(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】構造体および外装筐体
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20240729BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20240729BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20240729BHJP
B23K 20/00 20060101ALI20240729BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20240729BHJP
【FI】
B32B27/00 E
B32B9/00 A
B32B15/08 Z
B23K20/00 310M
F21V5/00 320
F21V5/00 350
F21V5/00 600
(21)【出願番号】P 2020565668
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 JP2019049906
(87)【国際公開番号】W WO2020145079
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-12-12
(31)【優先権主張番号】P 2019000663
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祐一
(72)【発明者】
【氏名】米澤 元
(72)【発明者】
【氏名】阿部 昇平
(72)【発明者】
【氏名】島津 武仁
(72)【発明者】
【氏名】魚本 幸
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-230701(JP,A)
【文献】特開2017-136770(JP,A)
【文献】特開2012-098785(JP,A)
【文献】特開2017-054517(JP,A)
【文献】特開2015-051452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B23K 20/00
F21V 5/00
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基体と、
前記第1基体と対向配置された第2基体と、
前記第1基体と前記第2基体との間に設けられた接合層と、
前記第1基体と前記第2基体との間に設けられた第1の加飾層とを備え、
前記接合層は、前記第1基体側から、
金属材料または無機酸化物を含む第1下地層、
金属膜同士の拡散接合からなる金属接合層
、および
、金属材料または無機酸化物を含む第2下地層を順に有し、
前記第1下地層および前記金属接合層のうちの少なくとも一方が前記第1の加飾層を兼ねている
構造体。
【請求項2】
前記第1基体は光透過性を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記第1基体と前記接合層との間にさらに第4の加飾層を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項4】
前記第4の加飾層は誘電体多層膜により構成されている、
請求項3に記載の構造体。
【請求項5】
前記第4の加飾層は面内方向で厚みが異なる、
請求項3に記載の構造体。
【請求項6】
前記第1基体と前記第2基体との間にさらに第2の加飾層を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項7】
前記接合層が前記第2の加飾層を兼ねている、請求項6に記載の構造体。
【請求項8】
前記第1下地層および前記金属接合層は、一方が前記第1の加飾層を兼ね、他方が前記第2の加飾層を兼ねている、請求項7に記載の構造体。
【請求項9】
前記第2基体は光透過性を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項10】
前記第2基体と前記接合層との間にさらに第3の加飾層を有する、請求項9に記載の構造体。
【請求項11】
第1基体と、
前記第1基体と対向配置された第2基体と、
前記第1基体と前記第2基体との間に設けられた接合層と、
前記第1基体と前記第2基体との間に設けられた第1の加飾層とを備え、
前記接合層は、前記第1基体側から、
金属材料または無機酸化物を含む第1下地層、
金属膜同士の拡散接合からなる金属接合層
、および
、金属材料または無機酸化物を含む第2下地層を順に有し、
前記第1下地層および前記金属接合層のうちの少なくとも一方が前記第1の加飾層を兼ねている
構造体を備えた外装筐体。
【請求項12】
機能素子をさらに備える、
請求項11に記載の外装筐体。
【請求項13】
前記機能素子は発光素子である、
請求項12に記載の外装筐体。
【請求項14】
前記発光素子は、前記第1基体の側面に配置されている、
請求項13に記載の外装筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、原子拡散接合を用いて接合された構造体および外装筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子機器の外装筐体は、複数の部材から構成されており、例えば、スマートフォンや腕時計、時計型ウェアラブルデバイス等の外装筐体は、例えば、フロントガラス(ガラス風防)と、フレームと、裏面板とを有する。これら、外装筐体を構成する各部材は、プラスチック製のガスケットで固定されたり、有機材料からなる接着剤等で接着されている。このようにして構成された外装筐体では、強度の確保が課題となっている。
