(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】病状をモニターするためにペプチド濃度を測定する生体医療用測定装置、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/543 20060101AFI20240729BHJP
G01N 33/545 20060101ALI20240729BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
G01N33/543 521
G01N33/545 A
G01N33/543 541B
G01N33/53 D
(21)【出願番号】P 2020532648
(86)(22)【出願日】2018-12-17
(86)【国際出願番号】 US2018066012
(87)【国際公開番号】W WO2019118971
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-12-14
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518110534
【氏名又は名称】ジャナ ケア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】JANA CARE,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】アショク エー.クマル
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー イー.スチョンホルン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ビー.ルッカドー
(72)【発明者】
【氏名】アブハ パチル
(72)【発明者】
【氏名】ララ ムレイ
(72)【発明者】
【氏名】ハルシット ハルパルダス
(72)【発明者】
【氏名】ミチャル デパ
(72)【発明者】
【氏名】シドハント ジェナ
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0234858(US,A1)
【文献】特表2009-538288(JP,A)
【文献】特開2003-083970(JP,A)
【文献】特開2005-181304(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0226736(US,A1)
【文献】特表2015-533211(JP,A)
【文献】YOU, M. et al.,Household Fluorescent Lateral Flow Strip Platform for Sensitive and Quantitative Prognosis of Heart Failure Using Dual-Color Upconversion Nanoparticles,ACS Nano,2017年05月08日,Vol.11, No.6,p.6261-6270
【文献】コアフロント株式会社,ユーロピウムキレート蛍光粒子,カタログ,2022年11月25日,[online], インターネット <URL: https://www.corefront.com/particle/thermo-europium/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/543
G01N 33/545
G01N 33/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電子読み取り装置付属品をモバイル装置と共に使用してラテラルフロー試験片を分析する、全血、血清又は血漿中の被検物質NT-proBNPを検査するためのシステムであって、該システムは:
中央処理ユニットを含むモバイル装置、
ラテラルフロー試験片であって、
血液細胞を保持する一方、該
全血、血清又は血漿の流体は該試験片上の受動的吸収部を通過するように構成されたサンプルパッド、
ユーロピウムキレート蛍光マイクロ粒子へコンジュゲートされた、24E11(アミノ酸残基67~76)
及び16E6(アミノ酸残基34~39)
からなる群から選ばれる、蛍光標識されたモノクローナル抗体をその上に有するコンジュゲートパッドであって、該流体と接触すると該蛍光標識されたモノクローナル抗体を放出するように構成され、該蛍光標識されたモノクローナル抗体は該流体からNT-proBNPを選択的に捕獲する、前記コンジュゲートパッド、及び
その上に印刷された
モノクローナル抗体15F11(アミノ酸残基13~24)の検査線で鋭敏化されている
吸水膜であって、
該モノクローナル抗体15F11は該蛍光標識されたモノクローナル抗体と結合したNT-proBNPを選択的に捕獲するように構成され、該試験片上の該コンジュゲートパッドと流体接
続している前記
吸水膜、を含む、前記
ラテラルフロー試験片;並びに、
該モバイル装置と接続するように構成された光電子読み取り装置付属品であって、
光が画定された視軸で該光電子読み取り装置付属品へ入光して通過し出光することを可能とするように構成された開口部が画定されている構造、
該試験片を動作可能に挿入するため
のスロットを画定する構造であって、該スロットは、該画定された視軸と交差するように該試験片を方向付けるように構成されている、前記構造、
該光電子読み取り装置付属品内の回路上の電子部品を制御し、該モバイル装置の中央処理ユニットと動作可能に通信するように構成されたマイクロコントローラ、
300~400nmの波長で光を放射するように構成された少なくとも1つの光源、
該少なくとも1つの光源からの光が該試験片の検査領域の表面へ導かれるように構成された反射面、
検査時間中に該試験片からの複数の光信号を検出するように構成された光学システム、及び、
該光電子読み取り装置付属品内に設置され、該マイクロコントローラ、該少なくとも1つの光源、及び該光学システムと動作可能に接続されている電源、を含む、前記光電子読み取り装置付属品を含み、
該光電子読み取り装置付属品が、該光学システムからの該光信号を表す信号を該モバイル装置の該中央処理ユニットへ通信し、該信号が分析されて、検査時間中に得られた該光信号を表す該信号に基づき、該
全血、血清又は血漿中のNT-proBNPの濃度の推定値が提供されるように構成されている、
前記システム。
【請求項2】
基準蛍光材料が前記ラテラルフロー試験片の検査線上に共印刷され、該基準蛍光材料はユ
ーロピウムキレートを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記ラテラルフロー試験片は、前記光電子読み取り装置付属品内に適合するカセット内に収容される、請求項
1又は2記載のシステム。
【請求項4】
更に、検査範囲外の状態を検出するように構成された、前記光電子読み取り装置付属品内の回路を含み、該回路は低バッテリ検出回路及び温度範囲外を検出する回路の内の一つである、請求項
1又は2記載のシステム。
【請求項5】
前記ラテラルフロー試験片は、更に、該試験片全体に吸収流れを提供するように構成されたエンドパッドを含み、該エンドパッドは、該試験片上の前記膜と流体接続している、請求項
1又は2記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
実施態様は、主にうっ血性心不全等の、使用者の病状をモニタリングするためのイムノアッセイに関し、より具体的には、試験片及びモバイル装置と接続された、携帯可能な光電子読み取り装置を使用して、血液サンプル中のN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチドのレベルを測定する方法並びにシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
