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  • 特許-包装材及びその製造方法 図1a
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  • 特許-包装材及びその製造方法 図3b
  • 特許-包装材及びその製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】包装材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/02 20060101AFI20240729BHJP
   B32B 3/24 20060101ALI20240729BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
B65D65/02 E
B32B3/24 Z
B32B27/32 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020562669
(86)(22)【出願日】2019-04-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2019059140
(87)【国際公開番号】W WO2019214893
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】102018111118.5
(32)【優先日】2018-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518165774
【氏名又は名称】カラトジス エス.エー. インダストリアル アンド ホテリエ エンタープライジズ
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】カラトジス アントニオス
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/080609(WO,A1)
【文献】独国実用新案第000029717310(DE,U1)
【文献】特開平10-273848(JP,A)
【文献】特表2002-500597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/00-65/46
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予備延伸され熱安定化された弾性フィルム(1)及びフィルム上に平坦に配置された弾性プラスチックネットからなり、前記プラスチックネットは、前記フィルム(1)上に塗布された接着剤層によって前記フィルム(1)に接続され、前記接着剤層を形成する接着剤は水溶性接着剤であり、
引張応力の発生時に、包装材の様々な点で生じる局所的な過剰応力が、ネットとフィルムとの互いに対する相対運動によって均一に分配されることができ、その結果、包装材の引き裂きが有利に防止されることを特徴とする包装材。
【請求項2】
前記弾性フィルム(1)が、5μmの厚さまで予備延伸することができることを特徴とする、請求項1に記載の包装材。
【請求項3】
40cm~380cmの幅を有することを特徴とする、請求項1に記載の包装材。
【請求項4】
前記弾性フィルム(1)が、LLDPE、LDPE、HDPE、VC又はEVAからなるものであることを特徴とする、請求項1、2又は3いずれかに記載の包装材。
【請求項5】
前記プラスチックネットが、LLDPE、LDPE、HDPE、PVC又はEVAからなるものであることを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載の包装材。
【請求項6】
前記プラスチックネットが、前記ネットの流れ方向に延在するフリンジ(3)と、前記フリンジ(3)を接続し、それによってジグザグパターンを形成してネットを形成する緯糸(4)とからなり、前記フリンジ(3)が、それぞれ1つの糸から形成されるか、又は前記フリンジ(3)の全て又は一部が、強度を高めるために、それぞれ2つ以上の糸から形成されることを特徴とする、請求項1、2、3、4又は5いずれかに記載の包装材。
【請求項7】
少なくとも外側フリンジ(3)が、強度を高めるために、それぞれ2つ以上の部分フリンジ(3a、3b)からなり、これらの前記部分フリンジ(3a、3b)が、互いに直接隣接して平行に走るように、ジグザグに走る少なくとも1つの前記緯糸(4)によって互いに接続されていることを特徴とする、請求項6に記載の包装材。
【請求項8】
弾性フィルム(1)が、規定された所定の程度に予備延伸され、接着剤層(2)が、前記予備延伸されたフィルム(1)上に塗布され、