【0003】
ところで、例えば、一方または双方が1.0mm以上の肉厚を有する厚肉の被接合材が原子拡散接合を用いて接合される例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
ところで、スマートフォンや腕時計、時計型ウェアラブルデバイス等の外装筐体には、各部材の接合強度の確保に加えて、デザイン性の向上が求められている。
【0006】
接合強度とデザイン性とを両立させることが可能な構造体および外装筐体を提供することが望ましい。
【0007】
本開示の一実施形態の構造体は、第1基体と、第1基体と対向配置された第2基体と、第1基体と第2基体との間に設けられた接合層と、第1基体と第2基体との間に設けられた第1の加飾層とを備えたものである、接合層は、第1基体側から、金属材料または無機酸化物を含む第1下地層、金属膜同士の拡散接合からなる金属接合層、および、金属材料または無機酸化物を含む第2下地層を順に有し、第1下地層および金属接合層のうちの少なくとも一方が第1の加飾層を兼ねている。
【0008】
本開示の一実施形態の外装筐体は、上記本開示の一実施形態の構造体を備えたものである。
【0009】
本開示の一実施形態の構造体および一実施形態の外装筐体では、対向配置された第1基体と第2基体との間に接合層および第1の加飾層を設けるようにした。これにより、第1基体と第2基体とを接合しつつ、加飾がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の第1の実施の形態に係る構造体の構成を表す断面模式図である。
【
図2A】
図1に示した構造体の製造方法の一例を表す断面模式図である。
【
図4】金膜上に15nmのタンタル膜を積層した場合の色度図である。
【
図5】
図1に示した構造体表面の下地層の各厚みの分光反射特性図である。
【
図6】本開示の第2の実施の形態に係る構造体の構成を表す断面模式図である。
【
図7】
図6に示した構造体表面の分光反射特性図である。
【
図8】本開示の変形例1に係る構造体の構成を表す断面模式図である。
【
図9】各膜厚の加飾層を備えた構造体表面の分光反射特性図である。
【
図10】本開示の第3の実施の形態に係る構造体の断面模式図である。
【
図11】本開示の変形例2に係る構造体の構成を表す断面模式図である。
【
図12】本開示の変形例3に係る構造体の構成を表す断面模式図である。
【
図13】
図12に示した構造体を用いた実施例1を表す外観図である。
【
図14】本開示の実施例2に係るウェアラブルデバイスの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示における実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本開示の一具体例であって、本開示は以下の態様に限定されるものではない。また、本開示は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比等についても、それらに限定されるものではない。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.第1の実施の形態(接合層に加飾性を付加した構造体の例)
1-1.構造体の構成
1-2.構造体の製造方法
1-3.作用・効果
2.第2の実施の形態(下地層上に誘電体多層膜からなる加飾層を設けた構造体の例)
3.変形例1(加飾層の膜厚を面内方向に変化させた構造体の例)
4.第3の実施の形態(接合層の両側に加飾層を設けた構造体の例)
5.変形例2(拡散接合層を透明化した構造体の例)
6.変形例3(光源を追加した構造体の例)
7.実施例
【0012】
<1.第1の実施の形態>
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る構造体(構造体1)の断面構成を模式的に表したものである。この構造体1は、2つ以上の被接合部材が、例えば原子拡散接合によって接合された積層構造を有するものであり、例えば、スマートフォンや腕時計、時計型ウェアラブルデバイス等の外装筐体(例えば、
図13参照)を構成するものである。本実施の形態の構造体1は、光透過性を有する基体(透明基体16)と、透明基体16と対向配置された基体11と、基体11と透明基体16との間に接合機能および加飾機能を有する接合層12とを有するものである。この接合層12が、本開示の「接合層」および「第1の加飾層」の一具体例に相当する。
【0013】
(1-1.構造体の構成)
構造体1は、基体11と透明基体16とが、例えば原子拡散接合によって接合されたものであり、基体11、接合層12および透明基体16がこの順に積層された構成を有する。接合層12は、例えば、下地層13、拡散接合層14および下地層15からなり、基体11側からこの順に積層されている。
【0014】
基体11は、例えば、対向する一の面と他の面とを有する板状部材であり、本開示の「第2基体」の一具体例に相当するものである。基体11は、例えば、金属材料により構成されている。金属材料としては、例えば、ステンレス、アルミ、鉄、銅、マグネシウムおよび亜鉛等が挙げられる。