イムノアッセイは、抗原又は抗体としてのそれらの特性を利用して、特定のタンパク質やその他の物質を検出又は測定するための手順である。近年のイムノアッセイの開発には、臨床現場検査(point-of-care test)が含まれ、それは光電子装置又はその付属品を使用し、限定するものではないが、例えば蛍光イムノクロマトグラフィーアッセイ等のイムノアッセイが、スマートフォン、ラップトップ、タブレット、ブレスレット、スマートウォッチ、若しくはその他の携帯可能な装置等のモバイル機器と組み合わせて実施され、光電子装置から収集されたデータは処理されて、使用者の病状がモニターされる。
【0003】
そのような病状の一つは心不全である。心不全は、毎年1100万件の医師の往診の原因であり、すべての形態のがんの合計よりも多くの入院の原因でもある。これら1,100万件の医師の往診の中で、うっ血性心不全(CHF)は、875,000件以上の入院中で最初に挙げられる診断名であり、65歳以上の入院患者で最も一般的な診断である。米国では毎年約550,000件の新規ケースが診断されており、CHFに関する直接費用は年間380億ドルと見積もられている。心臓病及びCHFの危機は、人口が高齢化するにつれて増加し続けるので、予後を改善し、コストを削減するために、新しい診断戦略を見分けることが重要である。
【0004】
CHFの現在の治療法には、アンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害剤及びベータ遮断薬の使用が含まれる。しかし、これらの薬剤は充分に活用されておらず、利用されるときも不適当な処方がされている。
【0005】
心臓神経ホルモン活性化のマーカー、特にN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)は、CHF患者を特定し、治療するための可能なツールとして特定されている。B型(又は脳性)ナトリウム利尿ペプチドは、(ナトリウム利尿及びジエレシス(dieresis)を介する)体液のホメオスタシス並びに(アンジオテンシスII、ノルエピネフリン合成の減少を介する)血管緊張に悪影響を及ぼし、この両者とも、CHFの病態生理における必須の要素である。ヒトにおいては、NT-proBNPは左心室(LV)心筋に最大濃度で見られるが、心房組織や右心室の心筋でも同様に検出可能である。
【0006】
NT-proBNPレベルは、CHFの診断、臨床状態、及び予後診断と相関しており、CHF患者の長期的な管理に有用であろうことを示す重要な証拠が開発されている。NT-proBNPレベルは、急性CHFの診断に非常に敏感で特異的であり、CHFの兆候の重症度と相関する。複数の研究で、NT-proBNPレベルは非代償性CHFの患者では著しく高かったが、CHFの治療と連動してNT-proBNPレベルが降下したことが示された。その結果、上昇したNT-proBNPは、急性CHFの最終的な診断のための単一で最も強力で独立した予測因子の一つであること、NT-proBNPレベルのモニタリングは、心臓に問題を抱える患者の臨床的病歴へ更に大きな診断的検出力を与えることが証明された。
【0007】
過去数十年の間に、放射イムノアッセイ(RIA)、免疫放射測定アッセイ(IRMA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、及び最近開発された電気化学発光イムノアッセイ法(ECLIA)を含む、いくつかの分析方法が、血清中のNT-proBNPレベルの検出のために開発されてきた。しかし、ELISAは、より大きなサンプル量と長い検出時間を必要とし、RIA及びIRMAは放射性核種汚染の問題を生じ、自動化も難しい。ECLIAは、高感度、特異性及び容易に操作できる自動化を特徴としているが、やはり高コストで、実験室指向型の大きな分析機器が必要であり、熟練した個人サンプル輸送を行う必要があり、長い待ち時間も必要である。
【0008】
NT-proBNPの検出に関する最近の開発には、POCT(臨床現場試験)及び蛍光イムノクロマトグラフィーアッセイの使用が含まれる。サンドイッチ型のイムノアッセイフォーマットに基づくと、サンプル中の被検物質は、蛍光タンパク質で標識化された一のモノクローナル抗体によって捕獲され、ニトロセルロース膜上に固定化された別のモノクローナル抗体によって「サンドイッチ」される。被検物質の蛍光及び濃度は、蛍光分析装置により、測定され、計算される。このNT-proBNP検出方法は、ストレプトアビジン修飾した蛍光タンパク質をトレーサーとして適用し、ビオチン標識された抗NT-proBNP抗体を固定化パッド上にコンジュゲートすることで、ヒト血清サンプル中のNT-proBNPの検出が促進される。この種の検査は、患者に迅速で正確な検査結果を提供し、治療戦略を改善するが、NT-proBNPのための現在のPOCTは、認定された臨床検査所の外で実施するために充分なほど単純でないか、それとも臨床現場の場面で使用するには費用対効果が良くない。より手頃な価格で、医療専門家又は患者が自宅で簡単に使用できるNT-proBNPテストを提供するために、単純なアッセイと装置を使用したPOCTが望まれている。
【0009】
現在の蛍光検出装置の中で、デジタルカメラコンポーネント又は高速電子コンポーネントが、蛍光タンパク質の検出に最も一般的に使用されている。米国特許出願公開第2015-0056719(A1)号のKarlovacは、ユニバーサル高速診断検査読み取り装置の主要コンポーネントとしてデジタルカメラを使用することをクレームしており;米国特許第7,416,700号のBuechlerは、光エネルギー源及び光エネルギー検出器に関するアッセイを配置するために駆動電子機器を必要とするアッセイ機構を使用している。カナダ特許第2,132,707号のStudholmeは、分析されるサンプルを励起するためのレーザーダイオードをクレームしている。他の蛍光方法では、蛍光を検出するために異なる手段及び方法を使用するが、それは臨床現場での検査へは適用できない。米国特許第5,994,707号のMendozaは、光ファイバーベースのみに基づく光学インターフェースを使用する蛍光分光法をクレームし、米国特許第8,824,800号のBremnesは、クロマトグラフィー試験片、及びアッセイを完了するための試験片の画像をクレームしている。しかし、これらの検出装置のコンポーネントでは、検出システムの最小費用及び最小サイズは制限されている。
【0010】
NT-proBNPを測定するためにも、様々な方法が開示されてきた。米国特許第7,507,550号のSpinkeは、NT-proBNPに対する少なくとも2個の抗体を含む、NT-proBNPを決定するための分析用サンドイッチ型検査を開示し、このNT-proBNPに対する抗体の少なくとも1つはモノクローナル抗体である。これら抗体の1種は、少なくともアミノ酸38~50を含むNT-proBNPのエピトープの一部を対象とする。更に、これらの抗体の1つは、少なくともアミノ酸1~37又は43~76を含むNT-proBNPのエピトープの部分を対象としている。この抗体によって認識されるエピトープは又、わずかに重複してもよい。
【0011】
米国特許出願公開第2009-0163415(A1)号のKatrukhaは、proBNP及びNT-proBNPのグリコシル化形態に対する抗体を開示し、これらは、抗体生成のための抗原として使用でき、かつ、異なるタイプのイムノアッセイにおける、キャリブレーター又は免疫学的標準として使用できる。この開示は又、サンプル中のBNP免疫活性の検出法において使用するための、安定な標準又はキャリブレーターであるプロ脳ナトリウム利尿ペプチド(proBNP)調製物に関し、この調製物は、グリコシル化proBNP若しくはそのフラグメントをも含む。更に、この開示は、患者の血液中を循環するNT-proBNPを正確に検出するアッセイに関し、proBNP分子のグリコシル化レベルを利用している。
【0012】
