(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】車両用コンソールボックス
(51)【国際特許分類】
B60R 7/04 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
B60R7/04 C
(21)【出願番号】P 2021007840
(22)【出願日】2021-01-21
【審査請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 誠
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-095053(JP,A)
【文献】特開2009-202660(JP,A)
【文献】特開2007-146894(JP,A)
【文献】中国実用新案第206049523(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンソールボックス本体に対して一対のサイドパネルを組み付けて成る車両用コンソールボックスであって、
前記コンソールボックス本体は、底板部と、前記底板部の前端から突設する前壁部と、前記底板部の後端から突設する後壁部と、から左右が開放した開放部を有する略U字状に構成され、
前記サイドパネルは、前記コンソールボックス本体の前記開放部を覆うパネル状に構成され、
前記コンソールボックス本体の前記前壁部には、前側係合孔が前向きまたは後向きに形成され、
前記コンソールボックス本体の前記後壁部には、後側係合孔が前向きまたは後向きに形成され、
前記サイドパネルの前部には、前記コンソールボックス本体の前記前側係合孔に係合可能な前側係合爪が前向きまたは後向きに形成され、
前記サイドパネルの後部には、前記コンソールボックス本体の前記後側係合孔に係合可能な後側係合爪が前向きまたは後向きに形成され、
前記コンソールボックス本体の前記前側係合孔と前記後側係合孔に対して前記サイドパネルの前記前側係合爪と前記後側係合爪とを前記コンソールボックス本体の前向きまたは後向きに相対的に挿し込んでいくと、前記前側係合孔の孔縁と前記前側係合爪の係合および前記後側係合孔の孔縁と前記後側係合爪の係合とが同時に完了
し、
前記コンソールボックス本体と前記サイドパネルとには、前記コンソールボックス本体の前記前側係合孔と前記後側係合孔に対する前記サイドパネルの前記前側係合爪と前記後側係合爪との相対的な挿し込みを案内するガイド部が形成されて
おり、
前記ガイド部は、前記コンソールボックス本体の前記底板部の左右の側面に前後方向に沿って長孔を成すように形成されたガイド穴と、前記サイドパネルの下部に前記コンソールボックス本体の前記ガイド穴に挿し込み可能に内向きに形成されたガイド爪と、から構成され、
前記ガイド穴は、前記ガイド爪を待ち受け可能に高さが広く設定された待受部と、前記ガイド爪を保持可能に前記待受部から段差を介して高さが狭く設定された保持部と、から構成されて
おり、
前記待受部は、その高さである内径が一定に設定されており、
前記保持部は、その高さである内径が、前記待受部の前記高さである内径より小さく、且つ一定に設定されており、
前記段差は、前記待受部の前記段差側の内面と前記保持部の前記段差側の内面が連続するように傾斜しており、
前記保持部の前記高さである内径は、前記ガイド爪の高さと略同じに設定されている車両用コンソールボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用コンソールボックスに関し、詳しくは、コンソールボックス本体に対して一対のサイドパネルを組み付けて成る車両用コンソールボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の車両用コンソールボックスが既に知られている。ここで、下記特許文献1には、
図14に示すような、車両用コンソールボックス101が開示されている。この車両用コンソールボックス101は、底板部120と、底板部120の前端から突設する前壁部123と、底板部120の後端から突設する後壁部123とから左右が開放した開放部128を有する略U字状に構成されたコンソールボックス本体102にコンソールボックス本体102の開放部128を覆うパネル状に構成された左右一対のサイドパネル103を振動溶着によって組み付けて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、コンソールボックス本体102に対して振動溶着によって左右一対のサイドパネル103を組み付けている。そのため、振動溶着を実施するための専用設備が必要となっていた。