【0015】
接合層12は、基体11と透明基体16とを接合するためのものである。接合層12は、上記のように、下地層13,15および拡散接合層14からなり、基体11側から、下地層13、拡散接合層14および下地層15の順に積層されている。
【0016】
下地層13は、接合層12において基体11と拡散接合層14との密着性を向上させるためのものである。下地層13は、例えば、金属材料により構成されている。金属材料としては、例えば基体11および透明基体16と強く密着可能な金属であることが好ましく、例えば、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)およびクロム(Cr)、またはその合金等が挙げられる。下地層13は、上記材料を1種または2種以上組み合わせた単層膜あるいは積層膜として形成される。下地層13の積層方向の膜厚(以下、単に厚みという)は、例えば0.5nm以上200nm以下であることが好ましい。
【0017】
拡散接合層14は、接合層12において基体11と透明基体16とを接合するためのものである。また、拡散接合層14は、本実施の形態の構造体1において加飾層として機能するものである。拡散接合層14は、金属材料により構成されている。金属材料としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)およびパラジウム(Pa)、あるいはそれらを主成分とする合金等が挙げられる。拡散接合層14は、上記材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。なお、基体11と透明基体16との接合を真空中や不活性ガス中等の酸素や水の少ない環境下で行う場合には、上記金属材料の他に、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)およびタンタル(Ta)並びにステンレス等も用いることができる。拡散接合層14の厚みは、例えば0.5nm以上200nm以下であることが好ましい。なお、拡散接合層14の厚みは、200nmよりも厚くしてもかまわない。拡散接合層14の厚みを200nmよりも厚くする場合には、接合を真空条件下あるいは不活性ガス条件下で加熱ならびに加圧を伴いながら実施することが望ましい。
【0018】
下地層15は、接合層12において拡散接合層14と透明基体16との密着性を向上させるためのものである。下地層15は、例えば、金属材料により構成されている。金属材料としては、例えばガラスと強く密着可能な金属であることが好ましく、例えば、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)およびクロム(Cr)、またはその合金等が挙げられる。下地層15は、上記材料を1種または2種以上組み合わせた単層膜あるいは積層膜として形成される。下地層15の厚みは、加飾層を兼ねる拡散接合層14の発色を透明基体16側から見せる場合には、光が透過する厚みであることが望ましく、例えば、0.5nm以上3nm以下である。また、下地層15の発色を加飾に用いる場合には、下地層15の厚みは、光が透過しない厚みであることが望ましく、例えば、3nmよりも厚く200nm以下である。
【0019】
なお、拡散接合層14および下地層15が共に加飾機能を有する場合には、拡散接合層14および下地層15が、本開示の「第1の加飾層」および「第2の加飾層」の一具体例に相当する。
【0020】
透明基体16は、例えば、対向する一の面と他の面とを有する板状部材であり、本開示の「第1基体」の一具体例に相当するものである。透明基体16は、光透過性を有する無機材料またはプラスチック材料により構成されている。無機材料としては、例えば、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化シリコンには、ガラスまたはスピンオングラス(SOG)等が含まれる。プラスチック材料としては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アクリル(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)またはポリエチルエーテルケトン(PEEK)等が挙げられる。
【0021】
(1-2.構造体の製造方法)
構造体1は、例えば、次のように製造することができる。
【0022】
まず、
図2Aに示したように、Al合金からなる基体11の表面を、例えば算術平均粗さ(Ra)<3nmまで研磨したのち、基体11上に下地層13としてタンタル(Ta)を、例えば2nm、拡散接合層14となる金属層14Aとして例えば金(Au)を、例えば100nmスパッタリングにより成膜する。同様にして、
図2Aに示したように、ガラス基板からなる透明基体16の表面を、例えば算術平均粗さ(Ra)<1nmまで研磨したのち、透明基体16上に下地層15として例えばタンタル(Ta)を、例えば1nm、拡散接合層14となる金属層14Bとして例えば金(Au)を、例えば100nmスパッタリングにより成膜する。
【0023】
続いて、
図2Bに示したように、金属層14A,14Bが対向するように基体11と透明基体16とを向かい合わせに配置する。次に、