米国特許第7,175,992号でFongは、流体サンプル中の目的の被検物質の量を定量的に測定する方法、及びその方法に有用なキットを開示している。この方法は、適用ポイント、サンプル捕獲領域、及びコントロール(対照体)捕獲領域を有する膜を備えた固相器具を提供することを含み、該サンプル捕獲領域は、接触領域とコントロール捕獲領域との間にあり;さらに、被検物質結合粒子の集団又は被検物質で被覆された粒子の集団を含むサンプル収集器具を提供することも含む。このアッセイでは、流体サンプルはサンプル収集器具に導入され、その結果生じる混合物が膜の適用ポイントに適用される。流体は、アッセイ成分を、毛管現象により輸送し、サンプル捕獲領域へ向かわせて通過させ、その後、コントロール捕獲領域へ向かわせて通過させる。流体サンプル内の被検物質量は、修正された粒子量に(例えば、正又は反比例で)関連付けられ、これは、例えば、サンプル捕獲領域内の粒子量とコントロール捕獲領域内の粒子量の比率として決定できる。
【0013】
米国特許第6,509,196号のBrooksは、定量的なイムノアッセイにおける非特異的信号の補正を開示する。開示された方法は、適用ポイント、検出領域、並びに接触領域を備えた膜を提供することであり、該接触領域は、適用ポイントと検出領域の間にあり、その中に試験粒子及び内部コントロール粒子が埋め込まれていること;該適用ポイントへ流体サンプルを接触させること;流体が被検物質を毛細管現象により接触領域へ輸送するのに十分な条件下で、膜を保持することであり、該接触領域で被検物質が試験粒子に結合すること;更に、流体が、被検物質へ結合した試験粒子及び内部コントロール粒子を検出領域へ輸送するのに十分な条件下で膜を保持することであり、該検出領域でそれら粒子は検出試薬と相互反応すること;並びに、該検出領域内で、試験粒子量及び内部コントロール粒子量を検出すること、を含む。流体サンプル中の被検物質量は補正された試験粒子量に関連付けられ、それは、例えば、検出領域内での試験粒子量と内部コントロール粒子量との差として決定され得る。又、流体サンプルは、器具の検出領域と接触させることができ、試験粒子は、流体を適用ポイントに加えることによって動かせる。その他の方法では、酵素結合免疫吸着アッセイ用の固相反応物を提供すること、並びに固相反応物を初期検出抗体及び内部コントロール抗体を含む溶液と接触させることを含む。流体サンプル中の被検物質の量は、初期検出抗体の補正量に関連し、これは、例えば、固相反応物上の、初期検出抗体の量及び内部コントロール抗体の量の差として決定できる。ラテラルフローイムノアッセイを定量的に評価する別の方法は、文献Rey, E. G., O’Dell, D., Mehta, S. & Erickson, D.,表題「リアルタイム反応速度論を使用したラテラルフローサンドイッチイムノアッセイにおけるフック効果の軽減」Anal. Chem. 89, 5095-5100 (2017)に記載されている。この文献には、検査を評価してフック効果(又はプロゾーン)を克服するために、検査線及びコントロール線の両方の時間ベースの読み取りを行い、パラメータとして比率を使用する方法について記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
これら従来技術にもかかわらず、定量的なラテラルフロー検査システム例の実施は、限られたままである。蛍光ラテラルフロー読み取り装置のための画像ベース分析への依存は、頑強で持ち運びでき、かつ高価ではない蛍光読み取り装置の開発を制限してきた。特にNT-proBNPのケースでは、被検物質が本来的に広い範囲であるため(1桁から数万pg/mLまで)、臨床関連の分野全般で、充分な精度と正確性を達成する課題が生じている。従って、CHF患者を特定して管理するために、広く利用可能で、対費用効果が高く、正確なNT-proBNP検出用POCT診断ツールが、依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(概要)
本発明の実施態様は、病状をモニターするために、血液、血漿、血清、唾液、汗、尿等の担体、若しくは他の適切な担体中の、タンパク質又はペプチド(オリゴ若しくはポリ)又はその他のマーカー、又は被検物質の、濃度を検出するシステム並びに方法に関し、当該システムは、例えば、(i)光電子読み取りのために該マーカーを単離するように特別に構成された試験片、(ii)光電子読み取り装置、(iii)信号を分析する方法、及び任意で(iv)試験片ホルダ、を含む。効率を上げるため、本明細書に記載される実施態様は、心不全等の心臓の病状をモニタリングするために血液、血清又は血漿中のNT-proBNPの濃度を検出するためのシステム及び方法に特化している。しかし、当業者であれば、当該システム及び方法は、心不全以外の病状をモニタリングするために、別のタンパク質、又は疾患マーカーの濃度を検出する構成とすることを認識するだろう。
【0016】
実施態様では、血液、血清又は血漿中のNT-proBNP濃度を検出するシステムは、(i)試験片、(ii)光電子読み取り装置、(iii)信号分析方法、及び任意で(iv)試験片ホルダを含む。前記試験片は、蛍光信号を使ったラテラルフローイムノアッセイの一種でもよい。光電子読み取り装置は、好ましくは、携帯電話又はタブレット装置へ動作可能に接続していて、コンパクトで片手で持ち運び可能な装置であり、試験片の蛍光を励起すること、放射された信号を読み取ることの両方が可能である。該信号分析方法は、サンプル及び検査変動性を補正する、高投与量によるフック効果を克服する、並びに検査手順内のエラーを検出するための方法を含む。
【0017】
一の実施態様では、液体又は固体物質のいずれかに含まれる様々な生物学的及び化学的被検物質を、蛍光ベースの分析検査のための定量的な読み取りを提供できる蛍光光度計に接続された携帯電話の使用により測定するために、モバイル装置が使用される。1以上の光源では、少なくとも一つはUV光を放出し、可視光及びUV光の吸収が最小である光路コンポーネントと組み合わされる。色選択のために有機顔料フィルタを備えた光検出器、又は、Gaussianフィルタを備えた光検出器が、チップ上で任意のフィルタゲル若しくはガラスフィルタ部品と共に組み込まれる。完全に組み立てられた蛍光検出装置は、略式に光電子読み取り装置と称されるが、ヘッドホンジャック、Bluetooth、又はその他の接続を介して、携帯電話等のモバイル装置へ接続される。このモバイル装置は、分析及びパラメータの設定を可能とするだけでなく、データを記録し、送信することも可能にする。
【0018】
一の実施態様では、モノクローナル抗体は、ラテックスへ二段階プロセスで共有的にコンジュゲートされ、試験片と一緒に使用される。この試験片は、光電子読み取り装置及びモバイル装置を利用して、NT-proBNPの定量的な検出用分析方法と組み合わされる。
【0019】
一の実施態様では、NT-proBNP検査システムのための方法は、初期時点(initial time point)での検査読み取りと、検査結果が展開中の所定間隔時点での検査読み取りとを含み、該検査の動的挙動は、フック効果のために、他の方法では終点(end-point)測定値による見分け困難なサンプル間の差異を区別するために使用できる。該試験片は、標的抗原を捕獲する検査線から構成され、更に、一の実施態様では、基準材料を捕獲するコントロール線を含む。反射光測定と、異なる励起波長若しくは発光波長を有する2種の蛍光標識、又は異なる吸収波長を有する2種の着色ビーズによる蛍光光度と、の組み合わせを使用すると、検査線及びコントロール線は、それらが展開するに従って同時に読み取られ、動態形成が、高い被検物質濃度を区別するために使用できる。ある蛍光標識が、その他の測定用の可視標識と共に1の測定に使用された場合、検査を読み取る時に、測定値間の信号干渉を低くできる。
【0020】
蛍光イムノアッセイ用の定量的読み取り装置は、一般的に、分析用の完全な二次元イメージを必要とするが、本明細書記載の実施態様は、測光データを単一時点(single point)へ集積する検出器の使用を可能とする。光ダイオード、及び、その他のポイント検出器等の使用は、更にコンパクトで購入可能な価格の装置を可能にする。通常は、イメージベース分析の制限はバックグラウンド信号を補正するために必要な手段であり、顕著なコントロール線を測定することで、アッセイが成功裏に行われた確認ができる、とみなされていた。本明細書記載の実施態様は、蛍光基準線、共配置されたコントロール線を使用し、異なる波長の使用により、空間的に共配置された情報をスペクトル的に分離することによって、これらの制限を克服できる技術の組み合わせを提供する。