また、上述した特許文献1の技術では、コンソールボックス本体102の前壁部123と後壁部126とが互いに内方向に向けて変形していることがあった(前倒れしていることがあった)。その場合、コンソールボックス本体102の前壁部123と後壁部126とが互いに内側に向けて変形した状態(前倒れした状態)で左右一対のサイドパネル103が組み付けられる恐れがあった。そのため、これら前壁部123と後壁部126を所定間隔に保持する橋渡す左右一対の梁部材170を必要としていた。したがって、車両用コンソールボックス101の組み立ての作業工数の増加となっていた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、コンソールボックス本体に対して一対のサイドパネルを簡便に組み付けることができる車両用コンソールボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの特徴によると、コンソールボックス本体に対して一対のサイドパネルを組み付けて成る車両用コンソールボックスにおいて、コンソールボックス本体は、底板部と、底板部の前端から突設する前壁部と、底板部の後端から突設する後壁部と、から左右が開放した開放部を有する略U字状に構成されている。サイドパネルは、コンソールボックス本体の開放部を覆うパネル状に構成されている。コンソールボックス本体の前壁部には、前側係合孔が前向きまたは後向きに形成されている。コンソールボックス本体の後壁部には、後側係合孔が前向きまたは後向きに形成されている。サイドパネルの前部には、コンソールボックス本体の前側係合孔に係合可能な前側係合爪が前向きまたは後向きに形成されている。サイドパネルの後部には、コンソールボックス本体の後側係合孔に係合可能な後側係合爪が前向きまたは後向きに形成されている。コンソールボックス本体の前側係合孔と後側係合孔に対してサイドパネルの前側係合爪と後側係合爪とをコンソールボックス本体の前向きまたは後向きに相対的に挿し込んでいくと、前側係合孔の孔縁と前側係合爪の係合および後側係合孔の孔縁と後側係合爪の係合とが同時に完了する。
【0007】
そのため、一対のサイドパネルの組み付けは、前側係合爪、後側係合爪と孔縁との係合による組み付けとなる。したがって、従来技術で説明したような、振動溶着を必要としない。結果として、振動溶着を実施するための専用設備を必要としない。この一対のサイドパネルを組み付けるとき、例えば、コンソールボックス本体の前壁部と後壁部とが互いに内方向に向けて変形した(倒れた)状態であっても、一方の手でコンソールボックス本体の後壁部が外側(後側)に向けて変形を戻すように保持しながら、他方の手で左右のサイドパネルを前方向に向けて押し込む作業を行える。また、左右のサイドパネルを押し込む作業を行うと、内方向に向けて変形しているコンソールボックス本体の前壁部が、コンソールボックス本体の各前側係合孔に対する左右のサイドパネルの各係合爪の挿し込みにともない、この変形する前の状態に戻される。したがって、従来技術で説明したような、前壁部と後壁部を所定間隔に保持する橋渡す左右一対の梁部材を必要としない。結果として、車両用コンソールボックスの組み立ての作業工数の増加を抑えることができる。これらのことから、コンソールボックス本体に対して一対のサイドパネルを簡便に組み付けることができる。
【0008】
本開示の他の特徴によると、コンソールボックス本体とサイドパネルとには、コンソールボックス本体の前側係合孔と後側係合孔に対するサイドパネルの前側係合爪と後側係合爪との相対的な挿し込みを案内するガイド部が形成されている。
【0009】
そのため、コンソールボックス本体の前側係合孔と後側係合孔に対する一対のサイドパネルの前側係合爪と後側係合爪との挿し込みを案内できる。したがって、コンソールボックス本体に対して一対のサイドパネルを組み付け易い。
【0010】
また、本開示の他の特徴によると、ガイド部は、コンソールボックス本体の底板部の左右の側面に前後方向に沿って長孔を成すように形成されたガイド穴と、サイドパネルの下部にコンソールボックス本体のガイド穴に挿し込み可能に内向きに形成されたガイド爪とから構成されている。ガイド穴は、ガイド爪を待ち受け可能に高さが広く設定された待受部と、ガイド爪を保持可能に待受部から段差を介して高さが狭く設定された保持部とから構成されている。
【0011】
そのため、簡素な構造でガイド部を構成できる
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る車両用コンソールボックスの分解斜視図である。
【
図2】
図1の一部を後方から見た分解斜視図である。
【
図4】車両用コンソールボックスの組み立ての途中を示す横断面図である。
【