図2Cに示したように、金属層14A,14Bを接触させ、さらに、例えば、30MPa、150℃にて10分間加圧および加熱する。これにより、金属層14A,14Bが接合され、
図1に示した構造体1が完成する。
【0024】
本実施の形態の構造体1では、接合層12が加飾層を兼ねている。具体的には、構造体1では、拡散接合層14の発色に加えて、透明基体16側に設けられた下地層15の反射、または、吸収特性が加飾に用いられている。表1は、構造体1を構成する各部材の材質および膜厚の一例を表したものである。表2は、D65光源下において、各膜厚の下地層15(タンタル(Ta))を有する構造体1の、面S1側で得られた反射光の色度座標をまとめたものである。なお、表2の構造体の基体11、下地層13、拡散接合層14および透明基体16は、表1に示した構成を有する。
【0025】
【0026】
【0027】
図3は、下地層15を設けなかった(Ta(下地層15)の厚みが0nm)構造体1の、面S1側で得られた反射光の色度図である。
図4は、膜厚15nmのTa(下地層15)を有する構造体1の、面S1側で得られた反射光の色度図である。
図5は、各膜厚のTa(下地層15)を有する構造体1の、面S1側における波長と分光反射率との関係を表したものである。
図3、
図4、
図5および表2からわかるように、下地層15の厚みを変えることで、面S1側における構造体1の発色を変えることができる。例えば、タンタル(Ta)の厚みが1nmでは、金(Au)と同等の発色が得られるのに対し、タンタル(Ta)の厚みを厚くしていくことで、金に赤みが加わった発色が得られるようになる。このように、下地層15の厚みを調整することにより、発色を調整することができる。
【0028】
(1-3.作用・効果)
一般に、電子機器の外装筐体は、複数の部材から構成されている。例えば、スマートフォンの外装筐体はフロントガラス、フレームおよび裏面板から、腕時計や時計型ウェアラブルデバイス等の外装筐体はガラス風防、フレーム、裏面板および湾曲構造体から構成されている。このうち、フレームには、例えば金属やガラス等が用いられており、裏面板や湾曲構造体には、ガラスやセラミック等が用いられている。これらは、フロントガラスと共に、例えばプラスチック製のガスケットで固定されたり、ディスプレイ付きのフロントガラスと、有機材料からなる接着剤等で接着されている。このようにして組み合わされた外装筐体は、構造強度や防水性の確保が難しい。また、接着剤層は金属やガラスと比べて柔らかく、さらに、接着剤層は比較的厚いため、落下した際に、ガラスのフレームに接触する部位に応力が集中し、容易に破壊される。
【0029】
これに対して、本実施の形態では、上記スマートフォンや腕時計、時計型ウェアラブルデバイス等の外装筐体に適用可能な構造体1として、基体11と透明基体16とを原子拡散接合を用いて接合し、基体11と透明基体16との間に設けられる接合層12に加飾機能を付加するようにした。具体的には、接合層12を構成する下地層13,15および拡散接合層14のうち、拡散接合層14と、透明基体16側に設けられた下地層15を加飾層として用いるようにした。
【0030】
原子拡散接合は、数nm~数十nmの極薄い金属層により、同種または異種材料を接合する技術であり、その接合力は極めて強い。本実施の形態では、この接合技術を用いて基体11と透明基体16とを接合するようにしたので、落下等の衝撃を受けた場合に、透明基体16へ応力が集中するのを回避し、構造体1全体に衝撃を分散させることが可能となる。
【0031】
また、金属は、複数の金属種を組み合わせることで様々な発色が得られる。例えば、金は、銅と組み合わせることでピンクゴールド、パラジウムと組み合わせることでホワイトゴールド等と発色が変化する。本実施の形態では、下地層13、拡散接合層14および下地層15に金属材料を用い、透明基体16側の下地層15の厚みを、例えば1nm以下の薄膜とし、原子拡散接合により基体11と透明基体16とを接合するようにした。これにより、構造体1の透明基体16側からは拡散接合層14と下地層15とが組み合わされた発色を確認することが可能となる。例えば、
図4に示したように、金(Au)からなる拡散接合層14上に、タンタル(Ta)からなる下地層15を設けることで、赤みがかった金の発色を得ることが可能となる。
【0032】
更に、表2に示したように、タンタル(Ta)からなる下地層15の厚み変えることにより、構造体1の透明基体16側(面S1側)における発色を調整することができる。更に、下地層15の面内において膜厚を変化させることによって、位置によって発色の異なる加飾を実現することが可能となる。
【0033】
以上のように、本実施の形態の構造体1では、基体11と透明基体16とを、例えば原子拡散接合を用いて接合し、その接合層12の発色を加飾に活かすようにした。即ち、接合層12を加飾層として用いるようにした。これにより、基体11と透明基体16との接合強度を向上させつつ、デザイン性を向上させることが可能となる。
【0034】
以下、第2、第3の実施の形態および変形例1~3について説明するが、以降の説明において上記第1の実施の形態と同一構成部分については同一符号を付してその説明は適宜省略する。
【0035】
<2.第2の実施の形態>
図6は、本開示の第2の実施の形態に係る構造体(構造体2)の断面構成を模式的に表したものである。この構造体2は、上記第1の実施の形態の構造体1と同様に、2つ以上の被接合部材が、例えば原子拡散接合によって接合された積層構造を有するものであり、例えば、スマートフォンや腕時計、時計型ウェアラブルデバイス等の外装筐体(例えば、