【0021】
前記まとめは、本明細書の主題のそれぞれ表された実施態様又は全ての実施を記載することを意図したものではない。図面及び下記詳細な説明では、更に特別な様々な実施態様を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
(図面の簡単な説明)
下記様々な実施態様の詳細な説明を付属図面と組み合わせて考慮することにより、本明細書の主題は更に完全に理解できるものとなる。
【
図1A】本発明の実施態様における試験片の透視図である。
【
図1B】本発明の実施態様における試験片アセンブリの分解組立図である。
【
図2A】本発明の実施態様における
図1Aの、試験片アセンブリの側方断面図である。
【
図2B】本発明の実施態様における
図1Aの、伸長された張り出し部を備えたリバース型サンプルパッドアセンブリの断面図である。
【
図2C】本発明の実施態様における
図1AのUV透過性裏打ちアセンブリの断面図である。
【
図3】先行技術の一般的なラテラルフローイムノアッセイ設計の断面図である。
【
図4A】本発明の実施態様における試験片ホルダの一の実施態様の蓋体部の透視図である。
【
図4B】本発明の実施態様における試験片ホルダの一の実施態様の底体部の透視図である。
【
図4C】本発明の実施態様における試験片ホルダの、組み立てられた実施態様の透視図である。
【
図4D】本発明の実施態様における試験片ホルダの、組み立てられた実施態様の断面図である。
【
図5A】本発明の実施態様における、任意の光学フィルタを備えた分析器コンポーネントの光学的コンポーネントの第一の概略断面図である。
【
図5B】本発明の実施態様における、任意の光学フィルタを備えた分析器コンポーネントの光学的コンポーネントの第二の概略断面図である。
【
図6】本発明で算出されたNT-proBNPの数値を、臨床用の大型分析器(即ち、Roche Elecsys system)におけるスパイク材料基準の数値と比較したグラフである。
【
図7】本発明の実施態様における、補正後の、経時変化的に測定された本発明の信号のグラフである。
【
図8】本発明の実施態様として記載された光電子読み取り装置の主要コンポーネントの概略である。
【
図9】本発明の実施態様の、検査が進むにつれて光電子読み取り装置及びモバイル装置によって達成される、プロセスの概略である。
【
図10】基準線が、検査信号を正規化するために使用される、本発明の実施態様の概略である。
【
図11】共に印刷されたコントロール線が、検査信号を正規化するために使用される、本発明の実施態様の概略である。
【
図12】健康管理プログラムへ組み込まれた検査システムの情報の流れの、本発明の実施態様の概略である。
【0023】
様々な実施態様は、様々な修正及び代替的形態へ補正可能であり、それらの具体的態様は図面で例示として示されており、下記に詳細に記載される。しかし、本発明が、記載された特別な実施態様へ限定される意図はないことは理解されるべきである。反対に、特許請求の範囲で特定された主題の精神及び範囲内の、全ての修正、等価物、及び代替物を含むことが意図されている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(詳細な説明)
下記実施態様は、網羅的であることを意図しておらず、本発明を下記詳細な説明に開示される厳密な形態に限定することを意図するものではない。むしろ、これら実施態様は、当業者が開示全体を認識して真価を認めるために、選択されて記載されている。
【0025】
図1A及び1Bにおいて、生体医療用測定装置は、複合試験片アセンブリ100を含み、該アセンブリは、サンプルを添加するために使用され、該サンプルを担持した試験片を、サンプル分析のため光学的な検出及び読み取り装置内へ挿入するために使用される。記載される実施態様では、試験片アセンブリ100は、8個のコンポーネントを含む。代替的な実施態様では、8個を超える、又は8個未満のコンポーネントも使用できる。
【0026】
試験片アセンブリ100は、固体裏打ち材層102と、その裏打ち材層102へ接着層114aを介して第一表面上で接合された親水性吸水(wicking)膜104とを含むことができる。裏打ち材102は、どのような色でもよいし、光学的に透明でもよいポリマー性フィルム材料又はプラスチックフィルム材料で形成された支持層を含むことができる。裏打ち材は水を吸収しない。裏打ち材層102は、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ビニル、又はそれらの組み合わせから形成できる。特別な実施態様では、裏打ち材層102に求められる厚さは、約0.1~約10mmの範囲である。親水性吸水膜104は、ニトロセルロース(裏打ちされ、又は裏打ちされない)から形成されてもよく、検査線116によりNT-proBNPに対して鋭敏化され、コントロール線118により西洋わさびペルオキシダーゼ等のコントロール材料に対して鋭敏化される。
【0027】
吸収性エンドパッド106は、親水性吸水膜104の一端と、裏打ち材層102が接合された表面とは反対側の表面上に約1~約5mmの重なりで接合される。吸収性エンドパッド106は、20分以内に試験片全体の流体130~200μL以上を吸引する充分な吸水能(wicking capacity)を提供する材料で形成される。エンドパッド106は、一配向性若しくは多配向性の織布繊維、又はその代わりに、スパンボンド若しくはプレキシフィラメント状の吸収性材料等の不織材料を含むことができる。繊維材料は、例えば、ナイロン、繊維状ガラス、ヒドロゲル等の超吸収性ポリマー、セルロース、又はそれらの組み合わせを含むことができる。特別な実施態様では、パッド106に求められる厚さは、約0.1~約1mmの範囲である。
【0028】
コンジュゲート吸収性パッド108は、親水性吸水膜104のもう一端に、裏打ち材層102が接合された表面とは反対側の表面上に接合される。コンジュゲート吸収性パッド108は、検査材料又はコントロール材料のいずれかへ鋭敏化されたレポーター粒子を含み、吸水膜104に重なっている。コンジュゲート吸収性パッド108は、次にサンプルパッド110によって覆われ、サンプルパッド110はサンプルを試験片アセンブリ100内に導入する働きをすると同時に赤血球を保持する。
【0029】
最上層、接着層114bで裏打ちされたカバーフィルム112は、サンプルパッド110へ接合し、検査線116は露出したまま、サンプルパッド110、コンジュゲート吸収性パッド7、及び膜104の一部を覆うカバーを提供する。最上部のフィルム層112は、中程度の曲げ弾性率(例えば、約100,000~約600,000psi)、及び良好な引張強度(例えば、約3000~約15000psi)との間のバランスを示すプラスチック又はポリマー性材料から形成できる。これにより製造容易になる一方、アッセイ実施には充分な剛性を保てる。好適な材料には、例えば、アセタールコポリマー、アクリル系樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(塩化ビニル)、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0030】
特別な実施態様では、
図1Bに示されて組み立てられた試験片100は、サンプル添加領域122は、サンプル信号領域120とは反対側に位置するように設計される。
【0031】
次に
図2A~2Cには、
図1A及び1Bの試験片の機能的要求を満たす試験片の、複数の実施態様の断面図が示される。記載された全ての試験片の実施態様は、液体サンプルが、信号が検出される側とは反対面の試験片上に適用できる設計となっている。
【0032】
図2Aに示される代替的な実施態様は、側方から見た試験片アセンブリ200に関し、サンプルパッド110及び吸収性エンドパッド又は吸水材(wicks)106は、ビニル裏打ち層102の両末端の周囲を包むように折り重ねられている。この実施態様では、サンプルは、ニトロセルロース吸水膜104の反対側面上のサンプルパッド110へ添加される。この実施態様では、サンプル流体は、サンプルパッド110周囲を廻るように毛細管現象で吸い上げられて、コンジュゲート複合体を動作させ、吸水膜104を横切って流れる。裏打ち層106周囲の吸水材又はエンドパッド106を長くすると、試験片100の末端と検査線116との間の短い距離を維持したまま、吸水能が向上する。