前記接着剤が、水溶性接着剤であり、次の工程において、前記フィルム(1)及び前記プラスチックネットが、ローラーによって一緒に押圧され、その結果、包装材が生まれ、その片側が、ネッキング点のないプラスチックネットによって覆われた自己接着性フィルム(1)として構成され、包装材の様々な点で生じる局所的な過剰応力が、ネットとフィルムとの互いに対する相対運動によって均一に分配されることができ、その結果、包装材の引き裂きが有利に防止されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の包装材の製造方法。
【請求項9】
前記接着剤が、高圧ジェットによって塗布されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブルに記載の包装材に関する。さらに、本発明は、本発明に係る包装材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上下に配置され、互いに接続された第1のフィルム及び織布を有する包装材は、出願人の国際公開第2017/080609号公報から知られている。ここで、第1のフィルムは、第1のフィルムが局所的に延伸される第1の領域と、第1のフィルムが局所的には延伸されない第2の領域からなる、第1の領域は、それぞれ2つの第2の領域の間に配置され、第1の方向に延びる、織布は糸からなり、糸の一部は第1の方向と交差する方向に延びる。
【0003】
しかしながら、重い物品が包装される特定の用途の場合、既知の包装材はフィルムと織布との間における異なった高引張応力のために、特定の点で引き裂かれてしまう可能性がある。
【0004】
このような包装材は、パレット、農産物、ごみ等を包装するために使用され、その結果、高い引裂強さ及び天候の影響に対する保護が必要とされる。さらに、このような包装材は、可能な限り少ないプラスチックを含むべきであり、これは一方では環境負荷を低減し、他方では消費者にとってより好ましい価格をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、その寸法及び高引張応力の存在下での高い引裂強さに比べて軽量である包装材を特定することである。さらに、本発明に係る包装材の製造方法が特定されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴によって解決される。本発明に係る包装材の製造方法は、請求項8の主題である。本発明によるさらなる実施形態及び利点は、対応する従属請求項から明らかになる。
【0007】
すなわち、予備延伸され熱安定化された弾性フィルムと、フィルム上に平坦に配置された弾性プラスチックネット、特にラッセルネットとして構成されたプラスチックネットからなる包装材が提案され、プラスチックネットは、フィルム上に塗布された接着剤層によってフィルムに接続され、高引張応力の発生時にフィルムとプラスチックネットとの互いに対する相対運動が許容されるようになっている。
【0008】
弾性フィルムの予備延伸の結果として、包装材は、有利に所定の長さに対してより薄く、より軽くなり、予備延伸されたフィルムの熱安定化の効果は、フィルムがいかなる残留表面応力も示さないことである。本発明による概念の結果として、高引張応力の発生時には、包装材の様々な点で生じる局所的な過剰応力は、ネットとフィルムとの互いに対する相対運動によって均一に分配されることができ、その結果、包装材の引き裂きが有利に防止される。これは、接着剤が水溶性接着剤、例えば、低い接着強度を有する食品グレードの接着剤であるという事実によって可能にされる。
【0009】
さらに、局所的な過剰応力の防止の結果として、包装材は、プレスボード製の重い巻きシリンダの代わりに、軽量で細い巻き芯に巻き付けることができる。
【0010】
本発明に係る包装材の製造のために、弾性フィルムは、規定された所定の程度に予備延伸され、次いで、熱安定化される、ここで、接着剤層、例えば、低い接着強度を有する水溶性接着剤が、予備延伸されたフィルム上に、例えばシリンダ軸又は高圧ジェットによって塗布される。フィルムの予備延伸後、フィルムは、20%の残余弾性を有する。次の工程において、フィルムとプラスチックネットは、ローラーによって一緒に押圧され、その結果、片側はネッキング点のないプラスチックネットによって覆われた自己接着性フィルムとして構成された包装材が生まれる。自己接着性の実施形態はまた、物品を受け取った後に包装材を閉じることが単純化されるという利点をもたらす。
【0011】
弾性フィルムは例えば、5μmの厚さに予備延伸することができ、ここで、幅は任意であってよく、例えば、40cm~380cmの範囲にあることができる。弾性フィルムは、LLDPE(低密度の線状ポリエチレン)、LDPE(低密度のポリエチレン)、HDPE(高密度のポリエチレン)、VC(ポリ塩化ビニル)、EVA(エチレン酢酸ビニル)又は類似のプラスチック、特に任意のポリオレフィンから製造することができる、あるいは、これらのものから弾性フィルムは構成される。
【0012】