図13参照)を構成するものである。本実施の形態の構造体2は、光透過性を有する基体(透明基体16)と、透明基体16と対向配置された基体11と、基体11と透明基体16との間に接合機能および加飾機能を有する接合層12と、さらに加飾機能を追加する加飾層27を有するものである。本実施の形態では、接合層12が本開示の「接合層」および「第2の加飾層」の一具体例に相当し、加飾層27が、本開示の「第1の加飾層」の一具体例に相当する。
【0036】
構造体2は、基体11と透明基体16とが、例えば原子拡散接合によって接合されたものであり、基体11、接合層12、加飾層27および透明基体16がこの順に積層された構成を有する。接合層12は、上記第1の実施の形態と同様に、例えば、下地層13、拡散接合層14および下地層15からなり、基体11側からこの順に積層されている。
【0037】
加飾層27は、構造体1を加飾するためのものであり、例えば、誘電体多層膜によって構成されている。誘電体多層膜を構成する材料としては、例えば、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化チタン(TiO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タンタル(Ta2O5)、チタン合金酸化物、酸化アルミニウム(Al2O3)およびアルミ合金酸化物等が挙げられる。加飾層27の一例としては、酸化シリコン(SiO2)膜と酸化チタン(TiO2)膜とを交互に、例えば合計20層積層したものが挙げられる。
【0038】
構造体2は、例えば、上記第1の実施の形態と同様に、基体11上に下地層13、金属層14Aを成膜する。透明基体16上には、透明基体16を、例えば算術平均粗さ(Ra)<1nmまで研磨したのち、TiO
2膜およびSiO
2膜で構成される20層からなる誘電体多層膜を成膜して加飾層27を形成する。続いて、加飾層27上に、下地層15および金属層14Bを順に成膜する。その後、上記第1の実施の形態と同様に、金属層14A,14Bが対向するように基体11と透明基体16とを向かい合わせに配置し、例えば、30MPa、150℃にて10分間加圧および加熱する。これにより、金属層14A,14Bが接合され、
図6に示した構造体2が完成する。
【0039】
本実施の形態の構造体2では、接合層12上に誘電体多層膜からなる加飾層27がさらに設けられている。表3は、構造体2を構成する各部材の材質および膜厚の一例を表したものである。
図7は、表3に示した構成を有する構造体2の面S1側の、各入射角度における波長と分光反射率との関係を表したものである。構造体2では、面S1に対して垂直方向(0deg)からは緑の発色が確認され、角度をつけていくにしたがって、その発色は、緑からシアン(約15deg)、シアンからマゼンタ(約40deg)、マゼンタからピンク(約45deg)、ピンクから金(約50deg)、金から銀(約60deg)に変化する。
【0040】
【0041】
以上のように、本実施の形態の構造体2では、基体11と透明基体16とを、例えば原子拡散接合を用いて接合し、その接合層12と透明基体16との間に、誘電体多層膜からなる加飾層27を設けるようにした。これにより、加飾層27を構成する誘電体多層膜による干渉作用によって、見る角度によって発色が変化する装飾を加えることが可能となる。即ち、上記第1の実施の形態の効果に加えて、デザイン性をさらに向上させることが可能となる。
【0042】
<3.変形例1>
図8は、本開示の変形例(変形例1)に係る構造体(構造体3)の断面構成を模式的に表したものである。この構造体3は、上記第1の実施の形態の構造体1と同様に、2つ以上の被接合部材が、例えば原子拡散接合によって接合された積層構造を有するものであり、例えば、スマートフォンや腕時計、時計型ウェアラブルデバイス等の外装筐体(例えば、
図13参照)を構成するものである。本変形例の構造体3は、光透過性を有する基体(透明基体16)と、接合層12との間に設けられた加飾層37が、面内に膜厚の分布を有する点が上記第2の実施の形態とは異なる。
【0043】
加飾層37は、構造体1を加飾するためのものであり、上記第2の実施の形態における加飾層27と同様に、例えば、誘電体多層膜によって構成されている。誘電体多層膜は、一例として、酸化シリコン(SiO2)膜と酸化チタン(TiO2)膜とを交互に、例えば合計20層積層したものが挙げられる。
【0044】
本変形例の構造体3では、接合層12上に、面内に膜厚の分布を有する誘電体多層膜からなる加飾層37が設けられている。一例として、例えば
図8に示した構造体3では、紙面左端から右端に向かって膜厚が徐々に薄くなる加飾層37が設けられている。
図9は、加飾層37のC地点を設計中心(標準設計)とし、構造体2の面S1側のC地点、標準設計から+5%地点、+10%地点、-5%地点および-10%地点における波長と分光反射率との関係を表したものである。本変形例の構造体3では、標準設計であるC地点を中心に、左端から右端にかけて、xy色度図において、例えば+10%地点で(x:0.3851、y:0.4838)、+5%地点で(x:0.2937、y:0.05750)、標準設計地点(0%、C地点)で(x:0.1953、y:0.5348)、-5%地点で(x:0.1414、y:0.2679)、-10%地点で(x:0.1663、y:0.0857)の発色が得られる。つまり、本変形例の構造体3では、位置によって異なる発色が得られるようになる。