【0033】
次に、伸長された張り出し部(タング)を備えたリバース型サンプルパッドアセンブリ300に関する
図2Bでは、サンプルパッド110は裏打ち層102上に張り出しているため、サンプルが吸水膜104の反対側122でサンプルパッド110へ添加できる。
【0034】
次にUV透過性裏打ちアセンブリ400に関する
図2Cでは、試験片アセンブリ400は
図3の通常のラテラルフローアッセイ10と同様に組み立てられるが、著しい違いは、
図3の不透明裏打ちBの代わりに、裏打ち層124は350~800nmの範囲で光学的に透明であり、UV光を通して、その通過の際に赤色光を放射することである。
図3に示されるとおり、ラテラルフローイムノアッセイの先行技術は、主要なものとして設計10を教示しているが、信号が発生して読み取られるのと同じ面へ、サンプルが添加される。
図3では、裏打ち層Bは水を吸収しない不透明プラスチック材料で形成され、接着層で被覆されている。ニトロセルロース吸水膜104等の吸水膜Mが裏打ち層Bへ適用され、その一の末端上に、エンドパッド106と類似のエンドパッドPが重なり、残りの末端上に、コンジュゲートパッド108と類似のコンジュゲートパッドCが重なるが、更に、サンプルパッド110と同様のサンプルパッドSがその上に重なっている。
【0035】
前記試験片を設計して、これら二つの行為(即ち、サンプル添加及び検査読み取り)を反対側の面で行うようにすることにより、様々な実施態様が、どのように検査を読み取るかの多様性を可能にした。本開示の一部に記載された通り、試験片測定のために使用されるこの設計は、コンパクトな光電子読み取り装置を可能とした。
【0036】
次に
図4A~4Dにおいて、
図1に示された試験片用の試験片ホルダ500を示す。試験片は、カセット底体502内に設置され、検査線領域120がホルダ500の底体502の窓部506に向き合う状態になる。次に、カセット蓋体504がカセット底体部502の上に置かれ、底体502のペグ508を蓋体504の開口部510と嵌合させて取り付けられる。底体502内の特徴形状は、検査線を窓部506上に位置決め調整し、試験片をその位置でしっかり固定する構成とできる。特徴形状512は、サンプルをサンプルパッド110へ添加するためのサンプルポートを提供する。
【0037】
次に
図5A~5Bでは、前記試験片用の光電子的読み取り装置システム600の実施態様が示される。システム600は様々な態様で構成できる。一の実施態様、
図5Aでは、LED等の紫外光源200は、反射面202上へ発光し、光路208の進む方向は変更されてラテラルフロー試験片の検査領域へ向かう。紫外光は蛍光粒子を励起し、放出された光は、光検出器206等のイメージベース読み取り装置へ送られる。任意で、フィルタエレメント204を光路内に配置して、迷光する紫外光を除去できる。
【0038】
代替的な実施態様が
図5Bに示されており、ここでは光源200は、表面に直付け設置されたLEDであり、光検出器206の近くに配置され、放射された光208のほとんど大部分がラテラルフロー試験片の検査領域へ直接照射される。紫外光は蛍光粒子を励起し、放出された光は、光検出器206へ送られる。任意で、フィルタエレメント204を光路内に配置して、迷光する紫外光を除去できる。
【0039】
次に、前記試験片のイムノアッセイの設計に関する、非限定的例示として、アッセイは、固相へ結合したモノクローナル抗体15F11(アミノ酸残基(a.a.r.)13~24)、及び、約0.1~約0.4ミクロンのマイクロ粒子又はビーズ、更に特に非限定実施態様の一つとして、0.3ミクロンユウロピウムキレートカルボキシル化ポリスチレンマイクロ粒子(ラテックス)、へコンジュゲートされたモノクローナル抗体24E11(アミノ酸残基67~76)を使用する。該試験片の非限定的で代替的な設計では、モノクローナル抗体24E11の代わりにモノクローナル抗体16E6(アミノ酸残基)を使用する。モノクローナル抗体24E11(24E11)は、二段階プロセスで、ラテックスへ共有的にコンジュゲートされる。第一ステップでは、ラテックスは1-エチル-3-(-3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスルホスクシンイミド(NHS)で処理することによりプライミングされる。一の実施態様では、EDC量は、0.1~2mg/mgラテックス範囲で、0.2mgEDC/mgラテックスである。使用されるNHS量は、EDCに対して5倍から20倍過剰モル範囲である。一の非限定的実施態様では、NHS量は、EDCに対して10倍過剰モルである。ラテックスのプライミングは、pH範囲5~9の広い範囲で実施できる。一の非限定的実施態様では、プライミングのpHは6.5である。24E11ラテックスコンジュゲート複合体は、プライミングされたラテックスへ抗体を添加することにより調製され、その場合ラテックスの抗体に対する比は、5:1から100:1の間である。好結果のコンジュゲート複合体は、広いpH範囲であるpH5~9で調製できるが、一の非限定的実施態様では、結合させるpH範囲は、MESバッファ(緩衝液)中で5.5~6.5である。
【0040】
前記EDC-NHS化学の代替的な実施態様では、水に易溶性ではないが、DCCがEDCの代わりに使用できる。他の結合方法には:受動的カップリング、抗体のビオチン化と、アビジン、ニュートラビジン及び/又はストレプトアビジン粒子への結合を組み合わせた方法;アミン修飾された/ヒドラジド修飾されたビーズの、過ヨウ素酸塩で酸化された抗体へのコンジュゲーション;グルアルアラデヒド(gluaraladehyde)で活性化された、アミン修飾ビーズの、利用可能なアミン基を含む抗体への結合;並びに、クロロメチル修飾されたビーズの、抗体上のアミン基への結合;も含まれるが、これらに限られるものではない。
【0041】
図1Aへ戻ると、コントロール線118及び検査線116は、物理的にずれて配置(offset)されている。一の代替的な実施態様では、コントロール線118及び検査線116は同じ物理的位置にある。コントロール線のためには、どのような干渉しない抗体及びコンジュゲートシステムも使用できる。非限定的例には、ニワトリIgY/モノクローナル若しくはポリクローナル抗ニワトリIgY抗体、及び西洋わさびペルオキシダーゼ/モノクローナル若しくはポリクローナル抗西洋わさびペルオキシダーゼ抗体が含まれる。コントロール線用のレポーター抗体は、金コロイド、着色ラテックス、又は蛍光ビーズのいずれかに結合できる。(異なる励起波長、発光波長、又は吸収波長を有するために)検査線の信号に重ならないレポーターを選択することにより、単一の領域でも、前記光電子読み取り装置を使って、複数の被検物質を一度に読み取る多重化が可能である。代替的ないくつかの実施態様では、コントロール線118は完全に省略されても良い。
【0042】
更なる検査の多重化を可能にするために、他の被検物質用の追加の検査線を共に印刷することも考えられる。複数の蛍光標識の励起波長若しくは発光波長のいずれかの違い、又は反射によって測定される複数のタグの異なる吸収ピークの違いを使用して、多くの被検物質を同じ検査領域内で読み取ることができる。
【0043】
一の実施態様では、検査線溶液は、フルオレセイン、Euキレート、又は類似の材料等の蛍光基準材料と混合することもできる。この材料は、可溶化材料として溶液中に含ませる、又はポリマービーズ等の支持マトリックス上に置く、ことができる。この基準線は、検出器及びサンプルの間の光路長、並びにUV光の強度を評価する手段として、ストリップが挿入されたときに測定される。サンプル及び洗浄用バッファを添加すると、材料からの信号は消滅するか、材料が洗い流されるので、基準材料及び検査材料からの干渉が取り除かれる。
【0044】
(試験片の設計)
