受信可能な携帯端末2と、を含んでいる。この構成によれば、携帯端末2の位置情報に基づいて、水管理装置1の通信周期を変更して、水管理装置1の消費電力を低減し且つ圃場Hの見回り作業を効率良く行うことができる。
【0109】
また、本実施形態では、水管理システム7は、水管理装置1及び携帯端末2に対して前記制御情報及び前記監視情報を送受信可能な支援装置4を含んでいる。この構成によれば、水管理装置1と携帯端末2の間で支援装置4を介して、水管理装置1の制御情報や監視情報を送受信することができる。また、携帯端末2の位置情報に基づいて、水管理装置1の支援装置4に対する通信周期を変更することで、携帯端末2が水管理装置1の制御情報や監視情報を受信する周期を同様に変更することができる。このため、水管理装置1の制御情報や監視情報を携帯端末2で確認しながら、圃場Hの見回り作業を効率良く行うことが可能となる。
【0110】
また、
図19に示した第4実施形態では、水管理システム7は、携帯端末2の位置情報に基づいて水管理装置1又は圃場Hから携帯端末2までの距離Dを演算する距離演算部4jを、水管理装置1に代えて、支援装置4に備えている。この構成によれば、水管理装置1又は圃場Hから携帯端末2までの距離Dを支援装置4で演算して、例えば当該距離Dを示す情報を支援装置4から水管理装置1に送信することで、水管理装置1において、携帯端末2までの距離Dに基づいて通信装置70による通信周期や監視装置80、50による監視周期を変更することができる。
【0111】
さらに、本実施形態では、水管理システム7は、携帯端末2の位置情報に基づいて携帯端末2の移動状態を検出する移動検出部4kを、水管理装置1に代えて、支援装置4に備えている。この構成によれば、携帯端末2の移動状態を支援装置4で演算して、例えば当該携帯端末2の移動状態を示す情報を支援装置4から水管理装置1に送信することで、水管理装置1において、携帯端末2の移動状態に基づいて通信装置70による通信周期や監視装置80、50による監視周期を変更することができる。
【0112】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
1 水管理装置
2 携帯端末
4 支援装置
4j 距離演算部
4k 移動検出部
7 水管理システム
10 アクチュエータ
41a 畜電池(電池)
50 検出装置(監視装置)
60 制御装置
60a 距離演算部
60b 移動検出部
70 通信装置
80 監視カメラ(監視装置)
D 距離
Da、Db 閾値
H 圃場
Ta1 第1周期
Ta2 第2周期