【0045】
【0046】
以上のように、本変形例の構造体3では、基体11と透明基体16とを、例えば原子拡散接合を用いて接合し、その接合層12と透明基体16との間に、面内に膜厚の分布を有する誘電体多層膜からなる加飾層37を設けるようにした。これにより、面内の任意の位置により発色の異なる加飾を実現することが可能となる。即ち、上記第1の実施の形態の効果に加えて、デザイン性をさらに向上させることが可能となる。
【0047】
<4.第3の実施の形態>
図10は、本開示の第3の実施の形態に係る構造体(構造体4)の断面構成を模式的に表したものである。この構造体4は、上記第1の実施の形態の構造体1と同様に、2つ以上の被接合部材が、例えば原子拡散接合によって接合された積層構造を有するものであり、例えば、スマートフォンや腕時計、時計型ウェアラブルデバイス等の外装筐体(例えば、
図13参照)を構成するものである。本実施の形態の構造体4は、光透過性を有する2つの基体(透明基体41および透明基体16)を用い、透明基体41と透明基体16との間に接合機能および加飾機能を有する接合層12と、接合層12の両側に、加飾層27,48とを有するものである。本実施の形態では、接合層12が本開示の「接合層」および「第2の加飾層」の一具体例に相当する。加飾層27が本開示の「第1の加飾層」の一具体例に相当する。加飾層48が本開示の「第3の加飾層」の一具体例に相当する。
【0048】
構造体4は、透明基体41と透明基体16とが、例えば原子拡散接合によって接合されたものであり、透明基体41、加飾層48、接合層12、加飾層27および透明基体16がこの順に積層された構成を有する。接合層12は、上記第1の実施の形態と同様に、例えば、下地層13、拡散接合層14および下地層15からなり、基体11側からこの順に積層されている。本実施の形態の構造体4では、面S1側からら接合層12および加飾層27による発色が、面S2側から接合層12および加飾層48による発色が、それぞれ確認できる。
【0049】
透明基体41は、例えば、対向する一の面と他の面とを有する板状部材であり、本開示の「第2基体」の一具体例に相当するものである。透明基体41は、光透過性を有する無機材料またはプラスチック材料により構成されている。無機材料としては、例えば、酸化シリコン(SiOx)、酸化アルミニウム(AlOx)、等が挙げられる。酸化シリコンには、ガラスまたはスピンオングラス(SOG)等が含まれる。プラスチック材料としては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アクリル(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)またはポリエチルエーテルケトン(PEEK)等が挙げられる。
【0050】
加飾層48は、上記第2の実施の形態における加飾層27と同様に、構造体4を加飾するためのものであり、例えば、誘電体多層膜によって構成されている。誘電体多層膜を構成する材料としては、例えば、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化チタン(TiO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タンタル(Ta2O5)、チタン合金酸化物、酸化アルミニウム(Al2O3)およびアルミ合金酸化物等が挙げられる。加飾層48の一例としては、酸化シリコン(SiO2)膜と酸化チタン(TiO2)膜とを交互に、例えば合計20層積層したものが挙げられる。加飾層27および加飾層48は、それぞれ、同じ構成の誘電体多層膜を用いてもよいし、異なる構成の誘電体多層膜を用いるようにしてもよい。加飾層27と加飾層48とで異なる構成の誘電体多層膜を用いることによって、面S1側および面S2側から、それぞれ異なる発色変化が得られるようになる。
【0051】
以上のように、本実施の形態の構造体4では、接合層12によって接合される2つの基体を共に透明基体(透明基体41,16)を用いて構成するようにしたので、構造体4の両側(面S1側および面S2側)から、接合層12と加飾層27および接合層12と加飾層48による発色を確認することが可能となる。また、透明基体41と接合層12との間に加飾層48を設けることで、面S2側からも、加飾層48を構成する誘電体多層膜による干渉作用によって、見る角度によって色合いが変化する装飾を加えることが可能となる。更に、加飾層27および加飾層48に異なる構成を有する誘電体多層膜を用いることにより、面S1側および面S2側から、互いに異なる発色を確認することが可能となる。即ち、上記第1の実施の形態の効果に加えて、デザイン性をさらに向上させることが可能となる。
【0052】
<5.変形例2>
図11は、本開示の変形例(変形例2)に係る構造体(構造体5)の断面構成を模式的に表したものである。この構造体5は、上記第1の実施の形態の構造体1と同様に、2つ以上の被接合部材が、例えば原子拡散接合によって接合された積層構造を有するものであり、例えば、スマートフォンや腕時計、時計型ウェアラブルデバイス等の外装筐体(例えば、
図13参照)を構成するものである。本変形例の構造体5は、透明基体41と透明基体16との間に設けられる接合機能および加飾機能を有する接合層52と透明基体41との間に、加飾層48を設けると共に、接合層52を透明化が可能な材料を用いて形成したものである。