図5】車両用コンソールボックスの組み立ての途中を示す縦断面図である。
【
図8】
図3の横断面図であり、異なる作用効果(第1の異なる作用効果)を説明する図である。
【
図9】
図1のコンソールボックス本体にリッドを組み付けた状態を示す斜視図である。
【
図10】
図3の横断面図であり、さらに異なる作用効果(第2の異なる作用効果)を説明する図である。
【
図11】アッパカバーを組み付ける前の車両用コンソールボックスの斜視図である(変形例1)。
【
図12】コンソールボックス本体にリッドカバーを組み付ける前の分解斜視図である(変形例2)。
【
図13】
図12において、リッドカバーを組み付けたコンソールボックス本体に左右一対のサイドパネルを組み付ける前の分解斜視図である。
【
図14】従来技術に係る車両用コンソールボックスの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態を、
図1~10を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、上下、前後、左右は、車両用コンソールボックス1を車両(例えば、図示しない、自動車)に組み付けた状態を基準としたときの上下、前後、左右を示している。
【0014】
車両用コンソールボックス1は、主として、コンソールボックス本体2と、左右一対のサイドパネル3とから構成されている。以下に、これらコンソールボックス本体2と、左右一対のサイドパネル3とを個別に説明する。
【0015】
はじめに、コンソールボックス本体2を説明する(
図1~2、5参照)。コンソールボックス本体2は、略矩形状の底板部20と、底板部20の前端から上側に向けて突設する略矩形状の前壁部23と、底板部20の後端から上側に向けて突設する略矩形状の後壁部26とから左右が開放した開放部28を有する略U字状に構成されている(
図1~2参照)。底板部20の左右の側面21には、前後方向に沿って適宜の間隔で3個のガイド穴22が形成されている。
【0016】
ガイド穴22は、後述するサイドパネル3のガイド爪38を待ち受け可能に高さが広く設定された待受部22aと、ガイド爪38を保持可能に待受部22aから段差22cを介して高さが狭く設定された保持部22bとから構成されている。すなわち、
図5に示すように、待受部22aの高さの内径H1は、保持部22bの内径H2より高さが広く設定されている(内径H1>内径H2)。
【0017】
また、この保持部22bの内径H2は、サイドパネル3のガイド爪38の高さH3と略同じに設定されている。そのため、このサイドパネル3のガイド爪38が底板部20の保持部22bに移動すると(挿し込まれると)、この移動した(挿し込まれた)ガイド爪38を保持部22bが保持できる。
【0018】
前壁部23の左右の縁には、上下方向に沿って適宜の間隔で3個(計6個)の前側係合孔24が形成されている。この計6個の前側係合孔24は、後側から前側に向けて挿し込まれる後述する前側挿込片31を挿し込み可能に後向きに待ち受け状態で形成されている。後壁部26の左右の縁にも、上下方向に沿って適宜の間隔で3個(計6個)の後側係合孔27が形成されている。この計6個の後側係合孔27も、後側から前側に向けて挿し込まれる後述する後側挿込片34を挿し込み可能に後向きに待ち受け状態で形成されている。コンソールボックス本体2は、このように構成されている。
【0019】
次に、左右一対のサイドパネル3を説明する(
図1~2、5参照)。なお、このサイドパネル3は、
図1~2からも明らかなように、左右に対を成すように構成されている。そのため、右のサイドパネル3を説明することで、左のサイドパネル3の説明を省略する。右のサイドパネル3は、コンソールボックス本体2の右の開放部28を覆うパネル状に形成されている。
【0020】
右のサイドパネル3の内面の前部30には、上下方向に沿って適宜の間隔で3個の前側挿込片31が形成されている。この3個の前側挿込片31は、コンソールボックス本体2の右の3個の前側係合孔24に挿し込み可能に前向きに形成されている。また、この3個の前側挿込片31には、コンソールボックス本体2の右の3個の前側係合孔24の孔縁24aに係合可能な係合爪31aがそれぞれ形成されている。
【0021】
右のサイドパネル3の内面の後部33にも、上下方向に沿って適宜の間隔で3個の後側挿込片34が形成されている。この3個の後側挿込片34も、コンソールボックス本体2の右の3個の後側係合孔27に挿し込み可能に前向きに形成されている。また、この3個の後側挿込片34にも、コンソールボックス本体2の右の3個の後側係合孔27の孔縁27aに係合可能な係合爪34aがそれぞれ形成されている。
【0022】