ニトロセルロースの鋭敏化方法の一つは、下記ステップを含む。モノクローナル抗体を、裏打ちされた又は裏打ちされないニトロセルロース膜上に、ドットや線を付する装置を使用して配置する。一の実施態様では、ニトロセルロース膜は、毛細管吸い上げ速度が110~165s/40mmの裏打ちされない材料である。印刷用15F11濃度は、0.5mg/mL~3mg/mLの間である。抗体の合計量は、0.2μg抗体/cmニトロセルロース~5μg抗体/cmニトロセルロースの間である。一の実施態様では、印刷のためのバッファは、20mMトリス(Tris)pH8.0であるが、他のpH範囲(例えば、pH6~pH9)を有する他のバッファも使用できる。
【0045】
レポーターとしてラテックス粒子を伴う実施態様では、下記手順が使用される。ラテックスコンジュゲートは、pH7~9に調製されたベースバッファで希釈される。一の実施態様では、トリス(Tris)又はボレート(Borate)のいずれかを使用して、pHは8.0~8.2である。キャリアタンパク質が、ベースバッファへ添加される。イムノグロブリン、魚皮由来ゼラチン、ゼラチン、アルブミン、及びカゼインが使用でき、一の実施態様ではウシ血清アルブミンが使用できる。様々な糖類が、乾燥ラテックスマイクロ球体の安定性と再水和を補助するために、濃度1%~5%で使用でき、その糖類には二糖類のトレハロース及びショ糖、並びに単糖類のマンニトール及びソルビトールが含まれる。一の実施態様では、糖添加物はトレハロースであり、1%~5%で使用される。イオン性及び非イオン性界面活性剤が、乾燥ラテックスマイクロ球体の再水和を補助するために使用できる。その濃度範囲は、0.01%~2%の間である。一の実施態様では、界面活性剤はTween-20である。
【0046】
様々なポリマーが、乾燥ラテックスマイクロ球体の再水和及び可動化の補助に使用できる。濃度範囲は、0.01%及び2%の間である。その例には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、及びデキストランが含まれる。一の実施態様では、ポリビニルピロリドン(40,000 MW)が0.5%で使用できる。一定範囲の材料を、乾燥ラテックスマイクロ球体を保存するために使用でき、セルロース紙、ガラス繊維、及びレーヨン等の合成材料が含まれる。これら材料のブレンドも使用できる。一の実施態様では、この材料は、細断されたガラス繊維材料である。
【0047】
高いIgM力価による偽陽性は、コンジュゲートバッファへ添加する抗ヒトIgM抗体を使用することで軽減できる。抗IgM抗体はIgM活性と干渉する。抗IgM抗体は、モノクローナル(例えば、マウス、ラット、ウサギ)でも、ポリクローナル(例えば、ヤギ、ウサギ、ヒツジ)でもよく、その濃度は0.1~5mg/mLの範囲である。市販の製品が、抗IgM抗体の代わりに、又はその補足として使用できる。これら添加剤の製造元には、Meridian Diagnostics、Scantibodies、及びOmega Biologicalsが含まれる。更に、検出用抗体(detector antibody)を、マイクロ粒子に結合する前にタンパク質分解的に処理してF(ab’)2又はF(ab)とし、血液成分の非特異的結合を抑えてもよい。
【0048】
エンドパッド材料は、以下のように考えられる。吸収性材料が、ニトロセルロース膜を通過後の流体を収集するために使用される。その材料及び寸法は、検査時間中、流体がただ一つの向きに流れることを確保するものである。セルロース/綿リンター材料(Ahlstrom 270、Ahlstrom 238、若しくはWhatman GB003)、圧縮セルロース、又はそれらの類似物が、適切なエンドパッドである。一の実施態様では、吸収材料はWhatman GB003、Advantec 526又はAhlstrom 222クロマトグラフィー紙である。
【0049】
一の実施態様では、サンプルパッドは、以下のように考えられる。血液サンプルを受け取るサンプルパッドが、偽陽性結果を低減させ、かつ、赤血球のフィルタとして作用して、血漿のみ又は希薄化された血漿がコンジュゲートパッドの乾燥化学物質が活性化されることを確保するために使用される。サンプルパッドは、1ミクロン~4ミクロンの粒子保持サイズのメッシュを備えた結合剤フリーのガラス繊維パッドでもよい。サンプルパッドは又、ガラス繊維及び合成材料の組み合わせでもよい。サンプルパッドは、赤血球保持を増加させ、偽陽性を防ぐための(サンプルパッドバッファ)処理を受ける。ラテックスコンジュゲート複合体は、pH7~9に調製されたベースバッファで希釈される。一の実施態様では、トリス又はボレートのいずれかを使用して、pHは8.0~8.2である。キャリアタンパク質が、ベースバッファへ添加される。イムノグロブリン、魚皮由来ゼラチン、ゼラチン、アルブミン、及びカゼインが使用でき、一の実施態様ではウシ血清アルブミンが0.1%~5%の間で使用される。イオン性及び非イオン性界面活性剤が、偽陽性及び偽陰性の判別を補助するために使用できる。濃度範囲は、0.01%~1%の間である。一の実施態様では、界面活性剤は0.5%のTween-20、及び0.5%のポリブレン(polybrene)である。
【0050】
様々なポリマーを、ベースバッファへ添加しても良い。その濃度範囲は、0.01%~5%の間で良い。その例には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、及びデキストランが含まれる。一の実施態様では、ポリビニルピロリドン(40,000 MW)が0.5%で使用できる。
【0051】
洗浄剤が、偽陽性判別を補助し、乾燥化学物質を活性化するのに適切なサンプル量を確保するために使用されても良い。洗浄剤は、pH7~9に調整されたトリス又はボレートから構成されるベースバッファである。一の実施態様では、pHは8.0~8.2の範囲である。ストリンジェンシーを高めるために、塩化ナトリウム(0.1M~1M)をベースバッファへ添加してもよい。一の実施態様では、塩化ナトリウム濃度範囲は、0.15~0.3Mである。サンプルが直接サンプルパッドへ添加された後に、洗浄剤が添加されても良い。代替的な態様として、サンプルは、洗浄用バッファと共に容器へ入れられ、混合され、次にサンプルパッドへ添加してもよく、その結果バックグラウンドを減少させ、検査を行うために適切な用量を提供する同様の利点を提供できる。
【0052】
臨床現場及び家庭での完全な検査を可能とするために、前記試験片はコンパクトな光電子読み取り装置と組み合わせることができる。考えられるそのような光電子読み取り装置は、本件譲受人により米国特許出願第14/997,749号として先に公開された先行技術に基づいており、この文献は、本明細書に記載される様々な実施態様に示される所定の修正を伴って、引用により本明細書中に組み込まれる。1以上の光源は、ピーク波長が350~400nmのLED等の、安価なUV光源材料である。一の実施態様では、光を方向付けるために反射体が使用され、それは350~400nmで80%を超える反射能を有するUV反射性材料でできている。それら材料の一つは、アルミニウムフィルム被覆である。同様に、レンズや窓等の光路中のどのような材料も、350~400nmのUV領域の吸収は最小(20%未満)にされなければならない。色選択のために有機顔料フィルタを備えた光検出器、又は、Gaussianフィルタを備えた光検出器は、チップ上に組み込まれて、波長選択的な光学的検出を可能とする。任意で、ガラスフィルタ又はゲルフィルタ等の追加的な光学フィルタも、光路へ追加されて、蛍光粒子の発光ピークにある光を選択的に透過するようにできる。Euキレート粒子のためには、610nmを超える波長で透過率90%以上、550nmより下の波長で透過率10%未満の赤色フィルタを使用できる。光電子読み取り装置へ挿入された時に試験片の検査領域を完全に覆うことにより、カバーか試験片ホルダのいずれかを、迷光が光学検出器に入ることを最小限にするために使用できる。本明細書に開示された装置の実施態様は、米国特許出願第14/997,749号に開示された読み取り装置の構成を採用して、電話又はタブレット等のモバイル装置へ、ヘッドホンジャックを介して接続される。代替的には、Bluetooth(登録商標)若しくはその他の無線プロトコルを介しても接続できる。モバイル装置への接続可能性は、モバイル装置上でなされる分析を可能にする。