【0053】
構造体5は、透明基体41と透明基体16とが、例えば原子拡散接合によって接合されたものであり、透明基体41、加飾層48、接合層52および透明基体16がこの順に積層された構成を有する。接合層52は、例えば、下地層53、拡散接合層54および下地層55からなり、透明基体41側からこの順に積層されている。
【0054】
下地層53および下地層55は、例えば、拡散接合層54に対して酸素を供給することが可能な材料、例えば、酸素と結合した無機材料(無機酸化物)を含む。具体的には、例えば、酸化シリコン(SiOx)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ニオブ(NbOx)、酸化チタン(TiOx)、酸化タンタル(Ta2O5)アルミランタン酸化物(AlLaOx)、チタンランタン酸化物(TiLaOx)および酸化ハフニウム(HfOx)等が挙げられる。下地層53および下地層55の積層方向の厚みは、例えば10nm以上10μm以下であることが好ましい。
【0055】
拡散接合層54は、接合層52において透明基体41と透明基体16とを接合するためのものである。拡散接合層54は、下地層53および下地層55から供給される酸素によって酸化され、透明化が可能な金属材料により構成されている。拡散接合層54の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)およびタンタル(Ta)等が挙げられる。拡散接合層54の厚みは、例えば0.2nm以上10nm以下であることが好ましい。
【0056】
構造体5は、例えば、以下のようにして製造することができる。まず、透明基体41上に、例えばスパッタリングを用いてTiO2膜およびSiO2膜で構成される20層からなる誘電体多層膜を成膜して加飾層48を形成する。続いて、加飾層48上に下地層53として、例えばイオンアシスト蒸着により、例えばSiO2膜を、例えば5000nmの厚みで成膜する。また、透明基体16上に、同様の方法を用いて、下地層55として例えばSiO2膜を、例えば5000nmの厚みで成膜する。次に、下地層53および下地層55の表面を、例えば光学研磨により、例えば算術平均粗さ(Ra)<0.3nmまで研磨する。続いて、超高真空環境下において下地層53および下地層55上に、それぞれ、拡散接合層54となる金属層54A,54Bとして、例えばスパッタリング法にてTi膜を成膜する。次に、超高真空環境下のまま、金属層54A,54Bが対向するように透明基体41と透明基体16とを向かい合わせに配置し、例えば30MPaで加圧する。その後、後処理として、一般環境下で300℃にて10時間加熱する。これにより、下地層53および下地層55に内包された酸素が拡散接合層54へ拡散し、Ti膜が酸化される。これにより、拡散接合層54が透明化された構造体5が完成する。
【0057】
以上のように、本変形例の構造体5では、拡散接合層54に対して酸素を供給することが可能な材料を用いて下地層53および下地層55を形成すると共に、酸化によって透明化が可能な金属材料を用いて拡散接合層54を形成するようにした。これにより、例えば原子拡散接合後のアニール処理により、拡散接合層54が酸化されて透明となる。つまり、構造体5は、面S1側からは透明基体16および接合層52を介した加飾層48の発色を、面S2側からは透明基体41を介した加飾層48の発色を確認することが可能となる。即ち、上記第1の実施の形態の効果に加えて、デザイン性をさらに向上させることが可能となる。
【0058】
<6.変形例3>
図12は、本開示の変形例(変形例3)に係る構造体(構造体6)の断面構成を模式的に表したものである。この構造体6は、上記第1の実施の形態の構造体1と同様に、2つ以上の被接合部材が、例えば原子拡散接合によって接合された積層構造を有するものであり、例えば、スマートフォンや腕時計、時計型ウェアラブルデバイス等の外装筐体(例えば、
図13参照)を構成するものである。本変形例の構造体6は、例えば透明基体16の近傍に光源となる発光素子50を配置したものである。この発光素子50が、本開示の「機能素子」の一具体例に相当する。
【0059】
構造体6は、透明基体41と透明基体16とが、例えば原子拡散接合によって接合されたものであり、透明基体41、加飾層48、接合層12、加飾層27および透明基体16がこの順に積層された構成を有する。接合層12は、上記第3の実施の形態と同様に、例えば、下地層13、拡散接合層14および下地層15からなり、基体11側からこの順に積層されている。
【0060】
図13は、
図12に示した構造体6を用いたスマートフォン100(実施例1)の外観を模式的に表したものである。スマートフォン100は、例えば、外装筐体110と表示部120とを有し、外装筐体110に、本変形例の構造体6が適用されている。具体的には、透明基体41が、例えば背面板に相当し、透明基体16がフレームに相当する。本変形例では、透明基体41と透明基体16とを、例えば原子拡散接合によって接合したのち、構造体6の外形を、例えば円弧加工および鏡面研磨を行い、例えば透明基体16の内側面S3近傍に発光素子50を配置する。
【0061】
フレームに相当する透明基体16の近傍に発光素子50を配置すると、例えば