右のサイドパネル3の内面の下部37には、前後方向に沿って適宜の間隔で3個のガイド爪38が形成されている(
図5参照)。車両用コンソールボックス1は、これらガイド爪38と上述したガイド穴22によるガイド部40を備えている。この3個のガイド爪38は、コンソールボックス本体2の右の3個のガイド穴22の待受部22aに挿し込み可能に内向き(この場合、左向き)に形成されている。
【0023】
また、この3個のガイド爪38は、その先端が上側から下側に向けて下り傾斜するように形成されている。この下り傾斜により、ガイド穴22の待受部22aにガイド爪38を挿し込み易い、といった作用効果を得ることができる。左右一対のサイドパネル3は、このように構成されている。
【0024】
次に、上述したコンソールボックス本体2と左右一対のサイドパネル3から車両用コンソールボックス1を組み立てる手順を説明する(
図3~7参照)。なお、コンソールボックス本体2の前壁部23と後壁部26とは、互いが内方向(
図4において、矢印A方向)に向けて変形する(倒れる)ことがある。そのため、この説明にあたって、コンソールボックス本体2の前壁部23と後壁部26とが互いに内方向(
図4において、矢印A方向)に向けて変形した(倒れた)状態を説明する。
【0025】
まず、コンソールボックス本体2の底板部20の3個のガイド穴22の待受部22aに左のサイドパネル3の3個のガイド爪38を挿し込む作業を行う(
図5参照)。次に、この挿し込み状態のまま、コンソールボックス本体2に対して左のサイドパネル3を前方向に向けて押し込む作業を行う。このとき、一方の手でコンソールボックス本体2の後壁部26が外側(後側)に向けて変形を戻すように保持しながら、他方の手で左のサイドパネル3を前方向(
図4において、矢印B方向)に向けて押し込む作業を行う。
【0026】
すると、
図6に示すように、左のサイドパネル3の3個のガイド爪38がコンソールボックス本体2の左の3個のガイド穴22の段差22cを乗り越えて保持部22bに移動する(挿し込まれる、)。この移動(挿し込み)にともない、左のサイドパネル3の3個の前側挿込片31がコンソールボックス本体2の左の3個の前側係合孔24に挿し込まれる。また、この移動(挿し込み)にともない、左のサイドパネル3の3個の後側挿込片34がコンソールボックス本体2の左の3個の後側係合孔27に挿し込まれる。
【0027】
このように、左のサイドパネル3の3個のガイド爪38がコンソールボックス本体2の左の3個のガイド穴22の保持部22bに移動する(挿し込まれる)ことが、コンソールボックス本体2の左の3個の前側係合孔24と左の3個の後側係合孔27に対する左のサイドパネル3の3個の前側挿込片31と3個の後側挿込片34の挿し込みを案内することとなる。
【0028】
なお、上述した矢印A方向と矢印B方向は、同一直線状における逆方向である。そのため、上述したように左のサイドパネル3を押し込む作業を行うと、内方向に向けて変形しているコンソールボックス本体2の前壁部23が、コンソールボックス本体2の左の3個の前側係合孔24に対する左のサイドパネル3の3個の前側挿込片31の挿し込みにともない、この変形する前の状態に戻される。
【0029】
したがって、コンソールボックス本体2の前壁部23と後壁部26とが互いに内方向に向けて変形した状態にあっても、従来技術で説明したような、前壁部23と後壁部26を所定間隔に保持する橋渡す左右一対の梁部材170を必要としない。結果として、車両用コンソールボックス1の組み立ての作業工数の増加を抑えることができる。
【0030】
上述したように、左のサイドパネル3の3個の前側挿込片31がコンソールボックス本体2の左の3個の前側係合孔24に挿し込まれると、左のサイドパネル3の3個の前側挿込片31の係合爪31aがコンソールボックス本体2の左の3個の前側係合孔24の孔縁24aに係合する(
図6~7参照)。
【0031】
これと同時に、上述したように、左のサイドパネル3の3個の後側挿込片34がコンソールボックス本体2の左の3個の後側係合孔27に挿し込まれると、左のサイドパネル3の3個の後側挿込片34の係合爪34aがコンソールボックス本体2の左の3個の後側係合孔27の孔縁27aに係合する。すなわち、これらの係合が同時に完了する。これにより、コンソールボックス本体2に対する左のサイドパネル3の組み付けが完了する。
【0032】
このように左のサイドパネル3の組み付けが完了すると、係合爪34aと孔縁27aとの係合による組み付けとなる。そのため、従来技術で説明したような、振動溶着を必要としない。したがって、振動溶着を実施するための専用設備を必要としない。
【0033】