【0053】
試験片が光電子読み取り装置内に挿入され、サンプルが添加されると、検査が行われて信号が発生する。信号は様々な方法を使って分析され、添加された溶液中のNT-proBNPの濃度に関する定量的な情報を提供する。
図6は、本明細書記載の発明の一の実施態様から生成されたデータ例である。
【0054】
信号の分析方法は、前記印刷された基準線が有る又は無いブランク試験片の測定並びに検査の経過にわたる複数の時点及び複数の波長での検査領域の測定の使用を含む。
【0055】
初期時点での検査読み取りと、検査結果が展開する間の所定間隔時点での検査読み取りによって、検査の動的挙動が、フック効果のために他の方法では終点測定値による見分け困難な高濃度のサンプル間の差異を区別するために使用できる。
図7は、このプロセスの一の実施態様例を示し、一の試験片が5分間隔で読み取られ、5種の異なるレベルのNT-proBNPを有するサンプルが複製された。更に具体的には、動的リードアウトのトリガー(つまり停止基準)は、一の信号の変化率若しくはしきい値のいずれかをベースにしてもよく、反射率及び蛍光測定値の両方を組み合わせた特性でもよい。そのような使用できる可能な特性は、測定された蛍光検査線強度(F
test)、UV励起状態で測定されたブランク試験片上の信号強度(F
blank)、検査実行中の可視光源からの反射光強度(R
test)、可視光源からのブランク試験片上の反射光強度(R
blank)である。F
diff=F
test-F
blank、%F=F
test/F
blank、%R=R
test/R
blank、F
diff/%R、%F/%R、KS=(1-%R)^2/(2*%R)、F
diff/KS、%F/KS等の、前記特性の組み合わせである特性も又、使用できる。NT-proBNP濃度に関する特性をマップする検量線の非限定的例には、1次若しくは2次多項式、4-パラメータロジスティック(4-PL)方程式、又は区分的線形ルックアップテーブルが含まれる。更に、測定されたパラメータの動態に基づいて、サンプル範囲における適切な検量線を選ぶために、ソフトウェアを使用することも考えられる。
【0056】
反射光測定及び蛍光光度(又は、異なる励起波長若しくは発光波長を有する2種の蛍光標識、又は異なる吸収波長を有する2種の色ビーズ)の組み合わせを使用して、光電子読み取り装置は、検査線及びコントロール線が展開するに従ってこれを同時に読み取り、動態形成を使用して高レベル同士を区別できる。一の蛍光標識が一の被検物質に使用され、一の可視標識がその他の一の被検物質に使用される実施態様では、異なる検出モードの選択は、本方法で検査を読み取る場合に信号干渉を低くできる。
【0057】
次に
図8では、光電子読み取り装置の構成1000の実施態様が示される。スイッチ1002は電源1004を、1以上の光源1006、マイクロコントローラ1008及び光検出器1010へ接続する。スイッチ1002は、光電子読み取り装置への試験片の挿入により作動し、測定値の取得を可能とする。マイクロコントローラ1008は、1以上の光源1006及び光検出器1010を駆動する。マイクロコントローラ1008は又、光検出器1010によって検出された信号を処理し、接続されているモバイル装置(図示せず)と通信する。
【0058】
次に
図9では、試験片を光電子読み取り装置で測定するための検査プロセス2000の実施態様が示される。試験片の挿入により、基準測定値が取得される2002。サンプルが試験片へ添加されると2004、一連の測定値が取得されて、試験片内の液体流れが検出されて2004a、試験片の取り出し等のエラー検出が行われる2004b。2006でのインキュベーション時間中に試験片上の検査線が展開されて、2007で検査検出の一部として光電子読み取り装置による1回以上の読み取りが可能となる。2008で検査検出からの複数の測定値は、基準測定値を使用して正規化され、2010でその正規化された信号へ試験片のロット特有の検量線が適用されて、NT-proBNP値が与えられる。
【0059】
次に
図10及び
図11では、正規化スキーム2種の非限定的実施態様3000及び4000がそれぞれ示される。両方のスキームで、赤色LED等の可視光LEDが、サンプルが添加される前の試験片を測定するために使用され、初期測定を3002及び4002それぞれで実施する。この測定は、すでに使用されていたか又は汚れている試験片を不適とする範囲監視を実施するために使用できる。試験片のロット特有の基準線を測定するためにUV LEDが使用され、初期測定値が3004及び4004でそれぞれ取得される。次に、サンプルが適用される間、3006及び4006それぞれで可視光LEDを用いた測定を実施し、試験片上の液体流れの検出に使用する。任意で、3008及び4008それぞれで、粒子流れを測定するためにUV LEDが使用されても良い。
【0060】
図10に示された実施態様では、3010で、設定時間後に可視光LEDによる任意の測定を、溶血の検出に使用できる。次に3012でUV LEDが使用されて最終的な検査線測定が行われ、3014で数値が基準線測定値で補正され、検量線へ適用されてNT-proBNP値が与えられる。次に3016で、NT-proBNP値は、光電子読み取り装置に接続されているモバイル装置のインターフェースを介して使用者宛に出力される。
【0061】
図11に示された実施態様では、4010での赤色LEDによる測定が、コントロール線を測定するために使用され、次に4012でUV LEDが検査線を測定するために使用される。4014で、これら信号は赤色及びUV LEDの両方の初期測定値により補正され、補正数値の比率が検量線へ適用され、NT-proBNP値が与えられる。次に4016で、NT-proBNP値は、光電子読み取り装置に接続されているモバイル装置のインターフェースを介して使用者宛に出力される。
【0062】
更に
図12では、本発明が適用された実施態様5000が示され、遠隔地にいる、患者と一緒の保健従事者5001又は患者5001’自身が検査を実施し、次に遠隔サーバ5003及び医療提供者5005と通信し、医療提供者と患者間のリアルタイムフィードバック5003が提供される。5002での試験片からの読み取り値は、時間、場所、食物摂取、症状、及び体重等のモバイルアプリで収集された他のデータ5004と組み合わせることができ、その後データベースへ通信できる5006。傾向と情報5008が、疾患管理を援助するために表示できる。このデータはまた、個別ケアプラン5014を患者へ提供するために医療提供者によって使用、又は再調査されても良い5012。
【0063】
本明細書には、システム、装置、及び方法の様々な実施態様が記載されている。これらの実施態様は、例としてのみ挙げられており、特許請求にかかる発明の範囲を限定することは意図されていない。更に、説明された実施態様の様々な特徴は、多くの追加的実施態様を生成するために様々な方法で組み合わされてもよいことが理解されるべきである。更に又、様々な材料、寸法、形状、構成、及び位置等が、実施態様で使用するために記載されているが、開示されたもの以外の他のものも、特許請求にかかる発明の範囲を超えることなく利用され得るものである。
【0064】
関連技術分野の当業者は、本明細書の主題が、前記の任意の個々の実施態様に示されているよりも少ない特徴を含み得ることを認識するであろう。本明細書に記載された実施態様は、本明細書の主題の様々な特徴を組み合わせてもよい方法の完全な提示を意味するものではない。従って、これら実施態様は、相互に排他的な特徴の組み合わせではなく、むしろ、様々な実施態様は、当業者によって理解されるように、異なる個々の実施態様から選択された異なる個々の特徴の組み合わせを含むことができる。更に又、一の実施態様に関して記載された構成要素は、別段の記載がない限り、そのような実施態様で記載されていない場合でも、他の実施態様で実施することができる。
【0065】