図12に示したように、発光素子50から出射された光は、例えば透明基体16の側面で反射され、さらに、例えば接合層12の界面で反射される。接合層12の界面で反射された光は、例えば透明基体16内を伝播し、特性に応じた色で構造体6の外に出射される。これにより、
図13に示したようなスマートフォン100では、例えば、フレームのエッジ部分のみを任意の光で発光させることが可能となる。また、構造体5の外形を円弧加工に限らず、様々な形状の加工を施すことで、さらに多様な加飾が可能となる。
【0062】
<7.実施例>
上記第1~第3の実施の形態および変形例1~3において説明した構造体1~6は、上記変形例3で説明したスマートフォンの外装筐体の他に、腕時計、時計型ウェアラブルデバイス等の各種電子機器の外装筐体に適用することができる。
【0063】
図14は、時計型ウェアラブルデバイス200の外観を表したものである。時計型ウェアラブルデバイス200は、例えば腕等への装着に用いる湾曲構造体を含む外装筐体210と、表示部220とを有し、この外装筐体210に上記構造体1~6のいずれかを用いることができる。これにより、筐体を加飾しつつ、構造強度を高めることが可能となる。
【0064】
以上、第1~第3の実施の形態および変形例1~3ならびに実施例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施形態等で説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。
【0065】
また、上記実施の形態等において説明した全ての構成要素を備える必要はなく、さらに他の構成要素を含んでいてもよい。例えば、上記変形例3において、側面を円弧加工した構造体6の側面および背面(面S2側)に加飾と層や薄膜による加飾を全面または一部に行うようにしてもよい。この加飾によって、例えば、透明基体16の内部に光線を電場させ、限定された領域から光線を放射させることで、さらなる加飾効果を追加することができる。また、設計によっては、照明効果も付加することが可能となる。
【0066】
更に、上述した構成要素の材料や厚みは一例であり、記載したものに限定されるものではない。
【0067】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0068】
なお、本開示は以下のような構成を取ることも可能である。以下の構成の本技術によれば、対向配置された第1基体と第2基体との間に接合層を設けると共に、第1基体と接合層との間に第1の加飾層を設けるようにしたので、第1基体と第2基体との接合強度を向上させつつ、デザイン性を向上させることが可能となる。
(1)
第1基体と、
前記第1基体と対向配置された第2基体と、
前記第1基体と前記第2基体との間に設けられた接合層と、
前記第1基体と前記第2基体との間に設けられた第1の加飾層とを備え、
前記接合層は、前記第1基体側から、金属材料または無機酸化物を含む第1下地層、金属膜同士の拡散接合からなる金属接合層、および、金属材料または無機酸化物を含む第2下地層を順に有し、
前記第1下地層および前記金属接合層のうちの少なくとも一方が前記第1の加飾層を兼ねている
構造体。
(2)
前記第1基体は光透過性を有する、前記(1)に記載の構造体。
(3)
前記第1基体と前記接合層との間にさらに第4の加飾層を有する、前記(1)または(2)に記載の構造体。
(4)
前記第4の加飾層は誘電体多層膜により構成されている、前記(3)に記載の構造体。
(5)
前記第4の加飾層は面内方向で厚みが異なる、前記(3)または(4)に記載の構造体。
(6)
前記第1基体と前記第2基体との間にさらに第2の加飾層を有する、前記(1)乃至(5)のうちのいずれか1に記載の構造体。
(7)
前記接合層が前記第2の加飾層を兼ねている、前記(6)に記載の構造体。
(8)
前記第1下地層および前記金属接合層は、一方が前記第1の加飾層を兼ね、他方が前記第2の加飾層を兼ねている、前記(7)に記載の構造体。
(9)
前記第2基体は光透過性を有する、前記(1)乃至(8)のうちのいずれかに記載の構造体。
(10)
前記第2基体と前記接合層との間にさらに第3の加飾層を有する、前記(9)に記載の構造体。
(11)
第1基体と、
前記第1基体と対向配置された第2基体と、
前記第1基体と前記第2基体との間に設けられた接合層と、
前記第1基体と前記第2基体との間に設けられた第1の加飾層とを備え、
前記接合層は、前記第1基体側から、金属材料または無機酸化物を含む第1下地層、金属膜同士の拡散接合からなる金属接合層、および、金属材料または無機酸化物を含む第2下地層を順に有し、
前記第1下地層および前記金属接合層のうちの少なくとも一方が前記第1の加飾層を兼ねている
構造体を備えた外装筐体。
(12)
機能素子をさらに備える、前記(11)に記載の外装筐体。
(13)
前記機能素子は発光素子である、前記(12)に記載の外装筐体。
(14)
前記発光素子は、前記第1基体の側面に配置されている、前記(13)に記載の外装筐体。
【0069】
本出願は、日本国特許庁において2019年1月7日に出願された日本特許出願番号2019-000663号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願の全ての内容を参照によって本出願に援用する。
【0070】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。