なお、これらの係合と同時に、コンソールボックス本体2の3個のガイド穴22の保持部22bに対する左のサイドパネル3の3個のガイド爪38の移動(挿し込み)が完了する。そのため、この移動した(挿し込まれた)ガイド爪38を保持部22bが保持できる。したがって、左のサイドパネル3の下部37をしっかりとコンソールボックス本体2に組み付けることができる。結果として、コンソールボックス本体2に対する左のサイドパネル3の組み付けを強固にできる。
【0034】
次に、右のサイドパネル3においても、上述したコンソールボックス本体2に対する左のサイドパネル3の組み付け作業を行う。このように、コンソールボックス本体2に対する左右のサイドパネル3の組み付けが完了すると、車両用コンソールボックス1が出来上がる。車両用コンソールボックス1は、このようにして組み立てられる(
図3参照)。
【0035】
なお、このようにして組み立てられた車両用コンソールボックス1は、例えば、上記とは異なる作用効果(第1の異なる作用効果、第2の異なる作用効果)も備えている。
【0036】
まず、第1の異なる作用効果を説明する(
図8参照)。左右一対のサイドパネル3の前側挿込片31の係合爪31aと後側挿込片34の係合爪34aの係合の挿し込み方向は、後側から前側に向けた方向(
図8において、矢印C方向)である。これに対し、組み立てられた車両用コンソールボックス1の使用時において、左右一対のサイドパネル3に作用する荷重の方向は、内側から外側に向けた方向(
図8において、矢印D方向)である。この矢印C方向と矢印D方向とは、略直交(略90°)の関係である。そのため、この車両用コンソールボックス1の使用時において、コンソールボックス本体2から左右一対のサイドパネル3が脱落し難いものとなる。
【0037】
次に、第2の異なる作用効果を説明する(
図9~10参照)。この第2の異なる作用効果では、コンソールボックス本体2の後壁部26の上部にヒンジ軸(図示しない)で開閉するリッド5を取り付けた場合を説明する。この場合、この取り付けたリッド5に対して過開きの荷重(
図9において、矢印E方向に向けた荷重)が作用すると、この後壁部26にも後方向(
図9において、矢印F方向)に向けて大荷重が作用する。
【0038】
すなわち、
図10に示すように、この後壁部26に後方向(
図10において、矢印G方向)に向けて大荷重が作用する。このとき、左右一対のサイドパネル3の前側挿込片31の係合爪31aと後側挿込片34の係合爪34aの係合の挿し込み方向は、後側から前側に向けた方向(
図10において、矢印H方向)である。なお、上述した矢印G方向と矢印H方向は、同一直線状における逆方向である。
【0039】
そのため、上述したように取り付けたリッド5に対して過開きの荷重(
図9において、矢印E方向に向けた荷重)が作用しても、コンソールボックス本体2の前側係合孔24、後側係合孔27に対する左右一対のサイドパネル3の前側挿込片31、後側挿込片34の挿し込みが脱落することを防止できる。すなわち、コンソールボックス本体2の各前側係合孔24の孔縁24a、各後側係合孔27の孔縁27aに対する左右のサイドパネル3の各前側挿込片31の係合爪31a、各後側挿込片34の係合爪34aの係合が解消されることを防止できる。したがって、コンソールボックス本体2に対する左右一対のサイドパネル3の脱落を防止できる。
【0040】
本発明の実施形態に係る車両用コンソールボックス1は、上述したように構成されている。この構成によれば、コンソールボックス本体2の前側係合孔24と後側係合孔27に対して左右のサイドパネル3の前側挿込片31の係合爪31aと後側挿込片34の係合爪34aとをコンソールボックス本体2の前向きに挿し込んでいく。すると、前側係合孔24の孔縁24aと前側挿込片31の係合爪31aの係合および後側係合孔27の孔縁27aと後側挿込片34の係合爪34aの係合とが同時に完了してコンソールボックス本体2に対して左右のサイドパネル3が組み付けられる。このように左右のサイドパネル3の組み付けが完了すると、係合爪31a、34aと孔縁24a、27aとの係合による組み付けとなる。そのため、従来技術で説明したような、振動溶着を必要としない。したがって、振動溶着を実施するための専用設備を必要としない。
【0041】
この左右のサイドパネル3を組み付けるとき、例えば、コンソールボックス本体2の前壁部23と後壁部26とが互いに内方向に向けて変形した(倒れた)状態であっても、一方の手でコンソールボックス本体2の後壁部26が外側(後側)に向けて変形を戻すように保持しながら、他方の手で左または右のサイドパネル3を前方向に向けて押し込む作業を行える。また、左または右のサイドパネル3を押し込む作業を行うと、内方向に向けて変形しているコンソールボックス本体2の前壁部23が、コンソールボックス本体2の各前側係合孔24に対する左右のサイドパネル3の各前側挿込片31の挿し込みにともない、この変形する前の状態に戻される。したがって、従来技術で説明したような、前壁部23と後壁部26を所定間隔に保持する橋渡す左右一対の梁部材170を必要としない。結果として、車両用コンソールボックス1の組み立ての作業工数の増加を抑えることができる。これらのことから、コンソールボックス本体2に対して左右一対のサイドパネル3を簡便に組み付けることができる。