従属請求項が、特許請求の範囲で1以上の他の請求項との特定の組み合わせに関する場合でも、他の実施態様も又、従属項とその他の各従属項の主題との組み合わせ、又は、1以上の特徴と他の従属項若しくは独立項との組み合わせを含むことができる。そのような組み合わせも、特定の組み合わせは意図されていないと記載されない限り、本明細書で提案されている。
【0066】
前記引用による本明細書中への組み込みは、本明細書の明示的な開示に反する主題が組み込まれないように制限される。更に、前記引用による本明細書中への組み込みは、引用文献に含まれるクレームが引用により本明細書に組み込まれないように制限される。前記の引用による組み込みは、更に又、引用文献で規定された定義が、本明細書で明示的に含まれていない限り、引用により本明細書に組み込まれないことで、更に制限される。
【0067】
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
血液、血清又は血漿サンプル中のNT-proBNP濃度を測定する方法であって:
固相へ結合したモノクローナル抗体15F11 (アミノ酸残基13~24)、及び、蛍光マイクロ粒子へコンジュゲートされたモノクローナル抗体24E11 (アミノ酸残基67~76)若しくは16E6 (アミノ酸残基34~39)を有する、ラテラルフローイムノアッセイ試験片を用意する工程;並びに、
モバイル装置へ動作可能に接続している光電子読み取り装置を使用する工程であって:
サンプルへ曝露した後の試験片から一の蛍光信号の測定値を取得し;
経時的に複数の測定値を組み合わせて、血液、血清若しくは血漿中のNT-proBNP濃度の推定値を提供する、前記工程、を含む前記方法。
(態様2)
前記ラテラルフローイムノアッセイ試験片を用意する工程は;
前記蛍光マイクロ粒子がユウロピウムキレートを有するポリスチレンビーズである該試験片を用意することを含み、
好ましくは該ポリスチレンビーズは前記モノクローナル抗体24E1へ共有的に結合しており、
該試験片を用意する工程には、該試験片上にユウロピウムキレートの基準線を印刷することが含まれ;かつ、
前記測定値を取得することは、検査信号を発生させることを含み、それはサンプルが添加される前に基準線アッセイを行うことも含み、それは前記NT-proBNPの濃度の推定値を提供するために使用される、態様1記載の方法。
(態様3)
態様1記載の方法であって、
前記ラテラルフローイムノアッセイ試験片を用意する工程では、蛍光信号のために、異なる励起波長若しくは発光波長を有する2種の蛍光標識、又は異なる吸収波長を有する2種の着色ビーズが使用され、
検査領域及びコントロール線は、それぞれが展開するに従って同時に読み取られ、複数の時点で測定された検査信号を使用して、前記推定値が動的に区別され、
異なる時点を利用して、前記サンプル中の異なる濃度レベルの推定値が提供され、好ましくは初期時点で検査読み取り値が生成し、かつ初期時点後の検査信号発生時間中に複数の所定間隔でも生成し、好ましくは、該検査信号の動的挙動は、フック効果のために、他の方法では終点測定値のみによる見分けが困難なサンプル間の差異を区別するために使用できる、前記方法。
(態様4)
試験片ホルダが、前記基準線と前記光電子読み取り装置との位置合わせに使用され、かつ前記ラテラルフローイムノアッセイ試験片へサンプルを導入可能にする、態様2記載の方法。
(態様5)
前記光電子読み取り装置付属品は、350~400nmの発光ピークを有する発光ダイオードを使用して前記ラテラルフローイムノアッセイ試験片を照射して、検査信号が取得される、態様1記載の方法。
(態様6)
前記ラテラルフローイムノアッセイ試験片は、検査信号が測定される試験片の面とは反対側の試験片の面に、前記サンプルが添加されるように構成される、態様1記載の方法。
(態様7)
前記ラテラルフローイムノアッセイ試験片用の裏打ち材は、350~400nmでの透過率が80%を超える黒色不透明プラスチック又は透明プラスチック材料の一種である、態様1記載の方法。
(態様8)
前記光電子読み取り装置付属品は、オーディオジャック接続又は無線接続の一種を介してモバイル装置へ接続される、態様1記載の方法。
(態様9)
前記サンプルが前記ラテラルフローイムノアッセイ試験片へ添加され、次に洗浄用バッファが該試験片へ添加されてバックグラウンド信号が減少する態様1記載の態様であって、好ましくは該サンプルは希釈剤へ添加され、混合され、次に該試験片へ添加される、前記態様。
(態様10)
光電子読み取り装置付属品をモバイル装置と共に使用してラテラルフロー試験片を分析する、全血、血清又は血漿中の被検物質NT-proBNPを検査するためのシステムであって、該システムは:
中央処理ユニットを含むモバイル装置、
ラテラルフロー試験片であって、
血液細胞を保持する一方、流体は該試験片上の受動的吸収部を通過するように構成されたサンプルパッド、
該試験片上に吸収された流体と接触すると蛍光標識された抗体を放出するように構成されたコンジュゲートパッド、及び
NT-proBNPを選択的に捕獲するように構成され、検査線で鋭敏化されている膜であって、該試験片上の該コンジュゲートパッドと流体接触している膜、を含む、前記試験片;並びに、
該モバイル装置と接続するように構成された光電子読み取り装置付属品であって、
光が画定された視軸で該光電子読み取り装置付属品へ入光して通過し出光することを可能とするように構成された開口部が画定されている構造、
該試験片を動作可能に挿入するためにスロットを画定する構造であって、該スロットは、該画定された視軸と交差するように該試験片を方向付けるように構成されている、前記構造、
光電子読み取り装置付属品内の回路上の電子部品を制御し、該モバイル装置の中央処理ユニットと動作可能に通信するように構成されたマイクロコントローラ、
300~400nmの波長で光を放射するように構成された少なくとも1つの光源、
少なくとも一の光源からの光が該試験片の検査領域の表面へ導かれるように構成された反射面、
検査時間中に試験片からの複数の光信号を検出するように構成された光学システム、及び、
該光電子読み取り装置付属品内に設置され、該マイクロコントローラ、少なくとも一の光源、及び該光学システムと動作可能に接続されている電源、を含む、前記光電子読み取り装置付属品を含み、
該光電子読み取り装置付属品が該光学システムからの光信号を表す信号を該モバイル装置の該中央処理ユニットへ通信し、該信号が分析されて、検査時間中に得られた光信号を表す信号に基づき、血液、血清又は血漿中のNT-proBNPの濃度の推定値が提供されるように構成されている、
前記システム。
(態様11)
基準蛍光材料が前記ラテラルフロー試験片の検査線上に共配置され、好ましくは該基準蛍光材料はユウロピウムキレートを含む、態様10記載のシステム。
(態様12)
前記ラテラルフロー試験片は、前記光電子読み取り装置付属品に適合するカセット内に収容される、態様10記載のシステム。
(態様13)
更に、検査範囲外の状態を検出するように構成された、前記光電子読み取り装置付属品内の回路を含み、好ましくは該回路は低バッテリ検出回路及び温度範囲外を検出する回路の内の一つである、態様10記載のシステム。
(態様14)
前記ラテラルフロー試験片は、更に、該試験片全体に吸収流れを提供するように構成されたエンドパッドを含み、該エンドパッドは、該試験片上の前記膜と流体接続している、態様10記載のシステム。
(態様15)
流体中の被検物質濃度の測定法であり:
蛍光的又は視覚的に標識化されたマーカーを放出するように構成されたラテラルフローイムノアッセイ試験片を提供する工程;
該試験片から得られた信号を分析するために、モバイル装置と接続可能な、光電子読み取り装置を提供する工程;
該ラテラルフローイムノアッセイ試験片と、該光電子読み取り装置及び該モバイル装置とを組み合わせて使用するための指示書を提供する工程であって、該指示書は:
流体のサンプルを、該ラテラルフローイムノアッセイ試験片上へ置くステップ、
該サンプルへの曝露後の試験片からの蛍光信号の測定値を得る分析のために、該ラテラルフローイムノアッセイ試験片を該光電子読み取り装置内へ挿入するステップ、
及び、
該ラテラルフローイムノアッセイ試験片の経時的な測定に基づいて、該サンプル中の被検物質濃度の推定値を得るために、該モバイル装置を使用するステップを含む、前記工程、を含む、前記方法。