プラスチックネットは例えば、LLDPE(低密度の線状ポリエチレン)、LDPE(低密度のポリエチレン)、HDPE(高密度のポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、EVA(エチレン酢酸ビニル)などのポリオレフィンから(類似のプラスチックの方にかかっているはず)又は類似のプラスチックから製造することができ、あるいはこれらのものからプラスチックネットは構成される。その重量は例えば、長さ方向に対して1m当たり2~32gとすることができ、正味密度は例えば、6針/インチ~2針/インチ間隔の範囲内とすることができる。ネットの幅は本質的に弾性フィルムの幅に対応する。
【0013】
ネットは、ネットの流れ方向に延在するフリンジ(経糸とも呼ばれる)と、フリンジを接続し、ジグザグパターンを形成してネットを形成する緯糸とからなることができ、従来技術においてはフリンジと緯糸とが互いに織り合わされ、フリンジは、それぞれ1つの糸から形成される。さらに、フリンジの全て又は一部、特に外側フリンジは、強度を高めるために、それぞれ2つ以上の糸から形成されるようにすることができる。
【0014】
フリンジ間の距離は任意であってよく、例えば4.2~50.8mmの範囲にある。フリンジに使用されるプラスチック糸は、10~60μm以下の太さを有することができる。
【0015】
さらに、少なくとも外側又は任意のフリンジは、強度を高めるために、それぞれ2つ以上の部分フリンジからなることができ、これらの部分フリンジは、部分フリンジが互いに直接隣接して平行に走るように、ジグザグに走る少なくとも1つの緯糸によって互いに接続される。2つの部分フリンジを含むフリンジの場合には、部分フリンジは、少なくとも1つの緯糸によって対となって互いに連結される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明は、添付の図面を用いて、例として以下により詳細に説明される。図において:
図1a図1aは、本発明の第1の実施形態に従って構成された包装材の概略断面図を示す;
図1b図1bは、図1aによる包装材の概略平面図を示す;
図2図2は、図1bからの詳細図を示す;
図3a図3aは、本発明の第2の実施形態に従って構成された包装材の概略断面図を示す;
図3b図3bは、図3aによる包装材の概略平面図を示し、
図4図4は、図3aからの詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1b及び図2bにおいて、MDは機械方向、すなわち製造中のプラスチックネットの流れ方向、又は巻き付け中の包装材の流れ方向を示し、TDは横断方向、すなわち機械方向又は流れ方向に対して直角の方向を示す。
【0018】
本発明及び図1a及び図1bによる実施例によれば、包装材は、延伸され熱安定化された弾性フィルム1と、フィルム1上に平坦に配置された本質的に同一幅の弾性プラスチックネットとからなり、この弾性プラスチックネットは、フィルム1上に塗布された接着剤層2によってフィルム1に接続され、高引張応力の発生時に、フィルム1とプラスチックネットとの相対運動が許容されるようになっている。プラスチックネットは、接着剤層2と常に接触したままである。
【0019】
フィルム1上に配置され、フィルム1に接続されたプラスチックネットは、従来技術によるラッセルネットとして構成することができ、ネットの流れ方向に延在するフリンジ3と、フリンジを接続し、それによってジグザグパターンを形成してネットを形成する緯糸4とからる。隣接するフリンジ3の間の距離は例えば、4.2mm~50.8mmの範囲にあることができる。
【0020】
図3a、3b及び4に示される実施形態の例は、全てのフリンジ3が、それぞれ強度を高めるための2つの部分フリンジ3a及び3bからなり、これらのフリンジが、部分フリンジ3a、3bが互いに直接隣接して平行に走るように、ジグザグに走る緯糸4によって互いに接続されるという点で、図1a、1b及び2による実施形態の例とは異なる。フリンジ3の部分フリンジ3a、3b間の距離、すなわち互いからの部分フリンジの実質的な長手方向の中心線間の距離は例えば、2mm~10mmの範囲、好ましくは2mm~5mmの範囲にあることができる。このような小さな距離では、部分フリンジ3a、3bは、互いに接触することができる。
【0021】
プラスチックネットは、ラッセル編機によって製造されることができ、ラッセル編機は、それぞれの場合にフリンジを編むためのプラスチック糸をそれぞれの場合にガイドするための少なくとも2つのガイドニードルをそれぞれの場合に備え、2つのガイドニードルは、共通のガイドニードル支持体によって支持され、共通のニードル支持体によって支持された2つの針は、それぞれの場合に2つのガイドニードルに割り当てられることができる。2本の隣接するガイドニードル間、及び/又は2本の直接隣接するニードル間の距離は、ここでは2~10mm、特に2~5mmの範囲にあることができ、その結果、ラッセル編機の通常動作において、フリンジの直接的な生成が可能になる。

図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4