【0042】
また、この構成によれば、車両用コンソールボックス1は、ガイド部40を備えている。そのため、コンソールボックス本体2の前側係合孔24と後側係合孔27に対する左右のサイドパネル3の前側挿込片31の係合爪31aと後側挿込片34の係合爪34aとの挿し込みを案内できる。したがって、コンソールボックス本体2に対して左右のサイドパネル3を組み付け易い。
【0043】
また、この構成によれば、ガイド部40は、コンソールボックス本体2の底板部20の左右の側面21に前後方向に沿って長孔を成すように形成されたガイド穴22と、左右のサイドパネル3の下部37にコンソールボックス本体2のガイド穴22に挿し込み可能に内向きに形成されたガイド爪38とから構成されている。ガイド穴22は、ガイド爪38を待ち受け可能に高さが広く設定された待受部22aと、ガイド爪38を保持可能に待受部22aから段差22cを介して高さが狭く設定された保持部22bとから構成されている。そのため、簡素な構造でガイド部40を構成できる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、その他各種の形態で実施することができるものである。例えば、車両用コンソールボックス1にアッパカバー50を組み付けることができる(
図11参照)。
【0045】
また、例えば、コンソールボックス本体2にリッド体60を組み付けることができる(
図12参照)。リッド体60は、矩形枠状のリッドベース61と、リッドベース61にヒンジ結合されたリッド62から構成されている。リッドベース61には、複数の係合爪61aが形成されている。コンソールボックス本体2には、複数の係合爪61aに係合可能な複数の係合孔23a、26aが形成されている。この複数の係合爪61aを複数の係合孔23a、26aに係合させてコンソールボックス本体2にリッド体60が組み付けられている。
【0046】
このコンソールボックス本体2にも左右のサイドパネル3を組み付けることができる(
図13参照)。この組み付け方法を説明する。まず、左右のサイドパネル3の上縁をコンソールボックス本体2の上縁に引っ掛けて回転させる作業を行う。次に、左右のサイドパネル3から内側に向けて突出するように形成されているガイド爪38をコンソールボックス本体2のガイド穴22に挿し込む作業を行う。次に、左右のサイドパネル3を前方向に向けて押し込む作業を行う。これにより、組み付けが完了する。このように組み付けることができると、コンソールボックス本体2の内側からの負荷に対しても強く、リッド62の過開きに対してもリッドベース61を左右のサイドパネル3が抑えているため、リッドベース61が外れることがない。よって、内倒れの矯正のために別部品を追加することなく、内側からの荷重、過開きにも強く、振動溶着を必要としない構造にできる。
【0047】
また、実施形態では、コンソールボックス本体2の前側係合孔24と後側係合孔27に対して左右のサイドパネル3の前側挿込片31の係合爪31aと後側挿込片34の係合爪34aとをコンソールボックス本体2の前向きに挿し込んでいく形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、コンソールボックス本体2の前側係合孔24と後側係合孔27に対して左右のサイドパネル3の前側挿込片31の係合爪31aと後側挿込片34の係合爪34aとをコンソールボックス本体2の後向きに挿し込んでいく形態でも構わない。その場合、左右のサイドパネル3の前側挿込片31と後側挿込片34の向きが後向きとなる。
【0048】
また、実施形態では、コンソールボックス本体2に対して左右のサイドパネル3を前方向に向けて押し込む作業を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、左右のサイドパネル3に対してコンソールボックス本体2を後方向に向けて押し込む作業でも構わない。
【符号の説明】
【0049】
1 車両用コンソールボックス
2 コンソールボックス本体
3 サイドパネル
20 底板部
23 前壁部
24 前側係合孔
24a 孔縁
26 後壁部
27 後側係合孔
27a 孔縁
28 開放部
31a 係合爪(前側係合爪)
34a 係合爪(後側係合爪)